説明

パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物およびその製造方法

【課題】パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法を開発する。
【解決手段】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法は、
一般式(1)


[式中、Yは、酸素原子等を示し、Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、炭素数1から4のアルキル基等で置換されていても良い炭素原子を示す。]で表される複素環化合物を、一般式(2) R1aS(=O)R1b [式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基等を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および酸の存在下に、一般式(3) Rf−X [式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複素環化合物は、工業的に有用な化合物であり、中でも五員環の化合物は医農薬、電子材料およびそれらの合成中間体として極めて広範に用いられている。一方、パーフルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基は、医農薬の生理活性や電子材料の物性を向上させることは良く知られている。
【0003】
ハロゲン化パーフルオロアルキルを用いて行う五員環の複素環化合物のパーフルオロアルキル化に関しては、例えば、非特許文献1に、ジメチルスルホキシド、過酸化水素水、硫酸鉄(II)、および、室温で液体であるヨウ化パーフルオロブチルあるいはヨウ化パーフルオロプロピルを用いた方法が開示されている。しかしながら、ここでは、基質がピロール類またはインドール類に限定されている。また、医農薬の分野で極めて重要なトリフルオロメチル化物の製造方法に関する記載は一切ない。
【0004】
また、非特許文献2には、ヨウ化パーフルオロアルキルを無水トリフルオロ酢酸中で過酸化水素により酸化し、さらにトリフルオロメタンスルホン酸とベンゼンを反応させて得られるトリフルオロメタンスルホン酸(パーフルオロアルキル)フェニルヨードニウムを用いることにより、チオフェン類およびフラン類をパーフルオロアルキル化する方法が記載されている。この方法では、トリフルオロメチル化が可能であるが、トリフルオロメタンスルホン酸(パーフルオロアルキル)フェニルヨードニウムの製造が煩雑であるため、工業的には使用し難い。
【0005】
また、ハロゲン化パーフルオロアルキル以外の反応試剤を用いて、直接パーフルオロアルキル化する方法も知られている。例えば非特許文献3には、トリフルオロ酢酸と二フッ化キセノンを用いたフラン類のトリフルオロメチル化が開示されている。しかしながら、二フッ化キセノンは、原料となるキセノンが高価であり、また水に不安定なため、工業的規模で用いるには不適当である。
【0006】
なお、HIV治療用逆転写酵素阻害剤として有効な1−アルキル−3−ヒドロキシピラゾール−4−カルボン酸エステル類(例えば特許文献1)がパーフルオロアルキル化された化合物に関しては報告がない。また、医農薬の合成中間体として用いられる3−アミノ−5−アルキル−イソオキサゾール類(例えば特許文献2)の4位、2−アミノ−5−メチルチアゾール類(例えば特許文献3)の3位、4−アルキル−5−(2−ヒドロキシエチル)チアゾール類(例えば特許文献4)の2位、2−(アルキルカルボニル)アミノチアゾール類(例えば特許文献5)の5位および4−アルキル−5−ヒドロキシピラゾール類(例えば特許文献6)の3位が、パーフルオロアルキル化された化合物に関しては報告がない。
【0007】
【非特許文献1】Tetrahedron Letters、34巻、3799−3800ページ、1993年
【非特許文献2】有機合成化学協会誌、41巻、251−265ページ、1983年
【非特許文献3】Journal of Organic Chemistry、53巻、4582−4585ページ、1988年
【特許文献1】WO2004074257
【特許文献2】WO2007004749
【特許文献3】WO2006125800
【特許文献4】WO2006032165
【特許文献5】WO2006016174
【特許文献6】WO2006010019
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物およびその簡便で効率の良い製造方法を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、スルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下、ハロゲン化パーフルオロアルキル類により、複素環化合物から、一段でパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法は、一般式(1)
【化10】


[式中、Yは、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。]で表される複素環化合物を、一般式(2) R1aS(=O)R1b (2) [式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、鉄化合物および場合によっては酸の存在下に、一般式(3) Rf−X (3) [式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることを特徴とする。
【0011】
本発明において、上記パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、下記一般式(4)で表される複素環化合物であることができる。
【化11】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【0012】
本発明においては、前記一般式(1)で表される複素環化合物を、前記一般式(2)で表されるスルホキシド類、前記過酸化物、および、前記鉄化合物に、更に酸を存在させた状態で、前記一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることができる。
【0013】
また、Rfは、トリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基であることが好ましい。
また、Xはヨウ素原子または臭素原子であることが好ましい。
【0014】
本発明において、鉄化合物は、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、または、鉄粉であることができる。
【0015】
また、鉄化合物は、硫酸鉄(II)、フェロセンまたは鉄粉であることが好ましい。
【0016】
過酸化物は、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドまたは過酢酸であることができる。
【0017】
ここで、過酸化物は、過酸化水素であることが好ましい。
【0018】
場合によって用いられる酸は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸であることができる。
ここで、酸は、硫酸であることが好ましい。
【0019】
1aおよびR1bは、それぞれメチル基であることができる。
【0020】
本発明の複素環化合物の製造方法において、反応温度は20℃以上、100℃以下の範囲から選ばれた温度であることが好ましい。
また、反応圧力は大気圧(0.1MPa)以上、1.0MPa以下の範囲から選ばれた圧力であることが好ましい。
【0021】
本発明の複素環化合物の製造方法において、一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子であり、Yが窒素原子であることが好ましい。
【0022】
また、一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換された窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であることが好ましい。
【0023】
本発明の複素環化合物の製造方法は、一般式(1)におけるYが酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(1)におけるYが酸素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることが好ましい。
【0024】
本発明の複素環化合物の製造方法は、一般式(1)におけるYがイオウ原子であることが好ましい。
また、一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることが好ましい。
【0025】
また、一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることが好ましい。
【0026】
また、一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、YおよびYが無置換の炭素原子であることが好ましい。
【0027】
また、一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であることが好ましい。
【0028】
本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、下記一般式(4)で表される複素環化合物であることを特徴とする。ただし、下記一般式(4)において、Y、Y、Y、および、Yの少なくとも1つがパーフルオロメチル基である。
【0029】
【化12】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【0030】
あるいは、本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、かつ、一般式(4)において、Yが炭素数1から4のアルキル基で置換された窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニル基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする。
【0031】
あるいは、本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)において、Yが酸素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする。
【0032】
本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)において、Yがイオウ原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする。
【0033】
あるいは、本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYがイオウ原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする。
【0034】
あるいは、本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする。
【0035】
本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、上記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、医農薬、電子材料およびそれらの合成中間体として有用なパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物を高収率で得る製造方法が得られる。また、この製造方法は工業的に有効に利用されうるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法は、
一般式(1)
【化13】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。]で表される複素環化合物を、
一般式(2) R1aS(=O)R1b (2)
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、および、鉄化合物の存在下に、一般式(3) Rf−X (3)
[式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させる。
【0038】
本発明においては、ハロゲン化パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、たとえば、下記一般式(4)で表される。
【化14】


[式中、Rf、Y、Y、Y、YおよびYは、前記と同じ内容を示す。]
【0039】
本発明のパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法において、R1aおよびR1bで示される炭素数1から12のアルキル基としては、具体的には、メチル基、ブチル基、ドデシル基等が例示できる。R1aおよびR1bで示される置換されていても良いフェニル基としては、具体的には、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基等が例示できる。R1aおよびR1bは、収率が良い点でメチル基、ブチル基、ドデシル基、フェニル基、p−トリル基が望ましく、メチル基がさらに望ましい。
【0040】
Rfで示される炭素数1から6のパーフルオロアルキル基として具体的には、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロシクロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロシクロブチル基、パーフルオロシクロプロピルメチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルプロピル基、パーフルオロネオペンチル基、パーフルオロ−1−メチルブチル基、パーフルオロ−2−メチルブチル基、パーフルオロ−3−メチルブチル基、パーフルオロシクロブチルメチル基、パーフルオロ−2−シクロプロピルエチル基、パーフルオロシクロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロ−1−メチルペンチル基、パーフルオロ−2−メチルペンチル基、パーフルオロ−3−メチルペンチル基、パーフルオロイソヘキシル基、パーフルオロ−1,1−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,2−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−2,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−3,3−ジメチルブチル基、パーフルオロ−1−エチルブチル基、パーフルオロ−2−エチルブチル基、パーフルオロ−1,1,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1,2,2−トリメチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−1−メチルプロピル基、パーフルオロ−1−エチル−2−メチルプロピル基またはパーフルオロシクロヘキシル基等が例示できる。医農薬、電子材料およびそれらの合成中間体として有用な点で、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロイソブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基またはパーフルオロヘキシル基が望ましく、トリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基がさらに望ましい。
【0041】
Xとしては具体的には、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が例示でき、収率が良い点で臭素原子またはヨウ素原子が望ましく、ヨウ素原子がさらに望ましい。
【0042】
一般式(1)におけるYが窒素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基等が例示できる。
【0043】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、シクロプロピルメチル基等が例示できる。またこれらのアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプトキ基、アミノ基、カルボキシル基等で置換されていても良く、具体的には、クロロメチル基、ジクロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、メルカプトメチル基、カルボキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、2−アミノエチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、2−アミノ−2−カルボキシエチル基等が例示できる。
【0044】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から5のアシル基としては具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、sec−ブチルカルボニル基またはピバロイル基等が例示できる。またこれらのアシル基は、アルキル基がハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、2−クロロエチルカルボニル基、3−クロロプロピルカルボニル基、ジフルオロメチルカルボニル基、3−フルオロプロピルカルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、2−フルオロエチルカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニル基または2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基等が例示できる。
【0045】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から5のアルコキシカルボニル基としては、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等が例示できる。また、これらのアルコキシカルボニル基は、ハロゲン原子で置換されていても良く、具体的には、2−クロロエトキシカルボニル基、3−クロロプロピルオキシカルボニル基、ジフルオロメトキシカルボニル基、3−フルオロプロピルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、2−フルオロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等が例示できる。
【0046】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から4のアルケニル基としては具体的には、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルビニル基、2−ブテニル基または1,3−ブタンジエニル基等が例示できる。また、これらのアルケニル基はハロゲン原子またはカルボキシル基で1個以上置換されていても良く、具体的には、1−(クロロメチル)ビニル基、1−(ジフルオロメチル)ビニル基、1−(トリフルオロメチル)ビニル基、2−クロロメチル−2−プロペニル基、2−ジフルオロメチル−プロペニル基、2−トリフルオロメチル−2−プロペニル基、1−(2−クロロエチル)ビニル基、1−(2−フルオロエチル)ビニル基、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ビニル基または1−(2,2,2−トリクロロエチル)ビニル基、1,2−ジカルボキシビニル基等が例示できる。
【0047】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から4のアルキニル基としては具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基または3−ブチニル基等が例示できる。また、これらのアルキニル基はハロゲン原子で1個以上置換されていても良く、具体的には、3−クロロ−1−プロペニル基、3,3−ジフルオロ−1−プロペニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基、4−クロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−1−ブチニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブチニル基、4−クロロ−2−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−2−ブチニル基または4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニル基等が例示できる。
【0048】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルコキシ基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基またはシクロプロピルメチルオキシ基等が例示できる。また、これらのアルコキシ基はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよく、具体的には、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、ジフルオロメトキシ基、3−フルオロプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基または2,2,2−トリクロロエトキシ基等が例示できる。
【0049】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数1から4のアルキルチオ基としては具体的には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、シクロプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、シクロブチルチオ基またはシクロプロピルチオ基等が例示できる。また、これらのアルキルチオ基はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよく、具体的には、クロロメチルチオ基、2−クロロエチルチオ基、3−クロロプロピルチオ基、ジフルオロメチルチオ基、3−フルオロプロピルチオ基、トリフルオロメチルチオ基、2−フルオロエチルチオ基、2,2,2−トリフルオロエチルチオ基または2,2,2−トリクロロエチルチオ基等が例示できる。
【0050】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基は、具体的には、アセトアミド基、エチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、シクロプロピルカルボニルアミノ基、ブチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基、sec−ブチルカルボニルアミノ基、tert−ブチルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、シクロプロピルメチルカルボニルアミノ基等が例示できる。またこれらのアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていても良く、具体的には、クロロメチルカルボニルアミノ基、ジクロロメチルカルボニルアミノ基、(2−クロロエチル)カルボニルアミノ基、(3−クロロプロピル)カルボニルアミノ基、(ジフルオロメチル)カルボニルアミノ基、(3−フルオロプロピル)カルボニルアミノ基、(トリフルオロメチル)カルボニルアミノ基、(2−フルオロエチル)カルボニルアミノ基、(2,2,2−トリフルオロエチル)カルボニルアミノ基、(2,2,2−トリクロロエチル)カルボニルアミノ基等が例示できる。
【0051】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良いアミノ基は、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良く、具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基等が例示できる。また、これらのアルキル基は、共同して環を形成していてもよく、具体的には、ピロリジニル基、ピペリジル基等が例示できる。また、これらのアルキル基はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、クロロメチルアミノ基、2−クロロエチルアミノ基、3−クロロプロピルアミノ基、ジフルオロメチルアミノ基、3−フルオロプロピルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、2−フルオロエチルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルアミノ基または2,2,2−トリクロロエチルアミノ基、ジ(クロロメチル)アミノ基、ジ(2−クロロエチル)アミノ基、ジ(3−クロロプロピル)アミノ基、ビス(ジフルオロメチル)アミノ基、ジ(3−フルオロプロピル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチル)アミノ基、ジ(2−フルオロエチル)アミノ基、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ基またはジ(2,2,2−トリクロロエチル)アミノ基等が例示できる。
【0052】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良いカルバモイル基としては、窒素原子が炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良いカルバモイル基を例示することができ、具体的には、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−イソプロピルカルバモイル基、N−ブチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N,N−ジプロピルカルバモイル基、N,N−ジイソプロピルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基等が例示できる。
【0053】
一般式(1)において、Y、Y、YおよびYが炭素原子である場合、これを置換しても良いフェニル基は、炭素数1から4のアルキル基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されていても良く、具体的には、o−トリル基、p−トリル基、m−トリル基、メシチル基、2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、2−クロロ−3−ニトロフェニル基等が例示できる。
【0054】
一般式(1)および一般式(4)で示される複素環化合物の基本骨格としては、具体的には、次に示す(H−1)から(H−17)が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
【化15】

【0056】
また、一般式(1)および一般式(4)において、Y、Y、YまたはYの少なくとも2つが隣接して置換されていても良い炭素原子の場合、隣接した炭素原子上の置換基が一体となって環を形成していても良い。このような化合物の基本骨格として、具体的には、次に示す(H−18)から(H−30)が例示できるが、本発明はこれらに限定されるのもではない。
【0057】
【化16】

【0058】
一般式(1)および一般式(4)において、Y、Y、Y、YおよびYのいずれかが窒素原子の場合、複素環化合物は通常互変異性体が存在する場合があるが、本発明はこれらの互変異性体を全て包含するものである。また、Y、Y、YおよびYのいずれかが、炭素原子の場合、その置換基として水酸基を有する際には、ケト−エノール互変異性体が存在する場合があるが、本発明はこれらの互変異性体を全て包含するものである。本発明では、便宜上エノール体で記述する。
【0059】
次に、本発明の製造方法について、詳細に述べる。
本発明は、一般式(2)で表されるスルホキシド類をそのまま溶媒として用いても良いが、反応に害を及ぼさない溶媒を用いることもできる。具体的には、水、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、アセトン、1,4−ジオキサン、tert−ブチルアルコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、トリフルオロエタノール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素またはN,N’−ジメチルプロピレン尿素等が挙げることができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で、水、一般式(2)で表されるスルホキシド類、または、水と一般式(2)で表されるスルホキシド類の混合溶媒を用いることが望ましい。
【0060】
一般式(1)で表される複素環化合物と一般式(2)で表されるスルホキシド類とのモル比は、1:1から1:200が望ましく、収率が良い点で1:10から1:100がさらに望ましい。
【0061】
一般式(1)で表される複素環化合物と一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類とのモル比は、1:1から1:100が望ましく、収率が良い点で1:1.5から1:10がさらに望ましい。
【0062】
過酸化物は例えば、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドまたは過酢酸等を例示することができ、これらを必要に応じて組み合わせて用いても良い。収率が良い点で過酸化水素または過酸化水素−尿素複合体が望ましい。
【0063】
過酸化水素は、水で希釈して用いても良い。その際の濃度は、3〜70重量%であれば良いが、市販の35重量%をそのまま用いても良い。収率が良くかつ安全な点で、水で希釈して10〜30重量%とすることがさらに望ましい。
【0064】
一般式(1)で表される複素環化合物と過酸化物のモル比は、1:0.1から1:10が望ましく、収率が良い点で1:1.5から1:3がさらに望ましい。
【0065】
本発明に用いられる鉄化合物としては、収率が良い点で鉄(II)塩が望ましく、例えば、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)またはヨウ化鉄(II)等の無機酸塩や、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセンまたはビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄等の有機金属化合物を例示することができ、これらを適宜組み合わせて用いても良い。また、鉄粉、鉄(0)塩または鉄(I)塩と過酸化物のような酸化試薬を組み合わせて、系内で鉄(II)塩を発生させて用いることもできる。その際、反応に用いられる過酸化水素をそのまま酸化試薬として用いることもできる。
【0066】
収率が良い点で硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、フェロセンまたは鉄粉を用いることが望ましい。
【0067】
これらの鉄化合物は、固体のまま用いても良いが、溶液として用いることもできる。溶液として用いる場合、溶媒としては上記の溶媒のいずれでも良いが、中でも水が望ましい。その際の鉄化合物溶液の濃度は、収率が良い点で、0.1〜10mol/Lが望ましく、0.5〜5mol/Lがさらに望ましい。
一般式(1)で表される複素環化合物と鉄化合物のモル比は、1:0.01から1:10が望ましく、収率が良い点で1:0.1から1:1がさらに望ましい。
【0068】
これらを反応させるための反応温度は20℃以上、100℃以下の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。収率が良い点で20℃〜70℃の範囲が望ましい。
【0069】
反応を密閉系で行う場合、大気圧(0.1MPa)から1.0MPaの範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、反応の際の雰囲気は、アルゴン、窒素等の不活性ガスでも良いが、空気中でも充分に進行する。
【0070】
一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類が、室温で気体の場合は、気体のまま用いても良い。その際、アルゴン、窒素、空気、ヘリウム、酸素等の気体で希釈して混合気体としても良く、一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率が1から100%の気体として用いることができる。密閉系で反応を実施する場合、一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体を反応雰囲気として用いることができる。その際の圧力は、大気圧(0.1MPa)以上、1.0MPa以下の範囲から適宜選ばれた圧力で行うことができるが、大気圧でも反応は充分に進行する。また、開放系で一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体をバブリングして反応溶液中に導入しても良い。その際の一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類または混合気体の導入速度は、反応のスケール、触媒量、反応温度、混合気体の一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類のモル分率にもよるが、毎分1mLから200mLの範囲から選ばれた速度で良い。
【0071】
本発明の製造方法では、酸を添加することにより目的物の収率を向上させることができる。酸としては、硫酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸またはテトラフルホロホウ酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸等の有機酸を例示することができ、適宜これらを組み合わせて用いても良い。収率が良い点で硫酸が望ましい。
【0072】
また、硫酸の酸性塩を用いても良い。酸性塩としては、硫酸水素テトラメチルアンモニウム、硫酸水素テトラエチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラフェニルホスホニウム等を例示できる。
これらの酸は、希釈して用いても良い。その際の溶媒は上記の溶媒であれば良く、中でも水または一般式(2)で表されるスルホキシド類が望ましい。
【0073】
一般式(1)で表される複素環化合物と酸のモル比は、1:0.001から1:5が望ましく、収率が良い点で1:0.01から1:2がさらに望ましい。
【0074】
反応後の溶液から目的物を単離する方法に特に限定はないが、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を得ることができる。
【0075】
一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換された窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として鉄粉を用いることがさらに望ましい。
【0076】
一般式(1)におけるYが酸素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物としてフェロセンを用いることがさらに望ましい。
【0077】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として硫酸鉄(II)を用いることがさらに望ましい。
【0078】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物としてフェロセンを用いることがさらに望ましい。
【0079】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、YおよびYが無置換の炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物としてフェロセンを用いることがさらに望ましい。
【0080】
一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子である場合、収率が良い点で、鉄化合物として鉄粉を用いることがさらに望ましい。
【実施例】
【0081】
次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0082】
(実施例1)
【化17】

【0083】
二口フラスコにピラゾール0.068g(1.0mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、5−トリフルオロメチルピラゾール(生成率25%)および4−トリフルオロメチルピラゾール(生成率1.6%)の生成を確認した。カラムクロマトグラフィーにより3−トリフルオロメチルピラゾールを無色オイルとして得た(0.027g、収率20%)。
【0084】
5−トリフルオロメチルピラゾール
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ6.60(d,J=2.0Hz,1H),7.86(d,J=2.0Hz,1H),13.57(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ103.2,122.1(q,JCF=267.7Hz),130.5,141.3(q,JCF=36.7Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−60.2.
MS(m/z):136[M]
4−トリフルオロメチルピラゾール
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−54.4.
MS(m/z):136[M]
【0085】
(実施例2)
【化18】

【0086】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。3−メチルピラゾール0.080mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、3−メチル−5−トリフルオロメチルピラゾール(生成率15%)および3−メチル−4−トリフルオロメチルピラゾール(生成率5.9%)の生成を確認した。カラムクロマトグラフィーにより3−メチル−5−トリフルオロメチルピラゾールを無色オイルとして得た(0.018g、収率12%)。
【0087】
3−メチル−5−トリフルオロメチルピラゾール
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ2.30(s,3H),6.40(s,1H),13.29(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ10.1,102.1,122.0(q,JCF=267.6Hz),140.6,141.2(q,JCF=36.2Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−60.6.
MS(m/z):150[M]
3−メチル−4−トリフルオロメチルピラゾール
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−54.9.
MS(m/z):151[M+H]
【0088】
(実施例3)
【化19】

【0089】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。4−メチルピラゾール0.080mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、4−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾールの生成を確認した(生成率49%)。カラムクロマトグラフィーにより4−メチル−3−トリフルオロメチルピラゾールを無色オイルとして得た(0.060g、収率40%)。
【0090】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ2.12(s,3H),7.73(s,1H),13.29(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ7.62,113.5,122.5(q,JCF=268.7Hz),129.8,138.7(q,JCF=34.2Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−59.8.
MS(m/z):150[M]
【0091】
(実施例4)
【化20】

【0092】
二口フラスコに1−エチル−3−ヒドロキシピラゾール−4−カルボン酸エチル0.18g(1.0mmol)および鉄粉0.016g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、1−エチル−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルの生成を確認した(生成率23%)。カラムクロマトグラフィーにより1−エチル−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルを白色固体として得た(0.055g、収率22%)。
【0093】
H−NMR(重クロロホルム):δ1.29(t,J=7.2Hz,3H),1.38(t,J=7.4Hz,3H),4.18(q,J=7.4Hz,2H),4.30(q,J=7.2Hz,2H),8.80(brs,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ13.9,15.5,48.2,61.6,96.8,118.9(q,JCF=271.1Hz),129.6(q,JCF=40.4Hz),163.0,164.6.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−60.9.
MS(m/z):223[M−C
【0094】
(実施例5)
【化21】

【0095】
二口フラスコに2−フェニルイミダゾール0.14g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、30%過酸化水素水0.2mLおよび1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−フェニル−4−トリフルオロメチルイミダゾールの生成を確認した(生成率16%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2−フェニル−4−トリフルオロメチルイミダゾールを白色固体として得た(0.030g、収率14%)。
【0096】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ7.39−7.45(m,1H),7.46−7.51(m,2H),7.91(s,1H),7.95−8.00(m,2H),13.19(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ118.9(q,JCF=3.8Hz),122.3(q,JCF=266.3Hz),125.3,128.9,129.1,129.4,130.6(q,JCF=37.6Hz),147.3.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−61.9.
MS(m/z):213[M+H]
【0097】
(実施例6)
【化22】


【0098】
二口フラスコに3−アミノ−1,2,4−トリアゾール0.084g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、30%過酸化水素水0.2mLおよび1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、3−アミノ−5−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾールの生成を確認した(生成率26%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3−アミノ−5−トリフルオロメチル−1,2,4−トリアゾールを白色固体として得た(0.030g、収率20%)。
【0099】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ5.92(brs,2H),12.0(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):120.2,150.7(q,JCF=268.7Hz),158.4(q,JCF=37.2Hz).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−65.0.
MS(m/z):153[M+H]
【0100】
(実施例7)
【化23】

【0101】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。チオフェン0.078mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−トリフルオロメチルチオフェンの生成を確認した(生成率49%)。カラムクロマトグラフィーにより、2−トリフルオロメチルチオフェンを無色オイルとして得た(0.024g、収率16%)。
【0102】
H−NMR(重クロロホルム):δ7.07(m,1H),7.46(m,1H),7.50(dd,J=4.8,1.1Hz).
13C−NMR(重クロロホルム):122.7(q,JCF=268.9Hz),127.0,128.0,128.6,131.1(q,JCF=36.2Hz).
19F−NMR(重クロロホルム):δ−55.0.
MS(m/z):152[M]
【0103】
(実施例8)
【化24】

【0104】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ベンゾフラン0.108mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質とした19F−NMRにより、2−トリフルオロメチルベンゾフランの生成を確認した(生成率30%)。カラムクロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルベンゾフランを白色固体として得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルベンゾフランを白色固体として得た(0.040g、収率21%)。
【0105】
H−NMR(重クロロホルム):δ7.17(m,1H),7.33(m,1H),13.7.45(m,1H),7.57(d,J=8.25Hz,1H),7.67(d,J=7.75Hz,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ108.1(q,JCF=3.1Hz),112.1,119.4(q,JCF=267.9Hz),112.5,124.0,126.0,126.9,143.5(q,JCF=42.0Hz),155.2.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−63.7.
MS(m/z):186[M]
【0106】
(実施例9)
【化25】

【0107】
二つ口フラスコにベンゾ[b]チオフェン0.134g(1.0mmol)およびフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメタンの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40から50℃で20分間撹拌し、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質として、19F−NMRにより、2−トリフルオロメチルベンゾ[b]チオフェンの生成を確認した(生成率17%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルベンゾ[b]チオフェンを白色固体として得た(0.021g、収率10%)。
【0108】
H−NMR(重クロロホルム):δ7.43−7.48(m,2H),7.70(s,1H),7.85−7.91(m,2H).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−55.2.
MS(m/z):202[M]
【0109】
(実施例10)
【化26】

【0110】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、2−ブロモチオフェン0.097mL(1.0mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を単離し、19F−NMR化学シフトおよびMSのm/z値を文献値比較することにより、生成物が2−ブロモ−5−トリフルオロメチルチオフェンであることを確認した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより生成率を求めた(47%)。
【0111】
19F−NMR(重クロロホルム):δ−54.6.
MS(m/z):230[M]
【0112】
(実施例11)
【化27】

【0113】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、2、5−ジブロモチオフェン0.113mL(1.0mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより生成物を単離し、19F−NMR化学シフトおよびMSのm/z値を文献値比較することにより、生成物が2,5−ジブロモ−3−トリフルオロメチルチオフェンであることを確認した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより生成率を求めた(47%)。
【0114】
19F−NMR(重クロロホルム):δ−58.3.
MS(m/z):308[M]
【0115】
(実施例12)
【化28】

【0116】
二つ口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。フラン0.073mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメタンの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌し、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質として、19F−NMRにより、2−トリフルオロメチルフラン(生成率16%)の生成を確認した。薄層分取クロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルフランを無色オイルとして得た(0.016g、収率12%)。
【0117】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ5.88(dd,J=3.4,0.9Hz,1H),6.18(dd,J=3.4,1.8Hz,1H),7.21(dd,1.8,0.9Hz,1H).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−62.7.
MS(m/z):136[M]
【0118】
(実施例13)
【化29】

【0119】
二つ口フラスコの容器内をアルゴンで置換し、ピロール0.070mL(1.0mmol)、ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメタンの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分間撹拌し、反応溶液を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタノールを内部標準物質として、19F−NMRにより、2−トリフルオロメチルピロール(生成率96%)の生成を確認した。薄層分取クロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルピロールを無色オイルとして得た(0.097g、収率72%)。
【0120】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ6.25(dd,J=3.5,1.3Hz,1H),6.60(dd,J=3.5,2.6Hz,1H),6.92(dd,2.6,1.3H).
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−58.0.
MS(m/z):135[M]
【0121】
(実施例14)
【化30】

【0122】
二口フラスコにインドール1.17g(10mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液0.33mL(1mmol)、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.1mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより2−トリフルオロメチルインドールの生成を確認した(生成率36%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2−トリフルオロメチルインドールを黄色固体として得た(0.044g、収率24%)。
【0123】
H−NMR(重クロロホルム):δ6.94(q,JHF=1.1Hz,1H),7.20(ddd,J=0.8Hz,7.4Hz,7.8Hz,1H),7.33(dd,J=7.4Hz,7.8Hz,1H),7.44(dd,J=0.8Hz,7.8Hz,1H),7.96(d,J=7.8Hz),8.43(brs,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ104.3(q,JCF=3.3Hz),111.7,121.2,121.3(q,JCF=267.7Hz),122.1,124.8,125.7(q,JCF=39.8Hz),126.6,136.2.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−60.8.
MS(m/z):185[M]
【0124】
(実施例15)
【化31】

【0125】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、2−アセチル−1−メチルピロール0.117mL(1.0mmol)、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより2−アセチル−1−メチル−5−トリフルオロメチルピロールの生成を確認した(生成率79%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2−アセチル−1−メチル−5−トリフルオロメチルピロールを淡黄色オイルとして得た(0.133g、収率70%)。
【0126】
H−NMR(重クロロホルム):δ2.48(s,3H),4.02(s,3H),6.54(d,J=4.2Hz,1H),6.89(d,J=4.2Hz,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ27.8,34.2(q,JCF=1.9Hz),110.2(q,JCF=3.6Hz),117.4,120.6(q,JCF=268.3Hz),128.0(q,JCF=37.6Hz),113.6,189.7.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−60.1.
MS(m/z):191[M]
【0127】
(実施例16)
【化32】

【0128】
二口フラスコに3−アミノ−5−メチルイソキサゾール0.098g(1.0mmol)、フェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより3−アミノ−5−メチル−4−トリフルオロメチルイソキサゾールの生成を確認した(生成率10%)。
【0129】
(実施例17)
【化33】

【0130】
二口フラスコに2−アミノ−5−メチルチアゾール0.114g(1.0mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mL、1.0mol/L硫酸鉄(II)水溶液0.3mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより2−アミノ−5−メチル−4−トリフルオロメチルチアゾールの生成を確認した(生成率21%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよびアルミナゲルカラムクロマトグラフィーにより2−アミノ−5−メチル−4−トリフルオロメチルチアゾールを白色固体として得た(0.024g、収率13%)。
【0131】
H−NMR(重クロロホルム):δ2.39(q,JHF=2.2Hz,3H),5.25(brs,2H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ10.7(q,JCF=1.6Hz),121.4(q,JCF=271.1Hz),125.2(q,JCF=2.8Hz),134.4(q,JCF=34.5Hz),165.7.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−61.4(q,JHF=2.2Hz).
MS(m/z):182[M]
【0132】
(実施例18)
【化34】

【0133】
二口フラスコに2−アミノ−1,3,4−チアジアゾール0.101g(1.0mmol)、フェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより5−トリフルオロメチル−2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールの生成を確認した(生成率33%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより5−トリフルオロメチル−2−アミノ−1,3,4−チアジアゾールを白色固体として得た(0.039g、収率23%)。
【0134】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ8.04(brs, 2H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ119.7(q,JCF=37.5Hz),143.6(q,JCF=270.6Hz),171.7.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−58.7.
MS(m/z):169[M]
【0135】
(実施例19)
【化35】

【0136】
二口フラスコにフェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾール0.120mL(1.0mmol)、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−2−トリフルオロメチルチアゾールの生成を確認した(生成率30%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−2−トリフルオロメチルチアゾールを淡黄色オイルとして得た(0.057g、収率27%)。
【0137】
H−NMR(重クロロホルム):δ2.42(s,3H),2.54(brs,1H),3.04(t,J=6.0Hz,2H),3.86(t,J=6.0Hz,2H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ14.9,29.5,62.0,119.8(q,JCF=271.6Hz),133.0,150.5,152,0(q,JCF=40.4Hz).
19F−NMR(重クロロホルム):δ−61.4.
MS(m/z):211[M]
【0138】
(実施例20)
【化36】

【0139】
二口フラスコにN−(1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミド0.142g(1.0mmol)、フェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド4.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRによりN−(5−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミドの生成を確認した(生成率53%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりN−(5−トリフルオロメチル−1,3−チアゾール−2−イル)アセトアミドを白色固体として得た(0.100g、収率48%)。
【0140】
H−NMR(重クロロホルム):δ2.38(s,3H),7.75(s,1H),11.76(brs,1H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ23.1,120.9(q,JCF=38.2Hz),122.3(q,JCF=268.5Hz),137.7(q,JCF=4.5Hz),162.2,168.3.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−54.8.
MS(m/z):210[M]
【0141】
(実施例21)
【化37】

【0142】
二口フラスコに2,4−ジフェニルオキサゾール0.221g(1.0mmol)、フェロセン0.056g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより2,4−ジフェニル−5−トリフルオロメチルオキサゾールの生成を確認した(生成率80%)。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2,4−ジフェニル−5−トリフルオロメチルオキサゾールを淡黄色固体として得た(0.176g、収率61%)。
【0143】
H−NMR(重クロロホルム):δ7.43−7.57(m,6H),7.75−7.80(m,2H),8.13−8.18(m,2H).
13C−NMR(重クロロホルム):δ119.8(q,JCF=267.8Hz),126.1,127.1,128.5(q,JCF=1.6Hz),128.6,129.0,129.4,129.6,131.6,133.5(q,JCF=42.7Hz),142.5,(q,JCF=2.5Hz)161.7.
19F−NMR(重クロロホルム):δ−60.4.
MS(m/z):289[M]
【0144】
(実施例22)
【化38】

【0145】
二口フラスコに5−メチル−4−ピラゾリン−3−オン(5−ヒドロキシ−3−メチルピラゾール)0.098g(1.0mmol)、鉄粉末0.016g(0.3mmol)を量り取り、容器内をアルゴンで置換した。ジメチルスルホキシド2.0mL、硫酸の1Nジメチルスルホキシド溶液2.0mL、ヨウ化トリフルオロメチルの3.0mol/Lジメチルスルホキシド溶液1.0mLおよび30%過酸化水素水0.2mLを加えた。40〜50℃で20分撹拌した後、反応容器を室温まで冷却した。2,2,2−トリフルオロメタノールを内部標準とした19F−NMRにより5−メチル−4−トリフルオロメチル−4−ピラゾリン−3−オン(5−ヒドロキシ−3−メチル−4−トリフルオロメチルピラゾール)の生成を確認した(生成率38%)。反応液を水中に注いで反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。濃縮して得られた固体を酢酸エチルで洗浄することで、3−メチル−3−ピラゾリン−4−トリフルオロメチル−5−オンを淡黄色固体として得た(0.030g、収率18%)。
【0146】
H−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ2.23(q,JHF=1.2Hz,3H),10.43(brs,1H),12.05(brs,1H).
13C−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ10.8,92.8(q,JCF=36.0Hz),124.2(q,JCF=265.0Hz),140.0,158.7.
19F−NMR(重ジメチルスルホキシド):δ−54.1.
MS(m/z):166[M]
【0147】
本発明によれば、医農薬、電子材料およびそれらの合成中間体として有用なパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物を高収率で得る製造方法を提供することができ、この製造方法は工業的に有効に利用されうるものである。また、本発明の複素環化合物製造方法によりパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明により得られるパーフルオロアルキル基を有する複素環化合物は、医農薬、電子材料、および、それらの合成中間体として有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。]で表される複素環化合物を、
一般式(2) R1aS(=O)R1b (2)
[式中、R1aおよびR1bは、炭素数1から12のアルキル基または置換されていても良いフェニル基を示す。]で表されるスルホキシド類、過酸化物、および、鉄化合物の存在下に、一般式(3) Rf−X (3)
[式中、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示し、Xは、ハロゲン原子を示す。]で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることを特徴とする、パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物の製造方法。
【請求項2】
前記パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であることを特徴とする請求項1に記載の複素環化合物の製造方法。
【化2】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項3】
前記一般式(1)で表される複素環化合物を、前記一般式(2)で表されるスルホキシド類、前記過酸化物、および、前記鉄化合物に、更に酸を存在させた状態で、前記一般式(3)で表されるハロゲン化パーフルオロアルキル類と反応させることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項4】
Rfがトリフルオロメチル基またはパーフルオロエチル基であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項5】
Xがヨウ素原子または臭素原子であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項6】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(II)アンモニウム、テトラフルオロホウ酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、酢酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、ビスアセチルアセトナト鉄(II)、フェロセン、ビス(η−ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、または、鉄粉であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項7】
鉄化合物が、硫酸鉄(II)、フェロセンまたは鉄粉であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
過酸化物が、過酸化水素、過酸化水素−尿素複合体、tert−ブチルペルオキシドまたは過酢酸であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項9】
過酸化物が、過酸化水素であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項10】
酸が、硫酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項11】
酸が、硫酸であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項12】
1aおよびR1bが、それぞれメチル基であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項13】
反応温度が20℃以上、100℃以下の範囲から選ばれた温度であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項14】
反応圧力が大気圧(0.1MPa)以上、1.0MPa以下の範囲から選ばれた圧力である請求項1から13のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項15】
一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよい窒素原子であり、Yが窒素原子であることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項16】
一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換された窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニル基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項17】
一般式(1)におけるYが酸素原子であることを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項18】
一般式(1)におけるYが酸素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項19】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であることを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項20】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項21】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項22】
一般式(1)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、YおよびYが無置換の炭素原子であることを特徴とする請求項1から22のいずれかに1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項23】
一般式(1)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い炭素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の複素環化合物の製造方法。
【請求項24】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、かつ、一般式(4)において、Y、Y、Y、および、Yの少なくとも1つがパーフルオロメチル基であることを特徴とする、パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物。
【化3】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項25】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、かつ、一般式(4)において、Yが炭素数1から4のアルキル基で置換された窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニル基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基であることを特徴とする複素環化合物。
【化4】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項26】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)において、Yが酸素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする複素環化合物。
【化5】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項27】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)において、Yがイオウ原子であり、Yが置換されていても良いアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする複素環化合物。
【化6】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項28】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYがイオウ原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする複素環化合物。
【化7】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項29】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYがイオウ原子であり、Yが置換されていても良い炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基で置換された炭素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが無置換の炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であることを特徴とする複素環化合物。
【化8】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]
【請求項30】
パーフルオロアルキル基を有する複素環化合物が、下記一般式(4)で表される複素環化合物であり、一般式(4)におけるYが炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子であり、Yが窒素原子であり、Yが置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが炭素数1から6のパーフルオロアルキル基で置換された炭素原子であり、Yが水酸基で置換された炭素原子であることを特徴とする複素環化合物。
【化9】


[式中、Yは、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、炭素数1から4のアルキル基で置換されていても良い窒素原子を示す。Y、Y、YおよびYは各々独立に、窒素原子、または、置換されていても良い炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアシル基、炭素数2から5のアルコキシカルボニル基、炭素数2から4のアルケニル基、炭素数2から4のアルキニル基、炭素数1から4のアルキルオキシ基、炭素数2から4のアルキニルオキシ基、炭素数2から4のアルケニルオキシ基、炭素数1から4のアルキルチオ基、炭素数2から5のアルキルカルボニルアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、フェニル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基あるいは水酸基で置換されていても良い炭素原子を示し、隣接した炭素原子上の置換基は一体となって環を形成しても良い。ただし、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは無置換の炭素原子である。また、Rfは、炭素数1から6のパーフルオロアルキル基を示す。]

【公開番号】特開2008−239572(P2008−239572A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84781(P2007−84781)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【出願人】(591180358)東ソ−・エフテック株式会社 (91)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】