説明

パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランおよびアルコキシシランを有するコーティング組成物

硬い表面および柔らかい表面などの基材を処理して表面を撥水撥油性ならびに耐汚染性および耐埃性にするためのコーティング組成物が記載されている。記載された組成物は有機溶媒中に3成分系を含み、こうした成分は、加水分解性パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランおよび任意に反応性官能基を含むアルコキシシランなどの非弗素化成分を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬い表面および柔らかい表面などの基材を処理して、これらの表面を撥水撥油性ならびに耐汚染性および耐埃性にするためのコーティング組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1官能性ポリエーテルシランおよびアルコキシシランを含有する特定のコーティング組成物は、例えば、米国特許第4,687,707号明細書、国際公開第99/03941号パンフレット、米国特許第5,739,369号明細書、米国特許第5,919,886号明細書、米国特許第5,306,758号明細書および米国特許第5,922,787号明細書に記載されている。更に、2官能性パーフルオロポリエーテルシランおよびアルコキシシランを含有するコーティング組成物は国際公開第03/040247号パンフレットおよび国際公開第03/040209号パンフレットに記載されている。より最近では、1官能性および2官能性のパーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランを含有するコーティング組成物が米国特許出願第10/657644号明細書に記載された。当業界で知られている多くの弗素化シラン組成物にもかかわらず、硬い表面および柔らかい表面を有する基材の処理のために改善された組成物を提供することがなお必要とされ続けている。撥水撥油性ならびに耐汚染性、耐埃性ならび耐ダスト性などの特性の所望の改善は、例えば、セラミック、ガラス、石、プラスチックまたは金属上の硬い表面上で必要とされている。これらの改善された特性は、テホスタイル、カーペットおよびレザーなどの柔らかい表面上でも必要とされる。改善された機械的耐磨耗性を含むコーティングの耐久性を改善することが特に必要とされ続けている。特にアルカリ製品または酸性製品にさらされた時にコーティングが優れた耐薬品性を示すことも望まれる。更に、より少ない洗剤、水、手作業を用いつつこうした基材の洗浄の容易さを改善することは最終消費者によって望まれるのみでなく、環境に良い影響も及ぼす。更に、環境に好ましくない成分のない組成物を選択することは非常に望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、特にアルカリ製品に対する優れた機械的耐磨耗性および耐薬品性と合わせて基材上の耐汚染性および耐埃性に加えて改善された撥水撥油性を提供する、1官能性および2官能性のパーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランおよびアルコキシシランを含む新規コーティング組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明の一態様は、(a)(i)式
(T’k’−Q’)y−Rf−Q−Tk(I)
(式中、Rfは1価または2価のポリフルオロポリエーテル基であり、QおよびQ’は独立して化学結合、2価有機連結基または3価有機連結基であり、TおよびT’はそれぞれ独立して−NCOまたはイソシアネート反応性基を表し、k’は0〜約10の整数であり、kは1〜約10の整数であり、yは0または1である)
の弗素化ポリエーテル化合物と、
(ii)式
T”−Q”−SiY3-xx(II)
(式中、T”は−NCOまたはイソシアネート反応性基であり、Q”は有機2価連結基であり、Rは炭素原子1〜4のアルキル基であり、Yは加水分解性基であり、xは0、1または2であり、T、T’またはT”の少なくとも1つは−NCOである)
のシラン化合物と
の反応生成物を含む加水分解性パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランまたはその混合物、(b)周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、少なくとも2個の加水分解性基を有する化合物および(c)任意に、周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、2個または3個の加水分解性基、C3〜C20炭化水素基、反応性官能基またはそれらの混合物を有する化合物の混合物を含む組成物である。上の組成物は(d)有機溶媒を更に含有してもよい。
【0005】
更なる態様において、本発明は上で定義された組成物の部分縮合から誘導可能な組成物を提供する。本発明に関連する「部分縮合」および「部分縮合物」は、混合物中の加水分解性基の一部が、縮合反応のために利用できる加水分解可性基の実質的な量を残しつつ反応したことを意味する。部分縮合物は、加水分解性基の典型的には少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%が縮合反応のためにまだ利用できることを意味する。
【0006】
もう1つの態様において、本発明は上で定義された組成物の完全縮合から誘導可能な組成物を提供する。本発明に関連する「完全縮合」は、混合物中の加水分解性基の殆どまたは全部が反応したことを意味する。典型的には、完全縮合は、加水分解性基が殆どまたは全く縮合反応のために利用できないままであることを意味する。
【0007】
もう1つの態様において、本発明は、上で定義された組成物を含有する部分縮合物または完全縮合物を調製するための方法であって、水および酸または塩基などの触媒の存在下で有機溶媒中の組成物の成分を反応させることによる方法を提供する。
【0008】
なお更なる態様において、本発明は、基材を処理する方法であって、上で定義された組成物を前記基材の表面の少なくとも一部に被着させる工程を含む方法も提供する。好ましくは、基材上で得られた被膜は、選択された硬化触媒に応じて一般に約20℃〜300℃の温度で硬化される。基材は予熱して、被着された時に組成物の硬化を引き起こしてもよく、あるいは別法として加熱を基材上の組成物の塗布と同時にまたは後で行ってもよい。本発明のフルオロケミカル組成物は基材を処理するために用いることが可能であり、こうした基材を撥水撥油性にでき、および/または耐汚染性を基材に提供する。組成物は、織物、カーペット、レザー、マーモリウムおよびビニルなどの柔らかい基材上でも有用である。
【0009】
有利なことに、本発明の組成物は上で定義された組成物の濃縮溶液を希釈することにより調製される。例えば、有機溶媒中の弗素化ポリエーテルイソシアネート誘導シランおよびアルコキシシランの少なくとも10重量%の濃縮溶液は、前記溶液に追加の有機溶媒を添加して、0.01〜5.0重量%の弗素化ポリエーテルイソシアネート誘導シランを含有する溶液を調製することにより希釈される。
【0010】
有機溶媒を含有する溶液から上で定義された組成物を被着させる時、特に9を上回るpHを有する種々の洗浄組成物に供する時、優れた耐摩耗性および耐薬品性ならびに非常に良好な易洗浄性を有する撥水撥油被膜を得ることが可能であることが見出された。更に、組成物は処理されるべき基材上にうまく広がり、その結果は処理済み基材の全表面にわたって均一な特性を達成することが可能なことである。
【0011】
本発明に関連する「溶液」という用語は、組成物が安定である、すなわち、少なくとも組成物を調製するとともに組成物を基材に被着させるのに必要な時間の量にわたり沈殿が起きないことを意味する。一般に、これは、組成物が少なくとも1時間にわたり安定であるべきであることを意味する。本発明の組成物は、一般に約1日またはいっそうより長く安定性を有することが見出された。
【0012】
「イソシアネート反応性基」という用語は、イソシアネート基と反応する官能基として定義される。限定することを意図していないけれども、イソシアネート反応性基の幾つかの例は、(i)ウレタンをもたらすアルコール、(ii)ウレアをもたらすアミン、(iii)チオカルバメートをもたらすチオールおよび(iv)無水カルボン酸またはアミドをもたらすカルボン酸などである。例えば−CO23(式中、R3は水素またはヒドロキシアルキルである)、−C(O)N(R1)(R2)(式中、R1およびR2は独立して水素、ヒドロキシアルキルまたはポリアルキレンポリアミンである)、−OH、−SHおよびNHR’(R’は上で定義された通りである)はイソシアネート反応性基として特に有用である。
【0013】
本発明に関連する「加水分解性基」という用語は、適切な条件下で縮合反応を受けることが直接できる基か、または適切な条件下で加水分解でき、よって縮合反応を受けることができる化合物をもたらす基のいずれかを意味する。適切な条件は、任意に縮合触媒の存在下での酸性水性条件または塩基性水性条件を含む。
【0014】
従って、本発明で用いられる「非加水分解性基」という用語は、適切な条件下で縮合反応を直接受けることができない基か、または加水分解性基を加水分解するために上で記載された条件下で加水分解することができない基のいずれかを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のコーティング組成物は、有機溶媒中の3成分の混合物、部分縮合物または完全縮合物である。
【0016】
第1の成分である成分(a)は、(i)式
(T’k’−Q’)y−Rf−Q−Tk(I)
の弗素化ポリエーテル化合物と、
(ii)式
T”−Q”−SiY3-xx(II)
のシラン化合物と
の反応生成物である少なくとも1種の加水分解性パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランである。
成分(b)は、周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、少なくとも2個の加水分解性基を有する化合物である。
成分(c)は、周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、2個または3個の加水分解性基、C3〜C20炭化水素基または反応性官能基を有する化合物である。
【0017】
成分(a)の式Iにおいて、上の式I中の1価または2価のポリフルオロポリエーテル基Rfは、飽和されていても、または飽和されていなくてもよい直鎖、分岐および/または環式の構造を含むことが可能である。それは過弗素化基である(すなわち、すべてのC−H結合がC−F結合によって置換されている)。一実施形態において、過弗素化ポリエーテル基は、式
−((Rf3q’−Rf2−O)z’−Rf1−(O−Rf2−(Rf3qz−(III)
(式中、Rf1は過弗素化アルキル基または過弗素化アルキレン基であり、Rf2は、1、2、3または4個の炭素原子を有する過弗素化アルキレンオキシ基または前記過弗素化アルキレンオキシ基の混合物からなる過弗素化ポリアルキレンオキシ基であり、Rf3は過弗素化アルキレン基または置換過弗素化アルキル基であり、qおよびq’は独立して0または1から選択され、zは4〜30であり、z’は0〜30である)
に対応する。式(III)中の過弗素化アルキル基または過弗素化アルキレン基Rf1は、直鎖、分岐または環式であってもよく、N、OまたはSなどのカテナリーヘテロ原子を含んでもよく、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含んでもよい。Rf2およびRf3は過弗素化反復単位およびそれらの組み合わせである。例えば、Rf3は−(Cn2n)−または−(CF(Z))−である。Rf2は、例えば、−(Cn2nO)−、−(CF(Z)O)−、−(CF(Z)Cn2nO)−、−(Cn2nCF(Z)O)−、−(CF2CF(Z)O)−およびそれらの組み合わせなどの過弗素化反復単位を含む。これらの反復単位において、Zは弗素原子、パーフルオロアルキル基、置換パーフルオロアルキル基、酸素置換パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基または酸素置換パーフルオロアルコキシ基である。それらのすべては、直鎖、分岐または環式であることが可能であり、好ましくは約1〜約9の炭素原子および0個から約4個の酸素原子を有する。これらの反復単位から構成される高分子部分を含むポリフルオロポリエーテルの例は米国特許第5,306,758号明細書で開示されている。
【0018】
2価パーフルオロポリエーテル基の典型的な近似平均構造には、−CF2O(CF2O)m(C24O)pCF2−(式中、mおよびpが同時に0でないことを条件として、mおよびpに関する平均値は0〜50である)、−CF(CF3)O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−、−CF2O(C24O)pCF2−および−(CF23O(C48O)p(CF23−(式中、pに関する平均値は3〜50である)が挙げられる。これらの内、特に好ましい近似平均構造は、−CF2O(CF2O)m(C24O)pCF2−、−CF2O(C24O)pCF2−および−CF(CF3)(OCF2(CF3)CF)pO(CF2mO(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−である。
【0019】
1価パーフルオロポリエーテル基Rfに関する典型的な近似平均構造には、CF3CF2O(CF2O)m(C24O)pCF2−、CF3CF2O(C24O)pCF2−、CF3CF2CF2O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−またはそれらの組み合わせが挙げられる。式中、mおよびpに関する平均値は0〜50であり、mおよびpは独立して0ではない。
【0020】
合成された時、これらの化合物は、典型的にはポリマーの混合物を含む。近似平均構造はポリマーの混合物の近似平均である。
【0021】
連結基Q、Q’および/またはQ”の例には、置換されたアルキレン基、オキシ基、チオ基および/またはカルボニル基であってもよい、O、NまたはSによって割り込まれていてもよい芳香族基または脂肪族基を含む有機基が挙げられる。QおよびQ’はそれぞれ独立して例えば上述したような化学結合あるいは有機2価または3価連結基である。式Iの化合物において、kは少なくとも1であり、TおよびT’は上述した通りであり、各TまたはT’は独立して選択してもよく、yは0または1である。特定の実施形態によると、部分−Tまたは−T’は式−CO−N(R1)(R2)(式中、R1は、例えば、−CH2CH2OH、−CH2CH2NHCH2CH2NH2または−CH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2NH2であり、R2は例えば水素またはR1である)の部分である。
【0022】
上の式IIにおいて、T”は上のTについて定義された通りの基である。一実施形態において、T”は少なくとも1個の−NCO基を含む。T”が−NCO基ではない時、Tは少なくとも1個の−NCO基を含む。
【0023】
上の式(II)中の2価連結基Q”は、飽和されていても、または飽和されていなくてもよい直鎖、分岐または環式の構造を含むことが可能である。基Q”は、1個以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素または硫黄)または官能基(例えば、カルボニル、アミド、ウレタニレンまたはスルホンアミド)を含むことが可能である。それは、ハロゲン原子、好ましくは弗素原子で置換されることも可能である。但し、これはより好ましくない。これが化合物の不安定性につながりかねないからである。好ましくは、2価連結基Q”は、ヘテロ原子または官能基を任意に含む炭化水素基、好ましくは直鎖炭化水素基である。Q”基の例には、−CH2O(CH23−、−CH2OC(O)N(R)(CH23−(式中、RはHまたはより低級のアルキル基である)、−(Cn2n)−N(H)−C(O)O− および−(Cn2n)−(式中、nは約2〜約6である)が挙げられる。好ましい連結基Q”は−CH2CH2CH2−である。
【0024】
Yは、例えば、ハロゲン化物、C1〜C4アルコキシ基、アシルオキシ基または米国特許第5,274,159号明細書で開示されたポリオキシエチレン基などのポリオキシアルキレン基などの式(II)における加水分解性基を表す。加水分解性基の特定の例には、メトキシ、エトキシおよびプロポキシ基が挙げられる。Rは、独立して例えばメチル基およびエチル基などのC1〜C4アルキル基を表す。
【0025】
本発明の基材を処理するための組成物のために適する式Iの化合物は、少なくとも約200、好ましくは少なくとも約800の平均分子量(重量平均)を有する。好ましくは、化合物は約10000を上回らない。
【0026】
イソシアネート誘導弗素化シランのために上で例示したmおよびpの値は異なることが可能である。典型的には、mの平均値は約1〜約50の範囲内であり、pの平均値は約4〜約40の範囲内である。これらがオリゴマー材料または高分子材料であるので、こうした化合物は合成すると混合物として存在し、それらは用いるために適する。これらの混合物は、それらの合成に際して用いられた方法の結果として官能基(不活性流体)がないか、または2個を上回る末端基(分岐構造)を有するパーフルオロポリエーテル鎖も含んでよい。典型的には、約10重量%未満の非官能化ポリマー(例えば、ウレタンシラン基のないポリマー)を含むオリゴマー材料または高分子材料の混合物を用いることが可能である。更に、式Iの個々に記載された化合物のいずれかの混合物を用いることが可能である。
【0027】
特定の例として、フルオロケミカル組成物の弗素化化合物を製造するためのイソシアネート成分は、上で定義された式(O)CN−Q”−SiY3-x1xまたは上で定義された(T’k’−Q’)y−RfQ−Tkである。式中、Tは1〜3個のイソシアネート、(O)CN基を含む。
【0028】
イソシアネート化合物は脂肪族または芳香族であってもよく、便利には非弗素化化合物である。一般に、ポリイソシアネート化合物の分子量は1500g/モル以下である。例には、例えば、ステアリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび1,2−エチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの環式トリマーおよびイソホロンジイソシアネートの環式トリマー(イソシアヌレート)、4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート、4,6−ジ−(トリフルオロメチル)−1,3−ベンゼンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、o−、m−およびp−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエーテル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,5’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジベンジル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、2,2’−ジクロロ−5,5’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジフェニル、1,3−ジイソシアナトベンゼン、1,2−ナフチレンジイソシアネート、4−クロロ−1,2−ナフチレンジイソシアネート、1,3−ナフチレンジイソシアネートおよび1,8−ジニトロ−2,7−ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。弗素化化合物を調製するために用いることができるなお更なるイソシアネートには、イソホロンジイソシアネート(IPID)などの環式ジイソシアネートが挙げられる。「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)TTとしてバイエル(Bayer)から入手できるものなどのアゼテジンジオン含有ジイソシアネートなどの内部イソシアネート誘導部分を含むイソシアネートも有用である。「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)L、「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)Nおよび「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)Wとしてバイエル(Bayer)から入手できるものなどの他のジイソシアネートまたはトリイソシアネート、トリ−(4−イソシアナトフェニル)メタン(「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)Rとしてバイエル(Bayer)から入手できる)およびDDI1410(ヘンケル(Henkel)から入手できる)も適する。ジイソシアネートは、弗素化部分(例えばポリエーテルジアルコール)または適切なアルコキシシラン(例えば、アミノプロピルトリメトキシシランまたはアミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシランあるいはメルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトアルキルシランと最初に縮合させることが可能である)。
【0029】
パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランは標準技術を用いて調製することが可能である。一般に、式Iの1種以上の化合物は式IIの1種以上の化合物と反応する。例えば、市販されているパーフルオロポリエーテルジオールまたは容易に合成されたパーフルオロポリエーテルジオールは、実施例に記載されている既知の方法によって、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI))から市販されている3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネートなどのイソシアネートアルコキシシランと組み合わせることが可能である。こうした材料は、処理組成物中で用いる前に精製してもよいか、または精製する必要がない場合がある。
【0030】
あるいは、パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランは、最初に式Iの1種以上の化合物を多官能性イソシアネートと反応させ、その後、シラン官能基、例えば、アミノプロピルトリエトキシシランまたはメルカプトプロピルトリエトキシシランを含有する試薬による残留イソシアネート基の縮合によって合成することが可能である。
【0031】
式(I)による化合物は、例えば、パーフルオロポリエーテル弗素化カルボニルをもたらすヘキサフルオロプロピレンオキシドのオリゴマー化によって得ることが可能である。この弗素化カルボニルは、当業者に周知されている反応によって酸、酸塩、エステル、アミドまたはアルコールに転化してもよい。その後、弗素化カルボニルまたは弗素化カルボニルから誘導された酸、エステルまたはアルコールを更に反応させて、既知の手順により所望の反応性基を導入してもよい。例えば、EP870778号明細書には、所望の部分−Q−Tkを有する式(I)による化合物を製造するために適する方法が記載されている。上で記載された部分−CON(R1)(CH2nOHを有する化合物は、弗素化ポリエーテルのメチルエステル誘導体をアミノアルコールと反応させることにより得ることが可能である。例えば、2−アミノエタノールは部分−CONHCH2CH2OHを有する化合物をもたらす。同じ方式において、弗素化ポリエーテルのメチルエステルをジエチレントリアミンまたはトリエチレンテトラアミンと反応させて、それぞれ部分−CONHCH2CH2NHCH2CH2NH2および−CONHCH2CH2NHCH2CH2NH−CH2CH2NH2を形成してもよい。
【0032】
上の式(I)による化合物のなお更なる例はEP870,778号明細書または米国特許第3,536,710号明細書で開示されている。
【0033】
組成物の成分(b)は式(IV)(R’)qM(Y’)p-qによる化合物を含む。式中、R’は非加水分解性基を表し、Mは、好ましくはSi、Ti、Zr、B、Al、Ge、V、PおよびSnからなる群から選択された原子価p+qの元素を表し、pはMの原子価に応じて2、3または4であり、qは0、1または2であり、Y’は加水分解性基を表す。
【0034】
成分(b)中に存在する加水分解性基は同じかまたは異なってもよく、成分(b)が縮合反応を受けることができるように、適切な条件下、例えば酸性水性条件または塩基性水性条件下で一般に加水分解することができる。好ましくは、加水分解すると加水分解性基は、ヒドロキシル基などの縮合反応を受けることができる基をもたらす。
【0035】
加水分解性基の典型的で好ましい例には、成分(a)のYに関して記載された加水分解性基が挙げられる。好ましくは、成分(b)は、テトラアルコキシ、トリアルコキシまたはジアルコキシ(好ましくは1〜4個の炭素原子を含む)化合物を含む。
【0036】
非加水分解性基R’は同じかまたは異なってもよく、上に記載された条件下で一般に加水分解できない。例えば、非加水分解性基R’は、直鎖または分岐であってもよい炭化水素基、例えばC1〜C30アルキル基から独立して選択してもよく、1個以上の環式炭化水素構造、C6〜C30アリール基(ハロゲンおよびC1〜C4アルキル基から選択された1個以上の置換基によって任意に置換されたもの)またはC7〜C30アラルキル基を含んでもよい。
【0037】
一実施形態において、非加水分解性基R’は、炭化水素基、例えばC1〜C30アルキル基およびC6〜C20アリール基(ハロゲンおよびC1〜C4アルキル基から選択された1個以上の置換基によって任意に置換されたもの)から独立して選択される。もう1つの実施形態において、非加水分解性基R’は独立してC1〜C6アルキル基である。
【0038】
好ましい成分(b)には、MがTi、Zr、SiおよびAlである化合物が挙げられる。成分(b)の代表的な例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、テトラメチルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラ−n−プロピルオルトチタネート、テトラエチルジルコネート、テトライソプロピルジルコネートおよびテトラn−プロピルジルコネートなどが挙げられる。より好ましい化合物には、Si、TiおよびZrのC1〜C4アルコキシ誘導体が挙げられる。特に好ましい成分(b)には、テトラエトキシシランおよびメチルトリエトキシシランが挙げられる。成分(b)の単一化合物または混合物を用いてもよい。
【0039】
組成物中の成分(c)は、一実施形態において成分(b)に似ている化合物であって、式(V)
R”M(Y”)’3-x(V)
(式中、R”はC3〜C20炭化水素基であり、Mは上で定義された元素であり、好ましくは、Si、Ti、Zr、B、Al、Ge、V、Pb、SnおよびZnからなる群から選択され、Y”は加水分解性基であり、xは0または1である)
の化合物を含む。化合物(c)中の好ましい元素MはSiである。加水分解性基は成分(b)について上で定義されたものと同じである。
【0040】
炭化水素基は、直鎖または分岐であってもよいC3〜C20炭化水素基、例えばC3〜C30アルキル基であり、1個以上の環式炭化水素構造、C6〜C30アリール基(ハロゲンおよびC1〜C4アルキル基から選択された1個以上の置換基によって任意に置換されたもの)またはC7〜C30アラルキル基を含んでもよい。好ましい炭化水素基はC4〜C20アルキル基である。
【0041】
コーティングの耐久性を更に高めるために、成分(c)は、成分(a)および(b)からの追加の官能基を有する化合物から選択してもよい。例えば、成分(c)は、架橋反応に関わることができる分子当たり2個または3個の加水分解性基および少なくとも1個の反応性官能基を有する、上で定義された元素Mの化合物を含んでもよい。
【0042】
反応性官能基は、成分(a)、(b)および(c)から得ることが可能である重縮合製品に架橋性官能基を更に提供するための架橋反応に関わることができる基である。架橋反応は、例えば、照射、加熱またはそれらの組み合わせを含んでもよい。成分(c)が1個を上回る反応性官能基を含む場合、これらの基は同じかまたは異なってもよい。もちろん、ビニル、アクリレートまたはメタクリレート基などのラジカル重合性基は所望の反応性官能基である。
【0043】
好ましい架橋剤は、式(VI)
L−Q”−M(Y”)3-X(VI)
(式中、
Lは、縮合によって、あるいはアミノ基、エポキシ基、メルカプタンまたは酸無水物基のように付加反応によって、あるいはラジカル重合によって反応してもよい反応性官能基であり、
Y”およびMは式Vについて記載された通りであり、xは0または1である。好ましくは、MはSiであり、YはC1〜C4アルコキシ基である)
によって表すことができる。
【0044】
式VIに関して、Q”は、アルキレン(1〜10個、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む)、アリーレン(1個以上のC1〜C4アルキル基、ハロゲン原子またはそれらの混合物によって置換されていてもよい好ましくは6〜20個の炭素原子を含む)、式(−O−R−)n(式中、Rは独立して直鎖または分岐のより低級の2価アルキル基(好ましくは1〜6個の炭素原子を含む)であり、nは1〜20の整数である)のオキシアルキレン基である。
【0045】
反応性官能基Lが付加反応または縮合反応によって反応する基である式Vによる特に反応性の化合物には、エポキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−アミノプロピルトリメトキシシリル)アミンおよびアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0046】
あるいは、Lは、ラジカル重合を受けることができるエチレン系不飽和基を典型的に含むラジカル重合性基である反応性官能基であってもよい。適するラジカル重合性基Lには、例えば、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエステル、ビニルケトン、スチレン、ビニルアミド、アクリルアミド、マレエート、フマレート、アクリレートおよびメタクリレートから誘導された部分が挙げられる。これらの内、アクリレートおよびメタクリレートなどのα,β−不飽和酸のエステルおよびアミドは好ましい。
【0047】
Lがラジカル重合性基である場合、有機2価連結基Q”は、1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を含んでもよい。Q”は、酸素含有基、窒素含有基または硫黄含有基あるいはそれらの組み合わせを任意に含むことが可能である。適する連結基Q”の例には、直鎖、分岐鎖または環式のアルキレン(好ましくは2〜20個の炭素原子を含む)、アリーレン(好ましくは6〜20個の炭素原子を含む)、アラルキレン(好ましくは7〜20個の炭素原子を含む)、オキシアルキレン、カルボニルオキシアルキレン、オキシカルボキシアルキレン、カルボキシアミドアルキレン、ウレタニレンアルキレン、ウレイレンアルキレンおよびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
式VIのために好ましい連結基Q”は、アルキレン(好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個の炭素原子を含む)、オキシアルキレン(好ましくは2〜20個の炭素原子および1〜10個の酸素原子を含む)およびカルボニルオキシアルキレン(好ましくは3〜20個の炭素原子を含む)が挙げられる。
【0049】
Lがラジカル重合性基である式VIによる化合物の例には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン官能化アクリレートまたはメタクリレートが挙げられる。
【0050】
対応する重縮合物中のこうした反応性官能基、好ましくは反応性不飽和基の存在は、基材上に組成物を被覆した後、二重硬化、すなわち、ラジカル重合および(例えば、まだ存在する基M−OHから水を排除することによる)重縮合の熱的完了を通した不飽和有機ラジカルの熱または光化学誘導連結を行うことが可能であるので有利である。不飽和化合物を用いる場合、更に、触媒は適する基材上に被着させたコーティング組成物の熱および/または光化学誘導硬化のために典型的に存在するべきである。光重合開始剤の添加は特に好ましい。こうした開始剤は市販されており、開始剤には、例えば、チバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手できる「イルガキュア(Irgacure)」(登録商標)184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)、「イルガキュア(Irgacure)」(登録商標)500(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,ベンゾフェノン)および「イルガキュア(Irgacure)」(登録商標)型の他の光開始剤、メルク(Merck)から入手できる「ダロキュア(Darocur)」(登録商標)型光開始剤、ならびにベンゾフェノンが挙げられる。
【0051】
任意に用いられた熱開始剤の例は当業者に知られており、熱開始剤には、中でも、ジアシルペルオキシドの形を取った有機過酸化物、ペルオキシジカーボネート、アルキルペルエステル、ジアルキルペルオキシド、ペルケタール、ケトンペルオキシドおよびアルキルヒドロペルオキシドが挙げられる。こうした熱開始剤の特定の例は、過酸化ジベンゾイル、t−ブチルペルベンゾエートおよびアゾビスイソブチロニトリルである。これらの開始剤は、当業者に知られている量でコーティング組成物に添加される。典型的には、開始剤は、式IVによる化合物を基準にして0.1〜2重量%の間の量で添加される。
【0052】
組成物は、抗菌特性などの追加の特性をコーティングに提供する添加剤を更に含有してもよい。例は[C1837N (CH32(CH23Si(OCH33+]Cl-を含む。しかし、成分中に存在するイオン非加水分解性基の添加は、組成物の撥水性の特性に悪影響を及ぼさないために好ましくは約10重量%より低く保たれる。
【0053】
本発明の組成物は3つの異なる成分および有機溶媒を含む。典型的には、成分(a)は約0.1重量%〜50重量%の間の量で存在し、成分(b)は約30重量%〜99.9重量%の間の量で存在し、成分(c)は約0重量%〜約20重量%の間の量で存在する。重量%は組成物の全重量を基準にしている。
【0054】
成分(a)、(b)を成分(c)と反応させる利点が組成物の広範囲にわたって広がる一方で、良好な初期撥液性はの比較的低いレベルにもかかわらずコーティングについて達成される。従って、本発明の好ましい実施形態は、0.5〜20重量%で比較的高価なパーフルオロポリエーテルイソシアネートシランを用い、よって他の弗素化コーティングに比べて本発明の組成物に経済的な利点を与える。更に、0.5〜20重量%の成分(a)の組成物は、被覆された表面の磨耗後に撥液性を維持する際に全く驚くべきことにより耐久性である。
【0055】
一実施形態において、成分(a)、(b)および(c)を含む組成物、十分な溶媒、水および酸触媒または塩基触媒は組み合わせてもよく、適する基材上に被覆してもよい。こうしたコーティングをコーティング調製の直後に基材に被着させる時、成分(a)、(b)および任意に(c)は、一般に縮合反応を受けないか、または縮合が起きた場合、縮合の量は低い。一般に、被覆の前に起きる縮合の量は、成分(a)、(b)および(c)の濃度および性質、コーティング組成物の調製と基材の被覆との間の温度および時間に応じて異なる。一般に、コーティング組成物は、0.01重量%〜5重量%の量でそれぞれ成分(a)、(b)および(c)を含有し、コーティングは、コーティング調製から典型的には約3〜8時間内に被着される。しかし、本発明は部分縮合物が形成されるコーティング組成物の可能性を排除しない。典型的には、部分縮合物を含む組成物は、前述したコーティング組成物が被覆の前の数時間、例えば1時間を上回る時間にわたって残される時に生じてもよい。しかしながら、コーティング組成物は、縮合反応が完了に向けて進む前に基材に被着させるべきである。
【0056】
水の量は、全組成物の好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。水に加えて、有機または無機の酸触媒または塩基触媒は好ましくはコーティング組成物中で用いるべきである。
【0057】
有機酸触媒には、酢酸、クエン酸、蟻酸、トリフル酸およびパーフルオロ酪酸などが挙げられる。無機酸の例には、硫酸および塩酸などが挙げられる。有用な塩基触媒の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびトリエチルアミンが挙げられる。有機金属触媒も用いることが可能である。例はジブチル錫ジラウレートおよび錫ジ(2−エチルヘキサノエート)である。触媒は、全組成物の一般には約0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%で用いられる。
【0058】
本発明の組成物は、典型的には1種以上の有機溶媒を含む。用いられる有機溶媒または有機溶媒のブレンドは、成分(a)、(b)および(c)と(a)、(b)および(c)の部分縮合または完全縮合の結果として生じうるあらゆる部分縮合物または完全縮合物との混合物を溶解させることができなければならない。好ましくは、用いられる有機溶媒または有機溶媒のブレンドは、成分(a)、(b)、(c)および/またはその部分縮合物または完全縮合物の少なくとも0.01%を溶解させることができなければならない。更に、溶媒または溶媒の混合物は、好ましくは、少なくとも0.1重量%、好ましくは1重量%の水に対する溶解度および少なくとも0.01重量%、好ましくは0.1重量%の酸触媒または塩基触媒に対する溶解度を有する。有機溶媒または有機溶媒の混合物がこれらの基準を満たさない場合、弗素化重縮合物、溶媒、水および触媒の均質混合物を得ることが可能でない場合がある。
【0059】
適する有機溶媒または溶媒の混合物は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの脂肪族アルコール(好ましくは1〜6個の炭素原子を含む)、アセトンまたはメチルエチルケトンなどのケトン、酢酸エチル、蟻酸メチルなどのエステルおよびジエチルエーテルなどのエーテルから選択することが可能である。特に好ましい溶媒には、エタノール、イソプロパノールおよびアセトンが挙げられる。
【0060】
出発化合物および/または部分縮合物または完全縮合物の溶解度を改善するために弗素化溶媒を有機溶媒と組み合わせて用いてもよい。こうした弗素化溶媒は、CF3CH2OHなどの親水性基を更に含まないかぎり、水および酸または塩基に対する溶解度の要件を一般に満たさないのでそれだけで用いるために一般に適さない。
【0061】
弗素化溶媒の例には、スリーエム(3M)から入手できるパーフルオロヘキサンまたはパーフルオロオクタンなどの弗素化炭化水素、ソルベイ(Solvay)から入手できるペンタフルオロブタンなどの部分弗素化炭化水素、またはデュポン(DuPont)から入手できるCF3CFHCFHCF2CF3、スリーエム(3M)から入手できるメチルパーフルオロブチルエーテルまたはエチルパーフルオロブチルエーテルなどのヒドロフルオロエーテルが挙げられる。これらの材料と有機溶媒のブレンドを用いることが可能である。
【0062】
成分(a)、(b)および(c)および/またはその部分縮合物または完全縮合物を含有する組成物は、撥水撥油性である被膜をもたらすのに一般に十分な量で基材に被着される。この被膜は極めて薄い、例えば1〜50分子層である。但し、実際には、有用な被膜はより厚い場合がある。
【0063】
本発明の組成物で特に有効なやり方で処理することが可能である適する基材には、成分(a)、(b)および(c)および/またはその部分縮合物または完全縮合物と反応できる基を好ましくは有する硬い表面を有する基材が挙げられる。特に好ましい基材には、セラミック、ガラス、金属、天然石および人工石、熱可塑性材料(ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマーなどのスチレンコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなど)、ペンキ(アクリル樹脂に関するペンキなど)、粉末コーティング(ポリウレタンまたは混成粉末コーティングなど)、イノックス、クロム化スチール、マルモレウム、ビニルおよび木材が挙げられる。種々の物品は、撥水撥油性被膜を物品上に提供するために本発明のフルオロケミカル溶液で有効に処理することが可能である。例には、セラミックタイル、バスタブまたはトイレット、ガラスシャワーパネル、建築ガラス、車両の種々の部品(ミラーまたはウィンドスクリーンなど)、ガラスおよびセラミック陶磁器材料またはエナメル陶磁器材料が挙げられる。
【0064】
基材の処理は、処理された表面の撥水撥油性のゆえに処理された表面をより低い汚れ保持性およびより容易な洗浄性にするという結果になる。本発明の組成物を通して得ることができるような処理された表面の耐久性の高い度合のゆえに、これらの望ましい特性は長い暴露または使用および繰り返し洗浄にもかかわらす維持される。
【0065】
基材の処理を行うために、上で開示された組成物は基材に被着させる。基材上に被覆されるべき成分(a)、(b)、(c)および/またはその部分縮合物または完全縮合物の量は、撥水撥油性である被膜をもたらすのに一般に十分な量である。ここで、前記被膜は、被膜の乾燥および硬化後に測定して、少なくとも80°の蒸留水との接触角および少なくとも40°のn−ヘキサデカンとの接触角を20℃で有する。
【0066】
好ましくは、基材は、最適な特性、特に耐久性を得るために本発明の組成物を被着させる前に清浄であるべきである。すなわち、被覆されるべき基材の表面は被覆の前に有機汚染が実質的にあるべきでない。洗浄技術は基材のタイプに応じて異なり、例えば、アセトン洗浄溶液またはエタノール洗浄溶液あるいは水性洗剤洗浄溶液などの有機溶媒による溶媒洗浄工程を含む。
【0067】
コーティング組成物は、成分(a)、(b)、(c)および/または部分縮合物または完全縮合物の0.01〜5重量%、より好ましくは0.03〜3重量%、最も好ましくは0.05〜2重量%を含有する典型的には比較的希釈された溶液である。
【0068】
好ましい実施形態によると、基材への塗布のための組成物は、水が実質的にない有機溶媒中の成分(a)、(b)および(c)の溶液を含むコンセントレートを希釈することにより調製される。コンセントレートの希釈は、更なる有機溶媒をコンセントレートに添加することによって行ってもよい。混合物に水および任意に酸触媒または塩基触媒も添加されて、コーティング組成物を得る。好ましくは、コーティング組成物が調製されるコンセントレートは、互いに対する所望の重量比で成分(a)、(b)および(c)を含有する。この点で、均質コンセントレートはシリル基上の加水分解性基として炭素原子数2〜4のアルコキシ基を有する成分(a)により好ましくは調製されることが見出された。成分(b)対成分(a)の重量比が例えば1:1〜99:1、好ましくは6:1〜90:1であるコンセントレートの調製をこうした化合物がより容易に見込むことが見出された。高い重量比は、高いUV安定性が望まれる場合、すなわち被膜がUVおよび湿度にさらされる時に撥液性の特性をうまく維持することが望まれる場合に望ましい場合がある。他方、より低い重量比、例えば1:1〜6:1は、例えばガラス上に被覆する時のように被膜の透明性が重要である場合に望ましい場合がある。基材への被膜の追加の架橋を与える成分(c)は、全組成物の0〜20%のような少量で典型的に存在する。
【0069】
本発明の組成物を被着させるために、ブラシ掛け、スプレーイング、ディッピング、ローリングおよびスプレッディングなどの様々な被覆方法を用いることが可能である。本発明のコーティング組成物の塗布のために好ましい被覆方法はスプレー塗布を含む。エアレススプレー塗布は被膜の透明性が重要である場合に典型的に好ましい。被覆されるべき基材は、室温(典型的には約15℃〜約30℃)で処理用組成物に典型的に接触させることが可能である。あるいは、混合物は、例えば30℃〜150℃の温度で予熱されている基材に被着させることが可能である。これは、例えば生産ラインの終わりでベーキングオーブン直後にセラミックタイルを処理できる工業生産のために特に興味深い。塗布後、処理された基材は、周囲温度または高温、例えば40℃〜300℃で、乾燥させ硬化させるのに十分な時間にわたり乾燥させ硬化させることが可能である。本発明のコーティング組成物は、一般に組成物を高温に供する必要がない。従って、本発明に関連した撥液性および耐久性の被膜は、周囲温度で被覆し乾燥させると容易に得ることが可能である。あるいは、熱処理に加えて、コーティング組成物は、開始剤のそれぞれタイプおよび存在に応じて、それ自体知られている方式で照射(例えば、UV照射、レーザーなどの手段による)によって硬化させてもよい。このプロセスは過剰の材料を除去するための磨き仕上げ工程も必要とする場合がある。
【0070】
以下の実施例は、本発明を実施例に限定する意図なしに本発明を更に例示する。すべての部は特に指示がない限り重量による。
【実施例】
【0071】
【表1】

【0072】
磨耗/洗浄方法
磨耗試験は、「エリクセン(Erichsen)」洗浄機(ベルギー国のDCIから入手できる)、「スリーエム(3M)」(登録商標)「ハイパフォーマンス(HIGH PERFORMANCE)」(登録商標)布地(ミネソタ州セントポールのスリーエム(3M(St.Paul,MN))から入手できる)および40サイクルを用いるCIF(登録商標)クリームクリーナー(フランス国のレバー・ファベルジ(Lever Faberge)から入手できる)を用いて実行した。
【0073】
被覆方法
第1の工程において、基材(オランダ国のスフィンクス(Sphinx)から入手できる白色衛生タイル)を洗浄し、アセトンで脱脂した。洗浄後、それぞれの実施例において与えられた溶媒混合物中の弗素化ポリエーテルシランを約20ml/分でスプレー塗布により基材上に被着させた。基材を被覆前に室温で保った。あるいは、基材を被覆前に予熱した。被覆されたサンプルを室温で乾燥させるか、または120℃で30分にわたり強制空気炉で乾燥させた。その後、乾燥布地を用いて過剰の製品を除去した。
【0074】
接触角の測定
「オリンパス(Olimpus)」TGHM角度計(フロリダ州ポンパノビーチのオリンパス・コーポレーション(Olympus Corp.(Pompano Beach,FL)))を用いて、処理された基材の水(W)およびn−ヘキサデカン(O)に対する接触角を試験した。特に指示がない限り、磨耗前(初期)および磨耗後(磨耗)に接触角を測定した。塗布または磨耗から少なくとも24時間後に水とヘキサデカンとの接触角を測定した。値は4測定の平均値であり、度で報告している。接触角に関する最小測定可能値は20であった。20未満の値は液体が表面上に広がることを意味する。
【0075】
調製1:HFPO/弗化スクシニルオリゴマーエステル(HFPO−SF)
米国特許第4,647,413号明細書の実施例1および9により本質的に調製することが可能である。
【0076】
調製2:HFPO−オリゴマーエステル/APD/NCO−シラン;1/1/2
スターラー、加熱マントル、温度計およびコンデンサが装着された100mL三口丸底フラスコにHFPO−オリゴマージエステル(12.3g、0.01モル)およびAPD(0.9g、0.01モル)を投入した。反応を窒素下で行った。混合物の温度を40℃に上げ、16時間にわたり保持した。その後、NCO−シラン(5.0g、0.02モル)をTEH1滴(約0.05g)に加えて添加し、得られた混合物を80℃で一晩加熱した。標準IR技術を用いて反応の残留イソシアネートを検査した。粘性の液体を得た。この粘性液を酢酸エチル中で固形物50%に希釈した。
【0077】
調製3:HFPO−オリゴマーエステル/TETA/NCO−シラン;1/1/3
スターラー、加熱マントル、温度計およびコンデンサが装着された100mL三口丸底フラスコにHFPO−オリゴマーエステル(12.3g、0.01モル)およびTETA(1.5g、0.01モル)を投入した。反応を窒素下で行った。混合物の温度を40℃に上げ、4時間にわたり保持した。その後、NCO−シラン(7.4g、0.03モル)を添加し、得られた混合物を40℃で一晩加熱した。標準IR技術を用いて反応の残留イソシアネートを検査した。粘性の液体を得た。この粘性液を酢酸エチル中で固形物50%に希釈した。
【0078】
調製4:TEOS入りのHFPO−オリゴマーエステル/APD/NCO−シラン=1/1/2縮合物
スターラー、コンデンサおよび温度計が装着された100mL三口丸底フラスコにTEOS(18.0g)、20gのエタノール、調製2で製造されたHFPO−オリゴマーエステル/APD/NCO−シラン;1/1/2(4.0g、酢酸エチル中の50%)、水(1.0g)およびHCl(1.0g、37%水性)を投入した。得られた混合物を室温で16時間にわたり攪拌し、若干曇った溶液をもたらした。
【0079】
調製5:HFPO−SF/APD/NCO−シラン;1/2/4
HFPO−オリゴマーエステルを調製1に記載されたHFPO−SFジエステルの等モル量および適切な量の他の材料により置き換え、調製2に記載された手順に従って、1/2/4モル比を達成した。
【0080】
調製6:HFPO−オリゴマーエステル/APD/NCO−シラン/TEGME;1/1/2/6;TEGMEによるアルコキシ交換
残留イソシアネートを検査後に、TEGME(0.06モル、9.9g)を反応混合物に添加し、ディーンスタークトラップを設置し、混合物を120℃で2時間および140℃で3時間にわたり加熱したことを除き、調製2に記載された手順に従った。透明で若干褐色の液体を得た。それを酢酸エチル中で50重量%に希釈した。
【0081】
調製7:HFPO−オリゴマーエステル/TETA/NCO−シラン/TEGME;1/1/3/9;TEGMEによるアルコキシ交換
残留イソシアネートを検査後に、TEGME(0.09モル、14.8g)を反応混合物に添加し、ディーンスタークトラップを設置し、混合物を120℃で2時間および140℃で3時間にわたり加熱したことを除き、調製3に記載された手順に従った。透明で若干褐色の液体を得た。それを酢酸エチル中で50重量%に希釈した。
【0082】
調製8:HFPO−オリゴマーエステル/アミノエタノール/「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)N−100/APTES;1/1/1/2
スターラー、コンデンサおよび温度計が装着された100ml三口丸底フラスコにHFPO−オリゴマーエステル(12.3g、0.01モル)およびアミノエタノール(0.7g、0.01モル)を投入した。混合物を窒素下で60℃で4時間にわたり反応させた。その後、「デスモジュール(DESMODUR)」(登録商標)N−100(3.3g、0.01モル)、酢酸エチル(30g)およびTEH1滴(約0.05g)を添加した。混合物を80℃で一晩窒素下で加熱した。得られた混合物を40℃に冷却し、APTES(3.5g、0.02モル)を添加し、40℃で4時間にわたり更に反応させた。反応の残留イソシアネートを検査した。粘性の液体を得た。
【0083】
実施例1〜8
調製4に記載された手順により表1の配合物を調製した。エタノール中で、且つ水と酸の存在下で、すべての成分を表1に記載された適切な比で混合し、その後、縮合させた。得られた反応混合物をエタノール中で0.1%フルオロケミカル固形物に希釈し、上で記載された被覆方法を用いて被着させた。
【0084】
【表2】

【0085】
実施例9
上述した被覆方法を用いる直前に添加剤を混合することにより表2の配合物を調製した。
【0086】
実施例10〜19ならびにC2およびC2
実施例9の手順に従い、表2に記載された成分および重量を用いて、更なる実施例を調製した。タイル上への塗布を実施例9によって行った。
【0087】
比較例C1
実施例9と同じ手順であったが、実施例C2事件整理番号第57230US002を用いた。
【0088】
比較例C2
実施例9と同じ手順であったが、国際公開第002/3848号パンフレットからの実施例50を用いた。
【0089】
【表3】

【0090】
【表4】

【0091】
表3に記載した接触角は、本発明の組成物が高い撥水撥油性を与えることを示している。更に、本発明の組成物は、高い機械的耐摩耗性および酸とアルカリへの特に良好な耐薬品性を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)式
(T’k’−Q’)y−Rf−Q−Tk(I)
(式中、Rfは1価または2価のポリフルオロポリエーテル基であり、QおよびQ’は独立して化学結合、2価有機連結基または3価有機連結基であり、TおよびT’はそれぞれ独立して−NCOまたはイソシアネート反応性基を表し、k’は0〜約10の整数であり、kは1〜約10の整数であり、yは0または1である)
の弗素化ポリエーテル化合物と、
(ii)式
T”−Q”−SiY3-xx(II)
(式中、T”は−NCOまたはイソシアネート反応性基であり、Q”は有機2価連結基であり、Rは炭素原子1〜4のアルキル基であり、Yは加水分解性基であり、xは0、1または2であり、T、T’またはT”の少なくとも1つは−NCOである)
のシラン化合物と
の反応生成物を含む加水分解性パーフルオロポリエーテルイソシアネート誘導シランまたはその混合物、
(b)周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、少なくとも2個の加水分解性基を有する化合物および
(c)任意に、周期律表の第III族〜第V族の元素Mの少なくとも1種の非弗素化化合物であって、2個または3個の加水分解性基、C3〜C20炭化水素基、反応性官能基またはそれらの混合物を有する化合物
の混合物を含む組成物。
【請求項2】
有機溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機溶媒は成分(a)の少なくとも0.01重量%を溶解させることができる溶媒を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機溶媒はアルコール、ケトン、エーテルまたはエステルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
成分(a)中の前記イソシアネート反応性基は−CO23(式中、R3は水素またはヒドロキシアルキル、−C(O)N(R1)(R2)であり、ここでR1およびR2は独立して水素、ヒドロキシアルキルまたはポリアルキレンポリアミンである)、−OH、−SHおよびNHRからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)中のRfは、式
−((Rf3q’−Rf2−O)z’−Rf1−(O−Rf2−(Rf3qz−(III)
(式中、Rf1は過弗素化アルキル基または過弗素化アルキレン基であり、Rf2は、1、2、3または4個の炭素原子を有する過弗素化アルキレンオキシ基または前記過弗素化アルキレンオキシ基の混合物からなる過弗素化ポリアルキレンオキシ基であり、Rf3は過弗素化アルキレン基または置換過弗素化アルキル基であり、qおよびq’は独立して0または1から選択され、zは4〜30であり、z’は0〜30である)
の基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
f2は、−(Cn2nO)−、−(CF(Z)O)−、−(Cn2nCF(Z)O)−および−(CF2CF(Z)O)−(式中、nは少なくとも1であり、Zは弗素原子、パーフルオロアルキル基、置換パーフルオロアルキル基、酸素置換パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基または酸素置換パーフルオロアルコキシ基である)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された反復単位を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
f3は、−(Cn2n)−および−(CF(Z))−(式中、nは少なくとも1であり、Zは弗素原子、パーフルオロアルキル基、置換パーフルオロアルキル基、酸素置換パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルコキシ基または酸素置換パーフルオロアルコキシ基である)ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択された反復単位を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
fは、−CF2O(CF2O)m(C24O)pCF2−、−CF2O(C24O)pCF2−、−CF(CF3)(OCF2(CF3)CF)pO(CF2mO(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−(式中、mおよびpに関する平均値は0〜50であり、mおよびpはそれぞれ独立して0ではない)またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
fは、CF3CF2O(CF2O)m−(C24O)pCF2−、CF3CF2CF2O(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−、CF3CF2O(C24O)pCF2−、CF3CF(CF3)O−(CF(CF3)CF2O)pCF(CF3)−(式中、mおよびpに関する平均値は0〜50であり、mおよびpはそれぞれ独立して0ではない)またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
Q、Q’およびQ”は独立して−(Cn2n)−(式中、nは2〜6である)であり、xは0であり、YはC1〜C4アルコキシ基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記成分(b)は式
(R’)qM(Y’)p-q
(式中、R’は非加水分解性基であり、Mは、Si、Ti、Zr、B、Al、Ge、V、Pb、SnおよびZnからなる群から選択された元素であり、pは2、3または4であり、qは0、1または2であり、Y’は加水分解性基である)
の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
MはSi、Al、TiまたはZrであり、R’はC1〜C6アルキル基であり、qは0または1であり、Y’はC1〜C4アルコキシ基である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
成分(c)は式
R”M(Y”)3-x
(式中、R”はC3〜C20炭化水素基であり、Mは、Si、Ti、Zr、B、Al、Ge、V、PbおよびSnからなる群から選択された元素であり、Y”は加水分解性基であり、xは0または1である)
の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
R”はC4〜C20アルキル基であり、MはSiである、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
成分(c)は式
L−Q”−M(Y”)3-x
(式中、Lはアミノ、エポキシ、メルカプタン、メタクリレートおよび酸無水物基から選択された反応性官能基であり、Q”は−(Cn2n)−(式中、nは2〜6である)であり、Mは、Si、Ti、Zr、B、Al、Ge、V、PbおよびSnからなる群から選択された元素であり、Y”は加水分解性基であり、xは0または1である)
の化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
MはSiであり、YはC1〜C4アルコキシ基である、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
成分の全重量を基準にして、成分(a)は1重量%〜50重量%の量で存在し、成分(b)は50重量%〜99重量%の量で存在し、成分(c)は0重量%〜20重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は成分(a)、(b)および(c)の部分縮合反応から誘導可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は成分(a)、(b)および(c)の完全縮合反応から誘導可能である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
部分縮合物または完全縮合物を調製する方法であって、水および酸触媒または塩基触媒の存在下で極性有機溶媒中の請求項1に記載の成分(a)、(b)および(c)を反応させる工程を含む方法。
【請求項22】
基材を処理する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記基材の表面の少なくとも一部に被着させる工程を含む方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法によって調製された被覆基材。

【公表番号】特表2007−513239(P2007−513239A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542567(P2006−542567)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/034399
【国際公開番号】WO2005/061572
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】