説明

パーボイル米の製造方法及びその製造方法によって製造されたパーボイル米

【課題】加水処理の工程において、米粒に亀裂を生じさせることなく、加水処理に掛かる時間を短縮できるパーボイル米の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のパーボイル米の製造方法によると、予備加圧蒸煮処理して原料玄米の表面にα化層を形成した後に加水処理を行うようにしたので、該加水処理において加水速度を急速なものにしても、玄米表面がα化層によって強靭性が備わっているため亀裂が生じることがなく目標含水率まで高速で吸水させることができる。これにより、吸水処理の際に、玄米の品質を亀裂等によって悪化させることなく急速な吸水(高速加水)ができるので、加水処理時間を短縮することができ、パーボイル米の製造時間を短縮化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に長粒種や中粒種の玄米原料をパーボイル米にする製造方法及びその製造方法によって製造されたパーボイル米に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水やお湯を加えることによって、短時間のうちに炊飯米の状態に戻すことのできる乾燥米飯食品がある。この乾燥米飯食品の種類の一つにパーボイル米がある。このパーボイル米は、特に、インドやパキスタンなどのアジア地域のほか、アメリカやヨーロッパにおいても食されている。前記パーボイル米は、原料の籾(もみ)米をそのまま蒸煮(アルファ化)し、次いで乾燥、籾摺り、精米を順次行って製造され、食べるときには、お湯の中で10分程度茹(ゆ)でて食される。前記パーボイル米は、製造過程において原料籾米をそのまま蒸煮するため、籾殻の臭い等が胚乳に浸透し、籾殻臭の風味を有したものとなっている。
【0003】
近年においては、消費者の前記パーボイル米の食味に対する好みが多様化し、パーボイル米に付いた籾殻臭の風味を嫌う消費者が増えている。このため、籾殻臭を有さないパーボイル米の開発が行われており、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたパーボイル米の製造方法が行われるようになった。この特許文献1,2に記載の製造方法は、原料を玄米とし、この玄米を分搗処理した後に噴霧や加湿通風等によって加水処理し、次いで水分調質し、この後、常圧蒸煮処理及び加圧蒸煮処理によって米粒内をα化し、次いで冷却処理、仕上精米処理、乾燥処理を経てパーボイル米(製品)を製造するものである。この製造方法によると、原料玄米を蒸煮して行うため、籾殻臭の風味のないパーボイル米が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-220221号公報
【特許文献2】特開2009-27950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記製造方法においては、玄米を加水処理する際に、加水速度を速くすると米粒表面に亀裂が生じるため、加水速度を緩やか(緩慢的)にして加水に伴う亀裂の発生を防止している(加水速度:0.5%/h〜0.8%/h)。このため、上記加水処理の工程において加水処理に長時間が掛かっているという問題があった。
そこで、本発明は上記問題点にかんがみ、前記加水処理の工程において、米粒に亀裂を生じさせることなく、加水処理に掛かる時間を短縮できるパーボイル米の製造方法を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパーボイル米の製造方法は、請求項1により、
原料玄米を加圧蒸気で蒸煮する予備加圧蒸煮工程と、
該予備加圧蒸煮工程から排出された米粒を加水する加水工程と、
該加水工程から排出された米粒の水分調質を行う水分調質工程と、
該水分調質工程から排出された米粒を加圧蒸気で蒸煮する仕上加圧蒸煮工程と、
該仕上加圧蒸煮工程から排出された米粒を乾燥する乾燥工程と、
該乾燥工程から排出された米粒を仕上げ精米する仕上精米工程と、
を順次設けてなるという技術的手段を講じるものである。
上記のように、予備加圧蒸煮処理して原料玄米の表面にα化層を形成した後に加水処理を行うようにしたので、玄米表面がα化層によって強靭性が備わっているため加水速度を急速なものにしても亀裂を生じることがなく目標含水率まで吸水させることができ、加水処理時間を短くすることができるようになった。
【0007】
前記加水工程は、20%/h〜80%/hの加水速度で米粒を加水するとよい。
【0008】
前記予備加圧蒸煮工程は0.1MPa〜0.3MPaの加圧状態で120秒〜300秒の間行うとよい。
【0009】
前記加水工程は、米粒を含水率20%〜28%まで加水するとよい。
【0010】
前記仕上加圧蒸煮工程は0.1MPa〜0.3MPaの加圧状態で120秒〜600秒の間行うとよい。
【0011】
前記予備加圧蒸煮工程及び/又は仕上加圧蒸煮工程の前工程には、米粒を常圧蒸気で加熱する常圧蒸煮工程を設けるとよい。
【0012】
前記加水工程の後工程には、テンパリング工程を備えるとよい。
【0013】
前記仕上加圧蒸煮工程の後工程に、仕上加圧蒸煮工程から排出された米粒の少なくとも表面の熱を低下させる冷却工程を設けるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパーボイル米の製造方法によると、原料玄米を予備加圧蒸煮処理して当該原料玄米の表面にα化層を形成した状態で加水処理を行うようにしたので、該加水処理において加水速度を急速にしても、玄米表面がα化層によって強靭性が備わっているため亀裂が生じることがなく目標含水率まで高速で吸水させることができる。これにより、加水処理の際に、玄米の品質を亀裂等によって悪化させることなく急速な吸水(高速加水)ができるので緩慢的な加水を行わなくて済み、このため、加水処理時間を短縮することができ、パーボイル米の製造時間を短縮することができる。また、原料玄米の表面のα化層の形成を、常圧蒸煮ではなく、加圧蒸煮によって処理しているので、米粒表面を全周方向から加わる圧力蒸煮によって玄米表面に亀裂を生じることなく均一なα化が行えるものである。よって、この後工程を経て完成したパーボイル米は外観的にも良好な製品となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のパーボイル米の製造方法における製造フローを示す。
【図2】本発明における常圧蒸煮装置及び加圧蒸煮装置の縦断面図を示す。
【図3】本発明における加水装置とテンパリング装置を示す。
【図4】本発明における放冷装置の縦断面図を示す。
【図5】本発明における循環式穀物乾燥機の縦断面図を示す。
【図6】本発明における縦型研削式精米機の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1に示した本発明におけるパーボイル米の製造フローを参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
原料は玄米とし、長粒種又は中粒種を用いる。
【0018】
ステップ1(常圧蒸煮工程):
この工程では、原料玄米を次工程に備えて常圧状態で蒸煮して加温(予備加熱)する常圧蒸煮工程である。図2に、本常圧蒸煮工程において使用する常圧蒸煮装置1を示す。該常圧蒸煮装置1は、密閉状の機壁2の内部に、多孔壁からなる円筒多角形状の回転ドラム3,4が上下に横設してある。上段に横設した回転ドラム3は、原料が流下するように一端供給側から他端排出側に向かって下方傾斜状に配設してある。そして、前記回転ドラム3の一端供給側には原料供給管5の排出側が挿入され、他端排出側は、当該回転ドラム3から排出された原料を下段に横設した前記回転ドラム4における一端供給側に移送供給するための下方移送管6によって連通させてある。
【0019】
前記回転ドラム4も前記回転ドラム3と同様に、原料が流下するように一端供給側から他端排出側に向かって下方傾斜状に配設してあり、前記一端供給側には前記下方移送管6の排出側が挿入され、他端排出側は、次工程(予備加圧蒸煮工程・ステップ2)に原料を移送供給するための下方移送管7と連通させてある。前記回転ドラム3,4のそれぞれは、内部中央に回転軸3a,4aを横設するとともに、該回転軸3a,4aを回転ドラムの内壁と連結させる連結板3c,4cを備え、前記機壁38に設けた前記回転軸3a,4aの各軸受によって回転自在とする。そして、前記回転軸3a,4aの一端部は、プーリ3b,4b及び動力伝達ベルト8を介してモータ9と接続している。
【0020】
前記回転ドラム3,4の各下方には、該回転ドラム3,4の全長に亘(わた)る長さの蒸気噴出管10,11が横設してある。該蒸気噴出管10,11の蒸気供給源側は、蒸気管12及び開閉弁13を介して蒸気供給源(図示せず)に接続している。前記機枠2の底部2aは、一方側に向かって下方傾斜状に配設してあり、その傾斜下部には、前記機壁2内の蒸気が水滴となって溜まった水を排水するための排水部2bが設けてある。なお、前記原料供給管5の上部供給側には繰り出しバルブ5aが設けてある。
【0021】
前記回転ドラム3,4の回転数については、特に限定されるものではないが、原料(玄米)に胴割れが生じないように、原料が前記回転ドラム3,4内を通過する時間が10秒から300秒の範囲内となるように適宜設定する。また、前記蒸気噴出管10から機壁2内に充満させる蒸気の供給量についても、胴割れが生じないように、適宜設定する。
【0022】
ステップ1(常圧蒸煮工程)の作用を説明する。
本常圧蒸煮工程は、上記構成の常圧蒸煮装置1を用いて、該常圧蒸煮装置1の機壁2内に常圧状態で、約100℃の飽和水蒸気を蒸気噴出管10から供給して充満させるとともに、前記回転ドラム3,4を回転させながら一ロットの原料(玄米)を、前記回転ドラム3の一端供給側に前記繰り出しバルブ5a及び原料供給管5を介して供給する。
【0023】
前記回転ドラム3内に供給された原料は、常圧状態で前記蒸気(飽和水蒸気)に覆われ、これにより、原料の粒間にあった空気は前記蒸気によって追い出されて蒸気が粒間を充満して原料を加熱する。このとき、原料は、前記回転ドラム3の回転によって撹拌されながら他端排出側に向かって流下する。前記粒間の空気は、機壁2の上部に設けた排気管と排風ファンとからなる空気排気部2cから排出される。前記回転ドラム3を通過した原料は他端排出側から排出された後、前記下方移送管6を通って前記回転ドラム4内に供給される。該回転ドラム4内においても、原料は前記回転ドラム3の作用と同様に撹拌・移送されながら加熱されて他端排出側から排出される。玄米を投入して排出するまでの常圧蒸煮時間は、米粒に亀裂を生じさせないために約1分以内にするのがよい。このようにして、原料は、胴割れを発生することなく約100℃の温度に予備的に加熱処理される一方、次工程の加圧蒸煮工程に備えて米粒間に飽和蒸気を充満させて空気を除外する処理がなされる。前記回転ドラム4の他端排出側から排出された原料は、前記下方移送管7を介して前記予備加圧蒸煮工程(ステップ2)に送られる。本常圧蒸煮工程では蒸気を使用するので、水の使用量が少なく前記排出部2bからの排水量も少量で済む。
【0024】
なお、このステップ1(常圧蒸煮工程)の工程は、本発明において必須の構成要件ではなく、設けた方が時間的な生産効率が向上し、また、ばらつきのない品質のよい製品(玄米パーボイル)を製造できる。
【0025】
ステップ2(予備加圧蒸煮工程):
この工程では、前工程の常圧蒸煮工程(常圧蒸煮装置1)から排出された原料の表層をα化させる予備加圧蒸煮工程である。図2に、該予備加圧蒸煮工程において使用する加圧蒸煮装置14を示す。該加圧蒸煮装置14は、密閉状の機壁15の内部に、ベルトコンベヤー16が横設してある。該ベルトコンベヤー16は、ネット状の搬送無端ベルト16aと、該搬送無端ベルト16aを掛け渡す駆動ローラー16b及び従動ローラー16cとから構成されている。前記機壁15の底部には、機壁15によって形成された密閉空間内に、加圧した加熱蒸気を供給する加圧加熱蒸気供給部17が配設してある。該加圧加熱蒸気供給部17は、加圧加熱蒸気供給源(図示せず)と、該加圧加熱蒸気供給源が生成した加圧加熱蒸気を前記機壁15の底部に設けた供給口(図示せず)に供給する蒸気管17aとから構成され、該蒸気管17aの途中には開閉弁17bが配設する。
【0026】
前記ベルトコンベヤー16の搬送始端側には、前工程からの米粒(原料)を当該ベルトコンベヤー16上に供給するための傾斜シュート管15aが配設してある。また、前記傾斜シュート管15aの上流側端部は、前記下方移送管7の排出側と連通して、前工程のステップ1(常圧蒸煮工程)から排出された米粒(玄米)を当該ステップ2(予備加圧蒸煮工程)に受け入れられるようになっている。
【0027】
前記下方移送管7の内部には、前記ステップ1からの原料供給を受ける際、前記機壁15内の加圧加熱蒸気が外部に抜け出ないようにするために複数の弁が内蔵されている。該複数の弁は、前記下方移送管7の内部に、上部から順に、原料の落下衝撃を吸収するための衝撃吸収ダンパー7a、上方バタフライ弁37b、下方バタフライ弁37c、前工程から供給された原料の塊をほぐすほぐし板37dが任意間隔をおいて配設してある。また、前記下方移送管7における前記上方バタフライ弁7bと下方バタフライ弁7cとの間の間隙7fには、エア抜きバルブ7eが設けてある。
【0028】
前記下方移送管7における前記複数の弁の作動について説明する。原料を前記下方移送管7を介して加圧蒸煮装置14に供給する際には、まず、前記上方バタフライ弁7b及び下方バタフライ弁7cを共に閉状態にして前記エア抜きバルブ7eから前記隙間7fにおける圧力(加圧加熱蒸気)を抜く。次いで、前記上方バタフライ弁7bを開状態にし、原料を上部供給側から前記衝撃吸収ダンパー7aの開度によって流量調整しながら前記隙間7f内に供給する。そして、該隙間7f内に原料が所定量堆積した時点で、前記エア抜きバルブ7eを閉状態にするとともに前記上方バタフライ弁7bを閉状態にし、この後に、下方バタフライ弁7cを開状態にすることで、原料は、自重によって落下して前記ほぐし板7bを介して前記加圧蒸煮装置14(傾斜シュート管15a内)に供給される。上記順序が繰り返されることで、1ロット分の原料が加圧蒸煮装置14内に順次供給される。
【0029】
前記ベルトコンベヤー16の搬送終端側には、加圧蒸煮装置14内で米粒表層のα化処理された玄米を機壁15の外部に排出するための下方移送管18が配設してある。該下方移送管18の内部にも、前記下方移送管7と同様に、α化処理を終えた米粒を機壁15の外部に排出する際に、前記加圧蒸煮装置14内の加圧加熱蒸気が外部に抜け出して機壁15内の圧力が低下しないように、複数の弁が配設してある。この複数の弁は、下方移送管18の内部に、当該加圧蒸煮装置14内での処理を終えた玄米を排出落下した際、この落下衝撃を吸収するための衝撃吸収ダンパー18a、上方バタフライ弁18b、下方バタフライ弁18c、が上部から下部に向けて順次、任意間隔をおいて配設してある。また、前記下方移送管18における前記上方バタフライ弁18bと下方バタフライ弁18cとの間の間隙18eには、エア抜きバルブ18dが設けてある。なお、前記機壁15の底部には、加圧蒸煮装置14内において蒸気が水滴となって溜まった水を排水するための排水部19が設けてある。
【0030】
前記下方移送管18における前記複数の弁の作動について説明する。前記下方移送管18を介してα化処理を終えた玄米を加圧蒸煮装置14から排出する際には、まず、前記上方バタフライ弁18bと下方バタフライ弁18cとを共に閉状態にし、前記隙間18eにおける圧力(加圧加熱蒸気)を前記エア抜きバルブ18dから抜く。次いで、前記上方バタフライ弁18bを開状態にし、排出する玄米を前記衝撃吸収ダンパー18aの開度を調整して前記隙間18e内に供給する流量が調整される。そして、該隙間18e内に前記玄米が所定量堆積した時点で、前記エア抜きバルブ18dを閉状態にするとともに前記上方バタフライ弁18bを閉状態にし、この後、下方バタフライ弁18cを開状態にすることによって玄米を自重によって外部に落下排出される。上記順序が繰り返されることで、処理済みの1ロット分の玄米は、順次、加圧蒸煮装置14外に排出される。
【0031】
ステップ2(予備加圧蒸煮工程)の作用を説明する。
まず、前記加圧蒸煮装置14の機壁15内部に前記加圧加熱蒸気供給部17から加圧した飽和蒸気を供給し、前記機壁15内部の圧力が0.1MPa〜0.3MPaの範囲内の任意設定値となるように調節する。このように、前記機壁15内部の圧力が0.1MPa〜0.3MPaとなったときの前記機壁15内部の温度は、約120℃から145℃前後の状態となっている。次に、前工程(ステップ1:常圧蒸煮工程)によって予備加熱された玄米を前記ベルトコンベヤー16の搬送始端側に供給する。供給された玄米に加圧蒸煮処理する時間は、120秒から300秒の範囲とするのがよく、当該時間範囲内の任意設定値となるように前記ベルトコンベヤー16の搬送速度を調整する。供給される玄米は予備加熱されていので、加温する時間が不要となり、上記加圧蒸煮処理時間のように短時間処理が可能となる。このような条件で、玄米は0.1MPa〜0.3MPaの加圧状態(温度:約120℃から145℃前後)で120秒から300秒の間、加圧蒸煮処理がなされることによって表層がα化(約10%〜20%)され、この後、前記下方移送管18から排出される。玄米表層のα化度は、上記加圧状態及び加圧蒸煮処理時間の範囲内の設定値によって異なる。前記範囲内において、高圧で長時間の設定処理の場合はα化度が大きく(多く)、逆に低圧で短時間の設定処理の場合はα化度が小さい(少ない)。なお、予備加圧蒸煮工程でも蒸気を使用するので、水の使用量が少なく前記排出部19からの排水量も少量で済む。
【0032】
このように、玄米を加圧蒸煮処理するメリットは、玄米の粒と粒が接触した状態であっても前記圧力によって粒間にスムーズに充満した飽和蒸気により、各玄米を全周方向から均一に加圧蒸煮することができるので、各玄米の表層のα化状態が均一となってバラツキが少なくなる点にある。この点は、この後工程となる加水工程(ステップ3)において、玄米の粒ごとの加水ムラや玄米一粒における加水(含水)ムラが生じない作用を奏し、より高品質の玄米パーボイルを製造する点で有効である。
【0033】
ステップ3(加水工程)とステップ4(テンパリング工程):
この工程では、前工程の予備加圧蒸煮工程(加圧蒸煮装置14)から排出された表層をα化した玄米を所定水分値まで加水・調質(テンパリング)する加水工程とテンパリング工程である。図3に、該加水工程で用いる加水装置20及びテンパリング工程で用いるテンパリング装置25を示す。
【0034】
前記加水装置20の構成:
前記加水装置20は特別な加水装置を用いる必要はなく、例えば、図3に示したような加水装置でよい。前記加水装置20は、前工程<ステップ2(予備加圧蒸煮工程)>において表層をα化させた玄米を貯留する供給タンク21を備え、該供給タンク21の排出側は繰り出しバルブ(ロータリーバルブ)22を介して原料供給管路23に接続する。該原料供給管路23の排出側は、後述する撹拌移送部24の供給側に接続される。前記供給管路23の内部には、玄米を加水するための水をシャワー状に散水するシャワー散水ノズル23aが臨ませてあり、また、該シャワー散水ノズル23aの上方には傘状の米粒流下規制板23bが配設してある。前述の撹拌移送部24は、機壁となる撹拌筒24aを横設し、該撹拌筒24aの供給側に前記供給管路23を接続し、排出側には排出部24eが設けてある。そして、該撹拌筒24aの内部には左右の両端に設けた軸受けによって回転自在にした撹拌移送軸24bを内蔵する。該撹拌移送軸24bには、その長手方向に向かって等間隔位置に、撹拌作用兼移送作用を玄米に与える撹拌移送羽根24cが配設してある。前記撹拌移送軸24bの一端側は、プーリ及び動力伝達ベルトを介してモータ24dと接続している。なお、前記シャワー散水ノズル23aは、水の加圧供給部(図示せず)と接続し、散水量が調節できるようになっている。
【0035】
テンパリング装置25の構成:
前記テンパリング装置25は円筒形状の恒温式のタンク部26を備える。該タンク部26の上部供給口は、前記加水装置20の排出部24eと流路26aを介して接続している。一方、前記タンク部26の下部排出口にはロータリーバルブ26bが設けてあり、該ロータリーバルブ26bには、ロータリーバルブ26bから排出された加水後の玄米をタンク部26内に還流させるための還流部27を備える。該還流部27としては、公知のバケット式の昇降機や加圧空気式のエア搬送装置などを使用するとよい。前記還流部27の還流経路には、前記加水後の玄米のサンプルを採取する任意のサンプル採取手段(例えば、サンプル採取経路)28を設けるとともに、該サンプル採取手段28には公知の穀物水分計29を接続する。これによって、随時、前記還流経路を通る玄米の含水率が測定されるようになっている。
【0036】
また、前記還流部27の排出側には流路切換弁30を備えて、前記タンク部26に還流する側の流路30aと、前記加水装置20又は次工程(常圧蒸煮工程・ステップ5)に向かう側の流路30bとの切換えが可能にしてある。さらに。前記流路30bの下流側には流路切換弁31を備えて、前記加水装置20の供給タンク側に還流する流路31aと、次工程(常圧蒸煮工程・ステップ5)に向かう流路31bとが切換え可能にしてある。
【0037】
ステップ3(加水工程)の作用を説明する。
前工程(ステップ2<予備加圧蒸煮工程>)によって表層α化処理した玄米が、前記供給タンク21からロータリーバルブ22の回転によって順次繰り出されて、前記原料供給管路23内を流下する際に前記シャワー散水ノズル23aからのシャワー水の定量的な散水を受けながら前記撹拌筒24a内に供給される。該撹拌筒24aに供給された玄米は、前記撹拌移送部軸24b及び撹拌移送羽根24cからなる撹拌手段24dの回転作用を受けて、シャワー水と撹拌されながら移送されて排出部24eから排出される。このように玄米は、前記撹拌筒24aを撹拌移送される際に、表層が均一にα化処理されているので表層が弾力的な強靭性が備わっているため、シャワー水と混合させても米粒表面に亀裂を生じさせることなく米粒の全表面から内部に加水がなされる。また、玄米と混合する水の添加量について、余剰水(排水)を極力出さない程度で、かつ、十分な量にすることにより、玄米内部に吸水される速度が速くなり、加水目標値(目標含水率)の20%から28%までの加水時間を短時間にすることができる。その際、玄米の表層が均一にα化処理されているので、玄米表面に亀裂を生じることなく玄米の全表面から内部に均一な加水を行うことができる。
【0038】
本発明における加水速度は20%/h〜80%/hの範囲であり、この間であれば、米粒表面に亀裂が生じることなく目標含水率まで吸水することができる。なお、玄米の表層α化度が大きいほど(多いほど)80%/hにより近い加速速度となり、逆にα化度が小さいほど(少ないほど)20%/hにより近い加速速度となる。玄米の表層α化度の調整は、前述のとおり、ステップ2(予備加圧蒸煮工程)において行われる。なお、本発明は、加水工程において、玄米に添加して混合する加水量を調節して余剰水をできるだけ出さないようにすることにより、排水処理の設備を必要としない、製造設備を簡略化して設備投資コストを低減できる効果も奏する。
【0039】
ステップ4(テンパリング工程)の作用を説明する。
本ステップ4は、前工程(ステップ3<加水工程>)によって加水された一ロットの玄米を、まず前記流路26aを介して前記テンパリング装置25におけるタンク26に供給して堆積する。一ロットの玄米の堆積が完了した後、前記タンク26内の玄米は、下部に堆積したものから順次、前記ロータリーバルブ26b及び還流部27の駆動によって繰り出され還流して前記タンク26内で調質される。この循環の際に、前記サンプル採取手段28によって加水後の分搗き玄米サンプルを採取して穀物水分計29に送り、前記玄米サンプルの含水率の測定を行う。なお、測定した含水率が後述の目標含水率よりも到達レベルが不十分な場合は、玄米を再び前記流路切換弁30,31を介して加水装置20に還流して再加水を行い、この後、テンパリング装置25に貯留して再度調質をして目標含水率に近づけるとともに米粒間のバラツキを少なくする。
【0040】
テンパリング工程においては、加水した玄米の含水率が20%から28%の範囲内において、任意に定めた目標含水率となるよう米粒間でのバラツキをなくして均一化する。テンパリング工程にかける時間は約30分から120分の範囲内で適宜時間を設定して行う。また、このとき、前記タンク26内の温度は50℃から50℃の範囲内であることが好ましい。なお、テンパリング工程により、玄米の糠層や胚芽に含まれるミネラル等の栄養成分が胚乳部に移行するので、最終的に玄米が精米されて製品になっても米粒に前記栄養分が保持される。
【0041】
ステップ5(常圧蒸煮工程):
この工程では、前工程のテンパリング工程(テンパリング装置25)から排出された玄米を蒸煮して加温(予備加熱)する常圧蒸煮工程であり、当該工程で使用する常圧蒸煮装置は、前記ステップ1で示したものと同一のものでよい(ステップ1の常圧蒸煮装置1、図2参照)。このため、装置の説明は省略する。なお、このステップ5(常圧蒸煮工程)の工程は、前記ステップ1と同様、本発明において必須の構成要件ではなく、設けた方が時間的な生産効率が向上し、また、ばらつきのない品質のよい製品(玄米パーボイル)を製造できる。
【0042】
ステップ5(常圧蒸煮工程)の作用を説明する。
本ステップ5は、前記ステップ1(常圧蒸煮工程)と同じような作用がなされ、前工程のテンパリング工程から排出された玄米を、次工程の仕上加圧蒸煮工程のために約100℃の飽和水蒸気(常圧状態)で加温(予備加熱)するものである。また、次工程の仕上加圧蒸煮工程に備えて米粒間に飽和蒸気を充満させて空気を除外する処理がなされ、これにより仕上加圧蒸煮工程において前記空気が米粒間で断熱作用とならず、加圧蒸煮の処理が効率的に、かつ、加圧蒸煮のバラツキが低下して品質がよくなる効果がある。本ステップ5においても常圧蒸煮はステップ1と同様に約1分以内とするのが好ましい。
【0043】
ステップ6(仕上加圧蒸煮工程):
本ステップ6は、前記ステップ2(予備加圧蒸煮工程)と同じような作用がなされ、前工程の常圧蒸煮工程から排出された玄米をα化の仕上げを行う仕上加圧蒸煮工程である。当該ステップ6では、使用する加圧蒸煮装置は、前記ステップ2で示したものと同一のものを使用する(ステップ2の常圧蒸煮装置14、図2参照)。このため、装置の説明は省略する。
【0044】
ステップ6(仕上加圧蒸煮工程)の作用を説明する。
本ステップ6は、前記ステップ2(予備加圧蒸煮工程)で行われた加圧蒸煮作用を再び玄米に作用させて玄米のα化を進行させる。ステップ6の具体的作用は、ステップ5(常圧蒸煮工程)で予備加熱した玄米を前記常圧蒸煮装置14に供給して、ステップ2とほぼ同じような加圧蒸煮条件でα化を行う。加圧蒸煮条件としては、加圧蒸煮装置14内の圧力を0.1MPa〜0.3MPaの範囲内の任意設定値となるように調整(このときの温度:約120℃から145℃前後)し、加圧蒸煮処理する時間(前記ベルトコンベヤー16の搬送速度)は120秒から600秒の範囲内の任意設定値となるように調整し、設定する。このような加圧蒸煮条件のもとで予備加熱した玄米を加圧蒸煮することにより、玄米を加温する時間が短縮されながら玄米は、米粒の全表面方向から加圧蒸煮作用を所定時間受けてα化が進行される。ステップ6の加圧蒸煮作用によって、玄米のα化度は約80%〜90%となる。なお、ステップ5(常圧蒸煮工程)及びステップ6(仕上加圧蒸煮工程)においても、蒸煮に使用する水の量について余剰水を発生させないように調節することにより、排水処理設備等を必要としない。
【0045】
ステップ7(放冷工程):
本ステップ7は、前工程でα化処理を終えた玄米の表面の熱(粗熱(あらねつ))を取り除き、次工程の乾燥工程を容易にするための放冷工程である。本放冷工程は図4に示した放冷装置32を使用する。前記放冷装置32は、機壁33で囲まれた内部にベルトコンベヤー34を横設する。前記機壁33の一端上部には、前工程から排出された玄米(仕上α化済み)をベルトコンベヤー34上に供給するための供給部35が配設してある。また、前記機壁33の他方下端部には、ベルトコンベヤー34上の搬送終端部から放冷した玄米を排出する排出部36が配設してある。
【0046】
前記ベルトコンベヤー34は、ネット状の搬送無端ベルト34aと、該搬送無端ベルト34aを掛け渡す駆動ローラー34b及び従動ローラー34cとから構成されている。前記放冷装置32における側面の機壁33には、前記ベルトコンベヤー34の長手方向に沿って横長形状に形成した外気取入口37を形成する。また、上面の前記機壁33には、ベルトコンベヤー34の搬送面の略全面積に相当する大きさの吸引排風口38が設けてある。前記吸引排風口38は吸引管39と排風ファン40とを介して排気管41に接続してしる。
【0047】
ステップ7(放冷工程)の作用を説明する。
本ステップ7は、前工程で仕上蒸煮処理(仕上α化処理)した玄米を、順次、前記供給部35から搬送無端ベルト34aの搬送始端側に供給する。該搬送無端ベルト34a上に供給された玄米は、ベルトコンベヤー34によって搬送される間に、前記排風ファン40の吸引によって生じる、前記外気取入口37から取り入れた外気が搬送無端ベルト34aの下方から通風を受けて、米粒の表面の熱(粗熱)が奪われて表面温度が低下し、順次、前記排出部36から排出される。排出された玄米は、含水率が約17%〜25%の範囲内のものとなっている。
【0048】
ステップ8(乾燥工程):
本乾燥工程では、前工程から排出された放冷した玄米を含水率13%以下まで乾燥を行うものである。本乾燥工程では、例えば、図5に示した循環式穀物乾燥装置42を使用するとよい。該循環式穀物乾燥装置42は、例えば、特公平8−25134号公報に記載された公知のものでよい。前記循環式穀物乾燥装置42は、貯留部(調質部)43、乾燥部44、排出部45を順次重設した乾燥機本体部42aと、該乾燥機本体部42aの側方に併設した昇降機46とから構成される。
【0049】
前記乾燥部44は、熱風を生成するバーナー47と、前記熱風が供給される熱風胴48と、任意間隔で多孔板を対設し、当該間隙を流下する穀粒に熱風を通風する左右にそれぞれ配設された穀物流下層49,49と、前記熱風胴48から穀物流下層49,49(穀粒間)を通風した熱風を機外に排風するための左右の排風胴50,50と、該排風胴50,50と連通して前記熱風を吸引して機外に排風する排風ファン(図示せず)とから構成される。
【0050】
前記排出部45は、前記穀物流下層49,49の下部に配設した繰り出しバルブ51と、該繰り出しバルブ51の下方に設けた漏斗状の穀粒集穀板52と、該穀粒集穀板52の下部に配設され、穀粒を前記昇降機46の搬送始端側に搬送する下部搬送スクリュー53とから構成される。
【0051】
前記昇降機46は、機枠46a内に、その上部と下部のそれぞれ配設されたプーリ54,54と、該プーリ54,54に掛け渡し、かつ、複数のバケット55が装着された無端状のバケットベルト55aとを有する。前記プーリ54,54の一方のものはモータ(図示せず)と接続して駆動側となり、前記バケットベルト55aが上下方向に移送されるようになっている。前記機枠46aの下部は前記下部搬送スクリュー53の搬送終端側と連通し、また、前記機枠46aの上部は後述する上部搬送部56の搬送始端側と連通している。前記機枠46aの側部には穀物水分計46bを装着して、乾燥中の穀物の含水率が自動的に測定できるようになっている。前記上部搬送部56は前記貯留部43の上部に配設し、上部搬送スクリュー57と、該上部搬送スクリュー57の搬送終端側の位置に前記貯留部43内に臨ませた飛散板58とから構成してある。なお、前記排風胴50,50の一方側の機壁には、被乾燥物である前工程の放冷工程から排出された玄米を張込・供給するための開閉扉44aが設けてある。
【0052】
本乾燥工程(ステップ8)の作用を説明する。
まず、前記開閉扉44aを開けて、前工程(放冷工程)から排出された1ロットの玄米(含水率:18%前後)を順次張込・供給する。供給された玄米は、下部搬送スクリュー53、昇降機46及び上部搬送部56を介して貯留部43に搬送されて堆積される(以上が張込運転)。該張込運転が終了すると前記開閉扉44aを閉めて乾燥運転を開始する。
【0053】
前記乾燥運転を開始すると、前記繰り出しバルブ51、排風ファン、昇降機46、前記バーナー47などが駆動し、排風ファンの吸引作用によって前記バーナー47で発生した熱風を前記穀物流下層49,49を流下する玄米に通風させる。前記繰り出しバルブ51が断続的に回転して前記穀物流下層49,49の下部から玄米が順次繰り出され、繰り出された玄米は、前記下部搬送スクリュー53、昇降機46及び上部搬送部56を介して貯留部43に還流され、該貯留部43内で調質される。このようにして玄米は機内循環する間に、熱風通風と調質とが繰り返されながらムラなく乾燥される。そして、前記穀物水分計46bによって測定された玄米の測定含水率が、例えば、13%まで下がると、乾燥運転を終了して排出運転を行って当該玄米を機外に排出する。このように13%まで乾燥した玄米は常温で保存が可能となる。
【0054】
ステップ9(仕上精米工程):
本仕上精米工程では、前工程から排出された乾燥済みの玄米を仕上げ精米するものである。本仕上精米工程では、例えば、図6に示した公知の縦型研削式精米機59を使用する。該縦型研削式精米機59の構成は、回転主軸60に砥石ロール61を軸着してなる精白ロール62と、該精白ロール62の外周方向に所定間隔の間隙(搗精室)63を介して配設した多孔スクリーン66と、該多孔スクリーン66の外周方向に配設した除糠収容室67とを構成する。そして、前記回転主軸60は、その上下の任意位置に配設した軸受60aによって軸支されるとともに、下端部が、軸着されたプーリ68及び動力伝達ベルト69を介してモータ71の出力側となるプーリ70と連結され、これによって回転自在に構成されている。さらに、前記搗精室63の下端部には製品排出部75が構成されており、該製品排出部75は、抵抗蓋72、製品排出口73及び製品排出樋74から構成される。
【0055】
一方、前記搗精室63の上端部は、更にその上部に配設した原料供給口76に通じている。該原料供給口76には原料供給調節部77が設けてある。なお、前記除糠収容室67の下端部は、管路65を介して排風ファン64と連通し、糠を吸引して機外に排出するようにしてある。
【0056】
本仕上精米工程の作用を説明する。
本仕上精米工程においては、まず、上記縦型研削式精米機59のモータ71を駆動開始して砥石ロール61を回転させ、また、前記製品排出部75の抵抗調整などを行って運転開始前のセッティングを行う。その後、前工程から排出された玄米(乾燥済み約13%)を原料供給口76から供給すると、玄米は、前記搗精室63を上方から下方に流下する間に砥石ロール61等との接触による研削作用等によって米粒表面の糠(ぬか)層が徐徐に除去されて精白米となり、前記製品排出部75からパーボイル米の製品として排出される。
【0057】
ステップ10(湿式研米工程):
本湿式研米工程は、前工程から排出された精白米(パーボイル米)の外観品質(光沢の向上)を更に向上させたい場合に、必要に応じて行えばよい工程である。該湿式研米工程は、周知の湿式研米装置を使い、前記精白米(製品)に少量の噴霧水を添加し、精白米同士を互いに擦(こす)り合わせて表面に艶(つや)を出す工程である。湿式研米装置は周知であるため、具体的構成の説明は省略する。
【0058】
実施例の変形例:
なお、上記実施の形態において完成したパーボイル米は、前述のように、食べるときには、お湯の中で10分程度茹(ゆ)でて食される。これに対し、変形例として、上記放冷工程後の玄米を使ってこれをインスタントライス加工してインスタント加工してもよい。インスタントライス加工は上記放冷工程後の玄米(高水分)を前記ステップ9(仕上精米工程)と同様の精米処理を行い、得られた精白米を更に含水率40%程度に吸水させた後、例えば、これを蒸煮してα化を更に進め、この後、急速乾燥する工程からなるものである。完成したインスタントライスは、茹でる必要がなく、お湯を注ぐだけで米飯に復元するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
インドやパキスタンなどのアジア地域のほか、アメリカやヨーロッパなどにおいても食されているパーボイル米を製造する際に、製造時間を短縮化して生産効率を向上させることができ、また、その際に排水処理設備が不要なパーボイル米の製造設備として有用である。
【符号の説明】
【0060】
1 常圧蒸煮装置
2 機壁
2a 底部
2b 排出部
2c 空気排気部
3 回転ドラム
3a 回転軸
3b プーリ
3c 連結板
4 回転ドラム
4a 回転軸
4b プーリ
4c 連結板
5 原料供給管
5a 繰り出しバルブ
6 下方移送管
7 下方移送管
7a 衝撃吸収ダンパー
7b 上方バタフライ弁
7c 下方バラフライ弁
7d ほぐし板
7e エア抜きバルブ
7f 間隙
8 動力伝達ベルト
9 モータ
10 蒸気噴出管
11 蒸気噴出管
12 蒸気管
13 開閉弁
14 加圧蒸煮装置
15 機壁
15a 傾斜シュート管
16 ベルトコンベヤー
16a 搬送無端ベルト
16b 駆動ローラー
16c 従動ローラー
17 加圧加熱蒸気供給部
17a 蒸気管
17b 開閉弁
18 下方移送管
18a 衝撃吸収ダンパー
18b 上方バタフライ弁
18c 下方バタフライ弁
18d エア抜きバルブ
18e 間隙
19 排水部
20 加水装置
21 供給タンク
22 繰り出しバルブ
23 供給管路
23a 噴霧ノズル
23b 米粒流下規制板
24 撹拌移送部
24a 撹拌筒
24b 撹拌移送軸
24c 撹拌移送羽根
24d モータ
24e 排出部
25 テンパリング装置
26 タンク部
26a 流路
26b 繰り出しバルブ
27 還流部
28 サンプル採取手段
29 穀物水分計
30 流路切換弁
31 流路切換弁
31a 流路
32 放冷装置
33 機枠
34 ベルトコンベヤー
34a 搬送無端ベルト
34b 駆動ローラー
34c 従動ローラー
35 供給部
36 排出部
37 外気取入口
38 吸引排風口
39 吸引管
40 排風ファン
41 排気管
42 循環式穀物乾燥装置
42a 乾燥機本体部
43 貯留部
44 乾燥部
45 排出部
46 昇降機
46a 機枠
46b 穀物水分計
47 バーナー
48 熱風胴
49 穀物流下層
50 排風胴
51 繰り出しバルブ
52 集穀板
53 下部搬送スクリュー
54 プーリ
55 バケット
55a バケットベルト
56 上部搬送部
57 上部搬送スクリュー
58 飛散板
59 縦型研削式精米機
60 回転主軸
60a 軸受
61 砥石ロール
62 精白ロール
63 搗精室
64 排風ファン
65 プーリ
65 管路
66 多孔スクリーン
67 除糠収容室
68 プーリ
69 動力伝達ベルト
70 プーリ
71 モータ
72 抵抗蓋
73 製品排出口
74 製品排出樋
75 製品排出部
76 原料供給口
77 原料供給調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料玄米を加圧蒸気で蒸煮する予備加圧蒸煮工程と、
該予備加圧蒸煮工程から排出された米粒を加水する加水工程と、
該加水工程から排出された米粒の水分調質を行う水分調質工程と、
該水分調質工程から排出された米粒を加圧蒸気で蒸煮する仕上加圧蒸煮工程と、
該仕上加圧蒸煮工程から排出された米粒を乾燥する乾燥工程と、
該乾燥工程から排出された米粒を仕上げ精米する仕上精米工程と、
を順次設けてなることを特徴とするパーボイル米の製造方法。
【請求項2】
前記加水工程は、20%/h〜80%/hの加水速度で米粒を加水する前記請求項1に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項3】
前記予備加圧蒸煮工程は0.1MPa〜0.3MPaの加圧状態で120秒〜300秒の間行う前記請求項1又は請求項2に記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項4】
前記加水工程は、米粒を含水率20%〜28%まで加水する前記請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項5】
前記仕上加圧蒸煮工程は0.1MPa〜0.3MPaの加圧状態で120秒〜600秒の間行う前記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項6】
前記予備加圧蒸煮工程及び/又は仕上加圧蒸煮工程の前工程には、米粒を常圧蒸気で加熱する常圧蒸煮工程を設けてなる前記請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項7】
前記加水工程の後工程には、テンパリング工程を備える前記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項8】
前記仕上加圧蒸煮工程の後工程に、仕上加圧蒸煮工程から排出された米粒の少なくとも表面の熱を低下させる冷却工程を設けてなる前記請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のパーボイル米の製造方法。
【請求項9】
前記請求項1乃至請求項8のパーボイル米の製造方法によって製造されたパーボイル米。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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