説明

パーライトおよびその製造方法

【課題】製造後の輸送中や取扱いの際に破壊され難く、優れた耐久性を有するパーライトおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】鉱物質原料を加熱し発泡させてパーライトを製造する方法であって、加熱発泡工程において発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、嵩密度が目標嵩密度になるように発泡粒子を粉砕することを特徴とするパーライトの製造方法であり、例えば、目標嵩密度より20〜200%小さくなるように原料を加熱発泡させるパーライトの製造方法、およびこの方法によって製造したものであって、篩目0.3mmの篩で篩分けした残留分と通過分の嵩密度の差が0.2g/cm3以下であるパーライトパーライト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐久性を有するパーライトとその製造方法に関し、より詳しくは、製造後の輸送中や取扱いの際に破壊され難く、優れた耐久性を有するパーライトおよびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
パーライトは真珠岩や黒曜石等などの原料粒子を加熱して発泡させた中空粒子であり、軽量化材料として広く用いられている。例えば、モルタル、瓦、外壁材にパーライトを混合して軽量化する材料として用いられている。
【0003】
パーライトは、原料粒子に対して直径比で通常1.5倍〜5倍程度に発泡しており、表面の殻の厚さが数ミクロンであり非常に薄いため破損しやすく、パーライトを製造した後に、保管、輸送、最終製品製造などの取扱い中に部分的に壊れ、製造中の嵩密度が次第に大きくなる。
【0004】
このようなパーライトの破壊を防止する対策として、低温焼成して発泡倍率を小さくすることによってパーライトの強度を高めることが考えられるが、低温焼成すると未発泡粒子が発生し、発泡したパーライトと未発泡粒子が混在することになる。このような未発泡粒子が混在すると、未発泡粒子は重いので周囲の発泡粒子に衝撃を与え、輸送中や製品の取扱いの際に、発泡粒子が破壊される割合が多くなると云う問題がある。このような未発泡粒子を少なくするには、高温で焼成して原料粒子全体を十分に加熱すればよいが、高温焼成すると発泡過多となり、外殻の厚さが薄くなるため発泡体の強度が低下する。
【0005】
パーライトの強度を高める他の方法として、原料粉末を余熱した後に加熱発泡させる方法が知られている。具体的には、真珠岩を原料とするパーライトは、真珠岩に含まれる水分が発泡剤として作用し、加熱によって水分が気化し、融点以上の温度になると気化した水蒸気によって発泡する。このとき水分量が多すぎると発泡過多になり、殻の厚さが薄く強度が弱くなる。そこで、あらかじめ余熱して真珠岩中の水分量をコントロールした後に発泡温度に加熱することによって過剰な発泡を防止する方法が知られている(特許文献1、2)。
【0006】
また、原料粉末を予備加熱して含有水分量を調整した後に、この原料粉末を高融点微粉末に混合して発泡させた後に、生成した発泡体(パーライト)を高融点微粉末から分離する製造方法も知られている(特許文献3)。この製造方法は予備加熱した原料粉末を高融点微粉末に混合して発泡させることによって均一に発泡させ表面の凹凸が少ない球状のパーライトを製造する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−277851号公報
【特許文献2】特開2007−320805号公報
【特許文献3】特許第3528390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
原料を予備加熱するには、発泡用の加熱炉のほかに予備加熱炉が必要であり、製造設備が大掛かりになると云う問題がある。また、予備加熱した原料粉末を高融点微粉末に混合して加熱発泡させる方法では、高融点微粉末の供給設備や分離設備が必要になり、工程も多くなるので手間がかかり製造コストも嵩む問題がある。さらに、何れの製造方法においても未発泡体の混入は避けられない。未発泡粒子が混在すると、未発泡粒子は発泡粒子よりも重いので、輸送中や製品の取扱いの際に、振動などの外力を受けると未発泡粒子が周囲の発泡粒子に衝撃を与えて破壊する割合が多くなると云う問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決したものであり、製造後の輸送中や取扱いの際に破損し難い、優れた耐久性を有するパーライトと、その製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を有するパーライトの製造方法、および該方法によって製造されたパーライトに関する。
〔1〕鉱物質原料を加熱し発泡させてパーライトを製造する方法であって、加熱発泡工程において発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、嵩密度が目標嵩密度になるように発泡粒子を粉砕することを特徴とするパーライトの製造方法。
〔2〕加熱発泡工程において、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より20〜200%小さくなるように原料を加熱発泡させる上記[1]に記載するパーライトの製造方法。
〔3〕加熱発泡工程において、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度になり、かつ浮水率が70%以上になるように発泡粒子を粉砕する請求項1または請求項2に記載するパーライトの製造方法。
〔4〕発泡粒子を粉砕した後に、粉砕物の一部または全部を除去する上記[1]〜上記[3]に記載するパーライトの製造方法。
〔5〕真珠岩粉末からなる原料を、嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕する上記[1]〜上記[4]の何れかに記載するパーライトの製造方法。
〔6〕真珠岩粉末からなる原料を、嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕し、さらに見掛比重1.0g/cm3以上の一部または全部を除去する上記[4]に記載するパーライトの製造方法。
〔7〕上記[4]または上記[6]に記載する方法で製造され、篩目(孔径)0.3mmの篩で篩分けした残留分と通過分の嵩密度の差が0.2g/cm3以下であることを特徴とするパーライト。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、加熱温度を高くして未発泡粒子の発生を防止しているので、未発泡粒子によって発泡粒子が破壊されることがない。また、高温加熱によって生じた嵩密度が小さ過ぎて破壊されやすい発泡粒子は予め粉砕されるので、このような発泡粒子の破壊による嵩密度の変化も防止される。さらに、予め粉砕することによって生じた破砕片は軽量微細であるので周囲の発泡粒子に衝撃を与えてこれを破壊することがない。従って、製造後の輸送中や取扱いの際に破損し難く、製造後に嵩密度の大幅な変化を生じない優れた耐久性を有するパーライトを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明の製造方法は、鉱物質原料を加熱し発泡させてパーライトを製造する方法であって、加熱発泡工程において発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、嵩密度が目標嵩密度になるように発泡粒子を粉砕することを特徴とするパーライトの製造方法である。
【0013】
パーライトを製造する鉱物質原料は、加熱して発泡する岩石質粉末などからなる原料であり、具体的には、内部に水を有する真珠岩、松脂岩、黒曜石、シラス等が用いられる。その他、シリカガラス原料粉末にSiCなどの発泡剤を添加して造粒したものや、内部に未燃カーボンが含有しているフライアッシュ等が用いられる。
【0014】
原料を加熱する手段(加熱炉等)は限定されない。通常のロータリーキルンやトンネルキルン等のキルン、気流焼成炉、流動層焼成炉などを用いることができる。また、加熱炉等に供給する手段や方法、排出する手段や方法も限定されない。
【0015】
原料を加熱発泡させる工程において、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させる。具体的には、例えば、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より20〜200%小さくなるように原料を加熱発泡させる。原料の種類によって加熱温度に対する発泡程度は異なるので、原料の種類や加熱設備などの条件に応じて加熱温度を調整すればよい。
【0016】
発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させるには目標嵩密度より高い温度で加熱する。高温度で加熱することによって未発泡粒子を少なくすることができる。なお、未発泡粒子とは発泡しない粒子および発泡不十分な粒子を云う。
【0017】
また目標嵩密度とは、本発明の製造方法においてパーライトが最終的に有する嵩密度の範囲であり、原料の種類や製造設備などの条件に応じて定められる。具体的には、真珠岩を原料として嵩密度が約0.2g/cm3のパーライトを製造する場合には、目標嵩密度を例えば0.18〜0.35g/cm3に定めればよい。
【0018】
真珠岩の粉末(平均粒径0.2mm)を原料とし、これを800℃で加熱焼成したときに、嵩密度が約0.2g/cm3の発泡粒子になる場合、本発明の製造方法では、原料を加熱して、例えば、嵩密度0.15g/cm3以下、好ましくは、嵩密度0.10〜0.15g/cm3になるように発泡させる。
【0019】
上記加熱発泡工程の後に、嵩密度が目標嵩密度になるように発泡粒子を粉砕する。例えば、真珠岩の粉末を嵩密度嵩密度0.15g/cm3以下に加熱発泡する場合には、目標嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕すればよい。実施例のB1〜B3はこのような試料に相当する。
【0020】
さらに、好ましくは、粉砕後の浮水率が70%以上になるように粉砕する。パーライト全体の浮水率が70%より小さいと軽量性が低下するので好ましくない。粉砕したパーライトを水中に入れ、全体の体積に対する浮揚した粒子の体積割合を浮水率として測定することができる。なお、粉砕し過ぎると多くの独立空洞が破壊されてパーライトとしての軽量性を損なうので、浮水率70%以上となるように粉砕することが好ましい。
【0021】
なお、パーライトは内部に数ミクロンから数十ミクロンの独立した空洞を多数有するため、粉砕の程度によっては、内部に独立空洞が残り、粉砕された粒子でも水中に浮く状態を維持するものがかなりの割合になる。一般に、見掛比重1.0g/cm3未満の粒子は水中で浮揚する。従って、浮水率によって見掛比重1.0g/cm3未満の粒子割合を判別することができる。
【0022】
破壊手段は限定されない。例えば、圧縮、衝撃、摩擦、せん断などの粉砕手段を使用することができる。具体的にはジョークラッシャー、ボールミル、ピンミル、ジェットミル、ローラーミル、一軸圧縮機などを利用することができる。
【0023】
上記粉砕工程の後に、粉砕物の一部または全部を除去してもよい。粉砕物もパーライトと同成分であるので、粉砕物を含むパーライトをモルタルや壁材などに混合して使用することができる。また、粉砕物を除去することによって、より浮水率の高いパーライトを得ることができる。
【0024】
具体的には、例えば、真珠岩粉末からなる原料を、嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕した後に、見掛比重1.0g/cm3以上の一部または全部を除去してもよい。なお、実施例の試料B4はこの場合に相当する。
【0025】
本発明の製造方法によって得られるパーライトは、優れた耐久性を有し、輸送中や使用時の取扱いによって破壊され難く、従って、嵩密度の変化が小さい。例えば、未発泡粒子を含む嵩密度約0.2g/cm3の一般的なパーライトを、風速50m3/minで空気輸送すると、嵩密度は約0.40g/cm3に増加する(増加率約200%)。一方、本発明の方法によって製造したパーライト(嵩密度約0.2g/cm3)は、同条件で空気輸送したときの嵩密度は約0.23〜0.29g/cm3であり、嵩密度の増加率は約40%以下であり、安定な品質を有する。
【0026】
本発明の製造方法によって得られるパーライトは均一な嵩密度を有している。具体的には、例えば、平均粒径0.2mmの真珠岩を嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕して得たパーライトは、篩目(孔径)0.3mmの篩で篩分けした残留分と通過分の嵩密度の差が0.2g/cm3以下である。加熱発泡によって平均粒径0.2mmの真珠岩粒子は粒径が約0.15mm〜0.5mm程度の粒子に発泡するので、発泡後の粒径の中間的な大きさの篩目(0.3mm)を有する篩を用いて篩い分けしたときに、篩上の残留分と篩を通過した分の嵩密度の差は小さく、概ね0.2g/cm3以下であり、パーライト全体として均一な嵩密度を有している。
【0027】
篩目0.3mmの篩を用いて篩い分けしたときに、篩上の残留分をさらに粉砕して目標嵩密度にしてもよい。実施例の試料B5はこの場合に相当する。
【0028】
本発明のパーライトは、未発泡の粒子が少なく、均一な嵩密度を有する発泡粒子であるため、高品質のパーライトである。未発泡粒子は発泡粒子に比べて密度が大きく重いため、未発泡粒子が多いとパーライト全体で材料分離を生じやすい。このため、パーライトを混合して瓦や壁材などの製品を加工するときに、製品毎に質量のばらつきが生じるなどの問題が生じる。本発明のパーライトは均一な嵩密度を有する発泡粒子によって形成されているのでパーライト全体で材料分離を生じることがなく、このような問題を生じない。
【0029】
本発明の製造方法に係るパーライトは、未発泡粒子が少ないので、未発泡粒子によって発泡粒子が破壊される割合が大幅に低減される。従って、輸送中や製品の製造中などに発泡粒子が破壊され難く、従って、嵩密度の変化が少なく優れた耐久性を有する。
【0030】
一般に、製造したパーライトは製品サイロ等に保管されるが、サイロへの輸送は主に空気輸送によって行われている。空気輸送はパーライトを圧縮空気によって輸送管内を流すので、管内を流れるパーライトは空気圧を受ける。また、経路の途中には垂直ま部分や湾曲した部分があるので、管内を流れるパーライトはしばしば管壁に接触して摩擦される。さらにサイロへの積込み時や保管時、トラックやローリー車による運搬等によってパーライトに衝撃や圧力が加わる。
【0031】
パーライトに未発泡粒子が混在すると、未発泡粒子は発泡粒子よりも重いので、輸送中や積込み時、保管中などに衝撃や圧力が加わると、未発泡粒子が軽量な発泡粒子に衝突して、これを破壊する。従来のパーライトは未発泡粒子が比較的多いので、輸送中などに発泡粒子が破壊される割合が高く、嵩密度が大幅に高くなる。一方、本発明のパーライトは高温で焼成することによって未発泡粒子を大幅に少なくしているので、未発泡粒子による破壊が殆ど生じない。
【0032】
また、本発明は、加熱発泡工程において未発泡粒子が少なくなるように、目標嵩密度よりも小さい嵩密度に発泡させ、その後、破壊されやすい発泡粒子を予め粉砕するので、輸送中などに未発泡粒子によって発泡粒子が破壊されることが少なく、しかも破砕片は軽量微細であるので破砕片が存在しても発泡粒子を破壊することがなく、従って製造後の輸送中や取扱いにおいても嵩密度の変化が小さく、優れた耐久性を有することができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、パーライトの嵩密度、浮水率は以下の方法によって測定した。
【0034】
〔嵩密度〕一定容積S(cm3)の容重枡に試料を充填し、開口からはみ出た部分をすり切り、全体の重量G1を測定し、これから容器の重量G2を差し引いて粉末重量G3(g)を求め、上記容積Sに対する粉末重量G3〔G3/S〕g/cm3を嵩密度とした。
〔浮水率〕浮水率は、約10gの試料を200mlメスシリンダーに入れて水を入れ、十分に攪拌した後に静置し、水の濁りがなくなるまで置き、浮いた試料Vaと沈んだ試料の容積Vbを測定しVa/(Va+Va)×100から浮水率を算出した。
【0035】
〔実施例1(発泡工程)〕
真珠岩の粒子(平均粒径0.2mm)を表1に示す温度に加熱してパーライトを製造した。焼成温度と製造したパーライトの嵩密度および浮水率を表1に示す。A1の試料は800℃で加熱して全体の嵩密度を0.2g/cm3にした一般的なパーライトであり、浮水率86%であるので、浮水率100%−86%=14%に相当する未発泡粒子(見掛比重1.0g/cm3以上)を含んでいる。一方、A2、A3の試料はおのおの900℃、1000℃で加熱し、嵩密度をおのおの0.15g/cm3、0.12g/cm3にしたものであり、目標嵩密度を0.18g/cm3〜0.35g/cm3とするときに、目標嵩密度より低く発泡させたものである。
【0036】
【表1】

【0037】
〔実施例2(粉砕工程)〕
表1の試料A1〜A3をピンミルで粉砕し、表2に示す嵩密度にした。粉砕後の嵩密度および浮水率を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
〔実施例3(空気輸送)〕
表1および表2の試料を風速50m3/minで貯蔵サイロに空気輸送した。空気輸送後の嵩密度、浮水率、0.3mmで篩った場合の篩残留分と通過分の嵩密度差を表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
本発明に係る試料A2およびA3は、目標嵩密度が20〜200%より小さく、具体的には目標嵩密度より約34%〜約83%小さい。A2およびA3を用いて調製したB1〜B4は何れも輸送前と輸送後の嵩密度の差が0.03〜0.09g/cm3であり、嵩密度の増加率は約40%以下である。
【0042】
一方、B6はA3を粉砕して調製した試料であるが、目標嵩密度が大きすぎて浮水率が70%より低いため軽量性を失っている。A1は輸送前後の嵩密度の変化が大きく、従って、輸送後は浮水率が大幅に低下し、軽量性を失っている。
【0043】
A1とB1およびB2を比較すると、これらは何れも輸送前の嵩密度は0.2g/cm3であるが、A1は浮水率14%に相当する未発泡粒子(比較的重い粒子)を含んでいるので、輸送中にこの未発泡粒子が周囲の発泡粒子を破壊し、輸送後の嵩密度が大幅に高くなる(輸送後の嵩密度0.41g/cm3、嵩密度の増加率200%)。一方、B1およびB2の輸送前の嵩密度はA1と同等であり、浮水率はおのおの82%、80%であって、浮水率18%〜20%に相当する非浮水部分を含んでおり、非浮水部分はA1よりも多い。しかし、この非浮水部分は発泡粒子の破砕片であり、A1に含まれる未発泡粒子よりは格段に軽く、従って、輸送中や取扱中などに外力を受けても周囲の発泡粒子に衝撃を与えて破壊することが殆どない。このため、B1およびB2の輸送後の嵩密度は0.26g/cm3〜0.29g/cm3であり、輸送前後の嵩密度の差は0.06〜0.09g/cm3(増加率3〜9%)であり、嵩密度の変化はA1よりも格段に小さい。
【0044】
また、B3、B5は浮水率が75%〜70%であり、非浮水部分がB1、B2より多いが、この非浮水部分は発泡粒子の破砕片であるので、輸送前後の嵩密度の変化はA1よりも格段に小さい。B1〜B5の結果に示すように、本発明のパーライトは、従来と同等程度の嵩密度を有していても、嵩密度の変化が大幅に小さい利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉱物質原料を加熱し発泡させてパーライトを製造する方法であって、加熱発泡工程において発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、嵩密度が目標嵩密度になるように発泡粒子を粉砕することを特徴とするパーライトの製造方法。
【請求項2】
加熱発泡工程において、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より20〜200%小さくなるように原料を加熱発泡させる請求項1に記載するパーライトの製造方法。
【請求項3】
加熱発泡工程において、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度より小さくなるように原料を加熱発泡させた後に、発泡粒子の嵩密度が目標嵩密度になり、かつ浮水率が70%以上になるように発泡粒子を粉砕する請求項1または請求項2に記載するパーライトの製造方法。
【請求項4】
発泡粒子を粉砕した後に、粉砕物の一部または全部を除去する請求項1〜請求項3に記載するパーライトの製造方法。
【請求項5】
真珠岩粉末からなる原料を、嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕する請求項1〜請求項4の何れかに記載するパーライトの製造方法。
【請求項6】
真珠岩粉末からなる原料を、嵩密度0.15g/cm3以下に加熱し発泡させた後に、嵩密度0.18g/cm3〜0.35g/cm3になるように粉砕し、さらに見掛比重1.0g/cm3以上の一部または全部を除去する請求項5に記載するパーライトの製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載する方法で製造され、篩目(孔径)0.3mmの篩で篩分けした残留分と通過分の嵩密度の差が0.2g/cm3以下であることを特徴とするパーライト。