説明

パール光沢組成物の製造方法

【課題】簡易な装置や操作により、白色度に優れ、粗大粒子が少ないパール光沢組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】(A)脂肪酸グリコールエステルを10〜50質量%、(B)脂肪酸モノアルキロールアミド、(C)アルキル硫酸エステル塩、及び(E)水、を、(A)成分の融点以上の温度で攪拌下に混合して、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を含む乳化液を製造する工程(工程1)、及び得られた該乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる工程(工程2)、を含む、パール光沢組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パール光沢組成物の製造方法に関する。さらに詳しくは、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等の付加価値を高めるのに好適に使用しうるパール光沢組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、化粧料、液体洗浄剤等の付加価値を高めるために、パール光沢を与える基剤が用いられている。そこで、パール光沢を付与するための主要成分を濃厚に含むパール光沢組成物が各種検討されている。
【0003】
脂肪酸グリコールエステルはパール光沢組成物における主要成分として各種検討されているが、製品中で直接冷却晶析させる方法や、前もって濃厚分散液を調製し、製品に配合する方法が用いられている。前もって濃厚分散液を調製する方法では、十分なパール光沢を得ようとして脂肪酸グリコールエステルの配合量を増加すると、室温下での粘度が高くなり、流動性が低下する。そこで、特定のノニオン界面活性剤を併用したパール光沢組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、強いパール光沢を維持しつつ、濁度の大きいパール光沢組成物を提供することを課題として、脂肪酸グリコールエステル、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤及び水を含有してなるパール光沢組成物であって、さらに、脂肪酸を0.3〜3重量%を含有してなるパール光沢組成物(特許文献2参照)が提案されている。
【0005】
更に、強いパール光沢を維持しつつ、濁度の大きいパール光沢組成物を提供することを課題として、脂肪酸グリコールエステル及び水を含有してなるパール光沢組成物であって、さらに、脂肪族アルコール、脂肪酸モノグリセリド及び脂肪族エーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族化合物を0.3〜3重量%含有してなるパール光沢組成物が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしこれらの場合、特定の晶析添加剤が必要であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−212031号公報
【特許文献2】特開2008−255110号公報
【特許文献3】特開2009−19194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
パール光沢組成物を化粧料や洗浄剤等に配合する場合、きめの細かなパール光沢の質感を有し、少量の配合で十分なパール感を発現させるためには、パール光沢形成粒子である結晶のサイズが微細な、言い換えれば白色度の高いパール光沢組成物が求められる。しかしながら従来技術で提案された、このようなパール光沢組成物は、その製造時において装置や操作が大きく限定される。さらに、パール光沢組成物に粗大粒子が存在すると使用感を損なってしまう。
【0009】
一般に、製造設備のスケールが大きくなるほど、冷却操作における冷却速度は低下し、攪拌操作における配合槽内の均一性は低下する傾向にある。生産性の向上のためには、装置や操作に限定されずに製造可能な、白色度の高いパール光沢組成物が求められている。
【0010】
よって、本発明の課題は、簡易な装置や操作であっても、白色度に優れ、粗大粒子が少ないパール光沢組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明者らは鋭意検討した結果、脂肪酸グリコールエステル等の成分を攪拌して得られる乳化液に着目し、乳化液を構成する乳化粒子の粒径を特定の範囲に制御することによって、意外にも簡易な装置や操作によって、粗大粒子が少ないパール光沢組成物を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕(A)脂肪酸グリコールエステルを10〜50質量%、
(B)脂肪酸モノアルキロールアミド、
(C)アルキル硫酸エステル塩、及び
(E)水、
を、(A)成分の融点以上の温度で攪拌下に混合して、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を含む乳化液を製造する工程(工程1)、及び
得られた該乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる工程(工程2)、
を含む、パール光沢組成物の製造方法;
〔2〕(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.50〜0.95である、前記〔1〕記載のパール光沢組成物の製造方法;
【0013】
〔3〕(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.50以上0.80未満であり、かつ、工程1における攪拌の条件として、乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力が4(W/m3)以上である、前記〔1〕又は〔2〕記載のパール光沢組成物の製造方法;
〔4〕(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.80〜0.95であり、かつ、工程1における攪拌の条件として、乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力が20(W/m3)以上である、前記〔1〕又は〔2〕記載のパール光沢組成物の製造方法;
〔5〕脂肪酸グリコールエステルが、ステアリン酸とパルミチン酸とを含む脂肪酸とグリコールとのエステルであって、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比(ステアリン酸/パルミチン酸)が20/80〜85/15である、前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載のパール光沢組成物の製造方法;
〔6〕(B)成分の含有量が5〜10質量%である、前記〔1〕〜〔5〕いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法;
〔7〕(C)成分の含有量が5〜10質量%である、請求項1〜6いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法;並びに
〔8〕工程1で得られた乳化液が、更に、(D)ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含む、前記〔1〕〜〔7〕いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法;に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な装置や操作によって、粗大粒子が少ないパール光沢組成物を製造することができるという効果が発揮される。しかも本発明で得られたパール光沢組成物は、白色度が高く、粗大粒子が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のパール光沢組成物の製造方法においては、下記の(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(E)成分を攪拌下に混合して得られる乳化液中の乳化粒子の体積平均粒径を、1〜9μmという従来よりも微細な粒径とし(工程1)、この乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させることで(工程2)、白色度が高く、粗大粒子が少ないパール光沢組成物を得られることを達成することができる。前記乳化液を冷却し、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる際にも、攪拌を継続することによって、該乳化粒子の体積平均粒径1〜9μmを維持することが好ましい。
【0016】
体積平均粒径が1〜9μmという微細な粒径の乳化粒子を得るためには、例えば、後述するように(B)成分と(C)成分とのモル比を調整して(A)成分を結晶化させることと、投下動力(攪拌力)とのバランスにより、達成することができる。これにより、乳化粒子の油水界面における(B)成分と(C)成分の存在状態を変化させることで、(A)成分の多量な核発生を促し、(A)成分による微細な結晶が得られるのではないかと考えられる。
【0017】
本発明によって得られるパール光沢組成物は、(A)脂肪酸グリコールエステル、(B)脂肪酸モノアルキロールアミド、(C)アルキル硫酸エステル塩、及び(E)水を含有し、更に(D)ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。以下、各成分について記載する。
【0018】
[パール光沢組成物]
本発明で用いる(A)成分の脂肪酸グリコールエステルとしては、例えば、式(I):
Y−O−(CHR1CH2O)p−COR2 (I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Yは水素原子又は−COR2(R2は前記と同じ)を示し、pは1〜3の数で、平均付加モル数を意味する)で表わされるものが挙げられる。
【0019】
上記のように、R2は炭素数13〜21の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。よって、脂肪酸グリコールエステルが脂肪酸とグリコールとから構成されることを鑑みると、該脂肪酸としては、炭素数14〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸が該当する。パール光沢組成物の白色度の観点から、該脂肪酸としては、ステアリン酸及びパルミチン酸を含むことが好ましく、他の炭素数14、15、17、19〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸を含有していてもよい。
【0020】
脂肪酸グリコールエステルを構成する脂肪酸としては、パール光沢組成物の白色度の観点から、好ましくはステアリン酸とパルミチン酸とを含み、それらの合計含有量としては、脂肪酸グリコールエステルを構成する全脂肪酸中の好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは100質量%である。
【0021】
なお、本発明において、脂肪酸グリコールエステルを構成する脂肪酸とは、脂肪酸グリコールエステルの原料となり得る脂肪酸のことであり、例えば、炭素数1〜3の低級アルコールの脂肪酸エステルとグリコールとのエステル交換により脂肪酸グリコールエステルを製造する場合であっても、脂肪酸として換算する。
【0022】
例えば、パルミチン酸とステアリン酸の混合物とエチレングリコールとの反応からは、ジパルミチン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸モノステアリン酸エチレングリコール、及びジステアリン酸エチレングリコールの混合物が得られる。
【0023】
パール光沢組成物の白色度の観点から、脂肪酸グリコールエステルがステアリン酸とパルミチン酸とを含む脂肪酸とグリコールとのエステルであって、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比(ステアリン酸/パルミチン酸)は、好ましくは20/80〜85/15、より好ましくは35/65〜82/18、さらに好ましくは40/60〜80/20、よりさらに好ましくは45/55〜75/25である。
【0024】
pは、パール光沢組成物の白色度の観点から、1〜3であり、1が好ましい。
【0025】
また、脂肪酸グリコールエステルは、式(I)で表されるように、Yが水素原子である場合のモノカルボン酸エステル、Yが−COR2である場合のジカルボン酸エステルのいずれであってもよいが、白色度と光輝度の観点から、Yが−COR2である場合のジカルボン酸エステルが好ましい。ジカルボン酸エステルにおいて、R2は同一であっても、異なっていてもよい。
【0026】
(A)成分としては、パール光沢組成物の白色度の観点から、2種以上の脂肪酸グリコールエステルが併用されている方が好ましい。2種以上の脂肪酸グリコールエステルを併用する場合、それぞれ調製された脂肪酸グリコールエステルの混合物であってもよく、異なるアルキル鎖長の脂肪酸の混合物とグリコールを用い、それらを反応させて得られた脂肪酸グリコールエステルの混合物であってもよい。即ち、全脂肪酸に占める単一の脂肪酸の最大の割合が、好ましくは85質量%以下のもの、より好ましくは80質量%以下のもの、さらに好ましくは75質量%以下のもの、よりさらに好ましくは70質量%以下のものであり、好ましくは15質量%以上のもの、より好ましくは20質量%以上のもの、さらに好ましくは25質量%以上のもの、より更に好ましくは45質量%以上のものである。2種以上の中では、2〜5種類が好ましく、2〜3種類がより好ましい。これらの観点から、全脂肪酸に占める単一の脂肪酸の最大の割合が15〜85質量%のものが好ましく、20〜80質量%のものがより好ましく、25〜75質量%のものがさらに好ましく、45〜70質量%のものがよりさらに好ましい。
【0027】
脂肪酸グリコールエステルを構成するグリコールとしては、上記の式(I)に対応したもの、即ち、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコールが例示される。これらの中で、結晶性の制御の観点からエチレングリコールが好ましい。
【0028】
脂肪酸グリコールエステルのパール光沢組成物中の含有量は、パール光沢付与の観点から、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上がさらに好ましく、流動性の観点から、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。これらの観点から、脂肪酸グリコールエステルの含有量は、パール光沢組成物中、10〜50質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましく、18〜25質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明で用いる(B)成分の脂肪酸モノアルキロールアミドは、パール光沢の向上に有効であり、例えば、式(II):
3CO−NH−R4OH (II)
(式中、R3は炭素数7〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R4はエチレン基又はプロピレン基を示す)
で表わされるものが挙げられる。
【0030】
式(II)において、R3としては、炭素数7〜20のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ウンデシル基、トリデシル基、ヘプタデシル基等が挙げられる。また、R4としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。
【0031】
脂肪酸モノアルキロールアミドとしては、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノプロパノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ミリスチン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ科植物油脂肪酸モノエタノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでは、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パルミチン酸モノエタノールアミド及びステアリン酸モノエタノールアミドが好ましい。
【0032】
脂肪酸モノアルキロールアミドのパール光沢組成物中の含有量は、結晶微細化の観点から、5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、パール光沢組成物の粘度の上昇を抑制し、流動性を高める観点から、10質量%以下が好ましい。これらの観点から、脂肪酸モノアルキロールアミドの含有量は、パール光沢組成物中、5〜10質量%が好ましく、6〜10質量%がより好ましく、7〜10質量%がさらに好ましい。
【0033】
本発明で用いる(C)成分のアルキル硫酸エステル塩は、各成分を均一に混合するのに有効であり、例えば、式(III):
5−O−(R6O)r−SO3M (III)
(式中、R5は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R6はエチレン基又はプロピレン基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムイオン又は炭素数2若しくは3のヒドロキシアルキル置換アンモニウムを示し、rは0〜8の数で、平均付加モル数を意味する)で表わされる、ポリオキシアルキレン基を有していてもよいアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0034】
式(III)において、R5としては、炭素数8〜20、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。R6としては、エチレン基、プロピレン基が挙げられ、エチレン基が好ましい。rは0〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0035】
アルキル硫酸エステル塩の好適例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイド(EO)の平均付加モル数:1〜4)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(EOの平均付加モル数:1〜4)及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン(EOの平均付加モル数:1〜4)が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0036】
アルキル硫酸エステル塩のパール光沢組成物中の含有量は、各成分を均一に混合する観点から、5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、結晶微細化による白色度向上の観点から、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましい。これらの観点から、アルキル硫酸エステル塩の含有量は、5〜10質量%が好ましく、6〜9質量%がより好ましく、7〜9質量%がさらに好ましい。
【0037】
本発明のパール光沢組成物中の(B)成分と(C)成分との合計量は、各成分を均一に混合する観点から、10質量%以上が好ましく、白色度向上及び組成物の流動性の観点から、20質量%以下が好ましい。これらの観点から、パール光沢組成物中の(B)成分と(C)成分との合計量は、10〜20質量%が好ましく、12〜20質量%がより好ましく、14〜20質量%がさらに好ましい。
【0038】
本発明のパール光沢組成物中の(B)成分と(C)成分とのモル比に関しては、好ましくは(C)成分/(B)成分が0.50〜0.95であることが、白色度が高く、きめの細かなパール光沢の質感を有するパール光沢組成物を得るために好ましい。(B)成分と(C)成分とのモル比(C/B)は、各成分を均一に混合する観点及び流動性の観点から0.50以上が好ましい。また、白色度の高いパール光沢組成物を得る観点から、0.95以下が好ましい。これらの観点から、パール光沢組成物中の(B)成分と(C)成分とのモル比は、(C)成分/(B)成分=0.50〜0.95が好ましく、0.55〜0.92が好ましく、0.60〜0.90がより好ましく、0.65〜0.90が更に好ましい。
【0039】
このモル比と後述する一定の攪拌投下動力とにより、パール光沢形成成分である、脂肪酸グリコールエステルを含む微細なパール光沢形成粒子が多量に析出し、白色度が高いパール光沢組成物が得られると考えられる。詳細は不明なるも、このモル比により、(B)成分と(C)成分の存在状態が(A)成分の多量な核発生を促し易いためと考えられる。なお、本発明において、パール光沢組成物の白色度を示す値として、後述の実施例に示されるW値を使用することができる。W値は、光沢性を付与する観点から、16〜25が好ましく、17〜23がより好ましく、18〜21が更に好ましい。
【0040】
本発明で用いる(D)成分のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤は、パール光沢組成物の粘度を低下させるのに有効であり、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノアルカノールアミド、ポリオキシアルキレン脂肪酸ジアルカノールアミド等が挙げられ、それぞれ単独であっても2種以上が併用されていてもよい。
【0041】
これらのうち、式(IV):
7−O−(R8O)q−H (IV)
(式中、R7は炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基、R8はエチレン基又はプロピレン基を示し、qは好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6の数で、平均付加モル数を意味する)で表わされるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0042】
式(IV)において、R7としては、炭素数8〜20、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。また、R7としては、エチレン基、n−プロピレン基及びイソプロピレン基が挙げられる。qは3〜6が好ましい。
【0043】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のHLBは、パール光沢組成物の乳化を抑制し、粘度を制御する観点から、18未満が好ましく、9〜15がより好ましく、9〜12がさらに好ましい。なお、HLBとは、親水性−親油性のバランス(Hydrophilic-Lipophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田・寺村らによる式(V):
HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10 (V)
を用いて算出したときの値である。
【0044】
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のパール光沢組成物中の含有量は、パール光沢組成物の粘度を低下させる観点から、0.5質量%以上が好ましく、良好なパール光沢を得る観点から、10質量%以下が好ましい。これらの観点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の含有量は、パール光沢組成物中、0.5〜10質量%が好ましく、0.5〜8質量%がより好ましく、1〜6質量%がさらに好ましく、2〜6質量%がより好ましい。
【0045】
本発明のパール光沢組成物は(E)成分として水を含有し、パール光沢組成物における水の含有量は、パール光沢組成物の濃度及び粘度調整の観点から、25〜70質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、50〜65質量%がさらに好ましい。
【0046】
パール光沢組成物には、さらに、pH調整剤、防腐剤、塩類、アルコール類、ポリオール類等を適宜配合してもよい。
【0047】
[パール光沢組成物の製造方法]
本発明のパール光沢組成物の製造方法は、
(A)脂肪酸グリコールエステルを10〜50質量%、
(B)脂肪酸モノアルキロールアミド、
(C)アルキル硫酸エステル塩を5〜10質量%、及び
(E)水、
を、(A)成分の融点以上の温度で攪拌下に混合して、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を含む乳化液を製造する工程(工程1)、及び
得られた該乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる工程(工程2)、
を含む、パール光沢組成物の製造方法である。さらに必要に応じて(D)成分を工程1で配合しても良い。この場合、乳化液中に(D)成分を含有させることになる。
【0048】
工程1
(A)成分〜(E)成分の原料の添加順序はいずれであってもよい。(A)成分の融点以上の温度で各成分を溶融混合して乳化液を得る際の攪拌により、脂肪酸グリコールエステルを含む油性成分は乳化粒子となり、溶融混合液内に分散される。攪拌により溶融混合液の乳化が進行し、乳化液が得られる。得られる乳化液中の乳化粒子の液滴径(体積平均粒径)を1〜9μmとなるように、好ましくは1〜8.5μm、より好ましくは2〜8.5μmとなるように、(B)成分と(C)成分とのモル比および攪拌条件を決定することが、白色度が高く、粗大粒子の少ない均一なパール光沢組成物を得る上で必要である。液滴径が9μmより大きくなると、白色度が低下し、粗大な粒子が生成するとともに、外観や使用時の感触を損なうためよくない。
【0049】
乳化液を得る際の温度、すなわち乳化温度は、(A)成分の融点以上の温度であり、(A)成分の融点+3℃以上100℃未満が好ましく、(A)成分の融点+5℃以上95℃未満がより好ましい。
【0050】
乳化液を調製するための装置としては、各成分を攪拌するための攪拌手段や各成分の加熱や冷却をするための温度調節手段を備えた槽が好ましい。攪拌手段としては、回転翼を供えた回分式撹拌槽が簡易で汎用的であり好ましい。
【0051】
槽の大きさは、特に限定されないが、例えば0.3Lから20m3の槽を使用することができる。工業的スケールで大量生産する場合、100Lから20m3の配合槽を使用することが好ましい。
【0052】
乳化液を製造する際の、(C)成分と(B)成分との好ましいモル比(C/B)は0.50〜0.95であるが、このモル比が0.5以上0.8未満の場合、乳化粒子が極めて小さくなるので、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を得るための攪拌力は小さくともよい。従って、(C)成分と(B)成分とのモル比(C/B)が0.5以上0.8未満の場合、前記攪拌の条件として、乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力(W/m3)が4以上が好ましく、8以上が更に好ましく、10以上がより更に好ましく、4〜2000が好ましく、8〜2000がより好ましく、10〜1000がより更に好ましい。
【0053】
乳化液を製造する際の(C)成分と(B)成分とのモル比(C/B)が0.8以上0.95以下の場合は、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を得るための攪拌力、即ち乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力は20(W/m3)以上が好ましく50以上が更に好ましく、100以上がより更に好ましく、20〜5000が好ましく、50〜5000がより好ましく、100〜3000がより更に好ましい。
【0054】
なお、撹拌条件の指標として、本願では乳化液単位体積あたりの撹拌投下動力を用いる。一般に乳化液単位体積あたりの撹拌投下動力は撹拌装置の動力特性を基に算出する方法(式VII)で求めることができる。なお乳化温度における乳化液密度をρ(kg/m3)、乳化液の仕込量をM(kg)、撹拌回転数をN(r/s)、最大の翼径(直径)をd(m)とする。乳化液単位体積は、乳化温度での体積である。
撹拌投下動力(W/m3)=Np×ρ2×N3×d5/M (VII)
【0055】
なお、Npは動力数(無次元)であり、使用した撹拌装置の動力特性を表し、撹拌装置の形状・寸法・撹拌レイノルズ数Reによって決定される値である。様々な撹拌装置に適用可能な動力数の推算式は複数報告されており、その好ましい一例として、邪魔板のない場合のパドル翼に関する亀井・平岡の式がある(式VIII)。
Np=(1.2π4β2)/(8d3/D2/H)×f (VIII)
【0056】
ここでD(m)は槽内径(最大の内径)、H(m)は液深さ(仕込み液の最大深さ)である。βは式(IX)で定義される演算値である。
β=2ln(D/d)/(D/d−d/D) (IX)
【0057】
fは、摩擦係数である。fは、Red、CL、Ct、Ctr、f∞の関数となっており、式の詳細は次の公知文献に記されている。
尚、CL、Ct、Ctrは、d、D、H、b、nP等の関数として表される。
b:最大翼幅(高さ)(m)、nP:翼の枚数
【0058】
Kamei, N., S. Hiraoka, Y. Kato, Y. Tada, H. Shida, Y. S. Lee, T. Yamaguchi and S. T. Koh; "Power Correlation for Paddle Impellers in Spherical and Sylindrical Agitated Vessels," Kagaku Kogaku Ronbunshu, 21, 41-48 (1995)
【0059】
すなわち使用する撹拌装置の形状・寸法のパラメータであるd、D、Hなどを与えることにより、亀井・平岡の式(式VIII)よりNpはRedのみに依存する装置固有の関数として表すことができる。なお、Redは次の式Xで定義される。
Red=Nd2ρ/μ (X)
【0060】
ここでμ(Pa・s)は液粘度である。液粘度はB型粘度計によって測定可能である。測定時の温度は乳化温度、測定条件は、回転数60RPM、測定時間1分、ローターは、3番を基準として用いるが、粘度が高すぎて測定できない場合は4番、粘度が低すぎて測定できない場合は2番等を順次用いる。
【0061】
攪拌装置に装備される攪拌翼の形状は、一般の混合操作に用いられるものでよく、好ましくは、パドル(ピッチドパドルを含む)、プロペラ、タービン、アンカー、ヘリカルリボンなどが挙げられ、攪拌装置には邪魔板、固定翼、掻き取り翼を付属していてもよい。本発明における溶融混合液は粘度が0.2〜2Pa・s程度と比較的粘度の高い流体であり、このような場合は均一混合性の観点から、攪拌翼の形状としてはパドル、アンカー、ヘリカルリボンが好ましく、パドルがより好ましい。特に固定翼や掻き取り翼を付属した攪拌装置が好ましく、例えば、みづほ工業製真空乳化攪拌装置VQ型、プライミクス製T.Kアジホモミクサーなどが挙げられる。
【0062】
攪拌速度(r/s)は、一般に、0.1〜5が好ましく、0.2〜3がより好ましい。
【0063】
乳化粒子の液滴径(体積平均粒径)を1〜9μmとなるように乳化液滴を攪拌する時間は、スケールにもよるが、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上であり、5時間以内が好ましく、3時間以内がより好ましい。即ち、攪拌時間としては、10分〜5時間が好ましく、30分〜5時間がより好ましく、30分〜3時間がさらに好ましい。
【0064】
原料の溶融混合液の温度は、脂肪酸グリコールエステル混合物の融解終了温度以上の温度が好ましく、混合物の沸点以下の温度が好ましい。また、脂肪酸グリコールエステルの融解終了温度より1〜20℃高い温度がより好ましく、1〜10℃高い温度がさらに好ましい。
【0065】
工程2
工程2では、得られた該乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる。冷却は、平均冷却速度として、光輝度と白色度の点から、上限は20℃/minが好ましく、15℃/minがより好ましく、10℃/minがさらに好ましく、5℃/minがさらにより好ましく、1℃/minが最も好ましい。下限は0.05℃/minが好ましく、0.1℃/minがより好ましく、0.15℃/minがさらに好ましい。かかる観点から、冷却速度は0.05〜20℃/minが好ましく、0.1〜15℃/minがより好ましく、0.15〜10℃/minがさらに好ましく、0.15〜5℃がよりさらに好ましく、0.15〜1℃がよりさらに好ましい。
【0066】
パール光沢形成粒子が結晶化した後は、さらに冷却して、結晶を安定化させることが好ましく、液温が10〜45℃、好ましくは15〜40℃となるまで冷却することが望ましい。
【0067】
乳化液の冷却は、溶解液が分離しないように、攪拌しながら行うことが好ましい。
【0068】
冷却は、温度分布がより均一となる方法が好ましい。具体的な方法としては、例えば、溶融混合液をジャケットが付帯した配合槽で調製し、該ジャケットに冷媒水を通水する方法等があげられる。
【0069】
得られたパール光沢組成物は、界面活性剤等の適宜洗浄剤成分と混合して、洗浄剤とすることができる。洗浄剤中のパール光沢組成物(純分)は、好ましくは0.5〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
【実施例】
【0070】
以下、本発明の態様を実施例によりさらに記載し、開示する。かかる実施例は単なる本発明の例示であり、何ら限定を意味するものではない。
【0071】
各実施例及び各比較例で得られたパール光沢組成物の諸性質は、以下の方法によって測定した。
<乳化粒子径の測定>
ブロック状のドライアイスを2塊準備した。冷却操作を行う前の乳化液を約1gサンプリングし、速やかに一方のドライアイス上に垂らし、もう一方のドライアイスで挟むことで、ドライアイスの平面間で乳化液を急冷固化させた。固化物を100倍量(質量)の室温の水に投入することで、冷却操作前の乳化液内の乳化粒子がその大きさ、形を変えず固化状態で分散した調製液を得ることができた。このことはホットプレート付の乳化温度での顕微鏡観察を行うことで確認することができた。調製液に分散している固化状態の乳化液滴の体積基準平均液滴径を、レーザー散乱/回折式粒度分布測定器(HORIBA LA−920)にて相対屈折率1.2の条件で測定し、この値を乳化粒子の体積平均粒径とした。
【0072】
<パール光沢組成物の白色度>
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王製、商品名:エマールE−27C)を純分で19.5質量%含む水溶液で、パール光沢組成物を33.3倍(質量比)に希釈したものを、黒色のフォルダに装着した丸型セル(日本電色製、35Φ×15H、パーツNo.2301)に1gを測り取った。これを5分間静置した後に、色彩色差計(KONICA MINOLTA製、CR-400)のC光源で丸型セルの底面からL(明度)、b(色相・彩度)を暗室などの遮光した条件下で測定し、ASTM(米国材料試験協会)が定義(E-313)する次式によりW値を求めた。
W値=(7L2−40Lb)/700
【0073】
W値はパール光沢組成物の白さ、言いかえれば濁度を表す指標として用いた。W値が高いほどパール光沢組成物は白く濃くなる。
【0074】
<パール光沢組成物のパール光沢性>
パール光沢組成物を水で20倍(質量比)に希釈し、肉眼にてパール光沢の外観を観察し、以下の基準に従って評価した。なお、気泡の混入しているものは遠心分離に掛け、脱泡を行った後に目視で評価した。
【0075】
〔評価基準〕
A:強い光沢が認められる。
B:光沢が認められる。
C:光沢がない。
【0076】
<粗大粒子の存在>
パール光沢組成物約1gを黒色板上に定規等を用いて薄く延ばし、目視で観察した。同様の操作を3回行い、目視で確認できる大きさの粒子が存在するか、以下の基準に従って評価した。なお、目視で確認できる大きさの粒子とは一般に50μm以上のサイズである。
【0077】
〔評価基準〕
A:3回とも確認されなかった。
B:1回のみ確認された。
C:2回以上確認された。
【0078】
<脂肪酸グリコールエステルの融点>
示差走査熱量計(Thermo plus DSC8230, Rigaku製)を用い、脂肪酸グリコールエステルを5℃/minで昇温し、得られる融解のピークトップを融点とした。
【0079】
実施例1〜9及び比較例1〜4
表1及び表2に示す脂肪酸グリコールエステル、脂肪酸モノアルキロールアミド、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、水及びその他成分を、T.Kアジホモミクサー(プライミクス株式会社製)にて、80℃で1時間、混合、攪拌して乳化液を得た。装置スケール(仕込量M)は実施例4〜6については100L(60kg)、その他の例では5L(3kg)とした。攪拌はパドル翼を用いた。各製造例における製造条件は表中に示した。なお、乳化液の80℃における密度ρおよび粘度μはいずれの例も等しく、それぞれ950kg/m3、0.7Pa・sであった。粘度μは小数点2桁目を四捨五入したものを用いた。
【0080】
各例における攪拌投下動力は、式VIIを用いて算出し表中に示した。乳化粒子径測定のためのサンプリング操作を行った後、0.2℃/minの冷却速度で20℃まで冷却し、パール光沢組成物を得た。なお、冷却中の攪拌操作は溶融混合時と同様の条件で行った。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
注)表中の組成は純分の質量%を示す。カッコ内の数字はエチレンオキサイドの付加モル数を示す。
ジ脂肪酸エチレングリコール:パルミチン酸(C16)/ステアリン酸(C18)=50/50(質量比)の混合物とエチレングリコールとのエステル、融点:61.8℃
1)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル製、商品名:アミゾールCME):平均分子量267.1(但し、この平均分子量は、原料のヤシ油脂肪酸の平均炭素数を12.8として算出した値である。)
2)ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(花王製、商品名:エマールE−27C、濃度27%):分子量376.6(但し、表中の組成値はポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの有効分)
3)ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル[HLB:9.7](花王株式会社製、商品名:エマルゲン504K)
【0084】
以上の結果より、実施例1〜9は、製造時の溶融混合液内の乳化液滴径が1〜9μmであり、得られたパール光沢組成物は白色度の高いパール光沢を有し、流動性もあり、肉眼で観察できるほどの粗大粒子はほとんど存在しないことが分かった。
【0085】
これに対し、比較例1〜3では、製造時の溶融混合液内の乳化液滴径が9μmより大きく、パール光沢組成物に粗大粒子の存在が確認できた。乳化液滴径が9μmより大きく、かつ(C)成分と(B)成分とのモル比(C)成分/(B)成分の値が0.95よりも大きいパール光沢組成物(比較例4)では、粗大粒子はほとんど存在しなかったものの、白色度の高いパール光沢が得られないことが分かった。
【0086】
また(C)成分/(B)成分のモル比が0.80〜0.95であって、溶融混合時の攪拌投下動力が20より小さい製造条件で得られたパール光沢組成物(比較例2、3)は比較例4に比べやや高い白色度を有するものの粗大な結晶を多く含むことが分かった。さらに(C)成分/(B)成分のモル比値が0.80未満であって、溶融混合時の攪拌投下動力が4より小さい製造条件で得られたパール光沢組成物(比較例1)は高い白色度を有するものの粗大な結晶を多く含むことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明のパール光沢組成物は、シャンプー、リンス、ボディシャンプー、液体洗浄剤等に好適に用いられるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)脂肪酸グリコールエステルを10〜50質量%、
(B)脂肪酸モノアルキロールアミド、
(C)アルキル硫酸エステル塩、及び
(E)水、
を、(A)成分の融点以上の温度で攪拌下に混合して、体積平均粒径1〜9μmの乳化粒子を含む乳化液を製造する工程(工程1)、及び
得られた該乳化液を冷却して、(A)成分を含むパール光沢形成粒子を結晶化させる工程(工程2)、
を含む、パール光沢組成物の製造方法。
【請求項2】
(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.50〜0.95である、請求項1記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項3】
(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.50以上0.80未満であり、かつ、工程1における攪拌の条件として、乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力が4(W/m3)以上である、請求項1又は2記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項4】
(C)成分と(B)成分のモル比(C/B)が0.80〜0.95であり、かつ、工程1における攪拌の条件として、乳化液単位体積あたりの攪拌投下動力が20(W/m3)以上である、請求項1又は2記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項5】
脂肪酸グリコールエステルが、ステアリン酸とパルミチン酸とを含む脂肪酸とグリコールとのエステルであって、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比(ステアリン酸/パルミチン酸)が20/80〜85/15である、請求項1〜4いずれか記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項6】
(B)成分の含有量が5〜10質量%である、請求項1〜5いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項7】
(C)成分の含有量が5〜10質量%である、請求項1〜6いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法。
【請求項8】
工程1で得られた乳化液が、更に、(D)ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤を含む、請求項1〜7いずれかに記載のパール光沢組成物の製造方法。


【公開番号】特開2013−67712(P2013−67712A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206563(P2011−206563)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】