説明

ヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘリコバクターピロリ抗菌剤および竹抽出組成物、

【課題】天然物である孟宗竹表皮を原料とする安全で摂取しやすい竹抽出組成物を成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘリコバクターピロリ抗菌剤および天然物である孟宗竹表皮を原料とする安全で摂取しやすい竹抽出組成物を提供する。
【解決手段】加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出し、抽出された竹抽出組成物を有効成分として含有する。竹抽出組成物がヒアルロニダーゼ活性阻害作用やヘリコバクターピロリ菌に対して効果的な殺菌作用を有するので、ヒアルロニダーゼ活性に影響されるアレルギーやヘリコバクターピロリ菌に起因する胃炎等の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
竹は切断して放置した場合、切り口にはカビが生えるが、表面には生えず、長時間そのままでも腐らない。また、虫が入る場合も表面から入らず、必ず中の部分に入ってくる。このような現象から竹の表皮、甘皮といわれる部分に抗菌作用があることは、昔から知られていた。このため、孟宗竹から水及び有機溶媒等を用いて抽出し、得られた竹抽出物は、抗菌剤、日持ち向上剤として利用され、また食品添加物として指定されていることから、さまざまな食品に添加されその効果を発揮している。例えば、竹粉砕物をエタノールなどの有機溶剤で抽出した抽出液を乾固したものを消臭剤に用いる利用方法(特許文献1)、竹表皮及び甘皮部分を超微細に粉砕したものを塗布した抗菌及び脱臭性に優れた布製品に用いる利用方法(特許文献2)、表皮部分粉粒物を高圧釜で乾留後有機溶剤等からの抽出液を用いた外用脱臭除菌剤(特許文献3)、竹表皮とお酢とを混合した栄養ドリンク剤(特許文献4)などが開発されている。また、クマササに抗炎症作用があることも知られている(非特許文献1)。
本発明は、竹の表皮から抽出される竹抽出組成物を成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘリコバクターピロリ抗菌剤および竹の表皮から抽出される竹抽出組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々なアレルギーを有する人が存在し、抗アレルギー効果を有する薬剤等が開発されている。竹抽出物でも、孟宗竹の茎又はハチクの葉の有機溶剤抽出物に抗アレルギー効果があることが知られている(特許文献5、6)。
しかしながら、竹抽出物に含まれる成分のうち、抗アレルギー効果に寄与する成分は特定されておらず、竹抽出物がどのアレルギーに対して効果を有するか、また、竹抽出物のどの成分がアレルギーに対して効果を有するかについては完全には把握できていない。
【0003】
個々の抗アレルギー剤がどのアレルギーに対して効果を有するかについては、抗アレルギー剤に含まれる成分によって判断できる場合もあるが、通常は、抗アレルギー効果を測定する各種試験の結果に基づいて判断されている。なぜなら、アレルギーの作用機序は複雑であり、全ての抗アレルギー効果を正当に評価できる試験方法はいまだ確立されていないからである。
【0004】
一般的な抗アレルギー効果測定方法として、ヒスタミン遊離抑制試験やロイコトリエン分泌抑制試験等が知られている。
ヒスタミン遊離抑制試験は、ヒスタミンを代表とする多数の活性物質が肥満細胞や好塩基球から遊離されることが、アレルギーの症状に影響を与えていることに基づいて抗アレルギー効果を測定する試験法である。
また、ロイコトリエン分泌抑制試験は、ロイコトリエンが即時型アレルギー反応時に、肥満細胞や好塩基球から放出される化学伝達物質の1つであることに基づいて抗アレルギー効果を測定する試験法である。
【0005】
近年、抗アレルギー効果を測定する他の試験方法として、ヒアルロニダーゼ阻害活性を試験する方法も開発されている。
ヒアルロニダーゼは、動物の結合組織に広く分布しているヒアルロン酸の加水分解酵素である。このヒアルロニダーゼは、生体内のヒスタミン放出に先立ち活性が増大するといわれている。しかも、ヒアルロニダーゼ阻害活性とヒスタミン放出抑制には正の相関があり、ヒアルロニダーゼ阻害活性には抗アレルギー作用が期待されている(非特許文献2)ことから、ヒアルロニダーゼ阻害活性を試験することによって、抗アレルギー効果が測定されるのである。
【0006】
現在、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤としては、テアフラビン類を有効成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤(特許文献7)や、穀物由来の有機溶媒抽出物アセトン不溶性成分を用いたヒアルロニダーゼ活性阻害剤(特許文献8)が知られている。
【0007】
しかしながら、竹抽出物を成分として含む抗アレルギー剤であって、ヒアルロニダーゼ阻害活性に基づいた抗アレルギー効果を有するものは報告されていない。
【0008】
また、わが国におけるHelicobacter pylori(H.pylori)感染率は全人口の約50%であり、また、ヘリコバクターピロリ菌は胃炎の80%以上に関与していると言われ、米国のNational Institute of Healthでは胃潰瘍や十二指腸潰瘍患者は、酸分泌抑制薬に加えてピロリ菌の除菌治療を受けるべきであると勧告している。また、胃癌との関連については1994年にWHOから「ピロリ菌は胃癌発生につながる病態の原因になる。」としてWHO発癌物質分類のグループ1と認定されている。
【0009】
ピロリ菌の治療には、除菌治療が最も有効と考えられるが、安易に不十分な除菌治療が行われることは、耐性菌の出現を増加させ、除菌後に新たに逆流性食道炎が発生する症例がわが国では約10%報告されており、除菌治療には注意が必要である。
【0010】
現在、糖質のアラビノキシランを主成分とした竹抽出物にヘリコバクターピロリ菌抗菌作用があることが知られている(特許文献9)。アラビノキシランは、アラビノースとキシロースの総称であり、細胞壁の主要な成分であるヘミセルロースの主成分であり、イネ科タケ類植物、オリーブ葉等のヘミセルロースに含まれている。
【0011】
しかしながら、特許文献9の技術では、水やエタノールによって抽出された竹抽出物であり、竹抽出物に含まれる糖脂質等の脂質がヘリコバクターピロリ菌抗菌活性について報告した例は見あたらない。
【0012】
【特許文献1】特開平9−094290号公報
【特許文献2】特開平6−073665号公報
【特許文献3】特開平5−306232号公報
【特許文献4】特開平5−095769号公報
【特許文献5】特開平9−278662号公報
【特許文献6】特開2003−212786号公報
【特許文献7】特許第3242997号公報
【特許文献8】特開平2003−252778号公報
【特許文献9】特開平2002−322079号公報
【非特許文献1】昭和医学会雑誌第48巻 第5号 595−600(1988)
【非特許文献2】掛川寿夫ら:炎症,4,437(1984)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は上記事情に鑑み、天然物である孟宗竹表皮を原料とする安全で摂取しやすい竹抽出組成物を成分として含むヒアルロニダーゼ活性阻害剤、ヘリコバクターピロリ抗菌剤および天然物である孟宗竹表皮を原料とする安全で摂取しやすい竹抽出組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤は、加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出し、抽出された竹抽出組成物のうち、水相に含まれる成分を有効成分として含有することを特徴とする。
なお、本明細書において、水相とは極性を有する相のことを意味しており、水相には水からなる相だけでなく、水とアルコール等の極性の比較的強い有機溶媒からなる相や、アルコール等の極性の比較的強い有機溶媒のみからなる相も含まれている。
第2発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤は、第1発明において、前記加水分解法が、酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法であることを特徴とする。
第3発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤は、第1発明において、前記加水分解法が、アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法であることを特徴とする。
第4発明のヘリコバクターピロリ抗菌剤は、加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出し、抽出された竹抽出組成物のうち、有機溶媒相に含まれる成分を有効成分として含有することを特徴とする。
第5発明のヘリコバクターピロリ抗菌剤は、第4発明において、前記加水分解法が、酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法であることを特徴とする。
第6発明のヘリコバクターピロリ抗菌剤は、第4発明において、前記加水分解法が、アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法であることを特徴とする。
第7発明の竹抽出組成物は、加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出したものであり、前記加水分解法が、酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法であることを特徴とする。
第8発明の竹抽出組成物は、加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出したものであり、前記加水分解法が、アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法であることを特徴とする。
第9発明の竹抽出組成物は、第7または第8発明において、前記有機溶媒が、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノールの内、1種又は任意の2種以上を組み合わせたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、竹抽出組成物がヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有するので、ヒアルロニダーゼ活性に影響されるアレルギーを抑制することができる。
第2発明によれば、酸により竹繊維が効果的に加水分解されるので、ヒアルロニダーゼ活性阻害に効果的な有効成分が抽出されやすくなる。
第3発明によれば、アルカリにより竹繊維が効果的に加水分解されるので、ヒアルロニダーゼ活性阻害に効果的な有効成分が抽出されやすくなる。
第4発明によれば、竹抽出組成物がヘリコバクターピロリ菌に対して効果的な殺菌作用を有するので、ヘリコバクターピロリ菌に起因する胃炎等の発生を抑制することができる。
第5発明によれば、酸により竹繊維が効果的に加水分解されるので、ヘリコバクターピロリ菌の殺菌に効果的な有効成分が抽出されやすくなる。
第6発明によれば、アルカリにより竹繊維が効果的に加水分解されるので、ヘリコバクターピロリ菌の殺菌に効果的な有効成分が抽出されやすくなる。
第7発明によれば、竹抽出組成物には生体に対して有効な種々の糖脂質が含まれているので、竹抽出組成物を機能性食品の素材として使用すれば、生体に対して有効な種々の糖脂質を生体に供給することができる。しかも、酸により竹繊維が効果的に加水分解され、有効成分が抽出されやすくなる。
第8発明によれば、竹抽出組成物には生体に対して有効な種々の糖脂質が含まれているので、竹抽出組成物を機能性食品の素材として使用すれば、生体に対して有効な種々の糖脂質を生体に供給することができる。しかも、アルカリにより竹繊維が効果的に加水分解され、有効成分が抽出されやすくなる。
第9発明によれば、竹繊維が効果的に加水分解され、有効成分が抽出されやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、竹の表皮から抽出される物質であって種々の機能を有する組成物(以下、竹抽出組成物という)、この竹抽出組成物を成分として含むヘリコバクターピロリ抗菌剤およびヒアルロニダーゼ活性阻害剤に関する。
【0017】
本発明の竹抽出組成物の原料となる竹には、例えば、孟宗竹、真竹等の竹類に属する種々の植物が含まれる。竹類は、いわゆる亜熱帯地域から温帯地域、寒冷地域に広く分布しており、多くの品種が存在するが、いずれの地域に生息する竹、いずれの品種に属する竹も原料として使用することが可能である。
また、竹表皮とは、主に竹の幹における青い表皮の部分を意味する。例えば、竹の幹の表面から0.1〜2.0ミリ程度の厚さで削りだしたものを竹表皮として使用することができる。このとき、前述した竹の幹における表皮以外の部分が含まれる場合であっても、竹抽出組成物の収量などに違いが見られるものの、竹の幹の表皮のみから抽出した場合と同様な効果を生じる竹抽出組成物が得られる。
【0018】
なお、抽出原料として使用する竹表皮は、そのまま抽出に使用してもよいが、乾燥、粉砕、乾留等の前処理を施してもよい。例えば、竹表皮を、50〜400メッシュ程度に粉砕した竹表皮粉末や、粉砕を行わずに竹表皮を細かくした竹表皮チップを抽出原料として使用することができる。
【0019】
本発明では、竹表皮からいくつかの工程を経て竹抽出組成物を生成するのであるが、その工程を簡単に説明すると、以下のようになる。
【0020】
まず、抽出原料となる竹の表皮、例えば、竹表皮粉砕物や、竹を適当な長さに切断した物等を、加水分解用溶媒を利用して加水分解法で処理する(加水分解工程)。
なお、加水分解中は、竹の表皮を均一に速く分解させるため、加水分解用溶媒を攪拌しながら加水分解を行うのが好ましい。また、加水分解は、大気中で大気圧の状態で行ってもよいが、窒素等の不活性ガス雰囲気や、大気圧以上に加圧された条件で行ってもよい。
【0021】
ついで、加水分解処理により得られた被処理物質含有物中に抽出溶媒を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら可溶性成分を抽出する。その後、抽出溶媒を濾過して残渣を除去して抽出液を得、この抽出液から加水分解用溶媒や抽出溶媒を除去することにより、粗抽出物が得られる(抽出工程)
なお、被処理物質として、竹表皮の固形分を含む加水分解用溶媒をそのまま使用してもよいが、減圧濾過や吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、濾過遠心機等を使用して残渣を除去してから抽出溶媒に投入してもよい。
【0022】
なお、粗抽出物のままでも本発明の竹抽出組成物として使用できるが、粗抽出物を精製すれば、不純物を除去でき、竹抽出組成物の純度を向上させることができる。粗抽出物を精製する方法は特に限定されないが、例えば、水洗浄、アセトン洗浄、ヘキサン洗浄、シリカゲルカラム、樹脂カラム、逆相カラム等を使用した精製、極性の異なる溶媒による分配、再結晶等の方法を採用することができる。
【0023】
つぎに、各工程を詳細に説明する。
【0024】
(加水分解工程)
加水分解をおこなう方法には、酸加水分解法、アルカリ加水分解法がある。
【0025】
(酸加水分解法)
まず、酸加水分解は、加水分解用溶媒として酸性に調整された溶媒を使用する加水分解法であり、水と有機溶媒との混合液に、硫酸、塩酸等の鉱酸等の酸を適宜加えた酸加水分解溶媒を使用する。酸加水分解溶媒は、その全重量に対して、酸を、5重量%以下、好ましくは0.01重量%から2重量%の割合で混合したものを使用すれば、竹の表皮の酸加水分解を行うことができる。
【0026】
なお、酸加水分解した場合には、加水分解後、被処理物質含有物を中和してから、後述する有機溶媒等による抽出作業を行う。中和は、アルカリであれば何を用いてもよく、例えば炭酸水素ナトリウムを用いることができる。
さらになお、酸は、酸性を示すものであれば何を用いてもよく、例えば硫酸、塩酸等の鉱酸を用いることができる。
【0027】
(アルカリ加水分解法)
また、アルカリ加水分解は、加水分解用溶媒としてアルカリ性に調整された溶媒を使用する加水分解法であり、水と有機溶媒との混合液に対して、水酸化ナトリウム等を適宜加えたアルカリ加水分解溶媒を使用する。アルカリ加水分解溶媒は、その全重量に対して、水酸化ナトリウムを、10重量%以下、好ましくは0.01重量%から2重量%の割合で混合したものを使用すれば、竹の表皮のアルカリ加水分解を行うことができる。
【0028】
なお、アルカリ加水分解した場合には、加水分解後、被処理物質含有物を中和してから、後述する有機溶媒等による抽出作業を行う。中和は、酸であれば何を用いてもよく、例えばクエン酸を用いることができる。
さらになお、アルカリは、アルカリ性を示すものであれば何を用いてもよく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムを用いることができる。
【0029】
上記の加水分解法に使用される加水分解用溶媒には、有機溶媒が使用されるが、使用する有機溶媒は特に限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、石油等が挙げられる。この中でも特に、エタノールが好ましい。
なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
加水分解に使用する加水分解用溶媒の重量は、原料である竹表皮の重量に対して通常2〜10倍、好ましくは2〜5倍である。加水分解用溶媒の量がこの範囲未満であると、原料全体に加水分解用溶媒が行き渡らず抽出効率が低下する可能性があり、この範囲を超えると、後に加水分解に用いた加水分解用溶媒の除去を行う際の負担が増加する。
【0031】
加水分解を行う温度は50〜240℃、好ましくは130〜180℃のある。例えば、溶媒として、30重量%エタノール水溶液を使用する場合の温度は、通常50〜240℃、好ましくは130〜180℃である。
加水分解を行う時間は、通常30分間〜24時間、好ましくは1〜6時間であり、溶媒の種類、温度等の条件によって適宜調節できる。
なお、加水分解用溶媒が複数の有機溶媒を含んでいる場合でも、同様な加水分解温度、加水分解時間が好ましい。
【0032】
また、加水分解用溶媒において、有機溶媒と水との混合比率は特に限定されない。例えば、有機溶媒がエタノールの場合には、酸、アルカリを添加する前の混合液の全重量に対し、エタノール濃度が0.001重量%から99.9重量%まで、好ましくは10重量%〜40重量%となるように調製されたものを使用することができる。
【0033】
そして、酸、アルカリを添加せずに、上述した有機溶媒と水とだけからなる加水分解用溶媒を使用して、加水分解を行ってもよい。この場合でも、有機溶媒と水との混合比率は特に限定されない。
【0034】
(抽出工程)
加水分解の後、被処理物質含有物から、有機溶媒などの抽出溶媒を用いて有効成分を抽出する抽出作業を行う。
なお、被処理物質含有物には、竹表皮の固形分を含む加水分解用溶媒、残差が除去された加水分解用溶媒のいずれも含まれる。
【0035】
抽出作業は、有機溶媒を満たした抽出処理槽に被処理物質含有物を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら可溶性成分を抽出する。その後、濾過して残渣を除去して抽出液を得、この抽出液から水や有機溶媒を除去(留去)することにより、粗抽出物が得られる。
なお、残渣の除去は、例えば、吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、濾過遠心機等を使用して行うことができる。
抽出液の濃縮(水及び有機溶媒の除去)は、例えば、エバポレーター等の減圧濃縮装置等を使用して行うことができる。
【0036】
なお、酸加水分解後やアルカリ加水分解後の抽出工程でも、特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は加熱下で、任意の装置を使用できる。例えば、一般的な抽出作業に使用される分液漏斗等を使用することができる。
さらになお、水及び有機溶媒をその沸点以上で抽出する場合は、耐圧容器を使用すればよい。
【0037】
抽出工程に使用される有機溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、石油等が挙げられる。この中でも特に、酢酸エチルが好ましい。
なお、これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて抽出溶媒として使用してもよい。
【0038】
被処理物質に対して抽出操作を行う回数は特に限定されるものではなく、1回であってもよいし、1回目の抽出後に再度新鮮な抽出溶媒を添加し、2回目以降の抽出操作を施してもよい。
また、一度抽出に使用した抽出溶媒を再利用して、複数回、被処理物質の抽出操作を行ってもよい。
【0039】
上記のごとき方法によって竹表皮から抽出された竹抽出組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤やヘリコバクターピロリ抗菌剤として使用することができる。
【0040】
竹抽出組成物を有効成分とするヒアルロニダーゼ活性阻害剤は、竹抽出組成物を単独で使用する他、適当な賦形剤、例えばゼラチン,アルギン酸ナトリウムなどと混合したり、水,アルコール類などの溶媒、カルボキシメチルセルロースなどの希釈剤等と組み合わせたりして用いることができる。
そして、本発明のヒアルロニダーゼ活性阻害剤の使用量については、薬剤として人体に投与する場合、通常は1日量が0.01〜30g、好ましくは0.1〜3.5g程度となるように経口的に服用すればよい。また、剤形は任意で散剤,錠剤,カプセル剤などとして用いる。また、化粧品などに配合する場合は、最終濃度が1〜10000ppmとなるように添加すればよい。
【0041】
また、竹抽出組成物を有効成分とするヘリコバクターピロリ抗菌剤も、竹抽出組成物を単独で使用する他、適当な賦形剤、例えばゼラチン,アルギン酸ナトリウムなどと混合したり、水,アルコール類などの溶媒、カルボキシメチルセルロースなどの希釈剤等と組み合わせたりして用いることができる。
そして、本発明のヘリコバクターピロリ抗菌剤の使用量については、薬剤として人体に投与する場合、通常は1日量が0.01〜500g、好ましくは1〜30g程度となるように経口的に服用すればよい。また、剤形は任意で散剤,錠剤,カプセル剤などとして用いる。
【0042】
また、抽出工程において得られた抽出液には、水相と有機溶媒相とが存在するが、水相および有機溶媒相にそれぞれに竹表皮から抽出された有効成分が含まれる。各溶媒相に含まれる有効成分は、水相に多く含まれる有効成分がヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有し、有機溶媒相に多く含まれる有効成分がヘリコバクターピロリ抗菌効果を有する。
例えば、孟宗竹粉末を、水、エタノール、硫酸を用いて酸加水分解処理し、中和後、酢酸エチルを加え有効成分を抽出し濾過する。すると、濾過後、抽出液中に含まれる竹抽出組成物の有効成分の中で、極性溶媒であるエタノール水溶液中(水相)にはヒアルロニダーゼ活性阻害成分が多く含まれ、有機溶媒相である酢酸エチル層にはヘリコバクターピロリ抗菌成分が多く含まれるのである。
【0043】
したがって、水相に含まれる有効成分のみを使用すれば、ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有する有効成分の濃度が高くなり、よりヒアルロニダーゼ活性阻害効果の高いヒアルロニダーゼ活性阻害剤を製造することができる。
また、有機溶媒相に含まれていた有効成分のみを使用すれば、ヘリコバクターピロリ抗菌効果の高い有効成分の濃度が高くなり、よりヘリコバクターピロリ抗菌効果の高いヘリコバクターピロリ抗菌剤を製造することができる。
なお、ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有する有効成分の一部は有機溶媒相にも含まれており、ヘリコバクターピロリ抗菌効果の高い有効成分の一部は水相にも含まれているのは、いうまでもない。
【0044】
なお、竹抽出組成物には、通常「脂質」が含まれており、この「脂質」は、単純脂質、複合脂質、誘導脂質に大別され、そのうち「複合脂質」に「糖脂質」が含まれている。
「糖脂質」は、分子内に水溶性糖鎖と脂溶性基の両者を含む物質の総称であり、脂溶性基によってスフィンゴ糖脂質とグリセロ糖脂質とに大別されるが、この他にステロイド、ヒドロキシ脂肪酸等の脂溶性基をもつグリコシド(例えば、ステリルグリコシド,ステロイド配糖体,ラムノリピド等)も広い意味での糖脂質に含まれる。また、中性糖脂質と区別される酸性糖脂質と呼ばれるものには、シアル酸、ウロン酸、硫酸、リン酸等をもつ糖脂質(例えば、ガングリオシド、スルファチド、スルホリピド等)が含まれ、これらも糖脂質に含まれる。
本発明の竹抽出組成物にも「脂質」が含まれると推測され、「糖脂質」も含まれると推測される。そして、「糖脂質」には、上述した糖脂質以外の何れの種類の糖脂質も含まれていると推察される。
【0045】
そして、本発明の竹抽出組成物の有効成分のうち、「糖脂質」は主に水相に含まれ、「糖脂質」等よりも疎水性の強い「脂質」は有機溶媒相に含まれていると考えられる。
すると、上記のごとく水相に含まれる有効成分がヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有し、有機溶媒相に含まれる有効成分がヘリコバクターピロリ抗菌効果を有するのであるから、竹抽出組成物の有効成分のうち「糖脂質」がヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有し、糖脂質等よりも疎水性の強い「脂質」がヘリコバクターピロリ抗菌効果を有すると推察される。
【0046】
(竹抽出組成物の用途)
また、上述した方法により得られた竹抽出組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤やヘリコバクターピロリ抗菌剤の有効成分としてだけでなく、機能性食品の素材としても有用である。
なお、機能性食品の素材とする竹抽出組成物には、竹表皮を抽出原料として得られる抽出液の状態で得られる竹抽出組成物だけでなく、抽出液の希釈液もしくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0047】
また、機能性食品の機能は、竹抽出組成物に含まれる脂質や糖脂質が発揮し得る機能である限り特に限定されるものではないが、例えば、皮膚の保湿、肌荒れ改善、美肌、アトピー性皮膚炎の改善、アレルギー性皮膚炎の改善、吹き出物の改善、養毛、育毛、抗癌等が挙げられる。
【0048】
さらに、機能性食品の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物等が挙げられる。また、家畜に与える飼料も機能性食品の形態に含まれる。
なお、機能性食品への竹抽出組成物の配合量は、機能性食品の形態、機能等に応じて適宜調節できる。
【0049】
(実施例)
以下、実施例を示し、本発明を竹抽出組成物の有効成分が、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤やヘリコバクターピロリ抗菌剤として有効であることを検証する。
(孟宗竹表皮粉末の製造方法)
まず、本実施例では、竹抽出組成物の原料となる竹表皮として、孟宗竹の表面から0.1〜2.0ミリ程度の厚さで削りだしたものを、50〜400メッシュ程度に粉砕し、孟宗竹表皮粉末とした。
【0050】
(加水分解工程)
前記孟宗竹表皮粉末40g、30重量%エタノール水溶液160g、硫酸1gを耐圧反応装置に入れ、窒素置換後、窒素で2kgf/cm2に加圧して密閉し初圧とした。
次いで150℃まで加熱し内圧が10kgf/cm2とする。その状態を維持したまま、3時間撹拌しながら加水分解を行った。
冷却後、抽出装置を開放し常圧に戻し、炭酸水素ナトリウムで容液を中和した。
【0051】
(抽出工程)
次いで、酢酸エチル100mlを添加し、1時間撹拌抽出後、減圧濾過を行い、竹表皮残渣を取り除いた。
【0052】
(抽出物の分析)
上記の抽出工程において得られた抽出溶液を、有機溶媒相と水相とに分注せずに濃縮したものを粗抽出物とした。この粗抽出物4.0gをシリカゲルクロマトグラフィー(カラム長:20cm、内径:2.6cm、充填剤:和光純薬工業株式会社、ワコーゲルC−300)にて分離精製を行う。移動層として、酢酸エチル、アセトン、メタノール(Me−OH)を順番に展開し画分1〜36を得た(図1)。
【0053】
一般にこの酢酸エチル抽出画分が脂質(単純脂質)であり、アセトン抽出画分、メタノール抽出画分が糖脂質(リン脂質も含む)であるといわれている。
【0054】
画分1〜36について、TLCプレート(TLCプレートシリカゲル,メルク社製)上にマイクロキャピラリーシリンジを用いて0.5マイクロLずつ載せ、あらかじめクロロホルム・メタノール・酢酸・塩化カルシウムを混合した展開液(クロロホルム:アセトン:メタノール:酢酸:水=30:12:9:6:3)を入れてある展開槽にTLCプレートを入れ、展開液がプレート上端から1cm程度の所にくるまで展開し、TLCプレートをドラフト内にて乾燥し、アンスロン試薬を噴霧し、ホットプレート上で加熱し、分析した(薄層クロマトグラフィー法)。
【0055】
なお、粗精製物及び精製物の分析は、例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)に限らず、高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)等によって行うことができる。
【0056】
その結果(図2)、スポットの形状から画分A〜画分Fまでの6画分に分類された(図3)。同じ形状の画分を併せてエバポレーターにて減圧濃縮し、展開溶媒を取り除いた。
【実施例1】
【0057】
つぎに、6つに分類された画分について、ヒアルロニダーゼ阻害試験を行った。
1)酵素溶液の調製
牛精巣ヒアルロニダーゼを0.1M酢酸緩衝液(pH=4.0)に溶解し最終酵素濃度を400ユニット/mlに調製する。
2)酵素活性化溶液の調製
compound48/80を0.1M酢酸緩衝液(pH=4.0)に溶解し最終濃度を0.1mg/mlに調製する。
3)基質溶液の調製
ヒアルロン酸カリウムを0.1M酢酸緩衝液(pH=4.0)に溶解し最終濃度を0.4mg/mlに調整する。
4)ホウ酸溶液の調製
ホウ酸4.95gに水50mlを加え、1N水酸化ナトリウム溶液でpH=9.1にし、蒸留水を加えて100mlに調製する。
5)p−ジメチルアミノベンズアルデヒド(p−DAB)試薬の調製
10N塩酸12.5mlと酢酸87.5mlの混液にp−DABを10g溶解し冷蔵保存する。使用直前に酢酸で10倍希釈して使用する。
6)測定試料の調製
各画分に属する抽出物を、1mg/mlの濃度となるようにエタノール水溶液またはDMSO水溶液で希釈したものを上限とし、更に抽出溶媒で希釈して濃度調製を行いサンプルとする。
7)測定手順
このサンプル0.1mlに酵素溶液0.05mlを加えて、37℃で20分間加温する。
次に酵素活性化溶液0.1mlを加えて37℃で20分間加温する。
さらに基質溶液0.25mlを加えて37℃で40分間反応させる。
0.4Nの水酸化ナトリウム水溶液を0.1ml加えるとともに氷冷して反応を停止させる。
ホウ酸溶液0.1mlを加えて沸騰浴で100〜120℃ 5分間加熱後、氷冷する。
p−DAB試薬3mlを加えて37℃で20分間加温して発色させ、蒸留水を対照として585nmにおける吸光度を測定する。
コントロールにはサンプルの代わりに抽出溶媒を用い、ブランクには酵素溶液の代わりに0.1M酢酸緩衝液(pH=4.0)を加えて同様の操作を行った図4、5にこの結果を図示した。
図4、5に示すように、同じ濃度で比較した場合、画分Eに強いヒアルロニダーゼ阻害作用がみられた。
【実施例2】
【0058】
つぎに、ヘリコバクターピロリ抗菌試験を行った。
1)(平板培地の調製)
Burucella Agar 4.3g を83mlの蒸留水に溶解し滅菌する。滅菌後、58〜60℃の恒温水槽中で保温する。別途、馬血清も保温しておく。
【0059】
2)(試験用画分溶液)
上記、加水分解工程において、炭酸水素ナトリウムで容液を中和して得られた溶液の一部をエバポレーターにて減圧濃縮し、画分Zを得た。画分Z、画分Aを水に懸濁し、250、500、1000μg/mL試験用画分溶液を作成した。次に画分Zをエタノールに懸濁濁し、250、500、1000μg/mL試料液を作成後、12時間静置して、その上澄み液を画分Zエタノール可溶分試験用画分溶液とした。
【0060】
3)(Burucella平板培地)
シャーレに上記2で作成した試験用画分溶液1.0mlを入れておき、それに保温したBurucella寒天培地83mlと馬血清7mlを直前に混合した培地9.0mlを加え,すばやく均一に混合し、室温冷却して平板とする。
【0061】
4)(ヘリコバクター菌液の調製)
1週間前培養した上記培養液を、Burucella液体培地(血清無添加)を用いて希釈する。経験的に、105倍希釈で菌数が3〜4×10個/mlとなると思われる。2×105倍希釈だと菌数が1.5〜2×103個/mlとなり、カウントするコロニー数は200個〜300個になる。
【0062】
5)(菌の接種)
上記3.で調製した平板に、上記4.の菌液100μlを接種しコンラージ棒で塗沫する。
【0063】
6)(培養及び計測)
アネロパック微好気を用いた微好気条件下、37℃で培養後、生じたコロニー数を計測する(培養は3日〜4日,4日後が数え易い)。ブランク(試料液の代わりに蒸留水を用いた試験区)との差から生育阻害活性を評価した(図6、7、8)。
【0064】
図6、7、8に示すように、画分Aに強いヘリコバクターピロリ菌阻害作用がみられている。そして、濃度が250μg/ml程度であっても、高い阻害率を示していることから、ヘリコバクターピロリ菌阻害の有効成分として、適していることが推察される。
【実施例3】
【0065】
上記の抽出工程において得られた抽出溶液を、水相(エタノールと水)及び有機溶媒相(酢酸エチル)に分け、それぞれを濃縮し、水相を抽出物X、有機溶媒相を抽出物Yとした。
そして、抽出工程で得られた抽出物X、Yについてヒアルロニダーゼ活性阻害試験(図1)を行い、抽出物Yについてヘリコバクターピロリ菌阻害試験を行った。
ヒアルロニダーゼ活性阻害試験は、上記実施例1の方法を使用した。
【0066】
図9に示すように、ヒアルロニダーゼ活性阻害試験では、濃度が125μg/ml程度であっても40%以上の阻害率を有している。しかも、濃度が高くなるほど阻害率が高くなっている。このことから、水相に含まれる物質は、ヒアルロニダーゼ活性阻害効果を有することが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の竹抽出組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤やヘリコバクターピロリ抗菌剤の原料となるだけでなく、アレルギー性の鼻炎やアトピー性皮膚炎等のアレルギー症状を抑制する抗アレルギー剤の原材料にも使用可能である。また、ヒアルロニダーゼは抗炎症剤や抗アレルギー剤により活性が阻害されることからも、炎症等を軽減する医薬品や医薬部外品の原料としても使用可能であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】画分一覧表である。
【図2】TLC分析結果を示した図である。
【図3】TLC分析結果からの画分分類を示した表である。
【図4】各抽出画分におけるヒアルロニダーゼ阻害試験の一覧表である。
【図5】各抽出画分におけるヒアルロニダーゼ阻害試験を示したグラフである。
【図6】各抽出画分におけるヘリコバクターピロリ菌阻害率の一覧表である。
【図7】硫酸0.5重量%抽出物酢酸エチル画分菌阻害活性(画分A−4,5,6)を示した表である。
【図8】ヘリコバクターピロリ抗菌試験の写真(画分A−4,5,6)である。
【図9】抽出物X、Yにおけるヒアルロニダーゼ阻害試験結果を示した表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出し、抽出された竹抽出組成物のうち、水相に含まれる成分を有効成分として含有する
ことを特徴とするヒアルロニダーゼ活性阻害剤。
【請求項2】
前記加水分解法が、
酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法である
ことを特徴とする請求項1記載のヒアルロニダーゼ活性阻害剤。
【請求項3】
前記加水分解法が、
アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法である
ことを特徴とする請求項1記載のヒアルロニダーゼ活性阻害剤。
【請求項4】
加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出し、抽出された竹抽出組成物のうち、有機溶媒相に含まれる成分を有効成分として含有する
ことを特徴とするヘリコバクターピロリ抗菌剤。
【請求項5】
前記加水分解法が、
酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法である
ことを特徴とする請求項4記載のヘリコバクターピロリ抗菌剤。
【請求項6】
前記加水分解法が、
アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法である
ことを特徴とする請求項4記載のヘリコバクターピロリ抗菌剤。
【請求項7】
加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出したものであり、
前記加水分解法が、
酸と有機溶媒と水とを混合した混合液を使用した酸加水分解法である
ことを特徴とする竹抽出組成物。
【請求項8】
加水分解法によって竹表皮を処理して得られた被処理物質を、有機溶媒又は有機溶媒と水を加え抽出したものであり、
前記加水分解法が、
アルカリと有機溶媒と水とを混合した混合液を使用したアルカリ加水分解法である
ことを特徴とする竹抽出組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒が、トルエン、酢酸エチル、メタノール、エタノールの内、1種又は任意の2種以上を組み合わせたものである
ことを特徴とする請求項7または8記載の竹抽出組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−156270(P2008−156270A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−346375(P2006−346375)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(591286270)株式会社伏見製薬所 (50)
【Fターム(参考)】