説明

ヒアルロン酸アミドおよびそれらの誘導体、並びにそれらの製造法

【課題】医薬製剤、医用生体材料の製造のため、および医用生体材料物質のコーティングのためのヒアルロン酸アミドおよびそれらの誘導体、並びにそれらの製造法の提供。
【解決手段】一般式(I)


[式中、Rは、NR67、または脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアルコール基、OH、O−、ヒアルロン酸のアルコール基、脱アシル化ヒアルロン酸のアミノ基である。R1、R2、R3、R4は、H、SO3−、アシル基等である。R5は、−CO−CH3、H、SO3−、アシル基等である。R6は、H、または脂肪族基、芳香族基等である。R7は、H、または脂肪族基、芳香族基等である。]で示される繰り返し単位を少なくとも1つ含む、ヒアルロン酸アミドまたはそれらの誘導体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤、医用生体材料の製造のため、および医用生体材料物質のコーティングのためのヒアルロン酸アミドおよびそれらの誘導体、並びにそれらの製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、D−グルクロン酸およびN−アセチル−グリコサミンの改変残基を含むヘテロ多糖類である。それは直鎖のポリマーであって、その分子量はそのものを得る供給源およびそのものを得るのに使用する方法によって、50,000〜13,000,000ダルトンの間で変わる。それは本来、細胞周囲のゲル中に、1主成分として表わされる脊椎動物の結合組織の基礎物質中に、関節の滑液中に、硝体中に、ヒト臍帯組織中に、および雄鶏の鶏冠中に存在する。
【0003】
最近、薬理学的性質を有する化合物を得るために、または内科、外科および組織工学の様々な分野で使用するための様々な形態の生物分解性で且つ生物学的適合性である医用生体材料を製造可能な化合物を得るために、多くの種類のヒアルロン酸誘導体が合成されている。
【0004】
当該分野の現状で報告されているアミド誘導体として、ヒアルロン酸のカルボキシル、求核体(例えば、アミン性化合物)と活性化剤(特許文献1および2)との間の反応から誘導される混合物で構成された水に不溶な組成物が知られている。それらの混合物は主に外科手術後の癒着を予防するのに使用される。
【0005】
特許文献3では、ヒアルロン酸のカルボキシル基と塩基性抗腫瘍剤との反応によって得られるヒアルロン酸のアミド誘導体を含有する医薬組成物を記載する。これらの化合物の目的は、患部組織における活性原理の作用に焦点を当てることであって、そして健康な組織に及ぼすいずれの有害な影響を制限することである。
【0006】
その上、アミド結合の形成の際に架橋として働く多価化合物と結合した感光性化合物とグリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸)とのアミドが知られている(特許文献4)。
【0007】
最後に、ヒアルロン酸の活性エステルとアミンとの反応による不溶性アミドの製造法が知られている(特許文献5)。
【0008】
本発明の目的は、カルボキシル基、または脱アセチル化反応から生じるアミノ基と、それぞれ脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアミンまたは酸との反応によって、且つスペーサー鎖を使用せずに得られる、単離且つ確認されたヒアルロン酸のアミドまたはそれらの誘導体を提供することである。
【0009】
該化合物は、酸、アミン、アミド結合のパーセンテージまたはアミドを製造するのに使用したヒアルロン酸誘導体に応じて、水溶性であったり、または不溶性であったりする。
【0010】
従って、本発明の記載の生成物は、それらの水への溶解度、粘性およびアミド結合の安定性に従って多数の用途に適当である。
【0011】
実際、該化合物は医薬組成物および医用生体材料の両方を製造するのに使用できる。その上、それらはアミンとの反応だけではなく、薬理学的に活性な酸との反応によっても生成可能であるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,760,200号明細書
【特許文献2】米国特許第4,937,270号明細書
【特許文献3】米国特許第5,733,891号明細書
【特許文献4】米国特許第5,462,976号明細書
【特許文献5】WO95/24429号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、医薬製剤、医用生体材料の製造のため、および医用生体材料物質のコーティングのためのヒアルロン酸アミドおよびそれらの誘導体、並びにそれらの製造法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下の一般式(I)のポリマーの繰り返し単位を含む、ヒアルロン酸アミドまたはそれらの誘導体を提供する。
【化1】

[式中、
Rは、NR67、または脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアルコール基、OH、O−、ヒアルロン酸のアルコール基、脱アシル化ヒアルロン酸のアミノ基である。
1、R2、R3、R4は、H、SO3−、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のカルボン酸から誘導されるアシル基、−CO−(CH2)2−COOY(Yは負電荷またはHである)である。
5は、−CO−CH3、H、SO3−、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のカルボン酸から誘導されるアシル基、ヒアルロン酸のアシル基である。
6は、H、または置換もしくは無置換の脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、シクロ脂肪族基もしくはヘテロサイクリック基である。
7は、H、または置換もしくは無置換の脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、シクロ脂肪族基もしくはヘテロサイクリック基である。
但し、RまたはR5の少なくとも1つはアミド基を形成する]
【0015】
従って、これらはアミンとヒアルロン酸もしくはそれらの誘導体の遊離のカルボキシル基との反応によって、または酸とヒアルロン酸もしくはそれらの誘導体の脱アシル化したアミノ基との反応によって得られるアミドである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1はヒアルロン酸アミド体とヒアルロン酸ナトリウム塩とのIRスペクトルの違いを示す。アミド体のスペクトルの場合、ステアレートのCH2の伸縮振動に帰属される顕著なピークが2900cm-1の領域に存在する。
【図2】図2のスペクトルは、NH面の変角振動(アミドバンド)に帰属される1527cm-1ピークおよび芳香環の面外CHの変角振動に帰属される730cm-1ピークを明瞭に示す。
【図3】図3はヒアルロン酸アミド体とヒアルロン酸ナトリウム塩とのIRスペクトルの違いを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に記載のアミドを製造するのに使用可能なヒアルロン酸誘導体は、以下のものが好ましい:
一部または全てのカルボキシ官能基が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアルコールでエステル化された、ヒアルロン酸エステル(EP 0216453 B1);
一部または全てのカルボキシ官能基が同じ多糖類の鎖または他の鎖のアルコール性官能基でエステル化された、ヒアルロン酸の自己架橋エステル(EP 0341745 B1);
一部または全てのカルボキシル基が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列の多価アルコールでエステル化され、スペーサー鎖によって架橋を形成する、ヒアルロン酸の架橋化合物(EP 0265116 B1);
ヒアルロン酸またはヒアルロン酸の部分もしくは完全エステルと、コハク酸とのヘミエステルまたはコハク酸とのヘミエステルの重金属塩(WO 96/357207号);
O−硫酸化誘導体(WO 95/25751号)またはN−硫酸化誘導体(PCT/EP98/01973号)。
【0018】
特に関心が持たれる、ヒアルロン酸またはそれらの誘導体のカルボキシル基でのアミンとの反応によって得られるアミドは、水溶性の化合物である。
【0019】
アミドは、式−CON=の基を意味する。
【0020】
脂肪族とは、非環式であるか、鎖式を意味するか、または分枝である炭素化合物(例えば、アルカン、アルケンまたはアルキン)を意味する。脂肪族分子の例は、C1〜C20非環状炭化水素およびそれらの異性体(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、セチル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ステアリルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0021】
芳香族とは、1つまたはそれより多い不飽和環を有するアリール分子を意味し、各環は通常では5〜8員環を、好ましくは5〜6員環を有する。芳香族分子の例は、ベンジル、トルイル、ナフタリル、アントラセニル、フェナントリル、フルオレニル、コロネニル、トリフェニレニル、フルオランテニル、ベンゾフルオランテニル、ベンゾピレニルおよびピレニルを含むが、これらに限定されない。
【0022】
シクロ脂肪族とは炭素環構造に関係し、これは通常では3〜8員環を、好ましくは5〜6員環を有するが、共鳴構造を含まない。シクロ脂肪族基の例は、シクロアルカンおよびシクロオレフィン(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロヘキセニル(テトラヒドロベンゼニル)、シクロヘキシリデニルおよびシクロオクタジエニル)を含むが、これらに限定されない。
【0023】
ヘテロサイクリック系列は環内の非類似の原子に関係する。ヘテロサイクリック基は通常では3〜8員を、好ましくは5〜6員環を有するヘテロアリール基であるか、または少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、O、S、Nなど)を含む縮合環であって、チエニル、フラニル、ピラニル、2H−ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、フラザニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、インドリンジニル、イソインドリル、インドリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キナゾリル、カルバゾリル、アクリジニルおよびフェナントリジニルを含むが、これらに限定されない。
【0024】
アリールアルキル基は、上記に定義する芳香族および脂肪族の両方の置換基を有する基である。アリールアルキル基の例は、エチルベンゼニル、イソブチルベンゼンニル(isobutylbenzeneyl)、ベンジル、エチルベンジル、プロピルベンジル、イソプロピルベンジル、ブチルベンジル、イソブチルベンジル、シクロヘキシルベンジル、スチレニルおよびビフェニルを含むが、これらに限定されない。
【0025】
アシル基は、ヒドロキシ基の除去によって有機酸から誘導される有機基である。アシル基の例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、アロイル(例えば、ベンゼンスルホニル、ベンゾイル、トルオイルおよびナフトイル)、ジアシル基(例えば、オキサリルおよびコハク酸無水物)、およびヘテロアロイル(例えば、フロイル、ニコチノイル、イソニコチノイル)などを含むが、これらに限定されない。
【0026】
アミドは、例えば、ゲル形態の医薬組成物の製造のために、粘弾性外科もしくは眼科外科での使用のための薬物もしくは生物学的に活性な物質の運搬および放出のために有利とするのに使用可能である。
【0027】
本発明に記載のアミドは、遊離であるかまたは硫黄化したカルボキシル基上で重金属を用いて塩化することができ、重金属は元素周期表の4族、5族および6族の元素(例えば、銀、コバルト、鉄、銅、亜鉛、砒素、ストロンチウム、ジルコニウム、アンチモン、金、セシウム、タングステン、セレン、白金、ルテニウム、ビスマス、スズ、チタンおよび水銀)を意味する。該塩は、皮膚科学、眼科学、歯科学、口腔病学、リウマチ病学、泌尿器科学、婦人科学、内臓外科において、食品サプリメント、抗酸化剤、抗リウマチ剤、抗腫瘍剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗潰瘍剤として使用可能である。
【0028】
その上、アミド誘導体は、ヒアルロン酸もしくはそれら誘導体のカルボキシルもしくは脱アシル化窒素と、それぞれアミンもしくは薬理学的に活性な酸とを反応させることによって得ることができたり、またはそれらは塩化するか、もしくはそれら化合物を単に組み合わせることもできる。
【0029】
薬理学的に活性な物質は、以下の抗生物質、抗感染薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、細胞増殖抑止剤、細胞毒性薬(cytotoxics)、抗腫瘍薬、抗炎症薬、創傷治癒薬、麻酔薬、鎮痛薬、血管収縮神経薬、コリン作動性またはアドレナリン作動性の作動薬および拮抗薬、抗血栓薬、抗凝血薬、止血薬、繊維素溶解薬、血栓溶解薬、タンパク質およびそれらのフラグメント、ペプチド、ポリヌクレオチドが好ましい。
【0030】
以下、我々は上記薬物群に属する薬理学的に活性な物質の例を報告する:
抗生物質:アミノグルコシド、マクロリド、テトラサイクリンおよびペプチド(例えば、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、カナマイシン、アミカシン、トブラマイシン、スペクチノマイシン、エリトロマイシン、オレアンドマイシン、カルボマイシン、スピラマイシン、オキシテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、バシトラシン、ポリミキシンB、グラミシジン、コリスチン、クロラムフェニコール、リンコマイシン、バンコマイシン、ノボビオシン、リストセチン、クリンダマイシン、アンフォテリシンB、グリセオフルビン、ナイスタチンおよびそれらの塩);
抗感染薬:ジエチルカルバマジン、メベンダゾル、スルファミド(例えば、スルファセタミド、スルファジアジン、スルフィソキサゾール);
抗ウイルス薬および抗腫瘍薬:ヨードウリジン、アデニン、アデニンアラビノシド、トリフルオロチミジン、アシクロビル、エチルデオキシウリジン、ブロモビニルデオキシウリジン、5−ヨード−5'−アミノ−2',5'−ジデオキシウリジン;
ステロイド性抗炎症性剤:デクサメタゾーン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、メドリソン(medrisone)およびそれらのエステル;
非ステロイド性抗炎症剤:インドメタシン、オキシフェンブタゾン、フルオルビプロフェン(fluorbiprofene)、ジクロフェナック(dichlofenac)、イブプロフェン;
麻酔薬:ベノキシネート、プロパラカイン、ジブカイン、リドカイン、ベンゾカイン、ベンジダミン、ブピバカインおよびそれらの塩;
コリン作動薬:ピロカルピン、メタコリン、カルバミルコリン、アセクリジン、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、デミカリウムおよびそれらの塩;
コリン作動性拮抗薬:アトロピンおよびその塩;
アドレナリン作動薬:ノルアドレナリン、アドレナリン、ナファゾリン、メトキサミンおよびそれらの塩;
アドレナリン作動性拮抗薬:プロプラノロール、チモロール、ピンドロル、ブプラノロール、アテノロール(athenolol)、メトプロロール(metoprolol)、オクスプレノール、プラクトロール、ブトキサミン、ソタロール、ブタドリン(butadrine)、ラベタロールおよびそれらの塩;
抗菌薬および消毒薬:ニトロフラゾン、マフェニド、クロルヘキシジン、8−ヒドロキシキノリン誘導体およびそれらの塩;
細胞毒性薬:フルオロウラシル、メトトレキサート、ポドフィリン。
【0031】
特に関心あるのは、上記物質および生物学的に活性な物質(例えば、タンパク質およびそれらのフラグメント、ペプチド、ポリヌクレオチド、増殖因子、酵素、ワクチン、並びに遺伝子欠損に関連する疾患(例えば、ある酵素の遺伝子コードの欠損に起因する酵素の活動低下状態または活動亢進状態による疾患)、奇形生成性疾患および遺伝性疾患の処置の際に使用する物質)の運搬および放出のための形態である。
【0032】
造影システムおいて使用する本発明に記載のアミド誘導体は、放射性物質および非放射性物質と組み合わせて、腫瘍組織または損傷組織の確認および処置のためのインビボ診断におけるマーカーとして使用可能である。
【0033】
かなり大きな利点の1つを、異なる形態の医用生体材料(例えば、スポンジ、フィルム、膜、糸、タンポン、不織布、ミクロフェア、ナノフェア、ガーゼ、ゲルおよびガイドチャンネル)にアミド化合物およびそれらの塩を加工する可能性で示す。1つまたはそれより多い関連する形態で使用する該医用生体材料は、1つまたはそれより多いアミド誘導体およびそれらの塩、および場合により他の天然、合成または半合成ポリマーと組み合わせて、および場合により生物学的に活性な物質と組み合わせて構成され得る。
【0034】
使用可能な天然ポリマーの例は、コラーゲン、コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈物、セルロース、ゲル形態の多糖類(例えば、キサン質、キトサン、ペプチンまたはペプチン酸、寒天、アガロース、キサン(xanthane)、ゲラン、アルギン酸またはアルギネート、ポリマンナンまたはポリグリカン、デンプンおよび天然ゴムである。
【0035】
半合成ポリマーは、例えば試薬(例えば、アルデヒドまたはその前駆体、ジカルボン酸またはそのハロゲン化物、ジアミン、セルロース誘導体、ヒアルロン酸、キチン質またはキトサン、ゲラン、キサン、ペクチンまたはペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴムまたはグリコサミノグリカン)で架橋したコラーゲンからなる群から選ぶことができる。
【0036】
最後に、使用可能な合成高分子の例は、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、またはそれらもしくはそれら誘導体の共重合体、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン、PTFEである。
【0037】
上記医用生体材料は、多くの外科の分野(例えば、外科手術後の癒着および肥厚性瘢痕の予防における、内臓および変形性関節の外科、神経外科、吻合外科、粘弾性外科、眼外科、腫瘍学外科、形成外科、耳鼻咽喉科学外科、腹部および骨盤の外科、泌尿婦人科学外科、心血管外科)で有益となるように使用可能である。
【0038】
その上、フィブリンおよび場合により、他の生物学的に活性な物質を組み合わせたアミド性化合物は、外科接着剤の製造に使用可能である。
【0039】
本発明の記載の医用生体材料は、外科の分野においてだけではなく、血液透析、心臓病学、皮膚科学、眼科学、耳鼻咽喉科学、歯科学、整形外科、婦人科学、泌尿器科学において、体外血液循環および酸素加において、美容においておよび脈管学において使用できる。
【0040】
多くの形態である該医用生体材料は、結合組織、腺組織および神経組織を得るために、細胞(例えば、間葉細胞または成熟細胞)を増殖させるためのスカホールドとして有益となるように使用できる。
【0041】
これらの生物ポリマーは、医学分野および工業領域の両方で使用されるコーティングした物質の製法において使用でき、担体として用いられる物質の表面に新たな生物学的特性を与える。
【0042】
コーティングされ得る物質の例は、カテーテル、ガイドチャンネル、消息子、心臓弁、柔組織プロテーゼ、動物器官のプロテーゼ(例えば、ブタからの心臓弁)、人工腱、骨および心臓血管プロテーゼ、コンタクトレンズ、血中酸素供給器、人工腎臓、人工心臓、人工膵臓、人工肝臓、血液嚢、注入器、外科器具、ろ過システム、実験器具、細胞培養のコンテナー、細胞および組織の再生のコンテナー、ペプチド、タンパク質および抗体の担体である。
【0043】
それら物質の表面をコーティングする方法は、例えば本出願人による国際特許出願、WO96/24392に記載の、血漿コーティング法(Plasma Coating technique)によって行うことができる。
【0044】
ヒアルロン酸またはその脱アセチル化誘導体の窒素でのアミドの1つの製造法は、以下の工程:
脱アセチル化反応(例えば、ヒドラジン硫酸塩を用いた反応)(J.リーゼンフェルド(Riesenfeld)によるAnaly.Bioch.1990、188巻、383−389頁);
脱アセチル化合物の4級アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウム塩)の製造;
活性化エステルの形態(例えば、アミドの生成のために選ばれた、脂肪族酸、芳香族酸、アリール脂肪族酸、シクロ脂肪族酸またはヘテロサイクリック酸のパラニトロフェニルエステル)であるアシル化剤の製造;
ヒアルロン酸またはその脱アセチル化誘導体の1つの4級アンモニウム塩と、アシル化剤間のN−アシル化反応;
で要約することができる。
【0045】
該化合物は以下の方法:
遊離アミノ基のパーセンテージの分析:
J.Riesenfeld(Analy.Bioc.1990、188巻、383−389頁)により記載の方法;
平均分子量:
GPC(Shadex B−803およびB−806カラムの組み合わせ、およびRIおよびMALLS装置を使用)によって測定する;
IRおよびUV分光学分析;
TLC分析:
試料を水酸化ナトリウム(1mol)溶液中、70℃で2〜4時間加水分解し、次いで塩酸(1mol)を用いて酸性とする。加水分解反応の間に放出される酸を有機溶媒で抽出する。乾燥有機抽出物をHPLCによって分析する;
N−アシル化(アミドの加水分解反応)の%:
N−アシル基のパーセンテージを測定するのに、2種類の分析法を行う。
a)J.Riesenfeld(Analy.Bioc.1990、188巻、383−389頁)により記載の方法;
b)試料を水酸化ナトリウム(1mol)溶液中、70℃で2〜4時間加水分解し、次いで塩酸(1mol)を用いて酸性とする。加水分解反応の間に放出される酸を有機溶媒で抽出する。乾燥有機抽出物をHPLCによって分析する;
によって分析的に確認される。
【0046】
ヒアルロン酸またはそれらの誘導体のカルボキシルでのアミドの製造は、酸形態または4級アンモニウム塩の形態であるそれらヒアルロン酸またはそれら誘導体の、試薬(例えば、カルボン酸をアシル化剤の反応性形態に変換する、カルボニルジイミダゾール)との反応によるカルボキシル基の活性化を含む。
【0047】
該反応は、塩酸または酸樹脂を用いた触媒反応により、且つ脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族およびヘテロサイクリック系列のアミンを用いて行うことができる。
【0048】
化合物の確認は、以下の方法:
IRおよびUV分光学;
クロマトグラフィー分析;
試料を水酸化ナトリウム(1mol)溶液中、70℃で2〜4時間加水分解し、次いで塩酸(1mol)を用いて酸性とする。加水分解反応の間に放出されるアミンを有機溶媒で抽出する。乾燥有機抽出物をHPLCによって分析する;
を含む。
【0049】
生成物のアミド化のパーセンテージは、一般的には約1%〜約90%の範囲であり、約5%〜約60%の範囲がより好ましく、そして約20%〜約50%の範囲が最も好ましい。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げる。
【実施例1】
【0051】
ナトリウム塩形態の部分N−脱アセチル化ヒアルロン酸(DHA/Na)の製造
平均分子量600Kdaのヒアルロン酸ナトリウム(1g)を、1%ヒドラジン硫酸塩のヒドラジン・モノ水和物溶液(50mL)に溶解する。
このものを55℃で撹拌下、5日間(120時間)反応させ、その後、反応をエタノール(100ml)を加えることによって停止させる。
そうして生成した沈殿物をグーチるつぼを通してろ過し、エタノールで洗浄、次いで減圧下、室温で乾燥させる。ヒドラジン分解による反応の間に生成するであろうヒアルロン酸のヒドラジドは、HIO3(ヨウ素酸)を用いた反応によって分解される。反応が非常に激しい場合は、氷水中で反応容器を冷却しながら行う。
ヒドラジン分解の生成物を5%酢酸ナトリウム(50mL)中に溶解し、0.5Mヨウ素酸(25mL)と反応させる。
反応は、攪拌下、30分間で進行し、その後、いずれの未反応のHIO3を分解するのに、57%HI溶液(5mL)を加える。
生成したヨウ素はエチルエーテル(30mL)を少なくとも3回用いて、その水溶液から抽出する(水相の完全な脱色まで)。その水溶液を、0.5M NaOH溶液を加えることによってpHを中性とし、続いてエタノール(100mL)を用いて処理する。得られた沈殿物をグーチるつぼを用いてろ過し、エタノールを用いて洗浄、次いで室温で減圧下、乾燥させる。得られた生成物を、N−脱アセチル化基のパーセンテージおよび平均分子量を測定するために、分析的に確認する。
反応の収率 90%
N−脱アセチル化の% 26%
平均分子量 130Kda
【実施例2】
【0052】
部分N−脱アセチル化したヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(DHA/TBA)の製造
部分N−脱アセチル化したヒアルロン酸ナトリウム塩(1g、2.5mmol)を水(60ml)に溶解し、その溶液をカラム(テトラブチルアンモニウム塩(TBA)形態のスルホン酸樹脂(25mL)を充填)に浸出ろ過させる。H+形態のスルホン酸樹脂をTBAOH(40w/v%)溶液を用いて活性化する。N−脱アセチル化ヒアルロン酸・TBA塩を含有する溶出液を集め、凍結乾燥する。
【実施例3】
【0053】
安息香酸のp−NO2−フェニルエステル(アシル化剤)の製造
安息香酸(1g、0.082mol)をCH2Cl2(800mL)に溶解し、その後、p−NO2−フェノール(11.4g、0.082mol)およびDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(16.9g、0.082mol)を加える。
続いて、生成するジシクロヘキシルウレアをろ過し、ろ過した生成物を減圧下で、回転蒸発器を用いて乾燥させる。そうして得られた生成物を酢酸エチル中で、結晶化を繰り返すことによって精製する。結晶をろ過し、減圧下、室温で乾燥するまで放置する。
該誘導体をTLC分析(溶出液:CH2Cl2/酢酸エチル(90/10)およびRf=0.77)、IRおよびUV分光学によって確認する。
反応収率 92%
【実施例4】
【0054】
ケイ皮酸のp−NO2−フェニルエステル(アシル化剤)の製造
ケイ皮酸(12g、0.082mol)をCH2Cl2(800mL)に溶解し、その後、p−NO2−フェノール(11.4g、0.082mol)およびDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(16.9g、0.082mol)を加える。反応を2時間進行させ、その間、溶液は沸騰し、還流する。
続いて、ジシクロヘキスルウレアをろ過し、ろ過した生成物を減圧下、回転蒸発器を用いて乾燥させる。得られた生成物をエタノール中で結晶化を繰り返すことによって精製し、その結晶をろ過し、室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(溶出液:CH2Cl2/酢酸エチル(90/10)、Rf=0.77)、IRおよびUV分光学によって確認する。
反応収率 89%
【実施例5】
【0055】
ドデカン酸のp−NO2−フェニルエステル(アシル化剤)の製造
ドデカン酸(16g)をCH2Cl2(1L)に溶解し、その後、p−NO2−フェノール(11.4g、0.082mol)およびDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(16.9g、0.082mol)を加える。反応を2時間進行させ、その間、溶液は沸騰し、還流する。
続いて、ジシクロヘキスルウレアをろ過し、ろ過した生成物を減圧下、回転蒸発器を用いて乾燥させる。得られた生成物を酢酸エチル中で結晶化を繰り返すことによって精製し、その結晶をろ過し、室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(溶出液:CH2Cl2/酢酸エチル(90/10)、Rf=0.77)およびIR分光学によって確認する。
反応収率 93%
【実施例6】
【0056】
ステアリン酸のp−NO2−フェニルエステル(アシル化剤)の製造
ステアリン酸(23.3g)をCH2Cl2(1L)に溶解し、その後、p−NO2−フェノール(11.4g、0.082mol)およびDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(16.9g、0.082mol)を加える。反応を2時間進行させ、その間、溶液は沸騰し、還流する。
続いて、ジシクロヘキシルウレアをろ過し、そのろ過した生成物を減圧下、回転蒸発器を用いて乾燥させる。得られた生成物を無水エタノール中で結晶化を繰り返すことによって精製し、その結晶をろ過し、室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(溶出液:CH2Cl2/酢酸エチル(90/10)、Rf=0.82)およびIR分光学によって確認する。
反応収率 87%
【実施例7】
【0057】
o−アセチルサリチル酸のp−NO2−フェニルエステル(アシル化剤)の製造
アセチルサリチル酸(14.7g)をCH2Cl2(1L)に溶解し、その後、p−NO2−フェノール(11.4g、0.082mol)およびDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)(16.9g、0.082mol)を加える。反応を2時間進行させ、その間、溶液は沸騰し、還流する。
続いて、生成するジシクロヘキシルウレアをろ過し、そのろ過した生成物を減圧下、回転蒸発器を用いて乾燥させる。得られた生成物を無水エタノール中で結晶化を繰り返すことによって精製し、その結晶をろ過し、室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(溶出液:CH2Cl2/酢酸エチル(90/10)、Rf=0.82)およびIR分光学によって確認する。
反応収率 80%
【実施例8】
【0058】
部分N−アシル化ヒアルロン酸の製造(安息香酸誘導体を使用)
DHA/TBA(26%脱アセチル化)(1g、1.6mmol)をDMSO(50mL)に溶解し、その後、10%安息香酸p−NO2−フェニルエステルのDMSO溶液(実施例3の記載に従って製造)のDMSO溶液(5mL)を加える。その反応を室温で攪拌下、24時間進行させ、その後、飽和NaCl溶液(2.5mL)を加えることによって停止させる。このものを30分間反応させ、次いでエタノール(100mL)をゆっくりと加える。そうして得られた沈殿物をグーツるつぼを通してろ過し、エタノールおよびエチルエーテルを用いて洗浄し、最後に室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(アミドの加水分解後)、比色定量分析(遊離NH2基のパーセンテージについて)、IRおよびUV分光学によって分析する。
反応収率 85%
遊離NH2の% 11%
N−アシル化の% 15%
【実施例9】
【0059】
部分N−アシル化ヒアルロン酸の製造(ケイ皮酸誘導体を使用)
DHA/TBA(26%脱アセチル化)(1g、1.6mmol)をNMP(50mL)に溶解し、その後、10%ケイ皮酸p−NO2−フェニルエステル(実施例4の記載に従って製造)のNMP溶液(10mL)を加える。その反応を室温で攪拌下、24時間進行させ、その後、飽和NaCl溶液(2.5mL)を加えることによって停止させる。このものを30分間反応させ、最後にエタノール(100mL)をゆっくりと加える。そうして得られた沈殿物をグーチるつぼを通してろ過し、エタノール/水(9:1)、エチルエーテルを用いて洗浄し、最後に室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(アミドの加水分解後)、比色定量分析(遊離NH2基のパーセンテージについて)、IRおよびUV分光学分析によって分析する。
反応収率 85%
遊離NH2の% 11%
N−アシル化の% 15%
【実施例10】
【0060】
部分N−アシル化ヒアルロン酸の製造(ドデカン酸誘導体を使用)
DHA/TBA(26%脱アセチル化)(1g、1.6mmol)をNMP(50mL)に溶解し、その後、10%ドデカン酸p−NO2−フェニルエステル(実施例5の記載に従って製造)のNMP溶液(3.2mL)を加える。その反応を室温で攪拌下、24時間進行させ、その後、飽和NaCl溶液(2.5mL)を加えることによって停止させる。このものを30分間反応させ、その後、エタノール(100mL)を徐々に加える。得られた沈殿物をグーチるつぼを通してろ過し、エタノールおよびエチルエーテルを用いて洗浄し、最後に室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(アミドの加水分解後)、比色定量分析(遊離NH2基のパーセンテージについて)、IRおよびUV分光学によって分析する。
反応収率 88%
遊離NH2の% 10%
N−アシル化の% 16%
【実施例11】
【0061】
部分N−アシル化ヒアルロン酸の製造(ステアリン酸誘導体を使用)
DHA/TBA(26%脱アセチル化)(1g、1.6mmol)をNMP(50mL)に溶解し、その後、10%ステアリン酸p−NO2−フェニルエステル(実施例6の記載に従って製造)のNMP溶液(6mL)を加える。その反応を室温で攪拌下、24時間進行させ、その後、飽和NaCl溶液(2.5mL)を加えることによって停止させる。このものを30分間反応させ、次いで、エタノール(100mL)をゆっくりと加える。そうして得られた沈殿物をグーチるつぼを通してろ過し、エタノールおよびエチルエーテルを用いて洗浄し、最後に室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(アミドの加水分解後)、比色定量分析(遊離NH2基のパーセンテージについて)、IRおよびUV分光学によって分析する。
反応収率 85%
遊離NH2の% 12%
N−アシル化の% 14%
【実施例12】
【0062】
部分N−アシル化ヒアルロン酸の製造(アセチルサリチル酸誘導体を使用)
DHA/TBA(1g、1.6mmol)をNMP(50mL)に溶解し、その後、10%アセチルサリチル酸p−NO2−フェニルエステル(実施例7の記載に従って製造)のNMP溶液(3.2mL)を加える。その反応を室温で攪拌下、24時間進行させ、その後、飽和NaCl溶液(2.5mL)を加えることによって停止させる。このものを30分間反応させ、最後にエタノール(100mL)をゆっくりと加える。そうして得られた沈殿物をグーチるつぼを通してろ過し、エタノールおよびエチルエーテルを用いて洗浄し、次いで室温で減圧下、乾燥させる。
その誘導体をTLC分析(アミドの加水分解後)、比色定量分析(遊離NH2基のパーセンテージについて)、IRおよびUV分光学によって分析する。
反応収率 90%
遊離NH2の% 10%
N−アシル化の% 16%
【実施例13】
【0063】
ヒアルロン酸ベンジルアミドの製造
ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(2g、3.2mmol)をDMSO(100ml)に溶解する。この溶液にフミン酸(humid acid)樹脂のDMSO(3mL)および1,1−カルボニルジイミダゾール(784mg、4.8mmol)を加える。このものを攪拌下、12時間反応させ、その後、グーチるつぼを通してろ過して、該樹脂を溶出させ、そのろ過した生成物をベンジルアミン(1mL、9.6mmol)を加える。このものを48時間反応させ、次いで飽和NaCl溶液(5mL)を加え、攪拌下、30分間放置する。アセトン(200mL)を加え、そうして得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥する。
乾燥誘導体を、TLC、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 25%
【実施例14】
【0064】
ヒアルロン酸ベンジルアミドの製造
ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩(HA/TBA)(2g、3.2mmol)をDMSO(100mL)に溶解する。その溶液をHCl(1M)を用いてpH3に調節し、次いで1,1−カルボニルジイミダゾール(784mg、4.8mmol)を加える。このものを攪拌下、12時間反応させ、次いでそのものをグーチるつぼを通してろ過して該樹脂を溶出させ、素のろ過生成物にベンジルアミン(1ml、9.6mmol)を加える。このものを48時間反応させ、次いで飽和NaCl溶液(5mL)を加え、攪拌下、30分間放置する。このものにアセトン(200mL)を加え、そうして得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体をTLC、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 15%
【実施例15】
【0065】
ヒアルロン酸ベンジルアミドの製造
酸形態のヒアルロン酸(2g、5.2mmol)をDMF(100mL)に溶解する。この溶液に、1,1−カルボニルジイミダゾール(854mg、5.2mmol)を加える。このものを攪拌下、6時間反応させ、その後、ベンジルアミン(1.13ml、10.4mmol)を加える。反応を48時間進行させ、次いでアセトン(200mL)を加えることによって停止させる。そうして得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥する。
乾燥誘導体をTLC、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 60%
【実施例16】
【0066】
ヒアルロン酸ベンジルアミドの製造
酸形態のヒアルロン酸(2g、5.2mmol)をDMF(100mL)に溶解する。この溶液にピリジン(2ml)、p−NO2−フェノール(3.68g、0.026mol)およびピリジンクロリドをpHが7/8に達するまで加える。最後に、DCC(5.3、0.026mol)およびベンジルアミン(2.8、0.026mol)を加える。このものを攪拌下、16時間反応させ、その後、反応をアセトン(200mL)を加えることによって停止させる。そうして得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体をTLC、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 5%
【実施例17】
【0067】
ヒアルロン酸ベンジルアミドの製造
HA/TBA(2g、3.2mmol)をDMSO(100mL)に溶解させる。反応混合物のpHが4.5〜5の間に達するまで、その溶液にHClガスを吹き込む。続いて、カルボニルジイミダゾール(518mg、3.2mmol)を加える。攪拌下、室温で1時間反応させ、その後、ベンジルアミン(0.700mL、6.4mmol)を加える。反応を16時間〜18時間進行させる。この後、飽和NaCl溶液(5ml)を加える。アセトン(200mL)を加えることによって沈降させ、そうして得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体をTLC(加水分解反応後)、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 50%
【実施例18】
【0068】
ヒアルロン酸オクチルアミドの製造
HA/TBA(2g、3.2mmol)をDMSO(100mL)に溶解させる。反応混合物のpHが4.5〜5の間に達するまで、その溶液にHClガスを吹き込む。続いて、カルボニルジイミダゾール(207mg、1.28mmol)を加える。攪拌下、室温で1時間反応させ、その後、オクチルアミン(0.417mL、3.2mmol)を加える。その反応を16〜18時間反応させる。この最後に、飽和NaCl溶液(5mL)を加える。アセトン(200mL)を加えることによって沈降させ、得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体はTLC(加水分解反応後)、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 25%
【実施例19】
【0069】
ヒアルロン酸ドデシルアミドの製造
HA/TBA(2g、3.2mmol)をDMSO(100mL)に溶解させる。反応混合物のpHが4.5〜5の間に達するまで、その溶液にHClガスを吹き込む。続いて、カルボニルジイミダゾール(104mg、0.64mmol)を加える。攪拌下、室温で1時間反応させ、その後、ドデシルアミン(600mg、3.2mmol)を加える。その反応を16〜18時間進行させる。この後、飽和NaCl溶液を加える。アセトン(200mL)を加えることによって沈降させ、得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体はTLC(加水分解反応後)、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 15%
【実施例20】
【0070】
ヒアルロン酸ヘキサデシルアミドの製造
HA/TBA(2g、3.2mmol)をDMSO(100mL)に溶解させる。反応混合物のpHが4.5〜5の間に達するまで、その溶液にHClガスを吹き込む。続いて、カルボニルジイミダゾール(52mg、0.32mmol)を加え、攪拌下、室温で1時間反応させ、その後、ヘキサデシルアミン(780mg、3.2mmol)を加える。その反応を16〜18時間進行させる。この後、飽和NaCl溶液(5mL)を加える。アセトン(200mL)を加えることによって沈降させ、得られた沈殿物をろ過し、減圧下で乾燥させる。
乾燥誘導体はTLC(加水分解反応後)、IRおよびHPLC分析によって確認する。
アミド化の% 5%
【0071】
記載の本発明について、これらの方法は多数の様式に改良することができることは明らかである。それらの改良法は本発明の精神および目的を逸脱するものと考えるべきではなく、当該分野の当業者にとって明らかであろういずれの改良法も特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式の繰り返し単位を少なくとも1つ含む、ヒアルロン酸アミドまたはそれらの誘導体。
【化1】

[式中、
Rは、NR67、または脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアルコール基、OH、O−、ヒアルロン酸のアルコール基、脱アシル化ヒアルロン酸のアミノ基である。
1、R2、R3、R4は、H、SO3−、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のカルボン酸から誘導されるアシル基、−CO−(CH2)2−COOY(Yは負電荷またはHである)である。
5は、−CO−CH3、H、SO3−、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のカルボン酸から誘導されるアシル基、ヒアルロン酸のアシル基である。
6は、H、または置換もしくは無置換の脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、シクロ脂肪族基もしくはヘテロサイクリック基である。
7は、H、または置換もしくは無置換の脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、シクロ脂肪族基もしくはヘテロサイクリック基である。
但し、RまたはR5の少なくとも1つはアミド基を形成する。]
【請求項2】
眼科学および眼の外科において使用するための、ヒアルロン酸のカルボキシル基と、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアミノ基との反応によって得られるアミド性の水溶性化合物。
【請求項3】
ヒアルロン酸誘導体が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロ脂肪族アルコールとの完全または部分エステルである、請求項1に記載のアミド性化合物。
【請求項4】
ヒアルロン酸誘導体が、D−グルクロン酸残基の一部または全てのカルボキシル基が同じ多糖類の鎖または他の鎖のアルコール官能基とそれぞれ分子内エステルまたは分子間エステルを形成する架橋化合物である、請求項1に記載のアミド性化合物。
【請求項5】
ヒアルロン酸誘導体が、D−グルクロン酸残基の一部または全てのカルボキシル基を脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列の多価アルコールと反応させて、スペーサー鎖による架橋を形成させた架橋化合物である、請求項1に記載のアミド性化合物。
【請求項6】
重金属で塩化した、請求項1に記載のアミド性化合物。
【請求項7】
重金属が元素周期表の4族、5族および6族の金属であって、銀、コバルト、鉄、銅、亜鉛、砒素、ストロンチウム、ジルコニウム、アンチモン、金、セシウム、タングステン、セレン、白金、ルテニウム、ビスマス、スズ、チタンおよび水銀が好ましい、請求項6に記載のアミド性化合物。
【請求項8】
薬理学的に活性な物質で塩化した、請求項1〜7に記載のアミド性化合物。
【請求項9】
薬理学的に活性な物質が、抗生物質、抗感染薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、細胞増殖抑止薬、抗腫瘍薬、抗炎症薬、創傷治癒薬、麻酔薬、コリン作動性またはアドレナリン作動性の作動薬および拮抗薬、抗血栓薬、抗凝血薬、止血薬、繊維素溶解薬、血栓溶解薬、タンパク質およびそれらのフラグメント、ペプチド、ポリヌクレオチドである、請求項8に記載のアミド性化合物。
【請求項10】
医薬組成物の製造のための、請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩のみか、または互いに組み合わせたものか、および/または薬理学的に活性な物質を組み合わせたもの。
【請求項11】
薬理学的に活性な物質が、抗生物質、抗感染薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、細胞増殖抑止薬、抗腫瘍薬、抗炎症薬、創傷治癒薬、麻酔薬、コリン作動性またはアドレナリン作動性の作動薬および拮抗薬、抗血栓薬、抗凝血薬、止血薬、繊維素溶解薬、血栓溶解薬、タンパク質およびそれらのフラグメント、ペプチド、ポリヌクレオチド、増殖因子、酵素、ワクチン、並びに遺伝子欠損に関連する疾患、奇形生成性疾患および遺伝性疾患の処置において使用する物質である、請求項10に記載のアミド性化合物およびそれらの塩。
【請求項12】
腫瘍組織または損傷組織を確認し、処置するために、インビボ診断の標識として造影システムで用いられる放射性または非放射性物質と組み合わせた、請求項1〜11に記載のアミド性化合物。
【請求項13】
請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩のみか、または互いに組み合わせたものか、または他の薬理学的に活性な物質を組み合わせたものを含有する医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩のみか、または互いに組み合わせたものか、または他の天然、半合成、合成ポリマーを組み合わせるか、および場合により、生物学的に活性な物質を組み合わせたものによって構成される医用生体材料。
【請求項15】
天然ポリマーが、コラーゲン、コラーゲンとグリコサミノグリカンとの共沈物、セルロース、ゲル形態の多糖類(例えば、キサン質、キトサン、ペプチンまたはペプチン酸、寒天、アガロース、キサン、ゲラン、アルギン酸またはアルギネート、ポリマンナンまたはポリグリカン、デンプン、天然ゴム)である、請求項14に記載の医用生体材料。
【請求項16】
半合成ポリマーが、試薬(例えば、アルデヒドまたはその前駆体、ジカルボン酸またはそのハロゲン化物、ジアミン、セルロース誘導体、ヒアルロン酸、キチン質またはキトサン、ゲラン、キサン、ペクチンまたはペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴムまたはグリコサミノグリカン)で架橋したコラーゲンである、請求項14に記載の医用生体材料。
【請求項17】
合成高分子が、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、またはそれらもしくはそれら誘導体の共重合体、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン、PTFEである、請求項14に記載の医用生体材料。
【請求項18】
外科接着剤の製造のために、フィブリンおよび場合により、他の生物学的に活性な物質を組み合わせた、請求項14〜17に記載の医用生体材料。
【請求項19】
細胞培養のスカホールドの製造のための、請求項14〜17に記載の医用生体材料。
【請求項20】
外科およびヘルスケアの関節間分節の製造のための、請求項14〜17に記載の医用生体材料。
【請求項21】
ガイドチャンネル、ガーゼ、糸、ゲル、ヒドロゲル、タンポン、フィルム、膜、スポンジ、不織布、ミクロフェア、ナノフェアおよびそれらを組み合わせたものの形態である、請求項14〜17に記載の医用生体材料。
【請求項22】
ガイドチャンネル、ガーゼ、糸、ゲル、ヒドロゲル、タンポン、フィルム、膜、スポンジ、不織布、ミクロフェアおよびナノフェアの形態である、請求項20に記載の外科およびヘルスケアの関節間分節。
【請求項23】
外科、血液透析、心臓病学、皮膚科学、眼科学、耳鼻咽喉科学、歯科学、整形外科、婦人科学、泌尿器科学での使用、体外血液循環および酸素加での使用、美容での使用、脈管学での使用のための、請求項14〜17に記載の医用生体材料。
【請求項24】
外科が、外科手術後の癒着および肥厚性瘢痕の予防における、内臓もしくは変形性関節の外科、神経外科、吻合外科、粘弾性外科、眼外科、腫瘍学外科、形成外科、美容外科、耳鼻咽喉科学外科、腹部−骨盤外科、泌尿婦人科学外科または心臓血管外科(例えば、心臓の弁、血管ステントの製造における外科)を意味する、請求項23に記載の医用生体材料。
【請求項25】
生物医学物質(例えば、バイパス、静脈カテーテル、シャント、カテーテル、ガイドチャンネル、消息子、心臓弁、人工腱、骨および心臓血管プロテーゼ、コンタクトレンズ、柔組織プロテーゼ、動物器官のプロテーゼ、血中酸素供給器、人工腎臓、人工心臓、人工膵臓、人工肝臓、血液嚢、注入器、外科器具、ろ過システム、実験器具、細胞培養のコンテナー、細胞および組織の再生のコンテナー、ペプチド、タンパク質および抗体の担体)のコーティングのための、請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩。
【請求項26】
皮膚科学、眼科学、歯科学、口腔病学、リウマチ病学、泌尿器科学、婦人科学、内臓外科において、食品サプリメント、抗酸化剤、抗リウマチ剤、抗腫瘍剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗潰瘍剤としての、請求項7〜8に記載のアミド性化合物の使用。
【請求項27】
薬理学的に活性な物質との塩の製造のための、請求項1〜5に記載のアミド性化合物の使用。
【請求項28】
医薬組成物、医用生体材料、外科およびヘルスケアの関節間分節、緩放出システム並びに生体医学物質のコーティングシステムの製造のための、請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩のみか、または互いに組み合わせたものか、および/または薬理学的に活性な物質を組み合わせたものの使用。
【請求項29】
腫瘍組織または損傷組織の確認および処置のための、インビボ診断の標識として造影システムで用いられる放射性および非放射性物質と組み合わせた、請求項1〜9に記載のアミド性化合物およびそれらの塩の使用。
【請求項30】
医用生体材料がガイドチャンネル、ガーゼ、糸、ゲル、ヒドロゲル、タンポン、フィルム、膜、スポンジ、不織布、ミクロフェア、ナノフェアおよびそれらを組み合わせたものの形態である、請求項28に記載のアミド性化合物およびそれらの塩の使用。
【請求項31】
外科、血液透析、心臓病学、皮膚科学、眼科学、耳鼻咽喉科学、歯科学、整形外科、婦人科学、泌尿器科学での使用、体外血液循環および酸素加での使用、美容での使用、脈管学での使用のための、請求項1〜30に記載のアミド性化合物の使用。
【請求項32】
外科が、外科手術後の癒着および肥厚性瘢痕の予防における、内臓、変形性関節の外科、神経外科、吻合外科、粘弾性外科、眼外科、腫瘍学外科、形成外科、耳鼻咽喉科学外科、腹部骨盤外科、泌尿婦人科学外科、心血管外科(例えば、心臓の弁、血管ステントの製造における外科)を意味する、請求項31に記載のアミド性化合物の使用。
【請求項33】
外科接着剤の製造のための、フィブリンおよび場合により、他の生物学的に活性な物質を組み合わせた、請求項14〜17に記載の医用生体材料の使用。
【請求項34】
細胞培養のスカホールドの製造のための、請求項14〜17に記載の医用生体材料の使用。
【請求項35】
ヒアルロン酸またはそれらの脱アセチル化誘導体の窒素上のアミドの製造法であって、工程:
a)脱アセチル化反応;
b)脱アセチル化化合物の4級アンモニウム塩の製造;
c)活性エステルの形態であるアシル化剤の製造;
d)ヒアルロン酸またはそれらの脱アセチル化誘導体の4級アンモニウム塩と該アシル化剤とのN−アシル化反応;
を含む方法。
【請求項36】
脱アセチル化反応がヒドラジン硫酸塩/ヒドラジンを用いることによって得られる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
4級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウム塩である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
活性エステルが、アミドの生成のために選ばれた、脂肪族酸、芳香族酸、アリール脂肪族酸、シクロ脂肪族酸、ヘテロサイクリック酸のパラニトロフェニルエステルである、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
ヒアルロン酸またはそれらの誘導体のカルボキシルでのアミドの製造法であって、工程:
a)酸溶液中かまたは酸樹脂上で活性化剤による、酸形態または4級アンモニウム塩である該ヒアルロン酸またはそれらの誘導体の活性化;
b)脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、シクロ脂肪族、ヘテロサイクリック系列のアミンを用いた反応;
を含む方法。
【請求項40】
活性化剤が1,1−カルボニルジイミダゾールである、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−174079(P2011−174079A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−85601(P2011−85601)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2006−254511(P2006−254511)の分割
【原出願日】平成11年7月6日(1999.7.6)
【出願人】(591057175)フィディーア・ファルマチェウティチ・ソシエタ・ペル・アチオニ (5)
【氏名又は名称原語表記】FIDIA FARMACEUTICI S.p.A.
【Fターム(参考)】