説明

ヒアルロン酸エステル、それらの製造および皮膚科学における使用

【課題】粘弾性増強作用、保湿作用、軟化活性を有する化合物として皮膚保護に用いるための、あるいは光線照射により誘発される紅斑性病態の抗発赤作用または鎮痛作用を有する新規多糖類エステルの提供。
【解決手段】ヒドロキシ−ケイ皮酸とヒアルロン酸の新規エステル誘導体、それらのレオロジー的性質および抗ラジカル性、ならびに皮膚科学における保護薬としての局所組成物、それらの使用。該ヒドロキシ−ケイ皮酸がフェルラ酸およびカフェイン酸である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸(HA)といったグリコスアミノグリカン(GAG)とフェルラ酸およびカフェイン酸といったヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体の新規エステル誘導体に関連する。
【背景技術】
【0002】
HAは、グルクロン酸およびN−アセチル−グルコサミンにより形成される二糖単位の繰り返し配列を含むGAGである。
【0003】
HAは、組織における水の制御から細胞の運動性に亘るいくつかの生物学的機能を実行し、さらに、皮膚において、他の物質と結合して皮膚に緊密性を付与する巨大分子複合体を形成することにより、支持体としての機能も有する。
【0004】
フェルラ酸およびカフェイン酸といったヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体は、遊離型、またはリグニンもしくは他の生体高分子と共有結合した形態において植物界の種子および葉に広く分布している。そのフェノール骨格および側鎖の幅広い共役により、それらは、強力な抗酸化作用、ならびに様々な炎症性病変および紫外線照射に曝された細胞の保護特性における保護機能を作り出す共鳴により安定化されるフェノキシラジカルを形成する。
【0005】
ヒアルロン酸は、皮膚のレベルにおいて、経表皮水を保持することにより作動する保湿物質である。しかしながら、それは非常に親水性が高い分子であるために親油性の角質層への浸透には困難が伴い、さらに、迅速に分解される物質でもある。本発明の化合物の1つのアドバンテージは、修飾したポリマーにおけるヒドロキシ−ケイ皮酸置換基の存在により、組織に存在するヒアルロニダーゼが行う酵素分解から保護されることであり;さらに、ヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体によるHAのエステル化により、天然のポリマーに比べて高い親油性を有し、故に、経皮生体吸収が容易となる化合物の獲得が可能となる。
【0006】
その化学的、物理学的および生物学的性質の観点からHAは特に研究、構造修飾の対象とされてきており、新たな誘導体に関する刊行物および特許がいくつか存在する。
【0007】
例えば、欧州特許番号第0341745号のように主に関節症治療における関節内投与に用いるための、あるいは、例えば、米国特許番号第4,582,865号のように術後の癒着防止剤として用いるための粘弾性生成物を得るために、HAを架橋する加工に関し、いくつかの研究が行われた。
【0008】
HAのヒドロキシ基を有機酸でエステル化して得られるエステルに関する特許または刊行物の数は比較的少ない。
【0009】
これらの内、異なる置換度のアセチル化HAの製造を開示する米国特許番号第5,679,567号を引用することができよう。WO2005/092929および Inv. New Drugs (2004), 22 (3), 207-217 は、抗増殖作用を有し、故に、抗腫瘍的使用に潜在的に有用である酪酸とHAのエステル誘導体を開示し、一方で、WO2008/081255は、酪酸とHAのエステル誘導体であるが、高い架橋度を有し、主に関節内投与のための粘弾性増強剤として有用であるものを開示する。HAの他のエステル誘導体は、Picotti et al., WO2009/080220に記載され、ここで、HAはリポ酸でエステル化され、デルモコスメティックな使用のための誘導体、または関節内治療のための医療機器としての誘導体が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
我々の知る限り、現在のところ、粘弾性増強作用、保湿作用、軟化活性を有する化合物として皮膚保護に用いるための、あるいは光線照射により誘発される紅斑性病態の抗発赤作用または鎮痛作用を有する医療機器もしくは粘弾性補足剤として用いるための多糖類のエステル、より具体的にはHAとヒドロキシ−ケイ皮酸のエステルの記載は存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、酢酸、酪酸およびリポ酸などの異なる酸でエステル化された前述の多糖類誘導体とは異なる、フェルラ酸およびカフェイン酸といったヒドロキシ−ケイ皮酸とヒアルロン酸の新規エステル誘導体を開示する。
【0012】
本発明のエステル化されたヒアルロン酸の置換度は調整されてもよく、例えば、ヒアルロン酸とカルボニル−ジ−イミダゾールで前もって活性化したヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体の化学量論比、用いられる触媒塩基の量および反応時間といった適用される反応条件に依存し、評価された実験条件の範囲内である2%から20%の間を含む。
【発明の効果】
【0013】
故に、本発明により得られる誘導体の化学的、物理学的およびレオロジー的特性は、ヒドロキシ−ケイ皮酸によるヒアルロン酸のエステル化度を変更することにより改変することができる。かかる誘導体は、保湿剤、粘弾性増強剤、抗老化薬、抗挫創薬として、あるいは、創傷、アトピー性皮膚炎、光線照射による皮膚の発熱といった異なる性質の皮膚損傷の治療のためにも用いられ得る。
【0014】
本発明はまた、先行技術とは異なった新規のものであるかかる誘導体の製造方法を請求する。実際、かかる方法は、アセトンによる沈殿とそれに次ぐメタノール処理、濾過、減圧乾燥による反応生成物の回収を包含し、それにより、透析またはタンジェント濾過(tangential filtration)といった時間がかかり高価である工程を用いる必要なく合成工程の不純物を除去することが可能となり、次いで、最終生成物が凍結乾燥または噴霧乾燥により回収される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
原文に記載なし。
【実施例】
【0016】
NMRの実験はBruker Avance 400 instrumentを用いて記録された。約5mg/mlの濃度のKODを1滴用いて化合物をpH12のDOに溶解した。
【0017】
6から8ppmの間の芳香族領域ではエステル化による芳香環のシグナルが観察でき、ヒアルロン酸のメチルのシングレットの非常に強いシグナルは約1.8ppmで見られた。これらのシグナルの積算により、サンプルにおけるエステル化度が得られる。
【0018】
実施例1:ヒアルロン酸のフェルラ酸エステル(中置換度)の製造(化合物1)
3gのヒアルロン酸Na(mw404;7.9 meq.(モノマー単位)、分子量300kD)を90℃で60mlのホルムアミドに溶解した。室温に冷却後、1.05mlのトリエチルアミン(7.5meq.)、ならびに10mlのホルムアミドに懸濁し、Molecules 2007, 12, p. 2540-2544、化合物12のようにして製造した0.5gのフェルロイルイミダゾリド(mw244;1.99meq.)を得られた溶液に加えた。
【0019】
室温で終夜反応させた後、反応混合物を15mlの5%NaClで希釈した。最初は粘稠性の高かった溶液はより流動性の高いものとなり、それを1リットルの無水アセトンに滴下して注いだ。生じた沈殿物を濾取し、400mlの無水アセトンで再撹拌し、再度濾取し、200mlの無水メタノールで再び撹拌した。
【0020】
濾取し、40℃で減圧乾燥した後、サンプルの無水物(3.1g)を回収した。
【0021】
このようにして得られた化合物を、IR、NMR分光法および元素分析で解析した。
【0022】
HAのメチル基のシグナルおよびフェルラ酸のダブレットシグナル間のシグナルの積分中間体(NMR)の比を算出することにより、8%の置換度(エステル化)を得た(図1のNMRを参照)。
【0023】
実施例2:ヒアルロン酸のフェルラ酸エステル(低置換度)の製造
実施例1と同じ工程に従い、ただし、NaClを加える前の反応時間を2時間のみに短縮し、4%のエステル化度の無水化合物2.8gを得た(図2のNMRを参照)。
【0024】
実施例3:ヒアルロン酸のフェルラ酸エステル(高置換度)の製造
実施例1の工程に従い、ただし、NaClを加える前の反応時間を24時間に延長、イミダゾリドの量を1.9g(7.9meq.)に増加し、17%のエステル化度の無水化合物3.3gを得た(図3のNMRを参照)。
【0025】
実施例4:ヒアルロン酸のカフェイン酸エステルの製造
カフェイン酸(0.51g、2.83mmol)の無水THF(10ml)溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI、0.92g、5.67mmol)を加えた。得られた混合物を還流状態で1時間維持し、反応混合物を直接次工程に用いた。
【0026】
ヒアルロン酸ナトリウム(3.0g、7.92mmol、モノマー単位)を、砂浴内に置いた2-neck バルーン中において、70℃で1時間ホルムアミド(60ml)に溶解した。得られた粘稠性の無色の溶液を室温に冷却し、TEA(1.1ml、7.92mmol)、およびイミダゾリド(約2.8mmol)のTHF溶液を加えた。均一なオレンジ−赤味がかった溶液が得られるまで混合物を撹拌した。数分以内に溶液の粘度および稠度はゼラチン状のオレンジ−赤味がかった(ゴミの様で弾性に富んだ)凝集物が形成される程度に上昇した。室温で終夜静置した後、凝集物をNaCl溶液(5% w/v、15ml)に加えた。
【0027】
得られたゲル状物質を200mlのアセトンで処理し、濾取し、100mlのメタノールで撹拌しながら2回再懸濁し、濾取し、減圧乾燥し、黄褐色の無水生成物(2.5g)を得た。
【0028】
約6mgのポリマーの試料を0.7mlのDO中で膨潤させ、完全に透明で無色のゲル状物質を得た。該ゲル状物質をNMRチューブに移し、分析したところ(図4)、エステル化されたカフェイン酸の芳香族水素に帰属できる6および7.2ppmの間のダブレットシグナル、および1.8ppmにおけるメチル基の強いシングレットシグナルを示した。40%NaOD/DOを1滴加えることにより、ヒアルロン酸ナトリウムの誘導体化の度合いを定量することが可能となり、7%と同等であることが分かった。
【0029】
実施例5:酵素的分解に対する抵抗性の評価
表皮における微生物の存在によりそれに関連する生物学的活性が皮膚において発生するが、活性は様々な酵素的機能の形態で示され、その中にヒアルロニダーゼ酵素によるものがある。ヒアルロン酸(HA)は天然において該酵素により分解されるが、該酵素は、多糖鎖のモノマー単位間のグリコシド1,4−ベータ結合を加水分解することによりヒアルロン酸の分解を触媒する。架橋HAはヒアルロニダーゼの酵素作用に強い抵抗性を有し、かかる抵抗性は架橋度の上昇と共に上昇する。本発明のヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体のような適切な化学構造を有する分子によるHAのエステル化により、架橋HAと同様のレオロジー的特性を有しながら良好な水溶性を維持する化合物を得ることができる。
【0030】
前記の合成で用いたような市販のHAのナトリウム塩(分子量300kD)、ならびに実施例2および3でそれぞれ記載されるフェルラ酸でエステル化した低エステル化度および高エステル化度のHAエステルの2つのサンプルを用いた。
【0031】
実験は一般的な方法により行われた。
【0032】
簡潔に述べると、37℃で維持した、0.1mg/ml(ウシ精巣ヒアルロニダーゼ、I−S型、Sigma、1000U/mg)と同等の量の酵素を含む多糖類の溶液(1mg/ml)を37℃でインキュベートした。0−2時間の範囲の定期的な間隔で0.5mlのサンプルを採取し、100℃で5分間置き、濾過して酵素を除去し、次いで、サイズ排除クロマトグラフィー分析により分析した:クロマトグラムの加工により分子量分布を算出した。
【0033】
酵素とインキュベートしてから30分後、市販の非エステル化HAは、約300kDの分子量から約10分の1の分子量に激しく分解された。実施例2に由来するサンプルは、約4%のエステル化度であり、約60%分解されたが、実施例3に由来するサンプルでは、平均分子量が約250kDに変化するわずかな加水分解過程しか行われなかった。
【0034】
実施例6:フェルラ酸でエステル化したHAのサンプルのレオロジー的研究
本発明の化合物(実施例1の化合物)のレオロジー的挙動を、本発明の化合物のエステルの製造において未加工の出発物質として用いたHAのナトリウム塩(分子量300kD)のものと比較した。
【0035】
レオロジー測定は Rotovisco 1-Haake レオメータ、plate/plate システム、Rheowin 323 ソフトウェアを用いて行った。粘度は、0.01s−1から500s−1のディスクの速度勾配、「せん断速度」により測定し、サンプルはNaCl 5%食塩水に2%の量において溶解した。
【0036】
実施例1に関連するサンプルは擬塑性のレオロジー的挙動を示し、粘度はせん断速度(図5aおよび図5b参照)と共に増加した。Ostwald de Waeleの関係を適用することにより得られたフローダイヤグラムの算出パラメーターは、それぞれ:K(Pa.s)、即ち、9.97+/−0.53(n=3)およびn=0.47と同等のフローコンシステンシーインデックス(流動性指数、即ち、速度勾配の関数としての対数スケールにおける粘度曲線の傾き)である。
【0037】
実際、この結果から、フェルラ酸によるHAのエステル化により、低せん断において互いに相互作用可能である無視できない非直線形の立体障害構造を有する鎖が提供されるという結論が導かれる。適用するせん断を上昇させることにより、鎖は流れに沿って一直線となる傾向にあり、故に、系はネイティブな挙動に戻ることとなる。
【0038】
逆に、非修飾ネイティブHAは、非常に低いK値(K=0.40 Pa.s)である、溶液の典型的なプロファイルを有していた。
【0039】
実施例7:ヒト活性化好中球におけるフェルラ酸HA化合物(実施例1)の抗ROS活性
本発明の化合物が、HAのエステル化に用いたヒドロキシ−ケイ皮酸物質の抗酸化的、抗ラジカル的なスカベンジング活性を保持できているかを調べた。
【0040】
インビトロにおいて、化合物1の、ホルボール−ミリステート−アセテート(PMA)で活性化したヒト好中球白血球により産生される活性酸素分子(ROS)の活性の阻害能を、Luminol(Hなどの酸化剤の存在下において、化学発光を示す物質)の存在下で評価した。
【0041】
かくして、白血球の細胞懸濁液(10細胞/ml)を、Luminol(5μM)の存在下において適切なバッファーに溶解した化合物1と共にインキュベートした。細胞を、37℃で10分間、0.02および0.2mMの化合物1、あるいはネイティブなHAのナトリウム塩と共にインキュベートした。その後、細胞を0.1μM PMAで活性化し、20分間、4分間隔において蛍光リーダーHTS7000(Perkin Elmer)で化学発光をモニターした。
【0042】
より高濃度の試験濃度において化合物1は最大78%の阻害を示したが、HAは事実上不活性であり、多糖類にフェルラ酸を導入することにより、出発物質の抗ラジカル活性が低下することが示された。
【0043】
実施例8:遮光機能を備えたO/Wソフニング・クリームの製造
本発明の限定されない例として、本発明のエステル誘導体を含み、ガンマ−オリザノールなどの太陽光線(UVB)保護指数を付与された物質を添加することにより強化され、故に、発色団部分の作用が統合されたクリーム製剤を製造した。
【0044】
該製剤は、2%の濃度の実施例1に記載される化合物1を、乳化剤、防腐剤、無痛化剤、および溶剤といった皮膚科学において一般的に用いられる賦形剤、ならびに、太陽光線照射に対し保護作用を有する薬剤、即ちガンマ−オリザノールとの混合物において含有する。
【0045】
簡潔に述べると、製造方法は以下である:
a)油脂相:炭酸ジ−カプリリル、カプリル酸ヤシ油アルキル(coco−caprylate)、ポリ−グリセリル−2−ジポリ−ヒドロキシステアレートおよびフェノキシ−エタノールを撹拌下において約80℃で加熱することにより溶解し;得られた溶解物に、ガンマ−オリザノールを加えた;
b)水相:水、デヒドロ酢酸ナトリウムおよび化合物1をターボ乳化機に入れ;溶解するまで約60℃で加熱した後、常に緩やかに撹拌しながら、他の成分、即ち、乳化用混合物ナトリウムラウリルグルコースカルボスシレート/ラウリルグルコシドおよび防腐剤混合物メチルプロパンジオール/フェニルプロパノールを加えた;
c)エマルジョン:油脂相を撹拌下において水相に注ぎ、タービンを10分間活性化した;反応物を常に撹拌しながら最終的に20/25℃の温度まで冷却した。
以下の組成(重量%)を有するクリームが得られた:

【0046】
実施例9:デルモコスメティック活性の機能アッセイ
皮膚保水性および弾力性といったデルモコスメティックな機能活性を、前記の実施例で示されるプロトタイプ製剤を用い、目的に沿って訓練した志願者の集団において評価した。本実験では、実施例8の製剤の活性を、活性成分を含まない同様の製剤(コントロール)と、4週間、1日2回処置した志願者の2つの群で比較した(T0およびT4wの時点)。
【0047】
a)皮膚弾力性:皮膚弾力性の評価は、プローブを皮膚に適用することにより該プローブ内で負の圧力(吸引力)を1秒間発生し、次いで解除する測定装置である「皮膚測定装置」を用いて行った。弾力性は、皮膚に残った変形と皮膚の最大伸張の比により算出した。かかる比は、文献ではパラメーターR2として知られ、ストレス事象後に皮膚が元の状態に戻る能力を示す。かかる比が1に近いほど、皮膚の弾力性は高くなる。
【0048】
実施例8の製剤と関連する処置群では、開始時点のT0からT4wの時点のR2パラメーターの百分率変化は27.5%(p<0.05、t検定)であったが、コントロール群におけるその百分率変化は有意なものではなかった。この結果により、本発明の化合物1が、関連する弾力性増強活性を付与されたものであり、同じ賦形剤を用いて製造されたコントロールで処置した群では見られなかったR2パラメーターの上昇を引き起こしたことが示された。
【0049】
b)皮膚保水性:顔の皮膚の水分量は、静電容量の物理的法則に基づき皮膚水分量を測定する装置である「コルネオメーター」で測定した。該装置は、49mmの面積の正方形のセンサーからなる。センサー表面を顔の皮膚の平坦な領域に押し付けることにより、該装置から角質層の水含量に比例する数字が提供される。故に、該数字は、該装置の任意単位であるコルネオメトリー単位(0から150c.u.)で表される皮膚表面の皮膚水分量の尺度を提供する。
【0050】
試験の終了時、実施例8の製剤で処置した群では、4.8%に相当する皮膚水分量の百分率変化の増加が記録されたが、比較に用いたコントロール群では変化は記録されなかった。しかしながら、この増加は有意性の限界に近いことが分かり、これはおそらくは、用いた被験群の比較的少ないメンバー数(n=10)による結果である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5a】

【図5b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体とのヒアルロン酸エステル。
【請求項2】
該ヒドロキシ−ケイ皮酸がフェルラ酸およびカフェイン酸である、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項3】
該ヒアルロン酸の分子量が200000から400000ダルトンの間である、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項4】
多糖部分におけるカフェイン酸およびフェルラ酸による置換度が2%から20%の間である、請求項2に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項5】
ヒアルロン酸ナトリウム塩をホルムアミドに溶解し、該塩化合物を、当量の3級塩基の存在下において、先に室温においてカルボニル−ジ−イミダゾール(CDI)で活性化したヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体と反応させ、得られた粘稠性の反応物をNaCl水溶液で希釈し、反応生成物をアセトンで沈殿させて回収し、次いでメタノールで精製し、濾過し、減圧乾燥する、請求項1に記載されるヒアルロン酸(HA)エステルの製造方法。
【請求項6】
該ヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体がフェルラ酸である、請求項5に記載される方法。
【請求項7】
該ヒドロキシ−ケイ皮酸誘導体がカフェイン酸である、請求項5に記載される方法。
【請求項8】
2%から20%の間を含む所望のエステル化度に応じて、CDIで活性化された酸がHAに対して0.25から1当量の間の比で存在する、請求項5に記載される方法。
【請求項9】
2%から20%の間である所望のエステル化度に応じて1から24時間の間の時間で、HAをCDIで活性化された酸と反応させる、請求項5に記載される方法。
【請求項10】
創傷、潰瘍、皮膚炎、乾癬、光線照射により誘発される発熱のような皮膚病変の局所的治療に用いるための、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項11】
保湿剤、粘弾性増加剤、抗老化剤および抗挫創剤として局所的治療に用いるための、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項12】
粘稠性補足剤として関節内治療に用いるための、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。
【請求項13】
請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル、および皮膚科学的に許容される不活性な賦形剤を含む局所組成物。
【請求項14】
該組成物の0.1重量%から5重量%の間のパーセントのヒアルロン酸エステルを含む、請求項13に記載される局所組成物。
【請求項15】
クリーム剤、ジェル剤、軟膏、水性もしくは水アルコール性ローション剤、油/水もしくは水/油型乳剤の剤形である、請求項13に記載される局所組成物。
【請求項16】
カルボキシル基がナトリウム塩となっている、請求項1に記載されるヒアルロン酸エステル。

【公開番号】特開2012−241192(P2012−241192A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109757(P2012−109757)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(598105824)ロッタファルム・ソシエタ・ペル・アチオニ (18)
【氏名又は名称原語表記】ROTTAPHARM S.p.A.
【Fターム(参考)】