説明

ヒアルロン酸誘導体を含んでいる三次元人工器官及びそれらの調製方法

【課題】人体の部位の再形成のため三次元人工器官を提供することである。
【解決手段】耳介、鼻、咽頭、喉頭、気管、関節、眼窩、心臓弁、乳頭、臍、内臓とそれらの部分、及び二次生殖器官からなる群から選ばれる複雑形状である人体部分の形状をとる三次元人工器官において、
前記三次元人工器官は本質的に繊維質又は多孔質構造を有しており且つ少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体を含んでいる少なくとも一つの三次元基質より成っており、
前記三次元基質の少なくとも二つを含む場合の前記人工器官は、該三次元基質の第一が第二及び可能なそれ以上の基質を包含する及び/又はこれに接着されており、
少なくとも前記ヒアルロン酸誘導体が、ヒアルロン酸のエステル類、架橋エステル、架橋化合物、第4級アンモニウムのような特定のヒアルロン酸誘導体である三次元人工器官。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元人工器官とそれらの調製方法を記述する。
【0002】
本発明の三次元人工器官は、単独で又は薬学的又は生物学的な活性物質と共同して使用することが出来る、そしてそれ自体として使用でき又は細胞培養のための足場として作用できる。前記三次元人工器官は、人体又は動物体の部位の再形成のため、外科又は神経外科に有用である。
【背景技術】
【0003】
移植を目的とした人工器官は、通常、合成物質又は天然の、処理された物質で作られる。
【0004】
外傷の程度のせいで自己組織による回復が不可能な腹壁のような体壁の損傷は、例えば合成網目により治療される。
【0005】
実際、外傷を受けた腹壁を補強又は回復させる人工器官に通常使用される物質は、タンタルガーゼ、ステンレス鋼の網目、ポリプロピレンの薄織物、微孔性e−PTFE、ポリガラクチン910、ポリエステル、ポリグリコール酸、架橋された牛の心膜である。
【0006】
然し、合成重合体又は金属から作られた心臓血管又は骨の人工器官のような代用の人工器官を移植することにより損傷した組織又は損なわれた器官の満足のゆく回復を得る日付を推定することは不可能であった。
【0007】
事実、これらのタイプの人工器官は、宿主に炎症性反応を誘発する傾向があり、これらは希に容易に周囲の微小環境と結合するし、これらは繊維組織形成の原因となり又これらは機械的な摩滅や裂け目を受けがちであり、それで定期検診を必要とする。
【0008】
一つの代るべき方法は、自己の組織又は器官、又はより屡々同種又は異種のそれでさえ移植することである。この解決法は、免疫性反応、感染及び提供者の死のような様々な欠点を持っている。
【0009】
最近、組織工学として知られる新しい生体医学的診療が基盤を得てきた。この手法により、生体のそれらに類似の組織が小さな生検により細胞を取り出して、生分解性足場上でそれらを培養して増殖しそれらを拡張して得ることができる。例えば、皮膚、軟骨及び骨のような組織は、試験管内で創出されそこで患者に移植される(EP0462426,WO97/18842)。
【0010】
再形成技術の改良研究が進行中の他の組織は、耳、鼻、乳首、唇及び胸のような人体の見える部分又は付属物のそれである。
【0011】
大きさ、形又は位置の何れの非対称も即座に目立つ、耳の解剖学的位置と連係した難しさのせいで耳介を再形成し、日付を決めることは特に難しいことが判ってきた。その上、皮膚で覆われた不規則な形状の軟骨の複雑な形態を再生させることは困難である。
【0012】
外傷の重症度に従って、様々な技術が耳の再形成に用いられている。
【0013】
耳のほんの一部が切断された場合、同じ耳の一部又は周りの組織が損傷した部分を再形成するのに使用される、又は肋間軟骨の部分が患部に移植されて近辺の皮膚の細片で覆われる、そうして移植は血管を新生することが出来る。
【0014】
耳介が殆ど完全に切断された時には、合成耳介人工器官が使用できる。然し、これらは毎日の介護の必要性、人工器官と直接接触するせいと患部でそれらを固定するのに必要とされる強力接着剤のせいの両方による周囲の皮膚の損傷のような、数多くの不利な点を有する。然し、或種の人工器官は、直接骨の中に移植される。
【0015】
もう一つの再形成法は、増量剤により未だ利用可能な組織の量を増やすことより成る。
【0016】
最後に、数ヶ月の治療後にだけ許容できる結果を与える、数段階に分けて別々の時に行われる非常に複雑な外科的技術が時々使用される。
【0017】
略言すると、この技術は患者から肋間軟骨の一部を取り出してそれを外耳に似た形に形成することより成る。軟骨は、通常、最初それに血管が新生するために前腕又は背中の皮下に移植され、再調のために数回切除される。
【0018】
移植組織が十分な成熟段階に達した時、それは耳の患部に移植されて近辺の皮膚の細片で覆われる。
【0019】
最後に、患者は移植組織の美容性を改良するために更なる手術を受けねばならない。
【0020】
患者にそうした多くの色々な手術を行わねばならない欠点に加えて、この技術は、そのより少ない弾性のような耳のそれとは違った特性を持つ肋間軟骨の使用を含んでいる。
【0021】
不幸にも、これらの人工器官は屡々効果が無くて汎發性壊死及び移植不全の点まで退化する、又はより希には、軟骨が骨の組織に変換し得る(石灰化)。
【0022】
それ故、斯かる人工器官用の理想的物質は、化学的に不活性で、非発癌性、機械的ストレスに耐えることが出来て且つ望みの形態に形成でき、滅菌可能、組織液による物理的変異を起しにくいものであり、これらは炎症性、免疫学的、アレルギー又は過敏症反応を誘発してはならない又これらは内臓の癒着を促してはならない(Jenkins S.D. ほか、Surgery94(2);392−398,1983)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】欧州特許第0462426号明細書
【特許文献2】国際公開第97/18842号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0216453号明細書
【特許文献4】欧州特許第0341745号明細書
【特許文献5】欧州特許第0265116号明細書
【特許文献6】国際公開第96/357207号パンフレット
【特許文献7】国際公開第95/25751号パンフレット
【特許文献8】国際公開第98/045335号パンフレット(PCT/EP98/01973)
【特許文献9】米国特許第5520916号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】Jenkins S.D.ほか、Surgery94(2);392−398,1983
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、耳介、鼻、咽頭、喉頭、気管、関節、眼窩、心臓弁、乳頭、臍、内臓とそれらの部分、及び二次生殖器官からなる群から選ばれる複雑形状である人体部分の形状をとる三次元人工器官において、
前記三次元人工器官は本質的に繊維質又は多孔質構造を有しており且つ少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体を含んでいる少なくとも一つの三次元基質より成っており、
前記三次元基質の少なくとも二つを含む場合の前記人工器官は、該三次元基質の第一が第二及び可能なそれ以上の基質を包含する及び/又はこれに接着されており、
少なくとも前記ヒアルロン酸誘導体が、
−カルボキシ機能基の一部又は全部が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸のエステル類、
−カルボキシ基の一部又は全部が、同じ又は異なった多糖鎖又はその他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、
−カルボキシ基の一部又は全部が、スペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋化合物、
−ヒアルロン酸の一部又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、
−O−硫酸処理又はN−硫酸処理したヒアルロン酸誘導体の部分的又は全エステル、及び
−ヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸、O−硫酸処理したヒアルロン酸、ヒアルロン酸及び必要に応じて部分的な重金属塩と琥珀酸のヘミエステルからなる群より選ばれたヒアルロン酸誘導体の第4級アンモニウム塩、
からなる群より選ばれる、上記三次元人工器官。
【0026】
また、本発明は、耳介、鼻、鼻中隔、咽頭、喉頭、気管、関節、骨格構造、眼窩、心臓弁、血管、乳頭、臍、内臓とそれらの部分、及び二次生殖器官からなる群から選ばれる人体部分の形状をとる三次元人工器官において、
前記三次元人工器官は本質的に繊維質構造を有しており且つ少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体を含んでいる少なくとも一つの三次元基質より成っており、
前記三次元基質の少なくとも二つを含む場合の前記人工器官は、該三次元基質の第一が第二及び本質的に繊維質又は多孔質構造を有する可能なそれ以上の基質を包含する及び/又はこれに接着されており、
少なくとも前記ヒアルロン酸誘導体が、
−カルボキシ機能基の一部又は全部が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸のエステル類、
−カルボキシ基の一部又は全部が、同じ又は異なった多糖鎖又はその他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、
−カルボキシ基の一部又は全部が、スペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋化合物、
−ヒアルロン酸の一部又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、
−O−硫酸処理又はN−硫酸処理したヒアルロン酸誘導体の部分的又は全エステル、及び
−ヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸、O−硫酸処理したヒアルロン酸、ヒアルロン酸及び必要に応じて部分的な重金属塩と琥珀酸のヘミエステルからなる群より選ばれたヒアルロン酸誘導体の第4級アンモニウム塩、
からなる群より選ばれる、上記三次元人工器官。
【0027】
前記三次元人工器官は、更に、自己又は内生の成熟又は間葉細胞、又は間葉と成熟細胞型の別の型との複合システムからなる群より選ばれた細胞より成っている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい実施例に従って、本発明の人工器官は:
A1.本質的に繊維質構造を有している三次元基質、
A2.本質的に多孔質構造を有している三次元基質、
A3.二次元的に孔のあいた基質、からなる群より選ばれた基質(A)より成っており、前記基質(A)が:
B.(A)が(A1)又は(A3)である場合に本質的に多孔質構造を有している三次元基質、
C.(A)が(A2)又は(A3)である場合に本質的に繊維質構造を有している三次元基質、
D.(A)が(A1)又は(A2)である場合に二次元的に孔のあいた基質、
からなる群より選ばれた基質を包含している及び/又は接着されていて、前記基質(A)、(B)、(C)、(D)は少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体より成っている。
【0029】
本発明に従う三次元人工器官の調製に使用されるヒアルロン酸誘導体のうち、次のものは選択範囲の一つである:
カルボキシ機能基の一部又は全部が脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式系列のアルコール類(EP0216453B1参照によって完全に取込まれている)と、特にベンジルアルコールと、エステル化されたヒアルロン酸のエステル類;
カルボキシ基の一部又は全部が同じ多糖鎖又は他の鎖のアルコール機能基(EP0341745B1参照によって完全に取込まれている)とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル;
カルボキシ基の一部又は全部がスペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式、複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋化合物(EP0265116B1参照によって完全に取込まれている);
ヒアルロン酸と又はヒアルロン酸の部分的又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩(WO96/357207参照によって完全に取込まれている);
O−硫酸処理した誘導体(WO95/25751参照によって完全に取込まれている)又はN−硫酸処理した誘導体(PCT/EP98/01973参照によって完全に取込まれている);
ヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸、O−硫酸処理したヒアルロン酸、ヒアルロン酸及び必要に応じて部分的な重金属塩と琥珀酸のヘミエステルからなる群より選ばれたヒアルロン酸誘導体の、テトラブチルアンモニウム及びフェニルトリメチルアンモニウムとの塩のような、第4級アンモニウム塩。
【0030】
本発明に従う人工器官に含まれる本質的に繊維質構造を有している基質(A1)と(C)は、不織薄布の形態又は網目の形態であるのが好ましい。
【0031】
ヒアルロン酸誘導体を含んでいる不織薄布は、我々がここで完全に参照に取り入れている米国特許US5520916に記されているように調製される。
【0032】
斯かる人工器官はどんなに複雑であっても、どんな形にも容易に作られる利点を持つ、そして更に使用されるヒアルロン酸誘導体の化学構造に従って且つエステル化の程度に従って、再形成されるべき領域の必要条件に従って調整できる引張り強度と劣化時間を所有する利点を持つ。
【0033】
前記人工器官は、天然、半合成及び合成重合体の結合を含んでもよい。
【0034】
使用できる天然重合体は、例えば、コラーゲン、コラーゲンとグリコサミノグリカンの共沈殿物、セルロース、キチンのようなゲル形態の多糖類、キトサン、ペクチン又はペクチン酸、寒天、アガロース、キサンタン、ゲラン、アルギン酸又はアルギン酸塩、ポリマンナン又はポリグリカン、澱粉、天然ゴムである。
【0035】
半合成重合体は、例えば、アルデヒド類又は同じくそれらの前駆体のような薬剤と架橋したコラーゲン、ジカルボン酸又はそれらのハロゲン化物、ジアミン類、セルロースの誘導体、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、ゲラン、キサンタン、ペクチン又はペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴム、グリコサミノグリカンからなる群より選ぶことが出来る。
【0036】
最後に、使用できる合成重合体の例は、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又は同共重合体又はそれらの誘導体、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン酸樹脂、ポリウレタン、PTFEである。
【0037】
本発明に従う人工器官は、ヒアルロン酸誘導体により構成されているので、それらはそれらの表面上で組織の再生と細胞の成長を刺激することが出来る。
【0038】
実に、前記人工器官は損傷を受けた又は外傷に伴って損失した又は先天性欠陥の結果としての人体又は動物体の部位の再形成のための細胞培養用そのもの又は足場として使用できる。
【0039】
前者の場合、内生細胞は生体内で人工器官に転移増殖する、一方後者の場合自己細胞は組織移植の前に人工器官の上で培養される。
【0040】
それは又望まれる細胞株の中で分化させられ得る成熟又は間葉細胞を培養することも可能である;様々な細胞型の複雑システムも培養できる。
【0041】
本発明に従う人工器官は、抗炎症剤、抗生物質、成長因子、抗有糸分裂剤、抗菌剤及び抗ウイルス剤のような、薬学的又は生物学的活性物質を含んでもよい。
【0042】
単独で又は細胞培養を含んでいる前記製品は、一般、内科、耳鼻咽喉科、形成、美容、腫瘍学、整形外科、心臓血管、婦人科及び腹部外科と神経外科で使用できる。
【0043】
人工器官によって再形成できる人体の部位は、例えば、耳介、鼻、鼻中隔、咽頭、喉頭、気管、指関節のような関節、顎関節、骨格構造及び、更に、眼窩、心臓弁、血管、乳頭、臍、内臓とそれらの部分及び二次生殖器官である。
【0044】
耳介のような複雑な形態を持つ人体部位の再形成の場合には、製品は以下の必要条件に合致せねばならない:
それは再形成されるべき部分と同じ解剖学的形状であって、且つ患者用に正確なサイズであらねばならない;
それは細胞が人工器官の形態にそれら自身で適合しながら増殖できる表面を持たねばならない;
それらは生分解性であって且つ同時に足場の構造はそれが形成されるべき新組織を取得するまでの間は同じに留まることを保証せねばならない。
【0045】
体液又は細胞培養溶液に接触した時に急速に分解しないで且つ上記必要条件に合致する、少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体により構成される複雑な形態を持つ工業的レベルの人工器官を生産するためには、ヒアルロン酸誘導体の分子間の化学物理的相互作用を確立することにより、従って人工器官が望みの形にしっかりと定着する、革新的作業工程を案出することが必要であった。
【0046】
特に、基質AがA1であって且つ前記基質が基質Bを包含する時、本発明の工程は以下の段階より成る:
−a)ヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布の層で型を内張りする、
−b)前記型の中の不織薄布にヒアルロン酸又はO−硫酸処理したヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸のようなヒアルロン酸誘導体の第4級アンモニウム塩、琥珀酸及び必要に応じてそれらの重金属塩とヒアルロン酸とのヘミエステルの水溶液を含浸させる、
−c)例えば、ヒアルロン酸のテトラブチルアンモニウム塩又はヒアルロン酸のフェニルトリメチルアンモニウム塩、又はO−硫酸処理したヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸のようなヒアルロン酸誘導体のアンモニウム塩、琥珀酸及び必要に応じてそれらの重金属塩とヒアルロン酸とのヘミエステルより成っている基質Bを包含している基質A1を有している人工器官を得るために型の中身を凍結乾燥させる、
−d)段階(c)から出来た人工器官に含まれるアンモニウム塩を脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とヒアルロン酸の部分的又は全エステル、カルボキシ基の一部又は全部が同じ又は異なる多糖鎖又は他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、カルボキシ基の一部又は全部がスペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋誘導体、ヒアルロン酸の部分的又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、N−硫酸処理された又はO−硫酸処理されたヒアルロン酸の部分的又は全エステルから選ばれたヒアルロン酸誘導体で必要に応じて変換する、
−e)(d)から出来た製品を必要に応じて凍結乾燥させる;
【0047】
基質AがA2又は前述の工程の上に規定された段階c又はdから得られた製品であって且つ基質Cに接着される時、工程は以下の段階より成る:
−a’)ヒアルロン酸又はO−硫酸処理したヒアルロン酸(WO95/25751)又はN−硫酸処理したヒアルロン酸(PCT/EP98/01973)、琥珀酸及び必要に応じてその重金属塩とヒアルロン酸のヘミエステル(WO96/357207)から選ばれた誘導体の第4級アンモニウム塩の水溶液の薄い層を同一か又は異なる凍結乾燥した第4級アンモニウム塩に塗布する、
−b’)段階(a’)から出来た混合物にヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布の層を接着する、
−c’)基質AがA2であって且つ基質Cに接着しているヒアルロン酸又はO−硫酸処理したヒアルロン酸(WO95/25751)又はN−硫酸処理したヒアルロン酸(PCT/EP98/01973)のような未だエステル化されてないそれの誘導体、琥珀酸及び必要に応じてにその重金属塩とヒアルロン酸のヘミエステル(WO96/357207)の第4級アンモニウム塩のようなアンモニウムから成る人工器官を得るために段階(b’)から出来た混合物を凍結乾燥させる、
−d’)段階(c’)から出来た人工器官に含まれるアンモニウム塩を脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とヒアルロン酸の部分的又は全エステル、カルボキシ基の一部又は全部が同じ又は異なる多糖鎖又は他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、カルボキシ基の一部又は全部がスペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋誘導体、ヒアルロン酸の部分的又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、N−硫酸処理された又はO−硫酸処理されたヒアルロン酸の部分的又は全エステルから選ばれたヒアルロン酸誘導体で必要に応じて変換する、
−e’)(d’)から出来た製品を必要に応じて凍結乾燥させる;
【0048】
また、基質AがA2又は最初の工程から来ている上記に規定された段階c又はdから得られた製品であって且つ基質Cに接着される時、工程は以下の段階より成る:
−a”)適当な水又はDMSO(ジメチルスルホキシド)のような有機溶媒中のヒアルロン酸誘導体の溶液の薄い層を塗布する、前記ヒアルロン酸誘導体は脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコールとヒアルロン酸の部分的又は全エステル、カルボキシ基の一部又は全部が同じ又は異なる多糖鎖又は他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、カルボキシ基の一部又は全部がスペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋誘導体、ヒアルロン酸の部分的又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、N−硫酸処理された又はO−硫酸処理されたヒアルロン酸の部分的又は全エステルから選ばれている、
−b”)段階(a”)から出来た凍結乾燥された製品にヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布を貼り付ける、
−c”)段階(b”)から出来た製品を凍結乾燥させる。
【0049】
本発明に従う人工器官がヒアルロン酸誘導体より成っている少なくとも一つの多孔性基質を含む場合には、工程は以下の段階より成る:
a”’)再形成されるべき人体部位の形状を有している型の中にヒアルロン酸の又はO−硫酸処理したヒアルロン酸、N−硫酸処理したヒアルロン酸、及び琥珀酸と必要に応じてその重金属塩とヒアルロン酸のヘミエステルから選ばれた誘導体の第4級アンモニウム塩の水溶液を注入する、
b”’)型の中の水溶液を凍結乾燥させる、
c”’)凍結乾燥した製品を型から分離して凍結乾燥したアンモニウム塩を脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とヒアルロン酸の部分的又は全エステル、カルボキシ基の一部又は全部が同じ又は異なる多糖鎖又は他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、カルボキシ基の一部又は全部がスペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋誘導体、ヒアルロン酸の部分的又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、N−硫酸処理された又はO−硫酸処理されたヒアルロン酸の部分的又は全エステルから選ばれた少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体に変換する、
d”’)型の中の前述の段階から出来た製品を凍結乾燥させる。
【実施例】
【0050】
実施例1
ヒアルロン酸のフェニルトリメチルアンモニウム塩の調製法
69グラムのヒアルロン酸ナトリウムが4lの水に溶解させられて予めテトラブチルアンモニウム中にドウェックス樹脂(Dowex Resin)M15を充たしたカラムを通過させられる。これは凍結乾燥させられ、その後100gのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩が得られる。
【0051】
150グラムのヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩(HATBA)と225gの塩化フェニルトリメチルアンモニウムが、2lの水と3lのアセトンにより構成された混合液(40/60混合液)に溶解させられる。
【0052】
15リットルのアセトンが添加され、そしてヒアルロン酸フェニルトリメチルアンモニウム塩の沈殿物が得られる。
【0053】
沈殿物はアセトンで数回洗浄されて、約35℃の温度で72時間乾燥させられる(収量:125g)。
【0054】
実施例2
ヒアルロン酸の全ベンジルエステル(登録商標HYAFF11)により構成された耳介の再形成用人工器官の調製法
中空の型が歯科医学で使用される重合体製で、耳介の形状に調製される。失われた耳の形状は、他の耳の鏡像を用いてコンピューター処理システムにより再構築される。
【0055】
型は型の形状にぴったりとフィットしていて、不織薄布の形の登録商標HYAFF11の層で内張りされる。
【0056】
不織薄布は、70mg/mlの濃度でフェニルトリメチルアンモニウムとのヒアルロン酸塩の水溶液15mlを含浸させられ、そしてこれは凍結乾燥させられる。
【0057】
登録商標HYAFF11の不織薄布を含む、フェニルトリメチルアンモニウムとヒアルロン酸の塩により構成された、耳介の形の固形中間製品は型から取外されて不均質相中のエステル化反応に曝される。
【0058】
素材は、中間製品のグラム当たりアセトン0.3リットルの中に入れられ、そこに4グラムの臭化テトラブチルアンモニウムと3mlの臭化ベンジルが添加される。混合液は、12時間沸点に保たれる。
【0059】
製品は、1:1の比率のエタノールと水及び3%の塩化ナトリウムを含んでいる溶液で繰返し洗浄され、その後、水で洗浄される。
【0060】
最後に、製品は型の中に戻されて凍結乾燥させられる。
【0061】
実施例3
ヒアルロン酸の全ベンジルエステル(登録商標HYAFF11)により構成された耳介の再形成用人工器官の調製法
中空の型が歯科医学で使用される重合体製で、耳介の形状に調製される。失われた耳の形状は、他の耳の鏡像を用いてコンピューター処理システムにより再構築される。
【0062】
型は型の形状にぴったりとフィットしていて、不織薄布の形の登録商標HYAFF11の層で内張りされる。
【0063】
不織薄布は、70mg/mlの濃度でテトラブチルアンモニウムとのヒアルロン酸塩の水溶液15mlを含浸させられ、そしてこれは凍結乾燥させられる。
【0064】
登録商標HYAFF11の不織薄布を含む、テトラブチルアンモニウムとヒアルロン酸の塩により構成された、耳介の形の固形中間製品は型から取外されて不均質相中のエステル化反応に曝される。
【0065】
素材は、中間製品のグラム当たりアセトン0.06リットルの中に入れられ、そこに4.2グラムの臭化テトラブチルアンモニウムと1.4mlの臭化ベンジルが添加される。
【0066】
混合液は、12時間沸点に保たれる。
【0067】
製品は、1:1の比率のエタノールと水及び3%の塩化ナトリウムを含んでいる溶液で繰返し洗浄され、その後、水で洗浄される。
【0068】
最後に、製品は型の中に戻されて凍結乾燥させられる。
【0069】
実施例4
ヒアルロン酸の全ドデシルエステル(登録商標HYAFF11)により構成された耳介の再形成用人工器官の調製法
中空の型が歯科医学で使用される重合体製で、耳介の形状に調製される。失われた耳の形状は、他の耳の鏡像を用いてコンピューター処理システムにより再構築される。
【0070】
型は型の形状にぴったりとフィットしていて、不織薄布の形の登録商標HYAFF11の層で内張りされる。
【0071】
不織薄布は、70mg/mlの濃度でテトラブチルアンモニウムとのヒアルロン酸塩の水溶液15mlを含浸させられ、そしてこれは凍結乾燥させられる。
【0072】
登録商標HYAFF11の不織薄布を含む、テトラブチルアンモニウムとヒアルロン酸の塩により構成された、耳介の形の固形中間製品は型から取外されて不均質相中のエステル化反応に曝される。
【0073】
素材は、中間製品のグラム当たりアセトン0.06リットルの中に入れられそこに4.2グラムの臭化テトラブチルアンモニウムと1.4mlの臭化ドデシルが添加される。
【0074】
混合液は、12時間沸点に保たれる。
【0075】
製品は1:1の比率のエタノールと水及び3%の塩化ナトリウムを含んでいる溶液で繰返し洗浄され、その後、水で洗浄される。
【0076】
最後に、製品は型の中に戻されて凍結乾燥させられる。
【0077】
実施例5
不織布の形で自己架橋ヒアルロン酸に包含されたヒアルロン酸の全ベンジルエステル(登録商標HYAFF11)により構成された耳介の再形成用人工器官の調製法
中空の型が歯科医学で使用される重合体製で、耳介の形状に調製される。失われた耳の形状は、他の耳の鏡像を用いてコンピューター処理システムにより再構築される。
【0078】
型は型の形状にぴったりとフィットしていて、不織薄布の形の登録商標HYAFF11の層で内張りされる。
【0079】
不織薄布は、70mg/mlの濃度でテトラブチルアンモニウムとのヒアルロン酸塩の水溶液15mlを含浸させられ、そしてこれは凍結乾燥させられる。
【0080】
登録商標HYAFF11の不織薄布を含む、テトラブチルアンモニウムとヒアルロン酸の塩により構成された、耳介の形の固形中間製品は型から取外されて不均質相中のエステル化反応に曝される。
【0081】
素材は、中間製品の10グラム当たりアセトン1.5リットルの中に入れられ、そこに70グラムの分子篩と10gの2−クロロ−1−メチル沃化ピリジニウムが添加される。
【0082】
混合液は、8時間沸点に保たれる。
【0083】
製品は、最初アセトンでそれから3%の塩化ナトリウムを含んでいる水溶液で洗浄され、そして最後に水で洗浄される。
【0084】
実施例6
その表面に接着された不織布の層(登録商標HYAFF11)を持つヒアルロン酸の全ベンジルエステル(登録商標HYAFF11)により構成された三次元人工器官の調製法
方法1 エステル化の前の製品に不織布の層(登録商標HYAFF11)の接着
約70mg/mlの濃度でテトラブチルアンモニウムとヒアルロン酸の水溶液の薄い層が、テトラブチルアンモニウム又はフェニルトリメチルアンモニウムとヒアルロン酸により構成され凍結乾燥された製品の表面上に塗布され、そうして不織布の層(登録商標HYAFF11)が当てられる。製品は型の中に戻され、−40℃の温度に止められて凍結乾燥される。そこで製品は前述の諸例のように、エステル化反応に曝される。
【0085】
方法1A 方法1で述べたのと同じ成分で同じ方法が不織布の層を添加せずに繰返される。
【0086】
方法2 エステル化した製品に不織布の層(登録商標HYAFF11)の接着
約180mg/mlの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中の登録商標HYAFF11の溶液の薄い層が、登録商標HYAFF11により構成された製品の表面に塗布され、その後、不織布の層(登録商標HYAFF11)が当てられる。そこで製品は、少なくとも30分間エチルアルコールに浸される。そうしてそれはエタノールで繰返し、それから水で洗浄される。製品は、型に置かれて凍結乾燥させられる。
【0087】
耳介人工器官上での細胞培養
鼻の軟骨の生検が標準の手順で行われる。
【0088】
軟骨の検体は、5%の炭酸ガスと共に37℃で15分間培養され、0.25%のトリプシンと0.02%のEDTA(エチレンジアミン四酢酸)による酵素消化によって、続いて0.1%コラゲナーゼの溶液での第二期酵素消化によって分解される。
【0089】
検体は攪拌されて約16時間37℃で培養される。
【0090】
続いて、残った組織のどんなかけらも遠心分離によって分離させられて上澄み液は取除かれる。
【0091】
酵素反応は、10%の牛の胎児の血清(FBS)で又は10%FBSで強化したダルベッコ(Dulbecco)の最小不可欠培養基(DMEM)で強化した培養基の添加によって中断される。
【0092】
近似的に1×106/cm2の細胞が成長因子を含んでいる培養基に再懸濁され、そして直径100mmの培養皿中の生体用材料の上に播種される。
【0093】
37℃で3時間の培養後、成長因子を含んでいる10mlの培養基が添加される。培養は、保温されて新鮮な培養基が播種後48時間、そしてそれから48−72時間毎に添加される。
【0094】
ここまで述べてきた本発明において、これらの方法が様々な方法で修正できることは明らかである。前記修正は本発明の趣旨や目的との相異と見なされるべきではなく、本分野の専門家には明らかであろうどんな修正も本発明の請求項の範囲に収まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耳介、鼻、咽頭、喉頭、気管、関節、眼窩、心臓弁、乳頭、臍、内臓とそれらの部分、及び二次生殖器官からなる群から選ばれる複雑形状である人体部分の形状をとる三次元人工器官において、
前記三次元人工器官は本質的に繊維質又は多孔質構造を有しており且つ少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体を含んでいる少なくとも一つの三次元基質より成っており、
前記三次元基質の少なくとも二つを含む場合の前記人工器官は、該三次元基質の第一が第二及び可能なそれ以上の基質を包含する及び/又はこれに接着されており、
少なくとも前記ヒアルロン酸誘導体が、
−カルボキシ機能基の一部又は全部が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸のエステル類、
−カルボキシ基の一部又は全部が、同じ又は異なった多糖鎖又はその他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、
−カルボキシ基の一部又は全部が、スペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋化合物、
−ヒアルロン酸の一部又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、
−O−硫酸処理又はN−硫酸処理したヒアルロン酸誘導体の部分的又は全エステル、及び
−ヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸、O−硫酸処理したヒアルロン酸、ヒアルロン酸及び必要に応じて部分的な重金属塩と琥珀酸のヘミエステルからなる群より選ばれたヒアルロン酸誘導体の第4級アンモニウム塩、
からなる群より選ばれる、上記三次元人工器官。
【請求項2】
耳介、鼻、鼻中隔、咽頭、喉頭、気管、関節、骨格構造、眼窩、心臓弁、血管、乳頭、臍、内臓とそれらの部分、及び二次生殖器官からなる群から選ばれる人体部分の形状をとる三次元人工器官において、
前記三次元人工器官は本質的に繊維質構造を有しており且つ少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体を含んでいる少なくとも一つの三次元基質より成っており、
前記三次元基質の少なくとも二つを含む場合の前記人工器官は、該三次元基質の第一が第二及び本質的に繊維質又は多孔質構造を有する可能なそれ以上の基質を包含する及び/又はこれに接着されており、
少なくとも前記ヒアルロン酸誘導体が、
−カルボキシ機能基の一部又は全部が、脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸のエステル類、
−カルボキシ基の一部又は全部が、同じ又は異なった多糖鎖又はその他の鎖のアルコール機能基とエステル化されたヒアルロン酸の架橋エステル、
−カルボキシ基の一部又は全部が、スペース鎖によって架橋を生成している脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、脂環式又は複素環式系列のポリアルコール類とエステル化されたヒアルロン酸の架橋化合物、
−ヒアルロン酸の一部又は全エステルと琥珀酸のヘミエステル又は琥珀酸のヘミエステルの重金属塩、
−O−硫酸処理又はN−硫酸処理したヒアルロン酸誘導体の部分的又は全エステル、及び
−ヒアルロン酸又はN−硫酸処理したヒアルロン酸、O−硫酸処理したヒアルロン酸、ヒアルロン酸及び必要に応じて部分的な重金属塩と琥珀酸のヘミエステルからなる群より選ばれたヒアルロン酸誘導体の第4級アンモニウム塩、
からなる群より選ばれる、上記三次元人工器官。
【請求項3】
前記三次元基質の少なくとも一つは、二次元的に孔のあいた基質を包含する及び/又は接着されており且つヒアルロン酸誘導体を含有している、請求項1又は2に記載の三次元人工器官。
【請求項4】
A1.本質的に繊維質構造を有している三次元基質、
A2.本質的に多孔質構造を有している三次元基質、
A3.二次元的に孔のあいた基質、からなる群より選ばれた基質(A)より成っており、前記基質(A)が:
B.(A)が(A1)又は(A3)である場合に本質的に多孔質構造を有している三次元基質、
C.(A)が(A2)又は(A3)である場合に本質的に繊維質構造を有している三次元基質、
D.(A)が(A1)又は(A2)である場合に二次元的に孔のあいた基質、
からなる群より選ばれた基質を包含するか又は接着されていて、前記基質(A)、(B)、(C)、(D)が少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体より成っている、請求項3に記載の三次元人工器官。
【請求項5】
更に、自己又は内生の成熟又は間葉細胞、又は間葉と成熟細胞型とは別の型との複合システムからなる群より選ばれた細胞より成っている、請求項1−4の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項6】
更に、天然、半合成及び合成重合体より成っている、請求項1−5の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項7】
天然重合体が、コラーゲン、コラーゲンとグリコサミノグリカンの共沈殿物、セルロース、キチンのようなゲル形態の多糖類、キトサン、ペクチン又はペクチン酸、寒天、アガロース、キサンタン、ゲラン、アルギン酸又はアルギン酸塩、ポリマンナン又はポリグリカン、澱粉、天然ゴムからなる群より選ばれる、請求項6に記載の三次元人工器官。
【請求項8】
半合成重合体が、アルデヒド類又は同じくそれらの前駆体のような薬剤と架橋したコラーゲン、ジカルボン酸又はそれらのハロゲン化物、ジアミン類、セルロースの誘導体、ヒアルロン酸、キチン又はキトサン、ゲラン、キサンタン、ペクチン又はペクチン酸、ポリグリカン、ポリマンナン、寒天、アガロース、天然ゴム及びグリコサミノグリカンからなる群より選ばれる、請求項6に記載の三次元人工器官。
【請求項9】
合成重合体が、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又は同共重合体又はそれらの誘導体、ポリジオキサン、ポリホスファゼン、ポリスルホン酸樹脂、ポリウレタン、PTFEからなる群より選ばれる、請求項6に記載の三次元人工器官。
【請求項10】
前記基質(A)、(B)、(C)及び(D)の少なくとも一つが少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体より成っている、請求項4−9の何れか一つに記載の三次元人工器官。
【請求項11】
前記基質A1とCが網目又は不織薄布からなる群より選ばれる、請求項4に記載の三次元人工器官。
【請求項12】
基質(A2)と(B)が凍結乾燥工程により得られる、請求項4−11の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項13】
前記二次元的に孔のあいた基質が連続構造を有している二次元膜を穿孔することにより得られる、請求項3に記載の三次元人工器官。
【請求項14】
前記ヒアルロン酸エステルがベンジルエステルである、請求項1又は2に記載の三次元人工器官。
【請求項15】
薬学的又は生物学的な活性物質と関連する請求項1−14の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項16】
薬学的又は生物学的な活性物質が、抗炎症剤、抗生物質、成長因子、抗有糸分裂剤、抗菌剤、抗ウイルス剤からなる群より選ばれる、請求項15に記載の三次元人工器官。
【請求項17】
人体又は動物体の部位の再形成のための請求項1−16の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項18】
前記人体の部位が耳介である、請求項1又は2に記載の三次元人工器官。
【請求項19】
前記人体の部位が指骨関節又は顎関節である、請求項1又は2に記載の三次元人工器官。
【請求項20】
一般、内科、耳鼻咽喉科、形成、美容、腫瘍学、整形外科、心臓血管、婦人科及び腹部外科と神経外科で使用する請求項1−19の何れか1つに記載の三次元人工器官。
【請求項21】
基質AがA1であって且つ前記基質が基質Bを包含していて、以下の段階:
−a)型をヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布で内張りする、
−b)型の中の前記不織薄布にヒアルロン酸の第4級アンモニウム塩又は請求項1又は2で規定されたようなヒアルロン酸誘導体の水溶液を含浸させる、
−c)それにより請求項1又は2で規定されたようなアンモニウム塩より成っている基質Bを包含した基質A1を有している人工器官を得るのに型の中身を凍結乾燥させる、
−d)段階(c)から出来た人工器官に含まれるアンモニウム塩を請求項1又は2で規定されたものから選ばれたヒアルロン酸誘導体で必要に応じて変換する、
−e)(d)から出来た製品を凍結乾燥させる、
より成っている、請求項4に記載の三次元人工器官を調製する方法。
【請求項22】
基質AがA2であるか又はそれが請求項21に記載の工程の段階(c)又は(d)の製品であって且つ基質Cに接着されており、以下の段階:
−a’)請求項1又は2で規定されたのと同一か又は異なった凍結乾燥された第4級アンモニウム塩に請求項1で規定されたような第4級アンモニウム塩の水溶液の薄層を塗布する、
−b’)段階(a’)から出来た混合物にヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布の層を接着する、
−c’)それにより基質AがA2であって且つ基質Cを接着している請求項1又は2で規定されたようなアンモニウム塩より成る人工器官を得るのに段階(b’)から出来た混合物を凍結乾燥する、
−d’)段階(c’)から出来た人工器官に含まれるアンモニウム塩を請求項1又は2で規定されたものから選ばれたヒアルロン酸誘導体で必要に応じて変換する、
−e’)(d’)から出来た製品を凍結乾燥させる、
より成っている、請求項4に記載の三次元人工器官を調製する方法。
【請求項23】
基質AがA2であるか又はそれが請求項21に記載の工程の段階(c)又は(d)の製品であって且つ基質Cに接着されており、以下の段階:
−a”)請求項1又は2で規定されたものから選ばれている前記ヒアルロン酸誘導体に、適当な水性又は有機溶媒中のヒアルロン酸誘導体の溶液の薄層を塗布する、
−b”)段階(a”)から出来た凍結乾燥した製品にヒアルロン酸誘導体より成っている不織薄布を当てる、
−c”)(b”)から出来た製品を凍結乾燥させる、
より成っている、請求項4に記載の三次元人工器官を調製する方法。
【請求項24】
ヒアルロン酸誘導体より成っている少なくとも一つの多孔質基質を含んでいて、以下の段階:
a”’)再生されるべき人体部位の形状を有している型の中に請求項1又は2で規定されたような第4級アンモニウム塩の水溶液を注入する、
b”’)型の中の水溶液を凍結乾燥させる、
c”’)型から凍結乾燥した製品を分離して凍結乾燥したアンモニウム塩を請求項1又は2で規定したようなものから選ばれた少なくとも一つのヒアルロン酸誘導体に変換する。
d”’)型の中で前述の段階から出来た製品を凍結乾燥させる、
より成っている、請求項1又は2に記載の三次元人工器官を調製する方法。

【公開番号】特開2011−212464(P2011−212464A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157097(P2011−157097)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2000−554411(P2000−554411)の分割
【原出願日】平成11年6月16日(1999.6.16)
【出願人】(500395369)フィディア アドヴァンスド バイオポリマーズ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【Fターム(参考)】