説明

ヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品

【課題】人体に影響がなく安心して使用できる安全性の高い植物抽出物を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品を提供する。
【解決手段】サワグルミ(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、カキドオシ(Glechoma hederacea)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物抽出物を有効成分とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物抽出物を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤に関し、更に詳細には抗アレルギー剤として、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性喘息、花粉症、腸管アレルギー等の症状を改善することを目的とするヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、環境条件の悪化や社会生活の複雑化に伴うストレスの増加等により、花粉症・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎等のアレルギー反応に起因する疾患に苦しむ人が増加している。
【0003】
生体には体内に侵入した異物を排除するために免疫機能が備わっているが、時としてその反応が過敏になるために身体に有害となり、種々の病気の原因となってしまうことがある。この免疫機能による障害反応をアレルギーと呼び、大きく即時型と遅延型に分類される。
【0004】
アレルギー反応において発症頻度が高いのは即時型であり、主として免疫グロブリンE(IgE)抗体が関与する反応である。IgE抗体は体内に侵入した抗原に対して産生され、肥満細胞上のレセプターと強く結合する性質がある。肥満細胞に結合したIgE抗体に対して再び同種の抗原が結合するとヒスタミン、セロトニン、ロイコトリエン等の起炎物質が肥満細胞から遊離され、血管透過性亢進、平滑筋萎縮、粘液分泌亢進等が起こり種々のアレルギー疾患を引き起こす。
【0005】
以上の過程でアレルギー反応は進行し、この過程のいずれかを抑制する物質は抗アレルギー効果が期待できる。
【0006】
従来、即時型アレルギー反応による疾患の治療剤として抗ヒスタミン剤が広く使用されてきた。抗ヒスタミン剤は平滑筋収縮、血管透過性亢進といったヒスタミンの作用を遮断する薬剤である。しかし、化学合成製品である抗ヒスタミン剤そのものには、眠気やめまいあるいは吐き気を催したり、倦怠感が起こったり、さらには下痢を催したりする副作用があるという問題点がある。
【0007】
上記の抗ヒスタミン剤とは異なった過程を抑制する物質、例えば肥満細胞からのヒスタミン遊離を抑制する効果を有する物質にも抗アレルギー効果が期待できる。
【0008】
安全性に問題が少ないという点から、天然物である植物からヒスタミン遊離抑制効果を有する抽出物の探索が行われており、テンチャ(例えば、特許文献1参照)、スイカズラ(例えば、特許文献2参照)、ペニロイアルハッカ(例えば、特許文献3参照)等の抽出物が開示されているが、十分なヒスタミン遊離抑制作用を有する抽出物は未だ得られていないのが現状である。
【0009】
また、クルミ科植物については、果実の堅果皮(胡桃殻)の抽出物が活性酸素を消去する効果(例えば、特許文献4参照)を有することが開示されているが、外果皮、果実、葉、仁のヒスタミン遊離抑制効果については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平06−192114号公報(請求項1)
【特許文献2】特開平06−183991号公報(請求項1)
【特許文献3】特開平07−330624号公報(請求項2)
【特許文献4】特許第2788166号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、植物抽出物中の薬効成分を活用することによって得られる安全かつ効果の高いヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明者らは、広く植物より抗アレルギー効果を示す抽出物のスクリーニングを行った結果、サワグルミ(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、カキドオシ(Glechoma hederacea)の抽出物に肥満細胞からのヒスタミン遊離抑制作用に基づく抗アレルギー作用を有することを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、サワグルミ(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、カキドオシ(Glechoma hederacea)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物抽出物を有効成分とするヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、中国、北米大陸等で古くから生薬として用いられている植物の抽出物を使用するものであるから、呈味に優れ、かつ安全性の点で問題はない。
【0015】
そのため、本発明のヒスタミン遊離抑制剤及びそれを含む飲食品は、化学合成製品からなる抗ヒスタミン剤のような副作用を伴わずに、湿疹、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息、花粉症、腸管アレルギー等のアレルギー反応に起因する疾患を予防し、かつ治療することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で使用する植物、ザクロ(Punica granatum)、カキドオシ(Glechoma hederacea)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、サワグルミ(カワグルミ、フジグルミ、カルメを含む)(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、クルミ科クルミ属(Juglandaceae Juglans)は、その全体、葉、仁、外果皮(青皮、未熟果皮を含む)、成熟果実、未熟果実、果皮、花、材、樹皮、根等の部位を使用することができるが、ザクロに関しては果皮、カキドオシに関しては全草を、キダチハッカ及びレモンタイムに関しては葉を、サワグルミに関しては未熟果実を用いるのが好ましい。
【0017】
クルミ科クルミ属については、本種属に含まれていれば特に植物の種類は限定しないが、ブラックウォールナッツ(クロクルミを含む)(Juglans nigra)、オニグルミ(オグルミを含む)(Juglans mandshurica Maxim. var.sieboldiana Makino)、ペルシャグルミ(イングリッシュウォールナッツ、シナノグルミ、セイヨウグルミを含む)(Juglans regia L)、テウチグルミ(トウクルミを含む)(Juglans regia L.var.orientis(Dode)Kitamura)、ヒメグルミ(Juglans mandshurica Maxim. var.cordiformis (Makino)Kitamura)、バタグルミ(Juglans cinerea L)、マンシュウグルミ(Juglans mandshurica Maxim. var. mandshurica)を使用することが好ましい。
【0018】
また、クルミ科クルミ属において抽出に供するための植物の部位については、外果皮(青皮、未熟果皮を含む)、未熟果実、葉、仁を使用することが好ましく、果実の堅果皮(胡桃殻)は使用しない。なお、外果皮とは、堅果皮(胡桃殻)を覆っている肉質化した花床のことである。
【0019】
上記植物はそのまま使用してもよいが、乾燥して破砕することにより粉末として使用したほうが抽出効率がよくなり好適である。また、本発明のヒスタミン遊離抑制剤を得るための抽出に用いる溶剤に関しては特に限定しないが、水(熱水)の他にメタノール、エタノールまたはプロパノール等のアルコール類や、エーテル、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、グリセリン、プロピレングリコール等の有機溶剤またはこれらを適宜混合した溶剤を、好ましくは親水性の有機溶剤またはこれらを適宜混合した溶剤を用いて抽出することができる。しかし、本発明では、ヒスタミン遊離抑制剤として上記抽出物を経口で摂取することも考慮すると、安全性の面から水、エタノールもしくはその混合液を用いて抽出することが望ましい。
【0020】
上記植物より抽出物を得るための抽出条件としては、特に制限はないが、50〜100℃で1〜5時間程度が好ましい。抽出液はさらに濾過し、抽出溶剤を留去したあと、減圧下において濃縮または凍結乾燥したものを使用することができる。また、これらの抽出物を有機溶剤分画、カラムクロマトグラフィー等により分画精製したものを使用することもできる。
【0021】
本発明のヒスタミン遊離抑制用剤は、上記方法によって作製した植物抽出物の1種または2種以上を有効成分として使用することにより作製することができる。必要により適当な液体単体に溶解するか或いは分散させ、または適当な粉末単体と混合するか或いはこれに吸着させ、場合によっては、さらにこれに乳化剤、安定剤、分散剤、矯味剤、保存剤、芳香剤、着色剤、コーティング剤等を添加して、錠剤、液剤、注射剤、軟膏、クリーム、ローション、スプレー剤、エアゾール剤、座剤等の所望の剤型にして、経口剤、外用剤、注射剤、吸入剤、点鼻・点眼剤等として使用してもよい。この場合の添加量としては、剤に対して乾燥抽出物を0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上使用するのが好適である。
【0022】
また、本発明のヒスタミン遊離抑制剤は、香り、呈味性に優れ、安全性が高いことから、チューインガム、キャンディ、錠菓、グミゼリー、チョコレート、ビスケット等の菓子、アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓、飲料、スープ、ジャム等の飲食品に配合して日常的に利用することが可能である。
【0023】
添加量としては、特に嗜好性の面を考慮すると約0.001〜5重量%、好ましくは約0.01〜1重量%の割合になるように添加するのが好適である。
【0024】
本発明で使用するザクロ(Punica granatum)、カキドオシ(Glechoma hederacea)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、サワグルミ(カワグルミ、フジグルミ、カルメを含む)(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、クルミ科クルミ属(Juglandaceae Juglans)植物は、いずれも生薬、食品素材、ハーブティとして古くから用いられているものであり、これらの抽出物並びにこれを配合した飲食品の安全性について全く問題がない。
【0025】
以下、試験例および実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
乾燥し破砕したザクロの果皮、カキドオシの全草、キダチハッカの葉、レモンタイムの葉それぞれ30gに300mlの50%エタノールを加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ザクロ抽出物は12.1g、カキドオシ抽出物は7.4g、キダチハッカ抽出物は5.6g、レモンタイム抽出物は3.6g得られた。
【実施例2】
【0027】
乾燥し破砕したザクロの果皮、カキドオシの全草、キダチハッカの葉、レモンタイムの葉それぞれ30gに300mlの水を加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ザクロ抽出物は12.1g、カキドオシ抽出物は7.2g、キダチハッカ抽出物は6.0g、レモンタイム抽出物は3.6g得られた。
【実施例3】
【0028】
破砕したブラックウォールナッツの仁、オニグルミの仁それぞれ10gに100mlの50%エタノールを加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ブラックウォールナッツ抽出物は2.4g、オニグルミ抽出物は2.8g得られた。
【実施例4】
【0029】
乾燥し破砕したブラックウォールナッツの葉10gに100mlの50%エタノールを加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ブラックウォールナッツ抽出物は1.8g得られた。
【実施例5】
【0030】
乾燥し破砕したペルシャグルミの外果皮、テウチグルミの外果皮、ブラックウォールナッツの外果皮それぞれ10gに100mlの水を加え、3時間、70℃で抽出を行った。得られた各抽出液を個別に濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ペルシャグルミ抽出物は1.6g、テウチグルミ抽出物は1.8g、ブラックウォールナッツ抽出物は1.9g得られた。
【実施例6】
【0031】
乾燥し破砕したペルシャグルミの外果皮、ブラックウォールナッツの外果皮それぞれ10gに100mlの50%エタノールを加え、3時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ペルシャグルミ抽出物は1.4g、ブラックウォールナッツ抽出物は1.3g得られた。
【実施例7】
【0032】
乾燥し破砕したペルシャグルミの外果皮、ブラックウォールナッツの外果皮それぞれ10gに100mlの100%メタノールを加え、3時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、減圧乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ペルシャグルミ抽出物は0.2g、ブラックウォールナッツ抽出物は0.3g得られた。
【実施例8】
【0033】
乾燥し破砕したブラックウォールナッツの外果皮10gに100mlの100%エタノールを加え、3時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、減圧乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ブラックウォールナッツ抽出物は0.2g得られた。
【実施例9】
【0034】
ペルシャグルミの未熟果実、ブラックウォールナッツの未熟果実、オニグルミの未熟果実、ヒメグルミの未熟果実、バタグルミの未熟果実、マンシュウグルミの未熟果実、サワグルミの未熟果実それぞれ10gに100mlの水を加え、3時間、70℃で抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することにより、本発明であるヒスタミン遊離抑制剤を得た。ペルシャグルミ抽出物は1.4g、ブラックウォールナッツ抽出物は1.6g、オニグルミ抽出物は0.9g、ヒメグルミ抽出物は1.0g、バタグルミ抽出物は1.2g、マンシュウグルミ抽出物は1.3g、サワグルミ抽出物は0.4g得られた。
【比較例1】
【0035】
乾燥し破砕したテンチャの葉30gに300mlの水を加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することによりテンチャ抽出物6.4gを得た。
【比較例2】
【0036】
乾燥し破砕したオニグルミの胡桃殻30gに300mlの50%エタノールを加え、1時間、90℃で還流抽出を行った。得られた抽出液を濾過し、濃縮、凍結乾燥することによりオニグルミ抽出物0.4gを得た。
【試験例1】
【0037】
実施例1〜9で示した本発明品であるヒスタミン遊離抑制剤及び比較例1、2で示した比較抽出物を試料として、ヒスタミン遊離抑制効果を調べた。
【0038】
本試験は、刺激剤として広く使用されているコンパウンド48/80によるヒスタミン遊離を抑制することができるか否かで上記効果を確認するものである。
【0039】
ウイスター系雄性ラット(10〜13週齢)を脱血致死させ、開腹後、腹腔内に0.3mg/mlヘパリン含有緩衝液(150mMのNaCl、3.7mMのKCl、3.0mMのNaHPO、3.5mMのKHPO、0.9mMのCaCl、5.6mMのグルコース、0.05%ゼラチン)を注入し腹部をマッサージしてから、腹腔滲出細胞を採取した。その後、4℃、280Gで5分間遠心分離し、沈殿した細胞を採取し緩衝液で懸濁して肥満細胞浮遊液とした。
【0040】
この肥満細胞浮遊液430μlに対して、50%エタノールに溶解した試料20μl及び終濃度2μg/mlとなるように蒸留水に溶解したコンパウンド48/80溶液50μlを添加し、37℃で10分間反応させ、氷冷後、4℃、3500rpmで10分間遠心分離して上清を採取した。
【0041】
上清に含まれるヒスタミン量をHPLC(O-phtalaldehydeによるポストカラム誘導体化法)により分析し、ヒスタミン遊離抑制率を以下の式に従って算出した。
【0042】
ヒスタミン遊離抑制率(%)=〔(C−B)−(S−B)〕×100/(C−B)
但し、S:試料と刺激剤とを添加したときのヒスタミン遊離量、C:刺激剤を添加したときのヒスタミン遊離量、B:試料および刺激剤の双方を添加しないときのヒスタミン遊離量
それぞれの試料の各濃度におけるヒスタミン遊離抑制率を表1に示した。
【0043】
【表1】

【0044】
表1の結果より、本発明のザクロ、カキドオシ、キダチハッカ、レモンタイム、サワグルミ、クルミ科クルミ属から作製された抽出物は、強いヒスタミン遊離抑制作用を示したが、テンチャ抽出物及びオニグルミ胡桃殻抽出物については、弱いものであった。
【0045】
実施例1〜9で調製した植物抽出物を用いて、錠剤、散剤、注射剤、軟膏剤、吸入剤、点眼薬、点鼻薬、チューインガム、キャンディ、チョコレート、ビスケット、グミゼリー、錠菓、アイスクリーム、シャーベット、飲料を常法にて調製した。以下にその処方を示した。
【実施例10】
【0046】
〔錠剤〕
D−マンニトール 42.6%
乳糖 42.6
結晶セルロース 8.5
ヒドロキシプロピルセルロース 4.3
実施例6のペルシャグルミ抽出物 2.0
100.0%
【0047】
実施例10と同じ配合比率で、ペルシャグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した錠剤をそれぞれ同様に調製した。これらは錠剤としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例11】
【0048】
〔散剤〕
乳糖 62.5%
馬鈴薯でんぷん 25.0
実施例9のブラックウォールナッツ抽出物 12.5
100.0%
【0049】
実施例11と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した散剤をそれぞれ同様に調製した。これらは散剤としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例12】
【0050】
〔注射剤〕
クロロブタノール 0.5g
塩化ナトリウム 0.9
実施例9のオニグルミ抽出物 0.1
注射用水 適量
100.0ml
【0051】
実施例12と同じ配合比率で、オニグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した注射剤をそれぞれ同様に調製した。これらは注射剤としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例13】
【0052】
〔軟膏剤〕
ミツロウ 3.0%
水素添加ラノリン 8.0
スクワラン 34.0
固形パラフィン 2.0
マイクロクリスタリンワックス 9.0
白色ワセリン 5.0
アジピン酸ヘキシルデシル 13.0
セスキオレイン酸ソルビタン 3.5
ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油 1.0
グリセリン 10.0
エタノール 1.0
実施例1のレモンタイム抽出物 0.5
水 10.0
100.0%
【0053】
実施例13と同じ配合比率で、レモンタイム抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した軟膏剤をそれぞれ同様に調製した。これらは軟膏剤としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例14】
【0054】
〔吸入剤〕
エタノール 5.0%
実施例1のカキドオシ抽出物 0.5
実施例3のブラックウォールナッツ抽出物 0.5
水 94.0
100.0%
【0055】
実施例14と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した吸入剤をそれぞれ同様に調製した。これらは吸入剤としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例15】
【0056】
〔点眼薬〕
塩酸ピリドキシン 0.1g
ホウ酸 0.1
塩化ナトリウム 0.6
1N水酸化ナトリウム 適量
実施例8のブラックウォールナッツ抽出物 0.01
水 適量
100.0ml
(pH6.5)
【0057】
実施例15と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した点眼薬をそれぞれ同様に調製した。これらは点眼薬としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例16】
【0058】
〔点鼻薬〕
サリチル酸メチル 0.03g
マレイン酸クロルフェニラミン 0.3
dl―塩酸メチルエフェドリン 0.3
ポリソルベート80 0.2
塩化ベンザルコニウム 0.01
塩化ナトリウム 0.6
1N水酸化ナトリウム 適量
実施例5のペルシャグルミ抽出物 1.0
水 適量
100.0ml
(pH6.5)
【0059】
実施例16と同じ配合比率で、ペルシャグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した点鼻薬をそれぞれ同様に調製した。これらは点鼻薬としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例17】
【0060】
〔チューインガム〕
ガムベース 20.0%
砂糖 54.7
グルコース 15.0
水飴 9.3
香料 0.5
実施例9のペルシャグルミ抽出物 0.5
100.0%
【0061】
実施例17と同じ配合比率で、ペルシャグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製した。これらはチューインガムとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例18】
【0062】
〔チューインガム〕
ガムベース 20.0%
砂糖 55.5
グルコース 10.0
水飴 13.0
香料 0.5
実施例5のブラックウォールナッツ抽出物 1.0
100.0%
【0063】
実施例18と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したチューインガムをそれぞれ同様に調製した。これらはチューインガムとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例19】
【0064】
〔キャンディ〕
砂糖 50.0%
水飴 34.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
実施例5のテウチグルミ抽出物 0.4
水 14.4
100.0%
【0065】
実施例19と同じ配合比率で、テウチグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したキャンディをそれぞれ同様に調製した。これらはキャンディとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例20】
【0066】
〔キャンディ〕
砂糖 38.0%
水飴 42.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
実施例9のバタグルミ抽出物 0.4
水 18.4
100.0%
【0067】
実施例20と同じ配合比率で、バタグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したキャンディをそれぞれ同様に調製した。これらはキャンディとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例21】
【0068】
〔チョコレート〕
カカオビター 20.0%
全脂粉乳 20.0
カカオバター 17.0
粉糖 41.85
レシチン 0.45
香料 0.1
実施例7のブラックウォールナッツ抽出物 0.6
100.0%
【0069】
実施例21と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したチョコレートをそれぞれ同様に調製した。これらはチョコレートとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例22】
【0070】
〔ビスケット〕
砂糖 31.7%
小麦粉 26.8
片栗粉 26.8
バター 3.2
卵 10.7
重曹 0.3
実施例9のマンシュウグルミ抽出物 0.5
100.0%
【0071】
実施例22と同じ配合比率で、マンシュウグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したビスケットをそれぞれ同様に調製した。これらはビスケットとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例23】
【0072】
〔グミゼリー〕
ポリデキストロース水溶液 40.0%
ソルビトール水溶液 8.0
パラチノース水溶液 9.0
マルトース水溶液 20.0
トレハロース水溶液 11.0
ゼラチン 10.0
酒石酸 1.0
実施例9のヒメグルミ抽出物 1.0
100.0%
【0073】
実施例23と同じ配合比率で、ヒメグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したグミゼリーをそれぞれ同様に調製した。これらはグミゼリーとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例24】
【0074】
〔錠菓〕
砂糖 76.1%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
実施例1のザクロ抽出物 0.5
水 4.0
100.0%
【0075】
実施例24と同じ配合比率で、ザクロ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した錠菓をそれぞれ同様に調製した。これらは錠菓としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例25】
【0076】
〔錠菓〕
砂糖 75.7%
乳糖 18.9
ショ糖脂肪酸エステル 0.15
実施例1のキダチハッカ抽出物 1.0
水 4.25
100.0%
【0077】
実施例25と同じ配合比率で、キダチハッカ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した錠菓をそれぞれ同様に調製した。これらは錠菓としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例26】
【0078】
〔アイスクリーム〕
卵黄 11.0%
砂糖 14.0
牛乳 37.0
生クリーム 37.0
バニラビーンズ 0.5
実施例3のオニグルミ抽出物 0.5
100.0%
【0079】
実施例26と同じ配合比率で、オニグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したアイスクリームをそれぞれ同様に調製した。これらはアイスクリームとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例27】
【0080】
〔シャーベット〕
オレンジ果汁 16.0%
砂糖 32.0
実施例9のサワグルミ抽出物 2.0
水 50.0
100.0%
【0081】
実施例27と同じ配合比率で、サワグルミ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合したシャーベットをそれぞれ同様に調製した。これらはシャーベットとしての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。
【実施例28】
【0082】
〔飲料〕
オレンジ果汁 30.0%
異性化糖 15.24
クエン酸 0.1
ビタミンC 0.04
香料 0.1
実施例4のブラックウォールナッツ抽出物 0.1
水 54.42
100.0%
【0083】
実施例28と同じ配合比率で、ブラックウォールナッツ抽出物の代わりに実施例1から実施例9の各抽出物を配合した飲料をそれぞれ同様に調製した。これらは飲料としての性質を損なうことなくヒスタミン遊離抑制効果を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サワグルミ(Pterocarya rhoifolia Sieb.et Zucc)、レモンタイム(Thymus citriodorus)、キダチハッカ(Satureja hortensis)、カキドオシ(Glechoma hederacea)からなる群より選択される1種又は2種以上の植物抽出物を有効成分とすることを特徴とするヒスタミン遊離抑制剤。
【請求項2】
請求項1記載のヒスタミン遊離抑制剤を含むことを特徴とする飲食品。

【公開番号】特開2009−256365(P2009−256365A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166055(P2009−166055)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【分割の表示】特願2003−423930(P2003−423930)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(307013857)株式会社ロッテ (101)
【Fターム(参考)】