説明

ヒスタミンH3受容体アンタゴニストの新規なフマル酸塩

本開示は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのフマル酸塩、その医薬組成物、それらを製造する方法、及びその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの新規なフマル酸塩形態及びその医薬組成物に関する。本発明はまた、上記塩形態及び医薬組成物の製造方法、並びにヒスタミンH3受容体に関連する疾患の予防及び処置のためのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒスタミンH3受容体は、中枢及び末梢神経系に見られる。ヒスタミンH3受容体リガンドの投与は、脳及び末梢におけるヒスタミンレベル又は神経伝達物質の分泌に影響を及ぼし得、従ってアルツハイマー病及び他の認知症、肥満、中枢神経系障害、例えばビジランス障害及び睡眠障害、ナルコレプシー、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害及び学習障害、てんかん、統合失調症、中等度(moderate)認知障害、うつ病、不安、心血管障害、並びに胃腸障害を含む、いくつかの障害の処置において有用であり得る。
【0003】
説明のために、文献において多数の研究が齧歯類モデルにおけるヒスタミンH3受容体の認知増強(cognitive enhancing)特性を実証している(例えば、非特許文献1を参照のこと)。これらの報告は、アンタゴニスト及び/又は逆アゴニストがアルツハイマー病及び関連する神経変性障害のような神経疾患における認知機能障害の処置に有用であり得るということをさらに示唆する。アルツハイマー病は高齢者における認知症の最も一般的な原因であり、そしてしばしば、記憶喪失、錯乱、易刺激性及び攻撃性、気分変動、言語破綻、長期記憶喪失、患者の引きこもり(withdrawal of the sufferer)、並びに運動制御の喪失のような1つ又はそれ以上の症状を特徴とする。
【0004】
式(I):
【化1】

の構造を有する2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは、逆アゴニスト特性を有する強力なヒスタミンH3受容体アンタゴニストである。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの製造、物理的特性及び有益な薬理特性は、例えば特許文献1(特許文献2も)に記載される。特許文献1において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは遊離塩基形態であり、これは粘性油状物であるか、又はシュウ酸塩の形態であり、低い結晶性及び熱安定性を有すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/118547
【特許文献2】US2007/0105834
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Giovannini et al.、 Behav. Brain Res.、104、147−155 (1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
塩形態を製造することにより薬学的に活性な化合物の物理的又は薬学的特性が改善され得るということは知られているが、塩形態の実際の製造及び特徴付けの前に特定の目的のための利点をどの塩が有し得るかを予測することは不可能である。特に、そのような利点としては、非限定的なやり方で少し挙げると、より良好な処理可能性、溶解度又は貯蔵寿命安定性をもたらす塩の物理形態が挙げられ得る。他の利点としては、他の利点の中でも、改善されたバイオアベイラビリティー、胃腸管における減少した有害な反応(例えば胃腸管の易刺激性、化合物の部分的分解など)、又は薬物の意図された標的部位へのより良好な送達可能性のような生物学的特性も挙げられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って本発明は、有利な特性を示す2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのフマル酸塩を提供することであり、これらの有利な特性により、本フマル酸塩は2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの塩基形態自体、及び当該分野で公知の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの残りの他の塩形態と区別される。
【0009】
さらに、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩一水和物の結晶性及び安定性プロフィールが、この固体形態を薬物として予測不能なほど特に有用なものにしている。
【0010】
発明の要旨
従って、本発明は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのフマル酸塩に関する。本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのフマル酸塩の新規な結晶形態に関する。
【0011】
本発明の一局面は、式(II)::
【化2】

により表される、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩一水和物(「二フマル酸塩一水和物」と呼ぶ)である。
【0012】
本発明の別の局面は、式(III):
【化3】

で表される、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩(「二フマル酸塩」と呼ぶ)である。
【0013】
本発明の別の局面は、式(IV):
【化4】

の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの一フマル酸塩(「一フマル酸塩」と呼ぶ)である。
【0014】
本発明の別の局面は、式(V):
【化5】

で表される、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩二水和物(「ヘミフマル酸塩二水和物」と呼ばれる)である。
【0015】
本発明の別の局面は、式(VI):
【化6】

で表される、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩(「ヘミフマル酸塩」と呼ぶ)である。
【0016】
本発明の別の局面は、1つ又はそれ以上の本発明の化合物及び薬学的に許容しうる担体を含む医薬組成物である。
【0017】
本発明の別の局面は、1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて1つ又はそれ以上の本発明の化合物を製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0018】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの医薬組成物を調製するための方法であり、該方法は、1つ又はそれ以上の本発明の化合物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む。
【0019】
本発明の別の局面は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態を処置する方法である。
【0020】
本発明は、以下の図面及び以下の詳細な説明を用いてより十分に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物のX線粉末ディフラクトグラムである。
【図2】本発明の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物のフーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルである。
【図3】本発明の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の示差走査熱量測定−熱重量分析及び質量分析(DSC−TGA−MS)サーモグラムである。
【図4】本発明の結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩のX線粉末ディフラクトグラムである。
【図5】本発明の結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩のX線粉末ディフラクトグラムである。
【図6】本発明の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物のDSC−TGAサーモグラムの重ね合わせである。
【図7】本発明の結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩及び結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物のX線粉末ディフラクトグラムの重ね合わせである。
【図8】本発明の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩及び対応する2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の動的水蒸気吸脱着(DVS)水吸脱着プロフィールである。
【図9】本発明の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物及び対応する2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩のDVS吸湿性(hydgroscopicity)プロフィールである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義及び略号
上記及び本発明の説明全体を通して使用される以下の略号は、別の指示がなければ、以下の意味を有すると理解されるものとする:
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
ETOH エタノール
g グラム
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
mg ミリグラム
mL ミリリットル
uL マイクロリットル
MTBE tert−ブチルメチルエーテル
NMR 核磁気共鳴
RH 相対湿度
【0023】
上で使用され、そして本発明の説明全体を通して本明細書で使用される種々の用語は、当該分野で一般的に受け入れられる意味を有するものとする。より詳細には、以下の用語は、別の指示がなければ、以下の意味を有すると一般的に理解されるものとする。
【0024】
本明細書で使用される「二フマル酸塩一水和物」は、本明細書に記載される特徴的なデータを使用して特徴づけられ得る2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩一水和物を記載することを意図される。例となるデータは図1、2、3及び8に見られる。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩一水和物はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩水和物及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物と同義的に呼ばれる。
【0025】
本明細書で使用される「二フマル酸塩」は、本明細書に記載される特徴的なデータを使用して特徴づけられ得る2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩を記載することを意図される。例となるデータは図4及び8に見られる。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの二フマル酸塩はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、無水2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩無水物(anhydrate)、及び二フマル酸塩無水物と同義的に呼ばれる。
【0026】
本明細書で使用される「一フマル酸塩」は、本明細書に記載される特徴的なデータを使用して特徴づけられ得る2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの一フマル酸塩を記載することを意図される。例となるデータは図5及び6に見られる。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの一フマル酸塩はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩と同義的に呼ばれる。
【0027】
本明細書で使用される「ヘミフマル酸塩」は、本明細書に記載される特徴的なデータを使用して特徴づけられ得る2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩を記載することを意図される。例となるデータは図6、7及び9に見られる。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩脱水物(dehydrate)、無水2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及びヘミフマル酸塩無水物と同義的に呼ばれる。
【0028】
本明細書で使用される「ヘミフマル酸塩二水和物」は、本明細書に記載される特徴的なデータを使用して特徴づけられ得る2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩二水和物を記載することを意図される。例となるデータは図6、7及び9に見られる。2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドのヘミフマル酸塩二水和物はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物と同義的に呼ばれる。
【0029】
本明細書で使用される「本発明の化合物」は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を記載することを意図される。
【0030】
「処置すること」又は「処置」は、症状を軽減するか若しくは部分的に軽減すること、一時的若しくは持続的のいずれかで症状の原因を排除すること、又は指定された障害若しくは状態の症状の出現を遅くすることを意味する。本発明の化合物及び組成物は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態を処置する際に有用である。例えば、アルツハイマー病の処置には、疾患の進行を逆行させること、記憶及び/又は認識を改善すること;並びに記憶及び/又は認識の喪失を遅らせることが含まれ得る。
【0031】
「患者」にはヒト及び他の動物の両方が含まれる。
【0032】
「薬学的に有効な量」は、所望の治療効果を生じる際に有効な、化合物、組成物、薬剤又は他の活性成分の量を記載することを意図される。
【0033】
本発明は、式(II)の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の製造方法を提供し、該方法は、高温下又は周囲温度にて、適切な溶媒又は溶媒の混合物に溶解されている2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、場合により溶媒又は溶媒の混合物に溶解されているフマル酸と接触させる工程;及び例えばろ過又は溶媒の除去により、沈殿した固形物を単離する工程を含む。一実施態様において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド1モルあたり約2モルのフマル酸を反応させる。別の実施態様において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド1モルあたり、2モルより多いフマル酸を反応させる。
【0034】
塩形成を行うために2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを溶解するのに適した溶媒は、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、1−又は2−プロパノール、ブタノールの異性体アルコール類、ペンタノールの異性体アルコール類、及び2−メチル−4−ペンタノールのようなヘキサノールの異性体アルコール類;アセトンのようなケトン類;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサン;酢酸エステル、例えば酢酸エチル;有機酸、例えば酢酸;アミド類、例えばN−メチルピロリジノン及びニトリル類、例えばアセトニトリル;並びに水を含む混合物などのそれらの混合物を含む。
【0035】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を製造するための方法も提供され、該方法は2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を水と接触させることを含む。
【0036】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を製造するための方法であり、該方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を周囲温度付近で約10%より高い相対湿度に暴露することを含み、ここで周囲温度は20〜25℃の範囲に及ぶ。
【0037】
本発明の特定の局面は、結晶形態にある2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物である。本明細書に記載される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の結晶形態は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物I型結晶と呼ばれる。本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の結晶形態は、約5.31、5.84、7.00、及び8.67度(2シータ)にピークを含むX線回折パターンを示す。
【0038】
本発明の別の特定の局面は、結晶形態にある2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を製造するための方法である。
【0039】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を結晶形態で得るために、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、適切な溶媒又は溶媒の混合物(メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、及び水を含むがこれらに限定されない)中に、場合により溶媒又は溶媒の混合物に溶解されたフマル酸と共に溶解し、そして例えばろ過又は真空乾燥による溶媒の除去により沈殿した固形物を単離する。一実施態様において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド1モルあたりフマル酸1モルをさせる。別の実施態様において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド1モルあたりフマル酸2モルを反応させる。
【0040】
結晶化のより良好な制御のために、上に記載されるように以前に結晶状態で得た少量の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を用いて反応媒体に結晶種を入れることにより行われる、結晶化を開始する工程を提供することが可能である。この結晶種を入れるために、例えば反応させようとする塩基形態の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドの総量に対して0.05%〜5%の間の質量パーセントの2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を使用することが可能である。例えば、反応させようとする塩基形態の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドに対して約0.1質量%の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を使用し得る。
【0041】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩である。この二フマル酸塩は、二フマル酸塩一水和物の製造に特に有用である。
【0042】
本発明の特定の局面は、結晶形態にある2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩である。本明細書に記載される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩の結晶形態は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩I型結晶と呼ばれる。本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩の結晶形態は、約5.21、5.67、7.06、及び11.34度(2シータ)にピークを含むX線回折パターンを示す。
【0043】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を製造するための方法を提供し、該方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を脱水することを含む。
【0044】
本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を、低相対湿度、例えば湿度約10%未満に2時間又はそれ以上、周囲温度付近にて暴露することを含み、ここで周囲温度は20〜25℃の範囲に及ぶ。
【0045】
本発明の別の局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を約75℃より高温で加熱することを含む。
【0046】
本発明の別の局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を室温より高温で、例えば約40℃より高温で、低相対湿度、例えば約10%より低い湿度にて加熱することを含む。
【0047】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩である。本発明の特定の局面は、結晶状態である2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩である。本明細書に記載される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩の結晶形態は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩I型結晶と呼ばれる。本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩の結晶形態は、約3.37、6.70、13.36、14.83、15.88、及び17.65度(2シータ)にピークを含むX線回折パターンを示す。
【0048】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩を製造するための方法を提供し、該方法は、高温下又は周囲温度にて、適切な溶媒又は溶媒の混合物中に溶解された2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、場合により溶媒又は溶媒の混合物中に溶解された1当量のフマル酸と接触させること、及び沈殿した二フマル酸塩一水和物を、例えばろ過又は溶媒の除去により単離することを含む。一フマル酸塩は母液からの連続した結晶化後に得られ得る。
【0049】
一フマル酸塩形成を行うために2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを溶解させるために適した溶媒は、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、1−又は2−プロパノール、ブタノールの異性体アルコール類、ペンタノールの異性体アルコール類、及び2−メチル−4−ペンタノールのようなヘキサノールの異性体アルコール類;アセトンのようなケトン類;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサン;酢酸エステル、例えば酢酸エチル;有機酸、例えば酢酸;アミド類、例えばN−メチルピロリジノン及びニトリル類、例えばアセトニトリル;並びに水を含む混合物などのそれらの混合物を含む。
【0050】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩である。本発明の特定の局面は、結晶形態にある2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩である。本明細書で記載される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩の結晶形態は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩I型結晶と呼ばれる。本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩の結晶形態は、約3.61、7.22、7.96、8.21、9.01、10.82、及び15.66度(2シータ)にピークを含むX線回折パターンを示す。
【0051】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を製造するための方法を提供し、該方法は、高温下又は周囲温度にて、適切な溶媒又は溶媒の混合物中に溶解された2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、場合により溶媒又は溶媒の混合物中に溶解されたフマル酸と接触させる工程、及び例えばろ過又は溶媒の除去、及び乾燥により沈殿した固形物を単離する工程を含む。ヘミフマル酸塩は、母液からの連続した結晶化後に得られ得る。
【0052】
ヘミフマル酸塩形成を行うために2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを溶解するために適した溶媒は、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、1−又は2−プロパノール、ブタノールの異性体アルコール類、ペンタノールの異性体アルコール類、及び2−メチル−4−ペンタノールのようなヘキサノールの異性体アルコール類;アセトンのようなケトン類;エーテル類、例えばテトラヒドロフラン及びジオキサン;酢酸エステル、例えば酢酸エチル;有機酸、例えば酢酸;アミド類、例えばN−メチルピロリジノン及びニトリル類、例えばアセトニトリル;並びに水を含む混合物などのそれらの混合物を含む。
【0053】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を製造するための方法を提供し、該方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を脱水することを含む。
【0054】
本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を、低い相対湿度(例えば約10%より低い湿度)に2時間又はそれ以上暴露することを含む。
【0055】
本発明の別の局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物をほぼ周囲温度より高い温度で加熱することを含み、ここで周囲温度は約20〜約25℃の範囲に及ぶ。
【0056】
本発明の別の局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を製造するための方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を室温より高い温度(例えば約40℃より高い)で、低い相対湿度(例えば約19%より低い湿度)にて加熱することを含む。
【0057】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物である。本発明の特定の局面は、結晶形態にある2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物である。本明細書に記載される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物の結晶形態は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物I型結晶と呼ばれる。本発明の一局面において、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物の結晶形態は、約3.49、6.93、8.46、10.34、13.25、13.75、及び15.40度(2シータ)にピークを含むX線回折パターンを示す。
【0058】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を製造するための方法を提供し、該方法は2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を水と接触させることを含む。
【0059】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を製造するための方法であり、該方法は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を、約20%より高い相対湿度に周囲温度付近で暴露することを含み、ここで周囲温度は20〜25℃の範囲に及ぶ。
【0060】
本発明は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の一局面において、本医薬組成物は、結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を薬学的に許容しうる担体を組み合わせて含む。
【0061】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の一局面において、本医薬組成物は、結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む。
【0062】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の一局面において、本医薬組成物は、結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む。
【0063】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の一局面において、本医薬組成物は、結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む。
【0064】
本発明はまた、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。本発明の一局面において、本医薬組成物は、結晶性2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物を薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む。
【0065】
本発明の別の局面は、二フマル酸塩一水和物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0066】
本発明の別の局面は、二フマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0067】
本発明の別の局面は、一フマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0068】
本発明の別の局面は、ヘミフマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0069】
本発明の別の局面は、ヘミフマル酸塩二水和物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物である。
【0070】
本発明はまた、二フマル酸塩一水和物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0071】
本発明はまた、二フマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0072】
本発明はまた、一フマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0073】
本発明はまた、ヘミフマル酸塩を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0074】
本発明はまた、ヘミフマル酸塩二水和物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0075】
本発明の化合物は、経口、吸入、直腸、鼻腔内、頬側、舌下、膣、結腸、非経口(皮下、筋内、静脈内、皮内、髄腔内及び硬膜外を含む)、槽内及び腹腔内を含む局所又は全身投与により、薬学的に許容しうる投薬形態でヒト及び他の哺乳動物に投与され得る。当然のことながら、特定の経路は例えばレシピエントの生理的状態によって変わり得る。
【0076】
「薬学的に許容しうる投薬形態」は、本発明の化合物の投薬形態を指し、そして例えば、錠剤、糖剤、散剤、エリキシル剤、シロップ剤、懸濁剤を含む液状製剤、スプレー剤、吸入薬錠剤(inhalants tablets)、ロゼンジ、乳剤、液剤、顆粒剤、カプセル剤及び坐剤、さらにはリポソーム製剤を含む注射用液状製剤が含まれる。技術及び処方は一般的にRemington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版に見出され得る。
【0077】
本発明の特定の局面は、医薬組成物の形態で投与しようとする本発明の化合物を提供する。
【0078】
薬学的に許容しうる担体には、投与様式及び投薬形態の性質によって、薬学的に許容しうる担体、希釈剤、コーティング、アジュバント、添加物又はビヒクル、例えば保存剤、フィラー、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、安定化剤、懸濁化剤、等張剤、甘味剤、矯味矯臭剤、香料、着色剤、抗菌剤、抗真菌剤、他の治療剤、滑沢剤、吸着遅延又は促進剤、及び分配剤(dispensing agents)を含む群から選択される少なくとも1つの成分が含まれる。
【0079】
例となる懸濁化剤としては、エトキシ化イソステアリルアルコール類、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル類、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天及びトラガカント、又はこれらの物質の混合物が挙げられる。
【0080】
微生物の活動を防止するための例となる抗菌剤及び抗真菌剤としては、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などが挙げられる。
【0081】
例となる等張剤としては、糖類、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
【0082】
吸収を延長するための例となる吸着遅延剤としては、一ステアリン酸アルミニウム及びゼラチンが挙げられる。
【0083】
吸収を増強するための例となる吸着促進剤としては、ジメチルスルホキシド及び関連類似体が挙げられる。
【0084】
例となる希釈剤、溶媒、ビヒクル、可溶化剤、安定化剤、乳化剤及び乳化安定剤としては、水、クロロホルム、スクロース、エタノール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、安息香酸ベンジル、多価アルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール類、ジメチルホルムアミド、Tween(登録商標)60、Span(登録商標)60、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアラート及びラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンの脂肪酸エステル類、植物油(例えば綿実油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)及び注射可能な有機エステル類、例えばオレイン酸エチルなど、又はこれらの物質の適切な混合物が挙げられる。
【0085】
例となる添加物としては、ラクトース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムが挙げられる。
【0086】
例となる崩壊剤としては、デンプン、アルギン酸及び特定の複合珪酸塩(complex silicates)が挙げられる。
【0087】
例となる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、さらには高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0088】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、各々が所定の量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤、又は錠剤のような固形投薬形態のような個別の単位として;又は散剤若しくは顆粒剤として;水性液体若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤のような液状投薬形態として、又は水中油型液状乳剤若しくは油中水型液状乳剤として提示され得る。活性成分はまたボーラス、舐剤又はペーストとしても提示され得る。
【0089】
「固形投薬形態」は、本発明の化合物の投薬形態が固形、例えばカプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、糖剤又は顆粒剤であることを意味する。このような固形投薬形態において、本発明の化合物は少なくとも1つの不活性な慣用の添加剤(又は担体)、例えばクエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム又は:(a)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸のようなフィラー若しくは増量剤、(b)例えばカルボキシメチルセルロース、アルジネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアカシアのような結合剤、(c)例えばグリセロールのような保湿剤、(d)例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプン又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合珪酸塩及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)例えばパラフィンのような 溶解遅延剤(solution retarders)、(f)例えば第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えばセチルアルコール及びグリセロールモノステアラートのような湿潤剤、(h)例えばカオリン及びベントナイトのような吸着剤、(i)例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムのような滑沢剤、(j)乳白剤、(k)緩衝化剤、及び腸管の特定の部分で本発明の化合物を遅延した様式で放出する薬剤と混合される。
【0090】
錠剤は、場合により1つ又はそれ以上の補助的な成分を用いて圧縮又は成形により製造され得る。圧縮錠は、粉末又は顆粒のような自由流動性形態の活性成分を、場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、界面活性剤又は分散剤と混合して、適切な機械で圧縮することにより製造され得る。ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムのような添加剤、及びデンプン、アルギン酸及び特定の複合珪酸塩のような崩壊剤を、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような滑沢剤と組み合わせて使用し得る。不活性液状希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形して成形錠剤を製造し得る。錠剤は場合によりコーティングされていても分割されて(scored)いてもよく、そしてその中の活性成分の徐放又は制御放出をもたらすように製剤化され得る。
【0091】
固形組成物は、ラクトース又は乳糖、さらには高分子量ポリエチレングリコール類などのような添加物を使用する軟及び硬充填ゼラチンカプセル中のフィラーとしても使用され得る。
【0092】
必要に応じて、そしてより有効な分布のために、生体適合性で生分解性のポリマーマトリックス(例えば、ポリ(d,l−ラクチド コ−グリコリド))、リポソーム、及びミクロスフェアのような徐放性又は標的送達系に化合物をマイクロカプセル化するか、又は付着させ、そして皮下又は筋内に、皮下又は筋内デポーと呼ばれる技術により注射して2週間又はそれ以上の期間、化合物の継続的な徐放をもたらし得る。化合物は、例えば細菌保持フィルターを通すろ過により、又は使用直前に滅菌水又はいくつかの他の滅菌注射用媒体中に溶解することができる滅菌固形組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。
【0093】
「液状投薬形態」は、患者に投与しようとする活性化合物の用量が液状形態、例えば薬学的に許容しうる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤及びエリキシル剤であることを意味する。活性化合物に加えて、液状投薬形態は当該分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば溶媒、可溶化剤及び乳化剤を含有し得る。
【0094】
水性懸濁剤が使用される場合、それらは乳化剤又は懸濁を促進する薬剤を含有し得る。
【0095】
局所投与に適した医薬組成物は、患者に局所的に投与するために適した形態である製剤を意味する。この製剤は、当該分野で一般的に知られているような、外用軟膏(ointment)、軟膏剤(salves)、散剤、スプレー剤及び吸入剤、ゲル(水又はアルコールベース)、クリーム剤として提示されても、経皮バリアを通る化合物の制御放出を可能にするであろうパッチでの適用のためのマトリックス基剤中に組み入れられてもよい。軟膏で製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系又水混和性軟膏基剤のいずれかと共に使用され得る。あるいは、活性成分は、水中油クリーム基剤を用いてクリーム剤に製剤化され得る。眼での局所投与に適した製剤としては、活性成分が適切な担体、特に活性成分用の水性溶媒中に溶解又は懸濁されている点眼剤が挙げられる。口での局所投与に適した製剤としては、風味付けされた基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含むロゼンジ剤;ゼラチン及びグリセリンのような不活性基剤、又はスクロース及びアカシア中に活性成分を含むパステル剤;並びに適切な液体担体中に活性成分を含むうがい薬が挙げられる。
【0096】
エマルジョン医薬組成物の油相は、公知の成分から公知の方法で構成され得る。相は乳化剤(他ではエマルジェント(emulgent)としても知られる)を含むだけでよいが、望ましくは脂肪若しくは油脂、又は脂肪及び油脂の両方と少なくとも1つの乳化剤との混合物を含む。特定の実施態様において、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。安定化剤(単数又は複数)と一緒に、又は安定化剤なしで、乳化剤(単数又は複数)は乳化ろうを構成し、そして油脂及び脂肪と一緒に乳化軟膏基剤を構成し、これはクリーム製剤の油性分散相を形成する。
【0097】
必要な場合、クリーム基剤の水相は、例えば少なくとも30%(質量/質量)の多価アルコール、すなわち2つ又はそれ以上のヒドロキシル基を有するアルコール、例えば、プロピレングリコール、ブタン1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコール(PEG 400を含む)並びにそれらの混合物を含み得る。局所用製剤は望ましくは、活性化合物の皮膚又は他の罹患した領域を通る吸収又は浸透を増強する化合物を含み得る。
【0098】
組成物に適した油脂又は脂肪の選択は、所望の特性の達成に基づく。従って、クリーム剤は、チューブ又は他の容器からの漏出を避けるために適した稠度を有する、脂っぽくなく、着色性がなく、そして洗い落とせる製品であるべきである。直鎖又は分枝鎖の、一塩基又は二塩基性のアルキルエステル類、例えばミリスチン酸ジ−イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル又はCrodamol CAPとして知られる分枝鎖エステルのブレンドが使用され得る。これらは必要な特性によって単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。あるいは、高融点脂質、例えば白色ワセリン及び/若しくは流動パラフィン又は他の鉱油が使用され得る。
【0099】
直腸又は膣投与に適した医薬組成物は、患者に直腸又は膣に投与されるために適した形態であり、かつ本発明の化合物を少なくとも1つ含有する製剤を意味する。坐剤は、本発明の化合物を適切な非刺激性の賦形剤又は担体、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール又は坐剤用ロウと混合することにより製造され得るような製剤のための特定の形態であり、これは常温で固形であるが体温では液体であり、従って直腸又は膣腔で溶融して活性成分を放出する。
【0100】
注射により投与される医薬組成物は、経筋(transmuscular)、静脈内、腹腔内、及び/又は皮下注射によるものであり得る。本発明の組成物は、特にハンクス液又はリンゲル液のような生理的に適合性の緩衝液中の液状液剤で製剤化され得る。さらに組成物は、固形形態で製剤化されて使用の直前に再溶解又は懸濁されてもよい。凍結乾燥形態も含まれる。製剤は滅菌であり、乳剤、懸濁剤、水性及び非水性の注射液が含まれ、これらは懸濁化剤及び増粘剤並びに抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、並びに製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にし、適切に調整されたpHを有するようにする溶質を含有し得る。
【0101】
鼻腔又は吸入投与に適した本発明の医薬組成物は、患者への鼻腔投与又は吸入による投与のために適した形態である。この組成物は、例えば1〜500ミクロンの範囲の粒径(30ミクロン、35ミクロンなどのような20〜500の間の範囲の増分5ミクロンでの粒径を含む)を有する、粉末形態の担体を含有し得る。例えば鼻腔スプレー又は点鼻剤としての投与に適した、担体が液体である組成物は、活性成分の水溶液又は油性溶液を含む。エアゾール投与に適した組成物は従来の方法にしたがって製造され得、そして他の治療剤と共に送達され得る。吸入治療は、定量吸入器又はいずれかの適切な乾燥粉末吸入器により容易に行われる。
【0102】
本発明の組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、患者への投与の特定の組成物及び方法に望まれる治療反応を得るために有効である活性成分の量が得られるように変更され得る。従って、いずれかの特定の患者に対して選択された投薬量レベルは、所望の治療効果、投与経路、所望の処置期間、疾患の病因及び重篤度、患者の状態、体重、性別、食事及び年齢、各活性成分の型及び効力、吸収、代謝及び/又は排出の速度、並びに他の因子を含む種々の因子に依存する。
【0103】
単回用量又は分割用量で患者に投与される本発明の化合物の総日用量は、例えば1日あたり約0.001〜約100mg/体重kg、特に0.01〜10mg/kg/日の量であり得る。例えば成人において、用量は一般的には約0.01〜約100、特に吸入により1日あたり約0.01〜約10mg/体重kg、経口投与により1日あたり約0.01〜約100、特に0.1〜70、より特に0.5〜10mg/体重kg、及び静脈内投与により1日あたり約0.01〜約50、特に0.01〜10mg/体重kgであり得る。組成物中の活性成分のパーセントは変動し得るが、適切な投薬量が得られるような比率を構成するべきである。投薬単位組成物は、その約数が日用量を構成するために使用され得るような量を含有し得る。明らかに、いくつかの単位投与形態をほぼ同時に投与してもよい。投薬は、所望の治療効果を得るために必要なだけ頻繁に投与してもよい。一部の患者はより高いか又は低い用量に対して急速に反応し得、そしてより低い維持量が適切であると分かるかもしれない。他の患者については、それぞれの特定の患者の生理的要件にしたがって1日あたり1〜4回の用量の速度で長期の処置を受けることが必要であるかもしれない。他の患者については、1日あたり多くて1回又は2回の用量を指示することが必要かもしれない。
【0104】
薬学の技術分野で周知のいずれかの方法で製剤を単位投薬形態に製造することができる。このような方法は、薬学的に活性な成分を、1つ又はそれ以上の補助的成分を構成する担体と混ぜ合わせる工程を含む。一般に製剤は、活性成分と液状担体若しくは微粉化固形担体又は両方とを均質かつ密接に混ぜ合わせ、次いで必要な場合、生成物を成形することにより製造される。
【0105】
製剤は、単位用量又は複数回用量の容器、例えばエラストマーのストッパーで密封されたアンプル及びバイアルで提示され得、そして使用直前に滅菌液状担体、例えば注射用の水を加えることしか必要とせずに凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))条件で貯蔵され得る。即時注射液及び即時懸濁剤は、以前に記載した種類の滅菌の散剤、顆粒剤及び錠剤から調製され得る。
【0106】
本発明の医薬組成物は、好ましくは薬学的に有効な量の本発明の化合物を含有する。有効な量又は用量を決定する際、主治診断医により多数の因子が考慮され、これらとしては、限定されないが:哺乳動物の種;その大きさ、年齢、及び全般的な健康;関与する特定の疾患;その疾患の関与の程度又は重篤度;個々の患者の反応;投与様式;投与される製剤のバイオアベイラビリティー特徴;選択された投与計画;併用薬の使用;及び他の関連する状況が挙げられる。
【0107】
本発明の医薬組成物は、他の治療薬及び/又は予防薬並びに/又はそれらと医学的に不適合性でない薬剤と共に投与され得る。
【0108】
本組成物の全ての成分は薬学的に許容しうるものでなければならない。本明細書で使用される「薬学的に許容しうる」成分は、過度の有害な副作用(例えば毒性、刺激、及びアレルギー反応)がなく、妥当なベネフィット/リスク比に見合う、ヒト及び/又は他の動物での使用に適した成分である。
【0109】
本発明はさらに、本発明の医薬組成物の医薬における使用に関する。
【0110】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドは強力なヒスタミンH3受容体アンタゴニストであり、それ自体で、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態の処置において使用され得る。特に、本発明の化合物は、肥満、糖尿病、中枢神経系疾患、例えばビジランス障害及び睡眠障害、ナルコレプシー、アルツハイマー病及び他の認知症、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害及び学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害(moderate cognitive disorders)、うつ病、並びに不安の処置において使用され得る。うつ病及び不安の状態としては、例えば、予測型の不安(外科手技の前、歯科処置の前など)、アルコール又は薬物の依存又は離脱により引き起こされる不安、躁病、季節性感情障害、片頭痛及び悪心が挙げられる。本発明の化合物はまた、性機能障害、めまい及び乗物酔(travel sickness)の処置においても使用され得る。本発明の化合物はまた、心血管障害及び胃腸障害の処置においても使用され得る。
【0111】
本発明の一局面は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態を処置する方法であり、該方法は、該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物からなる群より選択される化合物、又は薬学的に有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0112】
本発明の別の局面は、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態を処置する方法であり、該方法は、該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を投与することを含む。
【0113】
特定の局面において、本発明は中枢神経系疾患を処置する方法を提供し、該方法は、該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物からなる群より選択される化合物、又は薬学的に有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0114】
別の特定の局面において、本発明は中枢神経系疾患を処置する方法を提供し、該方法は、該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を投与することを含む。
【0115】
本発明の特定の局面は、肥満、糖尿病、ビジランス障害、睡眠障害、ナルコレプシー、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害、学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害、うつ病、不安、性機能障害、めまい、及び乗物酔からなる群より選択される疾患又は障害を処置する方法であり、該方法は、該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物からなる群より選択される化合物、又は薬学的に有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0116】
本発明の別の特定の局面はアルツハイマー病を処置する方法であり、該方法は、該処置を必要とする患者に薬学的に有効な量の、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物からなる群より選択される化合物、又は薬学的に有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含む。
【0117】
本発明の別の特定の局面はアルツハイマー病を処置する方法であり、該方法は該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物を投与することを含む。
【0118】
本発明の一局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物からなる群より選択される化合物の、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態の処置のための医薬品の製造における使用である。
【0119】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物の、ヒスタミンH3受容体アンタゴニストが治療的利益をもたらす病態の処置ための使用である。
【0120】
本発明の別の局面は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩、及び2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物の、肥満、糖尿病、ビジランス障害、睡眠障害、ナルコレプシー、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害、学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害、うつ病、不安、性機能障害、めまい、及び乗物酔からなる群より選択される疾患又は障害の処置のための使用である。
【0121】
本発明の化合物の製造及び特性は以下の実験項に記載される。本明細書に記載される手順に適した2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド出発物質としては、限定されないが、特許文献1に記載される手順により製造される2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドが挙げられる。
【実施例】
【0122】
実施例1: 2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の製造
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(318mg、0.756mmol)をメタノール(3mL)に溶解した。フマル酸溶液(29mg/3mL、2.1当量)を加えた。この混合物を室温で真空下にて乾燥した。回収した固形物をイソプロパノール(1mL)に溶解した。酢酸エチル1ミリリットルを加え、そしてこの溶液を冷蔵庫内に置いた。固形物を真空ろ過により回収した。
【0123】
実施例2: 種結晶を入れる工程を用いて製造される、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の製造
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(43.7g、104mmol)を95%エタノール(200mL)に水蒸気浴で温めながら溶解した。フマル酸(23.8g、203mmol、1.95当量)を加え、フラスコを95%エタノール(50mL)ですすいだ。この混合物を、全てのフマル酸が溶解するまで回しながら水蒸気浴上で沸点近くまで加熱した。この溶液を水蒸気浴から外して室温で撹拌させた。溶液の温度が48℃に達したら、これに以前に単離した2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の種結晶を入れた。この混合物を放冷させ、そして27.7℃までに大部分が凝固した。週末の間放置した後、混合物を氷浴で冷却した。固形物を集めて氷冷95%エタノール(175mL)で洗浄した。終夜風乾した後、塊を部分的に破壊して無色固体を得た:58.4g(収率84%)。
【0124】
二フマル酸塩一水和物を、以前に単離された2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の種結晶を入れて室温まで冷却しながら撹拌して95%エタノール(350mL)から再結晶させた。この混合物は非常に粘性になり、最終的に撹拌が事実上止まるほど十分に凝固した。室温で終夜放置した後、この混合物を氷浴で冷却し、そしてろ過により固形物を集めた。ろ液をフィルターケーキに通して氷冷95%エタノール(50mL)で洗浄した。次いでこのフィルターケーキを氷冷エタノール(125mL)で洗浄し、そして終夜風乾して所望の生成物を無色固体として得た:49.84g(収率72%)。
【0125】
実施例3: 2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩の製造
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物 (固体、50mg)を1.8℃/分の線形速度で80℃まで周囲相対湿度で加熱し、そして50分間保持して二フマル酸塩を得た。
【0126】
実施例4: 2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩無水物の製造
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物 (17.19g、25.7mmol)を水約225mLに懸濁させた。炭酸カリウム(15.3g、111mmol)を加え、そしてこの混合物を酢酸エチルに抽出した。有機抽出物を水で2回洗浄した。ブラインさらに5mLを2回目の洗浄液に加てエマルジョンを壊した。液体を真空で濃縮した。アセトン(約50mL)を加え、そしてこの物質を真空で濃縮した。残留物をアセトン60mLに溶解し、そしてフラスコ中に仕上げの(polish)ろ過を行った(2x20mLすすぎ)。フマル酸(2.98g、25.7mmol)のアセトン100mL中の溶液及び95%エタノール20mLを撹拌しながら加えた。溶液は添加終了時には持続的に濁り、透明油状物が分離した。この物質を短時間水蒸気浴で加熱して沸騰させ、次いで95%EtOH約15mLを加えて油状物を溶解した。この物質を室温で終夜撹拌した。沈殿した固形物をろ過し、そして10%のエタノール(95%)を含有するアセトン50mLで洗浄した。ケーキを約6時間フード中で風乾し、そして2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物4.17gを得た。
【0127】
放置した後、さらなる結晶がろ液中で形成した。これらの結晶を集めて少量の95%エタノールを含有するアセトンで洗浄し、風乾した後に白色針状結晶1.08gを得た。単離された物質は2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩であった。
【0128】
実施例5: 2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物の製造
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩無水物(固体、10mg)を25℃及び相対湿度60%で2時間放置した。2時間後に、サンプルはヘミフマル酸塩二水和物へと完全に変換されていた。
【0129】
実施例6: 2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩の製造
フマル酸(1.86g、16mmol)を2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド(6.7g、16mmol)に加えた。DMF(10mL)及び水(500μL)をこの混合物に加え、そして固形物を水蒸気浴で加温することにより溶解させた。酢酸イソプロピル(30mL)を水蒸気浴で加熱しながら徐々に加えた。加熱を止めると物質が油状物として生じた(oiled out)。母液をデカンテーションした。MTBE約100mLを残留油状物に加え、これを混合物が均一なスラリーになるまで数時間撹拌した。固形物を集めてMTBEで洗浄した。固形物を採取し、そしてブフナー漏斗で真空ろ過して乾燥した。NMRは1.9:1のフマル酸対塩基の比を示した。固形物を終夜風乾した。
【0130】
さらなる物質がDMF/酢酸イソプロピル母液から結晶化した。冷蔵した後、さらに物質が油状物として分離した。この混合物を室温まで再加温して油状物の大部分を再溶解した。固形物を集めて少量の酢酸イソプロピルで洗浄した。洗浄液を母液と合わせた。固形物を終夜風乾した。収量0.95グラム。
【0131】
さらに多くの物質が残りの母液から結晶化した。固形物を集めて1/2時間ケーキ通して空気を吸引した。収量0.7グラム。NMRはフマル酸対塩基の比1:1を示し、一フマル酸塩であることを示していた。
【0132】
本発明の化合物を以下の分析方法により分析した。
【0133】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
フーリエ変換IRスペクトルを、Nicolet Nic−Plan FT−IR顕微鏡に取り付けたNicolet Magna−IR Spectrometer 55を使用して得た。データ収集及びパラメーター設定をOmnic 7.2ソフトウエアで制御した。サンプルをKBrディスク上に配置し、そして4000cm-1から400cm-1まで32回スキャンした。4cm-1のスペクトル分解を使用した。
【0134】
概して実施例2に従って製造された化合物のFTIRスペクトル(図2を参照のこと)により塩形成が確認され、そしてそれは2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の化学構造と一致していた。表1は、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の特徴的な波数を示す。2800〜2000cm-1の領域に存在する複数の強いバンドがプロトン化アミン基の倍音及び組み合わせ伸縮振動から生じ、アミン塩形成と一致していた。カルボキシレートイオンに特徴的なC−O伸縮振動(1650−1550cm-1)は、フマル酸から形成した塩と一致していると考えられ得る。
【0135】
【表1】

【0136】
示差走査熱量測定−熱重量分析及び質量分析(DSC−TGA−MS)
本発明の化合物の熱分析を、200℃に維持したキャピラリーを使用するPfeiffer Quadstar質量分析計(DSC−TGA−MS)にインターフェースで接続した、TA Instruments Model Q−600同時示差走査熱量計/熱重量分析計(DSC−TGA)を使用して乾燥ヘリウム雰囲気下(100mL/分)で行った。DSC−TGA温度はインジウム標準を使用して較正され、MSは水蒸気を用いた。MS検出は二次電子増倍管による。化合物粉末をアルミニウム皿(TA Instrument部品番号900793.901)に移した。サーモグラムを1分あたり10℃の線形加熱速度で得た。
【0137】
二フマル酸塩一水和物の熱分析(図3)は、周囲室温から約100℃までの加熱の間の水の喪失(約3.3%)を示した。水の喪失で生じた無水相はこれらの条件下で113〜123℃で融解した。
【0138】
図6は、一フマル酸塩とヘミフマル酸塩二水和物及び二フマル酸塩一水和物との熱(DSC−TGA)プロフィールの重ね合わせである。一フマル酸塩のDSCは129℃で開始する結晶相の融解を示した。一フマル酸塩の融点は、無水二フマル酸塩(開始113℃)及び無水ヘミフマル酸塩(開始137℃)の融点と比較すると独特であった。
【0139】
ヘミフマル酸塩二水和物のDSCは、水発生を伴う広範な同時吸熱(endotherm concomitant)とその後の113℃(少)及び137℃(多)で開始する融解吸熱を示した。137℃の融解はヘミフマル酸塩無水物に独特であるが、少量の融解吸熱は二フマル酸塩無水物の観察された融点と一致していた。
【0140】
X線粉末回折法(XRPD)
X線粉末回折法を、Siemens−Bruker D5000回折計でパラフォーカシング(parafocusing)Bragg−Brentano(θ−2−θ)型ジオメトリーを使用して行った。粉末としての本発明の化合物を、(510)結晶方位にしたがってカットされた単結晶シリコンウエハー上に置いた。銅対陰極管(45kV/40mA)から発せられる銅K−アルファ線(1.54056オングストローム)をX線源として使用し、Cu K−ベータ線は反射ビーム単色光分光器を使用して除去した。シンチレーションカウンターを検出に使用した。0.6mmの発散スリット、0.6mmの散乱防止(anti−scatter)スリット、0.1mmの単色分光器スリット、及び0.6mmの検出器スリットを使用した。回折パターンを以下の条件を使用して得た:2θ角で少なくとも2.0〜30.0度のスキャン、ステップあたり1.0秒の計数時間、0.02度のステップサイズ、示される場合を除いて圧力、温度及び相対湿度は周囲条件下。上記の周囲温度は、サンプルを0.03〜0.06℃/秒の線形速度でサンプルを加熱することにより達成された。
【0141】
XRPDスペクトル(図1)により、2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物が結晶であることが確認された。
【0142】
XRPDパターンに基づいて、結晶性二フマル酸塩無水物(図4)、は結晶性二フマル酸塩一水和物と比較して独特なXRPDパターンを有する。
【0143】
図5は結晶性一フマル酸塩のXRPDパターンである。データは、一フマル酸塩結晶構造が、二フマル酸塩、二フマル酸塩一水和物、ヘミフマル酸塩及びヘミフマル酸塩二水和物の結晶構造と比較して独特であることを示す。
【0144】
図7は、結晶性ヘミフマル酸塩及び結晶性ヘミフマル酸塩二水和物のXRPDパターンの重ね合わせである。ヘミフマル酸塩二水和物及び対応するヘミフマル酸塩無水物のXRPDパターンは二フマル酸塩一水和物、二フマル酸塩無水物及び一フマル酸塩と比較してかなり独特である。
【0145】
当業者は、ピークの位置がサンプル高さの差によってわずかに影響を受け得るということを認識するだろう。従って本明細書に記載されるピーク位置は、プラスマイナス(+/−)0.15度(2シータ)の変動を受ける。相対強度は、結晶のサイズ及び形態に依存して変化し得る。
【0146】
表2は、二フマル酸塩一水和物の粉末x線回折パターンについての特徴的なピーク位置、格子面間隔(d−spacings)及び相対強度を示す。
【0147】
【表2】

【0148】
特に、5.31、5.84、7.00、及び8.67におけるピーク(度(2シータ)+/−0.15度で表される)は、二フマル酸塩一水和物に特徴的である。
【0149】
表3は、二フマル酸塩の粉末x線回折パターンについての特徴的なピーク位置、格子面間隔及び相対強度を示す。
【0150】
【表3】

【0151】
特に、5.21、5.67、7.06、及び11.34におけるピーク(度(2シータ)+/−0.15度(2シータ)で表される)は二フマル酸塩に特徴的である。
【0152】
表4は、一フマル酸塩の粉末x線回折パターンについての特徴的なピーク位置、格子面間隔及び相対強度を示す。
【0153】
【表4】

【0154】
特に、3.37、6.70、13.36、14.83、15.88、及び17.65におけるピーク(度(2シータ)+/−0.15度(2シータ)で表される)は、一フマル酸塩に特徴的である。
【0155】
表5は、ヘミフマル酸塩の粉末x線回折パターンについての特徴的なピーク位置、格子面間隔及び相対強度を示す。
【0156】
【表5】

【0157】
特に、3.61、7.22、7.96、8.21、9.01、10.82、及び15.66におけるピーク(度(2シータ)+/−0.15度(2シータ)で表される)はヘミフマル酸塩に特徴的である。
【0158】
表6は、ヘミフマル酸塩二水和物の粉末x線回折パターンについての特徴的なピーク位置、格子面間隔及び相対強度を示す。
【0159】
【表6】

【0160】
特に、3.49、6.93、8.46、10.34、13.25、13.75、及び15.40におけるピーク(度(2シータ)+/−0.15度(2シータ)で表される)はヘミフマル酸塩二水和物に特徴的である。
【0161】
動的水蒸気吸脱着
本発明の化合物の水吸脱着プロフィールを、SMS Instruments動的水蒸気吸脱着分析計(DVS)モデルDVS−Advantageを使用して測定した。相対湿度(RH)及び質量を標準を使用して較正した。本発明の関連化合物の粉末をロードし、そして0%RHで実験の開始前に3時間乾燥した。RHを11段階で0.1から94.4%にした。試料重量は、質量パーセント変化が5分の間隔にわたって0.01%より少ない場合に各段階において一定であるとみなし、15分の最小絶対平衡時間及び180分の最大平衡時間であった。
【0162】
図8は、二フマル酸塩一水和物及び対応する二フマル酸塩のDVSプロフィールであり、数値データを表7に示す。このプロフィールは、二フマル酸塩一水和物が10%から94%のRHで25℃にて安定であることを示す。
【0163】
【表7】

【0164】
図9は、ヘミフマル酸塩二水和物及び対応するヘミフマル酸塩のDVSプロフィールであり、そして数値データは表8に示す。プロフィールは、ヘミフマル酸塩一水和物が19%から92%のRHで25℃にて安定であることを示す。
【0165】
【表8】

【0166】
安定性試験
1. 60℃及び周囲RHでの2週間の貯蔵
二フマル酸塩一水和物約400mgをシンチレーションバイアル中に秤量し、そして 60℃に設定したオーブン中に置いた。サンプルを外観について検査し、次いでエタノールで約1mg/mLに希釈し、そして関連物質及び光学対掌体についてHPLCにより分析した。
【0167】
60℃で14日間貯蔵した後、二フマル酸塩一水和物はXRPD及びDSC−TGAにより観察可能な物理形態の変化を示さなかった。二フマル酸塩一水和物はこれらの貯蔵条件下で物理的に安定であると思われる。化学的安定性に関して、二フマル酸塩一水和物は、固体状態で不純物レベルが最小限だけ増加し、外観における観察可能な変化はなく、安定であると思われる。
【0168】
2. 60℃/80%RH及び周囲RHで2週間の貯蔵
ガラス乾燥チャンバーを、80℃オーブン内で飽和KBr溶液を用いて79.3%RHに終夜予備平衡化させた(pre−equilibrated)。二フマル酸塩一水和物約400mgをシンチレーションバイアル中に秤量し、そしてチャンバー中に置き、次いで環境を維持するためにこれを密封した。サンプルを外観について検査し、次いでエタノールで約1mg/mLに希釈して、関連物質及び光学対掌体についてHPLCにより分析した。
【0169】
60℃/80% RHで14日間貯蔵した後、二フマル酸塩一水和物はXRPD及びDSC−TGAにより観察可能な物理形態の変化を示さなかった。二フマル酸塩一水和物はこれらの貯蔵条件下で物理的に安定あると思われる。化学的安定性に関しては、二フマル酸塩一水和物は固体状態で不純物レベルが最小限だけ増加し、外観における観察可能な変化はなく、安定であると思われる。
【0170】
3. 80℃/80% RHでの4日間の貯蔵
ガラス乾燥チャンバーを、80℃オーブン内で飽和KBr溶液を用いて79.3%RHに終夜予備平衡化させた。二フマル酸塩一水和物約100mgをそれぞれのシンチレーションバイアル中に秤量し、そしてこれらのバイアルをチャンバー中に置き、次いで環境を維持するためにこれを密封した。サンプルを4日目に外観について検査し、次いでエタノールで約1mg/mLに希釈して、コントロール(時間0)サンプルに対してHPLCにより分析した。
【0171】
80℃/80%RHで4日間の貯蔵後、二フマル酸塩一水和物は固体状態で観察可能な化学変化はなく安定であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物;
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩;
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩;
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩;及び
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物
からなる群より選択される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物及び薬学的に許容しうる担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物。
【請求項6】
結晶形態にある、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
請求項5に記載の化合物及び薬学的に許容しうる担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項8】
請求項5に記載の化合物を1つ又はそれ以上の薬学的に許容しうる担体を用いて製剤化することにより調製される医薬組成物。
【請求項9】
請求項5に記載の化合物を1つまたはそれ以上の薬学的に許容しうる希釈剤を用いて製剤化することを含む、医薬組成物を調製するための方法。
【請求項10】
結晶形態にある、請求項1に記載の化合物2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩。
【請求項11】
結晶形態にある、請求項1に記載の化合物2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド一フマル酸塩。
【請求項12】
結晶形態にある、請求項1に記載の化合物2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩。
【請求項13】
結晶形態にある、請求項1に記載の化合物2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドヘミフマル酸塩二水和物。
【請求項14】
2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミド二フマル酸塩一水和物の製造方法であって、高温下又は周囲温度下、適した溶媒又は溶媒混合物に溶解した2−(シクロヘキシルメチル)−N−{2−[(2S)−1−メチルピロリジン−2−イル]エチル}−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−7−スルホンアミドを、場合により溶媒又は溶媒混合物に溶解される、フマル酸と接触させる工程;及び沈殿した固形物を単離する工程;を含む、上記方法。
【請求項15】
肥満、糖尿病、ビジランス障害、睡眠障害、ナルコレプシー、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害、学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害、うつ病、不安、性機能障害、めまい、及び乗物酔からなる群より選択される疾患又は障害の処置のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】
肥満、糖尿病、ビジランス障害、睡眠障害、ナルコレプシー、アルツハイマー病、認知症、パーキンソン病、注意欠陥多動障害、記憶障害、学習障害、てんかん、統合失調症、中等度認知障害、うつ病、不安、性機能障害、めまい、及び乗物酔からなる群より選択される疾患又は障害を処置するための方法であって;該処置を必要とする患者に、薬学的に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−531424(P2012−531424A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517706(P2012−517706)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/039731
【国際公開番号】WO2010/151611
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】