ヒステリシスコンパレータ
【課題】入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合でも適切な出力信号を得る。
【解決手段】ヒステリシスコンパレータは、入力信号をしきい値TH1,TH2に基づいて2値化することを、ヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化部2、2値化信号のランレングスをヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に測定するランレングス測定部4、ランレングス測定部4の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を、ヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に行い、対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、ヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に算出する決定係数算出部5、決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適な2値化結果として出力する制御部6を備える。
【解決手段】ヒステリシスコンパレータは、入力信号をしきい値TH1,TH2に基づいて2値化することを、ヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化部2、2値化信号のランレングスをヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に測定するランレングス測定部4、ランレングス測定部4の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を、ヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に行い、対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、ヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列毎に算出する決定係数算出部5、決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適な2値化結果として出力する制御部6を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧レベルが連続的に変化する入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化するヒステリシスコンパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電圧レベルが連続的に変化する入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化するヒステリシスコンパレータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−124037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒステリシスコンパレータでは、電圧レベルが連続的に変化する入力信号であってノイズが重畳した入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化処理する際、ヒステリシス幅が信号の振幅よりも大きいか同程度の場合、入力信号の適正な2値化が行われず、ヒステリシス幅が信号の振幅より小さくても重畳したノイズの振幅よりも小さいか同程度の場合、ノイズ成分によって出力が変化する、という問題点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができるヒステリシスコンパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化手段と、2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、前記決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化する2値化手段と、2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出する決定係数算出手段と、前記決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で前記2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくする制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化する第1の2値化手段と、入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)に基づいて2値化する第2の2値化手段と、入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)に基づいて2値化する第3の2値化手段と、2値化対象期間中に前記第1、第2、第3の2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のヒステリシスコンパレータの1構成例において、前記制御手段は、ヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくし、ヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくし、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持することを特徴とするものである。
また、本発明のヒステリシスコンパレータの1構成例は、さらに、前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から、ランレングスの分布の特徴値T0を算出する特徴値算出手段を備え、前記決定係数算出手段は、前記ランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して最小二乗法を適用した際の決定係数を算出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行い、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力することにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【0011】
また、本発明では、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化し、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくすることにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【0012】
また、本発明では、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化すると同時に、入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2bに基づいて2値化し、さらに入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2cに基づいて2値化し、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定することにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータにおける2値化部とランレングス測定部の動作を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態においてランレングス測定部によって測定されるランレングスの度数分布の例を示す図およびランレングス度数分布を決定係数算出部によって対数変換した後のランレングス度数分布を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を説明する図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、記憶部1と、2値化部2と、記憶部3と、ランレングス(Run Length)測定部4と、決定係数算出部5と、制御部6とから構成される。
【0015】
図2は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。記憶部1は、入力信号を記憶する(ステップS100)。
図3(A)、図3(B)は2値化部2とランレングス測定部4の動作を説明する図であり、図3(A)は入力信号の波形を模式的に示す図、図3(B)は図3(A)に対応する2値化部2の出力を示す図である。
【0016】
2値化部2は、記憶部1に記憶された入力信号を2値化する(ステップS101)。具体的には、2値化部2は、所定の長さの2値化対象期間中の入力信号の電圧が上昇してしきい値TH1以上になったときにハイレベルと判定し、2値化対象期間中の入力信号の電圧が下降してしきい値TH2(TH2<TH1)以下になったときにローレベルと判定することにより、図3(B)のような2値化結果を出力する。この2値化結果は、記憶部3に格納される。なお、2値化対象期間とはヒステリシスコンパレータの動作周期のことであり、ヒステリシスコンパレータは2値化対象期間ごとに2値化処理を行う。
【0017】
続いて、制御部6は、2値化部2のしきい値TH1,TH2を変更する(ステップS102)。このしきい値変更は、図3(A)に示すしきい値TH1,TH2の中心値TBを変更せずに、しきい値TH1とTH2との差であるヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更することによって行う(TH1−TB=TB−TH2=W/2)。そして、ステップS101に戻る。こうして、あらかじめ設定された複数のヒステリシス幅Wの各々について、2値化対象期間中の入力信号の2値化を行う。
【0018】
次に、ランレングス測定部4は、あらかじめ設定された全てのヒステリシス幅Wについて2値化処理が終了した後に、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS104)。ランレングス測定部4は、2値化部2によって2値化され記憶部3に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する(図3(B))。このように、2値化信号のランレングスとは、時間tud,tduのことである。ランレングス測定部4は、以上のようなランレングスの測定を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0019】
なお、ランレングス測定部4は、サンプリングクロックの周期を1単位として2値化信号のランレングスを測定する。例えば2値化信号のランレングスがサンプリングクロック4個分であれば、このランレングスの大きさは4[samplings]である。サンプリングクロックの周波数は、入力信号の取り得る最高周波数に対して十分に高いものとする。記憶部3は、ランレングス測定部4の測定結果を記憶する。
【0020】
決定係数算出部5は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS105)。決定係数算出部5の変換処理結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0021】
図4(A)はランレングス測定部4によって測定されるランレングスの度数分布の例を示す図、図4(B)は図4(A)のランレングス度数分布を決定係数算出部5によって対数変換した後のランレングス度数分布を示す図である。図4(A)において、40はヒステリシス幅Wが500の場合の度数分布、41はヒステリシス幅Wが1000の場合の度数分布、42はヒステリシス幅Wが1500の場合の度数分布、43はヒステリシス幅Wが2000の場合の度数分布である。また、図4(B)において、44,45,46,47はそれぞれランレングス度数分布40,41,42,43を対数変換した後の度数分布である。
【0022】
決定係数算出部5は、ステップS105の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS106)。決定係数算出部5の算出結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0023】
制御部6は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として記憶部3から出力させる(ステップS107)。
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS100〜S107の処理を2値化対象期間ごとに行う。
【0024】
以上のように、本実施の形態では、決定係数R2に基づいて2値化信号が有効か否かを判定する(すなわち、ランレングス度数分布と幾何分布との一致度から2値化信号が有効か否かを判定する)ことにより、最も有効性が高い2値化信号を最適な2値化結果として出力することができ、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な2値化結果を得ることができる。
【0025】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部10と、記憶部11と、ランレングス測定部12と、決定係数算出部13と、制御部14とから構成される。
【0026】
図6は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。2値化部10は、入力信号を2値化する(ステップS200)。2値化部10の動作は第1の実施の形態の2値化部2と同様であるが、本実施の形態では2値化部10による2値化結果はそのまま後段の装置に出力される。また、2値化結果は、記憶部11に格納される。
【0027】
次に、ランレングス測定部12は、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS201)。ランレングス測定部12は、2値化部10によって2値化され記憶部11に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する。記憶部11は、ランレングス測定部12の測定結果を記憶する。
【0028】
決定係数算出部13は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS202)。決定係数算出部13の変換処理結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0029】
決定係数算出部13は、ステップS202の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS203)。決定係数算出部13の算出結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0030】
制御部14は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2を所定値と比較し(ステップS204)、平均値(RH2+RL2)/2が所定値より大きい場合(ステップS204においてNO)、次の2値化対象期間で2値化部10が用いるヒステリシス幅Wを一定幅だけ大きくし(ステップS205)、平均値(RH2+RL2)/2が所定値以下の場合、現在のヒステリシス幅Wを維持する。ステップS205におけるヒステリシス幅Wの変更は、第1の実施の形態のステップS102と同様に、しきい値TH1,TH2の中心値TBを変更せずに行う。
【0031】
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS200〜S205の処理を2値化対象期間ごとに行う。したがって、平均値(RH2+RL2)/2が所定値以下になるまで、ヒステリシス幅Wを広げていくことになる。以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部20a,20b,20cと、記憶部21と、ランレングス測定部22と、決定係数算出部23と、制御部24とから構成される。
【0033】
図8は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。2値化部20a,20b,20cは、それぞれ入力信号を2値化する(ステップS300)。2値化部20a,20b,20cの動作は第1の実施の形態の2値化部2と同様であるが、本実施の形態では2値化部20aによる2値化結果はそのまま後段の装置に出力される。
【0034】
また、2値化部20bが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅Wb=TH1b−TH2bは2値化部20aが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2よりも常に大きく(Wb>W)、2値化部20cが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅Wc=TH1c−TH2cはヒステリシス幅Wよりも常に小さくなるように(Wc<W)、制御部24によって制御される。ここで、Wb−W=W−Wcである。また、2値化部20aが2値化処理の際に用いるしきい値TH1,TH2の中心値TBと、2値化部20bが2値化処理の際に用いるしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)の中心値TBbと、2値化部20cが2値化処理の際に用いるしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)の中心値TBcとは等しい(TB=TBb=TBc)。2値化部20a,20b,20cによる2値化結果は、記憶部21に格納される。
【0035】
次に、ランレングス測定部22は、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS301)。ランレングス測定部22は、2値化部20a,20b,20cによって2値化され記憶部21に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する。ランレングス測定部22は、以上のようなランレングスの測定を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに(すなわち、出力元の2値化部が同じ2値化信号の信号列ごとに)行う。記憶部21は、ランレングス測定部22の測定結果を記憶する。
【0036】
決定係数算出部23は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS302)。決定係数算出部23の変換処理結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0037】
決定係数算出部23は、ステップS302の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS303)。決定係数算出部23の算出結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0038】
制御部24は、ヒステリシス幅Wにおける第1のランレングスtudについての決定係数RH2とヒステリシス幅Wにおける第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2と、ヒステリシス幅Wbにおける第1のランレングスtudについての決定係数RHb2とヒステリシス幅Wbにおける第2のランレングスtduについての決定係数RLb2の平均値(RHb2+RLb2)/2と、ヒステリシス幅Wcにおける第1のランレングスtudについての決定係数RHc2とヒステリシス幅Wcにおける第2のランレングスtduについての決定係数RLc2の平均値(RHc2+RLc2)/2とを比較し、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する。
【0039】
制御部24は、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2のうち平均値(RHb2+RLb2)/2が最も小さい場合(ステップS304においてYES)、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくする(ステップS305)。また、制御部24は、平均値(RHc2+RLc2)/2が最も小さい場合(ステップS306においてYES)、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくする(ステップS307)。また、制御部24は、平均値(RH2+RL2)/2が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持する。ステップS305,S307におけるヒステリシス幅W,Wb,Wcの変更は、第1の実施の形態のステップS102と同様に、中心値TB,TBb,TBcを変更せずに行う。
【0040】
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS300〜S307の処理を2値化対象期間ごとに行う。図9は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を説明する図である。例えば平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の92,93,91の値であったとすれば、平均値(RH2+RL2)/2が最も小さいので、現在のヒステリシスW,Wb,Wcが維持される。一方、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の91,92,90の値であったとすれば、平均値(RHb2+RLb2)/2が最も小さいので、ヒステリシスW,Wb,Wcを大きくする。また、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の93,94,92の値であったとすれば、平均値(RHc2+RLc2)/2が最も小さいので、ヒステリシスW,Wb,Wcを小さくする。以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、記憶部1と、2値化部2と、記憶部3と、ランレングス測定部4と、決定係数算出部5aと、制御部6と、特徴値算出部7とから構成される。
【0042】
入力信号の振幅に対してヒステリシス幅が相対的に大きくなる程、2値化時の信号の欠落が多発し、ランレングス度数分布の傾きが小さくなる。このため、2値化信号が本来有効な信号であっても、有効な信号でないと判断する可能性がある。本実施の形態は、このような問題点を解決するためのものである。
図11は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS100〜S105の処理は第1の実施の形態と同じである。
【0043】
次に、特徴値算出部7は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS108)。ランレングスの特徴値T0としては、平均値、最頻値、中央値がある。また、階級値と度数との積が最大となる階級値をランレングスの特徴値T0としてもよい。特徴値算出部7は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。特徴値算出部7が算出した特徴値T0は、記憶部3に格納される。
【0044】
次に、決定係数算出部5aは、ステップS105の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS109)。決定係数算出部5aの算出結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0045】
制御部6は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として記憶部3から出力させる(ステップS107)。
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS100〜S105,S107〜S109の処理を2値化対象期間ごとに行う。
【0046】
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第1の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0047】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図12は本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部10と、記憶部11と、ランレングス測定部12と、決定係数算出部13aと、制御部14と、特徴値算出部15とから構成される。本実施の形態は、第4の実施の形態で説明した構成を第2の実施の形態に適用したものである。
【0048】
図13は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS200〜S202の処理は第2の実施の形態と同じである。
次に、特徴値算出部15は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS206)。特徴値算出部15は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。特徴値算出部15が算出した特徴値T0は、記憶部11に格納される。
【0049】
次に、決定係数算出部13aは、ステップS202の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS207)。決定係数算出部13aの算出結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0050】
ステップS204,S205の処理は第2の実施の形態と同じである。ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS200〜S202,S204〜S207の処理を2値化対象期間ごとに行う。
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第2の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0051】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図14は本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部20a,20b,20cと、記憶部21と、ランレングス測定部22と、決定係数算出部23aと、制御部24と、特徴値算出部25とから構成される。本実施の形態は、第4の実施の形態で説明した構成を第3の実施の形態に適用したものである。
【0052】
図15は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS300〜S302の処理は第3の実施の形態と同じである。
次に、特徴値算出部25は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS308)。特徴値算出部25は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0053】
決定係数算出部23aは、ステップS302の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS309)。決定係数算出部23aの算出結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0054】
ステップS304〜S307の処理は第3の実施の形態と同じである。ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS300〜S302,S304〜S309の処理を2値化対象期間ごとに行う。
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第3の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0055】
なお、第4〜第6の実施の形態では、対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して、最小二乗法を適用した際の決定係数を算出しているが、入力信号の帯域で決まる最大の階級値以下のランレングス度数分布に対して、最小二乗法を適用した際の決定係数を算出するようにしてもよい。
【0056】
また、第1〜第6の実施の形態のステップS105,S202,S302の対数変換処理は必須の構成要素ではない。
決定係数算出部5は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部5aは、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0057】
決定係数算出部13は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部13aは、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0058】
決定係数算出部23は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部23aは、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0059】
第1〜第6の実施の形態のヒステリシスコンパレータは、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第6の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1,3,11,21…記憶部、2,10,20a,20b,20c…2値化部、4,12,22…ランレングス測定部、5,5a,13,13a,23,23a…決定係数算出部、6,14,24…制御部、7,15,25…特徴値算出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧レベルが連続的に変化する入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化するヒステリシスコンパレータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電圧レベルが連続的に変化する入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化するヒステリシスコンパレータが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−124037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒステリシスコンパレータでは、電圧レベルが連続的に変化する入力信号であってノイズが重畳した入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化処理する際、ヒステリシス幅が信号の振幅よりも大きいか同程度の場合、入力信号の適正な2値化が行われず、ヒステリシス幅が信号の振幅より小さくても重畳したノイズの振幅よりも小さいか同程度の場合、ノイズ成分によって出力が変化する、という問題点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができるヒステリシスコンパレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化手段と、2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、前記決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化する2値化手段と、2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出する決定係数算出手段と、前記決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で前記2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくする制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明のヒステリシスコンパレータは、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化する第1の2値化手段と、入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)に基づいて2値化する第2の2値化手段と、入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)に基づいて2値化する第3の2値化手段と、2値化対象期間中に前記第1、第2、第3の2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のヒステリシスコンパレータの1構成例において、前記制御手段は、ヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくし、ヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくし、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持することを特徴とするものである。
また、本発明のヒステリシスコンパレータの1構成例は、さらに、前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から、ランレングスの分布の特徴値T0を算出する特徴値算出手段を備え、前記決定係数算出手段は、前記ランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して最小二乗法を適用した際の決定係数を算出することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行い、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力することにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【0011】
また、本発明では、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化し、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくすることにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【0012】
また、本発明では、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化すると同時に、入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2bに基づいて2値化し、さらに入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2cに基づいて2値化し、2値化信号のランレングスを測定し、ランレングス測定手段の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいはランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出し、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定することにより、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な出力信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータにおける2値化部とランレングス測定部の動作を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態においてランレングス測定部によって測定されるランレングスの度数分布の例を示す図およびランレングス度数分布を決定係数算出部によって対数変換した後のランレングス度数分布を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を説明する図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、記憶部1と、2値化部2と、記憶部3と、ランレングス(Run Length)測定部4と、決定係数算出部5と、制御部6とから構成される。
【0015】
図2は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。記憶部1は、入力信号を記憶する(ステップS100)。
図3(A)、図3(B)は2値化部2とランレングス測定部4の動作を説明する図であり、図3(A)は入力信号の波形を模式的に示す図、図3(B)は図3(A)に対応する2値化部2の出力を示す図である。
【0016】
2値化部2は、記憶部1に記憶された入力信号を2値化する(ステップS101)。具体的には、2値化部2は、所定の長さの2値化対象期間中の入力信号の電圧が上昇してしきい値TH1以上になったときにハイレベルと判定し、2値化対象期間中の入力信号の電圧が下降してしきい値TH2(TH2<TH1)以下になったときにローレベルと判定することにより、図3(B)のような2値化結果を出力する。この2値化結果は、記憶部3に格納される。なお、2値化対象期間とはヒステリシスコンパレータの動作周期のことであり、ヒステリシスコンパレータは2値化対象期間ごとに2値化処理を行う。
【0017】
続いて、制御部6は、2値化部2のしきい値TH1,TH2を変更する(ステップS102)。このしきい値変更は、図3(A)に示すしきい値TH1,TH2の中心値TBを変更せずに、しきい値TH1とTH2との差であるヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更することによって行う(TH1−TB=TB−TH2=W/2)。そして、ステップS101に戻る。こうして、あらかじめ設定された複数のヒステリシス幅Wの各々について、2値化対象期間中の入力信号の2値化を行う。
【0018】
次に、ランレングス測定部4は、あらかじめ設定された全てのヒステリシス幅Wについて2値化処理が終了した後に、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS104)。ランレングス測定部4は、2値化部2によって2値化され記憶部3に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する(図3(B))。このように、2値化信号のランレングスとは、時間tud,tduのことである。ランレングス測定部4は、以上のようなランレングスの測定を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0019】
なお、ランレングス測定部4は、サンプリングクロックの周期を1単位として2値化信号のランレングスを測定する。例えば2値化信号のランレングスがサンプリングクロック4個分であれば、このランレングスの大きさは4[samplings]である。サンプリングクロックの周波数は、入力信号の取り得る最高周波数に対して十分に高いものとする。記憶部3は、ランレングス測定部4の測定結果を記憶する。
【0020】
決定係数算出部5は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS105)。決定係数算出部5の変換処理結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0021】
図4(A)はランレングス測定部4によって測定されるランレングスの度数分布の例を示す図、図4(B)は図4(A)のランレングス度数分布を決定係数算出部5によって対数変換した後のランレングス度数分布を示す図である。図4(A)において、40はヒステリシス幅Wが500の場合の度数分布、41はヒステリシス幅Wが1000の場合の度数分布、42はヒステリシス幅Wが1500の場合の度数分布、43はヒステリシス幅Wが2000の場合の度数分布である。また、図4(B)において、44,45,46,47はそれぞれランレングス度数分布40,41,42,43を対数変換した後の度数分布である。
【0022】
決定係数算出部5は、ステップS105の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS106)。決定係数算出部5の算出結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0023】
制御部6は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として記憶部3から出力させる(ステップS107)。
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS100〜S107の処理を2値化対象期間ごとに行う。
【0024】
以上のように、本実施の形態では、決定係数R2に基づいて2値化信号が有効か否かを判定する(すなわち、ランレングス度数分布と幾何分布との一致度から2値化信号が有効か否かを判定する)ことにより、最も有効性が高い2値化信号を最適な2値化結果として出力することができ、入力信号に重畳されたノイズの振幅が予め想定できない場合であっても適切な2値化結果を得ることができる。
【0025】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。図5は本発明の第2の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部10と、記憶部11と、ランレングス測定部12と、決定係数算出部13と、制御部14とから構成される。
【0026】
図6は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。2値化部10は、入力信号を2値化する(ステップS200)。2値化部10の動作は第1の実施の形態の2値化部2と同様であるが、本実施の形態では2値化部10による2値化結果はそのまま後段の装置に出力される。また、2値化結果は、記憶部11に格納される。
【0027】
次に、ランレングス測定部12は、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS201)。ランレングス測定部12は、2値化部10によって2値化され記憶部11に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する。記憶部11は、ランレングス測定部12の測定結果を記憶する。
【0028】
決定係数算出部13は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS202)。決定係数算出部13の変換処理結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0029】
決定係数算出部13は、ステップS202の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS203)。決定係数算出部13の算出結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0030】
制御部14は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2を所定値と比較し(ステップS204)、平均値(RH2+RL2)/2が所定値より大きい場合(ステップS204においてNO)、次の2値化対象期間で2値化部10が用いるヒステリシス幅Wを一定幅だけ大きくし(ステップS205)、平均値(RH2+RL2)/2が所定値以下の場合、現在のヒステリシス幅Wを維持する。ステップS205におけるヒステリシス幅Wの変更は、第1の実施の形態のステップS102と同様に、しきい値TH1,TH2の中心値TBを変更せずに行う。
【0031】
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS200〜S205の処理を2値化対象期間ごとに行う。したがって、平均値(RH2+RL2)/2が所定値以下になるまで、ヒステリシス幅Wを広げていくことになる。以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は本発明の第3の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部20a,20b,20cと、記憶部21と、ランレングス測定部22と、決定係数算出部23と、制御部24とから構成される。
【0033】
図8は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。2値化部20a,20b,20cは、それぞれ入力信号を2値化する(ステップS300)。2値化部20a,20b,20cの動作は第1の実施の形態の2値化部2と同様であるが、本実施の形態では2値化部20aによる2値化結果はそのまま後段の装置に出力される。
【0034】
また、2値化部20bが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅Wb=TH1b−TH2bは2値化部20aが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2よりも常に大きく(Wb>W)、2値化部20cが2値化処理の際に用いるヒステリシス幅Wc=TH1c−TH2cはヒステリシス幅Wよりも常に小さくなるように(Wc<W)、制御部24によって制御される。ここで、Wb−W=W−Wcである。また、2値化部20aが2値化処理の際に用いるしきい値TH1,TH2の中心値TBと、2値化部20bが2値化処理の際に用いるしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)の中心値TBbと、2値化部20cが2値化処理の際に用いるしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)の中心値TBcとは等しい(TB=TBb=TBc)。2値化部20a,20b,20cによる2値化結果は、記憶部21に格納される。
【0035】
次に、ランレングス測定部22は、2値化対象期間中の2値化信号のランレングスを測定する(ステップS301)。ランレングス測定部22は、2値化部20a,20b,20cによって2値化され記憶部21に格納された2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの時間tudを測定し、また2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの時間tduを測定することにより、2値化信号のランレングスを測定する。ランレングス測定部22は、以上のようなランレングスの測定を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに(すなわち、出力元の2値化部が同じ2値化信号の信号列ごとに)行う。記憶部21は、ランレングス測定部22の測定結果を記憶する。
【0036】
決定係数算出部23は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して、度数の対数変換を実施する(ステップS302)。決定係数算出部23の変換処理結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23は、このような変換処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0037】
決定係数算出部23は、ステップS302の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS303)。決定係数算出部23の算出結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0038】
制御部24は、ヒステリシス幅Wにおける第1のランレングスtudについての決定係数RH2とヒステリシス幅Wにおける第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2と、ヒステリシス幅Wbにおける第1のランレングスtudについての決定係数RHb2とヒステリシス幅Wbにおける第2のランレングスtduについての決定係数RLb2の平均値(RHb2+RLb2)/2と、ヒステリシス幅Wcにおける第1のランレングスtudについての決定係数RHc2とヒステリシス幅Wcにおける第2のランレングスtduについての決定係数RLc2の平均値(RHc2+RLc2)/2とを比較し、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する。
【0039】
制御部24は、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2のうち平均値(RHb2+RLb2)/2が最も小さい場合(ステップS304においてYES)、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくする(ステップS305)。また、制御部24は、平均値(RHc2+RLc2)/2が最も小さい場合(ステップS306においてYES)、次の2値化対象期間で2値化部20a,20b,20cが用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくする(ステップS307)。また、制御部24は、平均値(RH2+RL2)/2が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持する。ステップS305,S307におけるヒステリシス幅W,Wb,Wcの変更は、第1の実施の形態のステップS102と同様に、中心値TB,TBb,TBcを変更せずに行う。
【0040】
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS300〜S307の処理を2値化対象期間ごとに行う。図9は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を説明する図である。例えば平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の92,93,91の値であったとすれば、平均値(RH2+RL2)/2が最も小さいので、現在のヒステリシスW,Wb,Wcが維持される。一方、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の91,92,90の値であったとすれば、平均値(RHb2+RLb2)/2が最も小さいので、ヒステリシスW,Wb,Wcを大きくする。また、平均値(RH2+RL2)/2,(RHb2+RLb2)/2,(RHc2+RLc2)/2がそれぞれ図9の93,94,92の値であったとすれば、平均値(RHc2+RLc2)/2が最も小さいので、ヒステリシスW,Wb,Wcを小さくする。以上のようにして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図10は本発明の第4の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、記憶部1と、2値化部2と、記憶部3と、ランレングス測定部4と、決定係数算出部5aと、制御部6と、特徴値算出部7とから構成される。
【0042】
入力信号の振幅に対してヒステリシス幅が相対的に大きくなる程、2値化時の信号の欠落が多発し、ランレングス度数分布の傾きが小さくなる。このため、2値化信号が本来有効な信号であっても、有効な信号でないと判断する可能性がある。本実施の形態は、このような問題点を解決するためのものである。
図11は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS100〜S105の処理は第1の実施の形態と同じである。
【0043】
次に、特徴値算出部7は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS108)。ランレングスの特徴値T0としては、平均値、最頻値、中央値がある。また、階級値と度数との積が最大となる階級値をランレングスの特徴値T0としてもよい。特徴値算出部7は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。特徴値算出部7が算出した特徴値T0は、記憶部3に格納される。
【0044】
次に、決定係数算出部5aは、ステップS105の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS109)。決定係数算出部5aの算出結果は、記憶部3に格納される。決定係数算出部5aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0045】
制御部6は、第1のランレングスtudについての決定係数RH2と第2のランレングスtduについての決定係数RL2の平均値(RH2+RL2)/2が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として記憶部3から出力させる(ステップS107)。
ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS100〜S105,S107〜S109の処理を2値化対象期間ごとに行う。
【0046】
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第1の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0047】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図12は本発明の第5の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部10と、記憶部11と、ランレングス測定部12と、決定係数算出部13aと、制御部14と、特徴値算出部15とから構成される。本実施の形態は、第4の実施の形態で説明した構成を第2の実施の形態に適用したものである。
【0048】
図13は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS200〜S202の処理は第2の実施の形態と同じである。
次に、特徴値算出部15は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS206)。特徴値算出部15は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。特徴値算出部15が算出した特徴値T0は、記憶部11に格納される。
【0049】
次に、決定係数算出部13aは、ステップS202の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS207)。決定係数算出部13aの算出結果は、記憶部11に格納される。決定係数算出部13aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について行う。
【0050】
ステップS204,S205の処理は第2の実施の形態と同じである。ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS200〜S202,S204〜S207の処理を2値化対象期間ごとに行う。
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第2の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0051】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図14は本発明の第6の実施の形態に係るヒステリシスコンパレータの構成を示すブロック図である。
本実施の形態のヒステリシスコンパレータは、2値化部20a,20b,20cと、記憶部21と、ランレングス測定部22と、決定係数算出部23aと、制御部24と、特徴値算出部25とから構成される。本実施の形態は、第4の実施の形態で説明した構成を第3の実施の形態に適用したものである。
【0052】
図15は本実施の形態のヒステリシスコンパレータの動作を示すフローチャートである。ステップS300〜S302の処理は第3の実施の形態と同じである。
次に、特徴値算出部25は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の測定結果から、2値化対象期間中のランレングスの特徴値T0を算出する(ステップS308)。特徴値算出部25は、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0053】
決定係数算出部23aは、ステップS302の変換処理結果から得られる対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数(重決定R2)を算出する(ステップS309)。決定係数算出部23aの算出結果は、記憶部21に格納される。決定係数算出部23aは、このような算出処理を、2値化信号の立ち上がりから次の立ち下がりまでの第1のランレングスtudと、2値化信号の立ち下がりから次の立ち上がりまでの第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに行う。
【0054】
ステップS304〜S307の処理は第3の実施の形態と同じである。ヒステリシスコンパレータは、以上のようなステップS300〜S302,S304〜S309の処理を2値化対象期間ごとに行う。
本実施の形態では、信号の欠落の影響を受け難い階級値2T0以下のランレングス度数分布を用いることにより、第3の実施の形態と比べてより適切な2値化結果を得ることができる。
【0055】
なお、第4〜第6の実施の形態では、対数変換後のランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して、最小二乗法を適用した際の決定係数を算出しているが、入力信号の帯域で決まる最大の階級値以下のランレングス度数分布に対して、最小二乗法を適用した際の決定係数を算出するようにしてもよい。
【0056】
また、第1〜第6の実施の形態のステップS105,S202,S302の対数変換処理は必須の構成要素ではない。
決定係数算出部5は、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部5aは、記憶部3に記憶されているランレングス測定部4の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0057】
決定係数算出部13は、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部13aは、記憶部11に記憶されているランレングス測定部12の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0058】
決定係数算出部23は、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、第1のランレングスtudと第2のランレングスtduの各々について、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するようにしてもよい。同様に、決定係数算出部23aは、記憶部21に記憶されているランレングス測定部22の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出することになる。
【0059】
第1〜第6の実施の形態のヒステリシスコンパレータは、例えばCPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って第1〜第6の実施の形態で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値に基づいて2値化する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1,3,11,21…記憶部、2,10,20a,20b,20c…2値化部、4,12,22…ランレングス測定部、5,5a,13,13a,23,23a…決定係数算出部、6,14,24…制御部、7,15,25…特徴値算出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化手段と、
2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、
前記決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力する制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項2】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化する2値化手段と、
2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出する決定係数算出手段と、
前記決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で前記2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくする制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項3】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化する第1の2値化手段と、
入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)に基づいて2値化する第2の2値化手段と、
入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)に基づいて2値化する第3の2値化手段と、
2値化対象期間中に前記第1、第2、第3の2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、
ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項4】
請求項3記載のヒステリシスコンパレータにおいて、
前記制御手段は、ヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくし、ヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくし、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持することを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒステリシスコンパレータにおいて、
さらに、前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から、ランレングスの分布の特徴値T0を算出する特徴値算出手段を備え、
前記決定係数算出手段は、前記ランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して最小二乗法を適用した際の決定係数を算出することを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項1】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化することを、しきい値のヒステリシス幅W=TH1−TH2を変更しながら行う2値化手段と、
2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅Wが同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、
前記決定係数が最小になるヒステリシス幅Wによる2値化信号を、2値化対象期間中の最適なヒステリシス幅Wによる2値化結果として出力する制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項2】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2に基づいて2値化する2値化手段と、
2値化対象期間中に前記2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を算出する決定係数算出手段と、
前記決定係数が所定値より大きい場合に、次の2値化対象期間で前記2値化手段が用いるヒステリシス幅W=TH1−TH2を一定幅だけ大きくする制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項3】
入力信号を2つの異なる電圧レベルのしきい値TH1,TH2(TH1>TH2)に基づいて2値化する第1の2値化手段と、
入力信号をしきい値TH1,TH2と異なる電圧レベルのしきい値TH1b,TH2b(TH1b>TH2b,TH1b>TH1,TH2b<TH2)に基づいて2値化する第2の2値化手段と、
入力信号をしきい値TH1,TH2,TH1b,TH2bと異なる電圧レベルのしきい値TH1c,TH2c(TH1c>TH2c,TH1c<TH1,TH2c>TH2)に基づいて2値化する第3の2値化手段と、
2値化対象期間中に前記第1、第2、第3の2値化手段から出力される2値化信号のランレングスを、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに測定するランレングス測定手段と、
このランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布に対して度数の対数変換を行い対数変換後のランレングス度数分布を最小二乗法により1次関数で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出するか、あるいは前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から得られるランレングス度数分布を最小二乗法により指数曲線で近似したときの決定係数を、2値化処理時のヒステリシス幅が同じ2値化信号の信号列ごとに算出する決定係数算出手段と、
ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数とヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数とヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数とを比較し、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcを決定する制御手段とを備えることを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項4】
請求項3記載のヒステリシスコンパレータにおいて、
前記制御手段は、ヒステリシス幅がWb=TH1b−TH2bの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ大きくし、ヒステリシス幅がWc=TH1c−TH2cの場合の決定係数が最も小さい場合、次の2値化対象期間で前記第1、第2、第3の2値化手段が用いるヒステリシスW,Wb,Wcをそれぞれ一定幅だけ小さくし、ヒステリシス幅がW=TH1−TH2の場合の決定係数が最も小さい場合、現在のヒステリシスW,Wb,Wcを維持することを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヒステリシスコンパレータにおいて、
さらに、前記ランレングス測定手段の2値化対象期間中の測定結果から、ランレングスの分布の特徴値T0を算出する特徴値算出手段を備え、
前記決定係数算出手段は、前記ランレングス度数分布のうち階級値が2T0以下のランレングス度数分布に対して最小二乗法を適用した際の決定係数を算出することを特徴とするヒステリシスコンパレータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−227812(P2012−227812A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95011(P2011−95011)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】
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