ヒストン・デアセチラーゼのインヒビターの一塩酸塩
本発明は、ヒストン・デアセチラーゼのインヒビター、JNJ−26481585のモノ−HCl塩およびモノ−HCl塩水和物の新規結晶形を提供する。発明はまた、これらの結晶形の製法、これらの方法に使用される中間体、これらの結晶形を含んでなる製薬学的組成物、並びに、例えば癌および白血病のような増殖性状態を抑制するための医薬としての医学的処置におけるこれらの結晶形の使用、に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒストン・デアセチラーゼのインヒビター、JNJ−26481585のモノ−HCl塩およびモノ−HCl塩水和物の新規結晶形に関する。発明はまた、これらの結晶形の製法、これらの方法で使用される中間体、これらの結晶形を含んでなる製薬学的組成物並びに、例えば、癌および白血病のような増殖性状態を抑制するための医薬としての医学的処置におけるこれらの結晶形の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の製薬学的固形物は異なる物理的形状で、例えば、非晶質形で、1種または複数の結晶形(例えば無水形または溶媒和形)で、異なる結晶形の混合物の形状で、あるいは非晶質形および1種または複数の結晶形の混合物として存在することができる。
【0003】
非晶質形は三次元の長領域の秩序が存在しない形状である。非晶質形においては、相互に対する分子の位置が本質的にランダムであり、すなわち格子構造上に分子の秩序ある配列がない。非晶質で、不規則な物質はしばしば、改善された特性を有するが、この状態を形成し、安定化することは大きな課題である可能性がある。
【0004】
結晶または結晶形は、相互に対する分子の位置が三次元格子構造に従って組織されている形状である。結晶形は典型的には多形相および擬似多形相を含む。多形相は固態における分子の異なる配列から生成される同一化合物の異なる結晶形である。異なる多形相は格子中の分子の異なる充填のために、異なる結晶構造を有する。これが、異なる、結晶の対称性および/または単位セルパラメーターをもたらす。多形相はそれらの物理化学的パラメーターにおいて相互に異なるが、それらの化学組成は異ならない。多形相は通常、制御が困難で、生薬学者に課題を突き付ける。溶媒和物とも呼ばれる擬似多形相は、化学量論的量または非化学量論的量いずれかの溶媒分子が化合物の格子構造中に存在するかまたはその中に取り込まれている固態の結晶形の特定の事例である。水の溶媒和物はまた水和物とも呼ばれる。
【0005】
固態化学は製薬学的産業、そして特に適切な剤形の開発の関連者に興味深い。例えば、固態の転化は医薬の安定性(棚寿命)に重要な影響を与える可能性がある。不安定な製薬学的固態は、環境条件、加工または経時の変化に対して、結晶質構造(例えば非晶質から結晶質に)または溶媒和物/脱溶媒物に変化することができる。
【0006】
同一薬剤の異なる結晶形または非晶質形は、溶解速度、熱力学的溶解度および生物学的利用能のような製薬学的に重要な特性の実質的な相異を有することができる。患者の胃液中の有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が患者の血流に到達することができる速度に上限を与えるために、治療的結果を有する可能性がある。従って、溶解速度は固形の剤形並びにシロップおよびエリキシルのような液体医薬を調合する際の考慮対象である。
【0007】
同様に、異なる結晶形または非結晶形は、市販品製造のための有効医薬としてのそれらの適性に影響する可能性がある、吸湿性、流動性、成形性、等のような異なる加工特性を有する可能性がある。
【0008】
多形相が恒常的に維持されない場合は、製薬学的薬剤の臨床開発期間中に、使用または研究される正確な剤形が相互のロットで比較可能でないかも知れない。更に、存在する不純物が望ましくない毒性学的効果をもたらすかも知れないために、化合物が臨床研究また
は市販製品中に使用される時は、高い純度で選択された多形相形を含む化合物を生成する方法を見いだすことが所望される。特定の多形相形は、高い熱力学的安定性を示すかまたは大量を高純度で、より容易に製造することができ、そして従って、製薬学的調合物中への包含のためにより適切である。
【0009】
JNJ−26481585は以下の構造:
【0010】
【化1】
【0011】
を有する。
【0012】
該化合物はヒストン・デアセチラーゼ(HDAC)のインヒビターである。
【0013】
2006年2月2日に公開された特許文献1は、JNJ−26481585.C2HF3O2塩およびジ−HCl塩の非晶質形並びにそれらを得る方法を開示している(特許文献1参照)。
【0014】
特許文献2に最初に記載されたJNJ−26481585.C2HF3O2塩の合成はスキーム1に示されている(特許文献2参照)。
【0015】
その中の、工程1において、式(III)の中間体は、メタノール中でナトリウムテトラヒドロボレートの存在下で、式(II)のカルボキシアルデヒドと式(I)の中間体を反応させることにより調製された。
【0016】
工程2において、式(IV)の中間体は、エタノール中で水酸化ナトリウムと式(III)の中間体を反応させることにより調製された。
【0017】
工程3において、式(V)の中間体は、N’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBT)のような適当な試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(IV)の中間体を反応させることにより調製された。反応はジクロロメタンおよびテタラヒドロフランの混合物中で実施された。
【0018】
工程4において、式(VI)のヒドロキサム酸C2HF3O2塩は、トリフルオロ酢酸と式(V)の中間体を反応させることにより調製された。該反応はメタノール中で実施された。
【0019】
【化2】
【0020】
あるいはまた、特許文献2に最初に記載されたJNJ−26481585.2HCl塩は、水酸化ナトリウムの存在下で、ヒドロキシルアミンと式(III)の中間体を反応させることにより調製された(特許文献2参照)。該反応はメタノール中で実施され、ジ−HCl塩への更なる転化物はエタノール中で調製された。
【0021】
特許文献1に開示された方法は、結果的に幾つかのクロマトグラフィー工程を要する異なる処理工程における低い収量および大量の不純物の結果として、大量生産に不適当である(特許文献2参照)。クロマトグラフィーを使用する化合物の精製は、溶媒消費および、大規模クロマトグラフィーを実施するために要する特別の装置のために、高価で、環境に不適切である。
【0022】
本発明により解決される課題は、JNJ−26481585のモノ−HCl塩およびモノ−HCl塩水和物の新規結晶形の提供である。本発明の他の態様は、新規結晶質HCl塩およびHCl塩水和物形が高い収率および高い純度で得られる方法である。本HCl形の有利な特性は、本化合物の薬物製造を可能にするその非吸湿性および化学安定性を含む優れた物理化学的特性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】国際公開出願第2006/010750号パンフレット
【特許文献2】国際公開出願第97/21701号パンフレット
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】形状Iの赤外線(IR)スペクトルの表示である。
【図2】形状IのX線粉末回折(XPRD)像の表示である。
【図3】形状Iの示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図4】相対湿度の関数としての形状Iの重量変化である。
【図5】形状Iの吸着−脱着(ADS/DES)曲線の表示である。
【図6】形状IIのIRスペクトルの表示である。
【図7】形状IIのXPRD像の表示である。
【図8】形状IIのDSC曲線である。
【図9】相対湿度の関数としての形状IIの重量変化である。
【図10】形状IIのADS/DES曲線の表示である。
【図11】水和物形のIRスペクトルの表示である。
【図12】水和物形のXPRD像の表示である。
【図13】異なる温度におけるエタノール中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図14】異なる温度におけるエタノール/水(90/10、v/v%)中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図15】異なる温度における水中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図16】異なる温度におけるエタノール中の水和物のスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【発明の概要】
【0025】
中間体の調製
A.式(I)の中間体の調製
【0026】
【化3】
【0027】
a)式(XI)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素溶媒、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロフラン等のような適切な溶媒の存在下で、式(X)の中間体と式(IX)の中間体を反応させることにより調製することができる。他の芳香族または脂肪族アルデヒドを工程に使用することができる。この反応はまた、プロトン溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等中で実施することができる。反応は25℃〜60℃の間の温度で、好ましくは45℃の温度で実施することができる。式(X)の中間体の可能な不安定性のために、更なる高温は推奨されない。
【0028】
【化4】
【0029】
b)式(VIII)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロ
フラン等のような適切な溶媒中で、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)のような適切な酸化剤の存在下で、式(VII)の中間体を転化することにより調製することができる。反応は−20℃〜40℃の間の温度、好ましくは0℃〜5℃の間の温度、より好ましくは0℃で実施することができる。更に高温では、メタ−クロロペルオキシ安息香酸が不安定で、式(VIII)の中間体が分解する可能性がある。中間体(VIII)への中間体(VII)の完全な転化は適量のMCPBAの添加により得ることができる。従ってMCPBAの量は好ましくは>1当量である。
【0030】
【化5】
【0031】
c)式(I)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒またはそれらの混合物、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエチルアミンもしくは他の第三級アミン塩基およびエチルアセテートの混合物等のような適切な溶媒の存在下で、式(XI)の中間体と式(VIII)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は−20℃〜40℃の間の温度、好ましくは0℃〜5℃の間の温度、より好ましくは0℃で、25℃まで暖めながら実施することができる。
【0032】
【化6】
【0033】
式(XI)の中間体の形成を伴う式(X)のp−ニトロベンズアルデヒドによる式(IX)のアミノピペリジンの一時的保護を伴う本合成は、より多数の置換された環窒素の優先的反応を許す。この保護が実施されないと、式(IX)の中間体の双方の窒素が式(VIII)の中間体と反応するので、大量の二量体(A)および異性体(B)が形成される。反応混合物を1晩暖めると、式(XI)の中間体の、式(I)の中間体への完全な反応、および式(IX)のあらゆる残りの中間体の二量体(A)への完全な転化を確保し、その二量体は残りのMCPBAと一緒に、次の酸処理において容易に除去することができる。
【0034】
【化7】
【0035】
本発明の1つの実施態様は式(XI)の中間体を含んでなる。
【0036】
B.式(VIII)の中間体の調製
【0037】
【化8】
【0038】
a)式(XII)の中間体は、適切な溶媒中で式(II)の中間体と式(I)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は50℃〜150℃の間の温度、好ましくは110℃の温度(トルエンの還流温度)で実施することができる。この反応を進行させるためには水の共沸除去が必要である。溶媒としては、トルエン、イソプロピルアセテート等のような、極性または非極性の非プロトンの炭化水素の溶媒を使用することができる。これらの溶媒は水と十分に共沸する。
【0039】
【化9】
【0040】
b)式(XII)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒およびそれらの混合物、例えばトルエン、イソプロピルアセテート、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のような適切な溶媒中で、ナトリウムテトラヒドロボレートで処理される。ナトリウムテトラヒドロボレートによる還元は0℃〜50℃の間で、好ましくは10℃で起ることができる。還元中の低温は、過剰還元された不純物の形成を回避するために好ましい。
c)次に、5%v/vの水を含むアセトン/エタノールの混合物中でフマル酸により塩形成が実施され、式(XIII)の中間体の形成を伴う。
【0041】
【化10】
【0042】
本発明の1つの実施態様は式(XIII)のフマル酸塩を含んでなる。
【0043】
C.式(XVIII)の中間体の調製
JNJ−26481585の製造のためのより良い合成法を見いだす第1の試みにおいて、式(III)の中間体を、塩基および溶媒の存在下で、しかしカップリング試薬の不在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと反応させた。この試みは成功しなかった。
【0044】
第2の試みにおいて、同時の脱保護−塩形成を実施するために、酸不安定な保護基でアミノおよびヒドロキサム酸部分を保護することを試みた。
【0045】
従って、式(XIII)の中間体は遊離塩基に転化されて、式(III)の中間体を与え、そして更にそのRが第三級ブチル、ベンジルまたはフルベネイルである式(XIV)の中間体に転化させ、次にエタノール中のNaOHで加水分解し、そして酸性化および反応混合物から直接の結晶化により式(XV)の中間体を単離した。
【0046】
【化11】
【0047】
標準のアミノ酸カップリング条件(EDC、HOBT、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン)下でのO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンとの式(XV)の中間体のカップリングは優れた収率で式(XVI)の中間体を与えた。Rがフルベニルである式(XV)の中間体のためのカップリング反応は、最適なカップリングのために必要なトリエチルアミンのために、フルベニル−基の幾らかの開裂を引き起こした。
【0048】
【化12】
【0049】
そのRが第三級ブチルである式(XVI)の中間体を脱保護する試みを、種々の条件(溶媒:エタノール、エチルアセテート、トルエン、アセトン、メチルイソオブチルケトン、ジメチルホルムアミド;酸:エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸)下で実施した。不幸なことには、外気温(2〜3時間)または50℃(10分)のいずれにおいても、観察された唯一の生成物はインドール部分の開裂からの生成物であった。
【0050】
そのRがベンジルである式(XVI)の中間体の水素化分解を、水素雰囲気下で、そして、例えば木炭上パラジウムのような適切な触媒の存在下で試み、ヒドロキサム酸生成物上のN−O結合の競合的開裂(20%まで)により不成功と判定された。他方、緩和な条件下での、本明細書で式(XVI−a)の中間体と呼ばれる、そのRがフルベニルである式(XVI)の中間体のフルベニル基の開裂および、チオールシリカゲルを使用することによりフルベン副産物を捕捉する工程は成功であった。以下に説明されるように、式(V)の対応する遊離アミンは同様な条件(1.05当量の塩酸、エタノール、70℃)下で式(XIX)の化合物を与えることができる。
【0051】
【化13】
【0052】
a)最後に、中間体(XIII)の遊離塩基は、水酸化ナトリウム水溶液の中和および、メチルテトラヒドロフラン中の抽出により得ることができる。次に遊離塩基含有有機層を還流における3モル当量の水酸化ナトリウム水溶液による塩基性加水分解にかける。次に水層中のナトリウム塩をメチルテトラヒドロフラン層から分離し、10℃で5モル当量のHClで酸性化する。
【0053】
式(XVII)の中間体はばらつく水分を含むことができる。乾燥直後の水分含量は0.7%である。試料を外気中に24時間放置すると、水分含量は2モルの水分を表す8%水分に増加し、安定した。
【0054】
【化14】
【0055】
b)以下のカップリング反応が成功するためには特定量の水分を要するために、中間体(XVII)の水分の効果は重要である。中間体(XVII)中の水分量は好ましくは15〜25v/v%の間、もっとも好ましくは約16v/v%である。
【0056】
式(XVIII)の中間体は、カップリング剤としてのN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)のような適切な試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(XVII)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は、極性または非極性の非プロトンおよびプロトン炭化水素の溶媒およびそれらの混合物、例えばメチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、イソプロパノール、エタノール、アセトニトリル、エチルアセテート、イソプロパノールアセテート、それらの混合物および1種以上の異なる溶媒の水との混合物、好ましくはエチルアセテートおよびエタノールの混合物、より好ましくはエチルアセテート、エタノールおよび水の混合物中で実施することができる。反応中の温度は10℃〜40℃の間、好ましくは室温であることができる。
【0057】
【化15】
【0058】
十分な水分が存在する時は、反応は急速で完全である。乾燥状態下では反応はより遅く、より大量の不純物が存在し、生成物に向かう反応速度が低下する。
c)式(XVIII)をもつ中間体は、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、好ましくはジメチルアセトアミドのような溶媒に溶解することができる。共溶媒の添加は生成物を晶出させる。アセトン、メチルイソブチルケトンまたはメチルエチルケトン、好ましくはメチルイソブチルケトンのような共溶媒を使用することができる。精製は25℃〜90℃の間、好ましくは50℃〜70℃の間の温度で実施することができる。晶出時間は5時間を超えてはならない。より高温またはより長い晶出期間においては、最終生成物の収量は低下する。再結晶は50℃〜70℃の間、好ましくは70℃の温度でメチルエチルケトンのような共溶媒の存在下でエタノールのような溶媒中で実施することができる。
【0059】
本発明の1つの実施態様は式(XVII)および(XVIII)の塩酸塩を含んでなる。
【0060】
結晶形の調製
式(XVIII)の中間体は、反応混合物が所望の温度にある間に、エタノールまたはメ
タノールのような適切な溶媒中に塩酸を添加することにより、式(XIX)のHCl塩に転化させることができる。
【0061】
【化16】
【0062】
本発明は以下の工程を含んでなる結晶質モノ−HCl塩形状Iを調製するための方法を提供する:
a)50℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃の間に溶媒を加熱しながら、0.1%w/w未満の水分を含むアルコール溶媒中に式(XVIII)の化合物を溶解し、
b)反応混合物に塩酸を添加し、そして
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、より好ましくは55℃の温度を維持しながら反応混合物を撹拌する。
【0063】
1つの実施態様において、形状Iを調製するための前項に記載の方法は10.3〜20.6L/モルの間の濃度、好ましくは10.3L/モル濃度のエタノールまたはメタノールを添加する工程を含んでなる。
【0064】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前項に記載の方法は、工程a)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットに化合物を溶解する工程、を含んでなる。
【0065】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程b)において、0.05〜0.4当量の濃度、好ましくは0.05〜1.1当量の間の濃度、好ましくは0.05〜0.4当量の間の濃HClの濃度で塩酸を添加する工程、を含んでなる。
【0066】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の項1〜3に記載の方法は、工程b)において、0.03〜0.07当量の濃度、好ましくは0.03〜0.05当量の間のHCl(1モル)の濃度の塩酸を添加する工程、を含んでなる。
【0067】
他の実施態様において、形状Iを調製するための1〜3項に記載の方法は、工程b)において、イソプロパノール中に0.03〜0.05当量のHClの濃度の塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0068】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットで化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0069】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜16時間の間、好ましくは16時間、混合物を撹拌する工程を含んでなる。
【0070】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、水和物形を調製する方法を提供する:
a)50℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃の間に溶媒を加熱しながら、5%を超える水分を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に式(XVIII)の化
合物を溶解し、
b)反応混合物に塩酸を添加し、そして
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、より好ましくは55℃に温度を維持しながら、反応混合物を撹拌する。
【0071】
1つの実施態様において、水和物形を調製するための前項に記載の方法は、10.3〜20.6L/モルの間の濃度、好ましくは10.3L/モルの濃度のエタノールまたはメタノールを添加する工程を含んでなる。
【0072】
1つの実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程a)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットに化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0073】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程b)において、0.05〜0.4当量の濃HClの濃度、好ましくは0.05〜1.1当量の間の濃度、好ましくは0.05〜0.4当量の間の濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0074】
他の実施態様において、水和物形を調製するための項1〜3に記載の方法は、工程b)において、0.03〜0.07当量のHCl(1モル)の濃度、好ましくは0.03〜0.05当量の間の濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0075】
他の実施態様において、水和物形を調製するための項1〜3に記載の方法は、工程b)において、イソプロパノール中0.03〜0.05当量のHClの濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0076】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットで、化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0077】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜16時間の間、好ましくは16時間、混合物を撹拌する工程を含んでなる。
【0078】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、形状Iを調製するためのスラーリー化法を提供する:
−少なくとも50℃、好ましくは70℃以上の温度でエタノールまたはメタノールから選択される溶媒中に形状IIをスラーリー化する、または
−少なくとも50℃、好ましくは70℃以上の温度でエタノールまたはメタノールから選択される溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する。
【0079】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記のスラーリー化法は、10%の水、好ましくは<2%の水、もっとも好ましくは<0.07%の水を含んでなることができる。
【0080】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記のスラーリー化法は更に、少なくとも4〜7日間撹拌する工程を含んでなる。
【0081】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、水和物形を調製するためのスラーリー化法を提供する:
−少なくとも10%の水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に形状IIをスラーリー化する、
−少なくとも10%の水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する、
−少なくとも90%の水を含んでなる水性溶媒に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する。
【0082】
他の実施態様において、水和物形を調製するためのスラーリー化法は更に、4〜7日間撹拌する工程を含んでなる。
【0083】
他の実施態様において、形状Iを調製するための方法は更に、アルコール溶媒中に形状IIをスラーリー化後、または前記のような溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化後に得られる沈殿物を濾取する工程を含んでなる。
【0084】
他の実施態様において、形状Iを調製するためのスラーリー化法は更に、前記の濾取工程後、アルコール溶媒中に形状IIをスラーリー化後、または前記のような溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化後に得られる濾取沈殿物を洗浄する工程を含んでなり、ここで該洗浄工程がスラーリー工程中に使用されたものと同一の溶媒で実施される。
【0085】
式(XVIII)の化合物の溶液から進行する本発明のいずれかの形状の調製のためには、出発材料の固態が最終生成物の固態に影響をもたず、そして生成される固態の制御が、工程パラメーターの制御により実施されることは当業者により認められなければならない。
【0086】
本発明はまた、工程a)およびb)の間に、形状Iを混合物に播種する工程を含んでなる、形状Iを調製する前記の方法を提供する。
【0087】
本発明はまた、工程a)およびb)の間に、形状Iを混合物に播種する工程を含んでなる、水和物形を調製する前記の方法を提供する。
【0088】
発明はまた、得られる結晶形が、場合により洗浄および乾燥と組み合わせた、濾過または遠心分離により単離される方法を提供する。
【0089】
本発明の方法に使用される出発材料は、式(XVIII)の化合物のあらゆる結晶形であってよい。
【0090】
「本発明の化合物」の用語により、式(XI)、(XIII)、(XVII)、(XVIII)または(XIX)の化合物を意味する。
【0091】
1つの実施態様において、本発明の結晶形の調製に使用される溶媒は、製薬学的に許容され得る溶媒である。他の実施態様においては、本発明の結晶形の調製に使用される溶媒は、それらがまた、製薬学的に許容され得る多形体の調製にそれらの使用を見いだすことができるために、製薬学的に許容され得ない溶媒である。
【0092】
本発明の結晶形の生成法は典型的には、溶媒中の式(XIX)の化合物の溶液または分散物から、あるいは式(XIX)の化合物をスラーリー化する工程から、結晶質固体材料を得る工程を含む。
【0093】
当業者は、結晶化に拘る条件は、結晶化工程を改善する、または沈殿を誘発するために、そして得られる多形体の形状に影響を与えずに修飾することができることを認めるであろう。これらの条件は、式(XVIII)または(XIX)の化合物の溶液、分散物またはスラーリーおよび1種または複数の溶媒を所望の濃度にもたらす工程、前記の溶液、分散
物またはスラーリーを所望の温度にもたらす工程、所望の濃度の塩酸を添加する工程、結晶種を添加する工程、あらゆる適切な圧力をかける工程、あらゆる望ましくない物質または不純物を除去および/または分離する工程、そのような状態が所望される場合は、形成された結晶を乾燥して固態の多形体を得る工程、を含むことができる。
【0094】
沈殿を誘発する好ましい方法は発明の化合物の溶解度を低下させることである。化合物の溶解度は例えば、抗溶媒物質(antisolvent)を添加することにより低下させることができる。
【0095】
本発明の化合物の溶液、分散物またはスラーリーおよび溶媒を所望の濃度にもたらす工程は、必ずしも発明の化合物の濃度の増加を意味しない。特定の例においては、発明の化合物の濃度の減少または不変が好ましい可能性がある。所望の濃度を得るために使用される方法は、当該技術分野で一般的なもの、例えば、大気蒸留、真空蒸留、分別蒸留、共沸蒸留、フィルム蒸発による蒸発、加熱、冷却、当該技術分野で周知の他の方法およびそれらの組み合わせ物である。所望の濃度を得るための場合により使用される方法はまた、例えば十分量の非溶媒を溶液に添加して、飽和点に到達させることにより、発明の化合物および溶媒の溶液の飽和を伴う可能性がある。溶液を飽和するための他の適切な方法は、例えば、溶液への発明の更なる化合物の導入、および/または溶液からの溶媒の一部の蒸発を含む。本明細書で言及される飽和溶液は、それらの飽和点の、またはそれらの飽和点を超える、すなわち超飽和の溶液を含む。近飽和(nearly saturated)溶液は、飽和に近いがそれらの飽和点には到達していない溶液を意味する。
【0096】
本発明の結晶化法を改善する、とりわけ結晶化を促進する方法は、生成物の結晶を播種する工程、またはガラス棒で結晶化容器の内面を引っ掻く工程による方法である。他の場合には、結晶化は何の誘発も伴わずに自然に起ることができる。本発明は、式(XIX)の化合物の特定の形状の結晶化が自然に起るか、あるいは、そのような誘発または加速が特定の形状を得るために決定的(critical)でない限り、誘発または加速される、双方の実施態様を含む。
【0097】
用語「播種」は結晶化を容易にするための結晶質物質の添加を意味する。用語「結晶種」は式(XIX)の化合物の以前に得られた結晶形の粉末を意味する。形状Iを調製するために有用であることができる本発明の特定の結晶種または播種物質は以下である:
−化合物(XIX)および式(XVIII)の化合物の形状Iの混合物の結晶種
−形状Iの結晶種、または
−形状IIの結晶種。
【0098】
前記溶液、分散物またはスラーリーを所望の温度にもたらす工程により、加熱、冷却または外気温に放置する行為が理解されるであろう。溶液、分散物またはスラーリーを暖める工程は、発明の化合物を完全に溶解するために必要かも知れない。
【0099】
あらゆる望ましくない物質または不純物を除去および/または分離する工程は、精製、濾過、洗浄、沈殿または同様な方法により実施することができる。例えば分離は、知られた固体−液体分離法により実施することができる。当業者に知られた濾過法も本方法に使用することができる。他の方法のなかでは、濾過は溶液、分散物またはスラーリーを紙、焼結ガラスフィルターまたは他の膜材料を通過させる工程により、遠心分離により、あるいはブッフナー型フィルター、ローゼンムントフィルターまたはプレート、あるいはフレームプレスを使用して実施することができる。生成される多形体形の純度を増加するためには、好ましくは、インラインの濾過または安全濾過を、前記の方法中に有利に挿入することができる。問題の結晶から不純物を分離するためには、更に、シリカゲル、Celite(R)、Arbocel(R)、ジカライトジアトマイト、等のような濾過物質も使
用することができる。
【0100】
得られる結晶はまた、乾燥することができ、そして2種以上の結晶化工程が適用される場合は、このような乾燥法は、場合により異なる結晶化工程で使用することができる。乾燥法は、加熱、真空を適用、空気または気体を循環、乾燥剤を添加、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発、等、またはそれらのあらゆる組み合わせのような当業者に知られたすべての方法を含む。
【0101】
式(XIX)の化合物の多形体の結晶化法は、方法の多数の組み合わせ物およびそれらの改変物を含むことができる。従って、そして例えば、式(XIX)の化合物の多形体の結晶化は、溶媒中で、適切な温度において式(XIX)の化合物を溶解、分散またはスラーリー化させ、それにより該溶媒の一部が蒸発して、該溶液、分散物またはスラーリー中の式(XIX)の化合物の濃度を増加する工程、前記混合物を冷却する工程、並びに、場合により、生成された式(XIX)の化合物の結晶を洗浄および/または濾過および乾燥する工程により実施することができる。場合により、式(XIX)の化合物の多形体は、溶媒中に式(XIX)の化合物を溶解し、分散し、またはスラーリー化し、該溶液、分散物またはスラーリーを冷却し、そして次に、得られる多形体を濾過、乾燥することにより調製することができる。式(XIX)の化合物の結晶形の調製の他の例は、溶媒中に式(XIX)の化合物を飽和させ、そして場合により得られる結晶を濾過、洗浄および乾燥することにより得られる。
【0102】
結晶形成はまた、1種を超える結晶化法を伴うことができる。特定の例において、生成される結晶形の質を高めるためのような異なる理由で、1、2またはそれを超える余分な結晶化工程を有利に実施することができる。
【0103】
溶媒中に発明の化合物を溶解、分散またはスラーリー化することにより、懸濁物、スラーリーまたは混合物のような異なる度合いの分散物を得ることができ、あるいは好ましくは均一な単相溶液を得ることができる。用語「懸濁物」は、液体または分散媒質、通常溶媒中に分散された(懸濁された)、非晶質形、結晶形またはそれらの混合物の微細に粉砕された固体よりなるに二相系を表す。用語「スラーリー」は、その中で固体がごく僅かに可溶性(または不溶性)の液体中に、一定量の粉末が混合される時に形成される懸濁物を表す。「スラーリー化する」はスラーリーを製造することを表す。
【0104】
溶媒は場合により、添加剤、例えば1種または複数の分散剤、界面活性剤または他の添加剤、あるいは、結晶質懸濁物の調製に通常使用され、そして文献にしばしば記載される(well documented)種類のそれらの混合物を含むことができる。添加剤は滑らかさ(leniency)を増加し、表面積を減少させることにより、結晶の形状を修飾する際に有利に使用することができる。
【0105】
固体を含む溶媒は、場合により有機化合物に所望の粒度を生成するために、特定の期間撹拌するあるいは、例えば、高剪断ミキサーまたはホモジナーザーまたはこれらの組み合わせ物を使用して激しく撹拌することができる。
【0106】
更に、生成物の結晶化工程の再現性、粒度分配および形状を改善するために、沈殿温度の制御および播種を使用することができる。従って、結晶化は式(XIX)の化合物の結晶を播種せずに、または好ましくは、播種により溶液中に導入される式(XIX)の化合物の結晶の存在下で実施することができる。播種はまた、種々の温度で数回実施することができる。種材料の量は実験規模に左右され、当業者により容易に決定することができる。播種材料の量は典型的には、反応から期待される結晶質物質の量の約0.1〜1重量%である。
【0107】
各結晶化工程における結晶化時間は、適用条件、使用される方法および/または使用される溶媒に左右されるであろう。
【0108】
所望の、均一な粒度を得るために、結晶転化後に大型粒子または粒子の凝集体を破壊する工程を更に実施することができる。従って、式(XIX)の化合物の多形体形の結晶、粉末凝集体および粗い粉末は場合により、転化経過後に粉砕され、分粒されることができる。粉砕または微粉砕は、粉末の粒度縮小のための当該技術分野で周知の方法および装置を使用して、大型粒子または粒子の凝集物を物理的に破壊する工程を表す。生成される粒度はミリメーター〜ナノメーターにわたり、すなわちナノ結晶、ミクロ結晶を生成することができる。
【0109】
微粉砕または粉砕に好ましい装置は、狭い粒度分布の小粒度の粒子を生成するその能力のために、流体エネルギーミルまたは微粉砕装置である。微粉砕装置は粒子を粉砕するために急速に移動する流体流中に懸濁された粒子間の衝突の運動エネルギーを使用する。エアジェットは好ましい流体エネルギーミルである。懸濁された粒子が再循環粒子流中に圧力下で注入れる。小型粒子が空中をミルの内部に運ばれ、サイクロンのような特定の粒度分類装置に接続された排出口に吐き出される。当業者は、幾らかの結晶形は粒度縮小期間に他の形状への転化を受けるかも知れないことを認めるであろう。
【0110】
結晶形の特徴
本発明は、更に、それが結晶形にあることを特徴とする、固態の式(XIX)のモノ−HCl塩を提供する。1つの実施態様において、発明は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される式(XIX)の化合物の結晶形を提供する。これらの形状は実質的に不純物を含まない。適切にはこれらの形状は10%以下の不純物を含み、より適切には、それらは5%以下の不純物を含み、更により適切にはそれらは1%以下の不純物を含む。多形体の純度はXPRDにより試験することができ、多形体の純度を計算するためにピーク下の面積が使用される。これらの形状は本質的に純粋である。用語「本質的に純粋」は、90%を超えて純粋、適切には95%を超えて純粋、より適切には97%を超えて純粋、もっとも適切には99%を超えて純粋であることを意味する。
【0111】
本発明は更に、その結晶形が形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物を提供する。
【0112】
1つの実施態様において、式(XIX)の化合物の形状Iおよび形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0113】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の形状Iおよび水和物形を含んでなる混合物が提供される。
【0114】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の水和物形および形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0115】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の形状I、水和物形および形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0116】
本発明は更に、その結晶形が形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、式(XIX)の化合物の1種または複数の結晶形および、式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を提供する。
【0117】
形状I、形状IIおよび水和物形の特徴的XPRD強度ピークの位置は2度−シータに与えられる。
【0118】
化合物(XIX)の形状Iは2−シータ位置15.1°±0.2°、17.2°±0.2°、23.4°±0.2°、24.4°±0.2°および27.7°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。形状Iは更に、2−シータ位置7.6°±0.2°、12.0°±0.2°および12.5°±0.2°におけるX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0119】
化合物(XIX)の形状IIは2−シータ位の10.8°±0.2°、13.7°±0.2°、17.8°±0.2°および26.7°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。形状IIは更に、2−シータ位の7.4°±0.2°および22.9°±0.2°におけるX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0120】
化合物(XIX)の水和物形は2−シータ位10.0°±0.2°、13.4°±0.2°および26.5°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。水和物は更に、2−シータ位置21.6°±0.2°および24.9°±0.2°のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0121】
形状IのX線粉末回折像(XPRD)は実質的に図2に示される。形状IIのX線粉末回折像は実質的に図7に示される。水和物形のX線粉末回折像は実質的に図12に示される。
【0122】
すべての形状のXPRDデータおよび像の表示はジェネレーターPW3040を伴うPhilips X’PertPRO MPD回折計PW3050/60を使用して得た。装置はCu LFF X線管PW3373/00を備えていた。分析される化合物はゼロ背景の試料ホルダー上に広げた。装置のパラメーターは以下である:
−ジェネレーター電圧: 45kV
−ジェネレーターアンペア: 40mA
−構造: Bragg−Brentano
−ステージ: スピナーステージ(spinner stage)。
【0123】
形状I、IIおよび水和物形の走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、29.845秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0124】
形状Iおよび形状IIの走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、29.845秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0125】
水和物形の走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、59.690秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0126】
形状I、IIおよび水和物形の入射ビーム経路のパラメーターは以下であった:
−プログラム・発散スリット: 15mm
−ソラースリット: 0.04ラド
−ビームマスク: 15mm
−散乱防止スリット: 1°
−ビームナイフ: +。
【0127】
形状I、IIおよび水和物形の回折ビーム経路パラメーターは以下であった:
−長い散乱防止シールド: +
−ソラースリット: 0.04ラド
−Niフィルター: +
−検出計: X’Celerator。
【0128】
形状I、IIおよび水和物形に提供されたXPRDピーク位置の精度は計測器、試料調製物、等のような実験誤差により0.2°と規定される。
【0129】
形状I、IIおよび水和物形の特徴的IR吸収のピーク位置は周波数cm−1で与えられる。
【0130】
化合物(XIX)の形状Iは3119±2cm−1、2756±2cm−1、1634±2cm−1、1475±2cm−1、1371±2cm−1、1333±2cm−1、1275±2cm−1、1226±2cm−1、1128±2cm−1および1066±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析(IR)ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0131】
化合物(XIX)の形状IIは約3553±2cm−1、3203±2cm−1、3014±2cm−1および1541±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0132】
40℃/75%相対湿度における42日保存後の化合物(XIX)の水和物形は、約3558±2cm−1、3238±2cm−1、1607±2cm−1および997±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0133】
形状IのIR像は実質的に図1に示されるようなものである。形状IIのIR像は実質的に図6に示されるようなものである。水和物形のIR像は実質的に図11に示されるようなものである。
【0134】
IRデータおよび像の表示はNexus FTIR分光光度計を伴う赤外線分光分析ミクロ減衰総反射(ミクロATR)を使用して得た。ミクロATRアクセサリーはSi結晶を伴うHarrick Split Peaであった。使用された検出計はKBrウィンドウをもつDTGSであった。形状I、IIおよび水和物形の走査パラメーターは以下であった:
−走査数: 32
−解像: 2cm−1
−波長領域: 4000〜400cm−1
−基底線補正: 有り
−ビームスプリッター: KBr上のGe。
【0135】
形状I、IIおよび水和物形に提供されたIR吸収ピークの精度は、計測器、試料調製物、等のような実験誤差により2cm−1と規定される。
【0136】
形状IおよびIIの特徴的示差走査熱量測定(DSC)発熱ピーク位置または領域は℃で
与えられる。化合物(XIX)の形状Iは溶融分解する。発熱信号は約216.8℃で認められる。
【0137】
化合物(XIX)の形状IIは約197.3℃で溶融分解する。発熱信号は約203.6℃で認められる。DSC曲線の超吸熱信号は溶媒の蒸発のために約71.5℃で認められる。
【0138】
形状IのDSC曲線は実質的に図3に示されるようなものである。形状IIのDSC曲線は実質的に図8に示されるようなものである。DSCデータおよび曲線の表示は、RCS冷却ユニットを備えたTA−Instruments Q1000 MTDSCを使用して得た。試料の重量は約3mgであり、それを標準のアルミニウムTA−Instrumentの試料パン中に移した。試料を25℃から300℃の最終温度まで、10℃/分の速度で走査した。オーブンは50ml/分の流速の窒素ガスで恒常的にパージした。
【0139】
形状IおよびIIに提供されたDSC曲線の許容範囲は、計測器、試料調製物、等のような実験誤差により3℃と規定される。
【0140】
形状Iおよび形状IIの吸着−脱着特徴は質量の%変化として与えられる。
【0141】
化合物(XIX)の形状Iは高い相対湿度で0.6%までの水を吸着し、それは吸湿動態を示さず、試験期間中結晶質を維持する。
【0142】
化合物(XIX)の形状IIは吸湿性生成物である。それは高い相対湿度において9.6%まで水を吸着する。生成物は脱着周期中に完全に乾燥し、試験中結晶質を維持する。
【0143】
形状IのAD/DES曲線は実質的に図5に示されるようなものである。形状IIのAD/DES曲線は実質的に図10に示されるようなものである。
【0144】
AD/DESデータはSMS動力学的蒸気吸収モデルDVS−1を使用して得られ、重量変化は25℃の大気湿度に関して記録された。試料の重量は形状Iで約17mg、形状IIで約24mgであった。試料は乾燥窒素下で60分間乾燥した。平衡は最低15分間、そして最大60分間、0.01%/分以下であった。データ収集間隔は0.05%または2.0分であった。
【0145】
相対湿度(%)測定点は以下であった:
第1組:5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5
第2組:5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、0。
【0146】
結晶形の製薬学的使用
本発明は更に、医薬としての使用のための式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を提供する。1つの実施態様において、医薬としての使用のための単独または前記混合物のいずれか中の結晶形は、形状I、形状IIまたは水和物形から選択される。
【0147】
本発明は更に、HDAC関連状態の処置のための医薬の製造における、式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混
合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物の使用を提供する。1つの実施態様において、医薬の製造に使用される、単独または前記混合物のいずれか中の結晶形は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される。
【0148】
本発明は同様に、それを要する哺乳動物に、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を投与する方法を含んでなる、HDAC関連状態を罹患している哺乳動物を処置する方法を提供する。1つの実施態様において、処置方法は、形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、単独のまたは前記混合物のいずれか中の結晶形を投与する方法を含んでなる。
【0149】
本明細書で使用される用語「ヒストン・デアセチラーゼ」および「HDAC」は、ヒストンのN−末端でリシン残基のε−アミノ基からアセチル基を除去する酵素の1族のいずれか1つを表すことが意図される。文脈により別に示されない限り、用語「ヒストン」はあらゆる種からのH1、H2A、H2B、H3、H4およびH5を含むいずれかのヒストンタンパク質を表すことを意味する。ヒトのHDACタンパク質または遺伝子産物は、それらに限定はされないがHDAC−1、HDAC−2、HDAC−3、HDAC−4、HDAC−5、HDAC−6、HDAC−7、HDAC−8、HDAC−9、HDAC−10およびHDAC−11を含む。ヒストン・デアセチラーゼはまた、原生動物またはカビ・真菌源から誘動することができる。
【0150】
用語「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける病理学的状態のあらゆる処置を表し、1種または複数の以下の行為を含む:
(i)病理学的状態が、その状態の素因をもつ可能性はあるが、まだその状態をもつと診断はされていない非検体において起ることを予防し、そして従って、処置は疾患状態の予防的処置を構成する、
(ii)病理学的状態を抑制する、すなわちその発症(development)を停止する、
(iii)病理学的状態を緩和する、すなわち病理学的状態の退行を誘発する、または
(iv)病理学的状態により仲介される症候を緩和する。
【0151】
用語「本発明の1種または複数の多形体」により、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を意味する。
【0152】
本発明は、有効量の本発明の多形体を投与する方法により、形質転換細胞を含む細胞の異常増殖を抑制する方法を提供する。細胞の異常増殖は正常な制御機構に依存しない細胞増殖(例えば接触抑制の喪失)を表す。これは直接には癌細胞の増殖の停止、末端分化および/または細胞死を誘発することによる、そして間接的には、腫瘍の新生血管形成を抑制する双方による、腫瘍増殖の抑制を含む。
【0153】
本発明はまた、有効量の本発明の多形体を、このような処置を要する被験体、例えば哺乳動物(そしてより具体的にはヒト)に投与する方法による、腫瘍の増殖を抑制する方法を提供する。とりわけ本発明は、有効量の本発明の多形体の投与による腫瘍の増殖を抑制する方法を提供する。抑制することができる腫瘍の例は、それらに限定されないが、肺癌(例えば腺癌および非小細胞肺癌を含む)、膵臓癌(例えば外分泌膵癌のような膵癌)、結腸癌(例えば結腸腺癌および結腸腺腫のような、例えば結腸直腸癌)、進行疾患を含む
前立腺癌、リンパ系の造血器官腫瘍(例えば急性リンパ性白血病、B−細胞リンパ腫、ブルキットリンパ腫)、ホジキン病および非ホジキン病、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、甲状腺濾胞腺癌、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉細胞源の腫瘍(例えば繊維肉腫および横紋筋肉腫)、メラノーマ、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えば、角化棘細胞腫)、乳癌(例えば進行乳癌)、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌および上皮癌である。
【0154】
本発明は更に、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物、並びに製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物を提供する。1つの実施態様において、製薬学的組成物は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、単独のまたは前記のいずれかの混合物中の結晶形を含んでなる。
【0155】
製薬学的組成物は経口、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、直腸内、経皮的、舌下または鼻腔内投与することができる医薬として調製することができる。経口投与に適する剤形は、散剤、顆粒、凝結物(aggregates)、錠剤、打錠またはコートピル、糖衣錠、小袋、ハードカプセルまたはゼラチンカプセル、シロップおよび懸濁物を含む。非経口投与に適する剤形は、水溶液または非水溶液またはエマルションを含むが、他方直腸投与に適する剤形は、親水性または疎水性ベヒクルを伴う座薬を含む。局所投与のためには本発明は当該技術分野で知られた適切な経皮的送達系を提供し、そして鼻腔内送達のためには当該技術分野で知られた適切なエアゾール送達系が提供される。あらゆる与えられる事例における大部分の適切な投与は、処置されている状態の本質および重症度に左右されるであろうが、本発明のもっとも好ましい経路は経口である。
【0156】
用量は便利には単位投与剤形で提供され、製薬学分野で周知のいずれかの方法により調製することができる。あるいはまた、剤形は1日全体で適当な間隔を明けて投与される、1、2、3または4回以上の分割投与物として提供することができる。使用される単位用量は好ましくは式(XIX)の化合物の塩基当量約1mg〜約1000mg、より好ましくは約5〜約400mgである。
【0157】
本発明の製薬学的組成物は式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形を含んでなる。製薬学的組成物は式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形の単一形状のみ、あるいは式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形を含むまたは含まない、式(XIX)の化合物の種々の形状の混合物を含んでなることができる。1種または複数の有効成分に加えて、製薬学的組成物は1種または複数の賦形剤または補助剤を含んでなる。賦形剤の選択および使用量は、経験および標準法の考慮および当該技術分野の参照研究に基づいて生薬学者により容易に決定されることができる。
【0158】
適切な賦形剤の例は、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースまたはデンプン、とりわけコーンスターチである。適切な油性賦形剤または溶媒はヒマワリ油または肝油のような植物または動物油である。水溶液またはアルコール溶液に適する溶媒は水、エタノール、糖溶液またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールもまた、他の投与形のための更なる補助剤として有用である。
【0159】
皮下または静脈内投与のための、本発明の多形体は、所望される場合は、可溶化剤、乳化剤または更なる補助剤のような、それらのための通常の物質とともに、溶液、懸濁物またはエマルションに製造される。本発明の多形体をまた、凍結乾燥し、得られる凍結乾燥物を例えば注射または注入調製物の製造のために使用することができる。適切な溶媒は例
えば、水、生理学的食塩溶液またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、更にまた、グルコースまたはマニトール溶液のような糖溶液、あるいはまた、言及された種々の溶媒の混合物である。
【0160】
エアゾールまたはスプレーの形状の投与に適する製薬学的組成物は例えば、エタノールまたは水のような製薬学的に許容され得る溶媒あるいはこのような溶媒の混合物中の、本発明の多形体の溶液、懸濁物またはエマルションである。必要な場合は、調合物はまた、更に、界面活性剤、乳化剤および安定剤のような他の製薬学的補助剤並びに噴射剤を含むことができる。このような調製物は、従来、約0.1〜50重量%、とりわけ約0.3〜3重量%の濃度で有効化合物を含む。
【0161】
特に前記の成分に加えて、本発明の製薬学的組成物は、問題の調合の種類に関して当該技術分野で通常の他の物質を含むことができ、例えば、経口投与に適する物質は香り付け物質または味隠蔽物質を含むことができることは理解しなければならない。
【0162】
本発明の他の態様として、他の抗ガン剤との、式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物、の組み合わせ物が、特に医薬としての使用のために、更に特には癌または関連疾患の処置において、予見される。
【0163】
前記の状態の処置のための本発明の多形体は有利には、1種または複数の他の医薬物質と、より具体的には、他の抗ガン剤と組み合わせて使用することができる。抗ガン剤の例はそれらに限定はされないが、以下を含む:
−白金配位化合物、例えばシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン、
−タキサン化合物、例えばパクリタキセルまたはドセタキセル、
−カンプトテシン化合物のようなトポイソメラーゼIインヒビター、例えばイリノテカンまたはトポテカン、
−抗ガン性エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体のようなトポイソメラーゼIIインヒビター、例えばエトポシドまたはテニポシド、
−抗腫瘍ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン、
−抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビンまたはカペシタビン、
−ナイトロジェン・マスタードまたはニトロソ尿素のようなアルキル化剤、例えばシクロホスホアミド、クロランブシル、カルムスチン、チオテパ、メファランまたはロムスチン、
−抗腫瘍アントラサイクリン誘導体、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、ドキシル、イダルビシンまたはミトキサントロン、
−IGF−1受容体を標的とする分子、例えばピクロポドフィリン、
−テトラカルシン誘導体、例えばテトロカルシンA、
−グルココルチコイド、例えばプレドニソン、
−抗体、例えばトラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲンツザマブ、セツキシマブ、ペルツヅマブまたはベバシヅマブ、
−エストロゲン受容体アンタゴニストまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミレン、ドロロキシフェン、ファスロデックスまたはラロキシフェン、
−エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾールおよびボロゾールのようなアロマターゼインヒビター、
−レチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝阻害剤(RAMB
A)のような分化剤、例えばアキュタン、
−DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、例えばアザシチジンまたはデシタビン、
−抗葉酸塩、例えばプレメトレキセド二ナトリウム、
−抗生物質、例えばアンチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシンまたはダウノマイシン、
−抗代謝剤、例えばクロファラビン、アミノプテリン、シトシン・アラビノシドまたはメトトレキセート、
−Bcl−2インヒビターのような細胞死誘発剤および抗脈管形成剤、例えばYC137、BH312、ABT737、ゴッシポール、HA14−1、TW37またはデカン酸、−チューブリン結合剤、例えばコンブレスタチン、コルヒシンまたはノコダゾール、
−キナーゼインヒビター、例えばフラボペリドール、イマチニブ・メシレート、エルロチニブまたはゲフィチニブ、
−ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、例えばチピファルニブ、
−ヒストン・デアセチラーゼ(HDAC)インヒビター、例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリド・ヒドロキサミド酸(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、NVP−LAQ824、R306465、JNJ−26481585またはトリコスタチンA、
−ユビキチン−プロテアソム経路のインヒビター、例えばPS−341、MLN 41またはボルテゾミブ
−Yondelis、
−テロメラーゼ・インヒビター、例えばテロメスタチン、
−マトリックスメタロプロテイナーゼ・インヒビター、例えばバチマスタート、マリマスタート、プリノスタートまたはメタスタート、
である。
【0164】
それらの有用な薬理学的特性を考慮すると、発明に従う組み合わせ物の成分、すなわち他の医薬および発明の多形体は、投与の目的のための種々の製薬学的剤形に調合することができる。成分は個々の製薬学的組成物中または両成分を含む単一製薬学的組成物中に別々に調合することができる。
【0165】
従って、本発明の1つの実施態様はまた、1種または複数の製薬学的担体と一緒に、他の医薬および本発明の多形体を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0166】
本発明は更に、腫瘍細胞の増殖を抑制するための製薬学的組成物の製造における本発明に従う組み合わせ物の使用に関する。
【0167】
本発明は更に、癌を罹患している患者の処置における同時の、別のまたは連続的使用のための組み合わせ物調製物として、第1の有効成分としての本発明に従う多形体および第2の有効成分としての抗ガン剤を含む製品に関する。
【0168】
他の医薬および本発明の多形体は同時に(例えば、別のまたは単一の組成物中)またはいずれの順序でも連続的に投与することができる。後者の場合は、2種の化合物は、有利なまたは相乗的な効果が達成されることを確保するのに十分な期間内に、そして十分な量で、そして十分な方法で投与されるであろう。投与の好ましい方法および順序並びに組み合わせ物の各成分のそれぞれの投与量および投与計画は、投与されている特定の他の医薬および多形体、それらの投与経路、処置されている特定の腫瘍並びに処置されている特定の宿主に左右されるであろう。投与の最適な方法および順序および投与量および計画は、従来の方法を使用し、本明細書に記載の情報を考慮して、当業者により容易に決定されることができる。
【0169】
白金配位化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき1〜500mg(mg/m2)、例えば50〜400mg/m2、特にシスプラチンに対しては約75mg/m2、そしてカルボプラチンに対しては約300mg/m2の用量で投与される。
【0170】
タキサン化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき50〜400mg(mg/m2)、例えば75〜250mg/m2、特にパクリタキセルに対しては約175〜250mg/m2、そしてドセタキセルに対しては約75〜150mg/m2の用量で投与される。
【0171】
カンプトテシン化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき0.1〜400mg(mg/m2)、例えば1〜300mg/m2、特にイリノテカンに対しては約100〜350mg/m2、そしてトポテカンに対しては約1〜2mg/m2の用量で投与される。
【0172】
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき30〜300mg(mg/m2)、例えば50〜250mg/m2、特にエトポシドに対しては約35〜100mg/m2、そしてテニポシドに対しては約50〜250mg/m2の用量で投与される。
【0173】
抗腫瘍ビンカアルカロイドは有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき2〜30mg(mg/m2)、特にビンブラスチンに対しては約3〜12mg/m2、ビンクリスチンに対しては約1〜2mg/m2、そしてビノレルビンに対しては約10〜30mg/m2の用量で投与される。
【0174】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき200〜2500mg(mg/m2)、例えば700〜1500mg/m2、特に5−FUに対しては約200〜500mg/m2、ゲムシタビンに対しては約800〜1200mg/m2、そしてカペシタビンに対しては約1000〜2500mg/m2の用量で投与される。
【0175】
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素のようなアルキル化剤は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき100〜500mg(mg/m2)、例えば120〜200mg/m2、特にシクロホスホアミドに対しては約100〜500mg/m2、クロランブシルに対しては約0.1〜0.2mg/m2、カルムスチンに対しては約150〜200mg/m2、そしてロムスチンに対しては約100〜150mg/m2の用量で投与される。
【0176】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき10〜75mg(mg/m2)、例えば15〜60mg/m2、特にドキソルビシンに対しては約40〜75mg/m2、ダウノルビシンに対しては約25〜45mg/m2、そしてイダルビシンに対しては約10〜15mg/m2の用量で投与される。
【0177】
抗エストロゲン剤は有利には、特定の薬剤および処置されている状態に応じて1日に約1〜100mgの用量で投与される。タモキシフェンは有利には5〜50mg、好ましくは10〜20mgを1日2回の用量で経口投与され、治療効果を達成し、維持するために十分な期間、治療を継続する。トレミフェンは有利には1日1回約60mgの用量で経口投与され、治療効果を達成し、維持するために十分な期間治療を継続する。アナストロゾ
ールは有利には1日1回約1mgの用量で経口投与される。ドロロキシフェンは有利には1日1回約20〜100mgの用量で経口投与される。ラロキシフェンは有利には1日1回約60mgの用量で経口投与される。エキセメスタンは有利には1日1回約25mgの用量で経口投与される。
【0178】
抗体は有利には、体表面積1平方メーターにつき約1〜5mg(mg/m2)の用量で、または、異なる場合は当該技術分野で知られたように投与される。トラスツヅマブは有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき1〜5mg(mg/m2)、特には2〜4mg/m2の用量で投与される。
【0179】
これらの用量は1コースの処置当たり、例えば1回、2回またはそれ以上投与することができ、それを例えば7、14、21または28日毎に反復することができる。
【0180】
本発明の多形体を、機械的、環境的、生物学的または化学的障害または劣化に対して防御的な包装材料中に保存することは便利であることができる。薬剤物質を状態調節することは、シールされた蒸気ロックバッグのような湿気を通さない包装材料を使用することにより達成することができる。錠剤、カプセルのような薬剤製品を状態調節する方法は例えば、アルミニウムブリスターを使用することにより達成することができる。
【0181】
実験部門
以下の実施例は本発明を具体的に示すことを意図され、それらに限定されることは意図されない。
【実施例1】
【0182】
中間体(I)の調製
【0183】
【化17】
【0184】
a)4−ピペリジンメタンアミン(2.6モル)および酢酸エチル(5.2L)を不活性反応容器(20L)中に入れ、45℃に暖めた。4−ニトロベンズアルデヒド(2.7モル)を添加し、反応混合物を45℃で2時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、次にジイソプロピルエチルアミン(6.6モル)を添加すると、溶液1を与えた。
【0185】
b)2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(2.7モル)および酢酸エチル(2.6L)を不活性容器に入れ、0℃に冷却した。メタ−クロロペルオキシ安息香酸(1.2モル)の溶液(2.6Lの酢酸エチル中)を0℃〜5℃の間の温度で1時間にわたり添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌すると溶液2を与えた。
【0186】
c)溶液2を0℃〜5℃の間の温度で1時間にわたり溶液1に添加した。反応混合物を室温に1晩放置した。混合物を、640mlの濃塩酸溶液(10Lの水中)で、2のpHに酸性化した。水層を回収し、1Lの酢酸エチルで洗浄した。水層を回収し、1Lのジクロロメタンを添加した。混合物を450mlの50%水酸化ナトリウムで10のpHに塩基性化した。混合物を室温で30分間撹拌した。有機層を回収すると画分1を与えた。水層を更に、2Lのジクロロメタンで抽出し、有機層を回収すると画分2を与えた。画分1お
よび2を合せ、ジクロロメタンを蒸発させると511.25g(1.93モル)の中間体(I)を与えた(収率74%)。
【実施例2】
【0187】
中間体(XIII)の調製
【0188】
【化18】
【0189】
a)中間体(I)(0.97モル)およびトルエン(4.5L)を不活性反応容器(20L)中に添加した。1−メチル−1H−インドール−3−カルボキシアルデヒド(0.97モル)を室温で反応混合物に添加した。反応混合物を還流温度に暖め、1晩還流し、室温に冷却した。メタノールで変性されたエタノール(1.5L)を添加すると溶液3を与えた。
【0190】
b)ナトリウムテトラヒドロボレート(55.2g)およびトルエン(1.5L)を不活性反応容器(20L)中に添加した。混合物を連続撹拌下で10℃にした。溶液3を#10℃の温度で1時間にわたり混合物に添加した。混合物を#10℃の温度で1時間撹拌した。反応混合物を室温にした。アセトン(8.79モル)を30分間にわたり添加した。反応混合物を4時間撹拌した。水(5.1L)を15分間にわたり反応混合物に滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。水層を放念し(disregard)、有機層を300gの重炭酸ナトリウムの溶液(4.1Lの水中)で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で濾過し、蒸発させると画分3(蒸発後に397gの残渣)を与えた。
【0191】
c)2%メチルエチルケトンで変性されたエタノール(5L)を室温で画分3に添加した。濃アセトン(5L)および0.5Lの水を室温で添加し、次に混合物を50℃に暖めた。フマル酸(0.97モル)、2%メチルエチルケトンで変性されたエタノール(1.4L)、アセトン(1.4L)および140mlの水の混合物を調製すると、溶液4を与えた。溶液4を50℃の温度で2時間にわたり反応混合物に添加した。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、室温に4時間冷却し、室温で1晩撹拌した。沈降物を回収し、次に、2%メチルエチルケトンで変性された1.4Lのエタノール、1.4Lの濃アセトンおよび140mlの水で洗浄した。沈降物を50℃で1晩乾燥すると,371g(0.7モル)の中間体(XIII)を与えた(収率73%)。
【実施例3】
【0192】
中間体(XVII)の調製
【0193】
【化19】
【0194】
4首フラスコ(2L)に中間体(XIII)(100g、191.0ミリモル)を充填した。水(3L/モル−ピュア限定試薬;573.0ml)および2−メチルテトラヒドロフラン(2.2L/モル−ピュア限定試薬;420.2ml)を添加した。撹拌後に、50%水酸化ナトリウム(2.5モル/モル−ピュア限定試薬;477.5ミリモル;25.13ml)を添加した。反応混合物を更に室温で40〜60分間撹拌し、その後反応物を静置した。上部有機層を回収し、水(2L/モル−ピュア限定試薬;382.0ml)で洗浄した。水(1.5L/モル−ピュア限定試薬;286.5ml)および水酸化ナトリウム(3モル/モル−ピュア限定試薬;573.0ミリモル;45.84g)を有機層に添加した。反応混合物を80℃に暖め、16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、下部の水層を回収した。イソプロピルアルコール(90ml;1.177モル)を添加し、混合物を氷浴中で10℃に冷却した。反応混合物を濃塩酸(5モル/モル−ピュア限定試薬;954.9モル;100.9g)でpH1に酸性化した(pH13.8:暗緑色溶液;pH7.5:オールドピンク溶液;pH4.7:ピンク溶液、白色沈殿物)。反応混合物を10℃で4時間撹拌した。白色沈殿物を濾取し、水で4回洗浄し、40℃で真空乾燥すると84gの中間体(XVII)を与えた(収率:97%)。
【実施例4】
【0195】
中間体(XVIII)の調製
【0196】
【化20】
【0197】
a)4首フラスコ(1L)に0.093モルの中間体(XVII)を充填し、そして220mlの酢酸エチルを添加した。反応混合物を撹拌し、5mlの水を添加すると溶液5を与えた。250mlのフラスコに0.122モルのN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)(130mlのエタノール中)を充填し、反応混合物を撹拌すると、溶液6を与えた。O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.123モル)を溶液5に添加し、添加漏斗を26mlの酢酸エチルで洗浄した。直後に200mlの溶液6を、溶液5を含んでなる反応混合物に1時間30分間にわたり添加した(反応混合物は90%の溶液6が添加された時に均一になり、次に所望の生成物が析出した)。反応混合物を室温で5時間撹拌した。沈殿物を濾取し、55mlの酢酸エチルで洗浄し、16時間、50℃で真空下乾燥すると、35.7g(0.07モル)の中間体(XVIII)を与えた(収率:71%)。
【0198】
b)4首フラスコ(1L)に0.073モルの中間体(XVIII)を窒素雰囲気下で充填した。N,N−ジメチル−アセトアミド(377ml)および377mlのメチルイソブチルケトンを添加し、混合物を70℃に暖めた。反応混合物を70℃で5時間撹拌し、次に1時間にわたり25℃に冷却し、次に25℃で更に1時間撹拌した。沈殿物を濾取し、次に、94mlのN,N−ジメチル−アセトアミドおよびメチルイソブチルケトンの混合物、次にスラーリー洗浄において150mlのメチルイソブチルケトンおよび次に交換洗浄において150mlのメチルイソブチルケトンで洗浄した。沈殿物を2日間50℃で真空乾燥すると33.4gの精製中間体(XVIII)を与えた(収率:89%)。
【実施例5】
【0199】
JNJ−26481585のHCl塩結晶形Iの調製
【0200】
【化21】
【0201】
a)不活性の4首フラスコ(0.5L)に0.03モルの精製中間体(XVIII)を充填した。エタノール(300ml)を添加した(典型的な水含量は0.07%(w/w)である)。反応混合物を撹拌し、57℃〜60℃に暖めた。30mgの中間体(XVIII)JNJ−26481585.HCl(30mg)形状Iを播種した。濃塩酸(0.05モル%)を57℃で反応混合物に添加し、反応混合物を16時間撹拌した。沈殿物を50℃で濾取し、20mlのエタノールで3回洗浄すると10gのJNJ−26481585.HCl塩結晶形Iを与えた。
【0202】
b)不活性4首フラスコ(50ml)に工程a)で得た2.6gのJNJ−26481585HCl塩結晶形Iを充填した。エタノール(20ml)を添加した。反応混合物を窒素下、暗所で撹拌し、50℃に暖めた。反応混合物を50℃で12時間撹拌し、40℃に1時間にわたり冷却し、濾過した。沈殿物を20mlのエタノールで1回、20mlのアセトンで2回洗浄した。次に生成物を50℃で16時間真空乾燥すると2g(80%)の精製JNJ−26481585HCl塩結晶形Iを生成した。
【実施例6】
【0203】
スラーリー法を使用する多形体IおよびIIの混合物の転化(transformation)
a)スラーリーの調製
約25mgの形状Iおよび約25mgの形状IIをバイアル中に秤量した。約0.2mlのエタノールを添加し、バイアルを封印した。3本のバイアルを調製し、各バイアルを異なる温度、4℃(冷蔵庫)、40℃および70℃で4日間保存した。
【0204】
これをエタノール/水(90/10、v/v%)中および水中のスラーリーにつき反復した。スラーリーを異なる温度で4日間および7日間保存した。保存後、バイアルを開放し、濾紙上に数mgのスラーリーを広げることにより試料を乾燥した。
【0205】
b)分析法(粉末XRD)
すべての得られた画分を、粉末XRDを使用して分析した。
【0206】
X線粉末回折(XPRD)分析を、ジェネレーターPW3040を備えたPhilipsX’PertPRO MPD回折計PW3050/60上で実施した。装置はCu LFF X線管PW3373/00を備えていた。化合物をゼロ背景の試料ホルダー上に広げた。
【0207】
装置のパラメーター
ジェネレーター電圧: 45kV
ジェネレーターアンペア: 40mA
構造: Bragg−Brentano
ステージ: スピナーステージ
【0208】
測定条件
走査モード: 連続
走査範囲: 3〜50°2θ
ステップサイズ: 0.01675°/ステップ
測定時間: 29.85秒/ステップ
スピナー回転時間: 1秒
放射線タイプ: CuKα
放射線波長: 1.54056Å
【0209】
入射ビーム経路 回折ビーム経路
プログラム.分散スリット:15mm 長い散乱防止シールド:+
ソラースリット: 0.04ラド ソラースリット 0.04ラド
ビームマスク: 15mm Niフィルター: +
散乱防止スリット: 1° 検出機: X’Celerator
ビームナイフ: +
【0210】
c)結果
エタノール中で4日および7日の保存後のスラーリー転化研究で得た結果を次の表Aにまとめた。
【0211】
【表1】
【0212】
溶媒和形のXRD像は水和物のXRD像に匹敵する。
【0213】
エタノール/水(90/10、v/v/%)中に4日および7日間の保存後のスラーリー転化研究で得た結果は以下の表Bにまとめる。
【0214】
【表2】
【0215】
水中で4日間の保存後のスラーリー転化研究で得た結果を次の表Cにまとめる。
【0216】
【表3】
【0217】
これらの水和物試料(以前の水中スラーリー)を異なる温度、40℃、50℃および70℃で0.1mlのエタノールとともに3日間保存した。
【0218】
40℃および50℃で3日間保存された水和物試料は水和物のままであった。
【0219】
70℃で3日間保存された水和物試料は完全に液化した(油)。
【実施例7】
【0220】
形状Iの安定性
a)化合物の情報
構造式:
【0221】
【化22】
【0222】
化学名:N−ヒドロキシ−2−[4−[[[(1−メチル−1H−インドル−3−イル)メチル]アミノ]メチル]−1−ピペリジニル]−5−ピリミジンカルボキシアミド・塩酸
分子式:C21H26N6O2.HCl
分子量:430.94
【0223】
b)吸着/脱着の研究
異なる条件の相対湿度における25℃の水の吸着および脱着を17mgの形状Iにつき研究した。
【0224】
相対湿度の関数としての重量変化を記録した。結果は図4に示された。
【0225】
形状Iの画分は高い相対湿度において0.6%までの水を吸着し、それは吸湿性動態を示さず、試験期間中、結晶質のままであった。
【0226】
c)溶解度
形状Iの水溶解度を、異なるpHをもつ溶媒中で測定した。過剰の溶質を24時間、20℃の溶媒と平衡させた。不溶解化合物を除去後、溶液中の濃度を、UV分光分析を使用して測定した。
【0227】
溶解度を次の表Dに記載した:
【0228】
【表4】
【0229】
d)結晶学的安定性
形状Iの結晶構造の安定性を<5%、56%および75%相対湿度(RH)下で室温で(RT)、50℃および40℃/75%RH下で、6週間の期間、開放条件で化合物を保存後に研究した。
【0230】
試料を熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、X線粉末回折(XPRD)および赤外線分光分析(IR)で分析した。
【0231】
試験結果を次の表Eに報告する。
【0232】
【表5】
【0233】
形状Iは溶融分解し、従って融解熱は報告されなかった。
【0234】
形状Iは結晶学的に安定である。
【0235】
異なる条件下での保存後に変化を認めない。
【0236】
IRスペクトル、XRD像およびDSC曲線は保存前後に同様であった。
【0237】
e)化学的安定性
形状Iを1、4および8週の期間、異なる開放条件で保存した。これらの条件は40℃/75%RH、50℃、RT/<5%RH、RT/56%RH、RT/75%RHおよび0.3da ICH光線である。
【0238】
化合物を保存後、HPLCおよび視覚的観察により分析した。
【0239】
試験の結果を次の表Fに報告した。
【0240】
【表6】
【0241】
不純物の合計が0.3daICH光線条件下で保存後に増加したので、形状Iは光線に対する感受性を示した。
【実施例8】
【0242】
形状IIの安定性
a)化合物の情報
構造式:
【0243】
【化23】
【0244】
化学名:N−ヒドロキシ−2−[4−[[[(1−メチル−1H−インドル−3−イル)メチル]アミノ]メチル]−1−ピペリジニル]−5−ピリミジンカルボキシアミド・塩酸
分子式:C21H26N6O2.HCl
分子量:430.94
【0245】
b)吸着/脱着の研究
異なる条件の相対湿度における25℃の水の吸着および脱着を約24mgの形状IIにつき研究した。
【0246】
相対湿度の関数としての重量変化を記録した。結果は図9に示された。
【0247】
最初の乾燥工程中に、形状IIに対して1.67%の重量喪失が記録される。得られた乾燥生成物は吸湿性であった。それは高い相対湿度において9.6%までの水を吸着した。生成物は脱着周期中に完全に乾燥し、試験期間中結晶質のままであった。
【0248】
c)結晶学的安定性
形状IIの結晶構造の安定性を<5%、56%および75%相対湿度(RH)下室温で(
RT)、50℃および40℃/75%RHで、6週間にわたり、開放条件で化合物を保存後に研究した。
【0249】
試料を熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、X線粉末回折(XPRD)および赤外線分光分析(IR)で分析した。
【0250】
試験結果を次の表Gに報告した。
【0251】
【表7】
【0252】
形状IIは溶融分解し、従って融解熱は報告されなかった。DSC曲線の超発熱信号は溶媒の蒸発によるものであった。
【0253】
形状IIは結晶学的に安定ではない。異なる湿度条件下での保存後に変化を認める。IRスペクトルおよびXRD像はRT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RH条件下で保存後、出発材料と異なる。
【0254】
RT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RH条件下で保存後の変化は水の取り込みによるものであった。
【0255】
d)化学的安定性
形状IIを1、4および8週の期間、異なる開放条件下で保存した。これらの条件は40℃/75%RH、50℃、RT/<5%RH、RT/56%RH、RT/75%RHおよび0.3da ICH光線であった。保存後、化合物をHPLCおよび視覚的観察により分析した。
【0256】
試験の結果を次の表Hに報告する。
【0257】
【表8】
【0258】
R425754の化学安定性の研究は以下の観察をもたらした:
R425754は0.3daICH光線条件での保存後に不純物の合計が増加するので、光線に対する感受性を示した。
【0259】
更に、0.3daICH光線における保存後に白色から橙褐色へ、そして湿度条件RT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RHおよび高温50℃における保存後に白色からピンクへの変色が認められる。
【技術分野】
【0001】
本発明はヒストン・デアセチラーゼのインヒビター、JNJ−26481585のモノ−HCl塩およびモノ−HCl塩水和物の新規結晶形に関する。発明はまた、これらの結晶形の製法、これらの方法で使用される中間体、これらの結晶形を含んでなる製薬学的組成物並びに、例えば、癌および白血病のような増殖性状態を抑制するための医薬としての医学的処置におけるこれらの結晶形の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の製薬学的固形物は異なる物理的形状で、例えば、非晶質形で、1種または複数の結晶形(例えば無水形または溶媒和形)で、異なる結晶形の混合物の形状で、あるいは非晶質形および1種または複数の結晶形の混合物として存在することができる。
【0003】
非晶質形は三次元の長領域の秩序が存在しない形状である。非晶質形においては、相互に対する分子の位置が本質的にランダムであり、すなわち格子構造上に分子の秩序ある配列がない。非晶質で、不規則な物質はしばしば、改善された特性を有するが、この状態を形成し、安定化することは大きな課題である可能性がある。
【0004】
結晶または結晶形は、相互に対する分子の位置が三次元格子構造に従って組織されている形状である。結晶形は典型的には多形相および擬似多形相を含む。多形相は固態における分子の異なる配列から生成される同一化合物の異なる結晶形である。異なる多形相は格子中の分子の異なる充填のために、異なる結晶構造を有する。これが、異なる、結晶の対称性および/または単位セルパラメーターをもたらす。多形相はそれらの物理化学的パラメーターにおいて相互に異なるが、それらの化学組成は異ならない。多形相は通常、制御が困難で、生薬学者に課題を突き付ける。溶媒和物とも呼ばれる擬似多形相は、化学量論的量または非化学量論的量いずれかの溶媒分子が化合物の格子構造中に存在するかまたはその中に取り込まれている固態の結晶形の特定の事例である。水の溶媒和物はまた水和物とも呼ばれる。
【0005】
固態化学は製薬学的産業、そして特に適切な剤形の開発の関連者に興味深い。例えば、固態の転化は医薬の安定性(棚寿命)に重要な影響を与える可能性がある。不安定な製薬学的固態は、環境条件、加工または経時の変化に対して、結晶質構造(例えば非晶質から結晶質に)または溶媒和物/脱溶媒物に変化することができる。
【0006】
同一薬剤の異なる結晶形または非晶質形は、溶解速度、熱力学的溶解度および生物学的利用能のような製薬学的に重要な特性の実質的な相異を有することができる。患者の胃液中の有効成分の溶解速度は、経口投与された有効成分が患者の血流に到達することができる速度に上限を与えるために、治療的結果を有する可能性がある。従って、溶解速度は固形の剤形並びにシロップおよびエリキシルのような液体医薬を調合する際の考慮対象である。
【0007】
同様に、異なる結晶形または非結晶形は、市販品製造のための有効医薬としてのそれらの適性に影響する可能性がある、吸湿性、流動性、成形性、等のような異なる加工特性を有する可能性がある。
【0008】
多形相が恒常的に維持されない場合は、製薬学的薬剤の臨床開発期間中に、使用または研究される正確な剤形が相互のロットで比較可能でないかも知れない。更に、存在する不純物が望ましくない毒性学的効果をもたらすかも知れないために、化合物が臨床研究また
は市販製品中に使用される時は、高い純度で選択された多形相形を含む化合物を生成する方法を見いだすことが所望される。特定の多形相形は、高い熱力学的安定性を示すかまたは大量を高純度で、より容易に製造することができ、そして従って、製薬学的調合物中への包含のためにより適切である。
【0009】
JNJ−26481585は以下の構造:
【0010】
【化1】
【0011】
を有する。
【0012】
該化合物はヒストン・デアセチラーゼ(HDAC)のインヒビターである。
【0013】
2006年2月2日に公開された特許文献1は、JNJ−26481585.C2HF3O2塩およびジ−HCl塩の非晶質形並びにそれらを得る方法を開示している(特許文献1参照)。
【0014】
特許文献2に最初に記載されたJNJ−26481585.C2HF3O2塩の合成はスキーム1に示されている(特許文献2参照)。
【0015】
その中の、工程1において、式(III)の中間体は、メタノール中でナトリウムテトラヒドロボレートの存在下で、式(II)のカルボキシアルデヒドと式(I)の中間体を反応させることにより調製された。
【0016】
工程2において、式(IV)の中間体は、エタノール中で水酸化ナトリウムと式(III)の中間体を反応させることにより調製された。
【0017】
工程3において、式(V)の中間体は、N’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBT)のような適当な試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(IV)の中間体を反応させることにより調製された。反応はジクロロメタンおよびテタラヒドロフランの混合物中で実施された。
【0018】
工程4において、式(VI)のヒドロキサム酸C2HF3O2塩は、トリフルオロ酢酸と式(V)の中間体を反応させることにより調製された。該反応はメタノール中で実施された。
【0019】
【化2】
【0020】
あるいはまた、特許文献2に最初に記載されたJNJ−26481585.2HCl塩は、水酸化ナトリウムの存在下で、ヒドロキシルアミンと式(III)の中間体を反応させることにより調製された(特許文献2参照)。該反応はメタノール中で実施され、ジ−HCl塩への更なる転化物はエタノール中で調製された。
【0021】
特許文献1に開示された方法は、結果的に幾つかのクロマトグラフィー工程を要する異なる処理工程における低い収量および大量の不純物の結果として、大量生産に不適当である(特許文献2参照)。クロマトグラフィーを使用する化合物の精製は、溶媒消費および、大規模クロマトグラフィーを実施するために要する特別の装置のために、高価で、環境に不適切である。
【0022】
本発明により解決される課題は、JNJ−26481585のモノ−HCl塩およびモノ−HCl塩水和物の新規結晶形の提供である。本発明の他の態様は、新規結晶質HCl塩およびHCl塩水和物形が高い収率および高い純度で得られる方法である。本HCl形の有利な特性は、本化合物の薬物製造を可能にするその非吸湿性および化学安定性を含む優れた物理化学的特性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】国際公開出願第2006/010750号パンフレット
【特許文献2】国際公開出願第97/21701号パンフレット
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】形状Iの赤外線(IR)スペクトルの表示である。
【図2】形状IのX線粉末回折(XPRD)像の表示である。
【図3】形状Iの示差走査熱量測定(DSC)曲線である。
【図4】相対湿度の関数としての形状Iの重量変化である。
【図5】形状Iの吸着−脱着(ADS/DES)曲線の表示である。
【図6】形状IIのIRスペクトルの表示である。
【図7】形状IIのXPRD像の表示である。
【図8】形状IIのDSC曲線である。
【図9】相対湿度の関数としての形状IIの重量変化である。
【図10】形状IIのADS/DES曲線の表示である。
【図11】水和物形のIRスペクトルの表示である。
【図12】水和物形のXPRD像の表示である。
【図13】異なる温度におけるエタノール中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図14】異なる温度におけるエタノール/水(90/10、v/v%)中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図15】異なる温度における水中の形状Iおよび形状IIのスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【図16】異なる温度におけるエタノール中の水和物のスラーリー転化研究のXPRD像のオーバーレイである。
【発明の概要】
【0025】
中間体の調製
A.式(I)の中間体の調製
【0026】
【化3】
【0027】
a)式(XI)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素溶媒、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロフラン等のような適切な溶媒の存在下で、式(X)の中間体と式(IX)の中間体を反応させることにより調製することができる。他の芳香族または脂肪族アルデヒドを工程に使用することができる。この反応はまた、プロトン溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等中で実施することができる。反応は25℃〜60℃の間の温度で、好ましくは45℃の温度で実施することができる。式(X)の中間体の可能な不安定性のために、更なる高温は推奨されない。
【0028】
【化4】
【0029】
b)式(VIII)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、エチルアセテート、テトラヒドロ
フラン等のような適切な溶媒中で、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)のような適切な酸化剤の存在下で、式(VII)の中間体を転化することにより調製することができる。反応は−20℃〜40℃の間の温度、好ましくは0℃〜5℃の間の温度、より好ましくは0℃で実施することができる。更に高温では、メタ−クロロペルオキシ安息香酸が不安定で、式(VIII)の中間体が分解する可能性がある。中間体(VIII)への中間体(VII)の完全な転化は適量のMCPBAの添加により得ることができる。従ってMCPBAの量は好ましくは>1当量である。
【0030】
【化5】
【0031】
c)式(I)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒またはそれらの混合物、例えばトルエン、メチレンクロリド、イソプロピルアセテート、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエチルアミンもしくは他の第三級アミン塩基およびエチルアセテートの混合物等のような適切な溶媒の存在下で、式(XI)の中間体と式(VIII)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は−20℃〜40℃の間の温度、好ましくは0℃〜5℃の間の温度、より好ましくは0℃で、25℃まで暖めながら実施することができる。
【0032】
【化6】
【0033】
式(XI)の中間体の形成を伴う式(X)のp−ニトロベンズアルデヒドによる式(IX)のアミノピペリジンの一時的保護を伴う本合成は、より多数の置換された環窒素の優先的反応を許す。この保護が実施されないと、式(IX)の中間体の双方の窒素が式(VIII)の中間体と反応するので、大量の二量体(A)および異性体(B)が形成される。反応混合物を1晩暖めると、式(XI)の中間体の、式(I)の中間体への完全な反応、および式(IX)のあらゆる残りの中間体の二量体(A)への完全な転化を確保し、その二量体は残りのMCPBAと一緒に、次の酸処理において容易に除去することができる。
【0034】
【化7】
【0035】
本発明の1つの実施態様は式(XI)の中間体を含んでなる。
【0036】
B.式(VIII)の中間体の調製
【0037】
【化8】
【0038】
a)式(XII)の中間体は、適切な溶媒中で式(II)の中間体と式(I)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は50℃〜150℃の間の温度、好ましくは110℃の温度(トルエンの還流温度)で実施することができる。この反応を進行させるためには水の共沸除去が必要である。溶媒としては、トルエン、イソプロピルアセテート等のような、極性または非極性の非プロトンの炭化水素の溶媒を使用することができる。これらの溶媒は水と十分に共沸する。
【0039】
【化9】
【0040】
b)式(XII)の中間体は、極性または非極性の非プロトン炭化水素の溶媒およびそれらの混合物、例えばトルエン、イソプロピルアセテート、エタノール、メタノール、イソプロパノール等のような適切な溶媒中で、ナトリウムテトラヒドロボレートで処理される。ナトリウムテトラヒドロボレートによる還元は0℃〜50℃の間で、好ましくは10℃で起ることができる。還元中の低温は、過剰還元された不純物の形成を回避するために好ましい。
c)次に、5%v/vの水を含むアセトン/エタノールの混合物中でフマル酸により塩形成が実施され、式(XIII)の中間体の形成を伴う。
【0041】
【化10】
【0042】
本発明の1つの実施態様は式(XIII)のフマル酸塩を含んでなる。
【0043】
C.式(XVIII)の中間体の調製
JNJ−26481585の製造のためのより良い合成法を見いだす第1の試みにおいて、式(III)の中間体を、塩基および溶媒の存在下で、しかしカップリング試薬の不在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと反応させた。この試みは成功しなかった。
【0044】
第2の試みにおいて、同時の脱保護−塩形成を実施するために、酸不安定な保護基でアミノおよびヒドロキサム酸部分を保護することを試みた。
【0045】
従って、式(XIII)の中間体は遊離塩基に転化されて、式(III)の中間体を与え、そして更にそのRが第三級ブチル、ベンジルまたはフルベネイルである式(XIV)の中間体に転化させ、次にエタノール中のNaOHで加水分解し、そして酸性化および反応混合物から直接の結晶化により式(XV)の中間体を単離した。
【0046】
【化11】
【0047】
標準のアミノ酸カップリング条件(EDC、HOBT、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン)下でのO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンとの式(XV)の中間体のカップリングは優れた収率で式(XVI)の中間体を与えた。Rがフルベニルである式(XV)の中間体のためのカップリング反応は、最適なカップリングのために必要なトリエチルアミンのために、フルベニル−基の幾らかの開裂を引き起こした。
【0048】
【化12】
【0049】
そのRが第三級ブチルである式(XVI)の中間体を脱保護する試みを、種々の条件(溶媒:エタノール、エチルアセテート、トルエン、アセトン、メチルイソオブチルケトン、ジメチルホルムアミド;酸:エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸)下で実施した。不幸なことには、外気温(2〜3時間)または50℃(10分)のいずれにおいても、観察された唯一の生成物はインドール部分の開裂からの生成物であった。
【0050】
そのRがベンジルである式(XVI)の中間体の水素化分解を、水素雰囲気下で、そして、例えば木炭上パラジウムのような適切な触媒の存在下で試み、ヒドロキサム酸生成物上のN−O結合の競合的開裂(20%まで)により不成功と判定された。他方、緩和な条件下での、本明細書で式(XVI−a)の中間体と呼ばれる、そのRがフルベニルである式(XVI)の中間体のフルベニル基の開裂および、チオールシリカゲルを使用することによりフルベン副産物を捕捉する工程は成功であった。以下に説明されるように、式(V)の対応する遊離アミンは同様な条件(1.05当量の塩酸、エタノール、70℃)下で式(XIX)の化合物を与えることができる。
【0051】
【化13】
【0052】
a)最後に、中間体(XIII)の遊離塩基は、水酸化ナトリウム水溶液の中和および、メチルテトラヒドロフラン中の抽出により得ることができる。次に遊離塩基含有有機層を還流における3モル当量の水酸化ナトリウム水溶液による塩基性加水分解にかける。次に水層中のナトリウム塩をメチルテトラヒドロフラン層から分離し、10℃で5モル当量のHClで酸性化する。
【0053】
式(XVII)の中間体はばらつく水分を含むことができる。乾燥直後の水分含量は0.7%である。試料を外気中に24時間放置すると、水分含量は2モルの水分を表す8%水分に増加し、安定した。
【0054】
【化14】
【0055】
b)以下のカップリング反応が成功するためには特定量の水分を要するために、中間体(XVII)の水分の効果は重要である。中間体(XVII)中の水分量は好ましくは15〜25v/v%の間、もっとも好ましくは約16v/v%である。
【0056】
式(XVIII)の中間体は、カップリング剤としてのN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)のような適切な試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(XVII)の中間体を反応させることにより調製することができる。反応は、極性または非極性の非プロトンおよびプロトン炭化水素の溶媒およびそれらの混合物、例えばメチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、トルエン、イソプロパノール、エタノール、アセトニトリル、エチルアセテート、イソプロパノールアセテート、それらの混合物および1種以上の異なる溶媒の水との混合物、好ましくはエチルアセテートおよびエタノールの混合物、より好ましくはエチルアセテート、エタノールおよび水の混合物中で実施することができる。反応中の温度は10℃〜40℃の間、好ましくは室温であることができる。
【0057】
【化15】
【0058】
十分な水分が存在する時は、反応は急速で完全である。乾燥状態下では反応はより遅く、より大量の不純物が存在し、生成物に向かう反応速度が低下する。
c)式(XVIII)をもつ中間体は、ジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、好ましくはジメチルアセトアミドのような溶媒に溶解することができる。共溶媒の添加は生成物を晶出させる。アセトン、メチルイソブチルケトンまたはメチルエチルケトン、好ましくはメチルイソブチルケトンのような共溶媒を使用することができる。精製は25℃〜90℃の間、好ましくは50℃〜70℃の間の温度で実施することができる。晶出時間は5時間を超えてはならない。より高温またはより長い晶出期間においては、最終生成物の収量は低下する。再結晶は50℃〜70℃の間、好ましくは70℃の温度でメチルエチルケトンのような共溶媒の存在下でエタノールのような溶媒中で実施することができる。
【0059】
本発明の1つの実施態様は式(XVII)および(XVIII)の塩酸塩を含んでなる。
【0060】
結晶形の調製
式(XVIII)の中間体は、反応混合物が所望の温度にある間に、エタノールまたはメ
タノールのような適切な溶媒中に塩酸を添加することにより、式(XIX)のHCl塩に転化させることができる。
【0061】
【化16】
【0062】
本発明は以下の工程を含んでなる結晶質モノ−HCl塩形状Iを調製するための方法を提供する:
a)50℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃の間に溶媒を加熱しながら、0.1%w/w未満の水分を含むアルコール溶媒中に式(XVIII)の化合物を溶解し、
b)反応混合物に塩酸を添加し、そして
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、より好ましくは55℃の温度を維持しながら反応混合物を撹拌する。
【0063】
1つの実施態様において、形状Iを調製するための前項に記載の方法は10.3〜20.6L/モルの間の濃度、好ましくは10.3L/モル濃度のエタノールまたはメタノールを添加する工程を含んでなる。
【0064】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前項に記載の方法は、工程a)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットに化合物を溶解する工程、を含んでなる。
【0065】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程b)において、0.05〜0.4当量の濃度、好ましくは0.05〜1.1当量の間の濃度、好ましくは0.05〜0.4当量の間の濃HClの濃度で塩酸を添加する工程、を含んでなる。
【0066】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の項1〜3に記載の方法は、工程b)において、0.03〜0.07当量の濃度、好ましくは0.03〜0.05当量の間のHCl(1モル)の濃度の塩酸を添加する工程、を含んでなる。
【0067】
他の実施態様において、形状Iを調製するための1〜3項に記載の方法は、工程b)において、イソプロパノール中に0.03〜0.05当量のHClの濃度の塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0068】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットで化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0069】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜16時間の間、好ましくは16時間、混合物を撹拌する工程を含んでなる。
【0070】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、水和物形を調製する方法を提供する:
a)50℃〜70℃、好ましくは50℃〜60℃の間に溶媒を加熱しながら、5%を超える水分を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に式(XVIII)の化
合物を溶解し、
b)反応混合物に塩酸を添加し、そして
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、より好ましくは55℃に温度を維持しながら、反応混合物を撹拌する。
【0071】
1つの実施態様において、水和物形を調製するための前項に記載の方法は、10.3〜20.6L/モルの間の濃度、好ましくは10.3L/モルの濃度のエタノールまたはメタノールを添加する工程を含んでなる。
【0072】
1つの実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程a)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットに化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0073】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程b)において、0.05〜0.4当量の濃HClの濃度、好ましくは0.05〜1.1当量の間の濃度、好ましくは0.05〜0.4当量の間の濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0074】
他の実施態様において、水和物形を調製するための項1〜3に記載の方法は、工程b)において、0.03〜0.07当量のHCl(1モル)の濃度、好ましくは0.03〜0.05当量の間の濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0075】
他の実施態様において、水和物形を調製するための項1〜3に記載の方法は、工程b)において、イソプロパノール中0.03〜0.05当量のHClの濃度で塩酸を添加する工程を含んでなる。
【0076】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜3時間のタイムスロット、好ましくは30分〜45分のタイムスロットで、化合物を溶解する工程を含んでなる。
【0077】
他の実施態様において、水和物形を調製するための前記の方法は、工程c)において、30分〜16時間の間、好ましくは16時間、混合物を撹拌する工程を含んでなる。
【0078】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、形状Iを調製するためのスラーリー化法を提供する:
−少なくとも50℃、好ましくは70℃以上の温度でエタノールまたはメタノールから選択される溶媒中に形状IIをスラーリー化する、または
−少なくとも50℃、好ましくは70℃以上の温度でエタノールまたはメタノールから選択される溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する。
【0079】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記のスラーリー化法は、10%の水、好ましくは<2%の水、もっとも好ましくは<0.07%の水を含んでなることができる。
【0080】
他の実施態様において、形状Iを調製するための前記のスラーリー化法は更に、少なくとも4〜7日間撹拌する工程を含んでなる。
【0081】
本発明は更に、以下の工程を含んでなる、水和物形を調製するためのスラーリー化法を提供する:
−少なくとも10%の水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に形状IIをスラーリー化する、
−少なくとも10%の水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する、
−少なくとも90%の水を含んでなる水性溶媒に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化する。
【0082】
他の実施態様において、水和物形を調製するためのスラーリー化法は更に、4〜7日間撹拌する工程を含んでなる。
【0083】
他の実施態様において、形状Iを調製するための方法は更に、アルコール溶媒中に形状IIをスラーリー化後、または前記のような溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化後に得られる沈殿物を濾取する工程を含んでなる。
【0084】
他の実施態様において、形状Iを調製するためのスラーリー化法は更に、前記の濾取工程後、アルコール溶媒中に形状IIをスラーリー化後、または前記のような溶媒中に形状Iおよび形状IIの混合物をスラーリー化後に得られる濾取沈殿物を洗浄する工程を含んでなり、ここで該洗浄工程がスラーリー工程中に使用されたものと同一の溶媒で実施される。
【0085】
式(XVIII)の化合物の溶液から進行する本発明のいずれかの形状の調製のためには、出発材料の固態が最終生成物の固態に影響をもたず、そして生成される固態の制御が、工程パラメーターの制御により実施されることは当業者により認められなければならない。
【0086】
本発明はまた、工程a)およびb)の間に、形状Iを混合物に播種する工程を含んでなる、形状Iを調製する前記の方法を提供する。
【0087】
本発明はまた、工程a)およびb)の間に、形状Iを混合物に播種する工程を含んでなる、水和物形を調製する前記の方法を提供する。
【0088】
発明はまた、得られる結晶形が、場合により洗浄および乾燥と組み合わせた、濾過または遠心分離により単離される方法を提供する。
【0089】
本発明の方法に使用される出発材料は、式(XVIII)の化合物のあらゆる結晶形であってよい。
【0090】
「本発明の化合物」の用語により、式(XI)、(XIII)、(XVII)、(XVIII)または(XIX)の化合物を意味する。
【0091】
1つの実施態様において、本発明の結晶形の調製に使用される溶媒は、製薬学的に許容され得る溶媒である。他の実施態様においては、本発明の結晶形の調製に使用される溶媒は、それらがまた、製薬学的に許容され得る多形体の調製にそれらの使用を見いだすことができるために、製薬学的に許容され得ない溶媒である。
【0092】
本発明の結晶形の生成法は典型的には、溶媒中の式(XIX)の化合物の溶液または分散物から、あるいは式(XIX)の化合物をスラーリー化する工程から、結晶質固体材料を得る工程を含む。
【0093】
当業者は、結晶化に拘る条件は、結晶化工程を改善する、または沈殿を誘発するために、そして得られる多形体の形状に影響を与えずに修飾することができることを認めるであろう。これらの条件は、式(XVIII)または(XIX)の化合物の溶液、分散物またはスラーリーおよび1種または複数の溶媒を所望の濃度にもたらす工程、前記の溶液、分散
物またはスラーリーを所望の温度にもたらす工程、所望の濃度の塩酸を添加する工程、結晶種を添加する工程、あらゆる適切な圧力をかける工程、あらゆる望ましくない物質または不純物を除去および/または分離する工程、そのような状態が所望される場合は、形成された結晶を乾燥して固態の多形体を得る工程、を含むことができる。
【0094】
沈殿を誘発する好ましい方法は発明の化合物の溶解度を低下させることである。化合物の溶解度は例えば、抗溶媒物質(antisolvent)を添加することにより低下させることができる。
【0095】
本発明の化合物の溶液、分散物またはスラーリーおよび溶媒を所望の濃度にもたらす工程は、必ずしも発明の化合物の濃度の増加を意味しない。特定の例においては、発明の化合物の濃度の減少または不変が好ましい可能性がある。所望の濃度を得るために使用される方法は、当該技術分野で一般的なもの、例えば、大気蒸留、真空蒸留、分別蒸留、共沸蒸留、フィルム蒸発による蒸発、加熱、冷却、当該技術分野で周知の他の方法およびそれらの組み合わせ物である。所望の濃度を得るための場合により使用される方法はまた、例えば十分量の非溶媒を溶液に添加して、飽和点に到達させることにより、発明の化合物および溶媒の溶液の飽和を伴う可能性がある。溶液を飽和するための他の適切な方法は、例えば、溶液への発明の更なる化合物の導入、および/または溶液からの溶媒の一部の蒸発を含む。本明細書で言及される飽和溶液は、それらの飽和点の、またはそれらの飽和点を超える、すなわち超飽和の溶液を含む。近飽和(nearly saturated)溶液は、飽和に近いがそれらの飽和点には到達していない溶液を意味する。
【0096】
本発明の結晶化法を改善する、とりわけ結晶化を促進する方法は、生成物の結晶を播種する工程、またはガラス棒で結晶化容器の内面を引っ掻く工程による方法である。他の場合には、結晶化は何の誘発も伴わずに自然に起ることができる。本発明は、式(XIX)の化合物の特定の形状の結晶化が自然に起るか、あるいは、そのような誘発または加速が特定の形状を得るために決定的(critical)でない限り、誘発または加速される、双方の実施態様を含む。
【0097】
用語「播種」は結晶化を容易にするための結晶質物質の添加を意味する。用語「結晶種」は式(XIX)の化合物の以前に得られた結晶形の粉末を意味する。形状Iを調製するために有用であることができる本発明の特定の結晶種または播種物質は以下である:
−化合物(XIX)および式(XVIII)の化合物の形状Iの混合物の結晶種
−形状Iの結晶種、または
−形状IIの結晶種。
【0098】
前記溶液、分散物またはスラーリーを所望の温度にもたらす工程により、加熱、冷却または外気温に放置する行為が理解されるであろう。溶液、分散物またはスラーリーを暖める工程は、発明の化合物を完全に溶解するために必要かも知れない。
【0099】
あらゆる望ましくない物質または不純物を除去および/または分離する工程は、精製、濾過、洗浄、沈殿または同様な方法により実施することができる。例えば分離は、知られた固体−液体分離法により実施することができる。当業者に知られた濾過法も本方法に使用することができる。他の方法のなかでは、濾過は溶液、分散物またはスラーリーを紙、焼結ガラスフィルターまたは他の膜材料を通過させる工程により、遠心分離により、あるいはブッフナー型フィルター、ローゼンムントフィルターまたはプレート、あるいはフレームプレスを使用して実施することができる。生成される多形体形の純度を増加するためには、好ましくは、インラインの濾過または安全濾過を、前記の方法中に有利に挿入することができる。問題の結晶から不純物を分離するためには、更に、シリカゲル、Celite(R)、Arbocel(R)、ジカライトジアトマイト、等のような濾過物質も使
用することができる。
【0100】
得られる結晶はまた、乾燥することができ、そして2種以上の結晶化工程が適用される場合は、このような乾燥法は、場合により異なる結晶化工程で使用することができる。乾燥法は、加熱、真空を適用、空気または気体を循環、乾燥剤を添加、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発、等、またはそれらのあらゆる組み合わせのような当業者に知られたすべての方法を含む。
【0101】
式(XIX)の化合物の多形体の結晶化法は、方法の多数の組み合わせ物およびそれらの改変物を含むことができる。従って、そして例えば、式(XIX)の化合物の多形体の結晶化は、溶媒中で、適切な温度において式(XIX)の化合物を溶解、分散またはスラーリー化させ、それにより該溶媒の一部が蒸発して、該溶液、分散物またはスラーリー中の式(XIX)の化合物の濃度を増加する工程、前記混合物を冷却する工程、並びに、場合により、生成された式(XIX)の化合物の結晶を洗浄および/または濾過および乾燥する工程により実施することができる。場合により、式(XIX)の化合物の多形体は、溶媒中に式(XIX)の化合物を溶解し、分散し、またはスラーリー化し、該溶液、分散物またはスラーリーを冷却し、そして次に、得られる多形体を濾過、乾燥することにより調製することができる。式(XIX)の化合物の結晶形の調製の他の例は、溶媒中に式(XIX)の化合物を飽和させ、そして場合により得られる結晶を濾過、洗浄および乾燥することにより得られる。
【0102】
結晶形成はまた、1種を超える結晶化法を伴うことができる。特定の例において、生成される結晶形の質を高めるためのような異なる理由で、1、2またはそれを超える余分な結晶化工程を有利に実施することができる。
【0103】
溶媒中に発明の化合物を溶解、分散またはスラーリー化することにより、懸濁物、スラーリーまたは混合物のような異なる度合いの分散物を得ることができ、あるいは好ましくは均一な単相溶液を得ることができる。用語「懸濁物」は、液体または分散媒質、通常溶媒中に分散された(懸濁された)、非晶質形、結晶形またはそれらの混合物の微細に粉砕された固体よりなるに二相系を表す。用語「スラーリー」は、その中で固体がごく僅かに可溶性(または不溶性)の液体中に、一定量の粉末が混合される時に形成される懸濁物を表す。「スラーリー化する」はスラーリーを製造することを表す。
【0104】
溶媒は場合により、添加剤、例えば1種または複数の分散剤、界面活性剤または他の添加剤、あるいは、結晶質懸濁物の調製に通常使用され、そして文献にしばしば記載される(well documented)種類のそれらの混合物を含むことができる。添加剤は滑らかさ(leniency)を増加し、表面積を減少させることにより、結晶の形状を修飾する際に有利に使用することができる。
【0105】
固体を含む溶媒は、場合により有機化合物に所望の粒度を生成するために、特定の期間撹拌するあるいは、例えば、高剪断ミキサーまたはホモジナーザーまたはこれらの組み合わせ物を使用して激しく撹拌することができる。
【0106】
更に、生成物の結晶化工程の再現性、粒度分配および形状を改善するために、沈殿温度の制御および播種を使用することができる。従って、結晶化は式(XIX)の化合物の結晶を播種せずに、または好ましくは、播種により溶液中に導入される式(XIX)の化合物の結晶の存在下で実施することができる。播種はまた、種々の温度で数回実施することができる。種材料の量は実験規模に左右され、当業者により容易に決定することができる。播種材料の量は典型的には、反応から期待される結晶質物質の量の約0.1〜1重量%である。
【0107】
各結晶化工程における結晶化時間は、適用条件、使用される方法および/または使用される溶媒に左右されるであろう。
【0108】
所望の、均一な粒度を得るために、結晶転化後に大型粒子または粒子の凝集体を破壊する工程を更に実施することができる。従って、式(XIX)の化合物の多形体形の結晶、粉末凝集体および粗い粉末は場合により、転化経過後に粉砕され、分粒されることができる。粉砕または微粉砕は、粉末の粒度縮小のための当該技術分野で周知の方法および装置を使用して、大型粒子または粒子の凝集物を物理的に破壊する工程を表す。生成される粒度はミリメーター〜ナノメーターにわたり、すなわちナノ結晶、ミクロ結晶を生成することができる。
【0109】
微粉砕または粉砕に好ましい装置は、狭い粒度分布の小粒度の粒子を生成するその能力のために、流体エネルギーミルまたは微粉砕装置である。微粉砕装置は粒子を粉砕するために急速に移動する流体流中に懸濁された粒子間の衝突の運動エネルギーを使用する。エアジェットは好ましい流体エネルギーミルである。懸濁された粒子が再循環粒子流中に圧力下で注入れる。小型粒子が空中をミルの内部に運ばれ、サイクロンのような特定の粒度分類装置に接続された排出口に吐き出される。当業者は、幾らかの結晶形は粒度縮小期間に他の形状への転化を受けるかも知れないことを認めるであろう。
【0110】
結晶形の特徴
本発明は、更に、それが結晶形にあることを特徴とする、固態の式(XIX)のモノ−HCl塩を提供する。1つの実施態様において、発明は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される式(XIX)の化合物の結晶形を提供する。これらの形状は実質的に不純物を含まない。適切にはこれらの形状は10%以下の不純物を含み、より適切には、それらは5%以下の不純物を含み、更により適切にはそれらは1%以下の不純物を含む。多形体の純度はXPRDにより試験することができ、多形体の純度を計算するためにピーク下の面積が使用される。これらの形状は本質的に純粋である。用語「本質的に純粋」は、90%を超えて純粋、適切には95%を超えて純粋、より適切には97%を超えて純粋、もっとも適切には99%を超えて純粋であることを意味する。
【0111】
本発明は更に、その結晶形が形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物を提供する。
【0112】
1つの実施態様において、式(XIX)の化合物の形状Iおよび形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0113】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の形状Iおよび水和物形を含んでなる混合物が提供される。
【0114】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の水和物形および形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0115】
他の実施態様において、式(XIX)の化合物の形状I、水和物形および形状IIを含んでなる混合物が提供される。
【0116】
本発明は更に、その結晶形が形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、式(XIX)の化合物の1種または複数の結晶形および、式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を提供する。
【0117】
形状I、形状IIおよび水和物形の特徴的XPRD強度ピークの位置は2度−シータに与えられる。
【0118】
化合物(XIX)の形状Iは2−シータ位置15.1°±0.2°、17.2°±0.2°、23.4°±0.2°、24.4°±0.2°および27.7°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。形状Iは更に、2−シータ位置7.6°±0.2°、12.0°±0.2°および12.5°±0.2°におけるX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0119】
化合物(XIX)の形状IIは2−シータ位の10.8°±0.2°、13.7°±0.2°、17.8°±0.2°および26.7°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。形状IIは更に、2−シータ位の7.4°±0.2°および22.9°±0.2°におけるX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0120】
化合物(XIX)の水和物形は2−シータ位10.0°±0.2°、13.4°±0.2°および26.5°±0.2°における典型的な回折ピークにより特徴付けられる。水和物は更に、2−シータ位置21.6°±0.2°および24.9°±0.2°のX線粉末回折ピークにより特徴付けられる。
【0121】
形状IのX線粉末回折像(XPRD)は実質的に図2に示される。形状IIのX線粉末回折像は実質的に図7に示される。水和物形のX線粉末回折像は実質的に図12に示される。
【0122】
すべての形状のXPRDデータおよび像の表示はジェネレーターPW3040を伴うPhilips X’PertPRO MPD回折計PW3050/60を使用して得た。装置はCu LFF X線管PW3373/00を備えていた。分析される化合物はゼロ背景の試料ホルダー上に広げた。装置のパラメーターは以下である:
−ジェネレーター電圧: 45kV
−ジェネレーターアンペア: 40mA
−構造: Bragg−Brentano
−ステージ: スピナーステージ(spinner stage)。
【0123】
形状I、IIおよび水和物形の走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、29.845秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0124】
形状Iおよび形状IIの走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、29.845秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0125】
水和物形の走査パラメーターは以下であった:領域は0.01675°/ステップ、59.690秒/ステップの速度で連続走査により3°〜50°の2−シータであった。スピナー回転時間は1秒、放射線タイプはCuKα、そして放射線波長は1.54056Åであった。
【0126】
形状I、IIおよび水和物形の入射ビーム経路のパラメーターは以下であった:
−プログラム・発散スリット: 15mm
−ソラースリット: 0.04ラド
−ビームマスク: 15mm
−散乱防止スリット: 1°
−ビームナイフ: +。
【0127】
形状I、IIおよび水和物形の回折ビーム経路パラメーターは以下であった:
−長い散乱防止シールド: +
−ソラースリット: 0.04ラド
−Niフィルター: +
−検出計: X’Celerator。
【0128】
形状I、IIおよび水和物形に提供されたXPRDピーク位置の精度は計測器、試料調製物、等のような実験誤差により0.2°と規定される。
【0129】
形状I、IIおよび水和物形の特徴的IR吸収のピーク位置は周波数cm−1で与えられる。
【0130】
化合物(XIX)の形状Iは3119±2cm−1、2756±2cm−1、1634±2cm−1、1475±2cm−1、1371±2cm−1、1333±2cm−1、1275±2cm−1、1226±2cm−1、1128±2cm−1および1066±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析(IR)ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0131】
化合物(XIX)の形状IIは約3553±2cm−1、3203±2cm−1、3014±2cm−1および1541±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0132】
40℃/75%相対湿度における42日保存後の化合物(XIX)の水和物形は、約3558±2cm−1、3238±2cm−1、1607±2cm−1および997±2cm−1に典型的な吸収帯をもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルにより特徴付けられる。
【0133】
形状IのIR像は実質的に図1に示されるようなものである。形状IIのIR像は実質的に図6に示されるようなものである。水和物形のIR像は実質的に図11に示されるようなものである。
【0134】
IRデータおよび像の表示はNexus FTIR分光光度計を伴う赤外線分光分析ミクロ減衰総反射(ミクロATR)を使用して得た。ミクロATRアクセサリーはSi結晶を伴うHarrick Split Peaであった。使用された検出計はKBrウィンドウをもつDTGSであった。形状I、IIおよび水和物形の走査パラメーターは以下であった:
−走査数: 32
−解像: 2cm−1
−波長領域: 4000〜400cm−1
−基底線補正: 有り
−ビームスプリッター: KBr上のGe。
【0135】
形状I、IIおよび水和物形に提供されたIR吸収ピークの精度は、計測器、試料調製物、等のような実験誤差により2cm−1と規定される。
【0136】
形状IおよびIIの特徴的示差走査熱量測定(DSC)発熱ピーク位置または領域は℃で
与えられる。化合物(XIX)の形状Iは溶融分解する。発熱信号は約216.8℃で認められる。
【0137】
化合物(XIX)の形状IIは約197.3℃で溶融分解する。発熱信号は約203.6℃で認められる。DSC曲線の超吸熱信号は溶媒の蒸発のために約71.5℃で認められる。
【0138】
形状IのDSC曲線は実質的に図3に示されるようなものである。形状IIのDSC曲線は実質的に図8に示されるようなものである。DSCデータおよび曲線の表示は、RCS冷却ユニットを備えたTA−Instruments Q1000 MTDSCを使用して得た。試料の重量は約3mgであり、それを標準のアルミニウムTA−Instrumentの試料パン中に移した。試料を25℃から300℃の最終温度まで、10℃/分の速度で走査した。オーブンは50ml/分の流速の窒素ガスで恒常的にパージした。
【0139】
形状IおよびIIに提供されたDSC曲線の許容範囲は、計測器、試料調製物、等のような実験誤差により3℃と規定される。
【0140】
形状Iおよび形状IIの吸着−脱着特徴は質量の%変化として与えられる。
【0141】
化合物(XIX)の形状Iは高い相対湿度で0.6%までの水を吸着し、それは吸湿動態を示さず、試験期間中結晶質を維持する。
【0142】
化合物(XIX)の形状IIは吸湿性生成物である。それは高い相対湿度において9.6%まで水を吸着する。生成物は脱着周期中に完全に乾燥し、試験中結晶質を維持する。
【0143】
形状IのAD/DES曲線は実質的に図5に示されるようなものである。形状IIのAD/DES曲線は実質的に図10に示されるようなものである。
【0144】
AD/DESデータはSMS動力学的蒸気吸収モデルDVS−1を使用して得られ、重量変化は25℃の大気湿度に関して記録された。試料の重量は形状Iで約17mg、形状IIで約24mgであった。試料は乾燥窒素下で60分間乾燥した。平衡は最低15分間、そして最大60分間、0.01%/分以下であった。データ収集間隔は0.05%または2.0分であった。
【0145】
相対湿度(%)測定点は以下であった:
第1組:5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5
第2組:5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、0。
【0146】
結晶形の製薬学的使用
本発明は更に、医薬としての使用のための式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を提供する。1つの実施態様において、医薬としての使用のための単独または前記混合物のいずれか中の結晶形は、形状I、形状IIまたは水和物形から選択される。
【0147】
本発明は更に、HDAC関連状態の処置のための医薬の製造における、式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混
合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物の使用を提供する。1つの実施態様において、医薬の製造に使用される、単独または前記混合物のいずれか中の結晶形は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される。
【0148】
本発明は同様に、それを要する哺乳動物に、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を投与する方法を含んでなる、HDAC関連状態を罹患している哺乳動物を処置する方法を提供する。1つの実施態様において、処置方法は、形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、単独のまたは前記混合物のいずれか中の結晶形を投与する方法を含んでなる。
【0149】
本明細書で使用される用語「ヒストン・デアセチラーゼ」および「HDAC」は、ヒストンのN−末端でリシン残基のε−アミノ基からアセチル基を除去する酵素の1族のいずれか1つを表すことが意図される。文脈により別に示されない限り、用語「ヒストン」はあらゆる種からのH1、H2A、H2B、H3、H4およびH5を含むいずれかのヒストンタンパク質を表すことを意味する。ヒトのHDACタンパク質または遺伝子産物は、それらに限定はされないがHDAC−1、HDAC−2、HDAC−3、HDAC−4、HDAC−5、HDAC−6、HDAC−7、HDAC−8、HDAC−9、HDAC−10およびHDAC−11を含む。ヒストン・デアセチラーゼはまた、原生動物またはカビ・真菌源から誘動することができる。
【0150】
用語「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける病理学的状態のあらゆる処置を表し、1種または複数の以下の行為を含む:
(i)病理学的状態が、その状態の素因をもつ可能性はあるが、まだその状態をもつと診断はされていない非検体において起ることを予防し、そして従って、処置は疾患状態の予防的処置を構成する、
(ii)病理学的状態を抑制する、すなわちその発症(development)を停止する、
(iii)病理学的状態を緩和する、すなわち病理学的状態の退行を誘発する、または
(iv)病理学的状態により仲介される症候を緩和する。
【0151】
用語「本発明の1種または複数の多形体」により、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物を意味する。
【0152】
本発明は、有効量の本発明の多形体を投与する方法により、形質転換細胞を含む細胞の異常増殖を抑制する方法を提供する。細胞の異常増殖は正常な制御機構に依存しない細胞増殖(例えば接触抑制の喪失)を表す。これは直接には癌細胞の増殖の停止、末端分化および/または細胞死を誘発することによる、そして間接的には、腫瘍の新生血管形成を抑制する双方による、腫瘍増殖の抑制を含む。
【0153】
本発明はまた、有効量の本発明の多形体を、このような処置を要する被験体、例えば哺乳動物(そしてより具体的にはヒト)に投与する方法による、腫瘍の増殖を抑制する方法を提供する。とりわけ本発明は、有効量の本発明の多形体の投与による腫瘍の増殖を抑制する方法を提供する。抑制することができる腫瘍の例は、それらに限定されないが、肺癌(例えば腺癌および非小細胞肺癌を含む)、膵臓癌(例えば外分泌膵癌のような膵癌)、結腸癌(例えば結腸腺癌および結腸腺腫のような、例えば結腸直腸癌)、進行疾患を含む
前立腺癌、リンパ系の造血器官腫瘍(例えば急性リンパ性白血病、B−細胞リンパ腫、ブルキットリンパ腫)、ホジキン病および非ホジキン病、骨髄性白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML))、甲状腺濾胞腺癌、骨髄異形成症候群(MDS)、間葉細胞源の腫瘍(例えば繊維肉腫および横紋筋肉腫)、メラノーマ、奇形癌、神経芽細胞腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えば、角化棘細胞腫)、乳癌(例えば進行乳癌)、腎臓癌、卵巣癌、膀胱癌および上皮癌である。
【0154】
本発明は更に、式(XIX)の化合物の少なくとも形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物、並びに製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる製薬学的組成物を提供する。1つの実施態様において、製薬学的組成物は形状I、形状IIおよび水和物形から選択される、単独のまたは前記のいずれかの混合物中の結晶形を含んでなる。
【0155】
製薬学的組成物は経口、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、直腸内、経皮的、舌下または鼻腔内投与することができる医薬として調製することができる。経口投与に適する剤形は、散剤、顆粒、凝結物(aggregates)、錠剤、打錠またはコートピル、糖衣錠、小袋、ハードカプセルまたはゼラチンカプセル、シロップおよび懸濁物を含む。非経口投与に適する剤形は、水溶液または非水溶液またはエマルションを含むが、他方直腸投与に適する剤形は、親水性または疎水性ベヒクルを伴う座薬を含む。局所投与のためには本発明は当該技術分野で知られた適切な経皮的送達系を提供し、そして鼻腔内送達のためには当該技術分野で知られた適切なエアゾール送達系が提供される。あらゆる与えられる事例における大部分の適切な投与は、処置されている状態の本質および重症度に左右されるであろうが、本発明のもっとも好ましい経路は経口である。
【0156】
用量は便利には単位投与剤形で提供され、製薬学分野で周知のいずれかの方法により調製することができる。あるいはまた、剤形は1日全体で適当な間隔を明けて投与される、1、2、3または4回以上の分割投与物として提供することができる。使用される単位用量は好ましくは式(XIX)の化合物の塩基当量約1mg〜約1000mg、より好ましくは約5〜約400mgである。
【0157】
本発明の製薬学的組成物は式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形を含んでなる。製薬学的組成物は式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形の単一形状のみ、あるいは式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形を含むまたは含まない、式(XIX)の化合物の種々の形状の混合物を含んでなることができる。1種または複数の有効成分に加えて、製薬学的組成物は1種または複数の賦形剤または補助剤を含んでなる。賦形剤の選択および使用量は、経験および標準法の考慮および当該技術分野の参照研究に基づいて生薬学者により容易に決定されることができる。
【0158】
適切な賦形剤の例は、アラビアゴム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースまたはデンプン、とりわけコーンスターチである。適切な油性賦形剤または溶媒はヒマワリ油または肝油のような植物または動物油である。水溶液またはアルコール溶液に適する溶媒は水、エタノール、糖溶液またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールもまた、他の投与形のための更なる補助剤として有用である。
【0159】
皮下または静脈内投与のための、本発明の多形体は、所望される場合は、可溶化剤、乳化剤または更なる補助剤のような、それらのための通常の物質とともに、溶液、懸濁物またはエマルションに製造される。本発明の多形体をまた、凍結乾燥し、得られる凍結乾燥物を例えば注射または注入調製物の製造のために使用することができる。適切な溶媒は例
えば、水、生理学的食塩溶液またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、更にまた、グルコースまたはマニトール溶液のような糖溶液、あるいはまた、言及された種々の溶媒の混合物である。
【0160】
エアゾールまたはスプレーの形状の投与に適する製薬学的組成物は例えば、エタノールまたは水のような製薬学的に許容され得る溶媒あるいはこのような溶媒の混合物中の、本発明の多形体の溶液、懸濁物またはエマルションである。必要な場合は、調合物はまた、更に、界面活性剤、乳化剤および安定剤のような他の製薬学的補助剤並びに噴射剤を含むことができる。このような調製物は、従来、約0.1〜50重量%、とりわけ約0.3〜3重量%の濃度で有効化合物を含む。
【0161】
特に前記の成分に加えて、本発明の製薬学的組成物は、問題の調合の種類に関して当該技術分野で通常の他の物質を含むことができ、例えば、経口投与に適する物質は香り付け物質または味隠蔽物質を含むことができることは理解しなければならない。
【0162】
本発明の他の態様として、他の抗ガン剤との、式(XIX)の化合物の形状I、形状IIまたは水和物形、式(XIX)の化合物の2種以上の結晶形の混合物、あるいは式(XIX)の化合物の少なくとも形状Iまたは水和物形および式(XIX)の化合物の非HCl塩の非晶質形の混合物、の組み合わせ物が、特に医薬としての使用のために、更に特には癌または関連疾患の処置において、予見される。
【0163】
前記の状態の処置のための本発明の多形体は有利には、1種または複数の他の医薬物質と、より具体的には、他の抗ガン剤と組み合わせて使用することができる。抗ガン剤の例はそれらに限定はされないが、以下を含む:
−白金配位化合物、例えばシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン、
−タキサン化合物、例えばパクリタキセルまたはドセタキセル、
−カンプトテシン化合物のようなトポイソメラーゼIインヒビター、例えばイリノテカンまたはトポテカン、
−抗ガン性エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体のようなトポイソメラーゼIIインヒビター、例えばエトポシドまたはテニポシド、
−抗腫瘍ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン、
−抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビンまたはカペシタビン、
−ナイトロジェン・マスタードまたはニトロソ尿素のようなアルキル化剤、例えばシクロホスホアミド、クロランブシル、カルムスチン、チオテパ、メファランまたはロムスチン、
−抗腫瘍アントラサイクリン誘導体、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、ドキシル、イダルビシンまたはミトキサントロン、
−IGF−1受容体を標的とする分子、例えばピクロポドフィリン、
−テトラカルシン誘導体、例えばテトロカルシンA、
−グルココルチコイド、例えばプレドニソン、
−抗体、例えばトラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲンツザマブ、セツキシマブ、ペルツヅマブまたはベバシヅマブ、
−エストロゲン受容体アンタゴニストまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、例えばタモキシフェン、フルベストラント、トレミレン、ドロロキシフェン、ファスロデックスまたはラロキシフェン、
−エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾールおよびボロゾールのようなアロマターゼインヒビター、
−レチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝阻害剤(RAMB
A)のような分化剤、例えばアキュタン、
−DNAメチルトランスフェラーゼインヒビター、例えばアザシチジンまたはデシタビン、
−抗葉酸塩、例えばプレメトレキセド二ナトリウム、
−抗生物質、例えばアンチノマイシンD、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシンまたはダウノマイシン、
−抗代謝剤、例えばクロファラビン、アミノプテリン、シトシン・アラビノシドまたはメトトレキセート、
−Bcl−2インヒビターのような細胞死誘発剤および抗脈管形成剤、例えばYC137、BH312、ABT737、ゴッシポール、HA14−1、TW37またはデカン酸、−チューブリン結合剤、例えばコンブレスタチン、コルヒシンまたはノコダゾール、
−キナーゼインヒビター、例えばフラボペリドール、イマチニブ・メシレート、エルロチニブまたはゲフィチニブ、
−ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、例えばチピファルニブ、
−ヒストン・デアセチラーゼ(HDAC)インヒビター、例えば酪酸ナトリウム、スベロイルアニリド・ヒドロキサミド酸(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、NVP−LAQ824、R306465、JNJ−26481585またはトリコスタチンA、
−ユビキチン−プロテアソム経路のインヒビター、例えばPS−341、MLN 41またはボルテゾミブ
−Yondelis、
−テロメラーゼ・インヒビター、例えばテロメスタチン、
−マトリックスメタロプロテイナーゼ・インヒビター、例えばバチマスタート、マリマスタート、プリノスタートまたはメタスタート、
である。
【0164】
それらの有用な薬理学的特性を考慮すると、発明に従う組み合わせ物の成分、すなわち他の医薬および発明の多形体は、投与の目的のための種々の製薬学的剤形に調合することができる。成分は個々の製薬学的組成物中または両成分を含む単一製薬学的組成物中に別々に調合することができる。
【0165】
従って、本発明の1つの実施態様はまた、1種または複数の製薬学的担体と一緒に、他の医薬および本発明の多形体を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0166】
本発明は更に、腫瘍細胞の増殖を抑制するための製薬学的組成物の製造における本発明に従う組み合わせ物の使用に関する。
【0167】
本発明は更に、癌を罹患している患者の処置における同時の、別のまたは連続的使用のための組み合わせ物調製物として、第1の有効成分としての本発明に従う多形体および第2の有効成分としての抗ガン剤を含む製品に関する。
【0168】
他の医薬および本発明の多形体は同時に(例えば、別のまたは単一の組成物中)またはいずれの順序でも連続的に投与することができる。後者の場合は、2種の化合物は、有利なまたは相乗的な効果が達成されることを確保するのに十分な期間内に、そして十分な量で、そして十分な方法で投与されるであろう。投与の好ましい方法および順序並びに組み合わせ物の各成分のそれぞれの投与量および投与計画は、投与されている特定の他の医薬および多形体、それらの投与経路、処置されている特定の腫瘍並びに処置されている特定の宿主に左右されるであろう。投与の最適な方法および順序および投与量および計画は、従来の方法を使用し、本明細書に記載の情報を考慮して、当業者により容易に決定されることができる。
【0169】
白金配位化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき1〜500mg(mg/m2)、例えば50〜400mg/m2、特にシスプラチンに対しては約75mg/m2、そしてカルボプラチンに対しては約300mg/m2の用量で投与される。
【0170】
タキサン化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき50〜400mg(mg/m2)、例えば75〜250mg/m2、特にパクリタキセルに対しては約175〜250mg/m2、そしてドセタキセルに対しては約75〜150mg/m2の用量で投与される。
【0171】
カンプトテシン化合物は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき0.1〜400mg(mg/m2)、例えば1〜300mg/m2、特にイリノテカンに対しては約100〜350mg/m2、そしてトポテカンに対しては約1〜2mg/m2の用量で投与される。
【0172】
抗腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき30〜300mg(mg/m2)、例えば50〜250mg/m2、特にエトポシドに対しては約35〜100mg/m2、そしてテニポシドに対しては約50〜250mg/m2の用量で投与される。
【0173】
抗腫瘍ビンカアルカロイドは有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき2〜30mg(mg/m2)、特にビンブラスチンに対しては約3〜12mg/m2、ビンクリスチンに対しては約1〜2mg/m2、そしてビノレルビンに対しては約10〜30mg/m2の用量で投与される。
【0174】
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき200〜2500mg(mg/m2)、例えば700〜1500mg/m2、特に5−FUに対しては約200〜500mg/m2、ゲムシタビンに対しては約800〜1200mg/m2、そしてカペシタビンに対しては約1000〜2500mg/m2の用量で投与される。
【0175】
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素のようなアルキル化剤は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき100〜500mg(mg/m2)、例えば120〜200mg/m2、特にシクロホスホアミドに対しては約100〜500mg/m2、クロランブシルに対しては約0.1〜0.2mg/m2、カルムスチンに対しては約150〜200mg/m2、そしてロムスチンに対しては約100〜150mg/m2の用量で投与される。
【0176】
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき10〜75mg(mg/m2)、例えば15〜60mg/m2、特にドキソルビシンに対しては約40〜75mg/m2、ダウノルビシンに対しては約25〜45mg/m2、そしてイダルビシンに対しては約10〜15mg/m2の用量で投与される。
【0177】
抗エストロゲン剤は有利には、特定の薬剤および処置されている状態に応じて1日に約1〜100mgの用量で投与される。タモキシフェンは有利には5〜50mg、好ましくは10〜20mgを1日2回の用量で経口投与され、治療効果を達成し、維持するために十分な期間、治療を継続する。トレミフェンは有利には1日1回約60mgの用量で経口投与され、治療効果を達成し、維持するために十分な期間治療を継続する。アナストロゾ
ールは有利には1日1回約1mgの用量で経口投与される。ドロロキシフェンは有利には1日1回約20〜100mgの用量で経口投与される。ラロキシフェンは有利には1日1回約60mgの用量で経口投与される。エキセメスタンは有利には1日1回約25mgの用量で経口投与される。
【0178】
抗体は有利には、体表面積1平方メーターにつき約1〜5mg(mg/m2)の用量で、または、異なる場合は当該技術分野で知られたように投与される。トラスツヅマブは有利には、1コースの処置当たり、体表面積1平方メーターにつき1〜5mg(mg/m2)、特には2〜4mg/m2の用量で投与される。
【0179】
これらの用量は1コースの処置当たり、例えば1回、2回またはそれ以上投与することができ、それを例えば7、14、21または28日毎に反復することができる。
【0180】
本発明の多形体を、機械的、環境的、生物学的または化学的障害または劣化に対して防御的な包装材料中に保存することは便利であることができる。薬剤物質を状態調節することは、シールされた蒸気ロックバッグのような湿気を通さない包装材料を使用することにより達成することができる。錠剤、カプセルのような薬剤製品を状態調節する方法は例えば、アルミニウムブリスターを使用することにより達成することができる。
【0181】
実験部門
以下の実施例は本発明を具体的に示すことを意図され、それらに限定されることは意図されない。
【実施例1】
【0182】
中間体(I)の調製
【0183】
【化17】
【0184】
a)4−ピペリジンメタンアミン(2.6モル)および酢酸エチル(5.2L)を不活性反応容器(20L)中に入れ、45℃に暖めた。4−ニトロベンズアルデヒド(2.7モル)を添加し、反応混合物を45℃で2時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、次にジイソプロピルエチルアミン(6.6モル)を添加すると、溶液1を与えた。
【0185】
b)2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(2.7モル)および酢酸エチル(2.6L)を不活性容器に入れ、0℃に冷却した。メタ−クロロペルオキシ安息香酸(1.2モル)の溶液(2.6Lの酢酸エチル中)を0℃〜5℃の間の温度で1時間にわたり添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌すると溶液2を与えた。
【0186】
c)溶液2を0℃〜5℃の間の温度で1時間にわたり溶液1に添加した。反応混合物を室温に1晩放置した。混合物を、640mlの濃塩酸溶液(10Lの水中)で、2のpHに酸性化した。水層を回収し、1Lの酢酸エチルで洗浄した。水層を回収し、1Lのジクロロメタンを添加した。混合物を450mlの50%水酸化ナトリウムで10のpHに塩基性化した。混合物を室温で30分間撹拌した。有機層を回収すると画分1を与えた。水層を更に、2Lのジクロロメタンで抽出し、有機層を回収すると画分2を与えた。画分1お
よび2を合せ、ジクロロメタンを蒸発させると511.25g(1.93モル)の中間体(I)を与えた(収率74%)。
【実施例2】
【0187】
中間体(XIII)の調製
【0188】
【化18】
【0189】
a)中間体(I)(0.97モル)およびトルエン(4.5L)を不活性反応容器(20L)中に添加した。1−メチル−1H−インドール−3−カルボキシアルデヒド(0.97モル)を室温で反応混合物に添加した。反応混合物を還流温度に暖め、1晩還流し、室温に冷却した。メタノールで変性されたエタノール(1.5L)を添加すると溶液3を与えた。
【0190】
b)ナトリウムテトラヒドロボレート(55.2g)およびトルエン(1.5L)を不活性反応容器(20L)中に添加した。混合物を連続撹拌下で10℃にした。溶液3を#10℃の温度で1時間にわたり混合物に添加した。混合物を#10℃の温度で1時間撹拌した。反応混合物を室温にした。アセトン(8.79モル)を30分間にわたり添加した。反応混合物を4時間撹拌した。水(5.1L)を15分間にわたり反応混合物に滴下した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。水層を放念し(disregard)、有機層を300gの重炭酸ナトリウムの溶液(4.1Lの水中)で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で濾過し、蒸発させると画分3(蒸発後に397gの残渣)を与えた。
【0191】
c)2%メチルエチルケトンで変性されたエタノール(5L)を室温で画分3に添加した。濃アセトン(5L)および0.5Lの水を室温で添加し、次に混合物を50℃に暖めた。フマル酸(0.97モル)、2%メチルエチルケトンで変性されたエタノール(1.4L)、アセトン(1.4L)および140mlの水の混合物を調製すると、溶液4を与えた。溶液4を50℃の温度で2時間にわたり反応混合物に添加した。反応混合物を50℃で2時間撹拌し、室温に4時間冷却し、室温で1晩撹拌した。沈降物を回収し、次に、2%メチルエチルケトンで変性された1.4Lのエタノール、1.4Lの濃アセトンおよび140mlの水で洗浄した。沈降物を50℃で1晩乾燥すると,371g(0.7モル)の中間体(XIII)を与えた(収率73%)。
【実施例3】
【0192】
中間体(XVII)の調製
【0193】
【化19】
【0194】
4首フラスコ(2L)に中間体(XIII)(100g、191.0ミリモル)を充填した。水(3L/モル−ピュア限定試薬;573.0ml)および2−メチルテトラヒドロフラン(2.2L/モル−ピュア限定試薬;420.2ml)を添加した。撹拌後に、50%水酸化ナトリウム(2.5モル/モル−ピュア限定試薬;477.5ミリモル;25.13ml)を添加した。反応混合物を更に室温で40〜60分間撹拌し、その後反応物を静置した。上部有機層を回収し、水(2L/モル−ピュア限定試薬;382.0ml)で洗浄した。水(1.5L/モル−ピュア限定試薬;286.5ml)および水酸化ナトリウム(3モル/モル−ピュア限定試薬;573.0ミリモル;45.84g)を有機層に添加した。反応混合物を80℃に暖め、16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、下部の水層を回収した。イソプロピルアルコール(90ml;1.177モル)を添加し、混合物を氷浴中で10℃に冷却した。反応混合物を濃塩酸(5モル/モル−ピュア限定試薬;954.9モル;100.9g)でpH1に酸性化した(pH13.8:暗緑色溶液;pH7.5:オールドピンク溶液;pH4.7:ピンク溶液、白色沈殿物)。反応混合物を10℃で4時間撹拌した。白色沈殿物を濾取し、水で4回洗浄し、40℃で真空乾燥すると84gの中間体(XVII)を与えた(収率:97%)。
【実施例4】
【0195】
中間体(XVIII)の調製
【0196】
【化20】
【0197】
a)4首フラスコ(1L)に0.093モルの中間体(XVII)を充填し、そして220mlの酢酸エチルを添加した。反応混合物を撹拌し、5mlの水を添加すると溶液5を与えた。250mlのフラスコに0.122モルのN’−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、一塩酸(EDC)(130mlのエタノール中)を充填し、反応混合物を撹拌すると、溶液6を与えた。O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.123モル)を溶液5に添加し、添加漏斗を26mlの酢酸エチルで洗浄した。直後に200mlの溶液6を、溶液5を含んでなる反応混合物に1時間30分間にわたり添加した(反応混合物は90%の溶液6が添加された時に均一になり、次に所望の生成物が析出した)。反応混合物を室温で5時間撹拌した。沈殿物を濾取し、55mlの酢酸エチルで洗浄し、16時間、50℃で真空下乾燥すると、35.7g(0.07モル)の中間体(XVIII)を与えた(収率:71%)。
【0198】
b)4首フラスコ(1L)に0.073モルの中間体(XVIII)を窒素雰囲気下で充填した。N,N−ジメチル−アセトアミド(377ml)および377mlのメチルイソブチルケトンを添加し、混合物を70℃に暖めた。反応混合物を70℃で5時間撹拌し、次に1時間にわたり25℃に冷却し、次に25℃で更に1時間撹拌した。沈殿物を濾取し、次に、94mlのN,N−ジメチル−アセトアミドおよびメチルイソブチルケトンの混合物、次にスラーリー洗浄において150mlのメチルイソブチルケトンおよび次に交換洗浄において150mlのメチルイソブチルケトンで洗浄した。沈殿物を2日間50℃で真空乾燥すると33.4gの精製中間体(XVIII)を与えた(収率:89%)。
【実施例5】
【0199】
JNJ−26481585のHCl塩結晶形Iの調製
【0200】
【化21】
【0201】
a)不活性の4首フラスコ(0.5L)に0.03モルの精製中間体(XVIII)を充填した。エタノール(300ml)を添加した(典型的な水含量は0.07%(w/w)である)。反応混合物を撹拌し、57℃〜60℃に暖めた。30mgの中間体(XVIII)JNJ−26481585.HCl(30mg)形状Iを播種した。濃塩酸(0.05モル%)を57℃で反応混合物に添加し、反応混合物を16時間撹拌した。沈殿物を50℃で濾取し、20mlのエタノールで3回洗浄すると10gのJNJ−26481585.HCl塩結晶形Iを与えた。
【0202】
b)不活性4首フラスコ(50ml)に工程a)で得た2.6gのJNJ−26481585HCl塩結晶形Iを充填した。エタノール(20ml)を添加した。反応混合物を窒素下、暗所で撹拌し、50℃に暖めた。反応混合物を50℃で12時間撹拌し、40℃に1時間にわたり冷却し、濾過した。沈殿物を20mlのエタノールで1回、20mlのアセトンで2回洗浄した。次に生成物を50℃で16時間真空乾燥すると2g(80%)の精製JNJ−26481585HCl塩結晶形Iを生成した。
【実施例6】
【0203】
スラーリー法を使用する多形体IおよびIIの混合物の転化(transformation)
a)スラーリーの調製
約25mgの形状Iおよび約25mgの形状IIをバイアル中に秤量した。約0.2mlのエタノールを添加し、バイアルを封印した。3本のバイアルを調製し、各バイアルを異なる温度、4℃(冷蔵庫)、40℃および70℃で4日間保存した。
【0204】
これをエタノール/水(90/10、v/v%)中および水中のスラーリーにつき反復した。スラーリーを異なる温度で4日間および7日間保存した。保存後、バイアルを開放し、濾紙上に数mgのスラーリーを広げることにより試料を乾燥した。
【0205】
b)分析法(粉末XRD)
すべての得られた画分を、粉末XRDを使用して分析した。
【0206】
X線粉末回折(XPRD)分析を、ジェネレーターPW3040を備えたPhilipsX’PertPRO MPD回折計PW3050/60上で実施した。装置はCu LFF X線管PW3373/00を備えていた。化合物をゼロ背景の試料ホルダー上に広げた。
【0207】
装置のパラメーター
ジェネレーター電圧: 45kV
ジェネレーターアンペア: 40mA
構造: Bragg−Brentano
ステージ: スピナーステージ
【0208】
測定条件
走査モード: 連続
走査範囲: 3〜50°2θ
ステップサイズ: 0.01675°/ステップ
測定時間: 29.85秒/ステップ
スピナー回転時間: 1秒
放射線タイプ: CuKα
放射線波長: 1.54056Å
【0209】
入射ビーム経路 回折ビーム経路
プログラム.分散スリット:15mm 長い散乱防止シールド:+
ソラースリット: 0.04ラド ソラースリット 0.04ラド
ビームマスク: 15mm Niフィルター: +
散乱防止スリット: 1° 検出機: X’Celerator
ビームナイフ: +
【0210】
c)結果
エタノール中で4日および7日の保存後のスラーリー転化研究で得た結果を次の表Aにまとめた。
【0211】
【表1】
【0212】
溶媒和形のXRD像は水和物のXRD像に匹敵する。
【0213】
エタノール/水(90/10、v/v/%)中に4日および7日間の保存後のスラーリー転化研究で得た結果は以下の表Bにまとめる。
【0214】
【表2】
【0215】
水中で4日間の保存後のスラーリー転化研究で得た結果を次の表Cにまとめる。
【0216】
【表3】
【0217】
これらの水和物試料(以前の水中スラーリー)を異なる温度、40℃、50℃および70℃で0.1mlのエタノールとともに3日間保存した。
【0218】
40℃および50℃で3日間保存された水和物試料は水和物のままであった。
【0219】
70℃で3日間保存された水和物試料は完全に液化した(油)。
【実施例7】
【0220】
形状Iの安定性
a)化合物の情報
構造式:
【0221】
【化22】
【0222】
化学名:N−ヒドロキシ−2−[4−[[[(1−メチル−1H−インドル−3−イル)メチル]アミノ]メチル]−1−ピペリジニル]−5−ピリミジンカルボキシアミド・塩酸
分子式:C21H26N6O2.HCl
分子量:430.94
【0223】
b)吸着/脱着の研究
異なる条件の相対湿度における25℃の水の吸着および脱着を17mgの形状Iにつき研究した。
【0224】
相対湿度の関数としての重量変化を記録した。結果は図4に示された。
【0225】
形状Iの画分は高い相対湿度において0.6%までの水を吸着し、それは吸湿性動態を示さず、試験期間中、結晶質のままであった。
【0226】
c)溶解度
形状Iの水溶解度を、異なるpHをもつ溶媒中で測定した。過剰の溶質を24時間、20℃の溶媒と平衡させた。不溶解化合物を除去後、溶液中の濃度を、UV分光分析を使用して測定した。
【0227】
溶解度を次の表Dに記載した:
【0228】
【表4】
【0229】
d)結晶学的安定性
形状Iの結晶構造の安定性を<5%、56%および75%相対湿度(RH)下で室温で(RT)、50℃および40℃/75%RH下で、6週間の期間、開放条件で化合物を保存後に研究した。
【0230】
試料を熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、X線粉末回折(XPRD)および赤外線分光分析(IR)で分析した。
【0231】
試験結果を次の表Eに報告する。
【0232】
【表5】
【0233】
形状Iは溶融分解し、従って融解熱は報告されなかった。
【0234】
形状Iは結晶学的に安定である。
【0235】
異なる条件下での保存後に変化を認めない。
【0236】
IRスペクトル、XRD像およびDSC曲線は保存前後に同様であった。
【0237】
e)化学的安定性
形状Iを1、4および8週の期間、異なる開放条件で保存した。これらの条件は40℃/75%RH、50℃、RT/<5%RH、RT/56%RH、RT/75%RHおよび0.3da ICH光線である。
【0238】
化合物を保存後、HPLCおよび視覚的観察により分析した。
【0239】
試験の結果を次の表Fに報告した。
【0240】
【表6】
【0241】
不純物の合計が0.3daICH光線条件下で保存後に増加したので、形状Iは光線に対する感受性を示した。
【実施例8】
【0242】
形状IIの安定性
a)化合物の情報
構造式:
【0243】
【化23】
【0244】
化学名:N−ヒドロキシ−2−[4−[[[(1−メチル−1H−インドル−3−イル)メチル]アミノ]メチル]−1−ピペリジニル]−5−ピリミジンカルボキシアミド・塩酸
分子式:C21H26N6O2.HCl
分子量:430.94
【0245】
b)吸着/脱着の研究
異なる条件の相対湿度における25℃の水の吸着および脱着を約24mgの形状IIにつき研究した。
【0246】
相対湿度の関数としての重量変化を記録した。結果は図9に示された。
【0247】
最初の乾燥工程中に、形状IIに対して1.67%の重量喪失が記録される。得られた乾燥生成物は吸湿性であった。それは高い相対湿度において9.6%までの水を吸着した。生成物は脱着周期中に完全に乾燥し、試験期間中結晶質のままであった。
【0248】
c)結晶学的安定性
形状IIの結晶構造の安定性を<5%、56%および75%相対湿度(RH)下室温で(
RT)、50℃および40℃/75%RHで、6週間にわたり、開放条件で化合物を保存後に研究した。
【0249】
試料を熱重量分析(TGA)、示差走査熱量計(DSC)、X線粉末回折(XPRD)および赤外線分光分析(IR)で分析した。
【0250】
試験結果を次の表Gに報告した。
【0251】
【表7】
【0252】
形状IIは溶融分解し、従って融解熱は報告されなかった。DSC曲線の超発熱信号は溶媒の蒸発によるものであった。
【0253】
形状IIは結晶学的に安定ではない。異なる湿度条件下での保存後に変化を認める。IRスペクトルおよびXRD像はRT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RH条件下で保存後、出発材料と異なる。
【0254】
RT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RH条件下で保存後の変化は水の取り込みによるものであった。
【0255】
d)化学的安定性
形状IIを1、4および8週の期間、異なる開放条件下で保存した。これらの条件は40℃/75%RH、50℃、RT/<5%RH、RT/56%RH、RT/75%RHおよび0.3da ICH光線であった。保存後、化合物をHPLCおよび視覚的観察により分析した。
【0256】
試験の結果を次の表Hに報告する。
【0257】
【表8】
【0258】
R425754の化学安定性の研究は以下の観察をもたらした:
R425754は0.3daICH光線条件での保存後に不純物の合計が増加するので、光線に対する感受性を示した。
【0259】
更に、0.3daICH光線における保存後に白色から橙褐色へ、そして湿度条件RT/56%RH、RT/75%RHおよび40℃/75%RHおよび高温50℃における保存後に白色からピンクへの変色が認められる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XIX)
【化1】
の一塩酸塩。
【請求項2】
塩が結晶形I、結晶形IIまたは水和物形にある、請求項1の一塩酸塩。
【請求項3】
結晶形が15.1°±0.2°、17.2°±0.2°、23.4°±0.2°、24.4°±0.2°および27.7°±0.2°におけるピークを含んでなるX線粉末回折像を有する結晶形Iにある、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項4】
X線粉末回折像が更に、7.6°±0.2°、12.0°±0.2°および12.5°±0.2°におけるピークを含んでなる、請求項3の一塩酸塩。
【請求項5】
結晶形が3119±1cm−1、2756±1cm−1、1634±1cm−1、1475±1cm−1、1371±1cm−1、1333±1cm−1、1275±1cm−1、1226±1cm−1、1128±1cm−1および1066±1cm−1にピークをもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルを有する、請求項1〜4のいずれかの一塩酸塩。
【請求項6】
結晶形が約216.8℃に吸熱ピークをもつ示差走査熱量測定曲線を有する、請求項1〜5のいずれかの一塩酸塩。
【請求項7】
結晶形が高い相対湿度において0.6%までの水を吸着する、請求項1〜6のいずれかの一塩酸塩。
【請求項8】
水和物形が10.0°±0.2°、13.4°±0.2°および26.5°±0.2°におけるピークを含んでなるX線粉末回折像を有する水和物形にある、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項9】
X線粉末回折像が更に、21.6°±0.2°および24.9°±0.2°におけるピークを含んでなる、請求項8の一塩酸塩。
【請求項10】
結晶形が3558±1cm−1、3238±1cm−1、1607±1cm−1および997±1cm−1におけるピークをもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルを有する、請求項8または9の一塩酸塩。
【請求項11】
結晶形Iが本質的に純粋である、請求項1〜7のいずれかの一塩酸塩。
【請求項12】
結晶形IIが本質的に純粋である、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項13】
水和物形が本質的に純粋である、請求項1、2、8、9または10のいずれかの一塩酸
塩。
【請求項14】
a)50℃〜70℃の間に加熱しながら、0.1%w/w未満の水を含むアルコール溶媒中に式(XVIII)の化合物を溶解する工程、
b)反応混合物に塩酸を添加する工程、および
c)50℃〜70℃の間に温度を維持しながら、反応混合物を撹拌する工程、
を含んでなる、請求項2〜7のいずれか1項に記載の結晶形を調製する方法。
【請求項15】
工程a)とb)の中間に、結晶形Iを混合物に播種する工程を含んでなる、請求項14の方法。
【請求項16】
a)溶媒を50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間に加熱しながら、5%を超える水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に式(XVIII)の化合物を溶解する工程、
b)反応混合物に塩酸を添加する工程、および
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、そしてより好ましくは55℃の温度を維持しながら反応混合物を撹拌する工程、
を含んでなる、請求項2、8、9または10のいずれかに記載の水和物形を調製する方法。
【請求項17】
a)適当な溶媒の存在下で式(XI)の中間体と式(VIII)の中間体を反応させる工程、
【化2】
b)適当な溶媒中で式(II)の中間体と式(I)の中間体を反応させ、次に還元および塩形成により式(XIII)の中間体を与える工程、
【化3】
c)塩基の中和、塩基性加水分解および塩酸による酸性化による、式(XIII)の中間体の、式(XVII)の中間体への転化、
【化4】
並びに
d)適当なカップリング試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(XVII)の中間体を反応させる工程、
【化5】
を含んでなる、式(XVIII)の化合物を調製する方法。
【請求項18】
中間体(XVII)中の水の量が15〜25v/v%の間である、請求項17の方法。
【請求項19】
適当な溶媒の存在下で、式(X)の中間体と式(IX)の中間体を反応させる工程を含んでなる、式(XI)の化合物の調製法。
【化6】
【請求項20】
式(XI)、(XIII)、(XVII)または(XVIII)の化合物、
【化7】
そのN−オキシド、付加塩または立体化学的異性形。
【請求項21】
医薬としての使用のための請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩。
【請求項22】
HDAC関連状態の処置のための医薬の製造における、請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の使用。
【請求項23】
癌および白血病の処置のための医薬の製造における、請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の使用。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項25】
形Iを調製するための播種材料としての請求項1〜7または11に記載の一塩酸塩の使用。
【請求項26】
他の抗ガン剤との請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の組み合わせ物。
【請求項1】
式(XIX)
【化1】
の一塩酸塩。
【請求項2】
塩が結晶形I、結晶形IIまたは水和物形にある、請求項1の一塩酸塩。
【請求項3】
結晶形が15.1°±0.2°、17.2°±0.2°、23.4°±0.2°、24.4°±0.2°および27.7°±0.2°におけるピークを含んでなるX線粉末回折像を有する結晶形Iにある、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項4】
X線粉末回折像が更に、7.6°±0.2°、12.0°±0.2°および12.5°±0.2°におけるピークを含んでなる、請求項3の一塩酸塩。
【請求項5】
結晶形が3119±1cm−1、2756±1cm−1、1634±1cm−1、1475±1cm−1、1371±1cm−1、1333±1cm−1、1275±1cm−1、1226±1cm−1、1128±1cm−1および1066±1cm−1にピークをもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルを有する、請求項1〜4のいずれかの一塩酸塩。
【請求項6】
結晶形が約216.8℃に吸熱ピークをもつ示差走査熱量測定曲線を有する、請求項1〜5のいずれかの一塩酸塩。
【請求項7】
結晶形が高い相対湿度において0.6%までの水を吸着する、請求項1〜6のいずれかの一塩酸塩。
【請求項8】
水和物形が10.0°±0.2°、13.4°±0.2°および26.5°±0.2°におけるピークを含んでなるX線粉末回折像を有する水和物形にある、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項9】
X線粉末回折像が更に、21.6°±0.2°および24.9°±0.2°におけるピークを含んでなる、請求項8の一塩酸塩。
【請求項10】
結晶形が3558±1cm−1、3238±1cm−1、1607±1cm−1および997±1cm−1におけるピークをもつ赤外線分光分析ミクロ減衰反射スペクトルを有する、請求項8または9の一塩酸塩。
【請求項11】
結晶形Iが本質的に純粋である、請求項1〜7のいずれかの一塩酸塩。
【請求項12】
結晶形IIが本質的に純粋である、請求項1または2の一塩酸塩。
【請求項13】
水和物形が本質的に純粋である、請求項1、2、8、9または10のいずれかの一塩酸
塩。
【請求項14】
a)50℃〜70℃の間に加熱しながら、0.1%w/w未満の水を含むアルコール溶媒中に式(XVIII)の化合物を溶解する工程、
b)反応混合物に塩酸を添加する工程、および
c)50℃〜70℃の間に温度を維持しながら、反応混合物を撹拌する工程、
を含んでなる、請求項2〜7のいずれか1項に記載の結晶形を調製する方法。
【請求項15】
工程a)とb)の中間に、結晶形Iを混合物に播種する工程を含んでなる、請求項14の方法。
【請求項16】
a)溶媒を50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間に加熱しながら、5%を超える水を含んでなるエタノール/水またはメタノール/水混合物中に式(XVIII)の化合物を溶解する工程、
b)反応混合物に塩酸を添加する工程、および
c)50℃〜70℃の間、好ましくは50℃〜60℃の間、そしてより好ましくは55℃の温度を維持しながら反応混合物を撹拌する工程、
を含んでなる、請求項2、8、9または10のいずれかに記載の水和物形を調製する方法。
【請求項17】
a)適当な溶媒の存在下で式(XI)の中間体と式(VIII)の中間体を反応させる工程、
【化2】
b)適当な溶媒中で式(II)の中間体と式(I)の中間体を反応させ、次に還元および塩形成により式(XIII)の中間体を与える工程、
【化3】
c)塩基の中和、塩基性加水分解および塩酸による酸性化による、式(XIII)の中間体の、式(XVII)の中間体への転化、
【化4】
並びに
d)適当なカップリング試薬の存在下で、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミンと式(XVII)の中間体を反応させる工程、
【化5】
を含んでなる、式(XVIII)の化合物を調製する方法。
【請求項18】
中間体(XVII)中の水の量が15〜25v/v%の間である、請求項17の方法。
【請求項19】
適当な溶媒の存在下で、式(X)の中間体と式(IX)の中間体を反応させる工程を含んでなる、式(XI)の化合物の調製法。
【化6】
【請求項20】
式(XI)、(XIII)、(XVII)または(XVIII)の化合物、
【化7】
そのN−オキシド、付加塩または立体化学的異性形。
【請求項21】
医薬としての使用のための請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩。
【請求項22】
HDAC関連状態の処置のための医薬の製造における、請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の使用。
【請求項23】
癌および白血病の処置のための医薬の製造における、請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の使用。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩および製薬学的に許容され得る賦形剤を含んでなる、製薬学的組成物。
【請求項25】
形Iを調製するための播種材料としての請求項1〜7または11に記載の一塩酸塩の使用。
【請求項26】
他の抗ガン剤との請求項1〜13のいずれかの一塩酸塩の組み合わせ物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2010−526851(P2010−526851A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507895(P2010−507895)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055804
【国際公開番号】WO2008/138918
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055804
【国際公開番号】WO2008/138918
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】
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