説明

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤としてのチオフェン及びチアゾール置換トリフルオロエタノン誘導体

本発明は、式(I)
【化1】


で示される化合物及びその医薬上許容され得る塩及び互変異性体に関する。本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の阻害剤であり、細胞増殖性疾患、例えば、がんを治療するのに有用である。それらはまた、神経変性疾患、精神遅滞、10統合失調症、炎症性疾患、再狭窄、免疫障害、糖尿病、心血管障害及び喘息を治療するのにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)、特に、クラスII HDACの阻害剤であるチオフェン及びチアゾール置換トリフルオロエタノン誘導体に関する。本発明の化合物は、細胞増殖性疾患、例えば、がんを治療するのに有用である。さらに、本発明の化合物は、その他の疾患の中でも、神経変性疾患、統合失調症及び卒中を治療するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
真核細胞では、核におけるDNAの整然とした詰め込みが、遺伝子転写の調節において重要な役割を果たす。核DNAは、クロマチンと呼ばれる緻密な複合体に整えられる。複合体のコアは、ヒストンと呼ばれる高度に保存された塩基性タンパク質のオクタマーである。2個づつのヒストンH2A、H2B、H3及びH4が会合し、DNAが、DNAの負に帯電したリン酸基と相互作用するヒストンの塩基性アミノ酸の周りに巻きついている。ヒストンH1の1分子は、およそ146bpのDNAを収容する巻きつかれたコアの各々と会合する。次いで、コアは、緻密な規則的な構造に詰め込まれ、各コア間には約200bpのDNAを含む。
【0003】
ヒストンのアミノ末端テールは、特に、リジンのアセチル化による翻訳後修飾の対象である。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)及びヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)は、ヒストンアセチル化のパターンを定め、これがその他の動力学的連続的翻訳後修飾と一緒になって、遺伝子発現の調節に関与している複合体を形成する非ヒストンタンパク質によって認識され得る「コード」を表し得る。これとヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の非ヒストン基質も修飾し、多タンパク質複合体に関与する能力が、遺伝子転写、細胞周期進行及び分化、ゲノム安定性及びストレス応答の調節に役立っている。
【0004】
ヒトではHDACファミリーの11のメンバーが同定されており、それらは保存された触媒ドメインを共有し、2つのクラスに分けられる:酵母Rpd3に対して相同な、クラスI(1、2、3、8);酵母Hda1に対して相同な、クラスIIa(4、5、7、9)及びIIb(6、10)。HDAC11は、両クラスと相同性を共有しているが、同時にその他の10種のサブタイプのすべてと異なっている。HDAC阻害剤(HDACi)ががん及びその他の疾患に対する有望な治療薬であるために、これらの酵素への関心はますます高まりつつある。第一世代のHDACiは、細胞ベースの機能アッセイから発見されたが、後に、HDACクラスI/II阻害剤として同定された。現在のHDAC阻害剤は、汎特異的であるか、あまり選択的でない。臨床試験に入っているものはすべて、同様の副作用、主に、疲労、食欲不振症、血液学的毒性及びGI毒性を示し、これが、臨床試験における用量制限となる。HDAC阻害剤の抗腫瘍特性がその特異性の欠如によるのか、1種の又は2、3種の「決定的な」サブタイプに的中した結果であるのかどうかは全く明らかではない。この問題は、有効性及び/又は耐容性が増強された可能性がある、新規の、より感度の高い化合物の開発への道を開く可能性があるので極めて興味深い。したがって、より最近の研究は、種々のクラスのメンバーの生物学的機能をより明確にすること及び改良されたがん化学療法の開発に役立つサブタイプ選択的酵素アッセイを案出することを対象とした。
【0005】
クラスIIa HDACは、yHDA1と相同な高度に保存されたC末端触媒ドメイン(約420アミノ酸)と、その他のタンパク質と類似性のないN末端ドメインとを含む。クラスIIa HDACの活性は、組織特異的遺伝子発現、個別の補助因子の補充及び核細胞質間輸送をはじめ、いくつかのレベルで調節される。ほとんどのクラスI HDACは偏在的に発現されるが、クラスIIa HDACは、制限された数の細胞種において発現される。
【0006】
HDAC阻害剤は、形質転換された培養細胞及び動物の腫瘍、例えば、血液がん及び固形腫瘍の両方の広範囲にわたって分化の誘導、増殖停止及び/又はアポトーシスを引き起こす。これらの阻害効果は、幾分かは、アセチル化タンパク質、例えば、遺伝子転写の調節に主要な役割を果たすと思われるヌクレオソームヒストンの蓄積によって引き起こされると考えられている。HDAC阻害剤の抗腫瘍効果について提案される機構は、アセチル化ヒストンの蓄積が、その発現が腫瘍細胞増殖の阻害を引き起こす選択された数の遺伝子の転写の活性化(及び抑制)をもたらすというものである。HDAC阻害剤とともに培養された細胞の発現プロファイリングは、少数の遺伝子(発現される遺伝子の2〜5%)の発現が変更(活性化又は抑制)されるということを研究が実証するので、このモデルを支持する。遺伝子抑制又は活性化の機構は十分に理解されていないが、ヒストンアセチル化の直接若しくは間接的な効果又はヒストン以外のタンパク質(例えば、転写因子)のアセチル化の増大のいずれかに起因する可能性がある。
【0007】
種々のHDACのさまざまな機能及びHDAC基質の範囲をはじめ、HDACのファミリーについて理解されるべきことはまだ多くある。生物学的役割及び治療薬としての可能性を明確にするには、選択的HDAC阻害剤の開発は、重要であり得る。臨床上、最適用量、治療の時期及び期間、並びにHDAC阻害剤と組合せるための最も適当な薬剤はまだ明らかにされていない。
【発明の開示】
【0008】
本発明の化合物は、ヒストン脱アセチル化酵素、特に、クラスIIヒストン脱アセチル化酵素の阻害において有用である。
【0009】
特に、本化合物は、HDAC4、5、6及び7阻害剤であり、さらにその他のHDACサブタイプ、例えば、HDAC1、2、3及び8に対して活性であり得る。
【0010】
本発明は、治療に使用するための式I:
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
cは、0、1又は2であり;
Aは、CH又はNであり;
X環は、硫黄含有環の炭素原子上の置換基であり、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Yは、直接結合、−O−、>(C=O)、>S(O)、−NR(C=O)−又は−(C=O)NR−であり;
dは、0、1又は2であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
Zは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、N(R;又はC3−6シクロアルキル;C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の飽和若しくは部分飽和複素環;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環;1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環;又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環である環であり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく;
各Rは独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル又はSOであり;
は、C1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ又はジ(C16アルキル)アミノであり;
各Rは独立に、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ、N(R、SO、OSO、COR、C1−6アルキルSO、R、C1−6アルキルR、C1−6アルコキシR又はC1−6アルコキシSOであり;
は、水素、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシであり;
は、C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、又は1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環であり;当該環のいずれも、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ及びジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよい]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体を提供する。
【0013】
本発明はまた、上記で定義される式Iの化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体を、医薬上許容され得る担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、式I:
【0015】
【化2】

【0016】
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
cは、0、1又は2であり;
Aは、CH又はNであり;
X環は、硫黄含有環の炭素原子上の置換基であり、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Yは、直接結合、−O−、>(C=O)、>S(O)、−NR(C=O)−又は−(C=O)NR−であり;
dは、0、1又は2であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
Zは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、N(R;又はC3−6シクロアルキル;C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の飽和若しくは部分飽和複素環;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環;1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環;又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環である環であり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく;
各Rは独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル又はSOであり;
は、C1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ又はジ(C16アルキル)アミノであり;
各Rは独立に、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ、N(R、SO、OSO、COR、C1−6アルキルSO、R、C1−6アルキルR、C1−6アルコキシR又はC1−6アルコキシSOであり;
は、水素、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシであり;
は、C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、又は1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環であり;当該環のいずれも、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ及びジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく、
ただし、AがCHであり、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される新規化合物又は医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体をも提供する。
【0017】
上記の実施態様のうち一実施態様では、AがNである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは、水素、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、C6−10アリール又はC6−10アリールオキシから選択される。
【0018】
上記の実施態様のうち別の実施態様では、AがNである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルコキシ、C6−10アリール又はC6−10アリールオキシから選択される。
【0019】
誤解を避けるために、Aが置換されている場合は、AはCである。
【0020】
一実施態様では、AはCHである。
【0021】
別の実施態様では、AはNである。
【0022】
aは、0、1又は2であることが好ましい。
【0023】
bは、0、1又は2であることが好ましい。より詳しくは、bは、0又は1である。
【0024】
cは、0又は1であることが好ましい。
【0025】
特定のX環として、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、フェニル、キノリニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、キノキサリニル、ピリジニル、ベンゾチエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソキノリニル、ピリミジニル、チアントレニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、インドリル及びナフチルが挙げられる。
【0026】
Xは、非置換であるか、一置換されていることが好ましい。
【0027】
より詳しくは、中央の硫黄含有環と結合しているX環として、フェニル、キノリン−6−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、キノキサリン−6−イル、ピリジン−3−イル、キノリン−8−イル、キノリン−3−イル、1−ベンゾチエン−7−イル、1,3−チアゾール−2−イル、1H−ピラゾール−3−イル、イソキノリン−5−イル、ピリミジン−5−イル、1−ベンゾチエン−3−イル、チアントレン−1−イル、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、ピリジン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル、1H−インドール−5−イル、ピリジン−4−イル、2−ナフチル及び1−ナフチルが挙げられる。
【0028】
一実施態様では、AがNである場合は、Xは1、2又は3個のハロゲン基によって置換されている。Xはハロゲンによって一置換されていることが好ましい。好ましいハロゲン基として、塩素及びフッ素がある。
【0029】
別の実施態様では、Xは非置換である。
【0030】
は、水素又はメチルであることが好ましい。
【0031】
一実施態様では、Yは直接結合である。
【0032】
好ましくは、Zは、水素、シアノ、ヒドロキシ、C1−4アルキル、ハロC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ニトロ、N(R;又はモルホリニル、フェニル、ナフチル、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラジニル、チエニル、ピロリジニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ピラゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、シクロブチル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、フリル、ベンゾジオキソリル若しくはピペリジニルである環であり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよい。
【0033】
より詳しくは、Zは、モルホリニル、メチル、ヒドロキシ、ジメチルアミノ、水素、フェニル、ナフチル、シクロヘキシル、ピリジニル、ピラジニル、チエニル、ピロリジニル、イソプロピル、ジヒドロベンゾジオキシニル、メトキシ、ピラゾリル、キノキサリニル、ニトロ、トリフルオロメチル、tert−ブトキシ、メチルスルホニルアミノ、ベンゾチアゾリル、シクロブチル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサジニル、フリル、ベンゾジオキソリル、シアノ又はピペリジニルであり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよい。
【0034】
Zが環である場合は、Rから独立に選択される1、2又は3個の基によって任意に置換されていることが好ましい。より詳しくは、環は非置換であるか、一置換又は二置換されている。
【0035】
特定のR基として、メチル、ジメチルスルファメート、フルオロ、トリフルオロメチル、カルボキサルデヒド、ブチル、クロロ、シアノ、メチルスルホニル、フェニルスルホニルメチル、エトキシ、ジクロロフェニルメトキシ、[クロロ(トリフルオロメチル)ピリジニル]メトキシ、トリフルオロメトキシ、[(クロロフェニル)スルホニル]メチル、オキソ、フェニルスルホニル、(メチルチアゾリル)メトキシ、メトキシ、(クロロフェニル)スルホニル、アセチルアミノ、オキサジアゾリル及びブロモがある。
【0036】
具体的なR基として、メチル、ジメチルスルファメート、フルオロ、トリフルオロメチル、カルボキサルデヒド、tert−ブチル、クロロ、シアノ、メチルスルホニル、フェニルスルホニルメチル、エトキシ、2,4−ジクロロフェニルメトキシ、[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メトキシ、トリフルオロメトキシ、[(4−クロロフェニル)スルホニル]メチル、オキソ、フェニルスルホニル、(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ、メトキシ、(4−クロロフェニル)スルホニル、アセチルアミノ、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及びブロモが挙げられる。
【0037】
したがって、特定のZ基として、モルホリニル、メチル、ヒドロキシ、ジメチルアミノ、水素、フェニル、ナフチル、シクロヘキシル、メチルピリジニル、ピリジニル、ジメチルスルファメートフェニル、フルオロフェニル、ピラジニル、チエニル、トリフルオロメチルピリジニル、トリフルオロメチルフェニル、メチルフェニル、ピロリジニル、カルボキサルデヒドフェニル、イソプロピル、ジヒドロベンゾジオキシニル、tert−ブチルフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシ、ジメチルピラゾリル、ピラゾリル、キノキサリニル、ニトロ、トリフルオロメチル、tert−ブトキシ、メチルスルホニルアミノ、シアノフェニル、メチルスルホニルフェニル、(フェニルスルホニルメチル)フェニル、ベンゾチアゾリル、シクロブチル、エトキシフェニル、(ジクロロフェニルメトキシ)フェニル、{[(クロロ)(トリフルオロメチル)ピリジニル]メトキシ}フェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、(クロロ)(フルオロ)フェニル、トリフルオロメトキシフェニル、{[(4−クロロフェニル)スルホニル]メチル}フェニル、(オキソ)ジヒドロベンゾオキサゾロニル、(オキソ)ジヒドロベンゾオキサジノニル、(クロロ)(フェニルスルホニル)ジヒドロベンゾオキサジノニル、[(メチルチアゾリル)メトキシ]フェニル、ジフルオロフェニル、メトキシフェニル、[(クロロフェニル))スルホニル]ジヒドロベンゾオキサジニル、アセチルアミノフェニル、オキサジアゾリルフェニル、(ブロモ)(メチル)ピラゾリル、(フルオロ)(メチル)フェニル、フリル、ベンゾジオキソリル、ジメトキシフェニル、シアノ及びピペリジニルがある。
【0038】
具体的なZ基として、モルホリン−4−イル、メチル、ヒドロキシ、ジメチルアミノ、水素、フェニル、2−ナフチル、シクロヘキシル、3−メチルピリジン−2−イル、ピリジン−4−イル、ピリジン−2−イル、4−(ジメチルスルファメート)フェニル、4−フルオロフェニル、ピラジン−2−イル、2−チエニル、6−トリフルオロメチルピリジン−3−イル、4−トリフルオロメチルフェニル、ピリジン−3−イル、4−メチルフェニル、ピロリジン−1−イル、4−カルボキサルデヒドフェニル、イソプロピル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル、4−tert−ブチルフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、メトキシ、3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル、1H−ピラゾール−1−イル、キノキサリン−6−イル、ニトロ、トリフルオロメチル、tert−ブトキシ、メチルスルホニルアミノ、4−シアノフェニル、4−メチルスルホニルフェニル、2−(フェニルスルホニルメチル)フェニル、1,3−ベンゾチアゾール−2−イル、シクロブチル、2−エトキシフェニル、4−(2,4−ジクロロフェニルメトキシ)フェニル、4−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メトキシ}フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]メチル}フェニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−ベンゾオキサゾール−3(3H)−オニル、3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾオキサジン−4(4H)−オニル、6−クロロ−4−(フェニルスルホニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−オニル、4−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]フェニル、2,4−ジフルオロフェニル、4−メトキシフェニル、4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル、4−アセチルアミノフェニル、4−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル、3−メチルフェニル、4−ブロモ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル、3−フルオロ−4−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、2−フリル、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、2,5−ジメトキシフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、シアノ及びピペリジン−1−イルが挙げられる。
【0039】
一実施態様では、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない。
【0040】
一実施態様では、Zは水素ではない。
【0041】
各Rは独立に、水素、メチル、アセチル又はメチルスルホニルであることが好ましい。
【0042】
はメチル又はジメチルアミノであることが好ましい。
【0043】
は水素であることが好ましい。
【0044】
は、ハロゲン、C1−4アルキル又はハロC1−2アルキルから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよい、フェニル、チアゾリル、オキサジアゾリル又はピリジニルであることが好ましい。
【0045】
は、1、2又は3個の基によって任意に置換されていることが好ましい。より詳しくは、Rは、非置換であるか、一置換又は二置換されている。
【0046】
したがって、特定のR基は、フェニル、ジクロロフェニル、(クロロ)(トリフルオロメチル)ピリジニル、クロロフェニル、メチルチアゾリル及びオキサジアゾリルである。
【0047】
より詳しくは、Rは、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、3−(クロロ)−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル、2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル又は1,3,4−オキサジアゾール−2−イルである。
【0048】
本発明はまた、式II:
【0049】
【化3】

【0050】
[式中、a、b、c、X、Y及びZは上記で定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体をも提供する。
【0051】
本発明はまた、式III:
【0052】
【化4】

【0053】
[式中、a、b、c、X、Y及びZは、上記で定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体をも提供する。
【0054】
本発明はまた、式IV:
【0055】
【化5】

【0056】
[式中、X及びZは、上記で定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、Zは水素ではない]
で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体をも提供する。
【0057】
本発明はまた、式V:
【0058】
【化6】

【0059】
[式中、
Xは、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Wは、水素、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、C6−10アリール又はC6−10アリールオキシである]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体をも提供する。
【0060】
誤解を避けるために、X上の置換基は、任意の置換可能な位置で置換され得る。
【0061】
式II、III、IV及びVに関して、好ましい固有性は、変更すべきところは変更して、式Iについて先に定義されている通りである。
【0062】
一実施態様では、Wは、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1−6アルコキシ、C6−10アリール又はC6−10アリールオキシである。
【0063】
一実施態様では、Xは、1個のハロゲン基によって置換されていてもよい、フェニル、ピリジニル又はナフチルである。
【0064】
別の実施態様では、中央のチアゾール環と結合しているX環としては、塩素又はフッ素によって置換されていてもよい、フェニル、ピリジン−4−イル、2−ナフチル又は1−ナフチルである。
【0065】
Wは、水素、アセチル、シアノ、フェノキシ、フェニル、トリフルオロメチル、ニトロ、塩素、臭素又はフッ素であることが好ましい。
【0066】
本発明はまた、その範囲内に上記の式Iの化合物のN−オキシドを含む。一般に、このようなN−オキシドは、任意の利用可能な窒素原子上で形成されてもよい。当該N−オキシドは従来手段、例えば、湿潤アルミナの存在下で、式Iの化合物をオキソンと反応させることによって形成してもよい。
【0067】
本発明は、その範囲内に、上記の式Iの化合物のプロドラッグを含む。一般に、このようなプロドラッグは、in vivoで必要とされる式Iの化合物に容易に変換可能な式Iの化合物の機能的誘導体である。適したプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来手順は、例えば、「デザイン・オブ・プロドラッグス(Design of Prodrugs)」、H.ブンゴード(Bundgaard)編、エルゼビア(Elsevier)、1985中に記載されている。
【0068】
プロドラッグは、活性薬物を放出するために生体内で変換を必要とし、送達特性が親薬物分子を上回って改善されている、生物活性物質(「親薬物」又は「親分子」)の薬理学的に不活性の誘導体であり得る。in vivoでの変換は、例えば、なんらかの代謝プロセス、例えば、カルボン酸エステル、リン酸エステル若しくは硫酸エステルの化学的若しくは酵素的加水分解又は感受性官能基の還元若しくは酸化の結果としてであり得る。
【0069】
本発明は、その範囲内に式Iの化合物及びその塩の溶媒和物、例えば、水和物を含む。
【0070】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸及びキラル面を有してもよく(E.L.エリエル(Eliel)及びS.H.ウィレン(Wilen)、ステレオケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Stereochemistry of Carbon Compounds)、ジョンウィレイ&サンズ(John Wiley&Sons)、ニューヨーク、1994、1119〜1190頁に記載されるように)、すべてのあり得る異性体及びそれらの混合物、例えば、光学異性体とともに、ラセミ化合物、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じてもよく、このような立体異性体はすべて本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物は、互変異性体として存在してもよく、一方のみの互変異性体構造が表されても、両方の互変異性体の形とも本発明の範囲に包含されるものとする。
【0071】
本化合物は、種々の異性体の形で存在してもよく、そのすべてが本発明によって包含される。
【0072】
任意の変数(例えば、Rなど)が任意の構成要素中に2回以上現れる場合は、各出現に関するその定義は、他のすべての出現とは無関係である。また、置換基及び変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。置換基から環系中に引かれる線は、示された結合が置換可能な環原子のいずれとも結合してもよいことを表す。
【0073】
本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは、化学的に安定であり、当該技術分野における技術上公知の方法並びに以下に示される方法によって、容易に入手可能な出発物質から容易に合成できる化合物を提供するよう当業者によって選択され得るということが理解される。置換基が、2個以上の基でそれ自体置換される場合には、これらの複数の基は、安定な構造が生じる限り、同一炭素上にあっても、異なる炭素上にあってもよいと理解される。語句「置換されていてもよい」とは、語句「置換されていないか、1個以上の置換基で置換されている」と同等であるととられなければならず、このような場合は、好ましい実施態様は0〜3個の置換基を有する。より詳しくは、0〜2個の置換基がある。飽和、部分飽和又は不飽和複素環上の置換基は、任意の置換可能な位置で結合され得る。
【0074】
本明細書において、「アルキル」とは、指定の数の炭素原子を有する、分岐及び直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むものとする。例えば、「C1−6アルキル」は、直線的配置又は分岐配置にある1、2、3、4、5又は6個の炭素を有する基を含むよう定義される。例えば、「C1−6アルキル」とは、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。好ましいアルキル基として、メチル及びエチルがある。用語「シクロアルキル」とは、指定の数の炭素原子を有する、単環式、二環式又は多環式飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C3−7シクロアルキル」としては、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。本発明の一実施態様では、用語「シクロアルキル」は、直前に記載される基を含み、さらに、単環式不飽和脂肪族炭化水素基を含む。例えば、この実施態様において定義される「シクロアルキル」として、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロブテニル、7,7−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルなどが挙げられる。好ましいシクロアルキル基として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルがある。
【0075】
本明細書において、用語「C2−6アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐状の、非芳香族炭化水素基を指す。好ましくは、1つの炭素−炭素二重結合が存在し、最大4つの非芳香族炭素−炭素二重結合が存在し得る。アルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル及び2−メチルブテニルが挙げられる。好ましいアルケニル基として、エテニル及びプロペニルが挙げられる。
【0076】
本明細書において、用語「C2−6アルキニル」とは、2〜6個の炭素原子と、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合とを含む直鎖又は分岐状の炭化水素基を指す。最大3つの炭素−炭素三重結合が存在してもよい。アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどが挙げられる。好ましいアルキニル基として、エチニル及びプロピニルが挙げられる。
【0077】
「アルコキシ」とは、酸素橋によって結合している示される数の炭素原子のアルキル基を表す。したがって、「アルコキシ」とは、上記のアルキルの定義を包含する。適したアルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシが挙げられる。好ましいアルコキシ基として、メトキシ及びエトキシがある。用語「C6−10アリールオキシ」は同様に解釈することができ、この基の例として、フェノキシがある。
【0078】
本明細書において、用語「メルカプトC1−6アルキル」とは、示された数のアルキル基を介して結合しているSH基を表す。適したメルカプトアルキル基の例として、CHSH、CHCHSH及びCHCHCHSHが挙げられる。
【0079】
用語「ハロC1−6アルキル」及び「ハロC1−6アルコキシ」とは、1個以上の(特に、1〜3個の)水素原子がハロゲン原子、特に、フッ素又は塩素原子によって置換されている、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。フルオロC1−6アルキル及びフルオロC1−6アルコキシ基、特に、フルオロC1−3アルキル及びフルオロC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHF、CHF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHF、OCHF、OCHCHF、OCHCHF又はOCHCF、最も特に、CF、OCF及びOCHFが好ましい。
【0080】
用語「C1−6アルキルカルボニル」とは、カルボニル(C=O)基を介して結合しているC1−6アルキル基を意味する。C1−6アルキルカルボニル基の適した例として、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル及びtert−ブチルカルボニルが挙げられる。
【0081】
本発明の化合物中に存在する環は、単環式又は多環式(multicyclic)、特に、二環式であってもよい。多環式環は縮合していてもよいし、スピロ結合していてもよい。
【0082】
本明細書において、「C6−10アリール」とは、少なくとも1つの環が芳香族である、6〜10個の原子からなる任意の安定な単環式又は二環式炭素環を意味するものとする。このようなアリール要素の例として、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル及びテトラヒドロベンゾ[7]アヌレンが挙げられる。好ましいアリール基として、フェニル又はナフチル、特に、フェニルがある。
【0083】
本発明の特定の複素環の例として、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフランジオニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾロニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、エポキシジル、フリル、フラザニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキセタニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、テトラジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、キノリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロイミダゾロニル、ジヒドロトリアゾロニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロイミダゾピラジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリジノニル、イミダゾロニル、イソインドリノニル、オクタヒドロキノリジニル、オクタヒドロイソインドリル、イミダゾピリジニル、アザビシクロヘプタニル、クロメノニル、トリアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル、チアゾロトリアゾリル、アゾニアビシクロヘプタニル、アゾニアビシクロオクタニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キナゾリニル、プテリジニル、ジヒドロベンゾオキサジニル及びチアントレニル及びそれらのN−オキシドがある。さらなる例として、チアゾロトリアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、インダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、トリアゾロピリミジニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル、インドリジニル、アゾニアスピロ[5.5]ウンデカニル、アゼパニル、オクタヒドロインドリジニル、1’2’−ジヒドロスピロシクロヘキサン−1,3’−インドリル、オクタヒドロイソインドリル、アゾニアビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ジアゾニアスピロ[4.4]ノナニル、ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オキサアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアゾニアスピロ[5.5]ウンデカニル、ジアゾニアスピロ[3.3]ヘプタニル、ジアゾニアスピロ[3.5]ノナニル、ジアゾニアスピロ[4.5]デカニル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ジヒドロインドリル、アゾニアスピロ[4.5]デカニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアゾニアビシクロ[3.2.1]オクタニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、アゾニアビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサアゾニアスピロ[4.5]デカニル及びオキサゼパニル及びそれらのN−オキシドが挙げられる。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子によって、又はヘテロ原子によって起こり得る。
【0084】
好ましい5又は6員の飽和又は部分飽和ヘテレオサイクル(hetereocycles)として、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル及びテトラヒドロフランがある。
【0085】
好ましい5員の複素芳香環として、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、フリル及びピロリルがある。
【0086】
好ましい6員のヘテラロマティック(heteraromatic)環として、ピリジニル、ピラジニル及びピリミジニルがある。
【0087】
好ましい7〜15員の飽和、部分飽和又は不飽和複素環として、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、インドリル、イミダゾピリジニル、ベンゾチアゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイミダゾピラジニル、チアントレニル、ベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル及びジヒドロベンゾオキサジニルがある。さらなる好ましい環として、チアゾロトリアゾリル、ジヒドロチアゾロピリミジニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロキナゾリニル、ジヒドロフタラジニル、インダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、テトラヒドロナフチリジニル、トリアゾロピリミジニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロイソクロメニル、ジヒドロクロメニル、ジヒドロベンゾチアゾリル、イミダゾチアゾリル、テトラヒドロインダゾリル、テトラヒドロベンゾチエニル、ヘキサヒドロナフチリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピラジニル、ピロロピリジニル、キナゾリニル、インドリジニル、アゾニアスピロ[5.5]ウンデカニル、アゼパニル、オクタヒドロインドリジニル、1’2’−ジヒドロスピロシクロヘキサン−1,3’−インドリル、オクタヒドロイソインドリル、アゾニアビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、ジアゾニアスピロ[4.4]ノナニル、ヘキサヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オキサアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアゾニアスピロ[5.5]ウンデカニル、ジアゾニアスピロ[3.3]ヘプタニル、ジアゾニアスピロ[3.5]ノナニル、ジアゾニアスピロ[4.5]デカニル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリル、オクタヒドロピロロ[3,4−b]ピロリル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ジヒドロインドリル、アゾニアスピロ[4.5]デカニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアゾニアビシクロ[3.2.1]オクタニル、ジアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、アゾニアビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサアゾニアスピロ[4.5]デカニル及びオキサゼパニルが挙げられる。
【0088】
本明細書において、用語「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指し、そのうち、フッ素及び塩素が好ましい。
【0089】
本発明の範囲内の特定の化合物として以下がある:
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{[(4−フルオロベンジル)スルホニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
1−{5−[5−(2−エトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−(メチルスルフィニル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
1−[5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(4−キノキサリン−6−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−フェニル−1,3−チアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(2−ナフチル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン;
N−(4−フルオロベンジル)−5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボキサミド;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[(メチルスルホニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[(プロピルスルホニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[(2−チエニルスルホニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
1−[5−(3−{4−[(2,4−ジクロロベンジル)オキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[3−(4−{[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]メトキシ}ベンジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−(5−{3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[3−(2−クロロ−4−フルオロベンジル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2、2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(4−フルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−{5−[3−(3−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]メチル}フェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
3−({5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}メチル)−1,3−ベンゾオキサゾール−2(3H)−オン;
4−({5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}メチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3(4H)−オン;
1−(5−{3−[6−クロロ−4−(フェニルスルホニル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{4−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メトキシ]フェニル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
1−{5−[3−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−[5−(3−{4−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−2−イル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(2−チエニルメチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
N−(4−{5−[5−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}フェニル)アセトアミド;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{[4−(1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェノキシ]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(3−メチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−{5−[3−(4−ブロモ−1−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(3−フルオロ−4−メチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(3−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(4−フルオロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(2−フリル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(2−チエニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(4−メチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−{5−[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[5−(2,5−ジメトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−(2−フルオロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−{5−[5−(2−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[5−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−フェニル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−ピリジン−2−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−キノキサリン−6−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(4−フェノキシフェニル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(2−メトキシフェニル)−2−チエニル]エタノン;
1−[5−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンゾニトリル;
1−[5−(4−アセチルフェニル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(ピペリジン−1−イルカルボニル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(1H−インドール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
4−{3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンジル}モルホリン−4−イウム=トリフルオロアセテート;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−メトキシフェニル)−2−チエニル]エタノン;
3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]安息香酸;
N,N−ジメチル{4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}メタンアミニウム=トリフルオロアセテート;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−キノリン−6−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[1−(2−ナフチルメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2−チエニル}エタノン;
1−{5−[1−(シクロヘキシルメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(3−メチルピリジン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−ピリジン−4−イル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−ピリジン−2−イル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[(フェニルスルホニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
4−{5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}フェニル=ジメチルスルファメート;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{[(4−フルオロフェニル)スルホニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−ピラジン−2−イル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(2−チエニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[6−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−ピリジン−3−イル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(4−メチルフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[3−(2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}エタノール;
4−{5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}ベンズアルデヒド;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{3−[(イソプロピルスルホニル)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)エタノン;
1−{5−[3−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−(5−{3−[(4−tert−ブチルフェノキシ)メチル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[5−(3−{[(4−クロロフェニル)スルホニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[3−(2,4−ジクロロフェニル)−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
フェニル=({5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}メチル)スルホニウムオレート(sulfoniumolate);
N−(3,4−ジクロロフェニル)−2−{5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル}アセトアミド;
2−モルホリン−4−イル−5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ピリジニウム=トリフルオロアセテート;
メチル=4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンゾエート;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(6−メトキシピリジン−3−イル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−キノリン−8−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−キノリン−3−イル−2−チエニル)エタノン;
1−{5−[3−(3,5−ジメチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[5−(1−ベンゾチエン−7−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
N−メチル−N−(キノキサリン−6−イルメチル)−3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンズアミド;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(4−ニトロフェニル)−2−チエニル]エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(1H−ピラゾール−3−イル)−2−チエニル]エタノン;
5−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]イソキノリニウム=トリフルオロアセテート;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−ピリミジン−5−イル−2−チエニル)エタノン;
1−[5−(1−ベンゾチエン−3−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(4−イソプロポキシフェニル)−2−チエニル]エタノン;
N−{4−[5−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アセトアミド;
1−[5−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
N−{4−[5−(2,2,2−トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}メタンスルホンアミド;
tert−ブチル={3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}カルバメート;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[1−(4−メチルベンジル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2−チエニル}エタノン;
4−({4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル}メチル)ベンゾニトリル
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−{1−[4−(メチルスルホニル)ベンジル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル}−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(1−{2−[(フェニルスルホニル)メチル]ベンジル}−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2−チエニル]エタノン;
1−{5−[1−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−{5−[1−(シクロブチルメチル)−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン;
4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]安息香酸;
N−(4−フルオロベンジル)−3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンズアミド;
N−メチル−N−(キノキサリン−6−イルメチル)−4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]ベンズアミド;
(2E)−3−{4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリル酸;
(2E)−3−{3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリル酸;
1−[5−(4−ベンゾイルフェニル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−ピリジン−3−イル−2−チエニル)エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[2−(1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]−2−チエニル}エタノン;
(2E)−N−メチル−N−(キノキサリン−6−イルメチル)−3−{4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリルアミド;
(2E)−N−(4−フルオロベンジル)−3−{4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリルアミド;
(2E)−N−メチル−N−(キノキサリン−6−イルメチル)−3−{3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリルアミド;
(2E)−N−(4−フルオロベンジル)−3−{3−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}アクリルアミド;
4−[5−(トリフルオロアセチル)−1,3−チアゾール−2−イル]ピリジニウム=トリフルオロアセテート;
1−[2−(4−アセチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(1−ナフチル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン;
4−[5−(トリフルオロアセチル)−1,3−チアゾール−2−イル]ベンゾニトリル;
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−フェノキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン;
1−(2−ビフェニル−4−イル−1,3−チアゾール−5−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−{2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}エタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(4−ニトロフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン;
1−[2−(3,4−ジクロロフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[2−(4−ブロモフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
1−[2−(3,4−ジフルオロフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−チアントレン−1−イル−2−チエニル)エタノン;
1−[5−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン;
tert−ブチル={4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}カルバメート及び
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−フェニル−2−チエニル)エタノン。
【0090】
式Iの化合物の遊離塩基、並びにその医薬上許容され得る塩及び立体異性体は、本発明に含まれる。本明細書に例示される具体的な化合物のうちいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩である。2個以上のN原子を含む複素環を有する式Iの化合物は、N原子のうち任意の1個、いくつか又はすべてでプロトン化されていてもよい。用語「遊離塩基」とは、非塩の形態のアミン化合物を指す。包含される医薬上許容され得る塩は、本明細書に記載される具体的な化合物について例示される塩だけでなく、式Iの化合物の遊離形のすべての通常の医薬上許容され得る塩も含む。記載される具体的な塩化合物の遊離形は、当該技術分野における技術上公知の方法を用いて単離し得る。例えば、遊離形は、塩を適した希塩基水溶液、例えば、希NaOH、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウム水溶液で処理することによって再生し得る。遊離形は、特定の物理的特性、例えば、極性溶媒における可溶性においてそのそれぞれの塩の形とは幾分か異なり得るが、酸性及び塩基性塩は、そのほかの点では、本発明の目的上、そのそれぞれの遊離形と医薬的に同等である。
【0091】
本化合物の医薬上許容され得る塩は、慣用の化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含む本発明の化合物から合成できる。通常、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによってか、遊離塩基を、適した溶媒又は種々の溶媒の組合せ中で、化学量論量の、又は過剰の所望の塩を形成する無機又は有機酸と反応させることのいずれかによって調製する。同様に、酸性化合物の塩も、適当な無機又は有機塩基との反応によって形成される。
【0092】
したがって、本発明の化合物の医薬上許容され得る塩として、塩基性の本化合物を無機又は有機酸と反応させることによって形成されるような、本発明の化合物の慣用の非毒性塩が挙げられる。例えば、慣用の非毒性塩として、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導されるもの並びに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などから調製された塩が挙げられる。本発明化合物の医薬上許容され得る塩は、1当量の式(I)の化合物と、1、2又は3当量の無機又は有機酸とを含むことが好ましい。より詳しくは、本発明の医薬上許容され得る塩として、トリフルオロ酢酸塩又は塩化物、特に、トリフルオロ酢酸塩がある。
【0093】
本発明の化合物が酸性である場合、適した「医薬上許容され得る塩」とは、医薬上許容され得る非毒性塩基、例えば、無機塩基及び有機塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬上許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第一、第二及び第三級アミン、置換アミン、例えば、天然に存在する置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタインカフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。
【0094】
上記の医薬上許容され得る塩及びその他の典型的な医薬上許容され得る塩の調製は、バーグ(Berg)ら、(1977)ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンセズ(Journal of Pharmaceutical Sciences)「ファーマシューティカル・ソルツ(Pharmaceutical Salts)」、66:1〜19頁によってより十分に記載されている。
【0095】
生理学的条件下では、化合物中の脱プロトン化酸性部分、例えば、カルボキシル基が陰イオン性であってもよく、この電子電荷が次いで、プロトン化又はアルキル化塩基性部分、例えば、第四級窒素原子の陽イオン電荷に対して内部的にバランスが崩れている場合があるので、本発明の化合物は、内部塩又は双性イオンの可能性があるということも留意される。
【0096】
本発明の化合物は、療法によるヒト又は動物の身体の治療法において使用できる。
【0097】
本発明の化合物は、ヒト及び動物の健康のための種々の適用において用途がある。本発明の化合物は、その他の疾患の中でもがんの治療において有用であるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。HDACは、タンパク質、例えば、ヒストンのリシン残基からのアセチル基の除去を触媒し、HDAC阻害剤は、遺伝子発現、細胞分化、細胞周期進行、増殖停止、及び/又はアポトーシスに影響を及ぼすことをはじめ多様な生物学的機能を示す。ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)2003、46:5097及びカレント・メディシナル・ケミストリー(Current Medicinal Chemistry)2003、10:2343参照のこと。
【0098】
本発明の化合物は、細胞増殖性疾患を治療するために用いられる。本明細書に提供される方法及び組成物によって治療できる病状としては、それだけには限らないが、がん(以下でさらに論じる)、神経変性疾患、統合失調症及び卒中が挙げられる。
【0099】
本明細書に提供される化合物、組成物及び方法は、がん、例えば、固形腫瘍、例えば、皮膚癌、乳癌、脳癌、子宮頸癌、睾丸癌などの治療にとって有用であると特に考えられる。特に、本発明の化合物、組成物及び方法によって治療できるがんとしては、それだけには限らないが以下が挙げられる:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫及び奇形腫;:気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞上皮癌(細気管支癌)、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌種、絨毛癌、肉腫、間質性細胞癌腫、線維腫、線維線腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝細胞腫(肝細胞癌)、胆管癌、胆芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨骨腫及び巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣腫、肺細胞腫[松果体腫]、多形膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前腫瘍性子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫]、顆粒膜−莢膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化肺細胞腫、悪性奇形腫)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液学的:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、ほくろ異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;及び副腎:神経芽細胞腫。したがって、本明細書において提供される用語「がん性細胞」として、上記で同定される状態のいずれか1種を起こしている細胞が挙げられる。
【0100】
したがって、本発明は、細胞増殖性疾患を治療するための医薬の製造において使用するための式Iの化合物を提供する。
【0101】
本発明はまた、細胞増殖性疾患の治療を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、細胞増殖性疾患の治療方法を提供する。
【0102】
本発明の化合物はまた、神経変性疾患、例えば、それだけには限らないが、ポリグルタミン伸長関連神経変性、ハンチントン病、ケネディー症候群、脊髄小脳失調症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮(DRPLA)、タンパク質凝集関連神経変性、マシャド−ジョセフ病、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、海綿状脳症、プリオン関連病及び多発性硬化症(MS)の治療又は予防において有効であり得る。WO02/090534及びWO03/083067参照のこと。
【0103】
したがって、本発明は、神経変性疾患を治療又は予防するための医薬の製造において使用するための式Iの化合物を提供する。
【0104】
本発明はまた、神経変性疾患の治療を必要とする患者へ、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、神経変性疾患を治療又は予防するための方法を提供する。
【0105】
本発明の化合物はまた、精神遅滞、特に、「X染色体関連精神遅滞」及び「ルビンシュタイン−テイビ症候群」の治療又は予防において有用であり得る。
【0106】
したがって、本発明は、精神遅滞を治療又は予防するための医薬を製造するための式Iの化合物を提供する。
【0107】
本発明はまた、精神遅滞の治療又は予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、精神遅滞を治療又は予防するための方法を提供する。
【0108】
本発明の化合物はまた、統合失調症の治療又は予防において有用であり得る。WO02/090534参照のこと。
【0109】
したがって、本発明は、統合失調症を治療又は予防するための医薬を製造するための式Iの化合物を提供する。
【0110】
本発明はまた、統合失調症の治療又は予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、統合失調症を治療又は予防するための方法を提供する。
【0111】
本発明の化合物はまた、炎症性疾患、例えば、それだけには限らないが、卒中、関節リウマチ、紅斑性狼瘡、潰瘍性大腸炎及び外傷性脳損傷の治療又は予防において有用であり得る。レオーニ(Leoni)ら(2002)、PNAS、99(5):2995〜3000頁、スーロネン(Suuronen)ら(2003)ジャーナル・オブ・ニューロケミストリー(Journal of Neurochemistry)87:407〜416頁及びドラッグ・ディスカバリー・トゥデイ(Drug Discovery Today)(2005)、10:197〜204頁参照のこと。
【0112】
したがって、本発明は、炎症性疾患を治療又は予防するための医薬を製造するための式Iの化合物を提供する。
【0113】
本発明はまた、炎症性疾患の治療又は予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、炎症性疾患を治療又は予防する方法を提供する。
【0114】
本発明の化合物はまた、平滑筋細胞増殖及び/又は遊走の阻害において有用であり、したがって、例えば、血管形成術及び/又はステント移植後の再狭窄の予防及び/又は治療において有用である。
【0115】
したがって、本発明は、再狭窄を治療又は予防するための医薬を製造するための式Iの化合物を提供する。
【0116】
本発明はまた、再狭窄の治療又は予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、再狭窄を治療又は予防するための方法を提供する。
【0117】
一実施態様では、ステント装置中又はステント装置上に、例えば、ステント装置上に被覆されている1種以上の本発明の化合物を有するステント装置を提供することによって、平滑筋細胞増殖及び/又は遊走が阻害され、再狭窄が予防及び/又は治療される。ステント装置は、本発明の化合物を制御可能に放出し、それによって平滑筋細胞増殖及び/又は遊走を阻害し、再狭窄を予防及び/又は治療するよう設計される。
【0118】
狭窄及び再狭窄は、血管の狭小化と関連している状態である。血管の狭窄は、通常、経時的に段階的に起こる。対照的に、再狭窄は、血管内処置、例えば、バルーン血管形成術及び/又はステント移植、又は血管損傷後の血管の狭小化と関連している。
【0119】
バルーン血管形成術は、通常、狭窄血管を広げるために実施され;ステント留置は、通常、バルーン血管形成術後に、又はバルーン血管形成術と組合せて血管の開通性を維持するために実施される。狭窄血管は、バルーンが先端についたカテーテルを狭窄部位に誘導することと、バルーンの先端を膨張させて、閉塞した血管を効果的に拡張させることとによるバルーン血管形成術で広げられる。拡張された血管の開通性を維持する1つの試みでは、ステントを血管中に埋め込み、血管の広げられた部位に血管内支持体を提供し、それによって、バルーンカテーテルを外した後に血管がその閉塞した状態に戻る程度を制限することができる。再狭窄は、通常、例えば、バルーン拡張、粥腫切除術又は動脈のレーザー切断治療によってもたらされた、血管形成術の際に受けた外傷によって引き起こされる。これらの処置について、再狭窄は、血管の位置、病変の長さ及びいくつかのその他の変数に応じて約30%〜約60%の割合で生じる。これが、比較的非侵襲性のバルーン血管形成術及びステント留置手順の全体的な成功を低下させている。
【0120】
再狭窄は、平滑筋細胞(SMC)の増殖をはじめ、多数の因子に起因する。SMC増殖は、内膜に対する最初の機械的損傷によって引き起こされ、バルーン血管形成術及びステント移植時に持続される。このプロセスは初期の血小板活性化と血栓形成と、それに続く、SMC補充及び遊走、最後に、細胞増殖及び細胞外マトリックス蓄積を特徴とする。損傷を受けた内皮細胞、SMC、血小板及びマクロファージは、サイトカイン及び増殖因子を分泌し、これが再狭窄を促進する。SMC増殖は、新生内膜過形成をもたらす最終的な共通の経路に相当する。したがって、細胞周期における特定の制御事象を阻害することを目的とする抗増殖療法は、血管形成術後の再狭窄への最も妥当なアプローチとなり得る。
【0121】
本発明の化合物はまた、免疫抑制剤又は免疫調節物質として使用してもよく、したがって、免疫応答又は免疫媒介性反応及び疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡(SLE)及び臓器、組織若しくは細胞移植片の被提供者における急性若しくは慢性移植拒絶反応の治療又は予防において使用できる(WO05/013958参照のこと)。
【0122】
本発明の化合物を使用できる自己免疫疾患の例として、自己免疫血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、純赤血球性貧血及び特発性血小板減少症)、全身性紅斑性狼瘡、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、多発性軟骨炎、スクレロドーマ(sclerodoma)、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、乾癬、アトピー性皮膚炎、脈管炎、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)内分泌眼疾患、グレーブス病、サルコイドーシス、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(I型真性糖尿病)、II型糖尿病及びそれに付随する障害、ブドウ膜炎(前及び後)、角結膜炎及び春季カタル、間質性肺繊維症、乾癬性関節炎、糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴うか伴わない、例えば、特発性ネフローゼ症候群又は微小変化型ネフローゼ)、感染性若年性皮膚筋炎、自己抗体媒介性疾患、再生不良性貧血、エヴァンス症候群、自己免疫性溶血性貧血、異常免疫応答及び/又は活性化を引き起こす感染性疾患、例えば、外傷又は病原体誘導性免疫調節不全(例えば、B型及びC型肝炎感染症、黄色ブドウ球菌感染、ウイルス性脳炎、敗血症、損傷が炎症反応によって誘導される寄生虫症(例えば、らい病)によって引き起こされるものを含む)並びに循環器の疾患、例えば、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、結節性多発性動脈炎及び心筋炎が挙げられる。
【0123】
したがって、本発明は、免疫不全を治療又は予防するための医薬を製造するための式Iの化合物を提供する。
【0124】
本発明はまた、免疫不全の治療又は予防を必要とする患者に、有効量の式Iの化合物又は式Iの化合物を含む組成物を投与することを含む、免疫不全を治療又は予防する方法を提供する。
【0125】
本発明の化合物はまた、その他の疾患、例えば、糖尿病、心血管障害、喘息、心臓肥大及び心不全の治療又は予防においても有用であり得る(セル(Cell)(2002)、110:479〜488頁)。
【0126】
本発明の化合物は、標準的薬学のプラクティスに従い、哺乳動物、好ましくは、ヒトに、単独で、又は医薬組成物中で医薬上許容され得る担体、賦形剤若しくは希釈剤と組合せて投与してもよい。一実施態様では、本発明の化合物は、動物に投与してよい。本化合物は、経口的に又は非経口的に投与でき、例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸及び局所経路の投与ができる。
【0127】
本発明はまた、1種以上の本発明の化合物と、医薬上許容され得る担体とを含む医薬組成物を提供する。有効成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性散剤若しくは顆粒剤、エマルジョン、ハード若しくはソフトカプセル剤又はシロップ剤又はエリキシル剤のような経口使用に適した形としてよい。経口使用向きの組成物は、医薬組成物の製造のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製してもよく、このような組成物は、医薬的に洗練された、味の良い製剤を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適している非毒性の医薬上許容され得る賦形剤との混合物中に有効成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;造粒剤及び崩壊剤、例えば、マイクロクリスタリンセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン又はアラビアガム、及び滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤はコーティングされていなくてもよいし、薬物の嫌な味をマスクするため、若しくは消化管における崩壊及び吸収を遅延し、それによって長期間にわたる持続作用を提供するために既知技術によってコーティングされていてもよい。例えば、水溶性の味をマスクする物質、例えば、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロース又は時間遅延物質、例えば、エチルセルロース、酢酸ブチルセルロースを使用してもよい。
【0128】
経口使用用製剤はまた、有効成分が不活性の固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合されているハードゼラチンカプセル剤として、又は有効成分が水溶性担体、例えば、ポリエチレングリコール若しくはオイル媒体、例えば、ピーナッツオイル、流動パラフィン若しくはオリーブオイルと混合されているソフトゼラチンカプセル剤として提示され得る。
【0129】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に活性物質を含む。このような賦形剤として、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアガムがあり;分散剤又は湿潤剤は天然に存在するリン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、若しくはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、若しくはエチレンオキシドの脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、若しくはエチレンオキシドの、脂肪酸及び無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。水性懸濁液はまた、1種以上の保存料、例えば、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエートと、1種以上の着色剤と、1種以上の矯味剤と、1種以上の甘味剤、例えば、スクロース、サッカリン若しくはアスパルテームとを含み得る。
【0130】
油性懸濁液は、有効成分を植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナッツオイル、又は鉱油、例えば、流動パラフィンに懸濁することによって製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、ハードパラフィン又はセチルアルコールを含み得る。味の良い経口製剤を提供するために、上記のものなどの甘味剤及び矯味剤を加えてもよい。これらの組成物は、抗酸化物質、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はα−トコフェロールの添加によって保存できる。
【0131】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性散剤及び顆粒剤は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存料との混合物中の有効成分を提供する。適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上記にすでに記載されているものによって示されている。さらなる賦形剤として、例えば、甘味剤、矯味剤及び着色剤も存在し得る。これらの組成物は、抗酸化物質、例えば、アスコルビン酸の添加によって保存できる。
【0132】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形であってもよい。油相は、植物油、例えば、オリーブ油若しくはラッカセイ油、又は鉱油、例えば、流動パラフィン又はこれらの混合物であり得る。適した乳化剤は、天然に存在するリン脂質、例えば、ダイズレシチン、並びに脂肪酸と無水ヘキシトールに由来するエステル若しくは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレエート、並びに前記部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであり得る。エマルジョンはまた、甘味料、矯味剤、保存料及び抗酸化物質も含み得る。
【0133】
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースを用いて製剤してよい。このような製剤はまた、鎮痛薬、防腐剤、矯味剤及び着色剤及び抗酸化薬も含み得る。
【0134】
本医薬組成物は、滅菌注射用水溶液の形であり得る。使用できる許容可能なビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。
【0135】
滅菌注射用製剤はまた、有効成分が油相に溶解している滅菌注射用水中油型マイクロエマルジョンであり得る。例えば、有効成分をまず、ダイズオイルとレシチンの混合物に溶解してよい。次いで、このオイル溶液を、水とグリセロールの混合物に入れ、マイクロエマルジョンを形成するよう処理する。
【0136】
注射用溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射によって患者の血流中に入れることができる。或いは、本化合物の一定循環濃度を維持するような方法で溶液又はマイクロエマルジョンを投与することが有利であり得る。このような一定濃度を維持するために、連続的静脈内送達装置を利用してもよい。このような装置の一例として、Deltec CADD−PLUS(商標)モデル5400静脈内ポンプがある。
【0137】
本医薬組成物は、筋肉内投与及び皮下投与用の滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形であり得る。この懸濁液は、上記に記載されている適した分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用い、既知技術に従って製剤できる。滅菌注射用製剤はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。さらに、滅菌硬化油も、溶媒又は懸濁媒体として従来用いられている。この目的には、合成モノ又はジグリセリドをはじめ、任意の無刺激性硬化油を使用してよい。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は注射用物質の調製において用途がある。
【0138】
式Iの化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形で投与してもよい。これらの組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって、直腸で融解し、薬物を放出する適した非刺激性賦形剤と混合することによって調製できる。このような物質として、ココアバター、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物が挙げられる。
【0139】
局所使用用には、式Iの化合物を含む、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが用いられる。(この適用目的上、局所適用はマウスウォッシュ及び口腔洗浄薬を含むものとする。)
【0140】
本発明の化合物は、適した経鼻ビヒクル及び送達装置の局所使用によって経鼻形態で、又は当業者に周知の経皮皮膚パッチの形のものを用いて経皮経路によって投与できる。経皮送達系の形で投与されるには、投与量の投与は、当然、投薬レジメンを通じて間欠的ではなく連続となる。本発明の化合物はまた、ココアバター、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコール及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの混合物などの基剤を用いて坐剤として送達してもよい。
【0141】
本発明の化合物をヒト被験体に投与する場合には、一日用量は、通常、処方医師によって決定され、投与量は、通常、個々の患者の年齢、体重、性別及び応答並びに患者の症状の重篤度に応じて変わる。
【0142】
1つの例示的適用では、化合物の適した量を、がんの治療を受けている哺乳動物に投与する。通常、投与は、約0.1mg/体重1kg/日〜約60mg/体重1kg/日の間、好ましくは、0.5mg/体重1kg/日〜約40mg/体重1kg/日の間の量で行う。
【0143】
本化合物はまた、既知治療薬及び抗がん剤との組合せにおいても有用である。したがって、本発明は、同時、分離又は逐次投与のための、式(I)の化合物と既知治療薬及び/又は抗がん剤の組合せを提供する。例えば、本化合物は、既知抗がん剤との組合せにおいて有用である。目下、開示されている化合物と、その他の抗がん剤又は化学療法薬との組合せは、本発明の範囲内にある。このような薬剤の例は、V.T.デビタ(DeVita)及びS.ヘルマン(Hellman)編、第6版(2001年2月15日)、リッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott Williams and Wilkins)出版社によるキャンサー・プリンシプルズ・アンド・プラクティス・オブ・オンコロジー(Cancer Principles and Practice of Oncology)、に見出すことができる。当業者ならば、薬物及び関与するがんの個々の特徴に基づいて、どの組合せの薬剤が有用であるかを見極めることができる。このような抗がん剤として、それだけには限らないが、以下が挙げられる:その他のHDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及びその他の血管新生抑制剤、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、アポトーシス誘発物質及び細胞周期チェックポイントを干渉する物質。本化合物は、放射線療法と同時投与された場合に特に有用である。
【0144】
一実施態様では、本化合物はまた、既知抗がん剤、例えば、以下のものとの組合せにおいて有用である:その他のHDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤及びその他の血管新生抑制剤。
【0145】
「その他のHDAC阻害剤」の例として、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、LAQ824、LBH589、PXD101、MS275、FK228、バルプロ酸、酪酸及びCI−994が挙げられる。
【0146】
「エストロゲン受容体モジュレーター」とは、機序にかかわらず、エストロゲンの受容体との結合を干渉又は阻害する化合物を指す。エストロゲン受容体モジュレーターの例として、それだけには限らないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン及びSH646が挙げられる。
【0147】
「アンドロゲン受容体モジュレーター」とは、機序にかかわらず、アンドロゲンの受容体との結合を干渉又は阻害する化合物を指す。アンドロゲン受容体モジュレーターの例として、フィナステリド及びその他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール及び酢酸アビラテロンが挙げられる。
【0148】
「レチノイド受容体モジュレーター」とは、機序にかかわらず、レチノイドの受容体との結合を干渉又は阻害する化合物を指す。このようなレチノイド受容体モジュレーターの例として、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミド及びN−4−カルボキシフェニルレチナミドが挙げられる。
【0149】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」とは、主に、細胞の機能を直接干渉するか、細胞有糸分裂を阻害又は干渉することによって、細胞死を引き起こすか、又は細胞増殖を阻害する化合物、例えば、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレータ、低酸素活性化可能化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、有糸分裂進行に関与しているキナーゼの阻害剤、代謝拮抗剤;生物反応修飾物質;ホルモン/抗ホルモン治療薬、造血性増殖因子、モノクローナル抗体標的化治療薬、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤及びユビキチンリガーゼ阻害を指す。
【0150】
細胞傷害剤の例として、それだけには限らないが、セルテネフ(sertenef)、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン(lonidamine)、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール(dibromodulcitol)、ラニムスチン、ホテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン(heptaplatin)、エストラムスチン、トシル酸インプロスルファン、トロフォスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン(profiromycin)、シスプラチン、イロフルベン(irofulven)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド(glufosfamide)、GPX100、(トランス,トランス,トランス)−ビス−mu−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−mu−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニルスペルミン(diarizidinylspermine)、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド(pinafide)、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン(annamycin)、ガラルビシン(galarubicin)、エリナフィド(elinafide)、MEN10755及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシンが挙げられる(WO00/50032参照のこと)。
【0151】
低酸素活性化可能化合物の一例として、チラパザミンがある。
【0152】
プロテアソーム阻害剤の例として、それだけには限らないが、ラクタシスチン、ボルテゾミブ、エポキソミシン及びペプチドアルデヒド、例えば、MG132、MG115及びPSIが挙げられる。
【0153】
一実施態様では、本発明の化合物は、その他のHDAC阻害剤、例えば、SAHA及びプロテアソーム阻害剤と併用できる。
【0154】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例として、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキセル、リゾキシン、ドラスタチン、イセチオン酸ミボブリン、オーリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば、米国特許第6,284,781号及び同6,288,237号参照のこと)及びBMS188797が挙げられる。
【0155】
トポイソメラーゼ阻害剤のいくつかの例として、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−チャートリューシン(chartreusin)、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、リン酸エトポシド、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン(asulacrine)、(5a、5aB、8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソギノリン(isoguinoline)−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン及びジメスナがある。
【0156】
有糸分裂キネシン、特に、ヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、PCT公開WO01/30768、WO01/98278、WO02/056880、WO03/050,064、WO03/050,122、WO03/049,527、WO03/049,679、WO03/049,678、WO03/039460、WO03/079973、WO03/099211、WO2004/039774、WO03/105855、WO03/106417、WO2004/087050、WO2004/058700、WO2004/058148及びWO2004/037171及びUS出願US2004/132830及びUS2004/132719に記載されている。一実施態様では、有糸分裂キネシンの阻害剤として、それだけには限らないが、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、Kif14の阻害剤、Mphosph1の阻害剤及びRab6−KIFLの阻害剤が挙げられる。
【0157】
「有糸分裂進行に関与しているキナーゼの阻害剤」として、それだけには限らないが、オーロラキナーゼの阻害剤、Polo様キナーゼ(PLK)の阻害剤(特に、PLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤及びbub−R1の阻害剤が挙げられる。
【0158】
「抗増殖剤」としては、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えば、G3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231及びINX3001、並びに代謝拮抗剤、例えば、エノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド(paltitrexid)、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテイナサイジン(ecteinascidin)、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デクスラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン及び3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾンが挙げられる。
【0159】
モノクローナル抗体標的化治療薬の例として、癌細胞特異的又は標的細胞特異的モノクローナル抗体と結合している細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療薬が挙げられる。例として、ベキサールが挙げられる。
【0160】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」とは、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルCoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用できるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例として、それだけには限らないが、ロバスタチン(メバコール(登録商標);米国特許第4,231,938号、同4,294,926号及び同4,319,039号参照のこと)、シンバスタチン(ゾコール(登録商標);米国特許第4,444,784号、同4,820,850号及び同4,916,239号参照のこと)、プラバスタチン(プラバコール(登録商標);米国特許第4,346,227号、同4,537,859号、同4,410,629号、同5,030,447号及び同5,180,589号参照のこと)、フルバスタチン(レスコール(登録商標);米国特許第5,354,772号、同4,911,165号、同4,929,437号、同5,189,164号、同5,118,853号、同5,290,946号及び同5,356,896号参照のこと)及びアトルバスタチン(リピトール(登録商標);米国特許第5,273,995号、同4,681,893号、同5,489,691号及び同5,342,952号参照のこと)。本方法において使用できるこれらの及びさらなるHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、M.ヤルパニ(Yalpani)、「コレステロール・ロワーリング・ドラッグス(Cholesterol Lowering Drugs)」、ケミストリー・アンド・インダストリー(Chemistry & Industry)、85〜89頁(1996年2月5日)の87頁並びに米国特許第4,782,084号及び同4,885,314号に記載されている。本明細書において、用語HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、医薬上許容され得るラクトン及びオープンアシッド形(すなわち、ラクトン環が開環されて遊離酸を形成している)並びにHMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステルの形のすべてを含み、したがって、このような塩、エステル、オープンアシッド及びラクトンの形の使用は本発明の範囲内に含まれる。
【0161】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」とは、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ酵素のうち任意の1種又は任意の組合せを阻害する化合物、例えば、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)及びゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、Rab GGPTアーゼとも呼ばれる)を指す。
【0162】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の刊行物及び特許に見ることができる:WO96/30343、WO97/18813、WO97/21701、WO97/23478、WO97/38665、WO98/28980、WO98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、同5,523,430号、同5,532,359号、同5,510,510号、同5,589,485号、同5,602,098号、欧州特許公報0618221号、同0675112号、同0604181号、同0696593号、WO94/19357、WO95/08542、WO95/11917、WO95/12612、WO95/12572、WO95/10514、米国特許第5,661,152号、WO95/10515、WO95/10516、WO95/24612、WO95/34535、WO95/25086、WO96/05529、WO96/06138、WO96/06193、WO96/16443、WO96/21701、WO96/21456、WO96/22278、WO96/24611、WO96/24612、WO96/05168、WO96/05169、WO96/00736、米国特許第5,571,792号、WO96/17861、WO96/33159、WO96/34850、WO96/34851、WO96/30017、WO96/30018、WO96/30362、WO96/30363、WO96/31111、WO96/31477、WO96/31478、WO96/31501、WO97/00252、WO97/03047、WO97/03050、WO97/04785、WO97/02920、WO97/17070、WO97/23478、WO97/26246、WO97/30053、WO97/44350、WO98/02436及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の一例については、ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・キャンサー(European Journal of Cancer)(1999)、35(9)、1394〜1401頁参照のこと。
【0163】
「血管新生抑制剤」とは、機序にかかわらず、新しい血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生抑制剤の例としては、それだけには限らないが、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、繊維芽細胞由来又は血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリサルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、例えば、アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)並びにセレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤(PNAS(1992)、89、7384頁;JNCI(1982)69、475頁;アーカイブ・オブ・オフタルモロジー(Archive of Opthalmology)(1990)108、573頁;アナトミカル・レコード(Anatomical Record)(1994)238、68頁;FEBSレターズ(FEBS Letters)(1995)372、83頁;クリニカル・オルソパイディクス(Clinical Orthopaedics)(1995)313、76頁;ジャーナル・オブ・モレキュラー・エンドクリノロジー(Journal of Molecular Endocrinology)(1996)16、107頁;ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・ファルマコロジー(Japanese Journal of Pharmacology)(1997)75、105頁;キャンサー・リサーチ(Cancer Research)(1997)57、1625頁(1997);セル(Cell)(1998)93、705頁;インターナショナル・ジャーナル・オブ・モレキュラー・メディシン(International Journal of Molecular Medicine)(1998)2、715頁;ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)(1999)274、9116頁)、ステロイド性抗炎症薬(例えば、副腎皮質ステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンジオテンシンIIアンタゴニスト(フェルナンデス(Fernandez)ら(1985)、ジャーナル・オブ・ラボラトリー・アンド・クリニカル・メディシン(Journal of Laboratory and Clinical Medicine)105:141〜145頁参照のこと)及びVEGFに対する抗体(ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)(1999)17、963〜968頁;キム(Kim)ら(1993)、ネイチャー(Nature)、362、841〜844頁;WO00/44777及びWO00/61186参照のこと)。
【0164】
血管新生を調節又は阻害し、また、本発明の化合物と併用できるその他の治療薬として、血液凝固及び繊維素溶解システムを調節又は阻害する薬剤が挙げられる(クリニカル・ケミストリー・アンド・ラボラトリー・メディシン(Clinical Chemistry and Laboratory Medicine)(2000)38:679〜692頁における総説を参照のこと)。血液凝固及び繊維素溶解経路を調節又は阻害するような薬剤の例として、それだけには限らないが、ヘパリン(スロンボシス・アンド・ヘモスタシス(Thrombosis and Haemostasis)(1998)80:10〜23頁参照)、低分子量ヘパリン及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性トロンビン活性化可能繊維素溶解阻害剤[TAFIa]の阻害剤としても知られる)(スロンボシス・リサーチ(Thrombosis Research)(2001)101:329〜354頁参照のこと)が挙げられる。TAFIa阻害剤は、PCT公開WO03/013,526及び米国特許出願番号60/349,925号(2002年1月18日に出願された)に記載されている。
【0165】
「細胞周期チェックポイントを干渉する薬剤」とは、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するプロテインキナーゼを阻害し、それによってがん細胞をDNA損傷剤に対して増感させる化合物を指す。このような薬剤として、ATR、ATM及びChk1及びChk2キナーゼの阻害剤並びにcdk及びcdcキナーゼ阻害剤が挙げられ、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(Cyclacel)及びBMS−387032によって具体的に示される。
【0166】
「細胞増殖及び生存シグナル伝達経路の阻害剤」とは、細胞表面受容体及びそれらの表面受容体のシグナル変換カスケード下流を阻害する医薬品を指す。このような薬剤として、EGFRの阻害剤(例えば、ゲフィチニブ及びエルロチニブ)、ERB−2の阻害剤(例えば、トラスツズマブ)、IGFRの阻害剤(例えば、WO03/059951に開示されるもの)、サイトカイン受容体の阻害剤、METの阻害剤、PI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)、セリン/トレオニンキナーゼ(それだけには限らないが、例えば、(WO03/086404、WO03/086403、WO03/086394、WO03/086279、WO02/083675、WO02/083139、WO02/083140及びWO02/083138)に記載されるようなAktの阻害剤)、Rafキナーゼの阻害剤(例えば、BAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)及びmTORの阻害剤(例えば、ワイス(Wyeth)CCI−779及びAriad AP23573を含む)が挙げられる。このような薬剤として、小分子阻害剤化合物及び抗体アンタゴニストが挙げられる。
【0167】
「アポトーシス誘導剤」として、TNF受容体ファミリーメンバー(例えば、TRAIL受容体)のアクチベーターが挙げられる。
【0168】
本発明はまた、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDとの組合せを包含する。この明細書の目的のためには、COX−2の選択的阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイによって評価される、COX−1のIC50を上回るCOX−2のIC50の比によって測定される、少なくとも100倍の、COX−1を上回るCOX−2の阻害に対する特異性を有するものとして定義される。このような化合物として、それだけには限らないが、すべて参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,474,995号、同5,861,419号、同6,001,843号、同6,020,343号、同5,409,944号、同5,436,265号、同5,536,752号、同5,550,142号、同5,604,260号、同5,698,584号、同5,710,140号、WO94/15932、米国特許第5,344,991号、同5,134,142号、同5,380,738号、同5,393,790号、同5,466,823号、同5,633,272号及び同5,932,598号に開示されるものが挙げられる。
【0169】
本治療方法において特に有用であるCOX−2の阻害剤として、5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン又はその医薬上許容され得る塩がある。
【0170】
COX−2の特異的阻害剤として記載されており、ひいては、本発明において有用である化合物として、それだけには限らないが、パレコキシブ、セレブレックス(登録商標)及びベクストラ(登録商標)又はそれらの医薬上許容され得る塩が挙げられる。
【0171】
血管新生抑制剤のその他の例として、それだけには限らないが、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクタ−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸マンノペンタオースホスフェート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホネート)及び3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)が挙げられる。
【0172】
上記で用いた「インテグリン遮断薬」とは、生理学的リガンドの、αβインテグリンとの結合を選択的にアンタゴナイズ、阻害、又は無効にする化合物、生理学的リガンドの、αβインテグリンとの結合を選択的にアンタゴナイズ、阻害、又は無効にする化合物、生理学的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリンの両方との結合をアンタゴナイズ、阻害、又は無効にする化合物及び毛細血管内皮細胞上に発現される特定のインテグリン(類)の活性をアンタゴナイズ、阻害、又は無効にする化合物を指す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。この用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストを指す。
【0173】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例として、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル)インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホネート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン及びEMD121974が挙げられる。
【0174】
抗がん化合物以外の化合物との組合せも、本方法に包含される。例えば、この特許請求される化合物の、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの組合せは、特定の悪性腫瘍の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δとは、核ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ及びδである。内皮細胞上でのPPAR−γの発現及び血管新生におけるその関与は、文献に報告されている(ジャーナル・オブ・カルディオバスキュラー・ファルマコロジー(Journal of Cardiovascular Pharmacology)(1998)31:909〜913頁;ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journal of Biological Chemistry)(1999)274:9116〜9121頁;インベスティゲーション・オフタルモロジー・アンド・ビジュアル・サイエンス(Investigation Ophthalmology and Visual Science)(2000)41:2309〜2317頁参照のこと)。より最近、PPAR−γアゴニストは、in vitroでVEGFに対する血管新生反応を阻害することがわかり、トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンは両方とも、マウスにおいて網膜の新血管新生の発生を阻害する(アーカイブ・オブ・オフタルモロジー(Archive of Ophthalmology)(2001)119:709〜717頁)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例として、それだけには限らないが、チアゾリジンジオン(例えば、DRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンズイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN09/782,856に開示される)及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN60/235,708及び60/244,697に開示される)が挙げられる。
【0175】
本発明の別の実施態様は、ここで開示される化合物の、がんの治療のための、抗ウイルス薬(例えば、ヌクレオシド類似体、例えば、ガンシクロビルとの併用である。WO98/04290参照のこと。
【0176】
本発明の別の実施態様は、ここで開示される化合物の、がんの治療のための、遺伝子療法との併用である。がんを治療するための総合戦略の概観については、ホール(Hall)ら(アメリカン・ジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス(American Journal of Human Genetics)(1997)61:785〜789頁)、及びクフェ(Kufe)ら(キャンサー・メディシン(Cancer Medicine)、第5版、876〜889頁、BCデッカー(Decker)、ハミルトン(Hamilton)2000)参照のこと。遺伝子療法を、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達するために使用できる。このような遺伝子の例として、それだけには限らないが、組換えウイルス媒介性遺伝子導入によって送達され得るp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照のこと)、uPA/uPARアンタゴニスト(ジーン・セラピー(Gene Therapy)8月(1998)5(8):1105〜13頁中、「アデノウイルス・メディエイテッド・デリバリー・オブ・ア・ユーピーエー/ユーピーエーアール・アンタゴニスト・サプレセズ・アンギオジェネシス−ディペンデント・チューモア・グロース・アンド・ディセミネーション・イン・マウス(Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice)」)、及びインターフェロンγ(ジャーナル・オブ・イムノロジー(Journal of Immunology)(2000)164:217〜222頁)が挙げられる。
【0177】
本発明の化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、輸送体タンパク質の高レベルの発現と関連しているMDRの阻害剤と併用投与してもよい。このようなMDR阻害剤として、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えば、LY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853及びPSC833(バルスポダール)が挙げられる。
【0178】
本発明の化合物は、本発明の化合物の、単独又は放射線療法を伴う使用に起因し得る、悪心又は嘔吐、例えば、急性、遅発性、晩期及び先行嘔吐を治療するための制吐剤と併用できる。嘔吐の予防又は治療には、本発明の化合物をその他の制吐剤、特に、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン及びザチセトロン(zatisetron);GABA受容体アゴニスト、例えば、バクロフェン;コルチコステロイド、例えば、デカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ、アリストコート、ナサリド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)又は米国特許第2,789,118号、同2,990,401号、同3,048,581号、同3,126,375号、同3,929,768号、同3,996,359号、同3,928,326号及び同3,749,712号に開示されるものなどのその他のもの;抗ドーパミン、例えば、フェノチアジン(例えば、プロクロルペラジン、フルフェナジン、チオリダジン及びメソリダジン)、メトクロプラミド又はドロナビノールと併用してもよい。一実施態様では、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト及びコルチコステロイドから選択される制吐剤を、本化合物の投与に起因し得る嘔吐の治療又は予防のためのアジュバントとして投与する。
【0179】
本発明の化合物と組合せたニューロキニン−1受容体アンタゴニストの使用は、例えば、米国特許第5,162,339号、同5,232,929号、同5,242,930号、同5,373,003号、同5,387,595号、同5,459,270号、同5,494,926号、同5,496,833号、同5,637,699号、同5,719,147号;欧州特許公報EP0360390、同0394989、同0428434、同0429366、同0430771、同0436334、同0443132、同0482539、同0498069、同0499313、同0512901、同0512902、同0514273、同0514274、同0514275、同0514276、同0515681、同0517589、同0520555、同0522808、同0528495、同0532456、同0533280、同0536817、同0545478、同0558156、同0577394、同0585913、同0590152、同0599538、同0610793、同0634402、同0686629、同0693489、同0694535、同0699655、同0699674、同0707006、同0708101、同0709375、同0709376、同0714891、同0723959、同0733632及び同0776893;PCT国際特許公報WO90/05525、同90/05729、同91/09844、同91/18899、同92/01688、同92/06079、同92/12151、同92/15585、同92/17449、同92/20661、同92/20676、同92/21677、同92/22569、同93/00330、同93/00331、同93/01159、同93/01165、同93/01169、同93/01170、同93/06099、同93/09116、同93/10073、同93/14084、同93/14113、同93/18023、同93/19064、同93/21155、同93/21181、同93/23380、同93/24465、同94/00440、同94/01402、同94/02461、同94/02595、同94/03429、同94/03445、同94/04494、同94/04496、同94/05625、同94/07843、同94/08997、同94/10165、同94/10167、同94/10168、同94/10170、同94/11368、同94/13639、同94/13663、同94/14767、同94/15903、同94/19320、同94/19323、同94/20500、同94/26735、同94/26740、同94/29309、同95/02595、同95/04040、同95/04042、同95/06645、同95/07886、同95/07908、同95/08549、同95/11880、同95/14017、同95/15311、同95/16679、同95/17382、同95/18124、同95/18129、同95/19344、同95/20575、同95/21819、同95/22525、同95/23798、同95/26338、同95/28418、同95/30674、同95/30687、同95/33744、同96/05181、同96/05193、同96/05203、同96/06094、同96/07649、同96/10562、同96/16939、同96/18643、同96/20197、同96/21661、同96/29304、同96/29317、同96/29326、同96/29328、同96/31214、同96/32385、同96/37489、同97/01553、同97/01554、同97/03066、同97/08144、同97/14671、同97/17362、同97/18206、同97/19084、同97/19942及び同97/21702;及び英国特許公報第2266529号、同2268931号、同2269170号、同2269590号、同2271774号、同2292144号、同2293168号、同2293169号及び同2302689号に十分に記載されている。このような化合物の調製は、参照により本明細書に組み込まれる前記の特許及び刊行物に十分に記載されている。
【0180】
一実施態様では、本発明の化合物と併用するためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、米国特許第5,719,147に記載される、2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン又はその医薬上許容され得る塩から選択される。
【0181】
本発明の化合物はまた、貧血の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。このような貧血治療薬として、例えば、持続性の(eythropoiesis)受容体アクチベーター(例えば、エポエチンα)がある。
【0182】
本発明の化合物はまた、好中球減少症の治療において有用である薬剤とともに投与してもよい。このような好中球減少症治療薬として、例えば、好中球の産生及び機能を調節する造血増殖因子、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子、(G−CSF)がある。G−CSFの例として、フィルグラスチムが挙げられる。
【0183】
本発明の化合物はまた、免疫増強薬、例えば、レバミソール、イソプリノシン及びザダキシンとともに投与してもよい。
【0184】
本発明の化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホネート、ジホスホネート、ビスホスホン酸及びジホスホン酸を含むと理解される)と組合せて、がん、例えば、骨がんを治療又は予防するのに有用であり得る。ビスホスホネートの例として、それだけには限らないが、以下が挙げられる:エチドロネート(ダイドロネル)、パミドロネート(アレディア)、アレンドロネート(フォサマックス)、リセドロネート(アクトネル)、ゾレドロネート(ゾメタ)、イバンドロネート(ボニバ)、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート及びチルドロネート並びにありとあらゆるその医薬上許容され得る塩、誘導体、水和物及び混合物。
【0185】
したがって、本発明の範囲は、この特許請求される化合物の、その他のHDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス薬、生来多剤耐性の阻害剤、制吐剤、貧血の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫増強薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、細胞周期チェックポイントを干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤及びビスホスホネートから選択される第2の化合物と組合せた使用を包含する。
【0186】
本発明の化合物に関連して、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)とは、化合物又は化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系に導入することを意味する。本発明の化合物又はそのプロドラッグが、1種以上のその他の活性物質(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて提供される場合には、「投与」及びその変形は、本化合物又はそのプロドラッグとその他の物質の同時及び逐次導入を含むと各々理解される。
【0187】
本明細書において、用語「組成物」とは、指定量の指定成分を含む生成物並びに指定量の指定成分の組合せに直接的又は間接的に起因する任意の生成物を包含するものとする。
【0188】
本明細書において用語「治療上有効な量」とは、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医によって求められる組織、系、動物又はヒトにおいて生物学的反応又は医学的反応を誘発する活性化合物又は医薬品の量を意味する。
【0189】
用語「がんを治療すること」又は「がんの治療」とは、がん性状態に冒された哺乳動物への投与を指し、またがん性細胞を死滅させることによってがん性状態を軽減する効果だけでなく、がんの増殖及び/又は転移の阻害をもたらす効果も指す。
【0190】
一実施態様では、第2の化合物として用いられる血管新生阻害剤は、チロシンキナーゼ阻害剤、上皮由来増殖因子の阻害剤、繊維芽細胞由来増殖因子の阻害剤、血小板由来増殖因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリン遮断薬、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサンポリサルフェート、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、カルボキシアミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−(クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1又はVEGFに対する抗体から選択される。一実施態様では、エストロゲン受容体モジュレーターは、タモキシフェン又はラロキシフェンである。
【0191】
治療上有効な量の式Iの化合物を、放射線療法と組合せて、及び/又はその他のHDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス薬、生来多剤耐性の阻害剤、制吐剤、貧血の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫増強薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、細胞周期チェックポイントを干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤及びビスホスホネートから選択される化合物と組合せて投与することを含む、がんを治療する方法も、特許請求の範囲に含まれる。
【0192】
本発明のさらに別の実施態様は、治療上有効な量の式Iの化合物を、パクリタキセル又はトラスツズマブと組合せて投与することを含む、がんを治療する方法である。
【0193】
本発明は、治療上有効な量の式Iの化合物を、COX−2阻害剤と組合せて投与することを含む、がんを治療又は予防する方法をさらに包含する。
【0194】
本発明はまた、治療上有効な量の式Iの化合物及びその他のHDAC阻害剤、エストロゲン受容体モジュレーター、アンドロゲン受容体モジュレーター、レチノイド受容体モジュレーター、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生阻害剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、抗ウイルス薬、細胞増殖及び生存シグナル伝達の阻害剤、細胞周期チェックポイントを干渉する薬剤、アポトーシス誘導剤及びビスホスホネートから選択される化合物を含む、がんを治療又は予防するのに有用な医薬組成物を含む。
【0195】
本発明のこれらの及びその他の態様は、本明細書に含まれる教示から明らかとなる。
【0196】
化学の説明において、及び以下の実施例において用いられる略語:
Aq:水性;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;MeOH:メタノール;EtOAc:酢酸エチル;PE:石油エーテル;THF:テトラヒドロフラン;DCM:ジクロロメタン;CHCl:クロロホルム;CDCN:アセトロニトリル(acetronitrile)−d;CDCl:クロロホルム−d;CDI:カルボニルジイミダゾール;HCl:塩化水素;min:分;h:時間;eq.:当量;M:モル濃度;RT:室温;O/N:一晩;RP−HPLC:逆相高圧液体クロマトグラフィー;BuLi:ブチルリチウム;LDA:リチウムジイソプロピルアミド;EDCl:1−(3−ジメチルアミノプロピル−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;Sat:飽和;TMSCF:トリメチル(トリフルオロメチル)シラン;及びPS−CDI:ポリマー担持カルボジイミド。
【0197】
Xが1,2,4−オキサジアゾールである式Iの化合物は、通常、約140℃という温度で、DMFなどの溶媒中で、式IAの化合物を、適当な脱水剤、例えば、CDIと反応させることによって調製できる:
【0198】
【化7】

【0199】
[式中、a、b、c、A、Y及びZは上記で定義の通りである]。
【0200】
式IAの化合物は、式IBの化合物を、式ICの化合物と反応させることによって調製できる:
【0201】
【化8】

【0202】
[式中、a、b、c、A、Y及びZは上記で定義の通りである]。通常、DMFなどの溶媒中、ほぼ室温で、適当な活性化剤、例えば、CDIを使用できる。
【0203】
式IBのカルボン酸は、対応するエステルの加水分解によって適宜形成できる。例えば、通常、メタノール及び水などの溶媒中、ほぼ室温でLiOHなどの塩基の添加による、標準加水分解条件を使用できる。
【0204】
Xが1,3,4−オキサジアゾールである式Iの化合物は、通常、約100℃という温度で式IDの化合物を適当な脱水剤、例えば、塩化チオニルと反応させることによって調製できる:
【0205】
【化9】

【0206】
[式中、a、b、c、A、Y及びZは上記で定義の通りである]。
【0207】
式IDの化合物は、式IBの化合物を、式IEの化合物と反応させることによって調製できる:
【0208】
【化10】

【0209】
[式中、a、b、c、Y及びZは上記で定義の通りである]。通常、DCM及びDMFなどの溶媒中、ほぼ室温で、適当な活性化剤、例えば、CDIを使用できる。
【0210】
或いは、式Iの化合物は、式IFの化合物を式IGの化合物と反応させることによって調製できる:
【0211】
【化11】

【0212】
[式中、a、b、c、A、Y及びZは上記で定義の通りであり、Lは、例えば臭素などのハロゲンのような脱離基である]。この反応は、通常、Pd(PPhなどのカップリング剤、NaCO又はKCOなどの塩基の存在下、DMF又はエタノールなどの溶媒中、約75℃〜90℃で実施する。
【0213】
式IFの化合物は、式IHの化合物を酸化することによって調製できる:
【0214】
【化12】

【0215】
[式中、A及びLは上記で定義の通りである]。DCMなどの溶媒中、ほぼ室温でのデス−マーチン試薬の使用など、標準酸化条件を使用できる。
【0216】
式IHの化合物は、通常、ほぼ室温で、CsFの存在下、式IJの化合物を適当なトリフルオロアセチル供給源、例えば、TMSCFと反応させることによって調製できる:
【0217】
【化13】

【0218】
[式中、A及びLは上記で定義の通りである]。
【0219】
或いは、式Iの化合物は、式IGの化合物又はボロン酸エステルのような関連誘導体を、式IHの化合物と反応させることによって調製できる。この反応は、通常、Pd(PPhなどのカップリング剤、NaCOなどの塩基の存在下、DMFなどの溶媒中、約90℃で実施する。続いて、先に記載した標準酸化条件下でトリフルオロアルキルエタノール部分をトリフルオロアルキルエタノンに酸化できる。
【0220】
Xが1,2,3−トリアゾールである式Iの化合物は、ナトリウムアジドの存在下で、式IKの化合物を、式ILの化合物と反応させることによって調製できる:
【0221】
【化14】

【0222】
[式中、a、b、c、A、Y、Z及びLは上記で定義の通りである]。この反応は、通常、t−ブタノール及び水などの溶媒中、マイクロ波中約125℃で、例えば、銅粉末及び硫酸銅の形態の銅などの触媒を用いて実施する。
【0223】
式IKの化合物は、式IFの化合物を、通常、Pd(PPhCl及びCuIなどのカップリング剤、NEtなどの塩基の存在下、THFなどの溶媒中、ほぼ室温で式IMの化合物と反応させることによって調製できる:
【0224】
【化15】

【0225】
[式中、Pは、適当な保護基、例えば、トリメチルシリルである]。脱保護は、ほぼ室温で、水及びTHF中、LiOHなどの塩基の使用によるなど、標準条件下で実施できる。
【0226】
Xがチアゾールである式Iの化合物は、式INの化合物を、通常、トルエンなどの溶媒中、マイクロ波中約100℃で、環化剤、例えば、ローソン試薬と反応させることによって調製できる:
【0227】
【化16】

【0228】
[式中、a、b、c、A、Y及びZは、上記で定義の通りである]。
【0229】
式INの化合物は、式IBの化合物を、式IOの化合物と反応させることによって調製できる:
【0230】
【化17】

【0231】
[式中、a、b、c、Y及びZは、上記で定義の通りである]。通常、DCMなどの溶媒中、ほぼ室温で、適当な活性化剤、例えば、カルボジイミドを使用できる。NEtなどの塩基を添加してもよい。
【0232】
中間体及び出発物質の合成が記載されていない場合は、これらの化合物は市販されているか、市販の化合物から標準法によって、又は本明細書における実施例の延長によって製造できる。
【0233】
式Iの化合物は、既知の方法によって、又は実施例に記載される方法によって、他の式Iの化合物に変換し得る。
【0234】
本明細書に記載される任意の合成順序の間、任意の関与する分子上の感受性基又は反応基を保護することが必要であり得、かつ/又は所望され得る。これは慣用の保護基、例えば、プロテクティング・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protecting Groups in Organic Synthesis)、第3版、グリーン(Greene),T.W.及びウッツ(Wuts),P.G.M.;ウィレー・インターサイエンス(Wiley Interscience)、1999及びコチェンスキ(Kocienski),P.J.プロテクティング・グループス(Protecting Groups)、チーメ(Thieme)、1994に記載されるものによって達成され得る。保護基は、都合のよいその後の段階で、当該技術分野で公知の方法を用いて除去し得る。
【0235】
本発明の化合物は、以下のスキームに従って調製した。式内のすべての変数は上記で定義の通りである。
【0236】
スキーム
所望のHDAC阻害剤は、以下に詳述される一般手順を用いて当業者により調製できる。例えば、1,2,4−オキサジアゾールが調製されるのを可能にするために、対応するエチルエステルの塩基性加水分解によって容易に入手可能な5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボン酸を活性化することができる。適した活性化法として、カルボニルジイミダゾールでの処理によるアシルイミダゾールの形成が挙げられる。次いで、得られた種を、アミドオキシムと反応させ、脱水条件下、例えば、マイクロ波加熱下でのさらなるカルボニルジイミダゾールでの処理で環化できる(スキーム1)。
【0237】
【化18】

【0238】
或いは、1,3,4−オキサジアゾールを調製するために、活性化カルボン酸をアシルヒドラジドと反応させ、やはり、脱水条件下、例えば、マイクロ波加熱下で塩化チオニル用いて環化させることができる(スキーム2)。
【0239】
【化19】

【0240】
所望の阻害剤を合成するための代替手順は、スキーム3に示されるようにパラジウムクロスカップリング化学を利用することである。ここで、官能基を有する複素環臭化物は、対応するアルデヒドから、トリフルオロメチル基の付加によって、例えば、フッ化セシウムを用いるトリメチル(トリフルオロメチル)シランの付加と、それに続く、主要なビルディングブロックを得るためのデス−マーチン試薬などの試薬を用いるその後の酸化によって調製できる。この臭化物の、パラジウム触媒及び塩基の存在下でボロン酸を用いるスズキクロスカップリングにより、所望の阻害剤が得られる。これはまた、ポリマー担持触媒を用いて実施できる。
【0241】
【化20】

【0242】
スキーム4に示されるように、同様の手順を用いて、C−4位で官能基化されたチオフェン誘導体を得ることができる。ここでは、パラジウムクロスカップリングを実施し、次いで、最終酸化を行う。
【0243】
【化21】

【0244】
或いは、1,2,3−トリアゾールは、オーガニック・レターズ(Organic Letters)2004、(23)、4223頁中、プラセド・アプクッタン(Prased Apukkuttan)らによって記載され、スキーム5に示されるような「クリック化学」を利用して調製できる。トリメチルシリルアセチレンを用いる5−ブロモチオフェンのソノガシラ(Sonogashira)クロスカップリングと、その後の脱保護によって、非置換アセチレン5−2を遊離させた。この物質を、臭化物、ナトリウムアジドの混合物及び銅粉末及び硫酸銅溶液の混合物で処理すると、有機アジドがその場で生じ、これは、アセチレンを用いる[3+2]シクロ付加反応を受け、マイクロ波を照射することにより必要なHDAC阻害剤を生成させることができる。
【0245】
【化22】

【0246】
チアゾールに近づく手段は、スキーム6に記載される脱水環化の順序を用いて成し遂げることができる。カルボン酸の、ポリマー担持カルボジイミドなどの試薬を用いる活性化により、α−アミノメチルケトンとのカップリングが可能となり、中間体6−1が生じる。この物質の環化は、ローソン試薬での処理と、マイクロ波照射を用いる加熱とによって達成できる。
【0247】
【化23】

【0248】
又は類似の方法論を、アルデヒド7−1へのCF基の付加と、それに続く、その後の中間体7−2の酸化によってチアゾールシリーズに用い、所望のHDAC阻害剤7−3を得ることができる(スキーム7)。或いは、パラジウムクロスカップリングを、官能基化されたチアゾール7−5で実施し、その後中間体化合物7−2を得、その後、7−3のような化合物に最終酸化する、上記で記載されたものと類似の手順を利用できる。
【0249】
【化24】

【0250】
本明細書に記載される例示された化合物は、以下に記載されるアッセイによって試験し、10μM未満のIC50値を有することがわかった。
【0251】
HDAC4+6の調製及び対応するアッセイ
HDAC4発現及びアフィニティー精製
Hisタグを付けたHDAC4、野生型触媒ドメインを、大腸菌(E.Coli)株BL21 Star(商標)(DE3)において発現させた。細胞を37℃、1g/l(15NHSO及び5g/lグルコース及び100μMのZnClを補給した最小培地で、600nmで0.8という光学密度に増殖させ、IPTGを用いて、23℃で16時間誘導した。23℃で80%を超えるタンパク質が可溶性であった。
【0252】
細菌ペレットを、25mM Hepes pH7.5、200mM KCl、0.5% NP−40、20%グリセロール 1mM DTTに再懸濁し、コンプリートEDTAフリープロテアーゼ阻害剤を補給した。続いて、マイクロフルイダイザーによって細菌ペレットを溶解し、15000rpmで30分間遠心分離した。
【0253】
可溶性画分を、25mM Hepes pH7.5、200mM KCl、1mM DTTを用いて1:1希釈し、His Trap HP 5ml(Amersham Biosciences)上に直接ロードした。200mM イミダゾールでタンパク質を溶出した。HDAC4を含む画分を、25mM Hepes pH7.5、5% グリセロール、0.1%のNP−40、1mM DTTを用いて1:3希釈した。次いで、この溶液を、25mM Hepes pH7.5、10%グリセロール、50mM KCl、0.1%のNP−40、1mM DTTを用いて平衡化したResource Q上にロードした。HDAC4は、KClの塩勾配(0〜250)mMを用いて溶出した。生成物を、分取用SEC(G−75、Superdex75 26/60 Amersham Biosciences)(25mM Hepes pH7.5、150mM KCl、0.1%のβ−オクチルグルコピラノシド(glucopiranoside)、1mM DTT)によって分画し、最終生成物を得た。分析的SECは、この生成物が単量体であることを示した。タンパク質を約100μMに濃縮した。
【0254】
フラグを付けたHDAC6発現及びアフィニティー精製
HEK293細胞=6×10個細胞/10cmディッシュを、製造業者の推奨に従い、リポフェクタミン試薬(Invitrogen)を用い15μgのプラスミドDNAを用いてトランスフェクトした。24時間後、細胞を予冷した1×PBSに擦り取って入れ、1500×g、4℃で5分間遠心分離し、1×PBSで2回洗浄し、細胞を計数し、遠心分離によって細胞ペレットを集め、−80℃で凍結する。
【0255】
細胞ペレットを、1mlの低張溶解バッファー(20mM Hepes pH7.9、0.25mM EDTA、10%グリセロール、1mM PMSF、Boehringer製コンプリートEDTAフリープロテアーゼ阻害剤カクテル)に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートする。Douncer2(25ストローク、B乳棒)中でホモジナイズし、ホモジネートに150mM KCl及び0.5% NP40(等張性溶解バッファー:ILB)を加える。30秒(出力5/6、デューティサイクル90、一定タイマー)間で2回超音波処理し、次いで、回転ホイール上、4℃で60分間インキュベートする。SS34ローターにおいて12000rpm、4℃で30分間遠心分離し、上清(可溶性抽出物)を回収する。総タンパク質の濃度を調べ(BioRad試薬)、4〜12%SDS−PAGEミニゲルに4、8及び16μgの総タンパク質を、8〜16ngの参照タンパク質とともにロードする。抗FLAGアルカリホスファターゼ結合モノクローナル抗体(M2−AP、A9469、SIGMA)を用いるウエスタンブロット解析によって、サンプル中のフラグを付けたHDAC6濃度を定める。
【0256】
抗FLAG M2アフィニティーゲルマトリックス(A2220、SIGMA)を、TBSで1回、ILBで2回の3回洗浄し、Eppendorf微量遠心管において毎回10000rpmで30秒間遠心分離する。使用前にスラリーをRTで数分間インキュベートする。可溶性抽出物中、各2μgのフラグを付けたHDAC6について10μlのゲルマトリックスを用い、ゲルマトリックスと可溶性抽出物を混合し、回転ホイール上、4℃で一晩インキュベートする。遠心分離によってゲルマトリックスを回収し、ILBで1回、0.1% NP−40を含有するILBで2回、溶出バッファー[50mM Hepes pH7.4、5%グリセロール、0.01% Triton X−100、100mM KCl]中でさらに2回洗浄する。ゲルマトリックスに、10容積の、100μg/mlの3×FLAGペプチド(F4799、SIGMA)を含有する溶出バッファーを加え、回転ホイール上、RTで60分間インキュベートすることによってタンパク質を溶出し、溶出されたタンパク質を、遠心分離によって回収する。抗FLAGウエスタンブロット解析によってサンプル中のフラグを付けたHDAC6濃度を推定する(溶出されたタンパク質を、SDS−PAGEローディングバッファーを用いて30倍希釈し、定量化のために4、8及び16ngの参照タンパク質を併用し、3、10及び30μlをロードする)。50μlアリコートを調製し、液体N中で瞬間凍結(snap freeze)し、その後、−80℃で保存する。
【0257】
HDAC4アッセイ
作動試薬
TSA保存液:TSAは、100%DMSO中、10mM溶液として提供する。
アッセイバッファー:25mM Tris/HCl pH8、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl、0.1mg/ml BSA。
希釈した基質溶液:tert−ブチル={(1S)−1−{[(4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル)アミノ]カルボニル}−5−[(トリフルオロアセチル)アミノ]ペンチル}カルバメートを、各使用の前に、Tris 1mM pH7.4を用いて200μMに希釈する。アッセイにおける最終濃度は20μMとする。
希釈した展開剤溶液:市販の20×展開剤濃縮物(KI−105、BioMol Research Laboratories)を、Tris 1mM pH7.4に1:167希釈する。この溶液への2μM[最終]TSAは、反応を停止するその能力を増大する。
酵素作動溶液:酵素は、酵素の新鮮なアリコートから、各使用の前に1.25×アッセイバッファーに希釈する。アッセイにおける最終濃度は、0.2nMとする。
【0258】
実験計画:
反応は、50μl/ウェルという最終容積で96ウェルマイクロプレートにおいて実施する。5μlのDMSO/化合物溶液を加え、アッセイバッファー中のHDAC4酵素を40μl加え、RTで10分間インキュベートする。200μMの基質溶液5μlを加えることによって反応を開始し、37℃で1時間インキュベートする。展開剤/4μM TSA溶液50μlを加えることによって反応を停止し、RTで30分間インキュベートする。励起360nM及び発光460nMで蛍光を測定する。
【0259】
HDAC6アッセイ
作動試薬
TSA保存液:TSAは、100%DMSO中、10mM保存溶液として提供する。
アッセイバッファー:20mM Hepes pH7.5、137mM NaCl、2.7mM KCl、1mM MgCl、0.1mg/ml BSA。
希釈した基質溶液:50mM Fluor−de−Lys(商標)基質(KI−104、BioMol Research Laboratories)を、各使用の前に、HDACアッセイバッファーを用いて150μMに希釈する。アッセイにおける最終濃度は30μMとする。
【0260】
希釈した展開剤溶液:市販の20×展開剤濃縮物(KI−105、BioMol Research Laboratories)を、HDACアッセイバッファーに1:167希釈する。この溶液への2μM[最終]TSAは、反応を停止するその能力を増大する。
HDAC6作動溶液:HDAC6酵素は、酵素の新鮮なアリコートから、各使用の前にアッセイバッファーに希釈する。アッセイにおける最終濃度は、1〜2nMとする。
【0261】
実験計画:
反応は、50μl/ウェルという最終容積で96ウェルマイクロプレートにおいて実施する。5μlのDMSO/化合物溶液、次いで、35μlの、アッセイバッファー中、HDAC6酵素(又は陰性対照では35μlのアッセイバッファー)を加え、RTで10分間インキュベートする。150μMの基質溶液10μlを加えることによって反応を開始し、37℃で1時間インキュベートする。展開剤/4μM TSA溶液50μlを加えることによって反応を停止し、RTで30分間インキュベートする。蛍光を励起360nM及び発光460nMで測定する。
【0262】
上記で用いた略語は以下の通りである:
BSA(ウシ血清アルブミン);DMSO(ジメチルスルホキシド);DTT(ジチオトレイトール);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);em(発光);ex(励起);Hepes((N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン)−N’−(2−エタンスルホン酸));ILB(等張性溶解バッファー);IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド);NP40(ノニデットP40);PBS(リン酸緩衝生理食塩水);O/N一晩;PMSF(フェニルメチルスルホニルフルオリド);RT(室温);SEC(サイズ排除クロマトグラフィー);TBS(Tris緩衝生理食塩水);Tris−HCl(Trisヒドロキシメチルアミノエタン);及びTSA(トリコスタチンA)。
【0263】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1
【0264】
2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{[(4−フルオロベンジル)スルホニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン(A2)
ステップ1:5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボン酸(A1)
エチル=5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボキシレートを、LiOH(2.1当量)を用い、MeOH/HO(1:1)中、RTで48時間加水分解した。この混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcを用いて抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮すると、標題化合物が、白色固体として得られた。MS(ES)CS要求値:224,実測値:243(M+HO+H)
【0265】
ステップ2:2,2,2−トリフルオロ−1−[5−(3−{[(4−フルオロベンジル)スルホニル]メチル}−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)−2−チエニル]エタノン(A2)
上記の酸(A1)を、DMFに溶解し、DMF中のCDIの溶液(1.1当量)を加えた。この混合物をRTで30分間撹拌し、次いで、DMF中の2−[(4−フルオロベンジル)スルホニル]−N−ヒドロキシエタンイミドアミド(1.1当量)を加え、この混合物をRTで一晩撹拌した。得られた中間体(1Z)−2−[(4−フルオロベンジル)スルホニル]−N’−({[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]カルボニル}オキシ)エタンイミドアミド(MS(ES)C1612要求値:452、実測値:471(M+HO+H))を単離せず、代わりに、DMF中のCDI(1.1当量)を加え、混合物を電子レンジ中で加熱した(密閉した試験管、140℃、2分間)。生成物を、溶出剤としてHO(0.1%TFA)及びMeCN(0.1%TFA)を用い、分取用RP−HPLC(カラム:C18)によって単離した。プールした生成物画分を濃縮すると、標題化合物が得られた。H NMR(300MHz,CDCN):δ8.1−8.07(2H,m),7.91(0.1H,d,J=4Hz,hydrateform),7.58−7.49(2H,m),7.41(0.1H,d,J=4Hz,hydrateform),7.25−7.12(2H,m),4.57(2H,s),4.54(2H,s),4.48(0.2H,s,hydrateform).19FNMRdecoupled(282MHz,CDCN):δ−73.78(ketoform),−85.45(hydrateform),−114.51.MS(ES)C1610要求値:434,実測値:453(M+HO+H),MS(ES−)433(M−H+e)
実施例2
【0266】
1−{5−[5−(2−エトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]−2−チエニル}−2,2,2−トリフルオロエタノン(B1)
DCM中のカルボン酸(A1)の溶液に、PS−CDI(1.7当量、負荷1.30mmol/g)を加え、懸濁液をRTで30分間撹拌した。DCM/DMFに溶解した2−エトキシベンゾヒドラジド(1.3当量)を加え、得られた懸濁液をRTで一晩撹拌した。この懸濁液を濾過し、濾液を濃縮した。粗N’−(2−エトキシベンゾイル)−5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボヒドラジド(MS(ES)C1613S要求値:386、実測値:427(M+H0+Na)及び385(M−H+e))を、何らかの精製を行うことなく、それ自体で用いた。過剰の塩化チオニルに溶解し、この溶液を電子レンジ中で加熱し(密閉した試験管、100℃、5分間)、塩化チオニルを留去した。所望の生成物を、溶出剤としてHO(0.1%TFA)及びMeCN(0.1%TFA)を用い、分取用RP−HPLC(カラム:C18)によって単離した。プールした生成物画分を濃縮すると、標題化合物が得られた。H NMR(300MHz,CDCN):δ8.1−8.08(1H,m),8.06−8.01(1H,m),7.95−7.90(1H,m),7.63−7.56(1H,m),7.23−7.17(1H,m),7.16−7.09(1H,m),4.23(2H,q,J=7Hz),1.48(3H,t,J=7Hz).19FNMR(282MHz,CDCN):δ−74.25(ketoform),−86.14(hydrateform).MS(ES)C1611S要求値:368,実測値:369(M+H)及び387(M+HO+H)
実施例3
【0267】
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−メチルスルフィニル)フェニル]−2−チエニル}エタノン(C3)
ステップ1:1−(5−ブロモ−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(C1)
室温で、乾燥グリム中の5−ブロモチオフェン−2−カルボキサルデヒド(1.0当量)の撹拌溶液に、CsF(0.1当量)を加え、続いて、TMSCF(1.2当量)を滴下した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで、3N HClを加えることによってクエンチし、30分間撹拌した。DCMを用いて有機物を抽出し、有機抽出物を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を留去すると、粗生成物が得られ、これを1〜10%のEtOAc/石油エーテルを用い、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると所望の化合物がオイルとして得られた。H NMR(300MHz,CDCl3,300K)δ7.00(1H,d,J=3.7Hz),6.94(1H,d,J=3.7Hz),5.18(1H,q,J=6.2Hz),3.61(1H,broads)。
【0268】
ステップ2:1−(5−ブロモ−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(C2)
RTで、DCM中のアルコール(C1)の溶液に、デス−マーチン試薬(1.0当量)を加え、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、7倍過剰のNaを含有する飽和NaHCO水溶液中に注ぎ入れることによってクエンチした。この混合物を30分間撹拌し、次いで、層を分離し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を留去すると、粗生成物が得られ、これを1〜10%EtOAc/石油エーテルを用い、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると所望の化合物がオイルとして得られた。H NMR(300MHz,CDCl3,300K)δ7.70(1H,m),7.21(1H,d,J=4.2Hz)。
【0269】
ステップ3:2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−メチルスルフィニル)フェニル]−2−チエニル}エタノン(C3)
DMF(1.0M)中の5−ブロモチオフェン(C2)(1.0当量)及び[4−(メチルスルフィニル)フェニル]ボロン酸(1.3当量)の混合物を、2N NaCO水溶液(2.0当量)とともに、Ar流を用いて10分間脱気した。Pd(PPh(0.05当量)を加え、反応物を90℃で一晩加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、DCMを加えた。有機相を1N NaOH、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、減圧下で濃縮した。粗物質を溶出剤としてHO(0.1%TFA)及びMeCN(0.1%TFA)を用い、分取用RP−HPLC(カラム:C18)によって精製し、所望の画分を凍結乾燥させると、生成物(C3)が得られた。H NMR(400MHz,CDCN,300k)δ7.91(1H,m),7.78(2H,d,J=8.8Hz),7.47(2H,d,J=8.8Hz),6.71(1H,d,J=4.6Hz),2.72(3H,s).MS(ES)C13要求値:318,実測値:319(M+H)。
実施例4
【0270】
1−[5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン(D3)
ステップ1:2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[(トリメチルシリル)エチニル]−2−チエニル}エタノン(D1)
THF(0.25M)中の5−ブロモ−チオフェン実施例3、C2(1.0当量)、Pd(PPhCl(0.025当量)、CuI(0.05当量)及びEtN(28.7当量)の混合物を、Ar流を用いて30分間脱気した。トリメチルシリルアセチレン(1.5当量)を加え、混合物をRTで一晩撹拌した。溶媒を留去すると残渣が得られ、これを0〜5%のEtOAc/石油エーテルを用い、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望の化合物が黄色のオイルとして得られた。H NMR(300MHz,CDCl3,300K)δ7.83−7.78(1H,m),7.25(1H,bs),0.28(9H,s)。
【0271】
ステップ2:1−(5−エチニル−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(D2)
RTで、THF(0.1M)中のD1(1.0当量)の撹拌溶液に、HO中のLiOH(2.0当量)の溶液(0.1M)を加え、反応混合物を1時間撹拌し、次いで、6M HCl溶液をpH=2まで加えることによってクエンチした。有機溶媒を留去し、生成物をDCMによって抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で留去すると、粗生成物が得られ、これをペンタンを用い、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望の化合物が褐色のオイルとして得られた。H NMR(300MHz,CDCl3,300K)δ7.85−7.80(1H,m),7.32(1H,d,J=4.2Hz),3.66(1H,s)。
【0272】
ステップ3:1−[5−(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン(D3)
臭化ベンジル(1.0当量)、D2(1.05当量)及びNaN(1.05当量)を、小さな磁性撹拌子を備えた10mLのガラスバイアル中に入れた、HO及びt−BuOH(0.1M)の1:1混合物に懸濁した。これにCu粉末(0.8当量)及びCuSO溶液(1.0M、0.2当量)を加え、バイアルをアルミニウム/テフロン(登録商標)クリンプトップを用いてしっかりと密閉した。次いで、混合物を、100Wという照射パワーを用い125℃で10分間照射した。反応を完了した後、バイアルを、エアージェット冷却を用いて50℃に冷却し、その後、開封した。次いで、HOを用いて希釈し、沈殿生成物を濾過によって集め、冷HO、続いて、0.25M HCl、最後に石油エーテルを用いて洗浄すると、粗物質が得られ、これを、溶出剤としてHO(+0.1%TFA)及びMeCN(+0.1%TFA)を用い、分取用RP−HPLC(カラム:C18)によって精製し、所望の画分を凍結乾燥すると、生成物(D3)が得られた。H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ8.92(1H,s),8.16−8.12(1H,m),7.73(1H,d,J=4.4Hz),7.44−7.33(5H,m),5.70(2H,s).MS(ES)C1510OS要求値:337,実測値:338(M+H)及び356(M+HO+H)
実施例5
【0273】
2,2,2−トリフルオロ−1−(4−キノキサリン−6−イル−2−チエニル)エタノン(E4)
ステップ1:1−(4−ブロモ−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(E1)
RTで、乾燥グリム中の4−ブロモチオフェン−2−カルボキサルデヒド(1.0当量)の撹拌溶液に、CsF(0.1当量)を加え、続いて、TMSCF(1.2当量)を滴下した。反応混合物を、2時間撹拌し、次いで、3N HClを加えてクエンチし、30分間撹拌した。有機物をDCMを用いて抽出し(3×)、有機抽出物を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を留去すると、粗生成物が得られ、これを10〜90%EtOAc/石油エーテルを用い、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望の化合物(A1)がオイルとして得られた。H NMR(300MHz,CDCl3,300K)δ7.27(1H,s),7.09(1H,s),5.22(1H,q,J=6.2Hz),4.00(1H,broads)。
【0274】
ステップ2:6−(5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン−2−イル)キノキサリン(E2)
1,4−ジオキサン中の6−ブロモキノキサリン(1.0当量)、ビス−(ネオペンチルグリコラト)ジボラン(1.1当量)、KOAc(3.0当量)及びPd(dppf)Cl(0.05当量)の混合物を、Ar流を用いて10分間脱気し、次いで、110℃で4時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、さらに精製することなく次のステップに用いた。MS(ES)C13BN要求値:242,実測値:175(M−[C10]+H)。
【0275】
ステップ3:2,2,2−トリフルオロ−1−(4−キノキサリン−6−イル−2−チエニル)エタノール(E3):
DMF(1.0M)中のアルコール(E1)(1.0当量)及び粗ボロン酸エステル(E2)(1.3当量)の混合物を、2N NaCO水溶液(2.0当量)とともに、Ar流を用いて10分間脱気した。Pd(PPh(0.05当量)を加え、反応物を90℃で一晩加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を、50%EtOAc/石油エーテルを用い、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望の化合物が粉末として得られた。H NMR(400MHz,CDCl3,300K)δ8.81(2H,m),8.20(1H,d,J=2.0Hz),8.10(1H,d,J=8.8Hz),7.98(1H,dd,J=8.8,2.0Hz),7.68(1H,s),7.61(1H,s),5.38(1H,q,J=6.4Hz).MS(ES)C14OS要求値:310,実測値:311(M+H)。
【0276】
ステップ4:2,2,2−トリフルオロ−1−(4−キノキサリン−6−イル−2−チエニル)エタノン(E4)
RTでDCM中のアルコール(E3)の溶液に、デス−マーチン試薬(1.0当量)を加え、反応混合物を3時間撹拌し、次いで、飽和Na水溶液を加えることによってクエンチした。混合物を30分間撹拌し、次いで、層を分離し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で留去すると、残渣が得られ、これを50%EtOAc/石油エーテルを用い、シリカでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製すると、所望の化合物が粉末として得られた(E3)。H NMR(300MHz,DMSO,300K)δ9.06(1H,s),8.98(2H,m),8.74(1H,s),8.62(1H,s),8.38(1H,d,J=8.7Hz),8.18(1H,d,J=8.7Hz).MS(ES)C14OS要求値:308,実測値:309(M+H)及び327(M+HO+H)
実施例6
【0277】
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−チエニル}エタノン(F1)
DME中の1−(5−ブロモ−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(C1)に、ポリマー結合型トリフェニルホスフィンPd(0)(0.5%当量)、続いてEtOH中の4−(メチルチオ)フェニルボロン酸(1.3当量)及び水中のKCO(1.5当量)を加え、混合物を75℃で24時間撹拌した。実施例3に記載のように、懸濁液を濾過し、濾液を逆相HPLCによって精製した。MS(ES)C13OS要求値:302,実測値:303(M+H)。
実施例7
【0278】
2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−フェニル−1,3− チアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン(G2)
ステップ1:N−(2−オキソ−2−フェニルエチル)−5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボキサミド(G1)
DCM中の実施例1、A1の溶液に、ポリマー担持カルボジイミド(2当量)を加え、懸濁液をRTで30分間撹拌した。DCM中の2−アミノアセトフェノンHCl(1.1当量)及びEtN(1.1当量)の溶液を加え、得られた懸濁液をRTで一晩撹拌した。樹脂を濾過し、DCMで洗浄し、濾液を減圧下で濃縮した。DCMで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、標題化合物が固体として得られた。
H NMR(300MHz,CDCN):δ8.05−8.01(3H,m),7.80−7.75(1H,m),7.70−7.52(4H,m),4.85(2H,d,J=5.5Hz).MS(ES)C1510NOS要求値:341,実測値:342(M+H)及び360(M+HO+H)
【0279】
ステップ2:2,2,2−トリフルオロ−1−{5−[5−フェニル−1,3−チアゾール−2−イル]−2−チエニル}エタノン(G2)
トルエン中のG1及びローソン試薬(4当量)の混合物を、密閉した試験管に入れ、電子レンジ中、100℃で10秒間加熱した。この混合物をシリカゲルを通して濾過し、DCMで溶出した。石油エーテル及び酢酸エチルの混合物で溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって所望の化合物を濾液から単離すると、所望の化合物が黄色の固体として得られた。H NMR(300MHz,CDCl):δ8.03(1H,s),7.93−7.88(1H,m),7.62−7.54(3H,m),7.48−7.39(3H,m).MS(ES)C15NOS要求値:339,実測値:340(M+H),358(M+HO+H)及び338(M−H)
実施例8
【0280】
2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノン(H2)
ステップ1:2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノール(H1)
DME中の2−フェニル−1,3−チアゾール−5−カルバルデヒド(1.0当量)及びCsF(0.2当量)の溶液(0.15M)を、CFSiMe(1.5当量)で処理し、次いで、RTで3時間撹拌した。反応混合物を、1N HClを加えることによってクエンチし、30分間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、有機相を分離し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。溶媒を減圧下で留去することにより、生成物が黄色のオイルとして得られた。MS(ES)C11NOS要求値:259,実測値:260(M+H)
【0281】
ステップ2:2,2,2−トリフルオロ−1−(2−フェニル−1,3−チアゾール−5−イル)エタノン(H2)
DCM中のH1の溶液(0.4M)を、デス−マーチン−ペルヨージナン(3.0当量)で処理し、RTで3時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、水相をDCMで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。粗物質をRP−HPLC(Waters SYMMETRY C18、7ミクロン、19×300mm;フロー:20mL/分;勾配:A:HO(+0.1% TFA);B:MeCN(+0.1% TFA);14分で、60% Aから10% Aまで直線的)によって精製すると、所望の画分の凍結乾燥後に標題化合物が固体として得られた。H NMR(300MHz,CDCl,300K)δ7.59−7.47(3H,m),8.07−8.03(2H,m),8.60(1H,s).MS(ES)C11NOS要求値:257,実測値:258(M+H)及び276(M+H+H0)
実施例9
【0282】
2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(2−ナフチル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン(I3)
ステップ1:1−(2−ブロモ−1,3−チアゾール−5−イル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(I1)
DME中の2−ブロモ−5−ホルミルチアゾール(1.0当量)及びCsF(0.2当量)の溶液(0.52M)を、CFSiMe(2.0当量)で処理し、次いで、RTで2時間撹拌した。反応混合物を水を加えることによってクエンチし、15分間撹拌した。次いで、EtOAcで希釈し、有機相を分離した。水相をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。残渣を、5〜25%EtOAc/石油エーテルで溶出するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると標題化合物が黄色の固体として得られた。H NMR(300MHz,CDCl,300K)δ4.04(1H,d,J=5.9Hz),5.32(1H,dq,J=5.9Hz,J=5.9Hz),7.59(1H,s).MS(ES)CBrFNOS要求値:261/263,実測値:262/264(M+H)
【0283】
ステップ2:2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(2−ナフチル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノール(I2)
DME/水/EtOH(4/1/1)中の臭化物I1(1.0当量)、ナフタレン−2−ボロン酸(1.5当量)、KCO(1.5当量)、トリフェニルホスフィン(ポリマー結合型3mmol/g、1.0当量)及びPd(OAc)(0.1当量)の溶液を、アルゴン下、70℃で3日間撹拌した。冷却した後、1NのNaOHを加え、この溶液をIsolute HM−Nカラムを通してEtOAcで洗浄した。溶媒を減圧下で除去すると粗物質が得られ、これを、さらなる精製を行わずに次のステップに用いた。MS(ES)C1510NOS要求値:309,実測値:310(M+H)
【0284】
ステップ3:2,2,2−トリフルオロ−1−[2−(2−ナフチル)−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン(I3)
DCM中の粗生成物I2の溶液を、デスーマーチンペルヨージナン(3.0当量)で処理し、RTで3時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、水相をDCMで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。粗物質をRP−HPLC(Waters SYMMETRY C18、7ミクロン、19×300mm;フロー:20mL/分;勾配:A:HO(+0.1% TFA);B:MeCN(+0.1% TFA);14分間で60% Aから10% Aまで直線的)によって精製すると、所望の画分の凍結乾燥後に標題化合物が固体として得られた。H NMR(300MHz,DMSO−d,300K)δ7.69−7.50(3H,m),8.27−7.92(4H,m),8.55(1H,s).MS(ES)C15NOS要求値:307,実測値:308(M+H)及び326(M+H+H0)
実施例10
【0285】
N−(4−フルオロベンジル)−5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボキサミド(J2)
ステップ1:(4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]安息香酸)(J1)
標題化合物を、DMF(1.0M)中の1−(5−ブロモ−2−チエニル)−2,2,2−トリフルオロエタノン(C2)(1.0当量)及び対応する4−カルボキシフェニルボロン酸(1.3当量)から、実施例3ステップ1に記載したスズキクロスカップリングの一般手順に従って調製した。反応が完了した後、溶液混合物を減圧下で濃縮し、1NのHCl溶液を加えた。得られた形成された沈殿をDCMで数回洗浄し、さらなる精製を行わずに次のカップリング反応に用いた。H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ13.14(1H,broads),8.18(1H,broads),8.06−8.00(4H,m),7.95(1H,d,J=4.2Hz).MS(ES)C13S要求値:300,実測値:301(M+H)。
【0286】
ステップ2:N−(4−フルオロベンジル)−5−(トリフルオロアセチル)チオフェン−2−カルボキサミド(J2)
DMF中のカルボン酸(J1)(1.0当量)の撹拌溶液に、DMF中のHOBt(1.5当量)及びEDCl(1.5当量)の溶液を加え、混合物を1時間撹拌した。4−フルオロベンジルアミン(1.5当量)を加え、反応混合物をRTで16時間撹拌した。得られた粗物質を RP−HPLCによって精製し、所望の画分を凍結乾燥すると、生成物(J2)が粉末として得られた。H NMR(400MHz,DMSO,300K)δ9.19(1H,broadt,J=5.8Hz),8.17(1H,broads),8.00(4H,s),7.94(1H,d,J=4.4Hz),7.37(2H,dd,J=8.6,5.7Hz),7.16(2H,t,J=8.6Hz),4.48(2H,d,J=5.8Hz).MS(ES)C2013NOS要求値:407,実測値:408(M+H)。
【0287】
以下の実施例は、上記の手順に従って調製した。
【0288】
【表1】

【0289】
【表2】

【0290】
【表3】

【0291】
【表4】

【0292】
【表5】

【0293】
【表6】

【0294】
【表7】

【0295】
【表8】

【0296】
【表9】

【0297】
【表10】

実施例138
【0298】
2,2,2−トリフルオロ−1−(5−チアントレン−1−イル−2−チエニル)エタノン
H NMR(300MHz,CDCN):δ8.13−8.07(1H,m),7.70−7.60(1H,m),7.62−7.27(7H,m)。
実施例139
【0299】
1−[5−(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)−2−チエニル]−2,2,2−トリフルオロエタノン
H NMR(300MHz,CDCN):δ8.10−7.35(1H,m),7.67(1H,s),7.59(1H,d,J=8.3Hz),7.48−7.43(1H,m),6.84(1H,d,J=8.3Hz),4.63(2H,t,J=8.8Hz),3.26(2H,t,J=8.8Hz)。
実施例140
【0300】
tert−ブチル={4−[5−(トリフルオロアセチル)−2−チエニル]フェニル}カルバメート
H NMR(300MHz,CDCN):δ8.05−7.97(1H,m),7.81−7.66(3H,m),7.58−7.77(3H,m),1.50(9H,s)。
【0301】
【表11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療に使用するための式I:
【化1】

[式中、
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
cは、0、1又は2であり;
Aは、CH又はNであり;
X環は、硫黄含有環の炭素原子上の置換基であり、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Yは、直接結合、−O−、>(C=O)、>S(O)、−NR(C=O)−又は−(C=O)NR−であり;
dは、0、1又は2であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
Zは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、N(R;又はC3−6シクロアルキル;C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の飽和若しくは部分飽和複素環;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環;1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環;又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環である環であり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく;
各Rは独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル又はSOであり;
は、C1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ又はジ(C16アルキル)アミノであり;
各Rは独立に、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ、N(R、SO、OSO、COR、C1−6アルキルSO、R、C1−6アルキルR、C1−6アルコキシR又はC1−6アルコキシSOであり;
は、水素、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシであり;
は、C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、又は1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環であり;当該環のいずれも、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ及びジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよい]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項2】
式I:
【化2】

[式中、
aは、0、1、2又は3であり;
bは、0、1、2又は3であり;
cは、0、1又は2であり;
Aは、CH又はNであり;
X環は、硫黄含有環の炭素原子上の置換基であり、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Yは、直接結合、−O−、>(C=O)、>S(O)、−NR(C=O)−又は−(C=O)NR−であり;
dは、0、1又は2であり;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
Zは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロ、N(R;又はC3−6シクロアルキル;C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2若しくは3個のヘテロ原子を含む5若しくは6員の飽和若しくは部分飽和複素環;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環;1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環;又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜10員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環である環であり、当該環のいずれも、Rから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく;
各Rは独立に、水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル又はSOであり;
は、C1−6アルキル、アミノ、C1−6アルキルアミノ又はジ(C16アルキル)アミノであり;
各Rは独立に、ハロゲン、シアノ、オキソ、ヒドロキシル、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、ニトロ、N(R、SO、OSO、COR、C1−6アルキルSO、R、C1−6アルキルR、C1−6アルコキシR又はC1−6アルコキシSOであり;
は、水素、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシであり;
は、C6−10アリール;N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、又は1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環であり;当該環のいずれも、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、メルカプトC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルコキシ、アミノ、C1−6アルキルアミノ及びジ(C1−6アルキル)アミノから独立に選択される1個以上の基によって置換されていてもよく、
ただし、AがCHであり、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項3】
式II:
【化3】

[式中、a、b、c、X、Y及びZは、請求項2に定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される請求項2に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項4】
式III:
【化4】

[式中、a、b、c、X、Y及びZは、請求項3に定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、(CH=CH)(CH−Y−(CH−Zは水素ではない]で示される請求項3に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項5】
式IV:
【化5】

[式中、X及びZは、請求項4に定義の通りであり、
ただし、Xがフェニルである場合は、Zは水素ではない]で示される請求項4に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項6】
式V:
【化6】

[式中、
Xは、1個以上のハロゲン基によって置換されていてもよい、C6−10アリール、N、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含むが、そのうち多くとも1個までのヘテロ原子がO若しくはSである5員の複素芳香環、1、2若しくは3個の窒素原子を含む6員の複素芳香環又はN、O及びSから独立に選択される1、2、3若しくは4個のヘテロ原子を含む7〜15員の飽和、部分飽和若しくは不飽和複素環であり;
Wは、水素、ハロゲン、ハロC1−6アルキル、シアノ、ニトロ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキルカルボニル、C6−10アリール又はC6−10アリールオキシである]で示される請求項2に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体と、医薬上許容され得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項2から6のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体。
【請求項9】
HDAC活性を調節することによって改善される疾患を治療又は予防するための医薬を製造するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体の使用。
【請求項10】
細胞増殖性疾患、神経変性疾患、精神遅滞、統合失調症、炎症性疾患、再狭窄、免疫障害、糖尿病、心血管障害又は喘息を治療又は予防するための医薬を製造するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬上許容され得る塩若しくは互変異性体の使用。
【請求項11】
細胞増殖性疾患、神経変性疾患、精神遅滞、統合失調症、炎症性疾患、再狭窄、免疫障害、糖尿病、心血管障害又は喘息を治療又は予防する方法であって、有効量の、請求項1に記載の化合物又は請求項1に記載の化合物を含む組成物を、当該治療又は予防を必要とする患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2009−526830(P2009−526830A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554858(P2008−554858)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【国際出願番号】PCT/GB2007/050061
【国際公開番号】WO2007/093827
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】