説明

ヒップ下部に持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードル及びその製造方法

【課題】 ヒップ膨出部に無理な強制力を掛けることなくヒップの垂れ下がった部分を充分に持ち上げ得る補整機能を有するガードル及びその製造方法の提供。
【解決手段】 ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23からなるガードル1おいて、後身頃部2の左右の各後身頃部半体4のヒップ部8に、3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部9を有し、このヒップ膨出部9のヒップ中心部10から下方に徐々に円弧状に拡大する切り詰め幅部14を有し、この切り詰め幅部14により下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲で大腿部周囲幅より3〜5cm幅切り詰められた縮小大腿部周囲16に形成された後身頃部3を有するガードル1で、このガードル1はヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、女性のヒップ下部に持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルに関し、特にヒップアップ効果に優れた補整機能を有するガードルに関する。
【背景技術】
【0002】
女性の下着は、装着している身体を包み込んで保護する働きを有する一方で、体形が崩れないように抑制する機能を有し、さらに崩れた体形を補整する機能を有する。ところで、女性が衣服で着飾ったとき、着飾った衣服を通してその女性の体形及びその着用している下着の線が外部に現れる場合がある。そこで、一般的には、女性は体形を美しく保つことができる下着を着用することで、衣服に美しい体形の線が現れることを願っており、このために補整機能を有するガードルを着用する。
【0003】
このような身体の下半身部を補整する機能を有するガードルは、スパンテックスと称される弾性を有するポリウレタン繊維にナイロン繊維を編み込んだ弾性の繊維を編んだ編地から形成されている。さらに股部よりやや上部の左右のヒップの間の中央の縦方向を継目部分の縫い代を縮めて縫製して造られている。このガードルを着用した際に、この縮めて縫製した継目部分が上下方向に伸ばされる結果、ヒップの部分に収縮力が生じて締めつけ力が作用するものとなっている。
【0004】
さらに、身体の腹部が前方に突き出ることを抑制するガードルが開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、これらのものでは、ヒップの垂れ下がりを充分に補正することはできなかった。この腹部が前方に突き出ることを抑制する一方で、さらにヒップが下方に垂れさがることを抑制する機能を有するガードルとして、ガードルの身体の腹部中央部分と、身体の前側の両サイドの縦方向の部分から斜め下方に周り込みながら身体の後側の太ももの部分に、ガードル本体の編地に加えてガードル内面側にポリウレタン繊維からなる弾性のメッシュ状のパワーネットと称する編地を縫い付け、伸縮力を一層に高めて身体の締めつけ作用を有するガードルの補整機能を有するガードルが実用化されている。
【0005】
ところで、これらの補整機能を有するガードルは、平面状の編地からなる素材を下腹部まわりの各要部形状の部材、特にヒップ部の各要部形状の部材に裁断し、これらの各部材を縫製により立体的なガードルに仕上げている。ところで、この弾性の編地から立体的に縫製されたガードルであっても、ガードルの締め付け機能に主眼が置かれているため、身体の立体的な面からみると、身体の立体面にそぐわない無理な力の掛かる部分があってヒップの形状に必ずしも適合しているとは限らず、ヒップを持ち上げる補整機能も充分なものではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開平8−60407号公報
【特許文献2】特開2000−96309公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、従来のヒップを持ち上げる補整機能を有するガードルの補整機能をさらに高め、特にヒップ膨出部の形状に無理な強制力を掛けることなく、しかもヒップの垂れ下がった部分を充分に持ち上げることができる機能を一層効果的に高めた補整機能を有するガードル及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルにおいて、後身頃部の左右の各後身頃部半体のヒップ部に、3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部を有し、このヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に徐々に円弧状に拡大する切り詰め幅部を有し、この切り詰め幅部により下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲で大腿部周囲幅より3〜5cm幅切り詰められた縮小大腿部周囲に形成された後身頃部を有するガードルであり、このガードルはヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有する。
【0009】
請求項2の発明では、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなる上記の請求項1の手段のガードルの製造方法ある。このガードルの製造方法では、上記の弾性の編地からなる前身頃部に続く後身頃部を形成する左右の各後身頃部半体のヒップ部のヒップ中心部から上方に進むに連れて徐々に円弧状に拡大しながら上部ヒップ立ち上がり部で2〜3cm左右に離間した2本の円弧状ラインと、かつ、ヒップ部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインとで後身頃部半体を画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿って該編地を分割裁断して2本の円弧状ライン間の平面素材を除去して左右の平面素材からなる円弧状ラインを側端部に有する左右の平面部材とし、これらの左右の平面部材の円弧状ラインの側端部を寄せ合わせて、上部ヒップ立ち上がり部の横幅を2〜3cm縮小した切り詰め腰部とヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する左右の後身頃部半体に縫製し、これら左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とし、ヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法である。
【0010】
請求項3の発明では、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなる上記の請求項1の手段のガードルのさらに他の製造方法ある。このガードルの製造方法では、上記の弾性の編地からなる前身頃部に続く後身頃部を形成する左右の各後身頃部半体のヒップ部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインで後身頃部半体を部分的に画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿って該編地を部分裁断して後身頃部半体の平面部材とし、これら左右の平面部材の該部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する左右の後身頃部半体に縫製し、これらの左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とし、ヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法である。
【0011】
請求項4の発明では、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなる上記の請求項1の手段のガードルのさらに上記と異なる製造方法である。このガードルの製造方法では、上記の弾性の編地の平面素材からなる前身頃部に側部で続く側部平面状の左右の後身頃部半体を有するガードル半製品の各ヒップ部のヒップ中心部をヒップ膨出部の湾曲面状に3〜5cm突出したヒップ形状を有する加熱した金型によりモールド成型してヒップ膨出部に形成し、得られた左右の各ヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインで後身頃部半体を画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿ってヒップ膨出部を形成した編地を部分裁断して後身頃部半体とし、これら左右の後身頃部半体の部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて切り詰め継目に縫製して、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する後身頃部半体とし、これらの左右の後身頃部半体を寄せ合わせて中心継目で接続の後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とし、ヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法である。
【0012】
請求項5の発明では、ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなる上記の請求項1の手段のガードルのさらに異なる他の製造方法である。このガードルの製造方法では、上記の弾性の編地の平面素材をヒップ膨出部の湾曲面状に3〜5cm突出したヒップ形状を有する加熱した金型によりモールド成型して左右のヒップ膨出部を有する編地素材とし、この左右のヒップ膨出部を有する編地素材から裁断によりガードルの後身頃部の左右の後身頃部半体を形成し、これら左右の後身頃部半体をそのヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大して下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインに画成し、ヒップ膨出部を形成した編地を上記2本の円弧状ラインに沿って部分裁断して後身頃部半体とし、これら左右の後身頃部半体の部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて切り詰め継目として縫製し、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する後身頃部半体とし、これらの左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、この後身頃部を別途形成の前身頃部と一体化してガードルとすることを特徴とし、ヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の補整機能を有するガードルは、曲面形状のヒップ膨出部を後方に3〜5cm張りだして有することでヒップに無理な拘束力をかけることなく余裕を有しながら、一方でガードルの下部ヒップ立ち上がり部である大腿部周囲を弾性のあるポリウレタン繊維とナイロン繊維からなる編地で大腿部周囲より幅で3〜5cm短く切り詰めたものとしたので、ヒップの下方への垂れ下がり部の贅肉をこの大腿部の緊締力により上方へ持ち上げる働きを付与するなど、優れた補整機能を奏するガードルであり、さらに本発明の方法はこの優れた補整機能を有するガードルを裁断及び縫製のみならずそれらと加熱によるモールド整形により的確に製造することを可能とするなど優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら説明する。
先ず第1番目の発明は補整機能を有するガードル1であり、これを図1の(a)および(b)に示す。このガードル1はポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の糸から編んだ弾性の編地23から形成した前身頃部2と後身頃部3及び下部の股部5からなっている。このガードル1は、後身頃部3の中心継目12の左右の各後身頃部半体4a、4bのヒップ部8に3〜5cm後方へ湾曲面状で張り出したヒップ膨出部9を有している。
【0015】
ところで、従来のヒップ部8を有するガードル1は、図6に示すように、前身頃部2に側部で続く後身頃部3の各後身頃部半体4a、4bにおいて、図面に渦状の点線で仮想的に示すヒップ膨出部9のヒップ中心部10から下方の部分が左右の円弧状仮想線13aに沿ってすそ広がり状に徐々に拡大しながら下方の下部ヒップ立ち上がり部11bに至り、身体の大腿部を通す大きさの大腿部周囲6となっている。
【0016】
ところで、このガードル1を、図1の(c)に示す、仮想のガードル1とするとき、このガードル1はヒップ中心部10から円弧状仮想線13aに沿って下方に進むに連れて徐々に左右に円弧状に拡大して中間部分の切り詰め幅部14を有する大腿部周囲6を形成する。さらにこの切り詰め幅部14を下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲6の後側において、実際の身体の大腿部周囲より切り詰め幅部14の3〜5cm幅分だけ切り詰め、その結果、本発明のガードル1は、図1の(a)に示すように、切り詰め継目15を有し、実際の身体の大腿部周囲の幅より3〜5cm幅だけ狭小に切り詰められた縮小大腿部周囲16に形成されている。
【0017】
このように、本発明のガードル1は3〜5cm幅だけ切り詰められた縮小大腿部周囲16に形成された後身頃部3を有する。したがって、本発明のガードル1を着用したとき、ヒップ膨出部9の下方の下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部の肌面がガードル1の縮小大腿部周囲16により緊締されることとなる。そこで、この大腿部の肌面を上方に持ち上げ力が縮小大腿部周囲16に生じ、この部分の贅肉によるヒップの垂れ下がりを上方に押し上げることとなる。このように本発明のガードル1はヒップ膨出部8の下方のヒップの垂れ下がりを上方に持ち上げる補整機能が極めて高くなっている。
【0018】
さらに第2番目から第5番目の各発明は、上記の第1番目の実際の身体の大腿部周囲6の幅より3〜5cm幅だけ切り詰められた縮小大腿部周囲16を有する補整機能を有するガードル1を製造する方法である。
【0019】
先ず、第2番目の発明のポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23からなるガードル1の製造方法は、ガードル1の前身頃部2に続く後身頃部3を製造する一方法である。この方法では、図2の(a)に示すように、上記の弾性の編地23からなるガードル1の後身頃部3を形成する左右の各後身頃部半体4a、4bを、それぞれのヒップ部8のヒップ中心部10から上下に進むに連れて円弧状に拡大する2本の円弧状ライン13、13で画成する。すなわち、各後身頃部半体4a、4bの上部を、各ヒップ部8のヒップ中心部10から上方に進むに連れて徐々に円弧状に拡大し、腰周り部7の上部ヒップ立ち上がり部11aで2〜3cm左右に離間した2本の円弧状ライン13、13で画成し、さらに各後身頃部半体4a、4bの下部を、各ヒップ部8のヒップ中心部10から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部11bで5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ライン13、13で画成する。これらの円弧状ライン13、13で画成された左側後身頃部半体4a及び右側後身頃部半体4bを、それぞれの円弧状ライン13に沿ってそれぞれ分割裁断する。
【0020】
次いで、この分割裁断した2本の左右の円弧状ライン13、13の間の編地23からなる平面素材24を切り詰め幅部14として除去し、残部の左右の平面素材24の切断端部である円弧状ライン13からなる切り詰め端部14aを有する左右の平面部材17、17を得る。これらの左右の平面部材17、17の円弧状ライン13を形成している切り詰め端部14aを再び寄せ合わせ、図2の(b)に示すように、切り詰め継目15として縫製する。この縫製により、ガードル1の後身頃部半体4の上部ヒップ立ち上がり部11aである腰周り部7の横幅を2〜3cm縮小した切り詰め腰部19と、下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲6より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲16とを有する左側後身頃部半体4a及び右側後身頃部半体4bを得る。この後身頃部半体4のヒップ部8の上部の切り詰め腰部19と下部の縮小大腿部周囲16の形成により、ヒップ部8のヒップ中心部10をヒップ膨出部9に形成し、その結果、このヒップ膨出部9が3〜5cm後方に湾曲面状に張り出される。
【0021】
次いで、このヒップ膨出部9を有する左側後身頃部半体4a及び右側後身頃部半体4bをさらに寄せ合わせ、これらの寄せ合わせた側端部18、18からなる中心を中心継目12とする後身頃部3に縫製し、さらに股部5を縫製し、前身頃部2に続く後身頃部3を有するガードル1とする。この方法で製造されたガードル1は、ヒップ膨出部9の下方のヒップの垂れ下がりを緊締により上方に持ち上げる補整機能を有する。
【0022】
次いで3番目の発明のポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23からなるガードル1の製造方法は、上記の請求項1の手段のガードル1のさらに他の製造方法ある。このガードル1の製造方法では、上記の弾性の編地23からなる前身頃部2に側部で続く後身頃部3において、図3の(a)に示すように、この後身頃部3を形成する左右の後身頃部半体4a、4bのそれぞれのヒップ部8のヒップ中心部10から下方に進むに連れて徐々に左右に円弧状に拡大し、下部ヒップ立ち上がり部11bで5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ライン13、13により各後身頃部半体4a、4bを部分的に画成する。これらの部分的に画成した円弧状ライン13、13に沿って編地23を部分裁断し、切り詰め幅部14の左右の左右の切り詰め端部14a、14aをそれぞれ大腿部周囲6を有する後身頃部半体4の左右の平面部材17とする。
【0023】
さらに、図3の(b)に示すように、これら左右の平面部材17の部分裁断による左右の切り詰め端部14a、14aを再び寄せ合わせ、ヒップ部8のヒップ中心部10を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部9と下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲16とを有する左側後身頃部半体4aと右側後身頃部半体4bに縫製し切り詰め継目15とする。さらにこれらの左右の後身頃部半体4a、4bを寄せ合わせた側端部18、18からなる中心継目12を有する後身頃部3に縫製し、さらに股部5を縫製し、前身頃部2に続く後身頃部3を有するガードル1とする。この方法で製造されたガードル1は、ヒップ膨出部9の下方のヒップの垂れ下がりを緊締により上方に持ち上げる補整機能を有する。
【0024】
さらに4番目の発明のポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23からなるガードル1の製造方法は、上記の請求項1の手段のガードル1のさらに上記と異なる製造方法でである。このガードル1の製造方法では、上記の弾性の編地23の平面素材24からなる平面状の前身頃部2にその左右の側部で接続する平面状の左側後身頃部半体4aと右側後半体部4bを有するガードル半製品1aから製造する方法である。従って、このガードル半製品1aでは、ガードル1の後身頃部3の中心の中心継目12はまだ縫製されていないものである。
【0025】
この方法では、先ず、ガードル半製品1aの平面状の左側後身頃部半体4aと右側後半体部4bのそれぞれのヒップ部8のヒップ中心部10を、それぞれ個別にヒップ膨出部9の湾曲面状に高さが3〜5cm膨出したヒップ膨出部形状21を有する図4に示す加熱した金型20の上型20aと、この上型20aのヒップ膨出部形状21と対称の凹入部形状22を有する下型20bとの間に、挿入して挟持する。この場合、図5に示すように、下型20bの上にガードル1の前身頃部2の左右の後身頃部半体4a、4bを左右に展開したガードル半製品1aの右側後身頃部半体4bを下型20bの上に載置し、この上に図4に示す上型4aを載置して挟持する。この加熱された金型20に挟持されることで右側後身頃部半体4bにヒップ膨出部9がモールド成型される。同様に左側後身頃部半体4aも上記と左右対称の加熱された金型20によりヒップ膨出部9がモールド成型される。この場合、モールド成型するための金型20の加熱温度は180〜190℃とする。このモールド成型により、それぞれのヒップ部8の編地23の部分に3〜5cm突出したヒップ膨出部9が形成される。
【0026】
次いで、上記で得られた左右の後身頃部半体4の各ヒップ膨出部9を、図3に示す方法と同様に、ヒップ中心部10から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部11bで5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ライン13、13で画成し、これらの2本の円弧状ライン13、13の間の切り詰め幅部14を有する左右の後身頃部半体4a、4bとする。次いで、これらの画成した左右の円弧状ライン13、13に沿ってヒップ膨出部9の編地23を部分裁断する。裁断により生じた切り詰め幅部14を除去し、残りの左右の後身頃部半体4a、4bに形成する。これら左右の後身頃部半体4a、4bに形成の部分裁断による左右の切り詰め端部14a、14bを再び寄せ合わせて縫製し、切り詰め継目15とする。この縫製により、ヒップ部8のヒップ中心部10を3〜5cm後方に張り出したヒップ膨出部9と、下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲6より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲16とを有する左右の各後身頃部半体4a、4bが形成される。さらに左側後身頃部半体4aの側端部18と右側後半体部4bの側端部18を左右から寄せ合わせて縫製し、中心継目12で接続した後身頃部3とし、さらに股部5を縫製し、前身頃部2に続く後身頃部3からなるガードル1の完成品が形成される。この方法で製造されたガードル1はヒップ膨出部9の下方のヒップの垂れ下がりを緊締により上方に持ち上げる補整機能を有する。
【0027】
さらに5番目の発明のポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23からなるガードル1の製造方法は、上記の請求項1の手段のガードル1のさらに異なる他の製造方法である。このガードル1の製造方法では、上記の弾性の編地23の平面素材24から製造する方法である。先ず、平面素材24を、ヒップ膨出部9の湾曲面状に3〜5cm突出したヒップ膨出部形状21を有する、図4に示すと同様の、加熱された金型20の上型20aと下型20bとの間に挟持する。金型20のの加熱により平面素材24にヒップ膨出部9の形状をモールド成型する。この場合、左右で対称形状のヒップ膨出部9を有する編地23形成するために、図4に示す金型20とさらにこれと対称形状の金型20の2つの金型を使用する。これらのモールド成型する金型20の加熱温度は180〜190℃とする。このモールド成型により、ヒップ膨出部9をそれぞれ有する編地23からなる左右の後身頃半体用素材25が形成される。このモールド成型では、左右の2つのヒップ膨出部形状21、21を有する上型20aと2つの凹入部形状22、22を有する下型20bにより、左右の2つのヒップ膨出部9、9を有する一枚の編地23からなる左右の後身頃半体用素材25を一度に形成することができ。これらをその後に左右に分割裁断してガードル1の左右の各後身頃部半体用素材25、25とすることもできる。
【0028】
次いで、これら左右の各後身頃部半体用素材25、25を左右の後身頃部半体4a、4bの形状に裁断する。次いで、これらの左右の後身頃部半体4a、4bのそれぞれのヒップ膨出部9をヒップ中心部10から下方に進むに連れ徐々に左右方向へ円弧状に拡大し、下部ヒップ立ち上がり部11bで5〜7cm左右に離間する2本の円弧状ライン13、13により画成する。この画成した2本の円弧状ライン13、13に沿ってヒップ膨出部9の編地23を部分裁断する。さらに2本の円弧状ライン13、13間の切り詰め幅部14を除去して後身頃部半体4a、4bとする。次いで、これら部分裁断により除去した切り詰め幅部14の左右の切り詰め端部14a、14aを寄せ合わせて切り詰め継目15を有する左右の後身頃部半体4a、4bに縫製する。この縫製により、ヒップ中心部10を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部9と、下部ヒップ立ち上がり部11bの大腿部周囲6より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲16とを有する各左右の後身頃部半体4a、4bが形成される。
【0029】
これらの形成した左右の後身頃部半体4a、4bをさらに寄せ合わせて側端部18、18を縫製して、中心継目12を有する後身頃部3に仕上げる。さらにこの仕上げした後身頃部3を別途形成した前身頃部2と縫製により一体化し、さらに股部5を形成してガードル1とする。この方法で製造されたガードル1は、ヒップ膨出部9の下方のヒップの垂れ下がりを緊締により上方に持ち上げる補整機能を有する。
【0030】
上記の各発明に使用するポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地23は、いわゆる縦編みのラッセル編みの1種のパワーネットであり、これはポリウレタン弾性繊維とナイロン繊維を交編してなる編地23からなっているので、ストレッチにより伸びた後のキックバック性に優れており、さらに独特のハリ感を有し、織地からなるメッシュ体よりも硬くハリがあり、補整機能に優れている。さらに上記の弾性の編地23に使用するポリウレタン繊維はそれ自体が天然ゴムに似た弾性糸で通称スパンテックスと呼ばれ、伸度は450〜800%であり、上記のようにナイロン繊維などと混ぜてストレッチ素材のパワーネットとされている。
【0031】
上記の本発明のガードル1はその補正機能を一層に向上するために弾性の編地23を局部的に二重に重ねたものとすることができる。この場合、重ねる編地の編み方を異なる編み方からなるパワーネットの編地とすることもできる。さらに、本発明はガードル1の後身頃部3におけるものであるが、ガードル1の前身頃部2の下腹部が前方に張り出さないように抑制するために、その部分にパワーネットを二重に張った従来のガードル1にも、その後身頃部として本願の方法による後身頃部3の構造を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のガードルを示し、(a)は後身頃部側からの図、(b)は側面側からの図で、(c)は説明用の仮想のガードルを示す図である。
【図2】本発明のガードルの製造方法を説明する図で、(a)は本発明のガードルとする前のガードルの図で、(b)は製造後の本発明のガードルを示す図である。
【図3】本発明のガードル他の製造方法を説明する図で、(a)は本発明のガードルとする前のガードルの図で、(b)は製造後の本発明のガードルを示す図である。
【図4】本発明のモールド成型によるガードルの成形に使用する金型を示す図である。
【図5】本発明の方法における下型にガードル半成品を載置した状態を示す図である。
【図6】従来のガードルを示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 ガードル
1a ガードル半製品
2 前身頃部
3 後身頃部
4 後身頃部半体
4a 左側後身頃部半体
4b 右側後身頃部半体
5 股部
6 大腿部周囲
7 腰部回り
8 ヒップ部
9 ヒップ膨出部
10 ヒップ中心部
11 ヒップ立ち上がり部
11a 上部ヒップ立ち上がり部
11b 下部ヒップ立ち上がり部
12 中心継目
13 円弧状ライン
13a 円弧状仮想線
14 切り詰め幅部
14a 切り詰め端部
15 切り詰め継目
16 縮小大腿部周囲
17 平面部材
18 側端部
19 切り詰め腰部
20 金型
20a 上型
20b 下型
21 ヒップ膨出部形状
22 凹入部形状
23 編地
24 平面素材
25 後身頃半体用素材
26 仮想線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルにおいて、後身頃部の左右の各後身頃部半体のヒップ部に3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部を有し、このヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に徐々に円弧状に拡大する切り詰め幅部により下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲で大腿部周囲幅より3〜5cm幅切り詰められた縮小大腿部周囲に形成された後身頃部を有することを特徴とするヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードル。
【請求項2】
ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルの製造において、上記の弾性の編地からなる前身頃部に続く後身頃部を形成する左右の各後身頃部半体のヒップ部のヒップ中心部から上方に進むに連れて徐々に円弧状に拡大しながら上部ヒップ立ち上がり部で2〜3cm左右に離間した2本の円弧状ラインと、かつ、ヒップ部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインとで後身頃部半体を画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿って該編地を分割裁断して2本の円弧状ライン間の平面素材を除去して左右の平面素材からなる円弧状ラインを側端部に有する左右の平面部材とし、これらの左右の平面部材の円弧状ラインの側端部を寄せ合わせて、上部ヒップ立ち上がり部の横幅を2〜3cm縮小した切り詰め腰部とヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する左右の後身頃部半体に縫製し、これら左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とするヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法。
【請求項3】
ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルの製造において、上記の弾性の編地からなる前身頃部に続く後身頃部を形成する左右の各後身頃部半体のヒップ部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインで後身頃部半体を部分的に画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿って該編地を部分裁断して後身頃部半体の平面部材とし、これら左右の平面部材の該部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と、下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する左右の後身頃部半体に縫製し、これらの左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とするヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法。
【請求項4】
ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルの製造において、上記の弾性の編地の平面素材からなる前身頃部に側部で続く平面状の左右の後身頃部半体を有するガードル半製品の各ヒップ部のヒップ中心部をヒップ膨出部の湾曲面状に高さが3〜5cm突出したヒップ形状を有する加熱した金型によりモールド成型してヒップ膨出部に形成し、得られた左右の各ヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大しながら下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインで後身頃部半体を画成し、これらの画成した円弧状ラインに沿ってヒップ膨出部を形成した編地を部分裁断して後身頃部半体とし、これら左右の後身頃部半体の部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて切り詰め継目に縫製して、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する後身頃部半体とし、これらの左右の後身頃部半体を寄せ合わせて中心継目で接続の後身頃部に縫製し、前身頃部に続く後身頃部を有するガードルとすることを特徴とするヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法。
【請求項5】
ポリウレタン繊維及びナイロン繊維などの化学繊維の弾性の編地からなるガードルの製造において、上記の弾性の編地の平面素材をヒップ膨出部の湾曲面状に高さが3〜5cm突出したヒップ形状を有する加熱した金型によりモールド成型して左右のヒップ膨出部を有する編地素材とし、この左右のヒップ膨出部を有する編地素材から裁断によりガードルの後身頃部の左右の後身頃部半体を形成し、これら左右の後身頃部半体をそのヒップ膨出部のヒップ中心部から下方に進むに連れて徐々に左右方向に円弧状に拡大して下部ヒップ立ち上がり部で5〜7cm左右に離間した2本の円弧状ラインに画成し、ヒップ膨出部を形成した編地を上記2本の円弧状ラインに沿って部分裁断して後身頃部半体とし、これら左右の後身頃部半体の部分裁断による左右の側端部を寄せ合わせて切り詰め継目に縫製し、ヒップ部のヒップ中心部を3〜5cm後方に湾曲面状に張り出したヒップ膨出部と下部ヒップ立ち上がり部の大腿部周囲より幅3〜5cm縮小した縮小大腿部周囲とを有する後身頃部半体とし、これらの左右の後身頃部半体をさらに寄せ合わせて中心継目を有する後身頃部に縫製し、この後身頃部を別途形成の前身頃部と一体化してガードルとすることを特徴とするヒップ膨出部下部に緊締による持ち上げ力を付与した補整機能を有するガードルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−225817(P2006−225817A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44134(P2005−44134)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(505064220)株式会社ソシアル (1)
【Fターム(参考)】