ヒト−マウスキメラ抗呼吸シンシチアルウイルス抗体
【課題】この発明は、少なくとも一つのマウスモノクローナル抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれに由来する一つのCDRを含む、MAb1129であるヒト抗呼吸シンシチアルウイルス抗体に関し、および、RSV感染の予防および/または治療のためのヒト抗呼吸シンシチアルウイルス抗体の使用に関する。
【解決手段】少なくとも1つのモノクローナル抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1個のCDRを含む、相補性決定領域(CDR)移植ヒト抗RSV抗原抗体を提供することである。モノクローナル抗体はいずれの非ヒト動物から誘導されてもよいが、望ましくは、げっ歯類、またもっとも望ましくはマウスの、モノクローナル抗体である。望ましくは、そのマウスモノクローナル抗体は中和抗体である。また、望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原抗体である。
【解決手段】少なくとも1つのモノクローナル抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1個のCDRを含む、相補性決定領域(CDR)移植ヒト抗RSV抗原抗体を提供することである。モノクローナル抗体はいずれの非ヒト動物から誘導されてもよいが、望ましくは、げっ歯類、またもっとも望ましくはマウスの、モノクローナル抗体である。望ましくは、そのマウスモノクローナル抗体は中和抗体である。また、望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原抗体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト−マウスキメラ抗呼吸シンシチアルウイルス抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この出願は1991年12月23日受理された米国出願番号07/813,372号の一部継続出願である。
【0003】
呼吸シンシチアルウイルス(RSV)は、入院幼児の急性呼吸器系疾患の主要な原因であり、地域診療では、入院児童のおよそ5倍の児童を治療するであろう。従ってこれは小児下気道感染のもっとも一般的な原因である。市中獲得型RSV感染の大部分は1週間乃至10日で自然治癒するが、多くの入院児童、とりわけ生後6ヶ月以内の幼児は補助換気を必要とする。
【0004】
これまで効果的なワクチンを製造しようとする試みは不成功であった(非特許文献8)。ワクチン開発の上で、主要な障害は安全性である。すなわち、当初のホルマリン不活性化RSVワクチンは、予防接種を受けた児童において、ウイルス暴露によるRSV下気道疾病の発症率と死亡率を増加させた(非特許文献5)。
【0005】
最近薬品リバビリンがRSV肺炎および細気管支炎の治療用として許可された(非特許文献2,3)が、その価値は議論の的となっている(非特許文献4)。リバビリンは効能を示したが、この薬品は18時間にわたりエアロゾル吸入で投与されねばならない。加えて治療を中止した後二次感染の水準は未治療の患者よりも著しく高い。
【0006】
高力価のRSV免疫グロブリンが動物モデルのRSV感染の予防と治療双方に有効であることを研究が示した(非特許文献6,7)。RSV免疫グロブリンで治療された感染動物は肺免疫複合体疾患の徴候を示さなかった。
【0007】
たとえRSV高度免疫グロブリンが高リスク児童のRSV下気道感染の発症率および重症度の減少を示したにせよ、いくつかの欠点がその使用を制限する。第1の欠点は事前集中治療のため静脈アクセスを制限されるこれら児童への静脈内注入の必要性があることである。第2の欠点は、とりわけこれらの児童は免疫反応が十分に発揮し得ない心肺機能を持つため大量のRSVIGが保護のために必要とされることである。第3の欠点は、静脈内注入はRSVシーズン中は毎月通院を必要とし、それがこれら児童を院内感染の危険にさらすということである(非特許文献1)。最後の問題はこの製品の要求に合致するRSV高免疫グロブリンを生産する十分な供与体を選択するということが非常に困難であることがわかっていることである。現在の所僅かに約8%の供与体が高度免疫グロブリンの生産に適格な十分に高いRSV中和抗体力価を持つに過ぎない。
【0008】
もう一つのアプローチは、高免疫グロブリンに代替するものとして高い特異的中和活性を持つモノクローナル抗体の開発である。その抗体の治療効能を相殺し又は免疫複合体病理を誘発するようなヒト抗げっ歯類抗体反応の発生を最小にするために、マウスやラット抗体よりもヒトモノクローナル抗体を使用することが、必須ではないとしても、望ましい。しかし所望の特異性を持つヒトモノクローナル抗体の生成は難しく、ヒト細胞系からの生産水準はしばしば低く、それがこの開発の妨げとなっている。
【0009】
代替的なアプローチの一つは、マウスの重鎖・軽鎖可変領域をコードする遺伝情報をヒトの重鎖・軽鎖定常領域をコードする遺伝子に固定したヒト−マウスキメラ抗体の生産である。生成するマウス−ヒトハイブリッド抗体は、マウス配列由来の完全免疫グロブリンの約30%を有している。従って、数多くの研究所がマウス可変領域とヒト定常領域でキメラ抗体を構築してきた(非特許文献10−18)が、マウス可変領域は未だ体内で異物と認識されている(非特許文献19)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ホール、シー.ビー.、ダグラス、アール. ジー.、ガイマン、ジェイエム.他、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、293巻:1343ページ、1975年
【非特許文献2】ホール、シー.ビー.、マクブライド、ジェイ. ティー.、ウォルシュ、イー.イー.他、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、308巻:1443ページ、1983年
【非特許文献3】ホール、シー.ビー.、マクブライド、ジェイ. ティー.、ガラ、シー.エル.他、JAMA、254巻:3047ページ、1985年
【非特許文献4】ウォルド、イー.アール.、他、小児科ジャーナル、112巻:154ページ、1988年
【非特許文献5】カピキアン、エイ.ゼッド.、他、ミッチェル、アール.エイチ.、チャノック、アール.エム.他、疫学アメリカンジャーナル、89巻:405ページ、1969年
【非特許文献6】プリンス、ジー.エイ.、他、ヘミング、ヴィ.ジー.、ホースウッド、アール.エル.他、ウイルス研究、3巻:193ページ、1985年
【非特許文献7】ヘミング、ヴィ.ジー.、プリンス、ジー.エイ.、ホースウッド、アール.エル.他、感染性疾病ジャーナル、152巻:1083ページ、1985年
【非特許文献8】ライト、ピー.エフ.、ベルジュ、アール.ビー.、他、感染と免疫、37巻:397ページ、1982年
【非特許文献9】コンラッド、ディー.エイ.、クリステンセン、ジェイ.シー.他、小児感染性疾病ジャーナル、6巻:152ページ、1987年
【非特許文献10】ロブーリョ、エイ.エフ.、ホゥイーラー、アール.エル.、トラング、ジェイ.他、全米科学アカデミー紀要、86巻:4220ページ、1989年
【非特許文献11】ステルプスキー、ゼット.、サン、エル.ケイ.、シアマン、シー.ダブリュ.他、全米科学アカデミー紀要、85巻:4852ページ、1988年
【非特許文献12】ブーリアン、ジー.エル.、ホズミ、エヌ.、エル.、シュルマン、エム.ジェイ.、ネイチャー、312巻:643ページ、1984年
【非特許文献13】サン、エル.ケイ.、カーチス、ピー.、ラコヴィッツ−シュルチンスカ、イー.他、全米科学アカデミー紀要、84巻:214ページ、1987年
【非特許文献14】リュー、エイ.ワイ.、マック、ピー.ダブリュ.、チャンピオン、シー. アイ.、ロビンソン、アール.アール.、遺伝子、54巻:33ページ、1987年
【非特許文献15】モリソン、エス.エル.、ジョンソン、エム.ジェイ.、ハーセンバー、エル.エエイ.、オーイ、ヴイ.ティー.、全米科学アカデミー紀要、81巻:6851ページ、1984年
【非特許文献16】モリソン、エス.エル.、サイエンス、229巻:1202ページ、1985年
【非特許文献17】サヘーガン、ビー.ジー.、ドライ、エイチ.、ザルツガーバー−ミュラー、ジェイ.、他、免疫学ジャーナル、137巻:1066ページ、1986年
【非特許文献18】タケダ、エス.、ナイトウ、ティー.、ハマ、ケイ.、ノマ、ティー.、ホンジョウ、ティー.、ネイチャー、314巻:452ページ、1985年
【非特許文献19】カーソン、ディー.エイ.、フライマーク、ビー.ディー.、先端免疫学、38巻:275ページ、1986年
【非特許文献20】ビーラー、ジェイ.エイ.、他、ウイルス学ジャーナル、63巻:2941−2950ページ、1989年
【非特許文献21】ケーリン、他、ウイルス学、143巻:569−582ページ、1985年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従ってこの発明の目的は、少なくとも1つのモノクローナル抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1個のCDRを含む、相補性決定領域(CDR)移植ヒト抗RSV抗原抗体を提供することである。モノクローナル抗体はいずれの非ヒト動物から誘導されてもよいが、望ましくは、げっ歯類、またもっとも望ましくはマウスの、モノクローナル抗体である。望ましくは、そのマウスモノクローナル抗体は中和抗体である。また、望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原抗体である。
【0012】
ここで使用される「動物」という用語はもっとも広い意味で用いられ、ヒトを含む哺乳類を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
マウスモノクローナル抗RSV抗原抗体から誘導される可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれうち少なくとも1つのCDRの遺伝情報のみのヒト抗体への移植が、動物中のRSVの予防および治療に有効であることを出願人である発明者は発見した。望ましくはマウス抗体は抗RSV中和抗体である。また本発明によれば、上記マウス抗体は抗RSV F抗原抗体を用いることができる。望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原中和抗体である。ヒト可変フレームワーク・セグメントをマウスCDRと置換することにより、抗原であるRSV Fタンパク質への結合親和力と特異性を保持したまま、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答の可能性を最小限にする。CDR配列はヒトまたはマウスに特徴的なモチーフを含まないので、マウス抗体のCDRを含むヒト抗体は、完全なヒト抗体から本質的に区別できない。その結果、RSV F抗原に対する結合親和力と特異性を保持したまま、ヒト抗体応答を最小限にする。
【0014】
ヒト化抗RSV F抗原抗体の開発は、マウス抗RSV F抗原抗体から開始された。このタイプのマウス抗体の例は以下の通りである。MAb 1436C,MAb113,MAb112,MAb151,MAb1200,MAb1214,MAb1237,MAb1129,MAb1121,MAb1107,MAb131−1,MAb43−1,MAb1112,MAb1269,MAb1243,MAb1331H,MAb1308F、およびMAb1302A(非特許文献21参照)。
【0015】
この発明の一つの側面は、上記ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)は、マウス抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち3つのCDRから構成されることを提供する。
【0016】
上記複数のマウス抗RSV F抗原抗体は、競合結合アッセイおよびウイルス逃避変異体に対する反応性プロフィルにより、16個の異なったエピトープを含む3つのブロード抗原部位(A,B,C)にマッピングされた(非特許文献20参照)。抗原部位AおよびCにあるエピトープは、天然に単離したもののうち最も種類が少なかった。
【0017】
従ってこの発明のもう一側面は、AまたはCの抗原部位に特異的な、少なくとも一つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体を提供する。一つの側面において、この発明は、上記マウス抗体は、マウス抗体MAb1308Fの抗原部位でもある抗原部位Cに特異的な、マウス抗RSV F抗原抗体であること、を提供する。
【0018】
この発明のこのような一つの実施例において、ヒト抗体は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1308Fの可変重鎖のCDRを含む。MAb1308Fの可変重鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号17のアミノ酸番号31から35、アミノ酸番号47から66およびアミノ酸番号98から106である。加えてこの実施例は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1308の可変軽鎖のCDRを含む。MAb1308の可変軽鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号20のアミノ酸番号24から34、アミノ酸番号50から56およびアミノ酸番号89から97である。
【0019】
この発明のもう一側面は、抗原部位Cに特異的である、少なくとも1つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体を提供する。望ましくは、この発明は、マウス抗体MAb1129の抗原部位でもある抗原部位Cに特異的なマウス抗RSV F抗原抗体を提供する。
【0020】
この発明の実施例において、ヒト抗体は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1129の可変重鎖のCDRを含む。MAb1129の可変重鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号31のアミノ酸番号31から37、アミノ酸番号52から67およびアミノ酸番号100から109である。加えてこの実施例は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1129の可変軽鎖のCDRを含む。MAb1129の可変軽鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号34のアミノ酸番号24から33、アミノ酸番号49から55およびアミノ酸番号88から96である。
【0021】
加えて、出願人の発明の側面は、RSV感染を予防し治療する一つの方法であり、この方法は、少なくとも1つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のうち少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体の有効量を、動物に投与することによりなる。
【0022】
また出願人の発明のもう一側面は、許容される薬理的担体と配合した上述したヒト抗体の有効投与量から構成される組成物である。許容される薬理的担体は、限定されないが、無毒緩衝液、充填剤、等張液などを含む。
【0023】
出願人の発明による組成物は、局所的にあるいは全身に投与されてもよい。局所投与は、例えばヒト抗体組成物を含むエアロゾルの鼻腔内投与および吸入である。全身投与は、ヒト抗体組成物を静脈内あるいは筋肉内注射することにより達成されてもよい。
【0024】
出願人の発明の好ましい一側面は、ヒト抗体として、多数のヒト抗RSV F抗原抗体のうち一部が、投与されるということである。これらの抗体は、RSV F抗原の同一もしくは異なるエピトープを標的するものでもよい。
【0025】
加えて、この発明のヒト抗体は、患者にある呼吸シンシチアルウイルスを臨床的に診断するために使用してもよい。RSV F抗原に対して親和性があるので、これらのヒト抗体は、サンプル例えば体液にあるRSV F抗原の存在および濃度を検出する既知の診断検定方法に利用することができる。この発明のヒト抗体は例えばラテックスビーズ、カラムなどのような固形支持物に付着あるいは結合してもよく、それは次いでRSV F抗原を含むものと考えられるサンプルと接触されて用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1はCDR移植抗RSV F糖タンパク質抗体のVHのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は、移植前のヒトHV3VH(配列番号16)、CDR移植VH(配列番号17)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1308F VHのAA配列(配列番号18)を表す。太字下線部はヒトHV3 VHに移植されたCDRを特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図1B】図1Aに接続する図である。
【図2A】図2はCDR移植抗RSV Fタンパク質抗体のVLのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトK102VL(配列番号19)、CDR移植VL(配列番号20)および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1308F VL(配列番号21)のAA配列を示す。太字下線部はヒトK102 VLに移植されたCDR配列を特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図2B】図2Aに接続する図である。
【図3A】図3はHu1308VHを作るために使用されたオリゴヌクレオチドを示し、下線のある配列は特異的プライマー配列である(配列番号22−25)。
【図3B】図3Aに接続する図である。
【図4A】図4はHu1308VLを作るために使用されたオリゴヌクレオチドを示し、下線のある配列は特異的なプライマー配列である(配列番号26−29)。
【図4B】図4Aに接続する図である。
【図5】図5はヒト化(Humanized)1308のための発現ベクターのプラスミド構成を示す。
【図6】図6は中和パーセント対Cos Hu1308FおよびMu1308Fでの中和に対する反応当りMAb ngで表したRSVの中和のグラフを示す。
【図7A】図7はCDR移植抗RSV F糖タンパク質抗体のVHのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトCOR VH(配列番号30)、CDR移植VH(配列番号31)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1129 VHのAA配列を示す(配列番号32)。太字下線部はヒトCOR VHに移植されたCDR配列を特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図7B】図7Aに接続する図である。
【図8A】図8はCDR移植抗RSV Fタンパク質抗体のVLのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトK102VL(配列番号33および配列番号44)、CDR移植VL(配列番号34)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1129 VLのAA配列(配列番号35)を示す。太字下線部はヒトK102 VLに移植されたCDR配列を特定し、各々3個の領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図8B】図8Aに接続する図である。
【図9A】図9はヒト化1129VHを構築するために使用されたオリゴヌクレオチドを示す(配列番号36−42)。
【図9B】図9Aに接続する図である。
【図10】図10はELISA検定によるヒト化1129の結合度データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
出願人のRSVを予防するヒト抗体の開発は、in vitroでRSVを中和し、RSVによる下気道感染からコットンラットを保護することが示されたマウスモノクローナル抗体を生産するマウスハイブリドーマ(融合雑種腫瘍細胞)細胞から始まった。
【0028】
抗原部位Cに特異的である一つの抗体がマウス−ヒトキメラ抗体を生産するために選択された。この抗体は次の基準に基づいて選択された。すなわち、(i)テストされた多数の菌株と反応したこと(単離された14個のうち少なくとも13個)、(ii)他の抗F抗体で選択されたウイルス逃避突然変異体に対し中和活性を保持したこと、(iii)鼻腔内ルートによりコットンラットに低い用量で投与したときに、ウイルス攻撃に対しRSV増複を遮断したこと、である。選択された抗体はそれぞれの領域において抗体の間の肺疾患ウイルスを著しく減少させた。RSV Fタンパク質のC領域に特異的なマウス抗体1308Fがヒト化の最初の対象として選択された。
【0029】
要約すると、ヒト抗体は下記の通り構築された。すなわち、RNAがマウス抗体生産細胞系から抽出され、抗体をRSVに結合させる原因のマウス可変領域が複製ならびに配列決定され、その結果、マウス抗体CDR配列を同定した。次いで、マウス抗体の可変重鎖および軽鎖配列と最高の相同性を持つヒト可変重鎖および軽鎖フレームワーク配列が選択された。前記のようなヒトフレームワーク配列はマウス誘導CDRと最良に適合する可能性のあるものである。
【0030】
マウス1308Fの可変重鎖は各種のヒト生殖系列遺伝子と比較され、ヒト生殖系列遺伝子HV3と最高の相同性を示した。それら2つの配列は、全体で62%相同であり、フレームワーク領域では65%相同であった。重要なことに、FR2の5′末端を除き、CDRセグメントとフレームワークとの結合部で良好な相同性がある。つぎに、マウス誘導可変重鎖CDRは可変重鎖ヒト生殖系列遺伝子HV3中に置換された。マウス配列とヒトの配列は、この2個の潜在的CDR移植組合体の配列とともに、図1で示される。
【0031】
VL領域に関する同様の分析がなされ、ヒト生殖系列V−Kappa遺伝子K102との高い相同性を示すことを明らかにした。これらの配列のアラインメントは図2で示される。この場合、相同性は全体で62%であり、フレームワーク領域では73%であった。次いで、マウス由来の可変軽鎖CDRは、ヒト生殖系列遺伝子K102のヒト可変軽鎖中に置換された。それぞれの場合においてマウス配列と同一であるヒトJ領域を選択してもよい。
【0032】
もう一つの実施例において、マウス1129可変重鎖が各種のヒト可変領域アミノ酸配列と比較され、最高の相同性はヒト再配列COR配列(配列番号30)と比較したものであった。2個のアミノ酸配列は全体で75%相同であり、フレームワーク領域では80%であった。重要なことに、CDR分節およびフレームワークの結合部で良好な相同性が存在する。マウス誘導可変重鎖CDRは次いで可変重鎖ヒトCOR VH配列(配列番号30)中に置換された。マウスおよびヒト配列ならびにこの2個の潜在的CDR移植組合体が図1で示される。
【0033】
VL領域に関する同様の分析がなされ、ヒト生殖系列K102に対する高い相同性を示すことが明らかになった。これらの配列のアラインメントが図8で示される。この場合、相同性は全体で73%であり、フレームワーク領域では82%であった。マウス誘導可変軽鎖CDRは次いでヒト生殖系列K102のヒト可変軽鎖中に置換された。この場合マウス配列と類似するヒトJ領域、ヒトJK4が選択された。
【0034】
その結果、ヒト抗体が発現され、遺伝子操作が抗体の結合特性を大幅に改変しなかったことを確認するために、元となったマウス抗体と比較して特性を調べる。
【0035】
出願人はここで実施例を提示するが、それは請求されるべきこの発明を詳細に説明するためのものであり、この発明を限定するものではない。
【0036】
[実施例1] 抗RSV Fタンパク質抗体1308FのcDNAクローニングおよび配列決定
対象となった抗体のVHおよびVLのcDNAコピーは下記の通り生成された。第1鎖cDNA反応は、AMV逆転写酵素と、特定の重鎖あるいは軽鎖アイソタイプの定常領域をコードするmRNAのセグメントに相補的なリン酸化オリゴヌクレオチドプライマーと、を用いて行われた。1308Fにとっては、アイソタイプはgammal、Kappaであり、特異的オリゴヌクレオチドはマウスgammal遺伝子のCH1領域のコドン129−137に相補的である5'AGCGGATCCAGGGGCCAGTGGATAGAC(配列番号1)であり、またマウスC−Kappa遺伝子のコドン116−122に相補的である5'TGGATGGTGGGAAGATG(配列番号2)を用いた。このプライマーは可変領域に隣接するmRNAのセグメントにアニール化する。第2鎖cDNA合成はガブラーおよびホフマンにより記述されたように(遺伝子、25巻、263ページ、1983年)、リボヌクレアーゼHおよび大腸菌DNAポリメラーゼIを用いて行われ、次いで平滑末端が生産されることを確かにするためにT4DNAポリメラーゼにより行われた。
【0037】
シグナル V J C mRNA
第1 鎖 cDNA
第2 鎖 cDNA
【0038】
ds−cDNAはpUC18に連結され、後者は制限エンドヌクレアーゼで消化されアルカリ性ホスファターゼで処理された。大腸菌DH5aをハナハンの方法により形質転換するためにライゲーションが使用された(分子生物学ジャーナル、166巻、557ページ、1983年)。第1鎖cDNAプライマーおよびV領域の間に位置するC領域配列に対応するオリゴヌクレオチドプローブが、所望のcDNAセグメントを運ぶ形質転換細胞を同定するためコロニーハイブリッド形成で使用された。特異的プローブ配列はそれぞれマウスCH1領域のコドン121−125に相補的であるGGCCAGTGGATAGAC(配列番号3)およびC−Kappaのコドン110−115に相補的であるTACAGTTGGTGCAGCA(配列番号4)であった。ハイブリッド形成で陽性を示したコロニーから単離された候補プラスミドは、cDNA挿入断片を放出させるために制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびHindIIIを用いた断片化により分析された。400−500塩基対の挿入断片をもつものが次のDNA配列決定に供された。
【0039】
cDNA挿入断片は、二本鎖両方についてDNA配列を決定するために、M13 mp18とmp19に挿入された。生成された組換えバクテリオファージ由来の一本鎖DNAは単離され、ジデオキシ鎖終結法により配列化された(全米科学アカデミー紀要、74巻、5463ページ、1977年)。
【0040】
1308Fハイブリドーマから分離された、転位され体細胞変異されたV遺伝子cDNAの対が1308F抗体中の遺伝子と同じ機能を果たすかを確認するため、一本鎖Fv遺伝子が生成され、哺乳類細胞で発現・分泌され、次いでRSウイルスへの結合を検定された。次いで競合結合実験が結合部位の確認を示すために用いられた。
【0041】
[実施例 2] ヒト1308F VHおよびVLのデザインおよびアセンブリ
VHおよびVLのCDR領域は、カバット(38)に記述された通りアミノ酸配列を既知の配列と比較することで確認された。抗原結合部位の構造を保持するコンフォメーションで、マウス由来CDR配列を最良に受け入れるヒトフレームワーク配列を選択するために、下記の戦略が採用された。まず、配列操作プログラムのウイスコンシンパッケージ中のワードサーチプログラムを用いてジェンバンクおよびNBRFタンパク質データバンク双方からの既知のヒト配列と、マウスVHおよびVL領域が、比較される(核酸研究、12巻、387ページ)。次いで、さらに、フレームワーク領域の類似性、とりわけフレームワークとCDR領域との連結点での類似性に基づいて、いくつかの最良のヒトV領域が分析された(図1および2参照)。
【0042】
それぞれヒトV領域のリーダー配列を含むCDR移植VH領域が、長さ100−137ヌクレオチドにわたる、4個のオーバーラップするオリゴヌクレオチドを用いて新規に合成された(図3参照)。オリゴヌクレオチドはまず対に組合せとなるようアニール化を許され、オーバーラッピング領域を含む約200塩基対の二本鎖DNA断片を生成するようDNAポリメラーゼを用いてDNA伸張された。断片は次いで混合され、一つの断片の3′末端および他の断片の5′末端でプライマーを使用するPCRを受けた。これらの条件下で形成され得る唯一の生成物は全長VHセグメントである。特異的プライマー配列を図3で下線を付して示す。エンドヌクレアーゼSacI部位は、それをヒト定常領域遺伝子セグメントに結合させるために、VH配列の3′末端に含まれていた。
【0043】
CDR移植VL領域は同様の方法で合成された(図4参照)。この実施例では、もとの200塩基対断片は別個に増幅され別個のプラスミドに挿入された。アミノ末端をコードする断片はNcoI−SmaI断片としてpUC18誘導体にクローニングされ、一方、カルボキシル末端をコード化する断片はSmaI−HindIII断片としてクローンされた。両断片は次いで接合部のSmaI部位を介して結合された。用いたオリゴヌクレオチドを図4で示す。HindIII部位は、それをヒトC−Kappa遺伝子と連結させるために遺伝子分節の3′末端近くに含まれた。
【0044】
[実施例 3] 1308F発現のためのベクター構築
ヒト化VHを表すNcoI−SacI断片がヒトc−Gammal cDNAを表すSacI−NotI断片と結合され、pS18に挿入された(pS18はpUC18に、NcoIおよびNotI制限部位を、BamHIおよびKpnI部位の間のポリリンカー領域に組み込んだものである)。SacI−NotI断片上のヒト化1308F−gammal遺伝子は、次いで、ポリA追加部位を保有するpSJ37由来のPvuI−NotI断片、および、SV40複製起点とdhfr遺伝子とCMV即時型初期プロモーターとを保有するpSV2−dhfr−pCMV由来のPvuI−SacI断片、と組合される。生成するプラスミドはpSJ60と名付けられた。
【0045】
ヒト化VLを表すNcoI−HindIII断片は、pS18のヒト化c−Kappa cDNAを表すHindIII−NotI断片と結合された。Sa1I−NotI断片のヒト化1308F−Kappa遺伝子は、次いで、ポリA追加部位を保有するpSJ37由来のPvuI−NotI断片、および、SV40複製起点とdhfr遺伝子とCMV即時型初期プロモーターとを含むpSV2−dhfr−pCMVから得たPvuI−SalI断片と結合された。生成するプラスミドはpSJ61と名付けられた。
【0046】
最後にpSJ60およびpSJ61は軽鎖および重鎖ならびに発現シグナルを含む単一プラスミドに組合された。これは軽鎖を保有するpSJ61由来のPvuI−BamHI断片と、長鎖を保有するpSJ60由来のPvuI−BglII断片とを、結合させ単離することによって、pSJ66を生成して達成された(図5参照)。
【0047】
[実施例 4] pSJ60およびpSJ61を用いたCOS l細胞の形質移入
形質移入は下記の調製を伴うマッカッチャンおよびパガーノの方法に従って行われた(J.Nat.Can.Inst.、41巻:351−356ページ、1968年)。COS 1細胞(ATCC.CRL1650)は胎仔ウシ血清(FBS、ジブコ#200−6140)およびL−グルタミン2mM(BRL#320−5030)を補充したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、ジブコ#320−1965)内で組織培養フラスコ75cm2のCO2、5%加湿培養器で維持され、細胞が密に達した時の1:20の分割比で継代させられた。形質移入の48時間前に、5個の100mm組織培養皿がDMEM12ml、FBS10%、L−グルタミン2mM、ペニシリン−ストレプトマイシン1%(P−S、ジブコ#600−5070)内で皿当り1.5×106細胞で接種された。形質導入当日、プラスミドpSJ60およびpSJ61各120ugが組合され、エタノール沈殿され、トリス緩衝食塩水2.5mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは、混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#17−0350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMLEM、10mlに、滴状で加えられた。培地は100mm皿のCOS 1細胞から除去され、細胞は一度ダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS、ジブコ#310−4190)で洗浄され、ニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)で補充されたDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに加えられ、プレートはDNAを混合するために渦動され、そして培養器に戻された。培養器で4時間後、上澄みが細胞から吸引され、細胞は1回D−PBS5mlで洗浄された。細胞は3分間10%ジメチルスルホキシド(DMSO)5mlを加えたD−PBSで室温でショックを与えられた。DMSOが細胞から吸引され細胞はD−PBS5mlで洗浄された。DMEM/L−グルタミン2mM/P−S1%の14mlが各プレートに加えられた。プレートは培養器に戻された。
【0048】
形質移入の3日後、培地はプレートから除去され、プールされ、−20℃で貯蔵された。細胞は収穫され、プールされ、2個がDMEM/ニューセラム10%、40mlおよび2個がDMEM/FBS10%/L−グルタミン2mM、40mlの4個の150cm2組織培養フラスコ内で接種された。培地は収集され、細胞が7、10および14日に再補給された。このようにして全体で125ugのヒト化1308抗体がFBSを補充した培地310mlで蓄積されニューセラムで補充された培地240mlで85ugが蓄積された。
【0049】
[実施例 5] pSJ66を用いるCOS 1細胞の形質移入
形質移入48時間前、5個の組織培養皿がDMEM12ml、FBS10%、L−グルタミン2mM、ペニシリン−ストレプトマイシン1%(P−S、ジブコ#600−5070)内で皿当り1.5×106細胞で接種された。形質導入当日、pSJ66プラスミド125ugでエタノール沈殿されトリス緩衝食塩水1.0mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#17−0350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMEM4.0mlに滴状で加えられた。培地は100mm皿のCOS 1細胞から除去され、細胞はダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS)で1度洗浄され、ニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)を補充したDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに滴状に加えられ、プレートはDNAを混合するため渦動され、それから培養器に戻された。培養器で4時間後、上澄みが細胞から吸引され、細胞はD−PBS5mlで1度洗浄された。細胞は3分間D−PBSにジメチルスルホキシド10%(DMSO)を加え室温でショックを与えられた。DMSOが細胞から吸引され、細胞はD−PBS5mlで洗浄された。DMEM/FBS10%/L−グルタミン2mM/P−S1%の14mlが各プレートに加えられプレートは培養器に戻された。
【0050】
形質導入3日後培地はプレートから除去され、プールされ、−20℃で貯蔵された。細胞が収穫され、プールされ、2個がDMEM、ニューセラム10%の40ml、2個がDMEM、FBS10%/L−グルタミン2mMの40mlの4個の50cm2織培養フラスコに接種された。培地は収集され、細胞が7、10および14日に再補給された。このようにして合体で190ugのヒト化1308F抗体がFBSで補充された培地310mlで蓄積されまたニューセラムで補充されまた培地240mlに120ugが蓄積された。
【0051】
COS 1細胞から培地に分泌されたヒト化1308F抗体の濃度は捕捉エリザを用いて決定された。96ウエルプレート上に被覆されたヤギ抗ヒトIgG Fcがヒト化抗体を捕捉するために使用された。クロモーゲン基質で開発されたペルオキシダーゼ共役ヤギ抗ヒト全IgGが次いで結合抗体を検出するために使用された。精製ヒトIgG1/Kappa調製物が検定を目盛り化するために使用された。
【0052】
[実施例 6] ヒト化1308Fを用いるRSVの中和
方法:
RSVは、COS細胞上澄みからのヒト化1308Fあるいは精製マウスモノクローナル抗体のいずれかで中和された。これは50プラーク形成単位のRSVを抗体の連続2倍希釈液で1時間37℃で培養することにより行われた。24ウエルパネルのHep2細胞の密集単層が抗体処理ウイルス、未処理対照ウイルス、およびモック感染対照の100μlで感染された。1.5時間37℃で加湿され、CO25%で培養され、またEMEM1.5ml、FBS1%、およびメチルセルロース1%で上塗りされた。細胞は固められ4日目にグルタルアルデヒドおよびクリスタルバイオレットで染色された。プラークは三重ウエルで計数され中和パーセントとしてプロットされた。図6で示されるこの結果はウエル当り5乃至10ngでの精製マウス1308Fモノクローナル抗体およびヒト化1308Fモノクローナル抗体のいずれもが、RSVプラークを同様に50%減少させた結果を示している。
【0053】
[実施例 7]CDR移植A部位抗体1129の生成
ポリA+RNAがオリゴ−dtセルロースを用いて2×107マウス1129ハイブリドーマ細胞の溶解液から精製された。第1鎖cDNAは、pA+RNA1ugから、ランダムヘキサマープライマー、AMV逆転写酵素、pA+RNA1ug、pH8.5のトリス塩酸50mM、MgCl2.8mM、KCl、30mM、ジチオスレイトール1mM、dNTP1mM、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤25単位、ランダムヘキサマー33uMおよびAMV逆転写酵素10単位を用いて、1時間42℃で合成された。1129VL領域からのcDNAはオリゴヌクレオチドSJ41およびSS11を用いるPCRで増幅された(表1を参照)。1129VH領域からのcDNAは同様にオリゴヌクレオチドSJ42およびSJ10を用いて増幅された(表1を参照)。
【0054】
表 1
SJ10
AGCGGATCCAGGGGCCAGTGGATAGAC (配列番号1)
SJ11
GATGGATCCAGTTGGTGCAGCATC (配列番号5)
SJ41
CACGTCGACATTCAGCTGACCCAGTCTCCA (配列番号6)
SJ42
CGGAATTCAGGTIIAICTGCAGIAGTC(A,T)GG (配列番号7)
[I = デオキシ-イノシン]
SJ53
CCCAAGCTTGGTCCCCCCTCCGAACGTG (配列番号8)
SJ154
GGCGTCGACTCACCATGGACATGAGGGTCC(C/T)CGCTCAGC (配列番号9)
SJ155 (H1129L CDR 1)
GTCACCATCACTTGCAAGTGCCAGCTGAGTGTAGGTTACATGCACTGGTACC
AGCAG (配列番号10)
SJ157 (H1129L CDR 3)
GCAACTTATTACTGCTTTCAGGGGAGTGGGTACCCATTCACGTTCGGAGGGG
GG (配列番号11)
SJ168
GTGACCAACATGGACCCTGCTGATACTGCCAC (配列番号12)
SJ169
CCATGTTGGTCACTTTAAGGACCACCTGG (配列番号13)
SJ170
CCAGTTTACTAGTGTCATAGATCAGGAGCTTAGGGGC (配列番号14)
SJ171
TGACACTAGTAAACTGGCTTCTGGGGTCCCATCAAGG (配列番号15)
【0055】
PCR条件
第1鎖cDNA0.5uL、pH8.3トリス塩酸10mM、KCl、50mM、MgCl2、1.5mM、dNTP0.2mM、ゼラチン0.001%、各プライマー1uM、DNA鋳型1ngおよびアンプリターク(登録商標)DNAポリメラーゼ2.5u(パーキン・エルマー−シータス)。94°1分、55°2分、72°2分パーキン・エルマー480サーモサイクラーで25サイクル。生成するDNA断片は次いでフェノール/クロロホルム(1/1)で1回抽出され、エタノール2.5量で沈殿され、適切な制限エンドヌクレアーゼ緩衝液で再懸濁され、クローニングのための付着末端を生成させるために制限エンドヌクレアーゼで消化された。生成断片は次いでアガロースゲル1%の電気泳動で分離された。臭化エチジウムでゲルを染色した後、断片は除去されフェノールの存在下で凍結および抽出によりアガロースから精製された。
【0056】
断片は次いで制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHIで消化され、プラスミドpUC18にクローンされた。挿入断片は次いで修飾されたT7DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ、ユーエス・バイオケミカル)を用いるジデオキシヌクレオチド鎖末端法により配列決定された。
【0057】
翻訳化された配列はヒト抗体タンパク質配列と比較された。VLはK102軽鎖ともっとも相同性があり、またVHはCor VH領域(配列番号30)ともっとも相同性があることが分かった。1129Fv領域は、1129VLとVH配列の由来の残基を、MCPC603抗体の結晶構造での対応する残基座標へ置換することによりモデル化された。残基は視覚的なモデルの検査で折りたたみ構造あるいは溶媒接触に不可欠であるとして確認された。
【0058】
不可欠な配列であり、なおかつ、マウスおよびヒト配列で異なるいくつかの残基は、Fvの完全性を維持するため、すなわち結合部位を維持するために、マウス残基として残された。この残基はVH領域では31、83、113および116であり、VL領域では47であった。生成配列は図7および8で示される。
【0059】
設計されたヒト1129VHはPCRを用いて結合された合成オリゴヌクレオチドSJ147−SJ153(図9)を用いて構築された。このPCRの生成物は次いでNcoIおよびSacIで消化され、プラスミドベクターpSJ40にクローニングされた。ここでpSJ40は、あるフレームがNcoI−SacI断片として挿入される場合に、フレーム外のlacZ1セグメントが、フレーム内V領域セグメントに融合してフレーム内に保持されるpUC18派生物である。5個の突然変異が単一50塩基対領域に密集している挿入断片を含むプラスミドが、次いでPCRおよびプライマーSJ168およびSJ169を用いて、これらの改変の修復を受けた。表1参照。
【0060】
VLはヒト1308F軽鎖遺伝子の部位指向突然変異誘発により生成された。オリゴヌクレオチド、表1参照(CDR1)およびSJ157(CDR3)はH1308L遺伝子を別個に突然変異を起こさせるために使用された。突然変異誘発は、大腸菌株BW313(dut−、ung−)によって生成され次いで大腸菌株DH5(dut+、ung+)に形質転換された、ウラシルを含む一本鎖DNA鋳型とT7DNAポリメラーゼを用いて実行された。2個の突然変異体は結合され、CDR2は、オリゴヌクレオチドSJ170、SJ154、表1参照、(5′末端)およびSJ171、SJ53、表1参照、(3′末端)を用いる組換えPCRにより導入された。CDR移植VHおよびVLは、プラスミドpSJ81およびpSJ105となるH1308FV領域セグメントにとって代るNcoI−SacI断片として、それぞれpSJ60(実施例3参照)およびpSJ61(実施例3参照)に挿入された。加えてマウスVHおよびVL cDNA分節は、発現ベクターpSJ75およびpSJ84を生成するためにそれぞれ同様にヒトC−GammalおよびC−Kappaに接続された。
【0061】
[実施例 8] HU1129一過性発現
COS 1細胞(ATCC、CRL1650)は胎仔ウシ血清10%(FBS、ジブコ#200−6140)およびL−グルタミン2mM(ジブコ#320−5030)を補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、ジブコ#320−1965)で75cm2組織培養フラスコの加湿CO25%培養器で維持され、密集到達直前に1:20の分割比で継代された。
【0062】
形質移入は以下の修正を加えたマッカッチャンおよびパガーノの方法(J.Nat.Can.Inst.、41巻:351−356ページ、1968年)に従って行われた。形質移入の24時間前に、100mm組織培養皿(コーニング#25020)はDMEM14ml、FBS10%、L−グルタミン2mMで皿当り2×106COS 1細胞で播種された。形質導入当日、実施例7からのHu1129重鎖プラスミド(pSJ81)10ugが実施例7からのHu1129Kappa軽鎖プラスミドpSJ105の10ugと組合され、DNAはエタノール沈殿されトリス緩衝食塩水1.0mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#170350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMEM4.0mlに滴状で加えられた。培地はCOS1細胞皿から除去され、細胞単層は1回ダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS、ジブコ#310−4190)10mlで洗浄され、またニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)およびL−グルタミン2mMを補充したDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに滴状で加えられ、プレートはDNAを混合するために渦動され、培養器に戻された。DNA吸着期間8時間後にプレートが培養器から除去され、上澄みがプレートから吸引された。細胞はプレート当りD−PBS内でDMSO、10%の5mlの追加で3分室温でショックを与えられ、その後DMSOが細胞から吸引され細胞は1度D−PBS5mlで洗浄された。DMEM15ml、ニューセラム10%、L−グルタミン2mM(生産培地)が各プレートに加えられ、プレート培養器に戻された。
【0063】
形質移入72時間後、コンディション培地がプレートから回収され−20℃で貯蔵され、生産培地15mlがプレートに加えられプレートは培養器に戻された。96時間後配置がプレートから収集され−20℃で貯蔵された。
【0064】
[実施例 9] Hu1129の定量化
COS 1細胞により培地に分泌されたHu1129の定量化はサンドイッチ型ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)を用いて行われた。要約すると、ナンク・マクシソープ・イムノプレート(ナンク#439454)が室温で3時間pH9.6の重炭酸ナトリウム0.1M内でヤギ抗ヒトIgG Fc(カッペル#55071)0.5ug/mlの50ul/ウエルで被覆された。ウエルは3回pH7.4リン酸ナトリウム0.01M、NaCl、0.15M、トウィーン20(PBS−T)0.1%で洗浄された。プレートへの非特異的タンパク質結合は室温で30分PBS内の脱脂粉乳3%(W/V)の200ul/ウエルの処理で遮断された。精製ヒトIgG1 Kappa標準(シグマ#1−3889)はPBS−T内100ng/mlで作られ1:2から1.56ng/mlまで連続的に希釈され、各50ulが検定プレートの二重ウエルに加えられた。COS 1細胞上澄みはPBS−Tで希釈され、二重の50ulサンプルがプレートに加えられた。室温培養で1時間後、ウエルは空にされ3回PBS−Tで洗浄された。結合Hu1129抗体の存在を検出するために、ホースラディッシュ共役親和性精製ヤギ抗ヒトIgG(全分子、カッペル#3601−0081)がPBS−T内で1:1000で希釈され、50ulがこの検定プレートの各ウエルに加えられ室温で1時間培養された。プレートは3回PBS−Tで洗浄され、クロモーゲン基質TMブルー(TSI#TM102)100ulが各ウエルに加えられた。プレートは室温で10分暗条件で培養され、H2SO4、4.5Mのウエル当り50ulの追加で反応が停止された。プレートはモレキュラー・デバイシズ・ヴイマックス・マイクロプレートリーダーを用いて450nmで読みとられ、データ分析はソフトマックス・ソフトウエア(モレキュラー・デバイス)を用いてIBM P/Sモデル80コンピューターを実行させて、達成された。
【0065】
生産の最初の72時間の間に、COS 1細胞はHu1129、0.06ng/ml、全体で0.9ugを生産した。次の96時間の生産でCOS 1細胞はHu1129、0.99ug/ml、全体で14.85ugを生産した。
【0066】
[実施例 10] Hu1129結合検定
Hu1129の結合検定は、以下の変更を加えた、捕捉ELISAで、基本的には定量化ELISAにより、達成された。プレートは0.5ug/ウエルでMu1331抗体を使って被覆され、ウエルはPBS−T内で脱脂乳3%でブロッキングされ、RSV感染HEP2細胞溶解液が各ウエルに加えられ室温で1時間培養された。検定の残りは、希釈サンプルをウエルに追加することで開始する定量化検定に関して行われた。結果は、OD、対、抗体濃度の二重の交互プロットを用いて、交互プロットからM1129HuGammal、Kappa抗体の10nMとの比較により0.7nMのH1129分子に対する見かけのKdを決定することにより、分析された。
【0067】
H1129およびch1129抗体についてのRSV中和検定が下記の手順に従って実施された:
1.覆いのある96ウエル・コスター細胞培養プレートの包装を解く。
2.成長培地(GM)を37℃に温める。
3.MA104細胞を37℃で解凍する。GMを用いて、〜150,000細胞/mLに希釈する。細胞を混合しウエル当り200μlに調合する。
4.細胞を37℃、CO25%で培養し、感染前一晩加湿する。
5.RSV株を維持液(MM)で10,000pfu/mLまで希釈する。
6.MMで希釈した抗体の等量を希釈RSVの等量と混合する。37℃、CO25%で培養し、感染前1時間加湿する。
7.MA104細胞のレプリケートウエルを抗体およびウイルス混合物200μlで感染させる。レプリケートウエルをウイルスおよびモック感染対照で感染させる。
8.プレートをセロハンで包み37℃、湿度95%、およびCO2、5%で5日培養する。
9.RSVのためのELISA:各ウエルを吸引し、アセトン/PBS80%(vol./vol.)100μlを加え室温で30分培養する。
10.各ウエルを吸引し、薄流フードの鉄板上で30分空気乾燥する。
11.PBS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
12.各ウエルでRSV Fタンパク質にモノクローナル抗体100μlを加える。37℃で1時間培養する。
13.PBS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
14.ホースラディッシュペルオキシダーゼ共役ヤギ抗マウス抗体血清100μlを各ウエルに加える。37℃で1時間培養する。
15.BPS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
16.新鮮に調製されたABTSおよび過酸化物1:1混合物100μlを各ウエルに加える。ウイルス対照の不透明度(405nm)がモック感染対照のそれの5乃至10倍になるまで室温で培養する。
【0068】
付録:
成長培地(GM):最小必須培地(イーグル)およびアールBSS、
グルタミン2mM
イーグル可欠アミノ酸、最終0.1mM、
胎仔ウシ血清10%(v/v)、
ペニシリン50単位/ml、
ストレプトマイシン50mcg/ml、
維持液(MM):血清を1乃至2%に減少させた前記のもの。
MA104細胞株は成長培地を用いてT150フラスコ内で成長する。株はDMSO、10%および成長培地内で1.8mLガラス瓶当り3×106細胞で凍結される。LN2冷蔵庫で貯蔵される。
RSV株:T150フラスコのMA104(サル腎臓)あるいはHep2細胞内で成長する。密集T150当り〜0.2ml(〜100,000pfu)ウイルス株を加える。室温で1時間吸着。次いで胎仔ウシ血清1%を加えた維持液20mLを加える。37℃で4−5日培養する。100%cpeの直前にスクレーピングにより細胞を収集する。細胞を回転で落し、上澄み10mLを残して全て除去する。細胞ペレットを凍結(ドライアイス−エタノール浴)解凍し、ボルテックスさせ、再凍結しウイルス株をLN2冷蔵庫で貯蔵する。
ELISA抗体緩衝液:PBS、トウィーン20、0.05%(W/V)、ヤギ血清2.0%(V/V)およびゼラチン0.5%(W/V)。
RSV Fタンパク質抗体:ELISA抗体緩衝液で〜1:5000まで希釈されたケミコンMab858−1抗RSV融合タンパク質。
抗マウス血清:ELISA抗体緩衝液で〜1:5000に希釈されたヤギ抗マウスIgG(重鎖特異性)に共役されたフィッシャーホースラディッシュペルオキシダーゼ。
【0069】
結果を図10で示す。結果は、25ng/mlがこの検定で中和50%を達成し、一方ch1129抗体45ug/mlがこの実験で中和50%のために必要とされたことを示している。一連の6個の異なる検定によって、H1129の50%中和の平均値は17ng/mlであった。対照として、また効能を比較するために、われわれはまたRSVに対する高い中和力価を持つ個人の血漿から作られたポリクローナルヒトIgG調製品を検定した。この調製品(RSVigと名付けられる(lot#4))は3回の実験によって2.3ug/mlの50%中和平均値を示した。かくしてH1129はこの実験で強化ポリクローナル調製品に比べて100倍大きい効能を持っている。
【0070】
[実施例 11] BIAcoreTMによるヒト化RSV Mabのカイネティクス分析
ヒト化RSV MabおよびRSV Fタンパク質の間の相互作用のカイネティクスがファルマシアBIAcoreTMバイオセンサーを用いる表面プラスモン共鳴により調査された。C末端切断型Fタンパク質を発現する組換えバキュロウイルスは、カイネティクス調査のための豊富な抗原の情報源を提供した。上澄み(分泌Fタンパク質を含む)は、コンカナバリンAおよびQセファロースカラムを用いた連続クロマトグラフィーにより約20倍に濃縮された。プールされた画分はクエン酸ナトリウム(pH5.5)10mMに対して透析され、約0.1mg/mlまで濃縮された。Fタンパク質(100ml)の画分がBIAコアセンサーチップに対してアミン結合された。固定された量はH1129あるいはH1308Fのいずれかで飽和された時にシグナルの約2000応答単位(Rmax)を与えた。これは、結合手順に従ったFタンパク質調製物において等数の「A」および「C」抗原部位が存在することを示していた。2個の無関係の関連性のないMabs(RVFV 4D4およびCMV H758)は固定されたFタンパク質とは何らの相互作用を示さなかった。典型的なカイネティクス調査は、トウィーン20、0.05%を含むPBS緩衝液(PBS/トウィーン)内での異なった濃度(25−300nM)でMab35mlを注入することを含んでいた。フローレートは5ml/分を維持し7分結合相を提供した。Mabの注入に続き、フローは解離速度を決定するために30分でPBS/トウィーン緩衝液で置換した。センサーチップは塩酸10mMの2分パルスを持つサイクルの間で再生された。再生段階は固定Fタンパク質の結合能力に最少の損失(サイクル当り4%の損失)しか生じさせなかった。この小さな減少は、結合および解離のための速度定数の計算値を変更しなかった。
【0071】
Fタンパク質への結合に対する各種Mabの親和性は、解離を示す第1次定数の、結合を示す第2次速度定数に対する割合(Kd=Kdiss/Kassoc)から計算された。Kassocの値は下記の率方程式に基づいて計算された。
(1)dR/dt=Kassoc[Mab]Rmax-(Kassoc[Mab]+Kdiss)R
【0072】
ここでRおよびRmaxはそれぞれ時間tおよび無限大での応答単位である。Rの関数としてのdr/dtのプロットは(Kassoc[Mab]+Kdiss)の傾きを与える。これらの傾きは[Mab]と線形に関連しているため、Kassoc値は、傾き 対 [Mab]の再プロットから導き出すことができる。新しい線の傾きはKassocと等しい。Kdiss値はY切片から推定することができるが、より正確な値はKdissの直接測定で決定された。
Mabの注入相に続き、PBS/トウィーン緩衝液はセンサーチップを横切って流れる。
この時点から[Mab]=0となる。方程式(1)はかくして
(2)dr/dt=KdissあるいはdR/R=Kdissdt
に変形される。方程式(2)の積分は
(3)1n(Ro/Rt)=Kdisst
となり、ここでRoとRtはそれぞれ時間ゼロ(解離相の開始)および時間tでの応答単位である。最後にtの関数としてのIn(Ro/Rt)はKdissの傾きを与える。
【0073】
【表1】
【0074】
[実施例 12] ヒト化Mabを用いたコットンラットのin vivo保護
H1129およびH1308Fは筋肉内投与された際にコットンラットの肺組織内で感染を減少する能力をそれぞれ検査された。コットンラット(シグモドン・ヒスピドゥス、グループ当り4動物、平均重量100グラム)がメトキシフルレンで麻酔され、筋肉内注射により抗体溶液1.0mlを与えられた(最終濃度はそれぞれ5mg/kg、1.67mg/kgおよび0.56mg/kgの用量を生じる)。対照動物はウシ血清アルブミンを注射された。1日後、動物は再び麻酔され、RSVのロング菌株、105.0プラーク形成単位(PFU)の鼻腔内点滴により攻撃(免疫性をテスト)された。ウイルス攻撃の4日後、すべての動物は二酸化炭素窒息により屠殺された。肺が採取されハンクス平衡食塩水10部(wt/vol)でホモゲナイズされた。生成懸濁液はウイルス量をプラーク検定により定量化された。
【0075】
以下に示されるこれら実験の結果は、H1129およびH1308FがRSV攻撃1日前に注射されると、コットンラットの肺でのウイルス力価を減少するのに有効であることを示している。
【0076】
【表2】
【0077】
ここで描かれ記載された図面は、この発明をより詳細に説明することを意図しており、どのような方法であってもこの発明を限定することを意図するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト−マウスキメラ抗呼吸シンシチアルウイルス抗体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この出願は1991年12月23日受理された米国出願番号07/813,372号の一部継続出願である。
【0003】
呼吸シンシチアルウイルス(RSV)は、入院幼児の急性呼吸器系疾患の主要な原因であり、地域診療では、入院児童のおよそ5倍の児童を治療するであろう。従ってこれは小児下気道感染のもっとも一般的な原因である。市中獲得型RSV感染の大部分は1週間乃至10日で自然治癒するが、多くの入院児童、とりわけ生後6ヶ月以内の幼児は補助換気を必要とする。
【0004】
これまで効果的なワクチンを製造しようとする試みは不成功であった(非特許文献8)。ワクチン開発の上で、主要な障害は安全性である。すなわち、当初のホルマリン不活性化RSVワクチンは、予防接種を受けた児童において、ウイルス暴露によるRSV下気道疾病の発症率と死亡率を増加させた(非特許文献5)。
【0005】
最近薬品リバビリンがRSV肺炎および細気管支炎の治療用として許可された(非特許文献2,3)が、その価値は議論の的となっている(非特許文献4)。リバビリンは効能を示したが、この薬品は18時間にわたりエアロゾル吸入で投与されねばならない。加えて治療を中止した後二次感染の水準は未治療の患者よりも著しく高い。
【0006】
高力価のRSV免疫グロブリンが動物モデルのRSV感染の予防と治療双方に有効であることを研究が示した(非特許文献6,7)。RSV免疫グロブリンで治療された感染動物は肺免疫複合体疾患の徴候を示さなかった。
【0007】
たとえRSV高度免疫グロブリンが高リスク児童のRSV下気道感染の発症率および重症度の減少を示したにせよ、いくつかの欠点がその使用を制限する。第1の欠点は事前集中治療のため静脈アクセスを制限されるこれら児童への静脈内注入の必要性があることである。第2の欠点は、とりわけこれらの児童は免疫反応が十分に発揮し得ない心肺機能を持つため大量のRSVIGが保護のために必要とされることである。第3の欠点は、静脈内注入はRSVシーズン中は毎月通院を必要とし、それがこれら児童を院内感染の危険にさらすということである(非特許文献1)。最後の問題はこの製品の要求に合致するRSV高免疫グロブリンを生産する十分な供与体を選択するということが非常に困難であることがわかっていることである。現在の所僅かに約8%の供与体が高度免疫グロブリンの生産に適格な十分に高いRSV中和抗体力価を持つに過ぎない。
【0008】
もう一つのアプローチは、高免疫グロブリンに代替するものとして高い特異的中和活性を持つモノクローナル抗体の開発である。その抗体の治療効能を相殺し又は免疫複合体病理を誘発するようなヒト抗げっ歯類抗体反応の発生を最小にするために、マウスやラット抗体よりもヒトモノクローナル抗体を使用することが、必須ではないとしても、望ましい。しかし所望の特異性を持つヒトモノクローナル抗体の生成は難しく、ヒト細胞系からの生産水準はしばしば低く、それがこの開発の妨げとなっている。
【0009】
代替的なアプローチの一つは、マウスの重鎖・軽鎖可変領域をコードする遺伝情報をヒトの重鎖・軽鎖定常領域をコードする遺伝子に固定したヒト−マウスキメラ抗体の生産である。生成するマウス−ヒトハイブリッド抗体は、マウス配列由来の完全免疫グロブリンの約30%を有している。従って、数多くの研究所がマウス可変領域とヒト定常領域でキメラ抗体を構築してきた(非特許文献10−18)が、マウス可変領域は未だ体内で異物と認識されている(非特許文献19)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】ホール、シー.ビー.、ダグラス、アール. ジー.、ガイマン、ジェイエム.他、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、293巻:1343ページ、1975年
【非特許文献2】ホール、シー.ビー.、マクブライド、ジェイ. ティー.、ウォルシュ、イー.イー.他、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン、308巻:1443ページ、1983年
【非特許文献3】ホール、シー.ビー.、マクブライド、ジェイ. ティー.、ガラ、シー.エル.他、JAMA、254巻:3047ページ、1985年
【非特許文献4】ウォルド、イー.アール.、他、小児科ジャーナル、112巻:154ページ、1988年
【非特許文献5】カピキアン、エイ.ゼッド.、他、ミッチェル、アール.エイチ.、チャノック、アール.エム.他、疫学アメリカンジャーナル、89巻:405ページ、1969年
【非特許文献6】プリンス、ジー.エイ.、他、ヘミング、ヴィ.ジー.、ホースウッド、アール.エル.他、ウイルス研究、3巻:193ページ、1985年
【非特許文献7】ヘミング、ヴィ.ジー.、プリンス、ジー.エイ.、ホースウッド、アール.エル.他、感染性疾病ジャーナル、152巻:1083ページ、1985年
【非特許文献8】ライト、ピー.エフ.、ベルジュ、アール.ビー.、他、感染と免疫、37巻:397ページ、1982年
【非特許文献9】コンラッド、ディー.エイ.、クリステンセン、ジェイ.シー.他、小児感染性疾病ジャーナル、6巻:152ページ、1987年
【非特許文献10】ロブーリョ、エイ.エフ.、ホゥイーラー、アール.エル.、トラング、ジェイ.他、全米科学アカデミー紀要、86巻:4220ページ、1989年
【非特許文献11】ステルプスキー、ゼット.、サン、エル.ケイ.、シアマン、シー.ダブリュ.他、全米科学アカデミー紀要、85巻:4852ページ、1988年
【非特許文献12】ブーリアン、ジー.エル.、ホズミ、エヌ.、エル.、シュルマン、エム.ジェイ.、ネイチャー、312巻:643ページ、1984年
【非特許文献13】サン、エル.ケイ.、カーチス、ピー.、ラコヴィッツ−シュルチンスカ、イー.他、全米科学アカデミー紀要、84巻:214ページ、1987年
【非特許文献14】リュー、エイ.ワイ.、マック、ピー.ダブリュ.、チャンピオン、シー. アイ.、ロビンソン、アール.アール.、遺伝子、54巻:33ページ、1987年
【非特許文献15】モリソン、エス.エル.、ジョンソン、エム.ジェイ.、ハーセンバー、エル.エエイ.、オーイ、ヴイ.ティー.、全米科学アカデミー紀要、81巻:6851ページ、1984年
【非特許文献16】モリソン、エス.エル.、サイエンス、229巻:1202ページ、1985年
【非特許文献17】サヘーガン、ビー.ジー.、ドライ、エイチ.、ザルツガーバー−ミュラー、ジェイ.、他、免疫学ジャーナル、137巻:1066ページ、1986年
【非特許文献18】タケダ、エス.、ナイトウ、ティー.、ハマ、ケイ.、ノマ、ティー.、ホンジョウ、ティー.、ネイチャー、314巻:452ページ、1985年
【非特許文献19】カーソン、ディー.エイ.、フライマーク、ビー.ディー.、先端免疫学、38巻:275ページ、1986年
【非特許文献20】ビーラー、ジェイ.エイ.、他、ウイルス学ジャーナル、63巻:2941−2950ページ、1989年
【非特許文献21】ケーリン、他、ウイルス学、143巻:569−582ページ、1985年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従ってこの発明の目的は、少なくとも1つのモノクローナル抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1個のCDRを含む、相補性決定領域(CDR)移植ヒト抗RSV抗原抗体を提供することである。モノクローナル抗体はいずれの非ヒト動物から誘導されてもよいが、望ましくは、げっ歯類、またもっとも望ましくはマウスの、モノクローナル抗体である。望ましくは、そのマウスモノクローナル抗体は中和抗体である。また、望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原抗体である。
【0012】
ここで使用される「動物」という用語はもっとも広い意味で用いられ、ヒトを含む哺乳類を含む。
【課題を解決するための手段】
【0013】
マウスモノクローナル抗RSV抗原抗体から誘導される可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれうち少なくとも1つのCDRの遺伝情報のみのヒト抗体への移植が、動物中のRSVの予防および治療に有効であることを出願人である発明者は発見した。望ましくはマウス抗体は抗RSV中和抗体である。また本発明によれば、上記マウス抗体は抗RSV F抗原抗体を用いることができる。望ましくはマウス抗体は抗RSV F抗原中和抗体である。ヒト可変フレームワーク・セグメントをマウスCDRと置換することにより、抗原であるRSV Fタンパク質への結合親和力と特異性を保持したまま、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答の可能性を最小限にする。CDR配列はヒトまたはマウスに特徴的なモチーフを含まないので、マウス抗体のCDRを含むヒト抗体は、完全なヒト抗体から本質的に区別できない。その結果、RSV F抗原に対する結合親和力と特異性を保持したまま、ヒト抗体応答を最小限にする。
【0014】
ヒト化抗RSV F抗原抗体の開発は、マウス抗RSV F抗原抗体から開始された。このタイプのマウス抗体の例は以下の通りである。MAb 1436C,MAb113,MAb112,MAb151,MAb1200,MAb1214,MAb1237,MAb1129,MAb1121,MAb1107,MAb131−1,MAb43−1,MAb1112,MAb1269,MAb1243,MAb1331H,MAb1308F、およびMAb1302A(非特許文献21参照)。
【0015】
この発明の一つの側面は、上記ヒト抗体の相補性決定領域(CDR)は、マウス抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち3つのCDRから構成されることを提供する。
【0016】
上記複数のマウス抗RSV F抗原抗体は、競合結合アッセイおよびウイルス逃避変異体に対する反応性プロフィルにより、16個の異なったエピトープを含む3つのブロード抗原部位(A,B,C)にマッピングされた(非特許文献20参照)。抗原部位AおよびCにあるエピトープは、天然に単離したもののうち最も種類が少なかった。
【0017】
従ってこの発明のもう一側面は、AまたはCの抗原部位に特異的な、少なくとも一つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち、少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体を提供する。一つの側面において、この発明は、上記マウス抗体は、マウス抗体MAb1308Fの抗原部位でもある抗原部位Cに特異的な、マウス抗RSV F抗原抗体であること、を提供する。
【0018】
この発明のこのような一つの実施例において、ヒト抗体は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1308Fの可変重鎖のCDRを含む。MAb1308Fの可変重鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号17のアミノ酸番号31から35、アミノ酸番号47から66およびアミノ酸番号98から106である。加えてこの実施例は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1308の可変軽鎖のCDRを含む。MAb1308の可変軽鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号20のアミノ酸番号24から34、アミノ酸番号50から56およびアミノ酸番号89から97である。
【0019】
この発明のもう一側面は、抗原部位Cに特異的である、少なくとも1つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のそれぞれのうち少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体を提供する。望ましくは、この発明は、マウス抗体MAb1129の抗原部位でもある抗原部位Cに特異的なマウス抗RSV F抗原抗体を提供する。
【0020】
この発明の実施例において、ヒト抗体は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1129の可変重鎖のCDRを含む。MAb1129の可変重鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号31のアミノ酸番号31から37、アミノ酸番号52から67およびアミノ酸番号100から109である。加えてこの実施例は、マウス抗RSV F抗原抗体MAb1129の可変軽鎖のCDRを含む。MAb1129の可変軽鎖のCDRは、3つのCDRから構成され、以下のアミノ酸配列を有する。すなわち、配列番号34のアミノ酸番号24から33、アミノ酸番号49から55およびアミノ酸番号88から96である。
【0021】
加えて、出願人の発明の側面は、RSV感染を予防し治療する一つの方法であり、この方法は、少なくとも1つのマウス抗RSV F抗原抗体の可変重鎖および可変軽鎖のうち少なくとも1つのCDRを含むヒト抗体の有効量を、動物に投与することによりなる。
【0022】
また出願人の発明のもう一側面は、許容される薬理的担体と配合した上述したヒト抗体の有効投与量から構成される組成物である。許容される薬理的担体は、限定されないが、無毒緩衝液、充填剤、等張液などを含む。
【0023】
出願人の発明による組成物は、局所的にあるいは全身に投与されてもよい。局所投与は、例えばヒト抗体組成物を含むエアロゾルの鼻腔内投与および吸入である。全身投与は、ヒト抗体組成物を静脈内あるいは筋肉内注射することにより達成されてもよい。
【0024】
出願人の発明の好ましい一側面は、ヒト抗体として、多数のヒト抗RSV F抗原抗体のうち一部が、投与されるということである。これらの抗体は、RSV F抗原の同一もしくは異なるエピトープを標的するものでもよい。
【0025】
加えて、この発明のヒト抗体は、患者にある呼吸シンシチアルウイルスを臨床的に診断するために使用してもよい。RSV F抗原に対して親和性があるので、これらのヒト抗体は、サンプル例えば体液にあるRSV F抗原の存在および濃度を検出する既知の診断検定方法に利用することができる。この発明のヒト抗体は例えばラテックスビーズ、カラムなどのような固形支持物に付着あるいは結合してもよく、それは次いでRSV F抗原を含むものと考えられるサンプルと接触されて用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1はCDR移植抗RSV F糖タンパク質抗体のVHのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は、移植前のヒトHV3VH(配列番号16)、CDR移植VH(配列番号17)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1308F VHのAA配列(配列番号18)を表す。太字下線部はヒトHV3 VHに移植されたCDRを特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図1B】図1Aに接続する図である。
【図2A】図2はCDR移植抗RSV Fタンパク質抗体のVLのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトK102VL(配列番号19)、CDR移植VL(配列番号20)および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1308F VL(配列番号21)のAA配列を示す。太字下線部はヒトK102 VLに移植されたCDR配列を特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図2B】図2Aに接続する図である。
【図3A】図3はHu1308VHを作るために使用されたオリゴヌクレオチドを示し、下線のある配列は特異的プライマー配列である(配列番号22−25)。
【図3B】図3Aに接続する図である。
【図4A】図4はHu1308VLを作るために使用されたオリゴヌクレオチドを示し、下線のある配列は特異的なプライマー配列である(配列番号26−29)。
【図4B】図4Aに接続する図である。
【図5】図5はヒト化(Humanized)1308のための発現ベクターのプラスミド構成を示す。
【図6】図6は中和パーセント対Cos Hu1308FおよびMu1308Fでの中和に対する反応当りMAb ngで表したRSVの中和のグラフを示す。
【図7A】図7はCDR移植抗RSV F糖タンパク質抗体のVHのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトCOR VH(配列番号30)、CDR移植VH(配列番号31)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1129 VHのAA配列を示す(配列番号32)。太字下線部はヒトCOR VHに移植されたCDR配列を特定し、各々3つの領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図7B】図7Aに接続する図である。
【図8A】図8はCDR移植抗RSV Fタンパク質抗体のVLのアミノ酸(AA)配列デザインを示す。図は移植前のヒトK102VL(配列番号33および配列番号44)、CDR移植VL(配列番号34)、および移植されたCDR配列の元となったマウスMAb1129 VLのAA配列(配列番号35)を示す。太字下線部はヒトK102 VLに移植されたCDR配列を特定し、各々3個の領域は、それぞれCDR1,CDR2およびCDR3を表す。
【図8B】図8Aに接続する図である。
【図9A】図9はヒト化1129VHを構築するために使用されたオリゴヌクレオチドを示す(配列番号36−42)。
【図9B】図9Aに接続する図である。
【図10】図10はELISA検定によるヒト化1129の結合度データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
出願人のRSVを予防するヒト抗体の開発は、in vitroでRSVを中和し、RSVによる下気道感染からコットンラットを保護することが示されたマウスモノクローナル抗体を生産するマウスハイブリドーマ(融合雑種腫瘍細胞)細胞から始まった。
【0028】
抗原部位Cに特異的である一つの抗体がマウス−ヒトキメラ抗体を生産するために選択された。この抗体は次の基準に基づいて選択された。すなわち、(i)テストされた多数の菌株と反応したこと(単離された14個のうち少なくとも13個)、(ii)他の抗F抗体で選択されたウイルス逃避突然変異体に対し中和活性を保持したこと、(iii)鼻腔内ルートによりコットンラットに低い用量で投与したときに、ウイルス攻撃に対しRSV増複を遮断したこと、である。選択された抗体はそれぞれの領域において抗体の間の肺疾患ウイルスを著しく減少させた。RSV Fタンパク質のC領域に特異的なマウス抗体1308Fがヒト化の最初の対象として選択された。
【0029】
要約すると、ヒト抗体は下記の通り構築された。すなわち、RNAがマウス抗体生産細胞系から抽出され、抗体をRSVに結合させる原因のマウス可変領域が複製ならびに配列決定され、その結果、マウス抗体CDR配列を同定した。次いで、マウス抗体の可変重鎖および軽鎖配列と最高の相同性を持つヒト可変重鎖および軽鎖フレームワーク配列が選択された。前記のようなヒトフレームワーク配列はマウス誘導CDRと最良に適合する可能性のあるものである。
【0030】
マウス1308Fの可変重鎖は各種のヒト生殖系列遺伝子と比較され、ヒト生殖系列遺伝子HV3と最高の相同性を示した。それら2つの配列は、全体で62%相同であり、フレームワーク領域では65%相同であった。重要なことに、FR2の5′末端を除き、CDRセグメントとフレームワークとの結合部で良好な相同性がある。つぎに、マウス誘導可変重鎖CDRは可変重鎖ヒト生殖系列遺伝子HV3中に置換された。マウス配列とヒトの配列は、この2個の潜在的CDR移植組合体の配列とともに、図1で示される。
【0031】
VL領域に関する同様の分析がなされ、ヒト生殖系列V−Kappa遺伝子K102との高い相同性を示すことを明らかにした。これらの配列のアラインメントは図2で示される。この場合、相同性は全体で62%であり、フレームワーク領域では73%であった。次いで、マウス由来の可変軽鎖CDRは、ヒト生殖系列遺伝子K102のヒト可変軽鎖中に置換された。それぞれの場合においてマウス配列と同一であるヒトJ領域を選択してもよい。
【0032】
もう一つの実施例において、マウス1129可変重鎖が各種のヒト可変領域アミノ酸配列と比較され、最高の相同性はヒト再配列COR配列(配列番号30)と比較したものであった。2個のアミノ酸配列は全体で75%相同であり、フレームワーク領域では80%であった。重要なことに、CDR分節およびフレームワークの結合部で良好な相同性が存在する。マウス誘導可変重鎖CDRは次いで可変重鎖ヒトCOR VH配列(配列番号30)中に置換された。マウスおよびヒト配列ならびにこの2個の潜在的CDR移植組合体が図1で示される。
【0033】
VL領域に関する同様の分析がなされ、ヒト生殖系列K102に対する高い相同性を示すことが明らかになった。これらの配列のアラインメントが図8で示される。この場合、相同性は全体で73%であり、フレームワーク領域では82%であった。マウス誘導可変軽鎖CDRは次いでヒト生殖系列K102のヒト可変軽鎖中に置換された。この場合マウス配列と類似するヒトJ領域、ヒトJK4が選択された。
【0034】
その結果、ヒト抗体が発現され、遺伝子操作が抗体の結合特性を大幅に改変しなかったことを確認するために、元となったマウス抗体と比較して特性を調べる。
【0035】
出願人はここで実施例を提示するが、それは請求されるべきこの発明を詳細に説明するためのものであり、この発明を限定するものではない。
【0036】
[実施例1] 抗RSV Fタンパク質抗体1308FのcDNAクローニングおよび配列決定
対象となった抗体のVHおよびVLのcDNAコピーは下記の通り生成された。第1鎖cDNA反応は、AMV逆転写酵素と、特定の重鎖あるいは軽鎖アイソタイプの定常領域をコードするmRNAのセグメントに相補的なリン酸化オリゴヌクレオチドプライマーと、を用いて行われた。1308Fにとっては、アイソタイプはgammal、Kappaであり、特異的オリゴヌクレオチドはマウスgammal遺伝子のCH1領域のコドン129−137に相補的である5'AGCGGATCCAGGGGCCAGTGGATAGAC(配列番号1)であり、またマウスC−Kappa遺伝子のコドン116−122に相補的である5'TGGATGGTGGGAAGATG(配列番号2)を用いた。このプライマーは可変領域に隣接するmRNAのセグメントにアニール化する。第2鎖cDNA合成はガブラーおよびホフマンにより記述されたように(遺伝子、25巻、263ページ、1983年)、リボヌクレアーゼHおよび大腸菌DNAポリメラーゼIを用いて行われ、次いで平滑末端が生産されることを確かにするためにT4DNAポリメラーゼにより行われた。
【0037】
シグナル V J C mRNA
第1 鎖 cDNA
第2 鎖 cDNA
【0038】
ds−cDNAはpUC18に連結され、後者は制限エンドヌクレアーゼで消化されアルカリ性ホスファターゼで処理された。大腸菌DH5aをハナハンの方法により形質転換するためにライゲーションが使用された(分子生物学ジャーナル、166巻、557ページ、1983年)。第1鎖cDNAプライマーおよびV領域の間に位置するC領域配列に対応するオリゴヌクレオチドプローブが、所望のcDNAセグメントを運ぶ形質転換細胞を同定するためコロニーハイブリッド形成で使用された。特異的プローブ配列はそれぞれマウスCH1領域のコドン121−125に相補的であるGGCCAGTGGATAGAC(配列番号3)およびC−Kappaのコドン110−115に相補的であるTACAGTTGGTGCAGCA(配列番号4)であった。ハイブリッド形成で陽性を示したコロニーから単離された候補プラスミドは、cDNA挿入断片を放出させるために制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびHindIIIを用いた断片化により分析された。400−500塩基対の挿入断片をもつものが次のDNA配列決定に供された。
【0039】
cDNA挿入断片は、二本鎖両方についてDNA配列を決定するために、M13 mp18とmp19に挿入された。生成された組換えバクテリオファージ由来の一本鎖DNAは単離され、ジデオキシ鎖終結法により配列化された(全米科学アカデミー紀要、74巻、5463ページ、1977年)。
【0040】
1308Fハイブリドーマから分離された、転位され体細胞変異されたV遺伝子cDNAの対が1308F抗体中の遺伝子と同じ機能を果たすかを確認するため、一本鎖Fv遺伝子が生成され、哺乳類細胞で発現・分泌され、次いでRSウイルスへの結合を検定された。次いで競合結合実験が結合部位の確認を示すために用いられた。
【0041】
[実施例 2] ヒト1308F VHおよびVLのデザインおよびアセンブリ
VHおよびVLのCDR領域は、カバット(38)に記述された通りアミノ酸配列を既知の配列と比較することで確認された。抗原結合部位の構造を保持するコンフォメーションで、マウス由来CDR配列を最良に受け入れるヒトフレームワーク配列を選択するために、下記の戦略が採用された。まず、配列操作プログラムのウイスコンシンパッケージ中のワードサーチプログラムを用いてジェンバンクおよびNBRFタンパク質データバンク双方からの既知のヒト配列と、マウスVHおよびVL領域が、比較される(核酸研究、12巻、387ページ)。次いで、さらに、フレームワーク領域の類似性、とりわけフレームワークとCDR領域との連結点での類似性に基づいて、いくつかの最良のヒトV領域が分析された(図1および2参照)。
【0042】
それぞれヒトV領域のリーダー配列を含むCDR移植VH領域が、長さ100−137ヌクレオチドにわたる、4個のオーバーラップするオリゴヌクレオチドを用いて新規に合成された(図3参照)。オリゴヌクレオチドはまず対に組合せとなるようアニール化を許され、オーバーラッピング領域を含む約200塩基対の二本鎖DNA断片を生成するようDNAポリメラーゼを用いてDNA伸張された。断片は次いで混合され、一つの断片の3′末端および他の断片の5′末端でプライマーを使用するPCRを受けた。これらの条件下で形成され得る唯一の生成物は全長VHセグメントである。特異的プライマー配列を図3で下線を付して示す。エンドヌクレアーゼSacI部位は、それをヒト定常領域遺伝子セグメントに結合させるために、VH配列の3′末端に含まれていた。
【0043】
CDR移植VL領域は同様の方法で合成された(図4参照)。この実施例では、もとの200塩基対断片は別個に増幅され別個のプラスミドに挿入された。アミノ末端をコードする断片はNcoI−SmaI断片としてpUC18誘導体にクローニングされ、一方、カルボキシル末端をコード化する断片はSmaI−HindIII断片としてクローンされた。両断片は次いで接合部のSmaI部位を介して結合された。用いたオリゴヌクレオチドを図4で示す。HindIII部位は、それをヒトC−Kappa遺伝子と連結させるために遺伝子分節の3′末端近くに含まれた。
【0044】
[実施例 3] 1308F発現のためのベクター構築
ヒト化VHを表すNcoI−SacI断片がヒトc−Gammal cDNAを表すSacI−NotI断片と結合され、pS18に挿入された(pS18はpUC18に、NcoIおよびNotI制限部位を、BamHIおよびKpnI部位の間のポリリンカー領域に組み込んだものである)。SacI−NotI断片上のヒト化1308F−gammal遺伝子は、次いで、ポリA追加部位を保有するpSJ37由来のPvuI−NotI断片、および、SV40複製起点とdhfr遺伝子とCMV即時型初期プロモーターとを保有するpSV2−dhfr−pCMV由来のPvuI−SacI断片、と組合される。生成するプラスミドはpSJ60と名付けられた。
【0045】
ヒト化VLを表すNcoI−HindIII断片は、pS18のヒト化c−Kappa cDNAを表すHindIII−NotI断片と結合された。Sa1I−NotI断片のヒト化1308F−Kappa遺伝子は、次いで、ポリA追加部位を保有するpSJ37由来のPvuI−NotI断片、および、SV40複製起点とdhfr遺伝子とCMV即時型初期プロモーターとを含むpSV2−dhfr−pCMVから得たPvuI−SalI断片と結合された。生成するプラスミドはpSJ61と名付けられた。
【0046】
最後にpSJ60およびpSJ61は軽鎖および重鎖ならびに発現シグナルを含む単一プラスミドに組合された。これは軽鎖を保有するpSJ61由来のPvuI−BamHI断片と、長鎖を保有するpSJ60由来のPvuI−BglII断片とを、結合させ単離することによって、pSJ66を生成して達成された(図5参照)。
【0047】
[実施例 4] pSJ60およびpSJ61を用いたCOS l細胞の形質移入
形質移入は下記の調製を伴うマッカッチャンおよびパガーノの方法に従って行われた(J.Nat.Can.Inst.、41巻:351−356ページ、1968年)。COS 1細胞(ATCC.CRL1650)は胎仔ウシ血清(FBS、ジブコ#200−6140)およびL−グルタミン2mM(BRL#320−5030)を補充したダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、ジブコ#320−1965)内で組織培養フラスコ75cm2のCO2、5%加湿培養器で維持され、細胞が密に達した時の1:20の分割比で継代させられた。形質移入の48時間前に、5個の100mm組織培養皿がDMEM12ml、FBS10%、L−グルタミン2mM、ペニシリン−ストレプトマイシン1%(P−S、ジブコ#600−5070)内で皿当り1.5×106細胞で接種された。形質導入当日、プラスミドpSJ60およびpSJ61各120ugが組合され、エタノール沈殿され、トリス緩衝食塩水2.5mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは、混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#17−0350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMLEM、10mlに、滴状で加えられた。培地は100mm皿のCOS 1細胞から除去され、細胞は一度ダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS、ジブコ#310−4190)で洗浄され、ニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)で補充されたDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに加えられ、プレートはDNAを混合するために渦動され、そして培養器に戻された。培養器で4時間後、上澄みが細胞から吸引され、細胞は1回D−PBS5mlで洗浄された。細胞は3分間10%ジメチルスルホキシド(DMSO)5mlを加えたD−PBSで室温でショックを与えられた。DMSOが細胞から吸引され細胞はD−PBS5mlで洗浄された。DMEM/L−グルタミン2mM/P−S1%の14mlが各プレートに加えられた。プレートは培養器に戻された。
【0048】
形質移入の3日後、培地はプレートから除去され、プールされ、−20℃で貯蔵された。細胞は収穫され、プールされ、2個がDMEM/ニューセラム10%、40mlおよび2個がDMEM/FBS10%/L−グルタミン2mM、40mlの4個の150cm2組織培養フラスコ内で接種された。培地は収集され、細胞が7、10および14日に再補給された。このようにして全体で125ugのヒト化1308抗体がFBSを補充した培地310mlで蓄積されニューセラムで補充された培地240mlで85ugが蓄積された。
【0049】
[実施例 5] pSJ66を用いるCOS 1細胞の形質移入
形質移入48時間前、5個の組織培養皿がDMEM12ml、FBS10%、L−グルタミン2mM、ペニシリン−ストレプトマイシン1%(P−S、ジブコ#600−5070)内で皿当り1.5×106細胞で接種された。形質導入当日、pSJ66プラスミド125ugでエタノール沈殿されトリス緩衝食塩水1.0mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#17−0350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMEM4.0mlに滴状で加えられた。培地は100mm皿のCOS 1細胞から除去され、細胞はダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS)で1度洗浄され、ニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)を補充したDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに滴状に加えられ、プレートはDNAを混合するため渦動され、それから培養器に戻された。培養器で4時間後、上澄みが細胞から吸引され、細胞はD−PBS5mlで1度洗浄された。細胞は3分間D−PBSにジメチルスルホキシド10%(DMSO)を加え室温でショックを与えられた。DMSOが細胞から吸引され、細胞はD−PBS5mlで洗浄された。DMEM/FBS10%/L−グルタミン2mM/P−S1%の14mlが各プレートに加えられプレートは培養器に戻された。
【0050】
形質導入3日後培地はプレートから除去され、プールされ、−20℃で貯蔵された。細胞が収穫され、プールされ、2個がDMEM、ニューセラム10%の40ml、2個がDMEM、FBS10%/L−グルタミン2mMの40mlの4個の50cm2織培養フラスコに接種された。培地は収集され、細胞が7、10および14日に再補給された。このようにして合体で190ugのヒト化1308F抗体がFBSで補充された培地310mlで蓄積されまたニューセラムで補充されまた培地240mlに120ugが蓄積された。
【0051】
COS 1細胞から培地に分泌されたヒト化1308F抗体の濃度は捕捉エリザを用いて決定された。96ウエルプレート上に被覆されたヤギ抗ヒトIgG Fcがヒト化抗体を捕捉するために使用された。クロモーゲン基質で開発されたペルオキシダーゼ共役ヤギ抗ヒト全IgGが次いで結合抗体を検出するために使用された。精製ヒトIgG1/Kappa調製物が検定を目盛り化するために使用された。
【0052】
[実施例 6] ヒト化1308Fを用いるRSVの中和
方法:
RSVは、COS細胞上澄みからのヒト化1308Fあるいは精製マウスモノクローナル抗体のいずれかで中和された。これは50プラーク形成単位のRSVを抗体の連続2倍希釈液で1時間37℃で培養することにより行われた。24ウエルパネルのHep2細胞の密集単層が抗体処理ウイルス、未処理対照ウイルス、およびモック感染対照の100μlで感染された。1.5時間37℃で加湿され、CO25%で培養され、またEMEM1.5ml、FBS1%、およびメチルセルロース1%で上塗りされた。細胞は固められ4日目にグルタルアルデヒドおよびクリスタルバイオレットで染色された。プラークは三重ウエルで計数され中和パーセントとしてプロットされた。図6で示されるこの結果はウエル当り5乃至10ngでの精製マウス1308Fモノクローナル抗体およびヒト化1308Fモノクローナル抗体のいずれもが、RSVプラークを同様に50%減少させた結果を示している。
【0053】
[実施例 7]CDR移植A部位抗体1129の生成
ポリA+RNAがオリゴ−dtセルロースを用いて2×107マウス1129ハイブリドーマ細胞の溶解液から精製された。第1鎖cDNAは、pA+RNA1ugから、ランダムヘキサマープライマー、AMV逆転写酵素、pA+RNA1ug、pH8.5のトリス塩酸50mM、MgCl2.8mM、KCl、30mM、ジチオスレイトール1mM、dNTP1mM、胎盤リボヌクレアーゼ阻害剤25単位、ランダムヘキサマー33uMおよびAMV逆転写酵素10単位を用いて、1時間42℃で合成された。1129VL領域からのcDNAはオリゴヌクレオチドSJ41およびSS11を用いるPCRで増幅された(表1を参照)。1129VH領域からのcDNAは同様にオリゴヌクレオチドSJ42およびSJ10を用いて増幅された(表1を参照)。
【0054】
表 1
SJ10
AGCGGATCCAGGGGCCAGTGGATAGAC (配列番号1)
SJ11
GATGGATCCAGTTGGTGCAGCATC (配列番号5)
SJ41
CACGTCGACATTCAGCTGACCCAGTCTCCA (配列番号6)
SJ42
CGGAATTCAGGTIIAICTGCAGIAGTC(A,T)GG (配列番号7)
[I = デオキシ-イノシン]
SJ53
CCCAAGCTTGGTCCCCCCTCCGAACGTG (配列番号8)
SJ154
GGCGTCGACTCACCATGGACATGAGGGTCC(C/T)CGCTCAGC (配列番号9)
SJ155 (H1129L CDR 1)
GTCACCATCACTTGCAAGTGCCAGCTGAGTGTAGGTTACATGCACTGGTACC
AGCAG (配列番号10)
SJ157 (H1129L CDR 3)
GCAACTTATTACTGCTTTCAGGGGAGTGGGTACCCATTCACGTTCGGAGGGG
GG (配列番号11)
SJ168
GTGACCAACATGGACCCTGCTGATACTGCCAC (配列番号12)
SJ169
CCATGTTGGTCACTTTAAGGACCACCTGG (配列番号13)
SJ170
CCAGTTTACTAGTGTCATAGATCAGGAGCTTAGGGGC (配列番号14)
SJ171
TGACACTAGTAAACTGGCTTCTGGGGTCCCATCAAGG (配列番号15)
【0055】
PCR条件
第1鎖cDNA0.5uL、pH8.3トリス塩酸10mM、KCl、50mM、MgCl2、1.5mM、dNTP0.2mM、ゼラチン0.001%、各プライマー1uM、DNA鋳型1ngおよびアンプリターク(登録商標)DNAポリメラーゼ2.5u(パーキン・エルマー−シータス)。94°1分、55°2分、72°2分パーキン・エルマー480サーモサイクラーで25サイクル。生成するDNA断片は次いでフェノール/クロロホルム(1/1)で1回抽出され、エタノール2.5量で沈殿され、適切な制限エンドヌクレアーゼ緩衝液で再懸濁され、クローニングのための付着末端を生成させるために制限エンドヌクレアーゼで消化された。生成断片は次いでアガロースゲル1%の電気泳動で分離された。臭化エチジウムでゲルを染色した後、断片は除去されフェノールの存在下で凍結および抽出によりアガロースから精製された。
【0056】
断片は次いで制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびBamHIで消化され、プラスミドpUC18にクローンされた。挿入断片は次いで修飾されたT7DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ、ユーエス・バイオケミカル)を用いるジデオキシヌクレオチド鎖末端法により配列決定された。
【0057】
翻訳化された配列はヒト抗体タンパク質配列と比較された。VLはK102軽鎖ともっとも相同性があり、またVHはCor VH領域(配列番号30)ともっとも相同性があることが分かった。1129Fv領域は、1129VLとVH配列の由来の残基を、MCPC603抗体の結晶構造での対応する残基座標へ置換することによりモデル化された。残基は視覚的なモデルの検査で折りたたみ構造あるいは溶媒接触に不可欠であるとして確認された。
【0058】
不可欠な配列であり、なおかつ、マウスおよびヒト配列で異なるいくつかの残基は、Fvの完全性を維持するため、すなわち結合部位を維持するために、マウス残基として残された。この残基はVH領域では31、83、113および116であり、VL領域では47であった。生成配列は図7および8で示される。
【0059】
設計されたヒト1129VHはPCRを用いて結合された合成オリゴヌクレオチドSJ147−SJ153(図9)を用いて構築された。このPCRの生成物は次いでNcoIおよびSacIで消化され、プラスミドベクターpSJ40にクローニングされた。ここでpSJ40は、あるフレームがNcoI−SacI断片として挿入される場合に、フレーム外のlacZ1セグメントが、フレーム内V領域セグメントに融合してフレーム内に保持されるpUC18派生物である。5個の突然変異が単一50塩基対領域に密集している挿入断片を含むプラスミドが、次いでPCRおよびプライマーSJ168およびSJ169を用いて、これらの改変の修復を受けた。表1参照。
【0060】
VLはヒト1308F軽鎖遺伝子の部位指向突然変異誘発により生成された。オリゴヌクレオチド、表1参照(CDR1)およびSJ157(CDR3)はH1308L遺伝子を別個に突然変異を起こさせるために使用された。突然変異誘発は、大腸菌株BW313(dut−、ung−)によって生成され次いで大腸菌株DH5(dut+、ung+)に形質転換された、ウラシルを含む一本鎖DNA鋳型とT7DNAポリメラーゼを用いて実行された。2個の突然変異体は結合され、CDR2は、オリゴヌクレオチドSJ170、SJ154、表1参照、(5′末端)およびSJ171、SJ53、表1参照、(3′末端)を用いる組換えPCRにより導入された。CDR移植VHおよびVLは、プラスミドpSJ81およびpSJ105となるH1308FV領域セグメントにとって代るNcoI−SacI断片として、それぞれpSJ60(実施例3参照)およびpSJ61(実施例3参照)に挿入された。加えてマウスVHおよびVL cDNA分節は、発現ベクターpSJ75およびpSJ84を生成するためにそれぞれ同様にヒトC−GammalおよびC−Kappaに接続された。
【0061】
[実施例 8] HU1129一過性発現
COS 1細胞(ATCC、CRL1650)は胎仔ウシ血清10%(FBS、ジブコ#200−6140)およびL−グルタミン2mM(ジブコ#320−5030)を補充されたダルベッコ修飾イーグル培地(DMEM、ジブコ#320−1965)で75cm2組織培養フラスコの加湿CO25%培養器で維持され、密集到達直前に1:20の分割比で継代された。
【0062】
形質移入は以下の修正を加えたマッカッチャンおよびパガーノの方法(J.Nat.Can.Inst.、41巻:351−356ページ、1968年)に従って行われた。形質移入の24時間前に、100mm組織培養皿(コーニング#25020)はDMEM14ml、FBS10%、L−グルタミン2mMで皿当り2×106COS 1細胞で播種された。形質導入当日、実施例7からのHu1129重鎖プラスミド(pSJ81)10ugが実施例7からのHu1129Kappa軽鎖プラスミドpSJ105の10ugと組合され、DNAはエタノール沈殿されトリス緩衝食塩水1.0mlで無菌再懸濁された。再懸濁DNAは混合しながらDEAEデキストラン1mg/ml(ファルマチア#170350−01)およびクロロキン250uM(シグマ#C6628)を含むDMEM4.0mlに滴状で加えられた。培地はCOS1細胞皿から除去され、細胞単層は1回ダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS、ジブコ#310−4190)10mlで洗浄され、またニューセラム10%(コラボレイティブ・リサーチ#55000)およびL−グルタミン2mMを補充したDMEM2.5mlが各プレートに加えられた。DNA/DEAEデキストラン/クロロキン混合物2.5mlが各プレートに滴状で加えられ、プレートはDNAを混合するために渦動され、培養器に戻された。DNA吸着期間8時間後にプレートが培養器から除去され、上澄みがプレートから吸引された。細胞はプレート当りD−PBS内でDMSO、10%の5mlの追加で3分室温でショックを与えられ、その後DMSOが細胞から吸引され細胞は1度D−PBS5mlで洗浄された。DMEM15ml、ニューセラム10%、L−グルタミン2mM(生産培地)が各プレートに加えられ、プレート培養器に戻された。
【0063】
形質移入72時間後、コンディション培地がプレートから回収され−20℃で貯蔵され、生産培地15mlがプレートに加えられプレートは培養器に戻された。96時間後配置がプレートから収集され−20℃で貯蔵された。
【0064】
[実施例 9] Hu1129の定量化
COS 1細胞により培地に分泌されたHu1129の定量化はサンドイッチ型ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)を用いて行われた。要約すると、ナンク・マクシソープ・イムノプレート(ナンク#439454)が室温で3時間pH9.6の重炭酸ナトリウム0.1M内でヤギ抗ヒトIgG Fc(カッペル#55071)0.5ug/mlの50ul/ウエルで被覆された。ウエルは3回pH7.4リン酸ナトリウム0.01M、NaCl、0.15M、トウィーン20(PBS−T)0.1%で洗浄された。プレートへの非特異的タンパク質結合は室温で30分PBS内の脱脂粉乳3%(W/V)の200ul/ウエルの処理で遮断された。精製ヒトIgG1 Kappa標準(シグマ#1−3889)はPBS−T内100ng/mlで作られ1:2から1.56ng/mlまで連続的に希釈され、各50ulが検定プレートの二重ウエルに加えられた。COS 1細胞上澄みはPBS−Tで希釈され、二重の50ulサンプルがプレートに加えられた。室温培養で1時間後、ウエルは空にされ3回PBS−Tで洗浄された。結合Hu1129抗体の存在を検出するために、ホースラディッシュ共役親和性精製ヤギ抗ヒトIgG(全分子、カッペル#3601−0081)がPBS−T内で1:1000で希釈され、50ulがこの検定プレートの各ウエルに加えられ室温で1時間培養された。プレートは3回PBS−Tで洗浄され、クロモーゲン基質TMブルー(TSI#TM102)100ulが各ウエルに加えられた。プレートは室温で10分暗条件で培養され、H2SO4、4.5Mのウエル当り50ulの追加で反応が停止された。プレートはモレキュラー・デバイシズ・ヴイマックス・マイクロプレートリーダーを用いて450nmで読みとられ、データ分析はソフトマックス・ソフトウエア(モレキュラー・デバイス)を用いてIBM P/Sモデル80コンピューターを実行させて、達成された。
【0065】
生産の最初の72時間の間に、COS 1細胞はHu1129、0.06ng/ml、全体で0.9ugを生産した。次の96時間の生産でCOS 1細胞はHu1129、0.99ug/ml、全体で14.85ugを生産した。
【0066】
[実施例 10] Hu1129結合検定
Hu1129の結合検定は、以下の変更を加えた、捕捉ELISAで、基本的には定量化ELISAにより、達成された。プレートは0.5ug/ウエルでMu1331抗体を使って被覆され、ウエルはPBS−T内で脱脂乳3%でブロッキングされ、RSV感染HEP2細胞溶解液が各ウエルに加えられ室温で1時間培養された。検定の残りは、希釈サンプルをウエルに追加することで開始する定量化検定に関して行われた。結果は、OD、対、抗体濃度の二重の交互プロットを用いて、交互プロットからM1129HuGammal、Kappa抗体の10nMとの比較により0.7nMのH1129分子に対する見かけのKdを決定することにより、分析された。
【0067】
H1129およびch1129抗体についてのRSV中和検定が下記の手順に従って実施された:
1.覆いのある96ウエル・コスター細胞培養プレートの包装を解く。
2.成長培地(GM)を37℃に温める。
3.MA104細胞を37℃で解凍する。GMを用いて、〜150,000細胞/mLに希釈する。細胞を混合しウエル当り200μlに調合する。
4.細胞を37℃、CO25%で培養し、感染前一晩加湿する。
5.RSV株を維持液(MM)で10,000pfu/mLまで希釈する。
6.MMで希釈した抗体の等量を希釈RSVの等量と混合する。37℃、CO25%で培養し、感染前1時間加湿する。
7.MA104細胞のレプリケートウエルを抗体およびウイルス混合物200μlで感染させる。レプリケートウエルをウイルスおよびモック感染対照で感染させる。
8.プレートをセロハンで包み37℃、湿度95%、およびCO2、5%で5日培養する。
9.RSVのためのELISA:各ウエルを吸引し、アセトン/PBS80%(vol./vol.)100μlを加え室温で30分培養する。
10.各ウエルを吸引し、薄流フードの鉄板上で30分空気乾燥する。
11.PBS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
12.各ウエルでRSV Fタンパク質にモノクローナル抗体100μlを加える。37℃で1時間培養する。
13.PBS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
14.ホースラディッシュペルオキシダーゼ共役ヤギ抗マウス抗体血清100μlを各ウエルに加える。37℃で1時間培養する。
15.BPS、トウィーン20、0.05%を用いて4回洗浄する。
16.新鮮に調製されたABTSおよび過酸化物1:1混合物100μlを各ウエルに加える。ウイルス対照の不透明度(405nm)がモック感染対照のそれの5乃至10倍になるまで室温で培養する。
【0068】
付録:
成長培地(GM):最小必須培地(イーグル)およびアールBSS、
グルタミン2mM
イーグル可欠アミノ酸、最終0.1mM、
胎仔ウシ血清10%(v/v)、
ペニシリン50単位/ml、
ストレプトマイシン50mcg/ml、
維持液(MM):血清を1乃至2%に減少させた前記のもの。
MA104細胞株は成長培地を用いてT150フラスコ内で成長する。株はDMSO、10%および成長培地内で1.8mLガラス瓶当り3×106細胞で凍結される。LN2冷蔵庫で貯蔵される。
RSV株:T150フラスコのMA104(サル腎臓)あるいはHep2細胞内で成長する。密集T150当り〜0.2ml(〜100,000pfu)ウイルス株を加える。室温で1時間吸着。次いで胎仔ウシ血清1%を加えた維持液20mLを加える。37℃で4−5日培養する。100%cpeの直前にスクレーピングにより細胞を収集する。細胞を回転で落し、上澄み10mLを残して全て除去する。細胞ペレットを凍結(ドライアイス−エタノール浴)解凍し、ボルテックスさせ、再凍結しウイルス株をLN2冷蔵庫で貯蔵する。
ELISA抗体緩衝液:PBS、トウィーン20、0.05%(W/V)、ヤギ血清2.0%(V/V)およびゼラチン0.5%(W/V)。
RSV Fタンパク質抗体:ELISA抗体緩衝液で〜1:5000まで希釈されたケミコンMab858−1抗RSV融合タンパク質。
抗マウス血清:ELISA抗体緩衝液で〜1:5000に希釈されたヤギ抗マウスIgG(重鎖特異性)に共役されたフィッシャーホースラディッシュペルオキシダーゼ。
【0069】
結果を図10で示す。結果は、25ng/mlがこの検定で中和50%を達成し、一方ch1129抗体45ug/mlがこの実験で中和50%のために必要とされたことを示している。一連の6個の異なる検定によって、H1129の50%中和の平均値は17ng/mlであった。対照として、また効能を比較するために、われわれはまたRSVに対する高い中和力価を持つ個人の血漿から作られたポリクローナルヒトIgG調製品を検定した。この調製品(RSVigと名付けられる(lot#4))は3回の実験によって2.3ug/mlの50%中和平均値を示した。かくしてH1129はこの実験で強化ポリクローナル調製品に比べて100倍大きい効能を持っている。
【0070】
[実施例 11] BIAcoreTMによるヒト化RSV Mabのカイネティクス分析
ヒト化RSV MabおよびRSV Fタンパク質の間の相互作用のカイネティクスがファルマシアBIAcoreTMバイオセンサーを用いる表面プラスモン共鳴により調査された。C末端切断型Fタンパク質を発現する組換えバキュロウイルスは、カイネティクス調査のための豊富な抗原の情報源を提供した。上澄み(分泌Fタンパク質を含む)は、コンカナバリンAおよびQセファロースカラムを用いた連続クロマトグラフィーにより約20倍に濃縮された。プールされた画分はクエン酸ナトリウム(pH5.5)10mMに対して透析され、約0.1mg/mlまで濃縮された。Fタンパク質(100ml)の画分がBIAコアセンサーチップに対してアミン結合された。固定された量はH1129あるいはH1308Fのいずれかで飽和された時にシグナルの約2000応答単位(Rmax)を与えた。これは、結合手順に従ったFタンパク質調製物において等数の「A」および「C」抗原部位が存在することを示していた。2個の無関係の関連性のないMabs(RVFV 4D4およびCMV H758)は固定されたFタンパク質とは何らの相互作用を示さなかった。典型的なカイネティクス調査は、トウィーン20、0.05%を含むPBS緩衝液(PBS/トウィーン)内での異なった濃度(25−300nM)でMab35mlを注入することを含んでいた。フローレートは5ml/分を維持し7分結合相を提供した。Mabの注入に続き、フローは解離速度を決定するために30分でPBS/トウィーン緩衝液で置換した。センサーチップは塩酸10mMの2分パルスを持つサイクルの間で再生された。再生段階は固定Fタンパク質の結合能力に最少の損失(サイクル当り4%の損失)しか生じさせなかった。この小さな減少は、結合および解離のための速度定数の計算値を変更しなかった。
【0071】
Fタンパク質への結合に対する各種Mabの親和性は、解離を示す第1次定数の、結合を示す第2次速度定数に対する割合(Kd=Kdiss/Kassoc)から計算された。Kassocの値は下記の率方程式に基づいて計算された。
(1)dR/dt=Kassoc[Mab]Rmax-(Kassoc[Mab]+Kdiss)R
【0072】
ここでRおよびRmaxはそれぞれ時間tおよび無限大での応答単位である。Rの関数としてのdr/dtのプロットは(Kassoc[Mab]+Kdiss)の傾きを与える。これらの傾きは[Mab]と線形に関連しているため、Kassoc値は、傾き 対 [Mab]の再プロットから導き出すことができる。新しい線の傾きはKassocと等しい。Kdiss値はY切片から推定することができるが、より正確な値はKdissの直接測定で決定された。
Mabの注入相に続き、PBS/トウィーン緩衝液はセンサーチップを横切って流れる。
この時点から[Mab]=0となる。方程式(1)はかくして
(2)dr/dt=KdissあるいはdR/R=Kdissdt
に変形される。方程式(2)の積分は
(3)1n(Ro/Rt)=Kdisst
となり、ここでRoとRtはそれぞれ時間ゼロ(解離相の開始)および時間tでの応答単位である。最後にtの関数としてのIn(Ro/Rt)はKdissの傾きを与える。
【0073】
【表1】
【0074】
[実施例 12] ヒト化Mabを用いたコットンラットのin vivo保護
H1129およびH1308Fは筋肉内投与された際にコットンラットの肺組織内で感染を減少する能力をそれぞれ検査された。コットンラット(シグモドン・ヒスピドゥス、グループ当り4動物、平均重量100グラム)がメトキシフルレンで麻酔され、筋肉内注射により抗体溶液1.0mlを与えられた(最終濃度はそれぞれ5mg/kg、1.67mg/kgおよび0.56mg/kgの用量を生じる)。対照動物はウシ血清アルブミンを注射された。1日後、動物は再び麻酔され、RSVのロング菌株、105.0プラーク形成単位(PFU)の鼻腔内点滴により攻撃(免疫性をテスト)された。ウイルス攻撃の4日後、すべての動物は二酸化炭素窒息により屠殺された。肺が採取されハンクス平衡食塩水10部(wt/vol)でホモゲナイズされた。生成懸濁液はウイルス量をプラーク検定により定量化された。
【0075】
以下に示されるこれら実験の結果は、H1129およびH1308FがRSV攻撃1日前に注射されると、コットンラットの肺でのウイルス力価を減少するのに有効であることを示している。
【0076】
【表2】
【0077】
ここで描かれ記載された図面は、この発明をより詳細に説明することを意図しており、どのような方法であってもこの発明を限定することを意図するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおける呼吸シンシチアルウイルスの下気道感染を防ぐための組成物であって、
前記組成物は、
前記呼吸シンシチアルウイルスに対する中和抗体を含み、
前記中和抗体は、
重鎖可変部および軽鎖可変部、並びに、ヒト重鎖定常部を含み、
前記重鎖可変部は、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、
筋肉内注射用の組成物。
【請求項1】
ヒトにおける呼吸シンシチアルウイルスの下気道感染を防ぐための組成物であって、
前記組成物は、
前記呼吸シンシチアルウイルスに対する中和抗体を含み、
前記中和抗体は、
重鎖可変部および軽鎖可変部、並びに、ヒト重鎖定常部を含み、
前記重鎖可変部は、
配列番号31のアミノ酸配列を含む、
筋肉内注射用の組成物。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【公開番号】特開2010−241819(P2010−241819A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−127314(P2010−127314)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2008−227316(P2008−227316)の分割
【原出願日】平成7年8月9日(1995.8.9)
【出願人】(504333972)メディミューン,エルエルシー (108)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127314(P2010−127314)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【分割の表示】特願2008−227316(P2008−227316)の分割
【原出願日】平成7年8月9日(1995.8.9)
【出願人】(504333972)メディミューン,エルエルシー (108)
【Fターム(参考)】
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