説明

ヒトデ体液を含んでなる化粧組成物及びその使用方法。

単離ヒトで体液又はその抽出物を含んでなるスキンケア組成物を記載する。皮膚老化兆候等の皮膚障害又は疾患の予防及び/又は治療のための、使用及び組成物の使用方法についても記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年6月23日に出願され、且つPCT21(2)の下、英語で公開された、PCT出願番号*の国内移行出願であり、2008年6月23日に出願された米国仮出願第61/074,700号、及び2008年10月10日に出願された米国仮出願第61/104,499号の優先権を主張する。上記全ての文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の宣言
なし
【0003】
技術分野
本発明は、概して化粧組成物及びその使用方法に関する。本発明はまた、皮膚老化兆候等の、皮膚疾患又は障害の予防及び/又は治療に関する。
【背景技術】
【0004】
皮膚は環境に対する物理的バリアである。バリア特性の変更及び実際の本バリアへのダメージは、皮膚老化及び様々なその他の皮膚疾患及び障害を引き起こす。
【0005】
基底膜により分離される表皮及び真皮は、皮下組織への皮膚変換を継続する。表皮は、皮膚の最外表面層であり、その耐性及び不浸透性を提供する。この層の変更は、皮膚の外観に負の影響を及ぼすことになる。
【0006】
皮膚の老化は、細胞及び細胞外の基盤構造における、時間(内因性の老化)及び環境的因子(外因性の老化)の影響の組み合わせにより媒介される複雑な生物学的プロセスである。
【0007】
皮膚老化の結果として、真皮及び表皮レベルの両方で、深さの変化が起きる。表皮により保持される水の量は低減し、皮膚ケラチノサイト再生速度は低下し、グルコサミノグリカン(GAG)産生は低減し、コラーゲン繊維再生は減少し、且つ細胞外マトリクスが乱れる。これら全ての事象は、シワ及び小ジワの典型的な幻影、皮膚の薄化、及び堅さ、弾力性及び水分量の損失をもたらす。
【0008】
経時的に、角質は即座に脱落せず、そして新規な皮膚細胞のターンオーバーはわずかに低減する可能性がある。表皮の基底層(基底層)における皮膚細胞は、新規なケラチノサイトを形成する、細胞分裂を介して絶えず増殖する。この再生(regenerative)プロセスは、皮膚細胞再生(renewal)と呼ばれる。老化すると、皮膚細胞再生速度が低減し、細胞を粘着性とし、且つ容易に脱落させない原因となる。細胞再生低減の結果として、皮膚はより薄くなり、より環境ダメージを受けやすくなる。最終的に、皮膚は、鈍く且つ荒い質感に見える。
【0009】
老化に伴い、真皮における水分レベル、コラーゲン合成、及び細胞増殖に影響を及ぼすGAG合成が低減する。グリコサミノグリカンは、タンパク質に関連し、プロテオグリカン分子を形成する。真皮において、プロテオグリカンは、最適な配向性、表皮構造の良好な安定性、及び皮膚堅さを実現するコラーゲン繊維と相互作用する。
【0010】
皮膚内において、真皮に見られるコラーゲンと呼ばれる構造タンパク質は、メッシュ様の支持骨格、及び皮膚の強度を提供する。老化に伴い、コラーゲン産生は低減し、コラーゲン繊維は、以前よりも早い速度で分解する。これは、真皮におけるコラーゲン量の全体的な低減をもたらす。支持が少ない量いいは、陥没し始め、且つシワを形成し始める。すなわち、コラーゲンは、内因的な老化皮膚において、溶解性が低下し、薄化し、且つ希薄化する。組織学的に若いコラーゲンは、無作為に、緩く織り合わされた束の網細工にまとめられる。老化は、皮膚の伸張強度を増加させ、これらの束内の緩み及びコラーゲン繊維の矯正を導く。エラスチンは、ヒト皮膚における長寿命のタンパク質であり、老化及び日光暴露に伴うダメージを蓄積するようである。新規なエラスチンは、老化皮膚においてより多い量で合成されるが、この合成は、異常構造エラスチンをもたらす。また、エラスチン分解は、老化皮膚において新規な合成と同じペースを保たないようである。これは、特に光老化した皮膚において、伸縮物質(elastoic material)の重度の集積をもたらす。このエラスチンの異常構造は、若い皮膚においてなされるように機能することを妨げる。
【0011】
老化した皮膚における一次及び三次元の皮膚タンパク質構造の研究から、疎水性アミノ酸の全体的な増加、及び脂肪族残基が水からより遮蔽されるようなフォールディングの増加があり、水に馴染まない環境が明らかになる。また、GAGの総量は老化した皮膚において増加するようであるが、これらは表面真皮における伸縮物質に異常に局在化するので、未分画真皮全体にわたり適切に分散される場合、水に結合できない。それ故、老化した皮膚は多量の水を含むが、この水の大半は、若い皮膚で行われるようにタンパク質及びGAGへ結合するのではなく、四面体状態でそれ自身に結合する。この因子は一緒に、老化した皮膚の組織硬化の増加及び枯れた外観の原因となる可能性が高い。脂質含量が老化に伴い減少することは許容される仮定となる傾向があるが、定量的な研究は矛盾する。少なくとも50歳まで、皮膚脂質の老化関連性の際立った低減が指摘されることもあるが、その他は、関係がほとんどないか、又は全くないと指摘する。
【0012】
皮膚組織修復は、皮膚のバリア機能を復活させることを目指す。このため、不具合は、新規な結合組織を形成する肉芽組織により置換される必要があり、上皮創傷閉鎖は、物理的バリアを復活させることが必要となる。別の創傷治癒段階は、上皮創傷閉鎖が達成された後、肉芽組織を集合させる方法を提供し、且つ傷跡を再構築する、炎症支配的な初期段階から開始すると解される。肉芽組織において、間葉細胞は最大限に活性化され、それは細胞が増殖するということであり、且つ多量の細胞外マトリクスを合成する。上皮細胞はまた増殖し、且つ潜在的な肉芽組織の暫定的なマトリクス上を移動し、最終的に当該不具合を閉鎖する。ケラチノサイトが線維芽細胞を刺激し、同様に、二重のパラクリン手法でケラチノサイト増殖を刺激する増殖因子を合成するという多くの証拠がある。さらに、線維芽細胞は、ケラチノサイトの制御下、筋線維芽細胞表現型を獲得できる。これは、炎症性又は形質転換増殖因子(TGF)−β−支配的な環境の間の、見事にひっくり返ったバランスに依存する。様々な組織又は身体部位由来の線維芽細胞の表現型が、よく特徴付けられるにつれて、我々は、より詳細に創傷治癒における線維芽細胞の個別の寄与を理解でき、且つ様々な臨床的出口を説明する可能性が広がる。
【0013】
これまでのところ、これらの老化関連問題を解決する最良の既知の方法は、レチノールである。レチノールは、ビタミンAと化学的に関連する化学的化合物の分類である、レチノイドファミリーに属する。レチノールは、上皮により容易に吸収され、且つ幅広いスペクトルの生物学的活性を有することが知られる。より具体的には、レチノールは、表皮の基底層において細胞再生を増加させ、細胞分化を正常化し、且つケラチン化プロセスを調整する。それはまた、真皮にも影響を与える。ヒトについての研究では、レチノールが真皮におけるコラーゲンの量を増加することが示されている。女性において、皮膚弾力性を増加させ、且つシワの深さを低減することも示されている。現在では、レチノールは、皮膚老化及びシワに対抗するため、市場において、最も効果的な非外科的治療アプローチの代表である。局所レチノイドは、光老化の臨床的特徴を予防及び修復することが判明しており、これらのプロセスは、日光暴露した皮膚の真皮乳頭層由来のコラーゲンの損失を防ぎ、そこで新規なコラーゲン形成を刺激する能力により促進される。証拠の出現は、内因性で経時的な皮膚の老化が、光老化を伴う複数の機構的な特徴を共有することを示唆する。実際、老化した皮膚は、レチノイド感受性により特徴付けられ、且つ局所レチノイドの適用により修復可能であるだろう。
【0014】
その多数の利益にもかかわらず、老化且つ光損傷を受けた皮膚の外観を向上させるための治療としての局所レチノールの利用は、顔面レチナイゼーション(retinization)の初期段階及び長期間の使用の間発生する、紅斑、スケーリング/乾燥、火傷/刺傷、及び刺激作用により制限される。これらの懸念は、しばしばレチノール関連治療の中止及び失敗をもたらしている。
【0015】
したがって、皮膚老化兆候、及び傷跡治癒等のその他の皮膚疾患及び障害の予防及び/又は治療のための新規なアプローチの開発の必要性が未だ存在する。
【0016】
本記載は、多数の文書について言及するが、当該内容は、その全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0017】
本発明者等は、驚くべきことに、ヒトデの体液が、細胞毒副作用なく皮膚に多くの生理学的効果を及ぼすことを発見した。
【0018】
本発明の態様によると、より具体的には、単離ヒトデ体液又はその抽出物を含んでなるスキンケア組成物を提供する。
【0019】
特定の実施態様によれば、当該スキンケア組成物は、局所的に許容される担体をさらに含んでなる。別の実施態様によれば、前記ヒトデが、Asteria vulgarisである。別の実施態様によれば、スキンケア組成物は、対象における皮膚疾患又は障害を予防又は低減するためのものである。別の実施態様によれば、皮膚疾患又は障害が、皮膚老化兆候である。別の実施態様によれば、疾患又は障害が、外傷、傷跡、又は皮膚線条である。別の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa未満の分子が実質的に存在しない。別の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約5kDa超の分子が実質的に存在しない。別の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない。別の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる。別の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物が、組成物の約0.01%w/w〜約5%w/wの濃度で存在する。別の実施態様によれば、ここで、ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる。
【0020】
本発明の別の態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物の対象の皮膚に対する有効量を含んでなる組成物を投与することを含んでなる、対象における皮膚老化兆候又は皮膚疾患もしくは障害を、予防又は低減するための方法が提供される。
【0021】
方法の特定の実施態様によれば、投与が、(a)細胞移動に関与する遺伝子の発現の刺激、(b)表皮細胞移動の向上、(c)コラーゲン繊維厚みの増大、(d)コラーゲン繊維数の増大、(d)角質層のケラチン化の低減、(e)ケラチノサイト増殖の増加、(f)ケラチノサイト最終分化の増加、(g)表皮厚みの増加、(h)グリコサミノグリカン(GAG)発現の増大、(i)表皮における有糸分裂細胞濃度の増加、(j)表皮細胞層数の増加、(k)コラーゲンIII、コラーゲンIV及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現の増加、(l)目尻のシワ深さの低減、(m)口シワの低減、(n)皮膚堅さの増大、及び(o)皮膚水分の増加、のうちの1又は複数をもたらす。
【0022】
方法の別の特定の実施態様によれば、細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子が、スモールプロテインリッチタンパク質遺伝子である。方法の別の特定の実施態様によれば、スモールプロテインリッチタンパク質がSPRR2Aである。方法の別の特定の実施態様によれば、投与が、コラーゲンIII、コラーゲンIV、及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現増加をもたらす。方法の別の特定の実施態様によれば、前記単離ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が50kD未満の分子が実質的に存在しない。方法の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が5kDa超の分子が実質的に存在しない。方法の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない。方法の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる。方法の別の特定の実施態様によれば、投与される組成物は、ヒトデ体液又はその抽出物を、組成物の約0.01%w/w〜約5%w/wの濃度で含んでなる。
【0023】
本発明の別の態様によれば、スキンケア組成物の製造のための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用が提供される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、対象における皮膚老化兆候を予防又は低減するための、単離ヒトデ体液又は抽出物の使用が提供される。
【0025】
使用の特定の実施態様によれば、当該使用が、(a)細胞移動に関与する遺伝子の発現の刺激、(b)表皮細胞移動の向上、(c)コラーゲン繊維厚みの増大、(d)コラーゲン繊維数の増大、(d)角質層のケラチン化の低減、(e)ケラチノサイト増殖の増加、(f)ケラチノサイト最終分化の増加、(g)表皮厚みの増加、(h)グリコサミノグリカン(GAG)発現の増大、(i)表皮における有糸分裂細胞濃度の増加、(j)表皮細胞層数の増加、(k)コラーゲンIII、コラーゲンIV及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現の増加、(l)目尻のシワ深さの低減、(m)口シワの低減、(n)皮膚堅さの増大、及び(o)皮膚水分の増加、のうちの1又は複数をもたらす。
【0026】
使用の別の特定の実施態様によれば、細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子が、スモールプロテインリッチタンパク質遺伝子である。使用の別の特定の実施態様によれば、スモールプロテインリッチタンパク質がSPRR2Aである。使用の別の特定の実施態様によれば、使用が、コラーゲンIII、コラーゲンIV、及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現増加をもたらす。使用の別の特定の実施態様によれば、前記単離ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が50kD未満の分子が実質的に存在しない。使用の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が5kDa超の分子が実質的に存在しない。使用の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない。使用の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる。使用の別の特定の実施態様によれば、ヒトデ体液又はその抽出物が、組成物の約0.01%w/w〜約5%w/wの濃度で使用される。
【0027】
本発明の他の目的、利点、及び特徴は、添付の図面を参照する単なる例示的な方法により提供される、以下の特定の実施態様の非限定的な記載を読むことにより、より明らかになるはずである。
【0028】
添付の図面について、以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、未分画ヒトデ体液抽出物(左)及びRetin−OX+(商標)(右)で処理した皮膚外植片の写真である。
【図2】図2は、未分画ヒトデ体液抽出物(水及び培養培地中で2%v/vまで希釈された)で処理した(中央)又は未処理の(右)皮膚外植片における6日目での様々な遺伝子の発現を示す。J:日。
【図3】図3は、未処理(左上)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(左下)、分画した(>50kDa画分)ヒトデ由来の体液抽出物で処理した(右下)、及びRetin−OX+(商標)で処理した(右上)それぞれ皮膚外植片の写真である。
【図4】図4は、未処理(A)、Retin−OX+(商標)で処理した(B)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(C)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(>50kDa画分)で処理した(D)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(5−50kDa画分)で処理した(E)、及び分画したヒトデ由来の体液抽出物(<5kDa画分)で処理した(F)それぞれ皮膚外植片におけるGAGの発現を示す。Gは、処理された外植片におけるGAG発現の相対的増加を、未処理外植片と比較して示す。Dej:真皮−表皮接点。
【図5】図5は、未処理(A)、Retin−OX+(商標)で処理した(B)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(C)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(>50kDa画分)で処理した(D)、及び分画したヒトデ由来の体液抽出物(5−50kDa画分)で処理した(E)、皮膚外植片における基底層における移動細胞数を示す。Gは、処理外植片における真皮における細胞数の相対的増加を、未処理の外植片との比較で示す。
【図6】図6は、未処理(A)、Retin−OX+(商標)で処理した(B)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(C)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(>50kDa画分)で処理した(D)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(5−50kDa画分)で処理した(E)、及び分画したヒトデ由来の体液抽出物(<5kDa画分)で処理した(F)皮膚外植片におけるコラーゲンIIIの発現を示す。Gは、処理された外植片におけるコラーゲンIIIの相対的増加を、未処理外植片と比較して示す。
【図7】図7は、未処理(A)、Retin−OX+(商標)で処理した(B)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(C)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(>50kDa画分)で処理した(D)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(5−50kDa画分)で処理した(E)、及び分画したヒトデ由来の体液抽出物(<5kDa画分)で処理した(F)皮膚外植片におけるコラーゲンIVの発現を示す。Gは、処理された外植片におけるコラーゲンIVの相対的増加を、未処理外植片と比較して示す。
【図8】図8は、未処理(A)、Retin−OX+(商標)で処理した(B)、未分画ヒトデ体液抽出物で処理した(C)、分画したヒトデ由来の体液抽出物(>50kDa画分)で処理した(D)、及び分画したヒトデ由来の体液抽出物(<5kDa画分)で処理した(E)皮膚外植片におけるコラーゲンVIIの発現を示す。Gは、処理された外植片におけるコラーゲンVIIの相対的増加を、未処理外植片と比較して示す。
【図9】図9は、ボランティアの皮膚において、本発明の組成物の抗シワ効果を、プラセボのものと、処理後28日で比較する。
【図10】図10は、ボランティアの皮膚において、本発明の組成物の抗シワ効果を、プラセボのものと、処理後28日で比較する。
【図11】図11は、ボランティアの皮膚において、本発明の組成物の皮膚保湿効果を、プラセボのものと、処理後28日で比較する。
【図12】図12は、ボランティアの皮膚において、本発明の組成物の皮膚堅さ(R0パラメータ)、及び弾力性(R6及びR7パラメータ)の効果を、プラセボのものと、処理後28日で比較する。
【図13】図13は、ボランティアの皮膚において、本発明の組成物の生理学的落屑への効果を、プラセボのものと、処理後28日で比較する。
【図14】記載なし
【発明を実施するための形態】
【0030】
棘皮動物(ヒトデ(スターフィッシュ(starfishes)を含む)は、動物の主要な群の中で独特であり、これらは液体及び浸透圧バランスを維持して、これらを支援するための識別可能な排泄器官を持たず、且つ外環境からそれらを保護する不浸透性外皮を持たない。他の形態とは異なり、これらは、おそらく水又はイオンを飲んだり排泄したりせず、体液恒常性を維持する。多くの情報源は、これらを単に、「等浸透圧性」であると記載し、これらがいかにして液体容量を調整するかについて沈黙を守っている。この関心の欠如は、棘皮動物がその付属器官を駆動する水硬的機構に完全に依存すること、多数の種が、その形状を支えるか、少なくともその呼吸皮鰓を膨らますために、部分的に内因性膨圧に依存する軟体であることを考慮すると驚くべきことである。明らかに、安定な環境においてさえ、大半の棘皮動物は、バランスをとらなければならない液体の継続的な損失に直面する。
【0031】
スターフィッシュが、消化腺において吸収部位から様々なその他の組織へ栄養物質を輸送する方法は、非常に不確実な主題である。これが達成される可能性のある、少なくとも5つの異なる機構が提唱されている。(1)内臓周囲体腔(perivisceral coelom)にわたる循環)、(2)体腔細胞を介する輸送、(3)血管チャネルにわたる運動、(4)血管周囲(perihaemal)空間にわたる循環、及び(5)水脈管系にわたる循環、である。これらの理論を支持する証拠は少ないようであり、これらの理論の各々に対する反論が向けられる可能性がある。栄養輸送のための最も明白な経路は、内臓周囲体腔にわたるものである。これは、広い空洞であり、その液体は体重の25%程度を占めてよい。それは、身体の最も重要な構造を含むか、又は当該構造に隣接する。
【0032】
本発明は、真皮細胞及び表皮細胞の両方に対する精製ヒトデ体液の効果は、レチノール(例えば、Retin−OX+(商標)、ROC製)のものと類似するが、レチノールに関連する細胞毒作用はない。精製ヒトデ体液の効果には、例えば、ケラチノサイト増殖及び分化を調整することによる表皮の再生がある。それはまた、GAG及びコラーゲンの合成を刺激することにより、真皮を保護及び修復する。
【0033】
体液は、ヒトデ類に属する任意の棘皮動物から得ることができる。本明細書で使用される場合、「ヒトデ(Asteroidea)」なる用語は、限定するものではないが、Brisingida、Forcipulatida、Notomyotida、Paxillosida、Peripoda、Platyasterida、Spinulosida、Valvatida、Velatidaを含む類の任意の目(order)のことを言う。特定の実施態様によれば、それは、Asteriidae、Heliasteridae及びZoroasteridaeを含むForcipulatida目の科のことを言う。より特定の実施態様によれば、それは、Ampheraster、Anteliaster、Aphanasterias、Astern vulgaris及びAstern forbesii等のAstenas、Astrometis、Coronaster、Coscinasterias、Evasterias、Leptastenas polaris及びLeptasterias hexactis等のLeptastenas、Lethasterias、Marthasterias、Orthastenas、Pedicellaster、Pisaster ochraceus及びPisaster giganteus等のPisaster、Pycnopodia、Rathburnaster、Sclerastenas、Stenasterias、Stephanasterias、Stichastrella、Stylasterias、Tarsaster及びUrasteriasを含むAsteriidaeの属のことを言う。特定の実施態様によれば、それは、Eugnathina及びLeptognathinaを含むSpinulosida目の亜目のことを言う。特定の実施態様によれば、それは、Korethrasteridae、Pterasteridae、Pythonasteridae、及び属Crossaster papossus等のCrossaster、Heterozomas、Lophaster及びSolasterを含むSolasteridaeを含むEugnathina亜目の科のことを言う。特定の実施態様によれば、それは、Acanthasteridae、Asterina Miniata等のAsterinidae、Echinasteridae、Henricia、Ganeriidae、Metrodiridae、Mithrodiidae、Poraniidae及びValvastendaeを含むLeptognathina亜目の科のことを言う。それにはまた、Linkia Gildingi等のLinkia、Choriaster granulatus Sweet等のChoriasterがある。ヒトデ類のその他のものは、Elizabeth (2005-11-22) Asterozoa Fossil groups1 SciComms 05−06(Earth Sciences)に列挙される。本発明は、クモヒトデ体腔液の使用を包含する。それには、天然及び組換えのヒトデがある。
【0034】
本明細書で使用されるように、「単離ヒトデ体液」又は「単離ヒトデ体液抽出物」なる表現における「単離」なる用語は、その天然状態から「人の手で」変更されたこと(すなわち、天然に発生する場合、その基の環境から除去されていること)を意味する。例えば、ヒトデに天然に存在するヒトデ体液は「単離」されてないが、その天然状態の共存物質(例えば貝殻)から分離された同じヒトデ体液は、本明細書で使用される場合「単離されて」いる。
【0035】
本明細書で使用する場合、「ヒトデ体液抽出物」なる表現における「抽出物」なる用語は、ヒトデ退嬰の画分のことを言う。限定することなく、真菌及び/又は体腔細胞が分離されているヒトデ体液は、一種のヒトデ体液抽出物である。水が実質的に除去されている(例えば、凍結乾燥されている)ヒトデ体液は、別種のヒトデ体液抽出物である。特定の膜での濾過の濾液又は濃縮物(例えば、0.22マイクロメーター膜、5kDaカットオフ膜、10kDaカットオフ膜、15kDaカットオフ膜、20kDaカットオフ膜、25kDaカットオフ膜、30kDaカットオフ膜、40kDaカットオフ膜、50kDaカットオフ膜、60kDaカットオフ膜、70kDaカットオフ膜、80kDaカットオフ膜の残余物(retentate)の活性濾液)からなるヒトデ体液の活性画分も抽出物である。電荷分離法(例えば、Rotofor Purification System(商標)(Biorad)を用いる液相等電点電気泳動(IEF)による精製)により単離されてよい当該液体の、活性な、酸性、塩基性、もしくは中性の画分も抽出物である。単離ヒトデ体液の、少なくとも5%。10%、15%、20%、25%、30%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%(%v/v又はw/w)からなる、任意の分画方法から得られる液体の活性(すなわち、抗老化特性を示す)部分も抽出物である。ヒトデ体液から単離される単一分子は、本願の意味する抽出物ではない。
【0036】
したがって、第一の態様によれば、本発明は、ヒトデ又はクモヒトデ体液抽出物を含んでなるスキンケア組成物を提供する。
【0037】
ある実施態様によれば、当該体液抽出物はヒトデの体腔から得る(すなわち、体腔体液抽出物)。ある実施態様によれば、体液抽出物を、当業界で周知の分子篩又は特定分画法を用いて濾過又は分画してよい。抽出物はさらに濃縮又は希釈されてもよい。それはまた凍結乾燥させてもよく、そうでなければ、そのスキンケア特性の少なくとも1つを増加するために処理されてもよい。
【0038】
ある実施態様によれば、抽出物には、分子量が50kDa未満の分子が実質的に存在しない(>50kDa画分)。かかる抽出物は、例えば、50kDaのカットオフを有するフィルターでの上記の体液抽出物の濾過の後、残余物画分を回収することにより得ることができる。電気透析又は電気分画等の他の分離手段を使用できる。本明細書で使用される「実質的に存在しない」は、濾過膜又はその他の分離装置の内在的な不正確性を反映する意味がある。
【0039】
ある実施態様によれば、抽出物には、分子量が5kDa超の分子が実質的に存在しない(<5kDa画分)。かかる抽出物は、例えば、5kDaのカットオフを有するフィルターでの上記の体液抽出物の濾過の後、濾液を回収することにより得ることができる。
【0040】
別の実施態様によれば、抽出物には、分子量が50kDa超及び5kDa未満の分子が実質的に存在しない(5−50kDa画分)。かかる抽出物は、例えば、50kDaのカットオフを有するフィルターでの上記の体液抽出物の濾過後、濾液を回収し、且つ5kDaのカットオフを有するフィルターでの打及び1又は複数に濾過に当該濾液を供することにより得ることができる。
【0041】
本発明の組成物は、典型的に適用可能な医薬組成物又は化粧組成物(例えば、局所製剤)として製剤化することができる。典型的に適用可能な本発明の組成物に含まれる担体は、局所適用可能な担体である。かかる局所適用可能な組成物の非限定的な例には、スキンケアクリーム、クレンジングクリーム、軟膏、スキンケアローション、スキンケアジェル、スキンケアフォーム、日光ケア組成物、メークアップ除去クリーム、メークアップ除去ローション、ファンデーションクリーム、液体ファンデーション、浴槽及びシャワー調製物、デオドラント組成物、制汗組成物、シェービング製品組成物、シェービング後ジェル又はローション、美容支援組成物、脱毛クリーム、セッケン組成物、ハンドクリーナー組成物、クレンジングバー、ベビーケア、ヘアケア、シャンプー、セットローション、トリートメントローション、ヘアクリーム、ヘアジェル、カラーリング組成物、再構築組成物、パーマネント組成物、抗髪損失組成物、又は局所化粧的投薬計画における使用に適合する任意のその他の組成物がある。
【0042】
医薬製剤及び化粧製剤の業界において周知であるようなクリームは、様々な液体、又は水中油もしくは油中水のいずれかの半固体エマルションである。クリーム基材は、水洗浄可能であり、且つ油相、乳化剤、及び水相を含有する。油相は「内部」相とも呼ばれ、一般的にペトロラタム、及びセチルもしくはステアリルアルコール等の脂肪族アルコールからなる。水相は、必ずしもそうではないが、通常、容量が油相より多く、且つ一般的に保湿剤を含有する。クリーム製剤における乳化剤は、一般的に非イオン性、アニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤である。
【0043】
ローションは、抵抗のない皮膚表面に適用される調製物であり、典型的には、活性剤を含む個体粒子が水又はアルコール基材中に存在する液体又は半液体調製物である。ローションは、通常、固体の懸濁物であり、この目的のために好ましくは、水中油タイプの液体油性エマルションを含んでなる。ローションは好ましくは、身体の大きな領域を治療するための製剤であり、これはより流体組成物を適用することが容易だからである。一般的には、ローション中の不溶物が微細に分割されることが必要である。ローションは、典型的には、より良好な分散を作り出すための懸濁剤、及び皮膚と摂食する活性剤を局在化及び保持するために有用な化合物、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を含有することになる。
【0044】
溶液は、液体中の1又は複数の化学物質を、溶解した当該物質の分子が溶媒の分子中に分散するように溶解させることにより調製される均質な混合物である。溶液は、溶液を緩衝化し、安定化し、又は保存するために、薬用化粧品として許容される化学物質含んでよい。溶液の調製に使用される溶媒の共通する例として、エタノール、水、プロピレングリコール又は任意の他の薬用化粧品として許容されるビヒクルがある。
【0045】
ジェルは、半固体で懸濁タイプの系である。単一相ゲルは、典型的には水であるが好ましくはアルコール、及び任意に油を含有する担体液体全体にわたって、実質的に均一に分散した有機高分子を含有する。「有機高分子」すなわちゲル化剤は、ポリマーの「カルボマー」類等の架橋アクリル酸ポリマー、例えば、Carbopol(商標)で市販されていてよいカルボキシポリアルキレンである。本明細書の特定の実施例において記載されるカルボマー製剤はジェルである。他の例は、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、及びポリビニルアルコール等の親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、及びメチルセルロース等のセルロース系ポリマー;トラガカント及びキサンタンゴム等のゴム、アルギン酸ナトリウム、及びゼラチンである。均一なジェルを調製するため、アルコール又はグリセリン等の分散剤を添加してよく、又はゲル化剤を、倍散、機械的混合、もしくは攪拌、又はその組み合わせにより分散させてよい。
【0046】
軟膏は、典型的にはペトロラタム、又はその他のペトロラタム誘導体を基にする半固体調製物である。当業者に当然のように使用される特定の軟膏基材は、多くの所望の特徴、例えば皮膚軟化等を提供するものである。他の担体又はビヒクルと同様に、軟膏基材は、不活性で、安定で、非刺激性で、且つ非感作性であるべきである。Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed. (Easton, Pa : Mack Publishing Co., 1995, 1399-1404)に説明されるように、軟膏基材は、油性基材;乳化基材;エマルション基材:及び水溶性基材の4つに分類してよい。油性軟膏基材には、例えば、植物油、動物由来の脂肪、及び石油由来の半固体ハイドロカーボンがある。乳化軟膏基材は、吸収性軟膏基材としても知られ、水をほとんど含まないか全く含まず、且つ例えば、硫酸ヒドロキシステアリン、無水ラノリン、及び親水性ペトロラタムがある。エマルション軟膏基材は、油中水(W/O)エマルション又は水中油(O/W)エマルションのいずれかであり、例えば、セチルアルコール、グリセリルモノステアレート、ラノリン、及びステアリン酸がある。好ましい水溶性軟膏基材は、様々な分子量のポリエチレングリコールから調製される。また、さらなる情報として、Remington The Science and Practice of Pharmacyも参照されたい。
【0047】
ペーストは、活性剤が好適な基材に懸濁している半固体投薬形態である。基材の性質により、ペーストは脂肪ペースト、又は単一相水性ジェルに分割される。脂肪ペーストは、一般的に、ペトロラタム又は親水性ペトロラタム等である。単一相水性ジェルから作製されるペーストは、一般的に、基材としてカルボキシメチルセルロース等を組み込む。
【0048】
製剤はまた、リポソーム、ミセル、及び微小球で調製されてよい。リポソームは、脂質二重層を含んでなる脂質壁を有する微視的なベシクルであり、内容物の存在下、抗老化製剤の1又は複数の成分を封入する。本明細書においてリポソーム調製物には、カチオン性(正に帯電した)、アニオン性(負に帯電した)、及び中性調製物がある。カチオン性リポソームは、容易に利用可能である。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、商標名Lipofectin(商標)(GIBCO BRL, Grand Island, N Y)で入手できる。同様に、アニオン性及び中性リポソームは、例えば、Avanti Polar Lipids (Birmingham, Ala )から入手でき、又は容易に利用可能な物質を用いて容易に調製できる。かかる物質には、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、及びその他のものがある。これらの物質は、適切な比率でDORMAと混合してもよい。これらの物質を用いるリポソームの作製方法は当業界で周知である。
【0049】
ミセルは、極性頭部が外部の球状殻を形成し、一方疎水性の炭化水素鎖が当該球の中心に向き、コアを形成するように配列される界面活性剤分子からなることは当業界で既知である。ミセルは、それが自然に形成されるような、十分に高濃度で界面活性剤を含有する水性溶液において形成される。ミセルを形成するのに有用な界面活性剤には、限定するものではないが、ラウリン酸カリウム、スルホン酸オクタン、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムクロリド、ポリオキシル−8−ドデシルエーテル、ポリオキシル−12−ドデシルエーテル、ノノキシノール10、及びノノキシノール30がある。
【0050】
同様に、微小球は、本製剤に組み込むことができる。リポソーム及びミセルと同様に、微小球は、基本的に本製剤の1又は複数の成分を封入する。これは、必ずしもそうではないが、一般的に、脂質、好ましくはリン脂質等の帯電脂質から形成される。脂質微小球の調製は、当業界で周知であり、添付の文書及び文献に記載がある。
【0051】
ある実施態様によれば、本発明の組成物は、さらに少なくとも1つの追加の活性成分を含んでよく、例えば、細胞分化又は増殖を調節する剤、麻酔(anesthesic)剤、抗ニキビ剤、抗老化剤、静菌剤、抗脂肪沈着剤、抗真菌剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗酸化剤、抗寄生虫剤、抗汚染剤、止痒剤、抗酒さ剤、抗脂漏剤、抗ストレス剤、抗毛細血管拡張剤、抗ウイルス剤、抗シワ剤、ベビーケア剤、浴室及びボディー剤、鎮静剤、クレンジング剤、コラーゲン合成剤、エラスターゼ阻害剤、剥離(exfoliant)剤、顔面ピーリング剤、安定剤、フットケア剤、フリーラジカル除去剤、免疫機能調整剤、角質溶解剤、リフト剤、メークアップ除去剤、メラニン産生刺激剤、ヘアケア剤、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、保湿剤、油吸収剤、浸透調節剤、抗光老化剤、保護剤、若返り剤、再生剤、再構築剤、敏感肌剤、シェービング製品剤、皮膚崩御促進剤、皮膚浄化剤、皮膚修復剤、痩身剤、平滑剤、軟化剤、緩和剤、日光ケア剤、サンレス・タニング剤、緊張化剤、及び美白剤があり、又は化粧組成物の局所適用を含んでなる化粧投薬計画における使用に適し、且つ本発明の体液抽出物組成物の効果を補完又は補足する、任意のその他の剤がある。さらなる実施態様によれば、上記の少なくとも1つの追加の活性成分は、細胞分化、細胞代謝活性、細胞構築、細胞増殖、細胞外プロセス、及び色素沈着の少なくとも1つを調整する。
【0052】
限定することなく、細胞分化又は増殖を調整する剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。さらに具体的には、かかる剤には、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、ビタミンD及びその誘導体(コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール)、増殖因子、エストラジオール誘導体がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0053】
限定することなく、麻酔剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、リドカインクロッルヒドレート及びその誘導体がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0054】
限定することなく、抗ニキビ剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、過酸化ベンゾイル、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、サリチル酸、硫黄、硫化石灰、アルコール及びアセトンがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0055】
限定することなく、抗老化/抗シワ剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ヒアルロン酸、ナトリウム−2−ピロリドンカルボキシレート、グリコサミノグリカン、キネチン、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、上皮細胞増殖因子、セラミド、エチルビスイミノメチルグアイアコールマンガンクロリド、グリカチオン阻害剤、chrysanthellum indicum抽出物及びaphanizomenon flos aquae抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0056】
限定することなく、静菌剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ユーカリ抽出物、クリンダマイシンホスフェート、カバクロール(cavacrol)、エリスロマイシン及びテトラシクリン群に属する静菌剤がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0057】
限定することなく、抗真菌剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、エコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、アンホテリシンB、テルビナフィン、及びオクトピロクス(octopirox)がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0058】
限定することなく、抗炎症剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、アラントイン、ビタミンE及びその誘導体(α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール)、カモミール油、イチョウ葉油、及びカメリア・シネンシス抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0059】
限定することなく、抗刺激剤/緩和剤/平滑剤/鎮静剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、アラントイン、カメリア・シネンシス抽出物、ラベンダー油、アロエベラ、シナノキ抽出物、epilobium angustifolium抽出物、cola nitida抽出物及びalteromonas ferment抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0060】
限定することなく、抗酸化剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、フルフリルアデニン、パンテノール、リポ酸、ユビキノン、ナイアシンアミド、メラトニン、カタラーゼ、グルタチオン、スーパーオキシドジムスターゼ、ポリフェノール、システイン、アラントイン、キネチン、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート)、ビタミンE及びその誘導体(α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール)、ブドウ種子抽出物、及びカメリア・シネンシス抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0061】
限定することなく、止痒剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、テナリジン、トリメプラジン、シプロヘプタジンがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0062】
限定することなく、抗酒さ剤/抗毛細血管拡張剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、メトロニダゾール、血管収縮剤、過酸化ベンゾイル、アゼライン酸、硫黄、大豆タンパク質、及びグリコサミノグリカンがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0063】
限定することなく、抗脂漏剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、プロゲステロン誘導体、イソロイトロール(isoleutrol)及びヒノキチオールがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0064】
限定することなく、敏感肌剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ローズ油及びジャスミン油がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0065】
限定することなく、クレンジング剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、コカミドMEA、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム及びイラクサ葉抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0066】
限定することなく、コラーゲン合成剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート)、増殖因子及びその誘導体がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0067】
限定することなく、剥離剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、アルファ/ベータヒドロキシ酸、サリチル酸、グリコール酸、乳酸、シトリス酸、及びクルミ殻粉末がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0068】
限定することなく、顔面ピーリング剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、グリコール酸、乳酸、トリクロロ酢酸、及びフェノールがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0069】
限定することなく、安定剤/緊張化剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ジメチルアミノエタノール、神経−化粧活性(neuro-cosmetic actives( (BotoxTM-hke)、キトサン、アルンカ抽出物、ウイキョウスイート油、及びパパイヤ抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0070】
限定することなく、フリーラジカル除去剤/抗汚染剤/抗ストレス剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ブドウ種抽出物、アルファ−トコフェロール及びそのエステル、スーパーオキシドジムスターゼ、各種金属キレート剤、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート)がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0071】
限定することなく、ヘアケア剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、D−グルコサミン、ポリ−N−アセチル−D−グルコサミン、ステアラルコニウムクロリド及びラウリル硫酸トリエタノールアミンがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0072】
限定することなく、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、カメリア・シネンシス抽出物、ポリフェノール、spatholobi caulis抽出物、euonymus alatus抽出物、rhizoma notopterygii抽出物、ケルセチン、グリコサミノグリカン、ポリメトキシフラボノイド、N−アセチル−システイン、2−フリルジオキシム、イソフラボン、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート)、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、及びヒドロキシメート誘導体がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0073】
限定することなく、保湿剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、キュウリ抽出物、ナトリウム−2−ピロリドンカルボキシレート、ナトリウムPCA、ヒアルロン酸ナトリウム、キチン及びその誘導体、アルファヒドロキシ酸、ヒアルロン酸及び加水分解コムギタンパク質がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0074】
限定することなく、浸透調節剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、マンニトール、ズルシトール、及びベタインがある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0075】
限定することなく、保護剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ポリ−N−アセチル−D−グルコサミン、ポリ−D−グルコサミン、アルキルアミド(alkyloamide)、キトサン、chrysanthellum indicum抽出物、カメリア・シネンシス抽出物、及びalteromonas ferment抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0076】
限定することなく、若返り剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ローズマリー抽出物、ローズウッド抽出物、ゼラニウム抽出物、及びビタミンE及びその誘導体(α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール)がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0077】
限定することなく、皮膚修復剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、アラントイン、ユーカリ抽出物、ラベンダー油、ローズ油、及びコラーゲン合成活性化剤、及び皮膚細胞外マトリクス成分活性化剤がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0078】
限定することなく、痩身剤/抗脂肪沈着剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、chrysanthellum indicum抽出物、ジヒドロミリセチン、テオビロミン、テオフィリン、アミノフィリン、カフェイン、イソプロピルアルテレノール塩酸塩、エピネフリン、α−MSHアゴニスト、アデニル酸シクラーゼ活性化剤、及びホスホジエステラーゼ阻害剤がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0079】
限定することなく、日光ケア剤/光老化剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、PABA(p−アミノ安息香酸)及び誘導体、グルコノラクトン、サリチレート、シンナメート、ベンゾフェノン、ジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、ビタミンE及びその誘導体(α−トコフェロール、δ−トコフェロール、γ−トコフェロール)、エチルビスイミノメチルグアイアコールマンガンクロリド、グリコサミノグリカン、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、二酸化チタン、オクチルメトキシシンナメート、ベンゾフェノン、オクチルサリチレート、epilobium angustifolium抽出物、rumex occidentalis抽出物、chrysanthellum indicum抽出物、camellia sinensis抽出物、及びalteromonas ferment抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0080】
限定することなく、サンレス・タニング剤/メラニン産生刺激剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、ジヒドロキシアセトン、α−MSHアゴニスト、アデニル酸シクラーゼ活性化剤、及びホスホジエステラーゼ阻害剤がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0081】
限定することなく、調色剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、イラクサ抽出物、オレンジ花抽出物、ローズウッド抽出物、及びマンサク抽出物がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0082】
限定することなく、美白剤/色素沈着剤には、植物抽出物、藻類抽出物、果実抽出物、野菜抽出物、豆科植物抽出物、発酵物質、タンパク質分解性加水分解物、ペプチド、酵母抽出物及びその誘導体、微生物抽出物、動物派生抽出物、及び合成化合物がある。より具体的には、かかる剤には、アルブチン、アゼライン酸、ビタミンC及びその誘導体(アスコルビルパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート)、ヒドロキノン、N−アセチル−4−S−システアニミルフェノール、コウジ酸、メラノスタット(メラノスタチン)、トレチノイン、レチノイン酸及びその誘導体(レチノール、レチンアルデヒド、パルミチン酸レチニル、トランスレチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、レチノイルグルコノイド、トレチノイン、イソトレチノイン、エトレチネート、アシトレチン、タザロテン、アダパレン、β−カロテン、レチニルエステル)、ruminex occidentalis抽出物、カンゾウ、クワ、arctostaphylos uva-ursi(ベアベリー)、チロシナーゼ阻害剤、メラノソームトランスファー阻害剤、及びメラニン除去剤がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0083】
ある実施態様によれば、本発明の組成物は、医薬として許容される局所担体、ビヒクル、又は添加剤(すなわち、局所/化粧として許容される担体、ビヒクル、賦形剤、又は添加剤)をさらに含んでなる。かかる担体、ビヒクル、賦形剤、又は添加剤は、当業界で周知であり、且つ例えば、感覚受容特性、皮膚浸透性、及び活性剤の近接可能性に関して最終製剤を向上させるために使用できる。担体、ビヒクル、又は賦形剤の例には、緩衝剤、キャリア剤、キレート剤、コンディショナー剤、着色剤、脱粘着剤、皮膚軟化剤、乳化剤、フィルム形成剤、発泡剤、保湿剤、乳酸塩剤、親油性剤、滑剤、中和剤、油剤、乳白剤、防腐剤、可溶化剤、溶剤、安定化剤、界面活性剤、増粘剤、粘性剤、水吸収剤、湿潤化剤、香水、及び熱水がある。任意のその組み合わせも含まれる。
【0084】
本発明の組成物は、特に制御された送達系のために提供されるように製剤化されてよい。かかる送達系の非限定的な例には、低速送達系、急速送達系、即時送達系、遅延送達系、0次送達系、及び二重もしくは多重速度送達系がある。かかる制御された送達系は、化学送達系、多エマルション、マイクロエマルション、ナノエマルション、リポソーム、微小球、ナノ球、マイクロスポンジ、ビーズ及びシクロデキストリン等の封入物、ポリマーマトリクス、ポリマー化粧複合物、オイルボディ/オレオシン、油可溶性分子フィルム、皮膚パッチ、単位投薬量がある。
【0085】
限定することなく、緩衝剤は、皮膚の性質、及びそのpHに適合する塩基/酸の塩である。酢酸ナトリウムは、多用される緩衝剤の例である。
【0086】
限定することなく、担体剤は、活性化剤の適用を支援することができる成分である。イソヘキサデカンは、多用される担体の例である。
【0087】
限定することなく、キレート剤は、一価及び二価カチオンに結合できる成分であり、例えば、EDTA、EDTA三ナトリウム、EDAT四ナトリウム、EDTA二ナトリウム、又はその組み合わせ等である。
【0088】
限定することなく、コンディショナー剤は、滑らかにする作用及び水和する効果を有する成分であり、例えば、塩化セトリモニウム、塩化ジセチルジモニウム、トリデセス(trideceth)−12、クアテリウム(quaternium)−Z7、クアテリウム−I8、ポリクアテリウム−10、ベヘントリモニウムメトスフフェート(behentrimonium methosulfate)、セテアリール(cetearyl)アルコール、ステアラミドプロピルジメチルアミン(stearamidopropyl dimethylamine)、トリメチルシリルアモジメチコン(trimethylsilylamodimethicone)、イソラウレス(isolaureth)−6、オクトキシノール(octoxynol)−4、ジメチコン、ジメチコノール、シクロペンタジオキサン、パレス(pareth)−7、パレス−9、リノール酸、及びグリセリン、又はその組み合わせ等がある。
【0089】
限定することなく、脱粘着剤は、粘着性のある物質上に吸着できる成分であり、且つその接着傾向を低減し、例えば、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、及びビニルジメチコン、フェニルトリメチコン、イソプロピルエステル、イソステアリン酸エステル、セバシン酸ジメチル、及びセバシン酸ジプロピル、又はその組み合わせ等である。
【0090】
限定することなく、皮膚軟化剤は、滑らかにする作用及び水和する効果を有する成分であり、パルミチン酸イソプロピル、ヒマワリ種油、鉱物油、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン、カプリル、カプリントリグリセリド、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ビニルジメチコン、ビスフェニルプロピルジメチコン、アルキルジメチコン、ステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、ミリスチルアルコール、乳酸ミリスチル、酢酸セチル、ジカプリルエーテル、floraester−20、マレイン酸大豆油、シクロメチコン、シアバター、水素添加ココナッツ油、パルミチン酸イソプロピル、シロキシケイ酸ジイソステアロイルトリメチロールプロパン、及び安息香酸アルキル、又はその組み合わせ等である。
【0091】
限定することなく、乳化剤は、エマルションにおける非混和物質の分離を妨げ、ある物質が別の物質に一様に分散することを助け、質感、均質性、一貫性及び安定性を向上させることができる成分であり、例えば、セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、アクリル酸アルキル、クロスポリマー、ステアリン酸、乳化ワックス、オレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート、ポリエチレングリコポリソルベート、トリエタノールアミン、シクロペンタシロキサン、ジメチコンコポリオール、ジポリヒドロキシステアリン酸PEG−30、ジステアリン酸スクロース、ステアリン酸PEG−100、ジオクチルコハク酸DEA、ステアリン酸グリコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘントリモニウムメトスフフェート、及びセテアレス(ceteareth)−2、又はその組み合わせがある。
【0092】
限定することなく、フィルム形成剤は、位置関係的に安定で且つ連続的なフィルムを形成し、製剤(formula)粘着性を最小化することができる成分であり、例えば、コムギタンパク質、エイコセンコポリマー、パーフルオロメチルイソプロピルエーテル、シロキシケイ酸ジイソステアロイルトリメチロールプロパン、シロキシケイ酸トリメチル、ジメチコン、ビニルジメチコン、及びシクロペンタシロキサン、又はその組み合わせがある。
【0093】
限定することなく、発泡剤は、生成物における空気量を調整できる成分であり、例えば、ローラミド(lauramide)DEA及びコカミド(MEA)、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、N−オクタデシルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、及び2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム、又はその組み合わせがある。
【0094】
限定することなく、保湿剤は、一定の湿度を維持し、且つ水分を保持することができる成分であり、例えば、グリセリン、PEG−8、ブチレングリコール、及びプロピレングリコール、又はその組み合わせがある。
【0095】
限定することなく、滑剤は、滑りやすさを付与し、且つ摩擦を低減して塗布を向上することができる成分であり、例えば、ジメチコン及びジメチコンコポリオール、又はその組み合わせがある。
【0096】
限定することなく、中和剤は、酸−アルカリバランスをとることができる成分であり、例えば、トリエタノールアミン、及び水酸化ナトリウム、又はその組み合わせがある。
【0097】
限定することなく、乳白剤は、透明又は半透明の生成物の見た目を変化させ、よりクリーム状又は真珠状のものにすることができる成分であり、例えば、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG−100、又はその組み合わせがある。
【0098】
限定することなく、防腐剤は、微生物的又は化学的損傷を妨害するか又は阻止し、且つ変色から保護することができる成分であり、例えば、DMDMヒダントン(hydantom)、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェノキシエタノール、エチルパラベン、ブチルパラベン、イミダゾリジニルウレア、ジアゾリジニルウレア、クアテミウム(quatemium)−8、クアテミウム−14、クアテミウム−15、プロピレングリコール、ジヒドロ酢酸、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、及びゲルマベン(germaben)、又はその組み合わせがある。
【0099】
限定することなく、可溶化剤は、非適合成分を、均質な溶液の一部にさせることができる成分であり、例えば、ポリソルベート、セテアレス(ceteareth)、ステアレス(steareth)、及びPEG、又はその組み合わせがある。
【0100】
限定することなく、安定化剤は、処理の最中及び処理後に、物理的及び化学的特性を維持し、生成物の寿命の間、物質の物理的特性における変化を防止又は限定することができる成分であり、例えば、ポリエチレン、塩化ナトリウム、ステアリルアルコール、キサンタンゴム、EDTA四ナトリウム、及びジメチコンコポリオール、又はその組み合わせがある。
【0101】
限定することなく、界面活性剤は、水又は水溶液に溶解した場合、表面張力を低減し、2つの液体間又は液体と固体との間の界面張力を低減することができる成分であり、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、オクトキシノール−40、イソラウレス−6、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルアルコール、ローラミドDEA、及びコカミドジプロピルベタン、又はその組み合わせがある。
【0102】
限定することなく、増粘剤は、水を吸収し体に与え、一貫性又は質感を向上させ、エマルションを安定化できる成分であり、例えば、ステアリン酸、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、カルボマー(カルボマーナトリウム及びカルボマーカリウム等)、アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、セチルアルコール、キサンタンゴム、アルキルジメチコン、ヒドロキシエチルセルロース、ステアリン酸グリセリル、テトラステアリン酸ペンタエリスリル、ステアリルアルコール、及びポリクアテリウム−10、又はその組み合わせがある。
【0103】
限定することなく、粘性剤は、流動性度合い、及び流体により提示される流れにたいする内部抵抗を制御することができる成分であり、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、カプリリルグリコール、及びミリスチルアルコール、又はその組み合わせである。
【0104】
限定することなく、水吸収剤は、生成物の水を吸収し、水分を維持することができる成分であり、例えば、カルボキシビニルポリマー、アクリルコポリマー、ポリアクリルアミド、多糖、天然ゴム、粘土、改質粘度、金属塩、脂肪酸、又はその組み合わせがある。
【0105】
限定することなく、湿潤化剤は、より良好な浸透又は表面にわたる広がりのために、水の表面張力を低減することができる成分であり、例えば、カプリレート、カプリリルグリコール、カプリン酸グリセロール、ポリグリセリル−2カプレート、ポリグリセリル−6、ポリグリセリル−3、ラウレート、及びTEA−ラウレススルフェート、又はその組み合わせがある。
【0106】
本発明の単離ヒトデ体液又はその抽出物、又は組成物は、好適な手法で包装されてよく、限定するものではないが、例えば、従来の手法における、瓶、ボトル、チューブ、スティック、ローラーボール塗布器、エアロゾル噴射装置等がある。本発明の抽出物又は組成物は、一方の区画が活性成分を含有し、第二の区画が塗布の前のある固定した時点で一緒に混合できる局所用/皮膚用として許容されるビヒクルを含有する等、2以上の別々の区画のキットとして包装できる。例えば、クリーム、粉末、錠剤、カプセル又は液体の形態である活性成分は、開封でき且つ局所用に許容されるビヒクルと混合でき、密封単一使用容量において予備測定された形態で保存されてもよい、密封単一使用容量に含有されてもよい。あるいは、活性成分及び局所用に許容されるビヒクルは、固体用の測定スプーン又はカップ、又は液体用の校正されたバイアル又はスポイト等の様々な測定装置を用いて、必要量を引き抜くことができる、より大量の状態で提供されてもよい。本発明の抽出物又は組成物は、基板上に広げられ、その後、包装されてもよい。好適な基板には、フィルム包帯、及び救急絆等の奉戴がある。ある実施態様によれば、当該キット又は包装は、使用/都府のための指示書、例えば、皮膚老化兆候又は傷跡又は皮膚線条等の皮膚疾患又は障害を、予防又は提言するための指示書を含んでよい。
【0107】
ある実施態様によれば、本発明の体液又はその抽出物は、皮膚に所望の結果を提供する(例えば、対象における皮膚老化兆候、又はその他の皮膚疾患もしくは障害を予防又は低減するための)有効量で存在する。ある実施態様によれば、本発明の体液又はその抽出物は、スキンケア組成物中、約0.01g/L〜約200g/Lの濃度で存在する。ある実施態様によれば、本発明の体液又はその抽出物は、組成物のうち約0.01%〜約5%の濃度で存在する。
【0108】
別の態様によれば、本発明は、対象における皮膚老化兆候、又は別の皮膚疾患もしくは障害を予防又は低減するための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用(例えば、化粧用又は治療用の使用)を提供する。
【0109】
別の態様によれば、本発明は、対象の皮膚に対する有効量のヒトデ体液又はその抽出物を含んでなる組成物を投与することを含んでなる、対象における皮膚老化兆候又は皮膚疾患もしくは障害を、予防又は低減するための方法を提供する。
【0110】
別の態様によれば、本発明は、皮膚老化兆候を予防又は低減するための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用(例えば、化粧用又は治療用の使用)を提供する。それほど限定するものではないが、「皮膚疾患又は障害」なる用語には、皮膚老化兆候、限定するものではないが、外科的傷跡、ニキビ傷跡、及び火傷の傷跡等の傷跡、妊娠又はその他の体重大幅な変動による皮膚線条等の皮膚線条創傷が含まれる。それほど限定するものではないが、本明細書で使用される場合、「皮膚老化兆候」なる用語は、シワ、小ジワ、ニキビ傷跡等の傷跡、皮膚線条、皮膚堅さ及び弾力性の低下、質感の低下、脱水、皮膚防御機構の弱化、炎症、日光ダメージ(特に、UV放射で、これは酸化ストレスを誘導する)、赤み、毛細血管拡張、皮膚たるみ、皮脂過剰、毛穴拡大、目のくま、皮膚堅さの低下、褐斑病、過剰色素沈着皮膚、皮膚厚みの増大、斑点、皮膚弾力性及びコラーゲン含量の低下、乾燥肌、ほくろ、黒皮症、くすみ肌、目袋、皮脂不足、皮膚快適性の低下、及び皮膚活力喪失(代謝活性低減)、又は任意のその組み合わせのことを言う。
【0111】
本明細書で使用される場合、「皮膚老化兆候の低減」又は「皮膚疾患又は障害の低減」なる表現における「低減」なる用語は、事前に存在する老化する皮膚兆候、又はその他の皮膚疾患もしくは障害を、それぞれ低減すること言う意味である。当該用語には、老化兆候又はその他の皮膚疾患又は障害のそれぞれの、完全又は部分的な補正/治療も包含される。本明細書で使用される場合、「皮膚老化兆候の予防」又は「皮膚疾患又は障害の予防」なる表現における「予防」なる用語は、皮膚老化兆候、又は皮膚疾患もしくは障害のそれぞれの、開始の遅延、又は完全もしくは部分的な予防のことを言う意味である。
【0112】
ある実施態様によれば、上記治療は、以下の1又は複数の結果をもたらす。(a)細胞移動に関与する遺伝子の発現の刺激、(b)表皮細胞移動の向上、(c)コラーゲン繊維厚みの増大、(d)コラーゲン繊維数の増大、(d)角質層のケラチン化の低減、(e)ケラチノサイト増殖の増加、(f)ケラチノサイト最終分化の増加、(g)表皮厚みの増加、(h)グリコサミノグリカン(GAG)発現の増大、(i)表皮における有糸分裂細胞濃度の増加、(j)表皮細胞層数の増加、(k)コラーゲンIII、コラーゲンIV及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現の増加、(l)目尻のシワ深さの低減、(m)目尻のシワ幅の低減、(n)皮膚弾力性の増大、(o)口シワの低減、(p)皮膚堅さの増大、(q)細胞コロニー再形成(recolonization)の増大、及び(r)皮膚水分の増加、
【0113】
別の態様によれば、本発明は、コラーゲン繊維構造の一貫性を向上させるための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0114】
別の態様によれば、本発明は、角質層の形態及び皮膚質感を向上させるための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0115】
別の態様によれば、本発明は、水和を向上させるための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0116】
別の態様によれば、本発明は、皮膚マイクロレリーフを向上させるための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0117】
別の態様によれば、本発明は、皮膚修復機能を促進する、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0118】
別の態様によれば、本発明は、ケラチノサイト増殖及び最終分化を調整する、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0119】
別の態様によれば、本発明は、グリコサミノグリカン(GAG)を増加させる、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0120】
別の態様によれば、本発明は、ケラチノサイト増殖を促進する、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。
【0121】
別の態様によれば、本発明は、コラーゲンの発現を増加する、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用に関する。さらなる実施態様によれば、上記コラーゲンは、コラーゲンIII、コラーゲンIV、及びコラーゲンVIIの少なくとも1つである。
【0122】
別の態様によれば、本発明は、細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子の発現を刺激するための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用(例えば、化粧用の使用)に関する。さらなる実施態様によれば、上記細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子は、スモールプロテインリッチタンパク質(SPRR)をコードする。さらなる実施態様によれば、上記SPRRは、SPRR2Aである。
【0123】
別の態様によれば、本発明は、皮膚老化兆候等の皮膚疾患又は障害を予防又は低減するための、医薬の調製のための単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用を提供する。
【0124】
別の態様によれば、本発明は、皮膚修復機能を促進する、医薬の調製のための単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用を提供する。
【0125】
別の態様によれば、本発明は、コラーゲン繊維構造を改善することにより皮膚の一貫性を向上させるための、医薬の調製のための単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用を提供する。
【0126】
老化関連皮膚兆候は、あるより特定の実施態様において、シワ、小ジワ、老斑、日光ダメージ(特に、UV放射で、これは酸化ストレスを誘導する)、斑点、過剰色素沈着皮膚、皮膚厚みの増加、皮膚弾力性及びコラーゲン含量の低下、乾燥肌、ほくろ、及び/又は黒色症、又は任意のその組み合わせがある。
【0127】
本発明の抽出物又は組成物の送達方法は、様々な方法であってよいが、通常は、例えば、内因性老化及び/又は外因性老化、又は別の皮膚疾患又は障害と関連するか、内因性老化及び/又は外因性老化、又は別の皮膚疾患又は障害が原因であるか、又は内因性老化及び/又は外因性老化、又は別の皮膚疾患又は障害により影響を受ける任意の皮膚兆候等の、皮膚老化兆候の傾向があるか、又は皮膚老化兆候により影響を受ける皮膚領域への塗布が必要である。
【0128】
クリーム、ローション、ジェル、軟膏、ペースト等は、影響を受ける表面に広げられ、そして穏やかに塗りこまれてよい。揺曳は、同じ方法で塗布してもよいが、より典型的には、スポイト、綿棒等で塗布され、そして慎重に影響を受ける領域に塗布されることになる。
【0129】
塗布計画は、疾患又は障害の重症度、その初期治療に対する反応性等の容易に決定できる多数の因子に依存するが、通常は継続的に1日当たり1又は複数の塗布が必要となるはずである。当業者は、投与される製剤の最適量、投与方法、及び繰り返し率を容易に決定できる。一般的には、本発明の製剤は、週に1又は2回から1日に1又は2回までの範囲で塗布されてよいと解釈される。本明細書で使用される場合、本発明の組成物に関連して「有効量」なる用語は、対象の皮膚老化兆候又はその他の皮膚疾患又は障害を有効に予防又は低減する量である。典型的には、当該量は、治療される皮膚を覆う十分量と解釈される。有効量は、組成物の形態(例えば、ジェル、クリーム、血清等)及び対象の皮膚タイプに依存して変動し得る。
【0130】
ある実施態様によれば、上記の対象は哺乳類である。さらなる実施態様によれば、上記哺乳類はヒトである。
【0131】
本発明は、以下の非限定的な例によりさらに詳細に例示される。
【実施例1】
【0132】
体液抽出物の調製
野生型ヒトデ捕獲
野生型ヒトデ(スターフィッシュ)は、Prince−Edward島周辺の湾で獲えられ、選ばれた。採取したスターフィッシュは、Asteria vulgarisの種であった。
【0133】
IIes−de−la−Madeleineで見つけられた野生型ヒトデは、ホタテ引き網活動の混獲として捕獲された。捕獲されたヒトデは、Crossaster papossus、Leptasterias polaris、及びAsterias vulgaris種であった。
【0134】
Asterias vulgaris種のヒトデを、Western Prince edward island(カナダ)において、7月〜11月、毎週捕った。
【0135】
体液回収
殻の一部を切断し、そして重力によって体液を流出させることにより体液を回収した。体液を貯め、その後凍結した。あるいは、当該流体を、遠心分離、及び任意の陽圧又は陰圧を与える手段により、シリンジで引き抜くことができる。
【0136】
体液濾過
凍結体液抽出物を、氷上で溶解させた。4℃で濾過実験を行った。体液抽出物を、100μmシリンジ−フィルターで予備濾過し、その後、0.22μm膜で濾過し、細菌及び体腔細胞を除去した。この濾過により、本明細書で言うところの、未分画/全体液抽出物を作製した。その後、限外濾過を行った。0.22μmの濾液を50,000Daカットオフ膜を用い、当該膜に残存する初期容量がおよそ1/6になるまで限外濾過に供した。体液における濃度であるおよそ25%のNaCl濃度(100mM NaCl)の等量の食塩水を、残余物に添加し、再び濾過を行った。その後、食塩水添加及び濾過を繰り返した。得られた残余物(>50kDa画分)を一定量に分け、凍結した。その後、得られた濾液を、5,000Daカットオフ膜を用い、当該膜に残存する初期容量がおよそ1/6になるまで限外濾過に供した。等量の食塩水(100mM NaCl)を残余物に添加し、再び濾過を行った。その後、食塩添加及び濾過を繰り返した。第二の残余物を一定量に分け、凍結した(5−50kDa画分)。その後、最終濾液を一定量に分割し、凍結した(<5kDa画分)。全ての画分は、製造後すぐに凍結され、その後、使用まで−80℃で保存した。
【実施例2】
【0137】
細胞移動における体液抽出物の効果
a)原理
細胞移動は、傷跡等の組織の再生及び治癒を可能にする天然プロセスの重要なステップである。加齢に伴い、この細胞移動現象は、皮膚において低速化する傾向があり、皮膚老化が起きる。
【0138】
スモールプロリンリッチタンパク質(SPRR)は、表皮分化に必要な表皮分化複合体の170kb領域内の、直列に配列される4つの遺伝子ファミリー(SPRR1−4)によりコードされる。Demetris等により発表された従来の研究(Small proline rich protein (SPRR) function as SH3 domain ligands increase resistance to injury and are associated with epithelial-mesenchymal transition (Net) in cholangiocytes, Journal of Hepatology (2008) 48 (2): 276-288)において、SPRR2A発現が創傷修復関連性であるという仮説が、細胞移動アッセイ(Migration Assay)により検査されている。SPRR2A形質転換体が、非常に良好な回復/移動を示し、且つ壁間(transwell)の孔を介して横断する能力を向上させることが見出された。
【0139】
専用のDNAアレイを用いる遺伝子発現の解析により、ヒトデ体液抽出物は、再構築された皮膚モデル由来の遺伝子の差次的発現に対する当該抽出物の効果について、そしてより正確にはSPRP2Aの発現について試験されている。
【0140】
b)プロトコール
組織の治療
線維芽細胞懸濁物を、10%ウシ胎児血清(FCS)を補ったDMEM中で調製し、再構築表皮(RE)()のポリカーボネート膜の下面に播種した)(SkinEthic(登録商標)組織:112 SkinEthic(登録商標)再構築表皮(0.50 cm2 及び13日)。バッチn°06022A 0308(SkinEthic Laboratories製、フランス)。共培養物を室温で1時間インキュベートし(細胞接着)、その後、2%FGSを補ったSkinEthic(登録商標)増殖培養培地を含有する24ウェルプレートに置いた。24時間インキュベーション後、培養培地を除去し、未分画ヒトデ体液抽出物(2% v/v(すなわち、実施例1に記載される未分画抽出物の1/50希釈物)(Asteria vulgaris)を含有する新鮮培地、又は含有しない培地(コントロール)により置換し、共培養物を37℃、5%CO2で72時間インキュベートした。
【0141】
培養の終点で、表皮を除去し、PBS緩衝液で洗浄した。同じ処理を施したREを貯め、1mLのTRI Reagent(商標)TRI Reagent(商標)(Sigma, Saint Quentin, フランス)を添加した。各々サンプルをすぐに−80℃で凍結した。
【0142】
細胞移動に対する抽出物のインビトロ(in vitro)効果も、細胞移動アッセイ(scrap試験)により評価した。
【0143】
差次的遺伝子発現解析
遺伝子発現の解析を、遺伝子発現の解析専用で、特にスクリーニング目的に適合する標準的なミニチップを用いて行った(Bioalternative製)。使用されるBioalternatives (Nice、フランス)cDNAアレイは、Bioalternative(Nice、フランス)により設計されたATLASマクロ−アレイを使用し、Clontech Laboratories, Inc. (Palo Alto, CA. USA)による独占的使用が提供された。
【0144】
これらのナイロンチップ(<3 cm2)を、スポット用装置(非接触スポッター、ピエゾ法、Piezorray, PerkinElmer)及び対象となるマーカーに特異的なcDANを用いて停止させた。現在使用される様式の小型化が可能になり、且つコスト効率的な解析が可能である権利保護された技術を用いて解析を行った。当該解析は、逆転写用のテンプレートとしてmRNA、及び33P標識(最適感度用)の使用に基づく。
【0145】
各々の培養物の総RNAを抽出し、TRI Reagent(商標)を用い、製造業者の指示書に従って精製した。その後、精製RNAの量及び質を、Bioanalyzer Agilent(商標)2100を用いて評価した。
【0146】
多重cDNA33P−標識化標的を、[α33P]−dATP及びオリゴdTを用いてmRNAの直接逆転写により調製した。これらの標識化cDNA標的を、ミニチップに共有的に固定した特異的cDNAプローブにハイブリダイズさせた。広範囲にわたる洗浄後、プローブにハイブリダイズした各々の特異的標的の相対量をPhosphorlmaging(商標)により明らかにした。
【0147】
c)結果
図2に示すように、ヒトデからの体液抽出物は、未処理コントロールと比較して、SPRR2Aの発現を約1.7倍増加させた。上記の通り、SPRR2Aの過剰発現は、同時に抗シワ及び傷跡又は皮膚線条の消去活性において役割を果たす、良好な回復及び細胞移動と関連する。
【実施例3】
【0148】
表皮及び真皮の形態に対するヒトデ由来の体液抽出物の抗老化効果
a)原理
皮膚外植片モデルにおける表皮及び真皮の形態学的観察により、推定される抗老化及び抗シワ活性成分の全体的な効果について良好な示唆が提供される。
【0149】
皮膚外植片におけるインビトロ研究は、ヒトデ体液抽出物の再生効果を評価するために行っている。
【0150】
b)プロトコール
0.5% v/v(実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)の未分画体液、又は0.5% w/wの>50kDa体液画分を含有する、カルボマー調製物(Carbopol 0.25% w/w; 0.5% w/w;水で100%にバランス)を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。ROC製のRetin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0151】
外植片のパラフィン埋め込み及びマッソン・トリクローム染色(6日)後、一般的な形態学的観察を、光学的顕微鏡(倍率40)を用いて行った。
【0152】
表皮及び真皮構造の、特に細胞層数について、表皮厚みについて、ケラチノサイト形態について、角質層の角質形成度合いについて、及び細胞外マトリックスにわたる真皮乳頭層コラーゲン繊維密度について観察した。
【0153】
c)結果
6日目に、処理した外植片の形態学的観察の結果を、未処理の外植片の結果、及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))の結果と比較した。
【0154】
図3に示すように、未分画ヒトデ由来体液抽出物、及び>50kDa画分は、ケラチノサイトの形態学的変更は伴わずに、表皮の細胞層数を、4−5(コントロール)から、それぞれ10−11及び9−10に増加させた(図1を参照されたい)。同様の結果は、Retin−OX+(商標)(10−11)で得られたが、ケラチノサイトの形態学的変更を伴った(図1を参照されたい)。未分画体液抽出物、>50kDa画分、及びRetin−OX+(商標)処理した外植片について、真皮乳頭層に局在した厚いコラーゲン繊維は、未処理の外植片のものより高密度の細胞外マトリックスを提供した。最終的に、処理外植片(未分画体液、>50kDa及びRetin−OX+(商標))における真皮乳頭層の角質形成は、未処理のものにおける角質形成よりも低く、ケラチノサイト増殖及び最終分化に対する調整効果、及び角質形成プロセスに対する阻害効果が明らかになった。
【0155】
これらの結果は、表皮厚み及び細胞外マトリックスコラーゲン(例えば、抗シワ活性)に対して、ヒトデ由来の体液抽出物(未分画抽出物、及び>50kDa画分)が、Retin−OX+(商標)のものと比較できる効果を有するが、ケラチノサイトに対する細胞毒性はないことを実証する。
【実施例4】
【0156】
グリコサミノグリカン発現レベルに対するヒトデ体液抽出物の効果
a)原理
グリコサミノグリカン(GAG)は、皮膚において多数の生理学的役割を持っている。これらは、秀逸な真皮の水貯蔵器であり、且つ特に無機塩、ホルモン及び水の良好な代謝的交換器であることが知られる。コラーゲン成熟及び分解に関連して、GAGは、これらの繊維を緊密に連結し、細胞外マトリックスの最適な組織を確保する。これらはまた、真皮線維芽細胞繁殖を刺激、及びコラーゲン合成により、細胞増殖に作用する。
【0157】
これら全てのGAGに関連する生理学的事象は、老化皮膚及びシワ形成に関与するので、ヒトデ体液抽出物のGAGに対する効果を評価した。
【0158】
b)プロトコール
0.5% v/vの未分画体液抽出物(Asteria vulgaris)、>50kDa、5−50kDa,又は<5kDa画分を含有する実施例3に記載のカルボマー調製物を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。同じ手法を用いて、Retin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0159】
外植片のパラフィン埋め込み及びマッソン・トリクローム染色を行い、GAGを可視化した(12日)。観察を、光学的顕微鏡(倍率63)を用いて行った。
【0160】
c)結果
12日目に、処理外植片のGAG可視化の結果を、未処理の外植片のもの、及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))処理と比較した。
【0161】
図4に示すように、パネルGのヒトデ体液抽出物は、未分画抽出物については、及び>50kDa及び<5kDa画分については約5倍GAG発現が増加し、且つ5−50kDa画分及びRetin−OX+(商標)については約4倍増加した。これは、真皮−表皮接点の端で、及び真皮乳頭層において、一定且つ厚いピンクからパープル(カラー写真においてのみ見られる)により特徴付けられる。
【実施例5】
【0162】
細胞増殖に対するヒトデ体液抽出物の効果
a)原理
細胞再生はエキソビボ法により測定でき、有糸分裂細胞マーカーであるKi67の免疫ブロット法を使用して、細胞増殖についての定量的なデータを得る。
【0163】
本研究の目的は、ヒトデ体液抽出物の皮膚細胞に対する増殖効果を評価することであった。
【0164】
b)プロトコール
0.5% v/vの未分画体液抽出物(すなわち、実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)(Asteria vulgaris)、>50kDa、5−50kDa,又は<5kDa画分を含有する実施例3に記載のカルボマー調製物を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。同じ手法を用いて、Retin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0165】
凍結外植片(6日目)切片上でのKi67免疫ブロッティングを、抗−Ki67モノクローナル抗体、及びシグナル増幅システムとしてビオチン/ストレプトアビジンを用いて行った。核染色をマッソンのヘマルン(hemalun)で行った。この方法により、有糸分裂細胞の可視化が可能になる。光学顕微鏡(倍率20又は40)で観察を行い、その後、染色細胞を計数した。結果を、表皮のセンチメートル(cm)(平均)で、染色細胞数を表現した。
【0166】
c)結果
6日目に、処理外植片のKi67免疫ブロッティングの結果を、未処理外植片及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))の結果と比較した。
【0167】
ヒトデ体液抽出物(未処理抽出物及び>50kDa及び5−50kDa画分)は、外植片における有糸分裂細胞数を増加させた(図5)。表皮1センチメートル当たりの有糸分裂細胞数は、未分画で処理した抽出物、>50kDa、及び5−50kDa画分体液抽出物は、未処理の外植片と比較して、それぞれ、約35倍、33倍、及び25倍(Retin−OX+(商標)に対して3倍)であった。
【0168】
これらの結果は、ヒトデ体液抽出物が、ケラチノサイト増殖に効果を有し、同様に、皮膚の表皮に厚み及び強度を与えて、表皮のより良好な再生を可能にしている(すなわち、抗シワ特性)ことを示す。
【実施例6】
【0169】
コラーゲンIII発現に対するヒトデ体液抽出物の効果
a)原理
本研究は、コラーゲンIII産生におけるヒトデ体液抽出物の効果を評価することにある。年齢と共に、コラーゲンIII産生は減少し、皮膚廊下兆候の出現を引き起こす。
【0170】
繊維芽細胞により産生されるコラーゲンIIIは、真皮の細胞外マトリックスに存在する繊維性コラーゲン型であり、その主な役割は、皮膚の堅さを提供するネットワーク構造を形成することである。
【0171】
b)プロトコール
0.5% v/vの未分画体液抽出物(すなわち、実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)(Asteria vulgaris)、>50kDa、5−50kDa、又は<5kDa画分を含有する実施例3に記載のカルボマー調製物を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。同じ手法を用いて、Retin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0172】
凍結外植片(6日目)切片上でのコラーゲンIII免疫ブロッティングを、抗−コラーゲンIII抗体、及びDABリベレイションキットを用いて行った。細胞をマッソンのヘマルン(hemalun)で染色した。この方法により、真皮乳頭層におけるコラーゲンIIIの可視化が可能になる。
【0173】
観察は、光学顕微鏡(倍率40)で行った。
【0174】
c)結果
6日目に、処理外植片のコラーゲンIII免疫ブロッティングの結果を、未処理外植片(6日目)及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))の結果と比較した。
【0175】
図6に示すように、未分画及び分画したヒトデ体液抽出物は、コラーゲンIIIの発現を増加させた。コラーゲンIIIは、未分画体液抽出物、>50kDa、5−50kDa、及び<5kDa画分で処理した外植片において、それぞれ、約25倍、1.5倍、2.0倍、及び2.5倍過剰発現する。当該増加は、Retin−OX+(商標)で処理した外植片に対して約1.5倍であった。
【0176】
これらの結果は、ヒトデ体液抽出物が、コラーゲンIII発現に効果があり、同様に、抗シワ及びニキビ傷跡又は皮膚線条消去活性において役割を担うことを実証した。
【実施例7】
【0177】
コラーゲンIV発現に対するヒトデ体液抽出物の効果
a)原理
本研究は、コラーゲンIV産生におけるヒトデ体液抽出物の効果を評価することにある。年齢と共に、コラーゲンIV産生は減少し、皮膚廊下兆候の出現を引き起こす。
【0178】
ケラチノサイト及び繊維芽細胞の両方によるコラーゲンIVの産生は、表皮の基底膜において起きる。コラーゲンIVは、皮膚の機械的安定性に役割を果たす。
【0179】
b)プロトコール
0.5% v/vの未分画体液抽出物(すなわち、実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)(Asteria vulgaris)、>50kDa、5−50kDa、又は<5kDa画分を含有する実施例3に記載のカルボマー調製物を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。同じ手法を用いて、Retin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0180】
凍結外植片(6日目)切片上でのコラーゲンIV免疫ブロッティングを、抗−コラーゲンIV抗体、及びFITCリベレイションキットを用いて行った。細胞をプロピジウムイオデュラ(iodure)で染色した。この方法により、真皮−表皮接点、真皮乳頭層、及び皮膚付加物周辺におけるコラーゲンIVの可視化が可能になる。
【0181】
観察は、光学顕微鏡(倍率40)で行った。
【0182】
c)結果
処理外植片のコラーゲンIV免疫ブロッティングの結果を、未処理外植片(6日目)及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))の結果と比較した。
【0183】
図7に示すように、未分画及び分画したヒトデ体液抽出物は、コラーゲンIVの発現を増加させた。コラーゲンIVは、未分画体液抽出物、>50kDa、5−50kDa、及び<5kDa画分で処理した外植片において、それぞれ、約30倍、4.0倍、3.0倍、及び3倍過剰発現する。当該増加は、Retin−OX+(商標)で処理した外植片に対して約2倍であった。
【0184】
これらの結果は、ヒトデ体液抽出物が、コラーゲンIV発現に効果があり、同様に、抗シワ及びニキビ傷跡又は皮膚線条消去活性において役割を担うことを実証した。
【実施例8】
【0185】
コラーゲンVII発現に対するヒトデ体液抽出物の効果
a)原理
本研究は、コラーゲンVII産生におけるヒトデ体液抽出物の効果を評価することにある。年齢と共に、コラーゲンVII産生は減少し、皮膚廊下兆候の出現を引き起こす。
【0186】
コラーゲンVIIは、主にケラチノサイトにより産生され、真皮−表皮接点に存在するアンカリング繊維性コラーゲン型である。コラーゲンVIIは、根本的な真皮への基底膜の結合を安定化し、結果的に、皮膚基底膜の統合に寄与する役割を果たす。
【0187】
b)プロトコール
0.5% v/vの未分画体液抽出物(すなわち、実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)(Asteria vulgaris)、>50kDa、5−50kDa、又は<5kDa画分を含有する実施例3に記載のカルボマー調製物を、腹部整形手術を受けた60歳の女性から得られたインビトロ皮膚外植片に、局所的に塗布した。同じ手法を用いて、Retin−OX+(商標)をポジティブコントロールとして塗布した。これらの外植片を、BEM培養培地において生存させた。
【0188】
凍結外植片(6日目)切片上でのコラーゲンVII免疫ブロッティングを、抗−コラーゲンVII抗体、及びシグナル増幅システムとしてビオチン/ストレプトアビジン、及びFITCリベレイションキットを用いて行った。細胞をプロピジウムイオデュラ(iodure)で染色した。この方法により、真皮−表皮接点におけるコラーゲンVIIの可視化が可能になる。
【0189】
観察は、光学顕微鏡(倍率40)で行った。
【0190】
c)結果
6日目に、処理外植片のコラーゲンVII免疫ブロッティングの結果を、未処理外植片(6日目)及びポジティブコントロール(Retin−OX+(商標))の結果と比較した。
【0191】
図8に示すように、ヒトデ体液抽出物の>50kDa及び<5kDa画分は、コラーゲンVIIの発現を増加させた。コラーゲンVIIは、>50kDa及び<5kDa画分で処理した外植片において、それぞれ、約30倍、及び20倍過剰発現した。当該増加は、Retin−OX+(商標)で処理した外植片に対して約20倍であった。
【0192】
これらの結果は、ヒトデ体液抽出物が、コラーゲンVII発現に効果があり、同様に、抗シワ及びニキビ傷跡又は皮膚線条消去活性において役割を担うことを実証する。
【実施例9】
【0193】
ヒトボランティアの皮膚改善に対するヒトデ体液抽出物の効果
30代半ば、及び45〜70歳のカフカス人女性(ボランティア)は、28日間にわたり、0.5% v/v(すなわち、実施例1の未分画抽出物の1/200希釈物)のヒトデ体液抽出物(Asteria vulgaris)(<0.22μm画分)を含有するクリーム(クリームの組成は以下の表Iを参照されたい)を、顔の半分に、典型的には1日2回塗布した。プラセボコントロールした研究とするために、活性成分を何も含有しない、同じクリームを顔の他方の半分に塗布した。全てのボランティアは、シワ及び目の周囲の小ジワ(目のシワ)を有していた。ヒトデ体液抽出物の、抗シワ活性、堅さ活性、弾力性活性、保湿化活性、及び落屑に対する効果を評価した。
【0194】
【表1】

【0195】
検査の開始(D0)で、ボランティアは、予約日に研究所を訪れた。各ボランティアは、初めに参加同意書にサインした。皮膚科医が皮膚科学的試験を行った。技術士は、目のシワ領域のインプリントを取り、水和及び堅さ/弾力性測定値を記録した。検査終了時(D28)、皮膚科医が皮膚科学的試験を行った。技術士は、目のシワ領域のインプリントを取り、水和及び堅さ/弾力性測定値を記録した。
【0196】
抗シワ評価
縞投影技術を用いる生物計測(Biometrological)測定を、活性クリームの抗シワ効果を評価するために使用した。すなわち、シワの深さ、幅、及び容量を縞投影技術を用いて測定した。
【0197】
Eotech製のDermaTOP(商標)システムは、Toposurf(商標)表面処理ソフトウェアと関連した縞投影形状測定に基づく。全てのデータは、DermaTOP(商標)データ獲得及び処理システム由来の、ソフトウェアOptocat(商標)で計算される。その後、これらの3D再構築は、シワの平均深さ、平均幅、及び平均容量を計算できる、ソフトウェアToposurf(商標)を用いて解析される。
【0198】
シワの深さ、幅、及び容量値から得られる平均値は、試験品の塗布前後に、各対象について計算された。試験品の全体的な効果を、平均値から、そして各パラメータについて、初期測定値との比較で変動性割合を決定することにより計算した。結果は、適用した例示的条件において得られたデータにより、解析及び解釈された。対データについて行われた検定は、スチューデント検定であった。塗布条件は、単純無作為サンプリングの特性であり、且つ人口分布の正規性であった。
【0199】
結果
図9〜10で観察されるように、活性クリーム(0.5% w/w体腔体液<0.22μm)の塗布後28日目に、シワの深さが17.8%、シワの幅が57%、及びシワの容量が233%の低減が観察された。プラセボについて、容量はより低く、且つ深さ及び幅は有意でなかった。容量の低減は有意であったが、それは活性クリームのものと比較して2倍以上少なかった。
【0200】
保湿評価
ヒトデ体腔液の水和/保湿効果も評価した。皮膚水和をcomeometryにより測定した。測定原理は、誘電性媒体の電気容量測定か、又はComeometer(商標)の測定原理に基づく。角質層は、電気容量平均値により特徴付けられる。角質層の誘電特性は、その水和レベルにより決定される。当該装置は、対応する電気容量を測定する。
【0201】
対データについて行われた検定は、スチューデント検定であった。
【0202】
図11に観察されるように、活性クリーム(0.5% w/w体腔体液<0.22μm)の塗布後28日目に、皮膚水和の10%の有意な増加が観察された。増加はまた、プラセボに対して顕著であったが、統計的に有意ではなく、且つ活性についてはかなり弱かった。
【0203】
堅さ及び弾力性評価
活性クリームの、皮膚の機械的特性、堅さ、及び弾力性に対する効果も評価した。
【0204】
皮膚の堅さ及び弾力性特性を、cutometryで測定した。機械的特性の評価により、重要な構造的組織:弾性構造(弾性繊維、複合繊維の曲線、角質層のフォールディング)及び弾性挙動を有する構造(間質液及び内部接着)の機能レベルの研究が可能になる。
【0205】
研究を、cutometer MPA580(登録商標)(Courage & Khazaka Electronic)を用いて行った。当該測定原理は、吸引(suction)(アスピレーション)法に基づく。互いに向かい合う2つのプリズムである装置において陰圧を作り出し、皮膚をプローブの2mmの隙間に引き入れる。プローブの内部において、浸透深さが、非接触光学測定系により決定される。皮膚を引き上げ、伸ばし、そして放す。陰圧により吸い上げられる皮膚の耐性(堅さ)及びその元の位置へ戻る能力(弾力性)は、皮膚の堅さ、弾力性、及び皮膚の弾性挙動を見ることを可能にし、皮膚弾力(tonicity)の良好な全体的指標である。
【0206】
皮膚を放し、通常位置に戻すと、迅速な全体的回復が、純粋な皮膚弾力性を測定し(R6で測定)、一方、遅延回復が、皮膚の粘弾性成分を測定する(R7で測定)。
【0207】
R0:このパラメータは、皮膚堅さを表し、適用された力に対する皮膚の受動的応答である。皮膚の堅さが増加すればするほど、このパラメータは大きくなることになる。
【0208】
R6:このパラメータは、皮膚弾力性を表す。このパラメータの値が小さくなればなるほど、皮膚はより弾力的である。
【0209】
R7:このパラメータも、皮膚弾力性を表す。このパラメータの値が1に向かう傾向が高ければ、皮膚はより弾力的である。皮膚弾力性が改善する場合、迅速な回復レベルは、開始点に向かう傾向があり、これはR7が増加することを意味することになる。
【0210】
結果:
図12で観察されるように、活性クリーム(0.5% w/w体腔体液<0.22μm)の塗布後28日目で、パラメータR0及びR7は、それぞれ5%及び5%増加した。プラセボについては、パラメータR0の減少、及び非常にわずかな非有意なR7の増加が観察された。パラメータR6について見られるように、プラセボについて9%の増加と比較して、12%の減少が記録された。ヒトデの体腔液体は、プラセボのものと比較した場合、28日にわたり、皮膚の弾力性及び堅さに対して有意且つ無視できない改善効果を有する。
【0211】
生理学的落屑の状態の評価
ヒトデ体腔液体/体液の皮膚の生理学的落屑の状態に対する影響を評価した。
【0212】
DIAGNOSKIN(登録商標)という商品名のシステムによる皮膚水和の評価を、生理学的落屑を対象とすることにより行った。皮膚上に貼付したフレキシブルテープ(D−Squames(登録商標))が、角質細胞の表層が除去される場合、当該表層を保持する。光学顕微鏡(色光を用いて対物×25)でのこの落屑の記号学的評価は、1〜12の引用値を導き、当該値は水和のレベルにしたがって上昇する。
【0213】
角質層の水和及び角質細胞の生理学的落屑の量は、実際に、緊密に関連する2つのパラメータであり、異常落屑が水バリア機能の分裂、及び結果的に、角質層の脱水和傾向に導き、且つ皮膚乾燥が落屑プロセスを撹乱することができる。この角質層の水含量と落屑プロセスの緊密なつながりは、記号学的開発である、商品名DIAGNOSIKIN(登録商標)(BIO−ECの権利、フランス)(GASSER P, PENO-MAZZARINO L , LATI E , DJIAN B. Original semiologic standardized evaluation of stratum corneum hydration by Diagnoskin(登録商標) stripping sample. International Journal of Cosmetic Science, 2004, 26, 117-127)により得られる、角質測定(corneometric)及び鱗状測定(squamometric)のデータの比較評価により確認された。これは、皮膚水和のレベルを評価するシステムとしてのDIAGNOSKIN(登録商標)を検証する。
【0214】
結果
図13で観察されるように、活性クリーム(0.5% w/w体腔液体<0.22μm)の塗布の28日後、落屑の質は3%減少した。この減少は統計的に有意ではないので、落屑の質を10%低減させたプラセボとは異なり、体腔液体が皮膚の落屑状態に影響しないと評価することが可能である。
【実施例10】
【0215】
細胞移動又は認識に対するヒトデ体液の効果
a)原理
細胞移動は、ニキビ及び皮膚線条傷等の組織の再生及び治癒を可能にする天然のプロセスの重要なステップである。年齢と共に、この現象は皮膚において減速する傾向があり、そして皮膚老化の兆候が発生する。
【0216】
b)プロトコール
正常なヒト角化細胞の密集単一層を、30歳の女性から採取された細胞を培養することにより得た。コンフルエンスを得ると、細胞マットを引掻くことにより各々の培養ウェルにおいて「スクラップ(scrap)」(又は「傷」)が成立する。その後、残存細胞を、濃度増加するヒトデ体腔液体(5−50kDa及び<5kDa画分)、又は参照品の不存在下又は存在下でインキュベートした。この研究で使用された参照品は、10ng/mlの形質転換増殖因子β(TGF−β)であった。細胞を、37℃、湿度雰囲気、及び5%のCO2で、濃度増加するヒトデ体腔液体(5−50kDa及び<5kDa画分)の不存在下又は存在下、インキュベートした。インキュベーション48時間後、試験した体腔液体を評価した。
【0217】
効果の評価
D0及びインキュベーション期間の終点(認識されない傷表面)で「傷ついた」表面を画像解析のためのソフトウェア(Image J(商標))で測定された。
【0218】
統計
結果は、「コントロール」条件との比較で、且つ観察された写真領域により、認識された表面の割合として提供される。「証拠(Witness)」と「体腔液体」の条件の間で観察される差異の統計的な有意性は、生成物毎に、1の要因の変動の解析により(One-Way ANOVA、又はOne Way Anova on Ranks+)、その後、必要ならば、Holm−Sidak又はDuunの検定によりにより評価される(*p<0.05)。
【0219】
c)結果
スクラップ検査において検査された2つの画分について、インビトロ(in vitro)での細胞認識に対する正の影響が観察された。5−50kDa画分体腔液体で処理された細胞について、未処理細胞と比較すると、0.01% v/v、0.1% v/v、及び1% v/vの用量について、それぞれ38%、63%、及び52%の細胞認識の増加があった。<5kDa画分体腔液体で処理された細胞につちえは、未処理細胞と比較して、0.01% v/v、0.1% v/v、及び1% v/vの用量について、それぞれ56%、40%、及び85%の細胞認識の増加があった。これら全ての結果は、40%細胞認識が増加したポジティブコントロール(TGF 10ng/ml)と同等以上であり、統計的に有意である。
【0220】
細胞移動に対する効果により、本発明によるヒトデ由来の体液は、潜在的なシワ治癒、瘢痕治癒(cicatrizing)、抗シワ、及び「ニキビ傷跡又は皮膚線条消去剤」活性を有する。
【実施例11】
【0221】
ヒトデ体液抽出物におけるヒトTGF−β1検出
a)原理
増殖因子は、様々な細胞プロセスを調整するために重要な天然物質である。これらは、典型的には、細胞間の分子シグナル伝達として機能する。これらは、多くの場合、細胞分化及び成熟を促進し、増殖因子間で変化する。
【0222】
より具体的には、形質転換増殖因子ベータ(TGF−β)は、増殖、細胞文化、及び多くの細胞におけるその他の機能を制御する。細胞の中には、TGF−βを分泌し、TGF−βのための受容体を有するものもある。これは、自己分泌シグナル伝達として知られる。TGF−βは、TGF−β1当の3つのアイソフォームで存在する分泌タンパク質である。
【0223】
形態的に(Morphollaxy)、シースターが急速に損失部分を再生させる機構は、増殖因子様分子(例えば、TGF−β、NGF、RGF−2(基本的な線維芽細胞増殖因子))当の制御物質の3つの分類に依存する。これらの分子は、ヒトデにおける組織及び有機的流体レベルで存在する。
【0224】
TGF−βの検出は、ヒトデ体腔流体のヒト皮膚に対する効果とその分子組成との間の関係を確立するために決定された。
【0225】
b)プロトコール
選択された方法は、R&D SYstems Inc.Company製のELISA(酵素関連免疫吸着(immusorbent)アッセイ)キットであった。
【0226】
使用されたQuantikine(登録商標)ヒトTGF−β1免疫アッセイキット(#DEB100B9)は、定量的サンドイッチ酵素免疫アッセイ技術を使用する。TGF−β1に対して特異的なモノクローナル抗体を、マイクロプレートで予備被覆した。スタンダード及びヒトデ体腔流体をウェルに送達させた。これらのサンプル内に存在するヒトTGF−β1の全ての分子を、抗体を固定するために結合させた。任意の未結合分子を洗浄後TGF−β1に対して特異的な酵素連結ポリクローナル抗体をウェルに添加した。洗浄及び色開発ステップ後、各々のウェルの光学的密度を、分光光度法により(λ=450nm、及びλ=540nm)決定した。λ=540nmで得られる光学密度値により表されるバックグラウンドは、λ=450nmで得られる光学密度値から引かれた。
【0227】
本発明の生成物に存在する分子による試験の性能に影響を及ぼす可能性のある任意の干渉の発生可能性も評価されている。TGF−β1の既知の濃度(125pg/ml)は、いくつかのサンプルにおいて急激に上昇した。光学密度における比較は、スタンダードの存在下又は不存在下でのヒトデ体腔流体サンプルと、それに対するスタンダード条件との間で評価する。干渉の不存在は、「スタンダード」及び「スタンダードで急激に上昇したサンプル」条件において類似するレベルのデータを生み出す。
【0228】
ステップA−オリジナルヒトデ体腔流体:
ヒトで体腔流体の5つのサンプル(すなわち、5月〜10月の1月毎に採取された)をアッセイに供した。実験条件は、血清/血漿型サンプルについて、アッセイ希釈剤RD1−73を用いることからなった。キットにおける推奨希釈率が1/20であるので、ヒトデ体腔流体の3つの連続的希釈を行った。連続希釈物1/(50% v/v)及び1/10(10% v/v)、及び1/20(5% v/v)を用いた。
【0229】
ステップB−凍結乾燥ヒトデ体腔流体:
より濃縮したサンプルを得るため、且つステップAの結果を確認するために、ヒトデ体腔流体を、解析前に凍結乾燥している(ステップ−B)
【0230】
ヒトデ体腔流体の5つのそれぞれ同じサンプルをアッセイに供した。これらの5つのサンプルは、凍結乾燥粉末形態であり、35mlのアッセイバッファRD5−53で溶解された。アッセイ希釈剤RD1−73を使用した。キットにおける推奨希釈率が1/20であるので、ヒトデ体腔流体の3つの連続的希釈を行った。連続希釈物1/(50% v/v)及び1/4(25% v/v)、及び1/40(2.5% v/v)を用いた。
【0231】
「Y」軸の光学密度値に対して、「X」軸にTGF−β1濃度をプロットすることにより、標準曲線を作成し、最も良くフィットする直線を、回帰分析により決定する。全てのサンプルを二重に試験し、適切な溶液に溶解させた。データ平均を平均±S.D.で表現した。
【0232】
c)結果
ステップA
ヒトデ体腔流体内のTGF−β1の検出可能レベルが観察されたが、当該データは有意でない(2及び7pg/ml)。ヒトデ体腔流体内でのTGF−β1の存在を検証するために、実験を凍結乾燥サンプルで繰り返した(ステップB)。
【0233】
ステップB
1/2及び1/4連続希釈物の間で直線的相関が観察された。ヒトデ体腔流体内のTGF−β1含量を評価し、試験サンプルにおいて131及び301pg/mlとなるようにした。
【0234】
干渉アッセイ
スタンダードの既知濃度で急激に上昇したサンプルにおけるTGF−β1の検出は、キットにより検出されるTGF−β1のレベルに干渉がないことを実証する。
【0235】
結論
この仮説に拘束されることなく、本発明の生成物内のTGF−β1含量と、ヒト皮膚へのその多大な効果との間に、推定される相関が存在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離ヒトデ体液又はその抽出物を含んでなるスキンケア組成物。
【請求項2】
局所的に許容される担体をさらに含んでなる、請求項1のスキンケア組成物。
【請求項3】
前記ヒトデが、Asteria vulgarisである、請求項1又は2に記載のスキンケア組成物。
【請求項4】
対象における皮膚疾患又は障害を予防又は低減するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項5】
前記皮膚疾患又は障害が、皮膚老化兆候である、請求項4に記載のスキンケア組成物。
【請求項6】
前記疾患又は障害が、外傷、傷跡、又は皮膚線条である、請求項4に記載のスキンケア組成物。
【請求項7】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa未満の分子が実質的に存在しない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項8】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約5kDa超の分子が実質的に存在しない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項9】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項10】
前記ヒトデ体液又はその抽出物が、組成物の約0.01%w/w〜約5%w/wの濃度で存在する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項11】
前記ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のスキンケア組成物。
【請求項12】
対象の皮膚に対する有効量のヒトデ体液又はその抽出物を含んでなる組成物を投与することを含んでなる、対象における皮膚老化兆候又は皮膚疾患もしくは障害を、予防又は低減するための方法。
【請求項13】
前記投与が、(a)細胞移動に関与する遺伝子の発現の刺激、(b)表皮細胞移動の向上、(c)コラーゲン繊維厚みの増大、(d)コラーゲン繊維数の増大、(d)角質層のケラチン化の低減、(e)ケラチノサイト増殖の増加、(f)ケラチノサイト最終分化の増加、(g)表皮厚みの増加、(h)グリコサミノグリカン(GAG)発現の増大、(i)表皮における有糸分裂細胞濃度の増加、(j)表皮細胞層数の増加、(k)コラーゲンIII、コラーゲンIV及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現の増加、(l)目尻のシワ深さの低減、(m)目尻のシワ幅の低減、(n)皮膚弾力性の増大、(o)口シワの低減、(p)皮膚堅さの増大、(q)細胞コロニー再形成(recolonization)の増大、及び(r)皮膚水分の増加、のうちの1又は複数をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子が、スモールプロテインリッチタンパク質(SPRR)遺伝子である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記スモールプロテインリッチタンパク質がSPRR2Aである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、コラーゲンIII、コラーゲンIV、及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現増加をもたらす、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が、目尻のシワ深さ及び/又は幅の低減をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記投与が、口シワの低減をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が、皮膚堅さの増大をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が、皮膚弾力性の増大をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記投与が、皮膚水分の増加をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記投与が、皮膚細胞コロニー再形成の増大をもたらす、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記単離ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が50kD未満の分子が実質的に存在しない、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が5kDa超の分子が実質的に存在しない、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない、請求項12〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる、請求項12〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
スキンケア組成物の製造のための、単離ヒトデ体液又はその抽出物の使用。
【請求項28】
対象における皮膚老化兆候を予防又は低減するための、単離ヒトデ体液又は抽出物の使用。
【請求項29】
前記使用が、(a)細胞移動に関与する遺伝子の発現の刺激、(b)表皮細胞移動の向上、(c)コラーゲン繊維厚みの増大、(d)コラーゲン繊維数の増大、(d)角質層のケラチン化の低減、(e)ケラチノサイト増殖の増加、(f)ケラチノサイト最終分化の増加、(g)表皮厚みの増加、(h)グリコサミノグリカン(GAG)発現の増大、(i)表皮における有糸分裂細胞濃度の増加、(j)表皮細胞層数の増加、(k)コラーゲンIII、コラーゲンIV及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現の増加、(l)目尻のシワ深さの低減、(m)目尻のシワ幅の低減、(n)皮膚弾力性の増大、(o)口シワの低減、(p)皮膚堅さの増大、(q)細胞コロニー再形成(recolonization)の増大、及び(r)皮膚水分の増加、のうちの1又は複数をもたらす、請求項27又は28に記載の使用。
【請求項30】
前記細胞移動に関与する1又は複数の遺伝子が、スモールプロテインリッチタンパク質(SPRR)遺伝子である、請求項21の使用。
【請求項31】
前記スモールプロテインリッチタンパク質がSPRR2Aである、請求項29に記載の使用。
【請求項32】
前記使用が、コラーゲンIII、コラーゲンIV、及びコラーゲンVIIの少なくとも1つの発現増加をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項33】
目尻のシワ深さ及び/又は幅の低減をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項34】
口シワの低減をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項35】
皮膚堅さの増大をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項36】
皮膚弾力性の増大をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項37】
皮膚水分の増加をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項38】
皮膚細胞コロニー再形成の増大をもたらす、請求項29に記載の使用。
【請求項39】
前記単離ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が50kD未満の分子が実質的に存在しない、請求項28〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が5kDa超の分子が実質的に存在しない、請求項28〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項41】
前記ヒトデ体液又はその抽出物に、分子量が約50kDa超及び約5kDa未満の分子が実質的に存在しない、請求項28〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項42】
前記ヒトデ体液又はその抽出物が、TGF−β1を含んでなる、請求項28〜41のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2011−525495(P2011−525495A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515036(P2011−515036)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000878
【国際公開番号】WO2010/006412
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510338282)イノバクティブ インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】