説明

ヒトパピローマウイルス媒介性疾患を治療するための組成物および方法

本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物の個体への投与によって、HPV媒介性疾患を治療する方法を含む。本方法は、レシピエントの年齢に従って組成物で治療するための個体の選択、ならびに交差反応性の抗HPV免疫応答を誘発する組成物の使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般にヒトパピローマウイルスによって媒介される疾患を治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、米国において最も一般的な性的感染病原体のうちの一部である。100を超えるHPVの型が単離されており、皮膚型HPVまたは粘膜型HPVのいずれかに分類されている。皮膚型HPVは、種々の型の皮膚いぼと関連のある15を超えるHPV型を含む。粘膜型HPVは、25を超えるHPV型を含み、主に生殖管、気管、および口腔において見いだされる。
【0003】
特定のHPV型は、良性のいぼ、または乳頭腫を引き起こし、数ヵ月〜数年間残存する。場合によっては、例えば、気管内でのいぼの成長は生命を脅かすこととなりうる。その他の場合では、いぼは、不快感、疼痛、嗄れ声、知覚される審美的欠陥(perceived cosmetic flaws)を引き起こし、かつHPVの性的伝播のためのウイルス供与源となりうる。
【0004】
少なくとも18のHPV亜型(例えば、HPV-16、HPV-18、HPV-31、HPV-33、HPV-35、HPV-39、HPV-45、HPV-51、HPV-52、HPV-56、HPV-58、HPV-59、HPV-68、HPV-73、HPV-82、HPV-26、HPV-53、およびHPV-66)が、子宮頚癌の発症に関連している(Munoz et al NEJM 348:6, 2003)。子宮頚癌は、世界中の女性の中で2番目に一般的な癌である。毎年、約450,000の新たな症例が診断されており、ほぼ200,000人の死亡は、子宮頚癌によるものである(Pisani, et al., Int. J. Cancer 55:891-903, 1993)。5年総生存率は、約60%である。しかし、患者が診断されたときに、癌がどれくらい進行しているかに依存して、生存率は15%〜85%の範囲で変動する(Murakami et al., J. Immunother. 22 (3):212-218, 1999)。
【0005】
持続的HPV感染症と癌との関係により、前癌性の病変、特に浸潤性の疾患に進行する前の上皮内新形成の治療のための医学的なアプローチに対して注意が向けられた。現在、頸部上皮内新形成に利用可能な治療手段は、患部を除去する切除法または外科的手技を含む。頸部上皮内新形成の場合、切除は、典型的には寒冷療法によって行われ、標準的な外科的手技は、ループ電気外科切除法(Loop electrosurgical excision procedure;LEEP)である。これらの治療は、高い治癒率を有するものの、局部的な外科的合併症、将来の診断を混乱させる頸部瘢痕、および妊娠に対する合併症の危険性を含む、有意な不都合を有する。加えて、これらの治療の選択肢は、前癌性の病変の再発を防止せず、または継続的な性的活動により生じる再感染から保護しない。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、少なくとも部分的に、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物が、特定の年齢範囲の人におけるHPV媒介性疾患を治療する際に非常に有効であるという発見に基づいている。従って、本発明は、個体の年齢を同定し、個体が適切な年齢の範囲内に入ると判定された場合に、個体を薬学的組成物で治療するために選択する方法を提供する。
【0007】
本発明はまた、少なくとも部分的に、HPVタンパク質の天然に存在する第1の型のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物が、HPVの第2の型の感染症に対して治療的な利点を提供する交差反応性の免疫応答を誘発する、という発見に基づいている。従って、本発明は、最初に個体に感染したHPVの型を決定し、かつ/またはコードされたポリペプチドが個体に感染した特定のHPV型のHPVタンパク質由来の少なくとも1つのエピトープを含むことを確認する必要なく、個体のHPV媒介性疾患を治療するために薬学的組成物を使用する方法を提供する。
【0008】
一つの局面において、本発明は、個体が30歳またはそれより若いこと、およびCINを有することを同定する段階;ならびに天然に存在するヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトの頸部上皮内新形成(CIN)を治療する方法を特徴とする。
【0009】
もう一つの局面において、本発明は、個体が30歳またはそれより若いこと、およびCINを有することを同定する段階;ならびに30歳またはそれより若い人のCINを治療するために有効であると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む方法を特徴とする。
【0010】
もう一つの局面において、本発明は、個体が30歳またはそれより若いこと、およびHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;ならびに、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法を特徴とする。
【0011】
もう一つの局面において、本発明は、個体が30歳またはそれより若いこと、およびHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;ならびに30歳未満またはそれより若い人のHPV媒介性疾患を治療するために有効であると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む方法を特徴とする。
【0012】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;個体の年齢を判定する段階;および、個体が30歳未満またはそれより若いと決定された場合、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階によってヒトの個体のための治療を選択する方法を特徴とする。
【0013】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;個体の年齢を判定する段階;および個体が30歳またはそれより若いと判定された場合、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階によってヒトの個体のための治療を選択する方法を特徴とする。
【0014】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および30歳またはそれより若い人のCINの治療に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする。
【0015】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および、30歳またはそれより若い人のHPV媒介性疾患の治療に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする。
【0016】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、投与前に、個体が、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型の同一性を決定するために試験されていない方法を特徴とする。
【0017】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、投与前に、個体が、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されていない方法を特徴とする。
【0018】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない方法を特徴とする。
【0019】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;および交差反応性の抗HPV免疫応答を誘発することが可能であると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む方法を特徴とする。
【0020】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を決定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのCINを治療する方法であって、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない方法を特徴とする。
【0021】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、投与前に、個体が、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型の同一性を決定するために試験されていない方法を特徴とする。
【0022】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、投与前に、個体が、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有することと同定されていない方法を特徴とする。
【0023】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない方法を特徴とする。
【0024】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および交差反応性の抗HPV免疫応答を誘発すると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含み、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない方法を特徴とする。
【0025】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を決定する段階;および天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階によってヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない方法を特徴とする。
【0026】
もう一つの局面において、本発明は、個体がCINを有することを同定する段階;および個体に存在するHPVの型を同定した存在しうるいずれの記録も最初に調べることなく、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階によって個体のための治療を選択する方法を特徴とする。
【0027】
もう一つの局面において、本発明は、個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および個体に存在するHPVの型を同定した存在しうるいずれの記録も最初に調べることなく、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階によって個体のための治療を選択する方法を特徴とする。
【0028】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および薬学的組成物の投与前に、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を同定するために試験されていない個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする。
【0029】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および薬学的組成物の投与前に、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されていない個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする。
【0030】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;およびHPVの1つまたは複数の型を有すると同定された個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書を含むキットであって、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まないキットを特徴とする。
【0031】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および薬学的組成物の投与前に、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を同定するために試験されていない個体の、HPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする。
【0032】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および薬学的組成物の投与前に、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されてない個体の、HPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書、を含むキットを特徴とする
【0033】
もう一つの局面において、本発明は、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;およびHPVの1つまたは複数の型を有すると同定された個体のHPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書を含むキットであって、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まないキットを特徴とする。
【0034】
本明細書において使用されるように、「治療」という用語は、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重篤度を消失または減少させる効果を伴って、疾患または疾患の症状を有する個体に対して薬学的組成物を投与する、こととして定義される。例えば、本明細書において記載された治療方法は、病変を回復し、侵襲的技法の必要を減少もしくは消失させ、病変再発を防止し、かつ/または病変が癌に進行するのを防止もしくは遅延させることができる。例えば、本明細書において記載された治療方法は、いぼの大きさもしくは体積を減少させ、いぼの再発を防止し、かつ/またはいぼを治療するための侵襲的技法の有効性を増強し(たとえば、手術の範囲を減少させる)ことができる。
【0035】
「薬学的組成物」は、本明細書において記載された核酸の治療的有効量、並びに薬学的に許容される担体(例えば、核酸と共に投与される、希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体)を含む。
【0036】
本明細書において使用されるように、「エピトープ」という用語は、MHCクラスIまたはクラスII分子の結合溝と結合するペプチドとして定義される。
【0037】
本明細書において使用されるように、「個体が30歳(または本明細書において詳述される他の特定の任意の年齢)未満であることを同定すること」という句は、本明細書において記載された方法に従って個体に薬学的組成物を投与する前に、個体の年齢を判定する積極的な段階として定義される。個体は、例えば個体である彼女の年齢を尋ねるか、または彼女の診療記録に提供された彼女の年齢を調べることによって30歳以下であることを同定することができる。
【0038】
本明細書において使用されるように、「30歳未満の人のHPV媒介性疾患(例えば、CIN)を治療するために有効であると同定すること」とは、薬学的組成物が、列挙した年齢の範囲の人の治療に有効であることを示した、ヒト被験者において行われた実験的試行をいう。
【0039】
本明細書において使用されるように、「頚部」とは、子宮頚部をいう。
【0040】
個体に存在するHPVの型を決定することは、個体が、HPVの特定の型に由来する核酸配列および/またはアミノ酸配列を有するか、および/または有していないことを同定するための試験を行うことをいう。人のHPVの分類は、例えばPCRによって行うことができる。分類法は、必ずしも活性なHPV感染症のHPV型を同定しないが、もはや活性なウイルス粒子を産生しない以前の感染症の結果として個体に存在する、HPVの核酸配列および/またはアミノ酸配列の同定を含む。
【0041】
本明細書において使用されるように、「HPV媒介性疾患」とは、ヒトパピローマウイルスの感染によって引き起こされるか、および/またはこれに関連した任意の疾患または医学的症状である。HPV媒介性疾患の例は、HPV関連感染症、意義不明異型扁平上皮細胞(atypical squamous cells of undetermined significance:ASCUS)、いぼ(例えば、肛門性器のいぼ、ボウエノイド丘疹症、巨大コンジローム、皮膚のいぼ、普通のいぼ、足底いぼ、扁平いぼ、ブッチャーいぼ(butcher warts)、およびいぼ状表皮異形成)、呼吸器乳頭腫症、喉頭乳頭腫、上顎洞乳頭腫、結膜乳頭腫症、限局性口腔過形成、上皮内新形成(例えば、頸部上皮内新形成(CIN)、外陰部上皮内新形成(VIN)、および肛門上皮内新形成(AIN))、子宮頚癌、外陰部癌、肛門癌、膣癌、陰茎癌、頭頚部癌、肺の扁平上皮癌、洞の扁平上皮癌、食道の扁平上皮癌、口腔癌、結膜癌、およびその他のHPV媒介性癌を含むが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において記載された方法または組成物のいくつかの態様において、HPV媒介性疾患は、ASCUS、VIN、またはAINである。
【0043】
本明細書において記載された方法または組成物のその他の態様において、HPV媒介性疾患は、子宮頚癌、外陰部癌、肛門癌、膣癌、陰茎癌、頭頚部癌、肺の扁平上皮癌、洞の扁平上皮癌、食道の扁平上皮癌、口腔癌、または結膜癌である。
【0044】
本明細書において記載された方法または組成物のその他の態様において、HPV媒介性疾患は、肛門性器のいぼ、ボウエノイド丘疹症、または巨大コンジロームである。
【0045】
本明細書において記載された方法または組成物のその他の態様において、HPV媒介性疾患は、普通のいぼ、足底いぼ、扁平いぼ、ブッチャーいぼ、またはいぼ状表皮異形成である。
【0046】
本明細書に記載された方法または組成物のその他の態様において、HPV媒介性疾患は、呼吸器乳頭腫症、喉頭乳頭腫、上顎洞乳頭腫、結膜乳頭腫症、または限局性口腔過形成である。
【0047】
本明細書に記載された方法および組成物は、HPV型16および18、ならびにHPV型6、11、31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、および/またはMM9を含む(しかし、これらに限定されない)その他のHPV型と関連したHPV媒介性疾患を治療または防止するために使用することができる。特異的なHPV型に関連した症状は、例えば外方増殖性コンジローム(HPV型6および11)、扁平コンジローム、特に頸部のもの(HPV型6、11、16、18、および31)、巨大コンジローム(HPV型6および11)、子宮頚癌(HPV型16、18、31、45、および33)、呼吸器および結膜乳頭腫症(HPV型6および11)、ならびに高度の頸部上皮内新形成(HPV 31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、およびMM9)を含む。
【0048】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのうちのいくつかの態様において、CINは、いずれの頸部上皮内新形成1(CIN1)または低度の扁平上皮の上皮内病変(LSIL)であることもできる。本方法または組成物のいずれかのその他の態様において、CINは、頸部上皮内新形成2(CIN2)、頸部上皮内新形成3(CIN3)、頸部上皮内新形成2/3(CIN2/3)、または高度の扁平上皮の上皮内病変(HSIL)のいずれかであることができる。
【0049】
本明細書に記載された方法のいずれかのいくつかの態様において、本方法は、薬学的組成物の投与前に、個体が30歳またはそれより若いことを同定する段階を含む。本明細書に記載された方法のいずれかのその他の態様において、本方法は、個体が30歳未満であることを同定する段階を含む。本明細書に記載された方法のいずれかのその他の態様において、本方法は、個体が25歳未満であることを同定する段階を含む。本明細書に記載された方法のいずれかのその他の態様において、本方法は、個体が18〜24歳であることを同定する段階を含む。本明細書に記載された方法のいずれかのその他の態様において、本方法は、個体が12〜35、12〜30、12〜25、12〜20、16〜35、16〜30、16〜25、16〜20、18〜35、18〜30、または18〜20歳であることを同定する段階を含む。
【0050】
本明細書に記載されたキットのいずれかのいくつかの態様において、キットは、30歳またはそれより若い人のHPV媒介性疾患の治療に使用するための説明書を含む。本明細書に記載されたキットのいずれかのその他の態様において、キットは、30歳未満の人のHPV媒介性疾患の治療に使用するための説明書を含む。本明細書に記載されたキットのいずれかのその他の態様において、キットは、25歳未満の人のHPV媒介性疾患の治療に使用するための説明書を含む。本明細書に記載されたキットのいずれかのその他の態様において、キットは、18〜25歳の人のHPV媒介性疾患の治療に使用するための説明書を含む。本明細書に記載されたキットのいずれかのその他の態様において、キットは、12〜35、12〜30、12〜24、12〜20、16〜35、16〜30、16〜24、16〜20、18〜35、18〜30、または18〜24歳の人のHPV媒介性疾患の治療に使用するための説明書を含む。
【0051】
本明細書に記載された方法のいずれかのいくつかの態様において、本方法は、投与する工程の後に、CIN(またはその他のHPV媒介性疾患)の重篤度、CIN(またはその他のHPV媒介性疾患)の症状の消失もしくは減少、または両方を観察することを含む。
【0052】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、エピトープは、MHCクラスI分子の結合溝と結合するペプチドである。
【0053】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、エピトープは、MHCクラスII分子の結合溝と結合するペプチドである。
【0054】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ポリペプチドは、HPV株16タンパク質由来のエピトープまたはHPV株18タンパク質由来のエピトープを含む。その他の態様において、ポリペプチドは、HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドである。一つの例において、ハイブリッドポリペプチドは、HPV株16 E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV株16 E7タンパク質由来のエピトープを含む。もう一つの例において、ハイブリッドポリペプチドは、HPV株18 E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV株18 E7タンパク質由来のエピトープを含む。
【0055】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ハイブリッドポリペプチドは、HPV株16 E6タンパク質由来のエピトープ、HPV株16 E7タンパク質由来のエピトープ、HPV株18 E6タンパク質由来のエピトープ、およびHPV株18 E7タンパク質由来のエピトープを含む。たとえば、ハイブリッドポリペプチドは、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株16 E6タンパク質のセグメント、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株16 E7タンパク質のセグメント、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株18 E6タンパク質のセグメント、および少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株18 E7タンパク質のセグメントを含む。
【0056】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ポリペプチドは、3つのセグメントを含むハイブリッドポリペプチドであり、3つのセグメント:(a)天然に存在するHPVタンパク質の第1部分のアミノ酸配列を有している第1のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含む第1のセグメント;(b)天然に存在するHPVタンパク質の第2部分のアミノ酸配列を有している第2のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ(a)のエピトープとは異なる2つのエピトープを含む第2のセグメント;および、(c)天然に存在するHPVタンパク質の第3の部分のアミノ酸配列を有している第3のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ(a)および(b)のエピトープとは異なる2つのエピトープを含む第3のセグメントは、隣接しているか、またはスペーサーアミノ酸またはスペーサーペプチドによって分離されている。第1、第2、および第3の部分は、任意で2つまたは3つの異なる天然に存在するHPVタンパク質の部分であることができる。
【0057】
本明細書に使用される、「セグメント」とは、(a)天然に存在するHPVタンパク質の部分の配列に対応し(すなわち、全体より小さい断片)、および(b)1つまたは複数のエピトープを含むアミノ酸配列である。「セグメント」の用語は、本明細書において、ハイブリッドポリペプチドの一部を意味するのに用いられるが、「一部」の用語は、天然に存在するHPVタンパク質の対応する部分を意味するために使用される。翻訳を容易にするために、メチオニンコドンを一連の核酸の5'末端に含める。加えて、ハイブリッドポリペプチドは、以下により詳細に説明したように、ターゲティングシグナルをコードすることができる。以下に定義したとおり、隣接セグメントは、隣接してもよく、またはスペーサーアミノ酸もしくはスペーサーペプチドによって分離されてもよい。
【0058】
ハイブリッドポリペプチドは、さらなるセグメントを任意に含んでいてもよく、たとえば、少なくとも4、5、10、15、20、25、30、40、50、60、75、90、または100以上ものセグメントを含むことができ、それぞれは、天然に存在するHPVタンパク質の一部の天然に存在するタンパク質であり、その他のセグメントが由来するタンパク質(類)と同じかまたは異なることができる。各々のこれらのセグメントは、少なくとも長さが8、9、10、11、12、13、14、15、またはより多くのアミノ酸であることができ、それぞれが、第1、第2、および第3のセグメントのエピトープとは異なる少なくとも1つのエピトープ(好ましくは2以上)を含む。ハイブリッドポリペプチドのセグメントの少なくとも1つ(好ましくは、少なくとも2つまたは3つ)は、たとえば3、4、5、6、7、または10以上ものエピトープ、たとえば、クラスIまたはクラスII MHC-結合エピトープを含んでいてもよい。2、3、またはそれより多くのセグメントが、ハイブリッドポリペプチドに隣接する(すなわち、これらの間にスペーサーなしで末端と末端が接続される)ことができる。または、任意の2つの隣接セグメントは、スペーサーアミノ酸またはスペーサーペプチドによって連結されてもよい。
【0059】
ハイブリッドポリペプチド内の所与のセグメントは、少なくとも1つのエピトープ、たとえば2、3、4、5、またはより多くのエピトープを作製するために十分に長い限り、いずれかの特定の長さである必要はない。所与のセグメントは、少なくとも8アミノ酸の長さ、たとえば、少なくとも11、12、13、14、15、20、25、30、40、または50アミノ酸を有することができる。所与のセグメントは、セグメントの任意の数の連続したアミノ酸が、天然に存在するタンパク質の一部と正確に同じ順で見いだされる場合には、特定の天然に存在するHPVタンパク質に対応する。HPV株16 E6およびE7タンパク質の長さは、それぞれ158および98アミノ酸であり、HPV株18 E6およびE7タンパク質の長さは、それぞれ158および105アミノ酸である。セグメントは、任意で100アミノ酸未満(HPV株16 E7タンパク質については95アミノ酸未満)、70アミノ酸未満、または50アミノ酸未満(たとえば20〜50)である。一つの態様において、15未満である。ハイブリッドポリペプチド内のセグメントは、ポリペプチド内にいずれの順でも配置することができる。ハイブリッドポリペプチドは、任意にHPV株16または18に由来する全長の完全なE6または全長の完全なE7タンパク質のいずれかの配列と同一の配列を含まない。
【0060】
ハイブリッドポリペプチドは、HPVタンパク質由来の第1のエピトープ、および第1のエピトープと重複せず、かつHPVタンパク質と同じかまたは異なる第2のエピトープを含むことができる(「異なるHPVタンパク質」は、第1のタンパク質が由来したものとは異なるHPV株に由来する、第1のタンパク質と同一でない相同体を含むことができる)。第1のエピトープは、第1の主要組織適合複合体(MHC)クラスIアロ型と結合することができ、第2のエピトープは、第1のMHCクラスIアロ型とは異なる第2のMHCクラスIアロ型に結合する。
【0061】
ハイブリッドポリペプチドの1つまたは複数のエピトープは、たとえばHPV E6、E7、E1、またはE2タンパク質に由来することができ、タンパク質は、たとえばHPV株6、11、16、18、31、33、43、または45に由来することができる。従って、ハイブリッドポリペプチドは、たとえばHPV株16 E6およびE7タンパク質の各々に由来する1つもしくは複数のセグメント、および/またはHPV株18 E6およびE7タンパク質の各々に由来する1つもしくは複数のセグメントを含むことができる。ハイブリッドポリペプチドは、少なくとも15アミノ酸の長さであることができ、たとえば、少なくとも20、25、33、34、35、40、44、45、50、75、100、150、200、250、300、400、500、または750アミノ酸であることができる。
【0062】
ハイブリッドポリペプチドのエピトープに結合するMHCクラスIアロ型は、任意のヒト・クラスIアロ型、たとえばHLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A11、および/またはHLA-A24でああってもよい。所与のエピトープは、無差別(promiscuous)、すなわち二つ以上のアロ型に結合してもよい。
【0063】
また、ハイブリッドポリペプチドは、HPVタンパク質の第3のエピトープを含んでいてもよい。このエピトープは、第1のおよび/または第2のエピトープと同じか、または異なるHPVタンパク質に由来することができ、第1および第2のMHCクラスIアロ型とは異なる第3のMHCクラスIアロ型に結合する。もちろん、また、第3に加えて、第1および/または第2のMHCクラスIアロ型と結合してもよい。ハイブリッドポリペプチドは、たとえば1つまたは複数のHPVタンパク質由来の少なくとも4、5、6、7、8、9、10、15、25、35、40、50、60、80、または100以上ものMHCクラスIアロ型-結合エピトープを含んでいてもよい。これらのエピトープのいくつかは、重複していてもよい。
【0064】
ポリペプチドは、任意にターゲティングシグナルを含んでいてもよい。ターゲティングシグナルは、これが付着したペプチドの細胞内輸送または分泌を指示するペプチドである。ターゲティングシグナルは、その部位においてこれが機能する限り、アミノ末端、たとえばシグナル配列、またはカルボキシ末端、またはハイブリッドポリペプチド内にあることができる。好ましいターゲティングシグナルは、HLA-DRαのシグナルペプチド:

である。ターゲティングシグナルは、任意にターゲティングシグナルと隣接セグメント(群)との間の接合(群)にアミノ酸置換を導入して、たとえばシグナルペプチダーゼによって、エピトープからのターゲティング配列の切断を促進するように修飾されていてもよい。
【0065】
ハイブリッドポリペプチド内のいずれのセグメントも、スペーサーアミノ酸またはスペーサー配列によってその他から分離されていてもよい。「スペーサーアミノ酸」は、ポリペプチドの2つの隣接セグメント(「A」および「B」、その順で)間に挿入された単一の残基であって、残基は、Aのカルボキシ末端に隣接するアミノ酸とは異なり、さらに、AおよびBが由来するそれぞれの全長タンパク質(それぞれ「X」および「Y」)において、Bのアミノ末端に隣接するアミノ酸とは異なる残基を意味する。「スペーサー配列」は、2つの隣接セグメント間に挿入された一連の2つ以上アミノ酸の配列を意味する。スペーサーアミノ酸およびスペーサー配列は、エピトープを放出するためのプロセシングを促進するために有用である。スペーサーは、典型的には細胞のタンパク分解性のプロセシングによって、所与のセグメント内のエピトープ間の任意の配列とともにポリペプチドから除去される。これにより、エピトープのMHC分子または抗体(細胞からの分泌による)に対する結合が損なわれないままになる。時々、スペーサーアミノ酸またはスペーサー配列の一部は、不完全な処理によってエピトープに付着されたままになる。これは、通常MHC分子に対する結合にはほとんど、または何も効果を有しない。
【0066】
核酸は、第1のエピトープおよび第2のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであって、第1のエピトープは、第1のHPVタンパク質に由来し、第2のエピトープは、第1のHPVタンパク質とは異なる第2のHPVタンパク質に由来するハイブリッドポリペプチドをコードしていてもよい。第2のエピトープの配列は、任意に第1のHPVタンパク質内に存在し得ない、すなわち、これらは異なるタンパク質に由来することができる。異なるタンパク質は、HPVの同じか、または異なる株、たとえば型16および18に由来することができる。ハイブリッドポリペプチドには、もちろん、同じか、もしくは異なるHPVタンパク質に由来するか、またはその他の病原体もしくは腫瘍抗原に由来するさらなるエピトープを含むことができる。
【0067】
また、核酸は、複数の(たとえば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、または30の)HPVタンパク質由来のMHCクラスI-結合エピトープ含むハイブリッドポリペプチドをコードすることができる。完全なハイブリッドポリペプチドの配列は、任意に、たとえば遺伝子工学技術によって達成される配列挿入、内部欠損、もしくは置換によって、天然に存在するHPVタンパク質または天然に存在するHPVタンパク質の断片のいずれの配列とも同一でない。
【0068】
核酸は、HPV株16 E6タンパク質由来の複数のHLA-結合エピトープ、HPV株16 E7タンパク質由来の複数のHLA-結合エピトープ、HPV株18 E6タンパク質由来の複数のHLA-結合エピトープ、およびHPV株18 E7タンパク質由来の複数のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドをコードしてもよい。それぞれの複数のエピトープは、HLA-A1-結合エピトープからなる群から選択されるエピトープ、HLA-A2-結合エピトープ、HLA-A3-結合エピトープ、HLA-A11-結合エピトープ、およびHLA-A24-結合エピトープ、および好ましくはこの群から選択される少なくとも2つまたは3つを含むことができる。それぞれの複数のエピトープのメンバーは、各々のその他の複数のエピトープのメンバーとは異なる。それぞれの複数のエピトープは、少なくとも2つのHLA-A1-結合エピトープ、少なくとも2つのHLA-A2-結合エピトープ、少なくとも2つのHLA-A3-結合エピトープ、少なくとも2つのHLA-A11-結合エピトープ、および/または少なくとも2つのHLA-A24-結合エピトープを含んでいてもよい。所与の複数を1つ以上のセグメントに分配することができる。
【0069】
ハイブリッドポリペプチドをコードする核酸は、任意に1つまたは複数のセグメント

のいずれかを含むことができる。セグメントは、複数のエピトープを産生するようにプロセシングすることができる。ハイブリッドポリペプチドは、1つまたは複数のペプチド・セグメント、ならびにさらなるHPV E6またはE7配列を含むことができる。ハイブリッドポリペプチドは、任意にHPV株16または18に由来する全長の無処理のE6または全長の無処理のE7タンパク質のいずれかの配列と同一の配列を含まない。
【0070】
核酸は、任意に「単離された」核酸であることができる。本明細書に使用されるものとして、「単離された」核酸は、(1)全長配列が、いずれの天然に存在する核酸内にも存在しない核酸、および(2)全長配列が、天然に存在する核酸内に存在するが、その配列が天然に存在する生物体のゲノム内におけるその配列に隣接する遺伝子を含まない核酸の両方を包含する。従って、本用語は、ベクター内に、自律的に複製するプラスミドもしくはウイルス内に、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA内に組み込まれた組換え核酸を含む。また、これは、cDNA、ゲノムの断片、ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によって産生された断片、または制限酵素断片などの分離された分子を含む。
【0071】
「核酸」の用語は、本明細書に使用されるものとして、たとえばリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかのヌクレオチドの修飾された形態を含む。単離された核酸配列は、一本鎖または二本鎖であることができ、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドであることもできる。単離された核酸は、本明細書に使用されるものとして、プラスミド、細菌、またはウイルスベクターとして提供されてもよい。ベクターは、関心対象の細胞内での発現を可能にする発現ベクターであってもよい。
【0072】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ポリペプチドは、シグナル配列をさらに含むハイブリッドポリペプチドである。
【0073】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ポリペプチドは、HPV株16 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
およびHPV株16 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つを含むハイブリッドポリペプチドである。
【0074】
一部の態様において、ハイブリッドポリペプチドは、HPV株16由来の全長の完全なE6タンパク質または全長の完全なE7タンパク質のいずれかの配列と同一の配列を含まない。
【0075】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、ポリペプチドは、HPV株16 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
HPV株16 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
HPV株18 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
およびHPV株18 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つを含むハイブリッドポリペプチドである。
【0076】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、
ポリペプチドは:(1)アミノ酸配列

を含むか;(2)アミノ酸配列

含むか;または、(3)アミノ酸配列

からなる。
【0077】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、核酸によってコードされるポリペプチドは、熱ショックタンパク質または熱ショックタンパク質の免疫賦活性断片を含まない。
【0078】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、核酸によってコードされるポリペプチドは、アジュバントとして機能するアミノ酸配列を含まない。
【0079】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、核酸によってコードされるポリペプチドは、本明細書に記載されたアミノ酸配列のいずれかからなる。
【0080】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、核酸は、発現ベクター、たとえばプラスミドベクターを含む。本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、核酸は、ウイルス・ベクター(たとえば、ワクシニアウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス、ポックスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、またはアデノ随伴ウイルス)を含む。
【0081】
本明細書に記載された方法および組成物のいくつかの態様において、薬学的組成物は、ウイルス、たとえばワクシニアウイルスまたはポックスウイルスを含まない。
【0082】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、薬学的組成物は、微小粒子を含む。一部の態様において、薬学的組成物は、その中にカプセル化された核酸を有する、たとえば、重合体マトリックスにカプセル化された核酸(たとえば、ウイルス、細菌、またはプラスミドベクター)を有する微小粒子を含む。
【0083】
微小粒子の重合体マトリックスは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、またはポリ-ラクチド-コ-グリコリド酸(PLGA)の共重合体を含むか、それらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。微小粒子は、たとえば0.02〜20ミクロン、または約11ミクロン未満の直径を有することができる。複数の微小粒子は、任意に、たとえば0.02〜20ミクロン、約11ミクロン未満、または約5ミクロン未満の平均径を有する。
【0084】
または、本明細書に記載された核酸は、リポソームもしくは免疫賦活性複合体(ISCOMS)に組み込まれるか、または天然に存在する重合体、合成重合体、生体高分子、陽イオン性脂質、縮合剤、デンドリマー、その他の生体材料、油を含むアジュバント、およびQS21またはサポニンなどのその他のアジュバントと共に送達することができる。または、本明細書に記載された核酸は、当該技術分野において既知の他のいかなる適切な送達媒体を使用して投与されてもよく、または送達媒体(水溶液以外の)なしで、たとえば「裸のDNA」を送達することもできる。
【0085】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、薬学的組成物は、アジュバント、たとえばGMCSF、イミキモド(imiquimod)、またはレシキモド(resiquimod)などの免疫調節成分を含む。
【0086】
本明細書に記載された方法または組成物のいずれかのいくつかの態様において、薬学的組成物は、アジュバントと共に同時投与される。このような同時投与方法において、アジュバントは、薬学的組成物と同時に投与される必要はない。たとえば、アジュバントは、薬学的組成物の投与のたとえば1、2、3、6、もしくは12時間、または1、2、3、4、5、6、もしくは7日(前または後に)同時投与することができる。
【0087】
本明細書に記載された方法のいずれかのいくつかの態様において、投与は、注射、たとえば筋肉内注射、皮下、頚部内、またはこれらの組み合わせを経て行われる。
【0088】
また、本発明は、本明細書に記載された方法に従って、HPV媒介性疾患(たとえば、CIN)を有する個体の治療のための、本明細書に記載された薬学的組成物の1つまたは複数の使用を含む。
【0089】
また、本発明は、本明細書に記載された方法に従って、HPV媒介性疾患(たとえば、CIN)を有している個体の治療のための薬物の製造における、本明細書に記載された薬学的組成物の1つまたは複数の使用を含む。
【0090】
本発明の利点は、最初に個体に感染したHPVの型を同定する必要なく、HPV媒介性疾患を有している個体の治療を可能にするということである。本明細書において詳述したとおり、HPVの2つの特定型に由来するエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物は、コードされたポリペプチド内に示された2つのHPV型以外のHPV型によって引き起こされるHPV媒介性疾患を治療するためにも有効であることが、予想外に見いだされた。このような予想外の交差反応を起こし得る免疫応答により、種々のHPV型によって感染に対して広く有効であり得る薬学的組成物を使用できる。
【0091】
本発明のもう一つの利点は、HPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物での治療の成功に特に適している個体の特異的カテゴリーの選択ができることである。本明細書において詳述したとおり、このような薬学的組成物は、特定の年齢の範囲以下の人におけるHPV媒介性疾患を治療するために有効であることが、予想外に見いだされた。この予想外の発見の結果として、治療による利益を特に受けると思われる個体を彼らの年齢に基づいて選択することができ、および利益を(年齢基準に基づいて)受けることが期待されないものを治療プログラムから除外することができ、これらの特異的な年齢層に適切なその他の利用できる治療に割り当てられることができる。
【0092】
他に定義されない限り、本明細書に使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する当業者によって当該技術分野において共通に理解されるものと同じ意味を有する。適切な方法および材料は、以下に記載してあるが、本明細書に記載されているものと同じか、または等価な方法および材料も、本発明の実施または試験に使用することができる。全ての刊行物、特許出願、特許、および本明細書において述べられるその他の参照は、これらの全体が参照として組み入れられる。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は、例示するだけであり、限定されることは企図されない。
【0093】
本発明のその他の特徴および利点、詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0094】
詳細な説明
HPVタンパク質由来のMHC-結合エピトープの同定
エピトープが有効なT細胞応答を生じるためには、これが抗原提示細胞(APC)上のMHC分子と結合し、その結果生じる受容体-リガンド複合体(MHC-ペプチド複合体)が、次いでT細胞上に発現されたT細胞受容体によって認識される(たとえば、キラーT細胞;CTL)。
【0095】
特異的なMHCアロ形態(alloform)に結合するペプチドエピトープは、MHCクラスIおよび/またはクラスII分子からのペプチドの抽出に続いて、結合したペプチドまたはペプチド群のアミノ酸配列を決定するための質量分析解析によって同定することができる。このような方法は、たとえばU.S. Patent No.5,827,516およびWO 00/09654に詳細に記載されている。
【0096】
加えて、エピトープは、関心対象のHPVタンパク質、たとえばHPV E6またはE7由来の一連のペプチド断片(たとえば、重複するペプチド断片)を合成し、MHCアロ形態と結合することが既知の放射標識したペプチドとの結合研究でペプチドを試験することによって同定することができる。たとえば放射標識されたペプチドとの競合によって測定すると、ペプチドがMHCアロ形態に特異的に結合することを証明する(すなわち、エピトープであると決定される)場合、ペプチドエピトープは、任意で、ハイブリッドポリペプチドに含まれるセグメントを産生するための1つまたは複数のさらなるエピトープ(重複している、または隣接する)と組み合わせることができる。または、本明細書に記載された方法に使用される核酸は、単一のHPVエピトープだけを含むポリペプチドをコードすることができる。
【0097】
MHCクラスIエピトープは、放射標識されたβ2-ミクログロブリンおよび試験ペプチドの存在下で可溶性MHC分子をリフォールディングすることによって同定することができる。MHC-ペプチド-β2-ミクログロブリン複合体をリフォールディングし、予測されるサイズのタンパク質複合体を生じる。β2-ミクログロブリンは、試験ペプチドの結合親和性と直接相関する測定可能な速度で複合体から分離する(Garboczi et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:3429-33, 1992; Parker et al., J. Biol. Chem. 267: 5451-5459, 1992;および Parker et al., J. Immunol. 149: 1896-1904, 1992)。
【0098】
推定上のHPVエピトープ、たとえばHPV 18 E6-および/またはE7由来エピトープに対する結合研究は、1つまたは複数のHLA分子を使用する結合アッセイにおいて、たとえばHPV 18 E6および/またはE7タンパク質由来の重複する8、9、10、11、12、13、14、もしくは15量体を使用して行うことができる。
【0099】
多様なHPVペプチドエピトープが、本明細書に記載されたものなどの方法を使用して特徴付けられている。具体的なHPVエピトープの例(たとえば、HPV株16および18のE6およびE7由来のエピトープ)は、たとえばU.S. Patent No.6,183,746、WO 01/19408、U.S. Patent No.6,037,135、WO 99/45954、WO 99/22338、およびWO 97/33602に記載されており、いずれの内容も参照として本明細書に組み入れられる。MHCクラスI結合HPVペプチドの非限定例は、以下のものを含み、これらのうちの1つまたは複数を本明細書に記載された核酸によってコードされるポリペプチドに含めることができる。

【0100】
ペプチドエピトープ(たとえば、CTLエピトープ)は、HPV型6、11、16、18、31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、およびMM945を含むが、これらに限定されない、いずれのHPV型のHPVタンパク質に由来することもできる。ペプチドエピトープを誘導するために用いることができるHPVタンパク質は、たとえばE6、E7、E1、E2、E4、E5、L2、およびL1を含む。
【0101】
本明細書に記載されたエピトープの特徴付けの方法論は、1つまたは複数のHPVエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸が、もう一つのHPV型由来のポリペプチドを発現している標的細胞を認識する交差反応を起こし得るT細胞応答を生じるどうか決定するために使用することができる。また、インビトロでのT細胞アッセイ法ならびにインビボでの研究を、このような交差反応性を評価するために使用することができる。
【0102】
MHC分子から単離され、インビトロでMHC分子に結合し、および/またはMHC分子と結合することが予測されたペプチドエピトープは、インビトロでの免疫化アッセイ法(IVI)で、T細胞応答を刺激する際のこれらの効果について解析することができる。IVIアッセイ法の有効性は、任意で、本明細書に記載された核酸構築物内へのペプチドをコードする配列の包含の基準として使用することができる。IVIアッセイ法は、HPVタンパク質に由来するいくつかのものを含む、ヒトおよびマウスのT細胞応答性のエピトープを同定するために使用されてきた(Alexander et al., Amer. J. Obstet. and Gynecol. 175:1586-1593, 1996; Tarpey et al., Immunology 81:222-27, 1994)。IVIアッセイ法におけるT細胞刺激の最初のラウンドは、任意で試験ペプチドによってパルスした樹状細胞(DCs)の存在下で行うことができる。加えて、刺激の間にIL-10を包含させることにより、細胞の培養の間に時々生じることがある非特異的な反応を抑制してもよい。次いで、ELISA(γ-IFN分泌を測定するため)、FACS(三色解析によってγ-IFNを含むCD8+、CD16-細胞の増大を決定するため)、51Cr放出CTLアッセイ法、ELISpot、または四量体に基づいたアッセイ法によってT細胞活性化を検査することができる(たとえば、Molldrem et. al. (2000) Nature Med. 6:1018を参照されたい)。
【0103】
51Cr放出CTLアッセイ法は、51Crの存在下においてワクシニアウイルス(HPVタンパク質の少なくとも1つのエピトープを含むポリペプチドをコードする)と共に細胞を2.5時間インキュベートして行うことができる。洗浄に続き、ワクシニア感染細胞を事前にペプチドで活性化したT細胞(たとえば、自己のT細胞)と5時間接触させる。上清への51Crの放出をエフェクター細胞による標的細胞溶解の測定として得る。試験ペプチドをコードするワクシニア・ベクターに感染した標的細胞は、対照標的細胞(空のワクシニア・ベクターに感染したもの)よりも、エフェクター細胞によってより効率的に溶解されたことから、ペプチドが細胞内に発現されて、細胞のHLA分子によって効率的にT細胞に提示されることを示す。
【0104】
ELIspot(酵素結合免疫スポットアッセイ法)により、特異性抗原に応答するエフェクターT細胞による試験サイトカインの分泌を測定する。T細胞群を、T細胞ペプチドエピトープでプレパルス処理したか、またはペプチドを発現する組換えワクシニアウイルスに感染している同数の同系の刺激細胞(stimulator cells)と共にインビトロでインキュベートする。24時間の共培養後、製造業者の説明書に従ってELIspotアッセイ法を行うことによってT細胞活性を決定する(ヒトまたはマウスIFN-γELISpot、R&D Systems)。反応性のT細胞の頻度を表すスポットを、市販されているコンピューター自動化ELISpotリーダー・システムで計数する。
【0105】
交差反応性T細胞応答を誘導することが望ましい場合、交差反応性をIVIアッセイ法で試験することができる。たとえば、HPV16またはHPV18ペプチドは、活性化されたT細胞を産生するための刺激ペプチドとして使用することができる。試験段階(たとえば、ELISpot)において、HPV16またはHPV18ペプチドによって活性化されるT細胞を、これらが異なるHPV型由来のペプチド(たとえば、HPV型6、11、31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、またはMM945)に反応する能力について試験する。非HPV16/18ペプチドへの反応は、非HPV型16または18HPVタンパク質を発現する細胞に対する交差反応性のT細胞応答を示す。このような解析は、特定の核酸(たとえば、HPV16および/またはHPV18のE6および/またはE7タンパク質の特定のセグメントを含むポリペプチドをコードする核酸)がその他のHPV型と交差反応するT細胞応答を生じるかどうかを決定する際に有用でありうる。このような交差反応性のT細胞応答により、HPVの異なる型によって引き起こされるHPV媒介性疾患を治療するために単一の核酸を使用することができる。任意で、それぞれのHLAアロ型(たとえば、HLA-A2およびHLA-A3)について複数のドナー(たとえば、2、3、4、またはそれ以上のドナー)に由来するT細胞を、特定のHLAアロ型と組み合わせた所与のペプチドエピトープに対する広いT細胞反応性を確認するためにIVIアッセイ法において試験することができる。
【0106】
HPVタンパク質由来の1つまたは複数のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸
1つまたは複数のHPVエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸は、標準的な技術を使用して、たとえばオリゴヌクレオチドなどのヌクレオチド配列のオーバーラップPCRまたは連結によって作製することができる。好ましくは、コドンは、哺乳類系におけるポリペプチドの生産を最適化するために、構築物に含めるように選択される。一部の態様において、核酸は、複数のHPVエピトープを含むポリエピトープ・ポリペプチドをコードする。
【0107】
核酸がポリエピトープ・ポリペプチドをコードする態様において、コードされたポリエピトープ・ポリペプチド中の異なるセグメント、たとえば異なるHPVタンパク質に由来するか、または同じHPVタンパク質の隣接しない領域に由来するセグメントは、セグメントの接合部のアミノ酸配列が既知のヒト・タンパク質に偶然にも類似性を示すかどうか決定するために、配列分析プログラム、たとえばBLASTプログラムを使用して点検することができる。相同性が存在する場合、相同領域を除去するためにポリペプチドのエピトープの順を変えるようにポリペプチドを再設計することができる。
【0108】
単一のHPVタンパク質に由来するエピトープを含むセグメントは、天然に存在するHPVタンパク質に見られる順(すなわち、アミノ末端からカルボキシ末端)であることができる。または、所与のHPVタンパク質由来のセグメントは、これらが天然のHPVタンパク質に見られる順以外に配置することができ、1つもしくは複数のその他のHPVタンパク質由来のセグメントと共に群化すること、または混合することもできる。必要に応じて、スペーサーアミノ酸またはスペーサー配列(たとえば、アラニン・スペーサー)をセグメントの各対の間に挿入することができる(Toes et al., Proc. Nat. Acad. Sci. (USA) 94:14660-65, 1997)。
【0109】
一部の実施例において、核酸は、単一のポリペプチドまたは複数のポリペプチド(たとえば、複数のポリエピトープ・ポリペプチド)を、それぞれ異なるプロモーターの制御下にコードすることができる(たとえば、二重プロモーターベクター)。たとえば、二重プロモーターベクターは、所与のベクターから産生されるエピトープの数を減少することなく、2つの短いポリエピトープ・ポリペプチドを一つのより長いバージョンに置換させることができる。
【0110】
HPV E7タンパク質由来のエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸について、核酸は、任意にHPV E7タンパク質の網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)結合部位に対応するペプチドをコードしない。
【0111】
核酸は、1つまたは複数(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の天然に存在するHPVタンパク質に由来する1つまたは複数(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、またはそれ以上)のエピトープを含むポリペプチドをコードすることができる。核酸によってコードされ得る例示的なHPVエピトープ、ならびに複数のエピトープを含むHPVタンパク質の例示的な部分は、本明細書に記載してある。核酸は、HPV型6、11、16、18、31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、およびMM945を含むが、これらに限定されない、いずれかのHPV型のHPVタンパク質に由来するエピトープ(たとえば、CTLエピトープ)を含むポリペプチドをコードすることができる。ペプチドエピトープを誘導するために使用することができるHPVタンパク質は、たとえば、E6、E7、E1、E2、E4、E5、L2、およびL1を含む。たとえば、ポリエピトープ・ポリペプチドは、HPV 16 E6、HPV 16 E7、HPV 18 E6、およびHPV 18 E7タンパク質のそれぞれに由来する少なくとも2〜5セグメントであって、それぞれのセグメントは、HLA対立遺伝子HLA-A1、HLA-A2、HLA-A3、HLA-A11、および/またはHLA-A24の1つまたは複数に結合するためのエピトープ(たとえば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のエピトープ)を含むセグメントを含むことができる。
【0112】
ハイブリッドポリエピトープポリペプチドは、異なるHPVタンパク質由来の複数の免疫原性のセグメントであって、それぞれのセグメントは、1つもしくは複数のMHCクラスIおよび/またはIIに制限されたエピトープを含むセグメントを含むことができる。ハイブリッドポリペプチドは、HPV 16およびHPV 18のE6および/またはE7タンパク質由来のセグメントを含むことができる。ポリエピトープ・ポリペプチドに存在する1つまたは複数のセグメントは、複数の異なったエピトープにプロセシングされて、典型的にはγインターフェロンを分泌し、かつ細胞障害性能を有することができるT細胞(たとえば、CTL)に関連するMHCクラスI-結合エピトープ、および/または典型的には免疫応答を媒介し、かつ局部的または全身性の環境に影響を及ぼすサイトカインの分泌などのヘルパーT細胞免疫応答に関連するMHCクラスII結合エピトープを形成することができる。その他のエピトープは、エピトープ特異抗体の産生を刺激するB細胞エピトープであることができる。WO 01/19408に記載されているポリエピトープ・ポリペプチドをコードする核酸も、特に本発明の方法に有用である。
【0113】
交差反応性T細胞応答を引き出すことが望ましい例においては、核酸は、たとえば、(1) IVIアッセイ法で決定される交差反応性を起こし得るT細胞応答を誘導する複数のエピトープを含むHPV 16および/またはHPV 18のE6およびE7タンパク質のセグメントを含むように、ならびに/または(2) T細胞アッセイ法において経験的に試験したときに、最大の交差反応性を生じるように核酸のセグメントを配列して(たとえば、核酸の投与後に、HLA-A2のトランスジェニックマウスに生じるT細胞が、HPV型16および18以外のHPV型に由来するHLA-A2結合ペプチドの広範なアレイを認識することができるように)構築することができる。
【0114】
調節エレメントは、ポリペプチドをコードする核酸の発現を容易にするように構築物に含めることができる。これらのエレメントは、ヒトまたはその他の哺乳動物細胞の発現を増強するための配列、たとえばプロモーター、コード配列の5'および/または3'側RNA安定化配列、イントロン(これは、コード配列内の、または隣接した任意の位置に配置することができる)、およびポリ(A)付加部位、ならびに複製開始点、および原核生物および/または真核生物の宿主において構築物が複製し、選択することを可能にする1つまたは複数の選択マーカーをコードする遺伝子を含む。T7ポリメラーゼ・プロモーターまたはその他の型のプロモーター(たとえば、筋肉特異的なプロモーターなどの組織特異的なプロモーター、またはAPC特異的なプロモーターなどの細胞特異的なプロモーター)は、コード配列の5'末端に任意で存在し、FLAGをコードする配列または抗体決定基は、最後のエピトープをコードする配列の3'側に任意で直接存在する。また、構築物は、コザック配列などのその他の転写および翻訳シグナルを含んでいてもよい。
【0115】
構築物は、所望の細胞内区画にポリペプチドを導くターゲティングシグナルをコードする配列を含む(ターゲティングシグナルは、ポリペプチドに結合される)。ターゲティングシグナルは、小胞体(ER)、ゴルジ、核、リソソーム、クラスIIペプチド充填区画(class II peptide loading compartment)、またはエンドソームにポリペプチドを導くことができ、シグナルペプチド(翻訳の間にタンパク質をERに導くアミノ末端の配列;シグナル配列としても知られる)を含むこともできる。また、ポリペプチドを膜に挿入させるターゲティングシグナル(たとえば、膜貫通配列)を含むこともできる。膜挿入配列を含むポリペプチドは、細胞質尾部の有り、無しのどちらでも構築することができる。
【0116】
ER-ターゲティング配列の例は、HLA-DRαリーダー配列

である。ターゲティング配列は、この特定された25残基配列の一部だけ(たとえば、少なくとも10アミノ酸残基)、またはこの配列のわずかに修飾されたバージョンを含んでもよいが、部分または修飾された配列は、ポリペプチドのERへのターゲティングを引き起こすために十分なことを条件とする。
【0117】
Chelsky et al., Mol. Cell Biol. 9:2487, 1989; Robbins, Cell 64:615, 1991、および Dingwall et al., TIBS 16:478, 1991に記載されているとおり、核局在化配列は、ヌクレオプラスミンおよびSV40様の核ターゲティングシグナルを含む。
【0118】
一部の場合において、シグナルペプチダーゼまたはその他のタンパク分解性の薬剤による切断を容易にするために、ターゲティングシグナルのアミノ酸配列を修飾することが望ましい。シグナルペプチダーゼのための認識配列は、Von Heijne, Nucleic Acids Research 14:4683, 1986に記載されている。Von Heijneの-3,-1規則は、ターゲティングシグナルが存在するときに、シグナルペプチダーゼによる良好な切断の確率を増大する配列を選択するために使用することができる。
【0119】
1つまたは複数のHPVエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸は、翻訳を容易にするためにポリペプチドのアミノ末端にメチオニン残基をコードする。
【0120】
1つまたは複数のHPVエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸は、個体の抗原提示細胞(APC)で発現することができるいずれのベクターに使用することもできる。有用なベクターは、以下のものを含む:ワクシニアウイルス、レンチウイルス、アルファウイルス(たとえば、シンドビスウイルス(SV40)、セムリキ森林ウイルス、ロスリバーウイルス、およびベネズエラ、ウェスタン、およびイースタン・ウマ脳炎ウイルス)、ポックスウイルス、レトロウイルス(たとえば、HIV-1、HIV-2、またはSIVなどのレンチウイルス)、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)に基づいたベクター(たとえば、West et al., Virology 160:38-47 (1987)、 U.S. Patent No. 5,173,414、 Panicali et al., J. Virol. 37:1000-1010 (1981)、 U.S. Patent No. 6,013,576、 WO 96/25507、および WO 92/10578を参照されたい)。
【0121】
ベクターは、非組み込みウイルス・ベクターまたは非ウイルス・ベクター(プラスミドまたは細菌ベクターなど)であることができる。適切なプラスミドベクターの例は、一群のpcDNA哺乳動物発現ベクター(Invitrogen)を含み、これにより、PCR産物の直接の迅速なクローニングが可能となる。
【0122】
コードされるポリペプチドが細胞内でプロセシングされて、期待されるエピトープがHLAによって提示されるかどうか決定するために、ポリペプチドをコードする配列を含む組換えワクシニアウイルスを感染させた自己のPBLまたはEBV形質転換細胞を使用して、インビトロでのT細胞刺激アッセイ法を行うことができる。標的細胞は、2時間、37℃で3〜10pfu/細胞のm.o.iで組換えワクシニアと共にPBLをインキュベートすることによって作製することができる。感染後、細胞をペレットにして、洗浄し、インビトロでの刺激アッセイ法の標的として使用する。1つまたは複数の個体に由来する刺激されたT細胞(たとえば、異なるHLAアロ型を有する)を標的細胞と共にインキュベートし、標的細胞がT細胞を刺激する能力を、たとえばγ-インターフェロンの発現または分泌によって測定する。
【0123】
または、ポリペプチド由来のエピトープのプロセシングは、ヒト細胞から精製したプロテアソームを使用して検査することができる(Theobald et al., J. Exp. Med. 188:1017, 1998; Kisselev et al., J. Biol. Chem. 289:3363, 1999;および Nussbaum et al., Proc. Nat. Acad. Sci. (USA) 95:12404, 1998)。
【0124】
T細胞アッセイ法に加えて、インビボに送達したときに、核酸が機能を構築する(たとえば、エピトープをプロセシングして提示する)ことを確かめるために、トランスジェニック動物を利用するアッセイ法を使用することができる。HLA-A2拘束性提示を測定するために、哺乳類発現ベクターの核酸構築物(たとえば、プラスミド)を微小粒子内に封入して、筋肉内または皮下注射などの経路によってHLA-A2トランスジェニックマウスに導入することができる。または、構築物は、微小粒子送達媒体を伴わずに投与されてもよい(たとえば、核酸は、裸であっても、トランスフェクションを容易にする薬剤と合わせても、または組換えウイルス内にあってもよい)。その後、T細胞応答をインビトロで検査する(Hedley et al., Nature Med. 4:365-68, 1998)。標的細胞および/または刺激細胞は、試験されるA2エピトープでパルスしたT2 A2細胞(HLA-A2をコードするDNAをトランスフェクトしたT2細胞)またはEL4・A2細胞(HLA-A2をコードするDNAをトランスフェクトしたEL4細胞)、および本明細書に記載された核酸が導入されたT2A2細胞である。ペプチドなしで、または無関係なペプチドでパルスしたT2 A2細胞、および形質導入していないT2細胞を使用して、平行して研究を行う。または、標的および/または刺激細胞は、核酸構築物を含むか、または1つもしくは複数のHPVタンパク質をコードする組換えウイルス(たとえば、ワクシニアウイルス)に感染させることができる。このような方法で、本明細書に記載された核酸の投与後にインビボでプロセシングされて、提示されるHLA-A2エピトープが同定される。
【0125】
核酸組成物の送達
適切な細胞において本明細書に記載された核酸の送達、取り込み、および/または発現を促進するために、種々の方法論を使用することができる。核酸は、塩類溶液などの薬学的に許容される担体を含む組成物で、コロイド懸濁液として、または粉末として、希釈液と共に、もしくは伴わずに送達することができる。核酸は、「裸」であるか、または脂質、リポソーム、微小粒子(マイクロスフェアまたはマイクロカプセル)、金粒子、ISCOMS、ナノ粒子、重合体、縮合剤、多糖体、ポリアミノ酸、デンドリマー、サポニン、ポリオキサマー、QS21、吸着増強材料、アジュバント、もしくは脂肪酸などの送達系と共に投与することができる。
【0126】
核酸は、たとえば、経口、筋肉内、静脈内、動脈内、くも膜下腔内、皮内、腹腔内、鼻腔内、肺内、眼内、腟内、頸部内、直腸内、または皮下に投与することができる。たとえば、これらは、たとえば核酸を含む微小粒子を含む溶液もしくは粉末の吸入によって、消化管または気道に導入することができる。または、投与は、局部的(たとえば、頸部、いぼ、もしくはHPV感染症のもう一つの部位)、または全身であってもよい。投与は、全身および非全身の組み合わせであることができる(たとえば、個体は、全身投与ならびに頸部注射を受けることができる)。
【0127】
約1〜2000μgの用量のDNAが、用量につきkg体重あたりに投与されることが予想される。被検者が成人ヒトである場合、投与療法は、10〜9000μgのプラスミドDNAの投与(たとえば、皮内、筋肉内、静脈内、経口、または皮下投与)を含むことができ、たとえば100〜2000、または500〜1000μgのプラスミドDNA(任意で微小粒子に含まれる)が3〜6回繰り返し筋肉内に送達される。たとえば、100〜400μg DNAの用量または100〜200μg DNAの用量(たとえば、微小粒子に含まれる)を3回繰り返して(たとえば、1、2、または3週間隔で)患者に投与することができる。所与の患者のための用量は、患者の大きさ、一般的な健康、性、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、投与時間および経路、ならびに並行して投与されている他の薬物を含む多くの因子に依存し得る。最適の用量の決定は、十分に薬理学者の能力の範囲内である。
【0128】
本明細書に記載された核酸は、HPV媒介性疾患の治療のために、単独でまたは1つもしくは複数のさらなる治療法と組み合わせて投与することができる。このような治療の例は、化学療法、放射、および/または手術を含む。
【0129】
本明細書に記載された核酸は、単独でまたは免疫応答を増強するように設計された1つもしくは複数の組成物と組み合わせて投与することができる。核酸と同時投与することができる組成物の例は、アジュバント(たとえば、レシキモド(resiquimod)、Aldara(登録商標)、および/またはイミキモド(imiquimod)(たとえば、WO 01/97795を参照されたい))、CpGオリゴヌクレオチド(たとえば、U.S. Patent No.6,239,116を参照されたい)、サイトカイン(たとえば、IL-12またはGM-CDF)、サイトカインをコードする核酸、またはウイルス・ベクター(たとえば、プライムブースト戦略を使用する)を含む。CpGジヌクレオチドを含む核酸は、個体のリンパ球を活性化して、個体の免疫応答をリダイレクト(redirect)するであろう(たとえば、Th2からTh1応答に)。同時投与される組成物は、薬学的組成物と同時に投与される必要はない。たとえば、組成物は、薬学的組成物の投与のたとえば1、2、3、6、もしくは12時間、または1、2、3、4、5、6、もしくは7日(前または後に)同時投与することができる。
【0130】
核酸は、微小粒子と共に本明細書に記載された方法に従って送達することができる。微小粒子という用語は、本明細書に使用されるように、マイクロスフェアおよびマイクロカプセルを含む。例示的な微小粒子は、たとえば、U.S. Patent No. 5,783,567に記載されている。微小粒子は、重合体マトリックスに包埋された核酸、または重合体の中空の殻に閉じ込めた核酸を含むことができる。または、核酸は、微小粒子の表面上に、微小粒子と付随して、または微小粒子との懸濁液中にあることができる。微小粒子は、たとえばWO 95/24929、WO 01/36583、U.S. 6,270,795;U.S. 6,309,569およびU.S. 6,406,719(本明細書に参照として組み入れられる)に詳述されるように形成することができる。
【0131】
微小粒子は、たとえば被包された核酸を非劣化状態で維持することによって、核酸の完全性を維持するように作用し得る。適切なサイズまたはサイズの組み合わせの微小粒子を核酸のパルス送達(pulsed delivery)のために、特異的な部位の送達のために、および/または特異的な標的細胞群に対する送達のために、任意に使用することができる。微小粒子は、任意に直径10ミクロン未満であることができる(たとえば、被検者の貪食細胞内への核酸の送達を最大にする際に使用される)。また、直径10μM以上である微小粒子を使用することができる(たとえば、組織内への注射または移植用。この場合これらは沈着物(deposit)を形成し、沈着物が崩壊すると、核酸またはコードされたポリペプチドは、経時的に徐々に放出されて、隣接する細胞によって取り込まれる)。
【0132】
重合体マトリックスは、ポリ-ラクチド-コ-グリコリド(PLG)、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、タンパク質重合体、ポリペプチド、ポリエステル、または澱粉、アルギン酸塩、キトサン、もしくはゼラチンなどの天然に存在する重合体などの生分解性高分子であることができる。
【0133】
微小粒子は、任意に1つまたは複数の安定剤化合物を含むことができる。安定剤化合物は、微小粒子の生産の間および/またはインビボでの送達後に、核酸を保護するように作用する(たとえば、これを高次コイルに保ち、かつ/またはこれを分解から保護する)化合物である。安定剤化合物は、任意に重合体の送達系から解放された後、核酸と結合したままであることができる。安定剤化合物の例は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、TRISおよびEDTAの組み合わせ(TE)、炭水化物(たとえば、ショ糖、ラクトース、デキストラン、トレハロース、シクロデキストリン、またはデキストラン硫酸)、陽イオン性化合物(たとえば、陽イオン性ペプチド)、プルロニック(たとえば、プルロニック(登録商標)F-68(Sigma-Aldrich Co., St. Louis, MO))、脂質(たとえば、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)、および/またはDNA-縮合剤を含むが、これらに限定されない。安定剤化合物を含む微小粒子の調製は、たとえばWO 00/53161に記載されている。
【0134】
脂質は、荷電した脂質(たとえば、陽イオン性脂質)、陰イオン性脂質(たとえば、PEG-DSPE、タウロコール酸、もしくはフォスファチジルイノシトール)、双性イオン性脂質であってもよく、または荷電されていなくてもよい。脂質の例は、セチルトリメチルアンモニウムおよびリン脂質を含む(たとえば、ホスファチジルコリン)。微小粒子は、任意に複数の脂質および/または複数の型の脂質(たとえば、レシチン脂質製剤に存在する脂質)を含むことができ、また上記の通りの1つまたは複数の安定剤化合物を含んでいてもよい。
【0135】
微小粒子は、被検者の細胞(たとえば、貪食細胞)への核酸の送達を増強するために使用することができる。または、生物分解可能な微小粒子を組織に注射または移植することができ、そこでこれが沈着物を形成する。沈着物が崩壊すると、核酸は、経時的に徐々に放出されて、遊離の核酸として隣接細胞(APCを含む)によって取り込まれる。
【0136】
また、核酸は、本明細書に記載された方法に使用されるものとして、ヒドロゲル、脂質、デンドリマー、プルロニック、リポソーム、また免疫賦活性複合体(ISCOMS)などの薬剤を使用して個体に投与することができる。
【0137】
本明細書に記載された核酸は、エレクトロポレーションによって細胞または被検者の組織に導入することができる(たとえば、U.S. Patent No. 5,462,520、U.S. Patent No. 5,993,434、およびU.S. Patent No. 6,261,281を参照されたい)。エレクトロポレーションは、たとえばエクスビボまたはインビボで行うことができる。例示的な方法において、3週間隔で3回繰り返して100〜200μgの核酸を(微小粒子と共に)投与するために、エレクトロポレーションが使用される。1回または複数回の投与で、核酸を含む微小粒子の筋内注射直後にエレクトロポレーション(100V、8パルス、20msec/パルス、1 secのパルス間隔、単極、0.5cm間隙(200V/cm))を、2つの針アレイおよびECM830発生器を有する電極を使用して注射部位に適用する(Genetronics, San Diego, CA)。
【0138】
HPV媒介性疾患の治療および予防
HPV媒介性疾患は、天然に存在するHPVタンパク質の少なくとも1つのエピトープを含むポリペプチドをコードする核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与することによって治療または予防することができる。組成物は、個体においてHPV特異的な免疫応答および/または生来の免疫応答を誘発することができる。
【0139】
本明細書に記載した核酸が免疫応答(たとえば、CTL反応)を誘発する能力は、たとえば51Cr放出アッセイ法によって、サイトカイン発現(たとえば、IL-12、γインターフェロン、または腫瘍壊死因子α)を測定することによって、および/またはMHC四量体(抗原特異的なT細胞の存在を検出するために)を使用することによって、アッセイすることができる。ELISA、細胞内サイトカイン染色、またはELISPOTなどのアッセイ法もT細胞活性化に起因するサイトカインプロフィールを測定するために使用される。T細胞増殖は、3H-チミジン取り込みなどのアッセイ法を使用して測定することができる。遅延型過感受性は、本明細書に記載された核酸によってコードされるペプチド、核酸自体、または薬学的組成物を使用する標準的な皮膚テストによって測定することができる。また、免疫応答は、たとえばマクロファージ、多形核単球、ナチュラルキラー細胞、および/またはB細胞で測定することができる。
【0140】
いくつかの例では、本明細書に記載された治療に続いて個体における免疫応答を検出することが、不必要であり、望ましくなく、および/または困難であるかもしれない。それにもかかわらず、治療方法の効果は、投与された薬学的組成物が、組成物が投与される所与の個体または個体の集団におけるHPV媒介性疾患を治療および/または予防する能力によって評価することができる。
【0141】
HPV媒介性疾患の例は、HPV関連感染症、意義不明異型扁平上皮細胞(ASCUS)、いぼ(たとえば、肛門性器のいぼ、退形成丘疹症、巨大コンジローム、皮膚のいぼ、普通のいぼ、足底いぼ、扁平いぼ、ブッチャーいぼ、およびいぼ状表皮異形成)、呼吸器乳頭腫症、喉頭乳頭腫、上顎洞乳頭腫、結膜乳頭腫症、限局性口腔過形成、上皮内新形成(たとえば、頸部上皮内新形成(CIN)、外陰部の上皮内新形成(VIN)、および肛門の上皮内新形成(AIN))、子宮頚癌、外陰部癌、肛門癌、膣癌、陰茎癌、頭頚部癌、肺の扁平上皮癌、洞の扁平上皮癌、食道の扁平上皮癌、口腔癌、結膜癌、およびその他のHPV媒介性癌を含むが、これらに限定されない。
【0142】
本明細書に記載された方法は、HPV型16および18、ならびにHPV型6、11、31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、および/またはMM9を含む(しかし、これらに限定されない)その他のHPV型に関連したHPV媒介性疾患を治療または予防するために使用することができる。特異的なHPV型に関連した症状は、例えば外方増殖性コンジローム(HPV型6および11)、扁平コンジローム、特に頸部のもの(HPV型6、11、16、18、および31)、巨大コンジローム(HPV型6および11)、子宮頚癌(HPV型16、18、31、45、および33)、呼吸器および結膜の乳頭腫症(HPV型6および11)、ならびに高度の頸部上皮内新形成(HPV 31、33、35、39、44、45、52、53、54、56、58、61、66、67、69、CP8304、CP141、MM4、MM7、およびMM9)を含む。
【0143】
HPV媒介性疾患は、たとえばHPVに冒された組織を検査することによって臨床家によって診断することができる。HPVに冒された組織の例は、上皮内の病変またはいぼを有する組織であり、いずれもHPVの感染および複製によって、および/または特定のHPVタンパク質(たとえば、E6および/またはE7)の発現によって引き起こされる形質転換事象によって引き起こされうる。HPV感染している基底上皮幹細胞は、高レベルでウイルスタンパク質を発現せず、これらの細胞に発現されるウイルスタンパク質は、通常、初期タンパク質に限定される(たとえば、E1、E2、E6、およびE7)。これらの細胞は、複製し、分化し、および上皮表面の方へ移動するにつれて、これらが後期のウイルスタンパク質(たとえば、LIおよびL2)を発現し始め、ウイルス複製が開始される。これらの細胞の分化は、ウイルス複製を誘発する。特定の例において、基底細胞は、ウイルス遺伝子の発現を抑制する能力を失い、これらの未分化な幹細胞における高レベルのE6および/またはE7の発現を導く。これが、形質転換事象、ウイルス腫瘍性タンパク質(たとえば、E6およびE7)を過剰発現する細胞の増殖、ならびに高度の頸部上皮内新形成の開始を引き起こし得る。宿主細胞の形態は、産生および形質転換の結果として変化する。
【0144】
頸部細胞学試料(Pap試験)の解析により、HPV感染を示す形態の変化を有している細胞(たとえば、LSILもしくはCIN1)、または形質転換している前癌性の事象(たとえば、HSIL、CIN2、もしくはCIN3)を同定することができる。細胞学的にLSILまたはHSILと診断された組織から得た生検の組織診断では、それぞれCIN1またはCIN2およびCIN3の組織診断を与える。病理学者がCIN2およびCIN3の間を確実に区別することは困難であり、それらはたいてい共にCIN2/3とみなされる。従って、多くの例において、LSILおよびCIN1は、同等の症状であると考えられており、同様に、HSILおよびCIN2/3も同等であると考えられている。LSILの高い自発的退行速度(60-70%)を考慮して、本症状は、通常6ヶ月間隔で行われる連続したPap試験によって、または膣頸管検査に続く反復Pap試験によってモニタリングされる(Schiffman et al, Acta Cytol. 44:726-42, 2000)。持続性LSIL(CIN1)のごく一部は、HSIL(CIN2/3)に進行し、この理由のため、持続性CIN1は、たいてい切除または手術によって治療される。特異的な染色体および核の変化を含む細胞形態の顕著な変化は、HSILに独特であり、このさらに深刻で前癌性の症状を反映しており、これは、手術または切除によって観血的に治療される。子宮頚部のHSILの発生は、頚部上皮にあるHPVの持続と高度に相関する。
【0145】
本明細書に記載された組成物および方法を使用して治療される個体は、35歳未満である(たとえば、30歳未満または25歳未満)。たとえば、本明細書に記載された方法のいずれかに従って治療される被検者は、たとえば12〜35、12〜30、12〜24、12〜25、12〜20、16〜35、16〜30、16〜24、16〜25、16〜20、18〜35、18〜30、18〜24、18〜25、または18〜20歳の範囲の年齢を有することができる。哺乳類においてHPV媒介性疾患(たとえば、ヒト疾患のモデル)を治療するために、ヒトに加えて、イヌ、ウサギ、ラット、およびマウスなどの哺乳類に、本明細書に記載された組成物を投与することができる。
【0146】
高度上皮内新形成などのHPV媒介性疾患の重篤度を消失または減少させることにより、たとえば、高度上皮内新形成の回復およびその後の正常または軽度上皮内新形成の臨床診断が可能となる。CIN2/3を消失または減少させることにより、たとえばCIN2/3をなくすこと、および正常またはCIN1の診断をすることができる。いぼなどのHPV媒介性疾患の重篤度を消失または減少させることにより、たとえば、いぼの回復、およびその後のいぼの存在無しという診断、またはいぼのサイズ、容量、および/または期間の減少をもたらしうる。
【0147】
CIN1に進行しなかったHPV感染症を有する個体を治療して、CIN1、CIN2、またはCIN3に進行する機会を防止し、かつ/または減少させることができる。もう一つの例において、LSIL(CIN 1)を有する個体を治療して、HSILに進行する機会を防止し、および/または減少させることができる。もう一つの例において、HSIL(CIN 2またはCIN 3)を有する個体を治療して、癌に進行する機会を防止し、および/または減少させることができる。
【0148】
また、HPV媒介性疾患の重篤度を消失または減少させることは、HPV媒介性病変、いぼ、またはHPV媒介性疾患のその他の徴候の、頻度、期間、および/または数の減少を含む。また、本明細書に記載された方法は、以前にHPV媒介性疾患を有した(たとえば、0.5、1、2、3、4、5年、またはそれ以上前の範囲内)個体のHPV媒介性疾患の再発を防止することができる。たとえば、肛門性器のいぼを有する被検者は、本明細書に記載された方法によって治療し、いぼのサイズおよび/または数を減少することができ、これはまた、治療後の6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、またはそれより長期においても新たないぼの発症を伴わない。疾患の再発防止は、手術またはその他の局所治療の直後に再発を経験することが多い肛門性器のいぼを有する個体にとって特に重要である。
【0149】
HPV媒介性疾患を診断する(ならびにHPV媒介性疾患の重篤度が消失または減少したかどうかを決定する)方法は、医療従事者には周知であり、目視検差、Pap試験、細胞学、組織学、HPV試験(たとえば、ハイブリッドキャプチャー(Hybrid Capture)(登録商標)またはPCR)、膣頸管検査、頸管撮影法、光学イメージング法、肛門鏡検査、子宮頚管内掻爬術、異型接合性(LOH)の減少解析法、頸部または膣の分泌のウイルス負荷の測定(たとえば、Pap試料)を含むが、これに限定されない。ハイブリッドキャプチャー(Hybrid Capture)(登録商標)(Diagene, Gaithersburg, MD)は、ThinPrep(登録商標) Pap試験試料に存在する高い危険性および/または低い危険性のHPV型の存在を測定する。陽性の指示値は、最小限の規定レベルのウイルスが試料中に存在することを示す。
【0150】
本明細書に記載された組成物の投与により、ウイルス感染の抑制をすることができる。ウイルス感染の抑制は、HPV媒介性疾患の1つもしくは複数の症状の改善および/または検出可能なウイルス負荷の減少(たとえば、ハイブリッドキャプチャーアッセイ法による陽性の結果の場合、治療の後に陰性の結果に回復する)を含む(しかし、これらに限定されない)多くのパラメーターのいずれか1つもしくは複数によって示されうる。ウイルス核酸のレベルは、たとえば患者試料から核酸を単離し、ウイルス特異的なプライマー(PCR解析)を使用するPCR解析もしくはブロット解析を行うか、またはプローブ(ブロット解析)としてウイルス・ポリヌクレオチド配列を使用することによって評価することができる。任意に、PCR解析を行って定量的結果を提供することができる。また、ウイルス感染は、ウイルス特異的なプローブでのインサイチューハイブリダイゼーションによって評価することができる。
【0151】
ウイルス感染を検出するためのもう一つのアッセイ法では、感染中心アッセイ法(infectious center assay:ICA)など、感染単位を測定する。ウイルス粒子の範囲または量は、感染した組織または粘膜分泌物などのあらゆる感染領域から測定することができる。試料が液体であるときは、ウイルス力価は、単位体積あたりのウイルスまたはウイルス粒子の数または量の測定として算出することができる(たとえば、感染性の粒子、プラーク形成単位、感染用量、または50%組織培養感染用量(TCID50))。組織試料などの固体試料では、ウイルス力価は、単位重量あたりのウイルス粒子で算出することができる。ウイルス感染の減少は、たとえば以前の時点で測定した力価と測定されたウイルス力価(治療後)を比較することによって、または無処置のウイルス感染を表す標準的な力価(たとえば、動物もしくは臨床研究に基づいたもの)と測定された力価を比較することによって示すことができる。
【0152】
また、ウイルス感染の抑制は、少なくとも1つのHPVタンパク質を発現する被検者の患部組織の細胞の除去を測定することによって検出することができる。このような細胞の除去は、HPV媒介性疾患を検出するために使用される一般的な方法、たとえば細胞学的な試料、組織学的な試料、または膣頸管検査の印象に生じる変化によって検出することができる。または、ハイブリッドキャプチャー(登録商標)またはPCR試験を関心対象の組織に対して、または組織の分泌物もしくは洗浄液に対して行うことができる。
【0153】
キット
また、本発明は、HPV媒介性疾患を治療するためのキットであって、本明細書に記載された薬学的組成物および本明細書に記載された治療法のいずれかに従って組成物を投与するための説明書を含むキットを特徴とする。
【0154】
キットは、本明細書に記載された薬学的組成物を含む1つまたは複数の容器および一組の説明書(一般に記載された説明書であるが、説明書を含む電子的記憶媒体(たとえば、磁気ディスケット、テープ、カートリッジ、チップ)、光学式媒体(たとえば、CD-ROM)も許容される)であって、企図された治療(たとえば、パピローマウイルスに曝露された個体のパピローマウイルス感染症の1つまたは複数の症状を予防すること;パピローマウイルスに曝露される危険にさらされている個体のパピローマウイルス感染症の1つまたは複数の症状の予防;パピローマウイルスに感染した個体のパピローマウイルス感染症の症状の重篤度の減少;および/またはパピローマウイルスに感染した個体のパピローマウイルス感染症の1つまたは複数の症状の再発の減少)のための組成物の使用および用量に関する説明書を含む。一般にキットで含まれる説明書は、用量、投薬予定、および企図された治療のための投与経路に関しての情報を含む。また、このような媒体は、指示材料を提供するインターネット・サイトについてのアドレスを含んでいてもよい。組成物の容器は、単位用量、バルクパッケージ(たとえば、多用量パッケージ)、またはサブユニット用量であってもよい。
【0155】
キットの薬学的組成物は、何らかの便利な適切な包装にパックされていてもよい。たとえば、組成物が冷凍乾燥させた製剤である場合、薬物が弾力性の栓を介して液体を注入することによって容易に再構成されるように、弾力性の栓を有するバイアルが通常使用される。非弾性の、着脱可能な閉鎖(たとえば、封着ガラス)または弾力性の栓を有するアンプルは、組成物の注射用形態のために最も都合よく使用される。また、キットが液剤の組成物と共に供給されるときには、予め補充された注射器を使用してもよい。また、キットは、適切な包装の中に、局所製剤のための軟膏の組成物を含んでいてもよい。また、吸入者、鼻噴投与装置(たとえば、噴霧器)、経皮投与装置、またはミニポンプなどの輸液装置などの特定の装置との組み合わせに使用されるパッケージも想定される。
【0156】
キットは、任意に本明細書に記載された組成物を送達するための何らかの試薬および/または装置を含んでいてもよい。このような試薬は、緩衝液、薬理学的賦形剤、標識、標識抗体、標識核酸、蛍光ラベルの視覚化のためのフィルターセット、ブロッティング膜などを含むがこれらに限定されない。
【0157】
診断法
本発明は、最初の診断による個体に存在するウイルス型の数に基づいて、HPV媒介性感染症の結果を予測するための方法を含む。驚くことに、臨床家への初診において、HPV媒介性ウイルスの1つの型だけを呈する個体は、LSILに回復する可能性が高いか、またはHPV媒介性ウイルスの2つ以上の型を呈している個体よりも正常であることが見いだされた。これらの結果は、HPV媒介性ウイルス感染を有する個体の診断および治療に効率的に使用することができる。従って、本発明は、HPV媒介性疾患がLSILまたは正常に回復することを予測する方法であって、個体に存在するHPV媒介性ウイルスの型を評価する段階、臨床家への初診において個体がHPV媒介性ウイルスの1つの型を呈するときに、HSILまたは正常への個体の転帰を予測する段階を含む方法を含む。
【0158】
本明細書に記載されたHPV媒介性疾患のLSILまたは正常への回復を評価する方法は、ウイルス力価、膣頸管検査、および組織学を含む。HPV媒介性ウイルスを分類する方法は、当該技術分野において既知であり、たとえばU.S. 6,355,424に記載されているようなサザンブロット、ドットブロット、遺伝子発現レベルの測定、またはたとえばU.S. 5,814,448に記載されているようなポリメラーゼ連鎖反応法技術を介したものを含む。
【0159】
また、ウイルスの分類は、ヘテロ二重鎖追跡アッセイ法(heteroduplex tracking assay (HTA))を使用して達成してもよい。HTAは、2つ以上のウイルスゲノム間の遺伝子の関係を決定するハイブリダイゼーションに基づいた方法である。本方法の基礎は、種々のテンプレートから同時増幅された関連したDNA産物がランダムに再アニーリングしてヘテロ二重鎖を形成し、中性のポリアクリルアミドゲルなどのサイズに基づいて分子を分離するように設計された系で移動度が減少して移動することによる。HPV遺伝子型のもう一つの同定法は、高度に特異的なDNAハイブリダイゼーション試験のライン・プローブ・アッセイ法の使用による。HPVのためのライン・プローブ・アッセイ法は、Innogeneticsから市販されている(INNO-LiPA HPV Genotyping, Innogenetics N.V., Zwinjnaarde、Belgium)。ウイルス分類のもう一つの方法は、マイクロアレイまたはGeneChip技術を使用する。高密度および点状のオリゴヌクレオチド・アレイを病原体の多形を同定するために使用することができ(たとえば、Kato-Maeda, et al., Cell Microbiol. 3 (11):713-19 (2001)を参照されたい)、したがって、ウイルス・型およびサブ型を同定することのための有用なツールである。HPVに特異的なGeneChipアッセイ法は、Norchipから市販されている(PreTect(登録商標) HPV-Proofer, NorChip AS, Klokkarstua, Norway)。
【0160】
ある例において、HPV媒介性疾患を有する個体が臨床家を訪ねる。臨床家は、当技術分野において既知の方法(たとえば、PCR)を使用して個体のHPV分類を行い、個体に存在するHPV媒介性ウイルスの型の数を決める。個体がHPV媒介性疾患の1つの型だけを有する場合、臨床家は、本知見に基づいて個体がLSILまたは正常に回復する診断を行いうる。個体にHPV媒介性疾患の一つよりも多い型が存在する場合、臨床家は、個体がHSILまたは正常に回復する可能性が低いという診断を行い、従って個体を(たとえばLEEPによって)治療するであろう。臨床家は、膣頸管検査、組織学、またはウイルス力価試験を行うことによって、引き続く個体の来診時に、HPV媒介性疾患のLSILまたは正常への回復を評価する。
【0161】
以下は、本発明の実施の実施例である。これらは決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0162】
実施例
実施例1.子宮頚部のHSILの治療のためのZYC101aの調査研究
子宮頚部のHSILの治療のためのZYC101aの研究は、第2相の、多施設国際二重盲検プラセボ対照試験として行われた。ZYC101aは、生分解性のポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLG)微小粒子中に被包されたプラスミドDNAから構成される製剤である。ZYC101aプラスミドは、HPV 16および18のコード配列を含み、かつHPV16 E6およびE7タンパク質およびHPV18 E6およびE7タンパク質の免疫原性領域を含むことによって免疫原性の増大のために最適化されたポリペプチドをコードする。ZYC101aプラスミドは、WO 01/19408に詳述されており、以下のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする。

【0163】
無作為化二重盲検プラセボ対照試験は、2用量のZYC101a(2用量レベル:100μgおよび200μg)の有効性を子宮頚部のHSILの治療の偽薬と比較した。試験における無作為化のために適格であるように、患者はHSILを有し(CIN II/III)(膣頸管検査向けの細切採取法に由来する組織の組織学によって診断される)、HPVについて陽性の試験結果を有し(Pap試験試料のハイブリッドキャプチャーまたはPCR試験によって決定される)、かつCIN II/IIIの診断を生検時とZYC101aの初回注射時の間に膣頸管検査によって確認した。研究への参加の約6ヶ月後、患者全員をLEEP法で治療した。盲検化した、独立した病理学者の委員が、生検、およびLEEP法で得られた組織の組織学的診断を提供した。
【0164】
被検者を1:1:1の比に無作為化して、100μgのZYC101a 、200μgのZYC101a 、または偽薬を与えた。
【0165】
それぞれの患者のための用量の選択およびタイミング
部位には、薬物の再構成のためのキットを供給した。ZYC101aは、バイアルにつき約100μgのDNAを含む凍結乾燥粉末として供給された。それぞれの被検者には、0、3、および6週に、研究薬物(100μgもしくは200μgの活性薬物または1mLの偽薬)の単回のIM(側方四頭筋)注射が与えられた。偽薬は、滅菌生理食塩水であった。
【0166】
治験製品の同一性および盲検化
盲検を維持するために、患者の治療に関係していない、研究薬剤師または適切な被指名人によりIM注射用の研究薬液を再構成し、調製した。包装は、全ての治療割り当てで同一であった。
【0167】
薬物曝露の程度
表1は、患者の薬物曝露の量を示す。患者は、100〜600μgの範囲のZYC101aを与えられた。100μg群における薬物曝露の期待される合計量は、300μgであった。200μg群における薬物曝露の期待される合計量は、600μgであった。
【0168】
(表1)薬物曝露の程度

【0169】
個体群統計学およびその他のベースライン特徴
患者は、種々の個体群統計学:人種、年齢、HLA型、経口的産児制限の使用、喫煙、および妊娠回数に関して全ての処置群を通じて均一に分配した。
【0170】
患者は、種々のベースラインの診断的特徴:HPV型、細胞学、膣頸管検査、およびHC-IIに関して全ての処置群を通じて均一に分配した。
【0171】
治療コンプライアンスの測定
研究に登録された大部分の患者は、全部で計画された3回の注射を受けた。プラセボ群の2人の患者、100μg群の1人の患者、および200μgの群の3人の患者を含む合計6人の患者では、3回未満の注射を受けた。
【0172】
実施例2:有効性および安全性測定の評価、およびフローチャート
有効性
研究期間中に評価した有効性の測定は、患者が薬物または偽薬を受けるかどうかに関して盲検化された独立した病理学者の委員(IPP)によって決定された、LEEPからの頚部組織の組織学的評点(HSILの存在または非存在)であった。
【0173】
研究薬物の少なくとも1用量を受けた被検者は、HSILの最終的な治療(LEEP)を受け、最初の注射の日付から6ヶ月までの間実験計画訪問スケジュール(protocol visit schedule)に従ってモニタリングした者を完了した患者とみなした。被検者は、いつでも自発的に試験を中止することができる。さらに、主任研究員は、いつでも、早期に試験を中止することが被検者の最大の利益になると判断しうる。これらの被検者は、初期LEEPに進んだ。評価した安全測定には、初期のLEEPへ進んだ患者数、既報告の有害事象、生命徴候、理学的検査、および臨床的な研究室試験が含まれた。
【0174】
図1は、研究事象のスケジュールを示す。研究は、3つの期間:治療前の期間;治療期間;および観察期間に分けた。研究に関連した活性を、研究を通じて種々の期間モニタリングした。以下のマーカーを研究の全体を通じて評価した:HPVに対する免疫応答;Pap試験細胞学;ハイブリッドキャプチャー-IIおよび/またはPCRでのHPV試験;ならびに任意の膣頸管検査で視覚化された病変の存在。
【0175】
一次有効性解析
一次有効性の指標は、IPPによって決定されるLEEPからの頚部組織の組織診断(HSILの存在または非存在)であった。被検者は、ベースライン生検がHSILと診断され、LEEPの間に得られた組織について「LSIL」または「正常」または「HPVを示唆する異型扁平上皮」と診断された場合に、「組織学的な回復」があったと言われた。最初および最後の生検スライドは、どちらも独立したレビューのために送られる前に、地域の病理学研究室によって収集され、調製された。登録され、無作為化され、かつ投与された(かつ「安全な集団」として解析された)161人の患者の中で、127人が一次指標(mod ITT)について評価可能であった。一次指標の評価のために適当であるためには、2つの基準が必要であった:(1) 地域の病理学者によるHSIL(CIN2/3)の診断を、IPPによって確認しなければならず;かつ(2) 患者からのLEEP組織をIPPによる診断に利用できなければならなかった。
【0176】
IPPの各々の2人のメンバー(リーダー(reader)1およびリーダー2)による診断が、最初または最後の組織スライドのいずれかついて一致しない解釈を示す場合、これらのスライドは、次いで審判過程に入り、全IPP(リーダー1、リーダー2、およびリーダー3)によって読まれた。スライドの審判過程は、IPPのそれぞれのメンバーが物理的に会い、かつ共に、1) 解釈の合意に達するか、または、2)合意に達しない旨の同意が必要であった。表2は、3対のリーダーの各々について作製されたκ値を示す。IPPに関与する病理学者の対のそれぞれの組み合わせの間には、良好な一致があった。0.6〜0.8のκ値は、実質的な一致を示し、0.8〜1.0は、LEEP組織の診断の観察者間の変動についてほぼ完全な一致を表す(Stoler, et al., JAMA 287:2114-2119, 2002)。データは、リーダー間の優れた一致を示し、さらに結果の堅固さを支持する。
【0177】
(表2)LEEP組織の診断における観察者間の変動

【0178】
表3は、<25歳の集団の治療により、偽薬群に対するZYC101a処理群の回復率に有意な増大が生じたことを示す(P<0.01)。100μgと200μgの用量レベル間での統計学的な有意差は、観察されなかった。有効性解析のために、偽薬を、フィッシャーの直接確率検定を使用して組み合わせた2つの活性群に対して比較し、p値が5%よりも低い場合にのみ、各々の活性治療群に対して別々に偽薬を比較した。この段階的な手順は、全体の第1種の過誤率を5%に維持し、その結果、さらなる多重比較のための調整は必要なかった。
【0179】
(表3)LEEPにおいて、病変部が非HSILまたは正常に組織学的に回復した患者の比率

【0180】
<25歳の患者では、偽薬の患者の非HSILへの回復率が23%であった。100μg群で組織学的に回復した患者集団は67%であり、200μgの群では72%であった。併用ZYC101a治療群の患者の比率は、70%であった(p<0.01)。
【0181】
<25歳の患者では、偽薬の患者の正常への回復率が8%であった。100μg群での割合は33%であり、200μgの群では39%であった。正常に回復している併用ZYC101a治療群の患者の集団では、37%(p=0.07)であった。
【0182】
安全性
研究薬物の最初の服用の日またはその後に、および研究薬物の最初の服用の26週後までに生じた有害事象(AE)を要約した。AEは、因果関係に関わらず臨床研究に参加している被検者のあらゆる不都合な医学的出来事であった。
【0183】
血液学および化学を含む標準的な臨床検査パラメーターを研究の間にモニタリングした。研究者が、臨床的に有意な異常および臨床的な事項(concern)の何らかの変化を決定した。臨床検査値は正常範囲内、それ以下、またはそれ以上である場合に、それぞれ「正常」、「低度」、または「高度」と標識した。
【0184】
有害事象解析
表4は、有害事象を報告する患者の頻度を要約する。AEの研究者用語(逐語的用語(verbatim term))は、MedDRA Version 3.3に基づく好ましい用語に符号化した。全ての事象は、治療、被検者、および開始日付によって列挙した。発生率は、事象および治療群によって要約した。何らかのAEを経験した被検者の全体の発生率を投与群によって算出し、同じ表に示した。AEの強度は、以下によって定義された:軽度(被検者の日常の活動に干渉せず、かつ許容される一時的な症状);中程度(適度に被検者の日常の活動に干渉し、かつ許容される顕著な症状);および重度(被検者の日常の活動にかなり干渉し、かつ容認できない症状)。
【0185】
(表4)有害事象を報告する患者の頻度(5%併用処理群)

1局所注射部位有害事象
2他に特定せず
【0186】
全体的に、ZYC101aは、安全であり、十分に許容されると判定された。薬物に付随する全身毒性の証拠はなかった。前述のように、ZYC101aを受けている患者で注射部位反応を報告する患者の比率は、偽薬のものを超えて増加した。ZYC101a治療に関連していることが明らかな有害事象は、疼痛、紅斑、硬化、および非特異反応を含む注射部位に主に限定された。局所的な注射部位反応は、いずれも軽度から中程度の重篤度であり、いずれも介入または店頭鎮痛薬(over the counter analgesics)なしで治療された。100μgと200μg群を比較すると、これらの事象を報告する患者数における小用量の効果であるようであった。身体検査のベースラインからは、変化は示されなかった。血液化学、血液学、肝機能、または検尿に対するものを含む、ベースラインからの研究値における有意な変化はなかった。甲状腺の活性におけるベースラインからの臨床的に有意な変化の証拠はなかった。薬物に関連した深刻な有害事象は、報告されなかった。
【0187】
安全性についての結論
薬物は、安全で、かつ全身性の有害事象の証拠はなく十分に許容される。疼痛、紅斑、および硬化を含む局所的な注射部位反応は、ZYC101aを受けている患者で報告された。これらの事象は、軽度から中程度であり、介入または店頭鎮痛薬なしで回復した。
【0188】
実施例3:免疫応答解析
HPV特異的T細胞の数は、γインターフェロンELISPOT解析を使用してそれぞれの来診時に計数した。研究登録の患者の〜50%において、血液中にHPV特異的T細胞が検出された。この数は、より若い患者(<25の集団)で上昇した。それぞれの研究来診時に、患者の約40%がHPV特異的T細胞応答の上昇傾向を示した。
【0189】
実施例4:細胞病理解析
それぞれの時点(ベースラインおよび6週、10週、18週、および26週)での、Thin Prep Pap試験に基づく、列挙した細胞病理学的知見を有する患者数を処理群によって要約した。
【0190】
表5のデータは、HSILの非HSILへの(ベースライン時からLEEP時への)細胞学的診断における改善は、プラセボ群よりも併用ZYC101a処理群において高い頻度で生じたことを立証する。一致データは、細胞学が、患者をZYC101aで治療するときに有用なモニタリング手段であり続けることを示唆する。
【0191】
(表5)登録時にHSIL細胞学を有すると診断された患者における、LEEP時の細胞学的改善

1改善は、HSILの回復、およびその結果生じる正常、ASCUS、またはLSILのいずれかの細胞学的診断として定義される。
2フィッシャー直接確率検定を使用して、治療群に対する偽薬の比較によって決定される。
【0192】
実施例5:ウイルス学解析
Pap試験によって収集された検体に対する試験(PCR、HC-II)のいずれに関する陽性の結果は、「存在」するとみなした。最終的なLEEP測定時にウイルスが存在しない被検者の割合を算出し、フィッシャーの直接確率検定によって比較した。それぞれの検体についての相対的光単位(RLU)/カットオフ値を解析し、陽性対照値に対する相対的光単位の比率からウイルス負荷を推定した。ウイルス負荷の経時的な変化を検査した。
【0193】
LEEP来診の際にPCRによって、HPVが存在しない、または異なる亜型が見いだされた場合、ベースラインでPCRによって診断されたHPV亜型は除去されたと見なした。
【0194】
ハイブリッドキャプチャー
HC-IIは、市販されているキットであり(Digene, Gaithersburg, MD)、ThinPrep(登録商標) Pap試験試料中に存在する危険性が高いHPV型の存在を測定する。この臨床研究で行われる全てのPap試験には、ThinPrep Pap試験を使用した。高い危険性のHPVパネルは、HPV 16、18、31、33、39、45、51、52、56、59、68を含む。陽性の判断は、定義されたレベルのウイルスが試料中に存在することを示す。これは、陽性/陰性試験であり、この様式で報告された場合は、結果は定量的ではない。ウイルスの存在は、病変の存在を意味しない。この解析によるデータは、以下の記載に要約することができる:大部分の患者は、ベースラインおよびLEEPにおいてHC-II陽性である;組織学的に正常な知見の患者は、HSILまたはLSILの組織学的知見を有するものに比べてHC-II陰性の結果を有する可能性が高く、組織学的な回復、および正常な結果は、LEEPにおけるHC-II陰性の結果と必ずしも一致しない。
【0195】
ほとんど全ての患者は、ベースラインでHC-II陽性であった。予想されたとおり、正常な組織学的診断を有した患者は、LSILの最終LEEP診断を有した人々よりもHPV HC-II陰性である可能性が高かった。
【0196】
PCRによるHPV型
Pap試験試料に存在するHPV型を、試験を通じてPCR解析によって評価した。ベースラインにおけるこれらの分類研究からの結果は、以下の通りに要約された:HPV16は〜50%の患者で検出され、35%の患者はHPV16を有し、かつその他のいかなる検出可能なHPVウイルス型も有さず、HPV18は〜7%の患者で検出され、患者の〜40%は検出可能なHPV16またはHPV18を有さず、その他のHPV型を有した。表6に、特異的なHPV型がベースラインでCIN2/3患者で検出されたことを詳記する。
【0197】
(表6)研究登録時に検出されたHPV亜型

1 ≧1%の頻度で検出されたウイルス型を示す。ベースラインで検出されるが、1%を超えないウイルスは、67、6、35、39、44、61、CP8304、MM7、およびMM9を含んだ。
2 nは、それぞれのHPV型に関して陽性の被検者の数である。一部の被検者は、複数のHPV型について陽性であったので、合計は、127より大きい。
【0198】
CIN2/3患者の約99%は、試験結果によって、ベースラインでHPVに関して陽性を示した。全CIN2/3患者集団中、HPV 16および/または18が患者の56%においてベースラインで検出されたが、残りの44%ではHPV 16も18も検出されなかった。同様に、25歳未満のCIN2/3患者集団内で、HPV 16および/または18が患者の55%においてベースラインで検出され、残りの45%ではHPV 16も18も検出されなかった。表7に示したとおり、ZYC101aの投与は、被検者が、HPV 16および/または18に関して陽性(この群の64%の患者が回復)または陰性(この群の75%の患者が回復)のいずれであるかに係わらず、25歳未満の患者におけるCIN2/3の有意な回復を誘発した。これらの知見は、ZYC101a(これは、HPV型16および18由来のE6およびE7タンパク質のセグメントを含むポリペプチドをコードする)が、HPV 16および/または18以外のHPV型によって引き起こされるHPV媒介性疾患に対して治療上の利益を予想外に提供することを証明する。
【0199】
(表7)<25歳被検者のCIN2/3の回復

*99%の患者は、ハイブリッドキャプチャーまたはHPVに対するPCRによって陽性であった。
【0200】
CIN2/3患者で観察されるインビボでの交差反応性免疫応答を、異なるHPV型に由来するペプチドに対する、ZYC101aで治療した患者からのT細胞の反応性を測定することにより、さらに特徴づけた。図2に図示するように、ZYC101aを処置した8人の異なる患者に由来するT細胞は、HPV型16およびHPV型18由来のペプチドに応答する。これらの8人のうちの7人は、HPV型6およびHPV型11由来のペプチドにも応答し、したがって、ZYC101aによる患者の治療は、HPV6およびHPV 11を含むその他のHPV型に由来するペプチドを認識するT細胞を誘発することができることを証明する。HPV型6および11は、肛門性器のいぼの主要な原因因子である。図2に示した実験は、製造業者の説明書(R&D Systems)に従ってELISpotアッセイ法を使用して行った。T2/HLA-A2細胞株は、本実験のAPCとして使用し、ZYC101aで治療した患者からの濃縮されたCD8 T細胞集団と共に共培養する前にペプチドでプレパルス処理をした(pre-pulsed)。CD8 T細胞によるIFN-γ産生は、T2細胞上に提示されるペプチドによるT細胞刺激の尺度として検出した。
【0201】
実施例6:膣頸管検査解析
偽薬およびそれぞれの薬物投与群について、膣頸管検査で「病変部なし」対「少なくとも1つの病変部あり」の患者の比率を記録した。データは、病変数が経時的に減少したことを示唆する。高度の病変の数および重症度は、非HSILに回復して試験から去る患者において、経時的に減少すると予測される。
【0202】
実施例7:インビボでのZYC101aのエレクトロポレーション
エレクトロポレーションによるZYC101aの投与の有効性を、HPV媒介性癌のマウスモデルにおいて調べた。マウスに、HPV16 E7発現腫瘍細胞株TC-1を皮下注入した。加えて、マウスに筋肉内注射によってZYC101aを投与し(同時にエレクトロポレーションを伴って、および伴わずに)、次いで腫瘍領域を経時的に測定した。対照として、マウスには、ZYC900(ベクター単独を含む微小粒子)を投与するか、治療を与えないか(未処置)、またはエレクトロポレーション(未処置+電気)単独に供した。図3に示したとおり、ZYC101aは、ヒト疾患のマウスモデルにおける腫瘍成長に対する保護(微小粒子/DNA ZYC101a組成物をエレクトロポレーションによって投与したときに増強された効果)を提供した。
【0203】
その他の態様
本発明を、その詳細な説明と共に記載してきたが、前述の記載は、例示することを意図し、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定しない。その他の局面、利点、および改変は、特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】研究事象のスケジュールを示す図である。
【図2】ZYC101aを用いた個体の治療後のHPV型16、HPV型18、HPV型6、およびHPV型11ペプチドに対するT細胞応答を示すグラフのパネルである。
【図3】ZYC101a、またはエレクトロポレーションと組み合わせたZYC101aまで治療した後のインビボでの腫瘍サイズの経時的な変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの頸部上皮内新形成(CIN)を治療する方法であって:
個体が30歳またはそれより若いこと、およびCINを有することを同定する段階;ならびに
天然に存在するヒトパピローマウイルス(HPV)タンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含む方法。
【請求項2】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体が30歳またはそれより若いこと、およびCINを有することを同定する段階;ならびに
30歳またはそれより若い人のCINを治療するために有効であると同定された薬学的組成物であって、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含む方法。
【請求項3】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体が30歳またはそれより若いこと、およびHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;ならびに
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含む方法。
【請求項4】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体が30歳またはそれより若いこと、およびHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;ならびに
30歳未満またはそれより若い人のHPV媒介性疾患を治療するために有効であると同定された薬学的組成物であって、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含む方法。
【請求項5】
個体のための治療を選択する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;
個体の年齢を判定する段階;および
個体が30歳未満またはそれより若いと判定された場合、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階
を含む方法。
【請求項6】
個体のための治療を選択する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;
個体の年齢を判定する段階;および
個体が30歳またはそれより若いと判定された場合、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む、薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階
を含む方法。
【請求項7】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および
30歳またはそれより若い人のCINの治療に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項8】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物;および
30歳またはそれより若い人のHPV媒介性疾患の治療に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項9】
CINが、頸部上皮内新形成1(CIN1)または低度の扁平上皮内損傷(LSIL)である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項10】
CINが、頸部上皮内新形成2(CIN2)、頸部上皮内新形成3(CIN3)、頸部上皮内新形成2/3(CIN2/3)、または高度の扁平上皮内損傷(HSIL)である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項11】
HPV媒介性疾患が、意義不明異型扁平上皮細胞(atypical squamous cells of undetermined significance:ASCUS)、外陰部の上皮内新形成(VIN)、または肛門の上皮内新形成(AIN)である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項12】
HPV媒介性疾患が、子宮頚癌、外陰部癌、肛門癌、膣癌、陰茎癌、頭頚部癌、肺の扁平上皮癌、洞の扁平上皮癌、食道の扁平上皮癌、口腔癌、または結膜癌である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項13】
HPV媒介性疾患が、肛門性器のいぼ、ボウエノイド丘疹症、または巨大コンジロームである、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項14】
HPV媒介性疾患が、普通のいぼ、足底いぼ、扁平いぼ、ブッチャーいぼ(butcher warts)、またはいぼ状表皮異形成である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項15】
HPV媒介性疾患が、呼吸器乳頭腫症、喉頭乳頭腫、上顎洞乳頭腫、結膜乳頭腫症、または限局性口腔過形成である、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項16】
投与前に、個体が30歳未満であることを同定する段階を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項17】
投与前に、個体が25歳未満であることを同定する段階を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項18】
投与前に、個体が14歳から25歳であることを同定する段階を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項19】
投与前に、個体が18歳から25歳であることを同定する段階を含む、請求項1〜15のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項20】
エピトープが、MHCクラスI分子の結合溝と結合するペプチドである、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項21】
エピトープが、MHCクラスII分子の結合溝と結合するペプチドである、請求項1〜19のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項22】
投与する段階の後に、CINの消失またはCINの重篤度の減少を観察する段階をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項23】
投与する段階の後に、HPV媒介性疾患の消失、HPV媒介性疾患の重篤度の減少、HPV媒介性疾患の症状の消失、HPV媒介性疾患の症状の減少、またはこれらの組み合わせを観察する段階をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項24】
HPV媒介性疾患が肛門性器のいぼである、請求項1〜23のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項25】
ポリペプチドが、HPV株16タンパク質由来のエピトープを含む、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項26】
ポリペプチドが、HPV株18タンパク質由来のエピトープを含む、請求項1〜24のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項27】
ポリペプチドが、HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドである、請求項1〜26のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項28】
ハイブリッドポリペプチドが、HPV株16 E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV株16 E7タンパク質由来のエピトープを含む、請求項1〜27のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項29】
ハイブリッドポリペプチドが、HPV株18 E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV株18 E7タンパク質由来のエピトープを含む、請求項1〜28のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項30】
ハイブリッドポリペプチドが、HPV株16 E6タンパク質由来のエピトープ、HPV株16 E7タンパク質由来のエピトープ、HPV株18 E6タンパク質由来のエピトープ、およびHPV株18 E7タンパク質由来のエピトープを含む、請求項1〜29のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項31】
ハイブリッドポリペプチドが、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株16 E6タンパク質のセグメント、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株16 E7タンパク質のセグメント、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株18 E6タンパク質のセグメント、および少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含むHPV株18 E7タンパク質のセグメントを含む、請求項1〜30のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項32】
ポリペプチドが、3つのセグメント:
(a)天然に存在するHPVタンパク質の第1の部分のアミノ酸配列を有している第1のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ2つのエピトープを含む第1のセグメント;
(b)天然に存在するHPVタンパク質の第2の部分のアミノ酸配列を有している第2のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ(a)のエピトープとは異なる2つのエピトープを含む第2のセグメント;および
(c)天然に存在するHPVタンパク質の第3の部分のアミノ酸配列を有している第3のセグメントであって、少なくとも11アミノ酸の長さであり、かつ(a)および(b)のエピトープとは異なる2つのエピトープを含む第3のセグメント
を含むハイブリッドポリペプチドであり、3つのセグメントが隣接しているか、またはスペーサーアミノ酸またはスペーサーペプチドによって分離されている、請求項1〜31のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項33】
第1、第2、および第3の部分が、2つまたは3つの異なる天然に存在するHPVタンパク質の部分である、請求項32記載の方法またはキット。
【請求項34】
ハイブリッドポリペプチドが、シグナル配列をさらに含む、請求項32記載の方法またはキット。
【請求項35】
ポリペプチドが、HPV株16 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ、およびHPV株16 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つを含むハイブリッドポリペプチドである、請求項1〜34のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項36】
ハイブリッドポリペプチドが、HPV株16由来の完全な状態の全長E6または完全な状態の全長E7タンパク質のいずれかの配列と同一の配列を含まない、請求項1〜35のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項37】
ポリペプチドが、HPV株16 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
HPV株16 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
HPV株18 E6の以下のセグメント:

の少なくとも1つ;
HPV株18 E7の以下のセグメント:

の少なくとも1つを含むハイブリッドポリペプチドである、請求項1〜36のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項38】
ポリペプチドが、アミノ酸配列

を含む、請求項1〜37のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項39】
ポリペプチドが、アミノ酸配列

を含む、請求項1〜37のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項40】
ポリペプチドが、アミノ酸配列

からなる、請求項1〜37のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項41】
核酸がプラスミドベクターを含む、請求項1〜40のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項42】
核酸がウイルスベクターを含む、請求項1〜40のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項43】
薬学的組成物が微小粒子を含む、請求項1〜42のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項44】
薬学的組成物が、中にカプセル化された核酸を有する微小粒子を含む、請求項1〜43のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項45】
微小粒子が生分解性ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(D,L-lactide co-glycolide)を含む、請求項1〜44のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項46】
微小粒子が直径10ミクロン未満である、請求項1〜45のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項47】
薬学的組成物がアジュバントを含む、請求項1〜46のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項48】
投与が注射を介して行われる、請求項1〜47のいずれか1項記載の方法またはキット。
【請求項49】
注射が筋肉内である、請求項48記載の方法またはキット。
【請求項50】
注射が皮下または頚内である、請求項48記載の方法またはキット。
【請求項51】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、投与前に、個体が、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型の同一性を決定するために試験されておらず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項52】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、投与前に、個体が、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されておらず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項53】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項54】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;および
交差反応性の抗HPV免疫応答を誘発することが可能であると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含み、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項55】
ヒトのCINを治療する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;
個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を決定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階、
を含み、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項56】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、投与前に、個体が、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型の同一性を決定するために試験されておらず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項57】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階、
を含み、投与前に、個体が、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されておらず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項58】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項59】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および
交差反応性の抗HPV免疫応答を誘発すると同定された薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、薬学的組成物が、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含み、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項60】
ヒトのHPV媒介性疾患を治療する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;
個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を決定する段階;および
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に投与する段階
を含み、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まず、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項61】
個体のための治療を選択する方法であって:
個体がCINを有することを同定する段階;および
個体に存在するHPVの型を同定した存在しうるいずれの記録も最初に調べることなく、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階
を含み、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項62】
個体のための治療を選択する方法であって:
個体がHPV媒介性疾患を有することを同定する段階;および
個体に存在するHPVの型を同定した存在しうるいずれの記録も最初に調べることなく、天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物の有効量を個体に処方する段階
を含み、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、方法。
【請求項63】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである薬学的組成物;および
薬学的組成物の投与前に、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を同定するために試験されていない個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項64】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである薬学的組成物;および
薬学的組成物の投与前に、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されていない個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項65】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、薬学的組成物;および
HPVの1つまたは複数の型を有すると同定された個体のCINを治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキットであって、ポリペプチドが、個体に存在すると同定されたHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない、キット。
【請求項66】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、薬学的組成物;および
薬学的組成物の投与前に、個体に存在するHPVの1つまたは複数の型を同定するために試験されていない個体の、HPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項67】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、薬学的組成物;および
薬学的組成物の投与前に、ポリペプチドに含まれるエピトープと一部が同一であるタンパク質をコードするHPV型を有すると同定されていない個体の、HPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキット。
【請求項68】
天然に存在するHPVタンパク質のエピトープを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む薬学的組成物であって、ポリペプチドが、(a)HPV E6タンパク質由来のエピトープおよびHPV E7タンパク質由来のエピトープを含むハイブリッドポリペプチドであるか、(b)熱ショックタンパク質もしくはその免疫賦活性断片を含まないか、または(c) (a)および(b)の組み合わせである、薬学的組成物;および
HPVの1つまたは複数の型を有すると同定された個体のHPV媒介性疾患を治療する際に薬学的組成物を使用するための説明書
を含むキットであって、ポリペプチドが、個体に存在するHPV型のHPVタンパク質の一部と同一の配列からなるエピトープを含まない、キット。
【請求項69】
投与前に、個体が30歳またはそれより若いことを同定する段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項70】
投与前に、個体が30歳未満であることを同定する段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項71】
投与前に、個体が25歳未満であることを同定する段階を含む、請求項51記載の方法。
【請求項72】
投与前に、個体が18歳から25歳であることを同定する段階を含む、請求項51記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−503914(P2006−503914A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501623(P2005−501623)
【出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/032705
【国際公開番号】WO2004/037175
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(305043607)エムジーアイ ファーマ バイオロジックス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】