説明

ヒトリゾチームの製法および応用

本発明は生物医薬分野に触れている。具体的にヒトリゾチーム薬物の調合方法を紹介したものである。当該薬物の剤型は霧状(粉、液)剤で、ヒトリゾチームの含有量は1500〜30,000,000U/mlである。一つの特定した実施方式の中で、当該薬物は以下の重さの異なる成分で構成されている:活性15000u〜30万U/mlのヒト組み替え型リゾチーム、0.28gの乳化剤85、0.28gと134A10gのオレイン酸と酢酸、80%のリン酸緩衝液10〜20mM(pH6.5〜7.5)、5〜25%のプロピレングリコール。本発明の薬物はウイルス、細菌、耐性菌、塩素気体による肺炎、気管支炎、喉頭炎、扁桃体炎の予防と治療に応用されている。また、ウイルス又はSAESによる気管支炎、肺炎、肺膿瘍の治療にも応用されている。本発明の霧状ヒトリゾチームはその他の剤型と比べ、使用便利のなどの特徴を持ち、治療効果を高められ、しかも、毒・副作用がなく、安心して利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医薬、特にヒトリゾチーム新型薬物に触れている。また、製薬分野および薬物の応用にも触れている。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の最初の発見で、その後の各種抗菌剤の飛躍的な発展を導き、感染症の恐怖から人類を救い、肺炎、脳膜炎、産褥熱、敗血症、結核など病気の種類を問わず奇跡を起こす。21世紀の今日、薬性耐性菌の発展はさらに高度で大規模なものとなっている。いわゆる薬性耐性菌は細菌が薬に対して耐性を生じ、抗菌薬に感受性であった細菌が感受性を示さなくなり、薬が細菌に対する感受性が下げられ、効果がなくなってしまう。薬性耐性菌は黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、溶血性レンサ球菌、腸球菌、大腸菌、クレブジエラ肺炎桿菌、アクネ菌、アシネトバクター、霊菌属、エンテロバクター菌、緑膿菌、口そうカンジダなどがある。主にクラリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アモキシシリン、バンコマイシン、リンコマイシン、ポリシリン、メチシリン、セファロリジン類、ペニシリンナトリウム、ペニシリンのカリウム、スルフォン類に対して耐性を示す。
具体の耐性標準:(阻止円直径mm)

【0003】
細菌の耐性発展史から見ると、ある新しい抗生物質が登場したまもなく、抗生物質に対する耐性の持つ菌株が出現するのが分かる。新しい抗生物質の開発に10年という長い時間をかかるに対して、耐性菌の出現はただ2年もかからない。新しい抗生物質が次々と開発され、また直ぐ耐性菌が出現してしまうといった繰り返しがあるのが現実である。異なる耐性菌に対して効果のある「スーパー抗生物質」を開発し、臨床に応用させるのが差し迫ってきた。
【0004】
ヒト組み替え型リゾチームは一種有効な抗菌剤で、正式名称は1、4−β−Nリゾチームで、又はムコペプチドN−ムラミルヒドロラーゼとも呼ばれている。細菌の細胞壁にあるペプチドグリカンのN−アセチルグルカミンとN−アセチルムラミルとの間のβ−1、4グリコシド結合を切断することができる。ペプチドグリカンの構造が破壊され、細菌の細胞が内部の浸透圧により膨張し、細胞の破裂を招いてしまう。ヒトと動物の細胞には細胞壁とペプチドグリカンがないため、ヒトリゾチームは人体の細胞に対して、毒性がない。ヒト組み替え型リゾチームは直接細胞を分解するほか、抗ウィルス、抗腫瘍、抗炎と免疫向上の作用がある。中国特許03110824.5に基因ヒト組み替え型リゾチームの耐性菌、ウイルスに対して明らかな治療効果があると記載されている。ただ、薬の形状(剤型)の違いにより薬の吸収・効果も違ってくる。疾病に相応しい剤形の選択は薬品使用と薬物の吸収を更に促進される。
【発明の開示】
【0005】
本発明は以上の問題を克服し、薬品の特性を発揮できるような剤型を持ち、薬物吸収は速やかで、しかも、使用は便利で、効果も明らかであるヒトリゾチームを発明するのを目的としている。また、薬の製法も載せているので、その作り方も非常に簡単・便利である。そして、医薬応用、疾病予防、治療応用なども記載されている。
【0006】
以上の目的を実現するための技術案:ヒトリゾチーム薬物、エアゾル剤(粉、液)。
述べた薬物に活性1500-300万U/mlヒトリゾチームが含まれている。
述べた薬物は以下の各重さの成分で構成されている。活性15000u〜30万U/mlのヒト組み替え型リゾチーム、0.28gの乳化剤85、0.28gと134A10gのオレイン酸と酢酸、80%のリン酸緩衝液10〜20mM(pH6.5〜7.5)、5〜25%のプロピレングリコール。
ヒトリゾチームは遺伝子工学のヒト組み替え型リゾチームで、遺伝子工学で表すヒトリゾチームの末端アミド(グルタミン酸−アラニン)2又は(グルタミン酸−アラニン)3で修飾するヒト組み替え型リゾチーム或いは遺伝子工学で表し、或いは突然変異体でヒト組み替え型リゾチームを化学合成させる。
【0007】
調合技術:
ヒト組み替え型リゾチームの純度95%〜99%である活性30000U/mg乾粉を冷凍させ、15000u〜300000u/粒のエアゾル剤・噴霧剤を作り、エーロゾルポンプを採用し、GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて生産する。
調整した純度95%〜99%活性30000U/mg遺伝子ヒト組み替え型リゾチームを15000u〜300000u/ml/本噴霧剤に作り、GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて生産する。
霧状粉又は霧状液は無菌の環境で製造し、用具、容器なども清潔、無菌に保ち、生産過程中に特に微生物の汚染を防がなければならない。(GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて生産する)
調整技術工程は以下の通りである:容器とバルブシステムの処理・組み立て→薬物の製造・包装→推進薬の充填→品質検査→完成品(GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて生産する)。
一、容器の処理:GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて洗浄、殺菌、噴霧剤の缶を乾燥させる。エーロゾルポンプを採用し、クロロホルム薫蒸殺菌を必要に備える。
二、薬物の調合と包装:純度95%以上のヒト組み替え型リゾチーム、活性15000u〜300万U/mlのヒト組み替え型リゾチーム液、0.28gの乳化剤85、0.28gと134A10gのオレイン酸と酢酸、80%のリン酸緩衝液10〜20mM(pH6.5〜7.5)、5〜25%のプロピレングリコールを常温でよくかき混ぜ(GMP標準に達した工場で製薬規程に基づいて生産する)、15000u〜300万U/mlのヒト組み替え型リゾチーム噴霧剤の完成品を作る。分散システムによって配置した後、品質検査を行い、事前に用意した容器に詰め、弁を取り付け、シーリングキャップをしっかりと閉める。
三、推進薬の充填:耐圧密閉容器で推進薬の充填をする。薬物を詰めた容器に弁を取り付け、シーリングキャップをしっかりと閉める。容器内の圧力に影響を与えないように、容器内の空気を吸出し、それから、圧力式充填機で定量の推進薬を充填する。完成してから、品質検査を行う。
【0008】
本発明のヒトリゾチームはウイルス、細菌、耐性菌、塩素気体による疾病の予防と治療に応用されている。
【0009】
本発明のヒトリゾチームはウイルス、細菌、耐性菌、塩素気体による肺炎、気管支炎、喉頭炎、扁桃体炎の予防と治療に応用されている。
【0010】
本発明のヒトリゾチームはウイルス(RNA、DNAウイルス)又はSAESによる気管支炎、肺炎、肺膿瘍の治療に応用されている。
【0011】
本発明ではヒトリゾチーム薬物に対してふさわしい剤型を開発した。その他の剤型の薬物と比べ際立った特徴を持つ。1、肺部にわりに大きい吸収表面積と比較的に薄い吸収層があり、肺胞の表面積の総計は100mで、肺胞上皮が薄く、毛細血管の緻密な網がはりめぐらされているため、すばやくガス交換が行われる。しかも、より多い大分子薬の吸収ができる。2、肺部の代謝酵素活性が低いため、ジアスターゼが存在しない、又はジアスターゼからの影響を受けない。ポリペプチドと蛋白質類の薬物は存在を安定させることができることで、吸収された薬物は肝臓を通過しなく、初回通過効果が下げられる。3、肺部の環境は比較的に安定で、薬物の停留する時間が長く、薬物の作用は長く続く。吸収が遅い薬物でもよりよい生物利用可能性を持つ。4、噴霧剤の使用は環境からの影響を受けず、設備技術も簡単で、使用にも非常に便利である。肺部の薬投与は薬の働きと効果がすぐに現すという特徴がある。圧縮霧化器の霧化粒子の直径はほぼ1〜5ミクロンの間にある、直径1〜3ミクロンは70%を占めているため、70%の薬物が下気道と肺に届くことができ、理想的な臨床効果が得られる。本発明の剤型の使用はヒトリゾチームの応用分野を広げ、治療効果を高められ、しかも、毒・副作用がなく、安心に利用いただける。調整技術も簡単で、霧状で口から吸い込み、肺部に作用させるので、使用には便利で、効果も明らかである。
【0012】
よりよく本発明の実質を理解するため、以下はヒト組み替え型リゾチーム霧化剤(粉、液)の薬理実験および結果で本発明が製薬領域における新しい用途を説明する。
【0013】
遺伝子ヒト組み替え型リゾチームを200ミリリットル培養基に調合する場合、H3PO44-8ミリリットル、MgSO41-5グラム、K2SO42-6グラム、CaSO42H2O1-3.5グラムに200ミリリットルまで蒸留水を加え、高圧殺菌の後、グリセロールを接種する。揺汰機の回転数は250回/分、培養温度は20℃〜35℃、恒温ベッドで36〜48時間をかけて培養する。シーディングタンクで培養してから生産タンクで培養する。発酵された培養液を純化させ、抽出・純化した蛋白濃縮液を冷凍・乾燥させ、蛋白量、純度、リゾチーム活性保存を測る。合格した遺伝子ヒト組み替え型リゾチームを粉状又は液状の霧化剤1500U〜30000U/mlを作り、必要に備える。
一、マウスを用いた試験結果:
A、霧化遺伝子ヒト組み替え型リゾチーム(Human Lysozyme、HLZ)は黄色ブドウ球菌MRSA BAA-42を感染したマウスの気管支の肺炎への治療効果
薬物と対照薬
試薬:遺伝子ヒト組み替え型リゾチーム(Human Lysozyme、HLZ):活性単位30000u/mg、ロット番号:020110、大連奇龍生物技術研究により提供され、実験前にPBSで必要な濃度にしておく。
【0014】
対象薬:クラリスロマイシン:力価948U/mg、中国薬品生物製品検定所標準品。
【0015】
実験菌株:
2002年の臨床分離菌の耐性黄色ブドウ球菌MRSA BAA-42、四川大学華西医学センターにより贈呈された。
【0016】
実験動物:昆明種マウス、体重:17〜20グラム、四川抗菌素工業研究所動物室により提供された。動物合格証書番号:川実動質管第99-30号(2003年合格)
器具:
〈1〉霧化機芯、型番:46mm、寧波市勤州塘渓洪達電器部品工場にて生産、それをφ12cmステンレスコップに固定させ、霧化吸収塩酸膜装置として使用する。
〈2〉治療用霧化器:ドイツベリー社製圧縮噴霧器(PAR1.BOY)、当該設備は噴霧ヒトリゾチームの治療に用いられている。
〈3〉BL3100型、BS 200S-WEI型電子はかり、北京賽多斯天平公司により生産された。
〈4〉ガラス乾燥器:サイズ:φ23×12.5cm
マウスの細菌性肺炎治療実験
(1)菌液の調合と実験モデル
実験用細菌細胞集団を選び出し、生理食塩水で洗い流し、比濁分析法で菌液の濃度を2°MCF、約2.7×1011CFU/ml濁度にし、再び生理食塩水で10-1、10-2、10-3の濃度まで菌液を希釈する。経鼻感染法でそれぞれのマウスに希釈された菌液0.05mlを接種する(まずペントバルビタ-ルナトリウム30mg/kg、jpでマウスを麻酔させる)。マウスの身体的変化を観察し、感染48時間後、一部のマウスを解剖し、肺部組織の液を取り出し、生理食塩水で10倍に希釈する。10倍に希釈された液を0.1mlを取り、細菌培養基の表面まで入れ、35℃の温度で一晩経って培養する。グラム染色、鏡検、生菌数の測定を行うとともに、死亡したマウスの数を確認し、一部マウスの気管、気管支、肺組織を取り、病理組織標本として検査する。
【0017】
細菌は陽性を呈し、肺部にある細菌数は≧100CFU/ml。病理組織学で観察したマウスの気管、気管支、肺組織は明らかな血管拡張、浮腫、炎症細胞浸潤などの病理組織学の変化がある。そして、マウスの死亡率は50%以上に達したので、マウス実験で効果を実証されたのである。
【0018】
マウスの肺部の病理的な変化を起こし、50%のマウスを死に至った菌量を最低の死に至る菌量(LD50)をとし、実験で感染マウスを治療する感染菌量とする。
(2)感染マウスグループの分け
体重が17〜20グラムである健康な昆明種マウスを選び、ペントバルビタ-ルナトリウム(30mg/kg、jp)でマウスを麻酔させ、経鼻感染法で10倍のLD50と相当する菌液をマウスに接種し(0.05ml/匹)、具体的な方法は前に述べた方法と同じく、総300匹のマウスを感染させる。細菌に感染したマウスを体重により任意に10組に分け、一組に30匹のマウスがいる。
(3)薬物治療:
投与量設計:ヒトトリゾチームの臨床霧化治療を行う時の薬液の濃度は15000u/mlで、投与量を15000 u/回に設計し、一日一回、即ち0.5mg/回/日。体表面積で推測すると、マウスへの投与量は1.3×10-3mg/匹(体重は20gである場合)となる。人間の口鼻気流は約9000ml/分、マウスの場合は24ml/分で、人間はマウスの375倍である。一人70kgの人間に一回で投与する0.5mg量は、一匹の20gのマウスに一回で投与する1.3×10-3mgの384倍で、両者は最も近いのであるため、人間の臨床治療の濃度0.5mg/mlでマウスに対して霧化治療を行う。また、人間の臨床用吸入霧化リゾチーム気体の利用率が高いが、マウスが自身の呼吸で気体の薬物を吸入しかできない、従って、マウスが薬物に対する吸入量を確保するため、吸入時間を0.5時間に延長した。そして、0.5mg/mlの濃度のほか、また0.25mg/ml、1.0mg/ml、2.0mg/ml濃度の薬液を作り、治療の薬液として使用する。実験の結果は表1-1の通りである。

表1-1霧化吸入ヒトリゾチーム実験の組み分け

組別 投与量(mg/ml) 一組のマウス数(匹)
1、普通組 等体積NS 30
2、感染対照組 等体積NS 30
3、クラリスロマイシン組 10 30
4、クラリスロマイシン組 5 30
5、クラリスロマイシン組 2.5 30
6、クラリスロマイシン組 1.25 30
7、ヒトリゾチーム組 2 30
8、ヒトリゾチーム組 1 30
9、ヒトリゾチーム組 0.5 30
10、ヒトリゾチーム組 0.25 30

同じ組の動物を同時に超音波霧化器内に入れ、PAR1.BOY圧縮ネブライザーを用い、異なる濃度のヒトリゾチームを霧状にし、マウスの口や鼻から吸収させ、治療を行う(図1を参照)。一日二回、連続五日間を行う。
(4)測定方法:
感染した日から、14日間観察を行い、毎日の動物の発病情況と死亡数を記録する。感染した14日目で、各組から2〜3匹のマウスを解剖し、肺抽出液で細菌学測定を行う。残りのマウスを解剖し、気管、気管支、肺を取り出し、重さを量ってから10%のホルマリンに浸漬し、病理検査を行う。
【0019】
細菌の培養:細菌を接種させてから24時間、各組から一部のマウスを解剖し、肺を取り出し、重さを量る。2ml殺菌PBS液を加え、10倍に希釈する。0.1mlを取り出し、平板寒天法で35℃温度で24時間を培養する。平板菌数が30〜300CFである培養平板と取り、もし、隣同士の異なる濃度の組織液で接種した平板菌数がともに30〜300CFであるとき、低濃度の平板菌数で計数する(組織液ごとに三つの平板があり、その平均値を計算する)。治療薬を投与した5日、7日、14日目で同じ方法で、任意の2匹のマウスで細菌培養を行う。
【0020】
病理検査:マウスを解剖してから、まず肉眼で気管、気管支、肺、胸壁、胸膜の癒着、肺の体積と肺の病巣、肺表面の血管拡張、浮腫、浸潤影、無気肺などを観察する。気管、気管支、肺組織を取り出し、10%のホルマリンに浸漬する。浸漬されたサンプルを取り出し、包埋、薄切、HE染色を行ってから、検鏡で気管、気管支、肺組織を観察し、病理検査を行う。
【0021】
死亡率および半数の有効投与量ED50の計算:感染した日から、14日間の毎日の死亡した動物の数と動物の生存率を記録する。平均生存率を感染対照組と比べ、Bliss法で、DNSTソフトを用い、半数有効投与量のED50値と95%信頼区間の測定値の精度の指標を算出する。
【0022】
実験結果:
細菌培養結果:細菌を感染した3日目、7日目、14日目で、マウスの肺組織の研削液に対して、細菌学的検査を行う。細菌の検査結果は表1の通りである。結果から見ると、ヒトリゾチーム2,1,0.5mg/mlを霧状にし、吸収した1日目、3日目、5日目のマウスの肺部にある細菌数は細菌感染組よりはるかに低下していることが分かる。投与日数の増加につれ、細菌の数も減ってきて、しかも、著しい差異(P<0.05)がある。14日目になると、ヒトリゾチーム投与組の細菌はほぼ陰性に転じていた、≦ 10CFU/ml。
【0023】
病理組織学的観察の結果による:細菌感染した第3日目、第7日目で、それぞれ遺伝子ヒト組み替え型リゾチーム2、1、0.5mg/ml組と細菌感染組のマウスを解剖し、気管、気管支、肺を取り出し、病理検査を行った結果は表2、3、4の通りである。検査の結果によると、ヒトリゾチーム組のマウスの気管、気管支、肺の病症の程度は細菌感染組より明らかに軽い。治療薬の投与した第7日目、第14日目で、24時間観察を行ってから、各組のマウスを解剖し、マウスの肺組織に対して病理組織学的観察を行う。観察した結果、ヒトリゾチーム投与組のマウスの気管、気管支、肺はほぼ正常に戻ったが、細菌感染組の80%の動物が死亡してしまった。生存したわずかのマウスも死に瀕する状態にあって、肺胞壁の肥厚、肺胞壁への単核細胞浸潤、リンパ球浸潤、局所出血、水腫などの病理変化を現した。
【0024】
生存率およびED50値:霧状にし、吸収した遺伝子ヒト組み替え型リゾチーム(HLZ)2、1、0.5mg/mlで黄色ブドウ球菌MRSA BAA-42を感染したマウスの気管支炎・肺炎に対して治療を行い、その生存率はそれぞれ76.7%、56.7%、46.7%と40%である。平均生存日数はそれぞれ12.93±2.05日、11.23±3.36日、10.3±3.77日、9.30±4.08日である。その生存率と生存日数は細菌感染対照組より明らかに高い(細菌感染より30〜60%向上され、P<0.05)、半数有効投与量ED50は0.53mg/ml(0.20-0.90mg/ml)である。表5、6を参照してください。
【0025】
結果によると、吸入した遺伝子ヒト組み替え型リゾチームは黄色ブドウ球菌MRSA BAA-42を感染したマウスの気管支肺炎に比較的によい治療効果があり、その半数有効投与量ED50は0.53mg/mlで、霧化吸入は2、1、05、0.25mg(ml回)-1である場合、14日の間にマウスの生存率はそれぞれ76.7%、56.7%、46.7%、40%である。平均生存日数はそれぞれ12.93±2.05日、11.23±3.36日、10.3±3.77日、9.30±4.08日である。細菌感染対照組と比べ、著しい差異がある(P<0.05)。以上の実験結果により、霧化吸入遺伝子ヒト組み替え型リゾチームはマウスの細菌感染性気管支肺炎に対してわりによい保護・治療効果がある。

【0026】

表2ヒトリゾチーム各組マウスの肺部組織の病理検査結果


【0027】
注:ヒトリゾチーム投与組の最大投与量は2 mg/ml、中投与量は1mg/ml、少投与量は0.5 mg/mlとする。
【0028】
表3ヒトリゾチーム各組マウスの気管支の病理組織学的検査結果


【0029】
注:ヒトリゾチーム投与組の最大投与量は2 mg/ml、中投与量は1mg/ml、少投与量は0.5 mg/mlとする。
【0030】
表4ヒトリゾチーム各組マウスの気管病理組織学的検査結果

【0031】

注:ヒトリゾチーム投与組の最大投与量は2 mg/ml、中投与量は1mg/ml、少投与量は0.5 mg/mlとする。
【0032】
5、霧化吸入ヒトリゾチームによる黄色ブドウ球菌MRSA BAA-42
感染した細菌性肺炎のマウスの死亡分布

【0033】
注:実験感染モデル組と比べ、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001
クラリスロマイシン組と比べ、△P<0.05、△△P<0.01、△△△P <0.001
【0034】
表6霧化吸入ヒトリゾチームが黄色ブドウ球.菌MRSA BAA-42
肺炎感染マウスへの治療効果

感染後肺部の細菌数(x±sCFU/ml)
【0035】
B、耐薬性化膿連鎖球菌上気道感染症によるマウスの急慢性化膿性喉頭炎モジュールの調合:
体重が18〜22グラムである健康な昆明種マウスを10匹選び、雌性と雄性のを各5匹用い、特定量の耐薬性化膿連鎖球菌で噴霧方式によりマウスの上気道を感染させて、急慢性喉頭炎を患っているマウスを10匹選び、感染させると、供試薬剤としてのエアゾル(或は液体吸入剤、液体吸入剤)を吸入させて、30000U/ml/20g(マウスの体重と設定する),1週間の観察を行い、毎日3回投与、マウスへの有効率を記載する。実験結果によれば、組換えヒトリゾチーム霧化溶液及び吸入剤は耐薬性化膿連鎖球菌上気道感染症によるマウスの急慢性化膿性喉頭炎に対して顕著な治療効果があると明らかにした。その結果は下記の表で示す。


【0036】

C、耐薬性化膿連鎖球菌上気道感染症によるマウスの扁桃炎モジュールの調合:
体重が18〜22グラムである健康な昆明種マウスを10匹選び、雌性と雄性を各5匹用い、特定量の化膿連鎖球菌で噴霧方式によりマウスの上気道を感染させて、扁桃炎を患っているマウスを10匹選び、感染させると、供試薬剤としてのエアゾル(或は液体吸入剤、液体吸入剤)を吸入させて、30000U/ml/20g(マウスの体重と設定する),1週間の観察を行い、毎日3回投与、マウスへの有効率を記載する。実験結果によれば、組換えヒトリゾチーム霧化溶液及び吸入剤は耐薬性化膿連鎖球菌上気道感染症によるマウスの扁桃炎に対して顕著な治療効果があると明らかにした。その結果は下記の表で示す。


【0037】

D、マウスの塩酸吸入性気管支肺炎に対するヒトリゾチームの作用
実験材料
1、動物:健康な昆明種マウス50匹、雄性、体重26グラム程度、四川抗菌素工業研究所実験動物中心に提供され、一級品質の基準に達し、許可証番号:005。
2、試薬:ヒトリゾチーム(HLZ)は白い粉末であり、バッチ番号:020110、力価:30000u/mg、大連奇龍生物技術研究所に提供され、投与直前、生理食塩水で所定の濃度に調製しておく。
3、試薬:AR級塩酸、市販。蒸留水で1N濃度に調製しておく。
4、実験器具:
〈1〉噴霧機芯(タイプ:46mm、寧波市勤州唐渓洪達電器配件工場製)、それをΦ12cmのステンレス・カップの中に固定して、この自製設備を霧化吸入塩酸のモデリングに用いる。
〈2〉治療用霧化器:ドイツのパリ社製のネブライザー(PARI.BOY)、この設備をヒトリゾチームによる吸入治療に用いる。
〈3〉BL 3100とBS 200S−WE1電子てんびん、北京ザルトリウスてんびん株式会社製。
〈4〉ガラス乾燥機:サイズ:Φ23×12.5cm。
【0038】
実験方法:
50匹のマウスをランダムに群ごとに10匹ずつの5群に分けて、任意にその中の4群を選んで、霧化塩酸を吸入するモデルを作る。
【0039】
造模の原理:
マウスを群ごとに10匹ずつ、自製の霧化器のあるガラス乾燥機の中に入れて、霧化器の中には1N Hcl液があり、電子過周波数発振原理を利用して塩酸を霧化させて、マウスが霧化塩酸の空気の中で酸性ガスを吸入することによって、吸入性気管支肺損傷モデルを作り上げる。吸入期間が1時間である。その原理は:酸性物質が肺に吸入される際、白血球の付着、ICAM-1の発現の上昇、酸性物質による蛋白に対する肺の内皮細胞と上皮細胞の透過性の増加が誘発されて、これによって、肺水腫が誘発されて、さらに、酸性物質が肺に吸入されるため、若干の炎症細胞の因子が釈放される。それらのサイトカインと好中球肺組織での集中と相互活性化によって、細胞の付着と組織の損傷を引き起こすことができる。
【0040】
モデリング後の40匹のマウスを再び合併して、ランダムに4群に分けて、それぞれ3投与群と1モデル群を設ける。
【0041】
霧化治療:
ヒトリゾチームによる臨床霧化治療を実施する際、薬液の濃度が15000u/mlに設定され、初歩の用量が15000u/回、毎日1回、つまり0.5mg/回/日に設定される。体表面積で推算すればマウスの用量が1.3×10−3mg/匹(マウスの体重を20gと設定する)であるが、人の通気度9000ml/分がマウスの通気度24ml/分の375倍に相当して、人の単回用量0.5mg/70kgがマウスの用量1.3×10−3mg/20gの384倍に相当するため、二者はわりに大差なかった。だから、臨床人用濃度0.5mg/mlでマウスに対して霧化治療を実施することを設定して、また、臨床において人用吸入霧化リゾチーム気体の利用率がわりに高いが、マウスが霧化缶の中でただ自身の呼吸を介して薬物含有気体を吸入するため、吸入期間を延長しなければ吸入した薬物量を確保することができないことを考えるから、1時間と設定する。0.5mg/mlを低用量の濃度として、それに基づいて、1.0mg/mlと2.0mg/mlの2種濃度を中用量群と高用量群の治療用薬液濃度とする。
【0042】
マウスをガラス乾燥機に入れてから、PARI.BOYネブライザーに霧化された異なる濃度のヒトリゾチーム液でマウスに対して毎日1回、連続5〜10日の霧化治療を行う。(図2参照)
霧化治療の第5日と第10日に、毎群から半分の動物(5匹)を処理して、解剖を介して肺組織を取り出して、体重を量るとともに、体重によって肺の臓器係数を計算して、肉眼で肺の外観病変状況を観察して、肺組織に対して病理学的な切り口の観察を行った。
【0043】
実験結果:
(1)霧化治療5日後、解剖を介してモデル群のマウスの肺が濃い赤色になり、個別の肺葉の色が更に深暗であり、健常対照群より肺の色の差異が顕著であり、健常対照群の肺が鮮やかで薄ピンク色であると発見した。各投与群の肺の外観色は顕著な改善がある。各群の肺の臓器係数は表7に示す。

表7 霧化治療5日後、各群のマウスの肺の臓器係数

【0044】
表7に示すように、霧化治療5日後、モデル群の体重がやはり健常対照群より明らかに低くて、投与群の体重が回復された。モデル群の肺の臓器係数が明らかに増大されて、高用量群の外、中用量群と低用量群がモデル群に比べて顕著な下降を見出せた。
【0045】
病理学的な切り口の結果によれば、モデル群では、肺組織が多量の散在性分布の肺胞壁が明らかに厚くなり、肺胞が圧迫され、その間に、多量の単球及び一部の好中性白血球の浸透がある。4/5匹は病変を発生された;高用量群では、2/5匹は病変が現れて、細気管支周の単球を主にする浸透があり、ほかの1匹は多ヵ所の小病巣分布肺胞壁が厚くなるとともに単球の浸透があり、それ以外の3/5匹は正常である;中用量群では、5/5匹はほぼ正常である;低用量群では、4/5匹はほぼ正常であるが、1匹は肺胞壁型及び細気管支周に少しの単球の浸透を見出せた(図3参照)。
【0046】
肺組織の中の細小気管支に対する組織病理学的観察:
健常対照群:細小気管支、終末細気管支及び呼吸性気管支、肺胞管に、全て異常を見出せなかった。モデル群:細小気管支の腔内に大量の変性炎細胞を満たして、対応する気管支壁に多量の単球、リンパ球の浸透を見出せて、一部の細小気管支の中に少しのピンク色の粘液と少しの単球、少しの多列上皮、単層円柱上皮の脱失を見出せた;終末細気管支、呼吸細気管支には、やはり単層円柱或いは立方上皮の脱失がみせた。高用量群:小葉間気管支に偶然に多列上皮の少しの単球、リンパ球の浸透を見出せて、一部の細気管支内に少しの炎細胞及び分泌物を見出せた。中用量群:少数の細小気管支周に偶然に少しのリンパ球、単球の浸透を見出せて、多数の細小気管支の粘膜上皮と管壁が完全であり、偶然に少しの粘膜上皮の脱失を見出せた。低用量群:1つの肺組織に2ヵ所の細小気管支粘膜上皮の脱失を見出せて、もう1つの肺組織に1ヵ所の細気管支管腔内の少しの赤血球を見出せて、それ以外、異常を見出せなかった。その肺組織における細小気管支に異常を見出せなかった。
【0047】
個別の肺葉の色が更に深暗であり、健常対照群より肺の色の差異が顕著であり、健常対照群の肺が鮮やかで薄ピンク色であると発見した。各投与群の肺の外観色は顕著な改善がある。各群の肺の臓器係数は表7に示す。
【0048】
(2)霧化治療10日後、解剖を介してモデル群のマウスの肺が濃い赤色になり、健常対照群より肺の色の差異が顕著であり、その上、この群の動物には第9日に死亡(1匹)が出現したが、解剖を介して、肺臓に重度病変を発見して、その肺葉は暗黒色である。各投与群のマウスの肺の外観は全て、わりに大きな程度の改善を見出せて(図4参照)、各群の肺の臓器係数は表8に示す。

表8 霧化治療10日後、各群のマウスの肺の臓器係数

【0049】
表8に示すように、霧化治療10日後、モデル群の体重がやはり健常対照群より顕著に低くて(P<0.05)、各投与群の体重が健常対照群と大差なく、モデル群の肺の臓器係数が健常対照群より明らかに高く(P<0.01)、投与群は下降の趨勢を見出せたが、低用量群だけ顕著性(P<0.01)を見出せた。浸潤
以上の実験結果に対する分析によれば、ヒトリゾチームでマウス塩酸吸入性気管支肺損傷を治療するモジュールは有効であり、臨床人用濃度で霧化治療を実施する治療効果は最良であり、その治療効果と使用濃度とは明らかな量効関係はなかったことを知られた。
【0050】
E、組換えヒトリゾチーム薬物の体外予防とコロナウイルスへの抑制の実験:
1、実証薬物:組換えヒトリゾチーム タンパク質レベル:4.3845mg長春奇龍生物技術研究所に提供される。
2、陽性対照薬物:注射用ガンシクロビル バッチ番号:020802 湖北科益薬業株式有限会社に提供される。
3、細胞:人子宮頸癌由来細胞株 (HELA) 当室に提供される。
4、ウィルス:コロナウイルス04分離株(SARS患者血清04号サンプル) 佑安医院に提供される。
5、CO2培養器 NUAIR US AUTOFLOWに提供される。
6、(XSZ-D2) 重慶光学儀器工場製。
7、その他の試薬、器材等が全て当室に提供される。
【0051】
実験方法:
1、HELA細胞に対する組換えヒトリゾチームの毒性測定
HELA細胞を40万/mlの濃度で96穴培養プレートに接種し、37℃、5%CO2のもとで2時間培養し、実証薬物を入れ、組換えヒトリゾチームを倍数比例で6000μg/ml〜11.7μg/mlに希釈し、陽性対照薬物であるガンシクロビルを6000μg/ml〜11.7μg/mlに希釈し、濃度ごとに3穴接種し、穴ごとに100μlであり、同時に正常細胞対照を設けて、37℃、5%CO2の孵箱で6日培養し、毎日、マイクロスコープで細胞形態の変化(CPE)を観察して、25%以下の形態変化を「+」、26%〜50%の形態変化を「++」、51%〜75%の形態変化を「+++」、76%〜100%の形態変化を「++++」と設定し、Reed-Muench法で、薬物の致死毒性量(TD50)と最大無毒濃度(TD0)を計算する。
【0052】
2、コロナウイルス04号に対するHELA細胞培養での毒力測定
コロナウイルス04号の分離(SARS患者の血清の分離):
HELA細胞を40万/mlの濃度で試験管に接種し、37℃、5%CO2のもとで24時間培養し、培養液を捨てて、管ごとに0.2mlのSARS患者の血清を入れて、33℃で回転ドラムで5時間培養してから、1mlの維持培地を入れて、同時に正常細胞対照を設けて、33℃で回転ドラムで5〜7日培養する。細胞形態の変化(CPE)が起ってから、PCR法でのコロナウイルスの測定によって、04号サンプルのPCRが陽性であるから、コロナウイルス分離株と確定した。終末希釈法でウィルスを2回純化して、PCR測定によって、コロナウイルスがやはり陽性であり、免疫蛍光測定法での二つ分のSARS患者の血清の測定よって、IgMが陽性であり、IgGが4倍上昇したから、コロナウイルスと確定した。ウィルスCPE法でその力価を測定する。
【0053】
ウィルスCPE法:
HELA細胞を40万/mlの濃度で96穴培養プレートに接種し、37℃、5%CO2のもとで24時間培養し、ウィルス液を入れて、ウィルスを10−1〜10−5の5種濃度に希釈して、濃度ごとに3穴、穴ごとに100μlであり、正常細胞対照を設けて、37℃、5%CO2のもとで5〜7日培養し、24時間ごとにマイクロスコープで細胞形態の変化(CPE)を観察して、25%以下の形態変化を「+」、26%〜50%の形態変化を「++」、51%〜75%の形態変化を「+++」、76%〜100%の形態変化を「++++」と設定し、Reed-Muench法で、ウィルスの半数感染濃度TCID50を計算する。
【0054】
3、コロナウイルス04号に対するH ELA細胞培養での組換えヒトリゾチームの抑制作用
HELA細胞を40万/mlの濃度で96穴培養プレートに接種し、37℃、5%CO2の孵箱で24時間培養し、細胞を単層に培養し、培養液を捨てて、100TCID50のコロナウイルス液を入れて、37℃、5%CO2のもとで2時間吸着してから、ウィルス液を捨てて、異なる濃度の組換えヒトリゾチーム液を入れて、細胞に対する最大無毒濃度(TD0)の2倍で、薬物を10の濃度つまり750μg/ml〜1.46μg/mlに希釈し、陽性対照薬物であるガンシクロビルを薬物の2倍分で、10の濃度つまり6000μg/ml〜1.46μg/mlに希釈し、希釈された薬物を濃度ごとに3穴、それぞれ細胞穴の中に入れて、同時に正常細胞対照とウィルス対照を設けて、37℃、5%CO2の培養器で5〜7日培養し、毎日、マイクロスコープでウィルスCPEを観察して、ウィルス対照が+++〜++++になる時に実験を終えて、ReedMuench法で、薬物の半数有効濃度(IC50)と最小有効濃度(MIC)及び治療指数(TI)を計算して、薬物の効果を判断する。当実験を3回繰り返す。
【0055】
4、コロナウイルス04号に対する組換えヒトリゾチームの予防作用
HELA細胞を40万/mlの濃度で96穴培養プレートに接種し、37℃、5%CO2の孵箱で24時間培養し、細胞を単層に培養し、培養液を捨てて、異なる濃度の組換えヒトリゾチーム液を入れて、細胞に対する最大無毒濃度(TD0)の2倍で、薬物を10の濃度つまり750μg/ml〜1.46μg/mlに希釈し、陽性対照薬物であるガンシクロビルを薬物の2倍分で、13の濃度つまり6000μg/ml〜1.46μg/mlに希釈し、希釈された薬物を濃度ごとに3穴、それぞれ細胞穴の中に入れて、37℃、5%CO2のもとで2.5時間吸着してから、100TCID50のコロナウイルス液を入れて、同時に正常細胞対照とウィルス対照を設けて、37℃、5%CO2の培養器で5〜7日培養し、毎日、倒置マイクロスコープでウィルスCPEを観察して、ウィルス対照が+++〜++++になる時に実験を終えて、ReedMuench法で、薬物の半数有効濃度(IC50)と最小有効濃度(MIC)及び治療指数(TI)を計算して、薬物の効果を判断する。当実験を3回繰り返す。
【0056】
実験結果
1、HELA細胞に対する組換えヒトリゾチームの毒性実験の結果
組換えヒトリゾチーム:最大無毒濃度(TD0):750±0μg/ml、半数毒性濃度(TD0):1500±0μg/ml。
【0057】
陽性対照薬物である注射用ガンシクロビル:最大無毒濃度(TD0):>6000±0μg/ml、半数毒性濃度(TD50):>6000±0μg /ml。
【0058】
2、コロナウイルス04号に対するHELA細胞培養での毒力測定の結果(TCID50)
コロナウイルス04号:半数感染量(TCID50):10−3
【0059】
3、コロナウイルス04号に対するH ELA細胞培養での組換えヒトリゾチームの抑制作用(以下下記の実験データが3回実験結果の平均値である)
組換えヒトリゾチーム:CPE法,薬物の半数有効濃度(IC50):23.4±0μg/ml、最小有効濃度(MIC):46.8±0μg/ml、治療指数(TI):16。
【0060】
陽性対照薬物である注射用ガンシクロビル:CPE法、薬物半数有効濃度(IC50):11.7μg /ml±0、最小有効濃度(MIC):23.44μg /ml±0、治療指数(TI):256。
【0061】
4、コロナウイルス04号に対する組換えヒトリゾチームの予防作用(以下下記の実験データが3回実験結果の平均値である)
組換えヒトリゾチーム:CPE法、薬物半数有効濃度(IC50):5.9±0μg/ml、最小有効濃度(MIC):11.7±0μg/ml、治療指数(TI):64。
【0062】
陽性対照薬物である注射用ガンシクロビル:CPE法、薬物半数有効濃度(IC50):11.7μg/ml±0、最小有効濃度(MIC):23.44μg/ml±0、治療指数(TI):256。
【0063】
以上の実験結果によれば、組換えヒトリゾチーム薬物はコロナウイルスへの予防と抑制の作用があり、そのコロナウイルスに対する予防効果は抑制実験の結果より優れていることを知られた。
【0064】
具体的な実施方式:
実施例1
組換えヒトリゾチームの調合:培養基に対して高圧滅菌を実施してから、ヒトリゾチーム菌株を接種し、250回/分のシェーカー回転数、20℃の培養温度で、恒温ベッドの上で36時間培養する。種タンクでの培養を行い、最後に生産タンクでの培養を行う。次に、発酵発現を完成した培養液に対して抽出・純化を行い、抽出・純化された蛋白濃縮液に対してフリーズドライをして、蛋白の活性を測定してから、保存しておく。調合された純度95%〜99%の活性30000U/mL/mg遺伝子組換えヒトリゾチームを利用のために準備しておく。
【0065】
ヒトリゾチーム吸入エアゾル(或は粉末吸入剤)の調合:純度99%の活性30000U/mgの組換えヒトリゾチーム・フリーズドライ粉末で30000u/粒のエアロゾルカプセル製剤に形成して、フランスValios社製のカプセル吸入器に入れて、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造する。使用の際、エアゾルの形式で直接に肺部に吸入して、主にウィルス、グラム陽性菌とグラム氏陰性菌による耐薬性上下気道病症、例えば、喉頭炎、気管炎、肺炎等疾病に用いられる。
【0066】
実施例2
実施例1に述べた方法で調合された純度97%の活性30000U/mL/mg遺伝子組換えヒトリゾチームを150000u/mL/匹の吸入エアゾル(或は液体吸入剤)に形成して、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造して、ドイツのパリ社製の霧化機で、エアゾルの形式で直接に肺部に吸入して、主にウィルス、グラム陽性菌とグラム氏陰性菌による耐薬性上下気道病症、例えば、喉頭炎、気管炎、肺炎等疾病に用いられる。
【0067】
実施例3
実施例1に述べた方法で調合された純度98%の活性30000U/mgのフリーズドライ粉末を220000u/粒エアゾルカプセル製剤に形成してフランスのValios社製のカプセル吸入器に入れて、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造する。
【0068】
実施例4
実施例1に述べた方法で調合された純度95%の活性30000U/mgの遺伝子組換えヒトリゾチームを100000u/mL/管の吸入エアゾル(或は液体吸入剤)に形成して、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトリゾチーム薬物であって、剤型が吸入エアゾル(或は粉末吸入剤、液体吸入剤)であることを特徴とするヒトリゾチーム薬物。
【請求項2】
活性1500〜300万U/mlのヒトリゾチームを含有することを特徴とする請求項1記載のヒトリゾチーム薬物。
【請求項3】
下記の各重量分の構成要素からなるヒトリゾチーム薬物であって、活性15000u〜30万U/mlの遺伝子組換えヒトリゾチーム溶液、0.28gのスパン85、0.28gのオレイン酸・酢酸、10gの134A、80%のリン酸緩衝液10〜20mM(Ph6.5〜7.5)、5〜25%のプロピレン・グリコールからなる特徴とする請求項1記載ヒトリゾチーム薬物。
【請求項4】
ヒトリゾチームは遺伝子組換え発現のヒトリゾチームであって、遺伝子研究発現のヒトリゾチームのアミド側に(グルタミン酸−アラニン)2または(グルタミン酸−アラニン)3に修飾された組換えヒトリゾチーム或いは遺伝子研究表現或いは化学合成突然変体組換えヒトリゾチームを持たれていることを特徴とする請求項1記載のヒトリゾチーム薬物。
【請求項5】
ウィルス、細菌、耐薬性細菌、化学ガスである塩素による疾病の予防或いは治療に応用されることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のヒトリゾチーム薬物。
【請求項6】
ウィルス、細菌、耐薬性細菌、化学ガスである塩素による肺炎、気管炎、喉頭炎或いは扁桃炎の予防或いは治療に応用されることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のヒトリゾチーム薬物。
【請求項7】
ウィルス(RNA、DNAウィルス)或いは新型肺炎(SARS)による気管炎、肺炎及び肺膿瘍の治療に応用されることを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のヒトリゾチーム薬物。
【請求項8】
組換えヒトリゾチームの95%〜99%純度の活性30000U/mgのフリーズドライ粉末を15000u〜300000u/粒のエアロゾルカプセル製剤に形成して、カプセルエアロゾル吸入器に入れて、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造することを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のヒトリゾチーム薬物の製造方法。
【請求項9】
調合された95%〜99%純度の活性30000U/ml/mgの遺伝子組換えヒトリゾチームを15000u〜300000u/ml/管の吸入エアゾル、吸入エアゾル液体製剤に調製して、GMPの認証を取得した製薬工場で、製薬規制に従って製造することを特徴とする請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載のヒトリゾチーム薬物。

【公表番号】特表2008−501734(P2008−501734A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526178(P2007−526178)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000822
【国際公開番号】WO2005/120556
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506407512)
【Fターム(参考)】