説明

ヒト上皮成長因子2/NEU抗原をコードする合成遺伝子およびその用途

ヒト細胞環境で発現させるためにコドン最適化された、ヒトHER2/neuまたはその切断型をコードする合成ポリヌクレオチドを提供する。hHER2をコードする遺伝子は、通常ヒト癌の発症に関与する。異常なhHER2発現は癌またはその発症に関連するので、本発明はhHER2腫瘍関連抗原によって発現した蛋白質産物に対する免疫を惹起し、または増強する組成物および方法を提供する。本発明は、具体的には、コドン最適化されたヒトHER2およびコドン最適化された切断型HER2を有するアデノウイルスベクターおよびプラスミド構築物を提供し、癌を予防および治療するためのワクチンおよび医薬品組成物におけるそれらの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に癌の治療に関する。より具体的に、本発明は、ヒト細胞環境で発現するようにコドンが最適化されている、本明細書でhHER2.otpと称するヒト腫瘍関連ポリペプチド上皮成長因子2/neu抗原をコードする合成ポリヌクレオチドに関する。本発明はまた、ヒト細胞環境で発現するようにコドンが最適化されている、本明細書でhHER2ECDTM.optと称するHER2/neu抗原の切断型をコードする合成ポリヌクレオチドに関する。本発明はさらに、前記合成ポリヌクレオチドを含む組換えベクターおよび宿主に関する。本発明はまた、hHER2.optを有するアデノウイルスベクターおよびプラスミド構築物並びに癌を予防治療するためのワクチンおよび医薬組成物におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
上皮成長因子2は、HER2/neuプロトオンコジーン(c−erbB−2とも称される)によってコードされた膜貫通腫瘍関連抗原で、細胞表面受容体の上皮成長因子受容体ファミリーの1構成要素である。該HER2遺伝子は、元々ラットの神経グリア芽細胞腫から単離され(Shih他、Nature 290:261〜264(1981))、その後ヒト細胞からクローニングされて、特徴が調べられた(Coussens他、Science 230:1132〜39(1985)、King他、Science 229:974〜76(1985))。
【0003】
HER2/neuはさらに、細胞増殖および分化に関与する4種類の受容体から構成される受容体チロシンキナーゼのHERファイリーの1構成要素として分類されている。該HER受容体は、2量体として増殖因子に結合することによって、正常な細胞増殖の維持に関与する。具体的に、ヒトHER2は、EGFRファミリー(HER1、HER3およびHER4)のその他の構成要素と共にヘテロ2量体を形成する(Klapper他、Adv Cancer Res 77:25〜79(2000))。hHER2の2量体化およびチロシンの自己リン酸化に続いて、細胞質の情報伝達分子の結合部位が生じ、第2の情報伝達分子の動員が開始する。こうして、細胞増殖に重要な遺伝子の活性化を最終的にもたらす細胞内情報伝達カスケードが開始する。
【0004】
皮膚および乳房、胃腸組織、生殖管および尿管を含めた様々な組織の成人上皮細胞において検出されるHER2/neu転写物およびコード185kD蛋白質の発現は通常低レベルである(Press他、Oncogene 5:953〜962(1990))。胚の発達中に対応する胎児組織においても高レベルでHER2/neu発現が検出される(Press他、前述)。
【0005】
いくつかの発見によって、HER2抗原は積極的な特異的免疫治療にとって魅力ある標的となった。まず、HER2/neu遺伝子は通常、乳房、卵巣、子宮、結腸および前立腺の癌および肺の腺癌などの様々な悪性腫瘍において過剰発現しているか、増幅されている(Disis and Cheever、Adv.Cancer Research 71:343〜371(1997))。HER2/neuの過剰発現は、癌患者の予後の悪さおよび再発性の高さと相関する(Slamon他、Science 244:707〜712(1989))。ヒトHER2を増幅すると、MAPキナーゼ活性および細胞増殖の増加が引き起こされ、腫瘍細胞の悪性度の高さに関与する(Ben−Levy他。Embo J 13(14):3302〜11(1994))。腫瘍におけるHER2の高レベルの発現は、正常な成人組織における低レベルの発現とは正反対である。
【0006】
さらに、HER2/neu過剰発現を伴う悪性腫瘍に罹患した多くの癌患者は、HER2蛋白質に対して免疫応答を生じた。抗hHER2細胞毒性Tリンパ球(CTL)が、乳癌および卵巣癌の患者から単離された(Ioannides他。Cell Immunol 151(1):225〜34(1993)、Peoples他。Proc Natl Acad Sci USA 92(14):6547〜51(1995))。いくつかのHLA−A2.1関連hHER2ペプチドは定義づけられており、ペプチド特異的T細胞をインビトロで生成することができた(Fisk他、Cancer Res 57(1):8〜93(1997)、Yoshino他。Cancer Res 54(13):3387〜90(1994)、Lustgarten他。Hum Immunol 52(2):109〜18(1997))。
【0007】
前記の発見によって、抗ErbB−2免疫効果機構が癌患者において活性化されることが示され、このような免疫反応性を増強する潜在的な利点が強調されている。HER2/neuに対する免疫応答を利用した効果的なワクチンは、この免疫性を防御的および/または予防的レベルまで高め、自己寛容を克服するにちがいない。
【0008】
前記の詳述に基づいて、HER2/neuは悪性腫瘍の免疫学的治療を開発するための標的として追究した。抗HER2モノクローナル抗体は、乳癌の治療として研究されており、それぞれの抗体による取り組みは様々な程度の成功を示している(考察については、Yarden、Oncology 61(追補2):1〜13(2001)を参照のこと)。
【0009】
さらに、HER2/neuを標的とするDNAおよびペプチドをベースとしたワクチンが報告された。Amici他(米国特許第6127344号)は、ヒトサイトメガロウイルスプロモーターに機能的に結合させた完全長ヒトHER2/neu cDNAを含む発現ベクターを投与することによってHER2/neuに対する免疫を誘発する方法を開示している。Morris他(WO2004/041065)は、非情報伝達性HER2/neu遺伝子を発現するアデノウイルスベクターによって変更した樹状細胞によるワクチン接種の方法を開示している。Cheever and Disisは、HER2ペプチドによってHER2/neuに関連した癌に対してヒトを免疫する方法を開示している(米国特許第5856538号)。さらに、HER2/neuペプチドをベースとしたワクチンは、齧歯類のモデルで研究されている(概論については、Disis and Cheever、Adv.Cancer Res.71:343〜71(1997)参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多くのワクチンの開発および商品化は、宿主生物をうまく形質転換する外来遺伝子を高い発現濃度で獲得することに伴う困難さのために、妨げられている。したがって、前述のhHER2蛋白質をコードする野生型ヌクレオチド配列が同定されたにもかかわらず、企図する宿主細胞において発現させるために最適化されたhHER2をコードしているヌクレオチド配列を利用したヒトHER2蛋白質の容易に再生可能な材料を開発することが強く望まれており、前記材料によって有効で、自己寛容によって妨害されない癌ワクチンの開発が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、乳癌および卵巣癌を含めた数多くの腺癌に関連するヒトHER2遺伝子によって発現した蛋白質生成物に対する免疫を惹起するか、または増強する組成物および方法に関する。具体的に、本発明はヒトHER2蛋白質または該HER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含むヒトHER2蛋白質の切断型(以後hHER2ECDTM)をコードし、ヒト細胞で高濃度に発現するようにコドンが最適化されているポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに、合成ポリヌクレオチドを含むアデノウイルスベクターおよびプラスミドをベースとしたベクターを提供し、HER2に関連した癌を予防し、および/または治療するための免疫原性組成物およびワクチンにおける前記ベクターの使用を開示する。本明細書で説明したポリヌクレオチドは、その野生型HER2よりもヒトHER2に対する細胞性および体液性免疫応答を惹起するのに効率的である。
【0012】
本発明はまた、配列番号2で表したようなヒト上皮成長因子抗原(以後hHER2)をコードするヌクレオチドの配列を含み、ヒト細胞において高濃度で発現するようにコドンが最適化されている(以後、hHER2.opt)合成核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明はさらに、配列番号14で表したようなヒトHER2ECDTMをコードするヌクレオチドの配列を含み、ヒト宿主細胞において高濃度に発現するようにコドンが最適化されている合成核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本明細書で開示した核酸分子は、選択した宿主細胞にトランスフェクトすることができ、該組換え宿主細胞は、十分な濃度の機能的hHER2蛋白質(配列番号2)またはhHER2ECDTM蛋白質(配列番号14)を発現させるための原料となる。
【0013】
本発明はさらに、ヒトHER2蛋白質を発現するmRNAをコードする合成核酸分子に関する。本発明のこの部分の好ましい態様は、hHER2蛋白質(配列番号2)をコードするDNA分子(配列番号1)を示す図1に開示される。本発明の好ましい核酸分子は、ヒト細胞において高濃度で発現するようにコドンが最適化されている。この好ましいポリヌクレオチドの配列はまた、チロシンキナーゼ活性を破壊する変異を含有する(AAA2257GCC、K753A)。この変異を含有しないヌクレオチド配列もまた、本発明によって企図される。
【0014】
本発明はさらに、ヒトHER2ECDTM蛋白質を発現するmRNAをコードする合成核酸分子に関する。本発明のこの部分の好ましい態様は、hHER2ECDTM蛋白質(配列番号14)をコードするDNA分子(配列番号9)を示す図6Aに開示される。本発明の好ましい核酸分子は、ヒト細胞において高濃度に発現するようにコドンが最適化されている。
【0015】
本発明はまた、この明細書を通じて開示した核酸分子を含有する組換えベクター並びに原核細胞および真核細胞の両方の組換え宿主細胞に関する。
【0016】
本発明はさらに、(a)ヒト細胞で最適に発現するためにコドンが最適化されている、ヒトHER2蛋白質をコードする合成ポリヌクレオチドを含むベクターを適切な宿主細胞に導入すること、および(b)前記ヒトHER2蛋白質の発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養することを含む、組換え宿主細胞におけるコドン最適化ヒトHER2蛋白質の発現方法に関する。
【0017】
本発明はまた、(a)ヒト細胞で最適に発現するためにコドンが最適化されている、ヒトHER2ECDTM蛋白質をコードする合成ポリヌクレオチドを含むベクターを適切な宿主細胞に導入すること、および(b)前記ヒトHER2ECDTM蛋白質の発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養することを含む、組換え宿主細胞におけるコドン最適化ヒトHER2ECDTM蛋白質の発現方法に関する。
【0018】
本発明の他の態様は、合成核酸分子を含むワクチンベクターを哺乳類に投与することを含む癌の予防または治療方法であり、該合成核酸分子は配列番号2で表したヒト上皮成長因子2抗原(hHER2)または配列番号14で表したヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするヌクレオチドの配列を含み、ヒト細胞において高濃度に発現するようにコドンが最適化されている。
【0019】
本発明はさらに、E1領域に欠失があり、E1領域に挿入のあるアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルスワクチンベクターに関し、前記挿入は、(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2CDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む発現カセットを含む。
【0020】
本発明はまた、プラスミド部分および発現カセット部分を含むワクチンプラスミドに関し、該発現カセット部分は、(a)ヒト細胞において最適に発現させるためにコドンを最適化した、ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2EDTM蛋白質をコードする合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む。
【0021】
本発明の他の態様は、(a)哺乳類にi)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2EDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドおよびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む第1のベクターを導入すること、(b)予め定めらた時間を経過させること、および(c)該哺乳類にi)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2EDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチドおよびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む第2のベクターを導入することを含む、前記哺乳類を癌から予防するか、またはHER2に関連した癌に罹患した前記哺乳類を治療する方法である。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通じて使用したように、単数形「a」、「an」および「the」は、明白に別段の指定がない限り、複数の対象物を含む。
【0023】
本明細書および添付の特許請求の範囲を通じて使用したように、以下の定義および略語を適用する。
【0024】
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラーゼ鎖が結合するDNA鎖の認識部位のことである。該プロモーターは、RNAポリメラーゼとの開始複合体を形成し、転写活動を開始し、推進する。該複合体は、「エンハンサー」と称する活性化配列または「サイレンサー」と称する阻害配列によって変更することができる。
【0025】
「カセット」という用語は、ベクターから発現されるヌクレオチドまたは遺伝子配列、たとえば、HER2蛋白質またはHER2EDTM蛋白質をコードするヌクレオチドまたは遺伝子配列のことである。一般的に、カセットは、ある実施形態では、ヌクレオチドまたは遺伝子配列を発現させるための制御配列を提供するベクター内に挿入された遺伝子配列を含む。他の実施形態では、該ヌクレオチドまたは該遺伝子配列はそれの発現用制御配列を提供する。さらに他の実施形態では、該ベクターはいくつかの制御配列を提供し、該ヌクレオチドまたは遺伝子配列はその他の制御配列を提供する。たとえば、該ベクターは、該ヌクレオチドまたは遺伝子配列を転写するためのプロモーターを提供することができ、該ヌクレオチドまたは遺伝子配列は転写停止配列を提供する。該ベクターによって提供されることができる制御配列は、エンハンサー、転写停止配列、スプライシングアクセプターおよびドナー配列、イントロン、リボソーム結合配列およびポリ(A)付加配列を含むがそれだけに限定はされない。該カセットは、カセットテープの概念と同じで、各カセットは独自の配列を有する。したがって、カセットを交換することによって、ベクターは異なる配列を発現する。5’および3’末端に制限部位があるために、該カセットは容易に挿入したり、除去したり、他のカセットで置換したりすることができる。
【0026】
「ベクター」という用語は、DNA断片を宿主生物または宿主組織に導入することができるいくつかの手段を意味する。ベクターには、プラスミド、(アデノウイルスを含む)ウイルス、バクテリオファージおよびコスミドを含む様々な種類がある。
【0027】
アデノウイルスベクターに関して使用した「第1世代」という用語は、複製に欠陥のある前記アデノウイルスベクターを意味する。一般的に、第1世代アデノウイルスベクターは、E1遺伝子領域が欠失しているか、または不活性化しており、好ましくはE3遺伝子領域が欠失しているか、または不活性化している。
【0028】
「pV1J−hHER2.opt」という名称は、イントロンAを有するヒトCMV前初期(IE)プロモーター、完全長コドン最適化ヒトHER2遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化配列および転写終止配列並びに最小pUC骨格を含む、本明細書で開示したプラスミド構築物である(実施例2参照)。
【0029】
「pV1J−hHER2ECDTM.opt」という名称は、イントロンAを有するヒトCMV前初期(IE)プロモーター、ヒトHER2遺伝子の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含むコドン最適化切断型ヒトHER2遺伝子、ウシ成長ホルモン由来ポリアデニル化配列および転写終止配列並びに最小pUC骨格を含む、本明細書で開示したプラスミド構築物である(実施例2参照)。
【0030】
「pV1J−hHER2.wt」という名称は、構築物がコドン最適化ヒトHER2遺伝子の代わりに野生型完全長ヒトHER2遺伝子を含むこと以外は前述の通りである構築物を意味する。
【0031】
「pV1J−hHER2ECDTM.wt」という名称は、構築物がコドン最適化完全長ヒトHER2遺伝子の代わりにHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードするヌクレオチドの配列を含む野生型切断型ヒトHER2遺伝子を含むこと以外は前述の通りである構築物を意味する。
【0032】
「MRKAd5−hHER2.opt」、「MRKAd5−hHER2ECDTM.opt」および「MRKAd5−hHER2.wt」という名称は、E1およびE3領域に欠失があるAd5アデノウイルスゲノムを含む、本明細書で開示した3種類の構築物を意味する。「MRKAd5−hHER2.opt」構築物においては、E1領域は、イントロンAを有さないヒトCMVプロモーターの制御下にあるE1と平行したコドン最適化完全長ヒトHER2遺伝子およびそれに続くウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルによって置換されている。「MRKAd5−hHER2ECDTM.opt」構築物は、Ad5ゲノムのE1領域がHER2受容体の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードするヌクレオチドの配列を含むヒトHER2遺伝子のコドン最適化切断型によって置換されていること以外は本質的に前述の通りである。「MRKAd5/hHER2.wt」構築物は、Ad5ゲノムのE1領域が野生型完全長ヒトhHER2配列によって置換されていること以外は、本質的に前述の通りである(実施例11参照)。
【0033】
「有効量」という用語は、免疫応答を生じるように、十分なワクチン組成物が適切な濃度のポリペプチドの産生を誘導することを意味する。当業者であれば、この濃度は変更可能であることを承知している。
【0034】
「治療」という用語は、治療的処置および予防的または防御的手段の両方を意味する。治療の必要な人とは、既に疾患を有する人および疾患に罹りやすい人または疾患を防御すべき人を含む。
【0035】
「疾患」とは、本明細書で説明した方法またはワクチンまたは免疫組成物で治療することによって利益を受ける状態のことである。この用語は、哺乳類を問題となる疾患に罹りやすくする病的状態を含む慢性および急性障害または疾患を含む。本発明の方法およびワクチンは、乳癌、結腸癌、胃癌、卵巣癌および肺癌を含むがけっしてそれだけに限定はされない、異常なHER2/neu関連の発現または情報伝達に関連した障害または状態の治療のために企図される。
【0036】
「保存的アミノ酸置換」とは、1個のアミノ酸残基がもう1個の化学的に類似したアミノ酸残基によって置換されることを意味する。このような保存的置換の例は、1個の疎水性残基(イソロイシン、ロイシン、バリンまたはメチオニン)と他のものとの置換、1個の極性残基と電荷が同じ他の極性残基との置換(たとえば、アルギニンとリジン、グルタミン酸とアスパラギン酸)である。
【0037】
「hHER2.wt」はヒト上皮成長因子2抗原を意味し、「hHER2.opt」はコドン最適化ヒト上皮成長因子2抗原を意味する。
【0038】
「hHER2ECDTM.wt」は切断型ヒト上皮成長因子2抗原を意味し、「hHER2ECDTM.opt」はコドン最適化切断型ヒト上皮成長因子2抗原を意味する。HER2の切断型、「hHER2ECDTM.wt」および「hHER2ECDTM.opt」は、ヒトHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。
【0039】
「哺乳類」という用語は、人類を含めた任意の哺乳類を意味する。
【0040】
略語「Ag」は、抗原を意味する。
【0041】
略語「Ab」は抗体を意味し、「mAb」はモノクローナル抗体を意味する。
【0042】
略語「ORF]は、遺伝子のオープンリーディングフレームを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
ヒト上皮成長因子2(hHER2)は通常、乳癌、卵巣癌、胃癌および結腸癌を含めたいくつかの異なる種類の腫瘍を伴う。本発明は、異常なhHER2発現が癌または癌の発症に関連するhHER2遺伝子によって発現した蛋白質生成物に対する免疫を惹起するか、または高める組成物および方法に関する。異常なhHER2発現は腫瘍開始時には存在するが、腫瘍が進行した後には検出されなくてもよく、その逆であってもよいので、異常なhHER2発現が癌を伴うことは、hHER2蛋白質が癌の発症の全ての時点において腫瘍組織で発現されていることを必要としない。
【0044】
このために、完全長ヒトHER2蛋白質または本明細書でHER2EDTMと称する切断型ヒトHER2蛋白質をコードする合成DNA分子を提供する。前記切断型HER2は、ヒトHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。計画した宿主細胞、好ましい実施形態ではヒト細胞に適したコドンを使用するために、合成DNA分子のコドンを設計する。中和抗体および細胞性免疫によってHER2関連癌に対する効果的な免疫予防を提供するプラスミドベースワクチンまたは組換えアデノウイルスを開発するために、該合成分子を使用することができる。該合成分子は、免疫原組成物として使用することができる。本発明は、霊長類およびヒトなどの哺乳類を含めた脊椎動物に直接インビボで導入し、該動物においてコードされた蛋白質の発現を誘導するポリヌクレオチドを提供する。
【0045】
野生型ヒトHER2ヌクレオチド配列は報告されている(Coussens他、Science 230:1132〜39(1985)、King他、Science 229:974〜76(1985))。本発明は、完全長ヒトHER2蛋白質、またはhHER2の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む切断型ヒトHER2蛋白質、HER2ECDTMをコードする合成DNA分子を提供する。本発明の合成分子は、ヌクレオチドの配列を含み、該ヌクレオチドの少なくとも1つは、ヒト細胞によって好まれるコドンを使用するために変更されており、したがってヒト宿主細胞においてhHER2またはhHER2ECDTMを高濃度で発現させることが可能である。該合成分子は、中和抗体および細胞性免疫によってhHER2を伴う癌に対する効果的な免疫予防を提供する癌ワクチンとして使用することができる、hHER2またはhHER2ECDTM蛋白質の材料として使用することができる。あるいは、該合成分子は、DNAワクチンまたはアデノウイルスワクチンのベースとして使用することができる。
【0046】
4種類の可能なヌクレオチド塩基の「トリプレット」コドンは、60個を上回る変種の形で存在することが可能である。これらのコドンが提供する情報は、異なるアミノ酸20個(並びに転写開始および終止)のみなので、いくつかのアミノ酸は、複数のコドンによってコードされることが可能であり、コドン重複として公知の現象である。完全には理解されていないが、種類の異なる細胞の内在DNAに、別のコドンが均一に存在することはない。実際に、特定の種類の細胞ではある種のコドンには本来備わっている様々な序列または「選択性」が存在するようである。1例として、アミノ酸ロイシンはCTA、CTC、CTG、CTT、TTAおよびTTGを含めた6種類のDNAコドンのいずれかによって特定される。微生物のゲノムコドン出現頻度を徹底的に分析することによって、E.coliの内在性DNAではロイシンを指定するコドンとして最も一般的にCTGを含有し、一方酵母および粘菌のDNAではロイシンを指定するコドンとして最も一般的にTTAを含有することが明らかになった。この階層的観点から、E.coli宿主によってロイシンリッチなポリペプチドの高濃度発現が得られる可能性は、使用したコドンの頻度にある程度まで左右されるものと一般的に考えられている。たとえば、TTAコドンに富んだ遺伝子はE.coliでは十分に発現せず、一方CTGに富んだ遺伝子はおそらくこの宿主で高濃度に発現するものと思われる。同様に、酵母宿主細胞では、ロイシンに富んだポリペプチドの発現に好まれるコドンはTTAである。
【0047】
組換えDNA技術においてコドン選択現象が深く関わっていることは明らかで、該現象によって、形質転換が成功した宿主生物において外来遺伝子の高濃度発現を実現できなかったかつての多くの失敗を説明することが可能である。すなわち、あまり「好ましくない」コドンが挿入遺伝子内に繰り返し存在して、宿主細胞の発現機構があまり効率よく作動できない可能性がある。この現象は、計画した宿主細胞が好むコドンを含むように設計された合成遺伝子が、組換えDNA技術を実践するために最適な形態の外来遺伝子材料となることを示唆する。したがって、本発明の1態様は、ヒト細胞で高濃度に発現させるためにコドンを最適化したヒトhHER2遺伝子である。本発明の好ましい実施形態では、同じ蛋白質配列をコードする他のコドンを使用することによって、ヒト細胞における外来hHER2蛋白質発現の制約を取り除くことができることが見いだされた。本発明の他の態様は、ヒトHER2の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列を含み、ヒト宿主細胞で高濃度に発現させるために最適化されたコドンである切断型ヒトhHER2遺伝子、hHER2ECDTMである。
【0048】
本発明によれば、本明細書に参照により組み込むLatheの「アミノ酸配列データから推測された合成オリゴヌクレオチドプローブ:理論および実際の考察(Synthetic Oligonucleotide Probes Deduced from Amino Acid Sequence Data:Theoretical and Practical Considerations」J.Molec.Biol.183:1〜12(1985)に記載されたように、ヒトHER2遺伝子配列およびヒトHER2ECDTM遺伝子配列は、野生型の同等物と比較して同一の翻訳配列を有するが他のコドンを使用したポリヌクレオチド配列に変換された。この方法は一般に、高発現ヒト遺伝子に通常関連しない野生型配列のコドンを同定すること、およびこのコドンとヒト細胞において高発現するために最適なコドンとを置換することから構成される。前記最適なコドンとは、本明細書では「ヒトに好まれる」コドンのことである。次に、該新規配列について、これらのコドン置換によって生じた望ましくない配列を調べる(たとえば、「ATTTA」配列、イントロンスプライシング認識部位の偶発的な発生、望ましくない制限酵素部位、高GC含量など)。所望しない配列は、同一アミノ酸をコードする異なるコドンで既存のコドンを置換することによって除去される。次に、該合成遺伝子部分の発現が改善されていることを試験する。
【0049】
前述の方法を使用してヒトhHER2およびヒトHER2ECDTMの合成遺伝子配列を作製して、ヒト細胞で高い濃度で発現するために最適化したコドンを含む完全長および切断型遺伝子を得た。前記の方法は、癌ワクチンで使用するコドン最適化遺伝子を設計するための1方法を要約したものであるが、該方法を少し変更するか、または配列を少し変化させることによって、同様のワクチンの有効性または遺伝子発現の増加を実現できることは当業者に理解されている。当業者はまた、DNA分子のほんの一部のコドンをコドン最適化して、ヒト細胞において高濃度のhHER2またはhHER2ECDTM発現をもたらす他のDNA分子を構築できることを理解するであろう。本発明の核酸分子は、実質的に他の核酸を含まない。
【0050】
したがって、本発明は、ヒトhHER2蛋白質、たとえば、配列番号2で記載したヒトHER2蛋白質、またはヒトHER2蛋白質の生物学的に活性のある断片または変異型をコードするヌクレオチドの配列を含み、ヒト宿主で発現するために最適化されたコドンを含む合成ポリヌクレオチドに関する。hHER2蛋白質の前記変異型は、保存的アミノ酸置換、アミノ末端切断、カルボキシ末端切断、欠失または添加を含むが、それだけに限定されない。このような生物学的活性のある断片および/または変異体はいずれも、配列番号2で示したようなhHER2蛋白質の免疫学的特性を少なくとも実質的に模倣した蛋白質または蛋白質断片をコードする。本発明の合成ポリヌクレオチドは、治療用または予防用癌ワクチンの開発に有用であるように、機能的なヒトHER2蛋白質を発現するmRNA分子をコードする。
【0051】
本発明の好ましいポリヌクレオチドは、切断型ヒトHER2ECDTM蛋白質(配列番号14)をコードするヌクレオチドの配列を含むポリヌクレオチドで、該ポリヌクレオチド配列は、ヒト宿主で発現するために最適化されたコドンを含む。本発明の特に好ましいポリヌクレオチドは、配列番号9で記載したヌクレオチドの配列を含む。
【0052】
本発明はまた、ヒトHER2蛋白質、たとえば配列番号2で示した完全長ヒトHER2蛋白質または切断型HER2ECDTM蛋白質、たとえば、配列番号14で示したHER2EDTM配列を発現するmRNAをコードするヌクレオチドの配列を含む合成核酸分子(ポリヌクレオチド)に関する。本発明の合成核酸分子は、ヒト細胞において高濃度で発現するようにコドンが最適化されている。
【0053】
本発明の範囲内にはまた、配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するHER2ポリペプチド変種をコードするヌクレオチドの配列を含むコドン最適化ポリヌクレオチドが含まれ、ここにおいて、配列番号2の全体の長さでN個までのアミノ酸の変更を含むことが可能で、Nは式、
=X−(XY)によって算出され、
式中、Xは配列番号2のアミノ酸総数であり、Yの値は0.90であり、XおよびYの積が整数でないとき、このような積を最も近接した整数に四捨五入してからXから差し引く。同様に、本発明はまた、配列番号14で示したHER2EDTMポリペプチドの変種をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列を企図する。
【0054】
本発明はまた、この明細書を通じて開示した核酸分子を含有する組換えベクター並びに原核細胞および真核細胞の両方の組換え宿主細胞に関する。本発明の合成DNA分子、関連ベクターおよび宿主は、癌ワクチンの開発に有用である。
【0055】
本発明の好ましいDNA分子は、図2で示し配列番号2で表したヒトHER2蛋白質をコードする、(図1で示した)配列番号1のような本明細書で開示したヌクレオチド配列を含む。配列番号1で示したヌクレオチド配列は、ヒト細胞で最適に発現するためにコドンが最適化された。PCR増幅の問題を回避するために、本発明のこの実施形態では、同一アミノ酸組成を保存しながらGC含量を減少させたあまり厳密ではない最適化設計を3601位から3805位の間のhHER2配列に採用した。図5を参照のこと。
【0056】
本発明の他の好ましいDNA分子は、配列番号14で表したヒトHER2ECDTM蛋白質をコードする、(図6Aで示した)配列番号9として本明細書で開示したヌクレオチド配列を含む。配列番号9で示したヌクレオチド配列は、ヒト細胞で最適に発現するためにコドンが最適化された。
【0057】
当業者であれば、1個または複数のコドンをヒトに好まれるコドンに変更すれば、ヒト細胞で高濃度に発現するためにコドンを最適化されたその他のHER2配列を設計することができることに気づくであろう。本発明の合成HER2ヌクレオチド配列を含むコドンの少なくとも約80%は、ヒトに好まれるコドンであることが好ましい。コドンの少なくとも約85%は、ヒトに好まれることがさらに好ましく、コドンの少なくとも約90%がヒトに好まれることがさらにより好ましい。
【0058】
本発明はまた、ヒトHER2蛋白質を発現するmRNAをコードする配列番号1の生物学的に活性のある断片または変異体を含む。任意のこのような生物学的活性のある断片および/または変異体は、配列番号2で表したhHER2蛋白質を含むが、それだけに限定されないhHER2蛋白質の薬理学的特性を少なくとも実質的に模倣した蛋白質または蛋白質断片のいずれかをコードする。任意のこのようなポリヌクレオチドは、ヌクレオチド置換、欠失、添加、アミノ末端切断およびカルボキシ末端切断を含むが、必ずしもそれだけに限定される必要はない。本発明の変異体は、癌ワクチンの開発に有用であるように真核細胞において機能的hHER2蛋白質を発現するmRNA分子をコードする。
【0059】
本発明はまた、合成DNAのヌクレオチド配列が配列番号1または配列番号9のヌクレオチド配列とは著しく異なるが、それでも配列番号2で表したhHER2蛋白質または配列番号14で示したhHER2ECDTM蛋白質をコードする、hHER2蛋白質またはhHER2ECDTM蛋白質をコードする合成コドン最適化DNA分子に関する。このような合成DNAは、本発明の範囲内にあるものとする。したがって、本発明は、同一の蛋白質を発現する数多くのDNA分子をもたらすことができるコドン重複を開示する。本発明の範囲内にはまた、発現した蛋白質の基本的な物理特性を実質的に変更しないDNA配列の変異が含まれる。たとえば、ロイシンをバリンに、リジンをアルギニンに、またはグルタミンをアスパラギンに置換しても、ポリペプチドの機能に変化が生じる可能性はない。
【0060】
ペプチドをコードするDNA配列は、天然に生じるペプチドと異なる特性を有するペプチドをコードするために改変できることが知られている。DNA配列の改変方法は、部位特異的変異誘発を含むが、それだけに限定されない。改変された特性の例は、基質に対する酵素またはリガンドに対する受容体の親和性の変化を含むが、それだけに限定されない。
【0061】
本発明はまた、GFP(緑の蛍光蛋白質)、MYCエピトープ、GSTおよびFcを含むが、それだけに限定されない様々なマーカーに結合させたヒトHER2蛋白質の一部を発現する融合構築物を含むが、それだけに限定されないhHER2optおよびhHER2ECDTMopt融合構築物に関する。任意のこのような融合構築物は、関心のある細胞系で発現させることが可能で、本明細書で開示したヒトHER2蛋白質の修飾因子をスクリーニングするために使用することが可能である。DOM、hsp70およびLTBを含むが、それだけに限定されない、ヒトHER2に対する免疫応答を高めるために構築された融合蛋白質もまた、企図される。
【0062】
本発明はさらに、この明細書を通じて開示した合成核酸分子を含む組換えベクターに関する。これらのベクターは、DNAまたはRNAから構成されることが可能である。ほとんどのクローニングには、DNAベクターが好まれる。一般的なベクターは、プラスミド、改変ウイルス、バキュロウイルス、バクテリオファージ、コスミド、酵母の人工染色体、およびhHER2蛋白質またはhHER2ECDTM蛋白質をコードすることができるその他の形態のエピソームDNAまたは統合DNAを含む。特定の遺伝子輸送またはその他の用途に適切なベクターを決定することは、十分当業者の範囲内である。
【0063】
hHER2蛋白質をコードするコドン最適化DNAを含有する発現ベクターは、組換え宿主細胞においてhHER2を高濃度に発現するために使用することができる。さらに、hHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化DNAを含有する発現ベクターは、組換え宿主細胞においてhHER2ECDTMを高濃度に発現するために使用することができる。発現ベクターは、クローニングベクター、改変クローニングベクター、特異的に設計されたプラスミドまたはウイルスを含むが、それだけに限定されない。また、所望するならば、様々な細菌発現ベクターを使用して、細菌細胞で組換えhHER2またはhHER2ECDTMを発現することができる。さらに、様々な真菌細胞発現ベクターを使用して、真菌細胞で組換えhHER2またはhHER2ECDTMを発現することができる。さらに、様々な昆虫細胞発現ベクターを使用して、昆虫細胞で組換え蛋白質を発現することができる。
【0064】
本発明はまた、本発明の核酸分子を含むベクターで形質転換または形質移入した宿主細胞に関する。組換え宿主細胞は、E.coliなどの細菌、酵母などの真菌細胞を含めるがそれだけに限定されない原核細胞または真核細胞、ウシ、ブタ、サルおよび齧歯類由来の細胞系を含むがそれだけに限定されない哺乳類細胞、並びにショウジョウバエおよびカイコ由来の細胞系を含むがそれだけに限定されない昆虫細胞であってよい。このような組換え宿主細胞は、hHER2、hHER2ECDTMまたは生物学的に等価な形態を生成するために適した条件下で培養することができる。本発明の好ましい実施形態では、該宿主細胞はヒトである。本明細書で定義したように、「宿主細胞」という用語は、遺伝子を組み換えたヒトの体、遺伝子を組み換えたヒト胎児または遺伝子を組み換えたヒト胚における宿主細胞を含むものではない。
【0065】
前述のように、hHER2蛋白質またはhHER2ECDTM蛋白質をコードするDNAを含有する発現ベクターは、組換え宿主細胞においてhHER2またはhHER2ECDTMを発現するために使用することができる。したがって、本発明の他の態様は、(a)ヒトHER2またはヒトHER2ECDTMをコードするコドン最適化核酸を含むベクターを適切なヒト宿主細胞に導入すること、および(b)前記ヒトHER2蛋白質または前記HER2ECDTM蛋白質の発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養することを含む、組換え宿主細胞におけるヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質の発現方法である。
【0066】
本発明の好ましい態様は、(a)配列番号1で表した核酸を含むベクターを適切なヒト宿主細胞に導入すること、および(b)前記ヒトHER2蛋白質の発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養することを含む、組換え宿主細胞におけるヒトHER2蛋白質の発現方法である。
【0067】
本発明の他の好ましい態様は、(a)配列番号9で表した核酸を含むベクターを適切なヒト宿主細胞に導入すること、および(b)前記ヒトHER2ECDTM蛋白質の発現を可能にする条件下で該宿主細胞を培養することを含む、組換え宿主細胞におけるヒトHER2ECDTM蛋白質の発現方法である。
【0068】
宿主細胞でhHER2またはhHER2ECDTMが発現した後、hHER2またはhHER2ECDTM蛋白質を活性型の蛋白質に回収することができる。いくつかの蛋白質精製方法が有用で、使用に適している。組換えhHER2蛋白質またはHER2ECDTM蛋白質は、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイト吸着クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーの様々な組み合わせ、または個々の適用によって細胞溶解物および抽出物から精製することができる。さらに、組換え蛋白質は、完全長hHER2蛋白質またはhHER2蛋白質のポリペプチド断片に特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体で作製した免疫親和性カラムを使用することによって、その他の細胞蛋白質から分離することができる。
【0069】
本発明の核酸は、ヒト細胞において蛋白質の効果的な発現をもたらすように設計された配列を含む発現カセットに組み込むことができる。本発明の1実施形態では、該カセットは、コドンを最適化した完全長hHER2遺伝子と共に、プロモーターなど、それに作動可能に結合した転写および翻訳制御関連配列並びに終止配列を含有する。本発明の第2の実施形態では、該カセットは、ヒトHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードする切断型HER2遺伝子、HER2ECDTMを含有する。好ましい実施形態では、該プロモーターはイントロンA配列(CMV)を含まないサイトメガロウイルスプロモーターであるが、当業者であれば、強力なイムノグロブリンなどの多数のその他の公知のプロモーター、またはその他の真核細胞遺伝子プロモーターを使用できることを認識するであろう。好ましい転写終結区は、ウシ成長ホルモン終結区であるが、その他の公知の転写終結区もまた使用することができる。CMV−BGH終結区の組み合わせは特に好ましい。
【0070】
本発明によれば、hHER2optまたはhHER2ECDTMopt発現カセットは、ベクターに挿入される。該ベクターは、好ましくはアデノウイルスベクターであるが、プロモーターに結合した線状DNAまたはその他のベクター、たとえば、アデノ関連ウイルスまたは改変ワクチンウイルス、レトロウイルスまたはレンチウイルスベクターもまた使用することができる。
【0071】
選択したベクターがアデノウイルスの場合、ベクターがいわゆる第1世代アデノウイルスベクターであることが好ましい。これらのアデノウイルスベクターは、非機能性E1遺伝子領域を有することが特徴で、好ましくはアデノウイルスE1遺伝子領域が欠失していることが好ましい。いくつかの実施形態では、該発現カセットはE1遺伝子が通常位置する位置に挿入される。さらに、これらのベクターは、場合によって非機能性E3領域を有するか、E3領域を欠失している。使用したアデノウイルスゲノムは、E1およびE3領域の両方が欠失していること(ΔE1ΔE3)が好ましい。該アデノウイルスは、ウイルスE1遺伝子を発現する公知の細胞系、たとえば、293細胞、またはPERC.6細胞、または一時的に、または安定して形質転換して外来蛋白質を発現する293またはPERC.6細胞から得られた細胞系で増殖することができる。たとえば、テトラサイクリン制御プロモーター系などの遺伝子発現が制御された構築物を使用するとき、該細胞系は、制御系に関連した成分を発現することができる。このような細胞系の1例は、T−Rex−293であり、その他は当業界で公知である。
【0072】
アデノウイルスベクターの操作に便利なように、該アデノウイルスはシャトルプラスミド型であることが可能である。本発明はまた、プラスミド部分およびアデノウイルス部分を含むシャトルプラスミドベクターを対象としており、該アデノウイルス部分はE1が欠失し、場合によってE3も欠失したアデノウイルスゲノムを含み、コドン最適化ヒトHER2またはコドン最適化hHER2DCDTMを含む発現カセットが挿入されている。好ましい実施形態では、アデノウイルスベクターが容易に除去され得るように、プラスミドのアデノウイルス部分に隣接して制限部位がある。該シャトルプラスミドは、原核細胞または真核細胞で複製することができる。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、該発現カセットはpMRKAd5−HV0アデノウイルスプラスミド(本明細書に参照により組み込むEmini他、WO02/22080を参照のこと)に挿入される。このプラスミドは、E1およびE3領域が欠失したAd5アデノウイルスゲノムを含む。pMRKAd5−HV0プラスミドの設計は、5’シス作用パッキング領域をE1遺伝子にさらに伸長し、ウイルスパッケージングを最適化するために重要であることが発見された要素を組み入れ、ウイルス増幅の増強をもたらすことによって、以前のアデノウイルスベクターよりも改良された。有利なことに、この増強されたアデノウイルスベクターは、何度か継代増殖させた後でも遺伝子安定性を維持することができる。
【0074】
DNA構築物を調製および精製する分子生物学の標準的技術によって、本発明のアデノウイルス、シャトルプラスミドおよびDNA免疫原を調製することが可能である。
【0075】
本発明によって、ヒト細胞において高濃度で発現するようにコドンが最適化された、本明細書で説明した合成cDNA分子(配列番号1および配列番号9)は、対応する野生型配列よりも効率的に発現することが測定された。さらに、本明細書では、hHER2optはhHER2よりも免疫原性が高く、細胞性および体液性両方の免疫応答をより効果的に惹起することが示された。
【0076】
したがって、前述のベクターは、異常なHER2発現に関連した腺癌の発症の予防および/または既存の癌の治療のための免疫原性組成物およびワクチンに使用することができる。本発明のベクターは、形質転換が成功した宿主生物における外来性HER2の高濃度発現に伴う問題を排除することによって、ワクチン開発および商品化を可能にする。このために、本発明の1態様は、配列番号2で表したヒトHER2蛋白質または配列番号14で表したヒトHER2EDTM蛋白質をコードするヌクレオチドの配列を含むコドン最適化合成核酸分子を含むワクチンベクターを哺乳類に投与することを含む、HER2を伴う癌の予防または治療方法である。
【0077】
前述の方法によれば、該ワクチンベクターはいかなる哺乳類の癌の治療または予防のためにも投与することができる。本発明の好ましい実施形態では、該哺乳類はヒトである。
【0078】
さらに、当業者は説明した治療方法および予防方法で使用するために任意の種類のベクターを選択することができる。好ましくは、該ベクターはアデノウイルスベクターまたはプラスミドベクターである。本発明の好ましい実施形態では、該ベクターはアデノウイルスE1領域に欠失があり、アデノウイルスE1領域に挿入のあるアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルスベクターであって、前記挿入は、(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む発現カセットを含む。
【0079】
本発明はさらに、E1領域に欠失があり、E1領域に挿入のあるアデノウイルスゲノムを含むアデノウイルスワクチンベクターに関し、前記挿入は、(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2CDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む発現カセットを含む。
【0080】
本発明の好ましい実施形態では、該アデノウイルスベクターはAd5ベクターである。
【0081】
本発明の他の好ましい実施形態では、該ベクターはAd6ベクターまたはAd24ベクターである。
【0082】
他の態様では、本発明は、プラスミド部分および発現カセット部分を含むワクチンプラスミドに関し、該発現カセット部分は、(a)ヒトHER2蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む。
【0083】
本発明はまた、プラスミド部分および発現カセット部分を含むワクチンプラスミドに関し、該発現カセット部分は、(a)ヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよび(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書で開示した組換えアデノウイルスワクチンは、免疫応答の増強を誘導するためにプラスミドをベースとしたポリヌクレオチドワクチンによる様々な初回/追加免疫の組み合わせで使用される。この場合、この2種類のベクターは「初回および追加免疫」計画で投与される。たとえば、第1の種類のベクターを投与し、次に所与の時間、たとえば、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後またはその他の適切な間隔を経て、第2の種類のベクターを投与する。好ましくは、該ベクターは同一のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組み合わせをコードする発現カセットを有する。プラスミドDNAをまた使用する実施形態では、該ベクターは哺乳類細胞または昆虫細胞によって認識される1種または複数のプロモーターを含有することが好ましい。好ましい実施形態では、該プラスミドは強力なプロモーターを含有し、たとえば、CMVプロモーターであるが、それだけに限定されない。該合成ヒトHER2遺伝子、HER2ECDTN遺伝子、または発現すべきその他の遺伝子は、このようなプロモーターに結合されるだろう。このようなプラスミドの1例は、前述のような哺乳類発現プラスミドV1Jnsである(本明細書に参照により組み込まれるJ.Shiver他、DNA Vacchines、M.Liu他著、N.Y.Acad.Sci.、N.Y.、772:198〜208(1996))。
【0085】
前述のように、アデノウイルスベクターワクチンおよびプラスミドワクチンは、免疫応答を惹起する単一の治療計画の一部として脊椎動物に投与することができる。このために、本発明は、(a)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTMをコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合させたプロモーターを含む第1ベクターを哺乳類に導入すること、(b)予め決定した時間量を経過させること、および(c)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTMをコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチド、およびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む第2のベクターを哺乳類に導入することを含む哺乳類の癌の予防方法に関する。
【0086】
前述の防御方法の1実施形態において、第1のベクターはプラスミドであり、第2のベクターはアデノウイルスベクターである。他の実施形態では、第1のベクターはアデノウイルスベクターであり、第2のベクターはプラスミドである。
【0087】
本発明はさらに、(a)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチド、およびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む第1のベクターを哺乳類に導入すること、(b)予備決定された時間経過させること、および(c)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化合成ポリヌクレオチドおよびii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーターを含む第2のベクターを該哺乳類に導入することを含む、HER2関連癌に罹患した哺乳類の治療方法に関する。
【0088】
前述の治療方法の1実施形態において、第1のベクターはプラスミドであり、第2のベクターはアデノウイルスベクターである。他の実施形態では、第1のベクターはアデノウイルスベクターであり、第2のベクターはプラスミドである。
【0089】
ワクチン受容体に導入すべき発現可能なDNAまたは転写されたRNAの量は、使用したプロモーターの強度および発現遺伝子産物の免疫原性に部分的に左右される。一般に、免疫学的または予防的に有効な用量、約1ngから100mg、好ましくは約10μgから300μgのプラスミドワクチンベクターを直接筋肉組織に投与する。組換えアデノウイルスの有効量は、粒子約10個〜1012個で、好ましくは約10個〜1011個である。皮下注射、皮内注射、皮膚からの圧入およびその他の投与様式、たとえば、腹腔内、静脈内または吸入送達もまた企図される。追加免疫ワクチン接種を行うこともまた、企図される。本発明のワクチンの非経口的導入と同時に、またはその後で、アジュバント、たとえば、インターロイキン12蛋白質を非経口的に、たとえば、静脈内、筋肉内、皮下またはその他の投与手段で投与することもまた、有利である。
【0090】
本発明のワクチンは、裸であること、すなわち、いかなる蛋白質、アジュバントまたは受容体の免疫系に影響を与えるその他の薬剤が関与していないことが可能である。この場合、ワクチンベクターは生理学的に許容される溶液、たとえば、滅菌生理食塩水または滅菌緩衝生理食塩水に溶かすことが望ましい。あるいは、本発明のワクチンまたは免疫原組成物と共に免疫賦活剤、たとえば、アジュバント、サイトカイン、蛋白質、またはその他の担体を投与することが有利であり得る。したがって、本発明は、本発明の組成物および方法と組み合わせてこのような免疫賦活剤を使用することを含む。本明細書で使用した免疫賦活剤とは、外来抗原に対する(抗体および/または細胞性)免疫応答を増強または助長する本質的に任意の物質のことである。前記免疫賦活剤は、DNAまたは蛋白質の形態で投与することができる。GM−CSF、IFNα、破傷風毒素、IL12、B7.1、LFA−3およびICAM−1を含むが、それだけに限定されない様々な免疫賦活剤はいずれも、本発明のワクチンおよび免疫組成物と組み合わせて使用することができる。前記免疫賦活剤は、当業界で周知である。DNAの細胞による摂取を助ける薬剤、たとえば、それだけに限定されないがカルシウムイオンはまた、使用することができる。これらの薬剤は一般的に、形質移入を容易にする試薬および薬剤として許容される担体のことである。当業者であれば、特定の免疫賦活剤または薬剤として許容される担体並びに適切な時間および投与様式を決定することができる。
【0091】
本明細書で記載した刊行物は全て、本発明と関連づけて使用することが可能な方法および材料を記載し、開示するために参照により組み込む。ここにおけるいかなる開示内容も、本発明が、先行技術の効力によってこのような開示に対して先行する権利を与えられていないことを認めるものではない。
【0092】
添付した図面を参考にして本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はそれらの厳密な実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲で定義した本発明の範囲または精神を逸脱することなく、当業者が様々な変更および修正を実行できることを理解されたい。
【0093】
以下の実施例は本発明を例示するものであって、限定するものではない。
【実施例1】
【0094】
コドン配列を最適化したヒトHER2
完全なhHER2.optコーディング配列を合成して、BIONEXUS(Bionexus Inc.Oakland、CA)によって組み立て、pCR−平滑末端ベクター(Invitrogen、The Netherlands)にクローニングした。hHER2.opt cDNAはオリゴヌクレオチドを使用して構築し、PCRによって組み立てた。本明細書で説明した多くの実験では、使用したhHER2.optヌクレオチド配列は5’末端に最適化したKozak配列、配列番号11で表した完全なヌクレオチド配列を有していた。
【0095】
さらに、APT結合リジン残基753は、コドンAAAをGCAで置換することによってアラニン(K753A)に置換した。この変異によって、対応する蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害し、下流の情報伝達現象およびヒト(Messerle他。Mol Cell Endocrinol 105(1):1〜10(1994))またはラットHER2(Ben Levi他、前記)で生じる癌遺伝子活性がなくなる。さらに、キナーゼ欠損K756A変異は、共発現癌遺伝子hHER2.wtの情報伝達活性を不活性化することができる。
【実施例2】
【0096】
プラスミド構築物
pV1J−hHER2.wt:ヒトHER2野生型をコードする配列は、プラスミドpLTR−2/erb−B2(P.Di Fiore、Euroean Institute of Oncology、Milan、Italyから恵与された、Di Fiore他、Science 237(4811):178〜82(1987))からプライマーhNeu.for1
【0097】
【化1】

およびhNeu.rev2
【0098】
【化2】

およびTaKaRa LA Taqポリメラーゼ(TaKaRa Otsu、Shiga、Japan)を使用してPCRによって増幅した。増幅産物には最適化した翻訳開始部位(Kozak、M.、J Mol Biol 196(4):947〜50(1987)、Kozak、M.、Nucleic Acid Res 15(20):8125〜48(1987))が組み込まれており、PmeIおよびSalI制限酵素で消化し、哺乳類の発現プラスミドpV1JnsAのEcoRVおよびSalI部位にクローニングした(Montgomery他、DNA Cell Biol 12(9):777〜83(1993)参照)。このように生じたプラスミドpV1J−hHER2はイントロンA配列を有するヒトサイトメガロウイルス前初期プロモーターの転写制御下で完全長野生型ヒトHER2配列を含有していた。ヒト野生型HER2コーディング配列の後にはウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列があった。
【0099】
pVlJ−hHER2.opt:EcoRI−SalI断片3793bpは、プラスミドpCR−hHER2optから切り出し、プラスミドpV1JnsB(Mongtomery他、前述)の対応する部位にクローニングし、pV1J−hHER2.optプラスミドを作製した。
【0100】
pVlJ−hHER2ECDTM.opt:2168bpの断片は、プライマーEcoRV−for
【0101】
【化3】

およびSalI−rev
【0102】
【化4】

と共にTaKaRa taq)を使用して、pV1J−hHER2.optから増幅した。得られた断片は、EcoRVおよびSalI制限酵素で消化し、プラスミドpV1JnsB(Mongtomery他、前述)の対応する部位にクローニングし、pV1J−hHER2ECDTM.optプラスミドを作製した。
【実施例3】
【0103】
コドンを最適化したhHER2 cDNA
合成ヒトHER2遺伝子(hHER2.opt、図1)を、各アミノ酸(以後aa)残基についてヒトに好ましい(ヒト化)コドンを組み込むために設計した。遺伝子の組み立て中、PCR増幅において、3642位から始まる86bpの配列は、この領域には配列GC含量が高いために一貫して除去された。この問題を克服するために、同一aa組成を保存しながらGC含量を減少させた、あまり厳密ではない最適化設計物をhHER2配列のために3601位から3805位の間に採用した。
【0104】
コドン最適化cDNAは、元々のクローンに対して83.9%のヌクレオチド同一性を維持するように改変された。該コドン最適化cDNAは、pV1Jベクター(Montgomery他、前述)のKozak最適化配列
【0105】
【化5】

の前、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)/イントロンAプロモーターおよびウシ成長ホルモン(BGH)終止シグナルの制御下に配置してクローニングした。該構築物は、pV1J−hHER2opt(実施例2参照)と命名した。
【実施例4】
【0106】
プラスミド構築物のインビトロ発現
pV1J−hHER2.wtおよびpV1J.HER2.opt構築物のインビトロ発現は、ヒト胚性腎細胞系HEK−293またはマウス筋芽細胞系C2C7を一時的に形質移入し、フローサイトメトリーでヒトHER2発現を検出することによって評価した。免疫に使用したヒトHER2をコードする、エンドトキシンフリーの高次コイルプラスミドDNA pV1J−hHER2−wt発現カセットが、E.coli DH12S細胞からQiagenエンドフリープラスミドGigaキット(Qiagen、Hilden、Germany)によって精製された。
【0107】
プラスミドpV1J−hHER2.wtまたはpV1J−hHER2.optが、HEK−293細胞中にリポフェクタミン形質移入された(Gibco BRL Invitrogen、Groningen、The Netherlands)。同様に、マウス筋芽細胞C2C7が、プラスミドpHygEGFP(BD Biosciences Clontech、PaloAlto、CA)およびpV1J−hHER2.wtまたはpV1J−hHER2.optの1:1または10:1混合物で形質移入された。
【0108】
HEK−293またはC2.7細胞のインビトロ形質移入によって、コドン最適化配列はwt配列と比較してhHER2発現が劇的に改善されていることが示された(図3AおよびcB)。
【実施例5】
【0109】
マウスの免疫
6週齢の近交系メスBALB/cマウス(H−2、Turin大学のG.Forniから恵与された)が、標準的条件下で維持された。マウスは欧州連合および研究所の指針に従って処理した。特に、マウスは、手順に必要とされるとき、ケタミン(Imalgene 500、Merial Italia、Milano、Italy)100mg/kg体重およびキシラジン(Xilor、BIO 98、S.Lazzaro、Bologna、Italy)5.2mg/kgで完全に麻酔した。
【0110】
既に記載されたように(Rizzuto他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(11):6417〜22(1999))、プラスミドDNA 50マイクログラムを6、8および10週目にマウスの大腿4頭筋に50μlの用量で電気的に注射した。皮膚を切開せずに、両大腿4頭筋に、最適化した、または最適化していないpCMV_hNeu 50μgを注射し(生理学的溶液50μl中25μg/注射)、前述のように電気刺激(ES)を行った(Zucchelli他、J.Virol.74(24):11598〜607(2000)、Rizzuto他、前述)。簡単に説明すると、電気ショックは1000両極性パルス(130V、75mA、200μs/相)、10回であった。
【0111】
Ad注射は、50μlの用量でマウスの大腿4頭筋に実施した。血清試料は7週目(1回目の免疫の1週間前、出血前)および12週目(最後の免疫の2週間後)に採取した。
【実施例6】
【0112】
マウスIFN−γELISPOT測定法
抗原特異的方法でIFN−γを分泌するマウス脾細胞は、標準的酵素結合イムノスポット(ELISPOT)測定法を使用して検出された(Muyahira他、J Immunol Methods 18(1):45〜54(1995))。マルチスクリーン96ウェルMAIP濾過プレート(カタログ番号MAIPS4510、Millipore、Bedford、MA)を、滅菌PBSで希釈したアフィニティー精製ラット抗マウスIFN−γ抗体(IgG1、R4−6A2クローン、カタログ番号18181D、Pharmingen、San Diego、CA)で被覆した。一晩インキュベーションした後、プレートをPBST(0.005%TweenのPBS溶液)で洗浄して、R10培地で37℃で2時間インキュベートして非特異的結合をブロックした。
【0113】
脾細胞は、安楽死させたマウスから滅菌的に脾臓を取り出すことによって得た。脾臓破砕は、金属格子上で切断した脾臓をすりつぶすことによって実施した。細胞ペレットに0.1XPBS 1mlを添加し15秒以上激しく撹拌して、浸透圧溶解することによって赤血球細胞を除去した。次に、2XPBS 1mlを添加し、1XPBSで体積を4mlにした。室温で1200rpmで10分間遠心することによって細胞をペレットにし、該ペレットをR10培地1mlに再懸濁した。室温で1200rpmで10分間遠心することによって細胞をペレットにし、該ペレットをR10培地(10%牛胎児血清、L−グルタミン 2mM、1ml当たりペニシリン50U、1ml当たりストレプトマイシン50μg、HEPES 10mM、2−メルカプトエタノール 50μMを補給したRPMI1640)に再懸濁した。生細胞をチュルク染色を使用して計数した。
【0114】
2匹以上の免疫マウスから得られた脾細胞は、単一ペプチドまたはペプチドプール6μg/mlの存在下で、2.5〜5 10細胞/ウェルの密度で15時間インキュベートされた。各マウスの陽性内部対照としてコンカナバリンA(ConA)を5μg/mlで使用した。PBSTで十分に洗浄した後、ビオチン化ラット抗マウスIFN−ガンマ抗体(カタログ番号18112D、PharMingen、San Diego、CA)を添加した。該プレートを4℃で一晩インキュベートして、次にPBSTで洗浄してからストレプトアビジン−アルカリホスファターゼを添加した(カタログ番号13043E、PharMingen、San Diego、CA)。室温で2時間インキュベーションした後、該プレートをPBSTで十分に洗浄して、スポットを発色させるために1段階ニトロブルーテトラゾリウム−5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート基質(カタログ番号34042、Pierce、Rockford、IL)と共に5分から15分間インキュベートすることによって発色させた。水中でプレートをすすいで、反応を停止させた。DMSOおよびコンカナバリンA(10μg/ml)は各試料のバックグラウンドおよび陽性対照として含めた。スポットはコンピュータ支援画像分析(AID ELISPOT2.6ソフトウェアを備えたAID ELR02、Strassberg、Germany)によって計数した。
【0115】
ウェル当たりにプレーティングした細胞の総数当たりの陽性IFN−γ産生脾細胞の出現頻度は、2種類の異なる細胞濃度で2連ずつ行って得られたスポットの平均値から、同じように非パルス脾細胞を含有する対照ウェルで測定したスポットで得られた平均値を差し引いて算出された。IFN−γ産生細胞の出現頻度の変化は、対照の測定値から算出された95%信頼限界を超えるものと定義した。p値<0.05での差は優位であると見なした。
【実施例7】
【0116】
ヒトHER2蛋白質における免疫優性T細胞エピトープの同定
アミノ酸11個が重複したアミノ酸15個のペプチド312個は、ヒトHER2配列全体に亘るように設計された。不溶性問題を克服するために設計された7個のペプチドもまた含むこれらのペプチドは,SynPep(Dublin、CA)によって合成された。ペプチドは全て、HPLCによって純度が>90%であることが示され、HPLC精製をしないで使用した。ペプチドはDMSOで35mg/mlになるように再構成した。すぐに溶解しないペプチドは、溶解を助けるために37℃で振盪した。必要であれば、DMSOをさらに1倍から3倍体積添加して、振盪して数時間経ってもまだ溶解しないペプチドを完全に溶解させた。再構成されたペプチドは、各ペプチドが混合物中で等しくなるように一緒にした。各ペプチドの混合物中における最終濃度は1mg/mlと計算された。該混合物を小分けして、80℃に保存した。
【0117】
BALB/cマウス(遺伝的背景H−2)においてヒトHER2遺伝子の免疫優勢T細胞エピトープを同定するために、6週齢のメスBALB/cマウスの大腿4頭筋にAd5−hHER2を10vp注射することによって免疫した。2回目の注射は3週間後に実施した。第2のマウス群も同様に陰性対照として生理食塩水溶液を注射した。2回目の注射の3週間後に、該動物を殺処分して、マウス脾細胞中におけるIFN−γ分泌T細胞の出現頻度をインターフェロン−γ酵素結合イムノスポット(IFN−γELISPOT)測定法によって評価した。
【0118】
それぞれアミノ酸の長さが15個で、11残基ずつ重複し、ヒトHER2蛋白質配列全体に亘る311個のペプチドを11個のプールに一緒にして、N末端からC末端に向かってアルファベット文字AからKで記した。これらのプールそれぞれがIFN−γ脾臓T細胞を刺激する能力を試験された。ペプチドプールA、BおよびMでは、IFN−γELISPOTによって、ペプチドのない対照と比較してAd5−hHER2で免疫したマウスでは統計学的に有意にIFN−γが産生されることが示された。活性に関与する個々のペプチドを同定するために、プールA、BおよびMのペプチドを下位プールに分割したところ、その中でAIV、BIIIおよびMIが陽性を示した。次に、これらの陽性下位プールの単一のペプチドがIFN−γ放出を引き起こす能力を試験された。重複したペプチドhNeu−15およびhNeu−16は、高くて同程度の反応性を示した。重複したペプチドhNeu−15およびhNeu−42はかなり低い反応性を示した。他のペプチド、hNeu−301はまた、T細胞エピトープを含有することが示された。
【0119】
これらのデータを確認し、IFN−γ産生に関係するCD4+およびCD8+T細胞亜集団を同定するために、IFN−γ分泌T細胞を細胞内染色(ICS)によって特徴付けた。マウスの脾細胞を分泌阻害剤ブレフェルジンAの存在下で単一のペプチドと共に12時間インキュベートし、固定し、透過処理して、次に細胞内IFN−γ、CD3およびCD4またはCD8マーカーで染色して、フローサイトメトリーによって分析した。ICSによって、ペプチドhNeu−15の反応性が確認され、CD8細胞を活性化できるエピトープとして同定した。ペプチドhNeu15およびhNeu16は、ELISPOT分析において同等の反応性を有していたので、CD8エピトープは2種類のペプチドに共通の11アミノ酸残基に含まれていることが示唆された。
【0120】
標的ナノマー配列を同定するために、hNeu15およびhNeu16の間の重複する領域に亘ってアミノ酸9個のペプチド3種類を試験した。hNeu15.3が最も反応性が高く、アミノ酸15個のペプチドhNeu−15およびhNeu−16と比較してわずかに強い反応性を示した。興味深いことに、この反応性の約半分がまたhNeu15.1で検出され、重複するが異なるCD8エピトープ2種類がこの11アミノ酸配列に共存することが示された。
【0121】
IFN−γICS分析によってまた、hNeu301の反応性が確かめられ、CD8エピトープとして分類された。IFN−γELISPOTによるこれらのCD8+エピトープの分析によって、ICSによって得られた結果が確かになった。最後に、hNeu41およびhNeu42ペプチドで検出された反応性は低く、その低い反応性はCD4+に優勢であった。
【実施例8】
【0122】
細胞内サイトカイン染色
細胞内IFN−γ産生が、BD Pharmingen標準方法に従って測定された。簡単に説明すると、脾細胞2x10個が、R10培地中において単一ペプチドまたはプールしたペプチド6μg/mlおよび蛋白質輸送阻害剤としてブレフェルジンA(を備えたCytofix/Cytoperm PlusTMおよびGoldgiPlugTMキット、BD Pharmingen、San Diego、CA)の存在下で15時間培養された。スタフィロコッカス エンテロトキシンB(SEB)(カタログ番号S4881、SIGMA、Saint Louis、MI)10μg/mlおよびDMSOが、それぞれ陽性対照およびバックグラウンド対照として脾細胞と共に試験された。
【0123】
表面抗原を染色する前に、Ab抗マウスCD16/CD32を使用して非特異的免疫蛍光シグナルを減少させた(カタログ番号553142、BD PharMingen、San Diego、CA)。特異的シグナルが、APC−抗マウスCD3e、PE−抗マウスCD4およびPerCP−抗マウスCD8a(カタログ番号553066、553653および553036、BD Pharmingen、San Diego、CA)で得られた。次に、該細胞を洗浄して、固定して、透過処理して、細胞内IFN−γをFITC結合mAb(カタログ番号554411、BD Pharmingen、San Diego、CA)を使用して染色した。Tリンパ球IFN−γは、1000x[(IFN−γ、CD3およびCD4またはCD8)/(CD3およびCD4またはCD8)]として算出された。一般に、少なくとも50000個のCD3リンパ球が、CD3イベントおよび小リンパ球を同時ゲーティングすることによって収集された。全試料を染色24時間以内にFACS CaliburフローサイトメトリーおよびCellQuestソフトウェア(Becton Dickinson、San Jose、CA)を使用して入手した。
【実施例9】
【0124】
抗体の力価測定およびアイソタイプ決定
抗体力価測定用の血清は、眼窩後方出血によって得られた。ELISAプレート(Nunc MaxisorpTM、Roskilde、Denmark)をNaHCO 50mM(pH9.6)に溶かしたヤギ抗ヒトIgG Fc特異的抗体(Pierce、カタログ番号31123)の濃度2μg/ml溶液で4℃で一晩被覆した。過剰な抗体を除去し、PBBST5緩衝液(BSA 5%、Tween 0.5%)で37℃で60分間インキュベートすることによって非特異的結合をブロックした。洗浄後、IgB2−細胞の上清を飽和状態で添加し、RTで2時間インキュベートした(Chen他、J Biol Chem 271(13):7620〜9(1996))。IgG2細胞(イスラエル、Rehovot、Weizmann Institute of ScienceのY.Yarden博士から恵与された)は、HER2の細胞外ドメインとヒトIgのFc部分との2量体融合物を分泌するHEK−293細胞である。プレートを洗浄し、PBBST1緩衝液(BSA1%、Tween 0.05%)による血清の系列希釈(1:4000から1:25600)を4℃で一晩インキュベートした。予備免疫した血清をバックグラウンドとして使用した。洗浄は、PBBST1で実施した。2次抗体(ヤギ抗マウスIgG1またはIgG2a AP結合体(Pharmingen、557272および553389)は、PBBST5で1:40000に希釈して、室温で2〜3時間、振盪機上でインキュベートした。洗浄後、プレートをジエタノールアミンに溶かしたSigma106ホスファターゼ基質(Sigma、カタログ番号A106)と共にインキュベートすることによって発色させた。プレートを自動ELISA読み取り機(Labsistems Multiskan Bichromatic、Helsinki、Finland)によって読み取り、結果をA=A405nm−A620nmで表した。それぞれの試料について、予備免疫血清で検出されたバックグラウンドシグナルを差し引いた。
【0125】
抗hHER2血清の力価は、同希釈の自己由来予備免疫血清の吸収よりも少なくとも3倍大きい吸収を生じる血清の限界希釈の逆数として算出された。
【実施例10】
【0126】
hHER2optの高い免疫原性
野生型およびコドン最適化hHER2発現ベクターによって誘導されるインビボでの免疫応答を調べるために、(実施例5で説明したように)BALB/cマウスをpV1J−hHER2.wtまたはpV1J−hHER2.optプラスミドDNAによって、その後ESによって筋肉内から免疫した。マウスは6、8および10週齢のときに3回注射を行った。最後の免疫を行ってから2週間後に脾細胞を各マウスから単離した。プラスミドDNA免疫によって生じるIFNγ分泌hHER2特異的CD8T細胞前駆体出現頻度を定量するために、H−2制限T細胞エピトープhNeu15.3およびhNeu42についてELISPOT測定を使用した。HER2野生型配列で免疫して生じるCD8+応答はわずかに検出することが可能で、CD4+ペプチドとの反応性はなかった。対照的に、最適化したHER2配列は、CD8+ペプチドに対する応答を10倍強く誘導し、試験したエピトープに特異的なIFNγスポット形成細胞(SFC、平均値)が286個まで生じた。検出されたCD4+活性はまた、低かった。ペプチド特異的IFNγSFCは、pV1J−nsB免疫マウスでは検出されなかった(データは示さなかった)。
【0127】
同マウスの血清が、基質としてIgG2蛋白質を使用してELISAによって試験された(図4B)。hHER2特異的抗体力価が、pV1J−hHER2.opt免疫マウス全てにおいて検出され、Ab力価の相乗平均は、IgG1では46000またはIgG2aでは78000であった。対照的に、pV1J−hHER2.wt免疫群はhHER2特異的抗体の約100倍低い相乗平均力価を示した。したがって、これらの結果は、hHER2のコドン最適化cDNAが野生型配列よりも効率的に細胞性および体液性免疫応答を惹起することを示す。
【実施例11】
【0128】
アデノウイルスベクター
MRKAd5−hHER2.wt:ヒトHER2 cDNAを含有するpV1J_hHER2からのSwaI−SalI DNA断片をシャトルプラスミド ポリMRKΔE1(Bett他、Proc Natl Sci USA 91(19):8802〜04(1994))の対応する部位にクローニングした。得られたプラスミドpMRKΔE1_hHER2はヒトHER2 cDNAの発現を推進するヒトCMVプロモーター、それに続くウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを含有していた。プラスミドpMRKΔE1_hHER2をアデノウイルス骨格プラスミドpAd5_HV0と組み合わせて、アデノウイルス前駆体プラスミドpAd5−hHER2wtを作製した。
【0129】
MRKAd5−hHER2ECDTM.opt:プラスミドpCR−hHER2optを、EcoRIで消化した。得られた2156bp挿入物を精製して、ポリMRK−Ad5シャトルプラスミドのEcoRIにクローニングした(本明細書に参照により組み込まれるEmini他、WO02/22080参照)。
【0130】
プラスミドpAd5−hHER2.wtおよびpMRKAd5−hHER2.optをPacI消化によって直線化して、PerC6細胞に形質移入し、Ad5−hHER2組換えアデノウイルスを作製した。このウイルスを、複数回増幅することによって大量に増殖させ、塩化セシウム勾配超遠心(Fallaux他、Hum Gene Ther 9(13):1909〜17(1998))によって精製した。ウイルスDNAを、プロテイナーゼK消化によって抽出して、ゲノムの強度は制限分析によって確認した。
【0131】
HEK293細胞を、様々な感染多重度(m.o.i.)を使用してMRKAd5−hHER2.wtまたはMRKAd5−hHER2ECDTM.optで感染させた。ウェスタンブロット分析によって発現をモニターすることによって、wtHER2配列から発現された完全長蛋白質と比較してコドン最適化配列から発現された切断型蛋白質では10倍以上の差があることが明らかになった(データは示さず)。
【実施例12】
【0132】
免疫計画の比較
いずれもCMV−HER2発現カセットを有する、アデノウイルスおよび電気刺激を伴うプラスミドDNAの抗ヒトHER2細胞性免疫応答誘導効率を比較した。wtBALB/cマウスまたは(NeuT、Lucchini他、Cancer Lett 64(3):203〜9(1992)に示されたような)ラットHER2を過剰発現するBALB/cトランスジェニックマウスの大腿4頭筋にpV1J−HER2プラスミド50μgを注射し、6週齢および9週齢のときにESを行った。追加免疫の2週間後に、動物を殺処分して脾細胞を収集し、免疫優性p185エピトープを含有するペプチドで誘発した。BALB/cおよびneuTマウスいずれにおいても、ヒトペプチドの誘発によって検出されるスポット形成細胞(SFC)は非常に少なかった(図5)。平均して、応答はAd5−HER2免疫によって誘導される応答よりも50倍低かった。前記のデータは、いずれの方法でもBALB/cおよびneuTマウスにおいてプラスミドpV1J−hHER2で免疫したマウスはかなりの応答を誘導することを示している。
【実施例13】
【0133】
ヒトCEAおよびEpCAM抗原と組み合わせたヒトHER2によるアカゲザルの免疫
ヒト腫瘍抗原HER2とその他の腫瘍抗原を組み合わせたアカゲザル(macaca mulatta)の免疫効率を評価するために、アカゲザル4匹(オス2匹およびメス2匹)の群をヒト腫瘍抗原Ep−CAM、CEAおよびHER2/neuのコドン最適配列を発現するプラスミドDNAベクターの混合物で免疫した。
【0134】
免疫研究は、Biomedical Primate Research Centre(BPRC、Rijswijk、The Netherlands)で実施した。これらの免疫研究は、ヒト抗原によって誘導された同抗原のアカゲザル相同体に対するT細胞応答を評価するために設計された。
【0135】
サルは、0、2、4、6、8、10、12、14および16週目に筋肉内注射によってワクチン接種して、その後電気刺激を行った。動物を麻酔して、体重2〜5キロの動物についてプラスミドDNA6mgを含有する溶液1mlを(2カ所に0.5ml/部位ずつ)注射した。
【0136】
電気刺激については、100square bipolar pulse(各1秒)2連発を1秒間隔で全処理時間3秒に亘って行った。パルス長は、2msec/相で、パルス周波数100Hzで振幅は100mA(定電流)であった。
【0137】
次に、同サルをヒトHER2、ヒトCEAまたはヒトEpCAMのwt配列それぞれ発現する3種類のアデノウイルス5(ΔE1〜ΔE3、「第1世代」、P2レベル)の混合物で27週目および31週目にワクチン接種した。
【0138】
前記免疫方法を使用して、ヒトHER2のサル相同体に対する免疫応答を測定するために、血液試料を4週間毎に1年間収集した。細胞性免疫応答は、IFNγエリスポット測定法によって測定した。図7で報告した結果から、前記で述べた免疫方法はヒトHER2/neuの内因性サル相同体に対する特異的な免疫応答を誘導するのに効果的であることが示される。
【実施例14】
【0139】
pV1J−HER2optおよびpV1J−hHER2ECDTM.optで免疫することによってマウスで惹起されるp185特異的T細胞応答の比較
細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを保持したp185のC末端欠損変異体(HER2ECDTM)の免疫効率を評価した。完全長(pV1J−HER2.opt)または切断型蛋白質(pV1J−hHER2ECDTM.opt)のコドン最適化配列を発現するプラスミドDNAを10週目および12週目に電気的に注射して、14週目に分析を実施した。IFN−ガンマELISPOT分析によって測定したように、CD4+反応性としてもCD8+反応性としても、切断型蛋白質HER2ECDTMは、完全長p185蛋白質よりも強く抗p185細胞性応答を誘導した(図8)。C2.7マウス筋芽細胞におけるインビトロ発現分析では、2種類のプラスミドの間の発現の差は明らかではなかった(データは示さず)。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1A】ヒトHER2蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド(hHER2.opt、配列番号1)のヌクレオチド配列を示した図である。実施例1を参照のこと。パネルBは、ヒトHER2蛋白質の推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図1B】ヒトHER2蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド(hHER2.opt、配列番号1)のヌクレオチド配列を示した図である。実施例1を参照のこと。パネルBは、ヒトHER2蛋白質の推定アミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図2】ELISPOTおよび細胞内染色(ICS)分析によるヒトHER2蛋白質の免疫優性T細胞エピトープの同定を示した図である。Ad5−hHER2で免疫したBALB/cマウスのヒトHER2特異的細胞性免疫の誘導について分析した。IFN−γ分泌型抗ヒトHER2 T細胞の数は、(第1の列に示した)マウス群の脾細胞でペプチド収集物または単一ペプチドを使用してELISPOTによって測定した。示したデータは、いくつかの独立した実験を表す。値は、ペプチド無しで測定したバックグラウンド値(一般に、10SFC/10全脾細胞数未満)を差し引いたスポット形成コロニーの数(SFC)/10全脾細胞数として表す。抗原性ペプチド無しの対照実験で測定したバックグラウンドの3倍を上回る数を陽性と見なし、太字で示した。IFN−γを分泌するCD4またはCD8の頻度は、ICSによって測定した。示したデータは、いくつかの独立した実験を表す。値は、1000x[(IFN−γCD3およびCD4またはCD8)/(CD3およびCD4またはCD8)]として表す。1%より高い値は陽性と見なし、太字で示した。測定で使用したペプチド収集物または単一のペプチドによって包含される配列を左に示す。数字は、ヒトHER2蛋白質のアミノ酸残基の位置を意味する。
【図3A】(A)ヒト胚性腎HEK−293細胞および(B)マウス筋芽細胞C2C7における形質移入後のhHER2のインビトロ発現を示した図である。データは、空のpV1JnsAプラスミドによって生じたシグナルを差し引いたチャンネル蛍光の相乗平均として表す。C2C7細胞では、データはpEGFP DNA形質移入の効率について正規化する。
【図3B】(A)ヒト胚性腎HEK−293細胞および(B)マウス筋芽細胞C2C7における形質移入後のhHER2のインビトロ発現を示した図である。データは、空のpV1JnsAプラスミドによって生じたシグナルを差し引いたチャンネル蛍光の相乗平均として表す。C2C7細胞では、データはpEGFP DNA形質移入の効率について正規化する。
【図4A】BALB/cマウスにおけるヒトHER2に対する免疫応答を示した図である。パネル(A)は、野生型HER2と比較してコドン最適化HER2が著しく高いELISPOT値を与えたことを示す。マウスを2匹ずつ含む4群をプラスミドpV1J−hHER2.wtまたはpV1J−hHER2.optで免疫した結果を示す(50μg/用量を大腿4頭筋に電気注射する)。最後の注射から2週間後に、マウス脾細胞中のIFN−γ分泌型T細胞の出現頻度をペプチドhNeu15.3(aa63〜71、CD8エピトープを含む)、hNeu301(aa1202〜1214、CD8エピトープを含む)およびhNeu42(aa165〜179、CD4エピトープを含む)を使用したIFN−γELISPOT測定法によって測定した。各試験量で2回反復したところ、脾細胞2.5x10個および5x10個の結果が得られた。平均値は、ペプチド無しで測定したバックグラウンド濃度(一般的に10SFC/10全脾細胞)を差し引くことによって算出した。結果は、SFCの数/10全脾細胞数として表した。パネル(B)は、pV1J−hHER2.optがpV1J−hHER2.wtと比較して著しく高いIgG1およびIgG2a体液性応答を惹起することを示す。血清試料は、pV1J−hHER2.wtまたはpV1−hHER2.optプラスミドDNAで免疫した4匹のマウスの群から6週目(1回目の免疫の前日、出血前)および14週目(最後の注射を行って2週間後)に収集した。各マウス群から収集した血清の抗hHER2抗体力価は、標的抗原としてhHER2の2量体細胞外ドメイン(HER2−ECD)を使用したELISAによって測定した。AP結合ヤギ抗マウスIgG1またはIgG2aを使用して、結合したマウス抗体を検出した。
【図4B】BALB/cマウスにおけるヒトHER2に対する免疫応答を示した図である。パネル(A)は、野生型HER2と比較してコドン最適化HER2が著しく高いELISPOT値を与えたことを示す。マウスを2匹ずつ含む4群をプラスミドpV1J−hHER2.wtまたはpV1J−hHER2.optで免疫した結果を示す(50μg/用量を大腿4頭筋に電気注射する)。最後の注射から2週間後に、マウス脾細胞中のIFN−γ分泌型T細胞の出現頻度をペプチドhNeu15.3(aa63〜71、CD8エピトープを含む)、hNeu301(aa1202〜1214、CD8エピトープを含む)およびhNeu42(aa165〜179、CD4エピトープを含む)を使用したIFN−γELISPOT測定法によって測定した。各試験量で2回反復したところ、脾細胞2.5x10個および5x10個の結果が得られた。平均値は、ペプチド無しで測定したバックグラウンド濃度(一般的に10SFC/10全脾細胞)を差し引くことによって算出した。結果は、SFCの数/10全脾細胞数として表した。パネル(B)は、pV1J−hHER2.optがpV1J−hHER2.wtと比較して著しく高いIgG1およびIgG2a体液性応答を惹起することを示す。血清試料は、pV1J−hHER2.wtまたはpV1−hHER2.optプラスミドDNAで免疫した4匹のマウスの群から6週目(1回目の免疫の前日、出血前)および14週目(最後の注射を行って2週間後)に収集した。各マウス群から収集した血清の抗hHER2抗体力価は、標的抗原としてhHER2の2量体細胞外ドメイン(HER2−ECD)を使用したELISAによって測定した。AP結合ヤギ抗マウスIgG1またはIgG2aを使用して、結合したマウス抗体を検出した。
【図5】pV1J−HER2およびAd5−HER2で免疫することによってマウスで惹起されるp185特異的T細胞応答の比較を示した図である。(NeuTとして示される、Lucchini他、Cancer Lett 64(3):203〜9(1992)参照)ラットHER2を過剰発現する野生型BALB/cマウスおよびBALB/cトランスジェニックマウスは、6週齢および9週齢時に、pV1J−hHER2.wtDNA(50μg/用量を大腿4頭筋に注射)で免疫して、次に電気刺激を与えるか、またはAd5−hHER2.wtで免疫した。12週齢時に、指定したペプチドを使用したELISPOT分析によって、マウス群でIFN−γを分泌する抗ヒト細胞の数を測定した。示したデータは、独立したいくつかの実験を表したものである。値は図1の通りに表す。
【図6A】パネルAは、切断型ヒトHER2蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド(hHER2ECDTM.opt、配列番号9)のヌクレオチド配列を示した図であり、前記蛋白質はHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。パネルBは、HER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードする第2のポリヌクレオチドを示し、この第2のポリヌクレオチドは「野生型」ヌクレオチド配列を含み、コドンは最適化されていない(hHER2ECDTM.wt、配列番号10)。
【図6B】パネルAは、切断型ヒトHER2蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド(hHER2ECDTM.opt、配列番号9)のヌクレオチド配列を示した図であり、前記蛋白質はHER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。パネルBは、HER2蛋白質の細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインをコードする第2のポリヌクレオチドを示し、この第2のポリヌクレオチドは「野生型」ヌクレオチド配列を含み、コドンは最適化されていない(hHER2ECDTM.wt、配列番号10)。
【図7】ヒト抗原HER2、CEAおよびEpCAMを発現する3種類のプラスミドの混合物で免疫したアカゲザルで誘導された細胞性応答の分析を示した図であり、このプラスミドはヒト細胞において高濃度に発現するようにコドンが最適化されたヌクレオチド配列を含む。次に、3種類の抗原それぞれの野生型配列を発現する3種類のAd5ベクターの混合物で同じ動物を免疫した。相同性の高い(配列類似性98.2%)アカゲザルHER2蛋白質に対する細胞性免疫応答を、毎月IFN−γELISPOTによって1年間測定した。値は、ペプチド無しで測定されたバックグラウンド値を差し引いて、SFC/10PBMCとして表す。抗原ペプチド無しの対照実験で測定したバックグラウンドと有意に異なる値(P<0.05)および任意に選択した閾値55SFC/10PBMCより高い値が、太字で示されている。
【図8】pV1J−HER2optおよびpV1J−hHER2ECDTM.optで免疫することによってマウスで惹起されるp細胞性免疫応答の比較を示した図である。値は、ELISPOTによって測定したIFNγ分泌型脾臓細胞の発生頻度を意味する。示したデータは、3匹の動物から得られ、いくつかの独立した実験を代表するものである。値は、ペプチド無しで測定したバックグラウンド値(一般的に、5SFC/10脾細胞数未満)を差し引いたSFC/10全脾細胞数として表す。抗原ペプチド無しの対照実験で測定したように、バックグラウンドと有意に異なる値(P<0.05)および任意に選択した閾値22SFC/10脾細胞より高い値が、太字で示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト細胞において高レベルに発現するようにコドンが最適化された、配列番号2で表したヒトHER2/neu蛋白質をコードするヌクレオチドの配列を含む合成核酸分子。
【請求項2】
ヌクレオチドの前記配列が配列番号1で表したヌクレオチドの配列を含む、請求項1に記載の合成核酸分子。
【請求項3】
請求項1に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項5】
配列番号2の全長にわたってアミノ酸の変更をNa個まで含むことが可能であり、Naはアミノ酸変更の最大数であり、式、
Na=Xa−(XaY)によって算出され、
(式中、Xaは配列番号2のアミノ酸総数であり、Yの値は0.90であり、XaおよびYの積が整数でない場合は、このような積を最も近接した整数に四捨五入してからXaから差し引く。)
配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するヒトHER2/neuポリペプチド変種をコードし、ヒト細胞において高レベルに発現するようにコドンが最適化されているヌクレオチドの配列を含む合成核酸分子。
【請求項6】
ヒト細胞において高レベルに発現するようににコドンが最適化された、配列番号14で表したヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするヌクレオチドの配列を含む合成核酸分子。
【請求項7】
前記ヌクレオチドの配列が配列番号9で表したヌクレオチドの配列を含む、請求項6に記載の合成核酸分子。
【請求項8】
請求項6に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項9】
請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項10】
配列番号14の全長にわたってアミノ酸の変更をNa個まで含むことが可能であり、Naはアミノ酸変更の最大数であり、式、
Na=Xa−(XaY)によって算出され、
(式中、Xaは配列番号14のアミノ酸総数であり、Yの値は0.90であり、XaおよびYの積が整数でない場合は、このような積を最も近接した整数に四捨五入してからXaから差し引く。)
配列番号14のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するヒトHER2ECDTMポリペプチド変種をコードし、ヒト細胞において高レベルに発現するようにコドンが最適化されているヌクレオチドの配列を含む合成核酸分子。
【請求項11】
(a)請求項1に記載の核酸を含むベクターを適切な宿主細胞に導入すること、および
(b)前記ヒトHER2蛋白質の発現を可能にする条件下で前記宿主細胞を培養すること
を含む、組換え宿主細胞におけるヒトHER2/neu蛋白質の発現方法。
【請求項12】
(a)請求項6に記載の核酸を含むベクターを適切な宿主細胞に導入すること、および
(b)前記ヒトHER2ECDTMの発現を可能にする条件下で前記宿主細胞を培養すること
を含む、組換え宿主細胞におけるヒトHER2ECDTM蛋白質の発現方法。
【請求項13】
配列番号2で表したヒトHER2/neu蛋白質または配列番号14で表したヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするヌクレオチドの配列を含むコドン最適化合成核酸分子を含むワクチンベクターを哺乳類に投与することを含む、HER2を伴う癌の予防または治療方法。
【請求項14】
前記哺乳類がヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベクターがアデノウイルスベクターまたはプラスミドベクターである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ベクターがアデノウイルスベクターであり、
前記アデノウイルスベクターはアデノウイルスのE1領域の欠失およびアデノウイルスのE1領域の挿入部分を含み、
前記挿入部分は発現カセットを含み、
前記発現カセットは、
(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
(b)前記ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ベクターがプラスミドワクチンベクターであり、
前記プラスミドワクチンベクターは、プラスミド部分および発現カセットを含み、
前記発現カセットは、
(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記E1領域の欠失および前記E1領域の挿入部分を有するアデノウイルスゲノムを含み、
前記挿入部分は発現カセットを含み、
前記発現カセットは、
(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
(b)前記ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含むアデノウイルスワクチンベクター。
【請求項19】
Ad5ベクターである、請求項18に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項20】
Ad6ベクターまたはAd24ベクターである、請求項18に記載のアデノウイルスベクター。
【請求項21】
プラスミド部分および発現カセット部分を含む
前記発現カセット部分は、
(a)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
(b)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含むワクチンプラスミド。
【請求項22】
(a)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
ii)前記ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含む第1のベクターを哺乳類に導入すること、
(b)所定の時間を経過させること、ならびに
(c)i)ヒトHER2蛋白質またはヒトHER2ECDTM蛋白質をコードするコドン最適化ポリヌクレオチド、および
ii)該ポリヌクレオチドに作動可能に結合したプロモーター
を含む第2のベクターを前記哺乳類に導入すること
を含むHER2関連癌に罹患した哺乳類を治療する方法。
【請求項23】
前記第1のベクターがプラスミドであり、前記第2のベクターがアデノウイルスベクターである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のベクターがアデノウイルスベクターであり、前記第2のベクターがプラスミドである、請求項22に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−527989(P2006−527989A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520798(P2006−520798)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008234
【国際公開番号】WO2005/012527
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(501209427)イステイチユート・デイ・リチエルケ・デイ・ビオロジア・モレコラーレ・ピ・アンジエレツテイ・エツセ・ピー・アー (90)
【Fターム(参考)】