説明

ヒト乳組成物ならびにそれを製造および使用する方法

【課題】ヒト乳の供給源は、未熟乳児にとっては栄養的に十分とはいえない。様々な栄養補助食品、例えばタンパク質、付加エネルギー(カロリー)および/またはミネラルを用いて強化された低温殺菌ヒト乳強化剤組成物、規格化ヒト乳、ならびにそれらを製造および使用する方法を提供する。
【解決手段】低温殺菌ヒト乳組成物は、約35〜85mg/mLのヒトのタンパク質成分;約60〜110mg/mLのヒトの脂肪成分;および約60〜140mg/mLのヒトの炭水化物成分を含む。その製法はヒト乳のスクリーニング、ろ過、クリーム分離あるいは添加、低温殺菌の工程による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年8月30日に提出された仮出願第60/841,371号および2006年11月29日に提出された仮出願第60/867,748号に対する優先権を主張する、2007年8月30日に提出されたPCT出願PCT/US07/19234に対する優先権を主張する。これらの出願の内容は、それらの全体が参照によって本明細書に引用される。
【0002】
本開示は、ヒト乳組成物、例えばヒト乳強化剤および規格化ヒト乳配合物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒト乳は、一般に、その栄養性組成および免疫学上の利点のために、早産乳児および満期出産乳児に対して選択される食物である。ヒト乳の供給源は、例えばドナーまたは乳児の母親があり得る。しかしながら、生のドナー乳または従来の方法で加工されたドナー乳の栄養価は変動するものであり、ほとんどの事例では、早産乳児のニーズに見合う上で十分とはいえない。加えて、生のドナー乳の細菌性の汚染、ウイルス性の汚染、および他の汚染の可能性が存在する。これらの理由および他の理由のために、乳児自身の母親由来の乳の使用は、現代の新生児集中治療室(NICU)での好ましい栄養上のアプローチとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、母親自身の乳でさえ、未熟乳児にとっては栄養的に十分とはいえない。様々な栄養補助食品、例えばタンパク質、付加エネルギー(カロリー)および/またはミネラルを用いて強化された乳を早産乳児に授乳することが望ましいことが多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ヒト乳組成物、例えば低温殺菌ヒト乳組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法を特徴とする。組成物は、ヒト乳強化剤(例えばPROLACTPLUS(商標)ヒト乳強化剤、例えばPROLACT+4(商標)、PROLACT+6(商標)、PROLACT+8(商標)、および/またはPROLACT+10(商標))を含み、これらは、ヒト乳から生産され、様々な濃度の栄養性構成成分、例えばタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミンおよび/またはミネラルを含有する。これらの強化剤は、例えば早産乳児にとって最適な栄養含有量の乳を提供するために、乳飲み児の母親の乳に添加することができる。母親自身の乳の含有量に依存して、様々な濃度の強化剤を母親の乳に添加することができる。例えば、母親の乳のタンパク質濃度は、強化剤を使用して増加させることができる。上述のように、本開示の強化剤は、ヒト乳から生成され、このようにしてヒト由来の栄養素を乳児に与えることとなる。
【0006】
本開示は、規格化ヒト乳配合物(PROLACT20(商標)、NEO20(商標)、および/またはPROLACT24によって例示される)も特徴とし、これらはヒト乳から製造される。そのような組成物を製造および使用する方法も本明細書に記載される。これらの規格化ヒト乳配合物は、他の強化剤または乳とそれらとを混合することなく、例えば早産乳児に授乳するために使用することができる。それらは、栄養性ヒト由来配合物を提供し、母親の乳の代わりとなることができる。ヒト乳配合物は、様々なカロリー含有量を含むことができ、例えば、PROLACT24(商標)(完全授乳の全乳製品)は、約24カロリー/オンスまたは約81カロリー/100mLを含有することができる。
【0007】
本明細書で特徴とされる方法は、大容量のドナー乳、例えば約75〜2,000リットル/ロットの出発物質を加工するために用いられる。
【0008】
一態様では、本開示は、約35〜85mg/mLのヒトのタンパク質成分;約60〜110mg/mLのヒトの脂肪成分;および約60〜140mg/mLのヒトの炭水化物成分を含む低温殺菌ヒト乳組成物を特徴とする。前記炭水化物成分はラクトースを含むことができる。前記組成物は、IgAならびに/またはカルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上の成分をさらに含むことができる。一実施形態では、前記組成物は、栄養性組成物を提供するために生ヒト乳と混合することができ、生ヒト乳は、約80%、約70%、約60%または約50%の栄養性組成物を含む。
【0009】
実施形態は、一以上の下記特徴を含み得る。
【0010】
一実施形態では、前記組成物は、約55〜65mg/mLのタンパク質成分;約85〜95mg/mLの脂肪成分;および約70〜120mg/mLの炭水化物成分を含むことができる。前記炭水化物成分はラクトースを含むことができる。前記組成物は、IgAならびに/またはカルシウム(例えば約4.0〜5.5mg/mLもしくは2.00〜2.90mg/mLの濃度);塩化物(例えば約0.35〜0.95mg/mLもしくは約0.175〜0.475mg/mLの濃度);銅(例えば約0.0005〜0.0021mg/mLもしくは約0.00025〜0.001mg/mLの濃度);鉄(例えば約0.001〜0.007mg/mLもしくは約0.0005〜0.0025mg/mLの濃度);マグネシウム(例えば約0.180〜0.292mg/mLもしくは約0.090〜0.170mg/mLの濃度);マンガン(例えば約0.010〜0.092mcg/mLもしくは約0.005〜0.046mcg/mLの濃度);リン(例えば約2.00〜3.05mg/mLもしくは約1.00〜2.90mg/mL、例えば約1.00〜1.50mg/mLの濃度);カリウム(例えば約1.90〜2.18mg/mLもしくは約0.95〜1.41mg/mLの濃度);ナトリウム(例えば約0.75〜0.96mg/mLもしくは約0.375〜0.608mg/mLの濃度);および亜鉛(例えば約0.0200〜0.0369mg/mLもしくは約0.010〜0.0198mg/mLの濃度)よりなる群から選択される一以上の成分をさらに含むことができる。一実施形態では、前記組成物は、栄養性組成物を提供するために生ヒト乳と混合することができ、生ヒト乳は、約80%、約70%、約60%または約50%の栄養性組成物を含む。
【0011】
他の態様では、本開示は、約11〜20mg/mL、例えば約11〜13mg/mLのヒトのタンパク質成分;約35〜55mg/mLのヒトの脂肪成分;および約70〜120mg/mL、例えば約80〜105mg/mLのヒトの炭水化物成分を含む低温殺菌ヒト乳組成物を特徴とする。前記炭水化物成分はラクトースを含むことができる。前記組成物のカロリー含有量は、約0.64〜約1.10カロリー/mLとすることができる。
【0012】
実施形態は、一以上の下記特徴を含み得る。
【0013】
一実施形態では、低温殺菌ヒト乳組成物は、一以上の下記構成成分をさらに含むことができる:カルシウム(例えば約0.40〜1.50mg/mLの濃度);塩化物(例えば約0.30〜0.80mg/mLの濃度);銅(例えば約0.0005〜0.0021mg/mLの濃度);鉄(例えば約0.001〜0.005mg/mLの濃度);マグネシウム(例えば約0.03〜0.13mg/mLの濃度);マンガン(例えば約0.01〜0.092mcg/mLの濃度);リン(例えば約0.15〜0.631mg/mLの濃度);カリウム(例えば約0.60〜1.20mg/mLの濃度);ナトリウム(例えば約0.20〜0.60mg/mLの濃度);および/または亜鉛(例えば約0.0025〜0.0120mg/mLの濃度)。
【0014】
本開示は、様々なヒト乳組成物を製造する方法も特徴とする。
【0015】
一態様では、本開示は、低温殺菌ヒト乳組成物を得るための方法を特徴とする。前記方法は、(a)一以上のウイルスについてヒト乳を遺伝子的にスクリーニングする段階;(b)乳をろ過する段階;(c)乳を、例えば約63℃以上で約30分間、熱処理する段階;(d)乳を、クリームおよびスキムに分離する段階;(e)クリームの一部分をスキムに添加する段階;ならびに(f)低温殺菌する段階を含む。
【0016】
実施形態は、一以上の下記特徴を含む。
【0017】
一実施形態では、前記方法は、段階(d)の後に、例えばスキムから水をろ過して取り除くために、フィルターを通してスキムをろ過する段階をさらに含むことができる。段階(d)後にスキムをろ過した後、かかるろ過で使用されたフィルターは、後洗浄の溶液を得るために洗浄することができる。後洗浄の溶液はスキムに添加することができる。
【0018】
段階(a)の遺伝子スクリーニングは、ポリメラーゼ連鎖反応とすることができ、ならびに/または一以上のウイルス、例えばHIV−1、HBVおよび/もしくはHCVについてのスクリーニングを含むことができる。乳は、段階(b)で、約200ミクロンのスクリーンを通してろ過することができる。方法は、段階(d)の後に、クリーム、例えば約30〜50%のクリームを分離器に通す段階をさらに含むことができる。後洗浄の溶液およびスキムの組成物は、約7.0〜7.2%のタンパク質を含むことができる。
【0019】
前記方法は、段階(e)の後に得られる組成物の一部分についてミネラル分析を実行する段階をさらに含むことができる。前記方法は、カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上のミネラルを、段階(e)の後に得られる組成物に添加する段階も含むことができる。一以上のミネラルを添加する段階は組成物を加熱する段階も含むことができる。
【0020】
前記方法は、段階(f)の後に組成物を冷却する段階も含むこともでき、段階(f)の後に組成物の一部分について生物学的試験を実行する段階、および/または段階(f)の後に組成物の一部分について栄養試験を実行する段階を実行することもできる。
【0021】
段階(a)のヒト乳はプールされたヒト乳とすることができる。本明細書で特徴とされる方法は、大容量の出発物質、例えばヒト乳、例えばプールされたヒト乳を用いて実行することができる。その容量は、出発物質約75〜2,000リットル/ロットの範囲とすることができる。
【0022】
段階(f)の後に得られる組成物は、約8.5〜9.5%の脂肪、約6.3〜7.0%のタンパク質、および約8.0〜10.5%のラクトースを含むことができる。
【0023】
他の一態様では、本開示は、低温殺菌ヒト乳組成物を得るための方法を特徴とする。前記方法は、(a)一以上のウイルスについてヒト乳を遺伝子的にスクリーニングする段階;(b)乳をろ過する段階;(c)クリームを添加する段階;および(d)低温殺菌する段階を含む。
【0024】
実施形態は、一以上の下記特徴を含むことができる。
【0025】
一実施形態では、段階(a)の遺伝子スクリーニングはポリメラーゼ連鎖反応とすることができる。遺伝子スクリーニングは、一以上のウイルス、例えばHIV−1、HBVおよび/またはHCVについてスクリーニングする段階を含むことができる。
【0026】
乳は、段階(b)で、約200ミクロンのスクリーンを通してろ過することができる。前記方法は、フィルターを通す段階(b)の後に、全乳を限外ろ過する段階をさらに含むことができる。限外ろ過中に使用されるフィルターは後洗浄することができる。
【0027】
組成物は、段階(d)の後に冷却することができる。前記組成物についての生物学的試験および/または栄養試験は段階(d)の後に実行することができる。
【0028】
段階(a)のヒト乳はプールされたヒト乳とすることができる。本明細書で特徴とされる方法は、大容量の出発物質、例えばヒト乳、例えばプールされたヒト乳を用いて実行することができる。その容量は、出発物質約75〜2,000リットル/ロットの範囲とすることができる。
【0029】
前記方法は、カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上のミネラルを、段階(c)の後に得られる組成物に添加する段階も含むことができる。一実施形態では、段階(d)の後に得られる組成物は、約11〜20mg/mLのタンパク質、約35〜55mg/mLの脂肪、および約70〜120mg/mLの炭水化物を含むことができる。
【0030】
さらに他の態様では、本開示は、本明細書で特徴とされる低温殺菌ヒト乳組成物(例えば強化剤)ならびに前記の特徴とされる組成物を生ヒト乳と混合するための目盛付きの容器(例えばボトル、シリンジおよび缶)を含むキットを特徴とする。
【0031】
他の態様では、本開示は、栄養性乳組成物を得る方法を特徴とする。前記方法は、本明細書で特徴とされる低温殺菌ヒト乳組成物(例えば強化剤)を生ヒト乳に添加し、それによって、生ヒト乳の栄養濃度を増加させる段階を含む。生ヒト乳のカロリー組成物は、約2〜10カロリー/オンス増加させることができる。
【0032】
他の態様では、本開示は、本明細書で特徴とされる組成物(強化剤)を生ヒト乳に添加して、混合物を得る段階および混合物を未熟乳児に投与する段階を含む、未熟なヒト乳児に補完的栄養素を提供する方法を特徴とする。
【0033】
「未熟」乳児、「早産」乳児、および「低出生体重(LBW)」乳児という用語は、交換可能なように使用され、在胎期間が37週間未満で生まれた乳児、および/または出生体重2500g未満の乳児を意味する。
【0034】
「全乳」とは、脂肪が除去されていない乳を意味する。
【0035】
「生物汚染度」とは、乳中に存在し得る微生物汚染物質および病原菌(一般に生きている)、例えばウイルス、細菌、カビ、菌類およびその他同種のものを意味する。
【0036】
本明細書で引用される特許、特許出願および参考文献はすべて、参照によってそれらの全体が引用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ヒト乳強化剤を製造する方法の実施形態のチャートを示す図である。
【図2】規格化ヒト乳を製造する方法の実施形態のチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、ヒト乳組成物、例えば低温殺菌ヒト乳組成物、ならびにそのような組成物を製造および使用する方法を特徴とする。前記組成物は、ヒト乳強化剤(例えばPROLACTPLUS(商標)ヒト乳強化剤、例えばPROLACT+4(商標)、PROLACT+6(商標)、PROLACT+8(商標)、および/またはPROLACT+10(商標))を含み、これらはヒト乳から生産され、様々な濃度の栄養性構成成分、例えばビタミンおよび/またはミネラルを含む。これらの強化剤は、例えば早産乳児にとって最適な栄養含有量の乳を提供するために、乳飲み児の母親の乳に添加することができる。母親自身の乳の含有量に依存して、様々な濃度の強化剤を母親の乳に添加することができる。例えば、母親の乳のタンパク質濃度および/またはカロリー含有量は、強化剤を使用して増加させることができる。一実施形態では、前記の特徴とされる強化剤は、約3.3〜約5.5gのタンパク質/kg/日を、150mLの完全な授乳および/または120カロリー/kg/日当たりで3.2〜4.1gのタンパク質を有する完全な授乳を受けている乳児に与えることができる。
【0039】
本開示は、規格化ヒト乳配合物(PROLACT20(商標)、NEO20(商標)、および/またはPROLACT24(商標)によって例示される)も特徴とし、これらはヒト乳から生産される。そのような組成物を製造および使用する方法も記載される。これらの規格化ヒト乳配合物は、他の強化剤または乳とそれらとを混合することなく、例えば早産乳児に授乳するために使用することができる。したがって、前記組成物は、母親の乳の代わりとなることができるヒト由来栄養性配合物を乳児に提供する。ヒト乳配合物は、様々なカロリー含有量を含むことができ、例えば、PROLACT24(完全授乳の全乳配合物)は、約24カロリー/オンスまたは約81カロリー/100mLを含有することができる。
【0040】
本開示の組成物は、厳密な遺伝子スクリーニング、加工(例えば、強化剤組成物中の栄養素を濃縮するため、および/または生物汚染度を低減させるため)ならびに低温殺菌を行う、ヒトのドナー乳、例えばプールされた乳から生成される。乳は、様々なミネラルおよび/またはビタミンを用いて補完することができる。したがって、本開示は、ヒトのドナーから乳を得て、それを加工する方法も特徴とする。
【0041】
本開示の方法は、大容量のドナー乳、例えば約75〜2,000リットル/ロットの出発物質を加工するために使用することができる。
【0042】
未熟乳児の栄養要求
新生児、例えば早産で生まれた乳児の臨床的転帰に影響を与え得る多くの因子がある。早産乳児は、脆弱な免疫系、未成熟の消化器系を有し、総カロリー的な必要性および特定の栄養素の必要性が増大している(一般に、満期出産乳児と比較した場合)。したがって、そのような乳児に与えられる栄養は、彼らの成長および発達にとって重要な因子となる。ヒト乳は、その栄養性組成および免疫学上の利点のために、早産乳児および満期出産乳児のための理想的な食物として長い間認識されてきた。しかしながら、すべての母親が、自分の乳児を母乳で育てることができるとは限らないか、もしくはそのようにしようとするとは限らない(または、搾乳ポンプを使用して自分の乳を貯蔵することができるとは限らないか、もしくはそのようにしようとするとは限らない)。例えば、ある種の疾患、例えば活動性結核を有するか、または放射性同位元素、代謝拮抗剤もしくは化学療法剤を投与されている母親は、乳児を母乳で育てないかもしれない。加えて、母親自身の乳は、早産乳児の生命を維持するのに十分な栄養含有量を含んでいないかもしれない。ドナー乳の使用も問題となり得る。なぜなら、そのような乳は早産乳児にとって適当な栄養を含有していないかもしれないためである。
【0043】
本開示は、ヒト乳組成物、ならびに乳児(例えば未熟乳児)に授乳するための、および/または彼らに授乳される乳の栄養価を増加させるためのそのような組成物を、製造および使用する方法を特徴とする。本明細書に記載される強化剤(例えばPROLACTPLUS(商標))は、高いレベルの(例えば)タンパク質および/またはカロリーを、乳に、ひいては乳児に与えることができる。規格化ヒト乳配合物(例えばPROLACT20(商標)およびNEO20(商標))は母親自身の乳の代わりに使用することができる。前記組成物は、様々なビタミンおよび/またはミネラルを用いて補完することができる。前記組成物は、IgA(例えば分泌型IgA)、および本明細書に記載される様々な構成成分を含有することもできる。
【0044】
認定され且つ選択されたドナーからのヒト乳の獲得
本開示の組成物は、寄付されたヒト乳から生成される。様々な手法が適当なドナーを同定し認定するために用いられる。可能性のあるドナーは、認定プロセスの一環として、彼女の医師および彼女の子供の小児科医から譲渡証書を得なければならない。これは、とりわけ、ドナーが慢性的に病気ではないこと、および彼女の子供が寄付の結果として損害を受けないであろうということを保証するのに役立つ。乳の収集および分配を認定し観察するための方法およびシステムは、例えば米国特許出願第11/526,127号(US2007/0098863)に記載され、その全体が参照によって本明細書に引用される。
【0045】
一般に、ドナーのスクリーニングプロセスは、インタビューおよび生物学的なサンプル処理の両方を含む。いかなる血液サンプルもスクリーニングで陽性、例えばウイルス性の汚染と分かれば、ドナーは認定プロセスから排除される。
【0046】
一旦ドナーが認定されて乳を送り始めると、彼女による各発送の乳は、例えばB.cereusならびに乱用薬物(例えばコカイン、アヘン剤、メタンフェタミン、ベンゾジアゼピン、アンフェタミンおよびTHC)について試験される。いかなる陽性の所見も、ドナーの保留、およびこれまで収集されたすべての乳の廃棄という結果になる。
【0047】
ドナーは定期的に再認定され得る。例えば、ドナーが寄付の継続を望む場合、ドナーは、4カ月ごとに、彼女らの最初の認定に使用されたプロトコールによるスクリーニングを受けるよう義務づけられる。再認定されないかまたは認定されないドナーは、彼女らが認定される時まで保留されるか、または再認定のスクリーニングの結果によって認可されない限り、永久に保留される。後者の状況の場合、そのドナーによって提供された残存している乳はすべて在庫品から排除され、廃棄される。
【0048】
認定されたドナーは、指定の機関(例えば母乳バンクオフィス)に寄付してもよいし、または典型的には、自宅で乳を搾乳する。認定されたドナーは、母乳バンクによって、または直接乳加工業者から(母乳バンクおよび加工業者は同じ事業体であっても異なる事業体であってもよい)、支給品が提供され、自宅に持ち帰ることができる。前記支給品は、典型的には、容器上にコンピューターで読み取り可能なコード(例えばバーコードラベル)を含むであろうし、また、前記支給品は搾乳ポンプをさらに含む場合もある。それから、ドナーは、自宅で乳を搾り、これを約−20℃以下の温度で冷凍することができる。ドナーが認定された者である場合、そのドナーの乳は受理される;そのような(上記したような試験の)結果が条件を満たす場合、ドナーがセンターに乳を届けるか、またはドナーが乳を自宅から収集させるよう、約束が成される。ドナーは、母乳バンクまたは乳加工業者によって提供された断熱容器で母乳バンクセンターまたは乳加工業者に直接乳を発送することもできる。乳および容器は、それらの状態について検査され、バーコード情報はデータベースと照合される。条件を満たせば、さらなる試験および加工の準備が整うまで、そのユニットは、ドナー乳センターまたは加工センターの冷凍庫(−20℃以下)に置かれる。
【0049】
本方法の幾つかの実施形態では、乳は、ドナーによって自宅で搾乳されるが、乳バンク機関には収集されないため、乳が真に登録したドナーからのものであることを保証するために、各ドナーの乳は、遺伝子マーカー(例えばDNAマーカー)用にサンプリングされる。このような主たる同定手法は、当技術分野において公知である(例えば、国際出願PCT/US2006/36827号を参照のこと、当出願はその全体が参照によって本明細書に引用される)。乳は、試験結果を受けるまで、(例えば20℃以下で)貯蔵され、隔離され得る。上記のプロセス全体に亘って、準拠しない乳標本は例外なく処分され、そのドナーは不適格とされる。血液試験データを含む、ドナーに関するすべての秘密情報へのアクセスは、注意深く管理され、医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)の要件を具備している。
【0050】
寄付されたヒト乳の加工
収集されたドナーのヒト乳は、例えばヒト乳強化剤および/または規格化ヒト乳配合物を得るために加工される。
【0051】
ヒト乳強化剤を得る方法
図1は、ヒト乳強化剤(例えばPROLACTPLUS(商標))を生成する実施形態を示すチャート図である。詳細な実施形態は、下記の実施例1で説明される。上述したように、ドナー乳は、同定目的のため且つ汚染を回避するために注意深く分析される。ドナー乳は冷凍され、所望の場合には解凍されてプールされる。その後、それは、例えば遺伝子的に(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって)スクリーニングされる(図1の段階1)。遺伝子スクリーニングは、あらゆる汚染物質、例えばウイルス(例えばHIV−1、HBVおよび/またはHCV)を同定するために行われる。その後、乳は、例えば約200ミクロンのフィルターを通してろ過を行い(段階2)、そして熱処理(段階3)を行う。例えば、(乳の)組成物は、約63℃以上で約30分間以上、処理することができる。段階4では、乳は、分離器、例えば遠心分離機に移されて、スキムからクリームを分離する。スキムは、第2の処理タンクの中に移すことができ、ここでスキムはろ過段階(段階5)まで約2〜8℃に保たれる。
【0052】
任意に、段階4でスキムから分離されたクリームは、再び分離を行い、より多くのスキムを得ることができる。
【0053】
クリームおよびスキムの分離(段階4)の後に、所望の量のクリームがスキムに添加され、組成物は、さらにろ過(段階5)、例えば限外ろ過を行う。このプロセスは、水をろ過して取り除くことによってスキムミルク中の栄養素を濃縮する。濃縮中に得られた水は透過液と呼ばれる。限外ろ過に使用されたフィルターは後洗浄することができ、得られた溶液はスキムに添加されて、得られる栄養素の量を最大にすることができる(例えば、約7〜7.2%のタンパク質濃度)。その後、スキムは、クリームと混ぜ合わせ(段階6)、サンプルが分析のために採取される。本プロセスの間のこの時点で、(乳の)組成物は一般に、約8.5〜9.5%の脂肪;約6.3〜7.0%のタンパク質;および約8〜10.5%の炭水化物、例えばラクトースを含有する。
【0054】
段階4でのクリームおよびスキムの分離の後、クリームは、一時保存用のタンク、例えばステンレス鋼容器の中に流される。クリームは、そのカロリー、タンパク質および脂肪の含有量について分析することができる。クリームの栄養含有量が分かれば、クリームの一部分を、ろ過、例えば限外ろ過(段階5)を行ったスキムミルクに添加して、製造されている特定の製品に必要とされるカロリー、タンパク質および脂肪の含有量を達成することができる。ミネラルは、低温殺菌の前に乳に添加することができる。
【0055】
この時点で、一実施形態では、加工された組成物はミネラルの添加前に冷凍し、さらなる加工のために後の時点で解凍することができる。使用されなかったいかなる余剰のクリームもまた、貯蔵する(例えば冷凍する)ことができる。任意に、加工された組成物が冷凍される前に、サンプルがミネラル分析のために採取される。加工された乳のミネラル含有量が分かると、組成物は解凍され(組成物が冷凍された場合)、所望の量のミネラルを添加して目標値を達成することができる。
【0056】
段階6、ならびに/または任意の冷凍および/もしくはミネラル添加の後に、組成物を低温殺菌する(段階7)。例えば、組成物は、プラチナ加硫サイラスティックチューブを介して高温短時間(HTST)低温殺菌器に接続された処理タンク中に置いておくことができる。低温殺菌の後に、乳は、第2の処理タンクの中に収集され、冷却することができる。当技術分野で知られている他の低温殺菌の方法を利用することができる。例えば、バットでの低温殺菌においては、タンク中の乳は最低63℃まで加熱し、最低30分間その温度で保持する。乳上の空気が乳の温度よりも少なくとも摂氏3度高い温度となる条件下で、スチーム加熱される。一実施形態では、製品温度は約66℃以上であり、製品上の気温は約69℃以上であり、製品は約30分以上の間、低温殺菌する。他の実施形態では、HTST低温殺菌およびバットでの低温殺菌の両方が行われる。
【0057】
得られた強化剤組成物は一般に無菌的に加工される。約2〜8℃まで冷却した後に、製品は、所望の容量の容器中に充填し、強化剤の様々なサンプルを、栄養分析および生物汚染度分析のために採取する。栄養分析により、組成物の適切な含有量を確実なものとする。栄養分析を反映するラベルは容器ごとに作られる。生物汚染度分析は、汚染物質の存在について試験する(例えば、B.cereus、E.coli、大腸菌(Coliform)、シュードモナス、サルモネラ菌、ブドウ球菌、酵母菌および/またはカビの総好気性数(Total Aerobic Count))。生物汚染度試験は遺伝子試験とすることができる。分析が完了し、所望の結果が得られれば、製品をパッケージ化し、発送する。
【0058】
規格化ヒト乳配合物を得る方法
下記の図2ならびに実施例3および4は、規格化ヒト乳配合物(例えばPROLACT20(商標)ならびにNEO20(商標))を得るための方法についての幾つかの実施形態を示す。
【0059】
上述したように、ドナー乳は、ドナーの同一性を確実にし、且つ汚染の可能性を低減させるためにスクリーニングされる。ドナー乳はプールされ、さらにスクリーニングされる(図2の段階1)、例えば遺伝子的にスクリーニングされる(例えばPCRによって)。スクリーニングは、例えばウイルス(例えばHIV−1、HBVおよび/またはHCV)を同定することができる。試験して陽性となった乳は処分する。スクリーニングの後に、(乳の)組成物をろ過する(段階2)。乳は、約200ミクロンのスクリーンを通してろ過し、次いで、限外ろ過する。限外ろ過中に、水は乳からろ過されて取り除かれ(この水は透過液と呼ばれる)、フィルターは透過液を用いて後洗浄される。後洗浄の溶液は、あらゆる失われていったタンパク質を回収し、且つタンパク質の濃度を例えば約1.2〜約1.5%まで増加させるために乳に添加される。図2を参照すると、他のロットからのクリーム(例えば上述の強化剤ロットに由来する余剰クリーム)は、カロリー含有量を増加させるために段階3で添加する。プロセス中のこの段階で、組成物は一般に、約3.5〜5.5%の脂肪;約1.1〜1.3%のタンパク質;および約8〜10.5%の炭水化物、例えばラクトースを含有する。
【0060】
この段階で、組成物は冷凍し、後のさらなる処理のために解凍することができる。
【0061】
任意に、ヒト乳配合物がミネラルを用いて強化されることとなる場合、組成物のミネラル分析は段階3の後に行われる。ミネラルの含有量が分かると、所望の量のミネラルを、目標値を達成するために添加することができる。
【0062】
段階4で、組成物を低温殺菌する。低温殺菌方法は当技術分野で公知である。例えば、製品は、ジャケットをかぶせたタンク中で低温殺菌することができる。熱いグリコール(hot glycol)は、タンクを加熱するために使用することができる。製品温度は約63℃以上とすることができ、製品上の気温は約66℃以上とすることができる。製品は、最低でも約30分間、低温殺菌する。他の低温殺菌手法は当技術分野で公知である。
【0063】
約2〜8℃まで冷却した後に、製品は、所望の容量の容器中に充填し、ヒト乳配合物の様々なサンプルを、栄養分析および生物汚染度分析のために採取する。栄養分析により、組成物の適切な含有量を確実なものとする。容器ごとに作られたラベルは栄養分析を反映するものである。生物汚染度分析は、汚染物質の存在について試験する(例えばB.cereus、E.coli、大腸菌、シュードモナス、サルモネラ菌、ブドウ球菌、酵母菌および/またはカビの総好気性数)。分析が完了して所望の結果が達成されれば、製品をパッケージ化し、発送する。
【0064】
ヒト乳の構成成分および生物汚染度に対する、特徴とされる方法の効果
ヒト乳は、約100,000種の異なる分子の構成要素、すなわちタンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンおよび微量ミネラルを含む。一部の特定の構成成分は、単量体の免疫グロブリンA(IgA)および二量体の分泌型IgA(s[IgA])、リゾチームおよびラクトフェリンを含む。したがって、本明細書で特徴とされる方法(低温殺菌を含む)は、乳製品の安全性を確実にするために役立つが、潜在的に熱不安定性である上記の構成成分の適当な量を維持しておくべきでもある。下記の実施例5および表3に記載されるように、本明細書で特徴とされる低温殺菌方法は、加工された乳中の多量のIgA、リゾチームおよびビタミンB6を維持することができる。下記の実施例5および表2に記載されるように、前記の特徴とされる方法は、ヒト乳のあらゆる生物汚染度をも低減させることができる。
【0065】
ヒト乳組成物
本明細書で特徴とされる組成物は、様々な量の栄養素、例えばタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミンおよびミネラルならびにIgAおよびリゾチームなどのような他の乳構成成分を含有する。ヒト乳強化剤は、例えば母親の乳に添加することができる、高濃度の栄養素およびカロリーをもたらす。規格化ヒト乳配合物は、所望の場合、ビタミンおよび/またはミネラルを用いて補完することができ、また、乳児、例えば未熟乳児に直接授乳することができる。これらの組成物を生成する方法は、組成物中の栄養素およびカロリーの量を最適化するように設計される。例えば、本明細書で特徴とされる組成物は、120カロリー/kg/日を受けている乳児への、1日当たり150mLの完全な授乳および/または3.2〜4.1グラムのタンパク質/kg/日を有する完全な授乳を受けている乳児に、約3.3〜約5.5グラムのタンパク質/kg/日を与えることができる。
【0066】
ヒト乳強化剤
本明細書で特徴とされるヒト乳強化剤は、高濃度の栄養素を含有する。一実施形態では、かかる強化剤は、約35〜85mg/mLのヒトのタンパク質成分;約60〜110mg/mLのヒトの脂肪成分;および約60〜140mg/mLのヒトの炭水化物成分を含有することができる。前記強化剤の総カロリー含有量は、例えば約0.92〜約1.89カロリー/mLとすることができる。特に、一実施形態は、約55〜65mg/mLのタンパク質成分;約85〜95mg/mLの脂肪成分;および約70〜120mg/mLの炭水化物成分を含むことができる。
【0067】
強化剤は、所望の場合、ミネラルを用いて補完することができる。一実施形態では、ミネラルは、約4.0〜5.5mg/mLのカルシウム濃度;約0.35〜0.95mg/mLの塩化物濃度;約0.0005〜0.0021mg/mLの銅濃度;約0.001〜0.700mg/mLの鉄濃度;約0.180〜0.292mg/mLのマグネシウム濃度;約0.010〜0.092マイクログラム/mLのマンガン濃度;約2.00〜3.05mg/mLのリン濃度;約1.90〜2.18mg/mLのカリウム濃度;約0.75〜0.96mg/mLのナトリウム濃度;および約0.0200〜0.0396mg/mLの亜鉛濃度を含むことができる。他の実施形態では、ミネラルは、約2.00〜2.9mg/mLのカルシウム濃度;約0.175〜0.475mg/mLの塩化物濃度;約0.00025〜0.001mg/mLの銅濃度;約0.0005〜0.0025mg/mLの鉄濃度;約0.090〜0.170mg/mLのマグネシウム濃度;約0.005〜0.046マイクログラム/mLのマンガン濃度;約1.00〜1.50mg/mLのリン濃度;約0.95〜1.41mg/mLのカリウム濃度;約0.375〜0.608mg/mLのナトリウム濃度;および約0.010〜0.0198mg/mLの亜鉛濃度を含むことができる。
【0068】
例示的な強化剤(例えばPROLACT+4(商標)およびPROLACT+6(商標))は以下の構成成分を含むことができる:ヒト乳、炭酸カルシウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅および硫酸マンガン。例示的な強化剤は、約343mOsm/kg HOまでのモル浸透圧濃度(osmolarity)で、100mL当たり以下の特徴を有することができる:約135〜155カロリー;約8.5〜9.5gの総脂肪;約75〜96mgのナトリウム;約190〜218mgのカリウム;約7.0〜12.0gの総炭水化物;約5.5〜10.0gの糖類;約5.5〜6.5gのタンパク質;約1000〜5000IUのビタミンA;約1mg未満のビタミンC;約400〜550mgのカルシウム;約0.1〜0.5mgの鉄;約200〜305mgのリン;約18〜29.2mgのマグネシウム;約35〜95mgの塩化物;約2.0〜4.0mgの亜鉛;約0.05〜0.21mcgの銅;および約9.2mcg未満のマンガン(20%の強化剤に対する約80%の生乳の比で生ヒト乳と混合した場合)。
【0069】
他の成分および異なる濃度の成分を有する強化剤は本開示により包含される。
【0070】
本明細書で特徴とされる強化剤は、母親の乳の栄養含有量および乳児の必要性に依存して、様々な濃度で母親の乳と混合することができる。例えば、母親の生乳は、生乳の栄養価を決定するために試験することができる。典型的な生乳は、平均で、1.1gのタンパク質、3.2gの脂肪、7.7gの炭水化物(主としてラクトース)を含み、100mL当たり約64kcalのエネルギーを供給する。試験の後に、母親の乳は、本明細書で説明される強化剤組成物を添加することによって調整することができる。例えば、強化剤は、120カロリー/kg/日を受けている乳児への、150mL/日の完全な授乳および/または3.2〜4.1gのタンパク質/kg/日を有する完全な授乳を考慮する場合、約2〜約10カロリー/オンス、および/または3.3〜5.5g/タンパク質/kg/日を添加することができる。より低用量の強化剤および栄養素が必要とされる場合、混合物は、約20%の強化剤および約80%の生ヒト乳(栄養性組成物)を含むことができる(約4カロリー/オンスを添加)(例えばPROLACT+4(商標)との混合物)。より高用量の栄養素が必要とされる場合、混合物は、約50%の生ヒト乳および約50%の強化剤を含むことができる(例えばPROLACT+10(商標)との混合物)。約70%の生ヒト乳に対する約30%の強化剤(例えばPROLACT+6(商標)との混合物)および約60%の生ヒト乳に対する約40%の強化剤(例えばPROLACT+8(商標)との混合物)を含む(が、これらに限定されない)、混合物の他の比は本開示によって包含される。下記の実施例2および表2は、混合物およびそれらの栄養情報の幾つかの実施形態を示す。
【0071】
規格化ヒト乳配合物
本明細書で特徴とされる規格化ヒト乳配合物は、乳児、例えば未熟乳児に授乳するために、母親自身の乳の代わりに使用することができる。それらは、乳児の成長および発達のための様々な栄養性構成成分を含む。
【0072】
一実施形態では、規格化ヒト乳配合物は、約11〜20mg/mLのヒトのタンパク質成分;約35〜55mg/mLのヒトの脂肪成分;および約70〜120mg/mLのヒトの炭水化物成分を含むことができる。特定の実施形態では、配合物は、約11〜13mg/mLのヒトのタンパク質成分;約35〜55mg/mLのヒトの脂肪成分;および約80〜105mg/mLのヒトの炭水化物成分を含有することができる。配合物の総カロリー含有量は、例えば約0.68〜約0.96カロリー/mLとすることができる。
【0073】
乳配合物は、ビタミンおよび/またはミネラルを用いて補完することができる。一実施形態では、組成物は、約0.40〜1.50mg/mLのカルシウム濃度;約0.30〜0.80mg/mLの塩化物濃度;約0.0005〜0.0021mg/mLの銅濃度;約0.001〜0.005mg/mLの鉄濃度;約0.03〜0.13mg/mLのマグネシウム濃度;約0.01〜0.092mg/mLのマンガン濃度;約0.15〜0.631mg/mL(例えば約0.15〜0.60mg/mL)のリン濃度;約0.60〜1.20mg/mLのカリウム濃度;約0.20〜0.60mg/mLのナトリウム濃度;および約0.0025〜0.0120mg/mLの亜鉛濃度を含むことができる。
【0074】
ヒト乳配合物は、様々なカロリー含有量、例えば67kcal/dL(1オンス当たり20カロリー)および81kcal/dL(1オンス当たり24カロリー)を含むことができる。例示的なヒト乳配合物(例えばPROLACT24(商標))は以下の成分を含むことができる:ヒト乳、グリセロリン酸カルシウム、クエン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅および硫酸マンガン。この例示的な組成物は、100mL当たり以下の特徴を有することができる:約81カロリー;約4.4gの総脂肪;約20.3mgのナトリウム;約60.3mgのカリウム;約8gの総炭水化物;約5〜9gの糖類;約2.3gのタンパク質;約180〜250IUのビタミンA;約1.0mg未満のビタミンC;約40.0〜150.0mgのカルシウム;約100〜150mcgの鉄;約15〜50mgのリン;約3〜10mgのマグネシウム;約25〜75.0mgの塩化物;約1.2mcgの亜鉛;約140〜190mcgの銅;約60.2mcg未満のマンガン;および約322mOsm/kg HOのモル浸透圧濃度。他の成分および異なる濃度の成分を有する乳配合物は本開示により包含される。
【0075】
特徴となる組成物の特定の構成成分
本明細書で特徴とされる乳組成物および強化剤の構成成分の1つはタンパク質である。体内では、タンパク質は、成長、酵素およびホルモンの合成、ならびに皮膚、尿および糞便より失われていったタンパク質の交換に必要とされる。これらの代謝プロセスは、授乳でのタンパク質の総量および特定のアミノ酸の相対量の両方の必要性を決定する。乳児への授乳におけるタンパク質の量および種類の妥当性は、成長、窒素の吸収および保持、血漿アミノ酸、ある種の血液分析物質、ならびに代謝応答を測定することによって決定される。単に栄養上の理由以外の理由で有益な、前記の特徴とされる組成物中に存在するタンパク質の中には、ヒトIgA、リゾチームおよびラクトフェリンが含まれる。
【0076】
本明細書に記載される乳組成物の他の成分は脂肪である。脂肪は、高いカロリー密度のいう理由だけではなく、溶液中での低い浸透圧活性という理由からも、一般には、LBW乳児にとってのエネルギー源となる。したがって、任意に、本発明の乳組成物は、脂肪成分を用いて補完することができる。そのような異種脂肪成分は、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびアラキドン酸等の特定の脂肪酸を含む。
【0077】
ビタミンおよびミネラルは、乳児の適切な栄養摂取および発達に重要である。未熟乳児またはLBW乳児は、成長のため、および酸塩基バランスのために、電解質、例えばナトリウム、カリウムおよび塩化物を必要とする。これらの電解質の十分な摂取は、尿および便における、ならびに皮膚からの逸失の代わりとして必要とされる。カルシウム、リンおよびマグネシウムは、適切な骨の石灰化および成長に必要とされる。
【0078】
微量ミネラルは、細胞分裂、免疫機能および成長と関連する。その結果として、十分な量の微量ミネラルが乳児の成長および発達に必要とされる。重要であるいくつかの微量ミネラルは、例えば銅、マグネシウムおよび鉄(これは、例えばヘモグロビン、ミオグロビンおよび鉄含有酵素の合成に重要である)を含む。亜鉛は例えば、成長のために、多数の酵素の活性のために、ならびにDNA、RNAおよびタンパク質の合成のために必要とされる。銅は、例えばいくつかの重要な酵素の活性のために必要とされる。マンガンは、例えば骨および軟骨の発達のために必要とされ、多糖類および糖タンパク質の合成において重要である。したがって、本発明のヒト乳配合物および強化剤組成物は、本明細書に記載されるようなビタミンおよびミネラルを用いて補完することができる。
【0079】
ビタミンAは、例えば成長、細胞分化、視覚および免疫系の適切な機能に必須の脂溶性ビタミンである。ビタミンDは、例えばカルシウムおよび(より程度は少ないが)リンの吸収に、ならびに骨の発達に重要である。ビタミンE(トコフェロール)は、細胞中の多価不飽和脂肪酸の過酸化を予防し、そのため組織損傷を予防する。葉酸は、例えばアミノ酸およびヌクレオチドの代謝の役割を果たす。血清の葉酸濃度は、葉酸摂取が少ないLBW乳児では2週齢後に正常未満に低下することが示された。加えて、いくつかのビタミンB群は早産乳中に低濃度で存在する。
【0080】
上述のように、ヒト乳のビタミンおよびミネラルの濃度の変動性、ならびに早産乳児にとっての増大した必要性は、発達中の乳児が適当な量のビタミンおよびミネラルを受けとっていることを保証するために、多少の強化を要求する場合がある。本明細書で特徴とされるヒト乳組成物に添加することができるビタミンおよびミネラルの例として、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビオチン、葉酸、パントテン酸、ナイアシン、m−イノシトール、カルシウム、リン、マグネシウム、亜鉛、マンガン、銅、ナトリウム、カリウム、塩化物、鉄およびセレンが含まれる。当該組成物は、クロム、モリブデン、ヨウ素、タウリン、カルニチンおよびコリンを用いて補完することもでき、これらはまた、補完の必要があるかもしれない。
【0081】
本明細書で特徴とされるヒト乳強化剤および規格化乳配合物のモル浸透圧濃度は、組成物の吸着、吸収および消化に影響を与え得る。高いモル浸透圧濃度、例えば約400mOsm/kg HO超は、壊死性腸炎(NEC)、すなわち新産児に影響を与える胃腸疾患の率の増加と関連してきた(例えばSrinivasanら、Arch.Dis.Child Fetal Neonatal Ed.89:514〜17頁、2004年を参照のこと)。本開示のヒト乳組成物および強化剤(一旦生乳と混合)のモル浸透圧濃度は、典型的には、約400mOsm/kg HO未満である。典型的には、モル浸透圧濃度は、約310〜約380mOsm/kg水(kg of water)とする。モル浸透圧濃度は、当技術分野において公知の方法によって調整することができる。
【0082】
キット
本開示は、本明細書に記載されたヒト乳強化剤および当該強化剤を生ヒト乳と混合するための容器を含むキットも特徴とする。前記容器はボトル、例えば適切な希釈を助けるための目盛付きのボトル、シリンジ、缶、および当技術分野で公知の他の容器を含むことができる。
【0083】
NICUでの、特徴とされる組成物の処理
例えばNICUでの強化剤および規格化乳製品の調製は、患者の必要性および様々な病院の方針に依存して調整される。そのため、例えば強化剤を用いて調製された乳の量は、現場で決定されるであろう。
【0084】
本開示の実施形態は、もちろん、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法以外の方法で実行されてもよい。したがって、実施形態はすべての点で、例証的なものとみなされるのであって、限定的なものとみなされてはならない。
【実施例】
【0085】
実施例1.PROLACTA(商標)Bioscienceヒト乳強化剤(Human Milk Fortifier;HMF)の生産および組成物
PROLACTA(商標)Bioscienceヒト乳強化剤(HMF)(PROLACTPLUS(商標))は、以下の段階により生産した。加工はクラス100,000のクリーンルーム(ISOクラス8)で行い、充填はクラス10,000のクリーンルーム(ISOクラス7)で行った:
1.ドナー乳をプールした。
2.サンプルを、下記のウイルスについてのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために採取した:
a.HIV−1
b.HBV−B型肝炎
c.HCV−C型肝炎
3.ドナー乳を、200ミクロンのスクリーンを通してろ過した。
4.ドナー乳を、63℃以上で30分間熱処理した。
5.乳を、スキムミルクおよびクリームに分離し、これらは以下の濃度を有していた:
a.スキム:0.3〜0.69%の脂肪、0.9〜1.2%のタンパク質、6〜10%のラクトース
b.クリーム:25〜46%の脂肪、0.5〜2%のタンパク質、8〜10%のラクトース
6.クリームは、所望の場合、採取し分離器に通すことができる:
a.スキムが多く生産される程、一層多くのHMFを生産することができるので、収量を増加させる本段階はより多くのスキムミルクを生産する。
b.分離器の非スキム側から出る産物は一般に廃棄物と考えられる。
7.クリームを、濃縮段階中に、より好都合な限外ろ過のためのスキムに添加した。スキム中の脂肪をタンパク質含有量の55〜65%とした。
8.スキムミルクを限外ろ過した。この段階により、スキムミルクから水をろ過して取り除いた。この水を透過液と呼んだ。この段階中の最終濃度を7〜10%のタンパク質とした。
9.透過液を使用するフィルターの後洗浄を、限外ろ過プロセス中にフィルター上に捕捉されたあらゆるタンパク質を回収するために実行した。後洗浄の溶液を、タンパク質濃度が7.0〜7.2%に達するまで濃縮スキムミルクに添加した。
10.バルク配合中、後洗浄の溶液を添加した後に、クリームを濃縮スキムミルクに添加した。この段階によりカロリーを適正な目標値まで増加させた。この時点で、製品は、
a.脂肪 8.5〜9.5%;
b.タンパク質 6.3〜7.0%;および
c.ラクトース 8〜10.5%であった。
11.バルクのサンプルをミネラル分析にまわした。最初のミネラル含有量についての本分析は、製品に添加する必要のあるミネラルの量についての後の決定を可能にした(例えば段階14を参照のこと)。
12.バルクを−20℃以下で冷凍した。
13.ミネラルの結果が研究所から戻ってきたところで、バルクを解凍した。
14.出発物質中のミネラル濃度(上記段階11で決定)に基づいて、どの程度のより多くのミネラルを添加する必要があるのかを計算した。最終目標値を下記に詳述する。PROLACT+4(商標)、PROLACT+6(商標)、PROLACT+8(商標)およびPROLACT+10(商標)の強化剤はヒト乳と混合して使用し、下記の実施例2でさらに説明する。
a.PROLACT+4(商標)およびPROLACT+6(商標)
i.カルシウム 400.0〜550.0mg/dL
ii.塩化物 35〜95.0mg/dL
iii.銅 0.05〜0.21mg/dL
iv.鉄 0.1〜0.7mg/dL
v.マグネシウム 18.0〜29.2mg/dL
vi.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL
vii.リン 200.0〜305.0mg/dL
viii.カリウム 190.0〜218.0mg/dL
ix.ナトリウム 75〜96mg/dL
x.亜鉛 2.0〜3.96mg/dL
b.PROLACT+8(商標)およびPROLACT+10(商標)
i.カルシウム 200.0〜290mg/dL
ii.塩化物 17.5〜47.5mg/dL
iii.銅 0.025〜0.1mg/dL
iv.鉄 0.05〜0.25mg/dL
v.マグネシウム 9.0〜14.6mg/dL
vi.マンガン 0.5〜4.6マイクログラム/dL
vii.リン 100.0〜150.0mg/dL
viii.カリウム 95.0〜141.0mg/dL
ix.ナトリウム 37.5〜60.8mg/dL
x.亜鉛 1.0〜1.98mg/dL
c.PROLACT+6(商標)はさらに、下記の配合物を用いて製造する:
i.カルシウム 250.0〜425.0mg/dL
ii.塩化物 15〜75.0mg/dL
iii.銅 0.05〜0.21mg/dL
iv.鉄 0.1〜0.5mg/dL
v.マグネシウム 10.0〜25.0mg/dL
vi.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL
vii.リン 125.0〜225.0mg/dL
viii.カリウム 60.0〜105.0mg/dL
ix.ナトリウム 50.0〜90mg/dL
x.亜鉛 2.0〜3.96mg/dL
15.最終バルクを50〜55℃に加熱し、ミネラルを最終バルク中で混合した。
16.ミネラルを混合した後に、製品をタンク中で低温殺菌した。タンクにジャケットをかぶせ、熱グリコールをタンクを加熱するために使用した。以下のパラメーターに従った:
a.製品温度を66℃以上とした;
b.製品上の気温を69℃以上とした;および
c.製品を最低30分間、低温殺菌した。
17.製品温度を、ジャケットをかぶせたタンク中で、冷グリコール(cold glycol)を用いて、2〜8℃にした。
18.製品を、クラス10,000クリーンルーム中でWatson−Marlow社製充填機を使用してボトルの中に充填した。充填サイズは以下の通りとした:
a.PROLACT+4(商標)10mL
b.PROLACT+4(商標)20mL
c.PROLACT+4(商標)100mL
d.PROLACT+6(商標)15mL
e.PROLACT+6(商標)30mL
f.PROLACT+8(商標)20mL
g.PROLACT+8(商標)40mL
h.PROLACT+10(商標)25mL
i.PROLACT+10(商標)50mL。
19.充填が完了したら、ボトルを以下のように使用した:
a.生物汚染度サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各2本のボトル、合計6本のボトルを試験のために採取し;
b.栄養サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各1本のボトル、合計3本のボトルを試験のために採取し;且つ
c.保持サンプル− 120mLの製品を保持した。
20.分析を、下記に対し、生物汚染度サンプルについて行った:
a.総好気性数 <100コロニー形成単位/mL;
b.Bacillus cereus <10コロニー形成単位/mL;
c.E.coli <1コロニー形成単位/mL;
d.大腸菌 <1コロニー形成単位/mL;
e.シュードモナス <1コロニー形成単位/mL;
f.サルモネラ菌 <1コロニー形成単位/mL;
g.ブドウ球菌 <1コロニー形成単位/mL;
h.酵母菌 <100コロニー形成単位/mL;および
i.カビ <100コロニー形成単位/mL。
21.以下の栄養分析を進めた。
a.PROLACT+4(商標)またはPROLACT+6(商標)
i.総カロリー 1.35〜1.55カロリー/mL
ii.タンパク質 5.5〜6.5g/dL
iii.脂肪 8.5〜9.5g/dL
iv.ラクトース 7.0〜12.0g/dL
v.カルシウム 400.0〜550.0mg/dL
vi.塩化物 35〜95.0mg/dL
vii.銅 0.05〜0.21mg/dL
viii.鉄 0.1〜0.7mg/dL
ix.マグネシウム 18.0〜29.2mg/dL
x.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL
xi.リン 200.0〜305.0mg/dL
xii.カリウム 190.0〜218.0mg/dL
xiii.ナトリウム 75〜96mg/dL
xiv.亜鉛 2.0〜3.96mg/dL
b.PROLACT+8(商標)またはPROLACT+10(商標)
i.総カロリー 1.35〜1.55カロリー/mL
ii.タンパク質 5.5〜6.5g/dL
iii.脂肪 8.5〜9.5g/dL
iv.ラクトース 7.0〜12.0g/dL
v.カルシウム 200.0〜275mg/dL
vi.塩化物 17.5〜47.5mg/dL
vii.銅 0.025〜0.1mg/dL
viii.鉄 0.05〜0.25mg/dL
ix.マグネシウム 9.0〜14.6mg/dL
x.マンガン 0.5〜4.6マイクログラム/dL
xi.リン 100.0〜150.0mg/dL
xii.カリウム 95.0〜141.0mg/dL
xiii.ナトリウム 37.5〜60.8mg/dL
xiv.亜鉛 1.0〜1.98mg/dL
c.PROLACT+6(商標)も以下の配合物を用いて製造する:
i.総カロリー 1.35〜1.55カロリー/mL
ii.タンパク質 5.5〜6.5g/dL
iii.脂肪 8.5〜9.5g/dL
iv.ラクトース 7.0〜12.0g/dL
v.カルシウム 250.0〜425.0mg/dL
vi.塩化物 35〜75.0mg/dL
vii.銅 0.05〜0.21mg/dL
viii.鉄 0.1〜0.5mg/dL
ix.マグネシウム 10.0〜25.0mg/dL
x.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL
xi.リン 125.0〜225.0mg/dL
xii.カリウム 190.0〜218.0mg/dL
xiii.ナトリウム 50〜90mg/dL
亜鉛 2.0〜3.96mg/dL
22.栄養分析が完了したら、ラベルを、研究所からの実際の値を用いて作った。一般に、食品についての通常の手順はラベルに平均値を載せることである。しかしながら、これらのProlact製品は、各ボトル中に具体的にあるものを示す。
23.製品を、ドライアイス上の断熱クーラーで顧客に発送した。発送のために、ドライアイスの代わりに冷却台も使用することができる。
【0086】
実施例2.ヒト乳強化剤をベースとする様々な種類のPROLACTA(商標)ヒト乳製品の生産および組成物
例えば実施例1で既に記載したようにして生産したヒト乳強化剤(HMF)を、生ヒト乳(例えば未熟乳児の母親からの乳)と様々な濃度で混合した。母親自身の乳の栄養含有量および乳児の必要性に依存して、HMFを様々な比で混合することができる。PROLACT+4(商標)は、20%のHMFに対して約80%の生乳の比で混合することを意味する組成物である。PROLACT+6(商標)は、約70%の生乳および30%のHMFの比で混合することを意味する組成物である。PROLACT+8(商標)は、約60%の生乳および40%のHMFの比で混合することを意味する組成物である。PROLACT+10(商標)は、約50%の生乳および50%のHMFの比で混合することを意味する。混合は、PROLACTA(商標)の機関においてではなく顧客が行った。下記の表は、生乳中、および生乳と様々な比で混合した4種のPROLACTPLUS(商標)組成物中の栄養素の例示的な栄養比較を示す。
【0087】
【表1】

【0088】
実施例3.規格化ヒト乳配合物の生産および組成物
PROLACTA(商標)Bioscience NEO20(商標)は、以下の段階を用いて生産した規格化ヒト乳配合物である。加工はクラス100,000のクリーンルーム(ISOクラス8)で行い、充填はクラス10,000のクリーンルーム(ISOクラス7)で行った:
1.ドナー乳をプールした。
2.サンプルを、以下のウイルスの試験用のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のために採
取した:
a.HIV−1
b.HBV−B型肝炎
c.HCV−C型肝炎
3.ドナー乳を、200ミクロンのスクリーンを通してろ過した。
4.全乳を限外ろ過した。この段階により、全乳から水をろ過して取り除いた。この水を透過液と呼んだ。この段階中の最終濃度を1.2〜1.3%とした。
5.限外ろ過プロセス中にフィルター上に捕捉されたあらゆるタンパク質を回収するために、フィルターを、透過液を使用して後洗浄した。後洗浄の溶液を、タンパク質濃度が1.2〜1.5%となるまで濃縮全乳に添加した。
6.バルク配合中、カロリーを適正な目標値まで増加させるために、後洗浄の溶液を添加した後に、先の強化剤ロット由来のクリームを濃縮全乳に添加した。この時点で製品は、
a.脂肪 3.5〜5.5%;
b.タンパク質 1.1〜1.3%;および
c.ラクトース 8〜10.5%であった。
7.次に、製品をタンク中で低温殺菌した。タンクにジャケットをかぶせ、熱いグリコールを、タンクを加熱するために使用した。以下のパラメーターに従った:
a.製品温度を63℃以上とした;
b.製品上の気温を66℃以上とした;および
c.製品を最低30分間、低温殺菌した。
8.製品温度を、ジャケットをかぶせたタンク中で、冷グリコールを用いて、2〜8℃にした。
9.製品を、クラス10,000クリーンルーム中でWatson−Marlow社製充填機を使用してボトルの中に充填した。充填サイズは以下の通りとした:
a.NEO20(商標)30mL;
b.NEO20(商標)40mL;
c.NEO20(商標)50mL;
d.NEO20(商標)148mL;および
e.NEO20(商標)200mL。
10.充填が完了したら、ボトルを以下の試験のために採取した:
a.生物汚染度サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各2本のボトル、合計6本のボトルを採取し;
b.栄養サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各1本のボトル、合計3本のボトルを採取し;且つ
c.保持サンプル− 120mLの製品を保持した。
11.以下のパラメーターを生物汚染度サンプルで試験した:
a.総好気性数 <100コロニー形成単位/mL;
b.Bacillus cereus <10コロニー形成単位/mL;
c.E.coli <1コロニー形成単位/mL;
d.大腸菌 <1コロニー形成単位/mL;
e.シュードモナス <1コロニー形成単位/mL;
f.サルモネラ菌 <1コロニー形成単位/mL;
g.ブドウ球菌 <1コロニー形成単位/mL;
h.酵母菌 <100コロニー形成単位/mL;および
i.カビ <100コロニー形成単位/mL。
12.栄養分析を、すべての充填サイズのNEO20(商標)について進めた。濃度値を以下の範囲とした:
i.総カロリー 0.69〜0.74カロリー/mL
ii.タンパク質 1.1〜1.3g/dL;
iii.脂肪 3.5〜5.5g/dL;および
iv.ラクトース 8.0〜10.5g/dL。
13.栄養分析が完了したら、ラベルを、研究所からの実際の値を用いて作った。一般に、食品についての通常の手順はラベルに平均値を載せることである。しかしながら、これらのPROLACTA(商標)製品は、各ボトル中に具体的にあるものを示す。
14.製品を、ドライアイス上の断熱クーラーで顧客に発送した。ドライアイスの代わりに冷却台を発送に使用することができる。
【0089】
実施例4.ミネラルを用いて強化された規格化ヒト乳の生産および組成物
PROLACTA(商標)Bioscience PROLACT20(商標)はミネラルを用いて強化した規格化ヒト乳製品である。それを、クラス100,000のクリーンルーム(ISO8)で以下の段階を用いて生産した。充填は10,000のクリーンルーム(ISO7)で行った。
1.ドナー乳をプールした。
2.サンプルを、以下のウイルスについてのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験のために採取した:
a.HIV−1
b.HBV−B型肝炎
c.HCV−C型肝炎
3.ドナー乳を、200ミクロンのスクリーンを通してろ過した。
4.全乳を限外ろ過した。この段階で、水を全乳からろ過して取り除いた。この水を透過液と呼んだ。この段階中の最終濃度を1.2〜1.3%とした。
5.限外ろ過プロセス中にフィルター上に捕捉されたあらゆるタンパク質を回収するために、フィルターを、透過液を使用して後洗浄した。後洗浄の溶液を、タンパク質が1.2〜1.5%の範囲となるまで、濃縮全乳に添加した。
6.バルク配合中、カロリーを適正な目標値まで増加させるために、後洗浄の溶液を添加した後に、先の強化剤ロットからのクリームを濃縮全乳に添加した。この時点で製品は、
a.脂肪 3.5〜5.5%;
b.タンパク質 1.1〜1.3%;および
c.ラクトース 8〜10.5%であった。
7.この段階で、製品を冷凍し、さらなる処理のために後で解凍することができる。
8.始めのミネラルの分析に基づいて、どの程度のより多くのミネラルを添加する必要があるのかを計算した。最終目標値は、
a.カルシウム 40〜150mg/dL;
b.塩化物 30〜80mg/dL;
c.銅 0.05〜0.21mg/dL;
d.鉄 0.1〜0.5mg/dL;
e.マグネシウム 3.0〜13mg/dL;
f.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL;
g.リン 15〜60mg/dL;
h.カリウム 60〜120mg/dL;
i.ナトリウム 20〜60mg/dL;および
j.亜鉛 0.25〜1.2mg/dLとした。
9.ミネラルの添加(および製品が冷凍されていた場合には解凍)の後に、製品をタンク中で低温殺菌した。タンクにジャケットをかぶせ、熱いグリコールを、タンクを加熱するために使用した。以下のパラメーターに従った:
a.製品温度を63℃以上とした;
b.製品上の気温を66℃以上とした;および
c.製品を最低30分間、低温殺菌した。
10.製品温度を、ジャケットをかぶせたタンク中で、冷グリコールを用いて、2〜8℃にした。
11.製品を、クラス10,000クリーンルーム中でWatson−Marlow社製充填機を使用してボトルの中に充填した。充填サイズは以下の通りとした:
a.PROLACT20(商標)30mL
b.PROLACT20(商標)40mL
c.PROLACT20(商標)50mL
12.充填を行ったら、ボトルを以下のために採取した:
a.生物汚染度サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各2本のボトル、合計6本のボトルを採取し;
b.栄養サンプル−充填作業の始め、中間および終わりから各1本のボトル、合計3本のボトルを採取し;且つ
c.保持サンプル− 120mLの製品を保持した。
13.下記を生物汚染度サンプルで試験した:
a.総好気性数 <100コロニー形成単位/mL;
b.Bacillus cereus <10コロニー形成単位/mL;
c.E.coli <1コロニー形成単位/mL;
d.大腸菌 <1コロニー形成単位/mL;
e.シュードモナス <1コロニー形成単位/mL;
f.サルモネラ菌 <1コロニー形成単位/mL;
g.ブドウ球菌 <1コロニー形成単位/mL;
h.酵母菌 <100コロニー形成単位/mL;および
i.カビ <100コロニー形成単位/mL。
14.栄養分析を、ミネラルを添加した後に、すべての充填サイズのPROLACT20(商標)について行った。範囲は、
i.総カロリー 0.69〜0.74カロリー/mL
ii.タンパク質 1.1〜1.3g/dL;
iii.脂肪 3.5〜5.5g/dL;
iv.ラクトース 8.0〜10.5g/dL;
v.カルシウム 40〜150mg/dL;
vi.塩化物 30〜80mg/dL;
vii.銅 0.05〜0.21mg/dL;
viii.鉄 0.1〜0.5mg/dL;
ix.マグネシウム 3.0〜13mg/dL;
x.マンガン 1.0〜9.2マイクログラム/dL;
xi.リン 15〜60mg/dL;
xii.カリウム 60〜120mg/dL;
xiii.ナトリウム 20〜60mg/dL;および
xiv.亜鉛 0.25〜1.2mg/dLとした。
15.栄養分析が完了したら、ラベルを、研究所からの実際の値を用いて作った。一般的な食品手順では、平均値をラベル上に置く。しかしながら、これらのPROLACTA(商標)製品は、各ボトル中に具体的にあるものを示す。
16.製品を、ドライアイス上の断熱クーラーで顧客に発送した。ドライアイスの代わりに冷却台も発送に使用することができる。
【0090】
実施例5.低温殺菌方法の検証
本開示の方法および組成物は、記載される組成物中の重要なタンパク質およびビタミンの望ましい活性を維持し、生物汚染度を低減する(例えばTerpstraら、Breastfeeding Med.2(1):27〜33頁、2007年を参照)。
【0091】
A.生物汚染度の検証
ヒト乳の生物汚染度に対する高温短時間(HTST)低温殺菌およびバットでの低温殺菌の効果の検証を実行した。検証研究で使用した試験生物は以下の細菌およびウイルスとした:E.coli、S.aureus、およびS.agalactiae、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、A型肝炎ウイルス(HAV)、ウシウイルス性下痢症ウイルス(BVDV)、ならびに仮性狂犬病ウイルス(PSR)。HIVおよびHAVは、ヒト乳の潜在的な汚染物質であることが知られており、したがって、関連性のあるウイルスとして選択した。C型肝炎ウイルス(HCV)も、ヒト乳の潜在的な汚染物質であることが知ら
れている。しかしながら、このウイルスは、研究所の細胞系システムで効率的に培養することができず、そのため、特定のモデルウイルスBVDVを使用する。同じ技術的な理由から、ヒト乳の公知の潜在的な汚染物質であるB型肝炎ウイルス(HBV)も、HBVと同様に脂質エンベロープウイルスである一般的なモデルの仮性狂犬病ウイルスに置き換えられる。本明細書で記載された方法を用いて、以下の結果を得た。
【0092】
【表2】

【0093】
これらのウイルスの対数低減値は、本開示の方法によって達成することができる最大の低減を表すものではない。S.aureusは熱処理に対してかなりの耐性を示すが、この生物は本開示の方法で15の対数低減を示した。
【0094】
B.乳構成成分の検証
低温殺菌の後の様々なヒト乳構成成分のレベルの検証も行った。
【0095】
免疫グロブリンA(IgA)および分泌型IgA(s[IgA])はサンドイッチELISA法を用いて、ヒト乳サンプルで定量化した。本明細書で特徴とされるHTSTプロセスを用いた低温殺菌の後で、IgA濃度は、未処理のヒト乳サンプルの対応する値と比較して、平均で約27%下がり(例えば約7〜約47%の範囲)、分泌型IgAレベルは平均で17%下がった(例えば約7〜約27%の範囲)。
【0096】
リゾチーム活性は、基質としてミクロコッカス・リソデイクティカス(Micrococcus lysodeikticus)懸濁液を用いたマイクロタイターアッセイにより決定した。低温殺菌後のヒト乳中のリゾチーム活性は約22,000IU/mLであり、これは生ヒト乳中の初期活性(39,000IU/mL)の57%(例えば約47〜約67%またはそれ以上の範囲)であった。
【0097】
ラクトフェリン濃度をELISA法により決定した。本開示の方法を用いた低温殺菌後のヒト乳のラクトフェリン含有量は約0.033g/100mL、生ヒト乳中の初期濃度(0.24g/100mL)の約14%(例えば約4〜24%の範囲)であった。
【0098】
ビタミン分析は,有効化HPLC法を用いて行った。ビタミンA、ビタミンC、ならびにα−、γ−およびδ−トコフェロールのレベルは、低温殺菌後も変化がなかった。ヒト乳のビタミンB6含有量は、8.8μg/100mLの初期濃度の約89%である約7.8μg/100mLと、わずかに減少した。これらの結果を表3に示す。
【0099】
【表3】

【0100】
本明細書に記載される本発明の他の変形および実施形態は、本発明の範囲または下記の請求項の精神から逸脱することなく、当業者らにとっては明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約35〜85mg/mLのヒトのタンパク質成分;
約60〜110mg/mLのヒトの脂肪成分;および
約60〜140mg/mLのヒトの炭水化物成分
を含む、低温殺菌ヒト乳組成物。
【請求項2】
前記炭水化物成分がラクトースを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ヒトIgAをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上の成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
約55〜65mg/mLの前記タンパク質成分;
約85〜95mg/mLの前記脂肪成分;および
約70〜120mg/mLの前記炭水化物成分
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記炭水化物成分がラクトースを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ヒトIgAをさらに含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上の成分をさらに含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
約4.0〜5.5mg/mLのカルシウム濃度;
約0.35〜0.95mg/mLの塩化物濃度;
約0.0005〜0.0021mg/mLの銅濃度;
約0.001〜0.007mg/mLの鉄濃度;
約0.180〜0.292mg/mLのマグネシウム濃度;
約0.010〜0.092マイクログラム/mLのマンガン濃度;
約2.00〜3.05mg/mLのリン濃度;
約1.90〜2.18mg/mLのカリウム濃度;
約0.75〜0.96mg/mLのナトリウム濃度;および
約0.0200〜0.0369mg/mLの亜鉛濃度
を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記炭水化物成分がラクトースを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
約2.00〜2.90mg/mLのカルシウム濃度;
約0.175〜0.475mg/mLの塩化物濃度;
約0.00025〜0.001mg/mLの銅濃度;
約0.0005〜0.0025mg/mLの鉄濃度;
約0.090〜0.170mg/mLのマグネシウム濃度;
約0.005〜0.046マイクログラム/mLのマンガン濃度;
約1.00〜1.50mg/mLのリン濃度;
約0.95〜1.41mg/mLのカリウム濃度;
約0.375〜0.608mg/mLのナトリウム濃度;および
約0.010〜0.0198mg/mLの亜鉛濃度
を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記炭水化物成分がラクトースを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約80%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約70%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約60%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約50%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項17】
請求項9に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約80%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項18】
請求項9に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約70%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項19】
請求項9に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約60%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項20】
請求項9に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約50%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項21】
請求項11に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約80%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項22】
請求項11に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約70%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項23】
請求項11に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約60%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項24】
請求項11に記載の組成物および生ヒト乳を含む栄養性ヒト乳組成物であって、前記生ヒト乳が約50%の栄養性組成物を含む、栄養性ヒト乳組成物。
【請求項25】
約11〜20mg/mLのヒトのタンパク質成分;
約35〜55mg/mLのヒトの脂肪成分;および
約70〜120mg/mLのヒトの炭水化物成分
を含む、低温殺菌ヒト乳組成物。
【請求項26】
約11〜13mg/mLのヒトのタンパク質成分;
約35〜55mg/mLのヒトの脂肪成分;および
約80〜105mg/mLのヒトの炭水化物成分
を含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記炭水化物成分がラクトースを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
カロリー含有量が約0.64〜1.1カロリー/mLを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項29】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上の構成成分をさらに含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
約0.40〜1.50mg/mLのカルシウム濃度;
約0.30〜0.80mg/mLの塩化物濃度;
約0.0005〜0.0021mg/mLの銅濃度;
約0.001〜0.005mg/mLの鉄濃度;
約0.03〜0.13mg/mLのマグネシウム濃度;
約0.01〜0.092マイクログラム/mLのマンガン濃度;
約0.15〜0.631mg/mLのリン濃度;
約0.60〜1.20mg/mLのカリウム濃度;
約0.20〜0.60mg/mLのナトリウム濃度;および
約0.0025〜0.0120mg/mLの亜鉛濃度
を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上の構成成分をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
約0.40〜1.50mg/mLのカルシウム濃度;
約0.30〜0.80mg/mLの塩化物濃度;
約0.0005〜0.0021mg/mLの銅濃度;
約0.001〜0.005mg/mLの鉄濃度;
約0.03〜0.13mg/mLのマグネシウム濃度;
約0.01〜0.092マイクログラム/mLのマンガン濃度;
約0.15〜0.631mg/mLのリン濃度;
約0.60〜1.20mg/mLのカリウム濃度;
約0.20〜0.60mg/mLのナトリウム濃度;および
約0.0025〜0.0120mg/mLの亜鉛濃度
を含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
(a)一以上のウイルスについてヒト乳を遺伝子的にスクリーニングする段階;
(b)乳をろ過する段階;
(c)乳を熱処理する段階;
(d)乳を、クリームおよびスキムに分離する段階;
(e)クリームの一部分をスキムに添加する段階;ならびに
(f)低温殺菌する段階
を含む、低温殺菌ヒト乳組成物を得るための方法。
【請求項34】
前記熱処理する段階が、約63℃以上で約30分間、乳を処理することを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
段階(d)の後にフィルターを通してスキムをろ過する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
段階(a)での遺伝子スクリーニングがポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
遺伝子スクリーニングが、HIV−1、HBVおよびHCVよりなる群から選択される一以上のウイルスをスクリーニングすることを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
乳が、段階(b)で約200ミクロンのスクリーンを通してろ過される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
段階(d)の後に、クリームを分離器に通す段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記スキムをろ過する段階が、スキムから水をろ過して取り除くことを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
フィルターを洗浄して後洗浄の溶液を得る段階をさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
スキムに後洗浄の溶液を添加する段階をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
後洗浄の溶液およびスキムの組成物が、約7.0〜7.2%のタンパク質を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
段階(e)の後に得られる組成物の一部分についてミネラル分析を実行する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上のミネラルを、段階(e)の後に得られる組成物に添加する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記一以上のミネラルを添加する段階が、前記組成物を加熱することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
段階(f)の後に前記組成物を冷却する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
段階(f)の後に前記組成物の一部分について生物学的試験を実行する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
段階(f)の後に前記組成物の一部分について栄養試験を実行する段階をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
段階(a)のヒト乳が、プールされたヒト乳を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
段階(f)の後に得られる組成物が、約8.5〜9.5%の脂肪、約6.3〜7.0%のタンパク質、および約8.0〜10.5%のラクトースを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
(a)一以上のウイルスについてヒト乳を遺伝子的にスクリーニングする段階;
(b)乳をろ過する段階;
(c)クリームを添加する段階;および
(d)低温殺菌する段階
を含む、低温殺菌ヒト乳組成物を得るための方法。
【請求項53】
段階(a)での遺伝子スクリーニングがポリメラーゼ連鎖反応を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
遺伝子スクリーニングが、HIV−1、HBVおよびHCVよりなる群から選択される一以上のウイルスをスクリーニングすることを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
乳が、段階(b)で約200ミクロンのスクリーンを通してろ過される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
フィルターに通す段階(b)の後に、全乳を限外ろ過する段階をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
限外ろ過に使用される前記フィルターを後洗浄する段階をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
段階(d)の後に前記組成物を冷却する段階をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
段階(d)の後に前記組成物の一部分について生物学的試験を実行する段階をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項60】
段階(d)の後に前記組成物の一部分について栄養試験を実行する段階をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
段階(a)のヒト乳が、プールされたヒト乳を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項62】
カルシウム、塩化物、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛よりなる群から選択される一以上のミネラルを、段階(c)の後に得られる組成物に添加する段階をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項63】
段階(d)の後に得られる組成物が、約11〜20mg/mLのタンパク質、約35〜55mg/mLの脂肪、および約70〜120mg/mLの炭水化物を含む、請求項52
に記載の方法。
【請求項64】
請求項1に記載の低温殺菌ヒト乳組成物、および請求項1に記載の組成物を生ヒト乳と混合するための目盛付きの容器を含む、キット。
【請求項65】
前記容器が、ボトル、シリンジおよび缶よりなる群から選択される、請求項64に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−254091(P2012−254091A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184405(P2012−184405)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【分割の表示】特願2009−539493(P2009−539493)の分割
【原出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(509056489)プロラクタ バイオサイエンス,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】