ヒト以外の動物の非侵襲的生理学的モニタシステム及び方法
本発明は、無拘束状態及び(又は)拘束状態の動物、例えばサル、ウサギ、イヌ、ウマ等の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ用衣服を提供する。本発明は又、モニタリングデータを収集して処理する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束状態及び(又は)無拘束状態のヒト以外の動物の非侵襲的生理学的モニタに関し、特に、動物から生理学的データを収集するモニタシステム及びデータを収集して解釈する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
薬剤用化合物は、一般的使用のための認可前に大々的な試験を受ける。この試験(前臨床試験)の初期段階では、提案された化合物がヒトへの投与にとって安全であることを実証する必要がある。このような実証のためには、ヒトへの投与に先立って、提案された化合物は、ヒトと同様な生理学的応答を持つ動物に投与される。かかる動物試験中、試験用動物の生理学的及び生物学的システムをモニタして生じるかもしれない悪影響を検出することが必要である。生理学的モニタは、侵襲手技を伴わず、モニタ中、試験用動物が無拘束状態にあることが好ましい。
【0003】
具体的に言えば、霊長類、特にサルは、ヒトとの類似性により、好ましい前臨床試験用動物である。しかしながら、サルの呼吸量を正確にモニタするには、サルを身体的に動かなくすること及びフェースマスクをサルの顔面を覆って配置する必要があった。無拘束状態のサルをモニタすることは可能ではあるが、これは、胸腔内圧に敏感なモニタ器具をサルの体内に外科的に植え込むことによってのみ可能である。かかる植え込まれた器具から戻ったデータは、呼吸数に応答するが、呼吸量に関する情報は、事実上ゼロである。さらに、関連の外科手技は、最善でも不快であり、サルにとって有痛性である場合が多く、モニタ出費を増大させ、モニタ手技を遅延させる外科手術後の治癒を必要とし、しかも、避けられない感染の恐れを生じさせる。また、いったん植え込まれると、器具は、故障を生じがちであり、場合によっては、サル自身がこれを取り出しがちである。
【0004】
加うるに、他の分野は、現在容易には利用できない無拘束状態の動物の非侵襲生理学的モニタのための施設から恩恵を受ける場合がある。例えば、内科と外科の両方における獣医学的やり方は、無拘束状態の動物の容易に利用できる生理学的モニタから恩恵を受ける場合がある。また、かかるモニタにより、一層精密且つ正確な動物の評価及び訓練が可能になる。また、かかるモニタは、放し飼いの動物の生態学的又は行動学的研究に有利な場合がある。
【0005】
これらの理由や他の理由で、当該技術分野においては、拘束状態及び(又は)無拘束状態のサル及び(又は)他の試験用動物から呼吸データ及び他の生理学的データを得る非侵襲生理学的試験システムが要望されている。
【0006】
多くの文献が本明細書において引用されるが、これらを参照により引用し、全ての目的に関しこれらの開示内容全体を本明細書の一部とする。さらに、これらの文献のうち、上記のことがどのように特徴付けられているかとは無関係に、特許請求の範囲に記載された本発明に先立つものとして認められるものは存在しない。
【0007】
本発明の目的は、痛みが無く、しかも動物への苦痛が殆ど無く又は全く無い仕方で無拘束状態(又は拘束状態)のヒト以外の動物の生理学的変数を非侵襲的にモニタするシステムを提供することにある。別の目的は、生理学的変数の正確なモニタを提供することにあり、これらのうち多くは、多種多様な環境、例えば実験室、制限された試験施設や野外で無拘束状態の動物に関して又は放し飼いの動物についてはこれまで非侵襲的にモニタすることができないものであった。
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、1つ又は2つ以上の生理学的センサが組み込まれた動物用衣服を提供することにより動物をモニタする。本発明の動物用モニタ衣服の種々の実施形態は、好ましくは、個々の動物種又はそれどころか個々の動物の身体的及び行動的特性に適合している。大抵の場合、モニタされるべき動物種は、哺乳類、特に陸に住む哺乳類である場合が多い。しかしながら、本発明は、他の脊椎動物種、例えば両生類又は爬虫類、又は一般的に、非侵襲的にモニタできる生理学的変数を有する任意の動物種にも利用できる。
【0009】
具体的に説明すると、本発明の実施形態は、かかるヒトではない種としての哺乳類、例えば、霊長類、例えばサル、チンパンジー、オランウータン等、齧歯類、例えばラット、マウス、モルモット等、食肉類、例えばイヌ、飼いネコ、野生のネコ等、ウシ、ウマ、ゾウ等、ブタ及び他の動物に関する。種は、野生タイプの種、よく見かける種、特定用途向けに育てられた種(例えば、ユカタンミニブタ、ゲッチンゲンミニブタ及び他のミニブタ)等であって良い。
【0010】
選択された種(又は選択された個々の動物)のためのモニタ用衣服は、妨げられない仕方で、最も好ましくは苦悩又は苦痛を生じさせないでその種のメンバー(構成員)に合うような寸法形状のものである。最も好ましくは、モニタは、動物を束縛し又は拘束する必要なく、実施可能である。適当なモニタ用衣服を着用するが、動物は、通常の生活活動を実施すると共に実質的に通常の移動性を有することができるはずである。しかしながら、拘束が特定の用途で必要な場合、衣服は、好ましくは、既存の拘束器具及び方法を用いて拘束を可能にするが、この場合、モニタリングデータが歪曲されることはない。連続且つ(或いは)長時間にわたる生理学的モニタは、多くの分野で有用なので、モニタ用衣服は、かかる衣服を長期間にわたり、例えば、1時間若しくは2時間以上、1日又は2日以上、或いは1週間又は2週間以上にわたり着用できるよう十分に我慢できることが好ましい。
【0011】
モニタ用衣服は、好ましくは、モニタされている動物自体による取り外しを阻止し、又は最小限に抑える調節及び固定器具を更に有する。また、多くのセンサの正確な動作を行なうためには、センサは、動物に対して固定された位置のままであることが必要である。引き具、端綱、首輪、ベルト等は、動物の体に沿って長手方向における固定具合を向上させることができる。スナップ、ジッパ、ゴムひも、ベルクロ等は、例えば衣服を動物周りにぴったりと装着することができるようにすることにより横方向における固定具合を向上させることができる。調節及び固定器具の配置は、好ましくは、動物の皮膚及び(又は)皮下組織を圧迫せず、擦り剥いたりせず、又は違ったやり方で傷付けることなく、動物の動き及び活動に順応する。しかしながら、調節及び固定器具は、動物にしっかりと取り付けられるべきではなく又は侵襲的位置決め手技を必要とするべきではない。変形例として、衣服を特定の動物に合わせて個々に誂えても良い。
【0012】
モニタ用衣服は、動物をモニタする生理学的データを収集する1つ又は2つ以上の非侵襲的センサを有する。センサを、多くの仕方で、例えば、衣服を構成する布の中に織り込み又は編み込み若しくは編組することにより、或いは、完成状態の衣服内に支持し、収納し又は取り付けることにより衣服に組み込んでも良い。また、センサを、衣服の内面又は外面に糊付けし、印刷し、吹き付けること等しても良い。好ましいセンサは、動物の皮膚に軟膏又はクリームを塗布する必要なく、動物と適当な接触状態にあることによりデータを収集する。前処置は、好ましくは、動物の皮膚の一部をシェービングすることに限定される。好ましいセンサの例としては、導電性軟膏を必要とすることなく、動物の皮膚と電気的接触関係をなすように衣服の内面に縫い付けられた布の又は可撓性の心電図(ECG)電極又は動物の姿勢及び動きに敏感であるようにぴったりと着れる衣服に取り付けられた1つ又は2つ以上の加速度計等が挙げられる。好ましさの度合いは低いが、衣服の内側から接近可能なセンサは、動物の皮膚にくっつけられる物理的位置決め又は接着を必要とする場合がある。
【0013】
本発明のモニタ用衣類に多くの形式のセンサを組み込むことができる。一般に組み込まれるセンサとしては、次のものが挙げられる。本明細書において「サイズセンサ」と称するセンサは、動物の選択された部分、例えば動物の胴体、首、四肢又は他の体の部分又はその一部分の被験体サイズ、例えば長さ、周長、直径又は等価又は同様な測定値の指標に応答する信号を集める。次に説明する誘導性プレチスモグラフィは、サイズセンサに適した好ましい技術である。これについては、例えば、2004年8月31に発行された米国特許第6,783,498号明細書、1994年7月26日に発行された同第5,331,968号明細書及び1989年5月30日に発行された米国特許第4,834,109号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許を全て参照により引用し、全ての目的に関し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0014】
動物の体幹又は胴体の1つ又は2つ以上の高さ位置、例えば、腹部の高さ位置及び(又は)胸郭の高さ位置のところに位置決めされたサイズセンサは、特定の動物について較正された二成分呼吸モデルに従って有用に解釈できるサイズデータを提供し、それにより、動物の呼吸数及び呼吸量、例えば一回呼吸量(一回換気量)を求めることができる。かかるセンサを備えた衣服は、従来容易に且つ非侵襲的に利用することはできなかった呼吸数及び呼吸量データを提供することができる。体幹中央高さ位置又は胸郭中央高さ位置のところに設けられたサイズセンサは、心臓の拍動及び(又は)大動脈の脈動に応答することができ、1つ又は2つ以上の肢周りに設けられたサイズセンサは、静脈又は動脈の脈動に感応することができる。
【0015】
衣服は、心電図(ECG)電極及び他の心臓活動センサ、例えば布又は他の可撓性電極(例えば、2006年4月10日に出願された米国仮特許出願(願番未付与であり、代理人事件番号は、85167−75289である)(発明の名称:PHYSIOLOGICAL SIGNAL PROCESSING DEVICES AND ASSOCIATED PROCESSING METHODS)(この米国仮特許出願を参照により引用し、全ての目的について、その記載内容を本明細書の一部とする)、姿勢及び活動のためのセンサ、例えば、重力に対する動物の向き及び活動を伴う動物の加速度に敏感な1つ又は2つ以上の加速度計、温度センサ、例えばサーミスタ、血液酸素レベル、例えばパルスオキシメータ、脳の電気的活動用の電極、眼筋の活動を含む筋肉の電気的活動のための電極等を更に含むのが良い。
【0016】
本発明は又、モニタした動物から生理学的データを取り出し、処理し、そしてストレージし、更に任意的に表示するようモニタ用衣服に組み込まれたセンサとセンサに特有な仕方で協働する種々の仕方で収納された電子回路を更に有する。好ましい実施形態では、かかる電子要素は、モニタされる動物の付近に位置する単一の携帯型データユニット(PDU)(1つ又は2つのハウジング内に設けられる)である。PDUは、センサを動作させ、センサデータを取り出し、そして少なくとも取り出したデータを処理してこれをディジタル形式で一時的にストレージすると共に(或いは)動物の近接環境の外部に位置するシステムにより使用可能であるように送信することができるようにするのに役立つ。一時的データストレージは、フラッシュメモリ内であっても良く、或いは、磁気メディア、例えばハードディスク上であっても良く、このようにストレージされたデータをフラッシュメモリ又はハードドライブの取り外しにより送信することができる。即時送信は、ワイヤード連係によってであっても良く、ワイヤレス連係によってであっても良い。
【0017】
これら実施形態では、PDUを好ましくは動物に取り付けて動物によって運ぶことができ、そしてPDUは、動物をPDUと外部システムとの間のデータ形式、電力形式又は他形式のケーブルによって拘束する必要がないように自律的に動作する。かかるPDUは、動物の行動を妨げず、しかも動物にとって押しつけがましくなく又はそれほどあからさまではないような寸法形状のものであるべきである。したがって、かかるPDUは、好ましくは、モニタ用衣服それ自体のポケット又は凹部内に嵌まり又は衣服の外部のパック又はバックパックに入れて(しかしながら、動物が接近できないようにして)運ばれる又は違ったやり方で運ばれるような寸法形状のものである。かかるPDUは、好ましくは、例えば後で分析できるようデータをストレージし又は例えばリアルタイムで分析できるようデータをワイヤレスで送る。例えば、動物モニタ施設は、かかるPDUを備えた多数のモニタされる動物と連絡状態にある中央収集システムを有するのが良い。
【0018】
変形例として、PDUは、ワイヤ又はケーブルにより外部システムに接続されても良く、この場合、動物は、指定された領域内のみであるが、自由に動くことができる。かかるPDUは、自律的に機能する必要はない。例えば、これらの機能は、センサとインターフェイスを取り、ストレージ、再送信、処理等のために動物から遠ざかって位置する外部回路に取り出したセンサデータを送ることに制限できる。
【0019】
動物により運ばれるPDUを動物により種々の仕方で着用される衣服内に組み込まれたこれらの制御されたセンサに接続するのが良い。一変形例では、センサをワイヤ及び(又は)ケーブルによりPDUに連係させることができ、これらは全て、好ましくは、単一の物理的データケーブルの状態で引き回される。この実施形態では、PDUの機能は、全てケーブルによって連係された2つ又は3つ以上のハウジング内の回路により実施できる。別の変形例では、センサを例えばブルートゥース(Bluetooth)又はこれに類似した近距離送信技術を用いてワイヤレス手段によりPDUに連係させても良い。
【0020】
本発明は、PDUからの動物モニタリングデータを受け取り、受け取ったデータを処理し、処理したデータを表示し、そして生の及び(又は)処理済みのデータをストレージすることができる外部コンピュータシステムを更に有する。これらコンピュータシステムは、動物モニタ用途の処理上の要望に応じて種々の構成のものであって良く、かかるコンピュータシステムは、限られた数の動物をモニタするのに適した単一PCタイプコンピュータから多数の動物のモニタのためのサーバータイプ分散システムまで様々であってよい。これらシステムは、近接動物環境の外部に配置され、動物モニタ施設それ自体に対して局所又は遠隔に位置しても良く、次の機能を実施する方法を実行する。外部システムは、生の及び(又は)処理済みのセンサデータをフォーマットして表示することができ、しかも、生の及び(又は)処理済みのデータをアーカイブすることができる。
【0021】
センサデータを外部システムによって且つ(或いは)PDUによっても処理できる。センサ特有の処理機能をこれらの相対的能力及び種々のセンサから取り出したデータの処理上の要件に応じてこれらコンポーネントに割り当てるのが良い。幾つかの形式のセンサからのデータは、より大がかりな処理を必要とする場合がある。例えば、サイズセンサからの呼吸信号は、好ましくは、呼吸量をもたらすために較正された二コンパートメント呼吸モデルに応じて較正されて組み合わされる。次に、呼吸率及び別の呼吸事象を処理済み呼吸量データから抽出することができる。公知の信号処理方法を適用することにより、心拍動の発生数及び心拍数を生のECG信号から抽出することができる。加速度計データは、好ましくは、重力に対する動物の向きから生じる可能性のある低い時間的周波数の加速に反映された動物の姿勢を求めたり、例えば動物の環境又は行動に起因して生じる可能性がある高い時間的周波数加速度に反映される動物の活動を判定したりするよう処理される。他形式のセンサからのデータは、必要な処理は大々的というほどではなく、例えば、ノイズ及びアーチファクトを制限するフィルタリングに制限される。かかるデータとしては、例えば、温度信号、脳及び(又は)筋肉の電気的活動等が挙げられる。
【0022】
本発明は、医療上の試験の実施中に有用に利用されるが、理解されるように、無拘束状態(任意的に無拘束状態)の動物の非侵襲的モニタは、多くの他の用途を有する。例えば、基礎及び応用研究の実施の際に全てのサイズの実験室用哺乳類を有用にモニタできる。本発明は、獣医学的内科及び外科の分野全体を通じ有用であり、例えば、ペット用哺乳類から商用哺乳類(例えば、ウシ)まで動物患者の獣医による介護中に連続生理学的モニタのために有用であり、しかも、獣医学的医薬品の試験の際に有用である。本発明は又、一般的な動物訓練及びモニタプログラムにおいて有用である。本発明は、レース用イヌ及びウマの訓練に利用できる。本発明は、獣医による世話が必要とされる動物をモニタするため、動物研究のため又は他の目的のために動物園で利用できる。
【0023】
本発明は、コンピュータにより読み取り可能な媒体を更に有し、かかる媒体上に、かかる方法がコード化される。
【0024】
本発明の特定の実施形態は、以下の詳細な説明及び添付の図面から理解され、種々の説明した実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。
【0025】
本発明は、本発明の好ましい実施形態、本発明の特定の実施形態の例示としての実施例の以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すると完全に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書におけるこの項目は、本発明の或る特定の好ましいが、非限定的な実施形態を詳細に説明する。見出し及び記号が、本明細書において用いられているが、この出願全体を通じ、分かりやすくするためであって、限定を意図するものではない。
【0027】
予想に反して、本発明の発明者は、歩行できるヒトとしての被験者をモニタするのに有用であることが知られている選択された技術は又、無拘束状態(及び(又は)拘束状態)のヒト以外の被験体をモニタするのにも驚くほど上首尾であることを発見した。特に、サイズセンサをこれらが衣服を着用した動物被験体上に適切に位置決めされるような仕方で動物被験体用の衣服に組み込むと、有用且つ正確な呼吸及び心臓に関するデータが得られる。さらに、本発明者は、かかる衣服に組み込まれた選択された補助センサがサイズセンサデータを補完してこれを解釈するのに有用なデータを戻すことができるということを観察した。これら補助センサは又、ヒトのモニタに使用できることが知られている。したがって、本明細書において、センサ技術及び好ましい技術を利用するセンサを組み込んだ好ましい衣服構造が説明される。
【0028】
〔好ましいセンサ技術〕
本発明のモニタ用衣服は、好ましくは、1つ又は2つ以上のサイズセンサを有する。ただし、本発明の或る特定の実施形態は、サイズセンサが設けられないモニタ用衣服を含む。種々の技術を利用した有用なサイズセンサが知られており、かかるセンサとしては、磁力計、圧電ひずみ計、磁気又は容量ひずみ計、体の表面のところの電気インピーダンス及び(又は)活動、干渉計を含む光学技術、圧力を利用したプレチスモグラフィ、超音波測定法等が挙げられる。これについては、例えば、1994年10月11日に発行された米国特許第5,373,793号明細書を参照されたい。
【0029】
好ましいサイズセンサは、誘導性プレチスモグラフィ(“IP”)を利用するものであり、呼吸に起因する体の壁のサイズの変化を測定するよう構成されると共に配置されるIPセンサ(呼吸IP又は“RIP”)が特に好ましい。ヒトのモニタのためのIP及びRIP技術は公知である。ここでは、概要を提供する。
【0030】
IP技術は、測定されるべき解剖学的部分をぴったりと包囲するよう配置された導体又は導電性ループ(金属製又は非金属性)の自己インダクタンスを測定することによりサイズに応答する。導電性ループをモニタ用衣服の布に直接組み込む(例えば織り込む、縫い込む、編み込む等して)のが良く、衣服は、ループサイズが測定対象の解剖学的部分のサイズを正確に反映するようぴったりと嵌まるよう設計されている。変形例として、IPセンサ導体又は導電性ループを縫い付け、織成等により衣服に取り付けられたバンドに組み込んでも良い。呼吸動作を測定するため、RIPセンサは、胸又は胸郭の高さ位置に位置するべきである。第2のRIPセンサを腹部の高さ位置に設けることが好ましい。一般に、呼吸により引き起こされる体壁動作の主要な成分を検出するよう1つ又は2つ以上のRIPセンサを動物に取り付ける必要がある。サル及び小型の動物の場合、IP誘導性フィラメントが測定されるべき体部分を2度又は3度若しくはそれ以上の回数にわたって包囲している場合、又は変形例として、例えば体の領域内で前後に延びるようにすることにより二重にした場合、感度が向上する。
【0031】
可変インダクタンスIPセンサに連係させた発信器/復調器モジュールによりIP信号が生じる。インダクタンスが変化すると、発信器の周波数が変化する。周波数の変化を復調してディジタル化する。可変発信器周波数を符号化したディジタルデータを分析して生理学的事象、例えば呼吸又は心拍動を判定する。有利には、モニタに先立って、相対的又は絶対的肺気量を正確に反映するよう相対的期間中、RIP又は他のIP信号を較正する。発信器/復調器回路は、好ましくは、RIPセンサの近く、例えば、動物によって運ばれるPDU内に配置される。
【0032】
IP及びRIP技術は、以下の米国特許明細書及び米国特許出願明細書に記載されている。本発明者は、この技術の選択された部分が、ヒト以外の動物をモニタするのに有用であることを発見した。例えば、2003年4月22日に発行された米国特許第6,551,252号明細書、2000年4月4日に発行された米国特許第6,047,203号明細書、2002年1月29日に発行された米国特許第6,341,504号明細書、1994年7月26日に発行された米国特許第5,331,968号明細書、1994年4月12日に発行された米国特許第5,301,678号明細書及び1989年2月28日に発行された米国特許第4,807,640号明細書を参照されたい。また、例えば、米国特許出願第10/822,260号明細書及び2005年9月21日に出願された米国特許出願第11/233,317号明細書を参照されたい。本明細書中に記載されたこれら米国特許及び米国特許出願並びに他の技術文献を参照により引用し、全ての目的について、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0033】
ECG電極は好ましくは、可撓性であり、モニタされる被験体との電気的接触を確立するために導電性ペースト等を用いた場合でも少量しか必要としない。かかる電極は、公知の導電性織物から構成されているのが良い。これについては、例えば2005年10月26日に出願された米国特許出願第60/730,890号明細書を参照されたい。加速度計センサは、加速度の3つの成分に敏感な好ましくは小型化されたMEMS型デバイスである。
【0034】
〔好ましいモニタ用衣服の構造〕
本明細書において詳細に説明するモニタ用衣服は、サル、イヌ及びウマのモニタに関する。しかしながら、本発明は、広範な哺乳動物種に容易に適用でき、かかる哺乳類としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、フェレット、モルモット、特定用途向けに育てられたブタ(ユカタン及びゲッチンゲンミニブタの種を含む)、通常のブタ、ネコ、霊長類、ヒツジ、ウシ及び他の家畜等が挙げられる。適合させるには、衣服を種のサイズに合わせて誂え、衣服をぴったりと保持し、ひとりでに外れるのを阻止する取り付け及び装着器具を用意し、センサデータを較正して種の生理学を反映させる。取り付け及び装着器具は、当該技術分野で知られた構造体、例えば引き具、首輪、端綱等を改造したものであるのが良い。小型の動物の場合、より感度の高いセンサが有利である(IPセンサについて説明したように)。陸に住む脊椎動物及び非哺乳動物種は一般に、種のメンバーがモニタ用衣服を着用でき、特に、有用な生理学的パラメータを表わす体の壁の動きを生じさせれば、モニタできる。
【0035】
詳細に言えば、モニタ用衣服及び(又は)PDU及び(又は)PDUキャリヤは、これらが利用される動物種の特徴及び行動に合わせて改造される。衣服の形態、例えばシャツ状衣服、ベスト状衣服又はバンド状衣服は、動物にとって受け入れられるはずである。例えば、かかる衣服は、動物の活動を妨げず、動物が見たり、聞いたり又は匂いを嗅いだりすること及び動物の生命維持にとって重要な他の感覚を不必要に制限せず、しかも、体温の異常等を生じさせないことが必要である。種々の動物は、引っ掻いたり、爪を立てたり、咀嚼したり、引っ張ったり、擦ったり、引き裂いたり(特にサル)、噛んだりすること等をするので、衣服及びPDUキャリヤは、動物の生まれつき持った能力に対して耐性があるべきである。動物は又、走ったり、ジャンプしたり、スイングしたり、物体に当たったり、遊んだりすること等をしばしば極めておおざっぱにするので、衣服及びPDUキャリヤは、損傷を受けないように、又、それどころか動物の生まれつき備わった活動の間、動作を続行するのに十分に機械的に強固であり且つ耐衝撃性であることが必要である。モニタ用衣服は又、動物の拘束がもし必要であれば、標準の方法又は手順により動物の拘束を可能にすべきである。
【0036】
外部から接近可能な特徴、例えば調節具、ジッパ、フラップ、ポケット、電気導線等を有する衣服及び衣服に接近してこれを操作することができるのに十分器用である種、例えば霊長類により着用される衣服のために追加の保護手段が好ましい。外部特徴は、動物の通常の活動中、機能が狂いがちである。かかる外部特徴は又、動物にとって接近可能であり、引っ張ったり、咀嚼したり、噛みついたりする等することにより損傷を受ける場合がある。別の保護手段の好ましい一形態は、モニタ用衣服の一部の全てを覆い、実質的に一様なテキスチャを有し、外部から接近可能な特徴部を持たないオーバーガーメントである。オーバーガーメントは、好ましくは、モニタ用衣服の外部の空間的構造、例えば、こぶ状突起、隆起部、凹み等を平坦化し、従って、これらが、動物の視覚及び(又は)触覚にとって外から余り見えず又は全く見えないようにする。オーバーガーメントは、動物によって突き破られないほど十分強靱であることが必要である。
【0037】
次に、図1A〜図1Dを参照して種々の動物用のモニタ用衣服の実施形態を説明する。図1Aは、無拘束状態のサル1のためのベスト状衣服3を示している。この衣服は、サルの皮膚と接触状態にある2つのECG電極7(1つしか見えず)を有している。より好ましい実施形態では、図示の切欠きは、存在せず、ECG電極は、衣服の内側に直接取り付けられる。この衣服は、二コンパートメント呼吸モデルを用いて呼吸数及び呼吸量を求めるのに有用なサルの腹部及び胸郭のサイズを反映するデータを戻す2つのサイズセンサバンド5を更に有する。長手方向ファスナ9、例えばジッパ及び(又は)ベルクロストリップは、衣服を腹側の中心線に沿って繋ぎ合わせる。
【0038】
図1Bは、ECG電極のための切欠きの無いサル10用のより好ましいベスト状モニタ用衣服4の別の図である。上記とは異なり、ECG電極は、サルと接触関係をなして衣服の内側に位置決めされている。衣服の腹側中心線に沿う長手方向ファスナ9は、この図ではより明確に見える。
【0039】
サルからモニタ用衣服それ自体を保護するオーバーガーメントは、図示されていないが、着用することが好ましい。サルは、小さな形状及びテキスチャに対する触覚的に特別の感度を持つ知恵があって器用であり、しかも利口な動物である。したがって、オーバーガーメントは、好ましくは、サルの触覚に対して一様なテキスチャを提供し、下に位置する衣服の空間的構造、例えば、バンド、電気導線、調節具、締結具等によりもたらされる構造を目立たないようにする。さらに、モニタ用衣服、付随するPDU及び(又は)PDUケース又はハウジング及びオプションとしてのオーバーガーメントは、サルのしばしば行う荒くて突然の活動がモニタ用コンポーネントを損傷することがないように十分強靱であり且つ耐性があるべきである。
【0040】
図1Cは、無拘束状態のイヌ11のためのシャツ状のモニタ用衣服13を示している。この衣服は、図1Aのベスト状衣服の場合よりもイヌの胴体に沿って長手方向に比較的遠くまで延びている。これにより、イヌの通常の活動中、長手方向の安定性及び固定が得られる。この衣服は、呼吸数及び呼吸量に関するデータを得るのに適した2つのサイズセンサバンド15を更に有している。衣服は、腹側中心線に沿うファスナ17により締結される。ECG電極が、イヌと接触状態で衣服の下に設けられていて、衣服の切欠きを通して外部から見ることはできない。オーバーガーメント(これ又図示せず)も又、イヌのモニタにとって好ましい。
【0041】
図1Cの衣服は、PDUをイヌの届く範囲を越えてイヌの背中に取り付けて安全に運ぶバックパック19を有している。図示しておらず、イヌが接近できないデータケーブルが、PDUを衣服センサに結合している。このデータケーブルを衣服の上側シームに沿って且つこの下からこれがセンサ及びセンサ電子モジュールに接続する場所としての腹側中心線まで引き回すのが良い。
【0042】
図1Dは、無拘束状態のウマ23のためのバンド状衣服を示している。この衣服は、ウマの呼吸数及びオプションとして呼吸量をモニタする1つ又は2つ以上のサイズセンサを組み込んだバンド25を有している。バンドは又、ウマと腹側で接触状態にあるECG電極を更に有するのが良い。このバンド状衣服を種々の仕方でウマに固定状態で取り付けることができる。背側ストラップ29a及び腹側ストラップ29bを備えたモニタ用衣服に連結されていて、衣服をウマの首に対して繋留する引き具27が示されている。変形例として、バンド25を腹部位置までずらしても良く、衣服は、ウマの前脚の付近に設けられた第2のバンドを有するのが良い。それにより、バンドは、より正確な呼吸量が得られるよう胸郭と腹部の両方のサイズを得ることができるよう比較的固定される。
【0043】
変形例として、ウマは、センサを組み込んだベスト状又はシャツ状モニタ用衣服を着用しても良い。好ましいかかるシャツ状衣服は、イヌ11のために図示された衣服13(図1C)に類似しているが、適当に大きなスケールの相対的形状及びサイズを有する。
【0044】
図2A〜図2Eは、小型の霊長類、特にサルのための実際のモニタ用衣服の幾つかの図である。12インチ定規(図2Aでは符号57で示されている)が、衣服のための物差しとなっている。図2Aは、長くした(広げた)衣服の外部の図である。ショルダーストラップ37a,37bを備えたアーム穴35a,35bが、頭側に設けられている。尾側に、第1のサイズセンサバンド39が、ベルクロ調節具41a,41bを支持している。これらストラップを調節することにより、サイズセンサバンド39は、種々のサイズのサルの周りにぴったりと形作ることができる。第2のサイズセンサバンド43が、3つのベルクロ調節具45a,45b,45cを支持し、これらベルクロ調節具により、この第2のバンドも又、モニタされるサルの周りにぴったりと形作ることができる。衣服は、ぴったりとしたサイズセンサバンドとショルダーストラップの協働によりサルに長手方向且つ横方向に実質的に固定される。それにより、センサは、サルの体に対して比較的固定されると共に繰り返し配置でき、従って、データが正確且つ首尾一貫して解釈可能になる。長手方向調節具47a,47b,47cが、2本のストラップ相互間で長手方向に延びており、これら調節具47a,47b,47cは、衣服をサイズセンサバンドがサルの通常の活動中、長手方向に互いに対して動くことがないように構成するためのばねクリップを備えた引き具を有している。他の実施形態は、衣服をぴったりと形作り、サルに対するセンサの正確な固定を達成するのに適したこれら調節具及び他の調節具の他の組み合わせを採用する。
【0045】
先ず最初に、衣服の左側の縁部と右側の縁部を互いに結合するジッパファスナ49を閉じることにより衣服をサルに締結する。次に、右側フラップ51をジッパファスナ53により対応の左側フラップに締結する。これらフラップは、保護された長手方向トンネル状構造を形成し、このトンネル状構造は、電子モジュールを保持することができ、これら電子モジュールは、有利には、これらの対応のセンサの近くに配置される。IPサイズセンサの場合、長手方向フラップ51の下から出ている電気導線55a,55bが、このトンネル内に配置された発信器/復調器電子モジュールに接続されている。データケーブルが、これら電子モジュール及び他のセンサを衣服の外部に支持されたPDUに結合している状態でトンネルに沿って長手方向に延びている。変形例として、データケーブルは、PDUがこれを衣服のポケットに入れて運ぶことができるように寸法決めされている場合、PDUポケットに結合される。
【0046】
図2Bは、長くした(広げた)衣服の内部の図である。アーム穴35a,35b、ショルダーストラップ37a,37b及びファスナ49,53が見える。ポケット状構造61a,61b,61cが、衣服に非直接的に織り込まれ、編み込まれ、縫い込まれ又は違ったやり方で直接組み込まれたセンサを保持するためのものである。図2Cは、センサポケット61cの内部の詳細図であり、接近開口部63a,63bを示している。
【0047】
図2Dは、サルにより着用された状態の締結状態の衣服の右側側面図であり、衣服が動物の胴体をどのように包囲するかを示している。図2Eは、締結状態の衣服の同様な左側側面図である。
【0048】
センサ処理方法は、好ましくは、特定の動物をモニタするために特別に較正され、便利なコンピュータ言語、例えばアセンブリ言語C又はC++でプログラムされる。このコードを実行可能な形態にコンパイルして本発明の処理システムへのローディングのためにコンピュータにより読み取り可能な媒体にストレージするのが良い。変形実施形態では、かかる方法は、ファームウェア、例えばFPGAで実行され、コンフィギュレーション指令を同様に、コンピュータにより読み取り可能な媒体にストレージするのが良い。したがって、本発明は、かかるコンピュータにより読み取り可能な媒体及び本発明のモニタ用衣服からデータを受け取る方法を処理するシステムを含むプログラム製品を更に有する。
【0049】
〔本発明の実施例〕
実施例1
図3A及び図3Bは、図3Cのモニタ用衣服で得られたサルからのモニタリングデータの処理を示しており、このモニタ用衣服は、図2A〜図2Eに記載された実施形態であるモニタ用衣服と実質的に類似した特徴を有している。図3Cのモニタ用衣服は、米国特許出願6,551,252号明細書に詳細に記載されている電気回路及び構成を更に有している。なお、この米国特許を参照により引用し、全ての目的に関し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0050】
図3Aは、モニタ用衣服を用いてこれ又得られたECG信号と共に処理された呼吸データ及び加速度データの1分間を示している。バンド85は、処理済み加速度計データを示し、このバンドは、データのこの1分間中、サルがほんの僅かな活動に従事し、姿勢の変化を行なわなかったことを示している。バンド81は、実質的に活動が殆ど無いこの期間中におけるサルの一回呼吸量を示すと共にサルが普通の一回呼吸量の場合の規則的な割合で呼吸していたことを示している。バンド83は、ECGデータを示すと共に通常の心拍動及び信号のアーチファクトが殆ど無く又は全く無いことを示している。
【0051】
図3Bは、データの3分間を示している。処理済み加速度計データ、即ち、バンド91は、時刻93のところにおいて、サルが、姿勢を変えたこと、時刻95のところで、サルが短く活動状態にあったことを示している。バンド89は、得られたECGデータを示し、バンド87は、サルの一回呼吸量を示しているが、垂直方向の尺度は、図3Aの尺度から大幅に減少している。バンド87,89に表示されたデータの特徴をバンド91の処理済み加速度計データを考慮して解釈することができる。例えば、バンド87の呼吸データは、サルの呼吸量曲線のDC量較正が、サルの姿勢の変化と共に97のところで変化したことを示している。かかる較正の変化は、通常、姿勢の変化に続く。というのは、姿勢は、胸部内の機械的関係及び重力加速度に対する胸部の向きに著しい影響を及ぼすからである。また、呼吸バンドとECGバンドの両方は、加速度計トレース中の符号95のところに表わされたサルの動きと関連して動きのアーチファクトの短い期間99,101をそれぞれ示している。
【0052】
実施例2
図4A及び図4Bは、図4Cのモニタ用衣服で得られたビーグルからのモニタリングデータの処理を示しており、このモニタ用衣服は、図3Cに示すサルに装着されるようになったモニタ用衣服と実質的に類似した特徴を有している。図4Aは、一回呼吸量(Vt)、ECG、心拍数(HR)及び加速度計(ACC)データ及び呼吸洞性不整脈(RSA)の指数を含む処理済みデータの5分間を示している。無拘束状態の動物の呼吸信号及びECG信号の組み合わせを測定することにより、「純粋な」ECGの期間、即ち、呼吸サイクルにより影響を受けなかった期間の明確な識別及び評価を行なうことができる。ECG信号の調時成分の分析のためのこれら安定した期間(例えば、Q−T間隔)の利用により、現在可能な精度よりも高い精度が研究者に与えられる。
【0053】
具体的に言えば、睡眠中のイヌによく見かけられる中枢性無呼吸の期間中(一回呼吸量のトレースが実質的に平らな陰影を施した領域)、ECG信号は、呼吸に付きものの一過性壁内外圧差の勾配の衝撃が無ければ、心筋の電気的活動を純粋に反映する。図4Aで分かるように、又、図4Bに詳細に示されているように、これら無呼吸期間中における動物の心拍数は、非常に安定しており、そのECGは、一定である。これは又、これら無呼吸期間に先立つ動物の心拍数における変動性、例えば、動物の呼吸サイクルに付きものの変動性に着目するのは価値があり、その結果、ECGの心拍差が生じる。これは、呼吸洞性不整脈(RSA)として知られている。
【0054】
実施例3
ヒト以外の霊長類に属する動物(NHP)の連続モニタにより、かかる動物が興奮し又はストレスを経験している時期を示す行動及び活動パターンの識別が可能になる。例えば、かかるパターンは、かつて環境中で他の動物と共に良く育っていた動物が、結果的に研究用コロニーから外されることになる場合のある有害な行動を示し始めていることを指示できる。この不適当な行動は、「ステレオタイプ」行動と広く呼ばれており、繰り返し動作から脅迫観念的行動、極端な場合には、深刻な自傷行為まで様々である。ステレオタイプの行動を示す動物は、研究にとって効果的ではなく、一般に、利用可能な動物のコホートから除外される。さらに、かかる動物が環境及び刺激の変化に積極的に応答しない場合、かかる動物を将来の研究のためにそれ以上使うことはできない。
【0055】
図3Cのモニタ用衣服で得られた生理学的データは、ヒト以外の動物の異常な動きパターン及び繰り返し/脅迫観念的行動の存在を識別することができる。例えば、図5A及び図5Bは、20時間を超える期間にわたり動物に関する通常の活動及び安息パターン及び異常な活動及び安息パターンをそれぞれ示している。
【0056】
図5Aでは、一晩中、即ち、「消灯(Lights Out)」期間は、長さが約12時間である。最初の半分は、ACCトレースで識別される活動及び安息の多数の別々の続き、Vtトレース、メジアン呼吸数(mBr/M)トレース及びメジアン心拍数(MHR)トレースを含む。夜の後半では、動物は、約6時間(ACC、Vt、mBr/M及びMHRトレースで識別される)静かに安息しているように見える。点灯(Lights On)期間中、安息区間を伴って明確に区分された活動期間が存在する。点灯期間中の陰影を施した「ケージ」期間は、ケージのクリーニングが霊長類用室内で行なわれた時期であり、ケージ期間内の幅の狭い陰影を施した期間は、サル自身のケージがクリーニングをされている時期である。
【0057】
図5Bでは、一晩中、即ち「ライトサイクル:オフ(Light Cycle: Off)」期間も又、長さが12時間である。この期間中、動物の活動は減少するが、図5Aのデータと比較して、静かな安息区間であるようには思われない。動物は、ACCトレースに示されているように、夜中中一定の動きを示すと共にVt、mBr/M及びMHRトレースで示されているように、不安定な生理学的状態を示している。消灯期間の終わりに向かって、約50分間の静かな安息区間がある。消灯前の目覚め期間中、動物は、極めて活動的である。灯がオンに戻ると、動物の活動は、先の12時間(即ち、夜中)と比較して示す違いは非常に僅かである。
【0058】
図6Aは、5分間にわたって集められた健常な動物の生理学的データを示している。メジアン加速度計トレース(AccM)で分かるように、動物は、典型的にはパターン及びタイミングにおいて不規則な通常の活動パターンを示す。ステレオタイプの行動を示す動物の図6Aと図6Bの5分間の活動トレースを比較すると、円で囲んだ部分から明らかなこととして、動物は、かかる異常な行動を表わす一連の繰り返しの二相動きを示す。
【0059】
図7A及び図7Bは、ステレオタイプの行動を表わす生理学的データの別の例を示している。図7Aでは、動物は、通常の活動区間を示し、次に、光がこの環境で消された後、比較的長い安息期間を示す。この動物は、12時間にわたる消灯サイクル全体の間、ほぼ6時間の間生理学的に安息しているように見える(即ち、安息期間は、トレースの中央付近から消灯期間の終わりまでずっと示されている)。動物は又、静かになる前の期間において明確に区分された活動区間と安息区間を示す。
【0060】
これとは対照的に、図7Bは、ステレオタイプの行動を示す動物の生理学的データを示しており、この生理学的データは、安息が比較的僅かな状態で消灯期間まで長い一定の活動レベルを有することを特徴としている。動物は、約60分間の生理学的安息(陰影を施した期間)を得るに過ぎない。この期間中、一回呼吸量トレース、呼吸頻度及び心拍数は、安定化し、メジアン加速度計トレースは、非常に僅かな動きを示している。しかしながら、動物が目覚めると、トレースは全て、これらの前の特性を取り戻す。かかる生理学的データは、動物の経験する生理学的ストレスの度合いの存在及び(又は)変化とかなり良好に相関している場合があり、又は、かかる生理学的データを用いてかかる存在及び(又は)変化を識別することができる。
【0061】
図7A及び図7Bで提供されたデータに示されているように、図2A〜図2Eに示された衣服と実質的に同じ衣服も又用いると、種々の生理学的データのストリームの変動性及び絶対レベルを用いて睡眠時間及び(又は)静かな生理学的安息期間を推定することができる。このデータは、例えば獣医的環境における動物の世話や飼蓄を向上させる有用な情報を提供することができる。
【0062】
これら実施例は、本発明のモニタ用衣服及びシステムが有用な生理学的及び行動学的情報を提供するよう処理されると共に首尾一貫して解釈できる信頼性の高いモニタリングデータを得ることを実証している。
【0063】
説明すると共に請求の対象とした本発明は、範囲が、本明細書において開示した好ましい実施形態によっては限定されない。というのは、これら実施形態は、本発明の幾つかの特徴の例示として意図されているからである。均等範囲に属する実施形態は、本発明の範囲に含まれる。確かに、本明細書において図示すると共に説明した実施形態に加えて本発明の種々の改造例は、上述の説明から当業者には明らかになろう。かかる改造例も又、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【0064】
多くの文献が本明細書において引用されるが、これらを参照により引用し、全ての目的に関しこれらの開示内容全体を本明細書の一部とする。さらに、これらの文献のうち、上記のことがどのように特徴付けられているかとは無関係に、特許請求の範囲に記載された本発明に先立つものとして認められるものは存在しない。
【0065】
本明細書における見出しは、分かりやすくすると共に便宜を図るためのものであるに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1B】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1C】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1D】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図2A】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2B】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2C】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2D】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2E】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図3A】サルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図3B】サルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図3C】サルのためのモニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図4A】ビーグルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図4B】ビーグルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図4C】イヌのためのモニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図5A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図5B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図6A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図6B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図7A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図7B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、拘束状態及び(又は)無拘束状態のヒト以外の動物の非侵襲的生理学的モニタに関し、特に、動物から生理学的データを収集するモニタシステム及びデータを収集して解釈する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
薬剤用化合物は、一般的使用のための認可前に大々的な試験を受ける。この試験(前臨床試験)の初期段階では、提案された化合物がヒトへの投与にとって安全であることを実証する必要がある。このような実証のためには、ヒトへの投与に先立って、提案された化合物は、ヒトと同様な生理学的応答を持つ動物に投与される。かかる動物試験中、試験用動物の生理学的及び生物学的システムをモニタして生じるかもしれない悪影響を検出することが必要である。生理学的モニタは、侵襲手技を伴わず、モニタ中、試験用動物が無拘束状態にあることが好ましい。
【0003】
具体的に言えば、霊長類、特にサルは、ヒトとの類似性により、好ましい前臨床試験用動物である。しかしながら、サルの呼吸量を正確にモニタするには、サルを身体的に動かなくすること及びフェースマスクをサルの顔面を覆って配置する必要があった。無拘束状態のサルをモニタすることは可能ではあるが、これは、胸腔内圧に敏感なモニタ器具をサルの体内に外科的に植え込むことによってのみ可能である。かかる植え込まれた器具から戻ったデータは、呼吸数に応答するが、呼吸量に関する情報は、事実上ゼロである。さらに、関連の外科手技は、最善でも不快であり、サルにとって有痛性である場合が多く、モニタ出費を増大させ、モニタ手技を遅延させる外科手術後の治癒を必要とし、しかも、避けられない感染の恐れを生じさせる。また、いったん植え込まれると、器具は、故障を生じがちであり、場合によっては、サル自身がこれを取り出しがちである。
【0004】
加うるに、他の分野は、現在容易には利用できない無拘束状態の動物の非侵襲生理学的モニタのための施設から恩恵を受ける場合がある。例えば、内科と外科の両方における獣医学的やり方は、無拘束状態の動物の容易に利用できる生理学的モニタから恩恵を受ける場合がある。また、かかるモニタにより、一層精密且つ正確な動物の評価及び訓練が可能になる。また、かかるモニタは、放し飼いの動物の生態学的又は行動学的研究に有利な場合がある。
【0005】
これらの理由や他の理由で、当該技術分野においては、拘束状態及び(又は)無拘束状態のサル及び(又は)他の試験用動物から呼吸データ及び他の生理学的データを得る非侵襲生理学的試験システムが要望されている。
【0006】
多くの文献が本明細書において引用されるが、これらを参照により引用し、全ての目的に関しこれらの開示内容全体を本明細書の一部とする。さらに、これらの文献のうち、上記のことがどのように特徴付けられているかとは無関係に、特許請求の範囲に記載された本発明に先立つものとして認められるものは存在しない。
【0007】
本発明の目的は、痛みが無く、しかも動物への苦痛が殆ど無く又は全く無い仕方で無拘束状態(又は拘束状態)のヒト以外の動物の生理学的変数を非侵襲的にモニタするシステムを提供することにある。別の目的は、生理学的変数の正確なモニタを提供することにあり、これらのうち多くは、多種多様な環境、例えば実験室、制限された試験施設や野外で無拘束状態の動物に関して又は放し飼いの動物についてはこれまで非侵襲的にモニタすることができないものであった。
【発明の開示】
【0008】
本発明によれば、1つ又は2つ以上の生理学的センサが組み込まれた動物用衣服を提供することにより動物をモニタする。本発明の動物用モニタ衣服の種々の実施形態は、好ましくは、個々の動物種又はそれどころか個々の動物の身体的及び行動的特性に適合している。大抵の場合、モニタされるべき動物種は、哺乳類、特に陸に住む哺乳類である場合が多い。しかしながら、本発明は、他の脊椎動物種、例えば両生類又は爬虫類、又は一般的に、非侵襲的にモニタできる生理学的変数を有する任意の動物種にも利用できる。
【0009】
具体的に説明すると、本発明の実施形態は、かかるヒトではない種としての哺乳類、例えば、霊長類、例えばサル、チンパンジー、オランウータン等、齧歯類、例えばラット、マウス、モルモット等、食肉類、例えばイヌ、飼いネコ、野生のネコ等、ウシ、ウマ、ゾウ等、ブタ及び他の動物に関する。種は、野生タイプの種、よく見かける種、特定用途向けに育てられた種(例えば、ユカタンミニブタ、ゲッチンゲンミニブタ及び他のミニブタ)等であって良い。
【0010】
選択された種(又は選択された個々の動物)のためのモニタ用衣服は、妨げられない仕方で、最も好ましくは苦悩又は苦痛を生じさせないでその種のメンバー(構成員)に合うような寸法形状のものである。最も好ましくは、モニタは、動物を束縛し又は拘束する必要なく、実施可能である。適当なモニタ用衣服を着用するが、動物は、通常の生活活動を実施すると共に実質的に通常の移動性を有することができるはずである。しかしながら、拘束が特定の用途で必要な場合、衣服は、好ましくは、既存の拘束器具及び方法を用いて拘束を可能にするが、この場合、モニタリングデータが歪曲されることはない。連続且つ(或いは)長時間にわたる生理学的モニタは、多くの分野で有用なので、モニタ用衣服は、かかる衣服を長期間にわたり、例えば、1時間若しくは2時間以上、1日又は2日以上、或いは1週間又は2週間以上にわたり着用できるよう十分に我慢できることが好ましい。
【0011】
モニタ用衣服は、好ましくは、モニタされている動物自体による取り外しを阻止し、又は最小限に抑える調節及び固定器具を更に有する。また、多くのセンサの正確な動作を行なうためには、センサは、動物に対して固定された位置のままであることが必要である。引き具、端綱、首輪、ベルト等は、動物の体に沿って長手方向における固定具合を向上させることができる。スナップ、ジッパ、ゴムひも、ベルクロ等は、例えば衣服を動物周りにぴったりと装着することができるようにすることにより横方向における固定具合を向上させることができる。調節及び固定器具の配置は、好ましくは、動物の皮膚及び(又は)皮下組織を圧迫せず、擦り剥いたりせず、又は違ったやり方で傷付けることなく、動物の動き及び活動に順応する。しかしながら、調節及び固定器具は、動物にしっかりと取り付けられるべきではなく又は侵襲的位置決め手技を必要とするべきではない。変形例として、衣服を特定の動物に合わせて個々に誂えても良い。
【0012】
モニタ用衣服は、動物をモニタする生理学的データを収集する1つ又は2つ以上の非侵襲的センサを有する。センサを、多くの仕方で、例えば、衣服を構成する布の中に織り込み又は編み込み若しくは編組することにより、或いは、完成状態の衣服内に支持し、収納し又は取り付けることにより衣服に組み込んでも良い。また、センサを、衣服の内面又は外面に糊付けし、印刷し、吹き付けること等しても良い。好ましいセンサは、動物の皮膚に軟膏又はクリームを塗布する必要なく、動物と適当な接触状態にあることによりデータを収集する。前処置は、好ましくは、動物の皮膚の一部をシェービングすることに限定される。好ましいセンサの例としては、導電性軟膏を必要とすることなく、動物の皮膚と電気的接触関係をなすように衣服の内面に縫い付けられた布の又は可撓性の心電図(ECG)電極又は動物の姿勢及び動きに敏感であるようにぴったりと着れる衣服に取り付けられた1つ又は2つ以上の加速度計等が挙げられる。好ましさの度合いは低いが、衣服の内側から接近可能なセンサは、動物の皮膚にくっつけられる物理的位置決め又は接着を必要とする場合がある。
【0013】
本発明のモニタ用衣類に多くの形式のセンサを組み込むことができる。一般に組み込まれるセンサとしては、次のものが挙げられる。本明細書において「サイズセンサ」と称するセンサは、動物の選択された部分、例えば動物の胴体、首、四肢又は他の体の部分又はその一部分の被験体サイズ、例えば長さ、周長、直径又は等価又は同様な測定値の指標に応答する信号を集める。次に説明する誘導性プレチスモグラフィは、サイズセンサに適した好ましい技術である。これについては、例えば、2004年8月31に発行された米国特許第6,783,498号明細書、1994年7月26日に発行された同第5,331,968号明細書及び1989年5月30日に発行された米国特許第4,834,109号明細書を参照されたい。なお、これら米国特許を全て参照により引用し、全ての目的に関し、これらの記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0014】
動物の体幹又は胴体の1つ又は2つ以上の高さ位置、例えば、腹部の高さ位置及び(又は)胸郭の高さ位置のところに位置決めされたサイズセンサは、特定の動物について較正された二成分呼吸モデルに従って有用に解釈できるサイズデータを提供し、それにより、動物の呼吸数及び呼吸量、例えば一回呼吸量(一回換気量)を求めることができる。かかるセンサを備えた衣服は、従来容易に且つ非侵襲的に利用することはできなかった呼吸数及び呼吸量データを提供することができる。体幹中央高さ位置又は胸郭中央高さ位置のところに設けられたサイズセンサは、心臓の拍動及び(又は)大動脈の脈動に応答することができ、1つ又は2つ以上の肢周りに設けられたサイズセンサは、静脈又は動脈の脈動に感応することができる。
【0015】
衣服は、心電図(ECG)電極及び他の心臓活動センサ、例えば布又は他の可撓性電極(例えば、2006年4月10日に出願された米国仮特許出願(願番未付与であり、代理人事件番号は、85167−75289である)(発明の名称:PHYSIOLOGICAL SIGNAL PROCESSING DEVICES AND ASSOCIATED PROCESSING METHODS)(この米国仮特許出願を参照により引用し、全ての目的について、その記載内容を本明細書の一部とする)、姿勢及び活動のためのセンサ、例えば、重力に対する動物の向き及び活動を伴う動物の加速度に敏感な1つ又は2つ以上の加速度計、温度センサ、例えばサーミスタ、血液酸素レベル、例えばパルスオキシメータ、脳の電気的活動用の電極、眼筋の活動を含む筋肉の電気的活動のための電極等を更に含むのが良い。
【0016】
本発明は又、モニタした動物から生理学的データを取り出し、処理し、そしてストレージし、更に任意的に表示するようモニタ用衣服に組み込まれたセンサとセンサに特有な仕方で協働する種々の仕方で収納された電子回路を更に有する。好ましい実施形態では、かかる電子要素は、モニタされる動物の付近に位置する単一の携帯型データユニット(PDU)(1つ又は2つのハウジング内に設けられる)である。PDUは、センサを動作させ、センサデータを取り出し、そして少なくとも取り出したデータを処理してこれをディジタル形式で一時的にストレージすると共に(或いは)動物の近接環境の外部に位置するシステムにより使用可能であるように送信することができるようにするのに役立つ。一時的データストレージは、フラッシュメモリ内であっても良く、或いは、磁気メディア、例えばハードディスク上であっても良く、このようにストレージされたデータをフラッシュメモリ又はハードドライブの取り外しにより送信することができる。即時送信は、ワイヤード連係によってであっても良く、ワイヤレス連係によってであっても良い。
【0017】
これら実施形態では、PDUを好ましくは動物に取り付けて動物によって運ぶことができ、そしてPDUは、動物をPDUと外部システムとの間のデータ形式、電力形式又は他形式のケーブルによって拘束する必要がないように自律的に動作する。かかるPDUは、動物の行動を妨げず、しかも動物にとって押しつけがましくなく又はそれほどあからさまではないような寸法形状のものであるべきである。したがって、かかるPDUは、好ましくは、モニタ用衣服それ自体のポケット又は凹部内に嵌まり又は衣服の外部のパック又はバックパックに入れて(しかしながら、動物が接近できないようにして)運ばれる又は違ったやり方で運ばれるような寸法形状のものである。かかるPDUは、好ましくは、例えば後で分析できるようデータをストレージし又は例えばリアルタイムで分析できるようデータをワイヤレスで送る。例えば、動物モニタ施設は、かかるPDUを備えた多数のモニタされる動物と連絡状態にある中央収集システムを有するのが良い。
【0018】
変形例として、PDUは、ワイヤ又はケーブルにより外部システムに接続されても良く、この場合、動物は、指定された領域内のみであるが、自由に動くことができる。かかるPDUは、自律的に機能する必要はない。例えば、これらの機能は、センサとインターフェイスを取り、ストレージ、再送信、処理等のために動物から遠ざかって位置する外部回路に取り出したセンサデータを送ることに制限できる。
【0019】
動物により運ばれるPDUを動物により種々の仕方で着用される衣服内に組み込まれたこれらの制御されたセンサに接続するのが良い。一変形例では、センサをワイヤ及び(又は)ケーブルによりPDUに連係させることができ、これらは全て、好ましくは、単一の物理的データケーブルの状態で引き回される。この実施形態では、PDUの機能は、全てケーブルによって連係された2つ又は3つ以上のハウジング内の回路により実施できる。別の変形例では、センサを例えばブルートゥース(Bluetooth)又はこれに類似した近距離送信技術を用いてワイヤレス手段によりPDUに連係させても良い。
【0020】
本発明は、PDUからの動物モニタリングデータを受け取り、受け取ったデータを処理し、処理したデータを表示し、そして生の及び(又は)処理済みのデータをストレージすることができる外部コンピュータシステムを更に有する。これらコンピュータシステムは、動物モニタ用途の処理上の要望に応じて種々の構成のものであって良く、かかるコンピュータシステムは、限られた数の動物をモニタするのに適した単一PCタイプコンピュータから多数の動物のモニタのためのサーバータイプ分散システムまで様々であってよい。これらシステムは、近接動物環境の外部に配置され、動物モニタ施設それ自体に対して局所又は遠隔に位置しても良く、次の機能を実施する方法を実行する。外部システムは、生の及び(又は)処理済みのセンサデータをフォーマットして表示することができ、しかも、生の及び(又は)処理済みのデータをアーカイブすることができる。
【0021】
センサデータを外部システムによって且つ(或いは)PDUによっても処理できる。センサ特有の処理機能をこれらの相対的能力及び種々のセンサから取り出したデータの処理上の要件に応じてこれらコンポーネントに割り当てるのが良い。幾つかの形式のセンサからのデータは、より大がかりな処理を必要とする場合がある。例えば、サイズセンサからの呼吸信号は、好ましくは、呼吸量をもたらすために較正された二コンパートメント呼吸モデルに応じて較正されて組み合わされる。次に、呼吸率及び別の呼吸事象を処理済み呼吸量データから抽出することができる。公知の信号処理方法を適用することにより、心拍動の発生数及び心拍数を生のECG信号から抽出することができる。加速度計データは、好ましくは、重力に対する動物の向きから生じる可能性のある低い時間的周波数の加速に反映された動物の姿勢を求めたり、例えば動物の環境又は行動に起因して生じる可能性がある高い時間的周波数加速度に反映される動物の活動を判定したりするよう処理される。他形式のセンサからのデータは、必要な処理は大々的というほどではなく、例えば、ノイズ及びアーチファクトを制限するフィルタリングに制限される。かかるデータとしては、例えば、温度信号、脳及び(又は)筋肉の電気的活動等が挙げられる。
【0022】
本発明は、医療上の試験の実施中に有用に利用されるが、理解されるように、無拘束状態(任意的に無拘束状態)の動物の非侵襲的モニタは、多くの他の用途を有する。例えば、基礎及び応用研究の実施の際に全てのサイズの実験室用哺乳類を有用にモニタできる。本発明は、獣医学的内科及び外科の分野全体を通じ有用であり、例えば、ペット用哺乳類から商用哺乳類(例えば、ウシ)まで動物患者の獣医による介護中に連続生理学的モニタのために有用であり、しかも、獣医学的医薬品の試験の際に有用である。本発明は又、一般的な動物訓練及びモニタプログラムにおいて有用である。本発明は、レース用イヌ及びウマの訓練に利用できる。本発明は、獣医による世話が必要とされる動物をモニタするため、動物研究のため又は他の目的のために動物園で利用できる。
【0023】
本発明は、コンピュータにより読み取り可能な媒体を更に有し、かかる媒体上に、かかる方法がコード化される。
【0024】
本発明の特定の実施形態は、以下の詳細な説明及び添付の図面から理解され、種々の説明した実施形態は、従属形式の請求項に記載されている。
【0025】
本発明は、本発明の好ましい実施形態、本発明の特定の実施形態の例示としての実施例の以下の詳細な説明及び添付の図面を参照すると完全に理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本明細書におけるこの項目は、本発明の或る特定の好ましいが、非限定的な実施形態を詳細に説明する。見出し及び記号が、本明細書において用いられているが、この出願全体を通じ、分かりやすくするためであって、限定を意図するものではない。
【0027】
予想に反して、本発明の発明者は、歩行できるヒトとしての被験者をモニタするのに有用であることが知られている選択された技術は又、無拘束状態(及び(又は)拘束状態)のヒト以外の被験体をモニタするのにも驚くほど上首尾であることを発見した。特に、サイズセンサをこれらが衣服を着用した動物被験体上に適切に位置決めされるような仕方で動物被験体用の衣服に組み込むと、有用且つ正確な呼吸及び心臓に関するデータが得られる。さらに、本発明者は、かかる衣服に組み込まれた選択された補助センサがサイズセンサデータを補完してこれを解釈するのに有用なデータを戻すことができるということを観察した。これら補助センサは又、ヒトのモニタに使用できることが知られている。したがって、本明細書において、センサ技術及び好ましい技術を利用するセンサを組み込んだ好ましい衣服構造が説明される。
【0028】
〔好ましいセンサ技術〕
本発明のモニタ用衣服は、好ましくは、1つ又は2つ以上のサイズセンサを有する。ただし、本発明の或る特定の実施形態は、サイズセンサが設けられないモニタ用衣服を含む。種々の技術を利用した有用なサイズセンサが知られており、かかるセンサとしては、磁力計、圧電ひずみ計、磁気又は容量ひずみ計、体の表面のところの電気インピーダンス及び(又は)活動、干渉計を含む光学技術、圧力を利用したプレチスモグラフィ、超音波測定法等が挙げられる。これについては、例えば、1994年10月11日に発行された米国特許第5,373,793号明細書を参照されたい。
【0029】
好ましいサイズセンサは、誘導性プレチスモグラフィ(“IP”)を利用するものであり、呼吸に起因する体の壁のサイズの変化を測定するよう構成されると共に配置されるIPセンサ(呼吸IP又は“RIP”)が特に好ましい。ヒトのモニタのためのIP及びRIP技術は公知である。ここでは、概要を提供する。
【0030】
IP技術は、測定されるべき解剖学的部分をぴったりと包囲するよう配置された導体又は導電性ループ(金属製又は非金属性)の自己インダクタンスを測定することによりサイズに応答する。導電性ループをモニタ用衣服の布に直接組み込む(例えば織り込む、縫い込む、編み込む等して)のが良く、衣服は、ループサイズが測定対象の解剖学的部分のサイズを正確に反映するようぴったりと嵌まるよう設計されている。変形例として、IPセンサ導体又は導電性ループを縫い付け、織成等により衣服に取り付けられたバンドに組み込んでも良い。呼吸動作を測定するため、RIPセンサは、胸又は胸郭の高さ位置に位置するべきである。第2のRIPセンサを腹部の高さ位置に設けることが好ましい。一般に、呼吸により引き起こされる体壁動作の主要な成分を検出するよう1つ又は2つ以上のRIPセンサを動物に取り付ける必要がある。サル及び小型の動物の場合、IP誘導性フィラメントが測定されるべき体部分を2度又は3度若しくはそれ以上の回数にわたって包囲している場合、又は変形例として、例えば体の領域内で前後に延びるようにすることにより二重にした場合、感度が向上する。
【0031】
可変インダクタンスIPセンサに連係させた発信器/復調器モジュールによりIP信号が生じる。インダクタンスが変化すると、発信器の周波数が変化する。周波数の変化を復調してディジタル化する。可変発信器周波数を符号化したディジタルデータを分析して生理学的事象、例えば呼吸又は心拍動を判定する。有利には、モニタに先立って、相対的又は絶対的肺気量を正確に反映するよう相対的期間中、RIP又は他のIP信号を較正する。発信器/復調器回路は、好ましくは、RIPセンサの近く、例えば、動物によって運ばれるPDU内に配置される。
【0032】
IP及びRIP技術は、以下の米国特許明細書及び米国特許出願明細書に記載されている。本発明者は、この技術の選択された部分が、ヒト以外の動物をモニタするのに有用であることを発見した。例えば、2003年4月22日に発行された米国特許第6,551,252号明細書、2000年4月4日に発行された米国特許第6,047,203号明細書、2002年1月29日に発行された米国特許第6,341,504号明細書、1994年7月26日に発行された米国特許第5,331,968号明細書、1994年4月12日に発行された米国特許第5,301,678号明細書及び1989年2月28日に発行された米国特許第4,807,640号明細書を参照されたい。また、例えば、米国特許出願第10/822,260号明細書及び2005年9月21日に出願された米国特許出願第11/233,317号明細書を参照されたい。本明細書中に記載されたこれら米国特許及び米国特許出願並びに他の技術文献を参照により引用し、全ての目的について、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。
【0033】
ECG電極は好ましくは、可撓性であり、モニタされる被験体との電気的接触を確立するために導電性ペースト等を用いた場合でも少量しか必要としない。かかる電極は、公知の導電性織物から構成されているのが良い。これについては、例えば2005年10月26日に出願された米国特許出願第60/730,890号明細書を参照されたい。加速度計センサは、加速度の3つの成分に敏感な好ましくは小型化されたMEMS型デバイスである。
【0034】
〔好ましいモニタ用衣服の構造〕
本明細書において詳細に説明するモニタ用衣服は、サル、イヌ及びウマのモニタに関する。しかしながら、本発明は、広範な哺乳動物種に容易に適用でき、かかる哺乳類としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、フェレット、モルモット、特定用途向けに育てられたブタ(ユカタン及びゲッチンゲンミニブタの種を含む)、通常のブタ、ネコ、霊長類、ヒツジ、ウシ及び他の家畜等が挙げられる。適合させるには、衣服を種のサイズに合わせて誂え、衣服をぴったりと保持し、ひとりでに外れるのを阻止する取り付け及び装着器具を用意し、センサデータを較正して種の生理学を反映させる。取り付け及び装着器具は、当該技術分野で知られた構造体、例えば引き具、首輪、端綱等を改造したものであるのが良い。小型の動物の場合、より感度の高いセンサが有利である(IPセンサについて説明したように)。陸に住む脊椎動物及び非哺乳動物種は一般に、種のメンバーがモニタ用衣服を着用でき、特に、有用な生理学的パラメータを表わす体の壁の動きを生じさせれば、モニタできる。
【0035】
詳細に言えば、モニタ用衣服及び(又は)PDU及び(又は)PDUキャリヤは、これらが利用される動物種の特徴及び行動に合わせて改造される。衣服の形態、例えばシャツ状衣服、ベスト状衣服又はバンド状衣服は、動物にとって受け入れられるはずである。例えば、かかる衣服は、動物の活動を妨げず、動物が見たり、聞いたり又は匂いを嗅いだりすること及び動物の生命維持にとって重要な他の感覚を不必要に制限せず、しかも、体温の異常等を生じさせないことが必要である。種々の動物は、引っ掻いたり、爪を立てたり、咀嚼したり、引っ張ったり、擦ったり、引き裂いたり(特にサル)、噛んだりすること等をするので、衣服及びPDUキャリヤは、動物の生まれつき持った能力に対して耐性があるべきである。動物は又、走ったり、ジャンプしたり、スイングしたり、物体に当たったり、遊んだりすること等をしばしば極めておおざっぱにするので、衣服及びPDUキャリヤは、損傷を受けないように、又、それどころか動物の生まれつき備わった活動の間、動作を続行するのに十分に機械的に強固であり且つ耐衝撃性であることが必要である。モニタ用衣服は又、動物の拘束がもし必要であれば、標準の方法又は手順により動物の拘束を可能にすべきである。
【0036】
外部から接近可能な特徴、例えば調節具、ジッパ、フラップ、ポケット、電気導線等を有する衣服及び衣服に接近してこれを操作することができるのに十分器用である種、例えば霊長類により着用される衣服のために追加の保護手段が好ましい。外部特徴は、動物の通常の活動中、機能が狂いがちである。かかる外部特徴は又、動物にとって接近可能であり、引っ張ったり、咀嚼したり、噛みついたりする等することにより損傷を受ける場合がある。別の保護手段の好ましい一形態は、モニタ用衣服の一部の全てを覆い、実質的に一様なテキスチャを有し、外部から接近可能な特徴部を持たないオーバーガーメントである。オーバーガーメントは、好ましくは、モニタ用衣服の外部の空間的構造、例えば、こぶ状突起、隆起部、凹み等を平坦化し、従って、これらが、動物の視覚及び(又は)触覚にとって外から余り見えず又は全く見えないようにする。オーバーガーメントは、動物によって突き破られないほど十分強靱であることが必要である。
【0037】
次に、図1A〜図1Dを参照して種々の動物用のモニタ用衣服の実施形態を説明する。図1Aは、無拘束状態のサル1のためのベスト状衣服3を示している。この衣服は、サルの皮膚と接触状態にある2つのECG電極7(1つしか見えず)を有している。より好ましい実施形態では、図示の切欠きは、存在せず、ECG電極は、衣服の内側に直接取り付けられる。この衣服は、二コンパートメント呼吸モデルを用いて呼吸数及び呼吸量を求めるのに有用なサルの腹部及び胸郭のサイズを反映するデータを戻す2つのサイズセンサバンド5を更に有する。長手方向ファスナ9、例えばジッパ及び(又は)ベルクロストリップは、衣服を腹側の中心線に沿って繋ぎ合わせる。
【0038】
図1Bは、ECG電極のための切欠きの無いサル10用のより好ましいベスト状モニタ用衣服4の別の図である。上記とは異なり、ECG電極は、サルと接触関係をなして衣服の内側に位置決めされている。衣服の腹側中心線に沿う長手方向ファスナ9は、この図ではより明確に見える。
【0039】
サルからモニタ用衣服それ自体を保護するオーバーガーメントは、図示されていないが、着用することが好ましい。サルは、小さな形状及びテキスチャに対する触覚的に特別の感度を持つ知恵があって器用であり、しかも利口な動物である。したがって、オーバーガーメントは、好ましくは、サルの触覚に対して一様なテキスチャを提供し、下に位置する衣服の空間的構造、例えば、バンド、電気導線、調節具、締結具等によりもたらされる構造を目立たないようにする。さらに、モニタ用衣服、付随するPDU及び(又は)PDUケース又はハウジング及びオプションとしてのオーバーガーメントは、サルのしばしば行う荒くて突然の活動がモニタ用コンポーネントを損傷することがないように十分強靱であり且つ耐性があるべきである。
【0040】
図1Cは、無拘束状態のイヌ11のためのシャツ状のモニタ用衣服13を示している。この衣服は、図1Aのベスト状衣服の場合よりもイヌの胴体に沿って長手方向に比較的遠くまで延びている。これにより、イヌの通常の活動中、長手方向の安定性及び固定が得られる。この衣服は、呼吸数及び呼吸量に関するデータを得るのに適した2つのサイズセンサバンド15を更に有している。衣服は、腹側中心線に沿うファスナ17により締結される。ECG電極が、イヌと接触状態で衣服の下に設けられていて、衣服の切欠きを通して外部から見ることはできない。オーバーガーメント(これ又図示せず)も又、イヌのモニタにとって好ましい。
【0041】
図1Cの衣服は、PDUをイヌの届く範囲を越えてイヌの背中に取り付けて安全に運ぶバックパック19を有している。図示しておらず、イヌが接近できないデータケーブルが、PDUを衣服センサに結合している。このデータケーブルを衣服の上側シームに沿って且つこの下からこれがセンサ及びセンサ電子モジュールに接続する場所としての腹側中心線まで引き回すのが良い。
【0042】
図1Dは、無拘束状態のウマ23のためのバンド状衣服を示している。この衣服は、ウマの呼吸数及びオプションとして呼吸量をモニタする1つ又は2つ以上のサイズセンサを組み込んだバンド25を有している。バンドは又、ウマと腹側で接触状態にあるECG電極を更に有するのが良い。このバンド状衣服を種々の仕方でウマに固定状態で取り付けることができる。背側ストラップ29a及び腹側ストラップ29bを備えたモニタ用衣服に連結されていて、衣服をウマの首に対して繋留する引き具27が示されている。変形例として、バンド25を腹部位置までずらしても良く、衣服は、ウマの前脚の付近に設けられた第2のバンドを有するのが良い。それにより、バンドは、より正確な呼吸量が得られるよう胸郭と腹部の両方のサイズを得ることができるよう比較的固定される。
【0043】
変形例として、ウマは、センサを組み込んだベスト状又はシャツ状モニタ用衣服を着用しても良い。好ましいかかるシャツ状衣服は、イヌ11のために図示された衣服13(図1C)に類似しているが、適当に大きなスケールの相対的形状及びサイズを有する。
【0044】
図2A〜図2Eは、小型の霊長類、特にサルのための実際のモニタ用衣服の幾つかの図である。12インチ定規(図2Aでは符号57で示されている)が、衣服のための物差しとなっている。図2Aは、長くした(広げた)衣服の外部の図である。ショルダーストラップ37a,37bを備えたアーム穴35a,35bが、頭側に設けられている。尾側に、第1のサイズセンサバンド39が、ベルクロ調節具41a,41bを支持している。これらストラップを調節することにより、サイズセンサバンド39は、種々のサイズのサルの周りにぴったりと形作ることができる。第2のサイズセンサバンド43が、3つのベルクロ調節具45a,45b,45cを支持し、これらベルクロ調節具により、この第2のバンドも又、モニタされるサルの周りにぴったりと形作ることができる。衣服は、ぴったりとしたサイズセンサバンドとショルダーストラップの協働によりサルに長手方向且つ横方向に実質的に固定される。それにより、センサは、サルの体に対して比較的固定されると共に繰り返し配置でき、従って、データが正確且つ首尾一貫して解釈可能になる。長手方向調節具47a,47b,47cが、2本のストラップ相互間で長手方向に延びており、これら調節具47a,47b,47cは、衣服をサイズセンサバンドがサルの通常の活動中、長手方向に互いに対して動くことがないように構成するためのばねクリップを備えた引き具を有している。他の実施形態は、衣服をぴったりと形作り、サルに対するセンサの正確な固定を達成するのに適したこれら調節具及び他の調節具の他の組み合わせを採用する。
【0045】
先ず最初に、衣服の左側の縁部と右側の縁部を互いに結合するジッパファスナ49を閉じることにより衣服をサルに締結する。次に、右側フラップ51をジッパファスナ53により対応の左側フラップに締結する。これらフラップは、保護された長手方向トンネル状構造を形成し、このトンネル状構造は、電子モジュールを保持することができ、これら電子モジュールは、有利には、これらの対応のセンサの近くに配置される。IPサイズセンサの場合、長手方向フラップ51の下から出ている電気導線55a,55bが、このトンネル内に配置された発信器/復調器電子モジュールに接続されている。データケーブルが、これら電子モジュール及び他のセンサを衣服の外部に支持されたPDUに結合している状態でトンネルに沿って長手方向に延びている。変形例として、データケーブルは、PDUがこれを衣服のポケットに入れて運ぶことができるように寸法決めされている場合、PDUポケットに結合される。
【0046】
図2Bは、長くした(広げた)衣服の内部の図である。アーム穴35a,35b、ショルダーストラップ37a,37b及びファスナ49,53が見える。ポケット状構造61a,61b,61cが、衣服に非直接的に織り込まれ、編み込まれ、縫い込まれ又は違ったやり方で直接組み込まれたセンサを保持するためのものである。図2Cは、センサポケット61cの内部の詳細図であり、接近開口部63a,63bを示している。
【0047】
図2Dは、サルにより着用された状態の締結状態の衣服の右側側面図であり、衣服が動物の胴体をどのように包囲するかを示している。図2Eは、締結状態の衣服の同様な左側側面図である。
【0048】
センサ処理方法は、好ましくは、特定の動物をモニタするために特別に較正され、便利なコンピュータ言語、例えばアセンブリ言語C又はC++でプログラムされる。このコードを実行可能な形態にコンパイルして本発明の処理システムへのローディングのためにコンピュータにより読み取り可能な媒体にストレージするのが良い。変形実施形態では、かかる方法は、ファームウェア、例えばFPGAで実行され、コンフィギュレーション指令を同様に、コンピュータにより読み取り可能な媒体にストレージするのが良い。したがって、本発明は、かかるコンピュータにより読み取り可能な媒体及び本発明のモニタ用衣服からデータを受け取る方法を処理するシステムを含むプログラム製品を更に有する。
【0049】
〔本発明の実施例〕
実施例1
図3A及び図3Bは、図3Cのモニタ用衣服で得られたサルからのモニタリングデータの処理を示しており、このモニタ用衣服は、図2A〜図2Eに記載された実施形態であるモニタ用衣服と実質的に類似した特徴を有している。図3Cのモニタ用衣服は、米国特許出願6,551,252号明細書に詳細に記載されている電気回路及び構成を更に有している。なお、この米国特許を参照により引用し、全ての目的に関し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0050】
図3Aは、モニタ用衣服を用いてこれ又得られたECG信号と共に処理された呼吸データ及び加速度データの1分間を示している。バンド85は、処理済み加速度計データを示し、このバンドは、データのこの1分間中、サルがほんの僅かな活動に従事し、姿勢の変化を行なわなかったことを示している。バンド81は、実質的に活動が殆ど無いこの期間中におけるサルの一回呼吸量を示すと共にサルが普通の一回呼吸量の場合の規則的な割合で呼吸していたことを示している。バンド83は、ECGデータを示すと共に通常の心拍動及び信号のアーチファクトが殆ど無く又は全く無いことを示している。
【0051】
図3Bは、データの3分間を示している。処理済み加速度計データ、即ち、バンド91は、時刻93のところにおいて、サルが、姿勢を変えたこと、時刻95のところで、サルが短く活動状態にあったことを示している。バンド89は、得られたECGデータを示し、バンド87は、サルの一回呼吸量を示しているが、垂直方向の尺度は、図3Aの尺度から大幅に減少している。バンド87,89に表示されたデータの特徴をバンド91の処理済み加速度計データを考慮して解釈することができる。例えば、バンド87の呼吸データは、サルの呼吸量曲線のDC量較正が、サルの姿勢の変化と共に97のところで変化したことを示している。かかる較正の変化は、通常、姿勢の変化に続く。というのは、姿勢は、胸部内の機械的関係及び重力加速度に対する胸部の向きに著しい影響を及ぼすからである。また、呼吸バンドとECGバンドの両方は、加速度計トレース中の符号95のところに表わされたサルの動きと関連して動きのアーチファクトの短い期間99,101をそれぞれ示している。
【0052】
実施例2
図4A及び図4Bは、図4Cのモニタ用衣服で得られたビーグルからのモニタリングデータの処理を示しており、このモニタ用衣服は、図3Cに示すサルに装着されるようになったモニタ用衣服と実質的に類似した特徴を有している。図4Aは、一回呼吸量(Vt)、ECG、心拍数(HR)及び加速度計(ACC)データ及び呼吸洞性不整脈(RSA)の指数を含む処理済みデータの5分間を示している。無拘束状態の動物の呼吸信号及びECG信号の組み合わせを測定することにより、「純粋な」ECGの期間、即ち、呼吸サイクルにより影響を受けなかった期間の明確な識別及び評価を行なうことができる。ECG信号の調時成分の分析のためのこれら安定した期間(例えば、Q−T間隔)の利用により、現在可能な精度よりも高い精度が研究者に与えられる。
【0053】
具体的に言えば、睡眠中のイヌによく見かけられる中枢性無呼吸の期間中(一回呼吸量のトレースが実質的に平らな陰影を施した領域)、ECG信号は、呼吸に付きものの一過性壁内外圧差の勾配の衝撃が無ければ、心筋の電気的活動を純粋に反映する。図4Aで分かるように、又、図4Bに詳細に示されているように、これら無呼吸期間中における動物の心拍数は、非常に安定しており、そのECGは、一定である。これは又、これら無呼吸期間に先立つ動物の心拍数における変動性、例えば、動物の呼吸サイクルに付きものの変動性に着目するのは価値があり、その結果、ECGの心拍差が生じる。これは、呼吸洞性不整脈(RSA)として知られている。
【0054】
実施例3
ヒト以外の霊長類に属する動物(NHP)の連続モニタにより、かかる動物が興奮し又はストレスを経験している時期を示す行動及び活動パターンの識別が可能になる。例えば、かかるパターンは、かつて環境中で他の動物と共に良く育っていた動物が、結果的に研究用コロニーから外されることになる場合のある有害な行動を示し始めていることを指示できる。この不適当な行動は、「ステレオタイプ」行動と広く呼ばれており、繰り返し動作から脅迫観念的行動、極端な場合には、深刻な自傷行為まで様々である。ステレオタイプの行動を示す動物は、研究にとって効果的ではなく、一般に、利用可能な動物のコホートから除外される。さらに、かかる動物が環境及び刺激の変化に積極的に応答しない場合、かかる動物を将来の研究のためにそれ以上使うことはできない。
【0055】
図3Cのモニタ用衣服で得られた生理学的データは、ヒト以外の動物の異常な動きパターン及び繰り返し/脅迫観念的行動の存在を識別することができる。例えば、図5A及び図5Bは、20時間を超える期間にわたり動物に関する通常の活動及び安息パターン及び異常な活動及び安息パターンをそれぞれ示している。
【0056】
図5Aでは、一晩中、即ち、「消灯(Lights Out)」期間は、長さが約12時間である。最初の半分は、ACCトレースで識別される活動及び安息の多数の別々の続き、Vtトレース、メジアン呼吸数(mBr/M)トレース及びメジアン心拍数(MHR)トレースを含む。夜の後半では、動物は、約6時間(ACC、Vt、mBr/M及びMHRトレースで識別される)静かに安息しているように見える。点灯(Lights On)期間中、安息区間を伴って明確に区分された活動期間が存在する。点灯期間中の陰影を施した「ケージ」期間は、ケージのクリーニングが霊長類用室内で行なわれた時期であり、ケージ期間内の幅の狭い陰影を施した期間は、サル自身のケージがクリーニングをされている時期である。
【0057】
図5Bでは、一晩中、即ち「ライトサイクル:オフ(Light Cycle: Off)」期間も又、長さが12時間である。この期間中、動物の活動は減少するが、図5Aのデータと比較して、静かな安息区間であるようには思われない。動物は、ACCトレースに示されているように、夜中中一定の動きを示すと共にVt、mBr/M及びMHRトレースで示されているように、不安定な生理学的状態を示している。消灯期間の終わりに向かって、約50分間の静かな安息区間がある。消灯前の目覚め期間中、動物は、極めて活動的である。灯がオンに戻ると、動物の活動は、先の12時間(即ち、夜中)と比較して示す違いは非常に僅かである。
【0058】
図6Aは、5分間にわたって集められた健常な動物の生理学的データを示している。メジアン加速度計トレース(AccM)で分かるように、動物は、典型的にはパターン及びタイミングにおいて不規則な通常の活動パターンを示す。ステレオタイプの行動を示す動物の図6Aと図6Bの5分間の活動トレースを比較すると、円で囲んだ部分から明らかなこととして、動物は、かかる異常な行動を表わす一連の繰り返しの二相動きを示す。
【0059】
図7A及び図7Bは、ステレオタイプの行動を表わす生理学的データの別の例を示している。図7Aでは、動物は、通常の活動区間を示し、次に、光がこの環境で消された後、比較的長い安息期間を示す。この動物は、12時間にわたる消灯サイクル全体の間、ほぼ6時間の間生理学的に安息しているように見える(即ち、安息期間は、トレースの中央付近から消灯期間の終わりまでずっと示されている)。動物は又、静かになる前の期間において明確に区分された活動区間と安息区間を示す。
【0060】
これとは対照的に、図7Bは、ステレオタイプの行動を示す動物の生理学的データを示しており、この生理学的データは、安息が比較的僅かな状態で消灯期間まで長い一定の活動レベルを有することを特徴としている。動物は、約60分間の生理学的安息(陰影を施した期間)を得るに過ぎない。この期間中、一回呼吸量トレース、呼吸頻度及び心拍数は、安定化し、メジアン加速度計トレースは、非常に僅かな動きを示している。しかしながら、動物が目覚めると、トレースは全て、これらの前の特性を取り戻す。かかる生理学的データは、動物の経験する生理学的ストレスの度合いの存在及び(又は)変化とかなり良好に相関している場合があり、又は、かかる生理学的データを用いてかかる存在及び(又は)変化を識別することができる。
【0061】
図7A及び図7Bで提供されたデータに示されているように、図2A〜図2Eに示された衣服と実質的に同じ衣服も又用いると、種々の生理学的データのストリームの変動性及び絶対レベルを用いて睡眠時間及び(又は)静かな生理学的安息期間を推定することができる。このデータは、例えば獣医的環境における動物の世話や飼蓄を向上させる有用な情報を提供することができる。
【0062】
これら実施例は、本発明のモニタ用衣服及びシステムが有用な生理学的及び行動学的情報を提供するよう処理されると共に首尾一貫して解釈できる信頼性の高いモニタリングデータを得ることを実証している。
【0063】
説明すると共に請求の対象とした本発明は、範囲が、本明細書において開示した好ましい実施形態によっては限定されない。というのは、これら実施形態は、本発明の幾つかの特徴の例示として意図されているからである。均等範囲に属する実施形態は、本発明の範囲に含まれる。確かに、本明細書において図示すると共に説明した実施形態に加えて本発明の種々の改造例は、上述の説明から当業者には明らかになろう。かかる改造例も又、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【0064】
多くの文献が本明細書において引用されるが、これらを参照により引用し、全ての目的に関しこれらの開示内容全体を本明細書の一部とする。さらに、これらの文献のうち、上記のことがどのように特徴付けられているかとは無関係に、特許請求の範囲に記載された本発明に先立つものとして認められるものは存在しない。
【0065】
本明細書における見出しは、分かりやすくすると共に便宜を図るためのものであるに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1A】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1B】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1C】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図1D】動物モニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図2A】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2B】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2C】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2D】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図2E】サルのための例示のモニタ用衣服の図である。
【図3A】サルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図3B】サルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図3C】サルのためのモニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図4A】ビーグルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図4B】ビーグルから得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図4C】イヌのためのモニタ用衣服の実施形態を示す図である。
【図5A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図5B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図6A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図6B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図7A】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【図7B】ヒト以外の霊長類から得られた例示のモニタリングデータを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト以外の動物種のメンバーとしての動物をモニタする装置であって、
前記動物により着用されるべきモニタ用衣服を有し、前記モニタ用衣服は、前記動物のサイズ及び行動に適合するよう構成されていて、前記動物が通常の活動を行なうことができるようにし、
前記衣服に組み込まれていて、前記動物の生理学的機能を検出する1つ又は2つ以上のセンサを有し、
前記動物に取り付けられて運搬されるように適合すると共に構成されていて、前記センサを起動させ、有線外部接続手段を用いないで前記センサから生理学的データを取り出す携帯型データユニットを有する、装置。
【請求項2】
前記動物種は、陸に住む両生類、陸に住む爬虫類、及びヒト以外の陸に住む哺乳類から成る群から選択され、前記ヒト以外の陸に住む哺乳類は、霊長類、サル、チンパンジー、オランウータン、齧歯類、ラット、マウス、モルモット、食肉類、イヌ、飼いネコ、野生ネコ、ウシ、ウマ、ゾウ、野生ブタ、一般のブタ及び特定用途向けに育てられたミニブタを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記モニタ用衣服は、前記モニタ用衣服を個々の動物に合わせて調節する1つ又は2つ以上の取り付け及び(又は)装着器具を更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記取り付け器具は、ジッパ、ベルクロ(Velcro)部分、ドローストリング、ボタンを含み、前記装着器具は、1つ又は2つ以上のゴムひも部分を含む、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記モニタ用衣服は、前記動物の胴体の周りに装着されるよう構成されたストラップを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記モニタ用衣服は、前記動物の胴体の周りにスカートのように装着されるような寸法形状の主要部分と、前記衣服が前記動物により着用されると、前記動物の少なくとも1本の肢を受け入れると共に包囲して前記動物に対する前記衣類の動きを制限するようにする1つ又は2つ以上の開口部分とを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記衣服が前記動物により着用されると、前記動物の前肢の両方を受け入れる2つの開口部分を更に有する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記モニタ用衣服の前記主要部分を前記動物の前記胴体の周りに固定する1つ又は2つ以上の取り付け及び(又は)装着器具を更に有する、請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記モニタ用衣服は、前記携帯型データユニットを前記動物に取り付けて又は運び又は前記動物によって運ばせて前記動物がモニタ中、自律的に通常の活動を行なうことができるようにする少なくとも1つのポケットを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記携帯型データユニットは、更に、取り出したセンサデータを一時的にストレージすると共に(或いは)取り出したセンサデータをワイヤレスで送信する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記センサは、胸郭のサイズ及び(又は)腹部のサイズを含む前記動物の部分のサイズに応答する1つ又は2つ以上のセンサを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記サイズセンサのうちの少なくとも1つは、誘導性プレチスモグラフィ技術を利用している、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、姿勢及び(又は)活動に敏感な加速度計を含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記センサは、心電図電極、温度センサ、血液酸素レベルセンサ、脳の電気的活動用電極、筋肉の電気的活動用電極又は眼筋の電気的活動用電極のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1記載の装置。
【請求項15】
ヒト以外の動物をモニタする装置であって、
前記動物により着用されるべきモニタ用衣服を有し、前記モニタ用衣服は、前記動物のサイズ及び行動に適合するよう構成されていて、前記動物が通常の活動を行なうことができるようにし、
前記衣服に組み込まれていて、前記動物の生理学的機能を検出する1つ又は2つ以上のセンサを有し、
前記動物に取り付けられて運搬されるように適合すると共に構成されていて、前記センサを起動させ、有線外部接続手段を用いないで前記センサから生理学的データを取り出す携帯型データユニットを有し、
前記携帯型データユニットにデータ転送可能に作動的に結合されていて、前記取り出した生理学的データを表示するコンピュータシステムを有する、装置。
【請求項16】
前記操作的結合手段は、前記携帯型データユニットにより書き込まれて前記コンピュータシステムにより読み取られるコンピュータによる読み取り可能な媒体及び(又は)ワイヤレス通信連係を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記表示される生理学的データは、呼吸機能の指標及び(又は)心臓機能の指標及び(又は)姿勢及び(又は)活動の指標を含む、請求項15記載の装置。
【請求項18】
ヒト以外の動物に存在する選択された生理学的及び(又は)行動的パターンを求める方法であって、
前記ヒト以外の動物に請求項1記載のモニタ用衣服を装着するステップと、
前記ヒト以外の動物によって着用されたときに前記モニタ用衣服から心臓データ、呼吸データ又は活動データのうちの1つ又は2つ以上を取り出すステップと、
前記取り出したデータを評価して前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンがヒト以外の動物に存在している確度を評価するステップとを有する、方法。
【請求項19】
前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンは、心臓活動のパターンを含み、前記心臓活動パターンは、中枢性無呼吸の期間と同時に生じる取り出された心臓データから求められ、前記中枢性無呼吸期間は、取り出した呼吸データにより指示される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記求めた心臓活動パターンは、基線心拍数及び(又は)ECG信号の1つ又は2つ以上の調時成分を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンは、不快な情動性状態を含み、前記不快な情動性状態は、特定の生理学的機能と関連して生じる行動の異常なパターンにより指示される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記ヒトではない動物は、通常昼間に活動状態にあり、前記異常な活動パターンは、暗闇期間中に生じる長時間にわたる活動を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記異常な活動パターンは、ステレオタイプの活動及び(又は)姿勢の1つ又は2つ以上のパターンの周期的繰り返しを含み、各繰り返しは、前記特定の生理学的機能と関連している、請求項21記載の方法。
【請求項24】
不快な情動状態を明白に示している前記ヒト以外の動物に新たな物理的及び(又は)社会的環境を与えるステップを更に有する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記異常な活動パターンの大きさ及び(又は)頻度及び(又は)持続時間から不快さの度合いを評価するステップを更に有する、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記ヒト以外の動物の生理学的安息期間を検出するステップを更に有し、前記生理学的安息期間は、前記取り出した生理学的データの時間的ばらつきの減少と同時に生じる身体的活動の平均レベルの減少により指示される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト以外の動物は、通常昼間に活動状態にあり、生理学的安息を表わす前記パターンは、暗闇期間中に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト以外の動物の相対的生理学的安息期間を求めるステップを更に有する、請求項26記載の方法。
【請求項1】
ヒト以外の動物種のメンバーとしての動物をモニタする装置であって、
前記動物により着用されるべきモニタ用衣服を有し、前記モニタ用衣服は、前記動物のサイズ及び行動に適合するよう構成されていて、前記動物が通常の活動を行なうことができるようにし、
前記衣服に組み込まれていて、前記動物の生理学的機能を検出する1つ又は2つ以上のセンサを有し、
前記動物に取り付けられて運搬されるように適合すると共に構成されていて、前記センサを起動させ、有線外部接続手段を用いないで前記センサから生理学的データを取り出す携帯型データユニットを有する、装置。
【請求項2】
前記動物種は、陸に住む両生類、陸に住む爬虫類、及びヒト以外の陸に住む哺乳類から成る群から選択され、前記ヒト以外の陸に住む哺乳類は、霊長類、サル、チンパンジー、オランウータン、齧歯類、ラット、マウス、モルモット、食肉類、イヌ、飼いネコ、野生ネコ、ウシ、ウマ、ゾウ、野生ブタ、一般のブタ及び特定用途向けに育てられたミニブタを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記モニタ用衣服は、前記モニタ用衣服を個々の動物に合わせて調節する1つ又は2つ以上の取り付け及び(又は)装着器具を更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記取り付け器具は、ジッパ、ベルクロ(Velcro)部分、ドローストリング、ボタンを含み、前記装着器具は、1つ又は2つ以上のゴムひも部分を含む、請求項2記載の装置。
【請求項5】
前記モニタ用衣服は、前記動物の胴体の周りに装着されるよう構成されたストラップを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記モニタ用衣服は、前記動物の胴体の周りにスカートのように装着されるような寸法形状の主要部分と、前記衣服が前記動物により着用されると、前記動物の少なくとも1本の肢を受け入れると共に包囲して前記動物に対する前記衣類の動きを制限するようにする1つ又は2つ以上の開口部分とを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記衣服が前記動物により着用されると、前記動物の前肢の両方を受け入れる2つの開口部分を更に有する、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記モニタ用衣服の前記主要部分を前記動物の前記胴体の周りに固定する1つ又は2つ以上の取り付け及び(又は)装着器具を更に有する、請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記モニタ用衣服は、前記携帯型データユニットを前記動物に取り付けて又は運び又は前記動物によって運ばせて前記動物がモニタ中、自律的に通常の活動を行なうことができるようにする少なくとも1つのポケットを更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記携帯型データユニットは、更に、取り出したセンサデータを一時的にストレージすると共に(或いは)取り出したセンサデータをワイヤレスで送信する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記センサは、胸郭のサイズ及び(又は)腹部のサイズを含む前記動物の部分のサイズに応答する1つ又は2つ以上のセンサを含む、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記サイズセンサのうちの少なくとも1つは、誘導性プレチスモグラフィ技術を利用している、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、姿勢及び(又は)活動に敏感な加速度計を含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記センサは、心電図電極、温度センサ、血液酸素レベルセンサ、脳の電気的活動用電極、筋肉の電気的活動用電極又は眼筋の電気的活動用電極のうちの1つ又は2つ以上を含む、請求項1記載の装置。
【請求項15】
ヒト以外の動物をモニタする装置であって、
前記動物により着用されるべきモニタ用衣服を有し、前記モニタ用衣服は、前記動物のサイズ及び行動に適合するよう構成されていて、前記動物が通常の活動を行なうことができるようにし、
前記衣服に組み込まれていて、前記動物の生理学的機能を検出する1つ又は2つ以上のセンサを有し、
前記動物に取り付けられて運搬されるように適合すると共に構成されていて、前記センサを起動させ、有線外部接続手段を用いないで前記センサから生理学的データを取り出す携帯型データユニットを有し、
前記携帯型データユニットにデータ転送可能に作動的に結合されていて、前記取り出した生理学的データを表示するコンピュータシステムを有する、装置。
【請求項16】
前記操作的結合手段は、前記携帯型データユニットにより書き込まれて前記コンピュータシステムにより読み取られるコンピュータによる読み取り可能な媒体及び(又は)ワイヤレス通信連係を含む、請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記表示される生理学的データは、呼吸機能の指標及び(又は)心臓機能の指標及び(又は)姿勢及び(又は)活動の指標を含む、請求項15記載の装置。
【請求項18】
ヒト以外の動物に存在する選択された生理学的及び(又は)行動的パターンを求める方法であって、
前記ヒト以外の動物に請求項1記載のモニタ用衣服を装着するステップと、
前記ヒト以外の動物によって着用されたときに前記モニタ用衣服から心臓データ、呼吸データ又は活動データのうちの1つ又は2つ以上を取り出すステップと、
前記取り出したデータを評価して前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンがヒト以外の動物に存在している確度を評価するステップとを有する、方法。
【請求項19】
前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンは、心臓活動のパターンを含み、前記心臓活動パターンは、中枢性無呼吸の期間と同時に生じる取り出された心臓データから求められ、前記中枢性無呼吸期間は、取り出した呼吸データにより指示される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記求めた心臓活動パターンは、基線心拍数及び(又は)ECG信号の1つ又は2つ以上の調時成分を含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記選択された生理学的及び(又は)行動的パターンは、不快な情動性状態を含み、前記不快な情動性状態は、特定の生理学的機能と関連して生じる行動の異常なパターンにより指示される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記ヒトではない動物は、通常昼間に活動状態にあり、前記異常な活動パターンは、暗闇期間中に生じる長時間にわたる活動を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記異常な活動パターンは、ステレオタイプの活動及び(又は)姿勢の1つ又は2つ以上のパターンの周期的繰り返しを含み、各繰り返しは、前記特定の生理学的機能と関連している、請求項21記載の方法。
【請求項24】
不快な情動状態を明白に示している前記ヒト以外の動物に新たな物理的及び(又は)社会的環境を与えるステップを更に有する、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記異常な活動パターンの大きさ及び(又は)頻度及び(又は)持続時間から不快さの度合いを評価するステップを更に有する、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記ヒト以外の動物の生理学的安息期間を検出するステップを更に有し、前記生理学的安息期間は、前記取り出した生理学的データの時間的ばらつきの減少と同時に生じる身体的活動の平均レベルの減少により指示される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記ヒト以外の動物は、通常昼間に活動状態にあり、生理学的安息を表わす前記パターンは、暗闇期間中に生じる、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記ヒト以外の動物の相対的生理学的安息期間を求めるステップを更に有する、請求項26記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【公表番号】特表2008−538520(P2008−538520A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507838(P2008−507838)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/014737
【国際公開番号】WO2006/113804
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
2.Bluetooth
【出願人】(506169713)ヴィーヴォメトリックス インコーポレイテッド (6)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/014737
【国際公開番号】WO2006/113804
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
2.Bluetooth
【出願人】(506169713)ヴィーヴォメトリックス インコーポレイテッド (6)
[ Back to top ]