説明

ヒト免疫不全ウイルス複製のインヒビター

本発明は、一般式(I)の化合物、検出可能な標識を含むそれらの誘導体、それらの組成物及びヒト免疫不全症候群ウイルス(HIV)感染の治療におけるそれらの使用に関する。具体的には、本発明は、HIV複製の新規インヒビター、そのような化合物を含む医薬組成物及びHIV感染の治療においてそれらの化合物を使用するための方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染治療のための化合物、組成物及び方法に関する。具体的には、本発明は、HIV複製の新規インヒビター、そのような化合物を含む医薬組成物及びHIV感染治療におけるこれら化合物の使用方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、特に、HIV-1株により生じる。最近認められたHIV感染の治療法は、ウイルス侵入を阻害するためにgp41を標的とする一つの追加的な承認薬を用いた、ウイルス逆転写酵素及びプロテアーゼ酵素を標的としている。逆転写酵素インヒビター及びプロテアーゼインヒビタークラスでは、既存の薬剤に対する耐性が問題である。従って、新規の抗レトロウイルス化合物を発見及び開発することが重要である。
日本国特許出願03-227923には、抗HIV活性のあるクマリンが記載されている。
以下の一般式の化合物は、セカー(M. Sekar)及びラジェンドラプラサド(K.J. Rajendra Prasad)(1998年)、J. Nat. Prod. 61: 294〜296頁に、ピラノ[2,3-b]キノリンアルカロイドの合成における合成中間体として記載されている:
【0003】
【化1】

【0004】
(発明の概要)
本発明は、HIV複製に対して阻害活性を有する新規シリーズの化合物を提供する。さらに、本発明の代表的な化合物は、細胞ベースのHIV複製アッセイにおいてヒンヒビターとしての活性を有する。本発明のさらなる目的は、以下の記載及び実施例から当業者に明らかと考えられる。
ある態様において、本発明は、一般式(I)の化合物、それらの塩又はエステルを提供する:
【0005】
【化2】

【0006】
(式中、
結合aは二重結合であり、かつ結合bは単結合であるか、又は
結合aは単結合であり、かつ結合bは二重結合であり;
結合aが単結合の場合、XはO又はNR1であるか;又は
結合aが二重結合の場合、XはNであり;
R1は、H、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
それぞれの(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル及びHet-(C1-6)アルキルは、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル又は-N((C1-6)アルキル)2により所望により置換されていてもよく;
結合bが単結合の場合、R2はH、(C1-6)アルキル又は-O(C1-6)アルキルであるか;
又は結合bが二重結合の場合、R2はOであり;
R3は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル、アリール-(C1-6)アルキル、Het-(C1-6)アルキル-又は-Y-R31であり、結合cは単結合であるか、又は
R3は、(C1-6)アルキリデンであり、結合cは二重結合であり;
式中、YはO又はSであり、R31は(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル-又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
式中、それぞれの(C1-6)アルキリデン、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-, アリール-(C1-6)アルキル-、Het-(C1-6)アルキル-及び-Y-R31は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
R4は、アリール又はHetであり、それぞれのアリール及びHetは、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で所望により置換されていてもよく;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより所望により置換されていてもよく;
R6及びR7は、H、ハロ、(C1-6)アルキル及び(C1-6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選ばれ;
但し、結合aが単結合であり、かつ結合bが二重結合であり;また
XがNR1であり;R1がHであり;R2がOであり;また
R4が非置換フェニルであり;R6がClであり;R7がHであり;また
結合cが二重結合である場合;
R3が=CH-CH(CH3)2ではないことを条件とし;また
Hetは、O、N及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜4ヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和又は芳香族複素環であるか、又はO、N及びSからそれぞれ独立して選ばれる、可能な限り1〜5ヘテロ原子を有する7〜14員の飽和、不飽和又は芳香族複素多環である)。
【0007】
他の態様において、本発明は、薬物として一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを提供する。
さらに他の態様において、本発明は、治療有効量の一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステル;及び一つ以上の医薬的に許容され得るキャリヤーを含む医薬組成物を提供する。
この態様の実施態様によると、本発明による医薬組成物は、少なくとも一つの他の抗ウイルス剤をさらに含む。
【0008】
また、本発明は、HIV感染又は感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染治療のための、前記医薬組成物の使用を提供する。
本発明のさらなる態様は、HIV感染又は感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染の治療方法であって、治療有効量の一般式(I)の化合物、医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステル、又は前記のようなそれらの組成物を、哺乳類に投与することを含む、前記方法に関する。
【0009】
他の態様において、本発明は、HIV感染又は感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染の治療方法であって、治療有効量の一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルのコンビネーションと、少なくとも一つ以上の抗ウイルス剤又はそれらの組成物を、哺乳類に投与することを含む、前記方法に関する。
また、本発明の範囲には、前記一般式(I)の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルの、HIV感染又は感染のリスクを有する哺乳類におけるHIV感染の治療のための使用が含まれる。
【0010】
他の態様において、本発明は、前記一般式(I)の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルの、HIV感染又は感染のリスクを有する哺乳類におけるHIV感染の治療用医薬製造のための使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は、HIV感染を治療するために有効な組成物と;その組成物がHIVによる感染の治療に使用可能なことを示す標識を含むパッケージ物質;(組成物は、本発明による一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを含む)を含む製品に関する。
【0011】
さらに他の態様において、本発明は、HIVの複製が阻害される条件下、有効量の一般式(I)の化合物又はそれらの塩又はエステルに、ウイルスを曝露することを含む、HIVの複製を阻害する方法に関する。
さらに、本発明の範囲には、一般式(I)の化合物又はそれらの塩又はエステルの、HIV複製を阻害するための使用が含まれる。
さらに他の態様において、本発明は、一般式(I)の化合物の誘導体、検出可能な標識を含む誘導体を提供する。
【0012】
(発明の詳細な説明)
定義
本明細書に使用する場合、特に規定しない限りは以下の定義を適用する:
本明細書に使用する場合、特に規定しない限り、用語「置換基」は、炭素原子、ヘテロ原子、又は他の原子(それらは分子又はそのフラグメントの一部を形成してもよい)に結合していてもよい原子、ラジカル又は基を意味すると意図され、そうでなければ少なくとも一つの水素原子に結合される。それらの特定の分子又はフラグメントの関連において予想される置換基は、化学的に安定な化合物を生じるもの、例えば当業者に認識されるものである。
【0013】
本明細書に使用する用語「(C1-n)アルキル」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、炭素原子1〜nを含む非環式、直鎖又は分岐鎖アルキル基を意味すると意図する。「(C1-6)アルキル」は、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル)、ブチル(n-ブチル)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソ-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(ter-ブチル)、ペンチル及びヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。略語Meは、メチル基を示し;Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示し、iPrは1-メチルエチル基を示し、Buはブチル基を示し、tBuは1,1-ジメチルエチル基を示す。
【0014】
本明細書に使用する用語「(C1-n)アルキリデン」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、それらの置換基として、二重結合によりそれらの分子又はグラグメントに結合する炭素原子1〜nを含む非環式、直鎖又は分岐鎖のアルキル基を意味することを意図する。「(C1-6)アルキリデン」としては、CH2=、CH3CH=、CH3CH2CH=、
【化3】

の基が挙げられるが、それらに限定されない。特に規定しない限り、用語「(C2-n)アルキリデン」は、場合により個々の立体異性体、例えば(E)及び(Z)異性体、及びそれらの混合物を含むと理解される。(C2-n)アルキリデン基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、そうでなければ水素原子を有すると考えられるそれらのいずれかの炭素原子上で置換されていると理解される。
【0015】
本明細書に使用する用語「(C2-n)アルケニル」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、炭素原子2〜nを含む不飽和の非環式直鎖又は分岐鎖の基であって、その少なくとも二つが二重結合により互いに結合されるものを意味することを意図する。そのような基の例としては、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル及び1-ブテニルが挙げられるが、それらに限定されない。特に規定しない限り、用語「(C2-n)アルケニル」は、場合により個々の立体異性体、例えば(E)及び(Z)異性体、及びそれらの混合物(それらに限定されない)を含むと理解される。(C2-n)アルケニル基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されているように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、そうでなければ水素原子を有すると考えられるそれらのいずれかの炭素原子上で置換されると理解される。
【0016】
本明細書に使用する用語「(C2-n)アルキニル」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、炭素原子2〜nを含む不飽和、非環式の直鎖又は分岐鎖の基であって、その少なくとも二つが三重結合により互いに結合されているものを意味すると意図する。そのような基の例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル及び1-ブチニルが挙げられるがそれらに限定されない。(C2-n)アルキニル基が置換される場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、そうでなければ水素原子を有すると考えられるそれらのいずれかの炭素原子上で置換されると理解される。
【0017】
本明細書に使用する用語「(C3-m)シクロアルキル」(式中、mは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、炭素数3〜mのシクロアルキル置換基を意味すると意図し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0018】
本明細書に使用する用語「(C3-m)シクロアルキル-(C1-n)アルキル-」(式中、n及びmは共に整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、前記のような炭素数3〜mのシクロアルキル基でそれ自身置換されている前記のような炭素数1〜nのアルキル基を意味すると意図する。(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-の例としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロプロピルエチル、2-シクロプロピルエチル、1-シクロブチルエチル、2-シクロブチルエチル、1-シクロペンチルエチル、2-シクロペンチルエチル、1-シクロヘキシルエチル及び2-シクロヘキシルエチルが挙げられるが、それらに限定されない。(C3-m)シクロアルキル-(C1-n)アルキル-基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、置換基はそれらのシクロアルキル又はアルキル部分のいずれか又はその両方に結合してもよいと理解される。
【0019】
本明細書に使用する用語「アリール」は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、芳香族、飽和又は不飽和であってもよい第二の5又は6員の炭素環基にさらに縮合していてもよい炭素数6の炭素環芳香族単環基を意味することを意図する。アリールとしては、フェニル、インダニル、インデニル、1-ナフチル、2-ナフチル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
本明細書に使用する用語「アリール-(C1-n)アルキル-」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、前記のようなアリール基でそれ自体置換されている前記のような炭素数1〜nのアルキル基を意味すると意図する。アリール-(C1-n)アルキル-の例としては、フェニルメチル(ベンジル)、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル及びフェニルプロピルが挙げられるがそれらに限定されない。アリール-(C1-n)アルキル-基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、置換基はアリール又はそれらのアルキル部分のいずれか又はその両方に結合していてもよいと理解される。
【0021】
本明細書に使用する用語「Het」は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、特に規定しない限り、O、N及びSからそれぞれ独立して選択される1〜4ヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和又は芳香族複素環、又はO、N及びSからそれぞれ独立して選択される、可能な限り1〜5ヘテロ原子を有する7〜14員の飽和、不飽和又は芳香族の複素多環を意味すると意図する。Het基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、置換基は、他に水素原子を有すると考えられるいずれかの炭素原子又はそれらのヘテロ原子に結合していてもよいと理解される。
【0022】
本明細書に使用され、特に規定しない限り、用語「Het-(C1-n)アルキル-」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、前記のHet置換基でそれ自体置換されている前記の炭素数1〜nのアルキル基を意味すると意図する。Het-(C1-n)アルキル-の例としては、チエニルメチル、フリルメチル、ピペリジニルエチル、2-ピリジニルメチル、3-ピリジニルメチル、4-ピリジニルメチル、キノリニルプロピル等が挙げられるがそれらに限定されない。Het-(C1-n)アルキル-基が置換されている場合、特に規定しない限り、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、置換基は、Het又はそれらのアルキル部分のいずれか又は両方に結合していてもよいと理解される。
【0023】
本明細書に使用される用語「ヘテロ原子」は、O、S又はNを意味すると意図する。
本明細書に使用され、特に規定しない限り、用語「複素環」は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、O、N及びSからそれぞれ独立して選択される1〜4ヘテロ原子を含む3〜7員の飽和、不飽和又は芳香族複素環;又は、それらから水素原子を除去して誘導される一価の基を意味すると意図する。そのような複素環の例としては、アゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピロール、チオフェン、フラン、ピラゾール、イミダゾール、イソキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、アゼピン、ジアゼピン、ピラン、1,4-ジオキサン、4-モルホリン、4-チオモルホリン、ピリジン、ピリジン-N-オキシド、ピリダジン、ピラジン及びピリミジン及びそれらの飽和、不飽和及び芳香族誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
本明細書に使用され、特に規定しない限り、用語「複素多環」は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、一つ以上の他の環に縮合した前記のような複素環、例えば炭素環、複素環又はいずれかの他の環;又はそれらから水素原子を除去して誘導される一価の基を意味すると意図する。そのような複素多環の例としては、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ベンゾジオキソール、ベンゾジオキサン、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン及びナフチリジン及びそれらの飽和、不飽和及び芳香族誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0025】
本明細書に使用する用語「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードから選ばれるハロゲン置換基を意味すると意図する。
本明細書に使用する用語「(C1-n)ハロアルキル」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、一つ以上の水素原子がハロ置換基によりそれぞれ置換される前記のような炭素数1〜nのアルキル基を意味すると意図する。(C1-n)ハロアルキルの例としては、クロロメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、ブロモメチル、ブロモエチル、ジブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロエチル及びジフルオロエチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0026】
本明細書に可換的に使用する用語「-O-(C1-n)アルキル」又は「(C1-n)アルコキシ」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、前記のような炭素数1〜nのアルキル基にさらに結合する酸素原子を意味すると意図する。-O-(C1-n)アルキルの例としては、メトキシ(CH3O-)、エトキシ(CH3CH2O-)、プロポキシ(CH3CH2CH2O-)、1-メチルエトキシ(イソ-プロポキシ; (CH3)2CH-O-)及び1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ; (CH3)3C-O-)が挙げられるがそれらに限定されない。-O-(C1-n)アルキル基が置換されている場合、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、それらの(C1-n)アルキル部分に置換されていると理解される。
【0027】
本明細書に可換的に使用する用語「-S-(C1-n)アルキル」又は「(C1-n)アルキルチオ」(式中、nは整数である)は、単独又は他の基とのコンビネーションにおいて、前記のような炭素数1〜nのアルキル基にさらに結合する硫黄原子を意味すると意図する。-S-(C1-n)アルキルの例としては、メチルチオ(CH3S-)、エチルチオ(CH3CH2S-)、プロピルチオ(CH3CH2CH2S-)、1-メチルエチルチオ(イソプロピルチオ;(CH3)2CH-S-)及び1,1-ジメチルエチルチオ(tert-ブチルチオ;(CH3)3C-S-)が挙げられるが、それらに限定されない。-S-(C1-n)アルキル基、又はそれらの酸化誘導体、例えば-SO-(C1-n)アルキル基又は-SO2-(C1-n)アルキル基が置換されている場合、当業者に認識されるように、置換が化学的に安定な化合物を生じるように、それぞれは、それらの(C1-n)アルキル部分で置換されていると理解される。
【0028】
本明細書に使用する用語「オキソ」は、二重結合による置換基として炭素原子に結合する酸素原子(=O)を意味すると意図する。
本明細書に使用する用語「チオキソ」は、二重結合による置換基として炭素原子に結合する硫黄原子(=S)を意味すると意図する。
本明細書に使用する用語「COOH」は、カルボキシル基(-C(=O)-OH)を意味すると意図する。
カルボキシル基が官能基同等物により置換されていてもよいことは当業者に公知である。本発明に企図されるそのような官能基同等物の例としては、エステル、アミド、イミド、ボロン酸、ホスホン酸、リン酸、テトラゾール、トリアゾール、N-アシルスルファミド(N-acylsulfamides)(RCONHSO2NR2)、及びN-アシルスルホンアミド(RCONHSO2R)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
本明細書に使用する用語「官能基同等物」は、同様の電気的、ハイブリダイゼーション又は結合特性を有する他の原子又は基を置換してもよい原子又は基を意味すると意図する。
本明細書に使用する用語「保護基」は、合成の変換の間に使用可能な保護基を意味し、例えば、グリーンの「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley & Sons、ニューヨーク(1981年)及びそれらの最近の版にリストされているものが例として挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
以下の記号は、定義の分子の残部に連結された結合を示すための下位式(sub-formulas)に使用される:
【化4】

【0031】
本明細書に使用する用語「それらの塩」は、本発明による化合物のいずれかの酸及び/又は塩基付加塩を意味すると意図し、医薬的に許容され得るそれらの塩が挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書に使用する用語「医薬的に許容され得る塩」は、正しい医学的判断の範囲内において、不適当な毒性、刺激作用、アレルギー応答等がなく、ヒト及び下等動物の組織の接触への使用に好適であり、合理的に利点/欠点割合が釣り合っており、一般的に水又は油溶性又は分散性であり、それらの目的とする使用に有効である、本発明による化合物の塩を意味すると意図する。その用語は、医薬的に許容され得る酸付加塩及び医薬的に許容され得る塩基付加塩を含む。好適な塩のリストは、例えば、S.M. Birgeら、J. Pharm. Sci.、1977年、66, 1〜19頁に見い出される。
【0032】
本明細書に使用する用語「医薬的に許容され得る酸付加塩」は、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、また生物学的に或いは他に望ましくないものではないそれらの塩であって、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸等(それらに限定されない)、及び有機酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、樟脳酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、二グルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、半硫酸(hemisulfic acid)、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモン酸(pamoic acid)、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピバリン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニリル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸等(それらに限定されない)と形成されるものを意味すると意図する。
【0033】
本明細書に使用する用語「医薬的に許容され得る塩基付加塩」は、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、また生物学的に或いは他に望ましくないものではないそれらの塩であって、無機塩基、例えば、アンモニア又は水酸化物(それらに限定されない)と形成されるそれらの塩、アンモニウム又は金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等の炭酸塩又は炭酸水素塩を意味すると意図する。特に好ましくは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩である。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩としては、以下のものに限定されないが、一級、二級及び三級アミンの塩、四級アミン化合物、置換アミン、例えば、天然の置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジクロロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂等が挙げられる。特に好ましい有機非毒性塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジクロロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0034】
本明細書に使用される用語「それらのエステル」は、本発明による化合物のいずれかのエステルであって、分子のいずれかの-COOH置換基が-COOR置換基により置換されており、エステルのR成分が安定なエステル成分を形成するいずれかの炭素含有基、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキニルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキルであり(それらに限定されない)、それらはそれぞれ所望によりさらに置換されていてもよいものを意味すると意図する。用語「それらのエステル」は、医薬的に許容され得るそれらのエステルを含むがそれらに限定されない。
【0035】
本明細書に使用される用語「医薬的に許容され得るエステル」は、本発明による化合物のエステルであって、分子のいずれかのCOOH置換基が-COOR置換基により置換されており、エステルのR成分が、アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、ブチルが挙げられるが、それらに限定されない);アルコキシアルキル(例えば、メトキシメチルが挙げられるが、それに限定されない);アシルオキシアルキル(例えば、アセトキシメチルが挙げられるが、それに限定されない);アリールアルキル(例えば、ベンジルが挙げられるが、それに限定されない);アリールオキシアルキル(例えば、フェノキシメチルが挙げられるが、それに限定されない);及びアリール(例えば、フェニルが挙げられるが、それに限定されない)であって、それらは所望によりハロゲン、(C1-4)アルキル又は(C1-4)アルコキシにより置換されていてもよいものを意味すると意図する。他の好適なエステルは、Design of Prodrugs、Bundgaard, H. Ed. エルゼビア(1985年)に見い出すことができる。そのような医薬的に許容され得るエステルは、哺乳類に注入される場合にインビボにおいて通常加水分解され、本発明による化合物の酸の形態に変換される。前記エステルに関して、特に規定しない限り、存在するいずれかのアルキル成分は、好ましくは炭素数1〜16、より好ましくは1〜6である。そのようなエステルに存在するいずれかのアリール成分は、好ましくはフェニル基を含む。特に、エステルは、(C1-16)アルキルエステル、非置換ベンジルエステル又は少なくとも一つのハロゲン、(C1-6)アルキル、(C1-6)アルコキシ、ニトロ又はトリフルオロメチルにより置換されているベンジルエステルであってもよい。
【0036】
本明細書に使用する用語「哺乳類」は、ヒト、並びに非ヒトの哺乳類であって、HIVによる感染に感受性のものを包含すると意図する。非ヒトの哺乳類としては、家畜、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ及びマウス、及び非家畜が挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
本明細書に使用する用語「治療」は、HIV感染の症候を緩和又は排除するため及び/又は患者におけるウイルス負荷を低減するための、本発明による化合物又は組成物の投与を意味すると意図する。また、用語「治療」は、ウイルスへの個々の曝露後であって疾患の症候の出現前、及び/又は血中におけるウイルスの検出前に、疾患の症候の出現を防ぐため及び/又は血中における検出可能なレベルへの到達からウイルスを防ぐための、本発明による化合物又は組成物の投与、及び、母親から赤子への出世時のHIV感染を、出産前に母親に及び出生の最初の日に子供に投与することにより防ぐための、本発明による化合物又は組成物の投与を包含する。
【0038】
本明細書に使用する用語「抗ウイルス剤」は、哺乳類におけるウイルスの形成及び/又は複製を阻害するために有効な薬剤、例えば、哺乳類におけるウイルスの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルスの機構を妨害する薬剤(それらに限定されない)を意味することを意図する。
本明細書に使用する用語「HIV複製のインヒビター」は、インビトロ、エキソビボ又はインビボのいずれかにおいて、宿主細胞におけるHIVの複製の可能性を低減又は排除することができる薬剤を意味すると意図する。
【0039】
好ましい態様
以下の好ましい態様において、本発明による化合物の基及び置換基を詳細に記載する。
コア:
コア-A:ある態様において、XはO又はNR1であり;aは単結合であり、bは二重結合である。この態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ia)により表される:
【化5】

(式中、c、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0040】
コア-B:他の態様において、XはOであり;aは単結合であり;bは二重結合である。この態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ib)により表される:
【化6】

(式中、c、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0041】
コア-C:他の態様において、XはNR1であり;aは単結合であり;bは二重結合である。この態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ic)により表される:
【化7】

(式中、c、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は以下に定義の通りである)。
【0042】
式中、R1がHであり、R2がOである場合、一般式(Ic)の化合物が、以下に示すように二つの考えられる互変異性の形態(1c-1)及び(1c-2)で存在可能なことは、当業者に明らかであると考えられる:
【化8】

【0043】
コア-D:他の態様において、XはNであり;aは二重結合であり;bは単結合である。この態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Id)により表される:
【化9】

(式中、c、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0044】
結合cが単結合の場合、-COOH及びR3置換基に結合する炭素原子が、以下の一般式(Ie)及び(If)に示すように、二つの考えられる立体化学的配置において存在可能なことは、当業者には明らかであると考えられる:
【化10】

(式中、a、b、X、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0045】
一般式(Ie)の化合物が、一般式(If)の化合物よりも高い改良された活性を有することが見い出された。
コア-E:従って、ある態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ie)により表される:
【化11】

(式中、a、b、X、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0046】
コア-F:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(If)により表される。
【化12】

(式中、a、b、X、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0047】
コア-G:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ig)により表される:
【化13】

(式中、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0048】
コア-H:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ih)により表される:
【化14】

(式中、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0049】
コア-I:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ii)により表される:
【化15】

(式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0050】
コア-J:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ij)により表される:
【化16】

(式中、R1、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0051】
式中、R1がHであり、R2がOである場合、一般式(Ii)及び(Ij)の化合物が、前記一般式(Ic)の化合物について記載したように、二つの考えられる互変異性の形態においてそれぞれ存在可能なことは、当業者に明らかであると考えられる。
【0052】
コア-K:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Ik)により表される:
【化17】

(式中、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0053】
コア-M:他の態様において、本発明の化合物は、以下の一般式(Im)により表される:
【化18】

(式中、R2、R3、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)。
【0054】
本明細書に記載のa、b及びXのいずれか及びそれぞれ個々の定義は、本明細書に記載のc、R2、R3、R4、R6及びR7のいずれか及びそれぞれ個々の定義と組み合わせてもよい。
R1:
R1-A:ある態様において、Xが-NR1の場合、R1はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
Hetは、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3のヘテロ原子を有する4〜7員の複素環であり;
それぞれの(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-及びHet-(C1-6)アルキル-は、-OH、-O(C1-3)アルキル、-NH2、-NH(C1-3)アルキル又は-N((C1-3)アルキル)2で所望により置換されていてもよい。
R1-B:他の態様において、Xが-NR1の場合、R1はH、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
HetはN、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1又は2ヘテロ原子を有する5又は6員の複素環であり;
(C1-6)アルキルは-OCH3又は-NH2で所望により置換されていてもよい。
R1-C:さらに他の態様において、Xが-NR1の場合、R1は、H、CH3、CH2CH3
【化19】

である。
【0055】
本明細書に記載のR1のいずれか及びそれぞれ個々の定義は、本明細書に記載のc、R3、R4、R6及びR7のいずれか及びそれぞれ個々の定義と組み合わせてもよい。
【0056】
R2:
R2-A:ある態様において、結合bが二重結合の場合、R2はOである。
R2-B:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は(C1-6)アルキル又は-O(C1-6)アルキルである。
R2-C:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は(C1-6)アルキルである。
R2-D:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は-O(C1-6)アルキルである。
R2-E:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-OCH3、-OCH2CH3、-OCH2CH2CH3又は-OCH(CH3)2である。
R2-F:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は、-CH3、-CH2CH3、-CH(CH3)2又は-OCH3である。
R2-G:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は-CH3又は-CH2CH3である。
R2-H:他の態様において、結合bが単結合の場合、R2は-CH3である。
【0057】
本明細書に記載のb及びR2のいずれか及びそれぞれ個々の定義を、本明細書に記載のc、X、R1、R3、R4、R6及びR7のいずれか及びそれぞれ個々の定義と組み合わせてもよい。
【0058】
R3:
R3-A:ある態様において、R3は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル-又はHet-(C1-6)アルキル-であり;(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル-及びHet-(C1-6)アルキル-は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
結合cは単結合である。
R3-B:他の態様において、R3は(C1-6)アルキル又は(C2-6)アルケニルであり;
結合cは単結合である。
R3-C:他の態様において、R3は(C1-6)アルキリデンであり、結合cは二重結合である。
R3-D:他の態様において、R3は:
-CH2CH2CH3、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH=CH2及び-CH2C(CH3)=CH2から選ばれ;
結合cは単結合であるか;
又は、R3は=CHCH2CH3であり、結合cは二重結合である。
【0059】
R3-E:他の態様において、R3は-Y-(C1-6)アルキル、-Y-(C1-6)ハロアルキル、-Y-(C2-6)アルケニル、-Y-(C2-6)アルキニル、-Y-(C3-7)シクロアルキル、-Y-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-Y-、アリール-(C1-6)アルキル-Y-又はHet-(C1-6)アルキル-Y-であり;Yは、O又はSであり;それぞれの-Y-(C1-6)アルキル、-Y-(C2-6)アルケニル、-Y-(C2-6)アルキニル、-Y-(C3-7)シクロアルキル、-Y-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-Y-、アリール-(C1-6)アルキル-Y-及びHet-(C1-6)アルキル-Y-は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
結合cは単結合である。
【0060】
R3-F:他の態様において、R3は-O-(C1-6)アルキル、-O-(C1-6)ハロアルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-又はHet-(C1-6)アルキル-O-であり;それぞれの-O-(C1-6)アルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-及びHet-(C1-6)アルキル-O-は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
結合cは単結合である。
【0061】
R3-G:他の態様において、R3は、-O(C1-6)アルキル、-O-(C1-6)ハロアルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-3)アルキル-O-又はHet-(C1-3)アルキル-O-であり;
Hetは、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する5又は6員の複素環であり;
それぞれの-O(C1-6)アルキル、-O-(C3-7)シクロアルキル及びHet-(C1-3)アルキル-O-は、(C1-3)アルキル、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されており;
結合cは単結合である。
【0062】
R3-H:他の態様において、R3は、-O(C1-6)アルキル、-O-(C1-6)ハロアルキル、-O(C2-6)アルケニル、-O(C2-6)アルキニル又は-O-(C3-7)シクロアルキルであり;
それぞれの-O(C1-6)アルキル及び-O-(C3-7)シクロアルキルは、(C1-3)アルキル、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
結合cは単結合である。
R3-I:他の態様において、R3は、-O(C1-6)アルキルであり;-O(C1-6)アルキルは、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;
結合cは単結合である。
R3-J:他の態様において、R3は、-O(C2-4)アルキルであり;結合cは単結合である。
R3-K:他の態様において、R3は以下のものから選ばれる:
【0063】
【化20】

【化21】

【化22】

【0064】
【化23】

【0065】
本明細書に記載のc及びR3のいずれか及びそれぞれ個々の定義は、本明細書に記載のa、b、X、R1、R2、R4、R6及びR7のいずれか及びそれぞれ個々の定義と組み合わせてもよい。
【0066】
R4:
R4-A:ある態様において、R4は、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で所望により置換されていてもよいアリールであり;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで所望により置換されていてもよい。
R4-B:他の態様において、R4はナフチル又はフェニルであり、フェニルは、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよく;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで所望により置換されていてもよい。
R4-C:他の態様において、R4は、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよいフェニルであり;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで所望により置換されていてもよい。
R4-D:他の態様において、R4は、F、Cl、Br、-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-C(CH3)3、-CH=CH2、CH2F、CF3、-CF2CH3、-CH2CH2F、シクロプロピル、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-SCH3、-N(CH3)2、-CH2OH、-CH2CN及びCH3C(=O)-からそれぞれ独立して選ばれる1又は2置換基で所望により置換されていてもよいフェニルである。
R4-E:他の態様において、R4は以下のものから選ばれる:
【0067】
【化24】

【0068】
【化25】

【0069】
R4-F:他の態様において、R4は以下の一般式の基である:
【化26】

【0070】
(式中、R41は、ハロ、(C1-4)アルキル及び(C1-4)ハロアルキルから選ばれる)。
R4-G:他の態様において、R4は、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で所望により置換されていてもよいHetであり;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで所望により置換されていてもよい。
R4-H:他の代わりの態様において、R4は、ハロ、(C1-6)アルキル及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3の置換基で所望により置換されていてもよいHetであり;
Hetは、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する5又は6員の複素環であるか;又は
Hetは、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する9又は10員の複素多環である。
R4-I:他の代わりの態様において、R4は、ハロ、(C1-6)アルキル及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で所望により置換されていてもよいHetであり;
Hetは以下のものから選ばれる:
【0071】
【化27】

【0072】
R4-J:他の代わりの態様において、R4は以下のものから選ばれる:
【化28】

【0073】
本明細書に記載のいずれか及びそれぞれ個々のR4の定義は、本明細書に記載のa、b、c、X、R1、R2、R3、R6及びR7のいずれか及び個々の定義と組み合わせてもよい。
R4置換基が、コアにR4を結合する結合の回転軸に関して対称的に置換されていない場合、回転性異性体又はアトロプ異性体が可能であることを、当業者は認識していると考えられる。R4をコアに結合する結合の回転軸に関してR4置換基が対称的に置換されておらず、前記のように、-COOH及びR3置換基に結合した炭素原子がキラルである本発明の化合物は、二つのキラル中心、キラル炭素原子及び不斉の回転軸を有すると考えられ、また、従って、アトロプ異性体は、ジアステレオ異性体として存在すると考えられる。しかし、平衡で存在する各アトロプ異性体の相対量、この結合に関する回転に対する立体障害の程度、及び、従って、これらのアトロプ異性体を相互変換するために回転が生じる割合に依存して、個々のジアステレオマー性アトロプ異性体は、検出可能及び/又は分離可能であってもなくてもよい。一旦分離すると、個々のアトロプ異性体は、アトロプ異性体の平衡混合物を形成するために、互いに素早く又はゆっくりと相互変換してもよい。
【0074】
R6:
R6-A:ある態様において、R6は、H、ハロ、(C1-3)アルキル又は(C1-3)ハロアルキルである。
R6-B:他の態様において、R6は、H、F、Cl、Br、CH3又はCF3である。
R6-C:他の態様において、R6は、H、F、Cl又はBrである。
R6-D:他の態様において、R6は、H、Cl又はBrである。
本明細書に記載のR6のいずれか及び個々の定義は、本明細書に記載のa、b、c、X、R1、R2、R3、R4及びR7のいずれか及び個々の定義と組み合わせてもよい。
【0075】
R7:
R7-A:ある態様において、R7は、H又はFである。
R7-B:他の態様において、R7はHである。
本明細書に記載のいずれか及びそれぞれ個々のR7の定義は、本明細書に記載のa、b、c、X、R1、R2、R3、R4、R6及びR7のいずれか及びそれぞれ個々の定義と組み合わせてもよい。
本発明の好ましい下位(subgeneric)の態様の例は、以下の表に記載しており、各態様のそれぞれの置換基は、前記定義により定義されている。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
本発明による最も好ましい化合物の例は、以下の表1〜3に挙げたそれぞれ単一の化合物である。
一般的に、特定の立体化学又は異性体の形態が、化合物名又は構造において特に指摘される場合を除いて、全ての互変異性体及び異性体の形態及びそれらの混合物、例えば、個々の互変異性体、幾何異性体、立体異性体、アトロプ異性体、エンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体、立体異性体のラセミ又は非ラセミ混合物、ジアステレオマーの混合物、又は化学構造又は化合物の前述の形態の混合物が意図される。
【0079】
化合物の生物学的及び薬理学的活性が、化合物の立体化学に感受性であることは当技術分野において知られている。従って、例えば、多くの場合、エナンチオマーは、著しく異なる生物学的活性、例えば、薬物動態学的特性、例えば、代謝、タンパク結合等、及び薬理学的特性、例えば、示される活性の型、活性の程度、毒性等における差異を示す。従って、あるエナンチオマーは、他のエナンチオマーよりも多いか、又は他のエナンチオマーから分離されている場合に、より活性化又は有益な効果を示すかも知れないことは、当業者に明らかであると考えられる。さらに、この開示内容及び当技術分野の知識から、本発明の化合物のエナンチオマーを、いかに分離、濃縮又は選択的に製造するかは、当業者は知っていると考えられる。
【0080】
純粋な立体異性体、例えばエナンチオマー及びジアステレオマー、又は所望のエナンチオマー過剰物の混合物又はエナンチオマー純粋物の製造は、一つ以上の幾つかの方法、(a)エナンチオマーの分離又は分割、又は(b)当業者に公知のエナンチオ選択的な合成又はそれらの組み合わせにより行われる。一般的に、これらの分割方法は、キラル認識に依存し、例えば、キラル固定相、エナンチオ選択的ホスト-ゲスト複合化、キラル補助剤を使用した分割又は合成、エナンチオ選択的合成、酵素的及び非酵素的動的分割又は自発的エナンチオ選択的結晶化が挙げられる。そのような方法は、Chiral Separation Techniques: A Practical Approach (第2版)、G. Subramanian (版)、Wiley-VCH、2000年; T.E. Beesley及びR.P.W. Scott、Chiral Chromatography、John Wiley & Sons、1999年;及びSatinder Ahuja、Chiral Separations by Chromatography、Am. Chem. Soc.、2000年に一般的に開示されている。さらに、エナンチオマーの過剰又は純度の定量方法、例えば、GC、HPLC、CE又はNMR、及び、絶対配置及びコンホメーションの指定方法、例えば、CD ORD、X線結晶学又はNMRは同様によく知られている。
【0081】
医薬組成物
治療有効量の本発明の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステル;及び一つ以上の従来の非毒性の医薬的に許容され得るキャリヤー、アジュバント又はビヒクルを含む医薬組成物として、本発明の化合物をHIV感染の治療を必要とする哺乳類に投与してもよい。その組成物の具体的な配合は、化合物の溶解性及び化学的性質、選択された投与経路及び標準的な医薬的手段により決定される。本発明の医薬組成物を、経口又は全身的に投与してもよい。
【0082】
キラル活性成分の一方のエナンチオマーが他方のものとは異なる生物学的活性を有する場合、本発明による医薬組成物が、活性成分のラセミ混合物、活性成分の一方のエナンチオマーが多い混合物又は活性成分の純粋なエナンチオマーを含んでいてもよいことは予想される。活性成分の一方のエナンチオマーが多い混合物は、活性成分の一方のエナンチオマー含量が50%〜約100%、及び活性成分の他方のエンナンチオマー含量が約0%〜50%未満であると考えられる。好ましくは、組成物が、活性成分の一方のエナンチオマーが多い混合物又は活性成分の純粋なエナンチオマーを含む場合、その組成物は、より多い生理学的活性エナンチオマー及び/又はより少ない毒性エナンチオマーを50%〜約100%で又は単独で含む。活性成分の一方のエナンチオマーは、ある治療上の徴候により生理学的により活性であってもよいが、活性成分の他方のエナンチオマーは、異なる治療上の徴候により生理学的により活性であってもよく;従って、医薬組成物の好ましいエナンチオマーの構成は、異なる治療上の徴候の治療における組成物の使用に関して異なっていてもよいことは公知である。
【0083】
経口投与に関して、化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを、経口的に許容され得る投与形態、例えば、水性サスペンジョン及び溶液、カプセル又は錠(それらに限定されない)に配合することができる。全身投与、例えば、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内及び病巣内注射又は注入(それらに限定されない)による投与に関して、化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルの溶液を、医薬的に許容され得る滅菌水性ヒビクルにおいて使用することが好ましい。
【0084】
医薬的に許容され得るキャリヤー、アジュバント、ビヒクル、賦形剤及び添加剤、並びに様々な投与の態様に関する医薬組成物の配合方法は、当業者に公知であり、医薬テキスト、例えばレミントン:The Science and Practice of Pharmacy、第21版、Lippincott Williams & Wilkins、2005年;及びL.V. Allen, N.G. Popovish及びH.C. Ansel、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第8版、Lippincott Williams & Wilkins、2004年に記載されている。
【0085】
投与量は、公知の因子、例えば、以下のものに限定されるわけではないが、使用される特定の化合物の活性及び薬力学的特性及びその機序、投与時間及び経路;レシピエントの年齢、食餌、性別、体重及び一般的な健康状態;症候の性質及び程度;感染の重篤度及び経路;同時治療の種類;治療の頻度;望まれる効果;治療医の判断により変ると考えられる。一般的に、化合物は、いずれかの有害な(harmful or deleterious)副作用を生じることなしに、抗ウイルス的に有効な結果を一般的に与えると考えられる投与レベルで、最も望ましく投与される。
【0086】
一日量の活性成分は、約0.001〜約100ミリグラム/kg体重、好ましくは約0.01〜約50mg/kgであると予想することができる。一般的に、本発明の医薬組成物は、1日当たり約1〜5回、又は代わりに連続注入として投与されると考えられる。そのような投与は、慢性又は急性の治療として使用することができる。単回投与形態を製造するためにキャリヤー物質と組み合わせてもよい活性成分の量は、治療されるホスト及び具体的な投与方法により変わると考えられる。一般的な製剤は、活性化合物約5%〜約95%(w/w)を含むと考えられる。好ましくは、そのような製剤は、活性化合物約20%〜約80%を含む。
【0087】
従って、ある態様によると、本発明の医薬組成物は、一般式(I)の化合物のラセミ混合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを含む。
他の態様では、一般式(I)の化合物の一方のエナンチオマーが多い混合物、又はそれらの医薬的に許容され得る塩又はエステルを含む医薬組成物を提供する。
さらなる態様では、一般式(I)の化合物の純粋なエナンチオマー、又は医薬的に許容され得る塩又はそれらのエステルを含む医薬組成物を提供する。
【0088】
コンビネーション療法
コンビネーション療法は、本発明の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを少なくとも一つの追加的な抗ウイルス剤と同時投与することで行われる。追加の薬剤を、単回投与形態を作るために本発明の化合物と合わせてもよい。代わりに、これらの追加の薬剤を別々に、同時に又は連続的に、複数回投与形態の一部として投与してもよい。
【0089】
本発明の医薬組成物が、本発明の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルと、一つ以上の追加の抗ウイルス剤のコンビネーションを含む場合、化合物と追加の薬剤は共に、単剤療法措置において通常投与される量の約10〜100%、より好ましくは約10〜80%の投与量で存在すると考えられる。本発明の化合物と追加の抗ウイルス剤(単独又は複数)との相乗作用の場合、コンビネーション中のいずれか又は全ての活性薬剤の量は、単剤療法措置において通常投与されるものと比較して減らしてもよい。
【0090】
そのようなコンビネーション療法での使用が予想される抗ウイルス剤としては、哺乳類においてウイルスの形成及び/又は複製を阻害するために有効な薬剤(化合物又は生物製剤)、例えば、哺乳類においてウイルスの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルスの機序のいずれかを妨害する薬剤が挙げられるが、それらに限定されない。そのような薬剤は、以下のものから選ぶことができる:
・NRTIs(ヌクレオシド又はヌクレオチド逆転写酵素インヒビター;例えばジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン(stavudine)、ラミブジン、エントリシタビン(emtricitabine)、アバカビル(abacavir)及びテノホビル(tenofovir)が挙げられるがそれらに限定されない);
・NNRTIs(非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター;例えばネビラピン(nevirapine)、デラビルディン(delavirdine)、エファビレンツ(efavirenz)、カプラビリン(capravirine)、エトラビリン(etravirine)、リルピビリン(rilpivirine)及びBILR 355が挙げられるが、それらに限定されない);
・プロテアーゼインヒビター(例えば、リトナビル(ritonavir)、チプラナビル(tipranavir)、サキナビル、ネルフィナビル(nelfinavir)、インジナビル、アムプレナビル(amprenavir)、フォサンムプレナビル(fosamprenavir)、アタザナビル(atazanavir)、ロピナビル(lopinavir)、VX-385及びTMC-114が挙げられるが、それらに限定されない);
・エントリーインヒビター、例えば以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:
・CCR5アンタゴニスト(例えば、マラビロック(maraviroc)(UK-427,857)及びTAK-652が挙げられるがそれらに限定されない)、
・CXCR4アンタゴニスト(例えば、AMD-11070が挙げられるがそれらに限定されない)、
・フュージョンインヒビター(例えば、エンフビルタイド(enfuvirtide)(T-20)が挙げられるがそれらに限定されない)及び
・その他(BMS-48804が挙げられるがそれらに限定されない);
・インテグラーゼインヒビター(例えば、MK-0518、c-1605、BMS-538158及びGS9137が挙げられるがそれらに限定されない);
・TATインヒビター;
・成熟インヒビター(maturation inhibitors)(例えば、PA-457が挙げられるがそれに限定されない);及び
・免疫調節剤(例えば、レバミゾールが挙げられるがそれに限定されない)。
【0091】
さらに、本発明の化合物は、少なくとも一つの本発明の他の化合物又は一つ以上の抗真菌剤又は抗菌剤(例えば、フルコナゾールが挙げられるがそれに限定されない)と使用することができる。
【0092】
従って、ある態様によると、本発明の医薬組成物は、一つ以上の抗ウイルス剤をさらに含む。
さらなる態様において、一つ以上の抗ウイルス剤が少なくとも一つのNNRTIを含む本発明の医薬組成物を提供する。
本発明の医薬組成物の他の態様によると、一つ以上の抗ウイルス剤は、少なくとも一つのNRTIを含む。
本発明の医薬組成物のさらに他の態様によると、一つ以上の抗ウイルス剤は、少なくとも一つのプロテアーゼインヒビター含む。
【0093】
本発明の医薬組成物のさらに他の態様によると、一つ以上の抗ウイルス剤は、少なくとも一つのエントリーインヒビターを含む。
本発明の医薬組成物のさらなる態様によると、一つ以上の抗ウイルス剤は、少なくとも一つのインテグラーゼインヒビターを含む。
また、本発明の化合物を実験用試薬又は研究用試薬として使用してもよい。例えば、本発明の化合物を、アッセイ、例えば代理の細胞ベースアッセイ及びインビトロ又はインビボウイルス複製アッセイを分析するためのポジティブコントロールとして使用してもよい。
【0094】
さらに、本発明の化合物は、物質のウイルス汚染を処理するか又は防ぎ、従って、実験室又はそのような物質(例えば、血液、組織、手術用器具及び衣服、実験装置及び衣服、及び血液収集装置及び物質)と接触する医療関係者又は患者のウイルス感染のリスクを低減するために使用してもよい。
【0095】
検出可能な標識を含む誘導体
他の態様において、本発明は、一般式(I)の化合物の誘導体、検出可能な標識を含む誘導体を提供する。そのような標識は、それが検出、測定又は定量できるように誘導体の認識を直接的又は間接的に可能にする。検出可能な標識は、それ自体検出可能、測定可能又は定量可能であってもよいか、又はそれら自身一つ以上の検出可能な標識を含む一つ以上の成分(moities)と相互作用して、それらの間の相互作用が誘導体を検出、測定又は定量可能なようにしてもよい。
【0096】
そのような誘導体は、HIV複製の研究、例えば、HIV複製に含まれるウイルス及び宿主タンパクの作用機序の研究、様々な条件下でのそのようなウイルス及び宿主タンパクにより行われるコンホメーション変化の研究、及びこれらウイルス及び宿主タンパクと結合又は他に相互作用する実在物との相互作用の研究のため(それらに限定されない)のプローブとして使用してもよい。本発明のこの態様による誘導体を、ウイルス及び宿主タンパクと相互作用する化合物を同定するためのアッセイにおいて使用してもよく、そのアッセイとしては、誘導体がウイルス及び宿主タンパクと相互作用することから置き換えられる範囲を測定する置換アッセイが挙げられるがそれらに限定されない。また、そのような誘導体を、ウイルス及び宿主タンパクと共有結合又は非共有結合相互作用を形成するために、又は、本発明の化合物と相互作用するウイルス及び宿主タンパクの残留物を同定するために使用してもよい。
【0097】
本発明の化合物の誘導体と使用するために予想される検出可能な標識としては、蛍光標識、化学発光標識、発色団、抗体、酵素マーカー、放射活性アイソトープ、アフィニティタグ及び光回復基(photoreactive groups)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0098】
蛍光標識は、異なる波長の光の吸収において一つの波長の蛍光を発し、放射する標識である。蛍光標識は、以下のものに限定されないが、例えば、フルオレセイン;テキサスレッド;アミノメチルクマリン;ローダミンダイ、以下のものに限定されないが、例えば、テトラメチルローダミン(TAMRA);アレキサダイ、以下のものに限定されないが、例えば、Alexa FluorTM 555; シアニンダイ、以下のものに限定されないが、Cy3; ユーロピウム又はランタニド系ベース蛍光分子等が挙げられる。
化学発光標識は、光を生じる化学反応を行うことができる標識である。化学発光標識は、以下のものに限定されないが、ルミノール、ルシフェリン、ルシゲニン等が挙げられる。
【0099】
発光団は、着色を現す発色団を含む化合物を生じることにより、他のものを透過するか反映する可視光の一定の波長を選択的に吸収する標識である。発色団としては、以下のものに限定されないが、天然及び合成の染料が挙げられる。
【0100】
抗体は、抗原と特異的に結合する特異的な抗原への応答において、哺乳類の免疫系により製造されるタンパクである。本発明による検出可能な標識としての使用に予想される抗体としては、以下のものに限定されないが、例えば、以下のものに対する抗体:ポリヒスチジンタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、ヘマグルチニン(HA)、FLAGTMエピトープタグ、Mycタグ、マルトース結合タンパク(MBP)、グリーン蛍光タンパク(GFP)等が挙げられる。
【0101】
酵素マーカーは、その存在が酵素の触媒活性に特異的なアッセイにより検出されてもよい酵素である。本発明による検出可能な標識としての使用が予想される酵素マーカーとしては、ルシフェラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、β-ガラクトシダーゼ等が挙げられるが、それらに限定されない。
放射活性アイソトープは、放射性崩壊において放射を生じる原子のアイソトープである。放射活性アイソトープとしては、14C、3H、31P、121I、125I等が挙げられるがそれらに限定されない。
【0102】
アフィニティタグは、結合パートナーと本明細書では称するが、他の成分に強い親和性を有する標識である。そのようなアフィニティタグは、複合体が混合物から選択的に検出されるか分離されてもよいように結合パートナーと複合体を形成するために使用することができる。アフィニティータグとしては、以下のものに限定されないが、ビオチン又はそれらの誘導体、ヒスチジンポリペプチド、ポリアルギニン、アミロース糖成分又は特定の抗体により認識され得る限定されたエピトープ;好適なエピトープ、以下のものに限定されないが、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、赤血球凝集素(HA)、FLAGTMエピトープタグ、Mycタグ、マルトース結合タンパク(MBP)、グリーン蛍光タンパク(GFP)等が挙げられる。
【0103】
さらに、プローブとして使用される本発明の化合物を光反応基で標識してもよく、その光反応基は、反応性種、例えばフリーラジカルに対して不活性な基から、光による活性化により変換される。ウイルス又は宿主タンパクの一つ以上の残基と共有結合を形成することが可能なように、そのような基を、誘導体を活性化するために使用してもよい。光反応基としては、光親和性標識、例えば、ベンゾフェノン基及びアジド基が挙げられるが、それらに限定されない。
【0104】
本発明による一般式(I)の化合物の誘導体のある態様は、以下の一般式(Ic')を有する:
【化29】

(式中、Lはリンカーであり;
Qは、検出可能な標識であり;
c、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0105】
本発明の一般式(I)の化合物の誘導体の他の態様は、以下の一般式(Ii')を有する:
【化30】

(式中、Lはリンカーであり;
Qは検出可能な標識であり;
R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。
【0106】
ある態様において、Qは、蛍光標識、化学発光標識、発光団、抗体、酵素マーカー、放射性アイソトープ、アフィニティタグ及び光反応基から選ばれる。
他の態様において、Qは、蛍光標識又はアフィニティータグである。
さらに他の態様において、Qは、ビオチン、フルオレセイン、TAMRA、Alexa FluorTM 555、Cy3、ユーロピウム又はランタニドシリーズベースの蛍光分子、ポリヒスチジンタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、赤血球凝集素(HA)、FLAGTMエピトープタグ、Mycタグ及び14C、3H、31P、121I及び125Iから選ばれる放射活性アイソトープから選ばれる。
【0107】
本発明の化合物の誘導体が検出、測定又は定量されてもよいように、リンカーLは、本発明の化合物及び/又はそれが相互作用するいずれかの他の成分又は複数の成分に対して好適な位置において、検出可能な標識Qを置くために作用する化学的に安定な基であってもよいことが予想される。
従って、ある態様において、Qが蛍光標識又はアフィニティータグである場合、リンカーLは、それぞれ独立してC、O、N及びSから選ばれる多くの原子を含み;その原子は、一つ以上の炭素環又は複素環を所望により含んでいてもよい線状又は分岐鎖を形成するために結合されており;Lが結合するN原子とQの間の平均距離を、約2Å〜約100Åであるようにする。
【0108】
他の態様において、Qが蛍光標識又はアフィニティタグである場合、リンカーLは、それぞれ独立してC、O、N及びSから選ばれる多くの原子を含み;その原子は、一つ以上の炭素環又は複素環を所望により含んでいてもよい線状又は分岐鎖を形成するために結合されており;Lが結合するN原子とQの間の平均距離を、約10Å〜約50Åであるようにする。
さらに他の態様において、Qが蛍光標識又はアフィニティータグである場合、リンカーLは、それぞれは独立してC、O、N及びSから選ばれる多くの原子を含み;その原子は、一つ以上の炭素環又は複素環を所望により含んでいてもよい線状又は分岐の鎖を形成するために結合されており;Lが結合するN原子とQの間の平均距離を、約25Å〜約35Åであるようにする。
【0109】
代わりの態様において、Qが蛍光標識又はアフィニティタグである場合、リンカーLは、それぞれ独立してC、O、N及びSから選ばれる原子数1〜100の線状鎖を含み;線状鎖は、1〜5炭素環又は複素環を所望により含んでいてもよく、(C1-6)アルキル、ハロ、-O-(C1-6)アルキル、オキソ又はチオキソで所望により置換されていてもよい。
【0110】
他の代替の態様において、Qが蛍光標識又はアフィニティタグである場合、リンカーLは、それぞれ独立してC、O、N及びSから選ばれる原子数10〜50の線状鎖を含み;線状鎖は、1〜3炭素環又は複素環を所望により含んでいてもよく、(C1-6)アルキル、ハロ、-O-(C1-6)アルキル、オキソ又はチオキソで所望により置換されていてもよい。
【0111】
本発明による誘導体の具体的な例は、以下の一般式D1で表される:
【化31】

【0112】
方法論及び合成
本発明の一般式(I)の化合物の合成は、以下のスキームに概説する一般的な方法に従って都合よく行われる(式中、a、b、c、X、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。さらなるインストラクションは、以下に示す具体的な例により当業者に与えられる。
【0113】
一般式(Ia)の化合物(式中、XはO又はNR1であり、結合cは単結合であり、R2はOであり、R3は、本明細書に定義する所望により置換されていてもよいアルキル、アルケニル又はアルキニル基、例えばハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル又はHet-アルキル基であり、R1、R4、R6及びR7は、本明細書に定義されている)は、以下のスキーム1に概説するように製造してもよい。
【0114】
スキーム1:
【化32】

【0115】
一般式(II)の中間体(式中、XはO又はNHであり、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)は、市販されているか、又は当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により製造される。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により、コハク酸の好適な誘導体との縮合物は、一般式(III)の中間体(式中、Rは、エステル保護基、例えばメチル又はエチルである)を提供する。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法による、中間体(III)のアルキル化は、一般式(IV)の中間体(式中、R3は、本明細書に定義のような所望により置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、例えばハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル基又はHet-アルキル基である)を提供する。一つのR3基は、当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により、スキーム中のいずれかの化学的に好都合な中間の段階で、他のR3基に変換されてもよいことが予想される。中間体(IV)のエステル保護基の加水分解により、一般式(Ia)の化合物(式中、XはO又はNR1であり、R2はOであり、結合cは単結合であり、R3は、以下に定義の所望により置換されていてもよいアルキル、アルケニル又はアルキニル基、例えばハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル基又はHet-アルキル基であり、R1、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)を提供する。
【0116】
一般式(IV)の中間体(式中XはNHである)を、一般式(Id)の化合物(式中、結合cは単結合であり、R2は-O(C1-6)アルキルであり、R3、R4、R6及びR7は前記定義の通りである)及び/又は一般式(Ic)の化合物(式中、結合cは単結合であり、R2はOであり、R1、R3、R4、R6及びR7は前記定義の通りである)に、当業者に公知又は以下の実施例に記載のアルキル化、その後のエステル保護基の加水分解により変換してもよい。
【0117】
一般式(Id)の化合物(式中、結合cは単結合であり、R2はH又は(C1-6)アルキルであり、R3、R4、R6及びR7は前記定義の通りである)は、以下のスキーム2に概説するように製造してもよい。
【0118】
スキーム2:
【化33】

【0119】
一般式(IIa)の中間体(式中、R4、R6及びR7は、本明細書に定義の通りである)は、市販されているか、又は当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により製造される。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法による、中間体(IIa)と好適なγ-ケトエステル試薬との縮合により、一般式(V)の中間体(式中、Rはエステル保護基、例えばメチル又はエチルであり、R2はH又は(C1-6)アルキルである)を提供する。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法による中間体(V)のアルキル化により、一般式(VII)の中間体(式中、R3は本明細書に記載のような所望により置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、例えば、ハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル基又はHet-アルキル基である)を提供する。或いは、中間体(IIa)を、好適なα、γ-ジケトエステル試薬で、当業者に公知又は以下の実施例に記載のような方法により縮合し、一般式(VI)の中間体(式中、Rはエステル保護基、例えばメチル基又はエチル基であり、R2はH又は(C1-6)アルキル基である)を提供する。中間体(VI)を、当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により、中間体(VII){式中、R3は(C1-6)アルキリデン又は一般式-O-R31である(式中、R31は本明細書に記載の通りである)}に変換する。一つのR3基は、当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法により、スキーム中のいずれかの化学的に好都合な中間の段階で、他のR3基に変換されてもよいことが予想される。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法での中間体(VII)のエステル保護基の加水分解により、一般式(Id)の化合物(式中、結合cは単結合であり、R2はH又は(C1-6)アルキルであり、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)を提供する。
【0120】
或いは、一般式(Id)の化合物(式中、cは単結合であり、R2はH又は(C1-6)アルキルであり、R3は-O-R31であるか又は本明細書に記載のような所望により置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、例えば、ハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル基又はHet-アルキル基であり、R31、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)を、以下のスキーム3に概説されているように製造してもよい。
【0121】
スキーム3:
【化34】

【0122】
一般式(VIII)の中間体(式中、R'は、COOH又はHであり、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)は、市販されているか、又は当業者に公知の方法又は以下の実施例に記載のような方法により製造される。一般式(IX)の中間体(式中、LGは脱離基、例えば、ハロゲン原子であり、Rはエステル保護基、例えばメチル基又はエチル基であり、R2はH又は(C1-6)アルキルである)を、当業者に公知又は以下の実施例に記載のような方法により、一般式(VIII)の中間体から製造する。中間体(IX)を、ジアゾ化試薬、例えば、4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジドでの反応により、当業者に公知又は以下の実施例に記載のような方法により、一般式(X)の中間体に変換する。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法による、ジアゾ基のアルコールでの置換により、一般式(XI)の中間体(式中、R3は-O-R31 であり、R31は本明細書に定義の通りである)を提供する。或いは、中間体(IX)を、中間体(XI)(式中、R3は、本明細書に記載のような所望により置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基、例えばハロアルキル基、シクロアルキル-アルキル基、アリール-アルキル基又はHet-アルキル基である)に、アルキル化により当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法を使用して変換してもよい。当業者に公知又は以下の実施例に記載の方法による、中間体(XI)と好適なR4前駆体のカップリングにより、一般式(VII)の中間体{それは、一般式(Id)の化合物に加水分解される(結合cは単結合であり、R2はH又は(C1-6)アルキルであり、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)}を、スキーム2に概説するように提供する。
【0123】
前記のように、結合cが単結合の場合、-COOHに結合する炭素原子及びR3置換基は、以下の一般式(Ie)及び(Ib)に示すように、二つの考えられ得る立体化学配位において存在することができる:
【化35】

【0124】
(式中、a、b、X、R2、R3、R4、R6及びR7は本明細書に定義の通りである)。従って、R3が結合する炭素原子が、一般式(I)の化合物中の単に立体中心(stereogenic center)である場合、一般式(I)のそのような化合物は、エナンチオマーとして存在してもよい。非キラルな前駆体から製造される場合、一般式(I)の化合物は、エナンチオマー(Ie)及び(If)のラセミ混合物として一般的に存在すると考えられる。そのようなラセミ混合物は、当業者に公知のいずれかのキラル分割方法によりその構成のエナンチオマーに分離されてもよく、その方法としては、酵素分割、キラルクロマトグラフィーによる分離、物理的に分離可能なジアステレオマーの混合物を形成するためのキラル補助剤での反応、ジアステレオマーの分離、及び一般式(I)の化合物の別々のエンナンチオマーを再生するためのキラル補助剤の除去、及び当業者に公知又は本明細書に記載の他のキラル分割方法が挙げられるが、それらに限定されない。
【実施例】
【0125】
本発明の他の特徴は、例示により本発明の原理を説明している、以下の非制限的な実施例より明らかになると考えられる。以下の例示的な方法を好適な修飾をもって使用して、本明細書に記載のように本発明の他の化合物を製造してもよいことは、当業者に明らかであると考えられる。
当業者に周知のように、空気又は水分から反応成分を保護するために必要な不活性雰囲気(例えば窒素又はアルゴンが挙げられるがそれらに限定されない)において、反応を行った。温度は摂氏(℃)で示した。溶液の百分率及び比率は、特に規定しない限り、容量対容量の関係で表した。フラッシュクロマトグラフィーは、W.C. Stillら、J. Org. Chem.、(1978年)、43、2923の方法によりシリカゲル(SiO2)上で行った。質量スペクトル分析は、エレクトロスプレー質量スペクトロメトリーを使用して記録した。分析的HPLCはCombiscreen ODS-AQ C18逆相カラム、YMC、50×4.6mm i.d.、5μM、220nM、120Åを用い、以下の表に記載の線状勾配での溶出により、標準的な状態で行った(溶媒AはH2O中、0.06% TFA;溶媒BはCH3CN中、0.06%TFAである)。
【0126】
【表3】

【0127】
本明細書中に使用した略語又は記号は以下の通りである:
Ac: アセチル;
AcOH: 酢酸;
Ac2O: 無水酢酸;
BOC又はBoc: tert-ブチルオキシカルボニル;
Bu: ブチル;
DBU: 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;
DCM: ジクロロメタン;
DME: ジメトキシエタン;
DMF: N,N-ジメチルホルムアミド;
DMSO: ジメチルスルホキシド;
EC50: 50%有効濃度;
Et: エチル;
Et3N: トリエチルアミン;
Et2O: ジエチルエーテル;
EtOAc: 酢酸エチル;
EtOH: エタノール;
HPLC: 高速液体クロマトグラフィ;
IC50: 50%阻害濃度;
iPr又はi-Pr: 1-メチルエチル(イソ-プロピル);
LiHMDS: ヘキサメチルジシラジドリチウム;
Me: メチル;
MeCN: アセトニトリル;
MeOH: メタノール;
MOI: 感染効率;
MS: 質量スペクトロメトリー(MALDI-TOF:マトリックス支援レーザー脱離イオン化法-フライト時間、FAB: 高速原子衝撃);
NMR: 各磁気共鳴分光法;
Ph: フェニル;
PG: 保護基;
Pr: プロピル;
RPMI: ロズウェルパークがん研究所(細胞培養培地);
RT: 室温(約18℃〜25℃);
tert-ブチル又はt-ブチル: 1,1-ジメチルエチル;
Tf: トリフルオロメタンスルホニル;
Tf2O: トリフルオロメタンスルホン酸無水物;
TFA: トリフルオロ酢酸;
THF: テトラヒドロフラン; 及び
TLC: 薄層クロマトグラフィー。
【0128】
実施例1A
【化36】

【0129】
工程1:
0℃でEt2O(10mL)にアルデヒド1a1(0.5g、2.5mmol)を含む溶液に、4-クロロフェニルマグネシウムブロミド(5.0mL、5.0mmol)を加え、その混合物を0℃で15分間反応させた。飽和水性NH4Clを加え、混合物をEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、水、飽和水性NaHCO3及び鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 100:0〜3:1)により精製し、化合物1a2を得た。
【0130】
工程2:
CH2Cl2(35 mL)中にアルコール1a2(5.82g、18.5mmol)を含む溶液に、活性MnO2(10.0g、115mmol)を加えた。その混合物を室温で18時間攪拌し、CeliteTMを通して濾過した。ろ液を減圧下で濃縮し、化合物1a3を得た。
【0131】
実施例1B
【化37】

【0132】
AcOH(150mL)に化合物1b1(20.0g、86.3mmol)を含む溶液に、KBr(12.3g、103.6mmol)及びNaBO3・4H2O(15.9g、103.6mmol)を加え、その混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を氷に注ぎ、EtOAcで抽出し、有機層を水及び鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣のクロマトグラフィー精製(EtOAc/ヘキサン)により化合物1b2を得た。
【0133】
実施例1C
【化38】

【0134】
S. Fryeら、J. Org. Chem. 1991年、56、3750〜3752頁の方法に従った。
工程1:
DMF(140mL)中にCH3NH-OCH3・HCl(12.35g、126.6mmol)及びEt3N(18mL、140.2mmol)を含む溶液に、化合物1c1(24.5g、124.1mmol)を部分的に加えた。反応をRTで16時間攪拌し、その後50℃で16時間加熱した。混合物をEtOAc(300mL)で希釈し、鹹水で洗い(4回)、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、蒸発乾固した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(50% EtOAc/ヘキサン)で精製し、中間体1c2を得た。
【0135】
工程2:
化合物1c2(5.25g、24.5mmol)及び1-エチル-4-ヨードベンゼン(5.3mL、36.7mmol)を無水THF(130mL)に溶解し、-78℃で30分間冷却した。この溶液にn-BuLi(THF中、1.6M 38.2mL、61.15mmol)を約40分にわたって加えた。その反応物を10%HCl(aq)の添加によりクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を鹹水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、フラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物1c3を得た。
スキーム1及び2中の一般式(II)又は(IIa)の他の中間体は、実施例1A、1B及び1Cの方法を使用して製造してもよい。
【0136】
実施例2A
化合物3001及び3002の製造、表3
【化39】

【0137】
工程1:
化合物1a3(実施例1A)(0.72g、2.3mmol)とCH2Cl2の混合物に、ピリジン(0.725mL、9.0mmol)及び3-カルボメトキシプロピオニル塩化物(0.36mL、2.9mmol)を加えた。混合物を室温で2時間攪拌し、1M HClに加え、EtOAcで抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。粗生成物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィにより精製し(20%EtOAc/ヘキサン)、化合物2a1を得た。
【0138】
工程2:
化合物2a1(0.54g、1.3mmol)、トリエチルアミン(4.0mL)及び無水酢酸(6.0mL)の混合物を、100℃で18時間加熱した。その混合物を1M HCl及び鹹水(1:1混合物)に加え、EtOAcで抽出した。有機層を飽和水性NaHCO3で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製し、化合物2a2を得た。
【0139】
工程3:
0℃でTHF(2.0mL)中に化合物2a2(0.18g、0.44mmol)及び臭化アリル(0.6mL、6.9mmol)を含む溶液に、LiHMDS(0.7mL、0.70mmol)を加えた。反応をTLCにより完了し、飽和NH4Clを加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過して濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーでの精製(ヘキサン/EtOAc 100:0〜4:1)により、化合物2a3を得た。
【0140】
工程4:
化合物2a3(0.10g、0.22mmol)とDMSO(2mL)の混合物にH2O(0.15mL)及びNaOH(10N、0.15mL)を加え、その混合物を60℃で1時間加熱した。その反応物を飽和NH4Clでクエンチし、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、化合物3002を得た(表3)。
【0141】
工程5:
化合物3002(0.0740g、0.17mmol)、EtOAc(2.5mL)及び白金(IV)酸化物(8mg)の混合物を、H2の雰囲気下で1時間攪拌した。混合物をCeliteTMを通してろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を調製用HPLCにより精製し、化合物3001を得た。
【0142】
実施例2B
化合物2011の製造、表2
【化40】

【0143】
工程1:
ジメチルカーボネート(22mL、269mmol)及びNaH(油中60%、10.8g、270mmol)をトルエン(80mL)中で合わせ、90℃に20分間加熱し、その後4-クロロアセトフェノン2b1(14mL、109mmol)を約15分間にわたって滴下して加えた。その混合物を90℃で30分間攪拌し、その後冷却し、5%HCl(aq)(100mL)及びEtOAc(100mL)で注意深く処理した。有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、乾燥して濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(15%EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物2b2を得た。
【0144】
工程2:
DMF/キシレン(7mL/40mL)中に、化合物2b2(7.1g、33.4mmol)及び4-クロロアニリン(5.9g、46.3mmol)を含む混合物を、140℃で10時間加熱した。その混合物は、1M HCl(40mL)とEtOAc(150mL)の間で分配した。有機層を1M HCl、水及び鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して乾燥した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィにより精製し(SiO2、15%〜20% EtOAc/ヘキサン)、化合物2b3を得た。
【0145】
工程3:
化合物2b3(4.79g;15.5mmol)、KOtBu(2.0g;18.57mmol)及びDMF(23mL)の混合物に、エチル-2-ブロモバレレート(3.2mL、18.25mmol)を加えた。混合物を室温で16時間攪拌し、その後、1N HCl(100mL)の溶液に氷上で注ぎ、その混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水で洗い(4回)、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮し、クロマトグラフィーによる精製(EtOAc/ヘキサン)後、ジアステレオ異性体の混合物として化合物2b4を得た。
【0146】
工程4:
化合物2b4(別々の部分1.26g、0.77g及び1.09g;全7.15mmol)及び H2SO4(別々の部分24mL、15mL及び19mL中)を、150℃で20分間反応させた。合わせた反応混合物をゆっくりと冷却し、氷水に滴下して加えた。混合物をEtOAc(3回)で抽出し、鹹水で洗い(1回)、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、真空下で濃縮した。残渣(0.69g;1.76mmol)をEtOH(25mL)に溶解し、この溶液に、POCl3 (2.4mL;27mmol)を加えた。反応物を1時間還流加熱し、その後、氷水に注ぎ、CH2Cl2(3回)で抽出した。有機層を、鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮し、残渣をクロマトグラフィにより精製し、化合物2b5を得た。
【0147】
工程5:
化合物2b5(30mg;0.072mmol)及び無水MeCN(1.8mL)の混合物に、K2CO3 (150mg;1.1mmol)及び4-ブロモメチルピリジン(36mg;0.14mmol)を加え、その混合物を70℃に加熱し、16時間反応させた。混合物をEtOAc(40mL)で希釈し、鹹水で洗い、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮して、化合物2b6を得た。
【0148】
工程6:
実施例3A、工程4の方法を使用して、化合物2b6を加水分解し、化合物2011を得た(表2)。
【0149】
実施例2C
化合物2010の製造(表2)
【化41】

【0150】
工程1:
化合物2b5(実施例2B)(20mg;0.05mmol)、無水MeCN(1.2mL)及びK2CO3(15mg;0.1mmol)の混合物に、ヨウ化エチル(40μL;0.5mmol)を加えた。その混合物を70℃で16時間反応させ、その後、EtOAc(40mL)で希釈し、鹹水で洗い、乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮し、化合物2c1と2c2の混合物を得た。
【0151】
工程2:
化合物2c1と2c2の混合物は、実施例3A、工程4に記載のように鹸化した。調製用HPLCによる混合物の精製により、化合物2010を得た(表2)。
【0152】
実施例3A
化合物1058の製造、表1
【化42】

【0153】
工程1:
AcOH(88mL)中に化合物1c3(実施例1C)(3.69g、14.17mmol)を含む溶液に、エチルアセトピルベート(2.65mL、18.4mmol)、その後濃H2SO4(438μL)を加えた。得られた混合物を50℃で16時間加熱し、RTまで冷まし、その後、減圧下で濃縮し、残渣をEtOAcと水に分配した。固形NaHCO3を攪拌しながら注意深く加え、有機層を鹹水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し(20%EtOAc/ヘキサン)、化合物3a1(極性少)及び副生成物3a2(極性多)を得た。
【0154】
工程2:
0℃に冷却した化合物3a1(2.39g、6.26mmol)及びTHF/EtOH(40mL/10mL)の混合物に、NaBH4(213mg、5.63mmol)を、1分間にわたって加えた。混合物を、0℃で40分間攪拌し、水及び10%水性EtOAcで希釈した。混合物をEtOAcで抽出し、有機層を鹹水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮してアルコール3a3を得た。
【0155】
工程3:
無水DMF(10mL)中に化合物3a3(513mg、1.34mmol)を含む溶液は、1分間にわたってLiHMDS(THF中1M、1.56mL、1.56mmol)を滴下して処理した。ヨードエタン(0.60mL、7.5mmol)を加え、反応混合物をRTで、N2雰囲気下、30分間攪拌した。反応物を水でクエンチし、混合物を水とEtOAcに分配した。有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮して中間体3a4を得た。
【0156】
工程4:
化合物3a4 (530mg、1.29mmol)、MeOH/THF(6mL/6mL)及び1N NaOH(0.77mL、7.72mmol)の混合物を30分間反応させた。その混合物を、水とEtOAcに分配し、水層をpH〜5〜6に酸性化し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮して、化合物1058を得た(表1)。
【0157】
実施例3B
化合物1061の製造、表1
【化43】

【0158】
工程1:
0℃で、無水THF(15mL)中に化合物1058(実施例3A)(230mg、0.60mmol)を含む攪拌した溶液に、Et3N(125μL、0.90mmol)、その後、塩化ピバロイル(85μL、0.69mmol)を加えた。得られた溶液を、0℃で30分間、その後RTで1.5時間攪拌した。その混合物を-78℃に30分間冷却し、それに、ヘキサン中にn-BuLiを含む溶液で-78℃に冷却した無水THF(5mL)中の(R)-(+)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノン(127mg、0.72mmol)の溶液により処理すること及び-78℃で30分間得られた混合物を攪拌することにより形成した混合物を加えた。その混合物をRTにゆっくり温め、2時間攪拌した。飽和NH4Cl(30mL)を加え、混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮し、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中、5〜45%EtOAc)により精製し、そのジアステレオマー3b1からより極性の付加物3b2を分離した。
【0159】
工程2:
0℃で、THF/水(2mL/1mL)中に化合物3b2(110mg、0.20mmol)を含む溶液に、H2O2(62μL、0.61mmol)を加え、その後LiOH・H2O(12.2mg、H2O 0.2mL中)を滴下して加えた。その混合物を0℃で30分間攪拌し、その後、10% Na2SO3(2mL)を加え、その混合物をEtOAcと水(pH10に調整した)に分配した。水層をpH4〜5に調製し、EtOAcで3回抽出した。有機層を乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮し、残渣をDMSOに溶解し、調製用HPLCにより精製し、化合物1061(表1)を、キラルHPLC(ChiralCel OD-Rカラム;4.6×250mm、10μm)により測定した場合、光学純度99.7%のエナンチオマー過剰物で得た。
実施例3Bの方法を使用し、それらの構成エナンチオマーにキラル中心を有する一般式(I)の他の化合物のラセミ混合物を分割した。
【0160】
実施例3C
化合物1078の製造、表1
【化44】

【0161】
工程1:
0℃で化合物3a3(実施例3A)(2.9g、7.55mmol)、無水ジオキサン(40mL)、イソブチレンガス(0℃で凝集した約10mL)及びBF3・Et2O(8mL、61mmol)を含む混合物を、TeflonTMシールしたチューブ中、室温で16時間攪拌した。追加のイソブチレンを0℃(約5mL)で加え、室温で3時間攪拌し続けた。さらに、BF3・Et2O(2mL)及びイソブチレン(5mL)を0℃で加え、室温で16時間攪拌し続けた。飽和水性NaHCO3(10mL)を、その後固形NaHCO3及び水を反応混合物に加え、その混合物を30分間攪拌し、層を分離した。水層を抽出し(EtOAc)、合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し(10%〜60%EtOAc/ヘキサンの勾配)により精製し、化合物3c1を得た。
【0162】
工程2:
実施例3A、工程4に使用した方法を行った。
【0163】
実施例4A
化合物1035の製造、表1
【化45】

【0164】
工程1:
化合物1b2(実施例1B)(3.0g、9.66mmol)、リブリン酸(1.4mL、13.5mmol)、濃H2SO4(0.39mL)及びAcOH(30μL)の混合物を、130℃で17時間加熱した。その混合物をH2O(50mL)に加え、1M NaOHの添加により、pHを4に調整した。水層をEtOAc及びn-ブタノールで抽出し、有機抽出物を水及び鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣を、Et2O及びEtOAcの混合物ですりつぶし、化合物4a1を得た。
【0165】
工程2:
トルエン/MeOH(2:1、30mL)中に化合物4a1を含む混合物に、トリメチルシリルジアゾメタン(2M、3.0mL、6.0mmol)を加えた。減圧下での混合物の濃縮により、化合物4a2を得た。
工程3:
0℃でTHF(5.0mL)中に化合物4a2(0.080g、0.20mmol)を含む溶液に、3-ブロモ-2-メチルプロペン(0.3mL、3.0mmol)、その後LiHMDS(0.5mL、0.50mmol)を加え、反応混合物を反応が完了するまでRTで攪拌した。水性NH4Clを加え、混合物をEtOAcで抽出した。有機層を合わせ、鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、化合物4a3を得た。
【0166】
工程4:
化合物4a3(0.0910g、0.20mmol)、EtOAc/MeOH(9:1、10mL)及びPt2O(アダムス触媒)(10mg)の混合物を、H2雰囲気下、30分間、室温で攪拌した。N2ガスを混合物に通し、その後CeliteTMを通してろ過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーによる残渣の精製により化合物4a4を得た。
工程5:
化合物4a4(0.047g、0.102mmol)、DMSO(1.0mL)、水(0.1mL)及びNaOH(10N、0.1mL)の混合物を、65℃で1時間攪拌した。AcOH(0.15mL)を加え、混合物を調製用HPLCにより精製し、化合物1035を得た(表1)。
【0167】
実施例4B
化合物1101の製造(表1)
【化46】

【0168】
工程1:
0℃で、化合物2b5(実施例2B)(238mg;0.56mmol)、無水CH2Cl2(4mL)及びピリジン(276μl;3.4mmol)を含む混合物に、Tf2O(191μl;1.13mmol)を加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、室温に温め、20時間攪拌した。混合物を氷水に注ぎ、CH2Cl2で抽出した(3回)。有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮して乾燥した。残渣をクロマトグラフィにより精製し、化合物4b1を得た。
【0169】
工程2:
DMF(1mL)中に化合物4b1(50mg;0.091mmol)及びPd[P(t-Bu)3]2(5mg;10モル%)を含む溶液に、トリ-n-ブチルビニルスズ(37μl;0.127mmol)を加えた。その混合物をシールし、110℃で20分間マイクロウェーブ条件下で反応させた。その混合物をEtOAc(50mL)に注ぎ、鹹水(1回)、NaHCO3及び鹹水(3回)で洗った。有機層を乾燥し(Na2SO4)、ろ過し、濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製し(1:30シリカゲル;9:1 ヘキサン/EtOAc)、化合物4b2を得た。
【0170】
工程3:
化合物4b2(27mg;0.063mmol)、EtOH(1.5mL)及びPtO2(4mg)の混合物を、H2下、1atmで20分間反応させた。その混合物をCeliteTMに通し、CeliteTMパッドをEtOHで洗った。合わせたろ液を減圧下で濃縮し、化合物4b3を得た。
【0171】
工程4:
実施例3A、工程4に記載の方法を使用して、化合物4b3を化合物1101(表1)に変換した。
【0172】
実施例5A
化合物1034の製造、表1
【化47】

【0173】
工程1:
THF(25mL)中に酸5a1(3.2g、18.7mmol)及びレブリン酸エチル(2.7mL、19.0mmol)を含む混合物に、MgSO4(6.5g)を加えた。混合物を65℃で1時間加熱し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をPOCl3(12mL)と混合し、還流しながら4時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を氷及び固形NaHCO3で処理し、pHを7〜8に調整した。混合物をろ過し、回収した固形物をEtOAcに取り、水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィにより精製し(100% ヘキサン〜1:1 Hex/EtOAc)、化合物5a3を得た。
【0174】
工程2:
エステル5a3(0.0761g、0.26mmol)、0℃のTHF(3.0mL)及びアリルブロミド(0.2mL、2.3mmol)を含む混合物に、LiHMDS(0.4mL、1.0M、0.4mmol)を加えた。その混合物をRTで30分間攪拌し、その後、水性NH4Clを加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、化合物5a4を得た。
【0175】
工程3:
化合物5a4を、実施例4A、工程4の方法を使用して水素化し、化合物5a5を得た。
工程4:
CH3CH2CN(5mL)に化合物5a5(0.1466g、1.5mmol)を含む溶液に、(CH3)3SiBr(15mL、4.6mmol)を加え、その混合物を75℃で一晩攪拌し、蒸留により(CH3)3SiClを除去した。飽和NaHCO3を加え、混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を鹹水で洗い、MgSO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、化合物5a6を得た。
【0176】
工程5:
化合物5a6(20.7mg、0.054mmol)、4-エテニルフェニルボロン酸(10mg、0.068mmol)及びDMF(2.0mL)の混合物にArをパージし、この混合物にPd(PPh3)4(3.0mg、0.003mmol)を加えた。その反応混合物を120℃で2.5時間、その後RTで一晩反応させた。混合物をEtOAcとH2Oに分配し、有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(20〜30% EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物5a7を得た。
【0177】
工程6:
化合物5a7(21.4mg、0.052mmol)、DMSO(1.0mL)、及びNaOH(5N、52μL)の混合物を60℃で45分間攪拌した。CF3COOHを加え、混合物を調製用HPLCにより精製し、化合物1034(表1)を得た。
【0178】
実施例5B
化合物1093の製造、表1
【化48】

【0179】
工程1:
ハーン(Hahn)ら(J. Organometal. Chem.(2004年) 689(16): 2662〜73頁)の方法を行った。
RTで無水MeCN(9mL)中に化合物5a3(実施例5A)(200mg、0.671mmol)及び4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジド(322mg、1.34mmol)を含む混合物に、DBU(501μL、3.35mmol)を加えた。その混合物を室温で3時間攪拌し、その後鹹水(0.5mL)を加え、その混合物を鹹水とEtOAcに分配した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィ(20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、化合物5b1を得た。
【0180】
工程2:
化合物5b1(200mg、0.617mmol)、2-プロパノール(7.7mL、100mmol)及び酢酸ロジウム(II)ダイマー(81.8mg、0.185mmol)の混合物を、Biotage InitiatorTM Sixtyマイクロウェーブ装置において、160℃で10分間反応させた。この混合物にTHF(5.0mL)、MeOH(1.25mL)及びLiOH(1N、1.5mL、1.5mmol)を加え、その混合物を一晩、室温で攪拌した。1N HClでの酸性化の後、混合物をEtOAcで抽出し、有機抽出物を乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣をTHF(10mL)に溶解し、ジアゾメタンで処理した。混合物の濃縮及びフラッシュクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサン)による残渣の精製により化合物5b2を得た。
【0181】
工程3:
ウォルフ(Wolf)ら(Synlett (2003) (12): 1801〜4頁)の方法を行った。
化合物5b2(132mg、0.386mmol)、THF(1.5mL)及びHCl/ジオキサン(4M、0.964mL、3.86mmol)の混合物を室温で10分間攪拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、残渣をCH3CN(3.0mL)中に懸濁し、この混合物にNaI(0.405g、2.7mmol)を加えた。その混合物を還流しながら2日間加熱し、EtOAcで希釈し、水及び0.5N Na2S2O3で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(20% EtOAc/ヘキサン)による残渣の精製により化合物5b3を得た。
【0182】
工程4:
DMF(6.0mL)中の化合物5b4(210mg、0.95mmol)の混合物に、ビス(ピナコラート)ジボロン(265mg、1.045mmol)及びKOAc(205mg、2.09mmol)を加えた。アルゴンをその混合物に5分間通し、PdCl2(dppf)・CH2Cl2(77.6mg、0.095mmol)を加えた。アルゴンをさらに3分間その混合物に通し、その混合物を80℃で一晩反応させた。その混合物をEtOAcで抽出し、その抽出物を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、CeliteTMによりろ過し、濃縮し、ボロン酸5b5を得た。
【0183】
工程5:
化合物5b3(90mg、0.208mmol)、化合物5b5(111.3mg、0.415mmol)、K2CO3(86mg、0.623mmol)、Pd(PPh3)4(24.0mg、0.02 mmol)及びDMF(6.0mL)の混合物を、Biotage InitiatorTM Sixtyマイクロウェーブ装置において、120℃で、それぞれ5分間を2回反応させた。反応混合物をEtOAcで希釈し、鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製し、化合物5b6を得た。
【0184】
工程6:
化合物5b6(35mg、0.078mmol)、LiOH(1N、0.234mL、0.234mmol)、MeOH(125mg)及びTHF(1.27mL)の混合物を40℃で2時間反応させた。混合物をTFAで酸性化し、調製用HPLCにより精製し、化合物1093を得た。
【0185】
実施例5C
【化49】

【0186】
工程1:
アニリン5c1(68mL、0.75モル)及びジエチルアセチルサクシネート5c2(149.2mL、0.75モル)の混合物を室温で2日間、P2O5の存在下、真空下で密封したデシケーター中で攪拌した。反応混合物をCH2Cl2で希釈し、フラッシュクロマトグラフィにより精製し(EtOAc/ヘキサン勾配1:8〜1:6)、化合物5c3を得た。
工程2:
化合物5c3(19.85g、68.1mmol)及びPh2O(100mL)の混合物を250℃で10分間加熱し、その後、室温に冷ました。ヘキサンを混合物に加え、形成した固形物を濾過により回収し、ヘキサンで洗い、乾燥し、化合物5c4を得た。
【0187】
工程3:
化合物5c4(15.8g、64.0mmol)及びPOCl3(50mL)の混合物を、Ar雰囲気下で4時間還流しながら加熱した。その混合物を冷却し、減圧下で濃縮し、残渣を粉末状NaHCO3で処理し、EtOAcで希釈した。有機層を飽和NaHCO3、水及び鹹水で洗い、乾燥し(Na2SO4)、シリカゲルのパッドを通して濾過した。減圧下でのろ液の濃縮により化合物5c5を得た。
【0188】
化合物5c5は、実施例5A(工程2〜6)及び5Bの方法を使用して、一般式(Id)の化合物(式中、R6はHであり、R2はCH3である)に変換可能である。
【0189】
実施例6A
化合物1009の製造、表1
【化50】

【0190】
工程1:
化合物1b2(実施例1B)(324.5mg、1.04mmol)、ピリジン(3.0mL)及び3-カルボメトキシプロパノイル塩化物(193μL、1.57mmol)の混合物を、室温で30分間攪拌した。3-カルボメトキシプロパノイル塩化物(193μL、1.57mmol)のさらなる部分を加え、1時間攪拌し続けた。混合物を飽和水性NaHCO3に加え、EtOAcで抽出し、EtOAc抽出物を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製し、化合物6a1を得た。
【0191】
工程2:
化合物6a1(450mg、1.04mmol)、NaOEt(EtOH中21%、1.36mL、4.18mmol)及びEtOH(5.0mL)の混合物を、80℃で1時間反応させ、室温に冷まし、EtOAcで希釈した。混合物を1N HClで約pH1に酸性化し、層を分離した。有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮し、化合物6a2を得た。
【0192】
工程3:
EtOAc(10mL)に化合物6a2(447mg、1.14mmol)を含む溶液に、Et2O中の過剰なジアゾメタンを加え、その混合物を室温で一晩攪拌した。混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製し(20〜50% EtOAc/ヘキサン)、化合物6a3を得た。
【0193】
工程4:
0℃で、THF(1.5mL)中に化合物6a3(51mg、0.121mmol)及び臭化アリル(105μL、1.21mmol)を含む混合物に、LiHMDS(トルエン中1M、182μL、0.182mmol)を加えた。反応混合物を0℃で45分間攪拌し、その後水を加えた。混合物をEtOAcで希釈し、層を分離し、有機層を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィによる精製により(15〜20% EtOAc/ヘキサン)、化合物6a4を得た。
【0194】
工程5:
化合物6a4(38mg、0.082mmol)、EtOH(2.0mL)及びPt2O5(5.0mg)の混合物に、N2をパージし、室温で、20分間、H2の雰囲気下で攪拌した。その混合物をMillexTM-HVフィルターを通してろ過し、ろ液を濃縮し、化合物6a5を得た。
【0195】
工程6:
DMSO(1.5mL)に化合物6a5(35.4mg、0.076mmol)及び5N NaOH(70μL、0.38mmol)を含む混合物を、60℃で45分間反応させ、室温に冷ました。混合物をTFAで酸性化し、調製用HPLCにより精製し、化合物1009(表1)を得た。
【0196】
実施例7A
化合物1007の製造、表1
【化51】

【0197】
工程1:
AcOH(45mL)に化合物1b2(実施例1B)(6.0g、19.3mmol)、エチルアセトピルベート(3.6mL、25mmol)及び濃H2SO4(0.90mL)を含む混合物を、130℃で3時間反応させた。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィ(10〜35% EtOAc/ヘキサン)により精製し、化合物7a1を得た。
【0198】
工程2:
0℃で、無水THF(5mL)中にCH3CH2CH2PPh3Br(427.4mg、1.11mmol)を含む混合物に、nBuLi(0.75mL、1.20mmol)を加え、その混合物を室温まで30分温めた。混合物を再び0℃に冷却し、この混合物に、THF(1.5mL)中に化合物7a1(400mg、0.924mmol)を含む混合物を加えた。混合物を2時間室温で攪拌し、飽和NH4Cl(10mL)を加えた。混合物をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機抽出物を鹹水で洗い、乾燥し(MgSO4)、ろ過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィにより精製し(10% EtOAc/ヘキサン)、化合物7a2を得た。
【0199】
工程3:
DMSO(1mL)中に化合物7a2(16mg、0.035mmol)及び2.5M NaOH(70μL、0.175mmol)を含む混合物を室温で30分間反応させた。混合物をTFAで酸性化し、調製用HPLCにより精製し、化合物1007(表1)を得た。
【0200】
実施例8A
誘導体D1の合成
【化52】

【0201】
工程1:
(Boc)2O(THF中1M、2.47mL、2.47mmol)の溶液を、THF(10mL)中にH2NCH2CH2Br・HBr(506mg、2.47mmol)及びEt3N(860μL、6.175mmol)を含む溶液に加えた。反応混合物をRTで18時間攪拌し、EtOAc(100mL)と飽和水性NaHCO3(25mL)に分配した。有機層を鹹水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィ(5%〜20%EtOAc/hex)により精製し、BocNHCH2CH2Brを得た。DMF(3mL)中に化合物2b5(実施例2B)(200mg、0.495mmol)を含む冷却した溶液(0℃)に、KOtBu(67mg、0.598mmol)を加えた。混合物を15分間攪拌し、その後、DMF(2mL)中にBocNHCH2CH2Br(160mg、0.717mmol)を含む溶液を加えた。反応混合物をRTで18時間攪拌した。水(1mL)を加え、混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、有機層を飽和水性 NaHCO3(25mL)及び鹹水で洗い、無水MgSO4で乾燥し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィで精製し(10%〜30% EtOAc/hex)、化合物8a1を得た。
【0202】
工程2:
DMSO(2.5mL)中に化合物8a1(96mg、0.175mmol)を含む溶液に、5N NaOH(175μL、0.875mmol)を加えた。混合物を30分間攪拌し、半調製用HPLCにより精製し、Boc-脱保護カルボン酸を得た。化合物を、NaOHの存在下、Boc2Oで処理し、ラセミ混合物として化合物8a2を得た。ChiralCel OD-Rカラム(20×250mm、Chiral Technologies Inc製)及びH2O(0.06% TFAを含む)中の20%H2O(0.06% TFAを含む)及び75%MeCNからなる溶媒混合物80%を含む定組成溶媒系を使用したキラルHPLCによる分離により、(S)-エナンチオマー8a2を得た。
【0203】
工程3:
化合物8a2(9.2mg、0.017mmol)及びCH2Cl2(1.5mL)を含む混合物にTFA(750μL)を加えた。混合物をRTで1時間攪拌し、濃縮した。残渣をCH2Cl2(1.0mL)に溶解し、この混合物にEt3N (7μL、0.051mmol)、その後EZ-LinkTM TFP-PEO-ビオチン(ピアス; 17.2mg、0.025mmol)を加えた。反応混合物をRTで18時間攪拌し、溶媒を蒸発させ、残渣を半調製用HPLCにより精製し、誘導体D1を得た。
【0204】
実施例9
C8166 HIV-1ルシフェラーゼアッセイ(EC50)
HIV1複製の阻害を測定するために使用されるアッセイは、WO 2004/050643、73〜75頁に記載されており、以下の変更を加えた。
【0205】
化合物の製造
HIV-1インヒビターの連続希釈は、DMSOストック溶液から完全培地において製造した。所望の濃度の11の連続希釈を、1mL深穴タイタープレート(96穴)に調製した。12番目の穴は、インヒビターを含まない完全培地を含み、ポジティブコントロールとして使用した。すべてのサンプルは同じ濃度のDMSO(0.1%DMSO)を含んでいた。インヒビターを、96穴の組織培養処理クリアービューバックマイクロタイタープレート(Corning Costar カタログ#3904)のトリプリケート(triplicate)の穴に加えた。穴当たりの全容量は、細胞及びインヒビターを含む培地200μLであった。最後の列は、バックグラウンドブランクとして使用するための非感染性C8166 LTRluc細胞用に準備し、最初の列は培地単独であった。
【0206】
細胞の感染
C8166 LTRluc細胞を計数し、組織培養フラスコ(例えば、10mL培地/25cm2フラスコ中、30×106細胞)中、最少容量の完全RPMI 1640に置いた。感染効率0.005で細胞はHIV-1に感染した。1.5時間、37℃で、5%CO2インキュベータ中の回転性ラックにおいて細胞をインキュベートした。完全RPMIにおいて、細胞を再懸濁し、最終濃度25,000-細胞/穴を得た。インヒビターを含む96穴マイクロタイタープレートの穴に細胞を加えた。バックグラウンドコントロール用の最終の列に、200μL完全RPMI中の25,000非感染C8166-LTRluc細胞/穴を加えた。37℃で、5%CO2インキュベータ中で3日間細胞をインキュベートした。
【0207】
化合物の表
以下の表に、本発明の代表的な化合物を挙げた。以下の表1〜3に挙げた代表的な化合物は、実施例9のHIV-1ルシフェラーゼアッセイにおいて試験した場合、EC50値20μM以下であった。
それぞれの化合物用の保持時間(tR)は、実施例に記載の標準的な分析的HPLC条件を使用して測定した。当業者に公知のように、保持時間は、特定の測定条件に対して感受性である。従って、たとえ同様の溶媒条件、流速、線状勾配等が使用されるとしても、例えば異なるHPLC装置で測定した場合、保持時間は変るかも知れない。同じ装置で測定した場合であったとしても、例えば、異なる個々のHPLCカラムを使用して測定した場合、値は変っていてもよく、又は、同じ装置及び同じ個々のカラムで測定した場合、例えば、異なる状況で採用される個々の測定の間で、値は変わっていてもよい。
【0208】
【表4】

【0209】
【表5】

【0210】
【表6】

【0211】
【表7】

【0212】
【表8】

【0213】
【表9】

【0214】
【表10】

【0215】
【表11】

【0216】
【表12】

【0217】
【表13】

【0218】
【表14】

【0219】
【表15】

【0220】
【表16】

【0221】
【表17】

【0222】
【表18】

【0223】
【表19】

【0224】
【表20】

【0225】
【表21】

【0226】
【表22】

【0227】
【表23】

【0228】
【表24】

【0229】
【表25】

【0230】
【表26】

【0231】
【表27】

【0232】
【表28】

【0233】
【表29】

【0234】
【表30】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)により表される化合物の異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー又は互変異性体、又はそれらの塩若しくはエステル。
【化1】

(式中、
結合aは二重結合であり、かつ結合bは単結合であるか、又は
結合aは単結合であり、かつ結合bは二重結合であり;
結合aが単結合の場合、XはO又はNR1であるか;又は
結合aが二重結合の場合、XはNであり;
R1は、H、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
それぞれの(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル及びHet-(C1-6)アルキルは、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル又は-N((C1-6)アルキル)2により置換されていてもよく;
結合bが単結合の場合、R2はH、(C1-6)アルキル又は-O(C1-6)アルキルであるか;
又は結合bが二重結合の場合、R2はOであり;
R3は、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル、アリール-(C1-6)アルキル、Het-(C1-6)アルキル-又は-Y-R31であり、結合cは単結合であるか;又は
R3は、(C1-6)アルキリデンであり、結合cは二重結合であり;
式中、YはO又はSであり、R31は(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル、アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-、アリール-(C1-6)アルキル-又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
式中、それぞれの(C1-6)アルキリデン、(C1-6)アルキル、(C1-6)ハロアルキル、(C2-6)アルケニル、(C2-6)アルキニル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-, アリール-(C1-6)アルキル-、Het-(C1-6)アルキル-及び-Y-R31は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;
R4は、アリール又はHetであり、それぞれのアリール及びHetは、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で置換されていてもよく;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよく;
R6及びR7は、H、ハロ、(C1-6)アルキル及び(C1-6)ハロアルキルからそれぞれ独立して選ばれ;
但し、結合aが単結合であり、かつ結合bが二重結合であり;また
XがNR1であり;R1がHであり;R2がOであり;また
R4が非置換フェニルであり;R6がClであり;R7がHであり;また
結合cが二重結合である場合;
R3が=CH-CH(CH3)2ではないことを条件とし;また
Hetは、O、N及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜4ヘテロ原子を有する4〜7員の飽和、不飽和又は芳香族複素環であるか、又はO、N及びSからそれぞれ独立して選ばれる、可能な限り1〜5ヘテロ原子を有する7〜14員の飽和、不飽和又は芳香族複素多環である。)
【請求項2】
XがO又はNR1であり、結合aが単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがNであり、結合aが二重結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R4がナフチル又はフェニルであり、フェニルが、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよいフェニルであり;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで置換されていてもよい、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R4が、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で置換されていてもよいHetであり;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソで置換されていてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
R4が、ハロ、(C1-6)アルキル及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよいHetであり;
Hetが、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する5又は6員の複素環であるか;又はHetが、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する9又は10員の複素多環である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
一般式(Ia)で表される、請求項1に記載の化合物又はそれらの塩若しくはエステル。
【化2】

(式中、XはO又はNR1であり;
R1は、H、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-又はHet-(C1-6)アルキル-であり;
Hetは、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する4〜7員の複素環であり;
それぞれの(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-及びHet-(C1-6)アルキル-は、-OH、-O(C1-3)アルキル、-NH2、-NH(C1-3)アルキル又は-N((C1-3)アルキル)2により置換されていてもよく;
R2はOであり;
R3は、(C1-6)アルキル又は(C2-6)アルケニルであり;
結合cは単結合であり、
R4は、ナフチル又はフェニルであり、フェニルは、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよく;
R6は、H、ハロ、(C1-3)アルキル及び(C1-3)ハロアルキルであり;
R7は、H又はFである。)
【請求項9】
XがOである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
XがNR1である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
R4が、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよいフェニルであり;(C1-4)アルキルが、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよい、請求項8〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R4が、以下の基である、請求項11に記載の化合物:
【化3】

(式中、R41はハロ、(C1-4)アルキル及び(C1-4)ハロアルキルから選ばれる)。
【請求項13】
R6が、H、Cl又はBrであり、R7がHである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
一般式(Id)で表される請求項1に記載の化合物、それらの塩又はエステル:
【化4】

(式中、
R2は(C1-6)アルキル又は-O(C1-6)アルキルであり;
R3は、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、-O-(C1-6)アルキル、-O-(C1-6)ハロアルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-又はHet-(C1-6)アルキル-O-であり;
式中、それぞれの-O-(C1-6)アルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-及びHet-(C1-6)アルキル-O-は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;
結合cは単結合であるか;又は
R3は、(C1-6)アルキリデンであり、結合cは二重結合であり;
R4は、ナフチル又はフェニルであり、フェニルは、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;(C1-4)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよいか;又は
R4は、ハロ、(C1-6)アルキル、(C2-6)アルケニル、(C1-6)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-6)アルキル、-SH、-S(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-6)アルキル及び-N((C1-6)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜5置換基で置換されていてもよいHetであり;(C1-6)アルキルは、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよく;
R6は、H、ハロ、(C1-3)アルキル又は(C1-3)ハロアルキルであり;
R7は、H又はFである。)
【請求項15】
R7がHであり、R6が、H、Cl又はBrである、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
R2が(C1-6)アルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
R2がCH3である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
R3が、-O-(C1-6)アルキル、-O-(C1-6)ハロアルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-又はHet-(C1-6)アルキル-O-であり;
式中、それぞれの-O-(C1-6)アルキル、-O-(C2-6)アルケニル、-O-(C2-6)アルキニル、-O-(C3-7)シクロアルキル、-O-アリール、(C3-7)シクロアルキル-(C1-6)アルキル-O-、アリール-(C1-6)アルキル-O-及びHet-(C1-6)アルキル-O-は、(C1-6)アルキル、ハロ、シアノ、オキソ及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよく;
結合cが単結合である、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
R4が、ハロ、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル、(C1-4)ハロアルキル、(C3-7)シクロアルキル、-OH、-O(C1-4)アルキル、-SH、-S(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2からそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよいフェニルであり;(C1-4)アルキルが、ヒドロキシ、シアノ又はオキソにより置換されていてもよい、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
R4が、ハロ、(C1-6)アルキル及び-O(C1-6)アルキルからそれぞれ独立して選ばれる1〜3置換基で置換されていてもよいHetであり;
Hetが、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する5又は6員の複素環であるか;又はHetが、N、O及びSからそれぞれ独立して選ばれる1〜3ヘテロ原子を有する9又は10員の複素多環である、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
以下の一般式により表される、請求項1に記載の化合物。
【化5】

(式中、R2、R3、R4、R6及びR7は、以下の表に定義の通りである。)
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【請求項22】
以下の一般式により表される、請求項1に記載の化合物。
【化30】

(式中、R1、R3、R4及びR6は、以下の表に定義の通りである。)
【化31】

【化32】

【請求項23】
以下の一般式により表される、請求項1に記載の化合物。
【化33】

(式中、R3、R4及びR6は、以下の表に定義の通りである。)
【化34】

【請求項24】
治療有効量の、請求項1に記載の一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステル;及び一つ以上の医薬的に許容され得るキャリヤーを含む医薬組成物。
【請求項25】
少なくとも一つの他の抗ウイルス剤をさらに含む、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
少なくとも一つの抗ウイルス剤が、少なくとも一つのNNRTIを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
少なくとも一つの抗ウイルス剤が、少なくとも一つのNRTIを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
少なくとも一つの抗ウイルス剤が、少なくとも一つプロテアーゼインヒビターを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項29】
少なくとも一つの抗ウイルス剤が、少なくとも一つのエントリーインヒビターを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項30】
少なくとも一つの抗ウイルス剤が、少なくとも一つのインテグラーゼインヒビターを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項31】
HIV感染又は前記感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染治療のための、請求項24に記載の医薬組成物の使用。
【請求項32】
HIV感染又は前記感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染の治療方法であって、治療有効量の、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステル、又は請求項24に記載の組成物を、哺乳類に投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
HIV感染又は前記感染のリスクのある哺乳類におけるHIV感染の治療方法であって、治療有効量の、請求項1に記載の一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルと、少なくとも一つの他の抗ウイルス剤のコンビネーション;又は請求項24に記載の組成物を、哺乳類に投与することを含む、前記方法。
【請求項34】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルの、HIV感染又は前記感染のリスクを有する哺乳類におけるHIV感染の治療用のための使用。
【請求項35】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物、又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルの、HIV感染又は前記感染のリスクを有する哺乳類におけるHIV感染の治療用医薬製造のための使用。
【請求項36】
HIV感染を治療するために有効な組成物と;その組成物がHIVによる感染の治療に使用可能なことを示す標識を含むパッケージ物質を含む製品であって、前記組成物は、請求項1に記載の一般式(I)の化合物又は医薬的に許容され得るそれらの塩又はエステルを含む、製品。
【請求項37】
HIVの複製が阻害される条件下、有効量の請求項1に記載の一般式(I)の化合物又はそれらの塩又はエステルに、ウイルスを曝露することを含む、HIVの複製を阻害する方法。
【請求項38】
請求項1に記載の一般式(I)の化合物又はそれらの塩又はエステルの、HIV複製を阻害するための使用。
【請求項39】
誘導体が検出可能な標識を含む、請求項1に記載の一般式(I)の化合物の誘導体。
【請求項40】
一般式(Ic')で表される、請求項39に記載の誘導体。
【化35】

(式中、Lはリンカーであり;
Qは検出可能な標識であり;
c、R2、R3、R4、R6及びR7は請求項1に定義の通りである。)

【公表番号】特表2009−537459(P2009−537459A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510243(P2009−510243)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000845
【国際公開番号】WO2007/131350
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】