説明

ヒト化抗体

AF−20に特異的に結合する、新規なヒト化およびキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメント、そのような抗体またはその誘導体のポリペプチド配列、ならびにそれらの製造方法を提供する。これらのヒト化およびキメラ抗体、抗体フラグメント、ならびにポリペプチド配列は、AF−20を発現する癌の治療において、ならびに診断の目的のために、たとえば、AF−20を発現する腫瘍またはガン細胞のin vivo画像法のために、有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[0001] 本発明の実施態様は、癌細胞、及び特に肝癌細胞(hepatocarcinoma cell)、ならびに結腸及び肺の腺癌細胞に関連する腺癌細胞抗原AF−20に結合可能な、ヒト化及びキメラ抗体、そのフラグメント、ポリペプチドまたは誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
[0002] 癌は、米国における死因の第2位である。現在までの進歩にもかかわらず、米国の人口100,000人当たりの癌発生率は、1950年以降下降しておらず;実際には、わずかに増加している。したがって、効果的な癌治療の差し迫った必要性、ならびにそれに付随した、癌症例の診断、評価及びモニタリングに対する新たなアプローチの必要性が、依然としてある。
【0003】
[0003] 特に必要とされるのは、予防及び/または治療のために転移を標的とする方法である。癌の最も破壊的な側面の一つは、悪性新生物由来の細胞が、その原発部位から広まり、そして遠隔器官に転移する性向である。原発新生物の外科的治療の進歩及び積極的療法にもかかわらず、ほとんどの癌患者は、転移性疾患の結果として死亡する。動物試験により、固形腫瘍由来の流血中癌細胞の約0.01%が転移コロニーの確立に成功することが、示されている(Fidler、1993年)。腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体(以下、「moAb」)は、癌の治療において、及び転移のターゲティングにおいて、大きな有望性を提供する。
【0004】
[0004] 肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)−肝細胞癌(以下、「HCC」)は、世界における主な癌関連死因の一つである。HCCは、肝臓癌(liver carcinoma)の80%よりも多くを占める。世界の異なる地域におけるHCCの発生率には幅広いばらつきがあり、アジア及びアフリカでの発生率は、米国での発生率の少なくとも約10倍である。多くの要因が、この疾患の原因において潜在的に重要であると認識されている。慢性B型肝炎ウイルス(HBV)もしくはC型肝炎ウイルス(HCV)感染などの慢性肝疾患、または肝硬変は、個体をHCCにかかり易くする。世界の多くの地域、特にアジア及びアフリカにおける高いHBV及びHCV感染率は、HCCが最も一般的なヒト悪性腫瘍の一つであることの説明となってもよい。木の実及びピーナツなどの特定の食材に存在するアフラトキシンもまた、個体をHCCにかかり易くすると考えられる。肝臓癌は女性よりも男性において2〜4倍高頻度に発生することから、ホルモン要因が、HCCの原因において重要な可能性がある。
【0005】
[0005] HCCの予後は悪く、多くの場合、3〜6ヶ月以内に死亡する結果となる。HCCと診断された者の約6%のみが、5年間生存するであろう。限局性のHCCは、部分肝切除または肝移植を伴う全肝切除を介して、あるいは切除不可能な場合は、高周波アブレーション、凍結外科手術もしくは経皮的エタノール注射などの除去療法、または肝動脈注入もしくは化学塞栓術により行われる化学療法を介して、外科的に治療されることが可能である。全HCC外科手術のうち、10〜20%のみが、癌組織を完全に取り除くことに成功する。進行性のHCCは、全身的な化学療法または放射線療法で治療されてもよいが、しかし効果は限定され、かつほとんど成功しない。
【0006】
[0006] HCCの症状は、典型的には疾患の後期になって初めて明らかとなり、このことが治療をより難しくしている。診断学的検査には、α−フェトプロテイン(AFP)血液検査が含まれる。高AFP検査は、肝臓癌の可能性を示すのみであって;これで診断を確定することはできない。原発性肝臓癌を患う人々の50〜75%は、高レベルのAFPを有する。他の状態、特に肝硬変、慢性肝炎感染及びいくつかの他の癌でも、高レベルのAFPが生じる。AFP血液検査に加えて、酵素、ビリルビン及びタンパク質レベルを測定する多くの他の検査が、肝機能障害の可能性を特定可能である。肝スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン、超音波画像法または磁気共鳴画像法(MRI)などの診断用画像法は、潜在的な肝腫瘍、及び生検のための部位を特定することが可能である。これらの検査のいずれもが、肝臓癌を診断するために単独で用いられることはない。肝生検は、依然として、HCCの確定診断に到達するための最善の方法である。該手順は、0.5%未満の症例において、いくつかの腫瘍が複数の血管と繋がっているために致命的な出血が生じる可能性はあるが、概して非常に安全である。
【0007】
[0007] 肺癌−肺癌は、米国における癌による主な死因であり、かつ世界中で主な死因の一つである。罹患した個体の全体的な5年生存率(約13%)は、過去25年間にわたり有意に変化していない。劇的な増加後、長年の間、本疾患の発生率は、横ばい状態となっているようにみえる。タバコの喫煙は、男性の肺癌症例の約90%、及び女性の症例の約80%の原因である。喫煙の量及び期間が大きいほど、肺癌発現リスクは大きくなる。全喫煙者の約10〜12%が、最終的には肺癌を発現する。
【0008】
[0008] 原発性肺癌は、二つの主な型:非小細胞癌及び小細胞癌に分けられる。非小細胞癌は、より一般的であり、そして小細胞癌よりも予後が良好である。非小細胞肺癌には三つの主な分類:扁平上皮癌(類表皮癌とも称される)、腺癌、及び大細胞癌がある。腺癌は肺癌の最も一般的な型であり、全症例の30〜35%を占める。
【0009】
[0009] 原発性肺癌の予後は、悪い。小細胞癌を有する個体の1%未満が、該疾患の診断後5年間、生存する。対照的に、非小細胞癌を有する個体の予後は、癌の病期分類、及び特に遠隔転移の有無に依存する。遠隔転移は、5%未満の5年生存率を伴っている。肝組織は、このような転移の一般的な部位である。
【0010】
[00010] 小細胞癌は、現在、外科的切除、放射線療法及び化学療法の組合せによって治療される。このような積極的治療にもかかわらず、該疾患の予後は、極めて悪い。肺の非小細胞癌に対する最適な治療は、癌病変の外科的切除を伴う。残念なことに、このような外科的手術は、該疾患の最初期段階においてのみ可能であり、そして外科手術を行ってさえも、5年生存率はおよそ25%〜40%である。放射線療法を後期段階の非小細胞癌の治療に適用することは可能であるが、この療法の予後は悪い。化学療法は、非小細胞癌に対して有効性は限定されるが、しかし転移性非小細胞癌における生存期間を優位に増加させることが可能である。
【0011】
[00011] 肺癌の診断及び検出は、とりわけ、胸部X線、肺のCTスキャン、気管支鏡検査及び生検によって容易となる。
【0012】
[00012] 結腸直腸癌−結腸癌及び直腸癌は、癌関連死因の第2位であり、米国における全癌死のおよそ20%を占める。5年生存率は、およそ63%であり;遠隔転移は、10%未満のはるかに低い生存率を伴っている。結腸直腸癌と診断されたこれらの患者のおよそ60%は、治療の最標準が依然として肝切除のままである肝転移を発現するであろう。外科的治療にもかかわらず、肝切除後の患者の大半は再発を発現し、これらの再発のうちおよそ50%が肝臓内であろう。ほとんどすべての直腸結腸癌は、腺癌である。
【0013】
[00013] 診断の遅れは、結腸直腸癌の予後に有意に影響を及ぼす。もし初期に検出されるならば、結腸直腸癌は、多くの場合治療に成功し得る。このように、たとえば、腫瘍が腸壁に限定される患者は、概して、外科的切除後の治癒の見込みが優れている(5年生存率 >95%)。しかしながら、腫瘍が漿膜及び腸間膜脂肪にまで及ぶ場合、切除後の5年生存率は80%に下降する。リンパ節転移は5年生存率を40%に低下させ、一方で、遠隔転移(たとえば、肝臓、肺、骨、脳)は5年生存率を10%未満に低下させる。結腸直腸癌の症状は、疾患の初期段階では曖昧かつ非特異的なことが多いため、検出がしばしば遅れる。結果として、積極的診断が行われる時までに癌が確立されていることが多いため、治癒は困難または不可能である。結腸直腸癌は、概して、化学療法に対する応答が悪い。苦痛緩和が生じる可能性はあるが、化学療法は、特に疾患が広範囲に播種している場合、結腸直腸癌を有すると診断された患者の生命を延長することを示していない。
【0014】
[00014] 米国予防医療専門委員会(U.S. Preventive Services Task Force)(USPSTF)は、臨床家が50歳またはそれより高齢の男女を結腸直腸癌に関してスクリーニングすることを強く推奨している。USPSTFは、定期的な糞便潜血検査(FOBT)が結腸直腸癌による死亡率を低下させるという優れた証拠、及び、S状結腸鏡検査が単独で、またはFOBTと組み合わせて死亡率を低下させるという有望な証拠を見いだした。しかしながら、一般的に用いられる結腸直腸癌のスクリーニング検査は、偽陽性を生じる可能性があり、かつ偽陰性による疾患の検出の遅れの一因となる可能性がある。例えば、FOBTは糞便中の潜血を検出するが、これは、結腸の悪性腫瘍が、検出される前に出血期まで進行している必要がある。S状結腸鏡検査は、いずれの結腸直腸癌も目視可能なことが必要であり、かつ診断が、痔、ポリープ及び直腸炎などの他の病変の存在によって困難となる可能性がある。結腸鏡検査も同様の欠点がある。
【0015】
[00015] 腫瘍関連抗原に特異的なモノクローナル抗体(「moAb」)は、癌の研究、診断、モニタリング及び治療において大きな有望性を提供する。しかしながら、重大な実施上の問題が、ヒト及び他の哺乳動物におけるその幅広いin vivo使用の妨げとなっている。
【0016】
[00016] 主要な懸案事項は、非ヒト由来のモノクローナル抗体が免疫原性であることが多く、それによってその有効性が限定され、そして時として危険なアレルギー反応を引き起こされることである。ほとんどのmoAbはネズミ由来であり、かつ、ヒトに注射されるときに免疫原性であることが概して見いだされている。このような外来性moAbに対する免疫応答には、moAbに結合し、そしてその除去をもたらす特異的な高親和性抗体の産生が含まれ、これによってmoAbの有効性を、体からのそれの排除を促進し、そして標的腫瘍関連抗原へのそれの結合能を阻害することにより、実質的に低下させる。
【0017】
[00017] 非ヒト抗体の免疫原性を低下させる可能性のある多くの方法が、公知である。これらには、以下が含まれる:
・Cabillyらによる米国特許第4,816,567;Morrison, S. L.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984年);Boulianne, G. L.ら、Nature 312;643-646(1984年);Neuberger, M. S.ら、Nature 314:268-270(1985年)に記載のような、非ヒト抗体の重鎖及び軽鎖内の可変領域をヒト抗体の定常領域上に結合させることによる、キメラ抗体の創出。
・Winterによる米国特許第5,225,539、及びJones, P.T.ら、Nature 321:522-525(1986年);Riechmann, L.ら、Nature 332:323-327(1988年);Verhoeyen, M.ら、Science 239:1534-1536(1988年)に記載のような、非ヒト相補性決定領域(CDR)またはCDR配列を対応するヒト抗体の断片により置換すること(CDR移植としても公知)による、ヒト化抗体の創出。これはまた、例えばQueenらによる米国特許第5,530,101、第5,585,089、第5,693,762、第6,180,370、Carterらによる米国特許第6,054,297、第6,407,213及び第6,639,055、Adairによる米国特許第6,632,927、ならびにWinterによる米国特許第6,548,640に記載のように、抗原結合性を保持するために、ヒト抗体のいくつかのFR残基を非ヒト抗体の類似部位由来の残基により置換することを伴ってもよい。
・例えばPedersenらによる米国特許第5,639,641、Studnickaらによる米国特許第5,766,886及び第5,821,123、ならびにCarrらによる米国特許出願第10/300215に記載のような、非ヒト抗体の可変領域内の残基を選択的に置換すること(ベニアリングまたは表面再構築化としても公知)による、ヒト化抗体の創出。
・Jordanらによる米国特許第6,652,863に記載のような、抗体または抗体フラグメントと、非ヒト抗体または抗体フラグメントの免疫原性を低下させる自己抗原配列との連結。
【0018】
[00018] キメラもしくはヒト化抗体を創出する方法の数は、適切な抗体候補を開発する際に遭遇する困難を示唆している。得られる抗体が、標的の腫瘍関連抗原への親和性または特異性が非常に低く、好ましくない免疫応答をなお誘発し、実用的な量を発現することが非常に難しく、あるいは他の好ましくない特徴を有することを見いだすのは、まれなことではない。
【0019】
[00019] 別の主要な懸案事項は、抗体が標的とする腫瘍関連抗原に関する。治療の有効性は、抗原の腫瘍に対する特異性、腫瘍増殖におけるその役割、及び腫瘍細胞によるその発現に依存する。腫瘍関連抗原は、正常な組織において幅広く発現している可能性があり、それによってより高用量の治療有効用量が必要となり、かつ望ましくない副作用のリスクが増加する。該抗原は、わずかな比率の腫瘍のみで、任意の一腫瘍中のわずかな比率の細胞のみで、あるいは双方で、発現している可能性がある。該抗原は、腫瘍細胞によって分泌されるのみで、かつ腫瘍細胞表面上に発現していない可能性があり、このことが細胞毒性療法のターゲティングを、不可能でないにしてもより難しくしている。細胞表面上に発現している抗原に結合しても、細胞毒性剤の細胞内へのインターナリゼーション、及び所望の機能阻害が生じない可能性がある。
【0020】
[00020] これらの障壁にもかかわらず、かつ多くの試みの後に、少数のモノクローナル抗体が、規制当局の承認を得た。承認された抗体に基づく治療法には、以下が含まれる:
・ヒト上皮増殖因子2(HER2)と結合し、それによってHER2を過剰発現している転移性乳癌において腫瘍細胞の増殖及び遊走を阻害するヒト化モノクローナル抗体(moAb)である、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標登録))。これは、現在、単独での使用、またはHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌の治療用の化学療法剤であるパクリタキセルと組み合わせた使用に、適応されている。ハーセプチン(商標登録)は、非転移性乳癌の治療に関して臨床試験中であり、そして、骨肉腫、非小細胞肺癌、ならびに膵臓、唾液腺、結腸、前立腺、子宮内膜及び膀胱の癌を含む、HER−2タンパク質を過剰発現する可能性のある他の種類の癌に関しても、臨床試験が行われているところである。これは、ゲルダナマイシンなどの細胞毒素と複合体化している場合の使用についても、研究されている。
・CD52抗原と結合するヒト化moAbである、アレムツズマブ(Campath(商標登録))。これは、現在、難治性のB細胞慢性リンパ球性白血病の治療のための使用に適応されており、そして、他の慢性リンパ球性及び慢性骨髄性白血病の治療のための使用について研究されている。
・急性骨髄性白血病(AML)症例の約90%に発現するタンパク質であるCD33と結合するヒト化moAbである、ゲムツズマブ(Mylotarg(商標登録))。Mylotarg(商標登録)は、DNA鎖の破壊及び細胞アポトーシスを誘導する細菌毒素カリケアマイシンと複合体化している。これは、AML治療のための使用に適応されている。
・成熟B細胞表面上に見つけられる抗原であるCD20と結合し、それによって体の免疫系による破壊のために細胞を標識するキメラmoAbである、リツキシマブ(リツキサン(商標登録))。これは、再発性もしくは難治性、低悪性度または濾胞性のB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の治療のための使用に適応されている。これはまた、B細胞リンパ腫及び慢性リンパ球性白血病の治療のための使用に関しても、研究中である。
・β線放射ラジオアイソトープであるイットリウム−90(90Y)と複合体化しており、またCD20とも結合し、そして標的及び近隣の細胞において細胞損傷を誘導するネズミmoAbである、イブリツモマブ(Zevalin(商標登録))。これは、リツキサン(商標登録)と併用したNHL治療のための使用に適応されている。
・CD20とも結合し、そして別のラジオアイソトープであるヨウ素−131(131I)と複合体化しているネズミmoAbである、トシツモマブ(Bexxar(商標登録))。これは、リツキサン(商標登録)を用いた化学療法後の再発性NHLの治療のための使用に適応されている。
・上皮細胞接着分子と結合するネズミmoAbである、エドレコロマブ(Panorex(商標登録))。これは、結腸直腸癌の治療のための使用について、欧州で承認されており、そして米国では、結腸直腸癌及び乳癌の第III相臨床試験中である。
【0021】
第III相臨床試験中の他の治療用抗体には、以下が含まれる:
・上皮増殖因子受容体(EGFR)と結合し、そして頭頸部癌、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、乳癌、ならびに膵臓及び前立腺の癌の治療に関して研究中のキメラmoAbである、セツキシマブ(Erbitux(商標登録))。
・血管内皮増殖因子(VEGF)と結合し、そして転移性結腸直腸癌、乳癌及び非小細胞肺癌の治療に関して研究中のヒト化moAbである、ベバシズマブ(Avastin(商標登録))。
【0022】
[00021] ヒト化抗体及び抗体フラグメントもまた、ファージディスプレイ、細菌もしくは酵母細胞表面ディスプレイなどのその特徴及び性能を向上させるように設計された方法(例えば、Kiekeら、米国特許第6,300,065、及びWittrupら、米国特許第6,423,538)、ならびに他の関連する分子進化技術(例えば、Coら、米国特許第5,714,350)の応用を介して、最適化された新たな治療法を生み出すのに、有用である。
【0023】
[00022] キメラ及びヒト化抗体、ならびに抗体フラグメントはまた、癌の診断、病期分類及び治療モニタリングにおいても使用される。In vivo半減期の増強及び免疫原性の低下により、放射性核種または共鳴画像剤などの検出可能な標識が抗体または抗体フラグメントと複合体化している場合、in vivo免疫画像法に対して潜在的にはより実用的となる。このような抗体及び抗体フラグメントは、腫瘍が抗原を発現しているかどうかの治療開始前における決定、抗体の局所的投与部位の決定、及び治療後の再発の検査においても、使用される。他の抗体と同様に、このような抗体は、免疫組織診断及び免疫アッセイにおいても使用される。
【0024】
[00023] AF−20腫瘍関連抗原は、ヒト肝細胞癌(HCC)細胞上、ならびに肺腺癌細胞及び結腸直腸癌細胞などの遠隔転移部に豊富に発現する、急速にインターナライズされる180kDaのホモ二量体型細胞表面糖タンパク質である。AF−20抗原は、マウスを肝細胞癌細胞株FOCUSで免疫し、そして細胞株パネル上でハイブリドーマを抗体活性についてスクリーニングすることにより発見された高親和性ネズミモノクローナル抗体(AF−20 moAb)を用いて、見いだされた。AF−20抗原は、HCC組織に隣接する正常な肝組織においても、副腎を除く他の正常組織においても、発現することが見いだされていない。低レベルのAF−20抗原の発現は、副腎球状帯の細胞亜集団上、及び小腸管の腺窩細胞上に、見いだされている。(Wandsら、米国特許第5,703,213;Wilsonら、"Cell-surface changes associated with transformation of human hepatocytes to the malignant phenotype", Proc Natl Acad Sci U S A(1988年;85:3140-4);Takahashiら、"In vivo expression of two novel tumor-associated antigens and their use in immunolocalization of human hepatocellular carcinoma", Hepatology(1989年;9:625-34);Moradpourら、"Specific targeting of human hepatocellular carcinoma cells by immunoliposomes in vitro", Hepatology(1995年;22:1527-37);Wandsら、"Immunological approach to hepatocellular carcinoma", J Viral Hepat(1997年;4 Suppl 2:60-74);Mohrら、"Targeted gene transfer to hepatocellular carcinoma cells in vitro using a novel monoclonal antibody-based gene delivery system", Hepatology(1999年;29:82-9);Yoonら、"Targeting a recombinant adenovirus vector to HCC cells using a bifunctional Fab-antibody conjugate", Biochem Biophys Res Commun.(2000年;272:497-504);Palumboら、"Human aspartyl (asparaginyl) beta-hydroxylase monoclonal antibodies: potential biomarkers for pancreatic carcinoma", Pancreas(2002年;25:39-44);Yoonら、"Targeted cancer therapy using chimeric immunotoxin of AF-20 monoclonal antibody with Pseudomonas exotoxin for hepatocellular carcinoma"(非公表抄録、2002年6月)を参照されたい;これらの各々の開示は、参照によって本明細書に援用される。)
[00024] AF−20 moAbは、免疫標的剤及び免疫画像剤の両方としての潜在性を示している。125Iで放射性標識されているAF−20は、in vivo放射性画像法用ヌードマウスモデルにおいて、皮下腫瘍として増殖しているB型肝炎ウイルス関連肝細胞癌細胞株(FOCUS)の場所を見つけるために用いることに成功している。核画像法研究は、腫瘍組織のはっきりとした視覚化を示し、潜在的な免疫ターゲティング剤または免疫画像剤としてのAF−20 moAbの良好な特異性及び感受性を実証した。
【0025】
[00025] AF−20 moAbは、HCC細胞によって急速にインターナライズされることが見いだされており、これにより、AF−20抗原を発現している腫瘍細胞への細胞毒性剤の標的化送達または遺伝子治療の優れた候補となっている。結合する腫瘍細胞内にインターナライズすることができない腫瘍関連抗原に対する抗体は、細胞内のその作用部位に到達できないことから、概して、このような標的化送達には有用でない。ある研究(Yoon、2002年、同上)において、緑膿菌外毒素と複合体化したAF−20 moAbが、in vitroにおいてはHCC細胞で、そしてin vivoにおいてはHCC異種移植片を有するヌードマウスで、強力な抗腫瘍活性を有することが見いだされた。別のアプローチ(Moradpour、同上)においては、AF−20 moAbを、カルボキシフルオレセインを含有するリポソームと共有結合によりカップリングさせた。AF−20免疫リポソームは、HCC、及びAF−20抗原を発現している他のヒト癌細胞株に特異的に結合し、そして37℃にて急速にインターナライズした。AF−20複合体化リポソームとこれらの細胞株との相互作用は、複合体化していないリポソームでのものよりも5〜200倍大きかったが、一方で、無関係の抗体を保有する対照リポソームと複合体化していないリポソームとの間に、違いは認められなかった。動力学解析により、AF−20免疫リポソームと標的細胞とが急速に会合し、60分後に飽和状態に達することが、示された。
【0026】
[00026] AF−20 moAbはまた、実験における標的化遺伝子送達システムを開発するためにも用いられている。あるこのようなアプローチにおいて、二機能性Fab−抗体複合体(2Hx−2−AF−20)からなる特異的なアデノウイルス遺伝子送達システムを、AF−20 moAbと抗ヘキソン抗体Fabフラグメントとの架橋によって作出した。AF−20抗原陽性のHCC細胞において、複合体コンプレックスが37℃にて急速にインターナライズされることが見いだされ、かつレポーター遺伝子の発現レベルの増強が認められたが、しかしAF−20抗原陰性の対照細胞においてはこのようなことはみられなかった。別のアプローチにおいて、肝細胞癌(HCC)細胞への遺伝子送達のために、AF−20 moAbを、DNAが結合しているカチオン性両親媒性物質コレステリル−スペルミンと結合させた。AF−20−コレステリル−スペルミンの結合及びインターナリゼーションを、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)標識抗マウスIgG抗体を用いて、蛍光顕微鏡により確認した。AF−20−コレステリル−スペルミンと複合体を形成しているルシフェラーゼもしくはβ−ガラクトシダーゼレポーター遺伝子をトランスフェクトしたところ、AF−20抗原陽性の腫瘍細胞において高レベルの遺伝子発現を生じた。
【0027】
[00027] 上記の考察が示すように、特に肝細胞癌、肺腺癌及び結腸直腸癌に対して癌治療の差し迫った必要性がある。ネズミモノクローナル抗体AF−20 moAbは、これらの腫瘍及びその転移部に標的化療法を送達する手段として有望であるが、しかし効果的であるためには、免疫原性を低下させるか、また好ましくは免疫原性をなくす必要がある。したがって、AF−20抗原に対する親和性及び特異性を保持する、AF−20 moAb由来のキメラ及びヒト化抗体の必要性がある。
【0028】
[00028] 公知の組成物、方法及びシステムに関連する不利点及び有害特性についての本明細書での記載は、本発明の範囲をその除去に限定することを全く意図するものではない。実際に、本発明の実施態様には、一部の、または1もしくはそれより多くの公知の組成物、方法及びシステムが、不利点及び有害特性を被ることなく含まれてもよい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0029】
実施態様の概要
[00029] 本発明の実施態様は、AF−20との好ましい親和性を保持し、かつ少なくとも三つの主要な破壊的な癌の治療への重要な新たなアプローチを提供するキメラ及びヒト化抗体の、驚くべき発見および開発によって、利用可能となる。
【0030】
[00030] 本発明の一実施態様は、肝細胞癌、肺腺癌、結腸直腸癌及び他の癌に関連するAF−20抗原を認識可能なキメラ及びヒト化抗体ならびにそのフラグメント(「AF−20抗体」)を、包含する。本発明の好ましい実施態様は、キメラ抗体及び本明細書に記載されるヒト化抗体に関し、VR、FR及びCDRポリペプチド、ならびにこれらをコードするポリヌクレオチドの配列が含まれる。
【0031】
[00031] 本発明の別の実施態様は、非ヒトAF−20抗体及びヒト化AF−20抗体における本明細書に記載のVR、FR及びCDRポリペプチド(「VR、FR及びCDR」)、ならびにそれをコードするポリヌクレオチドの他に、AF−20抗原を認識可能な新規の抗体及びポリペプチド組成物の創出におけるこれらのポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用を、包含する。
【0032】
[00032] 本発明のさらなる実施態様は、AF−20抗体ポリペプチド、VR、FR及びCDRをコードするポリヌクレオチドを提供する。プロモーター配列と機能可能に連結されている、AF−20抗体ならびにVR、FR及びCDRをコードするポリヌクレオチドを含んでなる種々の発現ベクターもまた、提供される。同様に、本発明の別の実施態様は、AF−20抗体、VR、FR及びCDR発現用の発現ベクターで形質転換した宿主細胞を、意図する。
【0033】
[00033] 本発明の実施態様はまた、肝細胞癌、肺腺癌、結腸直腸癌、及びAF−20抗原を発現する他の癌の診断、評価及び治療のためのAF−20抗体の使用にも、関連する。本発明のさらなる実施態様は、化学療法薬、ペプチドもしくは放射性核種などの細胞毒性剤、サイトカインなどの免疫応答促進剤、プロドラッグまたは遺伝子治療の標的化送達システムとしての、このような抗体の使用に、関する。
【0034】
[00034] 本発明の別の実施態様は、親和性、特異性、安定性または他の望ましい特徴が増強されたポリペプチドを作出するための、ファージディスプレイまたは細菌もしくは酵母細胞表面ディスプレイ技術などの関連する分子進化技術における、ヒト化AF−20抗体、ならびにそのVR、FR及びCDRの使用に関する。
【0035】
[00035] 本発明の他の目的、特性及び特徴は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することによって明らかとなるであろう。
【0036】
詳細な説明
[00047] 一般に、以下の言葉または言い回しは、説明、実施例及び特許請求の範囲において用いられる場合、示された定義を有する。
【0037】
[00048] 「AF−20」または「AF−20抗原」の表現は、米国特許第5,703,213に記載され(ここでその開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される)、かつ、1988年4月12日にブダペスト条約のもとAmerican Type Culture Collection(「ATCC」)に寄託され、そしてATCC寄託受入番号HB 9687を与えられたハイブリドーマ細胞株によって産生されるネズミ抗体と結合可能な腺癌細胞抗原を、指す。
【0038】
[00049] 「AF−20 moAb」、「AF−20抗体」または「AF−20モノクローナル抗体」の表現は、AF−20抗原と結合可能な非ヒト抗体及びそのフラグメントを指す。これらの表現には、具体的には、米国特許第5,703,213に記載及び主張され、かつ、1988年4月12日にブダペスト条約のもとAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、そしてATCC寄託受入番号HB 9687を与えられたハイブリドーマ細胞株により産生されるネズミ抗体が、含まれる。
【0039】
[00050] 本明細書では、「ATCC」とは、10801 University Boulevard, Manassas, Virginia, 20110-2209、米国にあるAmerican Type Culture Collection(ATCC)を意味するものとする。「NYR−1002」は、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB 9687により産生されるネズミ抗体を指す。
【0040】
[00051] 「定常領域」または「CR」という表現は、抗体と抗原との結合に直接的には関与しないが、しかし抗体の抗体依存性細胞毒性への関与などの種々のエフェクター機能に関与する、抗体の定常ドメインを指す。
【0041】
[00052] 脊椎動物における抗体の一般的な構造は、現在、かなり解明されている(Edelman, G.M., Ann. N.Y.Acad.Sci. 190:5(1971年))。抗体は、分子量およそ23,000ダルトンの2本の同一な軽ポリペプチド鎖(「軽鎖」)、及び分子量53,000〜70,000の2本の同一な重鎖(「重鎖」)からなる。4本の鎖は、ジスルフィド結合によって「Y」形に連結され、ここで軽鎖は「Y」形の口から重鎖と一括りとなっている。「Y」形の「枝分かれ」部はFab領域と命名され;「Y」形の幹部はF領域と命名されている。アミノ酸配列の配向は、「Y」形上端のN末端から各鎖下端のC末端へと流れている。N末端は、これを誘発する抗原への特異性を有する可変領域を有し、かつ、軽鎖と重鎖との間、及び抗体間でわずかな差異はあるが、およそ100アミノ酸長である。
【0042】
[00053] 可変領域は、各鎖において、残りの鎖長の延長上にあって、かつ特定の抗体クラス内で抗体の特異性(すなわち、それを誘発する抗原)によって変化しない定常領域と、連結している。免疫グロブリン分子のクラスを決定する、五つの公知の主要なクラスの定常領域がある(IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEは、γ、μ、α、δ及びε(ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロン)重鎖定常領域に対応する)。定常領域またはクラスは、補体活性化(Kabat, E. A.、Structural Concepts in Immunology and Immunochemistry、第2版、413〜436頁、Holt, Rinehart, Winston(1976年))及び他の細胞応答(Andrews, D. W.ら、Clinical Immunobiology、1〜18頁、W. B. Sanders(1980年);Kohl, S.ら、Immunology, 48:187(1983年))を含む、引き続き起こる抗体のエフェクター機能を定め;一方、可変領域は、それが反応するであろう抗原を定める。軽鎖は、κ(カッパー)またはλ(ラムダ)のいずれかとして分類される。各重鎖クラスは、カッパーまたはラムダ軽鎖のいずれかとともに調製されることが可能である。免疫グロブリンが、ハイブリドーマまたはB細胞のいずれかによって生成するとき、軽鎖及び重鎖は互いと共有結合し、かつ2本の重鎖の「尾」部は、ジスルフィド共有結合によって互いと結合している。
【0043】
[00054] 「可変領域」または「VR」の表現は、抗体と抗原との結合に直接的に関与する、抗体における軽鎖と重鎖の各対内のドメインを指す。各重鎖は、一方の端に、多数の定常ドメインに続く可変ドメイン(V)を有する。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(V)を、そしてもう一方の端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは、重鎖の第一定常ドメインと並び、そして軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変ドメインと並んでいる。
【0044】
[00055] 「相補性決定領域」、「超可変領域」または「CDR」の表現は、抗体の軽鎖もしくは重鎖の可変領域内に見つけられる超可変領域または相補性決定領域(CDR)の1またはそれより多くを指す(Kabat, E. A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州(1987年)を参照されたい)。これらの表現には、Kabatらにより定義された超可変領域(「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、Kabat E.ら、米国保健省(US Dept. of Health and Human Services)、1983年)、または抗体の三次元構造における超可変ループ(Chothia及びLesk、J Mol. Biol. 196 901-917(1987年))が含まれる。各鎖内のCDRは、フレームワーク領域に近接して保持され、そしてもう一方の鎖由来のCDRとともに、抗原結合部位の形成に寄与する。
【0045】
[00056] 「フレームワーク領域」または「FR」の表現は、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のフレームワーク領域の1またはそれより多くを指す(Kabat, E. A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州(1987年)を参照されたい)。これらの表現には、抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域内のCDR間にあるそれらのアミノ酸配列領域が含まれる。
【0046】
[00057] CDR及びFRの残基は、標準的な配列定義(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州(1987年))及び構造定義(Chothia及びLesk、J. Mot. Biol. 196:901-217(1987年)にあるような)にしたがって決定される。これらの二つの方法が、わずかに異なるCDR同定を生じる結果となる場合は、構造定義のほうが好ましいが、しかし配列定義法により同定される残基は、どのフレームワーク残基をコンセンサス配列に移入すべきかを決定するための重要なFR残基であると考えられる。
【0047】
[00058] この説明全体において、Kabat, E. A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州(1987年)及び(1991年))による番号付けスキームを参照している。これらの概論において、Kabatは、各サブクラスにつき多くの抗体アミノ酸配列を掲載し、かつ、そのサブクラスにおける各残基の位置に最も一般的に生じるアミノ酸を掲載している。Kabatは、掲載された配列において、各アミノ酸に残基番号を割り当てるための方法を用い、そして残基番号を割り当てるための本方法はこの分野における標準となっている。Kabat番号付けスキームは、この説明に従っている。
【0048】
[00059] Kabatの概論に含まれていない候補の抗体アミノ酸配列に残基番号を割り当てる、本発明の目的のためには、以下の工程に従う。一般には、候補の配列を、Kabatにおける任意の免疫グロブリン配列または任意のコンセンサス配列と配列比較する。配列比較は、手作業で行われてもよく、または一般に受け入れられているコンピュータープログラムを用いてコンピューターにより行われてもよい。配列比較は、ほとんどのFab配列に共通するいくつかのアミノ酸残基を用いることにより容易となってもよい。例えば、軽鎖及び重鎖は、それぞれ、典型的には、同じ残基番号を持つ2個のシステインを有し;Vドメインでは、その2個のシステインは典型的には残基番号23及び88にあり、そしてVドメインでは、その2個のシステインは典型的には残基番号22及び92にある。
【0049】
[00060] フレームワーク残基は、一般に、しかし常ではないが、ほとんど同じ残基番号を有するが、しかしながらCDRは大きさが様々であろう。例えば、配列比較を行うKabatの配列内のCDRよりも長い候補配列由来のCDRの場合、典型的には、さらなる残基の挿入を示すために、添え字を残基番号に加える。例えば、残基34及び36についてKabat配列と配列比較するが、しかし残基35と配列比較するための残基がその間にない候補配列に関して、この番号35は、単に残基に割り当てられない。
【0050】
[00061] 「抗体」の語は、最も広い意味にて用いられ、そして具体的には、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む)及び多エピトープ特異性を有する抗体組成物を、網羅する。「抗体」の語には、明らかなバリアント、誘導体、アナログ、フラグメント、ミメティックも含まれ、そのすべては、規定された抗体の結合の特徴及び他の特性を実質的に保持する。
【0051】
[00062] 「モノクローナル抗体」(moAb)の表現は、本明細書では、実質的に均一の抗体集団から得られる抗体を指す。すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、少数存在する可能性のある起こりうる自然発生突然変異を除けば、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であって、抗原の一つのエピトープ領域に対して指向する。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含む慣用の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各moAbは、抗原上の一つの決定基に対して指向する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらがハイブリドーマ培養によって合成可能であり、他の免疫グロブリンが混入していないという点で、好都合である。
【0052】
[00063] 「モノクローナル」との修飾語は、実質的に均一な抗体集団から得られるものとしての抗体の特徴を示し、かつ任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものとして解釈されるものではない。例えば、本発明にしたがって用いられるモノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256:495(1975年)により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作られてもよく、あるいは組換えDNA法(例えば、Cabillyらによる米国特許第4,816,567を参照されたい)によって作られてもよい。「モノクローナル抗体」には、例えば、Clacksonら、Nature 352:624-628(1991年)及びMarksら、J. Mol. Biol. 222:581-597(1991年)に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリから単離された、抗原認識部位及び結合部位を含有する抗体フラグメントのクローン(Fvクローン)もまた、含まれる。
【0053】
[00064] 「抗体フラグメント」及びすべての文法上のそのバリアントは、本明細書では、抗原結合部位を含んでなる無傷の抗体または無傷の抗体の可変領域の一部分として定義され、ここで該一部分は、無傷の抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに依存してCH2、CH3及びCH4、)を含まない。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)及びFvフラグメント;二重特異性抗体(diabody);隣接するアミノ酸残基の一つの中断されていない配列からなる一次構造を有するポリペプチドである、任意の抗体フラグメント(本明細書では、「一本鎖抗体フラグメント」または「一本鎖ポリペプチド」と称される)が含まれ、ここで後者には非限定的に、(1)一本鎖Fv(scFv)分子;(2)付随する重鎖部分を含まない、軽鎖可変ドメインを一つのみ含有する一本鎖ポリペプチド、または軽鎖可変ドメインの三つのCDRを含有するそのフラグメント;及び、(3)付随する軽鎖部分を含まない、重鎖可変ドメインを一つのみ含有する一本鎖ポリペプチド、または重鎖可変ドメインの三つのCDRを含有するそのフラグメントが含まれる。本発明の抗体フラグメントは、前述の抗体フラグメントから形成される多特異的または多価構造を、さらに包含する。1またはそれより多くの重鎖を含んでなる抗体フラグメントにおいて、重鎖は、以下のうちの任意の一つを含有することが可能である:
・無傷の抗体の非Fc領域内に見つけられる、1またはそれより多くの定常ドメイン配列(例えば、IgGアイソタイプにおけるCH1)、及び/または、
・無傷の抗体内に見つけられる、任意のヒンジ領域配列、及び/または、
・ヒンジ領域配列もしくは重鎖の定常ドメイン配列と融合しているか、または該配列内に位置する、ロイシンジッパー配列。適切なロイシンジッパー配列には、Kostelneyら、J. Immunol. 148:1547-1553(1992年)により教示されるjun及びfosロイシンジッパー、ならびに以下の実施例に記載するGCN4ロイシンジッパーが、含まれる。
【0054】
[00065] 「キメラ抗体」の表現は、別のタンパク質の少なくとも別の部分(好ましくは、ヒト抗体の定常領域)と連結している、AF−20と結合する非ヒト抗体の可変領域を含んでなるポリペプチドを、指す。
【0055】
[00066] 「ヒト化」の語は、それが「ヒト化」抗体に関連する限りでは、ヒト抗体の修飾された可変領域を含んでなるポリペプチドであって、当該可変領域の一部分(好ましくは、無傷のヒト可変ドメインよりも実質的に少ない一部分)が非ヒト種由来の対応する配列によって置換され、そして当該修飾された可変領域が別のタンパク質の少なくとも別の部分(好ましくは、ヒト抗体の定常領域)と連結しているものを指す。「ヒト化抗体」の表現には、一部もしくはすべてのCDR残基及び/または場合により一部のFR残基が、AF−20抗原に結合可能なげっ歯類または他の非ヒト抗体における類似部位由来の残基により置換されているヒト抗体が、含まれる。「ヒト化抗体」の表現には、AF−20抗原に結合可能であって、かつヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するFR領域、及び非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含んでなる、免疫グロブリンアミノ酸配列バリアントまたはそのフラグメントも、含まれる。
【0056】
[00067] 概して、ヒト化抗体は、CDR領域のすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものと対応し、かつFR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列である、少なくとも一つ、そしてより好ましくは二つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、Fabc、Fv)の実質的にすべてを含んでなるであろう。ヒト化抗体はまた、最適には、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)を含んでなるであろう。通常、該抗体は、軽鎖と、重鎖の少なくとも可変ドメインの双方を、含有するであろう。該抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3及びCH4領域も含んでよい。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリン、ならびにIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含む任意のアイソタイプから選択されてもよい。通常は、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞毒性活性を呈することが望ましい場合、補体結合定常ドメインであり、かつクラスは典型的にはIgG、そして好ましくはIgG1である。このような細胞毒性活性が望ましくない場合、定常ドメインは、IgG2クラスからなってもよい。ヒト化抗体は、1より多くのクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含んでなってもよく、そして所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当該技術分野における通常の技術の範囲内である。ヒト化抗体のFR及びCDR領域は、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、移入CDRまたはコンセンサスFRを、その部位のCDRまたはFR残基がコンセンサスまたは移入抗体のいずれとも対応しないように、1またはそれより多くの残基の置換、挿入または欠失によって突然変異誘発させてもよい。しかしながら、このような突然変異は、広範ではなく、かつ結合標的への抗体の結合に劇的には影響を及ぼさないであろう。
【0057】
[00068] 「ヒト化抗体」の表現には、抗AF−20抗体の可変領域または1もしくはそれより多くのCDRをスプライシングすることによって生成される、任意の異種タンパク質とのハイブリッド及び組換え抗体ならびにポリペプチドも、ハイブリッド及び組換え抗体ならびにポリペプチドが所望の生物学的活性を呈する限り、元の種、タンパク質の種類、免疫グロブリンクラスまたはサブクラス指定にかかわらず、含まれる。
【0058】
[00069] さらに、「ヒト化抗体」の表現には、抗体またはポリペプチドのアミノ酸配列の少なくとも一部(好ましくは、非ヒト抗体のVまたはV領域などの非ヒト由来のその一部)を決定し、該アミノ酸配列内で1またはそれより多くのヒトT細胞に対する潜在的なエピトープを同定し、そしてヒト免疫系に曝露する際にタンパク質またはその一部分の免疫原性を除去するかまたは低下させるために、同定されたT細胞エピトープのうちの少なくとも一つを除去するように1またはそれより多くのエピトープのアミノ酸配列を修飾する方法によって、ヒトに対する免疫原性がないか、または自然抗体と比較してヒトに対する免疫原性の低下した、抗体及びポリペプチドが、含まれる。ヒト化抗体の創出において、ヒト化抗体の残基の好ましくは約75%、より好ましくは約90%、そして最も好ましくは約95%超が、親FR及びCDR配列の残基と対応するであろう。
【0059】
[00070] 「T細胞エピトープ」の語句は、MHCクラスII分子に妥当な効率で結合するか、あるいは、先のもしくは他の研究から、MHCクラスII分子上での提示を介したT細胞刺激能を示す、特定のペプチド配列を指す。しかしながら、すべてのこのようなペプチド配列が、MHCクラスIIとの結合のための正しいMHCクラスII細胞コンパートメント内に送達されるわけではなく、あるいは続いて起こるMHCクラスIIとの結合のためにより大きな細胞タンパク質から適切に放出されるわけではないことが、理解されよう。また、抗原提示細胞表面上のMHCクラスIIによって提示されるこのようなペプチドさえも、特定のペプチド配列に対する適切なT細胞特異性及び免疫系による寛容の欠如を含む理由により、T細胞応答を誘発することも、理解されよう。
【0060】
[00071] 「二機能性抗体」の表現は、腫瘍関連抗原などの一つの抗原部位に対する特異性を有する一方のアームを有してもよい抗体を指し、一方でもう一方のアームは、例えば、抗原を保有する腫瘍細胞に対して致死的な薬剤であるか、またはそれと結合しているハプテンなどの異なる標的を、認識する。あるいは、二機能性抗体は、各アームが、治療学的または生物学的に修飾されるべき細胞の腫瘍関連抗原の異なるエピトープに対する特異性を有するものであってもよい。いずれの場合においても、ハイブリッド抗体は、好ましくは、選択したハプテンに特異的な1またはそれより多くの結合部位、あるいは標的抗原(例えば、腫瘍、感染性生物体または他の疾患状態に関連する抗原)に特異的な1またはそれより多くの結合部位を持つ二重特異性を、有する。
【0061】
[00072] 生物学的な二機能性抗体は、例えば欧州特許出願EPA 0 105 360に記載され、該出願を当業者は参照する。このようなハイブリッドまたは二機能性抗体は、記載のように、細胞融合技術により生物学的に、または化学的に(特に架橋剤またはジスルフィド架橋形成試薬を用いて)得られてもよく、かつ、これらの抗体及び/またはそのフラグメントから構成されてもよい。このようなハイブリッド抗体を得るための方法は、例えば、1983年10月27日に公開された国際公開第W083/03679、及び1987年4月8日に公開された欧州特許出願EPA 0 217 577に開示されており、該出願の双方の開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。特に好ましい二機能性抗体は、「ポリドーム(polydome)」または「クアドローマ(quadroma)」から生物学的に調製されるものか、あるいは、ビス−(マレイミド(maleimideo))−メチルエーテル(「BMME」)などの架橋剤または当業者によく知られている他の架橋剤を用いて合成的に調製されるものである。
【0062】
[00073] 「複合体化している(conjugated)」の語は、ある分子が別の分子と、多数の手段により(例えば、共有結合、非共有結合、イオン結合または非イオン結合により)、直接的または間接的に連結することを意味する。共有結合には、チオエーテルリンカーまたはチオエステルリンカーなどの種々のリンカーによる結合が含まれる。直接的な連結は、ある分子と目的の別分子との結合を伴う。間接的な連結は、ある分子と目的でない別分子との結合を伴い、この別分子が橋としての役目を果たし、そして次に目的の分子と直接的または間接的に結合する。
【0063】
[00074] 「細胞毒性剤」の表現は、細胞に有害な任意の薬剤を意味する。例には、メトトレキサート、アミノプテリン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル、デカルバジンなどの代謝拮抗剤;メクロレタミン、チオテパ(thioepa)クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、マイトマイシンC、ロムスチン(CCNU)、1−メチルニトロソウレア、シクロホスファミド(cyclothosphamide)、メクロレタミン、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、cis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン及びカルボプラチン(パラプラチン)などのアルキル化剤;ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、デトルビシン、カルミノマイシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン及びビサントレンを含むアントラサイクリン系;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ブレオマイシン、カリケアマイシン、ミトラマイシン及びアントラマイシン(AMC)を含む抗生物質;ならびに、ビンカアルカロイド系、ビンクリスチン及びビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤(antimytotic agent)が含まれる。他の細胞毒性剤には、パクリタキセル(タキソール)、リシン、緑膿菌外毒素、ゲムシタビン、シトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、エトポシド、テノポシド、コルチシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、ミトタン(O,P’−(DDD))、インターフェロン、ならびにこれらの細胞毒性剤の混合物が含まれる。
【0064】
[00075] 特に好ましい実施態様において、細胞毒性剤には、米国出願第10/153,334、第10/198,070、第10/198,069及び第10/294,891に開示されるNTPペプチドの1またはそれより多くが含まれ、該出願のそれぞれの開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。これらのNTPペプチド、NTPペプチドフラグメント等は、腫瘍細胞壊死を促進するために、本明細書に記載されるヒト化抗体と結合していてもよい。
【0065】
[00076] 「オリゴヌクレオチド」は、本明細書では、公知の方法(1988年5月4日に公開されたEP 266,032に記載されるものなどの固相技術を用いるか、またはFroehlerら、Nucl. Acids Res. 14:5399-2407(1986年)に記載されるようなデオキシヌクレオシド H−ホスホン酸塩中間体を介した、ホスホトリエステル、リン酸塩またはホスホラミダイト化学など)によって化学合成される、短い長さの一本鎖または二本鎖デオキシヌクレオチドを示す。次いで、それらは、ポリアクリルアミドゲル上で精製される。
【0066】
[00077] 「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」技術は、本明細書では、核酸、RNA及び/またはDNAの微量の特定の一片を、1987年7月28日に発行された米国特許第4,683,195に記載されるように増幅する手順を、一般に指す。一般には、目的の、またはそれを超える領域の末端からの配列情報を、オリゴヌクレオチドプライマーを設計可能なように利用可能である必要があり;該プライマーは、増幅する鋳型の逆鎖と配列が同一であるか、または類似する。この二つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅される材料の末端と一致してもよい。PCRを、特定のRNA配列、全ゲノムDNA由来の特定のDNA配列、及び、全細胞RNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列等から転写されたcDNAを増幅するために用いることが可能である。一般には、Mullisら、Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51:263(1987年);Erlich編集、PCR Technology(Stockton Press社、ニューヨーク州、1989年)を参照されたい。本明細書では、PCRは、核酸試験試料を増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一つの、しかし唯一ではない例であると考えられ、公知の核酸(DNAまたはRNA)のプライマーとしての使用を含んでなり、そして、核酸ポリメラーゼを利用して、核酸の特定の一片を増幅または作出するか、あるいは特定の核酸と相補的な核酸の特定の一片を増幅または作出する。
【0067】
[00078] 本明細書で用いる「治療」は、療法的な治療と予防的な(prophylactic)または予防的な(preventative)手段の双方を指す。治療の必要がある者には、すでに障害を有している者、ならびに障害を有する傾向がある者または障害が予防されるべき者が含まれる。
【0068】
[00079] 本明細書に記載される実施態様の特徴は、癌細胞、そして特に肝細胞癌細胞ならびに結腸及び肺の腺癌細胞に関連する腺癌細胞抗原AF−20と結合可能な、ヒト化及びキメラ抗体、そのフラグメント、ポリペプチドまたは誘導体に関する。より具体的には、実施態様は、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB9687によって産生されるネズミモノクローナル抗体、またはAF−20と特異的に結合する他の非ヒト抗体に由来する、ヒト化及びキメラ抗体、そのフラグメント、ポリペプチドまたは誘導体に関する。本明細書に記載される実施態様はまた、本発明のヒト化及びキメラ抗体、そのフラグメント、ポリペプチドまたは誘導体を発現する核酸配列、このようなAF−20に特異的なヒト化及びキメラ抗体、フラグメント、ポリペプチド及び誘導体を産生するための方法、このようなヒト化及びキメラ抗体、フラグメント、ポリペプチド及び誘導体を用いてAF−20に特異的な他のポリペプチド、バリアント及び誘導体を作出するための方法、このようなヒト化及びキメラ抗体を分泌可能な継続的なハイブリドーマ細胞株、このようなヒト化もしくはキメラ抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体を含有する医薬用及び診断用組成物、ならびに癌の治療または診断のためのその使用法にも関する。
【0069】
[00080] 本明細書に記載される種々の実施態様は、AF−20と結合可能なネズミAF−20抗体由来のキメラ及びヒト化抗体の創出によって生じる。驚くべきことに、キメラ抗体chNYR−1002及びヒト化抗体huNYR−1002は、AF−20抗原と結合可能なことが判明した。
【0070】
[00081] 本発明の一実施態様は、NYR−1002のネズミ可変領域V及びVがヒトIgG1またはK定常領域上でそれぞれ連結している、AF−20抗体のキメラ誘導体chNYR−1002を、提供する。他の実施態様には、NYR−1002のネズミ可変領域V及びVと連結するために用いられるIgG2またはλ定常領域などの異なるヒト定常領域を有する、NYR−1002の他のキメラ誘導体が含まれる。
【0071】
[00082] 別の実施態様は、潜在的なヒトT細胞エピトープが(chNYR−1002のV及びV領域のアミノ酸配列内に)同定されている、chNYR−1002キメラ抗体のヒト化誘導体であるhuNYR−1002、ならびに、抗体の免疫原性を除去または低下させるために、同定されたT細胞エピトープの1またはそれより多くを除去するよう修飾された、推定されるT細胞エピトープのアミノ酸配列を、提供する。実施態様は、IgG2またはλ定常領域などの異なるヒト定常領域が、huNYR−1002に含有されるNYR−1002のヒト化可変領域V及びVと連結するために用いられている、NYR−1002のヒト化誘導体もまた、包含する。
【0072】
[00083] さらなる実施態様は、NYR−1002のV及びV領域内に同定されるCDRのアミノ酸配列及びそれに対応する核酸配列:軽鎖のCDR1(配列番号)、CDR2(配列番号)及びCDR3(配列番号)、ならびに重鎖のCDR1(配列番号)、CDR2(配列番号)及びCDR3(配列番号)、を提供する。しかしながら、これらのCDRのアミノ酸配列を、修飾してもよい。各CDRのアミノ酸配列を、アミノ酸置換、挿入及び/または欠失によって好ましくは10%まで、より好ましくは20%まで、より好ましくは30%まで、そしてよりいっそう好ましくは40%まで、変化させてもよいが、但し、該アミノ酸配列を含んでなる結果として得られるヒト化抗体が結合標的に対してその結合特異性を維持する。したがって、各CDRは、1、2またはそれより多くのアミノ酸置換、挿入及び/または欠失を含んでもよい。好ましくは、各CDRのアミノ酸配列は、本発明に開示される特定のCDRの配列と実質的には相同性である。当業者は、特定のアミノ酸配列の列挙が、配列の活性及び有用性が実質的に保持される限り、その列挙内にこれらの修飾のすべてを本質的に含むことを理解するであろう。
【0073】
[00084] 本明細書に提供されるポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、例えば、ヒト抗体の可変領域のCDR領域を置換することによって、他のヒト化抗体を作出するのに、有用である。これらの配列は、ヒト抗体の可変領域内のCDR領域を置換することによって、ヒト可変領域がNYR−1002のマウス可変領域と有意な相同性を共有している、他のヒト化可変領域を作出するのにも、有用である。これらの配列は、AF−20抗原と結合可能なポリペプチドを創出するのにも、有用である。本明細書に提供されるポリヌクレオチド及びポリペプチド配列は、このような抗体のライブラリまたはバンクに含有されるものなどの、ヒトまたはヒト化抗体の有意に相同性のCDRを同定するのにも、有用である。実施態様は、ヒト化抗体における元のCDRのうち1またはそれより多くが、本明細書に記載されるCDRによって置換されている、ヒト化抗体及び抗体フラグメントを、さらに包含する。実施態様はまた、本発明のCDRのうち1またはそれより多くを含有する二重特異性抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドも包含する。
【0074】
[00085] 本明細書に記載される実施態様には、本明細書に記載のヒト化抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、可変領域及びCDRと実質的に相同性のバリアント及び同等物が、さらに含まれる。これらは、例えば、保存的置換の変異(すなわち、類似アミノ酸による1またはそれより多くのアミノ酸の置換)を含有してもよい。例えば、保存的置換は、同じ一般分類内の別のアミノ酸によるアミノ酸の置換(例えば、ある酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換、ある塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換、またはある中性アミノ酸の別の中性アミノ酸による置換)を指す。保存的アミノ酸置換の意図するところは、当該技術分野において周知である。
【0075】
[00086] 「実質的に相同性」の語句は、本明細書では、対象の(オリゴペプチドもしくはポリペプチド、またはタンパク質の)アミノ酸配列と、関連する参照アミノ酸配列との類似性に関して、用いられる。典型的には、この語句は、対象配列と参照配列とが「配列比較」される場合(すなわち、対象配列及び/または参照配列中に、「空の」塩基の最小数が、配列間で一致して存在する塩基数を最大にするように挿入されている場合)、対象配列と参照配列との間での少なくとも約75%の「一致」(すなわち、同一のアミノ酸残基が平行に位置する状態)として、定義される。「空の」塩基は、対象配列及び参照配列の一部ではなく;また、対象配列中に挿入される「空の」塩基の最小数は、参照配列中に挿入される最小数とは異なってもよい。この定義において、参照配列と対象配列とは、双方のアミノ酸配列が、AF−20との結合能を有するAF−20抗体、抗体フラグメントもしくはポリペプチドであるタンパク質またはタンパク質の一部分を構成する場合に、「相関して」いると考えられる。これらのAF−20抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドを含んでなるタンパク質のそれぞれは、独立して、抗体、抗体フラグメント、ポリペプチド、あるいは、例えば融合タンパク質、二機能性及び多機能性抗体、一本鎖抗体もしくはその多量体等などの、二機能性または多機能性タンパク質であってもよい。
【0076】
[00087] 本発明のさらなる側面は、huNYR−1002のヒト化V及びV領域のアミノ酸配列及び対応する核酸配列を、提供する。これらの配列は、例えばヒト抗体の対応する可変領域に対する置換として、他のヒト化抗体を作出するのに、有用である。これらの配列はまた、このような抗体のライブラリまたはバンクに含有されるものなどの、ヒト抗体またはヒト化抗体の有意に相同性の可変領域を同定するのにも、有用である。これらの配列はまた、AF−20抗原と結合可能な抗体フラグメント及びポリペプチドを創出するのにも、有用である。実施態様は、ヒト化抗体中の元の可変領域の1またはそれより多くが本明細書に記載される可変領域により置換されている、ヒト化抗体及び抗体フラグメントを、さらに包含する。実施態様はまた、本明細書に記載されるヒト化可変領域の1またはそれより多くを含有する、二重特異性抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドも、包含する。
【0077】
[00088] 本発明の実施態様はまた、ファージディスプレイ技術、ならびに細菌及び酵母細胞表面ディスプレイ技術などの関連する分子進化技術に関して本明細書に記載される、ヒト化抗体、抗体フラグメント、CDR及びヒト化可変領域の使用も、包含する。ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348:552(1990年))を用いて、新規のヒト抗体及び抗体フラグメントを、可変領域の遺伝子、またはヒト化抗体もしくは抗体フラグメントをコードする遺伝子からin vitroで産生することが可能である。この技術にしたがって、抗体可変領域の遺伝子を、M13またはfdなどの、繊維状バクテリオファージの主要または主要でないコートタンパク質の遺伝子中にインフレームにクローニングし、そしてファージ粒子表面に機能的な抗体フラグメントとして提示する。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するため、抗体の機能的特性に基づいた選択の結果として、これらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択も行われる。このように、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣する。
【0078】
[00089] ファージディスプレイは、多様な形式にて行われることが可能であり;そして、その総説については、例えば、Johnsonら、Current Opinion in Structural Biology 3:564(1993年)を参照されたい。可変遺伝子断片を、ファージディスプレイに用いることが可能である。Clacksonら(Nature 352:624(1991年))は、免疫化マウス脾臓由来の可変領域遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリから、多様な一連の抗オキサゾロン抗体を単離した。自然な免疫応答において、抗体遺伝子は、高率の突然変異(体細胞超変異)を蓄積する。導入された変化の一部は、より高い親和性を授与するであろう。そして高親和性の表面免疫グロブリンを提示しているB細胞は、それに続く抗原曝露の間に、選択的に複製され、そして分化する。この自然の過程を、抗体遺伝子中に少数のランダム突然変異を導入する技術を用いることによって模倣することが可能である。この方法では、ヒト化抗体の親和性、特異性、免疫原性または他の特徴を改良し、そしてAF−20抗原と結合可能な新たなヒト化抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドを発見することが可能である。
【0079】
[00090] 別の実施態様は、AF−20と結合する他の非ヒトモノクローナル抗体に由来する、キメラ及びヒト化抗体ならびに抗体フラグメントを、包含する。所望の抗原に対するモノクローナル抗体の産生については、当該技術分野において周知である。米国特許第5,703,213は、マウスをFOCUS HCC細胞で免疫することによってAF−20抗原に対するマウスモノクローナル抗体を作出するある方法を、記載している。この方法は、マウス及び他の非ヒト宿主動物から他のAF−20抗体を作出するのに、適用可能である。
【0080】
[00091] 非ヒト抗体を作出する他の方法は、当該技術分野において周知であり、かつ、FOCUS HCC細胞による免疫、またはAF−20抗原が単離される場合もしくは単離されるならば該抗原自体による免疫に、適用されることが可能である。モノクローナル抗体は、Kohlerら、Nature 256:495(1975年)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作られてもよく、あるいは組換えDNA法(米国特許第4,816,567)により作られてもよい。ハイブリドーマ法では、マウス、またはハムスターもしくはマカクザルなどの他の適切な宿主動物を、抗原、及びモノホスホリルリピドA(MPL)/トレハロースジクリノマイコレート(TDM)(Ribi Immunochem. Research, Inc.、ハミルトン、モンタナ州)などのアジュバントを、複数部位に複数回皮下(sc)または腹腔内(ip)注射することによって、免疫する。2週間後に、動物を追加免疫し、そして7〜14日後に動物から血液を採取し、そして血清を抗原に対する力価についてアッセイする。動物を、力価がプラトーに達するまで追加免疫する。血清を動物から回収し、そしてプロテインA−セファロースクロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲルろ過、透析または抗原アフィニティクロマトグラフィなどの慣用の免疫グロブリン精製手順によって、ポリクローナル抗体を血清から単離する。
【0081】
[00092] 上述の方法は、免疫剤と特異的に結合するであろう抗体を産生するか、またはこれを産生可能なリンパ球を誘発するために、用いられる。あるいは、リンパ球を、in vitroで免疫してもよい。次いで、リンパ球を、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成することが可能である(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、59〜103頁(Academic Press社、1986年))。
【0082】
[00093] このように調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1またはそれより多くの物質を好ましくは含有する適切な培養培地中で、播種し、そして増殖させることが可能である。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠損するならば、ハイブリドーマ用培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(これらの物質は、HGPRT欠損細胞の増殖を妨げる)を含有するであろう(HAT培地)。
【0083】
[00094] 好ましい骨髄腫細胞とは、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定な高レベルの産生を補助し、かつHAT培地などの培地に感受性の細胞である。これらのうち、好ましい骨髄腫細胞株は、ソーク研究所細胞分配センター、サンディエゴ、カリフォルニア州、米国から入手可能なMOP−21及びM.C.−11マウス腫瘍、ならびにATCCから入手可能なSP−2またはX63−Ag8−653細胞に由来するものなどの、マウス骨髄腫細胞株である。ヒト骨髄腫及びマウス−ヒトへテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生に関して記載されている(Kozbor, J. Immunol. 133:3001(1984年);Brodeurら、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁(Marcel Dekker,Inc.、ニューヨーク州、1987年))。
【0084】
[00095] ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイすることが可能である。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性を、免疫沈降、あるいはラジオイムノアッセイ(RIA)または酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのin vitro結合アッセイによって、測定する。モノクローナル抗体の結合親和性を、例えば、Munsonら、Anal. Biochem. 107:220(1980年)のスキャッチャード解析によって測定することが可能である。AF−20抗原に対する結合特異性を測定する一つのこのような方法は、米国特許第5,703,213に記載されている。
【0085】
[00096] 本発明の実施態様の抗体はまた、AF−20ポリペプチドへのその結合親和性に関して記載または特定されてもよい。好ましい結合親和性には、解離定数またはKdが1μM未満、より好ましくは約100nM未満、そして最も好ましくは約1nM未満のものが、含まれる。
【0086】
[00097] 所望の特異性、親和性及び/または活性を持つ抗体を産生するハイブリドーマ細胞を同定した後、該クローンを、限界希釈手順によりサブクローニングし、そして標準的な方法により増殖させてもよい(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice、59〜103頁(アカデミックプレス社、1986年))。この目的に適した培養培地には、例えば、D−MEMまたはRPMI−1640培地が含まれる。加えて、ハイブリドーマ細胞を、動物において腹水腫瘍としてin vivo増殖させてもよい。
【0087】
[00098] サブクローンにより分泌されるモノクローナル抗体を、適切には、例えばプロテインA−セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィなどの慣用の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地、腹水または血清から分離することが可能である。
【0088】
[00099] モノクローナル抗体をコードするDNAを、慣用の手順(例えば、モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによる)を用いて、容易に単離及び配列決定することが可能である。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましい源として働く。単離した後に、DNAを発現ベクター中に入れ、次いでそれを、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得るために、当該ベクターをトランスフェクトしなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌(E. Coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞内にトランスフェクトしてもよい。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現に関する総説論文には、Skerraら、Curr. Opinion in Immunol. 5:256(1993年)及びPluckthun, Immunol. Revs. 130:151(1992年)が含まれる。AF−20抗原と結合可能な非ヒトモノクローナル抗体を作出する他の方法もまた、存在する。
【0089】
[000100] 次いで、このように産生されたモノクローナル抗体、及びこのような抗体をコードするDNAを用いて、本発明に記載される方法または当業者に公知の他の方法にしたがい、キメラ抗体、ヒト化抗体及び抗体フラグメントを産生することが可能である。
【0090】
[000101] 好ましい方法は、ヒトT細胞に対する1またはそれより多くの潜在的なエピトープの、抗体のアミノ酸配列の少なくとも一部(好ましくは、非ヒト抗体のVまたはV領域などの、非ヒト由来のその部分)を決定し、そして該アミノ酸配列を、推定されるT細胞エピトープの少なくとも一つを除去するように修飾し、それにより、ヒト免疫系に曝露される時にタンパク質またはその一部の免疫原性を除去または低下させることによって、非ヒト抗体のヒトに対する免疫原性をなくすか、または低下させることである。これらの方法に続いて、修飾抗体パネルを作出してもよい。次いで、得られた修飾抗体を、発現レベル、AF−20抗原に対する免疫原性及び親和性及び特異性、ならびに選択される最良の候補について、スクリーニングすることが可能である。
【0091】
[000102] キメラ抗体及びヒト化抗体を非ヒト抗体から作出する他の方法、または非ヒト抗体の免疫原性を低下させる他の方法は、当業者に公知であり、そして非限定的に以下を含む:
・Cabillyらによる米国特許第4,816,567;Morrison, S.L.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855(1984年);Boulianne, G.L.ら、Nature 312;643-646(1984年);Neuberger, M.S.ら、Nature 314:268-270(1985年)に記載のような、非ヒト抗体のの重鎖及び軽鎖内の可変領域をヒト抗体の定常領域上に結合させることによる、キメラ抗体の創出。
・Winterによる米国特許第5,225,539、及びJones, P.T.ら、Nature 321:522-525(1986年);Riechmann, L.ら、Nature 332:323-327(1988年);Verhoeyen, M.ら、Science 239:1534-1536(1988年)に記載のような、非ヒト相補性決定領域(CDR)またはCDR配列を対応するヒト抗体の断片により置換することによる、ヒト化抗体の創出。これはまた、例えばQueenらによる米国特許第5,530,101、第5,585,089、第5,693,762、第6,180,370、Carterらによる米国特許第6,054,297、第6,407,213及び第6,639,055、Adairによる米国特許第6,632,927、ならびにWinterによる米国特許第6,548,640に記載のように、抗原結合性を保持するために、ヒト抗体中のいくつかのFR残基を非ヒト抗体の類似部位由来の残基により置換することを伴ってもよい。
・例えばPedersenらによる米国特許第5,639,641、Studnickaらによる米国特許第5,766,886及び第5,821,123、ならびにCarrらによる米国特許出願第10/300215に記載のような、非ヒト抗体の可変領域内の残基を選択的に置換することによる、ヒト化抗体の創出。
・Jordanらによる米国特許第6,652,863に記載のような、抗体または抗体フラグメントと、非ヒト抗体または抗体フラグメントの免疫原性を低下させる自己抗原配列との連結。
【0092】
[000103] 上述のように、目的のモノクローナル抗体または抗体フラグメントをコードするDNAを、そのハイブリドーマまたは元のファージディスプレイクローンから単離し、次いで、ヒト化及び/または親和性成熟コンストラクトを創出するよう操作することが、可能である。加えて、公知の技術を用いて、アミノ酸残基を抗体フラグメントのポリペプチド骨格上の任意の所望の位置に導入し(例えば、重鎖のヒンジ領域内にシステイン残基を入れる)、それによって高分子の特異的結合部位を提供することが、可能である。一実施態様において、通常は軽鎖と重鎖とを連結するジスルフィド架橋を形成する、抗体フラグメントの軽鎖または重鎖いずれかにおける天然のシステイン残基を、セリンなどの別のアミノ酸により置換するが、ここでこれは、遊離スルフヒドリル(suflhydryl)を伴う反対側の鎖にあるパートナーのシステイン残基を、高分子の特異的連結用に残すためである。
【0093】
[000104] 所望の抗体または抗体フラグメントをコードするクローンの構築に際して、該クローンを、当業者に公知の方法を用いて、抗体または抗体フラグメントの組換え産生のために用いることが可能である。最終的には、抗体または抗体フラグメントの産生物を、当業者に公知の方法または本明細書に記載される方法を用いて、宿主細胞培養から回収し、そして精製することが可能である。上述のようにシステイン残基を欠損するよう操作された抗体を利用する実施態様の場合、好ましい組換え産生系には、当業者に公知の、または本明細書に記載される、細菌発現及び産生物回収の手順が、含まれる。全長抗体が産生されるならば、当該技術分野において公知の方法にしたがって無傷の抗体を酵素消化にかけることにより、所望の抗体フラグメントをそこから得ることが可能である。
【0094】
[000105] 該実施態様のキメラ及びヒト化抗体、フラグメントならびにポリペプチドを、公知の方法にしたがって作ってもよい。産生のためのある詳細な方法を、実施例に記載する。当業者が、同一または類似の結果を得るために、公知の慣用の技術を以下に記載される技術の代わりに用いることが可能であろうことが、理解されるべきである。本明細書に記載される実施態様のヒト化抗体を、以下の過程によって産生してもよい:
[000106] (a) (2)CDR、及び抗体結合特異性を保持するのに必要とされる可変ドメインのフレームワーク領域のこのような最小部分が非ヒト抗体に由来し、かつ(3)抗体鎖の残りの一部がヒト抗体に由来する、抗体重鎖をコードするDNA配列を有する(1)オペロンを含有する発現ベクターを、慣用の技術によって構築し、それによって本発明のベクターを作製すること。
【0095】
[000107] (b) CDR、及びドナー抗体結合特異性を保持するのに必要とされる可変ドメインのフレームワーク領域のこのような最小部分が非ヒト抗体に由来し、かつ抗体鎖の残りの一部がヒト抗体に由来する、相補的な抗体軽鎖をコードするDNA配列を有するオペロンを含有する発現ベクターを、慣用の技術によって構築し、それによって本発明のベクターを作製すること。
【0096】
[000108] (c) 発現ベクターを、慣用の技術によって宿主細胞内にトランスフェクトして、本発明のトランスフェクトされた宿主細胞を作製すること。
【0097】
[000109] (d) トランスフェクトされた宿主細胞を慣用の技術によって培養して、本発明の改変抗体を産生すること。
【0098】
[000110] 宿主細胞に、本発明の二つのベクターである、軽鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有する第一ベクター、及び重鎖由来ポリペプチドをコードするオペロンを含有する第二ベクターを、コトランスフェクトしてもよい。この二つのベクターは、異なる選択マーカーを含有するが、しかし、抗体重鎖及び軽鎖をコードする配列以外は好ましくは同一であり、望ましくは同程度に重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの発現が得られる。あるいは、軽鎖ポリペプチドと重鎖ポリペプチドの双方をコードする配列を含む、単一のベクターを用いてもよい。軽鎖及び重鎖のコード配列は、cDNA、ゲノムDNAまたはその双方を含んでなってもよい。
【0099】
[000111] 本発明の改変抗体を発現させるために用いられる宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)などの細菌細胞、または真核細胞のいずれであってもよい。特に好ましい本発明の実施態様において、骨髄腫細胞またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの、本目的に関して明らかとなっている種類の哺乳動物細胞を用いてもよい。
【0100】
[000112] 本発明のベクターが構築されてもよい一般的な方法、本発明の宿主細胞を作製するのに必要とされるトランスフェクション方法、及び本発明の抗体をこのような宿主細胞から産生するのに必要とされる培養方法には、すべて、慣用の技術が含まれる。以下の実施態様では、あるこのような方法を提供する。ヒト化抗体を産生するために用いられる細胞株は、好ましくは哺乳動物細胞株ではあるものの、細菌細胞株または酵母細胞株などの任意の他の適切な細胞株を代わりに用いてもよい。具体的には、大腸菌由来細菌株を用い得ることが想定される。
【0101】
[000113] 同様に、本発明の実施態様のヒト化抗体を産生した後に、クロスフローろ過、硫安沈殿、アフィニティカラムクロマトグラフィ、ゲル電気泳動等を含む、当該技術分野の標準的な手順にしたがって、精製してもよい。
【0102】
[000114] 実施態様のヒト化抗体が、同じ抗体の非ヒト化バージョンと同一または実質的に類似の様式で機能することが、理解されるべきである。しかしながら、同じ抗体の非ヒト化バージョンと比較する場合、ヒト化抗体は、好ましくはヒトにおいてより好都合に用いられる。実施態様のヒト化抗体を、該抗体と同じ療法に有用であろうペプチド化合物または非ペプチド化合物(ミメティック)のいずれかの設計及び合成のために用いてもよく(Saragobiら、Science 253:792-795(1991年))、この内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0103】
[000115] 本発明の実施態様はまた、AF−20抗原に結合可能なヒト化抗体のフラグメントも包含する。抗体フラグメントは、無傷の抗体に優る重要な利点、とりわけ、細菌細胞発現系において組換え抗体フラグメントを作ることが可能であるとの事実を提供することが可能である。細菌細胞発現系は、研究開発と産生物の製造段階の双方における時間及び費用の低減を含む、哺乳動物細胞発現系に優るいくつかの利点を、提供する。
【0104】
[000116] 抗体フラグメントを、当該技術分野において公知の、または本明細書に記載の任意の方法によって作製することが可能である。一般に、抗体フラグメントは、無傷の親抗体に由来する。所望の抗体フラグメントを、例えば、F(ab’)フラグメントを無傷の抗体のペプシン切断によって作製し、そしてFabフラグメントを無傷の抗体をパパインで簡単に消化することによって作製するなどの、慣用の酵素法によって、精製された抗体調製物から作出することが可能である。
【0105】
[000117] ある実施態様には、少なくとも二つの異なる抗原に対する特異性を有する、二重特異性及びヘテロ複合性(heteroconjugate)抗体フラグメントの使用も、含まれる。二重特異性及びヘテロ複合性抗体を、全長抗体として、または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異性抗体フラグメント)として調製することが可能である。二価より多くを有する抗体フラグメント(例えば、三価またはそれより多価の抗体フラグメント)もまた、本明細書における使用を考えられる。二機能性抗体、ヘテロ複合性抗体、及び多価抗体を、当業者に公知の方法、または本明細書に記載される方法により調製することが可能である。
【0106】
[000118] 本発明の実施態様には、本明細書に記載されるヒト化抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドを含有する治療用組成物もまた含まれる。例えば、本明細書に記載されるヒト化抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドは、治療活性を有するエフェクター部分と複合体化していてもよく、そしてAF−20抗原を発現している細胞を選択的に標的とするために用いられてもよい。このような複合体は、AF−20抗原に結合する際にAF−20抗体のインターナリゼーションを利用するであろう。多くのこのようなエフェクター部分は、当該技術分野において公知であって、かつこれには、細胞毒性剤、免疫応答修飾因子、オリゴヌクレオチド、遺伝子、治療遺伝子を含有するウイルスベクター、遺伝子もしくは細胞毒性剤を含有するリポソーム、またはプロドラッグまたは酵素が含まれる。
【0107】
[000119] 多くの細胞毒性剤が、当業者に公知である。これらには、カルボプラチン、シスプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、カリケアマイシン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、ビンクリスチン及びブレオマイシンなどの化学療法剤が含まれる。リシン、ジフテリア毒素及び緑膿菌毒素などの、植物及び細菌由来の毒性酵素が、細胞の種類に特異的な致死剤を作り出すために、本発明のヒト化抗体、抗体フラグメント及びポリペプチドと複合体化していてもよい(Youleら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 77:5483(1980年);Gillilandら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 77:4539(1980年);Krolickら、Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 77:5419(1980年))。他の細胞毒性剤には、Goldenbergによる米国特許第6,653,104に記載のような細胞毒性リボヌクレアーゼが含まれる。
【0108】
[000120] 本発明の実施態様は、αまたはβ粒子を放つ放射性核種が、錯体形成剤の使用の有無にかかわらず、安定に抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドと結合している、ラジオイムノ結合体にも関する。このような放射性核種には、リン−32(32P)、スカンジウム−47(47Sc)、銅−67(67Cu)、ガリウム−67(67Ga)、イットリウム−88(88Y)、イットリウム−90(90Y)、ヨウ素−125(125I)、ヨウ素−131(131I)、サマリウム−153(153Sm)、ルテチウム−177(177Lu)、レニウム−186(186Re)またはレニウム−188(188Re)などのβ放射体、ならびにアスタチン−211(211At)、鉛−212(212Pb)、ビスマス−212(212Bi)もしくは213(213Bi)、またはアクチニウム−225(225Ac)などのα放射体が含まれる。
【0109】
[000121] 特に好ましい実施態様は、NTPペプチドまたはその誘導体のヒト化抗体への複合体化を含んでなり、そして実施態様において有用なものとして考慮されるべきである。
【0110】
[000122] 治療用組成物を、AF−20抗原を発現している腫瘍細胞内に免疫応答修飾因子を導入し、かつそれによって、患者の免疫系による破壊のために該腫瘍細胞を直接的または非直接的に標識するために、用いてもよい。治療用組成物を、AF−20抗原を発現している腫瘍細胞内に遺伝子配列を導入し、かつそれによって腫瘍細胞における該遺伝子の発現を可能にするためにも、用いてよい。該遺伝子は、腫瘍細胞におけるその機能が損なわれているかまたは存在しない遺伝子を置換または補充してもよく、それによってアポトーシスまたは他のメカニズムを介した細胞死を誘導するか、腫瘍細胞の増殖もしくは遊走を阻害または防止するか、患者の免疫系による破壊のために腫瘍細胞を標識するか、あるいは類似の治療効果または他の治療効果を有する。該遺伝子は、腫瘍細胞ゲノムに対して外因性であってもよい。このような遺伝子は、細胞毒性タンパク質、またはプロドラッグを細胞毒性部分へと切断可能な酵素を発現してもよい。このような遺伝子配列を、本発明の治療用組成物と結合しているウイルスベクターまたはリポソームなどの遺伝子送達システムによって、標的細胞に送達してもよい。
【0111】
[000123] 同様に、治療用組成物を、AF−20抗原を発現している腫瘍細胞内にオリゴヌクレオチドを導入するために用いてもよい。このようなオリゴヌクレオチドには、腫瘍細胞において標的mRNAが機能することを阻害する、アンチセンスオリゴヌクレオチド;生存、増殖または遊走に必要な腫瘍細胞内タンパク質の発現を阻害する、短い干渉リボ核酸(siRNA);リボザイム;他の抗癌治療に対する腫瘍細胞の感受性を増加させる薬剤;及び、三重らせん形成オリゴヌクレオチドが含まれてもよい。
【0112】
[000124] 実施態様はまた、それぞれが異なる抗体または異なるエフェクター部分のいずれかを有する、2またはそれより多くの異なる抗体結合体などの、異なる治療用組成物を含有する医薬組成物を意図する。エフェクター部分には、治療用抗体のインターナリゼーションの結果として腫瘍細胞内に導入される場合に、細胞アポトーシスの誘導;機能不全遺伝子の置換;治療的に好ましいタンパク質の発現;等などの好ましい治療応答を供する、遺伝子または他のオリゴヌクレオチドが含まれてもよい。該遺伝子は、リポソームに封入してもよく、またはウイルスなどの適切なベクターと結びつけてもよい。
【0113】
[000125] 本発明の別の実施態様において、AF−20に対する特異性、及び免疫原性の低下によって、肝細胞癌、肺腺癌及び結腸直腸癌などの異なる癌型を検出するための検出可能な標識と複合体化している場合に、本明細書に記載されるキメラ及びヒト化抗体の診断剤としての使用が適切となる。このような組成物は、(AF−20発現レベルに基づいた)AF−20発現によって特徴付けられる癌の診断、適切な治療の評価、及び予後の評価に有用である可能性があり;それらは、腫瘍画像剤として有用であるか、またはラジオイムノガイド手術RTMシステム(RIGS.RTM.)における放射性標識抗体として有用である可能性がある。Hinkleら、Antibody, Immunoconjugates and Radiopharmaceuticals, 4(3):339-358(1991年)を参照されたい。
【0114】
[000126] 抗体またはポリペプチドと複合体化していてもよい多くの検出可能な標識が、当該技術分野において公知である。検出可能な標識には、H、IlC、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、125I、または177Luなどの放射性核種が含まれる。このような標識を検出する方法には、PETスキャン及びイムノシンチグラフィが含まれる。In vivoアッセイ用の検出可能な標識には、セイヨウワサビペルオキシダーゼ;フルオロフォア;クロモフォア;化学発光剤;放射性核種;キレート錯体;色素;金コロイドまたはラテックス粒子が含まれる。
【0115】
[000127] 本実施態様の診断用組成物を、ヒトまたは動物がAF−20抗原を発現する癌を有するかどうかを判定するためのin vitroアッセイにも用いてよい。このようなアッセイは、癌の診断、病期分類及び治療評価に用いられることになる。好ましくは、このようなアッセイは、患者または動物が、AF−20抗原を発現している腫瘍細胞と結合可能な治療用組成物での治療に対して感受性の癌を有するかどうかを判定するために、用いられることになる。最も好ましくは、このようなアッセイは、患者または動物を本発明の治療用組成物で治療するかどうか、そしてどのように治療するかを決定するのに、用いられることになる。
【0116】
[000128] このようなアッセイを開発する方法は、当該技術分野において公知である。アッセイの種類には、これに限定されないが、本発明の診断用組成物を用いた生検組織の免疫組織アッセイ、及び組織または体液の試料を本発明の診断用組成物と接触させる免疫アッセイが、含まれる。
【0117】
[000129] エフェクター部分または検出可能な標識を複合体化させる多くの方法が、当業者に公知である。抗体の所望のエフェクターへの結合については、周知である。例えば、Chengらによる米国特許第5,435,990を参照されたく、該出願の開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。その上、このような結合を促進するための二機能性リンカーは、当該技術分野において周知であり、かつ広く利用可能である。同様に、放射性核種の連結を供するキレート化剤(被キレート(chelants)及びキレート(chelates))も、当該技術分野において周知であり、かつ容易に利用可能である。
【0118】
[000130] 治療用及び診断用組成物を、癌の診断及び治療に利用してもよい。好ましくは、このような癌は腺癌であり、そして最も好ましくは、このような癌は肝細胞癌、肺腺癌及び結腸直腸癌である。
【0119】
[000131] 治療用組成物は、さらに、AF−20抗原を発現する癌及び他の腫瘍の治療に利用される。これらは、単独で、あるいは化学療法、免疫療法、放射線療法、外科的切除もしくは除去療法などの他の抗癌治療または抗腫瘍治療と併せて、用いられてもよい。
【0120】
[000132] 当業者は、特定の癌を治療するのに有効かつ非毒性であろう抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドの量を、(ルーチンの実験によって)決定可能であろう。しかしながら、一般には、有効投与量は約0.05〜100mg/kg体重/日、そして好ましくは約0.5〜約25mg/kg体重/日であろう。
【0121】
[000133] 本明細書に記載されるキメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドを、前述の治療方法にしたがって、治療もしくは予防効果を生じるのに十分な量にてヒトまたは他の動物に投与してもよい。抗体を慣用の医薬的に許容可能なキャリアー、希釈剤及び/または賦形剤と組み合わせることによって公知の技術にしたがい調製された慣用の投与剤形にて、抗体を、このようなヒトまたは他の動物に投与してもよい。医薬的に許容可能なキャリアー、希釈剤及び/または賦形剤の形及び特徴は、それに組み合わされる活性成分の量、投与経路、及び他の周知の変動要因によって決定付けられることが、当業者により認識されるであろう。
【0122】
[000134] 医薬的に許容可能な処方物には、例えば、適切な溶媒、必要に応じてベンジルアルコールなどの保存剤、及び緩衝液が含まれてもよい。有用な溶媒には、例えば、水、水溶性アルコール、グリコール、ならびにホスホン酸エステル及び炭酸エステルが含まれてもよい。このような水溶液は、50%容量を超えない有機溶媒を含有する。懸濁液型処方物には、キャリアーとしての液体懸濁化剤(例えば、水溶性ポリビニルピロリドン、植物油または高度に精製された鉱油などの不活性油、あるいは水溶性カルボキシメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル)が含まれてもよい。ゼラチンまたはアルギン酸塩などの増粘剤もまた存在してよく、1またはそれより多くの、天然もしくは合成の界面活性剤または消泡剤を用いてもよく、そして1またはそれより多くの、ソルビトールまたは別の糖などの懸濁化剤をそれに用いてもよい。このような組成は、1またはそれより多くのアジュバントを含有してもよい。
【0123】
[000135] 本発明の抗体、フラグメントまたはポリペプチドの投与経路は、経口、非経口、吸入または局所であってもよい。「非経口」の語は、本明細書では、血栓内、静脈内、筋肉内、皮下、直腸、腟、または腹腔内投与を含む。非経口投与のうち血栓内、静脈内及び筋肉内の形態が、好ましい投与経路である。
【0124】
[000136] 本発明のヒト化抗体を予防的または治療的に用いるための、1日の非経口及び経口投与レジメンは、一般には約0.005〜100、しかし好ましくは約0.5〜10mg/kg体重/日の範囲であろう。
【0125】
[000137] 抗体を、吸入によっても投与してよい。「吸入」は、鼻腔内投与及び経口吸入投与を示す。エアロゾル処方物または定量吸入器などのこのような投与に適切な投与剤形を、慣用の技術によって調製してもよい。用いられるべき本発明の化合物の好ましい投与量は、一般には、約0.1〜約100mg/kg体重の範囲内、より好ましくは約10〜100mg/kg体重である。
【0126】
[000138] 抗体を、局所的に投与してもよい。局所投与とは、非全身性投与を示す。これには、ヒト化抗体(またはヒト化抗体フラグメント)処方物の、表皮または口腔への外部からの投与、ならびにこのような抗体の耳、目または鼻、及びそれが有意に血流中に入らない至る所への滴下が、含まれる。全身性投与は、経口、静脈内、腹腔内、皮下及び筋肉内投与を示す。治療的、予防的または診断的な効果に必要とされる抗体の量は、当然ながら、選択される抗体、治療されている状態の性質及び重症度、ならびに治療を受けている動物によって異なり、そして最終的には医師の裁量による。本発明の抗体の適切な局所用量は、一般には、1日約1〜100mg/kg体重の範囲内であろう。
【0127】
[000139] 本明細書に記載される抗体、フラグメントまたはポリペプチドは、単独で投与されることが可能であるが、医薬処方物として示されることが好ましい。活性成分は、局所投与に関しては、処方物重量の0.001%〜10%w/w(例えば、1%〜2%)を含んでなってもよい。ただしこれは、処方物の10%w/wほどを含んでなってもよいが、しかし好ましくは5%w/wを超えず、そしてより好ましくは処方物の0.1%〜1%w/wを含んでなってもよい。
【0128】
[000140] 局所用処方物は、活性成分を、1またはそれより多くの許容可能なそのためのキャリアー、及び所望による任意の他の治療成分とともに含んでなることが可能である。キャリアーは、典型的には、処方物の他の成分と適合しているとの意味で「許容可能」であり、かつそのレシピエントに対して有害でない。局所投与に適した処方物には、糊膏、ローション、クリーム、軟膏またはペーストなどの、治療が必要とされる部位への皮膚を介した浸透に適した液体または半液体調製物、ならびに目、耳または鼻への投与に適した滴剤が、含まれる。
【0129】
[000141] 滴剤は、無菌の水溶性もしくは油性の溶液または懸濁液を含んでなってもよく、そして活性成分を殺菌剤及び/もしくは殺真菌剤、ならびに/または任意の他の適切な保存剤の適切な水溶液に溶解し、かつ好ましくは表面活性剤を含めることによって、調製されてもよい。次いで、得られた溶液を、ろ過によって澄明及び無菌化し、そして無菌技術により容器に移してもよい。滴剤に含めるのに適した殺菌剤及び殺真菌剤の例は、硝酸フェニル水銀もしくは酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)及び酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製に適した溶媒には、グリセロール、希釈アルコール及びプロピレングリコールが含まれる。
【0130】
[000142] ローションには、皮膚または目への適用に適したものが含まれる。目薬(eye lotion)は、殺菌剤を含有していてもよい無菌水溶液を含んでなってもよく、そして滴剤の調製方法に類似した方法によって調製されてもよい。皮膚に適用するためのローションまたは糊膏には、アルコールまたはアセトンなどの乾燥を速め、かつ皮膚を冷却する薬剤、ならびに/あるいは、グリセロールまたは油(ヒマシ油またはラッカセイ油など)などの保湿剤もまた含まれてよい。
【0131】
[000143] クリーム、軟膏またはペーストは、典型的には、外用の活性成分の半固形処方物である。これらを、単独の、あるいは溶液中、または水溶液もしくは非水溶液の懸濁液中に溶解した、微細分割または粉末化された形状の活性成分を、適切な機械を用いて脂肪性または非脂肪性基剤と混合することによって、製造してもよい。基剤は、硬、軟もしくは液体パラフィンなどの炭化水素、グリセロール、蜜ろう、金属石鹸;粘液;アーモンド、コーン、ピーナッツ、ヒマシまたはオリーブ油などの天然由来の油;羊毛脂またはその誘導体、あるいは、プロピレングリコールなどのアルコールまたはマクロゲルと併せた、ステアリン酸またはオレイン酸などの脂肪酸を、含んでなってもよい。処方物は、アニオン性、カチオン性または非イオン性表面活性剤など(ソルビタンエステルまたはそのポリオキシエチレン誘導体など)の任意の適切な表面活性剤を組み入れてもよい。天然ゴムなどの懸濁化剤、セルロース誘導体、または珪質シリカなどの無機物質、及びラノリンなどの他の成分もまた、含まれてよい。
【0132】
[000144] 実施態様にしたがったキットには、それぞれ、解凍(これに続き、さらに希釈してもよい)または(好ましくは、緩衝)液体ビヒクル中への懸濁によって再構成されることになる、凍結または凍結乾燥させた、キメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドが含まれる。該キットはまた、ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントと混合して、投与に適した処方物を作製するための、(液状または凍結状の)緩衝液及び/または賦形剤の溶液−あるいは水で戻されることになる緩衝液及び/または賦形剤の粉末調製物を含んでもよい。このように、キメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドを含有するキットは、予め定められた量の熱、水、またはキット中に提供される溶液を加えると、癌の治療または診断におけるin vivoまたはin vitro使用に有効な、十分な濃度及びpHの処方物を生じるような濃度にて、好ましくは、凍結、凍結乾燥、前希釈または前混合されている。
【0133】
[000145] 好ましくは、このようなキットは、キメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチド組成物を再構成し、そして用いて癌を治療または検出するための取り扱い説明書も、含んでなるであろう。該キットはまた、再構成された活性組成物に対して、2またはそれより多くのコンポーネント部分を含んでなってもよい。例えば、−キメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドに加えて−第二のコンポーネント部分は、ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントと混合する際にこれとともに共役系を形成する、二機能性キレート剤、二機能性キレート、あるいは放射性核種などの治療剤であってもよい。上記の緩衝液、賦形剤及び他のコンポーネント部分は、キットと別に、または併せて販売されることが可能である。
【0134】
[000146] 本明細書に記載される実施態様のキメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドの最適な個々の投与量及び投与間隔は、治療されている状態の性質及び程度、形、投与経路及び投与部位、ならびに治療されている具体的な動物によって決定され、そして、このような最適化が慣用の技術によって決定可能であることが、当業者によって認識されるであろう。また、最適な治療コース、すなわち、1日当たり定めた日数投与される、本発明のキメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドの投与回数を、当業者が慣用の治療決定検査コースを用いて確定可能であることが、当業者により理解されるであろう。
【0135】
[000147] 対象のキメラもしくはヒト化抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドを、他の抗癌剤(例えば、他の抗体または薬物)とも組み合わせて投与してもよい。
【0136】
[000148] さらなる実施態様には、AF−20と結合可能な抗体の重鎖または軽鎖可変領域由来の抗原結合領域を有する組換え抗体分子が、含まれる。実施態様にはまた、AF−20と結合する非ヒト抗体から得られる可変領域とヒト定常領域とを含むキメラ抗体が、含まれる。キメラ抗体の可変領域は、AF−20と結合するネズミ抗体及びヒト定常領域から、そしてより好ましくは、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB 9686により産生されるネズミモノクローナル抗体(moAb)及びヒト定常領域から得られることが、好ましい。
【0137】
[000149] 別の実施態様には、配列番号の可変重鎖配列または配列番号の可変軽鎖配列のいずれか、あるいは双方を含んでなるキメラ抗体が含まれる。好ましくは、該キメラ抗体は、chNYR−1002である。
【0138】
[000150] 他の実施態様は、AF−20と結合するヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント(「humoAb」と総称する)を包含し、ここで該ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントは、AF−20と結合する非ヒト抗体に由来する。好ましくは、humoAbは、AF−20と結合するネズミモノクローナル抗体(moAb)に由来し、そしてより好ましくは、humoAbは、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB 9686により産生されるマウスmoAbに由来する。特に好ましいヒト化抗体は、huNYR−1002である。
【0139】
[000151] さらなる実施態様には、AF−20と結合する非ヒト抗体から得られる相補性決定領域(CDR)アミノ酸残基、及びヒトフレームワーク領域(FR)アミノ酸残基を含んでなる、AF−20と結合するヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントが、含まれる。好ましくは、CDRは、AF−20と結合するネズミmoAb、及びヒトフレームワーク領域(FR)アミノ酸残基から得られ、そしてより好ましくは、CDRは、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB 9686により産生されるネズミmoAb、及びヒトフレームワーク領域(FR)アミノ酸残基から得られる。
【0140】
[000152] 特に好ましいヒト化抗体またはフラグメントには、軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR1、CDR2及びCDR3)及び重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR1、CDR2及びCDR3)が以下のアミノ酸配列を有する、AF−20と結合するものが含まれる:
軽鎖
CDR1(配列番号 )[RASQSIGTSIH];
CDR2(配列番号 )[YASESIS];及び、
CDR3(配列番号 )[QQSSSWPFT];
重鎖
CDR1(配列番号 )[GYTFAGHYVH];
CDR2(配列番号 )[WIFPGKVNTKYNEKFKG];及び、
CDR3(配列番号 )[VGYDYFYYFDY]。
【0141】
[000153] 本発明に記載される実施態様には、可変領域または定常領域内の1またはそれより多くのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基により置換されている、上述のヒト化モノクローナル抗体または抗体フラグメントが含まれる。好ましくは、CDRまたはFR内の1またはそれより多くのアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基によって置換されている。加えて、該実施態様には、ヒトフレームワーク領域(FR)内に起こる1またはそれより多くの付加、置換または欠失が、含まれる。
【0142】
[000154] 本明細書に記載されるさらなる実施態様には、可変領域内に同定された潜在的なヒトヘルパーT細胞エピトープがアミノ酸残基の置換、付加または欠失により除去されている、上述のヒト化モノクローナル抗体またはそのフラグメントが、含まれる。好ましくは、CDRまたはFR内に同定された潜在的なヒトヘルパーT細胞エピトープが、アミノ酸残基の置換、付加または欠失により除去されている。
【0143】
[000155] 本明細書に記載されるヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント(「humoAb」)は、好ましくは、humoAbが由来する抗体の少なくとも10%の、AF−20に対する抗原結合親和性を有する。特に好ましいhumoAbは、配列番号のヒト化可変重鎖配列または配列番号のヒト化可変軽鎖配列のいずれか、あるいは双方を、含んでなる。より好ましくは、humoAbは、配列番号のヒト化可変重鎖配列のバリアントまたは配列番号のヒト化可変軽鎖配列のバリアント、あるいはその双方を含む。
【0144】
[000156] さらなる実施態様には、1またはそれより多くの以下のポリペプチドを含んでなるポリペプチド配列が、含まれる:
配列番号 [GYTFAGHYVH];
配列番号 [WIFPGKVNTKYNEKFKG];
配列番号 [VGYDYFYYFDY];
配列番号 [RASQSIGTSIH];
配列番号 [YASESIS];及び/または、
配列番号 [QQSSSWPFT]。
【0145】
[000157] 本明細書に記載される実施態様には、上述の抗体、ポリペプチドまたは抗体フラグメント、及びその任意のフラグメント、バリアントまたは誘導体をコードするDNAもまた含まれる。好ましくは、該DNA分子は、抗体またはフラグメントがそれによって特異的にAF−20と結合する、ヒト化抗体またはそのフラグメントのアミノ酸配列をコードし、ここで、軽鎖可変領域のCDR及び重鎖可変領域のCDRは、以下のアミノ酸配列を有している:
軽鎖
CDR1(配列番号 )[RASQSIGTSIH];
CDR2(配列番号 )[YASESIS];及び、
CDR3(配列番号 )[QQSSSWPFT];
重鎖
CDR1(配列番号 )[GYTFAGHYVH];
CDR2(配列番号 )[WIFPGKVNTKYNEKFKG];及び、
CDR3(配列番号 )[VGYDYFYYFDY]。
【0146】
[000158] 実施態様には、上述のhumoAbの軽鎖または重鎖のいずれかをコードするDNA分子もまた含まれる。好ましいDNA分子は、抗体またはフラグメントがそれによって特異的にAF−20と結合する、ヒト化抗体またはそのフラグメントのアミノ酸配列をコードし、ここで、軽鎖可変領域のCDRは、以下のアミノ酸配列を有している:
CDR1(配列番号 )[RASQSIGTSIH];
CDR2(配列番号 )[YASESIS];及び、
CDR3(配列番号 )[QQSSSWPFT]。
【0147】
[000159] 別の好ましいDNA分子は、抗体またはフラグメントの重鎖をコードし、ここで、重鎖CDRのヌクレオチド配列は以下のとおりである:
CDR1(配列番号 )[GYTFAGHYVH];
CDR2(配列番号 )[WIFPGKVNTKYNEKFKG];及び、
CDR3(配列番号 )[VGYDYFYYFDY]。
【0148】
[000160] 好ましくは、DNA分子は、発現ベクターの形態である。この文脈において、実施態様には、発現ベクターで形質転換されている宿主がさらに含まれる。加えて、実施態様には、上述のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントの軽鎖及び重鎖をコードする組換え発現系を含んでなる宿主細胞が、含まれる。
【0149】
[000161] 本発明の他の実施態様には、本明細書に記載されるキメラ抗体を発現する可能性のある核酸配列が、含まれる。加えて、実施態様には、当該核酸配列を含んでなるベクターが含まれる。ベクターは、裸の核酸断片、キャリアーを伴う核酸断片、核タンパク質、プラスミド、ウイルス、ウイロイドまたは転移因子であることが、好ましい。別の好ましい実施態様には、本明細書に記載されるキメラ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株が、含まれる。
【0150】
[000162] さらなる実施態様には、上述のヒト化抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドを発現する可能性のある核酸配列が、含まれる。この文脈において、実施態様には、当該核酸配列を含んでなるベクターがさらに含まれる。好ましくは、ベクターは、裸の核酸断片、キャリアーを伴う核酸断片、核タンパク質、プラスミド、ウイルス、ウイロイドまたは転移因子である。別の好ましい実施態様には、本明細書に記載されるヒト化抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドを産生するハイブリドーマ細胞株が、含まれる。
【0151】
[000163] ある実施態様には、治療有効量の、本明細書に記載される任意のヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドを含んでなる、癌を治療するための組成物が、含まれる。好ましくは、ヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドは、直接的または間接的に、治療活性を有するエフェクター部分を付随または連結している。より好ましくは、エフェクター部分は、抗癌剤、化学療法剤、細胞毒素、放射性核種、治療用酵素、プロドラッグ、サイトカインまたは抗増殖剤である。好ましい放射性核種は、32P、47Sc、67Cu、90Y、105Rh、125I、131I、117mSn、153Sm、166Dy、175Yb、186Re、188Re、194Os、211At、212Bi、2l3Bi、225Ac、またはその混合物もしくは組み合わせである。
【0152】
[000164] 他の実施態様は、AF−20を発現している癌を有する哺乳動物のin vivo治療のための方法であって、治療有効量の上述の組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる前記方法を、包含する。好ましくは、該組成物は、手術後に投与される。
【0153】
[000165] さらなる実施態様には、癌のin vivoまたはin vitro検出に適した組成物が含まれ、ここで該組成物には、診断上有効量の、上述のヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドが含まれる。好ましくは、ヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドは、直接的または間接的に、検出可能な標識を付随または連結している。より好ましくは、検出可能な標識は、放射性核種、蛍光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤またはリガンドである。好ましい放射性核種には、H、llC、14C、l8F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu、ならびにその混合物及び組み合わせが含まれる。
【0154】
[000166] さらなる実施態様には、AF−20を発現している癌細胞をin vitroで免疫検出するための方法であって、癌細胞を直上に記載の組成物と接触させることを含んでなる前記方法が、含まれる。この実施態様において、該組成物のヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドは、固体担体に結合されていることが好ましい。
【0155】
[000167] 別の好ましい方法には、哺乳動物におけるAF−20を発現している癌細胞のin vivo免疫検出の方法であって、診断上有効量の、癌の検出に適した上述の組成物を哺乳動物に投与することを含んでなる前記方法が、含まれる。好ましくは、免疫検出の手順は、in vivo腫瘍画像法である。
【0156】
[000168] さらなる実施態様には、癌のin vivo治療方法であって、(i)放射性核種で標識した抗体、抗体フラグメントまたはポリペプチドを静脈内投与し、(ii)その後、放射性核種活性プローブを用いて腫瘍細胞を検出し、そして、(iii)その後、検出された腫瘍細胞を外科的切除によって取り除くことを含んでなる前記方法が、含まれる。この方法では、抗体またはポリペプチドが、上述のヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチドであることが好ましい。好ましくは、放射性核種は、H、1lC、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu、またはその混合物及び組み合わせである。
【0157】
[000169] 本発明の実施態様には、上述のヒト化もしくはキメラ抗体、ヒト化抗体フラグメントまたはポリペプチド、あるいは上述のDNA分子を用いて、AF−20と結合する、ポリペプチド、あるいは抗体、フラグメントもしくはポリペプチドのバリアントまたは誘導体を作出する方法が、さらに含まれる。好ましくは、該ポリペプチド、バリアントまたは誘導体を作出する方法は、ファージもしくは酵母ディスプレイ技術である。
【0158】
[000170] これより、本発明の実施態様を、以下の非限定的な実施例に関して説明することにする。
【実施例】
【0159】
実施例1−ネズミ抗体遺伝子の配列決定
[000171] ネズミハイブリドーマAD20D4を、Glutamax I(Invitrogen Corp., カタログ番号61965−026、ロット番号3070663)を伴い、20%北アメリカ由来のウシ胎仔血清(Invitrogen Corp., カタログ番号16000−044、バッチ番号1137907)および1mM ピルビン酸ナトリウム(カタログ番号11360−039、ロット番号3069371)を補った、ダルベッコ変法イーグル培地中で、指示に従って回復させ、そして培養した。
【0160】
[000172] RNAseの混入を避けるよう注意しながら、10個のハイブリドーマ細胞から総RNAを調製した。ヌクレアーゼを含まない水を含めて、特別のRNAseを含まない試薬を用いた。細胞を、MSE2000R冷却ベンチ遠心機(refrigerated bench centrifuge)中で1500rpmで5分間、4℃でスピンダウンして回収し、そして氷冷PBSで3回洗浄した。次いで細胞を、5μLのRNAseOUTを添加した6mLの氷冷RNA溶解バッファー(0.14M NaCl、1.5mM MgCl、10mM Tris pH8.6、0.5% NP−40)中に再懸濁し、そして10秒間ボルテックスした。この溶液を、等容積の24%(w/v)スクロースおよび1% NP−40の上に重ね、そして5分間氷上で保管した。次いでこの溶液を、冷却ベンチ遠心機中で4000rpmで30分間、4℃で遠心した。次いで上部の細胞質層を、等容積の2xPKバッファー(0.3M NaCl、0.025M EDTA、0.2M Tris pH7.5、2% SDS)へと移し、そしてプロテイナーゼK(Life Technologiesカタログ番号25530−049)を最終濃度が200μg/mLとなるように加えた。この溶液を37℃で30分間インキュベートした。
【0161】
[000173] 次いで、この溶液を等容積のフェノール/クロロホルム(1:1(w/v))で抽出した。水相に、2.5容積の100%エタノールを加え、そして当該溶液を−20℃で一晩保管した。RNAを遠心分離(400rpmで30分間)により回収し、次いで真空デシケーター中で乾燥させた。RNAをHO(Promegaカタログ番号P119C)中に溶解し、そして分光法によりA260 1=40μg/mLと仮定して濃度を測定した。1−2μgをTAE中の1.2%アガロースゲル上に流し、RNAの質を確認した:良質のRNAは、分解の証拠のない、シャープなリボソームのバンドを示すであろう。
【0162】
[000174] VおよびV cDNAを、マウスIgG定常領域およびマウスK定常領域プライマーとともに逆転写酵素を用いて、RNAseの混入を避けるよう注意を払いながら調製した。第一鎖可変領域cDNAは、5μg RNA、10μL 5x逆転写酵素バッファー(Promegaカタログ番号M351A)、1μL プライマー(水(Promegaカタログ番号P119C)中、25pmol/μL、重鎖についてMuIgGVH3’(オリゴ番号152);軽鎖についてMuIgKVL3’(オリゴ番号160)を用いた)、2μL 10mM dNTP溶液(100mM ストック溶液(Life Technologiesカタログ番号10297018)から、dATP、dCTP、dGTP、dTTPをそれぞれ10mM)、2μL RNAseOUT(Life Technologiesカタログ番号10777019)およびHO(Promegaカタログ番号P119C)を、微量遠心チューブ中で混合することにより調製した。溶液を70℃で10分間加熱し、次いで37℃へとゆっくりと冷却した。100ユニットのM−MLV逆転写酵素(Promegaカタログ番号M530A)を加え、そして溶液を37℃で1時間インキュベートし、70℃で15分間加熱し、次いで必要になるまで−20℃で保管した。
【0163】
[000175] 次いで、可変領域遺伝子の増幅およびクローニングを行った。微量遠心チューブ中で、5μL 第一鎖cDNA、5μL 10x Taqポリメラーゼバッファー(Life Technologiesカタログ番号402028)、1μL 3’プライマー(HO中25pmol/μL、重鎖についてMuLgVH3’(オリゴ番号152);軽鎖についてMuIgKVL3’(オリゴ番号160)を用いた)、1μL 5’リーダープライマーミックス(ミックス中、各プライマーが25pmol/μL)、1μL 10mM dNTP溶液、0.5μL Taqポリメラーゼバッファー(Life Technologiesカタログ番号10342−020)およびHOを混合して50μLとした。Taq酵素を除くすべての試薬を、0.5mL薄壁PCRチューブ中で混合し、PCRブロック上で94℃に加熱した。Taq酵素を加え、次いで試料をサイクルにかけた:94℃/2分、そして94℃/30秒、50℃/30秒、72℃/2分を40サイクル、72℃で5分間で終了した。各反応の5μLをアガロースゲルにかけて、PCRが期待するサイズ(約350bp)の生成物を与えたかどうか確認した。残りの生成物を、1.5%低融点アガロースゲル上にロードし、そしてDNAバンドを切り出しそして精製した。ゲル精製したV領域DNAを、2μL 10xT4 DNAリガーゼバッファー(Promegaカタログ番号C126B)および1μL T4 DNAリガーゼ(Promegaカタログ番号M180A)と混合することにより、1μL pGem T−easyクローニングベクター(Promegaカタログ番号A1360)へとライゲートし、次いで15から20℃で2時間から一晩インキュベートした。当該ベクターで、コンピテント大腸菌TG1を形質転換し、そしてLB+IPTG+XGAL+アンピシリンプレート上に蒔いた。3mLのLB+アンピシリンに対する白色コロニーを、ユニバーサルコンテナ中に拾い、37℃で増殖させた。2ないし4時間後に、試験PCRによって挿入物について確認した。50μLの培養物を、マイクロチューブに移し、そして95℃で5分間加熱した。次いでそれを微量遠心管中で5分間スピンし、そして上清を新しいチューブに移した。10μLの上清中に、5μL 10x Taqポリメラーゼバッファー、1μL M13フォワードプライマー、1μL M13リバースプライマー、1μL 10mM dNTPs、0.5μL Taqポリメラーゼ、およびHOを混合して、50μLとした。
【0164】
[00176] Taq酵素を除くすべての試薬を0.5mL薄壁PCRチューブ中で
混合し、そしてPCRブロック上で94℃に加熱した。Taq酵素を加え、次いでサンプルをサイクルにかけた:94℃/2分間、そして94℃/30秒、50℃/30秒、72℃/2分を40サイクル、次いで72℃で5分間で終了する。各反応の10μLをアガロースゲルにかけて、挿入物(500bpのバンド)を確認した。培養物を一晩増殖させ、そして、DNA配列決定のためにDNAを調製した。
【0165】
[000177] 選択したクローン(PCRにより期待されたサイズの挿入物についてスクリーニングしたVおよびVクローン)のDNA配列を、自動化DNA配列決定により決定した。スクリーニングした微生物(bacterial)ストックからプラスミドDNAを調製した。5mL培養物を、50μg/mL(または必要に応じて)アンピシリンストック(Sigmaカタログ番号A−0166)(HO中、50mg/mL)を伴うルリアブロス(LB)(1リットルのHOあたり、NaCl 10g、トリプトン 10g、イーストエクストラクト 5g)中、ユニバーサルコンテナ中に用意した。培養物を、振盪しながら一晩または少なくとも5時間培養した。培養物を、微量遠心管中でスピンダウンし、そしてWizard Plus SV mini-prep kits(Promegaカタログ番号A1460)を用いて、製造元の説明書にしたがってDNAを精製した。次いで、精製したDNAを100μL HO中に再懸濁し、そして自動化DNA配列決定装置を用いて配列決定した。
【0166】
[000178] NYR−1002重鎖V領域のDNAおよびアミノ酸配列を図1に示した。第一バッチの細胞からは、有益な(productive)重鎖遺伝子は単離されなかった。第二バッチからは、15の独立したクローンが、同一の完全な重鎖配列を与えた。CDRの位置は、他の抗体配列を参照して決定した(Kabat EA et al., 1991)。CDRは、配列番号 (CDR1)、 (CDR2)および (CDR3)で与えられる。NYR−1002 Vアミノ酸配列を、マウス重鎖サブグループIIBについてのコンセンサス配列と比較し、そしてそのサブグループに割り当てた。
【0167】
[000179] NYR−1002軽鎖V領域のDNAおよびアミノ酸配列を図2に示した。各バッチの細胞からの5つのクローンは同一の配列を与えた。CDRの位置は、他の抗体配列を参照して決定した(Kabat EA et al., 1991)。CDRは、配列番号 (CDR1)、 (CDR2)および (CDR3)で与えられる。NYR−1002 Vアミノ酸配列を、マウスカッパ鎖サブグループVについてのコンセンサス配列と比較し、そしてそのサブグループに割り当てた。
【0168】
実施例2−キメラ抗体遺伝子およびキメラ抗体の作成
[000180] キメラ抗体を、上述の実施例1で同定したネズミ可変領域をヒト定常領域に連結することにより作成した。ネズミ可変領域は、Orlandiら(1989)に記載されたオーバーラッピングPCR組み換え法により付加した。Daughterty BLら(1991)も参照のこと。クローニングしたネズミVおよびV遺伝子を増幅した。ベクターVH−PCR1およびVK−PCR1(Riechmannら、1998)を、5’フランキング配列、リーダーイントロンおよびネズミ免疫グロブリンプロモーター、ならびにスプライス部位およびイントロン配列を含む3’フランキング配列を導入するためのテンプレートとして用いた。生成したVおよびV発現カセットをpUC19にクローニングし、そして配列決定により全体のDNA配列が正しいことを確認した。PCR増幅は以下のように行った:すべて25pmol/Lの、変異原性オリゴヌクレオチドのセットを合成した。このセットは、DNA配列が断片のセットとして増幅されるように、変異導入される部位を包含した。変異導入される部位の数によって、隣接するオリゴヌクレオチドを設計した。
【0169】
[000181] PCR増幅は各プライマー対について用意した:1μL テンプレートDNAを、5μL 10x Pfuポリメラーゼバッファー(Stratageneカタログ番号600153−82、またはPromegaカタログ番号M776A)、1μL(25pmol/L) フォワードプライマー、1μL(25pmol/L) リバースプライマー、2μL 10mM dNTPs、0.5μL(1ユニット) Pfu DNAポリメラーゼ(Stratageneカタログ番号600252−51、またはPromegaカタログ番号M774A)およびHO、と混合して50μLとした。これらの5’および3’プライマーは、末端18bpのランダム配列を含んだ。Pfu酵素を除くすべての試薬は0.5mL薄壁PCRチューブ中で混合し、そしてPCRブロック上で94℃に加熱した。Pfu酵素を加え、次いでサンプルをサイクルにかけた:94℃/2分、そして94℃/30秒、50℃/30秒、72℃/1分を15〜20サイクル(伸張されることが求められる長さに応じて)、そして72℃、5分間で終了する。アニーリング温度は、オリゴのTに応じて50℃より高く、または低く調整した。期待されたサイズの生成物を確認するために、各反応の5μLをアガロースゲルにかけた。もし生成していなければ、アニーリング温度を5℃低くし、PCRのサイクル数を増やし、および/またはMgCl濃度を5mMに増やした。もしこのPCRのサイクル数が複数のバンドを生じた場合は、正しいサイズのバンドをゲル精製する必要があった。
【0170】
[000182] 第一ラウンドのPCRで付加した末端18bpを含んでなる第二ラウンド5’および3’プライマーを用いて、生成物を第二のPCRで結合させた。第二接合PCRのテンプレートは、およそ当量に加えるように調整された量の第一ラウンドで生成したフラグメントである。第一ラウンドのPCRの生成物を、5μL 10x Pfuポリメラーゼバッファー(Stratageneカタログ番号600153−82、またはPromegaカタログ番号M776A)、2μL(50pmol/L) 5’第二ラウンドプライマー、2μL(50pmol/L) 3’第二ラウンドプライマー、2μL 10mM dNTPs、0.5μL(1ユニット) Pfu DNAポリメラーゼ(Stratageneカタログ番号600252−51、またはPromegaカタログ番号M774A)およびHO、と混合して50μLとした。Pfu酵素を除くすべての試薬を0.5mL薄壁PCRチューブ中で混合し、そしてPCRブロック上で94℃に加熱した。Pfu酵素を加え、次いでサンプルをサイクルにかけた:94℃/2分、そして94℃/30秒、50℃/30秒、72℃/1分を15サイクル(伸張されることが求められる長さに応じて)、そして72℃、5分間で終了する。期待されたサイズの生成物(V発現カセットについて約820bp、V発現カセットについて約650bp)を確認するために、各反応の5μLをアガロースゲルにかけた。もし生成していなければ、第二ラウンドPCRを、アニーリング温度を5℃低くし、および/または、PCRのサイクル数を増やしてして繰り返した。PCR産物を抽出し、そして、フェノール/クロロホルムおよびエタノール、またはQiagen MiniElute PCR Purification kit(カタログ番号28004)を用いて沈殿させた。得られた生成物を、必要な酵素(発現カセットについてHindIIIおよびBamHI)で消化し、そして1.5% 低融点アガロースゲルに負荷した。正しいサイズのDNAバンドを切り出して精製した。DNAを配列決定して、当該配列が正しく、そして仮性変異(spurious mutation)が導入されていないことを確認した。
【0171】
[000183] 重鎖および軽鎖V領域遺伝子を、それぞれヒトIgG1またはK定常領域および哺乳動物細胞におけるセレクションのためのマーカーを含む発現ベクターpSVgptおよびpSVhygに導入した。抗体重鎖発現ベクターは図6に図解した。図中、カッコ内の部位は除去した。重鎖発現ベクターpSVgptHuIgG1は、pSVgpt(MulliganおよびBerg、Science (1980; 209:1422-1427))に基づく。それは、細菌細胞におけるセレクションのためのアンピシリン耐性遺伝子、哺乳動物細胞におけるセレクションのためのgpt遺伝子、ネズミ重鎖免疫グロブリンエンハンサー領域、ヒトIgG1定常領域遺伝子をコードするゲノム配列、およびSV40 ポリA配列を含む。発現のための重鎖可変領域は、HindIIIからBamH1のフラグメントとして挿入する。この発現カセットはネズミ重鎖プロモーター、シグナルペプチドコード配列およびシグナル配列イントロン、V遺伝子、V−Cスプライスドナー配列ならびにイントロン配列、を含む。
【0172】
[000184] 抗体軽鎖発現ベクターは図7に図解した。図中、カッコ内の部位は除去した。HuCκの内側に3つのEcoR1部位がある。軽鎖発現ベクターpSVgptHuCκは、ベクターpSVhygに基づく。それは、細菌細胞におけるセレクションのためのアンピシリン耐性遺伝子、哺乳動物細胞におけるセレクションのためのhyg遺伝子、ネズミ重鎖免疫グロブリンエンハンサー領域、カッパエンハンサーを含むヒト カッパ定常領域遺伝子をコードするゲノム配列、およびSV40 ポリA配列を含む。発現のための軽鎖可変領域は、HindIIIからBamH1のフラグメントとして挿入する。この発現カセットは、ネズミ重鎖プロモーター、シグナルペプチドコード配列およびシグナル配列イントロン、Vκ遺伝子、V−Cスプライスドナー配列、ならびにイントロン配列を含む。キメラ発現ベクターにおいて、VおよびVκについてDNA配列が正しいことを確認した。
【0173】
[000185] 重鎖および軽鎖発現ベクターを、エレクトロポレーションによりNS0細胞(European Collection of Animal Cell Cultures, Porton, UK, ECACC No.85110503)に同時トランスフェクトした。pSVgptHuIgG1およびpSVgptHuCプラスミドのそれぞれについて約3および6μgをPvu1で消化する。消化したDNAをエタノール沈殿し、そして20μL dHOに溶解した。細胞を、セミコンフルエントの75cmフラスコから再懸濁し、そして1000rpmで5分間の遠心分離により回収した。上清を捨てた。細胞を、0.5mLダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に再懸濁し、そしてGene Pulserキュベット(Bio−Rad)へ移した。DNAを穏やかにピペッティングすることにより細胞と混合し、そして氷上に5分間置いた。キュベットを、Bio−Rad Gene Pulserの電極の間に挿入し、そして179V、960μFの単一パルスを印加した。キュベットを20分間、氷へ戻した。次いで細胞懸濁液を、20mL DMEMを含有する75cmフラスコに移し、そして1−2日間回復させた。そして細胞を回収し、80mLの選択DMEM中に再懸濁し、そして96ウェルプレートの各ウェルに200μLをアリコートした。
【0174】
[000186] 約10日後に、各ウェルから20μLの培地を、ヒト抗体の存在についてアッセイし、そして抗体産生レベルおよびウェル中の細胞数に基づいて増殖させるウェルを選択した。選択したウェルからの細胞をGilson P200ピペットのチップ(黄色チップで)表面をこすることにより再懸濁し、そして1.5mLの新鮮な選択DMEMを含有する24ウェル組織培養プレートのウェルへと培地を移した。gpt遺伝子を発現するコロニーを、10%ウシ胎仔血清、0.8μg/mL ミコフェノール酸および250μg/mLキサンチンを補ったDMEM中で選択した。トランスフェクトされたクローンを、ヒトIgGについてのELISAによって、ヒト抗体の産生についてスクリーニングした。抗体を分泌する細胞株を増殖させ、そして最も高産生する細胞株を選択し、液体窒素中で凍結した。キメラ抗体を、Prosep(登録商標)−A(Millipore Corp.)を用いて精製した。濃度は、ヒトIgG1κについてのELISAによって決定した。
【0175】
実施例3− マウスNYR−1002の可変領域中に含まれるヒトヘルパーT細胞エピトープの同定
[000187] 実施例1で同定されたアミノ酸配列を、Peptide Threadingソフトウェア(Biovation)を用いて、可変領域のヒトT細胞エピトープマップを作るために解析した。図5にこの解析結果を示す。解析結果は、全体で、NYR−1002において17、Vにおいて9、そしてVにおいて8の、潜在的なヒトT細胞エピトープを示した。いずれの潜在的なT細胞エピトープも、CDRにおいて完全に同時に起こることはなかった。
【0176】
実施例4− 修飾抗体配列の設計
[000188] 一次VおよびV変異体配列(NYDIVH1、NYDIVK1)は、潜在的なヒトT細胞エピトープを除去しつつ、必要な場合は、重要なアミノ酸を保持するように、ネズミAF−20抗体の可変領域中のアミノ酸残基を置換することにより設計した:図6、7、8および9を参照。一次V領域のDNAおよびアミノ酸配列は図8に示し、一次V領域については図9に示した。
【0177】
[000189] 一次VおよびV変異体配列の生成には、最終ポリペプチドの結合に影響を与えるかもしれないアミノ酸置換の数を少なくすることが求められたので、6つの他の変異体Vs(NYDIVH1A、NYDIVH2、NYDIVH3、NYDIVH4、NYDIVH5、およびNYDIVH6と称する)および4つの他のVs(NYDIVK2、NYDIVK3、NYDIVK4、およびNYDIVK5と称する)を設計した。ネズミおよび脱免疫化(DeImmunised)V領域のアミノ酸配列の比較を、Vについて図6に、Vについて図7に示した。変異体VおよびVについて変化させたアミノ酸配列は、いくつかの潜在的なT細胞エピトープを再導入した(それぞれ図6および図7の表1)。
【0178】
実施例5 修飾抗体配列の構築
[000190] 修飾可変領域を、Orlandiら(1989)に記載され、そして上記実施例2に詳しく述べたように、オーバーラッピングPCR組み換えの方法により構築した。クローニングしたネズミVおよびV遺伝子を、要求された配列についてのフレームワーク領域の突然変異誘発のためのテンプレートとして使用した。変化させる領域を包含するように変異誘発性プライマー対を合成した。ベクター VH−PCR1およびVK−PCR1(Riechmannら、1988)を、リーダーシグナルペプチド配列を含む5’フランキング配列、リーダーイントロンおよびネズミ免疫グロブリンプロモーター、ならびにスプライス部位およびイントロン配列を含む3’フランキング配列を導入するためのテンプレートとして用いた。生成した修飾VおよびV発現カセットをpUC19にクローニングし、そして各修飾VおよびV配列が正しいことについて全体のDNA配列を確認した。
【0179】
[000191] 修飾重鎖および軽鎖V領域遺伝子をpUC19から、HindIIIないしBamHI発現カセットとして切除した。これらを、それぞれヒトIgG1またはκ定常領域、および哺乳動物細胞における選択のためのマーカーを含む発現ベクターpSVgptおよびpSVhyg(それぞれ図3および図4)に移した。当該発現ベクターにおいて修飾VおよびV配列が正しいことについてDNA配列を確認した。
【0180】
[000192] 抗体発現のための宿主細胞株はNS0(免疫グロブリン非産生マウス骨髄腫、European Collection of Animal Cell Cultures、英国ポートン(ECACC No 85110503)より得た)であった。重鎖および軽鎖発現ベクターは、NS0細胞にエレクトロポレーションにより同時トランスフェクションした(上述の実施例2を参照)。gpt遺伝子を発現しているコロニーを、10%ウシ胎仔血清、0.8μg/mlミコフェノール酸、および250μg/mlキサンチンを補ったダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で選択した。トランスフェクトした細胞クローンはヒト抗体の産生について、ヒトIgGについてのELISAによってスクリーニングした。抗体を分泌する細胞株を増殖させ、そして産生量が最高のものを選択し、液体窒素中で凍結した。修飾抗体を、Prosep(登録商標)−A(Bioprocessing Ltd)を用いて精製した。ヒトIgG1κについてのELISAにより濃度を決定した。抗体はまた、SDS−PAGEによって解析した。
【0181】
実施例6 修飾抗体の発現
[000193] トランスフェクトした細胞クローンを抗体発現について試験した。最も重い鎖および最も軽い鎖の組合せの産生は悪かった(図10を参照)。NYDIVK2と組み合わせた場合のNYDIVH5は、最もよく産生され、精製された抗体を3.6mg産生した。比較のために、キメラ抗体は0.66mgのタンパク質として得られた。NYDIVH1Aを軽鎖と組み合わせた場合はいずれも、抗体を産生しなかった。
【0182】
[000194] NYDIVH2/NYDIVK2、NYDIVH2/NYDIVK3を含む抗体は、アッセイした際に最も成績がよく、NYDIVH4/NYDIVK5、NYDIVH4/NYDIVK3は、それよりやや弱かった。NYDIVH2/NYDIVK2を、リードヒト化抗体として選択した。
【0183】
実施例7 修飾抗体およびキメラ抗体のヒトT細胞アッセイ
[00195] ヒト化抗体NYDIVH2/NYDIVK2(huNYR−1002)とともにキメラ抗体(chNYR−1002)をヒトT細胞増殖アッセイにおいて試験した。健康なドナーからのバッフィーコートを、抗原提示細胞(APCs)およびT細胞を含有する末梢血単核細胞(PMBC)を単離するのに用いた。これらのドナーのMHCクラスIIアロタイプを決定し、そして20のドナーを選択し、コーカソイド集団について>80% HLA DRB1アロタイプカバー率であった。図11の表1に示すように、20のドナーはいずれも、ヒトT細胞増殖アッセイにおいて、ヒト化抗体、huNYR−1002に対して有意な応答を示さなかった(刺激指数(Stimulation index),SI>2)。これに対し12のドナーはネズミIgG、chNYR−1002に対して、SI>2で応答したが、これらのドナーの5つは2〜2.5のSIの境界域の応答を生じた(図11の表2)。ヒト化抗体に対する差次的な応答は、T細胞免疫原性を減少させることにおける、ネズミ可変領域中のアミノ酸置換の効果を確認するものである。
【0184】
実施例8 細胞毒性剤と複合化した修飾抗体の細胞毒性の有効性の決定
[000196] 抗体(huNYR−1002)を種々の公知の細胞毒性分子と複合化し、癌細胞培養物における細胞毒性の効果について試験した。細胞毒性化合物(例えばメトトレキセートおよびドキソルビシン)を、スルホスクシンイミジル 4−[N−マレイミドメチル]−シクロヘキサン−1−カルボキシレートを用いたマレイミド活性化およびサイズ排除クロマトフラフィーによる精製、により抗体と複合化した。1モルの抗体あたり2−10モルの化合物という置換率のものを使用した。
【0185】
−複合化の方法の変法が、本明細書で開示される態様に意図され、そして本明細書が提供する指標を用いて当業者によりなされることができる;
−複合化される細胞毒性分子についての種々の選択肢が、本明細書で開示される態様に意図され、そして本明細書が提供する指標を用いて、当業者に十分に実施可能な範囲である。
【0186】
[000197] 96ウェルプレートに、細胞(例えばCCL−185細胞)を10〜10細胞/ウェルで播種した。ブランクウェル対照に、化合物のみ、培地のみ、ならびに、培地および化合物、を入れた。対照はまた、細胞プラス培地のみ、および細胞のみ、を含んだ。化合物は、0.01から0.25μg/mL濃度範囲で試験した。プレートを4日間インキュベートし、そして製造者の指示に従って、種々の生存性アッセイによって試験した。(例えば、Celltiter 96 Aqueous One Solution(MTS))。細胞ウェルへの染色液またはリガンドの添加に続いて、プレートを37℃で1〜4時間インキュベートし、数秒間混合し、そして次いでプレートリーダー上で吸光度について読み取った。
【0187】
結果:
[000198] 新たに調製した化合物(抗体と細胞毒性分子の複合体)は、複合体化していない細胞毒性化合物よりも、より細胞毒性(細胞毒性化合物1モルあたり)であることがわかった。抗体と複合体化した化合物の増加した細胞毒性は、10〜10倍の範囲の有効性であった(同等の細胞毒性効果のために、複合体化していない化合物は、抗体と複合体化した化合物と比較して、10〜10倍多くの化合物分子を必要とした)。最大の効果は、培養4日後に見られた。これらの結果は、1)抗体複合体は、より低い濃度の細胞毒性化合物で同等の細胞毒性を提供し、抗体がより少なく結合する非癌性細胞および組織に対するより低い毒性を示唆する;2)抗体複合体はより低い濃度でより細胞毒性であり、癌細胞を死滅させることについてより高い有効性を示唆する;および、3)細胞毒性化合物はモノクローナル抗体に捕捉および複合体化されており、抗体がより少なく結合する非癌性細胞および組織に対してより毒性が低いことを示唆する。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】[00036] 図1は、NYR−1002 V鎖のDNA及びアミノ酸配列を、その中に同定された四つのFR及び三つのCDRとともに示す。
【図2】[00037] 図2は、NYR−1002可変軽鎖のDNA及びアミノ酸配列を、その中に同定された四つのFR及び三つのCDRとともに示す。
【図3】[00038] 図3は、抗体重鎖の発現ベクターを示す。
【図4】[00039] 図4は、抗体軽鎖の発現ベクターを示す。
【図5】[00040] 図5は、NYR−1002の重鎖及び軽鎖可変領域において同定された潜在的なヒトT細胞エピトープを示す。
【図6−1】[00041] 図6は、NYR−1002のV領域のバリアントにおいて創出されたアミノ酸変化及び潜在的なエピトープを示す。
【図6−2】[00041] 図6は、NYR−1002のV領域のバリアントにおいて創出されたアミノ酸変化及び潜在的なエピトープを示す。
【図7−1】[00042] 図7は、NYR−1002のV領域のバリアントにおいて創出されたアミノ酸変化及び潜在的なエピトープを示す。
【図7−2】[00042] 図7は、NYR−1002のV領域のバリアントにおいて創出されたアミノ酸変化及び潜在的なエピトープを示す。
【図8】[00043] 図8は、第一のNYDIVH1のDNA及びアミノ酸配列を示す。
【図9】[00044] 図9は、NYR−1002 Vの第一バリアントであるNYDIVK1のDNA及びアミノ酸配列を示す。
【図10】[00045] 図10:産生された修飾抗体、及び1リットルの培養上清から得られたプロテインA精製抗体の収量を、示す。
【図11】[00046] 図11:ヒトT細胞アッセイにおける、NYDIVH2/NYDIVK2抗体及びNYR−1002マウス抗体に対する20名のドナーの応答。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AF−20と結合可能な抗体の重鎖または軽鎖可変領域由来の抗原結合領域を含んでなる、組換え抗体分子。
【請求項2】
AF−20と結合する非ヒト抗体から得られた可変領域およびヒト定常領域を含んでなるキメラ抗体。
【請求項3】
AF−20と結合するネズミ抗体から得られた可変領域およびヒト定常領域を含んでなる、請求項2に記載のキメラ抗体。
【請求項4】
ネズミ抗体がハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB9686により産生されるネズミモノクローナル抗体(moAb)であり、およびヒト定常領域の、請求項3に記載のキメラ抗体。
【請求項5】
キメラ抗体chNYR−1002。
【請求項6】
AF−20と結合するヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントであって、AF−20を結合する非ヒト抗体に由来する、前記ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項7】
ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント(humoAb)が、AF−20を結合するネズミモノクローナル抗体(moAb)に由来する、請求項6に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項8】
humoAbが、ハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB9686により産生されるネズミmoAbに由来する、請求項7に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項9】
ヒト化抗体huNYR−1002。
【請求項10】
AF−20と結合する非ヒト抗体から得られた相補性決定領域(CDR)アミノ酸残基およびヒトフレームワーク領域(FR)アミノ酸残基を含んでなる、AF−20を結合するヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項11】
相補性決定領域(CDR)アミノ酸残基が、AF−20を結合するネズミmoAbから得られる、請求項10に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項12】
AF−20と結合するネズミmoAbがハイブリドーマ細胞株ATCC指定HB9686により産生され、およびヒトフレームワーク領域(FR)アミノ酸残基の、請求項11に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項13】
AF−20を結合するヒト化抗体またはそのフラグメントであって、軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)ならびに重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR1、CDR2およびCDR3)が、以下のアミノ酸配列:
軽鎖:
CDR1(配列番号 )[RASQSIGTSIH]
CDR2(配列番号 )[YASESIS]
CDR3(配列番号 )[QQSSSWPFT]
重鎖:
CDR1(配列番号 )[GYTFAGHYVH]
CDR2(配列番号 )[WIFPGKVNTKYNEKFKG]
CDR3(配列番号 )[VGYDYFYYFDY]
を含んでなる、前記ヒト化抗体およびそのフラグメント。
【請求項14】
ヒトフレームワーク領域(FR)において、1またはそれより多くのアミノ酸の付加、置換または欠失がなされている、請求項13に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項15】
可変領域において同定された潜在的なヒトヘルパーT細胞エピトープがアミノ酸残基の置換、付加または欠失により除去されている、請求項13に記載のヒト化抗体またはフラグメント。
【請求項16】
抗体が、ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントが由来する抗体のAF−20に対する抗原結合親和性の少なくとも10%のAF−20に対する抗原結合親和性を有する、請求項6に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント。
【請求項17】
a)配列番号 [GYTFAGHYVH];
b)配列番号 [WIFPGKVNTKYNEKFKG];
c)配列番号 [VGYDYFYYFDY];
d)配列番号 [RASQSIGTSIH];
e)配列番号 [YASESIS];および
f)配列番号 [QQSSSWPFT];
からなる群の少なくとも一つから選択される配列を含んでなる、ポリペプチド配列。
【請求項18】
請求項17に記載のポリペプチド配列をコードするDNA。
【請求項19】
請求項13に記載のヒト化抗体またはフラグメントのアミノ酸配列をコードするDNA分子。
【請求項20】
請求項6に記載の抗体の軽鎖またはフラグメントをコードするDNA分子。
【請求項21】
軽鎖CDRのヌクレオチド配列が以下:
CDR1(配列番号 )[RASQSIGTSIH];
CDR2(配列番号 )[YASESIS];および
CDR3(配列番号 )[QQSSSWPFT]
である、請求項20に記載のDNA分子。
【請求項22】
配列番号6に記載の抗体の重鎖またはフラグメントをコードするDNA分子。
【請求項23】
重鎖CDRのヌクレオチド配列が以下:
CDR1(配列番号 )[GYTFAGHYVH];
CDR2(配列番号 )[WIFPGKVNTKYNEKFKG];および
CDR3(配列番号 )[VGYDYFYYFDY]
である、請求項22に記載のDNA分子。
【請求項24】
発現ベクターの形である、請求項19に記載のDNA分子。
【請求項25】
請求項24に記載の発現ベクターで形質転換された宿主。
【請求項26】
請求項13に記載の抗体または抗体フラグメントの軽鎖および重鎖をコードする組換え発現系を含んでなる宿主細胞。
【請求項27】
請求項2に記載のキメラ抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項28】
請求項6に記載のヒト化抗体または抗体フラグメントを産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項29】
癌を治療するための組成物であって、治療有効量の請求項6に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントを含んでなる、前期組成物。
【請求項30】
ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントが、直接的または間接的に、治療活性を有するエフェクター部分と付随または連結している、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
エフェクター部分が、抗癌剤、化学療法剤、細胞毒素、放射性核種、治療用酵素、プロドラッグ、サイトカイン、抗増殖剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
放射性核種が、32P、47Sc、67Cu、90Y、105Rh、125I、131I、117mSn、153Sm、166Dy、175Yb、186Re、188Re、194Os、211At、212Bi、213Bi、225Ac、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
AF−20を発現している癌を有する哺乳動物を治療する方法であって、当該哺乳動物に治療有効量の請求項29に記載の組成物を投与することを含んでなる、前期方法。
【請求項34】
組成物を手術後に投与する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
癌を検出するための組成物であって、診断上有効量の請求項6に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントを含んでなる、前期組成物。
【請求項36】
ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントが、直接的または間接的に、検出可能な標識に付随または連結している、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
検出可能な標識が、放射性核種、蛍光剤、酵素、酵素基質、酵素補助因子、酵素阻害剤、リガンド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項46に記載の組成物。
【請求項38】
放射性核種が、H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
AF−20を発現している癌細胞の免疫検出のための方法であって、癌細胞を請求項35に記載の組成物と接触させることを含んでなる、前期方法。
【請求項40】
組成物のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントが固体担体に結合されている、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
哺乳動物におけるAF−20を発現している癌細胞の免疫検出のための方法であって、当該哺乳動物に診断上有効量の請求項35に記載の組成物を投与することを含んでなる、前期方法。
【請求項42】
免疫検出が、in vivo腫瘍画像法である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
癌を治療するための方法であって:(i)放射性核種で標識した請求項6に記載のヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメントを静脈内に投与し;(ii)放射性核種活性プローブを用いて腫瘍細胞を検出し;そして(iii)外科的切除(surgical excision)により検出された腫瘍細胞を取り除く;ことを含んでなる、前期方法。
【請求項44】
放射性核種が、H、11C、14C、18F、64Cu、76Br、86Y、99mTc、111In、123I、177Lu、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項43に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate

【図7−1】
image rotate

【図7−2】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公表番号】特表2008−507253(P2008−507253A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551695(P2006−551695)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000142
【国際公開番号】WO2005/075647
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(501191395)ナイモックス コーポレーション (6)
【Fターム(参考)】