説明

ヒト化FcγRIIB特異的抗体とその利用法

本発明は、FcγRIIAと結合するよりも高い親和性でヒトFcγRIIBと結合するヒト化FcγRIIB抗体、そのフラグメントおよび変異体に関する。本発明は、本発明のヒト化抗体を、Fc受容体介在性シグナル伝達のバランスの低下に関連した疾患(例えば癌、自己免疫疾患、および炎症性疾患)を治療するために使用することを包含する。本発明は、治療用抗体のエフェクター機能を高めるために本発明のヒト化抗体を投与することにより治療用抗体の治療効果を増大する方法を提供する。本発明はまた、本発明のヒト化抗体をワクチン組成物とともに投与することによりワクチン組成物の効力を増大する方法も提供する。本発明は、自己免疫疾患を治療する方法およびFcγRIIBを発現する癌細胞を除去する方法を包含する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ヒトFcγRIIAの細胞外ドメインと結合するよりも高い親和性で天然ヒトFcγRIIBの細胞外ドメインと特異的に結合するモノクローナル抗体由来のCDRを含むアミノ酸配列を有するヒト化抗体。
【請求項2】
前記抗体がモノクローナル抗体2B6または3H7由来のCDRを含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項3】
前記抗体がモノクローナル抗体1D5、2E1、2H9、2D11、または1F2由来のCDRを含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項4】
前記抗体が重鎖領域と軽鎖領域を有するヒト化可変領域を含み、該重鎖領域が配列番号24または配列番号37のアミノ酸配列を有し、該軽鎖領域が配列番号18、配列番号20、配列番号22、または配列番号46のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号1または配列番号29のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号2または配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号3または配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号8または配列番号38のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号9、配列番号10、配列番号11または配列番号39のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号12または配列番号40のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項7】
変異型CDR領域を含み、変異型CDR領域がVL CDR2中に少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、請求項1に記載のヒト化抗体。
【請求項8】
少なくとも1つのアミノ酸改変がチロシンによる50位での置換を含む、請求項7に記載のヒト化抗体。
【請求項9】
少なくとも1つのアミノ酸改変がアラニンによる51位での置換を含む、請求項7に記載のヒト化抗体。
【請求項10】
前記抗体がフレームワーク領域中にはアミノ酸改変を含まない、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体。
【請求項11】
前記フラグメントがF(ab')2フラグメントまたはF(ab)フラグメントである、請求項1に記載の抗体フラグメント。
【請求項12】
前記抗体が一本鎖抗体である、請求項1に記載の抗体。
【請求項13】
前記抗体が異種ポリペプチドと機能的に連結されている、請求項1に記載の抗体。
【請求項14】
前記抗体が治療薬にコンジュゲートされている、請求項1に記載の抗体。
【請求項15】
前記治療薬が細胞毒素である、請求項14に記載の抗体。
【請求項16】
Ig-FcのFcγRIIBへの結合をブロックする、請求項1に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体がリツキシン(Rituxin)よりも効果的に腫瘍増殖を軽減する、請求項1に記載の抗体。
【請求項18】
請求項1に記載の抗体またはそのフラグメントの重鎖もしくは軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸。
【請求項19】
請求項18に記載の核酸分子を含有するベクター。
【請求項20】
重鎖をコードする第1の核酸分子および軽鎖をコードする第2の核酸分子を含有するベクターであって、該重鎖および軽鎖が請求項1に記載の抗体またはそのフラグメントに由来するものである、上記ベクター。
【請求項21】
発現ベクターである、請求項19に記載のベクター。
【請求項22】
請求項19に記載のベクターを含有する宿主細胞。
【請求項23】
異種プロモーターと機能的に連結された第1の核酸、および同一のまたは異なる異種プロモーターと機能的に連結された第2の核酸を含有する宿主細胞であって、第1の核酸と第2の核酸が請求項1に記載の抗体のそれぞれ重鎖および軽鎖をコードしている、上記宿主細胞。
【請求項24】
癌抗原を特徴とする癌にかかった患者において癌を治療する方法であって、該患者に、治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体、および該癌抗原と特異的に結合しかつ細胞傷害性である抗体を投与することを含んでなる、上記方法。
【請求項25】
前記癌が乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、または膵臓癌である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞傷害性の抗体がトラスツズマブ、リツキシマブ、IC14、エドレコロマブ、セツキシマブ、バイタクシン(VITAXINTM)、キャンパス(Campath)1H/LDP-03、エプラツズマブ、またはゼブリン(ZEVLINTM)である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記癌抗原がMAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ、p15、βカテニン、MUM-1、CDK4、HER-2/neu、ヒトパピローマウイルス-E6、ヒトパピローマウイルス-E7、またはMUC-1である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記癌抗原が乳癌、卵巣癌、前立腺癌、子宮頸癌、または膵臓癌の抗原である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の追加の癌療法を施すことをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
追加の癌療法が化学療法、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法、または外科手術からなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記患者がヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
(i) 治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体、(ii) 癌抗原と特異的に結合する細胞傷害性抗体、および(iii) 製薬上許容される担体、を含有する医薬組成物。
【請求項33】
患者の自己免疫疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含んでなる、上記方法。
【請求項34】
自己免疫疾患が慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群、乾癬、またはエリテマトーデスである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記患者に、治療に有効な量の1種以上の抗炎症剤を投与することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記患者に、治療に有効な量の1種以上の免疫調節剤を投与することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種の免疫調節剤が小さい有機分子である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
小さい有機分子がメトトレキセート、レフルノミド、シクロホスファミド、シクロスポリンA、FK506、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン、ミゾリビン、デオキシスペルグアリン、マロニトロラミド(malonitrolamide)、ステロイド、またはコルチコステロイドである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1種の抗炎症剤が非ステロイド系の抗炎症薬である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
非ステロイド系の抗炎症薬がアスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナック、ナブメトン、ナブロキセン、またはケトプロテンである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
患者のIgE依存性アレルギー疾患を治療または予防する方法であって、該患者に、治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含んでなる、上記方法。
【請求項42】
IgE依存性アレルギー疾患が喘息、アレルギー性鼻炎、胃腸のアレルギー、好酸球増加症、結膜炎、または糸球体腎炎である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
細胞傷害性抗体で治療される患者において抗体依存性細胞傷害作用を増強する方法であって、該患者に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体を、該細胞傷害性抗体の細胞傷害作用を高めるのに十分な量で投与することを含んでなる、上記方法。
【請求項44】
被験者の自己免疫疾患を診断する方法であって、
(a) 被験者から得られた生物学的サンプルを、有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体と接触させること、
(b) 該抗体の結合を検出すること、
を含んでなり、その際、該検出可能なマーカーがバックグラウンドまたは標準レベルを上回って検出されれば、該被験者が自己免疫疾患にかかっていることを示す、上記方法。
【請求項45】
検出可能なマーカーが化学発光標識、酵素標識、蛍光標識、または放射性標識である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
被験者においてワクチン組成物に対する免疫応答を高める方法であって、該被験者に、請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体およびワクチン組成物を投与することを含んでなり、該ヒト化抗体が該被験者において該ワクチン組成物に対する免疫応答を高めるのに有効な量で投与される、上記方法。
【請求項47】
癌抗原を特徴とする癌にかかった患者において癌を治療する方法であって、該患者に、治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含んでなり、その際、投与された抗体がFcγRIIBを発現する癌細胞の集団を減少させる、上記方法。
【請求項48】
癌抗原を特徴とする癌にかかった患者において癌を治療する方法であって、該患者に、治療に有効な量の請求項1〜9のいずれか1項に記載のヒト化抗体を投与することを含んでなり、その際、投与された抗体がFcγRIIBを発現する癌細胞を排除する、上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−536932(P2007−536932A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513268(P2007−513268)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2005/016260
【国際公開番号】WO2005/110474
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(504438727)マクロジェニクス,インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】