説明

ヒト型結核菌の特異的検出のための方法およびキット

本発明は、narGHJIプロモーター中のSNPに基づいて、結核菌群の他の要素、すなわち、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis (ウシ型結核菌))、マイコバクテリウム・ボビスBCG(Mycobacterium bovis BCG(弱毒化ウシ型結核菌)、マイコバクテリウム・アフリカナム(Mycobacterium africanum(アフリカ型結核菌))およびマイコバクテリウム・ミクロティ(Mycobacterium microti(ネズミ型結核菌))との間の識別が特に達成される、生物試料中のマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))の特異的検出のための方法および系に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト型結核菌といわゆる結核菌群の他のメンバー、すなわち、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis(ウシ型結核菌))、マイコバクテリウム・ボビスBCG(Mycobacterium bovis BCG(弱毒化ウシ型結核菌)、マイコバクテリウム・アフリカナム(Mycobacterium africanum(アフリカ型結核菌))およびマイコバクテリウム・ミクロティ(Mycobacterium microti(ネズミ型結核菌))との識別が特に達成される、生物試料中のマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))の特異的検出のための方法および手段に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、全世界で約20億人が結核の病原体であるヒト型結核菌に感染したことがあり、毎年800万人が結核で倒れている。結核に罹患している人々のうち、毎年300万人が死亡する。このため、結核は現在、非常に高頻度で死亡に繋がる細菌感染症である。結核の深刻さのため、特に人口に蔓延することを可能な限り速やかに防ぐために、結核は大部分の先進工業国で診断直後の届出義務がある。最近の数年間に、結核の発生の増加が発展途上国でおよび先進国での両方で観察されており、結核による死亡例が、特に免疫抑制HIV患者の例で、常に記録されている。しかし、世界人口の大部分への一般的危険のためばかりでなく、その一方での病院の内外における多剤耐性菌株(MDRTB)の流行型発生のためにも、ヒト型結核菌の検出のための迅速なおよび明確な診断が必要とされている。
【0003】
ヒトでは、結核は全世界でヒト結核病原体マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))によって事実上単独で引き起こされる。これから下記を区別する必要がある:ウシ結核の病原体であるマイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis(ウシ型結核菌))、ウシ型結核菌の弱毒化株であって結核に対する免疫に用いられるマイコバクテリウム・ボビスBCG(Mycobacterium bovis(BCG)(弱毒化ウシ型結核菌)、マイコバクテリウム・アフリカナム(Mycobacterium africanum(アフリカ型結核菌))およびマイコバクテリウム・ミクロティ(Mycobacterium microti(ネズミ型結核菌))。それらの近縁関係の結果として、上述の種のすべてはいわゆる結核菌群にまとめられている。これから、いわゆる非結核性抗酸菌を区別する必要がある。現在、これらの約100の異なる種があり、そのうち少なくとも30種は、唾液、糞便、尿などといったヒト材料中に存在し、および一部の場合にはまた感染および/または疾患へ繋がる能力がある。抗酸菌診断の分野における現在の試みの目的は、したがって、可能な最短時間以内に感染初期段階で抗酸菌感染を識別することを可能にする抗酸菌検査の供給だけでなく、また、結核菌群のメンバーを特異的に同定すること、および同時にヒト型結核菌と結核菌群の他のメンバーとを識別することでもある。
【0004】
結核菌群のメンバーの同定、およびヒト型結核菌と結核菌群の他のメンバーとの識別は、抗酸菌の硝酸還元酵素活性およびナイアシン蓄積を検査することによって通常は達成できる(たとえばメチョック(Metchock)B.G.らの『臨床微生物学の手引き』(Manual of Clinical Microbiology.)ASMプレス社(ASM Press)、ワシントンDC(Washington DC)、1999:399−437)。この点で、ヒト型結核菌は、結核菌群の他のメンバーと比較して、硝酸還元酵素活性の上昇によって特徴づけられる。硝酸還元酵素検査を実施するためには、しかし、臨床材料から単離された抗酸菌株、したがって特に結核性病原体株の、検査室での培養が何よりも必要であり、これは通常は高感染性病原体の培養のために特別の設備を有する検査室でのみ可能であり、および、病原体の増殖の遅さのため、数週間かかる。日常の臨床診断においてそのような検査が利用できることは、したがって検査室の技術および財政に関して、高額支出を伴う。
【0005】
現在までの既存のすべての検出方法は、不十分でおよびしたがって改善を要すると考えられている。その単純な応用の結果として、およびそれによって唾液、気管支洗浄液、胃液、尿、糞便、骨髄、血液といった臨床材料中にまたは生検中に結核菌群のメンバーを特異的に検出できることおよび同時にヒト型結核菌を結核菌群の他のメンバーから識別できることで際立っている、日常の臨床使用に適した方法は、今までのところ最新技術から知られていない。
【0006】
たとえば気温調節系を備えおよびしたがって従来のPCRと比較して顕著に低い移行時間を示すリアルタイムPCR(「高速サイクルPCR」)の使用は、たとえば、抗酸菌の単離された遺伝物質の増幅による抗酸菌の検出までの時間の相当な短縮に繋がることが知られている(チェーピン(Chapin)およびローダーデール(Lauderdale),J.Clin.Microbiol.(1997)35:2157−2159)。加えて、蛍光定量測定は、特に高速サイクルPCRの枠組内で、色素標識化ハイブリダイゼーションプローブを用いる場合、増幅された遺伝子断片の検出のための迅速および高感度な方法となる。これまではしかし、それによって結核菌群のメンバーが特異的に検出され、および、同時にヒト型結核菌が結核菌群の他のメンバーから識別される、(リアルタイム)PCR検査を提供することは不可能であった。
【0007】
こうした背景のもと、結核菌群のメンバーの特に迅速なおよび同時に特異的な検出を可能にする方法であって、およびそれによって同時にヒト型結核菌を結核菌群の他のメンバーから識別することが可能になる、特に改良された方法および手段を提供することが本発明の目的である。
【0008】
本発明によると、その目的は、請求項1から11に記載の方法、請求項12〜17に記載のプライマーおよびプライマー対、請求項19から28に記載のハイブリダイゼーションプローブおよびハイブリダイゼーションプローブ対によって、請求項18および29に記載の使用によって、および特に請求項30から35に記載のキットによっておよび/または51の請求項36の対象によって達成される。
【0009】
本発明は特に、核酸増幅方法が、配列ID番号:1に示される、その配列がnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの領域に由来する断片を含み、そのDNA断片がnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位を含む配列に由来するDNA断片を増幅するのに適したプライマーを用いて実施される方法であり、およびその場合に、narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に、ヒト型結核菌に特異的な多型が検出される、生物試料中のヒト型結核菌の特異的検出のための方法に関する。
【0010】
NarGHJI硝酸還元酵素オペロンは、本発明によると、調節配列を含み、特にそのプロモーターを含む、narGHJI硝酸還元酵素をコードする核酸配列を意味すると理解すべきである。ヒト型結核菌に特異的な多型とは、結核菌群の他のメンバー、すなわち弱毒化ウシ型結核菌、アフリカ型結核菌およびネズミ型結核菌の核酸配列と比較して特異的である、個々のヌクレオチド交換(T−>C)、すなわちSNP(一塩基多型)である。
【0011】
本発明の一実施形態によると、微生物DNAは、最初の段階で、好ましくは臨床材料を含む試料から抽出され、および、続く段階で、抗酸菌の硝酸還元酵素オペロン、すなわち硝酸還元酵素をコードするnarGHJIオペロンの少なくとも1つのDNA断片が、抽出されたDNAから増幅され、その増幅されたDNA断片(または増幅されたDNA断片のうちの1つ(いくつかの抗酸菌株の代表が生物試料中に存在するならば))は、ヒト結核菌に特異的な少なくとも1つのDNA多型を示す標的領域(標的配列)を含む。
【0012】
さらなる段階では、少なくとも1つの増幅されたDNA断片の特異的ハイブリダイゼーションが、少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブ、すなわちオリゴヌクレオチドを用いて検出され、そのハイブリダイゼーションプローブは好ましくは配列ID番号:5で表されるヌクレオチド配列、配列ID番号:5に対する相補配列、配列ID番号:6で表されるヌクレオチド配列、および配列ID番号:6に対する相補配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み、結核菌群の他のメンバー、すなわち上記のウシ型結核菌、BCG、アフリカ型結核菌およびネズミ型結核菌に対するヒト型結核菌の特異的検出は、narGHJIオペロンの増幅されたDNA断片とのハイブリダイゼーションプローブの特異的ハイブリダイゼーションの融解温度の分析によって、すなわち融解曲線分析によって行われる。具体的な一実施形態によると、1または複数のプローブが、1または複数の上述のヌクレオチド配列を示す。具体的な一実施形態によると、上述のハイブリダイゼーションプローブは配列ID番号:4に記載のアンカープローブまたはそれと相補的なヌクレオチド配列と組み合わされている。
【0013】
本発明によると、narGHJIオペロンの少なくとも1つのヒト型結核菌特異的DNA多型は、好ましくはnarGHJIオペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に、すなわち以後narGHJIプロモーターと称するプロモーター領域に位置する。この多型(結核菌群の他のメンバーの場合のCと比較してT)をnarGHJIプロモーター中に示す、突然変異によって生じたヒト型結核菌の種類は、これが−215位に位置せずnarGHJIオペロンの翻訳開始コドンGTGに関して異なる位置であっても含まれる。
【0014】
驚いたことに、narGHJIオペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において215番目のヌクレオチドの代わりに、すなわちnarGHJIプロモーターの−215位にて、結核菌群の他のメンバー(特にアフリカ型結核菌、ネズミ型結核菌、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌(図1を参照のこと)の場合にはシトシン塩基が存在する一方、ヒト型結核菌の場合にはチミン塩基が見出されることが本発明の枠組内で見出されている。この一塩基多型はヒト型結核菌に特異的であり、および、とりわけ、全世界の100を超えるヒト型結核菌株についての比較調査によって確認された通り、安定である。さらに、予想外なことに、この一塩基多型が、結核菌群の他のメンバーと比較したヒト型結核菌の硝酸還元酵素検査における異なる反応の原因であることが見出されている(例4を参照のこと)。
【0015】
本発明によると、少なくとも1つのプライマー、特に少なくとも1つのプライマー対が、好ましくはnarGHJIオペロンのDNA断片の増幅に用いられ、そのプライマーは、配列ID番号:2で示されるヌクレオチド配列および/または配列ID番号:3で示されるヌクレオチド配列を含み、すなわちそれらから構成され、特に、しかし、それらから成り、すなわち示す。好ましくは、本発明によると、増幅されたDNA断片の特異的ハイブリダイゼーションに好ましくは用いられる、その標識化ハイブリダイゼーションプローブの少なくとも1つの対は、配列ID番号:4でおよび配列ID番号:5で示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド配列対、配列ID番号:4および配列ID番号:5の相補配列の対、配列ID番号:4でおよび配列ID番号:6で示されるヌクレオチド配列、ならびに配列ID番号:4および配列ID番号:6の相補配列の対の群から選択されるヌクレオチド配列を含み、特にそれらから成る。
【0016】
ヒト型結核菌の種類の病原体株、すなわち特にヒト型結核菌H37v(ATCC25618)およびヒト型結核菌エルトマン(Erdmann)(ATCC35801)の株および他の臨床株による結核性感染の明確な検出は、本発明によると、好ましくは配列ID番号:4および配列ID番号:5のヌクレオチド配列または相補配列の対を有する標識化ハイブリダイゼーションプローブ対の、ヒト型結核菌に特異的なnarGHJIプロモーター領域との、特異的ハイブリダイゼーションの融解温度の分析によって行われる。この点では、ヒト型結核菌は、特に61℃未満、好ましくは59℃未満の、特に好ましくは約57℃未満の融解温度によって際立っている。比較して、ヒト型結核菌と識別すべき、アフリカ型結核菌、ネズミ型結核菌、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌の抗酸菌種の病原体株は、標識化ハイブリダイゼーションプローブ対配列ID番号:4/配列ID番号:5が用いられる場合、特に、59℃を超える、好ましくは61℃を超える、特に好ましくは63℃を超える融解温度を有する。
【0017】
たとえば緩衝液組成、標識化プローブとしてまたはプローブのヌクレオチド配列の改変によるプローブの設計についての、実際に一般的なハイブリダイゼーション条件に応じて、絶対融解温度の(通常はわずかな)変化が起こる可能性がある;明らかに、そのような融解温度の変化が生じうる場合のすべての方法は、ここに示す本発明に記載の方法の好ましい実施形態に相当する。
【0018】
別の一変形では、ヒト型結核菌の種類の病原体株、すなわち特にヒト型結核菌H37v(ATCC25618)およびヒト型結核菌エルトマン(Erdmann)(ATCC35801)の株および他の臨床株による結核性感染の明確な検出は、本発明によると、好ましくは、配列ID番号:4および配列ID番号:6のヌクレオチド配列を有する標識化ハイブリダイゼーションプローブ対または相補配列の対とヒト型結核菌に特異的なnarGHJIプロモーター領域との特異的ハイブリダイゼーションの融解温度の分析によって行われる(表1を参照)。ヒト型結核菌の種類の病原体株は、この点で特に58℃を超える、好ましくは60℃を超える、特に好ましくは約62℃の融解温度によって特徴づけられる。比較して、アフリカ型結核菌、ネズミ型結核菌、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌の病原体株は、配列ID番号:4/配列ID番号:6の標識化ハイブリダイゼーションプローブ対が用いられる場合、特に62℃未満、好ましくは60℃未満、特に好ましくは約58℃の融解温度を有する。
【0019】
本発明に記載の核酸増幅は、たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列準拠増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)またはリガーゼ連鎖反応(LCR)によって起こりうる。加えて、さらなる任意の望ましい核酸増幅方法は、明らかに、適当であると考えることができる。
【0020】
さらに、驚くべきことに、配列ID番号:2で表されるヌクレオチド配列を含むおよび/または配列ID番号:3で表されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのプライマー、特に1つのプライマー対を、抗酸菌のnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのプロモーター領域の少なくとも1つのDNA断片の増幅に用いる際、増幅は結核菌群の病原体株の場合でのみ行われ、すなわち増幅産物を生じることが見出されている。非結核性病原体または非抗酸菌病原体の場合には、しかし、増幅は行われず、これは対応する増幅産物が得られないことを意味する。本発明に記載のプライマーを用いることによって、病原体株ヒト型結核菌と結核菌群の他の病原体株(上記参照)との間の、ならびに非結核性抗酸菌および非抗酸菌、たとえば放線菌、バチルス属(Bacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、リステリア属(Listeria)、エンテロコッカス属(Enterococus)およびプロテウス属(Proteus)、大腸菌(E.coli)、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、クレブシエラ属(Klebsiella)またはシュードモナス属(Pseudomonas)の病原体または真菌病原体に対しての明確な区別が、特に有利に可能である。
【0021】
上述の方法の好ましい一実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA断片の増幅が実施される。特に好ましい一実施形態では、PCRはリアルタイムPCR(高速サイクルPCR)である。
【0022】
ヒト型結核菌に特異的な多型の検出は、本発明によると、1つのまたはいくつかのプローブの特異的ハイブリダイゼーションによって行うことができる。
【0023】
リアルタイムPCR法では、PCR産物の増加をリアルタイムで、増幅サイクルを追って観察することができる。特に好ましくは、増幅はリアルタイムPCRの一実施形態であるロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社(Roche Molecular Biochemicals)のライトサイクラー(LightCycler(登録商標))システムで実施される。この目的のため、ポリメラーゼ、ヌクレオチド、緩衝溶液およびプライマーの他に、所期のPCR増幅産物と特異的に結合するハイブリダイゼーションプローブもまた、特に、PCR開始混合物に加えられる。これに関連して、特に異なる色素で標識化された2つの配列特異的オリゴヌクレオチドプローブが用いられる。本発明に記載の標識化されたハイブリダイゼーションプローブ対の配列は、一方のプローブの3'末端が他方のプローブの5'末端の近くに位置しその結果として2つの色素が互いに隣接するように、増幅されたDNA断片の標的配列にハイブリダイズするよう選択される;好ましくは、2つのプローブ間の距離はヌクレオチド1個から5個の間である。特に、ハイブリダイゼーションプローブの2つの色素間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET;たとえばハイト(Heid)ら、Genome Res.6 (1996)986−994を参照)および結果として蛍光スペクトルにシフトが起こり、この波長領域の蛍光の程度は、検出されたDNAの量の関数である。検出は、たとえば国際公開第00/58505号パンフレットに記載の方法に従って行うことができる。
【0024】
本発明によると、FRET系はまた、増幅されたDNA断片の量の定量的測定を提供する。本発明に記載の選択されたハイブリダイゼーションプローブは、定量的に、すなわち化学量論的に、増幅された断片と結合することができる。この点で、定量的ハイブリダイゼーションは特に、増幅されたDNA断片上の検出された配列と用いられたオリゴヌクレオチドプローブのホモロジーの程度に依存する。
【0025】
好ましい一実施形態では、増幅された断片中の特定のDNA配列の蛍光定量検出は、従来のPCRによるその断片の増幅後に実施される。特に好ましい一実施形態では、蛍光定量検出は高速サイクルPCRにおいて、たとえば、生じるDNAの増加を蛍光シグナルの増加として監視することができる、増幅反応中に実施される。
【0026】
本発明に記載の方法の好ましい一実施形態では、増幅されたDNA断片の特異的検出は、増幅反応の完了時に行われ、ここで、融解曲線分析の枠内で、ハイブリダイゼーションプローブ対の、好ましくはFRET対の、検出すべき領域へのハイブリダイゼーション後に、温度を変え、好ましくは連続的に上昇させ、および測定されている温度の関数として蛍光が同時に放出される。この方法で、ハイブリダイゼーションプローブ、特に使用したFRET対が、増幅されたDNA断片の検出すべき領域にハイブリダイズしなくなる融解温度が測定される。融解曲線分析の本質的な側面は、使用したハイブリダイゼーションプローブ対と増幅されたDNA断片上の標的領域との間のミスマッチの発生の場合に、測定融点の低下が起こるという事実から成る。ハイブリダイゼーションプローブ、特にFRET対を用いて、ヌクレオチド配列中の1またはいくつかの点突然変異でごくわずか互いに配列が異なるDNA断片のその領域が、本発明にしたがってこの方法で同定される。
【0027】
本発明に関連して、「区域」、「領域」、「断片」、「標的領域」または「隣接領域」の語は、直鎖型デオキシまたはリボ核酸分子、すなわちDNAまたはRNA上の少なくとも1つの連続した部分を意味すると解し、DNAまたはRNAは、この分子のヌクレオチドの数で測定して、その分子の特定の数のヌクレオチドの、すなわち特定の位置の、読み下流および/または上流の5'から3'方向に、好ましくはその分子の200、100、50、40、30、20、10、5、4、3または2個のヌクレオチドから成る。
【0028】
本発明に記載の増幅されたDNA断片は、好ましくはhas、プライマーが結合する配列に加えて、長さ少なくとも1および最大500ヌクレオチド、好ましくは最大300および特に好ましくは最大155ヌクレオチドを有する。上述の領域以内の個別の長さの値は明示的に含まれ、すなわち2、3、4、5…、497、498および499である。増幅されたDNA断片は、明らかに、おそらく好ましい実施において、より長いまたはより短い断片でありうる。
【0029】
本発明の一実施形態によると、本方法に用いられるプライマー対は、配列ID番号:2および配列ID番号:3またはその相補配列を有する配列のうち少なくとも1つを有する。
【0030】
本発明の一実施形態では、ヒト型結核菌に特異的な多型の検出は、標識化ハイブリダイゼーションプローブの少なくとも1つの対を用いて行われ、一方のプローブが3'末端で、および他方のプローブが5'末端で標識化されており、およびプローブは蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が可能になるように増幅物に特異的に結合する(上記参照)。
【0031】
好ましい一実施形態では、プローブ対は配列ID番号:4および5またはその相補配列を有する配列および/または配列ID番号:4および6またはその相補配列を有する配列を示す。
【0032】
本発明の対象は、さらに、臨床材料中の結核菌群の病原体の同時検出のための方法であり、narGHJIプロモーター領域の増幅産物の存在が、特に、増幅されたDNA断片に特異的な少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブによって、好ましくは上述の方法によって検出され、および結核菌群の病原体株がそのようにして非結核性病原体に対しておよび/または非抗酸菌に対して検出される。別の一変形では、増幅産物の存在が、それ自体既知である方法で、特に電気泳動法によって、検出される。これに関連して、本発明の方法は、さらに、好ましくは病原体特異的(型特異的または種特異的)検出が、特に多重PCRに関連して、並行バッチ中のまたは同一反応バッチ中の特異的な配列断片に対応する核酸増幅によって実施される、包括的検出方法の一部となりうる。
【0033】
本発明に記載の方法の本質的な長所は、抗酸菌感染の診断のための検出方法において、ともにヒト型結核菌の既存の感染が明らかに、正確におよび特に同時に、好ましくは単一の定型診断バッチにおいて他の微生物感染に対して、ヒト型結核菌による感染が非結核性感染に対して、およびヒト型結核菌による感染が結核菌群の他のメンバーに対して、認識されるという事実から成る。本発明に記載の方法の別の本質的な長所は、ヒト型結核菌の型の抗酸菌株を、加えて、特に同時におよび明確な方法で検出することができ、およびこの型を個別に同定できるという点である。本発明に記載の検出方法は、したがって、特に、結核の明確なおよび正確な早期検出および、結核菌群の単離された病原体株のヒト型結核菌に対する型依存性の明確なおよび正確な早期検出を可能にする。これは、特に有利に、感染した生物の速やかなおよび管理された治療を可能にする。
【0034】
本質的に、本発明に記載の方法は、日常の診断に、および本質的に通常の検査室で用いられる。本方法を、高感染性病原体株を培養するための複雑な設計の、特別な設備を有する安全実験室で実施する必要は無い。このため、本発明に記載の方法は、幅広い使用者に利用可能にすることができる。
【0035】
本発明に関連して、臨床材料は本質的に臨床試料、すなわち唾液、気管支洗浄液、胃液、尿、糞便、液、骨髄、血液といった患者材料、しかしまた生検、特にたとえば頚部のリンパ節からといった吸引生検を意味すると解する。しかし、臨床材料はまた、たとえば液体培養からの、特に患者材料由来の、酸耐性桿細胞の選択培養のための液体培養からの、特に培養単離物も意味すると解する。
【0036】
好ましくは、微生物DNAは、臨床材料から、それ自体既知である方法で、特にキアゲン社(Qiagen)からのキアンプ(QIAmp)(登録商標)DNAミニキットといったDNA調製キットによって抽出される。
【0037】
好ましくは、本発明に記載の試料は、唾液、気管支洗浄液、胃液、尿糞便、液、骨髄、血液および生検から成る選択された臨床試料の群から選択される。
【0038】
本発明はまた、上述の方法の実行に必要なプライマー、プライマー対、プローブおよびプローブ対に関する。
【0039】
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの部分に由来する断片を含む配列ID番号:1に示される配列に由来するDNA断片の増幅に適したプライマー対が本発明によると好ましく、そのDNA断片はnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位を含む。
【0040】
本発明によると、プライマー対は、好ましくは、長さ155bpの抽出されたDNAに由来する、ヒト型結核菌型の病原体株に特異的なnarGHJI遺伝子の多型を有するDNA断片の増幅に用いられ、その場合、順方向プライマーは配列ID番号:2に記載のヌクレオチド配列を、および逆方向プライマーは配列ID番号:3に記載のヌクレオチド配列を、含むおよび/または示す。本発明の別の対象は、したがってまた、配列ID番号:2および/または配列ID番号:2で表されるヌクレオチド配列を有するまたはこれらのヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む、特にそれから成る、narGHJI硝酸還元酵素遺伝子のヒト型結核菌特異的プロモーター領域のDNA断片の増幅のための、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー、好ましくは少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマー対から成る。
【0041】
好ましい一実施形態では、プライマー対のうち少なくとも1つのプライマーは、配列ID番号:2またはその相補配列に示される配列を示すかまたはそれを構成する。
【0042】
別の好ましい一実施形態では、プライマー対のうち少なくとも1つのプライマーは、配列ID番号:3またはその相補配列に示される配列を示すかまたはそれを構成する。
【0043】
特に好ましい一実施形態では、プライマー対のプライマーは配列ID番号:2に示される配列および配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示す。
【0044】
本発明に記載のプライマーは、配列ID番号:2に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示しうる。
【0045】
本発明の一実施形態は、すなわち生物試料中に含まれるヒト型結核菌DNAの増幅および得られた増幅物の特異的検出による、ヒト型結核菌の特異的検出のための上述のプライマーまたはプライマー対の1つの使用に関する(上記参照)。
【0046】
本発明は好ましくはまた、配列ID番号:2および3で示されるヌクレオチド配列を含む本発明に記載の上述のプライマーと比較して、それぞれの場合でその縮重、変異または改変した配列または断片であって、それらが由来する配列ID番号:2および3で示される、問題のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、それぞれの場合に存在するホモロジーの程度は、好ましくは元のヌクレオチド配列と比較して配列の全長にわたって少なくとも92%、好ましくは少なくとも97%、特に好ましくは少なくとも98%である、DNA断片の増幅のための本発明にしたがって用いられるプライマーおよび/またはプライマー対に関する。この点で、得られた断片はそれぞれの場合で、ヌクレオチド配列の長さの好ましくは最大98%、特に好ましくは最大約95%、最大約90%、最大約75%、最大約50%または最大約25%の配列長を有する。特に好ましくは、得られた断片は元のヌクレオチド配列と比較して、最大10、最大5、4、3または2ヌクレオチドまたは1ヌクレオチド短い。
【0047】
本発明に関連して、「修飾配列」または「修飾ヌクレオチド配列」の語は、異常なまたは合成ヌクレオチドを含む少なくとも1つのヌクレオチドの交換、逆位、欠失または付加によって、元の配列とは少なくとも1つのヌクレオチドが、好ましくは2個のヌクレオチドが異なる核酸配列と理解される。これに関連して、「修飾」の語は、修飾ヌクレオチド配列に関係する特徴を意味すると理解される。
【0048】
本発明に関連して、「そのヌクレオチド配列を含むプライマー」または「そのヌクレオチド配列を含むハイブリダイゼーションプローブ」または同様の言い回しは、問題のプライマーおよびプローブが、そのヌクレオチド配列を示す、すなわちその具体的に言及されたヌクレオチド配列だけから成ることを意味すると解される。その言い回しはまた、問題のプライマーおよびプローブが、必要に応じて、具体的表現で言及されたヌクレオシド配列以外の、少なくとも1つの別の追加の配列から成ることを意味すると解される。この追加の配列は、具体的表現で言及されたヌクレオチド配列に隣接し、および、具体的表現で言及されたヌクレオチド配列の長さの好ましくは最大約100%、特に好ましくは最大約75%、最大約50%、最大約25%、最大約10%、最大約5%または最大約2%に達する配列長を有する。特に好ましくは、追加の配列は10から5ヌクレオチド、4、3、2ヌクレオチドの長さを有し、または追加の配列は単一のヌクレオチドから成る。
【0049】
本発明に記載のハイブリダイゼーションプローブは、narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適したプローブである。
【0050】
本発明に記載のハイブリダイゼーションプローブ対は、narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適したプローブ対である。
【0051】
本発明の別の対象はまた、配列ID番号:5で表されるヌクレオチド配列を有するかまたはその相補配列を有する核酸分子を含み、特にそれから成る、narGHJI硝酸還元酵素オペロンのヒト型結核菌特異的プロモーター領域と特異的にハイブリダイズする、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブから成る。本発明の別の対象はまた、配列ID番号:4でおよび配列ID番号:5で表されるヌクレオチド配列を有するかまたはその相補配列を有する核酸分子を含み、特にそれから成る、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブから成る。
【0052】
本発明の別の対象はまた、配列ID番号:6で表されるヌクレオチド配列を有するかまたはその相補配列を有する核酸分子を含み、特にそれから成る、narGHJI硝酸還元酵素オペロンのヒト型結核菌特異的プロモーター領域と特異的にハイブリダイズする、別のまたは代替的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブから成る。本発明の別の対象はまた、配列ID番号:4でおよび配列ID番号:6で表されるヌクレオチド配列を有するかまたはその相補配列を有する核酸分子を含み、特にそれから成る、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブから成る。
【0053】
特に好ましい一実施形態では、ハイブリダイゼーションプローブ対の少なくとも1つのプローブは、配列ID番号:4に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:6に示される配列またはその相補配列を示す。
【0054】
特に好ましい一実施形態では、ハイブリダイゼーションプローブ対のプローブは、配列ID番号:4および配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:4および配列ID番号:6に示される配列またはその相補配列を示す。
【0055】
本発明に記載のハイブリダイゼーションプローブは、配列ID番号:4に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列または配列ID番号:6に示される配列またはその相補配列を示しうる。
【0056】
本発明に記載の好ましい方法では、DNA断片の検出は、FRET対として実施される、すなわち標識化された、上述のハイブリダイゼーションプローブを用いて実施され、ハイブリダイゼーションプローブパートナーは、好ましくは3'末端ヌクレオチドに色素、好ましくは蛍光色素、特に好ましくはフルオレセインを伴う、供与体成分=「アンカープローブ」として実施される。本発明によると、配列ID番号:4に示されるヌクレオチド配列またはその相補配列を含むハイブリダイゼーションプローブは、好ましくはアンカープローブとして提供される。
【0057】
ハイブリダイゼーションプローブ対のハイブリダイゼーションプローブパートナーは、個々の場合で異なり、好ましくは5'末端ヌクレオチドに別の色素を、好ましくはローダミン誘導体を伴う、受容体成分=センサープローブとして実施される。本発明によると、配列ID番号:5、6に示されるヌクレオチド配列またはその相補配列をそれぞれの場合含むハイブリダイゼーションプローブは、好ましくはセンサープローブとして提供される。上述の実施形態の好ましい変形では、ローダミン誘導体はライトサイクラーレッド640(LightCycler−Red 640)(登録商標)であり、上述の実施形態の別の好ましい変形では、ローダミン誘導体はライトサイクラーレッド705(登録商標)であり、上述の実施形態の別の好ましい変形では、ローダミン誘導体はCy5である。特に好ましくは、本発明に記載のヒト型結核菌の型特異的検出に用いられる標識化センサープローブは、色素ライトサイクラーレッド640またはライトサイクラーレッド705を有する。
【0058】
本発明の別の一実施形態は、ヒト型結核菌の特異的検出のための、上述のハイブリダイゼーションプローブのうちの1つまたは上述のハイブリダイゼーションプローブ対のうちの1つの使用に関する。
【0059】
明らかに、本発明はまた、本発明に記載の方法を実施するための、たとえばキット(装置)といった手段を含む。
【0060】
一実施形態では、キットは、narGHJI硝酸還元酵素オペロンの部分に由来する断片を含む、配列ID番号:1に示される配列に由来するDNA断片の増幅に適した少なくとも1つのプライマー対を含み、そのDNA断片はnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位、および/またはnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適した少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブまたは1つのハイブリダイゼーションプローブ対を含む。
【0061】
特に好ましい一実施形態では、キットは、少なくとも1つのプライマー対を含み、その場合、プライマーは配列ID番号:2および配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示す。
【0062】
別の特に好ましい一実施形態では、キットは、少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブ対を含み、ここでそのプローブは配列ID番号:4および配列ID番号:5またはその相補配列または配列ID番号:4および配列ID番号:6またはその相補配列を示す。
【0063】
特に好ましい一実施形態では、キットは、プライマーが配列ID番号:2および配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示す場合のプライマー対、および、プローブが配列ID番号:4および配列ID番号:5またはその相補配列またはthe配列ID番号:4および配列ID番号:6またはその相補配列を示すハイブリダイゼーションプローブ対の両方を含む。
【0064】
別の一実施形態では、キットは加えて、増幅物の核酸増幅および/または検出反応を実施するのに必要な、他の装置、試薬および/または補助物質を含む。
【0065】
本発明の別の対象はまた、抗酸菌のnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのプロモーター領域中の、特に翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位にある、少なくとも1つのヒト型結核菌特異的DNA多型の、ヒト型結核菌による感染の特異的検出のための使用から成る。特に好ましい一変形では、このゲノム断片は、配列ID番号:1で表される核酸配列または相補配列を含み、特にそれから成る点で特徴づけられる。好ましくは、本発明に記載の使用は、たとえば高速サイクルPCRでのまたはそれ自体が既知であるDNA配列決定、特にキャピラリー配列決定装置、すなわち対立遺伝子特異的PCR、OLA(「オリゴヌクレオチド・ライゲーション測定法」)または変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)の従来のハイブリダイゼーションの方法での、以降のまたは同時のハイブリダイゼーションを伴う、少なくとも1つのPCRバッチにおいて行われる。増幅のための代替法は、PCR以外に、たとえばNASBA、SDAまたはLCRの既知の方法から成る。
【0066】
本発明は、配列番号1から6を含む添付の配列プロトコルによって、図1から5によっておよび実施例1から4によってさらに詳細に説明される。
【0067】
配列ID番号:1?narGHJIプロモーターの−215位にあるヒト型結核菌に特異的な多型を含むnarGHJIオペロンの部分中の領域。
【0068】
配列ID番号:2?ヒト型結核菌に特異的なDNA多型を含む抗酸菌のnarGHJIプロモーターの155bp断片の増幅のための順方向プライマー。
【0069】
配列ID番号:3?配列ID番号:2に対する逆方向プライマー。
【0070】
配列ID番号:4?ハイブリダイゼーションプローブ(アンチセンス)、特に、抗酸菌のnarGHJIプロモーターの型特異的領域の検出のためのプローブ対の、アンカープローブおよび供与体成分。
【0071】
配列ID番号:5?ハイブリダイゼーションプローブ(アンチセンス)、特に、抗酸菌のnarGHJIプロモーターの型特異的領域の検出のためのプローブ対の、センサープローブおよび受容体成分。
【0072】
配列ID番号:6?ハイブリダイゼーションプローブ(アンチセンス)、特に、抗酸菌のnarGHJIプロモーターの型特異的領域の検出のためのプローブ対の、センサープローブおよび受容体成分。
【実施例】
【0073】
実施例1:DNA単離
a)臨床材料から
微生物DNAは、唾液、気管支洗浄液、胃液、尿、糞便、液、骨髄、血液または吸引生検から成る臨床試料から、既知の方法で、たとえばキアンプ(QlAmp)(登録商標)DNAミニキット(キアゲン社(Qiagen)、ドイツ、ヒルデン(Hillden))を用いて精製、すなわち抽出する。
【0074】
b)培養単離物から
患者試料に由来する診断すべき微生物の培養は、自動細胞培養系バクテック(BACTEC)(登録商標)MGIT(登録商標)(ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー・ダイアグノスティック・システムズ(Becton,Dickinson and Company Diagnostic Systems)、米国)において液体培養中で、酸耐性細胞桿体の、特に抗酸菌の培養を促進する条件下で培養される。陽性培養から、微生物DNAがたとえば機械的破壊によって得られる。微生物DNAは既知の方法で、たとえばキアンプ(QlAmp)(登録商標)DNAミニキット(キアゲン社(Qiagen)、ドイツ、ヒルデン(Hillden))を用いて培養単離物から抽出され、および、必要に応じて、等分される。
【0075】
実施例2:PCR増幅
最適化ライトサイクラー(LightCycler(登録商標))PCRでの使用のためには、「ライトサイクラー・ファストスタート・DNAマスター(LightCycler FastStart DNA Master)ハイブリダイゼーションプローブ」(カタログ番号239272,ロシュ・モレキュラー・バイオケミカルズ社(Roche Molecular Biochemicals))の使用可状態の入手可能な混合物を含むバッチが選択される。
【0076】
下記の反応混合物がライトサイクラー反応のために作製される:
・ファストサート(FastSart)(登録商標)Taqポリメラーゼ
・反応緩衝液
・デスオキシヌクレオシド三リン酸混合物(dNTP)
・3mmol/l MgCl2(終濃度)
・プライマー、プライマー当たり:19pmol、1.1(mol/l終濃度に相当
・オリゴヌクレオチドFRETプローブ対
プローブ当たり:2pmol、100nmol/l終濃度に相当
【0077】
この反応混合物はパルス遠心によってライトサイクラーシステムのガラスキャピラリーへ移され、および増幅は、「ホットスタート」原則に従って、95℃にて10分間の最初の変性後、下記の段階とともに実施される。

1.95℃にて3秒間変性
2.68℃から62℃の温度にて2秒間プライマーハイブリダイゼーション(「タッチダウン・アニーリング」)
3.72℃にて40秒間重合
【0078】
段階1から3は合計50回実施され、最初の5サイクルについてハイブリダイゼーションは段階2に68℃にて行われ、および次の6サイクル中には温度は62℃までサイクル毎に1℃の段階で低下され、および残りのサイクルについては62℃にて行われた。温度変化の速度はすべての段階において毎秒20℃であった。
【0079】
ヒト型結核菌に特異的なDNA多型を含むnarGHJIプロモーターの領域の増幅のために、配列ID番号:2のヌクレオチド配列を有するプライマーが順方向プライマーとして、および配列ID番号:3のヌクレオチド配列を有するプライマーが逆方向プライマーとして用いられる。narGHJIプロモーターの155bp断片が増幅される。さらに、これらのプライマーの使用は、結核菌群の病原体株の場合のみに増幅産物に繋がるが、非結核性病原体または非抗酸菌病原体の場合には繋がらないことが見出されている。このため、配列ID番号:2および/または配列ID番号:3のヌクレオチド配列を有するプライマーの使用はまた、非結核性型と、および非抗酸菌の病原体と、結核菌群の型の病原体との間の明確な区別を可能にする。
【0080】
実施例3:検出および融解曲線分析
増幅された断片を検出するために、反応混合物中で用いられるFRET標識化ハイブリダイゼーションプローブ対(実施例2を参照)が用いられ、一方のハイブリダイゼーションプローブパートナー(配列ID番号:4)は供与体成分として3'末端ヌクレオチドにフルオレセインを伴い、個々の場合で異なるハイブリダイゼーションプローブパートナー(配列ID番号:5または6)は受容体成分として5'末端ヌクレオチドにライトサイクラーレッド640(LightCycler Red)(登録商標)を伴う。最後の増幅サイクルの直後に、ハイブリダイゼーションプローブを用いた検出中に行われる融解曲線分析は、増幅された断片の95℃にて30秒間の変性で始まり、続いて上述のFRET対を用いたハイブリダイゼーションを38℃にて30秒間行う。ハイブリダイゼーションの融解曲線を決定するために、温度はその後連続的に38℃から80℃へ、毎秒0.2℃の速度で上昇させ、結合したFRET対によって放出される蛍光を連続的に記録する。蛍光は少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブパートナーが溶解すると直ちに規則的に消滅する。蛍光シグナルを評価するために、バージョン3.5.3のライトサイクラー「運転プロファイル」プログラムが用いられ、ライトサイクラーシステムの光度検出器のF2およびF3チャンネルの増幅が自動的に調節される。
【0081】
ヒト型結核菌に特異的なDNA多型を含むnarGHJIプロモーターの領域の特異的ハイブリダイゼーションのためには、配列ID番号:4/配列ID番号:5のヌクレオチド配列を有するFRET標識化ハイブリダイゼーションプローブ対が用いられる。代替として、配列ID番号:4/配列ID番号:6のヌクレオチド配列を有するFRET標識化ハイブリダイゼーションプローブ対が、ヒト型結核菌に特異的なDNA多型を含むnarGHJIプロモーターの領域の特異的ハイブリダイゼーションに用いられる。
【0082】
図2および3および表1は融解曲線分析の結果を示す。
【0083】
実施例4:従来の硝酸還元酵素検査との本発明に記載の方法の比較
比較試験において、ヒト型結核菌、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌を含む異なる試料が本発明に記載の方法に、および従来の硝酸還元酵素検査に供された(図4)。
【0084】
下記の試料が用いられ、試料番号は図4中の番号に対応する:

ヒト型結核菌:
1.H37Rv 野生型;
2.H37Rv narG (T−215C)
3.エルトマン(Erdmann)野生型;
4.エルトマン(Erdmann)narG(T−15C)

ウシ型結核菌:
5.野生型

弱毒化ウシ型結核菌
6.野生型
【0085】
試料番号1および3は本発明に記載の方法を用いて検査で陽性となり(実施例3および4を参照)、すなわちヒト型結核菌が特異的に検出され、抗酸菌株番号5および6間の明確な識別が可能であった。試料2および4は、−215位でTをコードする配列が遺伝子技術によってCをコードするように改変された場合で、融解曲線でより低い値を示し、およびウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌を含む試料5および6の場合と同等の値を示した。
【0086】
生化学検査である硝酸還元酵素検査は結果を支持し、非改変ヒト型結核菌試料番号1および3は検査で陽性となった一方、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌を含む試料、および−215位での遺伝子技術によるT−>C交換によって改変されたヒト型結核菌株を含む試料の場合に発色反応は観察されず、それは本発明に記載の検出方法についての−215位における多型の意義を支持する。
【0087】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、ヒト型結核菌、ウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌のnarGHJIプロモーター領域の整列を示す。標識した部分は、ヒト型結核菌に特異的なヌクレオチド多型(「T」)を示す。
【図2】図2は、配列ID番号:4/配列ID番号:5を有する特異的ハイブリダイゼーションプローブ対の、ヒト型結核菌に特異的な、narGHJIプロモーターの増幅された155bp断片中の領域とのハイブリダイゼーションの融解曲線を示す。
【図3】図3は、配列ID番号:4/配列ID番号:6を有する特異的ハイブリダイゼーションプローブ対の、ヒト型結核菌に特異的な、narGHJIプロモーターの増幅された155bp断片中の領域とのハイブリダイゼーションの融解曲線を示す。
【図4】図4は、ヒト型結核菌の特に作製されたT−215C変異株、対応する野生型およびウシ型結核菌および弱毒化ウシ型結核菌を用いた診断的硝酸還元酵素検査を示す。ナフチルアミドおよびスルファニル酸から生じたジアゾニウム色素による赤の着色(暗色)は培地中の蓄積を示す:ヒト型結核菌の野生型だけが硝酸蓄積を示す;そのT−215C変異株は(また)ウシ型結核菌表現型を有する。
【図5】図5は、翻訳開始コドンGTGの−215位上流にヒト型結核菌に特異的なヌクレオチド多型(T)を示す、narG遺伝子(配列ID番号:1)の部分を示す。
【配列表】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物試料中のマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))の特異的検出のための方法であって、
核酸増幅法が配列ID番号:1で示される配列に由来するDNA断片を増幅するのに適したプライマーを用いて実施され、その配列がnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの領域に由来する断片を含み、そのDNA断片がnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位を含む
およびその場合に、narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に、ヒト型結核菌に特異的な多型が検出される方法。
【請求項2】
核酸増幅がPCR、NASBA、SDAまたはLCRによって行われる点で特徴づけられる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
PCRがリアルタイムPCRである点で特徴づけられる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ヒト型結核菌に特異的な多型の検出が1つまたはいくつかのプローブの特異的ハイブリダイゼーションによって実施される点で特徴づけられる請求項1から3に記載の方法。
【請求項5】
増幅されたDNA断片が少なくとも1および最大500ヌクレオチドの長さを有する点で特徴づけられる請求項1から4に記載の方法。
【請求項6】
増幅されたDNA断片が少なくとも1および最大300ヌクレオチドの長さを有する点で特徴づけられる請求項1から4に記載の方法。
【請求項7】
増幅されたDNA断片が少なくとも1および最大155ヌクレオチドの長さを有する点で特徴づけられる請求項1から4に記載の方法。
【請求項8】
プライマー対が配列ID番号:2および配列ID番号:3を有する配列またはその相補配列のうち少なくとも1つを有する点で特徴づけられる請求項1から7に記載の方法。
【請求項9】
ヒト型結核菌に特異的な多型の検出が、標識化ハイブリダイゼーションプローブの少なくとも1つの対を用いて行われ、一方のプローブは3'末端で、および他方のプローブは5'末端で標識化され、およびプローブは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が可能になるような方法で特異的に増幅物と結合する点で特徴づけられる請求項1から8に記載の方法。
【請求項10】
プローブ対が配列ID番号:4および5またはその相補配列を有する配列および/または配列ID番号:4および6またはその相補配列を有する配列を持つ点で特徴づけられる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
試料が唾液、気管支洗浄液、胃液、尿、糞便、液、骨髄、血液および生検から成る臨床試料の群から選択される点で特徴づけられる請求項1から10に記載の方法。
【請求項12】
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの部分に由来する断片を含む配列ID番号:1に示される配列に由来するDNA断片の増幅に適し、そのDNA断片はnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位を含む点で特徴づけられるプライマー対。
【請求項13】
少なくとも1つのプライマーが配列ID番号:2に示される配列または相補配列を示す点で特徴づけられる請求項12に記載のプライマー対。
【請求項14】
少なくとも1つのプライマーが配列ID番号:3に示される配列または相補配列を示す点で特徴づけられる請求項12に記載のプライマー対。
【請求項15】
プライマーが配列ID番号:2に示される配列および配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項12に記載のプライマー対。
【請求項16】
配列ID番号:2に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられるプライマー。
【請求項17】
配列ID番号:3に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられるプライマー。
【請求項18】
請求項16および17に記載のプライマーまたは請求項13から16に記載のプライマー対の、ヒト型結核菌の特異的検出のための使用。
【請求項19】
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適している点で特徴づけられるハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項20】
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適している点で特徴づけられるハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項21】
少なくとも1つのプローブが配列ID番号:4に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項20に記載のハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項22】
少なくとも1つのプローブが配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項20に記載のハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項23】
少なくとも1つのプローブが配列ID番号:6に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項20に記載のハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項24】
プローブが配列ID番号:4および配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項20に記載のハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項25】
プローブが配列ID番号:4および配列ID番号:6に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられる請求項20に記載のハイブリダイゼーションプローブ対。
【請求項26】
配列ID番号:4に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられるハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項27】
配列ID番号:5に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられるハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項28】
配列ID番号6に示される配列またはその相補配列を示す点で特徴づけられるハイブリダイゼーションプローブ。
【請求項29】
ヒト型結核菌の特異的検出のための請求項26から28に記載のハイブリダイゼーションプローブまたは請求項21から25に記載のハイブリダイゼーションプローブ対の使用。
【請求項30】
請求項1から11に記載の方法を実施するためのキット。
【請求項31】
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの部分に由来する断片を含む配列ID番号:1に示される配列に由来するDNA断片の増幅に適し、そのDNA断片はnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位を含む、少なくとも1つのプライマー対を含み、および/または
narGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向において−215位に位置するヒト型結核菌に特異的な多型の特異的検出に適している、少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブまたはハイブリダイゼーションプローブ対を含む
請求項30に記載のキット。
【請求項32】
プライマー対が請求項15に記載のプライマー対である点で特徴づけられる請求項31に記載のキット。
【請求項33】
ハイブリダイゼーションプローブ対が請求項24に記載のプローブ対および/または請求項25に記載のプローブ対である点で特徴づけられる請求項31に記載のキット。
【請求項34】
プライマー対が請求項15に記載のプライマー対である点で特徴づけられる点で特徴づけられる請求項33に記載のキット。
【請求項35】
核酸増幅および/または検出反応を実施するのに必要なまたは有用な、他の試薬および/または補助物質を含む点で特徴づけられる請求項30から34に記載のキット。
【請求項36】
a)微生物DNAの臨床材料からの抽出、
b)抽出されたDNAに由来するヒト型結核菌に特異的な少なくとも1つのDNA多型を含む、抗酸菌のnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのプロモーター領域の少なくとも1つのDNA断片の増幅、
c)配列ID番号:5、配列ID番号:5に対する相補配列、配列ID番号:6、および配列ID番号:6に対する相補配列から成る群から選択されるヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブとの、増幅されたDNA断片の特異的ハイブリダイゼーションの検出、
融解曲線分析によって行われる、ウシ型結核菌、弱毒化ウシ型結核菌、アフリカ型結核菌およびネズミ型結核菌に対するヒト型結核菌の特異的検出
の段階を含む、臨床材料中のマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))の特異的検出のための方法。
【請求項37】
DNA多型がnarGHJI硝酸還元酵素オペロンの翻訳開始コドンGTGの読み上流の5'から3'方向においてプロモーター領域の−215位に位置する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
増幅が段階b)において配列ID番号:2/配列ID番号:3のヌクレオチド配列を含むプライマー対によって行われる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
特異的ハイブリダイゼーションが段階c)において、配列ID番号:4/配列ID番号:5のヌクレオチド配列またはその相補配列の対および/または配列ID番号:4/配列ID番号:6のヌクレオチド配列またはその相補配列の対を含む標識化ハイブリダイゼーションプローブの少なくとも1つの対を用いて行われる、請求項36から38のうちの1つに記載の方法。
【請求項40】
DNA断片のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増加が好ましくはリアルタイムPCRとして、好ましくはライトサイクラー(LightCycler)(登録商標)システムを用いて実施される、前記請求項のうちの1つに記載の方法。
【請求項41】
特異的ハイブリダイゼーションの段階がDNA断片の増幅中または増幅後に行われる、前記請求項のうちの1つに記載の方法。
【請求項42】
特異的ハイブリダイゼーションおよびその検出がリアルタイムPCRで、好ましくはライトサイクラー(LightCycler)(登録商標)システムで行われる、前記請求項のうちの1つに記載の方法。
【請求項43】
特異的ハイブリダイゼーションの検出が蛍光検出によって実施され、および標識化ハイブリダイゼーションプローブ対が蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)対として形成される、前記請求項のうちの1つに記載の方法。
【請求項44】
臨床材料が、唾液、気管支洗浄液、胃液、尿、糞便、液、骨髄、血液および生検から成る臨床試料の群から選択される、前記請求項のうちの1つに記載の方法。
【請求項45】
narGHJI硝酸還元酵素遺伝子のヒト型結核菌特異的プロモーター領域のDNA断片の増幅のための、配列ID番号:2/配列ID番号:3のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプライマー対。
【請求項46】
配列ID番号:5のヌクレオチド配列またはその相補配列を含むnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのヒト型結核菌特異的プロモーター領域と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項47】
配列ID番号:6のヌクレオチド配列またはその相補配列を含むnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのヒト型結核菌特異的プロモーター領域と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド。
【請求項48】
配列ID番号:4/配列ID番号:5のヌクレオチド配列またはその相補配列の対を含むオリゴヌクレオチド対。
【請求項49】
配列ID番号:4/配列ID番号:6のヌクレオチド配列またはその相補配列の対を含むオリゴヌクレオチド対。
【請求項50】
a)配列ID番号:2/配列ID番号:3のヌクレオチド配列を含む少なくとも1つのプライマー対および
b)配列ID番号:4/配列ID番号:5のヌクレオチド配列またはその相補配列の対少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブ対および/または配列ID番号:4/配列ID番号:6のヌクレオチド配列またはその相補配列の対を含む少なくとも1つのハイブリダイゼーションプローブ対
を含む、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis(ヒト型結核菌))の特異的検出のためのキット。
【請求項51】
ヒト型結核菌による感染の特異的検出のための、配列ID番号:6で示される核酸配列またはその相補配列を含む抗酸菌のnarGHJI硝酸還元酵素オペロンのプロモーター領域中のヒト型結核菌特異的DNA多型の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−521797(P2006−521797A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504758(P2006−504758)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002911
【国際公開番号】WO2004/083459
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505353711)キアゲン ダイアグノスティックス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】