説明

ヒト慢性リンパ球性白血病(CCL)と関連するマイクロRNAシグネチャーおよびその使用

白血病関連疾患の診断、予後および/または治療のための方法および組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
[00001]本出願は、その全開示が本明細書に明確に援用される、2008年2月28日出願の米国仮出願第61/067,406号の優先権を請求する。
【0002】
連邦が支援する研究に関する言及
[00002]本発明は、NCI助成金番号CA76259およびCA81533の元で政府の援助を受けて行われた。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
【0003】
本発明の技術分野および産業上の利用可能性
[00003]本発明は、一般的に、分子生物学の分野に関する。本発明の特定の側面には、白血病関連障害の診断、療法、および予後における適用が含まれる。
【背景技術】
【0004】
[00004]本セクションに開示される背景技術が法的に先行技術を構成することは承認されない。
[00005]マイクロRNA(miRNA)は、≒19〜24ntの短いノンコーディングRNAであり、主に、しかし独占的ではなく、ターゲットmRNAの3’UTRに位置する相補配列と不完全に塩基対形成することによって遺伝子発現を制御する。miRNAは、翻訳抑圧および転写物分解を誘導することによる、真核細胞における、遺伝子の主な制御ファミリーの1つに相当する(1〜4)。miRNAターゲットを同定するために、TargetScan(5)、PicTar(6)、およびDiana microT(7)などの異なるアルゴリズムが開発されてきているが、実験的に検証されて、この目的に対するバイオインフォマティクスおよび生物学的戦略の組み合わせの理論的根拠を支持するのは、これらの予測のうちのわずかでしかない。2つの独立の研究によって、ヒト遺伝子の20〜30%がmiRNAによって制御されうると予測された(8、9)。正常なmiRNA発現パターンからの逸脱が、癌を含むヒト疾患において、役割を果たしている(概説に関しては、参考文献10〜15を参照されたい)。
【0005】
[00006]miR−15a/16−1クラスターは、染色体13q14.3にあり、これはB細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)において頻繁に欠失されるゲノム領域であり、そして該クラスターの2つのメンバーは、大部分のCLL患者において、共転写され(cotrascribed)、そして下方制御されている(16)。
【0006】
[00007]CLLは、家族に頻繁に関連する疾患である(患者の10〜20%は、少なくとも1人のCLLの第一度親族を有する)(17)。以前、本発明者らは、CLL患者の≒15%で、いくつかのmiRNA(miR−16−1を含む)において、生殖系列または体細胞突然変異を同定し、患者の大部分は、CLLまたは他の造血器腫瘍および固形腫瘍の既知の個人歴または家族歴を有した(18)。本発明者らは、自然にCLLを発展させるマウスのNZB株(19)における異常なmiR−15a/16−1遺伝子座の同定とともに、これらの知見を用いて、本明細書において、このクラスターが家族性CLLにおいても役割を果たすことをここに示す。
【0007】
[00008]miR−15aおよびmiR−16のターゲットの中で、本発明者らは、CLLの悪性であり大部分が非分裂性であるB細胞において(20)、そして多くの固形および血液学的悪性腫瘍において(21)過剰発現されている、抗アポトーシスタンパク質Bcl2を同定した。miR−15a/16−1の回復は、急性巨核球性白血病由来の細胞株、MEG−01において、アポトーシスを誘導する(22)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[00009]これらの疾患を治療する療法に関して、かなりの研究がなされているにも関わらず、これらは有効に診断および治療するのが困難なままであり、そして患者において観察される死亡率は、該疾患の診断、治療および予防において改善が必要であることを示す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[00010]第一の側面において、本明細書において、そのサイレンシングが、慢性リンパ球性白血病(CLL)において、miR−15a/16−1が誘導する表現型を特徴付ける、遺伝子シグネチャーを提供する。
【0010】
[00011]別の側面において、本明細書において、1以上の白血病細胞モデルおよび原発性慢性リンパ球性白血病(CLL)において、遺伝子を調節解除するための、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRの使用を提供する。
【0011】
[00012]別の側面において、本明細書において、本明細書に記載するシグネチャーを用いて、CLLのための療法的アプローチを開発するための方法を提供する。
[00013]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)における腫瘍抑制因子としてのmiR−15aおよびmiR−16−1クラスターの使用を提供する。
【0012】
[00014]別の側面において、本明細書において、白血病細胞の腫瘍移植の増殖を阻害するための方法であって、こうした細胞を、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRに曝露する工程を含み、腫瘍抑制因子機能がこうした細胞に対して発揮される、前記方法を提供する。
【0013】
[00015]別の側面において、本明細書において、抗白血病効果が発揮される必要がある被験体において、抗白血病効果を発揮するための方法であって、被験体に、miR−15a/16−1クラスター中のmiRまたはその機能的変異体の1以上を投与することによって、IGSF4を直接サイレンシングする工程を含む、前記方法を提供する。
【0014】
[00016]別の側面において、本明細書において、図15−表11に列挙する遺伝子の1以上を含む、CLLおよびmiR−15a/16−1でトランスフェクションされたMEG−01間で共通の遺伝子のシグネチャーを提供する。
【0015】
[00017]別の側面において、本明細書において、CLLの治療におけるmiR−15a/16−1クラスター中のmiRおよびmiR−29の1以上の使用を提供する。
[00018]別の側面において、本明細書において、B−CLL細胞の生存に対するmiR−15a/16−1クラスターの影響が増加しているMCL1およびc−JUN転写物両方をターゲティングすることを含む、CLLの治療におけるmiR−15a/16−1クラスター中のmiRおよびmiR−29の1以上の使用を提供する。
【0016】
[00019]別の側面において、本明細書において、PDCD4、RAB21、IGSF4、SCAP2および/またはプロテオミクスによって同定されたタンパク質(Bcl2、Wt1)の1以上の発現を減少させるための方法であって、その必要がある細胞を、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRでトランスフェクションする工程を含む、前記方法を提供する。
【0017】
[00020]別の側面において、本明細書において、IGSF4を直接ターゲティングするためのmiR−15a/16−1クラスターの使用を提供する。
[00021]別の側面において、本明細書において、IGSF4を発現している細胞を、miR−15a/16−1クラスター中のmiRまたはその機能的変異体の1以上と、細胞におけるIGSF5の発現が阻害されるような条件下で接触させる工程を含む、細胞増殖を阻害する方法を提供する。
【0018】
[00022]特定の態様において、細胞は癌細胞である。
[00023]特定の態様において、細胞は慢性リンパ球性白血病細胞である。
[00024]特定の態様において、細胞は生物中にある。
【0019】
[00025]特定の態様において、生物は動物である。
[00026]特定の態様において、生物は癌と診断されている。
[00027]別の側面において、本明細書において、1以上の同定されるタンパク質の翻訳を阻害することが知られる、選択されるmiRNAの形成を阻害する方法であって、その必要がある被験体に、miR−15a/16−1クラスターから選択される1以上のmiRを投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0020】
[00028]別の側面において、本明細書において、図7−表3に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
[00029]別の側面において、本明細書において、図8−表4に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
【0021】
[00030]別の側面において、本明細書において、図11−表7に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
[00031]別の側面において、本明細書において、図12−表8に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
【0022】
[00032]別の側面において、本明細書において、図13−表9に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
[00033]別の側面において、本明細書において、図14−表10に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
【0023】
[00034]別の側面において、本明細書において、図15−表11に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
【0024】
[00035]別の側面において、本明細書において、図16−表12に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャーを提供する。
【0025】
[00036]別の側面において、本明細書において、被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるであろうかどうかの診断を決定するための方法であって、被験体由来の試料を調べ、そしてmiR15a/16−1クラスターより選択されるmiRの発現の正の相関があるかどうかを決定する工程を含む、前記方法を提供する。
【0026】
[00037]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは発展させうる被験体の診断、治療、または予後の決定の1以上において、本明細書記載のシグネチャーを用いる方法を提供する。
【0027】
[00038]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)に罹患した患者の転帰を予測するための方法であって:正常細胞に比較したmiRNA発現の特徴的なシグネチャーを決定する工程を含み、該シグネチャーが、本明細書記載のmiRNAシグネチャーの1以上を含む、前記方法を提供する。
【0028】
[00039]別の側面において、本明細書において:i)被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるリスクがあるかどうかを診断し、ii)こうした被験体の予後を決定し、そして/またはiii)こうした被験体を治療する方法であって:被験体由来の試験試料において、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、ここでバイオマーカーは、本明細書記載のCLLシグネチャーの1以上から選択され、そして対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルに比較して、試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが改変されていると、被験体がCLLを有するかまたはCLLを発展させるリスクを有するかいずれかの指標となる、前記方法を提供する。
【0029】
[00040]特定の態様において、試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、対照試料中の対応するバイオマーカーのレベル未満である。
[00041]特定の態様において、試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルは、対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルよりも高い。
【0030】
[00042]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)におけるターゲットmRNAの転写物量および/またはタンパク質発現に影響を及ぼすための方法であって、その必要がある被験体において、1以上のマイクロRNAを調節解除する工程を含む、前記方法を提供する。
【0031】
[00043]特定の態様において、方法は、癌関連遺伝子のタンパク質発現を阻害する工程をさらに含む。
[00044]別の側面において、本明細書において、ヒト慢性リンパ球性白血病(CLL)で生じるマイクロRNA機能の改変を同定するための、マイクロRNAおよびタンパク質をコードするRNAの両方の大規模遺伝子発現プロファイリングの使用を提供する。
【0032】
[00045]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する被験体の予後を決定する方法であって、被験体由来の試験試料において、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み:該バイオマーカーがこうした癌における予後不良と関連しており;そして対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルに比較して、試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが改変されていると、予後不良の指標となる、前記方法を提供する。
【0033】
[00046]別の側面において、本明細書において、被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるリスクがあるかどうかを診断することを含む、CLLを有する被験体の予後を決定する方法であって:被験体から得た試験試料から、RNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイに、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドをハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロファイルを提供し;そして対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロファイルと、試験試料ハイブリダイゼーションプロファイルを比較する工程を含み、少なくとも1つのmiRNAのシグナルの改変が、被験体がAMLなどを有するかまたは発展させるリスクがあるかいずれかである指標となる、前記方法を提供する。
【0034】
[00047]特定の態様において、対照試料から生じたシグナルに比較して、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが下方制御されており、そして/または対照試料から生じたシグナルに比較して、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが上方制御されている。
【0035】
[00048]特定の態様において、miR15a/16−1クラスターのmiRより選択される少なくとも1つのバイオマーカーのシグナルにおける改変が、被験体が予後不良を伴うCLL癌を有するかまたは発展させるリスクがあるかいずれかである指標となる。
【0036】
[00049]別の側面において、本明細書において、白血球細胞においてタンパク質発現を制御するための方法であって、白血病細胞において、miR15a/16−1クラスターのmiRの1以上の発現を調節する工程を含む、前記方法を提供する。
【0037】
[00050]別の側面において、本明細書において、白血病細胞において1以上のタンパク質レベルの発現を調節するための組成物であって、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上を含む、前記組成物を提供する。
【0038】
[00051]別の側面において、本明細書において、白血病細胞においてタンパク質レベルを増加させる必要がある被験体において、白血病細胞においてタンパク質レベルを増加させるのに有用な、miR15a/16−1クラスターの1以上のアンチセンスmiRを含む、組成物を提供する。
【0039】
[00052]別の側面において、本明細書において、少なくとも1つのバイオマーカーが、対照細胞に比較して被験体の癌細胞において下方制御されているかまたは上方制御されている、白血病を有する被験体において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療する方法であって:少なくとも1つのバイオマーカーが癌細胞において下方制御されている場合、被験体において癌細胞の増殖が阻害されるように、被験体に、少なくとも1つの単離されたバイオマーカー、または単離されたその変異体もしくは生物学的活性断片の有効量を投与するか;あるいは、少なくとも1つのバイオマーカーが癌細胞において上方制御されている場合、被験体において癌細胞の増殖が阻害されるように、被験体に、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0040】
[00053]別の側面において、本明細書において、被験体において白血病を治療する方法であって:対照細胞に比較して、白血病細胞における少なくとも1つのバイオマーカーの量を決定し;ここで、バイオマーカーは、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そして:癌細胞で発現されるバイオマーカーの量が、対照細胞で発現されるバイオマーカーの量より少ない場合、被験体に、少なくとも1つの単離されたバイオマーカーの有効量を投与するか;あるいは癌細胞で発現されるバイオマーカーの量が、対照細胞で発現されるバイオマーカーの量より多い場合、被験体に、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を投与することによって、白血病細胞で発現されるバイオマーカーの量を改変する工程を含む、前記方法を提供する。
【0041】
[00054]別の側面において、本明細書において、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される少なくとも1つの単離されたバイオマーカー、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、白血病を治療するための薬学的組成物を提供する。
【0042】
[00055]特定の態様において、薬学的組成物は、少なくとも1つのmiR発現阻害剤化合物および薬学的に許容されうるキャリアーを含む。
[00056]別の側面において、本明細書において、抗白血病剤を同定する方法であって、細胞に試験剤を提供し、そして白血病細胞における発現レベル減少と関連する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そして対照細胞に比較して、細胞におけるバイオマーカーのレベルが増加していると、試験剤が抗白血病剤である指標となる、前記方法を提供する。
【0043】
[00057]別の側面において、本明細書において、抗白血病剤を同定する方法であって、試験剤を細胞に提供し、そして白血病細胞における発現レベル増加と関連する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、対照細胞に比較して、細胞におけるバイオマーカーのレベルが減少していると、試験剤が抗癌剤である指標となり、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記方法を提供する。
【0044】
[00058]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患を予防し、診断し、そして/または治療するための療法の有効性を評価する方法であって:有効性を評価しようとする療法を、動物に供し、そして少なくとも1つのバイオマーカーを評価することによって、疾患を治療するかまたは予防する際、試験中の治療の有効性のレベルを決定する工程を含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記方法を提供する。
【0045】
[00059]特定の態様において、候補療法剤は:薬学的組成物、栄養補助食品組成物、およびホメオパシー組成物の1以上を含む。
[00060]特定の態様において、評価している療法は、ヒト被験体で使用するためのものである。
【0046】
[00061]別の側面において、本明細書において、少なくとも1つのバイオマーカーを含む白血病関連疾患のマーカーに結合する少なくとも1つの捕捉試薬を含む製品であって、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記製品を提供する。
【0047】
[00062]別の側面において、本明細書において、白血病関連疾患を治療するための療法剤のための候補化合物に関してスクリーニングするためのキットであって:少なくとも1つのバイオマーカーの試薬の1以上、および少なくとも1つのバイオマーカーを発現する細胞を含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記キットを提供する。
【0048】
[00063]特定の態様において、少なくとも1つのバイオマーカーと特異的に結合する抗体または抗体断片を含む試薬を用いて、バイオマーカーの存在を検出する。
[00064]別の側面において、本明細書において、個体における合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限するための薬剤を製造するための、慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患反応シグナル伝達経路に干渉する剤の使用であって、剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記使用を提供する。
【0049】
[00065]別の側面において、本明細書において、白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限する必要がある個体において、白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限する方法であって:少なくとも白血病関連疾患反応カスケードに干渉する剤を、個体に投与する工程を含み、剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記方法を提供する。
【0050】
[00066]別の側面において、本明細書において、個体において、白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限するための薬剤を製造するための、少なくとも慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患反応カスケードに干渉する剤の使用であって、剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される、前記使用を提供する。
【0051】
[00067]別の側面において、本明細書において、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上のアンチセンス阻害剤を含む、組成物を提供する。
【0052】
[00068]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLLL)を治療する必要がある被験体において、該疾患を治療する方法であって、被験体に、組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0053】
[00069]特定の態様において、組成物を予防的に投与する。
[00070]特定の態様において、組成物の投与は、CLLの1以上の症状の開始を遅延させる。
【0054】
[00071]特定の態様において、組成物の投与はCLLの発展を阻害する。
[00072]特定の態様において、組成物の投与はCLLを阻害する。
[00073]別の側面において、本明細書において、生物学的試料における白血病の存在を検出するための方法であって:白血病を含有すると推測される生物学的試料を、そのバイオマーカーに曝露し;ここでバイオマーカーはmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そしてあるとすれば、試料中のマーカーの存在または非存在を検出する工程を含む、前記方法を提供する。
【0055】
[00074]特定の態様において、バイオマーカーは検出可能標識を含む。
[00075]特定の態様において、方法は、被験体由来の生物学的試料中のバイオマーカーの量を、正常被験体由来の対応する生物学的試料中のバイオマーカーの量に比較する工程をさらに含む。
【0056】
[00076]特定の態様において、方法は、異なる時点で、被験体から複数の生物学的試料を収集し、そして各生物学的試料中のマーカーの量を比較して、被験体において、マーカーの量が時間とともに増加しているかまたは減少しているかを決定する工程をさらに含む。
【0057】
[00077]別の側面において、本明細書において、被験体において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療するための方法であって:白血病受容体アゴニストを含む、前記方法を提供する。
【0058】
[00078]特定の態様において、受容体アゴニストは、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上のアンチセンス阻害剤である。
[00079]別の側面において、本明細書において、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体、それに由来する配列、こうしたmiR由来の相補配列、およびこうした相補配列由来の配列の中から選択される核酸分子で構成される、急性骨髄性白血病の治療のための薬剤を製造するための使用を提供する。
【0059】
[00080]特定の態様において、薬剤は、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体、こうしたmiRに由来する配列、こうしたmiR由来の相補配列、およびこうした相補配列由来の配列の1以上の中から選択される配列を提示する核酸分子を含む。
【0060】
[00081]別の側面において、本明細書において、慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞の分化を誘導するのに有効な療法剤または療法剤の組み合わせを同定する、in vitro法であって:CLL細胞由来の細胞を培養し、細胞株の培地に少なくとも1つの化合物を添加し、工程(i)および(ii)の間で少なくとも1つのmiRの発現レベルの進化(evolution)を分析し、そして工程(i)および(ii)の間のmiRの発現レベルの変化を誘導する化合物または化合物の組み合わせを同定する工程を含む、前記方法を提供する。
【0061】
[00082]特定の態様において、工程(iii)は少なくとも1つのmiRの発現レベルの分析を含む。
[00083]特定の態様において、工程(iv)は少なくとも1つのmiRの発現レベルを調節する化合物または化合物の組み合わせの同定を含む。
【0062】
[00084]特定の態様において、工程(iv)は少なくとも1つのmiRの発現レベルを減少させる化合物または化合物の組み合わせの同定を含む。
[00085]特定の態様において、化合物は癌の治療のための療法剤である。
【0063】
[00086]本発明の多様な目的および利点は、付随する図を踏まえて読むと、好ましい態様の以下の詳細な説明から、当業者には明らかとなるであろう。
[00087]特許または出願ファイルは、カラーおよび/または1以上の写真で作成される1以上の図を含有してもよい。カラーの図(単数または複数)および/または写真(単数または複数)を含む本特許または特許出願刊行物のコピーは、要望があり、そして必要な料金の支払いがあれば、特許庁によって提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】[00088]図1A〜1C: miR15a/16−1クラスターは、ヌードマウスにおいて、MEG−01腫瘍の移植の増殖を阻害する。[00089]図1A: pRS−EまたはpRS15/16でプレトランスフェクションしたか、あるいはモックトランスフェクションしたMEG−01細胞を注入したヌードマウスにおける、移植腫瘍の増殖曲線。[00090]図1B:ヌードマウスにおける、注入28日後のモック、pRS−E、およびpRS15/16トランスフェクションしたMEG−01細胞の腫瘍移植サイズの比較。[00091]図1C:ヌードマウスにおける腫瘍重量±SD。
【図2】[00092]図2: MEG−01におけるマイクロアレイまたはプロテオミクスによって同定されるmiR−15a/16−1のターゲットのいくつかの検証。[00093]図2A: PDCD4、RAB21、IGSF4、SCAP2(マイクロアレイ中で下方制御される)、BCL2、およびWT1(プロテオミクス中で下方制御される)のqRT−PCR検証。IFG1、ACE、およびERBB2は陰性対照である。結果をpRS−Eトランスフェクション細胞に対して標準化した。β−チューブリンを用いて試料を標準化した。[00094]図2B: MEG−01細胞におけるIGSF4のルシフェラーゼアッセイ、miR−15a/16−1クラスターがこの遺伝子を直接ターゲティングすることを示す。
【図3】[00095]図3: miR−15a/16−1でトランスフェクションしたMEG−01細胞の遺伝子発現プロファイル。5,659プローブの発現にしたがった試料のクラスターは、空のベクター(赤色)およびmiR−15/16発現ベクター(赤色)でトランスフェクションしたMEG01間で、示差的に発現した。遺伝子の赤色は、すべての試料に渡る平均値より高い発現値を意味し、緑色は、より低い発現値を意味する。
【図4】[00096]図4: MEG−01において、miR−15a/16−1の予測されるおよび実験的(マイクロアレイ)に調節解除されるターゲットをマッチさせるベン図。TargetScan、MiRanda、およびPicTarによって予測されるターゲットと実験的に下方制御される転写物との間のマッチの結果。灰色の数字(4,769)は、マイクロアレイ中で下方制御されるが、いかなる考慮したアルゴリズムによってもターゲットとは予測されない、転写物の数を示す。
【図5】[00097]図5−表1: miR−15a/16−1クラスタートランスフェクション後のMEG−01細胞において調節解除されるARE−mRNAのクラスター分布。
【図6】[00098]図6−表2: miR−15a/16−1クラスタートランスフェクション後のMEG−01細胞における最も有意なGOカテゴリー。
【図7】[00099]図7−表3: MEG−01細胞においてプロテオミクスによって同定されるmiR−15a/16−1クラスターによって下方制御されるタンパク質の例。
【図8】[000100]図8−表4:マイクロアレイによるmiR−15a/16−1が下方制御する遺伝子のCLLシグネチャーの例。
【図9−1】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−2】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−3】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−4】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−5】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−6】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−7】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−8】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−9】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−10】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−11】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−12】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−13】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−14】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−15】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−16】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−17】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−18】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−19】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−20】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−21】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−22】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−23】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−24】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−25】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−26】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−27】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−28】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−29】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−30】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−31】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−32】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−33】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−34】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−35】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−36】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−37】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−38】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−39】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−40】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−41】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−42】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−43】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−44】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−45】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−46】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−47】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−48】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−49】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−50】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−51】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−52】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−53】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−54】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−55】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−56】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−57】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−58】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−59】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−60】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−61】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−62】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−63】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−64】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−65】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−66】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−67】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−68】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−69】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−70】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−71】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−72】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−73】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−74】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−75】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−76】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−77】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−78】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−79】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−80】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−81】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−82】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−83】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−84】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−85】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−86】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−87】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−88】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−89】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−90】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−91】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−92】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−93】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−94】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−95】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−96】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−97】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−98】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−99】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−100】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−101】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−102】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−103】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図9−104】[000101]図9−表5: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、調節解除された転写物。
【図10−1】[000102]図10−表6: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物、ならびにTargetScan、PicTar、およびMiRandaによって予測されるターゲット。
【図10−2】[000102]図10−表6: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物、ならびにTargetScan、PicTar、およびMiRandaによって予測されるターゲット。
【図10−3】[000102]図10−表6: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物、ならびにTargetScan、PicTar、およびMiRandaによって予測されるターゲット。
【図10−4】[000102]図10−表6: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物、ならびにTargetScan、PicTar、およびMiRandaによって予測されるターゲット。
【図11−1】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−2】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−3】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−4】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−5】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−6】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−7】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−8】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−9】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−10】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−11】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−12】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−13】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−14】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−15】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−16】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−17】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−18】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−19】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−20】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−21】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−22】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−23】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−24】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−25】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−26】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−27】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−28】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−29】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−30】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−31】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−32】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−33】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−34】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−35】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−36】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−37】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図11−38】[000103]図11−表7: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、上方/下方制御される転写物の中のARE−mRNA。赤(太字)、上方制御遺伝子;黒、下方制御遺伝子。
【図12−1】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−2】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−3】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−4】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−5】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−6】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−7】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−8】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−9】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−10】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−11】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−12】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−13】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図12−14】[000104]図12−表8:空のベクターに比較した際の、miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、下方制御された転写物の遺伝子オントロジー。
【図13】[000105]図13−表9: MEG−01細胞においてプロテオミクスによって同定された、miR−15a/16−1クラスターによって下方制御されるタンパク質。
【図14−1】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−2】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−3】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−4】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−5】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−6】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−7】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−8】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−9】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−10】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−11】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−12】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−13】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−14】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−15】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−16】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−17】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−18】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−19】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−20】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−21】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図14−22】[000106]図14−表10:高いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLおよび低いmiR−15a/16−1レベルを持つ8つのCLLの間の比較。有意に示差的に発現される678転写物結果。
【図15−1】[000107]図15−表11: miR−15a/16−1が下方制御する遺伝子のCLLシグネチャー。
【図15−2】[000107]図15−表11: miR−15a/16−1が下方制御する遺伝子のCLLシグネチャー。
【図16−1】[000108]図16−表12: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、(空ベクターに比較して)下方制御され、そしてmiR−15a/16−1の高発現を伴うCLL患者で下方制御される転写物の遺伝子オントロジー。
【図16−2】[000108]図16−表12: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、(空ベクターに比較して)下方制御され、そしてmiR−15a/16−1の高発現を伴うCLL患者で下方制御される転写物の遺伝子オントロジー。
【図16−3】[000108]図16−表12: miR−15a/16−1でMEG−01細胞をトランスフェクションした後、(空ベクターに比較して)下方制御され、そしてmiR−15a/16−1の高発現を伴うCLL患者で下方制御される転写物の遺伝子オントロジー。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[000109]本開示全体で、同定する引用によって、多様な刊行物、特許および公開特許明細書に言及する。これらの刊行物、特許および公開特許明細書の開示は、本発明が属する技術分野の到達水準をより詳細に記載するため、本開示内に援用される。
【0066】
[000110]本明細書に記載するのは、CLLにおける、およびおそらくこれらの遺伝子が失われているかまたは下方制御されている他の悪性腫瘍における、腫瘍抑制因子遺伝子(TSG)としてのmiR−15aおよびmiR−16−1の役割である。
【0067】
[000111]本明細書にやはり開示するのは、白血病における腫瘍抑制因子としてのmiR−15aおよびmiR−16−1の作用機構である。本発明者らは、MEG−01白血病細胞におけるトランスクリプトームおよびプロテオームに対するmiR−15aおよびmiR−16−1の影響を分析した。このアプローチによって、多くのターゲット遺伝子を検証することが可能になり、これらの発現をCLLの場合にも調べた。
【0068】
[000112]本発明は、以下の実施例においてさらに説明され、ここで、別に言及しない限り、すべての部分および割合は重量であり、そして度は摂氏である。これらの実施例は、本発明の好ましい態様を示すが、例示目的のためのみに提供されることを理解しなければならない。上記議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認可能であり、そして本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の多様な変化および修飾を作製して、多様な使用および条件に適応させることが可能である。本明細書において言及される特許および非特許文献を含むすべての刊行物は、本明細書に完全に援用される。
【実施例】
【0069】
[000113]実施例I
[000114]MEG−01白血病細胞へのmiR−15a/miR−16−1トランスフェクションのin vivo効果
[000115]本発明者らは、miR−15a/16−1クラスターが、APAF−1−カスパーゼ9−PARP経路の活性化によって同定されるような生得的なアポトーシス経路を活性化することによって、MEG−01細胞のアポトーシスを誘導することを報告した(22)。
【0070】
[000116]これらのmiRNAの効果をさらに調べるため、本発明者らは、その腫瘍抑制機能をin vivoで試験した。in vitroでpRS15/16、pRS−Eでトランスフェクションするか、またはモックトランスフェクションした、1000万の生存MEG−01細胞を、免疫無防備状態の「ヌード」マウス(群あたり5匹)の脇腹にs.c.接種した。
【0071】
[000117]図1Aに示すように、miR−15a/16−1クラスターは、MEG−01腫瘍移植の増殖を阻害する。28日後、腫瘍増殖は、miR−15a/16−1トランスフェクションMEG−01を接種した5匹のマウスのうち3匹(60%)で完全に抑制された(図1B)。
【0072】
[000118]第28日、未処置および空ベクター処置マウスに関する平均腫瘍重量は、それぞれ、0.95±0.5gおよび0.58±0.39gであり; miR−15a/16−1処置細胞を接種したマウスにおいて、平均は、0.020±0.01g(P<0.003)であった(図1C)。
【0073】
[000119]したがって、これらの実験の結果は、MEG−01白血病細胞におけるmiR−15a/16−1クラスターの腫瘍抑制因子機能を立証する。
[000120]miR−15aおよびmirR−16−1の外因性発現の転写効果。
【0074】
[000121]白血病におけるmiR−15a/16−1腫瘍抑制の分子的基礎を性質決定するため、本発明者らは、まず、タンパク質コード遺伝子のゲノム全体の転写に対するmiRNAの影響を調べた。本発明者らは、pRS15/16ベクターをMEG−01細胞内に一過性にトランスフェクションした。このベクターは、記載されるように、両方のmiRNAをコードするゲノム領域を含有する(22)。空ベクター(pRS−E)でのトランスフェクションを対照として用いた。参考文献18に記載されるように、定量的(q)RT−PCRによって、miR−15aおよびmiR16−1の発現レベルを測定することによって、トランスフェクションの成功を評価した(データ未提示)。Affymetrixマイクロアレイを用いることによって、ゲノム全体のトランスクリプトームを調べた。マイクロアレイ分析は、pRS15/16およびpRS−Eトランスフェクション細胞の間の異なるパターンの遺伝子発現を明らかに示す(図3)。
【0075】
[000122]miR−15a/16−1クラスターでのトランスフェクション後、355プローブ(265遺伝子)は、有意に上方制御され、そして5,304プローブ(3,307遺伝子)は下方制御された(図9−表S5)。
【0076】
[000123]示差的に発現された遺伝子で行ったクラスター分析によって、pRS15/16およびpRS−Eトランスフェクション細胞間の明らかに区別される遺伝子発現プロファイルが示される(図3)。
【0077】
[000124]下方制御されたプローブの中で、140(85遺伝子)は、最も用いられる3つのソフトウェアアルゴリズム(TargetScan、PicTar、およびMiRanda)によって、miR−15/16のターゲットと予測され、これらのアルゴリズムは異なる予測基準に基づいて構築されており、そしてしたがって、組み合わせて用いると、ターゲット同定の最高の可能性を生じる。1つの予測プログラムのみを考慮した場合、それぞれ、370、332、および312の転写物が、これらのmiRNAの直接ターゲットと予測されることが見出された(図3、図10−表6)。
【0078】
[000125]上方制御される遺伝子の中で、共通して予測されるターゲットはなかった。したがって、miR−15a/16−1クラスターは、ヒトゲノムにおける総数25,000の予測される遺伝子の≒14%(上方制御される265、および下方制御される3,307の遺伝子)を、直接または間接的に、制御するようである(23)(図4)。
【0079】
[000126]AUリッチ要素(ARE)は、MEG−01において、miR−15a/16−1が下方制御する遺伝子の間に、より頻繁に見られる
[000127]miR−16−1に関して、ターゲットmRNAの「シード」領域における直接の相互作用(22)およびAREが仲介するmRNA不安定性(24)の両方が報告されてきているため、本発明者らは、miR−15a/16−1が調節解除する転写物の間での、ARE含有mRNAの頻度を調べた。
【0080】
[000128]図11−表7に示すように、3’UTRにおいて、AREを含有する遺伝子の数は、265の上方制御遺伝子のうち36(13.6%)であり、そして下方制御される遺伝子3,307のうち666(20.1%)であった。この相違は統計的に有意であり、χ値は6.674であった(P=0.0098)。miR−15a/16−1の予測されるターゲットである85の遺伝子の中で、28(32.9%)がAREを含有し、一方、共通して予測されるターゲットではない、残りの3,222の下方制御される遺伝子のうち、638(19.8%)のmRNAがAREを含有する(χ値=8.89、P=0.003)。AREストレッチ中のモチーフの数にしたがって、ARE−mRNAは、5つの群にクラスター化され、5つ(クラスターI)、4つ(クラスターII)、3つ(クラスターIII)、および2つ(クラスターIV)の5量体反復を含有し、一方、クラスターVは、記載されるように、13bp AREパターン内に1つの5量体のみを含有する(25)。
【0081】
[000129]miR−15a/16−1が調節解除する遺伝子のAREクラスター分布を図4−表1に示す。これらの結果は、AREが、miR−15a/16−1の下方制御ターゲット、特に共通して予測されるターゲットの間でより頻繁に見られることを示し、miR−16ターゲティングにおけるAREの影響をさらに裏付ける。
【0082】
[000130]miR−15a/16−1クラスターによって調節解除される遺伝子の遺伝子オントロジー(GO)
[000131]pRS−Eに対してpRS15/16でトランスフェクションした後のMEG−01細胞において示差的に発現されることが見出された遺伝子を、GeneSpring遺伝子オントロジーブラウザツールで分析して、下方制御される遺伝子において最も提示される遺伝子オントロジーカテゴリーを同定した(図6、表2、図4−表8)。これらの結果は、miR−15a/16−1クラスターが、多くの細胞周期関連遺伝子の発現に直接または間接的に影響を及ぼすことを示す。
【0083】
[000132]特に、細胞周期の異なる移行チェックポイントに関与する多くの遺伝子が、miRNAによってターゲットとされる。BCL2がmiR−15a/16−1のターゲットであるという本発明者らの先の知見と一致して、このGOオントロジー分析において、カテゴリー「抗アポトーシス」(GO:6916)が、下方制御される転写物の間で有意に提示される。
【0084】
[000133]MEG−01プロテオームに対するmiR−15aおよびmiR−16−1の影響
[000134]転写および翻訳レベルの両方のmiRNA依存性遺伝子制御が記載されてきている(26)ことから、タンパク質レベルでのMEG−01細胞に対するmiR−15a/16−1の影響を調べるために、本発明者らは、トランスフェクション48時間後、pSR15/16またはpRS−EベクターでトランスフェクションしたMEG−01細胞間で示差的に発現されるタンパク質を分析した。プロテオミクス分析によって、pRS−E群に対して、pRS15/16群で、強度が4倍以上減少したタンパク質を同定した。本発明者らは27の異なるタンパク質を単離した(図7−表3、図13−表9)。
【0085】
[000135]興味深いことに、miR−15a/16−1のターゲットであることを本発明者らがすでに示しているBCL2(22)、およびこれらのmiRNAの別の予測されるターゲットであるWT1が同定された。ターゲットとされるタンパク質は、多様な生物学的機能を有し、そして4つの群にグループ分けされうる。
【0086】
[000136]第一の群には、細胞増殖および細胞周期の制御に役割を果たすタンパク質(Ruvb11、Anxa2、Rcn1、Cct7、Sugt1、Cdc2、Psf1)が含まれ、別のカテゴリーは、抗アポトーシスタンパク質(Grp78、Bcl2、Pdia2)によって、そして癌遺伝子としてまたは腫瘍抑制因子遺伝子としてのいずれかでヒト腫瘍形成に関与するタンパク質(Wt1、MageB3、Rab9B)によって形成される。残りの14タンパク質は、異なる生物学的機能を有し、そして本発明者らはこれらを「その他」と同定した。27の実験的に同定された下方制御されるタンパク質のうち、8つ(29.6%)が、予測アルゴリズムの少なくとも1つによって予測される、miR−15a/16のターゲットである。最後に、この8つのタンパク質の群のうち、2つ(Bcl2、およびCfl2)は、下方制御されるmRNA群にも存在した。
【0087】
[000137]MEG−01細胞株における結果の検証
[000138]トランスクリプトームまたはプロテオーム分析によって得た結果を検証するため、9つの遺伝子(4つはESTマイクロアレイによって同定され、2つはプロテオミクスによって同定され、そして3つはどちらの技術によっても同定されず、そしてしたがって陰性対照と見なされる)の発現を、pRS15/16またはpRS−E(対照)でトランスフェクションしたMEG−01細胞におけるqRT−PCRによってアッセイした。図2Aに示すように、miR−15a/16−1でのトランスフェクションは、マイクロアレイで同定されたmRNA(PDCD4、RAB21、IGSF4、SCAP2)およびプロテオミクスで同定されたタンパク質(Bcl2、Wt1)両方の発現を減少させる。miR−15a/16−1トランスフェクションは、対照遺伝子(IGF1、ACE、およびERBB2)のいずれの発現にも影響を及ぼさない。
【0088】
[000139]本発明者らは、検証された遺伝子の1つ(IGSF4)に対してルシフェラーゼアッセイを実行し、そしてmiR−15a/16−1クラスターがIGSF4を直接ターゲティングすることを立証した(図2B)。
【0089】
[000140]BCL2およびDMTF1との直接相互作用が、本発明者らおよび他の研究者らによって立証された(7、22)。したがって、本発明者らは、下方制御された遺伝子のMEG−01プロファイルを一貫して確認可能であり、そしてこの白血病モデルにおいて、miR−15a/16−1の別の直接ターゲットを同定した。
【0090】
[000141]原発性CLLにおけるmiR−15a/mir16−1ターゲットの発現の変動
[000142]MEG−01は、異常な13q14を持ち、そしてmiR15a/16−1クラスターが欠損している白血病細胞モデルである(CLLに類似)が、巨核球性の樹立された白血病細胞株であるため、本発明者らは、原発性CLLにおいてもまたmiR−15a/16−1クラスターの異なる発現の影響を調べた。
【0091】
[000143]したがって、MEG−01細胞で同定されたmiR−15a/16−1のターゲットのいくつかが、CLL患者において、これらの2つのmiRNAの発現と逆相関するかどうかを検証するため、本発明者らは、本発明者らの以前の研究におけるmiRNAマイクロアレイ分析によって、miR−15a/16−1の発現がすでに決定されている16のCLL試料群を選択した。
【0092】
[000144]本発明者らは、13のmiRNAのシグネチャーが、緩徐進行性および侵襲性CLLの間で区別され、そしてmiR−15a/16−1クラスターの欠損が緩徐進行性CLLの特徴であることを示した(18)。まず、本発明者らは、qRT−PCRによってmiR−15a/16−1の発現を検証し、そしてqRT−PCRによるマイクロアレイデータを確認した(データ未提示)。考慮する16人の患者のうち、8人は、他の8人の患者に比較して、miR−15a/16−1のより高い発現を有した(マイクロアレイ分析で、P=7.7x10−6、qRT−PCR分析でP=0.019)。ESTオリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析による、高いおよび低いmiR−15a/16−1発現を持つ8つのCLLの間の比較によって、678のAffymetrixプローブ(539遺伝子)が、2群の中で、有意に示差的に発現されることが示された(図14−表10)。総合すると、539遺伝子のうち82(15.2%)がARE mRNAであり、そして4つが3つのバイオインフォマティクスアルゴリズムすべてによってターゲットと予測される。
【0093】
[000145]miR−15a/16−1が下方制御する転写物のシグネチャー
[000146]本発明者らは、miR−15/16高発現CLLにおいて低く、そしてmiR−15/16低発現CLLにおいて高い遺伝子を選択し、これらは、pRS15/16でのトランスフェクション後、MEG−01細胞において下方制御される遺伝子と交差した。
【0094】
[000147]60遺伝子(70プローブ)のシグネチャーが出現した(図8−表4、図15−表11)。これらの遺伝子のうち13(21.7%)がARE−mRNAであり、クラスターIII(7.8%)、IV(7.8%)、およびV(84.6%)に分布した。MEG−01において下方制御されるmRNAすべて(P=0.76)、およびmiR−15a/16−1の高発現を伴う患者において抑制される転写物すべて(P=0.14)の両方に関して、ARE−mRNAの統計的に有意な濃縮は、このシグネチャーにおいては観察されなかった。本発明者らは、これらの70の転写物のGO分析を行い、そして有意に提示されるカテゴリーの中で、いくつかが、トランスフェクションされたMEG−01で以前同定され、そして細胞周期およびアポトーシスの制御に関与するもの、例えば「抗アポトーシス」(GO:6916)、「アポトーシスの負の制御」(GO:43066)、および「プログラム細胞死の負の制御」(GO:43069)であることを見出した(図16−表12)。MEG−01における、およびCLL患者における結果が一貫していることから、本発明者らのin vitroモデルの妥当性が確認され、そして発現がクラスターによって一貫して調節されている、GOカテゴリーおよびタンパク質コード遺伝子パネルが同定される。
【0095】
[000148]考察
[000149]本発明者らは、miR−15a/16−1が、ヌードマウスにおいて、白血病細胞の腫瘍移植の増殖を阻害することによって、腫瘍抑制因子機能を発揮することを示す。
【0096】
[000150]miR−15a/16−1腫瘍抑制因子機能の分子基礎を研究するため、本発明者らは、miR−15a/16−1を発現するベクターであるpRS15/16でMEG−01をトランスフェクションし、そして同じ空ベクターを対照として用いた後、調節解除される遺伝子の広範囲なマイクロアレイ分析を行った。
【0097】
[000151]本発明者らは、異なるモデルにおいて、他のグループによって観察されたターゲットのいくつか、例えば、固形腫瘍細胞株におけるCDK6、CDC27、およびRAB11FIP2(28)、ならびにアフリカツメガエル(Xenopus laevis)におけるACVR2A(29)を確認した。本発明者らは、実験的に同定された下方制御される遺伝子を、miRNAターゲットの同定のための最も広く用いられるアルゴリズム3つ(PicTar、TargetScan、MiRanda)によって共通して予測されるmiR−15a/16−1のターゲットとマッチさせ、そして85遺伝子(2.6%)が共通であることを見出した。
【0098】
[000152]興味深いことに、miRNA制御モジュール(MRM)、または転写後遺伝子制御において共同して関与すると考えられるmiRNAおよびターゲット遺伝子の群を予測することによって、miRNAターゲットを同定する計算法(30)と本発明者らの結果をマッチさせることによって、本発明者らは、本発明者らの示差発現遺伝子の中で、13のmiR−15/16 MRM予測遺伝子のうち5つ(38.5%)(ATP2B1、FBXW7、PPMID、SON、およびWT1)を見出した。この割合は、考慮する予測アルゴリズムすべての中の最高に相当する。
【0099】
[000153]265の実験的に上方制御されたmRNAの中で、miR−15a/16のターゲットとして予測されたものはない。この知見は、間接的な効果によって、例えばこれらの2つのmiRNAによってターゲットとされる転写因子(単数または複数)の制御によって説明可能である。トランスフェクション48時間後のプロテオミクスによって、MEG−01細胞におけるmiR−15a/16−1の外因性発現の影響もまた調べた。本発明者らはまた、トランスフェクションからの異なる時間間隔も調べ、転写(24時間)または翻訳(48時間)レベルでのmiR−15a/16−1の影響も分析したが、これは24時間後、mRNAサイレンシングが最大であるが、タンパク質枯渇による、二次的な転写効果が最小限であるためである(31)。
【0100】
[000154]本発明者らのプロテオミクスアプローチは、miR−15a/16−1の27のターゲットを検出可能であり、このうちおよそ1/3は、予測されたターゲットでもある。興味深いことに、25%(8つのうち2つ)の予測されるターゲットが、トランスクリプトーム中およびプロテオーム中の両方で下方制御された。miR−15a/16−1が下方制御する遺伝子のうち、本発明者らは、IGSF4がクラスターの直接ターゲットであることを立証した。
【0101】
[000155]IGSF4は、肺癌における腫瘍抑制因子遺伝子として最初に同定され、そして細胞接着に関与する(32、33)。Sasakiら(34)は、TSLC1/IGSF4が、成人T細胞白血病(ATL)の発展および進行に関与する腫瘍性タンパク質として作用することを立証した。本発明者らはここで、IGSF4を直接サイレンシングすることによって、miR−15a/16−1がより一般的な抗白血病効果を発揮するのに有用であると考えている。
【0102】
[000156]本発明者らはまた、マイクロアレイによって、8人の高レベルのmiR−15a/16−1を持つCLL患者において、低レベルのこれらの2つのmiRNAを持つCLL患者に比較して下方制御されているmRNAを調べ、そしてCLLおよびmiR−15a/16−1でトランスフェクションされたMEG−01の間で共通な60遺伝子のシグネチャーを同定した。
【0103】
[000157]このシグネチャー(MEG−01において下方制御される遺伝子の≒2%を含み、そして患者で提示されるものの≒11%を含む)は、MCL1、JUN、SCAP2、TRA1、PDCD61P、RAD51C、およびHSPA1A/1Bなどの癌遺伝子を含有し、これを用いて、in vitro(22)、そしてここで本明細書において示すようにin vivoの両方で、MEG−01において観察されるmiR−15a/16−1の癌抑制因子効果を説明可能である。
【0104】
[000158]MCL1は、CLLにおいてB細胞生存に寄与する抗アポトーシスBCL−2ファミリーのメンバーであり、そして化学療法に対する耐性と関連づけられてきている(35、36)。MCL−1発現は、ZAP70陽性(侵襲性)対ZAP−70陰性(緩徐進行性)B−CLL細胞で異ならない(37)という事実にも関わらず、MCL1は急性および慢性リンパ性悪性疾患の両方において、適切な療法ターゲットに相当し、これはそのサイレンシングが、ALLおよびCLL細胞においてアポトーシスを促進し、そしてリツキシマブが仲介するアポトーシスに対する感受性を増加させるのに十分であるためである。興味深いことに、miR−29bもまた、胆管細胞癌モデルにおいて、Mcl1をターゲティングすることが同定されてきており(39)、そして固形(40)および血液学的悪性腫瘍(41)の両方において、miR−29ファミリーのTSGとしての役割を定義する際、多くの証拠が収束してきている。
【0105】
[000159]これらの知見は、CLLの治療において、miR−15a/16−1およびmiR−29の関連に対して理論的根拠を提供する。
[000160]さらに、B細胞受容体を通じた持続するシグナル伝達は、MCL1の誘導によって、そしてより低い度合いで、c−JUN NH−末端キナーゼ(JNK)の活性化によっての両方で、B−CLL細胞の生存を促進する(42)。
【0106】
[000161]したがって、MCL1、およびc−JUN転写物の両方をターゲティングすることによる、B−CLL細胞の生存に対するmiR−15a/16−1クラスターの影響は、さらにより頑強でありうる。プロテオミクスリストにBCL2が存在することから、本発明者らが以前言及したこのターゲットの転写後制御が裏付けられる(22)。
【0107】
[000162]さらに、RARS(アルギニル−tRNAシンテターゼ)と同じ経路に関与するLARS(ロイシル−tRNAシンテターゼ)が抑制され、そしてMEG−01において下方制御される遺伝子の中にRARSが存在することから、この経路がmiR−15a/16−1によってターゲティングされうるという本発明者らの以前の仮説が裏付けられる(16)。
【0108】
[000163]興味深いことに、シグネチャーにはまた、多くの重要な腫瘍抑制因子遺伝子(RNASEL、HACE1、CEP63、CREBL2、MSH2、TIA1、およびPMS1)が含まれ、そしてmiR−15a/16−1発現およびCLL予後の間の関連に関する説明を明らかにする。
【0109】
[000164]本発明者らは、非突然変異IgV、および高発現ZAP−70(劣った予後)を伴うCLL患者において、miR−15a/16−1レベルが、優れた予後のCLL患者より高いことを記載した(18)。miR−15a/16−1 CLLシグネチャーにおいて癌遺伝子およびTSGが同時に存在することが観察されるため、高レベルのこれらの2つのmiRNAがより悪い予後のCLLと関連するのがなぜなのかの分子的説明が得られる(18)。高いmiR−15a/16−1レベルは、多くのTSGを下方制御し、そしてその結果、多くの癌抑制因子経路に負に影響を及ぼし、したがって、より多くの発癌表現型を導くことも可能である。
【0110】
[000165]最近、miR−16が、AREが仲介するmRNA不安定性に、決定的に関与することが立証された(24)。MEG−01細胞において、本発明者らは、ARE−mRNAが、上方制御される遺伝子の間(13.6%)よりも、下方制御される遺伝子の間で有意により多く提示される(20.1%、P=0.0098)ことを見出した。同定されるシグネチャーでは、ARE−mRNAは濃縮されていないが、シグネチャーには、クラスターV ARE−mRNAが優性である(MEG−01および患者の両方で、このクラスターのメンバーがより多数であることを反映する)(84.6%)ことが示され、より多数の5量体AU反復が、miR−15a/16−1によるより高いサイレンシング効果に対応しないことが示された。
【0111】
[000166]最後に、調節解除された遺伝子のGO分析は、miR−15a/16−1が代謝経路、核酸結合経路、および翻訳因子の活性に強く影響を及ぼすことを示す。固形腫瘍細胞株において、miR−16が下方制御する転写物には、そのサイレンシングが、G/Gにある細胞の集積を引き起こし、そしてその機能がAUリッチ要素に依存しない遺伝子が濃縮されている(28)。
【0112】
[000167]本発明者らは、現在、その破壊がG/G細胞集積を誘発する、記載されるmiR−16ターゲットのいくつかが、本発明者らの細胞モデルにおいてもまた下方制御され(CDK6、CDC27、RAB11FIP2)、そして以前記載されたGOカテゴリー[すなわち「有糸分裂細胞周期」(GO:278)および「細胞周期」(GO:7049)]のいくつかもまた、本発明者らのデータ中に提示されることを見出した。
【0113】
[000168]以前の報告と対照的に、本発明者らは、上方制御されるものに対して、下方制御されるターゲットの中で、統計的に有意により多い数のARE−mRNAを見出した。これらの相違は、miR−15a/16−1の細胞特異的機能を反映する可能性もあり、一方、固形腫瘍および血液学的腫瘍モデルの両方で、miR−15a/16−1が「細胞周期」に関与する遺伝子をターゲティングするという一般的な知見は、この遺伝子群に対するクラスターのより一般的でそして頑強な効果を示唆する。
【0114】
[000169]本発明者らは、ここで、白血病細胞モデルおよび原発性CLLの両方において、miR−15a/16−1が調節解除する遺伝子を示し、そしてCLLにおいて、そのサイレンシングがmiR−15a/16−1が誘導する表現型を特徴付ける、一般的な遺伝子のシグネチャーを同定する。
【0115】
[000170]これらの知見は、CLLの療法的アプローチの開発に重要な意義を有しうる。
[000171]材料および方法
[000172]細胞培養および患者試料
[000173]ヒト巨核球性MEG−01細胞株をAmerican Type Culture Collectionより購入し、そして1x非必須アミノ酸および1mmolのピルビン酸ナトリウムを補った10%FBS RPMI培地1640中、37℃および5%COで増殖させた。患者研究のため、本発明者らは、CLL Research Consortium施設でCLLと診断された患者からインフォームドコンセントを得た後に得た、16のCLL試料を用いた。簡潔には、CLL患者から血液を得て、そしてFicoll/Hypaque勾配遠心分離(Amersham Pharmacia Biotech)を通じて単核細胞を単離し、そして記載されるプロトコル(18)にしたがってRNA抽出のためにプロセシングした。試料すべてに関して、参考文献18に報告されるようなマイクロアレイ発現データが知られ、そして本発明者らはさらに、qRT−PCRで確認を行った。
【0116】
[000174]in vivo研究
[000175]施設指針にしたがって動物研究を行った。in vitroで、MEG−01細胞株を、miR−15a/miR−16−1を発現しているp−Retrosuperベクター(43)(pRS15/16)でトランスフェクションした。非トランスフェクション(モック)または同じ空プラスミド(pRS−E)でトランスフェクションした細胞は腫瘍形成対照として働いた。トランスフェクション24時間後、10の生存細胞を、トランスフェクションまたは対照細胞株あたり5匹の、5週齢の雌ヌードマウス(Charles River Breeding Laboartories)の左脇腹内にs.c.注射した。第7日、第15日、第21日、および第28日に、腫瘍直径を測定した。28日後、マウスを屠殺し、剖検を行い、そして腫瘍の重量を測定した。等式V(mm)=AxB/2、式中、Aは最大直径であり、そしてBは垂直直径である、を用いることによって、腫瘍体積を計算した。
【0117】
[000176]in vitroトランスフェクション
[000177]製造者の指示にしたがって、Lipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用いることによって、MEG−01細胞を1μg/ml(最終濃度)のpRS−15/16またはpRS−Eベクターで一過性にトランスフェクションした。24時間後、製造者の指示にしたがって、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いることによって、総RNAを抽出した。
【0118】
[000178]マイクロアレイハイブリダイゼーションおよびデータ分析
[000179]各々3つ組である、pRS−15/16およびpRS−EベクターでトランスフェクションしたMEG01細胞株から得た2つの試料、ならびに16のCLL試料を、ヒトゲノムU133A Plus2.0 GeneChipアレイ(Affymetrix)を用いたマイクロアレイによって分析した。GeneChipスキャナによって生成したCELファイルをGeneSpring GX7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)に取り込み、そしてさらにプロセシングした。マイクロアレイ実験に関する詳細は、本明細書の実施例IIに記載される。
【0119】
[000180]miRNAターゲット予測
[000181]アルゴリズムTargetScan(genes.mit.edu/targetscan/)、PicTar(pictar.bio.nyu.edu/)、およびmiRanda(cbio.mskcc.org/cgi−bin/mirnaviewer/mirnaviewer.pl)を用いることによって、miRNAの予測されるターゲットの分析を決定した。
【0120】
[000182]アデニル酸ウリジル酸リッチ要素(ARE)を含有する遺伝子の同定
[000183]記載されるような(44)、ARE−mRNAデータベースバージョン3.0(ARED; rc.kfshrc.edu.sa/ared/)を用いた(実施例IIを参照されたい)。
【0121】
[000184]二次元PAGE、ならびにマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF)および質量分析(MS)によるタンパク質同定。
[000185]製造者の指示にしたがって、Lipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用いることによって、MEG−01細胞を1μg/ml(最終濃度)のpRS15/16またはpRS−Eベクターで48時間、一過性にトランスフェクションし、そして二次元PAGE、ならびにMALDI−TOFおよびMSによるタンパク質同定の詳細を実施例IIに記載する。
【0122】
[000186]qRT−PCR
[000187]製造者の指示にしたがって、そして記載されるように(45)、TaqMan MicroRNAアッセイキット(Applied Biosystems)を用いて、3つ組で、miRNAに関するqRT−PCR分析を行った。標準化のため、18S RNAを用いた;製造者の指示にしたがって、遺伝子特異的プライマーおよびIQ SYBRグリーンSupermix(Bio−Rad)を用いて、RNAをcDNAに逆転写することによって、目的の他の遺伝子に関するqRT−PCR分析を行った。β−チューブリンを標準化のために用いた。
【0123】
[000188]ルシフェラーゼレポーターアッセイ
[000189]ルシフェラーゼレポーター実験のため、237bpのIGSF4 3’UTRセグメントを、ヒトcDNAからPCRによって増幅し、そしてルシフェラーゼの停止コドンからすぐ下流のXbaI部位を用いることによって、SV40プロモーター(Promega)を含むpGL3−対照ベクター内に挿入した。マイクロアレイ実験に関する詳細を、実施例IIに記載する。実験を3つ組で行った。
【0124】
[000190]実施例II
[000191]マイクロアレイハイブリダイゼーション
[000192]各々3つ組である、pRS−15/16およびpRS−EベクターでトランスフェクションしたMEG01細胞株から得た2つの試料、ならびに16のCLL試料を、マイクロアレイによって分析した。オハイオ州立大学マイクロアレイ施設で実験を行った。NanoDrop分光計(NanoDrop Technologies)を用いることによって、抽出RNAの量を定量化し、そしてAgilent Bioanalyzer 2100(Agilent Technologies)を用いることによって、RNAの性質を評価した。総RNA(1.2μg)を用いて、Enzo BioArray HighYield RNA転写物標識キット(Affymetrix)によって、ビオチン標識cRNAを生じた。断片化後、ヒトゲノムU133A Plus 2.0 GeneChipアレイ(Affymetrix)上でのハイブリダイゼーションに標識cRNAを用いた。ハイブリダイゼーション、洗浄、および染色を、製造者の指示にしたがって行った。ハイブリダイゼーションしたアレイをGenechip 7Gでスキャンした。
【0125】
[000193]マイクロアレイデータ分析
[000194]GeneChipスキャナによって生成されたCELファイルをGeneSpring GX7.3ソフトウェア(Agilent Technologies)に取り込んだ。GC頑強マルチアレイ平均(GC Robust Multiarray Average)(GCRMA)法、その後、データ変換を用いることによって、生データを標準化し、負の値を0.01にセットした。次いで、各測定値を試料中のすべての測定の50パーセンタイルで割り、そして各遺伝子をすべての試料中の測定中央値によって割った。miR−15/16トランスフェクション後のMEG01において、そして2つのCLL群の中で示差的に発現される遺伝子は、比較する群の幾何平均発現の間で2倍の相違、ならびにANOVA、その後、偽陽性減少のためのBenjaminiおよびHoechberg修正を適用すると、統計的に有意なP値(<0.05)を有するとして選択された。類似性の尺度として標準的な相関を用いて、試料のクラスター分析のため、示差的に発現される遺伝子を用いた。推定上のmiR−15/16ターゲットのリストを、遺伝子記号を用いて、GeneSpring中に取り込み、そしてベン図GeneSpringツールを用いることによって、目的のリストとの交差を行った。統計的に濃縮されたGOカテゴリーを見出すため、P<0.05を用いて、GeneSpringソフトウェアで、示差的に発現される遺伝子に対する遺伝子オントロジー(GO)分析を行った。
【0126】
[000195]アデニル酸ウリジル酸リッチ要素(ARE)含有遺伝子の同定
[000196]pRS15/16でトランスフェクションした後、ESTオリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析によって同定されたすべての調節解除された(上方および下方制御された)遺伝子を、ヒトゲノムにコンピュータ・マッピングされた>4,000 ARE−mRNAを含有するARE−mRNAデータベースバージョン3.0(ARED; rc.kfshrc.edu.sa/ared/)を用いることによって、3’−UTR中のAREの存在に関して精査した。pRS−EでトランスフェクションしたMEG−01細胞に対して、pRS15/16でトランスフェクションしたものにおいて、上方制御された遺伝子群に比較して、下方制御された群で、より多くのARE含有mRNAが存在する可能性を、χ検定で計算した(α=0.05)。
【0127】
[000197]二次元PAGE、ならびにMALDI−TOFおよびMSによるタンパク質同定
[000198]製造者の指示にしたがって、Lipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用いることによって、EG−01細胞を1μg/ml(最終濃度)のpRS−15/16またはpRS−Eベクターで一過性にトランスフェクションした。トランスフェクション48時間後、7mol/リットルの尿素、2mol/リットルのトリオ尿素(triourea)、4%CHAPS、2mmol/リットルのトリブチルホスフィン、および0.2%BioLyte 3/10両性電解質(Bio−Rad)を含有する試料緩衝液中で細胞を溶解した。未精製細胞ホモジネートを超音波処理し、そして10,000xで10分間遠心分離した。pH範囲3〜10の固定pH勾配ストリップ(11cm)を、200μgの総タンパク質を含有する試料緩衝液中で、一晩、水和させた。Protean Cell(Bio−Rad)を用いた等電点電気泳動後、タンパク質を、200Vで1時間の8〜16%勾配SDS−PAGEによって、第二次元で分離した。すべてのゲルを3回泳動し、コロイド性クーマシーブルー(Pierce)で染色し、そしてVersadoc 3000画像系(Bio−Rad)でスキャンした。800GSスキャナ(Bio−Rad)でゲル画像を捕捉し、そしてゲル画像各々における総タンパク質密度により、PDQuestソフトウェア(Bio−Rad)を用いることによって分析した。ゲル上の総タンパク質に関して標準化した後、タンパク質スポットを定量化した。統計分析のため、3つ組の平均結果を計算し、そして生じた値を統計分析における独立のデータポイントとして用いた(スチューデントのt検定)。
【0128】
[000199]オハイオ州立大学Davis Heart and Lung Research Institute Proteomics Core LaboratoryでMSを行った。本発明者らは、すべての匹敵するゲルにおいて、少なくとも4倍一貫して減少するかまたは誘導されるスポット由来のタンパク質のみを同定するよう試みた。WinPREP Miltiprobe IIソフトウェア(PerkinElmer)に含まれるプロトコルにしたがって、自動化ゲル内タンパク質消化のため、タンパク質スポットをMassPrepステーション(PerkinElmer)にトランスファーした。簡潔には、ゲル片を脱染色し、そして次いでDTTで還元した。ヨードアセトアミドとインキュベーションした後、ゲルを洗浄し、そしてアセトニトリルで脱水した。50mmol/リットルの重炭酸アンモニウム中、6μg/mlのトリプシンを用いて、抽出タンパク質のゲル内消化を実行した。1%ギ酸/2%アセトニトリルの混合物を用いて、消化されたペプチドを抽出し、そしてステンレススチールMALDIプレート(Waters)上に適用した。生じたペプチドのMSをリフレクトロン・モードのMALDI−TOF分光計(Waters)上に記録した。National Center for Biotechnology Informationデータベース(www3.ncbi.nlm.nih.gov/)を検索することによって、ProFound(prowl.rockefeller.edu/profound_bin/WebProFound.exe?Form=l/)を用いて、生じたペプチドを対応するタンパク質とマッチングさせた。
【0129】
[000200]ルシフェラーゼレポーターアッセイ
[000201]ルシフェラーゼレポーター実験のため、237bpのIGSF4 3’UTRセグメントを、ヒトcDNAからPCRによって増幅し、そしてルシフェラーゼの停止コドンのすぐ下流のXbaI部位を用いて、SV40プロモーター(Promega)を含むpGL3−対照ベクター内に挿入した。以下のプライマーセットを用いて、特異的断片を生成した:
[000202]IGSF4−UTR Fw:5’−GCTCTAGAAAAAGGAGAACCAGCACAGC−3’[配列番号1]、および
[000203]IGSF4−UTR Rv:5’−GCTCTAGATGACACACCTCACTTGCAGA−3’[配列番号2]。
【0130】
[000204]下線のヌクレオチドは、エンドヌクレアーゼ制限部位に相当する。製造者のプロトコルにしたがって、0.4μgのホタル(firefly)ルシフェラーゼレポートベクター、および0.08μgのレニラ属(Renilla)ルシフェラーゼを含有する対照ベクターpRL−TKベクター(Promega)を用い、Lipofectamine 2000試薬(Invitrogen)を用いることによって、MEG−01細胞を12ウェルプレート中で同時トランスフェクションした。各ウェルに関して、1μg/ml(最終濃度)のpRS15/16またはpRS−Eベクターを用いた。トランスフェクション24時間後、二重ルシフェラーゼアッセイ(Promega)を用いることによって、ホタルおよびレニラ属ルシフェラーゼ活性を連続して測定した。3つ組で実験を行った。
【0131】
[000205]使用例およびその定義
[000206]本発明の実施は、別に示さない限り、当該技術分野の技術範囲内の薬理学、化学、生化学、組換えDNA技術および免疫学の慣用的方法を使用するであろう。こうした技術は、文献に完全に説明される。例えば、Handbook of Experimental Immunology, 第I〜IV巻(D.M. WeirおよびC.C. Blackwell監修, Blackwell Scientific Publications); A.L. Lehninger, Biochemistry(Worth Publishers, Inc., 現行版); Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual(第2版, 1989); Methods In Enzymology(S. ColowickおよびN. Kaplan監修, Academic Press, Inc.)を参照されたい。
【0132】
[000207]こうしたものとして、本明細書の定義は、さらなる説明のために提供され、そして限定と見なされないものとする。
[000208]冠詞「a」および「an」は、本明細書において、1つまたは1より多い(すなわち少なくとも1つの)その冠詞の文法的対象を指す。例えば、「要素(an element)」は、1つの要素または1より多い要素を意味する。
【0133】
[000209]「マーカー」および「バイオマーカー」は、遺伝子および/またはタンパク質および/またはその機能的変異体であって、正常のまたは健康な組織または細胞における発現レベルから改変された組織または細胞中の発現レベルが、障害および/または疾患状態と関連している、前記遺伝子および/またはタンパク質および/またはその機能的変異体である。
【0134】
[000210]マーカー発現の「正常」レベルは、障害および/または疾患状態に罹患していないヒト被験体または患者の細胞におけるマーカーの発現レベルである。
[000211]マーカーの「過剰発現」または「発現の有意により高いレベル」は、発現を評価するのに使用されるアッセイの標準誤差より大きい試験試料中の発現レベルを指し、そして特定の態様において、対照試料(例えばマーカーに関連する障害および/または疾患状態を持たない健康な被験体由来の試料)中のマーカーの発現レベル、そして特定の態様において、いくつかの対照試料中のマーカーの平均発現レベルの少なくとも2倍、そして他の態様において、3倍、4倍、5倍または10倍である。
【0135】
[000212]マーカーの「発現の有意により低いレベル」は、対照試料(例えばマーカーに関連する障害および/または疾患状態を持たない健康な被験体由来の試料)中のマーカーの発現レベル、そして特定の態様において、いくつかの対照試料中のマーカーの平均発現レベルの少なくとも2倍、そして特定の態様において、3倍、4倍、5倍または10倍低い試験試料中の発現レベルを指す。
【0136】
[000213]キットは、マーカーの発現を特異的に検出するための少なくとも1つの試薬、例えばプローブを含む、任意の製品(例えばパッケージまたは容器)である。キットを、本発明の方法を実行するための単位として、販売促進し、流通させ、または販売してもよい。
【0137】
[000214]「タンパク質」は、マーカータンパク質およびその断片;変異体マーカータンパク質およびその断片;マーカーまたは変異体マーカータンパク質の少なくとも15のアミノ酸セグメントを含むペプチドおよびポリペプチド;ならびにマーカーまたは変異体マーカータンパク質、あるいはマーカーまたは変異体マーカータンパク質の少なくとも15のアミノ酸セグメントを含む融合タンパク質を含む。
【0138】
[000215]本明細書記載の組成物、キットおよび方法は、以下の限定されない使用、とりわけ:
被験体が障害および/または疾患状態に罹患しているかどうかの評価;
被験体における障害および/または疾患状態の病期の評価;
被験体における障害および/または疾患状態の悪性度の評価;
被験体における障害および/または疾患状態の性質の評価;
被験体において障害および/または疾患状態を発展させる潜在的可能性の評価;
被験体における障害および/または疾患状態と関連する細胞の組織学的タイプの評価;
被験体における障害および/または疾患状態を治療するのに有用な、抗体、抗体断片、または抗体誘導体の作製;
被験体の細胞における障害および/または疾患状態の存在の評価;
被験体における障害および/または疾患状態を阻害するための1以上の試験化合物の有効性の評価;
被験体における障害および/または疾患状態を阻害するための療法の有効性の評価;
被験体における障害および/または疾患状態の進行の監視;
被験体における障害および/または疾患状態を阻害するための組成物または療法の選択;
障害および/または疾患状態に罹患した被験体の治療;
被験体における障害および/または疾患状態の阻害;
試験化合物の潜在的有害性の評価;ならびに
リスクがある被験体における障害および/または疾患状態の開始の予防
を有する。
【0139】
[000216]スクリーニング法
[000217]動物モデルを生成して、被験体における障害および/または疾患状態を治療するかまたは予防するのに有用な療法剤のスクリーニングを可能にしてもよい。したがって、方法は、被験体において、障害および/または疾患状態を治療するかまたは予防するための療法剤を同定するのに有用である。方法は、本明細書記載の方法によって作製された動物モデルに候補剤を投与し、そして候補剤を投与していない対照動物モデルに比較した際の、動物モデルにおける少なくとも1つの反応を評価する工程を含む。少なくとも1つの反応の症状が減少しているか、またはその開始が遅延している場合、候補剤は、疾患を治療するかまたは予防するための剤である。
【0140】
[000218]候補剤は、当該技術分野にすでに知られている薬理学的剤であってもよいし、またはいかなる薬理学的活性を有することも以前は知られていなかった剤であってもよい。剤は、天然に生じてもよいし、または実験室で設計されてもよい。剤を微生物、動物または植物から単離してもよいし、あるいは組換え的に産生してもよいし、あるいは任意の適切な化学的方法によって合成してもよい。剤は、小分子、核酸、タンパク質、ペプチドまたはペプチド模倣体であってもよい。特定の態様において、候補剤は、50ダルトンより大きく、そして約2,500ダルトン未満の分子量を有する、小有機化合物である。候補剤は、タンパク質との構造的相互作用に必要な官能基を含む。候補剤はまた、限定されるわけではないが:ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造的類似体またはその組み合わせを含む生体分子の中にも見出される。
【0141】
[000219]候補剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含む非常に多様な供給源から得られる。例えば、非常に多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび有向(directed)合成のために利用可能な多くの手段があり、これには、ランダム化オリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現が含まれる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形の天然化合物ライブラリーが入手可能であるか、または容易に産生される。さらに、天然のまたは合成的に産生されるライブラリーおよび化合物は、慣用的な化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾され、そしてこれを用いてコンビナトリアルライブラリーを産生することも可能である。特定の態様において、コンビナトリアルライブラリー法の技術分野における多くのアプローチのいずれを用いて候補剤を得てもよく、限定されない例として:生物学的ライブラリー;空間的にアドレス可能な平行固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;およびアフィニティクロマトグラフィ選択を用いる合成ライブラリー法が含まれる。
【0142】
[000220]特定のさらなる態様において、特定の薬理学的剤を、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)等の、有向またランダム化学修飾に供して、構造的類似体を産生してもよい。
【0143】
[000221]また、被験体における障害および/または疾患状態を治療するための療法剤を同定するのと同じ方法を用いて、in vitro研究から生じたリード化合物/剤を検証してもよい。
【0144】
[000222]候補剤は、被験体反応経路において、1以上の障害および/または疾患状態を上方制御するかまたは下方制御する剤であってもよい。特定の態様において、候補剤は、こうした経路に影響を及ぼすアンタゴニストであってもよい。
【0145】
[000223]障害および/または疾患状態を治療するための方法
[000224]本明細書において、障害および/または疾患状態反応を治療するか、阻害するか、軽減させるかまたは逆転させるための方法を提供する。本明細書記載の方法において、シグナル伝達カスケードに干渉する剤を、限定されるわけではないが、こうした合併症がまだ明らかでない被験体、および少なくとも1つのこうした反応をすでに有する被験体などの、必要がある個体に投与する。
【0146】
[000225]前者の場合、こうした治療は、こうした反応の発生を予防し、そして/またはそれらが起こる度合いを減少させるのに有用である。後者の場合、こうした治療は、こうした反応が起こる度合いを減少させるか、反応のさらなる発展を予防するか、または反応を逆転させるのに有用である。
【0147】
[000226]特定の態様において、反応カスケードに干渉する剤は、こうした反応に特異的な抗体であってもよい。
[000227]バイオマーカー(単数または複数)の発現
[000228]マーカーの発現を多くの方式で阻害してもよく、限定されるわけではないが、例えば、マーカー(単数または複数)の転写、翻訳、または両方を阻害するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドを疾患細胞に提供してもよい。あるいは、タンパク質の機能または活性を阻害するであろう細胞内抗体を生成するために、マーカータンパク質に特異的に結合し、そして適切なプロモーター/制御因子領域に機能可能であるように連結された、抗体、抗体誘導体、または抗体断片をコードするポリヌクレオチドを、細胞に提供してもよい。また、マーカータンパク質に特異的に結合する抗体、抗体誘導体または抗体断片で疾患細胞を治療することによって、マーカーの発現および/または機能を阻害してもよい。本明細書記載の方法を用いて、マーカーの発現を阻害するか、またはマーカータンパク質の機能を阻害する分子を同定するため、多様な分子、特に細胞膜を横断可能なほど十分に小さい分子を含む分子をスクリーニングしてもよい。被験体の疾患細胞を阻害するために、こうして同定された化合物を被験体に提供してもよい。
【0148】
[000229]任意のマーカーまたはマーカーの組み合わせ、ならびにマーカーと組み合わせた任意の特定のマーカーを、本明細書に記載する組成物、キットおよび方法で用いてもよい。一般的に、疾患細胞中のマーカーの発現レベルおよび正常結腸系細胞における同じマーカーの発現レベルの間の相違が可能な限り大きいマーカーを使用することが望ましい。この相違は、マーカーの発現を評価するための方法の検出限界と同程度に小さくてもよいが、少なくとも、評価法の標準誤差より大きいことが望ましく、そして特定の態様において、正常組織中の同じマーカーの発現レベルより、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、100、500、1000倍またはそれより大きい相違が望ましい。
【0149】
[000230]特定のマーカータンパク質は、細胞を取り巻く細胞外空間に分泌されることが認識されている。組織生検試料よりもヒト被験体からより容易に収集されうる体液試料中で、こうしたマーカータンパク質が検出可能であるという事実から、これらのマーカーを組成物、キットおよび方法の特定の態様で用いる。さらに、マーカータンパク質の検出のためのin vivo技術には、該タンパク質に対して向けられる標識抗体を被験体内に導入する工程が含まれる。例えば、被験体における存在および位置を標準的画像技術によって検出可能である放射性マーカーで、抗体を標識してもよい。
【0150】
[000231]任意の特定のマーカータンパク質が分泌タンパク質であるかどうかを決定するため、マーカータンパク質を、例えば、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞株で発現し、細胞外液を収集し、そして細胞外液中のタンパク質の存在または非存在を評価する(例えばタンパク質に特異的に結合する標識抗体を用いる)。
【0151】
[000232]こうした細胞を含有する被験体試料を本明細書記載の方法で用いてもよいことが認識されるであろう。これらの態様において、試料中のマーカーの量(例えば絶対量または濃度)を評価することによって、マーカーの発現レベルを評価してもよい。細胞試料は、もちろん、試料中のマーカー量を評価する前に、多様な収集後調製および保存技術(例えば核酸および/またはタンパク質抽出、固定、保存、凍結、限外ろ過、濃度、蒸発、遠心分離等)に供してもよい。
【0152】
[000233]マーカーが細胞から、例えば呼吸器系、消化器系、血流および/または間質空間内に脱落してもよいこともまた認識されるであろう。脱落したマーカーを、例えば、痰、BAL、血清、血漿、尿、糞便等を調べることによって、試験してもよい。
【0153】
[000234]組成物、キットおよび方法を用いて、発現される細胞表面上にディスプレイされる少なくとも1つの部分を有するマーカータンパク質の発現を検出してもよい。例えば、免疫学的方法を用いて、細胞全体の上のこうしたタンパク質を検出してもよいし、またはコンピュータに基づく配列分析法を用いて、少なくとも1つの細胞外ドメインの存在を予測してもよい(すなわち、分泌タンパク質および少なくとも1つの細胞表面ドメインを有するタンパク質の両方を含む)。必ずしも細胞を溶解することなく(例えばタンパク質の細胞表面ドメインと特異的に結合する標識抗体を用いて)、発現される細胞の表面上にディスプレイされる少なくとも1つの部分を有するマーカータンパク質の発現を検出することも可能である。
【0154】
[000235]転写された核酸またはタンパク質の発現を検出するための非常に多様な方法のいずれによって、マーカー発現を評価してもよい。こうした方法の限定されない例には、分泌、細胞表面、細胞質または核タンパク質の検出のための免疫学的方法、タンパク質精製法、タンパク質機能または活性アッセイ、核酸ハイブリダイゼーション法、核酸逆転写法および核酸増幅法が含まれる。
【0155】
[000236]特定の態様において、通常の翻訳後修飾のすべてまたは一部を経たマーカータンパク質を含むマーカータンパク質またはその断片と特異的に結合する、抗体(例えば放射標識、発色団標識、蛍光体標識または酵素標識抗体)、抗体誘導体(例えば基質と、あるいはタンパク質−リガンド対のタンパク質またはリガンドとコンジュゲート化された抗体)、または抗体断片(例えば一本鎖抗体、単離抗体超可変ドメインなど)を用いて、マーカーの発現を評価する。
【0156】
[000237]別の特定の態様において、被験体試料中の細胞からmRNA/cDNA(すなわち転写されたポリヌクレオチド)を調製することによって、そしてマーカー核酸の相補体またはその断片である参照ポリヌクレオチドとmRNA/cDNAをハイブリダイズさせることによって、マーカーの発現を評価する。場合によって、参照ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーション前に、多様なポリメラーゼ連鎖反応法のいずれかを用いて、cDNAを増幅させてもよく;好ましくは増幅されない。定量的PCRを用いて、1以上のマーカーの発現を同様に検出して、マーカー(単数または複数)の発現レベルを評価してもよい。あるいは、マーカーの突然変異または変異体(例えば一塩基多型、欠失等)を検出する多くの方法のいずれを用いて、被験体におけるマーカーの存在を検出してもよい。
【0157】
[000238]関連する態様において、試料から得られる転写ポリヌクレオチドの混合物を、マーカー核酸の少なくとも部分(例えば、少なくとも7、10、15、20、25、30、40、50、100、500、またはそれより多いヌクレオチド残基)と相補的なまたは相同なポリヌクレオチドが固定された支持体と接触させる。相補的なまたは相同なポリヌクレオチドが、支持体上で示差的に検出可能であれば(例えば、異なる発色団または蛍光体を用いて検出可能であるか、あるいは選択された異なる位置に固定されている)、単一の支持体(例えば選択された位置で固定されたポリヌクレオチドの「遺伝子チップ」マイクロアレイ)を用いて、複数のマーカーの発現レベルを同時に評価することも可能である。1つの核酸と別の核酸のハイブリダイゼーションを伴うマーカー発現を評価する方法を用いる場合、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションを行うことが望ましい。
【0158】
[000239]特定の態様において、質量分析または表面プラスモン共鳴を用いて、バイオマーカーアッセイを行ってもよい。多様な態様において、被験体における障害および/または疾患状態に対して活性である剤を同定する方法には:a)1以上のマーカーまたはその誘導体を含有する細胞の試料を提供する工程;b)こうした細胞から抽出物を調製する工程;c)抽出物を、マーカー結合部位を含有する標識核酸プローブと混合する工程;およびd)試験剤の存在下または非存在下で、マーカーおよび核酸プローブ間の複合体の形成を決定する工程の1以上が含まれてもよい。決定工程には、前記抽出物/核酸プローブ混合物を、電気泳動移動度シフトアッセイに供する工程が含まれてもよい。
【0159】
[000240]特定の態様において、決定工程は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光に基づくアッセイおよび超ハイスループットアッセイ、例えば表面プラスモン共鳴(SPR)または蛍光相関分光法(FCS)アッセイから選択されるアッセイを含む。こうした態様において、SPRは、金属誘電体表面でわずかな屈折率の変化に感受性であるため、SPRセンサーは、生体分子相互作用の直接リアルタイム観察に有用である。SPRは、およそ200nmのSPRセンサー/試料界面内で、10〜10−6の屈折率(RI)単位の変化に感受性である、表面技術である。したがって、SPR分光法は、センシング層に沈着する薄い有機フィルムの増殖を監視するのに有用である。
【0160】
[000241]組成物、キット、および方法は、1以上のマーカーの発現レベルの相違の検出に頼るため、マーカーの発現レベルが、正常細胞および結腸癌罹患細胞の少なくとも1つにおいて、発現を評価するのに用いる方法の最小検出限界より有意により大きいことが望ましい。
【0161】
[000242]1以上のマーカーを用いた、さらなる被験体試料のルーチンのスクリーニングによって、特定のマーカーが、被験体において、特定の障害および/または疾患状態を含む、多様なタイプの細胞において過剰発現されることが認識されるであろうことが理解される。
【0162】
[000243]さらに、より多くの被験体試料を、マーカーの発現に関して評価し、そして試料を得た個々の被験体の転帰を相関させるにつれて、特定のマーカーの改変された発現が、被験体における障害および/または疾患状態に強く相関し、そして他のマーカーの改変された発現が、他の疾患と強く相関することもまた確認されるであろう。したがって、組成物、キット、および方法は、被験体における障害および/または疾患状態の病期、悪性度、組織学的タイプ、および性質の1以上を特徴付けるのに有用である。
【0163】
[000244]被験体における障害および/または疾患状態の病期、悪性度、組織学的タイプ、および性質の1以上を特徴付けるために組成物、キットおよび方法を用いる場合、対応する病期、悪性度、組織学的タイプ、または性質の障害および/または疾患状態に罹患した被験体の少なくとも約20%で、そして特定の態様において、少なくとも約40%、60%、または80%で、そして実質的にすべてで、陽性結果が得られるように、マーカーまたは一団のマーカーを選択することが望ましい。約10%より大きい陽性の予測値が一般集団で得られるように、本発明のマーカーまたは一団のマーカーを選択してもよい(限定されない例において、80%を越えるアッセイ特異性と組み合わされる)。
【0164】
[000245]複数のマーカーを、組成物、キットおよび方法で用いる場合、被験体試料中の各マーカーの発現レベルを、単一反応混合物(すなわち各マーカーに関する異なる蛍光プローブなどの試薬を用いて)または1以上のマーカーに対応する個々の反応混合物中のいずれかで、同じ種類の非障害および/または非疾患試料中の複数のマーカー各々の発現の正常レベルと比較してもよい。1つの態様において、対応する正常レベルと比較した、試料中の複数のマーカーの1より多くの発現レベルが有意に増加していると、被験体が障害および/または疾患状態に罹患している指標となる。複数のマーカーを用いる場合、2、3、4、5、8、10、12、15、20、30、または50またはそれより多い個々のマーカーを用いてもよく;特定の態様において、より少ないマーカーの使用が望ましい可能性もある。
【0165】
[000246]組成物、キット、および方法の感受性を最大にするため(すなわち被験体細胞中の系起源の細胞に起因しうる干渉による)、そこで用いるマーカーが、限定された組織分布を有する、例えば非系組織で通常は発現されないことが望ましい。
【0166】
[000247]組成物、キットおよび方法が、被験体において障害および/または疾患状態を発展させるリスクが増進している被験体、およびその医学的アドバイザーに特に有用であろうことが認識される。障害および/または疾患を発展させるリスクが増進していると認識される被験体には、例えば、こうした障害または疾患の家族歴を有する被験体が含まれる。
【0167】
[000248]正常ヒト系組織におけるマーカー発現レベルを多様な方式で評価してもよい。1つの態様において、正常であるように見える系細胞部分におけるマーカーの発現レベルを評価し、そして異常であると推測される系細胞部分における発現レベルと、この正常発現レベルを比較することによって、この正常発現レベルを評価する。あるいは、そして特に、本明細書に記載する方法のルーチンの実行の結果として、さらなる情報が入手可能になるにつれて、マーカーの正常発現に関する集団平均値を用いてもよい。他の態様において、マーカーの「正常」発現レベルは、非罹患被験体から、被験体における障害および/または疾患状態の開始が推測される前の被験体から得た被験体試料から、保存された被験体試料から得た被験体試料などの中のマーカーの発現を評価することによって、決定してもよい。
【0168】
[000249]本明細書において、試料(例えば保存された組織試料または被験体から得た試料)中の障害および/または疾患状態細胞の存在を評価するための組成物、キット、および方法も提供する。これらの組成物、キット、および方法は、必要な場合、組成物、キット、および方法を、被験体試料以外の試料で使用するために適応させることを除いて、上述のものと実質的に同じである。例えば、用いようとする試料がパラフィン包埋された保存ヒト組織試料である場合、試料中のマーカー発現のレベルを評価するのに用いる組成物、キット、または方法において、組成物中の化合物の比を調整することが必要でありうる。
【0169】
[000250]キットおよび試薬
[000251]キットは、疾患細胞の存在を評価するのに有用である(例えば被験体試料などの試料中)。キットは、複数の試薬を含み、その各々がマーカー核酸またはタンパク質と特異的に結合可能である。マーカータンパク質に結合するのに適した試薬には、抗体、抗体誘導体、抗体断片等が含まれる。マーカー核酸(例えばゲノムDNA、MRNA、スプライシングMRNA、cDNA等)に結合するのに適した試薬には、相補核酸が含まれる。例えば、核酸試薬には、支持体に固定されたオリゴヌクレオチド(標識または非標識)、支持体に結合していない標識オリゴヌクレオチド、PCRプライマー対、分子ビーコンプローブ等が含まれてもよい。
【0170】
[000252]キットは、場合によって、本明細書記載の方法を実行するのに有用なさらなる構成要素を含んでもよい。例えば、キットは、相補核酸がアニーリングするのに、または抗体に特異的に結合するタンパク質と抗体が結合するのに適した液体(例えばSSC緩衝液)、1以上の試料区画、方法の実行を記載する取扱説明資料、正常結腸系細胞の試料、結腸癌関連疾患細胞の試料等を含んでもよい。
【0171】
[000253]抗体を産生する方法
[000254]本明細書において、被験体が障害および/または疾患状態に罹患しているかどうかを評価するのに有用な抗体を産生する単離ハイブリドーマを作製する方法もまた提供する。この方法において、マーカータンパク質の全体またはセグメントを含むタンパク質またはペプチドを合成するかまたは単離する(例えば発現される細胞からの精製によって、あるいはin vivoまたはin vitroでタンパク質またはペプチドをコードする核酸の転写または翻訳によって)。タンパク質またはペプチドを用いて、脊椎動物、例えば哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、またはヒツジを、免疫する。場合によって(そして好ましくは)、脊椎動物を、該タンパク質またはペプチドで少なくともさらに1回免疫して、こうして脊椎動物が該タンパク質またはペプチドに頑強な免疫反応を示すようにしてもよい。多様な方法のいずれかを用いて、免疫した脊椎動物から脾臓細胞を単離し、そして不死化細胞株と融合させてハイブリドーマを形成する。次いで、この方式で形成されたハイブリドーマを、標準法を用いてスクリーニングして、マーカータンパク質またはその断片に特異的に結合する抗体を産生する、1以上のハイブリドーマを同定する。この方法によって作製されるハイブリドーマおよびこうしたハイブリドーマを用いて作製される抗体もまた、本明細書に提供する。
【0172】
[000255]有効性を評価する方法
[000256]疾患細胞を阻害するための試験化合物の有効性を評価する方法もまた、本明細書に提供する。上述のように、マーカーの発現レベルの相違は、被験体細胞の異常な状態と相関する。特定のマーカーの発現レベルの変化は、おそらく、こうした細胞の異常な状態を生じるようであることが認識されるが、他のマーカーの発現レベルの変化が、これらの細胞の異常な状態を誘導し、維持し、そして促進することが同様に認識される。したがって、被験体において、障害および/または疾患状態を阻害する化合物は、1以上のマーカーの発現レベルを、そのマーカーの発現の正常レベル(すなわち正常細胞におけるマーカーの発現レベル)により近いレベルに変化させるであろう。
【0173】
[000257]本方法は、したがって、第一の細胞試料中にあり、そして試験化合物の存在下で維持されるマーカーの発現、および第二の結腸細胞試料中にあり、そして試験化合物の非存在下で維持されるマーカーの発現を比較する工程を含む。試験化合物の存在下で、マーカーの発現が有意に減少していると、試験化合物が関連疾患を阻害する指標となる。細胞試料は、例えば、被験体から得られる正常細胞の単一試料のアリコット、被験体から得られる正常細胞のプールした試料、正常細胞株の細胞、被験体から得られる関連疾患細胞の単一試料のアリコット、被験体から得られる関連疾患細胞のプールした試料、関連疾患細胞株の細胞等であってもよい。
【0174】
[000258]1つの態様において、試料は、被験体から得られる癌関連疾患細胞であり、そして被験体において癌関連疾患を最適に阻害するようである化合物を同定するために、多様な癌関連疾患を阻害するのに有効であると考えられる複数の化合物を試験する。
【0175】
[000259]本方法を同様に用いて、被験体における関連疾患を阻害するための療法の有効性を評価してもよい。本方法において、試料対(一方は療法に供し、他方は療法に供さない)中の1以上のマーカーの発現レベルを評価する。試験化合物の有効性を評価する方法と同様、療法がマーカー発現の有意により低いレベルを誘導する場合、療法は、癌関連疾患を阻害するのに有効である。上述のように、選択した被験体由来の試料を本方法で用いる場合、被験体において、癌関連疾患を阻害するのに有効である可能性が最も高い療法を選択するために、in vitroで代替療法を評価してもよい。
【0176】
[000260]本明細書に記載するように、ヒト細胞の異常な状態は、マーカーの発現レベルの変化に相関する。試験化合物の有害な潜在能力を評価するための方法もまた提供する。この方法は、試験化合物の存在下および非存在下で、ヒト細胞の別個のアリコットを維持する工程を含む。各アリコット中のマーカーの発現を比較する。試験化合物の存在下で維持されるアリコット中のマーカーの発現レベルが有意により高い場合(試験化合物の非存在下で維持されるアリコットに比較して)、試験化合物が有害な潜在能力を所持する指標となる。適切なマーカーの発現レベルの増進または阻害の度合いを比較することによって、発現レベルが増進しているかまたは阻害されているマーカーの数を比較することによって、または両方を比較することによって、多様な試験化合物の相対的な有害な潜在能力を評価してもよい。以下のサブセクション中に、さらに詳細に、多様な側面を記載する。
【0177】
[000261]単離タンパク質および抗体
[000262]1つの側面は、単離マーカータンパク質およびその生物学的活性部分、ならびにマーカータンパク質またはその断片に対して向けられる抗体を作製するための免疫原として使用するのに適したポリペプチド断片に関する。1つの態様において、標準的タンパク質精製技術を用いた、適切な精製スキームによって、細胞または組織供給源から、天然マーカータンパク質を単離してもよい。別の態様において、組換えDNA技術によって、マーカータンパク質の全体またはセグメントを含むタンパク質またはペプチドを産生する。組換え発現の代替法として、標準的ペプチド合成技術を用いて、こうしたタンパク質またはペプチドを化学的に合成してもよい。
【0178】
[000263]「単離」または「精製」タンパク質またはその生物学的活性部分は、タンパク質が由来する細胞または組織供給源由来の細胞成分または他の混入タンパク質を実質的に含まず、あるいは化学的に合成した場合、化学的前駆体または他の化学薬品を実質的に含まない。用語「細胞成分を実質的に含まない」には、タンパク質が単離されるかまたは組換え的に産生された細胞の細胞構成要素からタンパク質が分離されている、タンパク質調製物が含まれる。したがって、細胞成分を実質的に含まないタンパク質には、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量)の異種タンパク質(本明細書において、「混入タンパク質」とも称される)を有するタンパク質調製物が含まれる。
【0179】
[000264]タンパク質またはその生物学的活性部分を組換え的に産生する場合、該タンパク質は、好ましくは、培地を実質的に含まず、すなわち培地は、タンパク質調製物体積の約20%、10%、または5%未満に相当する。タンパク質を化学的合成によって産生する場合、タンパク質は、好ましくは、化学的前駆体または他の化学薬品を実質的に含まず、すなわち、化学的前駆体またはタンパク質合成に関与する他の化学薬品から分離されている。したがって、タンパク質のこうした調製物は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の目的のポリペプチド以外の化学的前駆体または化合物を有する。
【0180】
[000265]マーカータンパク質の生物学的活性部分には、マーカータンパク質のアミノ酸配列に十分に同一であるか、またはこうした配列に由来するアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれ、全長タンパク質より少ないアミノ酸を含み、そして対応する全長タンパク質の少なくとも1つの活性を示す。典型的には、生物学的活性部分は、対応する全長タンパク質の少なくとも1つの活性を持つドメインまたはモチーフを含む。マーカータンパク質の生物学的活性部分は、例えば、長さ10、25、50、100またはそれより多いアミノ酸であるポリペプチドであってもよい。さらに、組換え技術によって、マーカータンパク質の他の領域が欠失している他の生物学的活性部分を調製して、そしてマーカータンパク質の天然型の機能的活性の1以上に関して評価してもよい。特定の態様において、有用なタンパク質は、これらの配列の1つに実質的に同一(例えば少なくとも約40%、そして特定の態様において、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%)であり、そして対応する天然存在マーカータンパク質の機能的活性を保持しながらも、天然アレル変動または突然変異誘発のため、アミノ酸配列が異なる。
【0181】
[000266]さらに、マーカータンパク質セグメントのライブラリーを用いて、変異体マーカータンパク質またはそのセグメントのスクリーニングおよびそれに続く選択のため、ポリペプチドの変化に富んだ集団を生成してもよい。
【0182】
[000267]予測医学
[000268]本明細書において、診断アッセイ、予後アッセイ、薬理ゲノミクス、および監視臨床試験を、予後(予測)目的のために用いて、それによって個体を予防的に治療する、予測医学の分野における、動物モデルおよびマーカーの使用も提供する。したがって、本明細書において、個体が特定の障害および/または疾患を発展させるリスクがあるかどうかを決定するため、1以上のマーカータンパク質または核酸の発現レベルを決定するための診断アッセイも提供する。こうしたアッセイを、予後または予測目的のために用いて、それによって、障害および/または疾患の開始前に個体を予防的に治療してもよい。
【0183】
[000269]別の側面において、同じ個体を少なくとも定期的にスクリーニングして、個体がその発現パターンを変化させる化学薬品または毒素に曝露されたかどうかを見る方法が有用である。
【0184】
[000270]さらに別の側面は、障害および/または疾患を阻害するか、あるいは任意の他の障害を治療するかまたは防止するために(例えばこうした治療が有しうるいかなる系の影響も理解するために)投与した剤(例えば薬剤または他の化合物)が、臨床試験においてマーカーの発現または活性に対して及ぼす影響を監視することに関する。
【0185】
[000271]薬学的組成物
[000272]化合物は、適切な薬学的キャリアー中の、局所、局部または全身投与するための配合物中にあってもよい。E.W. Martin(Mark Publishing Company, 1975)によるRemington’s Pharmaceutical Sciences, 第15版は、典型的なキャリアーおよび調製法を開示する。細胞をターゲティングするための生物分解性または非生物分解性ポリマーまたはタンパク質またはリポソームで形成された、適切な生物適合微小カプセル、微小粒子または微小球体中に、化合物を被包してもよい。こうした系は、当業者に周知であり、そして適切な核酸とともに使用するために最適化してもよい。
【0186】
[000273]核酸送達のための多様な方法が、例えばSambrookら, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, ニューヨーク;およびAusubelら, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, ニューヨークに記載される。こうした核酸送達系は、例えば、そして限定ではなく、「裸の」核酸としての「裸の」型であるか、または送達に適したビヒクル中、例えば陽イオン性分子またはリポソーム形成脂質を含む複合体中で配合されるか、あるいはベクターの構成要素、または薬学的組成物の構成要素として、所望の核酸を含む。核酸送達系を細胞に、直接、例えば細胞と系を接触させることによって、または間接的に、例えば任意の生物学的プロセスの作用を通じて、提供してもよい。
【0187】
[000274]局所投与の配合物には、軟膏、ローション、クリーム、ジェル、ドロップ、座薬、スプレー、液体および粉末が含まれてもよい。慣用的な薬学的キャリアー、水性、粉末または油性基剤、あるいは増粘剤を望ましいように用いてもよい。
【0188】
[000275]例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋内、皮内、腹腔内、および皮下経路による、非経口投与に適した配合物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液と配合物を等張にする溶質を含有してもよい、水性および非水性の等調性無菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、および保存剤を含んでもよい、水性および非水性無菌懸濁物、溶液またはエマルジョンが含まれる。注射用配合物を単位投薬型で、例えば保存剤を添加したアンプル中または多用量容器中で、提示してもよい。当業者は、過剰な実験に頼ることなく、組成物を調製しそして配合するための多様なパラメーターを容易に決定可能である。化合物を単独で、または他の適切な構成要素と組み合わせて用いてもよい。
【0189】
[000276]一般的に、核酸を含む化合物を投与する方法は、当該技術分野に周知である。特に、現在使用されている配合物を伴う、核酸療法のためにすでに使用されている投与経路は、投与の好ましい経路を提供し、そして選択される核酸の配合物は、もちろん、特定の配合物、治療される被験体の状態の重症度、および療法的有効性に必要な投薬量に応じるであろう。本明細書に一般的に用いられるように、「有効量」は、化合物を投与されていないマッチした被験体に比較した際、配合物を投与された被験体において、障害の1以上の症状を治療するか、障害の1以上の症状の進行を逆転させるか、障害の1以上の症状の進行を停止するか、または障害の1以上の症状の発生を防止することが可能な量である。化合物の実際の有効量は、利用する特定の化合物またはその組み合わせ、配合される特定の組成物、投与様式、および個体の年齢、体重、状態、ならびに治療中の症状または状態の重症度によって多様でありうる。
【0190】
[000277]一般の当業者に知られる任意の許容されうる方法を用いて、被験体に配合物を投与してもよい。投与は、治療する状態に応じて、局在化していても(すなわち、特定の領域、生理学的系、組織、臓器、または細胞種に)、または全身性でもよい。
【0191】
[000278]薬理ゲノミクス
[000279]マーカーはまた、薬理ゲノミクスマーカーとしても有用である。本明細書において、「薬理ゲノミクスマーカー」は、その発現レベルが被験体において特定の臨床薬剤反応または感受性と相関する、客観的な生化学的マーカーである。薬理ゲノミクスマーカー発現の存在または量は、特定の薬剤または薬剤クラスでの療法に対する、被験体の予期される反応、そしてより詳細には、被験体の腫瘍の反応に関連する。被験体における1以上の薬理ゲノミクスマーカーの発現の存在または量を評価することによって、被験体に最も適しているか、またはより大きい度合いの成功を有すると予測される薬剤療法を選択可能である。
【0192】
[000280]臨床試験の監視
[000281]マーカーの発現レベルに対する剤(例えば薬剤化合物)の影響の監視は、基本的薬剤スクリーニングにおいてだけでなく、臨床試験においても適用可能である。例えば、剤がマーカー発現に影響を及ぼす有効性を、結腸癌関連疾患のための治療を受けている被験体の臨床試験において監視してもよい。
【0193】
[000282]1つの限定されない態様において、本発明は、以下の工程を含む、剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸、小分子、または他の薬剤候補)での被験体の治療の有効性を監視するための方法を提供する:
[000283]剤の投与前に、被験体から投与前試料を得て;
[000284]投与前試料における1以上の選択されるマーカーの発現レベルを検出し;
[000285]被験体から1以上の投与後試料を得て;
[000286]投与後試料におけるマーカー(単数または複数)の発現レベルを検出し;
[000287]単数または複数の投与後試料におけるマーカー(単数または複数)の発現レベルと、投与前試料におけるマーカー(単数または複数)の発現レベルを比較し;そして
[000288]被験体への剤の投与を適宜、改変する
工程。
【0194】
[000289]例えば、治療経過中のマーカー遺伝子(単数または複数)の発現が増加していれば、投薬量が無効であり、そして投薬量を増加させることが望ましいことが示されうる。逆に、マーカー遺伝子(単数または複数)の発現が減少していれば、治療が有効であり、そして投薬量を変化させる必要がないことが示されうる。
【0195】
[000290]電子装置読み取り可能媒体、系、アレイ、およびこれらを用いる方法
[000291]本明細書において、「電子装置読み取り可能媒体」は、電子装置によって直接読み取り、そしてアクセスすることも可能である、データまたは情報を記憶するか、保持するかまたは含有する、任意の適切な媒体を指す。こうした媒体には、限定されるわけではないが:磁気記憶媒体、例えばフロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、および磁気テープ;光学記憶媒体、例えばコンパクトディスク;電子記憶媒体、例えばRAM、ROM、EPROM、EEPROM等;ならびに一般的なハードディスクおよび磁気/光学記憶媒体などのこれらのカテゴリーのハイブリッドが含まれうる。本明細書に記載するようなマーカーを記録するように、媒体を適応させ、または構成してもよい。
【0196】
[000292]本明細書において、用語「電子装置」は、任意の適切な計算またはプロセシング装置、あるいはデータまたは情報を記憶するよう構成されるかまたは適応された他のデバイスを含むよう意図される。本発明で使用するのに適した電子装置の例には、独立型計算装置;ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)インターネット、イントラネット、およびエクストラネットを含むネットワーク;携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ポケットベル等などの電子アプライアンス;ならびに局所および分布したプロセシング系が含まれる。
【0197】
[000293]本明細書において、「記録」は、電子装置読み取り可能媒体上に情報を記憶させるかまたはコード化するためのプロセスを指す。当業者は、媒体上に情報を記録するための任意の方法を容易に採用して、本明細書に記載するマーカーを含む資料を生成することも可能である。
【0198】
[000294]多様なソフトウェアプログラムおよびフォーマットを用いて、本発明のマーカー情報を電子装置読み取り可能媒体上に記憶させてもよい。マーカーを記録した媒体を得るかまたは生成するために、任意の数のデータプロセッサ構造フォーマット(例えばテキストファイルまたはデータベース)を使用してもよい。マーカーを読み取り可能形式で提供することによって、多様な目的のため、ルーチンにマーカー配列情報にアクセス可能である。例えば、当業者は、読み取り可能形式にあるヌクレオチドまたはアミノ酸配列を用いて、ターゲット配列またはターゲット構造モチーフを、データ記憶手段内に記憶された配列情報と比較することも可能である。検索手段を用いて、特定のターゲット配列またはターゲットモチーフとマッチする配列の断片または領域を同定する。
【0199】
[000295]したがって、被験体が癌関連疾患または癌関連疾患の傾向を有するかどうかを決定するための方法であって、マーカーの存在または非存在を決定し、そしてマーカーの存在または非存在に基づいて、被験体が癌関連疾患または癌関連疾患の傾向を有するかどうかを決定し、そして/または癌関連疾患または前癌関連疾患状態のための特定の治療を推奨する工程を含む、前記方法を実行するための指示を保持するための媒体もまた提供する。
【0200】
[000296]本明細書において、電子系および/またはネットワークにおいて、被験体がマーカーと関連した癌関連疾患または癌関連疾患の傾向を有するかどうかを決定するための方法であって、マーカーの存在または非存在を決定し、そしてマーカーの存在または非存在に基づいて、被験体が特定の障害および/または疾患あるいはこうした障害および/または疾患の傾向を有するかどうかを決定し、そして/またはこうした疾患または障害および/またはこうした前癌関連疾患状態のための特定の治療を推奨する工程を含む、前記方法もまた提供する。方法はさらに、被験体に関連する表現型情報を受け取り、そして/またはネットワークから被験体に関連する表現型情報を獲得する工程を含んでもよい。
【0201】
[000297]本明細書にやはり提供するのは、ネットワークにおいて、被験体が、マーカーに関連する障害および/または疾患、あるいは障害および/または疾患の傾向を有するかどうかを決定するための方法であって、マーカーに関連する情報を受け取り、被験体に関連する表現型情報を受け取り、マーカーおよび/または障害および/または疾患に対応する情報をネットワークから獲得し、そして表現型情報、マーカー、および獲得した情報の1以上に基づいて、被験体が障害および/または疾患あるいはその傾向を有するかどうかを決定する工程を含む、前記方法である。該方法は、障害および/または疾患あるいはその傾向のために特定の治療を推奨する工程をさらに含んでもよい。
【0202】
[000298]被験体が障害および/または疾患あるいはその傾向を有するかどうかを決定するためのビジネス方法であって、マーカーと関連する情報を受け取り、被験体に関連する表現型情報を受け取り、マーカーおよび/または障害および/または疾患に対応する情報をネットワークから獲得し、そして表現型情報、マーカー、および獲得した情報の1以上に基づいて、被験体が障害および/または疾患あるいはその傾向を有するかどうかを決定する工程を含む、前記方法もまた本明細書に提供する。該方法は、そのために特定の治療を推奨する工程をさらに含んでもよい。
【0203】
[000299]アレイ中の1以上の遺伝子の発現をアッセイするのに使用可能なアレイもまた本明細書に提供する。1つの態様において、アレイを用いて、組織における遺伝子発現をアッセイして、アレイ中の遺伝子の組織特異性を解明してもよい。この方式で、最大約7000以上の遺伝子を、発現に関して同時にアッセイすることも可能である。これによって、1以上の組織中で特異的に発現される一連の遺伝子を示すプロファイルを発展させることが可能になる。
【0204】
[000300]こうした定性的決定に加えて、本明細書において、遺伝子発現の定量化を提供する。したがって、組織特異性だけでなく、組織中の一連の遺伝子の発現レベルが解明可能である。したがって、それ自体の組織発現およびその組織における発現レベルに基づいて、遺伝子をグループ分け可能である。これは、例えば、組織間または組織中の遺伝子発現の関連を解明する際に有用である。したがって、1つの組織を攪乱し、そして第二の組織中の遺伝子発現に対する影響を決定してもよい。これに関連して、生物学的刺激に反応した、別の細胞種に対する1つの細胞種の影響を決定可能である。
【0205】
[000301]こうした決定は例えば、遺伝子発現のレベルでの細胞−細胞相互作用の影響を知るのに有用である。1つの細胞種を治療するために剤を療法的に投与するが、別の細胞種に対して望ましくない影響がある場合、該方法は、望ましくない影響の分子的基礎を決定するアッセイを提供し、そしてしたがって、相殺する剤を同時投与するかまたは別の方式で望ましくない影響を治療する機会を提供する。同様に、単一細胞種内であっても、望ましくない生物学的影響を分子レベルで決定可能である。したがって、ターゲット遺伝子以外の発現に対する剤の影響を解明しそして相殺することも可能である。
【0206】
[000302]別の態様において、アレイを用いて、アレイ中の1以上の遺伝子の発現の時間経過を監視してもよい。これは、本明細書に開示するように、多様な生物学的背景、例えば障害および/または疾患の発展、その進行、ならびにプロセス、例えばそれに関連する細胞性トランスフォーメーションで起こりうる。
【0207】
[000303]アレイはまた、同じ細胞または異なる細胞において、遺伝子の発現または他の遺伝子の発現の影響を解明するためにも有用である。これは、例えば、最終的なまたは下流のターゲットが制御不能である場合、療法的介入のための代替分子ターゲットの選択を提供する。
【0208】
[000304]アレイはまた、正常細胞および異常な細胞における1以上の遺伝子の示差発現パターンを解明するのにも有用である。これは、診断または療法的介入のための分子ターゲットとして働きうる一連の遺伝子を提供する。
【0209】
[000305]代理マーカー
[000306]マーカーは、1以上の障害または疾患状態、あるいはそれにつながる状態のための代理マーカーとして働きうる。本明細書において、「代理マーカー」は、疾患または障害の非存在または存在と、あるいは疾患または障害の進行と相関する客観的生化学的マーカーである。こうしたマーカーの存在または量は、疾患とは独立である。したがって、これらのマーカーは、特定の治療経過が、疾患状態または障害を和らげるのに有効であるかどうかを示すように働きうる。代理マーカーは、疾患状態または障害の存在または度合いを、標準的な方法論を通じて評価するのが困難である場合、あるいは潜在的に危険な臨床的終点に達する前に、疾患進行を評価することが望ましい場合に、特に有用である。
【0210】
[000307]マーカーはまた、薬理ダイナミクスマーカーとしても有用である。本明細書において、「薬理ダイナミクスマーカー」は、薬剤効果と特異的に相関する客観的生化学的マーカーである。薬理ダイナミクスマーカーの存在または量は、薬剤が投与されている疾患状態または障害に関連せず;したがって、マーカーの存在または量は、被験体における薬剤の存在または活性の指標である。例えば、薬理ダイナミクスマーカーは、生物学的組織中の薬剤濃度の指標であってもよく、ここでマーカーは、薬剤レベルに関連して、その組織中で発現されるかまたは転写されるか、あるいは発現されないかまたは転写されないかいずれかである。この方式で、薬理ダイナミクスマーカーによって、薬剤の分布または取り込みを監視してもよい。同様に、薬理ダイナミクスマーカーの存在または量は、マーカーの存在または量が、in vivoでの薬剤の相対的分解速度の指標となるように、薬剤の代謝産物の存在または量に関連する可能性もある。
【0211】
[000308]薬理ダイナミクスマーカーは、薬剤効果の検出感度を増加させる際、特に、薬剤を低用量で投与する際に特に有用である。少量の薬剤であっても、多数周期のマーカー転写または発現を活性化するのに十分でありうるため、増幅されるマーカーは、薬剤自体よりもより容易に検出されうる量でありうる。また、マーカーは、マーカー自体の性質のため、より容易に検出されうる;例えば、本明細書記載の方法を用いて、タンパク質マーカーに関する免疫に基づく検出系で抗体を使用してもよいし、またはマーカー特異的放射標識プローブを用いて、mRNAマーカーを検出してもよい。さらに、薬理ダイナミクスマーカーの使用は、ありうる直接観察の範囲を超えて、薬剤治療によるリスクの、機構に基づく予測を提供しうる。
【0212】
[000309]試験のためのプロトコル
[000310]障害および/または疾患に関する試験法は、例えば、長期に渡って、被験体由来の生物学的試料中の各マーカー遺伝子の発現レベルを測定し、そしてそのレベルを、対照生物学的試料中のマーカー遺伝子のものと比較する工程を含んでもよい。
【0213】
[000311]マーカー遺伝子が、本明細書記載の遺伝子の1つであり、そして発現レベルが示差的に発現されている場合(例えば対照のものよりより高いかまたはより低い)、被験体は障害および/または疾患に罹患していると判断される。マーカー遺伝子の発現レベルが、許容されうる範囲内にある場合、被験体がこれに罹患している可能性は低い。
【0214】
[000312]発現レベルを比較するために、対照におけるマーカー遺伝子の発現レベルを測定することによって、対照に関する標準値をあらかじめ決定してもよい。例えば、対照中の上述のマーカー遺伝子の発現レベルに基づいて、標準値を決定してもよい。例えば、特定の態様において、許容されうる範囲は、標準値に基づいて、±2S.D.と解釈される。標準値を決定したら、被験体由来の生物学的試料中の発現レベルのみを測定し、そして対照に関して決定した標準値と値を比較することによって、試験法を実行してもよい。
【0215】
[000313]マーカー遺伝子の発現レベルには、mRNAへのマーカー遺伝子の転写、およびタンパク質への翻訳が含まれる。したがって、マーカー遺伝子に対応するmRNAの発現強度、またはマーカー遺伝子にコードされるタンパク質の発現レベルの比較に基づいて、障害および/または疾患に関して試験する1つの方法を行う。
【0216】
[000314]障害および/または疾患に関して試験する際のマーカー遺伝子の発現レベルの測定は、多様な遺伝子分析法にしたがって実行可能である。特に、例えば、これらの遺伝子にプローブとしてハイブリダイズする核酸を用いたハイブリダイゼーション技術、またはマーカー遺伝子にプライマーとしてハイブリダイズするDNAを用いた遺伝子増幅技術を使用してもよい。
【0217】
[000315]マーカー遺伝子のヌクレオチド配列に基づいて、試験に用いるプローブまたはプライマーを設計してもよい。それぞれのマーカー遺伝子のヌクレオチド配列に関する同定番号を本明細書に記載する。
【0218】
[000316]さらに、より高次の動物の遺伝子は、一般的に、高頻度で多型を伴うことが理解されるものとする。スプライシングプロセス中に、相互に異なるアミノ酸配列を含むアイソフォームを生じる多くの分子もまたある。マーカー遺伝子のものと類似の活性を有する、結腸癌関連疾患と関連する任意の遺伝子は、多型であるかまたはアイソフォームであるためにヌクレオチド配列相違を有する場合であってさえ、マーカー遺伝子中に含まれる。
【0219】
[000317]マーカー遺伝子には、ヒトに加えて他の種の相同体が含まれてもよいこともまた理解されるものとする。したがって、別に明記しない限り、表現「マーカー遺伝子」は、種にユニークなマーカー遺伝子の相同体、または個体に導入されている外来の(foreign)マーカー遺伝子を指す。
【0220】
[000318]また、「マーカー遺伝子の相同体」は、ストリンジェントな条件下で、プローブとしてのヒトマーカー遺伝子にハイブリダイズ可能な、ヒト以外の種に由来する遺伝子を指す。こうしたストリンジェントな条件は当業者に知られ、当業者は、実験的または経験的に、適切な条件を選択して、同等のストリンジェンシーを生じることも可能である。
【0221】
[000319]マーカー遺伝子のヌクレオチド配列、またはマーカー遺伝子のヌクレオチド配列の相補鎖に相補的なヌクレオチド配列を含み、そして少なくとも15ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを、プライマーまたはプローブとして用いてもよい。したがって、「相補鎖」は、他方の鎖に関して二本鎖DNAの一方の鎖を意味し、そしてA:T(RNAではU)およびG:C塩基対で構成される。
【0222】
[000320]さらに、「相補的」は、少なくとも15の連続ヌクレオチドの領域に完全に相補的なものだけでなく、特定の例では少なくとも40%、特定の例では50%、特定の例では60%、特定の例では70%、特定の例では80%、特定の例では90%、そして特定の例では95%またはそれより高い、ヌクレオチド配列相同性を有するものも意味する。ヌクレオチド配列間の相同性の度合いを、アルゴリズム、BLASTなどによって、決定してもよい。
【0223】
[000321]こうしたポリヌクレオチドは、マーカー遺伝子を検出するプローブとして、またはマーカー遺伝子を増幅するプライマーとして有用である。プライマーとして用いる場合、ポリヌクレオチドは、通常、15bp〜100bpであり、そして特定の態様において、ヌクレオチドの15bp〜35bpである。プローブとして用いる場合、DNAは、マーカー遺伝子の全ヌクレオチド配列(またはその相補鎖)、または少なくとも15bpヌクレオチドを有する部分的配列を含む。プライマーとして用いる場合、3’領域は、マーカー遺伝子に相補的でなければならず、一方、5’領域は、制限酵素認識配列またはタグに連結されていてもよい。
【0224】
[000322]「ポリヌクレオチド」は、DNAまたはRNAのいずれであってもよい。これらのポリヌクレオチドは、合成または天然存在のいずれであってもよい。また、ハイブリダイゼーションのためのプローブとして用いるDNAは、通常標識されている。当業者は、こうした標識法を容易に理解する。本明細書において、用語「オリゴヌクレオチド」は、比較的低い度合いの重合を伴うポリヌクレオチドを意味する。オリゴヌクレオチドはポリヌクレオチドに含まれる。
【0225】
[000323]例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロットハイブリダイゼーション、またはDNAマイクロアレイ技術を用いて、ハイブリダイゼーション技術を用いた障害および/または疾患に関する試験を行ってもよい。さらに、RT−PCR法などの遺伝子増幅技術を用いてもよい。RT−PCRにおける遺伝子増幅工程中に、PCR増幅監視法を用いることによって、マーカー遺伝子発現のより定量的な分析を達成することも可能である。
【0226】
[000324]PCR遺伝子増幅監視法において、検出ターゲット(DNA、またはRNAの逆転写物)を、蛍光色素、および蛍光を吸収する消光剤で標識されたプローブにハイブリダイズさせる。PCRが進行し、そしてTaqポリメラーゼが5’−3’エキソヌクレアーゼ活性でプローブを分解すると、蛍光色素および消光剤が互いに引き離され、そして蛍光が検出される。蛍光はリアルタイムで検出される。ターゲットのコピー数が知られている標準試料を同時に測定することによって、PCR増幅が線形であるサイクル数で、被験体試料中のターゲットのコピー数を決定することが可能である。また、当業者は、PCR増幅監視法が任意の適切な方法で実行可能であることを認識する。
【0227】
[000325]また、マーカー遺伝子によってコードされるタンパク質を検出することによって、結腸癌関連疾患に関して試験する方法を実行してもよい。以下、マーカー遺伝子にコードされるタンパク質を「マーカータンパク質」として記載する。こうした試験法に関して、各マーカータンパク質に結合する抗体を用いる、例えば、ウェスタンブロッティング法、免疫沈降法、およびELISA法を使用してもよい。
【0228】
[000326]マーカータンパク質に結合する、検出で用いる抗体は、任意の適切な技術によって産生可能である。また、マーカータンパク質を検出するため、こうした抗体を適切に標識してもよい。あるいは、抗体を標識する代わりに、抗体に特異的に結合する物質、例えばプロテインAまたはプロテインGを標識して、マーカータンパク質を間接的に検出してもよい。より具体的には、こうした検出法には、ELISA法が含まれてもよい。
【0229】
[000327]例えば、マーカー遺伝子またはその一部を発現ベクター内に挿入し、構築物を適切な宿主細胞内に導入して、形質転換体を産生し、形質転換体を培養して、組換えタンパク質を発現させ、そして発現された組換えタンパク質を、培養または培養上清から精製する工程によって、抗原として用いるタンパク質または部分的ペプチドを得てもよい。あるいは、遺伝子にコードされるアミノ酸配列、または全長cDNAにコードされるアミノ酸配列の一部を含むオリゴペプチドを化学的に合成して、免疫原として用いる。
【0230】
[000328]さらに、生物学的試料中のマーカー遺伝子の発現レベルだけでなく、マーカータンパク質の活性を、指標として用いて、結腸癌関連疾患に関する試験を行ってもよい。マーカータンパク質の活性は、タンパク質に生得的な生物学的活性を意味する。各タンパク質の活性を測定するため、多様な方法を用いてもよい。
【0231】
[000329]これらの疾患を示唆する症状があるにもかかわらず、ルーチンの試験では、被験体が障害および/または疾患に罹患しているとは診断されない場合であっても、本明細書記載の方法にしたがって試験を実行することによって、こうした被験体が障害および/または疾患に罹患しているかどうかを容易に決定可能である。
【0232】
[000330]より具体的には、特定の態様において、マーカー遺伝子が本明細書記載の遺伝子の1つである場合、症状が、障害および/または疾患に対する感受性を少なくとも示唆する被験体において、マーカー遺伝子の発現レベルの増加または減少は、症状がそれによって一次的に引き起こされている指標となる。
【0233】
[000331]さらに、障害および/または疾患が被験体において改善されているかどうかを決定する試験が有用である。言い換えると、本明細書に記載する方法を用いて、治療の療法的効果を判断することも可能である。さらに、マーカー遺伝子が本明細書記載の遺伝子の1つである場合、罹患していると診断されている被験体において、マーカー遺伝子の発現レベルの増加または減少は、疾患がより進行していることを暗示する。
【0234】
[000332]障害および/または疾患の重症度および/またはこれに対する感受性もまた、発現レベルの相違に基づいて決定可能である。例えば、マーカー遺伝子が本明細書記載の遺伝子の1つである場合、マーカー遺伝子の発現レベルの増加の度合いは、障害および/または疾患の存在および/または重症度と相関する。
【0235】
[000333]動物モデル
[000334]1以上のマーカー遺伝子またはマーカー遺伝子と機能的に同等な遺伝子の発現レベルが動物モデルにおいて上昇しているような、障害および/または疾患のための動物モデルもまた作製してもよい。「機能的に同等な遺伝子」は、本明細書において、一般的に、マーカー遺伝子にコードされるタンパク質の既知の活性と類似の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子である。機能的に同等な遺伝子の代表的な例には、動物に生得的な、被験体動物のマーカー遺伝子の対応物が含まれる。
【0236】
[000335]動物モデルは、障害および/または疾患による生理学的変化を検出するのに有用である。特定の態様において、動物モデルは、マーカー遺伝子のさらなる機能を明らかにし、そしてそのターゲットがマーカー遺伝子である薬剤を評価するのに有用である。
【0237】
[000336]対応物遺伝子の発現レベルを調節するかまたは対応物遺伝子を投与することによって、動物モデルを生成することも可能である。該方法には、本明細書記載の遺伝子群より選択される遺伝子の発現レベルを調節することによって、動物モデルを生成する工程が含まれてもよい。別の態様において、該方法には、本明細書記載の遺伝子によってコードされるタンパク質を投与するか、または該タンパク質に対する抗体を投与することによって、動物モデルを生成する工程が含まれてもよい。特定の他の態様において、マーカーが次いで、適切な方法を用いて測定可能であるように、マーカーを過剰発現させてもよいこともまた理解されるものとする。別の態様において、こうした遺伝子群から選択される遺伝子を導入することによって、またはこうした遺伝子によってコードされるタンパク質を投与することによって、動物モデルを生成してもよい。別の態様において、こうした遺伝子群から選択される遺伝子の発現またはこうした遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を抑制することによって、障害および/または疾患を誘導してもよい。アンチセンス核酸、リボザイム、またはRNAiを用いて、発現を抑制してもよい。活性を阻害する物質、例えば抗体を投与することによって、タンパク質活性を有効に調節することも可能である。
【0238】
[000337]動物モデルは、障害および/または疾患の根底にある機構を解明し、そしてまたスクリーニングによって得られた化合物の安全性を試験するのに有用である。例えば、動物モデルが、特定の障害および/または疾患の症状を発展させる場合、あるいは特定の障害および/または疾患に関与する測定値が動物において変化している場合、スクリーニング系を構築して、疾患を軽減させる活性を有する化合物を探索してもよい。
【0239】
[000338]本明細書において、表現「発現レベルの増加」は、以下のいずれか1つを指す:外来遺伝子として導入されたマーカー遺伝子が、人工的に発現される場合;被験体動物に生得的なマーカー遺伝子の転写、およびタンパク質へのその翻訳が増進している場合;または翻訳産物であるタンパク質の加水分解が抑制されている場合。
【0240】
[000339]本明細書において、表現「発現レベルの減少」は、被験体動物のマーカー遺伝子の転写、およびタンパク質へのその翻訳が阻害されている状態、または翻訳産物であるタンパク質の加水分解が増進している状態のいずれかを指す。例えばDNAチップ上のシグナル強度の相違によって、遺伝子の発現レベルを決定してもよい。さらに、正常状態のものと比較することによって、翻訳産物−−タンパク質−−の活性を決定してもよい。
【0241】
[000340]動物モデルには、例えばマーカー遺伝子が導入され、そして人工的に発現されている動物;マーカー遺伝子ノックアウト動物;および別の遺伝子がマーカー遺伝子を置換しているノックイン動物を含む、トランスジェニック動物が含まれてもよい。マーカー遺伝子のアンチセンス核酸、リボザイム、RNAi効果を有するポリヌクレオチド、またはデコイ核酸として機能するDNAなどが導入されているトランスジェニック動物を、トランスジェニック動物として用いてもよい。こうしたトランスジェニック動物にはまた、例えば、遺伝子のコード領域内に突然変異(単数または複数)を導入することによって、マーカータンパク質の活性が増進しているかまたは抑制されている動物、あるいは加水分解に耐性または感受性になるようにアミノ酸配列が修飾されている動物もまた含まれる。アミノ酸配列中の突然変異には、置換、欠失、挿入、および付加が含まれる。
【0242】
[000341]発現例
[000342]さらに、遺伝子の転写制御領域内に突然変異(単数または複数)を導入することによって、マーカー遺伝子の発現自体を調節してもよい。当業者は、こうしたアミノ酸置換を理解する。また、活性が維持される限り、突然変異されるアミノ酸の数は、特に制限されない。通常、これは50アミノ酸以内であり、特定の限定されない態様において、30アミノ酸以内、10アミノ酸以内、または3アミノ酸以内である。活性が維持される限り、突然変異の部位は、任意の部位であってもよい。
【0243】
[000343]さらに別の側面において、本明細書において、特定の障害および/または疾患を治療する療法剤のための候補化合物に関するスクリーニング法を提供する。1以上のマーカー遺伝子を本明細書記載の遺伝子群から選択する。マーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルを増加させるかまたは減少させることが可能な化合物を選択することによって、結腸癌関連疾患のための療法剤を得てもよい。
【0244】
[000344]表現「遺伝子の発現レベルを増加させる化合物」は、遺伝子転写、遺伝子翻訳、またはタンパク質活性の発現の工程のいずれか1つを促進する化合物を指す。一方、表現「遺伝子の発現レベルを減少させる化合物」は、本明細書において、これらの工程のいずれか1つを阻害する化合物を指す。
【0245】
[000345]特定の側面において、障害および/または疾患のための療法剤に関してスクリーニングする方法を、in vivoまたはin vitroのいずれで行ってもよい。このスクリーニング法は、例えば、以下の工程によって実行可能である:
[000346]動物被験体に候補化合物を投与する工程;
[000347]動物被験体由来の生物学的試料において、マーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルを測定する工程;あるいは
[000348]候補化合物が接触していない対照におけるものと比較した際、マーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルを増加させるかまたは減少させる化合物を選択する工程。
【0246】
[000349]さらに別の側面において、動物被験体を候補化合物と接触させ、そして動物被験体由来の生物学的試料中のマーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルに対する化合物の効果を監視することによって、マーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルに対する薬学的剤のための候補化合物の有効性を評価する方法を提供する。上述の試験法において使用するのと同じ技術を用いて、動物被験体由来の生物学的試料中のマーカー遺伝子(単数または複数)の発現レベルにおける変動を監視してもよい。さらに、評価に基づいて、スクリーニングによって、薬学的剤のための候補化合物を選択してもよい。
【0247】
[000350]本明細書に引用するすべての特許、特許出願および参考文献は、本明細書に完全に援用される。本発明は、本発明を作製し、そして使用する当業者のために十分に詳細に記載されそして例示されているが、本発明の精神および範囲から逸脱しない、多様な代替法、修飾および改善が、当業者には明らかであろう。当業者は、目的を実行するために、そして言及するものとともに本明細書に生得的な目標および利点を得るために、本発明がよく適応することを容易に認識する。
【0248】
[000351]特定の核酸塩基配列
[000352]本明細書記載の成熟miRNAおよびその対応するステム−ループ配列の核酸塩基配列は、http://microrna.sanger.ac.uk/に見られるmiRNA配列および注釈のオンライン検索可能データベースであるmiRBaseに見られる配列である。miRBase配列データベース中のエントリーは、成熟miRNA配列の位置および配列に関する情報を含む、miRNA転写物(ステム−ループ)の予測されるヘアピン部分に相当する。データベース中のmiRNAステム−ループ配列は、厳密には前駆体miRNA(プレmiRNA)ではなく、そしていくつかの場合、プレmiRNAおよび推測される一次転写物由来のいくつかの隣接配列を含んでもよい。本明細書記載のmiRNA核酸塩基配列は、任意のバージョンのmiRNAを含み、miRBase配列データベースのRelease 10.0に記載される配列およびmiRBase配列データベースの任意の以前のReleaseに記載される配列が含まれる。配列データベースリリースは特定のmiRNAの改名を生じうる。配列データベースリリースは、成熟miRNA配列の変動を生じうる。こうした修飾オリゴヌクレオチドを含んでもよい化合物は、本明細書記載のmiRNAの任意の核酸塩基配列型に相補的であってもよい。
【0249】
[000353]本明細書に示す任意の核酸塩基配列は、糖部分、ヌクレオシド間連結、または核酸塩基に対するいかなる修飾からも独立である。Uを含む核酸塩基配列はまた、「U」を有する1以上の位で、「U」が「T」に交換されている同じ核酸塩基配列も含むことがさらに理解される。逆に、Tを含む核酸塩基配列もまた、「T」を有する1以上の位で、「T」が「U」に交換されている同じ核酸塩基配列も含むことが理解される。
【0250】
[000354]特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、miRNAまたはその前駆体に相補的な核酸塩基配列を有し、すなわち、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれより多い核酸塩基の領域に渡って、miRNAまたはその前駆体の相補体に、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるか、あるいは2つの配列は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。したがって、特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、そのターゲットmiRNAまたはターゲットmiRNA前駆体配列に関して、1以上のミスマッチ塩基対を有することも可能であるし、そしてターゲット配列にハイブリダイズ可能である。特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、miRNAまたはその前駆体に100%相補的である核酸塩基配列を有する。特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基配列は、miRNAに全長相補的である。
【0251】
[000355]miRNA(miR)療法
[000356]いくつかの態様において、本発明は、被験体における1以上の遺伝子の発現を阻害するマイクロRNAを提供する。マイクロRNA発現プロファイルは、新規クラスの癌バイオマーカーとして働きうる。
【0252】
[000357]1以上のMiRを用いて遺伝子発現および/または活性を阻害する方法が本明細書に含まれる。いくつかの態様において、miR(単数または複数)は、タンパク質発現を阻害する。他の態様において、miRNA(単数または複数)は、遺伝子活性(例えば細胞侵襲活性)を阻害する。
【0253】
[000358]一般の当業者に周知の多様な技術によって、miRNAを、細胞または組織から単離するか、組換え的に産生するか、あるいはin vitroで合成してもよい。1つの態様において、miRNAを細胞または組織から単離する。細胞または組織からmiRNAを単離するための技術は、一般の当業者に周知である。例えば、Ambion, Inc.のmirVana miRNA単離キットを用いて、総RNAからmiRNAを単離してもよい。別の技術は、小核酸のPAGE精製のため、flashIPAGETM分画系(Ambion, Inc.)を利用する。
【0254】
[000359]miRNA療法剤の使用のため、一般の当業者は、in vivoで投与される核酸が細胞および組織に取り込まれ、そして分配されることを理解する。
[000360]剤および/または核酸送達系の組織特異的な取り込みを可能にするのに適した方式で、核酸を送達してもよい。本明細書記載の配合物は、限定されるわけではないが、抗体投与、ワクチン投与、細胞傷害剤、天然アミノ酸ポリペプチド、核酸、ヌクレオチド類似体、および生物学的反応修飾剤の投与を含む、任意の既知の慣用的療法によって、治療条件を補うことも可能である。2以上の組み合わせた化合物を一緒にまたは連続して用いてもよい。
【0255】
[000361]本発明の特定の態様は、(a)1以上の核酸または小分子化合物および(b)1以上の他の化学療法剤を含有する薬学的組成物を提供する。
[000362]さらなる有用な定義
[000363]「被験体」は、治療または療法のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。「有すると推測される被験体」は、障害、疾患または状態の1以上の臨床的指標を示す被験体を意味する。
【0256】
[000364]「予防すること」または「予防」は、週、月、または年を含む期間で、状態または疾患の開始、発展または進行を、遅延させるかまたは未然に防ぐことを指す。「治療」または「治療する」は、障害および/または疾患の治癒または軽減のために用いる1以上の特異的方法の適用を意味する。特定の態様において、特定の方法は、1以上の薬学的剤の投与である。
【0257】
[000365]「軽減」は、状態または疾患の少なくとも1つの指標の重症度の減少を意味する。特定の態様において、軽減には、状態または疾患の1以上の指標の進行の遅延または遅滞が含まれる。当業者に知られる主観的または客観的測定値によって、指標の重症度を決定してもよい。
【0258】
[000366]「必要な被験体」は、療法または治療を必要とすると同定される被験体を意味する。
[000367]「投与すること」は、被験体に薬学的剤または組成物を提供することを意味し、そして限定されるわけではないが、医学的専門家による投与および自己投与が含まれる。
【0259】
[000368]「非経口投与」は、注射または注入を通じた投与を意味する。非経口投与には、限定されるわけではないが、皮下投与、静脈内投与、筋内投与、動脈内投与、および頭蓋内投与が含まれる。「皮下投与」は、皮膚のすぐ下への投与を意味する。
【0260】
[000369]「機能を改善する」は、正常なパラメーターに向けて機能を変化させることを意味する。特定の態様において、被験体の体液中に見られる分子を測定することによって、機能を評価する。「薬学的組成物」は、個体に投与するのに適した、薬学的剤を含む物質混合物を意味する。例えば、薬学的組成物は、修飾オリゴヌクレオチドおよび無菌水性溶液を含んでもよい。
【0261】
[000370]「ターゲット核酸」、「ターゲットRNA」、「ターゲットRNA転写物」および「核酸ターゲット」はすべて、アンチセンス化合物によってターゲティングされることが可能な核酸を意味する。「ターゲティング」は、ターゲット核酸にハイブリダイズして、そして所望の効果を誘導するであろう核酸塩基配列の設計および選択のプロセスを意味する。「ターゲティングされる」は、ターゲット核酸へのハイブリダイゼーションを可能にして、所望の効果を誘導する核酸塩基配列を有することを意味する。特定の態様において、所望の効果は、ターゲット核酸の減少である。
【0262】
[000371]「調節」は、機能または活性の攪乱を意味する。特定の態様において、調節は、遺伝子発現の増加を意味する。特定の態様において、調節は、遺伝子発現の減少を意味する。
【0263】
[000372]「発現」は、遺伝子のコードされる情報が、細胞に存在し、そして機能する構造に変換される、任意の機能および工程を意味する。
[000373]「領域」は、核酸内の連結されたヌクレオシドの部分を意味する。特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、ターゲット核酸の領域に相補的な核酸塩基配列を有する。例えば、特定のこうした態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、miRNAステム−ループ配列の領域に相補的である。特定のこうした態様において、修飾オリゴヌクレオチドは、miRNA配列の領域に100%同一である。
【0264】
[000374]「セグメント」は、領域のより小さいまたは下位部分を意味する。
[000375]「核酸塩基配列」は、任意の糖、連結、および/または核酸塩基修飾とは独立に、5’から3’方向の連続した核酸塩基の順序を意味する。
【0265】
[000376]「連続する核酸塩基」は、核酸において、互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
[000377]「核酸塩基相補性」は、2つの核酸塩基が、水素結合によって非共有的に対形成する能力を意味する。「相補的」は、第一の核酸塩基配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれより多い核酸塩基の領域に渡って、第二の核酸塩基配列の相補体に、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%同一であるか、または100%同一であるか、あるいは2つの配列がストリンジェントな条件下でハイブリダイズすることを意味する。特定の態様において、miRNAまたはその前駆体に100%相補的である核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドは、修飾オリゴヌクレオチドの全長に渡って、miRNAまたはその前駆体に100%相補的でなくてもよい。
【0266】
[000378]「相補性」は、第一の核酸および第二の核酸の間の核酸塩基対形成能を意味する。「全長相補性」は、第一の核酸の各核酸塩基が第二の核酸中の対応する位で各核酸塩基と対形成が可能であることを意味する。例えば、特定の態様において、各核酸塩基がmiRNA中の核酸塩基に相補性を有する修飾オリゴヌクレオチドは、miRNAに全長相補性を有する。
【0267】
[000379]「相補パーセント」は、核酸の長さで割った核酸中の相補核酸塩基の数を意味する。特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドの相補性パーセントは、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基数で割った、ターゲット核酸に相補的である核酸塩基の数を意味する。特定の態様において、修飾オリゴヌクレオチドの相補性パーセントは、修飾オリゴヌクレオチドの核酸塩基数で割った、miRNAに相補的な核酸塩基数を意味する。
【0268】
[000380]「結合領域パーセント」は、オリゴヌクレオチド領域に相補的な領域のパーセントを意味する。結合する領域パーセントは、ターゲット領域の長さで、オリゴヌクレオチドに相補的なターゲット領域の核酸塩基数を割ることによって計算される。特定の態様において、結合領域パーセントは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%である。
【0269】
[000381]「同一性パーセント」は、第二の核酸中の対応する位の核酸塩基に同一である、第一の核酸中の核酸塩基数を、第一の核酸中の核酸塩基総数で割った値を意味する。
[000382]本明細書において、「実質的に同一である」は、第一および第二の核酸塩基配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100またはそれより多い核酸塩基の領域に渡って、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%または99%同一であるか、あるいは100%同一であることを意味する。
【0270】
[000383]「ハイブリダイズする」は、核酸塩基相補性を通じて生じる、相補核酸のアニーリングを意味する。
[000384]「ミスマッチ」は、第二の核酸の対応する位の核酸塩基との対形成が不可能である、第一の核酸の核酸塩基を意味する。
【0271】
[000385]「非相補核酸塩基」は、水素結合を通じて対形成することが不可能である、2つの核酸塩基を意味する。
[000386]「同一」は、同じ核酸塩基配列を有することを意味する。
【0272】
[000387]「miRNA」または「miR」は、コーディングRNAにハイブリダイズし、そしてその発現を制御する、長さ18〜25核酸塩基の間のノンコーディングRNAを意味する。特定の態様において、miRNAは、酵素ダイサーによるプレmiRNAの切断産物である。miRNAの例は、miRBase(http://microrna.sanger.ac.uk)として知られるmiRNAデータベース中で見られる。
【0273】
[000388]「プレmiRNA」または「プレmiR」は、miRNAを含有するヘアピン構造を有するノンコーディングRNAを意味する。特定の態様において、プレmiRNAは、ドローシャとして知られる二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼによる、プリmiRの切断産物である。
【0274】
[000389]「ステム−ループ配列」は、ヘアピン構造を有し、そして成熟miRNA配列を含有するRNAを意味する。プレmiRNA配列およびステム−ループ配列は、重複していてもよい。ステム−ループ配列の例は、miRBase(microrna.sanger.ac.uk)として知られるmiRNAデータベース中で見られる。
【0275】
[000390]「miRNA前駆体」は、ゲノムDNAから生じ、そして1以上のmiRNA配列を含むノンコーディング構造化RNAを含む、転写物を意味する。例えば、特定の態様において、miRNA前駆体はプレmiRNAである。特定の態様において、miRNA前駆体はプリmiRNAである。
【0276】
[000391]「アンチセンス化合物」は、ターゲット核酸へのハイブリダイゼーションを可能にするであろう核酸塩基配列を有する化合物を意味する。特定の態様において、アンチセンス化合物は、ターゲット核酸に相補的な核酸塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。
【0277】
[000392]「オリゴヌクレオチド」は、連結されたヌクレオシドのポリマーであって、各々が、互いに独立に、修飾されていてもまたは修飾されていなくてもよい。「天然存在ヌクレオシド間連結」は、ヌクレオシド間の3’から5’のホスホジエステル連結を意味する。「天然核酸塩基」は、天然存在型に比較して修飾されていない核酸塩基を意味する。「miRアンタゴニスト」は、miRNAの活性に干渉するかまたはこれを阻害するよう設計された剤を意味する。特定の態様において、miRアンタゴニストは、miRNAをターゲットとするアンチセンス化合物を含む。特定の態様において、miRアンタゴニストは、miRNAの核酸塩基配列またはその前駆体に相補的な核酸塩基配列を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。特定の態様において、miRアンタゴニストは、miRNAの活性に干渉するかまたはこれを阻害する小分子等を含む。
【0278】
[000393]本明細書記載の方法および試薬は、好ましい態様の代表であり、例示であり、そして本発明の範囲に対する限定としては意図されない。これらの修飾および他の使用が当業者には思い浮かぶであろう。これらの修飾は、本発明の精神内に含まれ、そして請求項の範囲によって定義される。また、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本明細書に開示する本発明に、多様な置換および修飾を行ってもよいことが、当業者には容易に明らかであろう。
【0279】
[000394]本発明は、好ましい態様および場合による特徴によって具体的に開示されてきているが、当業者が本明細書に開示する概念の修飾および変動に頼ることも可能であり、そしてこうした修飾および変動は、付随する請求項によって定義されるような本発明の範囲内であると見なされることが理解されるものとする。
【0280】
[000395]本発明は、多様なそして好ましい態様に言及して記載されてきているが、本発明の本質的な範囲を逸脱することなく、多様な変化を行ってもよく、そしてその要素を同等物で置換してもよいことが、当業者には理解されなければならない。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の解説に対して、特定の状況または物質を適応させるよう、多くの修飾を行ってもよい。
【0281】
[000396]参考文献
[000397]本発明を明らかにするかまたは本発明の実施に関するさらなる詳細を提供する、本明細書で用いる刊行物および他の資料は、本明細書に援用され、そして便宜上、以下の文献目録中に提供される。
【0282】
[000398]本明細書に列挙するいかなる文書の引用も、前述のいずれもが適切な先行技術であることの承認であるとは意図されない。日付に関するすべての言及、またはこれらの文書の内容に関する表明は、出願者が入手可能な情報に基づき、そしてこれらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成しない。
【0283】
【化1−1】

【0284】
【化1−2】

【0285】
【化1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのサイレンシングが、慢性リンパ球性白血病(CLL)において、miR−15a/16−1が誘導する表現型を特徴付ける、遺伝子シグネチャー。
【請求項2】
1以上の白血病細胞モデルおよび原発性慢性リンパ球性白血病(CLL)において、遺伝子を調節解除するための、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRの使用。
【請求項3】
請求項1のシグネチャーを用いて、CLLのための療法的アプローチを開発するための方法。
【請求項4】
慢性リンパ球性白血病(CLL)における腫瘍抑制因子としてのmiR−15aおよびmiR−16−1クラスターの使用。
【請求項5】
白血病細胞の腫瘍移植の増殖を阻害するための方法であって、こうした細胞を、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRに曝露する工程を含み、腫瘍抑制因子機能がこうした細胞に対して発揮される、前記方法。
【請求項6】
抗白血病効果が発揮される必要がある被験体において、抗白血病効果を発揮するための方法であって、被験体に、miR−15a/16−1クラスター中のmiRまたはその機能的変異体の1以上を投与することによって、IGSF4を直接サイレンシングする工程を含む、前記方法。
【請求項7】
図15−表11に列挙する遺伝子の1以上を含む、CLLおよびmiR−15a/16−1でトランスフェクションされたMEG−01間で共通の遺伝子のシグネチャー。
【請求項8】
CLLの治療におけるmiR−15a/16−1クラスター中のmiRおよびmiR−29の1以上の使用。
【請求項9】
B−CLL細胞の生存に対するmiR−15a/16−1クラスターの影響が増加しているMCL1およびc−JUN転写物両方をターゲティングすることを含む、CLLの治療におけるmiR−15a/16−1クラスター中のmiRおよびmiR−29の1以上の使用。
【請求項10】
PDCD4、RAB21、IGSF4、SCAP2および/またはプロテオミクスによって同定されたタンパク質(Bcl2、Wt1)の1以上の発現を減少させるための方法であって、その必要がある細胞を、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRでトランスフェクションする工程を含む、前記方法。
【請求項11】
IGSF4を直接ターゲティングするためのmiR−15a/16−1クラスターの使用。
【請求項12】
IGSF4を発現している細胞を、miR−15a/16−1クラスター中の1以上のmiRまたはその機能的変異体と、細胞におけるIGSF5の発現が阻害されるような条件下で接触させる工程を含む、細胞増殖を阻害する方法。
【請求項13】
細胞が癌細胞である、先行する請求項の方法。
【請求項14】
細胞が慢性リンパ球性白血病細胞である、先行する請求項の方法。
【請求項15】
細胞が生物中にある、先行する請求項の方法。
【請求項16】
生物が動物である、先行する請求項の方法。
【請求項17】
生物が癌と診断されている、先行する請求項の方法。
【請求項18】
1以上の同定されるタンパク質の翻訳を阻害することが知られる、選択されるmiRNAの形成を阻害する方法であって、その必要がある被験体に、miR−15a/16−1クラスターから選択される1以上のmiRを投与する工程を含む、前記方法。
【請求項19】
図7−表3に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項20】
図8−表4に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項21】
図11−表7に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項22】
図12−表8に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項23】
図13−表9に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項24】
図14−表10に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項25】
図15−表11に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項26】
図16−表12に列挙する、miR 15a/16−1が下方制御する遺伝子の1以上を含む、CLLシグネチャー。
【請求項27】
被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるであろうかどうかの診断を決定するための方法であって、被験体由来の試料を調べ、そしてmiR15a/16−1クラスターより選択されるmiRの発現の正の相関があるかどうかを決定する工程を含む、前記方法。
【請求項28】
慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは発展させうる被験体の診断、治療、または予後の決定の1以上において、先行する請求項いずれかのシグネチャーを用いる方法。
【請求項29】
慢性リンパ球性白血病(CLL)に罹患した患者の転帰を予測するための方法であって:正常細胞に比較したmiRNA発現の特徴的なシグネチャーを決定する工程を含み、該シグネチャーが、先行する請求項いずれかのmiRNAシグネチャーの1以上を含む、前記方法。
【請求項30】
i)被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるリスクがあるかどうかを診断し、ii)こうした被験体の予後を決定し、そして/またはiii)こうした被験体を治療する方法であって:被験体由来の試験試料において、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、ここでバイオマーカーは、先行する請求項のCLLシグネチャーの1以上から選択され、そして対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルに比較して、試験試料中のバイオマーカーのレベルが改変されていると、被験体がCLLを有するかまたはCLLを発展させるリスクを有するかいずれかの指標となる、前記方法。
【請求項31】
試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが、対照試料中の対応するバイオマーカーのレベル未満である、請求項30の方法。
【請求項32】
試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが、対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルよりも高い、請求項30の方法。
【請求項33】
慢性リンパ球性白血病(CLL)におけるターゲットmRNAの転写物量および/またはタンパク質発現に影響を及ぼすための方法であって、その必要がある被験体において、1以上のマイクロRNAを調節解除する工程を含む、前記方法。
【請求項34】
癌関連遺伝子のタンパク質発現を阻害する工程を含む、請求項33の方法。
【請求項35】
ヒト慢性リンパ球性白血病(CLL)で生じるマイクロRNA機能の改変を同定するための、マイクロRNAおよびタンパク質をコードするRNAの両方の大規模遺伝子発現プロファイリングの使用。
【請求項36】
慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する被験体の予後を決定する方法であって、被験体由来の試験試料において、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み:
該バイオマーカーがこうした癌における予後不良と関連しており;そして
対照試料中の対応するバイオマーカーのレベルに比較して、試験試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが改変されていると、予後不良の指標となる
前記方法。
【請求項37】
被験体が慢性リンパ球性白血病(CLL)を有するかまたは該疾患を発展させるリスクがあるかどうかを診断することを含む、CLLを有する被験体の予後を決定する方法であって:
被験体から得た試験試料から、RNAを逆転写して、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドセットを提供し;
miRNA特異的プローブオリゴヌクレオチドを含むマイクロアレイに、ターゲットオリゴデオキシヌクレオチドをハイブリダイズさせて、試験試料に関するハイブリダイゼーションプロファイルを提供し;そして
対照試料から生成したハイブリダイゼーションプロファイルと、試験試料ハイブリダイゼーションプロファイルを比較する
工程を含み、
少なくとも1つのmiRNAのシグナルの改変が、被験体がAMLなどを有するかまたは発展させるリスクがあるかいずれかである指標となる
前記方法。
【請求項38】
対照試料から生じたシグナルに比較して、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが下方制御されており、そして/または対照試料から生じたシグナルに比較して、少なくとも1つのmiRNAのシグナルが上方制御されている、請求項31の方法。
【請求項39】
miR15a/16−1クラスターのmiRより選択される少なくとも1つのバイオマーカーのシグナルにおける改変が、被験体が予後不良を伴うCLL癌を有するかまたは発展させるリスクがあるかいずれかである指標となる、請求項38の方法。
【請求項40】
白血球細胞においてタンパク質発現を制御するための方法であって、白血病細胞において、miR15a/16−1クラスターのmiRの1以上の発現を調節する工程を含む、前記方法。
【請求項41】
白血病細胞において1以上のタンパク質レベルの発現を調節するための組成物であって、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上を含む、前記組成物。
【請求項42】
白血病細胞においてタンパク質レベルを増加させる必要がある被験体において、白血病細胞においてタンパク質レベルを増加させるのに有用な、miR15a/16−1クラスターの1以上のアンチセンスmiRを含む、組成物。
【請求項43】
少なくとも1つのバイオマーカーが、対照細胞に比較して被験体の癌細胞において下方制御されているかまたは上方制御されている、白血病を有する被験体において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療する方法であって:
少なくとも1つのバイオマーカーが癌細胞において下方制御されている場合、被験体において癌細胞の増殖が阻害されるように、被験体に、少なくとも1つの単離されたバイオマーカー、または単離されたその変異体もしくは生物学的活性断片の有効量を投与するか;
あるいは、少なくとも1つのバイオマーカーが癌細胞において上方制御されている場合、被験体において癌細胞の増殖が阻害されるように、被験体に、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を投与する
工程を含む、前記方法。
【請求項44】
被験体において白血病を治療する方法であって:対照細胞に比較して、白血病細胞における少なくとも1つのバイオマーカーの量を決定し;ここで、バイオマーカーは、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そして:
癌細胞で発現されるバイオマーカーの量が、対照細胞で発現されるバイオマーカーの量より少ない場合、被験体に、少なくとも1つの単離されたバイオマーカーの有効量を投与するか;あるいは
癌細胞で発現されるバイオマーカーの量が、対照細胞で発現されるバイオマーカーの量より多い場合、被験体に、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を阻害するための少なくとも1つの化合物の有効量を投与する
ことによって、白血病細胞で発現されるバイオマーカーの量を改変する工程を含む、前記方法。
【請求項45】
miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される少なくとも1つの単離されたバイオマーカー、および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、白血病を治療するための薬学的組成物。
【請求項46】
少なくとも1つのmiR発現阻害剤化合物および薬学的に許容されうるキャリアーを含む、先行する請求項の薬学的組成物。
【請求項47】
抗白血病剤を同定する方法であって、細胞に試験剤を提供し、そして白血病細胞における発現レベル減少と関連する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そして
対照細胞に比較して、細胞におけるバイオマーカーのレベルが増加していると、試験剤が抗白血病剤である指標となる
前記方法。
【請求項48】
抗白血病剤を同定する方法であって、試験剤を細胞に提供し、そして白血病細胞における発現レベル増加と関連する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定する工程を含み、対照細胞に比較して、細胞におけるバイオマーカーのレベルが減少していると、試験剤が抗癌剤である指標となり、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記方法。
【請求項49】
慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患を予防し、診断し、そして/または治療するための療法の有効性を評価する方法であって:
有効性を評価しようとする療法を、動物に供し、そして
少なくとも1つのバイオマーカーを評価することによって、疾患を治療するかまたは予防する際、試験中の治療の有効性のレベルを決定する工程を含み、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記方法。
【請求項50】
候補療法剤が:薬学的組成物、栄養補助食品組成物、およびホメオパシー組成物の1以上を含む、先行する請求項の方法。
【請求項51】
評価している療法が、ヒト被験体で使用するためのものである、先行する請求項の方法。
【請求項52】
少なくとも1つのバイオマーカーを含む白血病関連疾患のマーカーに結合する少なくとも1つの捕捉試薬を含む製品であって、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記製品。
【請求項53】
白血病関連疾患を治療するための療法剤のための候補化合物に関してスクリーニングするためのキットであって:少なくとも1つのバイオマーカーの試薬の1以上、および少なくとも1つのバイオマーカーを発現する細胞を含み、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記キット。
【請求項54】
少なくとも1つのバイオマーカーと特異的に結合する抗体または抗体断片を含む試薬を用いて、バイオマーカーの存在を検出する、先行する請求項のキット。
【請求項55】
個体における合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限するための薬剤を製造するための、慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患反応シグナル伝達経路に干渉する剤の使用であって、
剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記使用。
【請求項56】
白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限する必要がある個体において、白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限する方法であって:
少なくとも白血病関連疾患反応カスケードに干渉する剤を、個体に投与する工程を含み、剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記方法。
【請求項57】
個体において、白血病関連合併症を治療するか、予防するか、逆転させるか、またはその重症度を制限するための薬剤を製造するための、少なくとも慢性リンパ球性白血病(CLL)関連疾患反応カスケードに干渉する剤の使用であって、剤が少なくとも1つのバイオマーカーを含み、
バイオマーカーがmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択される
前記使用。
【請求項58】
miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上のアンチセンス阻害剤を含む、組成物。
【請求項59】
慢性リンパ球性白血病(CLLL)を治療する必要がある被験体において、該疾患を治療する方法であって、被験体に、先行する請求項の組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、前記方法。
【請求項60】
組成物を予防的に投与する、先行する請求項の方法。
【請求項61】
組成物の投与が、CLLの1以上の症状の開始を遅延させる、先行する請求項の方法。
【請求項62】
組成物の投与がCLLの発展を阻害する、先行する請求項の方法。
【請求項63】
組成物の投与がCLLを阻害する、先行する請求項の方法。
【請求項64】
生物学的試料における白血病の存在を検出するための方法であって:
白血病を含有すると推測される生物学的試料を、そのバイオマーカーに曝露し;
ここでバイオマーカーはmiR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上より選択され、そして
あるとすれば、試料中のマーカーの存在または非存在を検出する
工程を含む、前記方法。
【請求項65】
バイオマーカーが検出可能標識を含む、先行する請求項の方法。
【請求項66】
被験体由来の生物学的試料中のバイオマーカーの量を、正常被験体由来の対応する生物学的試料中のバイオマーカーの量に比較する工程をさらに含む、先行する請求項の方法。
【請求項67】
異なる時点で、被験体から複数の生物学的試料を収集し、そして各生物学的試料中のマーカーの量を比較して、被験体において、マーカーの量が時間とともに増加しているかまたは減少しているかを決定する工程をさらに含む、先行する請求項の方法。
【請求項68】
被験体において、慢性リンパ球性白血病(CLL)を治療するための方法であって:白血病受容体アゴニストを含む、前記方法。
【請求項69】
受容体アゴニストが:miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体の1以上のアンチセンス阻害剤である、先行する請求項の方法。
【請求項70】
miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体、それに由来する配列、こうしたmiR由来の相補配列、およびこうした相補配列由来の配列の中から選択される核酸分子で構成される、急性骨髄性白血病の治療のための薬剤を製造するための使用。
【請求項71】
薬剤が、miR15a/16−1クラスターのmiRまたはその機能的変異体、こうしたmiRに由来する配列、こうしたmiRの相補配列、およびこうした相補配列由来の配列の1以上の中から選択される配列を提示する核酸分子を含む、先行する請求項記載の使用。
【請求項72】
慢性リンパ球性白血病(CLL)細胞の分化を誘導するのに有効な療法剤または療法剤の組み合わせを同定する、in vitro法であって:
CLL細胞由来の細胞を培養し、
細胞株の培地に少なくとも1つの化合物を添加し、
工程(i)および(ii)の間で少なくとも1つのmiRの発現レベルの進化(evolution)を分析し、そして
工程(i)および(ii)の間のmiRの発現レベルの変化を誘導する化合物または化合物の組み合わせを同定する
工程を含む、前記方法。
【請求項73】
工程(iii)が少なくとも1つのmiRの発現レベルの分析を含む、先行する請求項の方法。
【請求項74】
工程(iv)が少なくとも1つのmiRの発現レベルを調節する化合物または化合物の組み合わせの同定を含む、先行する請求項の方法。
【請求項75】
工程(iv)が少なくとも1つのmiRの発現レベルを減少させる化合物または化合物の組み合わせの同定を含む、先行する請求項の方法。
【請求項76】
化合物が癌の治療のための療法剤である、先行する請求項の方法。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図9−4】
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【図9−5】
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【図9−6】
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【図9−7】
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【図9−8】
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【図9−9】
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【図9−10】
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【図9−11】
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【図9−12】
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【図9−13】
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【図9−14】
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【図9−15】
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【図9−16】
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【図9−18】
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【図9−25】
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【図9−34】
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【図9−35】
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【図9−36】
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【図9−38】
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【図9−40】
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【図9−41】
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【図9−43】
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【図9−44】
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【図9−45】
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【図9−50】
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【図9−53】
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【図9−90】
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【図9−100】
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【図9−101】
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【図9−103】
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【図9−104】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図10−4】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図11−4】
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【図11−5】
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【図11−6】
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【図11−7】
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【図11−8】
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【図11−9】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図12−3】
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【図12−4】
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【図12−5】
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【図12−6】
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【図12−7】
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【図12−8】
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【図12−9】
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【図12−10】
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【図12−11】
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【図12−12】
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【図12−13】
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【図12−14】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図14−5】
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【図14−6】
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【図14−7】
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【図14−8】
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【図14−9】
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【図14−10】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図16−3】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−517932(P2011−517932A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−548901(P2010−548901)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/035463
【国際公開番号】WO2009/108856
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(510149460)ジ・オハイオ・ステイト・ユニバーシティ・リサーチ・ファウンデイション (10)
【Fターム(参考)】