説明

ヒト抗B7RP1中和抗体

本発明は、ヒトB7関連タンパク質−1(B7RP1)と相互作用するかまたはこれに結合する抗体、およびB7RP1に結合し、これによってB7RP1の機能を中和する抗体を提供する。本発明はまた、前記抗体の医薬組成物、およびB7RP1機能を中和する方法、特に、医薬的に有効な量の抗B7RP1抗体を投与することによって免疫障害(例えば、不適切な免疫応答)を治療する方法を提供する。抗B7RP1抗体を用いて試料中のB7RP1の量を検出する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、B7関連タンパク質−1(B7RP1)に結合するヒトモノクローナル抗体に関する。免疫抑制および免疫活性化に関連した疾患および障害を治療するための組成物および方法も記載されている。
【背景技術】
【0002】
T細胞は、免疫応答を開始し、抗原特異的なエフェクター機能を媒介し、サイトカインの分泌による他の白血球の活性化を調節する。固有のTリンパ球(T細胞)免疫応答の発生に関しては、2つのシグナルが抗原提示細胞(APC)によってT細胞に与えられなければならない。抗原は、特異性を決定する事象において、主要組織適合複合体(MHC)を介したT細胞受容体(TCR)に提示されなければならない。T細胞は、APC上に提示された抗原を認識できるだけである。抗原受容体に加えて、固有のT細胞活性化はまた、T細胞およびAPC上の他の細胞表面分子の相互作用を必要とする。これらの分子は、共刺激性分子と呼ばれ、応答細胞上の受容体、および誘導細胞上に存在するリガンドからなる。この抗原の非依存的な共刺激シグナルは、APC上のB7ファミリーのメンバーとT細胞上のこれらの受容体とを結合させることによって発生されなければならない。生産的な免疫応答は、増殖、分化、クローン性増殖、およびエフェクター機能をもたらす。第2の共刺激シグナルがない場合、T細胞は、アネルギーと呼ばれる持続的な抗原特異的無応答の状態を被る。フェーズIIの臨床試験によって、1つの共刺激経路をブロックすることが、乾癬(Abrams et al.,2000,J EXp Med.192:681−94;Abrams et al.,1999,J.Clin.Invest.103:1243−52)および関節リウマチ(Kremer et al.,2003,New England Journal of Medicine 349:1907−15)の治療において効果的であることが示され、この一般的なストラテジーは免疫調節療法の良好な標的となることを示す。
【0003】
特定の共刺激性B7分子であるB7関連タンパク質−1(B7RP1)は、アミノ末端にシグナル配列および細胞外ドメイン、2つのIgループを含む細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、およびカルボキシ末端の細胞内ドメインを有する1型膜貫通型タンパク質である(PCT出願公開WO00/46240)。B7RP1は、T細胞の細胞表面に発現されるICOS(「inducible costimulator」;Yoshinga et al.,2000,Int.Immun.12:1439−1447)に選択的に結合する。ICOSは、活性化されたT細胞による1型および2型サイトカインの両方の産生において重要な役割を果たす(Coyle et al.,2000,Immunity 13:95−105)。
【0004】
B7RP1は、APC上に構成的に発現される唯一のリガンドであり(Yoshinaga et al.,1999,Nature.402:827−32)、ICOSは、活性化したT細胞にのみ発現される(McAdam et al.,2000,Journal of Immunology 165:5035−40)。B7RP1依存性シグナルは、エフェクター(即ち、完全に活性化された)T細胞の活性化、および未刺激の(naive)前駆体からの成熟に必要である(Dong et al.,2003,Journal of Autoimmunity.21:255−60;Coyle et al.,2000,Immunity.13:95−105)。結果として、B7RP1/ICOS相互作用は、固有のT細胞依存性リコール(recall)免疫応答に必要である(Dong et al.,2003,Journal of Autoimmunity.21:255−60)。
【0005】
同時刺激性T細胞経路を妨げようとする現在の試みは、主にT細胞活性化のみをブロックする同時刺激性ポリペプチドに焦点が合わせられているが、活性化および成熟化に重点が置かれていない。結果として、これらの治療法は、T細胞機能の一般的な阻害を提供する。対照的に、B7RP1/ICOS相互作用をブロックすることは、成熟エフェクターT細胞にのみ影響を及ぼすことによってT細胞機能のより特異的な阻害を提供する。したがって、臨床設定におけるB7RP1/ICOS相互作用をブロックすることは、未刺激のT細胞活性化だけをブロックする共刺激療法よりも限定された副作用プロフィールを提供するため、非常に望ましい。
【発明の開示】
【0006】
本発明は、B7関連タンパク質−1(B7RP1)に結合するモノクローナル抗体を提供する。一実施形態において、このモノクローナル抗体は、B7RP1の生物学的活性を中和するヒトモノクローナル抗体であり、B7RP1の免疫共刺激活性を部分的にまたは完全に阻害するのに特に有用である。本発明によって、細胞、特に、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞もまた提供される。特定の態様では、本発明の抗体は、本明細書中に記載されるB7RP1のHまたはD領域に特異的に結合する。
【0007】
本発明は、さらに、抗体Fc領域の配列および配列番号1から配列番号40として同定される1以上の配列を含む融合タンパク質を提供する。このような分子は、例えば、参照により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO00/24782に記載される方法を用いて調製することができる。このような分子は、例えば、哺乳動物細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary)細胞)または細菌性細胞(例えば、大腸菌細胞)に発現させることができる。
【0008】
ある種の態様では、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAおよびIgE重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域、またはこのいずれかの対立遺伝子変異体(Kabat et al.,1991,SEQUENCES OF PROTEINS OF IMMUNOLOGICAL INTEREST,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Serevies,NIH公開第91−3242号)を含み、この文献は、参照により本明細書中に組込まれ、並びに、重鎖の可変領域は、配列番号7から配列番号14のいずれかに記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。本発明の抗体は、配列番号41に記載のIgG2重鎖定常領域のアミノ酸配列またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片、または配列番号42に記載のIgG1重鎖定常領域のアミノ酸配列またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片のいずれかを含む。ある種の実施形態では、この抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、または好ましくはヒトモノクローナル抗体である。
【0009】
ある種の態様では、本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、軽鎖は、配列番号43に記載のアミノ酸配列を有する定常領域またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含み、軽鎖可変領域は、配列番号1から配列番号6のいずれかに記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。ある種の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、ヒト抗体、または好ましくはヒトモノクローナル抗体である。
【0010】
ある種の態様では、本発明の抗体は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖の可変領域は、配列番号7もしくは配列番号8に記載のアミノ酸、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。他の態様では、軽鎖可変領域は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。
【0011】
他の態様では、本発明の抗体は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖の可変領域は、配列番号9に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。他の態様では、軽鎖可変領域は、配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。
【0012】
更なる態様では、重鎖は、配列番号27から配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。なお更なる態様では、軽鎖は、配列番号15から配列番号26のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDR、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。
【0013】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する抗体を提供し、重鎖は、配列番号7もしくは配列番号8に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む可変領域を含み、軽鎖は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む可変領域を含む。
【0014】
さらに、本発明は、B7RP1に特異的に結合する抗体を提供し、重鎖は、配列番号9に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む可変領域を含み、軽鎖は、配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む可変領域を含む。
【0015】
ある種の態様では、本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、重鎖は重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号7から配列番号14のいずれかに記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%の同一性を有する配列を含み、軽鎖は軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号1から配列番号6のいずれかに記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%の同一性を有する配列を含み、抗体は、B7RP1に特異的に結合する。
【0016】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する抗体を提供し、重鎖は、配列番号44もしくは配列番号46に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含み、軽鎖は、配列番号45に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。
【0017】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する抗体を提供し、重鎖は、配列番号47に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含み、軽鎖は、配列番号48に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む。
【0018】
ある種の態様では、本発明はまた、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、重鎖は重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号27から配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%の同一性を有する配列を有する少なくとも1つのCDRを含み、軽鎖は軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は、配列番号15から配列番号26に記載のアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含み、抗体は、B7RP1に特異的に結合する。
【0019】
本発明はまた、一本鎖の抗体、一本鎖のFv抗体、F(ab)抗体、F(ab)’抗体および(Fab’)抗体を提供する。
【0020】
特定の態様では、本発明は、配列番号15から配列番号26に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、配列番号27から配列番号40のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む重鎖またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖を提供する。
【0022】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体に関し、この抗体は、(a)ヒト重鎖フレームワーク領域、ヒト重鎖CDR1領域、ヒト重鎖CDR2領域、およびヒト重鎖CDR3領域;および(b)ヒト軽鎖フレームワーク領域、ヒト軽鎖CDR1領域、ヒト軽鎖CDR2領域、およびヒト軽鎖CDR3領域を含む。ある種の態様では、ヒト重鎖CDR1領域は、配列番号27、30、または35のいずれかに示される重鎖CDR1領域であり得、ヒト軽鎖CDR1領域は、配列番号15、18、または24のいずれかに示される軽鎖CDR1領域であり得る。他の態様では、ヒト重鎖CDR2領域は、配列番号28、31、33、36、または39のいずれかに示される重鎖CDR2領域であり得て、ヒト軽鎖CDR2領域は、配列番号16、19、または21のいずれかに示される軽鎖CDR2領域であり得る。さらに他の態様では、ヒト重鎖CDR3領域は、配列番号29、32、34、37、38または40のいずれかに示される重鎖CDR3領域であり、ヒト軽鎖CDR3領域は、配列番号17、20、22、23、25、または26のいずれかに示される軽鎖CDR3領域である。
【0023】
本発明の抗体は、B7RP1に特異的に結合する能力によって特徴付けられる。さらに、本発明の抗体は、B7RP1ポリペプチドに関連した少なくとも1つのインビトロおよび/またはインビボ活性を拮抗する能力を有する。本発明は、B7RP1ポリペプチドに高親和性で結合する単離された抗ヒトB7RP1ヒト抗体を提供し、この抗体は、ヒトB7RP1ポリペプチドに結合し、KinExAを用いて測定して、約10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M以下の解離定数(K)を有してヒトB7RP1ポリペプチドから解離し、または、インビトロの中和アッセイにおいて、約10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M以下のEC50値で、B7RP1誘導生存を阻害する。
【0024】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を提供し、この抗体または断片は、重鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む重鎖可変領域を含み、
a)重鎖CDR1は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号28に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号29に記載のアミノ酸配列を有し;
b)重鎖CDR1は、配列番号30に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号31に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号32に記載のアミノ酸配列を有し;
c)重鎖CDR1は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;
d)重鎖CDR1は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;
e)重鎖CDR1は、配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号38に記載のアミノ酸配列を有し;または
f)重鎖CDR1は、配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2は、配列番号39に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3は、配列番号40に記載のアミノ酸配列を有する。
【0025】
本発明はまた、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を提供し、この抗体または断片は、軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3を含む軽鎖可変領域を含み、
a)軽鎖CDR1は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号17に記載のアミノ酸配列を有し;
b)軽鎖CDR1は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有し;
c)軽鎖CDR1は、配列番号15に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号21に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号22に記載のアミノ酸配列を有し;
d)軽鎖CDR1は、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号19に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号23に記載のアミノ酸配列を有し;
e)軽鎖CDR1は、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号25に記載のアミノ酸配列を有し;または
f)軽鎖CDR1は、配列番号24に記載のアミノ酸配列を有し、軽鎖CDR2は、配列番号16に記載のアミノ酸配列を有し、および軽鎖CDR3は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を有する。
【0026】
本発明はまた、本明細書中に記載される抗体のB7RP1への結合と競合する抗体を提供する。ある種の態様では、本発明の競合抗体は、配列番号1から40のいずれかを含む抗体のヒトB7RP1への結合と競合する。
【0027】
抗ヒトB7RP1ヒト抗体をコードするポリヌクレオチド配列、抗ヒトB7RP1ヒト抗体をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクター、抗ヒトB7RP1ヒト抗体をコードするポリヌクレオチドを組み込んでいるベクターを用いて形質転換される宿主細胞、抗ヒトB7RP1ヒト抗体を含む製剤、およびこれを製造する方法および使用する方法も本発明の一部である。
【0028】
本発明はまた、生物学的試料中のB7RP1を検出する方法を提供し、この方法は、試料と本発明の抗体またはこの抗原結合性とを接触させる工程を含む。本発明の抗B7RP1抗体は、B7RP1の検出および定量に関して、競合結合アッセイ、直接的および間接的サンドイッチアッセイ、免疫沈降アッセイおよび酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)(Sola,1987,Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158,CRC Press,Inc.を参照されたい)などのいずれかの既知のアッセイ法で採用され得る。抗体は、採用されるアッセイ法に適している親和性でB7RP1に結合することができる。
【0029】
さらに、本発明は、B7RP1産生の増加、B7RP1に対する感受性の増加に関連した疾患、および/またはT細胞応答の調節に関係する疾患を治療する方法を提供し、この方法は、本発明の少なくとも1つの抗体またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む医薬組成物の医薬的に有効な量をこれを必要とする個体に投与する工程を含む。
【0030】
本発明の実施形態は、下記の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
【0031】
(発明の詳細)
本明細書中で使用されるセクション見出しは、構成的な目的のためだけであり、説明した対象事項を限定するものとして解釈するべきではない。本出願において引用される全ての参考文献は、いずれかの目的のために参照により本明細書中に明確に組み込まれる。
【0032】
定義
従来の技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養および形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に用いることができる。酵素反応および精製技術は、製造業者の取扱説明書に従って、または当分野において通常達成されるようにもしくは本明細書に記載されるように行うことができる。前述の技術および手順は、一般に、当分野で周知な方法に従って、本明細書を通じて引用され検討されている種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載される方法に従って行うことができる。例えば、いずれかの目的のために参照により本明細書中に組み込まれる、Sambrook et al.,2001、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.を参照されたい。特定の定義がなされない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、医学および薬化学と関連して利用される命名法、この実験室的手順および技術は、当分野で周知であり、一般的に用いられるものである。同様に、従来の技術は、化学合成、化学分析、医薬的調製、調合および輸送、並びに患者の治療のために用いられてよい。
【0033】
本開示に従って利用される場合、下記の用語は、他に指示がない限り、下記の意味を有するものとして理解しなければならない。本発明の抗体に関して、句「生物学的特性」、「生物学的特徴」、および用語「活性」には、本明細書において互換可能に用いられ、限定されないが、エピトープ親和性および特異性(例えば、ヒトB7RP1に結合する抗ヒトB7RP1ヒト抗体)、標的ポリペプチドの活性(例えば、B7RP1活性)を拮抗する能力、抗体のインビボでの安定性、および抗体の免疫原性が含まれる。当分野で認識される抗体の他の同定可能な生物学的特性または特徴は、例えば、交差反応性(即ち、一般的には、B7RP1のヒト以外のホモログ、または他のタンパク質もしくは組織との交差反応性)、および哺乳動物細胞においてタンパク質の高発現レベルを保存する能力が挙げられる。前述の特性または特徴は、当分野で認識される技術を用いて観察または測定することができ、限定されないが、ELISA、競合的ELISA、表面プラズモン共鳴分析、インビトロおよびインビボの中和アッセイ(例えば、実施例2)、およびヒト、霊長類または任意の他の適切な供給源を含む種々の供給源からの組織切片での免疫組織化学が挙げられる。抗ヒトB7RP1ヒト抗体の特定の活性および生物学的特性は、以下の実施例にさらに詳細に説明される。
【0034】
用語「単離されたポリヌクレオチド」は、本明細書中で使用するとき、ゲノムDNA、cDNA、RNA、もしくは合成起源またはこれらのいくつかの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、この起源によって、この単離されたポリヌクレオチドは、(1)この単離されたポリヌクレオチドが天然に見出されるポリヌクレオチドの全部または一部を伴わない、(2)天然には連結されないポリヌクレオチドと連結される、または(3)より大きい配列の一部として天然には存在しない。
【0035】
用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書において言及するとき、少なくとも10ヌクレオチドの長さの一本鎖または二本鎖の核酸ポリマーを意味する。ある種の実施形態では、ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたはいずれかのタイプのヌクレオチドの改変形態であり得る。このような改変体は、ブロムウリジンなどの塩基改変体、アラビノシドおよび2’,3’−ジデオキシリボースなどのリボース改変体、およびヌクレオチド間連結改変体、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデートおよびホスホロアミデートが挙げられる。用語「ポリヌクレオチド」は、具体的には、DNAまたはRNAの一本鎖形態および二本鎖形態を含む。
【0036】
本明細書で言及する用語「オリゴヌクレオチド」は、天然に存在しおよび/または天然には存在しないオリゴヌクレオチド連結によって一緒に連結された天然に存在するヌクレオチドおよび改変されたヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、一般的に、一本鎖であり、200ヌクレオチド以下の長さを有するメンバーを含むポリヌクレオチドサブセットである。ある種の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、10から60ヌクレオチドの長さである。ある種の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20から40ヌクレオチドの長さである。オリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子変異体の構築での使用のために、一本鎖であってもまたは二本鎖であってよい。本発明のオリゴヌクレオチドは、タンパク質をコードする配列に関連してセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであってよい。
【0037】
用語「天然に存在するヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語「改変されたヌクレオチド」は、修飾または置換された糖基などを有するヌクレオチドを含む。用語「オリゴヌクレオチド連結」は、オリゴヌクレオチド結合、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホラニラデート、ホスホロアミデートなどを含む。例えば、これらの開示はいずらかの目的のために参照により本明細書中に組み込まれる、LaPlanche et al.,1986,Nucl.Acids Res.,14:9081;Stec et al.,1984,J.Am.Chem.Soc.,106:6077;Stein et al.,1988,Nucl.Acids Res.16:3209;Zon et al.,1991,Anti−Cancer Drug Design 6:539;Zon et al.,1991,OLIGONUCLEOTIDES AND ANALOGUES:A PRACTICAL APPROACH,pp.87−108(F.Eckstein,Ed.),Oxford University Press,Oxford England;Stec et al.,米国特許第5,151,510号;Uhlmann and Peyman,1990,Chemical Reviews,90:543を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、このオリゴヌクレオチドまたはこのハイブリダイゼーションの検出を可能にする検出可能な標識を含むことができる。
【0038】
本明細書において言及される用語「単離されたタンパク質」は、対象とするタンパク質が、(1)天然に見出される少なくともいくつかの他のタンパク質を含まない、(2)同じ供給源由来、例えば、同じ種由来の他のタンパク質を本質的に含まない、(3)異なる種由来の細胞によって発現される、(4)天然において会合している少なくとも約50%のポリヌクレオチド、脂質、糖質もしくは他の物質から分離されている、(5)この「単離されたタンパク質」が天然に会合しているタンパク質の一部と(共有的および非共有的な相互作用によって)会合していない、(6)天然に会合していないポリペプチドと操作可能に(共有的または非共有的な相互作用によって)会合している、または(7)天然に存在しないことを意味する。このような単離されたタンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、mRNAもしくは合成に由来する他のRNA、またはこれらの任意の組み合わせによってコードされ得る。一実施形態では、単離されたタンパク質は、この用途(治療、診断、予防、研究用途など)を妨げる天然の環境で見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物を実質的に含まない。
【0039】
「単離された」抗体とは、同定され、この天然の環境の成分から分離され、および/または回収されたものである。この天然の環境の混入成分とは、抗体の診断または治療的な使用を妨害する物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性物質が含まれてよい。ある種の実施形態では、抗体は、(1)Lowry法によって測定した場合、抗体の95重量%を超えるまたは99重量%を超えるまで、(2)スピニング・カップ・シークエネーター(spinning cup sequenator)の使用によって、N末端もしくは内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマーシー・ブルーもしくは銀染色を用いて、還元もしくは非還元条件下でのSDS−PAGEによって均一になるまで精製される。単離された抗体は、組換え細胞内のインサイチューの抗体を含み、これは、この抗体の天然の環境のうちの少なくとも1つの成分が存在しないためである。
【0040】
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、天然のタンパク質、すなわち、天然に存在する細胞、および具体的には非組換え細胞によって産生されるタンパク質、または遺伝子操作されたもしくは組換え細胞によって産生されるタンパク質の配列を有する分子を意味し、この天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、またはこの天然の配列からの1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する分子を含む。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、具体的には、抗B7RP1抗体、または抗B7RP1抗体からの1つ以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列を包含する。
【0041】
用語「ポリペプチド断片」は、アミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失、および/または内部欠失を有するポリペプチドをいう。ある種の実施形態では、断片は、少なくとも5から約500個のアミノ酸の長さである。ある種の実施形態では、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400または450個のアミノ酸の長さであると理解される。特に有用なポリペプチド断片としては、結合ドメイン、特に抗原結合ドメインを含む機能的なドメインが挙げられ、特に、抗原はヒトB7RP1のエピトープである。抗B7RP1抗体の場合、有用な断片としては、限定されないが、CDR領域、重鎖または軽鎖の可変領域、抗体鎖の一部、または2つのCDRを含むまさにこの可変領域などが挙げられる。
【0042】
用語「特異的な結合作用因子」は、標的に特異的に結合する天然または非天然に存在する分子をいう。特異的な結合作用因子の例としては、限定されないが、タンパク質、ペプチド、核酸、糖質および脂質が挙げられる。ある種の実施形態では、特異的結合作用因子は、抗体である。
【0043】
用語「B7RP1に対する特異的な結合作用因子」は、B7RP1の任意の部分に特異的に結合する特異的な結合作用因子をいう。ある種の実施形態では、B7RP1に対する特異的な結合作用因子とは、B7RP1に特異的に結合する抗体である。
【0044】
一例として、抗体は、抗体が標識されている場合であって、対応する非標識抗体によってこの標的から離れて競合し得るとすれば、標的に「特異的に結合する」。
【0045】
用語「免疫学的機能性免疫グロブリン断片」は、本明細書中で使用するとき、免疫グロブリン重鎖および軽鎖の少なくともCDRを含むポリペプチド断片をいう。本発明の免疫学的機能性免疫グロブリン断片は、抗原に結合することができる。ある種の実施形態では、この抗原はレセプターに特異的に結合するリガンドである。これらの実施形態では、本発明の免疫学的機能性免疫グロブリン断片の結合は、このレセプターへのリガンドの結合を防止し、このレセプターへのリガンドの結合から生じる生物学的応答を遮断する。一実施形態では、本発明の免疫学的機能性免疫グロブリン断片は、B7RP1に特異的に結合する。好ましくは、この断片はヒトB7RP1に特異的に結合する。
【0046】
用語「天然に存在する」または「天然の」は、本明細書中で使用し、目的物に適用するとき、この目的物が天然に見出され得るという事実をいう。例えば、天然の供給源から単離可能であり、ヒトによって意図的に改変されていない生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。用語「天然に存在しない」または「非天然の」は、本明細書中で使用するとき、天然に見出されない物質、またはヒトによって構造的に改変されているかもしくは合成されている物質をいう。例えば、「天然に存在しない」とは、当分野において知られる突然変異技術を用いて生成することができるポリヌクレオチド変異体、またはこのようなポリヌクレオチド変異体によって生産されるポリペプチド変異体などの変異体を指し得る。このような変異体は、例えば、1以上のヌクレオチドを含み得るヌクレオチド置換、欠失または付加によって生産されるものを含む。ポリヌクレオチド変異体は、コード領域もしくは非コード領域またはこの両方において変更され得る。コード領域での変更は、保存的または非保存的アミノ酸の置換、欠失または付加を生じることができる。これらのうち、本発明のB7RP1抗体の特性および活性を変更しないサイレントな置換、付加、欠失、および保存的置換が特に必然的である。当業者は、当分野において周知な方法を用いて、このような変異体の生成の仕方を容易に決定することができる。
【0047】
用語「操作可能に連結された」は、この用語をあてはめられる成分が、適切な条件下でこの固有の機能を行うことを可能にする関係であることを意味する。例えば、タンパク質コード配列に「操作可能に連結された」制御配列は、制御配列の転写活性に適合する条件下でこのタンパク質のコード配列の発現が達成されるように連結されている。
【0048】
用語「制御配列」は、本明細書中で使用するとき、これらが操作可能に連結されるコード配列の発現、プロセシングまたは細胞内局在化を達成し得るポリヌクレオチド配列をいう。このような制御配列の性質は、宿主生物に依存してよい。特定の実施形態では、原核生物の制御配列としては、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列を挙げることができる。他の特定の実施形態では、真核生物の転写制御としては、転写因子の1つまたは複数の認識部位を含むプロモーター、転写エンハンサー配列、転写終止配列およびポリアデニル化配列を挙げることができる。ある種の実施形態では、「制御配列」とは、リーダー配列および/または融合パートナー配列を含むことができる。
【0049】
用語「ベクター」は、連結されている別の核酸を細胞に担持できる核酸分子を含む。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループをいう。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントがウイルスゲノム中に連結され得る。ある種のベクターは、これらが導入されている宿主細胞において自己複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、これによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある種のベクターは、これらが操作可能に連結されている遺伝子の発現を指向することができる。このようなベクターは、本明細書中では「組換え発現ベクター」(または、単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一般的に、組換えDNA技術の実施に有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、互換可能に用いられ、これは、プラスミドがベクターの最も一般的に用いられる形態であるからである。しかしながら、本発明は、等価な機能を果たす、このような他の形態の発現ベクター、例えばウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含むことが意図される。
【0050】
句「組換え宿主細胞」(または、単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入されている細胞を含む。これは、特定の対象とする細胞だけでなく、このような細胞の子孫も指すことが意図されることを当業者は理解する。変異または環境的影響のいずれかに起因して、ある種の改変が後継世代において生じ得るため、このような子孫は、実際には、親細胞に対して同一でないかもしれないが、本明細書中に用いられる「宿主細胞」という用語の範囲内には依然として含まれる。細菌、酵母、バキュロウイルスおよび哺乳動物発現系(ならびにファージディスプレイ発現系)を含む広範な種々の宿主発現系が、本発明の抗体を発現させるために用いることができる。適切な細菌発現ベクターの例は、pUC19である。抗体を組換え的に発現させるために、宿主細胞は、この抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を担持する1以上の組換え発現ベクターでトランスフェクトされ、この結果、この軽鎖および重鎖はこの宿主細胞中で発現され、この宿主細胞が培養される培地中に分泌されて、この抗体はこの培地から回収することができる。標準的な組換えDNA方法論を用いて、抗体の重鎖および軽鎖の遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクター中に組み込み、このベクターを宿主細胞、例えば、Sambrook et al.,2001,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratories,Ausubel,F.M.et al.(eds.),CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Greene Publishing Associates,(1989)およびBossらによる米国特許第4,816,397号に記載されたような宿主細胞中に導入する。
【0051】
用語「形質導入」は、通常、ファージによって、1つの細菌から別の細菌への遺伝子の移入を指すために使用される。「形質導入」はまた、レトロウイルスによる真核生物細胞配列の獲得および移入を指す。
【0052】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外来または外因性のDNAの取り込みを指すために使用され、細胞は、外因性DNAが細胞膜の内側に導入されている場合、「トランスフェクト」されている。多数のトランスフェクション技術が、当分野で周知であり、本明細書中に開示されている。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456;Sambrook et al.,2001,MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratories;Davis et al.,1986,BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY,Elsevier;およびChu et al.,1981,Gene 13:197を参照されたい。このような技術は、1以上の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入するために用いることができる。
【0053】
用語「形質転換」は、本明細書中で使用するとき、細胞の遺伝的特徴における変化をいい、細胞が新しいDNAを含むように改変されている場合、この細胞は形質転換されている。例えば、細胞は、この天然の状態から遺伝的に改変されている場合、形質転換されている。トランスフェクションまたは形質導入の後、この形質転換DNAは、細胞の染色体への物理的な組み込みによって細胞のDNAと組み換えられてもよく、または複製されることなしにエピソームエレメントとして一時的に維持されてもよく、またはプラスミドとして独立して複製されてよい。細胞の分裂とともにDNAが複製される場合、細胞は、安定に形質転換されていると考えられる。
【0054】
用語「抗原」は、選択的な結合因子、例えば抗体によって結合され、さらに動物において用いられて、この抗原のエピトープに結合できる抗体を産生することができる分子または分子の一部をいう。抗原は、1以上のエピトープを有してよい。
【0055】
ある種の実施形態では、抗体変異体は、グリコシル化部位の数および/またはタイプが、親のポリペプチドのアミノ酸配列と比較して変更されているグリコシル化変異体を含む。ある種の実施形態では、タンパク質変異体は、天然のタンパク質よりも多いかまたは少ない数のN連結グリコシル化部位を含む。N連結グリコシル化部位は、配列:Asn−Xaa−SerまたはAsn−Xaa−Thrによって特徴付けられ、Xaaとして指定されるアミノ酸残基は、プロリン以外の任意のアミノ酸残基であってよい。この配列を生じるアミノ酸残基の置換によって、N連結糖鎖の付加のための潜在的な新規な部位が提供される。または、この配列を排除する置換によって、既存のN連結糖鎖が除かれる。1以上のN連結グリコシル化部位(典型的には、天然に存在する部位)が排除されて、1以上の新規なN連結部位が作成されるN連結糖鎖の再配列もまた提供される。さらなる抗体変異体は、1以上のシステイン残基が、親のアミノ酸配列と比較して欠失されているか、または別のアミノ酸(例えば、セリン)で置換されているシステイン変異体を含む。システイン変異体は、不溶性の封入体の単離後などの生物学的に活性な高次構造に抗体が再折り畳みさせられなければならない場合に有用であり得る。システイン変異体は、一般に、天然のタンパク質よりも少ないシステイン残基を有し、典型的には、不対のシステインから生じる相互作用を最小化するために偶数のシステイン残基を有する。
【0056】
さらなる実施形態では、抗体変異体は、改変Fc断片または改変重鎖定常領域を含む抗体を含むことができる。「結晶化する断片」を意味するFc断片、または重鎖定常領域は、抗体に対して変化した結合特徴を付与するような突然変異によって改変されてよい。例えば、Burton and Woof,1992,Advances in Immunology 51:1−84;Ravetch and Bolland,2001,Annu.Rev.Immunol.19:275−90;Shields et al.,2001,Journal of Biol.Chem 276:6591−6604;Telleman and Junghans,2000,Immunology 100:245−251;Medesan et al.,1998,Eur.J.Immunol.28:2092−2100(これら全ては、参照により本明細書中に組み込まれる)を参照されたい。このような変異は、置換、付加、欠失、またはこれらの任意の組み合わせを含み、典型的には、本明細書に記載した方法に従って、および当分野で知られている方法に従って(例えば、参照により本明細書中に組み込まれるSambrook et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3rd Ed,2001,Cold Spring Harbor,N.Y.ならびにBerger and Kimmel,METHODS IN ENZYMOLOGY,Volume 152,Guide to Molecular Cloning Techniques,1987,Academic Press,Inc.,San Diego,CAを参照されたい)、1以上の変異原性のオリゴヌクレオチドを用いて、部位特異的突然変異誘発によって生成される。
【0057】
ある種の実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解に対する感受性を減少させる、(2)酸化に対する感受性を減少させる、(3)結合親和性を変更させる、および/または(4)このようなポリペプチドに他の物理化学的特性または機能的特性を付与するかもしくは改変することができる。ある種の実施形態によれば、1個または複数のアミノ酸置換(ある種の実施形態では、保存的アミノ酸置換)は、天然に存在する配列において(ある種の実施形態では、分子間接触を形成するドメインの外側のポリペプチドの一部において)作製されてよい。ある種の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、典型的には、親の配列の構造的特徴を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親の配列を特徴付ける二次構造、例えばヘリックスを破壊してはならず、または破壊する傾向であってもならない)。当分野で認識されるポリペプチドの二次構造および三次構造の例は、各々が参照により本明細書中に組み込まれるPROTEINS,STRUCTURES AND MOLECULAR PRINCIPLES(Creighton,Ed.),1984,W.H.Freeman and Company,New York;INTRODUCTION TO PROTEIN STRUCTURE(C.Branden and J.Tooze,eds),1991,Garland Publishing,New York,N.Y.;ならびにThornton et al.,1991,Nature 354:105に記載されている。
【0058】
「抗体」または「抗体ペプチド」は、無傷の抗体、または特定の結合に関して無傷の抗体と競合するこの結合断片をいう。ある種の実施形態では、結合断片は、組換えDNA技術によって生成される。更なる実施形態では、結合断片は、無傷の抗体の酵素的切断または化学的切断によって産生される。結合断片は、限定されないが、F(ab)、F(ab’)、F(ab’)、Fv、および一本鎖抗体を含む。
【0059】
本発明は、重鎖および軽鎖を含む抗体を提供し、重鎖および軽鎖は、一緒になって、B7RP1を特異的に結合することができる抗原結合構造を形成する。全長の重鎖は、可変領域ドメイン、Vおよび3つの定常領域ドメインC1、C2およびC3を含む。このVドメインは、ポリペプチドのアミノ末端であり、C3ドメインは、カルボキシル末端である。用語「重鎖」は、本明細書中で使用するとき、全長の重鎖およびこの断片を包含する。全長の軽鎖は、可変領域ドメインV、および定常領域ドメインCを含む。重鎖と同様、軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端である。用語「軽鎖」は、本明細書中で使用するとき、全長の軽鎖およびこの断片を包含する。F(ab)断片は、1つの軽鎖ならびに1つの重鎖のC1および可変領域で構成される。F(ab)分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成できない。F(ab’)断片は、1つの軽鎖および1つの重鎖を含み、この重鎖がC1ドメインとC2ドメインとの間にさらに定常領域を含有し、この結果、鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖の間で形成されて、F(ab’)分子が形成され得る。このFv領域は、重鎖および軽鎖の両方の可変領域を含むが、定常領域を欠如する。一本鎖の抗体は、Fv分子であり、ここでは重鎖および軽鎖の可変領域がフレキシブルなリンカーによって連結されて、抗原結合領域を形成する一本鎖ポリペプチド鎖を形成している。一本鎖の抗体は、国際特許出願公開WO88/01649、および米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号において詳細に説明されている。
【0060】
ある種の実施形態では、「多価特異的」抗体または「多機能性」抗体以外の二価抗体は、同一の抗原特異性を有する結合部位を含むことが理解される。
【0061】
本発明によれば、抗体結合および特異性の評価において、抗体は、過剰の抗体がレセプターに結合するリガンドの量(とりわけ、インビトロ競合結合アッセイを用いて測定される)を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上まで低下させる場合、レセプターへのリガンドの付着を実質的に阻害する。
【0062】
「中和抗体」とは、これが結合する標的抗原のエフェクター機能をブロックするかまたは実質的に低下させ得る抗体分子を意味する。したがって、「中和」抗B7RP1抗体は、B7RP1のレセプター結合および/または細胞応答の誘発などのエフェクター機能をブロックするかまたは実質的に低下させ得る。「実質的に低下させる」とは、標的抗原(例えば、ヒトB7RP1)のエフェクター機能の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%の低下を意味することが意図される。
【0063】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリンまたはT細胞レセプターに特異的に結合し得る抗原の任意の部位を含む。ある種の実施形態では、エピトープ決定基は、分子の化学的に活性な表面群、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基またはスルホニル基を含み、ある種の実施形態では、特異的な三次元構造特徴および/または特異的な荷電特徴を有してよい。エピトープは、抗体によって結合される抗原の領域である。ある種の実施形態では、抗体は、タンパク質および/または巨大分子の複雑な混合物において、この抗体が標的抗原を優先的に認識する場合、抗原に特異的に結合すると言われる。ある種の実施形態では、抗体は、平衡解離定数が約10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、または約10−12M未満である場合に、抗原に特異的に結合すると言われる。
【0064】
2つの抗体が同一または立体的に重複するエピトープを認識する場合、抗体は、参照抗体として、「本質的に同じエピトープ」に結合する。2つの抗体が同一または立体的に重複するエピトープに結合するか否かを決定するための最も広範に用いられ、迅速な方法は、標識された抗原または標識された抗体のいずれかを用いて、全ての多くの異なる形式で構成され得る競合アッセイである。通常、抗原は、基板上に固定され、未標識の抗体が標識された抗体の結合をブロックする能力が、放射性同位体または酵素標識を用いて測定される。
【0065】
用語「作用因子」は、本明細書中で使用するとき、化合物、化合物の混合物、生物学的な巨大分子、または生物学的な材料から作製される抽出物を示す。
【0066】
用語「標識」または「標識された」は、本明細書中で使用するとき、例えば、放射線標識されたアミノ酸の取り込み、または標識されたアビジン(例えば、光学的な方法または比色定量的な方法によって検出可能である蛍光マーカー、化学発光マーカーまたは酵素活性などの検出可能なマーカーを含むストレプトアビジン)によって検出可能であるビオチン部分のポリペプチドに対する結合による検出可能なマーカーの取り込みをいう。ある種の実施形態では、この標識はまた治療剤であってよい。ポリペプチドおよび糖タンパク質を標識する種々の方法は、当分野において知られ、本明細書に開示される方法において有利に用いることができる。ポリペプチドのための標識の例としては、限定されないが、放射性同位体または放射性核種、例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99mTc、111In、125I、131I、蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、即ちFITC、ローダミン、またはランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光標識、ハプテン標識、例えば、ビオチニル基、および二次レポーターによって認識される予め決定されたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体の結合部位、金属結合ドメイン、またはエピトープタグ)が含まれる。ある種の実施形態では、標識は、種々の長さのスペーサーアーム(例えば、(CH、ここで、n<約20)によって結合され、可能性のある立体障害を減少させる。
【0067】
用語「生物学的サンプル(biological sample)」は、本明細書中で使用するとき、限定されないが、生存物または以前に生存していた物由来の任意の量の物質を含む。このような生存物としては、限定されないが、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギおよび他の動物が挙げられる。このような物質は、限定されないが、血液、血清、尿、細胞、器官、組織、骨、骨髄、リンパ節および皮膚を含む。
【0068】
用語「医薬的作用因子または薬物」は、本明細書中で使用するとき、患者に適切に投与されたとき、所望の治療効果を誘導し得る化合物または組成物をいう。本発明の抗体の1つまたは複数を含む医薬組成物に関して、「医薬的に有効な量」という表現は、本発明によれば、患者において、外部刺激に対する感度閾値の低下を無効にし得る医薬組成物の量であって、健康な被験体において観察される閾値に匹敵するレベルへの感度閾値の復元を伴う量を意味することが理解される。
【0069】
「障害」は、本発明による処置から恩恵を受ける任意の状態である。「障害」および「状態」は、本明細書において互換可能に用いられ、哺乳動物を対象の障害に罹り易くさせる病理的状態を含む、不適切な免疫応答と関連した慢性および急性の免疫系障害または免疫系疾患を含む。本発明による処置から恩恵を受ける多数の状態および障害は、例えば、国際特許出願PCT/US00/01871(公開WO00/46240)に説明され、この開示は、参照により全体として組み込まれる。
【0070】
用語「免疫系疾患」および「免疫系状態」は、B7RP1レベルの増加、B7RP1に対する感受性の増加、またはT細胞を媒介した疾患と関連した任意の医学的状態または障害を包含し、限定されないが、自己免疫疾患、移植片の生着、骨髄および臓器移植、輸血に起因した異種感作、毒素ショック症候群、T細胞依存性のB細胞媒介疾患、慢性免疫細胞不全と関連した慢性炎症性疾患、リンパ増殖障害(例えば、多発性骨髄腫、ワールデンストームマクログロブリン血症、およびクリオグロブリン血症)、および癌を含む。自己免疫疾患の非制限的な例としては、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、多発性硬化症、糖尿病、および乾癬が含まれる。慢性炎症性疾患の非制限的な例としては、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、および潰瘍性大腸炎)、グレーブス病、ハシモト甲状腺炎、および真性糖尿病が挙げられる。
【0071】
用語「免疫系疾患」および「免疫系状態」はまた、超過敏反応などの抗体産生の阻害によって改善される任意の臨床状態を包含する。超過敏反応は、例えば、花粉症、アレルギー、喘息、アトピー、および急性浮腫によって引き起こされ得る。抗体が媒介した超過敏反応を引き起こす疾患の非制限的な例としては、全身性エリテマトーデス、関節炎(例えば、関節リウマチ、反応性関節炎、乾癬性関節炎)、ネフロパシー(例えば、糸球体腎炎、膜質、膜性増殖性、巣状分節状、巣状壊死性、三日月形、および増殖性糸球体腎炎、例えばツブロパシー)、皮膚障害(例えば、天疱瘡および類天疱瘡、結節性紅斑)、内分泌障害(例えば、甲状腺炎、グレーブス病、ハシモト病、インスリン依存性真性糖尿病)、種々のニューモパシー(例えば、外因性肺胞炎)、種々の血管障害、セリアック病、IgAの異常産生を伴う疾患、多くの貧血および血小板減少症、ギラン・バレー症候群、および重症筋無力症が含まれる。
【0072】
用語「有効量」および「治療的有効量」は、本明細書中で使用するとき、1以上の抗ヒトB7RP1ヒト抗体を含むビヒクルまたは医薬組成物に関して用いる場合、所望の結果(すなわち、本発明のビヒクルまたは抗ヒトB7RP1ヒト抗体での治療の場合、所望の結果とは、例えば、T細胞応答の所望の調節である)を生じ、またはB7RP1の1以上の生物学的活性のレベルにおける観察可能な低下を支持するのに十分な量または投薬量をいう。より具体的には、治療的有効量とは、上記作用因子を用いてインビボで処置される被験体において、問題の状態、例えば、免疫障害および疾患に関連する臨床的に規定される病理学的プロセスの1以上をある期間阻害するのに十分な抗ヒトB7RP1ヒト抗体の量である。本発明では、「有効量」の抗B7RP1抗体は、患者におけるT細胞応答を調節することができる。本発明の方法では、用語「制御」およびこの文法上の変形は、望ましくない事象、例えば、免疫応答の予防、部分的もしくは完全な阻害、軽減、遅延または緩徐化をいうために用いられる。有効量は、選択される特定のビヒクルまたは抗ヒトB7RP1ヒト抗体に依存して変化させることができ、また、治療されるべき被験体に関連する種々の要因および状態、ならびに障害の重症度に依存する。例えば、ビヒクルまたは抗ヒトB7RP1ヒト抗体がインビボで投与されると、患者の年齢、体重および健康状態のような要因、ならびに前臨床動物試験において得られた用量応答曲線および毒性データが考慮される。この作用因子が、インビトロで細胞と接触されると、当業者はまた、取り込み、半減期、用量、毒性などのパラメーターを評価するために、種々の前臨床インビトロ研究を設計する。所与の作用因子についての有効量または治療的有効量の決定は、当業者の能力の十分な範囲内にある。
【0073】
用語「B7RP1関連タンパク質−1」および「B7RP1」は、本明細書中で使用するとき、全ての哺乳動物種の天然配列B7RP1として定義され、参照により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO00/46240に説明されている。
【0074】
用語「実質的に純粋な」または「実質的に精製された」は、本明細書中で使用するとき、主な種である化合物または種が存在する(即ち、モル基準で、この組成物における任意の他の個々の種よりもこれが豊富である)ことを意味する。ある種の実施形態では、実質的に精製されたフラクションとは、存在する全ての巨大分子種のうちの少なくとも約50パーセント(モル基準で)でこの種が構成する組成物である。ある種の実施形態では、実質的に純粋な組成物は、この組成物中に存在する全ての巨大分子種のうち約80%、85%、90%、95%または99%より多く含む。ある種の実施形態では、この種は、本質的に均一まで精製され(混入する種は、慣用的な検出法ではこの組成物中に検出することができない)、この組成物は、本質的に単一の巨大分子種からなる。
【0075】
用語「患者」は、ヒトおよび動物の被験体を含む。
【0076】
「処置」または「処置する」とは、治療的処置および予防的(prophylactic)手段または予防的(preventative)手段の両方をいう。処置が必要なものとしては、既に障害を有するもの、ならびに障害を有する傾向にあるもの、または障害が防止されるべきものが挙げられる。
【0077】
文脈によって他に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は単数形を含む。
【0078】
本発明のある種の実施形態によれば、B7RP1に対する抗体は、限定されないが、上述したものを含む、免疫系障害および免疫系疾患を処置するために用いることができる。
【0079】
本発明の一態様では、ヒトB7RP1に対して惹起され、これへの結合に関して生物学的および免疫学的特異性を有する完全なヒトモノクローナル抗体が提供される。本発明の別の態様では、重鎖および軽鎖免疫グロブリン分子のアミノ酸配列、特にこの可変領域に対応する配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸が提供される。本発明のこの態様の特定の実施形態は、本発明によって提供される重鎖および軽鎖の相補性決定領域(CDR)、具体的にはCDR1からCDR3に対応する配列である。本発明のさらに別の態様では、免疫グロブリン分子および抗体、例えば、本発明のモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞および細胞株が提供される。本発明はまた、生物学的および免疫学的に精製された抗体の調製物、例えば、ヒトB7RP1に対して惹起されて、これへの結合に関して生物学的および免疫学的特異性を有するモノクローナル抗体の調製物を提供する。
【0080】
酵母人工染色体(YAC)におけるメガベースサイズのヒト遺伝子座をクローニングおよび再構築し、マウス生殖系列にこれらを導入する能力によって、非常に大きいかまたはおおまかにマッピングされた遺伝子座の機能的構成要素を解明し、ヒト疾患の有用なモデルを生成するために有利なアプローチが提供される。さらに、ヒト同等物でのマウス遺伝子座の置換にこのような技術を利用することによって、発生中のヒト遺伝子産物の発現および調節、他の系とのこれらの関連、ならびに疾患誘導および進行におけるこの関与に対する固有の洞察が提供される。
【0081】
このようなストラテジーの重要な実際的な適用は、マウス体液性免疫系の「ヒト化」である。内因性Ig遺伝子が不活性化されているマウスへのヒト免疫グロブリン(Ig)遺伝子座の導入によって、抗体のプログラムされた発現およびアセンブリーの基調をなすメカニズム、ならびにB細胞発生におけるこの役割を研究する機会が与えられる。さらに、このようなストラテジーによって、完全なヒトモノクローナル抗体(MAb)の産生の供給源が得られる。
【0082】
用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に実質的に対応する可変領域および定常領域を有する抗体を含む。ある種の実施形態では、ヒト抗体は、限定されないが、マウスおよびラットなどのげっ歯類、およびウサギなどのウサギ目の動物を含む非ヒト哺乳動物において産生される。ある種の実施形態では、ヒト抗体は、ハイブリドーマ細胞において産生される。ある種の実施形態では、ヒト抗体は組換え的に産生される。
【0083】
抗体に関連して用語「組換え体」は、組換え手段によって調製、発現、作製または単離される抗体を含む。代表的な例としては、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現される抗体、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアル・ヒト抗体ライブラリー、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,et al.,1992,Nucl.Acids.Res.20:6287−6295を参照されたい);または、他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを伴う任意の手段によって、調製、発現、作製または単離された抗体が挙げられる。このような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。
【0084】
ヒト抗体は、ヒトの治療において用いるために、非ヒト抗体およびキメラ抗体を超える少なくとも3つの利点を有する。
【0085】
1)抗体のエフェクター部分がヒトであるため、ヒト抗体は、ヒト免疫系の他の部分と良好に相互作用することができる(例えば、補体依存性細胞毒性(CDC)または抗体依存性細胞毒性(ADCC)によって標的細胞をより効率的に破壊する);
2)ヒト免疫系は、ヒト抗体を外来としては認識しないはずであり、したがって、このような注射された抗体に対する抗体応答は、全体的に外来の非ヒト抗体または部分的に外来のキメラ抗体に対する場合よりも少ないはずである;
3)注射された非ヒト抗体は、ヒト抗体の半減期よりもかなり短いヒトの循環での半減期を有することが報告されている。注射されたヒト抗体は、天然に存在するヒト抗体に対して本質的に同一の半減期を有し、より少量で頻度の少ない投薬量で与えることが可能になる。
【0086】
このようにして、完全なヒト抗体は、マウスまたはマウス由来のMAbに固有の免疫原性およびアレルギー応答を最小化すること、これによって投与された抗体の有効性および安全性を増加することが期待される。したがって、本発明の完全なヒト抗体は、不適切な免疫応答と関連した疾患および障害の処置において用いることができ、この処置は反復性の抗体投与を必要とする。したがって、本発明の抗B7RP1抗体の1つの特定の利点は、この抗体が完全なヒト抗体であり、ヒト抗マウス抗体または他の以前に記載された非ヒト種由来の不完全なヒト抗体と共通に関連する有害反応を最小限にしながら、非急性の方法で患者に投与できるということである。
【0087】
当業者は、ヒトIg遺伝子座の大きい断片を用いて、マウス抗体産生を欠損したマウス株を操作することが可能であり、この結果、このようなマウスは、マウス抗体の非存在下でヒト抗体を産生する。大きなヒトIg断片は、可変性の大きい遺伝子多様性、ならびに抗体産生および発現の適切な調節を保存し得る。抗体多様化および選択ならびにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容の欠失についてマウス細胞機構を利用することによって、これらのマウス株において再生されたヒト抗体レパートリーにより、ヒト抗原を含む目的の任意の抗原に対する高親和性抗体が得られる。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを生成および選択することができる。
【0088】
内因性の免疫グロブリン産生が存在しない状況において、ヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を使用してよい。例えば、このような生殖細胞系列変異マウスにおけるヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子アレイの移入によって、抗原負荷の際にヒト抗体の産生が生じる(例えば、Jakobovits et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−2555;Jakobovits et al.,1993,Nature 362:255−258;Bruggemann et al.,1993,Year in Immun.7:33,1994,Nature 148:1547−1553,1996,Nature Biotechnology 14:826;Gross et al.,2000,Nature 404:995−999;ならびに米国特許第5,877,397号、同第5,874,299号、同第5,814,318号、同第5,789,650号、同第5,770,429号、同第5,661,016号、同第5,633,425号、同第5,625,126号、同第5,569,825号および同第5,545,806号(各々が、全ての目的のために全体として、参照により本明細書中に組み込まれる)を参照されたい)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーで産生することもできる(Hoogenboom and Winter,1992,J.Mol.Biol.227:381;Marks et al.,1991,J.Mol.Biol.222:581)。ColeらおよびBoernerらの技術はまた、ヒトモノクローナル抗体の調製のために利用可能である(Cole et al.,1985,MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY ALAN R.Liss,p.77;およびBoerner et al.,1991,J.Immunol.147:86−95)。
【0089】
組換えヒト抗体はまた、インビトロ変異誘発(または、ヒトIg配列に関してトランスジェニックな動物を用いる場合、インビボ体細胞変異)に供され、したがって、組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVおよびV配列に関連するアミノ酸配列に由来するが、インビボではヒト抗体の生殖細胞系列レパートリー内に天然では存在しない配列である。
【0090】
ある種の実施形態では、当業者は、ヒト以外の種由来の定常領域をヒト可変領域とともにこのようなマウスに用いて、キメラ抗体を産生することができる。
【0091】
二重特異性抗体または二機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖の対および2つの異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、限定されないが、ハイブリドーマの融合またはF(ab’)断片の連結を含む様々な方法によって産生されてよい。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。
【0092】
本発明は、ヒトB7RP1に結合する抗体を提供する。これらの抗体は、全長のB7RP1またはこの断片を用いた免疫によって産生され得る。本発明の抗体は、ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体であってもよく、および/または組換え抗体であってよい。好ましい実施形態では、本発明の抗体は、例えば、ヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物の免疫によって調製されるヒト抗体である(例えば、国際特許出願公開WO93/12227を参照されたい)。
【0093】
本発明の抗B7RP1抗体の軽鎖および重鎖の可変領域の相補性決定領域(CDR)は、同じ種または別の種由来のフレームワーク領域(FR)にグラフトされてよい。ある種の実施形態では、抗B7RP1抗体の軽鎖および重鎖の可変領域のCDRは、コンセンサスなヒトFRにグラフトされてよい。コンセンサスなヒトFRを作製するために、いくつかのヒト重鎖または軽鎖のアミノ酸配列由来のFRを整列させて、コンセンサスなアミノ酸配列を同定する。抗B7RP1抗体の重鎖または軽鎖のFRは、異なる重鎖または軽鎖由来のFRで置換することができる。抗B7RP1抗体の重鎖および軽鎖のFRにおける稀なアミノ酸は、典型的には、置換されないが、残りのFRアミノ酸は置換されてよい。稀なアミノ酸とは、FRにおいて、通常、見出されない位置にある特定のアミノ酸である。本発明の抗B7RP1抗体由来のグラフトされた可変領域は、抗B7RP1抗体の定常領域とは異なる定常領域とともに用いることができる。または、グラフトされた可変領域は、一本鎖のFv抗体の一部である。CDRグラフティングは、任意の目的のために参照により本明細書中に組み込まれる、例えば、米国特許第6,180,370号、同第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号および同第5,530,101号に説明されている。
【0094】
本発明の抗体は、マウスの抗体産生細胞に挿入されたヒト抗体産生遺伝子座の実質的な部分を有しており、内因性マウス抗体の産生を欠損するようにさらに操作されているトランスジェニックマウスを用いて調製され得る。このようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子および抗体を産生することができ、マウスの免疫グロブリン分子および抗体を産生しないかまたはこの実質的に少ない量を産生する。この結果を達成するために利用される技術は、本明細書に開示された特許、出願および参考文献に開示されている。ある種の実施形態では、当業者は、任意の目的のために参照により本明細書中に組み込まれる、国際特許出願公開WO98/24893に開示されるような方法を採用してよい。任意の目的のために参照により本明細書中に組み込まれる、Mendez et al.,1997,Nature Genetics 15:146−156も参照されたい。
【0095】
本発明のモノクローナル抗体(mAb)は、慣例のモノクローナル抗体方法論、例えば、Kohler and Milstein(1975,Nature 256:495)の標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術を含む、種々の技術によって産生することができる。モノクローナル抗体を産生するための他の技術、例えば、Bリンパ球のウイルスまたは発癌性形質転換を使用することもできる。
【0096】
ハイブリドーマを調製するための例示的な動物系は、マウスである。マウスにおけるハイブリドーマ産生は、当分野において知られ、免疫化プロトコール、および融合のための免疫された脾細胞の単離技術はまた、当分野において知られている。融合パートナー(例えば、マウス骨髄腫細胞)および融合手法はまた知られている。
【0097】
ある種の実施形態では、B7RP1に指向するヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫系の一部を担持するトランスジェニックマウスを用いて生成することができる。これらのトランスジェニックマウスは、本明細書において「HuMab」マウスと呼ばれ、再配列されていないヒト重鎖(μおよびγ)およびκ軽鎖の免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子ミニ遺伝子座を、内因性μおよびκ鎖遺伝子座を不活性化する標的化変異とともに含む(Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859)。したがって、このマウスは、マウスIgMまたはκの発現の低下を示し、免疫に応答して、導入されたヒト重鎖および軽鎖の導入遺伝子は、クラススイッチングおよび体細胞性の変異を受けて高親和性のヒトIgG κモノクローナル抗体を産生する(Lonberg et al.,上述;Lonberg and Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;Harding and Lonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci.764:536−546)。HuMabマウスの調製は、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Res.20:6287−6295;Chen et al.,1993,International Immunology 5:647−656;Tuaillon et al.,1994,J.Immunol.152:2912−2920;Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−859;Lonberg,1994,Handbook of Exp.Pharmacology 113:49−101;Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579−591;Lonberg & Huszar,1995,Intern.Rev.Immunol.13:65−93;Harding & Lonberg,1995,Ann.N.Y.Acad.Sci 764:536−546;Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845−851に詳細に説明され、これら全ての内容は、全体として参照により本発明中に組み込まれる。さらに、全てがLonbergおよびKayに対する米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号および第5,770,429号、ならびに、全ての開示が全体として参照により本明細書中に組み込まれる、Suraniらの米国特許第5,545,807号;1993年6月24日公開の国際特許出願公開WO93/1227;1992年12月23日公開のWO92/22646;および1992年3月19日公開のWO92/03918を参照されたい。または、以下の実施例に記載されたトランスジェニックマウス株が、ヒト抗B7RP1抗体を産生するために用いられてよい。
【0098】
本発明は、生物活性のヒトB7RP1ポリペプチドに特異的であり、これを中和するヒトモノクローナル抗体を提供する。また、B7RP1ポリペプチドに非常に特異的であり、これに結合したときにこれを中和する、抗体の重鎖および軽鎖のアミノ酸配列も提供される。この高い特異性によって、抗ヒトB7RP1ヒト抗体および同様の特異性を有するヒトモノクローナル抗体は、B7RP1関連疾患の有効な免疫療法となる。
【0099】
一態様では、本発明は、本明細書に提供される16H抗体と同じかまたは本質的に同じエピトープに結合する単離されたヒト抗体を提供する。
【0100】
一態様では、本発明は、配列番号1から40または44から58に示される少なくとも1つのアミノ酸配列を含む単離されたヒト抗体であって、高親和性でB7RP1ポリペプチドエピトープに結合し、B7RP1ポリペプチド活性を拮抗する能力を有する抗体を提供する。これらの抗体は、本明細書の実施例に示される抗B7RP1抗体と同じかまたは本質的に同じエピトープに結合することができる。
【0101】
ある種の実施形態では、単離された抗体は、約10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M以下の解離定数(K)でB7RP1ポリペプチドに結合して、約10−6M、10−7M、10−8M、10−9M以下のEC50でインビトロ中和アッセイにおいてB7RP1誘導の生存を阻害する。前述の結合および中和基準を満たす抗ヒトB7RP1ヒト抗体の実施例が、本明細書中に提供される。
【0102】
ある種の実施形態では、本発明の抗ヒトB7RP1ヒト抗体は、本明細書中では、16H、16Hg(生殖細胞系列)、5D、2H、2Hg(生殖細胞系列)、15H、41H、および43Hと呼ばれる。抗体16Hは、それぞれ配列番号7および配列番号1に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体16Hgは、それぞれ配列番号1および配列番号8に示される可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)ポリペプチド配列を含む。抗体5Dは、それぞれ配列番号2および配列番号9に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体2Hは、それぞれ配列番号3および配列番号10に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体2Hgは、それぞれ配列番号3および配列番号11に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体15Hは、それぞれ配列番号4および配列番号12に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体41Hは、それぞれ配列番号5および配列番号13に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。抗体43Hは、それぞれ配列番号6および配列番号14に示されるVおよびVポリペプチド配列を含む。本発明の抗ヒトB7RP1ヒト抗体の特性は、実施例に具体的に開示されている。特に着目すべきことは、B7RP1ポリペプチドについての高親和性、および本明細書中に実証されるB7RP1ポリペプチド活性を拮抗する高い能力である。
【0103】
抗ヒトB7RP1ヒト抗体の解離定数(K)は、以下の実施例に一般的に記載される表面プラズモン共鳴によって測定することができる。一般的には、表面プラズモン共鳴分析は、BIAcore(登録商標)システム(Pharmacia Biosensor,Piscataway,NJ)を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)によって、リガンド(バイオセンサーマトリックス上に固定された組換えB7RP1ポリペプチド)と分析物(溶液中の抗体)との間のリアルタイムの結合相互作用を測定する。表面プラズモン分析はまた、分析物(バイオセンサーマトリックス上の抗体)を固定して、リガンド(溶液中の組換え体V)を呈することによっても行うことができる。抗ヒトB7RP1ヒト抗体の解離定数(K)はまた、KinExA方法論を用いることによって測定することができる。本発明のある種の実施形態では、抗体は、約10−5M、10−6M、10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12MのKでB7RP1に結合する。用語「K」は、本明細書中で使用するとき、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を指すことが意図される。本発明の目的のために、Kは、以下の実施例に示されるように測定した。
【0104】
ある種の実施形態では、本発明の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプの抗体である。抗体は、IgG2またはIgG1アイソタイプであってよい。他の実施形態では、本発明の抗体は、IgM、IgA、IgE、またはIgDアイソタイプであってよい。本発明のある種の実施形態では、この抗体は、ヒトカッパ軽鎖およびヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4重鎖を含む。IgG1またはIgG2重鎖の定常領域を含む本発明の抗体の発現は、以下の実施例に記載されている。特定の実施形態では、抗体の可変領域は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4アイソタイプの定常領域以外の定常領域に連結される。ある種の実施形態では、本発明の抗体は、哺乳動物細胞における発現のためにクローニングされている。
【0105】
ある種の実施形態では、抗B7RP1抗体の重鎖および軽鎖に対する保存的改変(およびヌクレオチドをコードする対応する改変)は、本明細書に開示される抗B7RP1抗体の特徴に類似した機能的および化学的特徴を有する抗B7RP1抗体を生成する。対照的に、抗B7RP1抗体の機能的および/または化学的特徴における実質的な改変は、(a)置換の領域における分子骨格の構造、例えば、シートまたはらせん構造、(b)標的部位での分子の荷電もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルク、の維持に対する効果が有意に異なる重鎖および軽鎖のアミノ酸配列の置換を選択することによって達成することができる。
【0106】
例えば、「保存的アミノ酸置換」とは、この位置でのアミノ酸残基の極性または荷電に対して影響がほとんどないかまたは全くないような天然にない残基による天然のアミノ酸残基を置換することを含んでよい。さらに、ポリペプチド中の任意の天然の残基はまた、「アラニンスキャニング変異誘発」について前述している通りにアラニンで置換されてよい。
【0107】
アミノ酸置換(保存的であるかまたは非保存的であるかにかかわらず)は、このような置換が所望される時点で当業者によって決定することができる。ある種の実施形態では、アミノ酸置換を用いて、B7RP1に対する抗体の結合特異性および/または親和性に関与する抗B7RP1抗体のアミノ酸残基(例えば、特定のエピトープに対する抗体の結合に関与する残基)、例えば、本明細書に開示される軽鎖または重鎖のCDR1、CDR2および/またはCDR3領域におけるアミノ酸残基を同定することができる。このようなアミノ酸置換は、本明細書中に記載される抗B7RP1抗体の親和性を増加または低下させることができる。
【0108】
アミノ酸配列における些細な変化、例えば、1個、数個またはさらに複数個のアミノ酸の欠失、付加または置換は、実質的に同一の特性を有するもとのタンパク質の対立遺伝子型をもたらす。したがって、本明細書に具体的に記載される抗体に加えて、他の「実質的に相同な」抗体は、当業者に周知の種々の組換えDNA技術を利用して容易に設計し、製造することができる。一般的には、遺伝子の改変は、部位指向性変異誘発などの種々の周知技術によって容易に達成することができる。したがって、本発明は、本明細書に開示される抗B7RP1ヒト抗体に実質的に類似した特徴を有する「改変体」または「変異体」の抗B7RP1ヒト抗体を意図する(例えば、全てが参照により本明細書中に組み込まれる国際公開WO00/56772を参照されたい)。このように、抗B7RP1ヒト抗体に関して「改変体」または「変異体」という用語は、任意の結合分子(分子X)を意味し、(i)重鎖の超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3または軽鎖の超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を全体として見れば、それぞれ配列番号15から配列番号26または配列番号27から配列番号40に示される超可変領域に対して、少なくとも約80%相同であり、少なくとも約90%相同であり、または少なくとも約95%相同であり、(ii)改変体または変異体は、分子Xと同一のフレームワーク領域を有する参照の抗B7RP1ヒト抗体と同程度までヒトB7RP1の活性を阻害することができる。このような抗体は、ヒトB7RP1またはマウスB7RP1またはこの両方に結合することができる。マウスB7RP1配列は、参照により組み込まれる国際公開WO00/46240に記載されている。
【0109】
通常、抗B7RP1ヒト抗体の改変体は、軽鎖および/または重鎖のCDRであって、全体として見れば、それぞれ配列番号15から配列番号26および/または配列番号27から配列番号40に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約91%の配列同一性、少なくとも約92%の配列同一性、少なくとも約93%の配列同一性、少なくとも約94%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する前記CDRを有する。このような抗体は、ヒトB7RP1またはマウスB7RP1またはこの両方に結合することができる。
【0110】
抗B7RP1ヒト抗体の改変体は、軽鎖可変領域であって、全体として見れば、配列番号1から配列番号6に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約81%の配列同一性、少なくとも約82%の配列同一性、少なくとも約83%の配列同一性、少なくとも約84%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約86%の配列同一性、少なくとも約87%の配列同一性、少なくとも約88%の配列同一性、少なくとも約89%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約91%の配列同一性、少なくとも約92%の配列同一性、少なくとも約93%の配列同一性、少なくとも約94%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域、および/または重鎖可変領域であって、全体として見れば、配列番号7から配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性、少なくとも約75%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約81%の配列同一性、少なくとも約82%の配列同一性、少なくとも約83%の配列同一性、少なくとも約84%の配列同一性、少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約86%の配列同一性、少なくとも約87%の配列同一性、少なくとも約88%の配列同一性、少なくとも約89%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約91%の配列同一性、少なくとも約92%の配列同一性、少なくとも約93%の配列同一性、少なくとも約94%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域を有する。このような抗体は、ヒトB7RP1および/またはマウスB7RP1に結合することができる。
【0111】
当業者に理解されるように、多くの潜在的なCDR接触残基は、他のアミノ酸による置換の影響を受けやすく、なお抗体が抗原に対する実質的な親和性を保持することを可能にしている。同様に、重鎖および軽鎖におけるCDRと接触していない多くのフレームワーク残基は、ヒト抗体の親和性または非免疫原性の有意な損失なしに、ヒトコンセンサスアミノ酸による他のヒト抗体の対応する位置からのアミノ酸置換、または他のマウス抗体からのアミノ酸置換が適応され得る。種々の別のアミノ酸の選択を用いて、親和性、特異性、非免疫原性、製造容易性、および他の所望の特性の種々の組み合わせを有する開示される抗B7RP1抗体およびこの断片のバージョンを生成することができる。
【0112】
ポリヌクレオチドに関して「改変体」とは、本発明のポリヌクレオチド配列と少なくとも約75%の核酸配列同一性を有する核酸分子を指すことが意図される。通常、ポリヌクレオチド改変体は、本明細書に開示される新規な核酸配列に対して、少なくとも約75%の核酸配列同一性、少なくとも約80%の核酸配列同一性、少なくとも約81%の核酸配列同一性、少なくとも約82%の核酸配列同一性、少なくとも約83%の核酸配列同一性、少なくとも約84%の核酸配列同一性、少なくとも約85%の核酸配列同一性、少なくとも約86%の核酸配列同一性、少なくとも約87%の核酸配列同一性、少なくとも約88%の核酸配列同一性、少なくとも約89%の核酸配列同一性、少なくとも約90%の核酸配列同一性、少なくとも約91%の核酸配列同一性、少なくとも約92%の核酸配列同一性、少なくとも約93%の酸配列同一性、少なくとも約94%の核酸配列同一性、少なくとも約95%の核酸配列同一性、少なくとも約96%の核酸配列同一性、少なくとも約97%の核酸配列同一性、少なくとも約98%の核酸配列同一性、または少なくとも約99%の核酸配列同一性を有する。
【0113】
代替の実施形態では、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株に発現させることができる。これらの実施形態では、適切な哺乳動物の宿主細胞の形質転換のために、特定の抗体をコードする配列を用いてよい。これらの実施形態によれば、米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号および同第4,959,455号(全てが任意の目的のために参照により本明細書中に組み込まれる)に例示されているように、例えば、ウイルス(またはウイルスベクター)にポリヌクレオチドを組み込んで、このウイルス(またはベクター)によって宿主細胞を形質導入する方法、または当分野において知られているトランスフェクション手法による方法などを含む宿主細胞にポリヌクレオチドを導入する任意の既知の方法を用いて、形質転換を達成することができる。一般的に、用いられる形質転換手法は、形質転換されるべき宿主に依存し得る。哺乳動物細胞に異種ポリヌクレオチドを導入する方法は、当分野において周知であり、限定されないが、デキストラン媒介によるトランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介によるトランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソームへのポリヌクレオチドのカプセル化、および核へのDNAの直接的なマイクロインジェクションを含む。
【0114】
本発明の抗B7RP1抗体の重鎖定常領域、重鎖可変領域、軽鎖定常領域、または軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸分子は、標準的な連結技術を用いて適切な発現ベクターに挿入される。一実施形態では、抗B7RP1抗体の重鎖または軽鎖の定常領域を適切な可変領域のC末端に付加して、発現ベクターに連結させる。このベクターは、典型的には、採用される特定の宿主細胞において機能的である(即ち、このベクターは、遺伝子の増幅および/または遺伝子の発現が生じ得るように宿主細胞の機構に適切である)ように選択される。発現ベクターの概説については、METHODS IN.ENZYMOLOGY 185(Goeddel,ed.),1990,Academic Pressを参照されたい。
【0115】
典型的には、任意の宿主細胞において用いられる発現ベクターは、プラスミド維持のため、ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含む。このような配列は、総称的に「隣接配列」と呼ばれ、ある種の実施形態では、典型的には、下記のヌクレオチド配列の1以上を含む:プロモーター、1以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライス部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のためのリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるべきポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、および選択可能なマーカーエレメント。これらの配列の各々は、以下に検討される。
【0116】
場合により、ベクターは、「タグ」コード配列、即ち、抗B7RP1抗体ポリペプチドコード配列の5’末端または3’末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含んでよい;このオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(例えば、hexaHis)、または別の「タグ」、例えば、FLAG、HA(インフルエンザウイルス血球凝集素)、またはmycをコードし、これらについては、市販の抗体が存在する。このタグは、典型的には、ポリペプチドの発現の際にポリペプチドに融合され、宿主細胞からの抗B7RP1抗体のアフィニティー精製または検出のための手段として役立つ。アフィニティー精製は、例えば、アフィニティマトリックスとしてタグに対する抗体を用いるカラムクロマトグラフィーによって達成することができる。場合により、その後、タグは、種々の手段によって、例えば、切断のために特定のペプチダーゼを用いることによって、精製された抗B7RP1抗体ポリペプチドから取り出すことができる。
【0117】
隣接配列は、相同(即ち、宿主細胞と同種および/または菌株由来)、異種(即ち、宿主細胞種または菌株以外の種由来)、ハイブリッド(即ち、2以上の供給源由来の隣接配列の組み合わせ)、合成または天然であってよい。したがって、隣接配列の供給源は、この隣接配列が機能的であり、宿主細胞の機構によって活性化され得るという条件で、任意の原核生物であっても、または真核生物であっても、任意の脊椎動物もしくは無脊椎動物であっても、または任意の植物であってよい。
【0118】
本発明のベクターに有用な隣接配列は、当分野において周知の任意のいくつかの方法によって得ることができる。典型的には、本明細書において有用な隣接配列は、マッピングによって、および/または制限エンドヌクレアーゼ消化によってこれまでに同定されており、したがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを用いて適切な組織供給源から単離できる。ある場合には、隣接配列の全ヌクレオチド配列は知られてよい。ここでは、隣接配列は、核酸合成またはクローニングのために、本明細書中に記載される方法を用いて合成することができる。
【0119】
隣接配列の全てまたは一部だけが知られているかにかかわらず、これは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、および/または適切なプローブ、例えば、同種もしくは別の種由来のオリゴヌクレオチドおよび/または隣接配列断片を用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって得ることができる。隣接配列が知られていない場合、隣接配列を含有するDNAの断片は、例えば、コード配列またはさらに別の遺伝子を含んでよいDNAのより大きい小片から単離することができる。単離は、適切なDNA断片を生成するための制限エンドヌクレアーゼ消化を行い、その後、アガロースゲル精製、Qiagen(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,CA)、または当業者に知られている他の方法を用いて単離することによって達成できる。この目的を達成するための適切な酵素の選択は、当業者に容易に明らかとなる。
【0120】
複製起点は、典型的には、市販の原核生物発現ベクターの一部であり、この起点は宿主細胞においてベクターの増幅を補助する。最適なベクターが複製起点の部位を含有しない場合、既知の配列に基づいて化学的に合成し、ベクターに連結してよい。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,MA)由来の複製起点は、大部分のグラム陰性細菌に適切であり、種々のウイルス起点(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、またはHPVまたはBPVなどのパピローマウイルス)は、哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般的に、複製起点の構成要素は、哺乳動物の発現ベクターに必要ではない(例えば、SV40起点は、多くの場合、ウイルス初期プロモーターも含有するため、単独で用いられる)。
【0121】
転写終結配列は、典型的には、ポリペプチドコード領域の末端に対して3’側に位置し、転写を終了させるように機能する。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cに富んだ断片であり、ポリT配列が続く。この配列は、ライブラリーから容易にクローニングされるかまたはベクターの一部として市販もされているが、本明細書に記載の方法などの核酸合成の方法を用いて容易に合成することもできる。
【0122】
選択マーカー遺伝子は、選択培地において増殖される宿主細胞の生存および増殖に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)原核生物の宿主細胞では、抗生物質または他のトキシン、例えば、アンピシリン、テトラサイクリンもしくはカナマイシンに対する耐性を付与する;(b)細胞の栄養要求性欠損を補完する;または(c)複合培地または合成培地から利用できない重要な栄養物を供給するタンパク質をコードする。例示的な選択マーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子およびテトラマイシン耐性遺伝子である。有利には、ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物および真核生物の宿主細胞の両方における選択のために用いることができる。
【0123】
発現される遺伝子を増幅するために、他の選択遺伝子が用いられてよい。増幅とは、成長または細胞の生存に重要なタンパク質の産生に必要な遺伝子が、組換え細胞の連続的世代の染色体内において縦列で反復されているプロセスである。哺乳動物細胞に適切な選択マーカーの例としては、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子およびプロモーターなしのチミジンキナーゼ遺伝子が挙げられる。ベクターに存在する選択遺伝子によって形質転換体だけが生存するように固有に適合されるという選択圧力下に、哺乳動物の細胞形質転換体を置く。選択圧力は、培地中の選択因子の濃度が連続的に増大される条件下で形質転換細胞を培養することによって付与され、これによって、選択遺伝子と別の遺伝子、例えば、B7RP1ポリペプチドに結合する抗体をコードするDNAとの両方の増幅がもたらされる。結果として、抗B7RP1抗体などのポリペプチドの増加量は、増幅されたDNAから合成される。
【0124】
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガーノ配列(原核生物)またはKozak配列(真核生物)によって特徴付けられる。このエレメントは、典型的には、プロモーターの3’側および発現されるべきポリペプチドのコード配列の5’側に位置される。
【0125】
真核生物の宿主細胞発現系においてグリコシル化が望まれる場合などのいくつかの場合においては、グリコシル化または収量を改善するために種々のプレ配列またはプロ配列を操作してよい。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ切断部位を変更してもよく、またはグリコシル化に影響するプロ配列を付加してよい。最終のタンパク質産物は、(成熟タンパク質の第一アミノ酸に対して)−1位に、発現に付随する1以上のさらなるアミノ酸を有してもよく、これは全体的に除去されていなくてよい。例えば、最終のタンパク質産物は、アミノ末端に結合されたペプチダーゼ切断部位に見出される1または2個のアミノ酸残基を有してよい。または、酵素が成熟ポリペプチド内のこのような領域で切断する場合、いくつかの酵素切断部位の使用によって、所望のポリペプチドのわずかに短縮された形態が生じ得る。
【0126】
本発明の発現ベクターおよびクローニングベクターは、典型的には、宿主生物によって認識され、抗B7RP1抗体をコードする分子に操作可能に連結されているプロモーターを含有する。プロモーターは、この構造遺伝子の転写を調節する構造遺伝子の開始コドンに対して上流(即ち、5’側)(一般的には、約100から1000bp内)に位置する非転写配列である。プロモーターは、2つのクラス:誘導性プロモーターおよび構成的プロモーターのうちの1つに従来分類される。誘導性プロモーターは、栄養物の有無または温度の変化などの培養条件におけるいくつかの変化に応答して、これらの制御下でDNAから増加したレベルの転写を開始する。他方、構成的プロモーターは、これらが操作可能に連結されている遺伝子を均一に転写し、つまり、遺伝子発現に対する制御がほとんどないかまたは全くない。種々の潜在的な宿主細胞によって認識される多数のプロモーターは周知である。適切なプロモーターは、制限酵素消化によって供給源のDNAからプロモーターを除去して、このベクターに所望のプロモーター配列を挿入することによって、本発明の抗B7RP1抗体を含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに操作可能に連結される。
【0127】
酵母宿主との使用に適切なプロモーターもまた、当分野において周知である。酵母エンハンサーは、有利には、酵母プロモーターとともに用いられる。哺乳動物の宿主細胞とともに使用に適切なプロモーターは周知であり、限定されないが、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス2)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスおよびシミアンウイルス40(SV40)などのウイルスのゲノムから得られるプロモーターを含む。他の適切な哺乳動物プロモーターには、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーターが含まれる。
【0128】
対象となり得るさらなるプロモーターには、限定されないが、下記が含まれる。SV40初期プロモーター(Bernoist and Chambon,1981,Nature 290:304−10);CMVプロモーター(Thomsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:659−663);ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto et al.,1980,Cell 22:787−97);ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1444−45);メタロチオネイン遺伝子由来のプロモーターおよび調節配列(Brinster et al.,1982,Nature 296:39−42);ならびに原核生物プロモーター、例えば、β−ラクタマーゼプロモーター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl,Acad.Sci.U.S.A.,75:3727−31);またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad Sci.U.S.A.,80:21−25)。また対象となるものは、組織特異性を示し、トランスジェニック動物に利用されている、下記の動物転写制御領域である。膵臓の腺房細胞において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell 38:639−46;Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409(1986);MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515);膵臓β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22);リンパ系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−58;Adames et al.,1985,Nature 318:533−38;Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol.,7:1436−44);精巣、乳房、リンパ系細胞および肥満細胞において活性なマウス哺乳動物腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−95);肝臓で活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−76);肝臓において活性なα−フェト−プロテイン遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−48;Hammer et al.,1987,Science 235:53−58);肝臓において活性なα1−抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−71);骨髄性細胞において活性なβ−グロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:338−40;Kollias et al.,1986,Cell 46:89−94);脳における乏突起膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−12);骨格筋において活性であるミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86);および視床下部において活性な生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−78)。
【0129】
エンハンサー配列をベクターに挿入して、高等真核生物によって本発明の抗B7RP1抗体を含む軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加することができる。エンハンサーは、プロモーター上で転写を増加するように作用する、通常、約10から300bpの長さのDNAのシス作用性エレメントである。エンハンサーは、相対的に、配向および位置に依存し、転写単位の5’および3’の両方の位置で見出されている。哺乳動物の遺伝子から利用可能ないくつかのエンハンサー配列は知られている(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェト−プロテインおよびインスリン)。しかしながら、典型的には、ウイルス由来のエンハンサーが用いられる。当分野において知られるSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化のための例示的な増強エレメントである。エンハンサーは、ベクター中でコード配列の5’または3’のいずれに位置してよいが、典型的には、プロモーターから5’部位に位置する。
【0130】
本発明の発現ベクターは、市販のベクターなどの開始ベクターから構築されてよい。このようなベクターは、所望の隣接配列の全てを含有してもよくまたは含有しなくてよい。本明細書中に記載される1以上の隣接配列は、既にベクターに存在しないが、この隣接配列を個々に入手してベクターに連結してよい。隣接配列の各々を得るために用いられる方法は、当業者に周知である。
【0131】
ベクターが構築され、軽鎖、重鎖、または抗B7RP1抗体を含む軽鎖および重鎖をコードする核酸分子が、このベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターを増幅および/またはポリペプチド発現のために適切な宿主細胞に挿入してよい。選択された宿主細胞への抗B7RP1抗体についての発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAEデキストラン媒介のトランスフェクション、または他の既知の技術を含む周知方法によって達成することができる。選択される方法は、一部には、用いられる宿主細胞のタイプの作用である。これらの方法および他の適切な方法は、当業者に周知であり、例えば、Sambrookら(上述)に記載されている。
【0132】
宿主細胞は、適切な条件下で培養された場合、抗B7RP1抗体を合成し、その後、培地から(宿主細胞が培地中に抗体を分泌する場合)、またはこの抗体を産生する宿主細胞から直接(抗体が分泌されない場合)回収することができる。適切な宿主細胞の選択は、種々の要因、例えば、所望の発現レベル、活性のために所望されるかまたは必要であるポリペプチド改変(例えば、グリコシル化またはリン酸化)および生物学的に活性な分子への折り畳みの容易さに依存する。
【0133】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物の細胞株は、当分野において周知であり、限定されないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株が挙げられ、限定されないが、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ハムスター仔の腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)および多数の他の細胞株が挙げられる。ある種の実施形態では、どの細胞株が高い発現レベルを有し、B7RP1結合特性を有する抗体を構成的に生成するかを決定することを通じて、細胞株を選択することができる。別の実施形態では、それ自体の抗体を生成しないが、異種の抗体を作製および分泌する能力を有するB細胞系列由来の細胞株を選択することができる。
【0134】
本発明の抗体は、生物学的サンプル中のB7RP1を検出するため、およびB7RP1タンパク質を産生する細胞または組織の同定のために有用である。B7RP1に特異的に結合する本発明の抗体は、B7RP1が介在した疾患の治療に有用であり得る。この抗体は、B7RP1を検出するため、およびB7RP1がB7RP1レセプターとの複合体を形成することを阻害するための結合アッセイにおいて用いることができる。B7RP1に結合して、他の結合化合物との相互作用をブロックするこの抗体は、B7RP1が介在した疾患の調節に治療的な用途を有し得る。ある種の実施形態では、B7RP1に対する抗体は、このレセプターに対するB7RP1結合をブロックし、B7RP1誘導性シグナル伝達カスケードの破壊を生じ得る。
【0135】
本発明はまた、本明細書に開示される障害または状態のいずれか1つなどの、患者におけるB7RP1発現の増加またはB7RP1に対する感受性の増加によって生じる障害または状態の処置のための薬物の製造における本発明の1つ以上の抗体の使用に関する。
【0136】
ある種の実施形態では、本発明は、医薬組成物であって、治療的に有効な量の1つまたは複数の本発明の抗体を、医薬的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存料および/またはアジュバントとともに含む医薬組成物を提供する。許容される製剤物質は、採用される投薬量および濃度において、レシピエントに非毒性である。好ましい実施形態では、治療的に有効な量の抗B7RP1抗体を含む医薬組成物が提供される。
【0137】
ある種の実施形態では、許容される製剤物質は、採用される投薬量および濃度でレシピエントに非毒性である。
【0138】
ある種の実施形態では、医薬組成物は、例えば、pH、浸透圧、粘度、清澄度、色調、等張性、臭気、無菌性、安定性、分解もしくは放出の速度、組成物の吸着もしくは浸透を、改変、維持または保存するための製剤物質を含んでよい。このような実施形態では、適切な製剤物質としては、限定されないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);抗菌剤;抗酸化剤(例えば、アルコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(例えば、ホウ酸塩、炭酸水素塩、Tris−HCl、クエン酸、リン酸または他の有機酸);バルク剤(例えば、マンニトールまたはグリシン);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン);充填剤;単糖類;二糖類;ならびに他の糖類(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);着色剤、香味料および希釈剤;乳化剤;親水性のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);保存料(例えば、塩化ベンズアルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポール);安定性強化剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);等張化剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、例えば塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトールソルビトール);輸送ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または医薬的アジュバントが挙げられる。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th Edition,(A.R.Gennaro,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
【0139】
ある種の実施形態では、最適な医薬組成物は、例えば、意図される投与経路、輸送様式および所望の投薬量に依存して、当業者によって決定される。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上述)を参照されたい。ある種の実施形態では、このような組成物は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、インビボでの放出の速度、およびインビボでのクリアランスの速度に影響し得る。
【0140】
ある種の実施形態では、医薬組成物における主なビヒクルまたは担体は、現実には水性であっても非水性であってよい。例えば、適切なビヒクルまたは担体は、非経口投与のための組成物中に共通の他の物質で補充された可能性がある、注射用水、生理食塩水または人工的な脳脊髄液であってよい。中性の緩衝化食塩水、または血清アルブミンと混合された食塩水は、さらに例示的なビヒクルである。ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、約pH7.0から8.5のTris緩衝液、または約pH4.0から5.5の酢酸塩緩衝液を含み、さらにソルビトール、スクロース、Tween−20および/またはこの適切な代替物を含んでよい。本発明のある種の実施形態では、抗B7RP1抗体の組成物は、所望の程度の純度を有する選択された組成物を最適の処方剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、上述)とともに、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で混合することによって保存のために調製され得る。さらに、ある種の実施形態では、抗B7RP1抗体産物は、スクロースなどの適切な賦形剤を用いて凍結乾燥剤として調合されてよい。
【0141】
本発明の医薬組成物は、非経口送達のために選択することができる。または、この組成物は、吸入のために、または経口などの消化管を通じた輸送のために選択されてよい。このような医薬的に許容される組成物の調製は、当分野の技術の範囲内である。
【0142】
処方成分は、投与部位に許容される濃度で存在する。ある種の実施形態では、緩衝剤を用いて、組成物を生理学的なpHで、またはわずかに低いpHで、典型的には、約5から約8のpH範囲内で維持される。
【0143】
非経口的投与を考慮する場合、本発明における使用のための治療組成物は、所望の抗B7RP1抗体を医薬的に許容されるビヒクル中に含む、発熱物質なしの非経口的に許容される水溶液の形態で提供されてよい。非経口注射のために特に適切なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、この滅菌蒸留水中に、抗B7RP1抗体が、適切に保存された無菌の等張性溶液として調合される。ある種の実施形態では、この調製物は、デポ注射を介して輸送できる産物の制御放出または徐放性放出を提供し得る、ある因子、例えば、注射用マイクロスフェア、生分解性(bio−erodible)粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ酪酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームとともに、所望の分子の調剤を含んでよい。ある種の実施形態では、循環中の持続期間を延長する効果を有する、ヒアルロン酸も用いることもできる。ある種の実施形態では、移植可能な薬物輸送デバイスを用いて、所望の抗体分子を導入することができる。
【0144】
本発明の医薬組成物は、吸入のために調合することができる。これらの実施形態では、抗B7RP1抗体は、乾燥した吸入可能な粉末として有利に調合される。ある種の実施形態では、抗B7RP1抗体の吸入溶液はまた、エアロゾル輸送のための噴霧剤とともに調合されてよい。ある種の実施形態では、溶液は噴霧され得る。従って、肺投与および処方の方法はさらに、参照により組込まれ、化学的に修飾されたタンパク質の肺輸送を説明している国際特許出願PCT/US94/001875に記載されている。
【0145】
調合物は、経口的に投与できることも意図される。この様式で投与される抗B7RP1抗体は、錠剤およびカプセルなどの固体投薬形態の配合に習慣的に用いられる単体と一緒に、または担体なしで調合され得る。ある種の実施形態では、カプセルは、生物学的利用能が最大化されて予備的な全身性の分解が最小化される場合、腸管におけるポイントでこの調合物の活性部位を遊離するように設計されてよい。抗B7RP1抗体の吸着を促進するためにさらなる因子が含まれてよい。希釈剤、香味料、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤および結合剤も採用され得る。
【0146】
本発明の医薬組成物は、1または複数の抗B7RP1抗体の有効量を、錠剤の製造に適切な非毒性賦形剤と混合して含んで提供される。滅菌水、または別の適切なビヒクルに錠剤を溶解することによって、単位剤形で溶液を調製し得る。適切な賦形剤としては、限定されないが、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムまたは重炭酸塩、ラクトースもしくはリン酸カルシウム;または結合剤、例えば、スターチ、ゼラチンもしくはアカシア;または潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、もしくはタルクが挙げられる。
【0147】
さらなる医薬組成物は、当業者に明らかであり、持続輸送または徐放性輸送の調合物を含む調合物に抗B7RP1抗体を含む。種々の他の持続輸送または徐放性輸送の手段、例えば、リポソーム担体、生分解性微粒子または多孔性ビーズおよびデポ注射剤を調合する技術も当業者には知られている。例えば、参照により組み込まれる、医薬組成物の輸送のための多孔性ポリマー微粒子の徐放性放出を説明している国際特許出願PCT/US93/00829を参照されたい。持続放出調製物は、成形品の形態で、半透過性ポリマーマトリックス、例えばフィルムまたはマイクロカプセルを含んでよい。持続放出マトリックスは、ポリエステル、ハイドロゲル、ポリアクチド(参照により各々が組み込まれる、米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開EP058481に開示される)、L−グルタミン酸とガンマエチル−L−グルタメートとのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 22:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,上述)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開EP133,988)を含んでよい。持続放出組成物はまた、当分野において知られている任意のいくつかの方法によって調製することができるリポソームを含んでよい。例えば、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692;参照により組み込まれる、欧州特許出願公開EP036,676;EP088,046およびEP143,949を参照されたい。
【0148】
インビボ投与に用いられる医薬組成物は、典型的には、滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過メンブレンを通した濾過によって達成することができる。組成物が、凍結乾燥される場合、この方法を用いる滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれに行われてよい。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態または溶液として保存されてよい。非経口組成物は、一般的には、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液バッグ、または皮下注射針によって穿通可能な栓を有するバイアルに入れられる。
【0149】
一度医薬組成物が調合されると、これは、滅菌バイアル中に、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体として、または脱水もしくは凍結乾燥された粉末として保存されていてよい。このような調合物は、即時使用(ready−to−use)の形態、または投与の前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥された形態)のいずれで保存されてよい。
【0150】
本発明はまた、単回用量投与単位を生成するためのキットを提供する。本発明のキットは、各々が、乾燥されたタンパク質を有する第一の容器、および水性調合物を有する第二の容器の両方を含有することができる。本発明のある種の実施形態では、単一および複数のチャンバを有する事前充填シリンジ(例えば、液体シリンジおよび溶液シリンジ)を含有するキットが提供される。
【0151】
治療的に採用されるべき、有効量の抗B7RP1抗体を含有する医薬組成物は、例えば、治療の内容および目的に依存する。治療のために適切な投薬レベルは、部分的には、輸送される分子、抗B7RP1抗体が用いられている徴候、投与経路、ならびに患者のサイズ(体重、体表面積または器官サイズ)および/または状態(年齢および一般的な健康状態)に依存して変化することが当業者に理解される。ある種の実施形態では、最適の治療効果を得るために、臨床医が投薬量を設定して、投与経路を改変してよい。典型的な投薬量は、上述の要因に依存して、約0.1μg/kgから約30mg/kg以上の範囲でよい。ある種の実施形態では、投薬量は、0.1μg/kgから約30mg/kg;1μg/kgから約30mg/kg;または5μg/kgから約30mg/kgの範囲であってよい。
【0152】
投与頻度は、用いられる調合物中の特定の抗B7RP1抗体の薬物動態パラメーターに依存する。典型的には、所望の効果を達成する投薬量が得られるまで、臨床医は組成物を投与する。したがって、組成物は、単回用量として、または2回以上の用量(これは同じ量の所望の分子を含んでいてもまたは含んでいなくてよい)として経時的に、または移植デバイスもしくはカテーテルを介した連続注入として投与されてよい。適切な投薬量のさらなる工夫は、当業者によって日常的に行われ、当業者によって日常的に行われる作業の範囲内である。適切な投薬量は、適切な用量応答データの使用を通じて得ることができる。ある種の実施形態では、本発明の抗体は、長期間にわたって患者に投与されてよい。本発明の抗体の慢性投与によって、ヒト以外の動物においてヒト抗原に対して惹起された抗体、例えば、ヒト以外の種で産生された不完全ヒト抗体に一般に関連する有害な免疫応答またはアレルギー応答が最小化される。
【0153】
医薬組成物の投与経路は、持続放出システムによるかまたは移植デバイスによる既知の方法、例えば、経口、静脈内、腹腔内、脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼内、動脈内、門脈内または病巣内の経路による注射を通じた方法に従う。ある種の実施形態では、組成物は、ボーラス注射によって投与されても、もしくは注入によって連続的に投与されても、または移植デバイスによって投与されてよい。
【0154】
組成物はまた、所望の分子がこの上に吸着されるかまたは封入されているメンブレン、スポンジまたは別の適切な物質の移植によって局所投与されてよい。ある種の実施形態では、移植デバイスを用いる場合は、デバイスは任意の適切な組織または器官に移植されてもよく、所望の分子の輸送は、拡散、持続放出ボーラス、または連続的投与を介してよい。
【0155】
本発明に係る抗B7RP1抗体の医薬組成物をエクスビボで用いることもまた所望される。このような場合、患者から取り出される細胞、組織または器官を、抗B7RP1抗体の医薬組成物に曝露して、その後に細胞、組織および/または器官を患者に移植して戻す。
【0156】
詳細には、抗B7RP1抗体は、本明細書において記載される方法などの方法を用いて、ポリペプチドを発現および分泌するように遺伝子操作されているある種の細胞を移植することによって輸送することができる。ある種の実施形態では、このような細胞は、動物細胞またはヒト細胞であってもよく、および自家性、非相同性または異種性であってよい。ある種の実施形態では、細胞は不死化されてよい。他の実施形態では、免疫学的応答の機会を低下させるために、細胞は、周囲の組織の浸潤を回避するためにカプセル化されてよい。さらなる実施形態では、カプセル化の物質は、典型的には、タンパク質産物の放出を可能にするが、患者の免疫系によるか、または周囲の組織からの他の有害な要因による細胞の破壊を妨げる生体適合性、半透性のポリマー封入物またはメンブレンである。
【0157】
(実施例)
下記の実施例は、行った実験および得られた結果を含んでいるが、これは、例示目的のためにのみ提供され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0158】
B7関連タンパク質−1(B7RP1)に対するヒトモノクローナル抗体の生成
抗原
精製した組換えヒトB7RP−1(hB7RP−1)は、参照により本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO00/46240に記載されるように調製し、またはhB7RP−1を発現するようにトランスフェクトしたCHO細胞を抗原として用いた。成熟ヒトB7RP−1は、配列番号17としてWO00/46240に示される配列において302までの残基Xのアミノ酸配列を有し、Xは、19、20、21、22、24または28であり得る。
【0159】
トランスジェニックHuMabマウス
B7RP−1に対する完全なヒトモノクローナル抗体は、HuMabトランスジェニックマウスのHCo7およびHCo12菌株を用いて調製され、両者は、ヒト抗体遺伝子を発現する。これらのマウス菌株の両方においては、内因性マウスカッパ軽鎖遺伝子は、Chenら(1993)EMBO J.12:811−820において記載されるようにホモ接合的に分裂しており、内因性マウス重鎖遺伝子は、PCT公開WO01/09187の実施例1に記載されるようにホモ接合的に分裂した。これらのマウスの菌株のそれぞれは、Fishwildら(1996)Nature Biotechnology 14:845−851に記載されるように、ヒトカッパ軽鎖トランス遺伝子であるKCo5を担持している。HCo7菌株は、米国特許第5,545,806号;同第5,625,825号;および同第5,545,807号に記載されるように、HCo7ヒト重鎖トランス遺伝子を担持している。HCo12菌株は、PCT公開WO01/09187の実施例2に記載されているように、HCo12ヒト重鎖トランス遺伝子を担持している。
【0160】
HuMab免疫化:
B7RP−1に対する完全なヒトモノクローナル抗体を生じさせるために、HCo7またはHCo12菌株のHuMabマウスは、精製した組換えB7RP−1またはB7RP−1を発現するようにトランスフェクトしたCHO細胞で免疫した。HuMabマウスのための一般的な免疫スキームは、Lonbergら(1994)Nature 368(6474):856−859;Fishwildら(1996)Nature Biotechnology 14:845−851およびPCT公開WO98/24884に記載されている。マウスは、最初の抗原投入の際には、6−16週齢であった。B7RP−1抗原の精製した組換え調製物(50μg)、またはトランスフェクトしたCHO細胞の調製物(3.5×10から1×10細胞)を用いて、腹腔内でHuMabマウスを免疫した。
【0161】
トランスジェニックマウスは、完全なフロイントのアジュバントに含まれる精製した抗原で腹腔的に2回免疫し、その後、2週間、不完全なフロイントのアジュバントに含まれる精製した抗原でIP免疫化(最大合計8回の免疫)を行った。B7RP−1を発現するようにトランスフェクトしたCHO細胞を用いた免疫化は、完全なフロイントのアジュバントおよび不完全なフロイントのアジュバントが細胞と一緒に用いなかったことを除いては同じであった。免疫応答を後眼窩採血によってモニターした。血漿をELISA(下記に説明される)によってスクリーニングし、十分なタイターの抗B7RP−1ヒト免疫グロブリンで免疫したマウスを融合に用いた。マウスは、屠殺および脾臓の除去の3日前と2日前に抗原で静脈内に追加免疫を行った。典型的には、各抗原に対する10−20の融合を行った。数十匹のマウスを各抗原について免疫した。HCo7およびHCo12マウス菌株の計28匹のマウスをB7RP−1で免疫した。
【0162】
抗B7RP−1抗体を産生するHuMabマウスの選択:
B7RP−1に結合した抗体を産生するHuMabマウスを選択するために、免疫したマウス由来の血清を、Fishwildら(1996)によって説明されるように、ELISAによって試験した。簡単には、マイクロタイタープレートをPBS中1から2μg/ml、50μl/ウェルで精製した組換えB7RP−1を用いて被覆し、4℃で一晩インキュベートした。その後、PBS/Tween(0.05%)の5%ニワトリ血清の200μl/ウェルでブロックした。B7RP−1で免疫したマウス由来の血漿の希釈物を各ウェルに添加し、周囲温度で1から2時間インキュベートした。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次に、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG Fcポリクローナル抗体とともに室温で1時間インキュベートした。プレートをPBS/Tweenを用いて洗浄して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)と結合体化したヤギ抗ヒトIgG Fc特異的ポリクローナル試薬とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、このプレートをABTS基質(Sigma、A−1888、0.22mg/mL)を用いて発色させ、OD415−495nmで分光光度計によって分析した。最大のタイターである抗B7RP−1抗体を発生させたマウスを融合に用いた。融合は、後述の通り行い、ハイブリドーマの上清をELISAによる抗B7RP−1活性に関して試験した。
【0163】
B7RP−1に対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの生成
マウス脾臓細胞は、HuMabマウスから単離し、標準的なプロトコールに基づいて、マウス骨髄腫細胞株にPEGを用いて融合させた。次に、得られたハイブリドーマは、抗原特異的抗体の産生に関してスクリーニングを行った。免疫したマウス由来の脾臓リンパ細胞の単一細胞の上清は、50% PEG(Sigma)を用いて、SP2/0非分泌マウス骨髄腫細胞(ATCC、CRL1581)の数の4分の1に融合した。細胞を平底マイクロタイタープレートに約1×10/ウェルでプレーティングし、その後、10%ウシ胎児血清、10% P388D1(ATCC、CRL TIB−63)馴化培地、DMEM(Mediatech,CRL 10013、高グルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウムを含む)中の3から5%オリジン(IGEN)、および5mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトエタノール、50mg/mlゲンタマイシンおよび1×HAT(Sigma、CRL P−7185)を含む選択培地で約2週間インキュベートした。1から2週間後、HATをHTで置換した培地中で細胞を培養した。次に、個々のウェルは、ヒト抗B7RP−1モノクローナルIgG抗体についてELISA(上述される)によってスクリーニングを行った。一度、広範囲にハイブリドーマの成長が起ると、通常、10から14日後に培地をモニターした。抗体を分泌するハイブリドーマを再度プレーティングし、再びスクリーングして、依然としてヒトIgGに関して陽性である場合、抗B7RP−1モノクローナル抗体を少なくとも2回、限界希釈によってサブクローニングした。次に、安定なサブクローンをインビトロで培養して、さらなる特徴付けのために組織培地中で少量の抗体を生成させた。
【実施例2】
【0164】
抗B7RP−1抗体の重鎖および軽鎖のクローニング
B7RP1を結合するモノクローナル抗体16Hを発現するハイブリドーマを供給源として用い、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen)を用いて総RNAを単離した。5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)オリゴヌクレオチド(5’− CGA CUG GAG CAC GAG GAC ACU GAC AUG GAC UGA AGG AGU AGA AA−3’;配列番号69)を、GeneRacer(商標)Kit(Invitrogen)構成要素およびプロトコールを用いてRNAに連結させた。第一鎖のcDNAを、伸長アダプター(5’− GGC CGG ATA GGC CTC CAN NNN NNT−3’)(配列番号59)とともにランダムプライマーを用いて合成し、5’RACE(cDNA末端の迅速増幅)分取アッセイを、GeneRacer(商標)Kit(Invitrogen)を用いて、製造業者の使用説明書に従って行った。完全な軽鎖をコードするcDNAを調製するために、フォワードプライマーは、GeneRacer(商標)ネスト化プライマーとし、リバースプライマーは、(5’− GGG GTC AGG CTG GAA CTG AGG−3’)(配列番号60)とした。重鎖の可変領域をコードするcDNAを調製するために、フォワードプライマーは、GeneRacer(商標)ネスト化プライマーとし、リバースプライマーは、(5’− TGA GGA CGC TGA CCA CAC G−3’)(配列番号61)とした。RACE産物をpCR4−TOPO(Invitrogen)中にクローニングし、配列を決定した。コンセンサス配列を用いて、全長抗体鎖のPCR増幅用プライマーを設計した。
【0165】
抗B7RP1 16Hカッパ軽鎖をコードするcDNAを調製するために、5’PCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列(5’−CAG CAG AAG CTT CTA GAC CAC CAT GGA CAT GAG GGT CCT CGC TCA GCT CCT GGG−3’)(配列番号62)をコードした。3’プライマーは、カルボキシル末端および終止コドン、ならびにSalI制限部位(5’−CTT GTC GAC TCA ACA CTC TCC CCT GTT GAA GCT C−3’)(配列番号63)をコードした。得られたPCR産物断片を精製し、XbaIおよびSalIで消化し、次に、ゲルを分離して、哺乳動物用発現ベクターpDSRα20に連結した(いずれかの目的のために、参照により本明細書中に組み込まれる国際出願公開第WO90/14363号を参照されたい。pDSRα20は、部位特異的突然変異誘発による「グアノシン」から「アデノシン」へとpDSRa19のヌクレオチド2563を変えることによって生成した。)。
【0166】
抗B7RP1 16H重鎖をコードするcDNAを調製するために、5’PCRプライマーは、シグナル配列のアミノ末端、XbaI制限酵素部位、および最適化されたKozak配列(5’−ACA ACA AAG CTT CTA GAC CAC CAT GGA GTT GGG GCT GAA CTG G−3’)(配列番号64)をコードした。3’プライマーは、天然に存在するセンス鎖のBsmBI部位を含む可変領域のカルボキシル末端(5’− GTG GAG GCA CTA GAG ACG GTG ACC AGG ATT CC −3’;配列番号65)をコードした。得られた産物を精製し、XbaIおよびBsmBIで消化し、次に、ゲルを分離して、ヒトIgG1定常領域を含有するpDSRα20に連結し、およびヒトIgG2定常領域を含有するpDSRα20にも連結した。抗B7RP1重鎖可変領域を誘導する全てのハイブリドーマは、関連する天然の定常領域にかかわらず、上述したように、ヒトIgG1およびヒトIgG2定常領域を含有するpDSRα20ベクターの両方にクローニングした。
【実施例3】
【0167】
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における抗B7RP1抗体の発現
リン酸カルシウム法を用いて、16H−重鎖/pDSRα19 IgG2 B7RP1カッパ/pDSRα19プラスミドを、ジヒドロ葉酸還元酵素欠損(DHFR)無血清適合チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞中に同時トランスフェクションすることによって、16H抗B7RP1 mAbの安定な発現を達成させた(全長16H重鎖配列は、配列番号44に示されている;16Hカッパ鎖配列は、配列番号45に示されている)。トランスフェクトされた細胞は、透析血清を含むが、ヒポキサンチン−チミジンを含有しない培地中で選択され、DHFR酵素を発現する細胞の増殖を確保した。馴化培地中で16H抗B7RP1 mAbの発現を検出するために、トランスフェクトされたクローンをELISAなどのアッセイを用いてスクリーニングした。最高に発現しているクローンをDHFR増幅のためのメトトレキセート(MTX)の濃度増加に供した。MTXで増幅したクローンは、馴化培地中で16H抗B7RP1 mAbのより高い発現を検出するために、ELISAなどのアッセイを用いてスクリーニングした。最高に発現しているクローンをサブクローニングに供して、相同な集団および細胞バンクの構築を得た。
【0168】
本発明の他の組換え抗B7RP1抗体は、抗B7RP1モノクローナル抗体について上述したのと同じプロトコールを用いて、DHFR欠損のチャイニーズハムスター卵巣細胞において生成することができる。本発明の各抗B7RP1抗体の完全な重鎖または軽鎖をコードするDNA配列を発現ベクターにクローニングする。CHOd−細胞は、適切な抗B7RP1抗体の完全な重鎖を発現可能な発現ベクターおよび完全な軽鎖を発現する発現ベクターを用いて、同時トランスフェクトされる。例えば、抗B7RP1抗体を生成するために、配列番号47に記載のアミノ酸配列を含む完全な重鎖を発現可能なベクターおよび配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む完全な軽鎖を発現可能なベクターを用いて、細胞を同時トランスフェクトする。表2は、ヒトIgG重鎖定常領域を有する抗B7RP1抗体についての典型的である完全な軽鎖および典型的である完全な重鎖を概要している。当業者は、IgG1またはIgG2が互いに置き換え可能であることを認識するであろう(即ち、IgG1が表に列挙されている場合、IgG2は、存在し得るし、この逆も同様である)。または、任意の他の免疫グロブリン(例えば、IgM、IgA、IgEまたはIgH)は、本発明の抗体を生成するために用いることができる。
【0169】
【表1】

【実施例4】
【0170】
抗B7RP1抗体の産生
抗B7RP1抗体は、CHO細胞のクローン株における発現によって産生される。各産生の実施のために、単一バイアルの細胞を無血清細胞培地中に解凍させる。この細胞をTフラスコ中で最初に増殖させ、その後、スピナーフラスコ中で増殖させる。次に、2000Lのバイオリアクターにスケールアップするステンレススチールリアクター中で増殖させた。送り込みバッチ培養を用いて2000Lのバイオリアクター中で産生を行い、この中に、濃縮された培地成分を含有する栄養源を添加し、細胞増殖および培養生存率を維持する。産生は約2週間続き、この間、前記細胞による抗B7RP1抗体を構成的に産生して、細胞培地に分泌させた。
【0171】
産生リアクターを所定のpH、温度および溶存酸素レベルで調節する。pHは、二酸化炭素ガスおよび炭酸ナトリウムの添加によって調節する;溶存酸素は、空気、窒素および酸素ガス流によって調節する。
【0172】
産生の最終に、細胞ブロスをディスクスタック遠心分離に供給して、培養上清を細胞から分離する。濃縮物をデプスフィルター、その後の0.2μmフィルターを通過させてさらに清澄化する。次に、清澄化した馴化培地を接線流の限外濾過によって濃縮する。馴化培地を15から30倍に濃縮する。次に、得られる濃縮馴化培地を精製によって処理するかまたは後日精製するために凍結する。
【実施例5】
【0173】
16H mAbの生殖細胞系列化
16H抗体とヒト生殖細胞系列配列の配列の整列は、16H抗体の可変領域におけるフレームワーク配列が、ほんの3個のアミノ酸の相違を有するが、V3−07およびJH4生殖細胞系列配列にほとんど同一であることを示した(図1A)。16H抗体のVK領域についてのフレームワーク配列は、VK1−L15生殖細胞系列配列と同一であることがわかった。体細胞超変異が患者の免疫応答によって外来として認識されることは理論的には可能である;この場合、患者は、治療薬を中和することができる抗イディオタイプ応答を産生する。この可能性を減らすために、VHフレームワーク領域における3個のアミノ酸変化を逆にV3−07およびJH4生殖細胞系列配列に変換した(図1A)。生殖細胞系列VおよびJ遺伝子セグメントはすべてのヒトゲノムに存在するため、16Hの生殖細胞系列バージョンは、投薬された患者の免疫応答によって外来として認識される可能性はない。プレート共刺激バイオアッセイは、生殖細胞系列化した抗体が、生殖細胞系列化していない抗体IC50と類似したIC50を有するT細胞増殖を誘導可能かどうかを決定するために行った。共刺激アッセイは、後述するように、抗CD3およびhB7RP−1−Fc融合タンパク質を用いて行い、16Hgermlineまたは16Hgと呼ばれるこの生殖細胞系列化した抗体が、この生物学的活性を保持していることを確かめた(図1B)。
【実施例6】
【0174】
Biacore(登録商標)およびKinExAによるモノクローナル抗体の親和性測定
3種の抗体(実施例1で記載されるように調製した5Dおよび16H、および実施例5で記載されるように調製した16H生殖細胞系列)を精製し、結合親和性分析に従わせた。B7RP1−Fcは、標準的なアミンカップリング化学を用いてCM5センサーチップ上で高密度で固定した。次に、固定濃度のmAbは、種々の濃度のB7RP−1またはB7RP1−Fcと共に少なくとも室温で8時間インキュベートし、平衡に達するようにした。次に、試料をB7RP1−Fc上に注入し、観察される結合シグナルは、平衡での溶液中に残存する遊離抗体を示した。2種の異なる抗体濃度(0.2nMおよび1nM)を用いることによって、特定のmAbとリガンドとの間の相互作用のKは、二重曲線一部位相同性結合モデル(dual−curve one−site homogenous binding model)(Adamczyk et al.,1999,Bioconjugate Chem.10:1032−37;Adamczyk et al.,2000,Methods 20:319−28)を用いて競合曲線の非直線回帰分析から算出した。図2および表3に示されるように、16H、16Hg、および5D mAbの全ては、可溶性B7RP−1およびB7RP1−1−Fcタンパク質に高親和性で結合した。さらに、結果は、16H(非生殖細胞系列)および16Hg(生殖細胞系列)が同様に反応することを示し、生殖細胞系列化は抗体とリガンドとの間の結合に有意に影響を与えなかったことを実証した。
【0175】
【表2】

【0176】
5D、2H、および2H生殖細胞系列抗体の結合はまた、KinExA(動的排除アッセイ(kinetic exclusion assay))技術を用いて試験した。このアッセイでは、hB7RP−1をアガロースビーズに結合させた。このビーズを用いてビーズカラムを作製した。抗体を固定濃度で含有する試料は、種々の濃度のhB7RP−1で平衡に到達させるようにし、次に、ビーズカラムを通過させた。リガンドと複合化しなかった抗体は、被覆ビーズに結合した。
【0177】
蛍光体を付した抗ヒトFc二次抗体を用いて、結合した試験抗体を検出した。得られたシグナルは、所定のリガンド濃度で溶液中の遊離抗体に比例した。2種の異なる抗体濃度を用いて、この相互作用のKは、二重曲線一部位相同性結合モデル(Adamczyk et al.,1999,Bioconjugate Chem.10:1032−37;Adamczyk et al.,2000,Methods 20:319−28)を用いて競合曲線の非直線回帰分析から算出した。図3、4、および5は、抗体5D、2Hおよび2H(生殖細胞系列)についての二重曲線フィットを示す。この手法を用いて、約10倍の差が、抗体5Dおよび2Hに関するKにおいて見られた。
【0178】
Biacore(登録商標)およびKinExAアッセイの結果は、抗体5Dが2Hまたは16HのいずれかよりもhB7RP−1に対してより高い親和性を有することを実証した。また、抗体2Hの生殖細胞系列バージョンは、生殖細胞系列化していない構築物との有意な相違を示さない。
【実施例7】
【0179】
抗B7RP1抗体の機能的特徴付け
本発明のB7RP−1抗体の機能的特徴付けは、結合競合アッセイ、インビトロ共刺激アッセイ、およびインビトロ破傷風トキソイドアッセイを用いて評価した。
【0180】
結合競合試験
結合競合試験は、16H mAbを用いて行われ、B7RP−1に対するICOS結合と競合し得ることを実証した。全長ヒトB7RP−1をコードする遺伝子でトランスフェクトしたCHO細胞は、最初に、量を減少させた非標識の16H mAbと共にインキュベートし、その後、蛍光標識したICOS−Fc融合タンパク質を用いて染色した。次に、細胞をフローサイトメトリーを用いて分析した。図6に示されるように、ICOS Fcは、B7RP−1をトランスフェクトしたCHO細胞を染色した;0.4μg/mlの16H mAbは、ICOS−Fc結合に影響を及ぼさなかった。しかしながら、6および25μg/mlの16Hは、ICOS−Fc結合に効果的に競合し、16H mAbが実際にB7RP−1へのICOS結合を競合したことを示した。
【0181】
共刺激アッセイ
細胞培養プレート(Falcon、カタログNo.353077、U底)を1μg/mlの抗ヒトCD3抗体(PharMingenカタログNo.555336)および10μg/ml抗ヒトIgG(Fc特異的、SigmaカタログNO.I3391)で被覆した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の抗CD3抗体および抗ヒト免疫グロブリンを各ウェルに添加した(100μl/ウェル)。被覆したプレートは、4℃で一晩または室温で2時間インキュベートした。次に、プレートをPBSで2回洗浄した。洗浄後、それぞれPBS中に希釈した1μg/mlのヒトB7−2Fc(R&D System,カタログNo.141−B2)または5μg/mlのhB7RP1Fcを各ウェルに添加した(100μl/ウェル)。次に、プレートを室温で3時間インキュベートし、その後、PBSで2回洗浄した。精製したヒトT細胞を培地(10%ウシ胎児血清(FCS)、ペニシリン−ストレプトマイシン−L−グルタミン(PSG)、β−メルカプトエタノール(2−ME)、N−アセチルアスパラギン酸塩(NAA)およびピルビン酸ナトリウム(Napyruvate)を補足したRPMI 1640)200μlの容積で添加し(1×10/ウェル)、37℃、5% COで48時間インキュベートした。3−Hチミジン(ICNカタログNo.2404205)を1μCi/ウェルで添加し、細胞を37℃、5% COで一晩インキュベートした。次に、細胞を回収し、計算した。
【0182】
細胞培養プレート(Falcon、カタログNo.353077、U底)を上記のように0.1μg/mlの抗ヒトCD3で被覆した。hB7RP1でトランスフェクトしたCHO細胞(5000RADで照射)は、2×10/ウェルで添加され、その後、精製したヒトT細胞を1×10/ウェル、200μlの容積で添加した。上記の通り、プレートを37℃、5% COで48時間インキュベートした。3−Hチミジンを1μCi/ウェルで添加した。上記の通り、細胞を一晩インキュベートし、回収し、計算した。
【0183】
破傷風トキソイドアッセイ
下記のようなFicoll−Paque(Amersham Biosciences)勾配を用いてヒト血液からPBMCを精製した。血液をPBSで1:2に希釈し、希釈した血液は、Ficollの上部に積層させ(1/3室温Ficoll+2/3希釈した血液)、室温で30分間、2500rpmで遠心分離し、上層(血漿および血小板)を吸引して取り出し、単核細胞層を新しい50mlチューブに移した。単離したPBMCをPBS(単核細胞層の3倍量)で洗浄し、室温で10分間、1300rpmで遠心分離し、上記のように洗浄した。PBMCを培地(RPMI 1640+10%加熱不活性化したFBS+1×PSG+1×NEAA+55μM 2−ME)に再懸濁させ、細胞をカウントした。
【0184】
PMBCを96ウェル丸底プレートのウェルに100μlPBMC/ウェル(3×10/ml)で添加した。破傷風トキソイド(20μg/ml;マサチューセッツ大学)を最終濃度5μg/mlとなるように添加した。細胞を3日間37℃でインキュベートした;100μlの上清を回収し、1μCi/ウェルのH−チミジン(MP Biomedicals)の存在下でさらに6から8時間インキュベートした。次に、細胞を回収し、カウントした。
【0185】
表4は、上述したアッセイを用いて測定したように、本発明の特定の抗体の機能的特徴付けを要約している。
【0186】
【表3】

【実施例8】
【0187】
エピトープマッピング
16H/16Hgおよび5Dモノクローナル抗体が結合するB7RP−1上の領域を同定するために実験を行った。これをするために、新規な蛍光活性化セルソーター(FACS)結合アッセイを開発した。B7RP1のヒト細胞外ドメイン(ECD)(配列番号66)ならびにIg1(IgV様;配列番号67)またはIg2(IgC様;配列番号68)のいずれかを含有するB7RP−1の切断形態が、N末端の、ニワトリアビジンとのインフレーム融合物として発現された。
【0188】
【化8】


【0189】
これらの融合タンパク質をコードする遺伝子を含有する発現ベクターは、個別に、293T細胞に一過性にトランスフェクトし、これらの細胞株からの馴化培地を融合タンパク質の供給源として用いた。アビジン−タグを用いて、ビオチン被覆ビーズを用いた溶液由来のB7RP1融合タンパク質を捕捉した。融合タンパク質は、蛍光標識した16Hもしくは5D mAbまたは蛍光標識したICOS−Fc融合タンパク質のいずれかと一緒にインキュベートし、ビオチン被覆ビーズと共にインキュベートした。このビーズを回収し、Becton−Dickinson Bioscience FACScan(BD、Franklin Lakes,NJ)でフローサイトメトリーを用いて分析した。図9Aに示されるように、ビーズの蛍光染色は、B7RP−1の全ECDが結合した場合に16H、5D、およびICOS試薬を用いて検出され、これら3種の試薬全てがB7RP−1のECDに結合できたことを示した。同様に、3種全ての試薬は、Ig1ドメインだけを含有するアビジン融合タンパク質に結合し、ICOSおよびブロッキング抗B7RP−1 mAbの両方がこの領域に結合できたことを示した。対照的に、ICOSおよび抗B7RP−1 mAbともに、膜に近接したIg2ドメインだけを含有する融合タンパク質に結合できなかった。したがって、B7RP−1上のICOS、16H、および5D結合領域は、Ig1ドメインに位置していた。
【0190】
実施例1において上述したように生成され、アビジン融合結合アッセイを用いた結合について試験された抗体は、表5に示されるように、2つのエピトープクラス、HおよびDに分類することができた。B7RP1に結合する能力に基づいて初期に選択された100種の抗体のうち、15種は、アビジン融合結合アッセイでは、大部分が分解の可能性があるために、結合しなかった。
【0191】
【表4】

【実施例9】
【0192】
SNP同定および機能的分析
1つの主要な一塩基多型(SNP)変異体が、B7RP−1において同定され、対立遺伝子頻度が28.4%である集団において存在している(図7)。この変異体は、成熟タンパク質をコードする配列内で同定された。全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)データバンクのサーチにより、第二の潜在的なSNP変異体が明らかになった;第二の変異体は、1.5個別(3つの染色体)の分析において同定された。第一のSNP変異体(V128I)は、第一のIgV様ドメインに位置するが、一方、NCBI SNP変異体(L221F)は、第二のIgC様ドメインに位置していた。
【0193】
上記で検討したように、16Hおよび5Dモノクローナル抗体の両方は、第一のIgV様ドメインに結合し、これは、後者のL221F変異体が、16Hまたは5D mAb結合または融合に影響を及ぼすことは不可能である。それにもかかわらず、これらのSNP変異体のいずれかが、16Hまたは5D結合および/または融合に影響を及ぼすかどうかを決定するために、2つの異なる実験を行った。第一の実験では、アビジン融合タンパク質は、2つのSNP変異体を用いて構築され、上記したようにフローサイトメトリーアッセイにおいて16Hまたは5D抗体に対する結合について試験した。HおよびDエピトープクラス由来のこれらの代表的なmAbは、野生型B7RP−1と類似した有効性でSNP変異体に結合した(図9B)。これらのデータは、HおよびDエピトープクラスの両方からの抗体は、B7RP−1 SNP変異体に結合することを示唆した。
【0194】
第二のアプローチでは、Fc融合タンパク質は、B7RP−1 SNP変異体配列を用いて構築され、プレート共刺激アッセイにおいてT細胞を刺激するこれらのタンパク質の能力を比較した(図9C)。16Hおよび5D抗体の両方は、野生型融合タンパク質として、同様のEC50を有するSNP変異体Fc融合タンパク質によって媒介される共刺激を阻害した。総合してみると、これらのデータは、2つの潜在的なB7RP−1 SNP変異体が本発明の抗体によって認識されたことを示した。したがって、本発明の抗体は、これらのSNP変異体を含有する患者の標的に結合することができる。
【実施例10】
【0195】
インビボにおける動物有効性モデル
免疫応答を阻害するB7RP−1抗体の能力は、マウス化ラット抗マウスB7RP−1モノクローナル抗体(1B7v2)を用い、BALB/cマウスをキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)で負荷を与えて解析した。
【0196】
マウス化ラット抗マウスB7RP−1モノクローナル抗体1B7v2の生成
全長マウスB7RP−1を過剰発現しているチャイニーズハムスター卵巣細胞株を一次免疫としてラットに注射し、その後、免疫応答を上げるためにマウスB7RP−1−Fc融合タンパク質で注射した。静脈内ブーストの3または4日後に脾臓を回収し、脾臓B細胞をY3−Ag1.2.3ラット骨髄腫株(ATCC CRL−1631)と融合した。次に、細胞をヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)を補足した培地中で2週間選択し、その後、限界希釈法によって単一細胞をサブクローニングした。これらの手法は、“Practical Immunology,2nd ed.”Leslie Hudson and Frank C.Hay;Blackwell Scientific Publications 1980に記載されている。
【0197】
1B7免疫グロブリンをコードする遺伝子は、標準的な手法(Sambrook et al.,2001,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,3d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)を用いて1B7細胞株からクローニングした。ヒト抗huB7RP1 MAbのアイソタイプスイッチは、XbaIおよびBsmBI末端も有するヒトIgG1またはhuIgG2定常領域を用いてXbaIおよびBsmBI制限酵素部位付着末端を含有する可変領域断片をpDSRaベクターにクローニングすることによって達成させた。1B7ラット抗muB7RP1に関して、3工程重複PCRプロセスによってキメラを形成させた。ラット可変領域は、マウス定常領域部分の約25から35ヌクレオチドを含有する3’プライマーを用いてPCR増幅させた。マウス定常領域は、ラット可変領域部分の25−35ヌクレオチドを含有する5’プライマーを用いて増幅させた。次に、この2つの断片は、鋳型として用い、5’ラット可変領域(XbaI含有)およびマウス3’定常領域(SalI含有)プライマーを用いて、完全な軽鎖および重鎖を生成させた。次に、軽鎖および重鎖PCR産物は、XbaIおよびSalIで消化し、pDSRa19にクローニングした。全量25μgの直鎖状にしたDNA(12.5μg pDC323BLC+12.5μg pDC324 HC)をエレクトロポレーションを用いてCS−9細胞にトランスフェクトし、DHFR補足培地で選択した。
【0198】
1B7v2 mAbの有効性を試験するために、プレート共刺激アッセイはこのmAbを用いて行った。結果は、他の抗マウスB7RP−1 mAbと比較した(図10A)。上記で検討したように、1B7は、元々のハイブリドーマ産生mAbである;2つの異なる調製物(1.33および7.4と標識)を試験した。5E1および11G10は、上述した融合において生成した他の抗mB7RP−1モノクローナルであった。最後に、HK5.3は、市販されている抗mB7RP−1(ebiosciences#16−5985−85)であった。
【0199】
1B7v2 mAbは、いずれの他のmAbと等しくまたはこれらよりも良好に、このアッセイにおいてT細胞活性をブロックし、したがってさらなる試験で代理治療薬として選択された。
【0200】
マウスにおける抗原負荷
キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)は、Pierce Biotechnology(Rockford,Illinois)から購入した。投薬液#1(1mg/マウスALUMのKLH 5mg/kg)は、等しい割合の2×ALUM(500mgのALUMおよび50ml PBS(リン酸緩衝生理食塩水))および2×KLH(20mgの凍結乾燥したKLHと混合した2.0ml dH20(RNAse不含)、1×PBSで20mlとした)を用いて調製した。投薬液#2(1mg/マウスALUMのKLH 1mg/kg)は、1部の2×KLHと4部の1×リン酸緩衝生理食塩水とを混合して調製した。
【0201】
雌性BALB/cマウスは、1mg/kgのKLH/alumで刺激し、21日目に再度免疫するか、または5mg/kgのKLHだけで刺激し、これらは腹腔内注射によって取り込まれた。マウスは、最終容積200μlで1B7v.2、アイソタイプ対照抗体(抗AGP3 PB)またはビヒクル(PBS)単独によって、第1日目(KLH/alumでの刺激1日前)に開始し、5日ごとに刺激した。
【0202】
マウスは、7日ごとに後眼窩から出血させ(約200μl)、抗原特異的血清IgM(図10B)、IgG2(図10C)、およびIgG1(図10D)の分析のために、約50から100μlの血清を得た。アイソタイプ対照およびビヒクル処置マウスの両方は、有意な一次および二次免疫応答を示した。IgM応答は、処置による影響はなかったが、一方、1B7v2を用いたB7RP−1−ICOSの遮断は、統計学的に有意な様式で一次および二次IgG2aおよびIgG1応答を減少させた。
【0203】
IL−5は、B細胞分化および機能を誘導する抗原刺激に応答してT細胞によって放出されるサイトカインである。B7RP−1/ICOS相互作用は、T細胞依存的B細胞機能に重要であると信じられているため、血清IL−5レベルを測定することは、B7RP−1/ICOS軸の阻害が実際にT細胞機能に影響を及ぼすかどうかを決定するために用いられた。期待されるように、B7RP−1の遮断はまた、抗原誘導の血清IL−5レベルを阻害した。第21日で抗原負荷後の24時間を概要した抗原負荷実験のマウスから血清を回収し、血清IL−5レベルをELISAによって測定した。図11に示されるように、IL−5レベルの上昇が、負荷後9時間程度の初期に試験マウスで検出された;このレベルは、48時間まで下降し始め、72時間までに基底まで回復した。1B7v2 mAbを用いたマウスの処理は、24時間でIL−5の統計学的に有意な抑制をもたらした。
【実施例11】
【0204】
カニクイザルB7RP−1への結合
抗hB7RP−1 mAbがまたカニクイザルのB7RP−1に結合するかどうかを測定するために、フローサイトメトリー染色実験を16H mAb、ならびにカニクイザルおよびヒトから精製したB細胞を用いて行った。図12Aに示されるように、蛍光標識した16HをカニクイザルのB細胞に添加した結果、染色され、16Hが実際にカニクイザルB7RP−1(右パネル)に結合することを示した。期待されたように、16HはまたヒトB細胞を染色した(左パネル)。さらに、16H、16Hg、および5Dは、カニクイザルのT細胞、カニクイザルのB7RP−1−Fc、および抗CD3 mAbを用いてプレート共刺激アッセイで試験された。図12Bに示されるように、3種のmAbの全ては、カニクイザルのB7RP−1依存的なカニクイザルのT細胞活性化を阻害し、これらのmAbは、カニクイザルのICOS−B7RP−1相互作用をブロックすることを示した。
【実施例12】
【0205】
抗B7RP−1抗体の投与後のカニクイザルにおけるT細胞依存的な抗原応答
カニクイザル試験は、2つの抗B7RP−1モノクローナル抗体である16Hおよび5Dを用いて行い、抗原特異的抗体の血清レベルによって測定されるT細胞依存的なB細胞抗原応答を阻害するこれらの抗体の能力を評価した。簡単には、抗キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)および抗破傷風トキソイド抗体応答は、カニクイザルにおけるB7RP−1抗体の存在下で抗原負荷後に試験した。
【0206】
試験項目1は、16Hであり、試験項目2は、5Dであった。対照項目は、B7RP−1抗体のためのビヒクルであった(0.01酢酸ナトリウム、pH5.0、5%ソルビトール、0.004% Tween 20)。キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)は、Pierce Biotechnology(Rockford,Illinois)から購入した。
【0207】
KLHは、無菌水で再構成によって調製し、10mg/mL保存液を得た。保存液を無菌水で希釈し、1mg/mL投薬液を得た。これらの実験に用いられる破傷風トキソイドは、Super−Tet(登録商標)Tetanus Toxoid w/Havlogen(登録商標)であり、Intervet(商標)Inc.(Milsboro,Delaware)から購入した。これらの実験のための投薬レベルは、75IU(150IU/mLの0.5mL)であった。
【0208】
表6は、28匹のカニクイザルの処置群分布を示す。
【0209】
【表5】

【0210】
試験項目の投薬量は、第1、8、15、22、29、36、43、および50日目に、全ての動物に静脈注射により投与した。グループ1−4における検視のために予定されている動物(1/性別/グループ)は、第57日目で追加の投薬量を受けた。免疫応答の評価は、KLHおよび破傷風トキソイド抗原での免疫を介した全ての動物に行われ、抗原特異的免疫グロブリン(IgMおよびIgG)についての血液をサンプリングした。
【0211】
タイター値は、KLHおよび破傷風抗原の両方の一次投与後に存在していた。KLHについては、一次タイター値はIgMおよびIgGの両方に対して0から900の範囲であった。一次KLH負荷が試験項目投与前に投与されたので、B7RP−1抗体の効果を評価しなかった。破傷風トキソイドについて、一次タイター値は、IgMについては0から50、IgGについては0から4050の範囲であった。B7RP−1抗体グループと対照グループとの間の破傷風トキソイドに対する一次応答では差異がなかった。
【0212】
期待されたように、IgGに関するタイター値は、一次タイター値と比較した場合、KLHおよび破傷風抗原の両方の二次投与後に増加した。KLHについては、二次タイター値は、IgMについては0から300、IgGについては0から8100の範囲であった。しかしながら、KLH二次応答の阻害がB7RP−1抗体の投与に起因するという証拠はなかった。
【0213】
破傷風トキソイドについては、二次タイター値は、IgMについては50を下回り、IgGについては1350から36450の範囲であった。個々の動物の結果およびグループの平均値は、第42日に破傷風トキソイドで二次負荷後の第53日および第57日目について、図13A(16H抗体)および図13B(5D抗体)に示している。
【0214】
第53日目に、ピーク応答に到達している動物の数は、2/4の対照動物と比べて、16Hの0.1、1、および8mg/kg投薬レベルでそれぞれ3/4、1/4、および1/4であり、5Dの0.1、1、および8mg/kg投薬レベルでそれぞれ1/4、1/4、および1/4であった。したがって、一般的には、第53日目で高いタイターに到達している動物の数は、B7RP−1抗体処置群で減少した。第57日で、タイター値は、対照動物で維持され、B7RP−1抗体で処置したいくつかの動物のタイター値は、第53日の値から低下した。第57日目に高いタイターである動物の数は、2/4の対照動物と比べて、16Hの0.1、1、および8mg/kg投薬レベルでそれぞれ0/4、0/4、および1/4であり、5Dの0.1、1、および8mg/kg投薬レベルでそれぞれ0/4、0/4、および0/4であった。
【0215】
これらの結果は、2種のB7RP−1抗体である16Hおよび5Dが、破傷風トキソイド特異的な抗体の血清レベルによって測定されるように、カニクイザルにおけるT細胞依存的B細胞抗原応答を阻害したことを示した。さらに、B7RP−1抗体の存在は、二次負荷後の効果を検出するために、一次応答の間のB7RP−1−ICOS相互作用の遮断について重要であった。
【0216】
これらの結果および実施例10の結果は、代理治療薬および治療候補薬が、マウスおよびサルのモデル系においてT細胞およびB細胞依存的な免疫応答をブロックしたことを示し、この共刺激軸をブロックすることは、全身性エリテマトーデス(SLE)、喘息、および関節リウマチ(RA)などのB細胞媒介の疾患の治療に有効であり得ることを示している。
【0217】
前述の開示は、本発明の特定の実施形態を強調し、この全ての修飾または代替の同等物が、添付の特許請求の範囲に記載される発明の精神および範囲内にあることを理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】図1Aは、16H抗体可変領域配列(配列番号7)および対応する16H可変領域生殖細胞系列(16Hg)配列(配列番号8)を示す。図1Bは、抗CD3、および16Hと対比して16Hgが生物学的活性を保持していることを示すhB7RP1−Fc融合タンパク質を用いた共刺激アッセイの結果を示す。
【図2】16H、16Hg、および5D抗体を用いたBiacore(登録商標)結合アッセイの結果を示す。
【図3】5D抗体を用いたKinExA結合アッセイの結果を示す。
【図4】2H抗体を用いたKinExA結合アッセイの結果を示す。
【図5】2H生殖細胞系列(2Hg)抗体を用いたKinExA結合アッセイの結果を示す。
【図6】16H抗体がB7RP−1上のICOS−Fcの結合と競合することを示す結合競合アッセイの結果を示し、フローサイトメトリーによって分析した。
【図7】B7RP−1の一塩基多型(SNP)分析の概要を示す。
【図8】ELISA競合アッセイにおける一連の抗ヒトB7RP−1モノクローナル抗体の分析の概要を示す。示される値は、ICOS−Fc融合タンパク質の結合阻害に関するIC50である。
【図9】図9Aは、標識した16H、5D、およびICOS抗体を用いたB7RP1細胞外ドメイン(ECD)の蛍光染色を示す。図9Bは、B7RP1のSNP変異体に対する16Hおよび5D抗体の同様の結合有効性を示す。図9Cは、16Hまたは5D抗体およびSNP変異体を用いた共刺激アッセイの結果を示す。
【図10A】多数の異なる抗マウスB7RP−1モノクローナル抗体と比較した1B7v2モノクローナル抗体を用いたプレート共刺激アッセイの結果を示す。
【図10B】抗原負荷実験の結果を示し、抗原特異的血清IgM(図10B)、IgG2a(図10C)、およびIgG1(図10D)に関して分析した。
【図10C】抗原負荷実験の結果を示し、抗原特異的血清IgM(図10B)、IgG2a(図10C)、およびIgG1(図10D)に関して分析した。
【図10D】抗原負荷実験の結果を示し、抗原特異的血清IgM(図10B)、IgG2a(図10C)、およびIgG1(図10D)に関して分析した。
【図11】血清IL−5レベルが1B7v2抗体によって抑制されることを示すELISAの結果を示す。
【図12】図12Aは、16H抗体が、カニクイザルB7RP1(右パネル)およびヒトB7RP1(左パネル)に結合できることを示す。図12Bは、16H、16Hg、および5D抗体は、カニクイザルB7RP1/ICOS依存性T細胞活性化を阻害できることを示す。
【図13A】16H抗体で処理した動物における42日目に破傷風トキソイドで二次負荷後の53日目および57日目の個々のカニクイザルおよびグループ平均タイター値を示す。
【図13B】5D抗体で処理した動物における42日目に破傷風トキソイドで二次負荷後の53日目および57日目の個々のカニクイザルおよびグループ平均タイター値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
B7RP1に特異的に結合する単離された抗体であり、前記抗体が、重鎖可変領域を有する重鎖および軽鎖を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号7から14のいずれかに記載のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、抗体。
【請求項2】
ヒトB7RP1に特異的に結合するが、マウスB7RP1には結合しない、請求項1の単離された抗体。
【請求項3】
ヒトB7RP1およびマウスB7RP1に特異的に結合する、請求項1の単離された抗体。
【請求項4】
重鎖可変領域が配列番号7から14に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、請求項1の抗体。
【請求項5】
重鎖が配列番号27、30または35に記載のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR1、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、請求項1の抗体。
【請求項6】
重鎖が配列番号29、32、34、37、38または40に記載のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR3、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む請求項1の抗体。
【請求項7】
重鎖が配列番号28、31、33、36、または39に記載のアミノ酸配列を有するヒト重鎖CDR2、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む請求項1の抗体。
【請求項8】
a)配列番号7に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
b)配列番号8に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号1に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
c)配列番号9に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号2に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
d)配列番号10に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号3に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
e)配列番号11に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号3に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
f)配列番号12に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号4に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;
g)配列番号13に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号5に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖;または
h)配列番号14に記載のアミノ酸配列、この抗原結合性または免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む重鎖可変領域を有する重鎖、および配列番号6に記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む軽鎖可変領域を有する軽鎖
を含む、B7RP1に特異的に結合する単離された抗体。
【請求項9】
B7RP1に特異的に結合する単離された抗体であり、前記抗体が重鎖および軽鎖可変領域を有する軽鎖を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号1から6に記載のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫原性断片を含む、抗体。
【請求項10】
ヒトB7RP1に特異的に結合するが、マウスB7RP1には結合しない、請求項9の単離された抗体。
【請求項11】
ヒトB7RP1およびマウスB7RP1に特異的に結合する、請求項9の単離された抗体。
【請求項12】
軽鎖可変領域が配列番号1から6に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、請求項9の抗体。
【請求項13】
軽鎖が配列番号15、18または24に記載のアミノ酸配列を有するヒト軽鎖CDR1、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む請求項9の抗体。
【請求項14】
軽鎖が配列番号17、20、22、23、25、または26に記載のアミノ酸配列を有するヒト軽鎖CDR3、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む請求項9の抗体。
【請求項15】
軽鎖が配列番号16、19、または21に記載のアミノ酸配列を有するヒト軽鎖CDR2、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む請求項9の抗体。
【請求項16】
a)重鎖CDR1が配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号28に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号29に記載のアミノ酸配列を有し;
b)重鎖CDR1が配列番号30に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号31に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号32に記載のアミノ酸配列を有し;
c)重鎖CDR1が配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号34に記載のアミノ酸配列を有し;
d)重鎖CDR1が配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号36に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号37に記載のアミノ酸配列を有し;
e)重鎖CDR1が配列番号27に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号33に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号38に記載のアミノ酸配列を有し;または
f)重鎖CDR1が配列番号35に記載のアミノ酸配列を有し、重鎖CDR2が配列番号39に記載のアミノ酸配列を有し、および重鎖CDR3が配列番号40に記載のアミノ酸配列を有すること
を含む、B7RP1に特異的に結合する単離された抗体。
【請求項17】
重鎖および軽鎖がフレキシブルなリンカーによって連結されて一本鎖の抗体を形成する、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項18】
一本鎖のFv抗体である、請求項17の抗体。
【請求項19】
Fab抗体である、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項20】
Fab’抗体である、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項21】
(Fab’)抗体である、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項22】
完全にヒト抗体である、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項23】
B7RP1活性を阻害する、請求項1、9、または16の抗体。
【請求項24】
患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法であり、B7RP1に特異的に結合する単離された抗体の医薬的に有効な量を患者に投与することを含み、前記抗体が配列番号1から40、44から58若しくは70から76に掲げるアミノ酸配列またはその抗原結合性若しくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、方法。
【請求項25】
自己免疫疾患が、関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスである、請求項24の方法。
【請求項26】
炎症性反応が喘息である、請求項24の方法。
【請求項27】
患者における共刺激シグナルT細胞活性化を阻害する方法であり、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体の医薬的に有効な量を患者に投与することを含み、前記抗体が配列番号1から40、44から58若しくは70から76のいずれかに記載のアミノ酸配列、またはその抗原結合性若しくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、方法。
【請求項28】
喘息、関節リウマチ、または全身性エリテマトーデスを患っている患者を治療する方法であり、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体の医薬的に有効な量を患者に投与することを含み、前記抗体が、配列番号1から40、44から58、または70から76のいずれかに記載のアミノ酸配列を含む、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、方法。
【請求項29】
医薬的に許容される担体およびB7RP1に特異的に結合する単離された抗体の治療的に有効な量を含む医薬組成物であり、前記抗体が、配列番号1から40、44から58、または70から76のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、医薬組成物。
【請求項30】
請求項29の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項31】
生物学的試料中のB7RP1を検出する方法であり、
a)前記試料に、抗体がB7RP1に結合できる条件下で、請求項1、9、または16の抗体を接触させること;および
b)前記試料中の結合抗体レベルを測定すること
を含む、方法。
【請求項32】
請求項1、9、または16の抗体をコードする核酸分子。
【請求項33】
請求項32の核酸を含む宿主細胞。
【請求項34】
請求項1、9、または16のいずれかに記載の抗体を産生する単離された細胞株。
【請求項35】
配列番号15から40から選択される少なくとも1つのアミノ酸配列を含み、B7RP1に結合することができるB7RP1特異性結合作用因子。
【請求項36】
医薬的に許容される担体および治療的に有効量の請求項35に記載の結合作用因子を含む医薬組成物。
【請求項37】
請求項36の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項38】
タンパク質である、請求項35の結合作用因子。
【請求項39】
請求項35の結合作用因子をコードする核酸分子。
【請求項40】
請求項39の核酸を含む宿主細胞。
【請求項41】
請求項35の結合作用因子を産生する単離された細胞株。
【請求項42】
医薬的に有効な量の請求項35の結合作用因子を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項43】
自己免疫疾患が、関節リウマチまたは全身性エリテマトーデスである、請求項42の方法。
【請求項44】
炎症性反応が喘息である、請求項42の方法。
【請求項45】
生物学的試料中のB7RP1を検出する方法であり、
a)前記試料に、結合作用因子がB7RP1に結合できる条件下で、請求項35の結合作用因子を接触させること;および
b)前記試料中の結合抗体レベルを測定すること
を含む、方法。
【請求項46】
配列番号1から39のいずれかに記載のアミノ酸を有するペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸分子。
【請求項47】
a)B7RP1のD領域、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片;または
b)B7RP1のH領域、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片
に特異的に結合する単離された抗体。
【請求項48】
重鎖および軽鎖がフレキシブルなリンカーによって連結されて一本鎖の抗体を形成する、請求項47の抗体。
【請求項49】
一本鎖のFv抗体である、請求項48の抗体。
【請求項50】
Fab抗体である、請求項47の抗体。
【請求項51】
Fab’抗体である、請求項47の抗体。
【請求項52】
(Fab’)抗体である、請求項47の抗体。
【請求項53】
完全ヒト抗体である、請求項47の抗体。
【請求項54】
B7RP1活性を阻害する、請求項47の抗体。
【請求項55】
医薬的に有効な量の請求項54の抗体を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項56】
自己免疫疾患が関節リウマチ、または全身性エリテマトーデスである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
炎症性反応が喘息である、請求項55の方法。
【請求項58】
医薬的に許容される担体および治療的に有効な量の請求項55の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項59】
請求項58の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項60】
生物学的試料中のB7RP1を検出する方法であり、
a)前記試料に、抗体がB7RP1に結合できる条件下で、請求項47の抗体を接触させること;および
b)前記試料中の結合抗体レベルを測定すること
を含む、方法。
【請求項61】
請求項47の抗体をコードする核酸分子。
【請求項62】
請求項61の核酸を含む宿主細胞。
【請求項63】
請求項47の抗体を産生する単離された細胞株。
【請求項64】
配列番号1から40のいずれかを含む抗体の結合と競合的である、単離された抗体。
【請求項65】
請求項64の抗体をコードする核酸分子。
【請求項66】
請求項65の核酸を含む宿主細胞。
【請求項67】
請求項64の抗体を産生する単離された宿主細胞株。
【請求項68】
配列番号44から58もしくは70から76のいずれかに記載のアミノ酸配列、またはこの抗原結合性もしくは免疫学的機能性免疫グロブリン断片を含む、B7RP1に特異的に結合する単離されたヒト抗体。
【請求項69】
重鎖および軽鎖がフレキシブルなリンカーによって連結されて一本鎖の抗体を形成する、請求項68の抗体。
【請求項70】
一本鎖のFv抗体である、請求項69の抗体。
【請求項71】
Fab抗体である、請求項68の抗体。
【請求項72】
Fab’抗体である、請求項68の抗体。
【請求項73】
(Fab’)抗体である、請求項68の抗体。
【請求項74】
完全ヒト抗体である、請求項68の抗体。
【請求項75】
B7RP1活性を阻害する、請求項68の抗体。
【請求項76】
医薬的に有効な量の請求項75の抗体を患者に投与することを含む、患者における自己免疫疾患または炎症性反応を治療する方法。
【請求項77】
自己免疫疾患が関節リウマチ、または全身性エリテマトーデスである、請求項76の方法。
【請求項78】
炎症性反応が喘息である、請求項76の方法。
【請求項79】
医薬的に許容される担体および治療的に有効な量の請求項75の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項80】
請求項79の医薬組成物を患者に投与することを含む、患者におけるB7RP1発現の増加またはB7RP1に対する感受性の増加によって引き起こされる状態を治療する方法。
【請求項81】
生物学的試料中のB7RP1を検出する方法であり、
a)前記試料に、抗体がB7RP1に結合することができる条件下で、請求項68の抗体を接触させること;および
b)前記試料中の結合抗体レベルを測定すること
を含む、方法。
【請求項82】
請求項68の抗体をコードする核酸分子。
【請求項83】
請求項82の核酸を含む宿主細胞。
【請求項84】
請求項68に記載の抗体を産生する単離された宿主細胞株。
【請求項85】
配列番号1から40、44から58または70から76のいずれかに記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする単離された核酸分子。
【請求項86】
請求項85の核酸を含む宿主細胞。
【請求項87】
請求項85に記載のポリペプチドを産生する単離された宿主細胞株。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2009−501549(P2009−501549A)
【公表日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522896(P2008−522896)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/027862
【国際公開番号】WO2007/011941
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【出願人】(504378238)メダレックス インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】