説明

ヒト樹状細胞による外因性抗原のクラスI提示を増加させる方法

【課題】原発性癌および転移性癌に対する免疫療法応答のためにT細胞を活性化するヒト樹状細胞の使用のための方法および組成物を提供すること。
【解決手段】1つの実施形態において、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)と組み合わせて腫瘍関連抗原またはその抗原フラグメントに暴露されたヒト樹状細胞が癌患者に投与され、インビボで主にCD8 T細胞応答を活性化させる。代替の実施形態において、ヒト樹状細胞は、BCGと組み合わせてインビトロで腫瘍関連抗原かまたは特異的抗原ペプチドに暴露され、そしてプライムされたかまたはプライムされていないT細胞と共にインキュベートまたは培養されて、インビトロで主にCD8 T細胞応答を活性化させる。次いで活性化されたT細胞は癌患者に投与される。BCGと組み合わせた抗原は、主にCD8 T細胞応答を提供するMHC−クラスI区画を通して樹状細胞によりプロセシングされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本願は、2000年5月12日に出願された米国仮特許出願番号60/203,758(これは、本明細書中に参考として援用される)に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
免疫系は、原発性癌細胞および転移性癌細胞の両方を含む腫瘍細胞を殺すように機能し得ることが十分に証明されている。確かに、免疫系が腫瘍性癌細胞の存在を認識する証拠は、腫瘍組織において浸潤するリンパ球の存在によって支持されている(Haskillら、Contemp.Top.Immunobiol.8:107−170(1978);VoseおよびMoore,Semin.Hematol.22:27−40(1985))。免疫細胞の存在にも関わらず、腫瘍は、しばしば打ち勝ち、そして生存するだけでなく、無制限の増殖を有して遠位部位に転移する。
【0003】
標的細胞のT細胞活性化および認識の理解における最近の進歩は、T細胞媒介癌免疫治療の発達におけるいくらかの進歩を可能にした(Schwartz,Cell 71:1065−1068(1992);Pardoll,Curr.Opin.Immunol.4:619−623(1992))。
【0004】
免疫系は、単一の多分化能前駆細胞から、リンパ球および骨髄細胞の主要サブグループに発達する。リンパ球は、B細胞およびT細胞から構成される。骨髄細胞は、マクロファージ、単球および好中球を含む。免疫細胞は、外来抗原を循環および捜索し、そしてこれらを除去する。
【0005】
リンパ球サブグループにおいて、免疫応答は、表面分子CD4の発現について陽性であるヘルパーT細胞(T)およびCD8について陽性の表面である細胞障害性T細胞(T)の活性化を導く。T細胞は、抗原性フラグメントに結合する主要組織適合性(MHC)のクラスIまたはクラスII分子を発現する抗原提示細胞(APC)との相互作用を介して活性化される。関連した抗原性アミノ酸配列は、プロセシングされた抗原に特異的に由来する。
【0006】
APCは、抗原の供給源に依存して抗原を提示する2つの代替的な方法を使用する。外因性の可溶性抗原は、小胞にエンドサイトーシスされ、そして低pHによって分解される。次いで、生じるペプチドフラグメントは、MHCクラスIIタンパク質に指向され、そして細胞表面上に提示される。MHCクラスIに関する提示は、抗原がサイトゾル中で分解され、そして小胞体へのTAP輸送系によって輸送されることを必要とする。代表的に、これは、例えば、ウイルス感染または細胞輸送の場合において、抗原がサイトゾル中に存在することを必要とし、次いで得られたペプチドは、MHCクラスIと結合する。
【0007】
抗原−MHC複合体は、抗原ならびにCD4およびCD8表面分子を認識する特異的T細胞レセプターによって認識される。CD4およびCD8は各々、MHCの1つのクラスのみの保存された領域と相互作用する。MHCクラスIIは、CD4との相互作用に起因してT細胞によって認識されるが、MHCクラスI提示は、CD8との相互作用を介するTC細胞の活性化に制限される。
【0008】
未処置または初回抗原刺激を受けたT細胞の活性化は、規定の機構に従う。内因性抗原は、MHCクラスI上で提示され、そして可溶性外因性抗原は、APCによってMHCクラスII上に提示される。MHCクラスIまたはMHCクラスII抗原複合体は、それぞれCD8またはCD4と相互作用し、また抗原に特異的なT細胞レセプターと相互作用する。この特定の相互作用の際、β−ミクログロブリンおよびCD28のような二次分子は、次いで適切な免疫応答を及ぼすT細胞の活性化を引き起こす。
【0009】
感作されたかまたは「初回刺激された」CD4T細胞は、B細胞および種々のT細胞サブセットの活性化および補充に関与するケモカインを生成する。感作されたCD8T細胞は、リンホカインに応答して多数増加し、そして適合するMHCクラスI分子と結合する特異的な抗原性フラグメントを発現するいずれの細胞も破壊し得る(Jondalら、Immunity 5:295−302(1996))。
【0010】
腫瘍浸潤リンパ球は、癌性腫瘍が、癌関連抗原または癌特異的抗原を発現し得る細胞を根絶し得るCD8CTLを誘導し、それにより、腫瘍の広がりおよび疾患の発症の進行を制限するという証拠である。しかし、腫瘍は、頻繁に増殖および転移し、この自然の免疫に打ち勝つ。多数の特定の癌に指向される免疫療法のための種々の方法は、この天然の免疫応答を増強することが示唆されているが、主な困難性は、MHCクラスIを介して可溶性のヒト腫瘍関連抗原または組織特異的抗原を提示するAPCを誘導することである。近年の実験は、インビトロでのCTLの活性化が、インビボでの同系の腫瘍の増殖からの強力な保護を与え得ることをマウスの系において実証している(Fieldsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:9482−9487(1998))。しかし、マウス免疫系における実験は、ヒト免疫応答を完全に予測するのではない。現在のところ、可溶性タンパク質抗原またはタンパク様抗原と共にインキュベートしたAPCを使用して、原発性癌または転移性癌に対する効果的なヒトCTL免疫療法応答を首尾良く誘発する治療方法は存在しない。
【0011】
抗原提示細胞(APC)は、効果的な免疫応答を誘発する際に特に重要である。定義によると、APCは、抗原特異的T細胞レセプターを有するT細胞に対して抗原を提示するだけでなく、T細胞活性化のために必要な全てのシグナルを提供する。T細胞活性化に必要なシグナルは、不完全に定義されているが、おそらく種々の細胞表面分子およびサイトカインまたは増殖因子を含む。さらに、未処理または初回刺激されていないT細胞の活性化に必要な因子は、以前に初回刺激された記憶T細胞の再活性化に必要な因子とは異なり得る。T細胞活性化のために抗原を提示しそしてそれと共にそのシグナルを送達するAPCの能力は、補助細胞機能と一般にいわれる。単球およびB細胞は、コンピテントなAPCであることが示されているが、インビトロでのこれらの抗原提示能力は、以前に感作されたT細胞の再活性化に限定されないようである。従って、これらは、機能的に未処理または初回刺激されていないT細胞集団を直接活性化し得ない。
【0012】
用語「樹状細胞」は、種々のリンパ様組織および非リンパ様組織において見出される形態学的に類似の細胞型の多様な集団をいう(Steinman,Ann.Rev.Immunol.9:271−296(1991))。これらの細胞としては、脾臓のリンパ様樹状細胞、上皮のランゲルハンス細胞、および血液循環中のベール細胞が挙げられる。これらは、これらの形態、高レベルの表面MHCクラスII発現、ならびにT細胞、B細胞、単球およびナチュラルキラー細胞上に発現される特定の他の表面マーカーの非存在に基づいて集団的に分類されるが、樹状細胞が共通の前駆物質に由来するか否か、または同じ様式でAPCとして全て機能するか否かは、現在知られていない。樹状細胞は、一次Tリンパ球応答および一次Bリンパ球応答を刺激し得る免疫系の最も強力なAPCである(Banchereauら、Nature 392:245−252(1998))。
【0013】
研究によって、多数の供給源由来(ヒト末梢血液由来を含む)のヒトDCの単離および拡大のための方法が記載されている(Macatoniaら、Immunology 74:399−406(1991);O’Dohertyら、J.Exp.Med.178:1067−1078(1993)(単離);およびMarkowiczら、J.Clin.Invest.85:955−961(1991);Romaniら、J.Exp.Med.180:83−93(1994);Sallustoら、J.Exp.Med.179:1109−1118(1994);Berhardら、Cancer Res.55:1099−1104(1995)(拡大))。PCT公開WO94/02156は、抗原特異的T細胞媒介応答を誘導する抗原を提示するヒトDCを単離するための方法を記載する。養子細胞免疫治療および感染性疾患および癌に対する単離されたDCの使用が述べられている。
【0014】
黒色腫(Nestle,F.O.ら、Nat.Med.4:328−332(1998));B細胞リンパ腫(Hsu,F.J.ら、Nat.Med.2:52−58(1996));および前立腺癌(Murphyら、米国特許第5,788,963号;Murphyら、Prostate 29:371−380(1996);Salgallerら、Prostate 35:144−151(1998))に対する関連抗原を用いてパルスした樹状細胞の使用に関する臨床試験が開始されている。
【0015】
外因性抗原プロセシングは、MHCクラスII上の抗原提示を生じるが、内因性プロセシング経路は、MHCクラスIを利用する(Jondalら、Immunity,5:295−302(1996))。抗原のMHCクラスII提示によるT細胞の活性化は、治療的に成功したが、マウスモデルにおける実験は、提示がMHCクラスIによる場合、有意により多くの強力な癌保護が生じることを示唆する。しかし、マウスモデルにおける成功は、必ずしもヒト細胞を使用する成功を予想せず、そしてヒトAPCによる可溶性外因性抗原のMHCクラスI提示の報告は全く存在しない。
【0016】
MHCクラスI(いくつかの細菌およびウイルス抗原を含む)上に提示される可溶性抗原の小さいサブグルーブが存在するが、多数の抗原(例えば、外因性可溶性ヒト腫瘍関連抗原または組織特異的抗原を含む)のMHCクラスI提示を確実に誘導する方法は、報告されている。MHCクラスI上に提示される可溶性抗原および目的の抗原の融合タンパク質を作製するための技術が開発されているが、このプロセスは、効果的に実施するための有意な時間および分子操作を必要とする。外因性抗原のMHCクラスIプロセシングは、現在の免疫療法において有意な改善を潜在的に示し得る。
【0017】
前立腺癌は、アメリカ人男性において現在診断される最も一般的な形態の癌である。これは、成人男性の間での癌の死亡の主要な原因として肺癌に次いで2番目である。全ての新規に診断された前立腺癌患者のおよそ3分の1が、転移性または局所的に進行した疾患を提供する。現在、転移性疾患のための利用可能な治療法(ホルモン、化学療法、および放射線アプローチを含む)は、患者の有意な割合において、治療的可能性を達成しない。局在化した癌、前立腺切除および放射線治療を有する患者にとって、現在の処置の基準は、20%と50%との間の失敗率を生じる。進行した疾患において伴われるような、これらの主要な処置の失敗に対する選択性は、数が少なく、そして臨床的利益において制限されている。
【0018】
免疫認識に関与する機構の解明によって、抗癌治療における新しいそして刺激的なストラテジーが、利用可能である。特に有望なのは、抗腫瘍応答を評価する樹状細胞(DC)によって提示された抗原を利用する癌ワクチンである。しかし、最近の研究によって、細胞性免疫応答を最大化するために、DCの主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIプロセシング区画への可溶性の外因性腫瘍関連抗原の送達を増強することが重要であることが示されている。本発明は、当該分野におけるこれらおよび他の必要性を述べる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の要旨)
本発明は、原発性癌および転移性癌に対する免疫療法応答においてT細胞の樹状細胞活性化のための方法および組成物を提供する。ヒトドナーから得られたDCは、抗原単独によって誘導される応答と比較して、インビボでのMHCクラスI関連細胞障害性T細胞応答を増加するアジュバントと組み合わせて、可溶性の組織関連抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連抗原、または腫瘍特異的抗原への曝露後、それが必要な癌患者に投与される。あるいは、DCへの曝露に使用された抗原は、組織関連抗原、組織特異的抗原、または腫瘍関連抗原のフラグメントであり得る。1つの実施形態において、DCは、アジュバントおよび可溶性の組織関連抗原、組織特異的抗原、もしくは腫瘍抗原、またはそれらのフラグメントに同時に曝露される。この応答は、T細胞(T)および細胞障害性T細胞(T)活性化を含む。あるいは、ヒトT細胞は、インビトロで前述のDCと共に培養され、そして引き続きインビトロで活性化されたT細胞は、それが必要な癌患者に投与される。
【0020】
本発明の1つの実施形態において、カルメット−ゲラン菌(BCG)(Mycobacteria bovis)は、MHCクラスプロセシングを得るために、抗原(すなわち、可溶性の腫瘍もしくは組織特異的タンパク質抗原またはそれらの抗原性フラグメント)と共にアジュバントとして使用される。外因性抗原は、通常、抗原提示細胞(APC)におけるMHCクラスII区画によって保有され、そして内因性抗原は、MHCクラスI区画によって保有される。驚くべきことに、本発明は、BCGのようなアジュバントと共に可溶性抗原(ヒト腫瘍抗原または組織特異的抗原を含む)を用いてDCをパルスする場合、MHCクラスI提示の増強が生じることを見出した。従って、BCGのようなアジュバントの存在は、代表的に、MHCクラスI区画におけるDC可溶性腫瘍抗原プロセシングを増加し、そして対応して、抗原単独が投与される個体と比較して、より高い割合のCD8T細胞を活性化する。
【0021】
別の実施形態において、DCは、BCGおよび細菌外毒素(例えば、リポ多糖(LPS))の組み合わせの存在下で、可溶性抗原(ウイルス抗原、細菌抗原、組織抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連抗原、または腫瘍特異的抗原を含む)に曝露される。1つの実施形態によると、外科的試料から回収された前立腺腫瘍細胞分解物は、抗原として使用され得る。例えば、前立腺癌患者自身の腫瘍のサンプル(生検または外科的切除において得られる)は、抗原の細胞溶解産物を提供するために使用され得る。さらに、精製された前立腺特異的膜抗原(PSMA、PSM抗原としてもまた知られる)(これは、モノクローナル抗体7E11−C.5と特異的に反応する)は、抗原として使用され得る。さらなる抗原としては、組織関連タンパク質抗原、組織特異的タンパク質抗原、腫瘍関連タンパク質抗原もしくは腫瘍特異的タンパク質抗原(すなわち、PSMA、前立腺ムチン抗原、前立腺特異的抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PD41抗原などのような)が挙げられる。1つの実施形態によると、アミノ酸配列Leu Leu His Glu Thr Asp Ser Ala Val(配列番号1)(PSM−1と命名される)(これは、PSMAのアミノ酸残基4〜12に対応する)を有する抗原性ペプチドは、抗原として使用され得る。さらに、アミノ酸配列Ala Leu Phe Asp Ile Glu Ser Lys Val(配列番号2)(PSM−2と命名される)(これは、PSMAのアミノ酸残基711〜719に対応する)を有する抗原性ペプチドは、抗原として使用され得る。
【0022】
別の実施形態によると、PSMの抗原性ペプチドフラグメントから選択される抗原性ペプチドは、特定のハプロタイプの結合モチーフと一致する。さらなる実施形態によると、このペプチドは、DCによって提示されるように選択され、PSAの各ペプチドについて示されたハプロタイプと一致しそして特定のハプロタイプの結合モチーフと一致している患者のT細胞を活性化する。
【0023】
代替の実施形態において、MHCクラスI抗原ロードDC(上述のように)は、初回刺激されるかまたは未処理のT細胞と共にインビトロでインキュベートされ、関連したT細胞応答を活性化する。活性化されたT細胞は、免疫療法のために引き続いて患者(すなわち、癌)に投与される。いずれかの場合において、DCを有利に使用して、例えば、感染または原発性もしくは転移性ヒト癌に対する応答を阻害する免疫療法増殖を誘発する。特に、このヒト癌は、前立腺癌である。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、腫瘍細胞増殖阻害応答を生成する方法を提供し、この方法は、有効量の活性化T細胞を、それが必要な癌患者に投与する工程であって、T細胞がインビトロで活性化される、工程を包含する。インビトロ活性化は、MHCクラスIプロセシングを増強するために、LPSと組み合わせてかまたは組み合わせないのいずれかで、BCGと組み合わせて、組織関連抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはその抗原性フラグメントへのヒト樹状細胞の曝露を含む。さらなる実施形態において、本発明は、腫瘍増殖または癌細胞増殖阻害応答を生成する方法を提供し、この方法は、LPSと組み合わせてかまたは組み合わせないのいずれかで、BCGと組み合わせて、組織関連抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連抗原、腫瘍特異的抗原またはそれらの抗原性フラグメントへインビボでの曝露された、有効量のヒト樹状細胞を、それが必要な癌患者に投与する工程を包含し、その結果、投与後に、ヒトDCが、腫瘍もしくは癌細胞に対する、主にCD8T細胞免疫応答を誘発するかまたは既存の免疫応答を増強する。
【0025】
本発明の方法および組成物に有用な抗原は、以下を含むがこれらに限定されない;本明細書中に示されるような、患者の生検由来の可溶性抽出物、外科的切除間に得られた腫瘍細胞由来の可溶性抽出物、腫瘍型に関連する組織関連抗原または組織特異的抗原、組換え精製腫瘍抗原、組換え精製組織関連抗原または組換え精製組織特異的抗原など。
本発明はさらに、特定の実施形態におけるアジュバントおよび関連抗原に曝露された単離されたヒト樹状細胞を含む組成物を提供し、この樹状細胞は、凍結保存された単離されたヒト樹状細胞であり、そして原発性癌および/または転移性癌に対する免疫治療応答を誘発するために有用である延長した寿命のヒト樹状細胞である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) インビトロで腫瘍細胞に関連する抗原および該抗原の主要組織適合遺伝子複合体−(MHC−)クラスIプロセシングを促進する因子または薬剤に暴露された、単離されたヒト樹状細胞を含む、組成物。
(項目2) 前記樹状細胞が、暴露後に低温保存されている、項目1に記載の組成物。
(項目3) 前記抗原が、患者から単離された腫瘍細胞の溶解産物、患者から単離された腫瘍細胞の膜調製物、精製された腫瘍特異的抗原、精製された腫瘍関連抗原、精製された組織関連抗原、精製された組織特異的抗原、またはそれらの抗原フラグメントである、項目1に記載の組成物。
(項目4) 前記抗原が、前立腺腫瘍関連抗原である、項目3に記載の組成物。
(項目5) 前記抗原が、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の溶解産物、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の膜調製物、精製された前立腺特異的膜抗原(PSMA)、アミノ酸配列Leu Leu His Glu Thr Asp Ser Ala Val(配列番号1)を有するペプチド、アミノ酸配列Ala Leu Phe Asp Ile Glu Ser Lys Val(配列番号2)を有するペプチド、アミノ酸配列Xaa Leu(またはMet) Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Val(またはLeu)を有するペプチドであって、ここで、Xaaが任意のアミノ酸を表す、ペプチド、精製された前立腺特異的抗原(PSA)、精製された前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP)、前立腺癌腫瘍抗原(PCTA−1)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、またはモノクローナル抗体PD41により認識される精製された前立腺粘液抗原である、項目3に記載の組成物。
(項目6) 前記前立腺癌抗原が以下:
【化1】


である、項目3に記載の組成物。
(項目7) 前記ヒト樹状細胞が、皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、臍帯血、または末梢血から獲得された、項目1に記載の組成物。
(項目8) 前記樹状細胞が、寿命の延長された樹状細胞である、項目1に記載の組成物。
(項目9) 前記因子または薬剤が、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、またはリポ多糖(LPS)を伴ったBCGを含む、項目1に記載の組成物。
(項目10) 腫瘍細胞増殖阻害応答を生じるための方法であって、該方法は、インビトロで抗原および該抗原の主要組織適合遺伝子複合体−(MHC−)クラスIプロセシングを促進する因子または薬剤に暴露された有効量のヒト樹状細胞を、その必要がある患者に投与し、その結果、投与後に、MHC−クラスIに関係して該抗原を提示する該ヒト樹状細胞が、免疫応答を誘導するか、または腫瘍細胞の増殖を阻害する既存の免疫応答を増強する工程、を包含する、方法。
(項目11) 前記因子または薬剤が、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、またはリポ多糖(LPS)を伴ったBCGである、項目10に記載の方法。
(項目12) 前記抗原が、患者から単離された癌腫瘍細胞の溶解産物、患者から単離された腫瘍細胞の膜調製物、精製された腫瘍特異的抗原、精製された腫瘍関連抗原、精製された組織関連抗原、精製された組織特異的抗原、またはそれらの抗原フラグメントである、項目10に記載の方法。
(項目13) 前記抗原が、前立腺腫瘍関連抗原である、項目12に記載の方法。
(項目14) 前記前立腺腫瘍関連抗原が、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の溶解産物、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の膜調製物、精製された前立腺特異的膜抗原(PSMA)、アミノ酸配列Leu Leu His Glu Thr Asp Ser Ala Val(配列番号1)を有するペプチド、アミノ酸配列Ala Leu Phe Asp Ile Glu Ser Lys Val(配列番号2)を有するペプチド、アミノ酸配列Xaa Leu(またはMet) Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Val(またはLeu)を有するペプチドであって、ここで、Xaaが任意のアミノ酸を表す、ペプチド、精製された前立腺特異的抗原(PSA)、精製された前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP)、前立腺癌腫瘍抗原(PCTA−1)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、またはモノクローナル抗体PD41により認識される精製された前立腺粘液抗原である、項目12に記載の方法。
(項目15) 前記前立腺癌抗原が以下:
【化2】


である、項目12に記載の方法。
(項目16) 前記ヒト樹状細胞が、前記患者の皮膚、脾臓、胸腺、骨髄、リンパ節、臍帯血、または末梢血から獲得された、項目10に記載の方法。
(項目17) 前記ヒト樹状細胞が、末梢血から獲得された、項目10に記載の方法。
(項目18) 前記樹状細胞が、前記患者とHLAが一致した健常個体から獲得された、項目10に記載の方法。
(項目19) 前記樹状細胞が、寿命の延長された樹状細胞である、項目10に記載の方法。
(項目20) 前記ヒト樹状細胞が、前記患者への投与前に低温保存され、次いで解凍された、項目10に記載の方法。
(項目21) 前記患者が、転移性前立腺癌に罹患している、項目10に記載の方法。
(項目22) 腫瘍増殖阻害応答を生じるための方法であって、該方法は、有効量の活性化T細胞を、その必要のある患者に投与する工程を包含し、該T細胞は、インビトロで抗原および該抗原の主要組織適合遺伝子複合体−(MHC−)クラスIプロセシングを促進する因子または薬剤に暴露されたヒト樹状細胞への暴露によりインビトロで活性化された、方法。
(項目23) 前記因子または薬剤が、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)、またはリポ多糖(LPS)を伴うBCGである、項目22に記載の方法。
(項目24) 前記腫瘍関連抗原が、患者の腫瘍細胞の溶解産物、患者の腫瘍細胞の膜調製物、精製された腫瘍特異的抗原、精製された膜抗原、精製された組織特異的抗原、またはそれらの抗原フラグメントからなる群より選択される、項目22に記載の方法。
(項目25) 前記抗原が、前立腺腫瘍関連抗原である、項目22に記載の方法。
(項目26) 前記抗原が、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の溶解産物、前立腺癌患者の前立腺腫瘍細胞の膜調製物、精製された前立腺特異的膜抗原(PSMA)、アミノ酸配列Leu Leu His Glu Thr Asp Ser Ala Val(配列番号1)を有するペプチド、アミノ酸配列Ala Leu Phe Asp Ile Glu Ser Lys Val(配列番号2)を有するペプチド、アミノ酸配列Xaa Leu(またはMet) Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Val(またはLeu)を有するペプチドであって、ここで、Xaaが任意のアミノ酸を表す、ペプチド、精製された前立腺特異的抗原(PSA)、精製された前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP)、前立腺癌腫瘍抗原(PCTA−1)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、またはモノクローナル抗体PD41により認識される精製された前立腺粘液抗原である、項目22に記載の方法。
(項目27) 前記抗原が以下:
【化3】


である、項目22に記載の方法。
(項目28) 前記ヒト樹状細胞が、前記前立腺癌患者の皮膚、脾臓、骨髄、胸腺、リンパ節、臍帯血、または末梢血から獲得された、項目22に記載の方法。
(項目29) 前記ヒト樹状細胞が、末梢血から獲得された、項目22に記載の方法。
(項目30) 前記ヒト樹状細胞が、寿命の延長された樹状細胞である、項目22に記載の方法。
(項目31) 前記ヒト樹状細胞が、インビトロで前記T細胞を活性化するそれらの使用前に低温保存、解凍、および回復された、項目22に記載の方法。
(項目32) 前記T細胞が、前記患者から獲得された、項目22に記載の方法。
(項目33) 前記T細胞が、前記患者とHLAが一致した健常個体から獲得された、項目22に記載の方法。
(項目34) 前記患者が、転移性前立腺癌に罹患している、項目22に記載の方法。
(項目35) 前記T細胞が、精製されたCD8 T細胞またはCD4 T細胞とCD8 T細胞との混合集団を含む、項目22に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1A〜図1Cは、LNCaP由来前立腺特異的膜抗原(PSMA)ならびにBCG、またはBCGおよびLPSのいずれかを用いてパルスすることによって以前に負荷した、自己(図1A)または同種異系(図1Bおよび図1C)樹状細胞による前立腺癌患者由来のT細胞の活性化を示すか、あるいは、T細胞は、PSMA単独を用いて浸透圧的に負荷した樹状細胞を用いてパルスした。患者92由来の18日目の培養T細胞を洗浄し、そして2連で、5×10細胞で96ウェルプレートに添加した。PSMA(白棒)もしくは卵白アルブミン(OVA;斜線棒)(または左側の未処理;交差棒)で浸透圧的に負荷した、患者105(図1B)および患者I.T.(図1C)由来の自己DC(図1A)または同種異系DCを、サイトカイン生成によって測定されるように、活性化について試験するために、1ウェル当り5×10細胞でT細胞に添加した。インキュベーションの24時間後、150μlの上清を、各培養ウェルから取り出し、そして存在するIFNγの量を、ELISAによって測定し、そしてy軸に対してプロットした。
【図2】図2A〜図2Cは、CD8T細胞群およびCD4T細胞群の両方を含む、インビトロで活性化されたT細胞の特定の反応性を示す。患者105由来の25日目の培養T細胞を洗浄し、そして2連で1ウェル当り5×10細胞で96ウェルプレートに添加した。DCを、抗原(PSMAまたはOVA)およびBCG(図2A)、BCG+LPS(図2B)のいずれかを用いてパルスした。あるいは、PSMAまたはOVAを浸透圧的に負荷した(図2C)。PSMA(DC+PSMA)、OVA(DC+OVA)を用いてパルスしたか、または未パルス(DC単独)の自己DCを、1ウェル当り5×10DCで患者105のT細胞に添加した。エフェクター細胞を、2連で、生理食塩水(NomAb;白棒)、または1μg/ml抗CD8mAb(斜線棒)、または1μg/ml抗CD4mAb(交差棒)のいずれかと共にインキュベートした。IFNγ生成を、図1のように測定した。
【図3】図3A〜図3Cは、T細胞上で、BCGとか、またはBCGおよびLPSと組み合わせた可溶性PSMAを用いて、インビトロで活性化した樹状細胞の用量依存効果を示す。前立腺癌患者105由来のT細胞を、LNCaP細胞に由来するPSMAの一連の希釈液と共に以前に充填した自己樹状細胞によって活性化した。ELISAを行ない、IFNγ分泌を評価した。32日目または39日目(図3C)の培養細胞を洗浄し、2連で、1ウェル当り5×10細胞で96ウェルプレートに添加した。PSMA(白棒)、OVA(斜線棒)のいずれかでパルスしたか、または未パルス(交差棒)の自己DCを、BCGまたはBCG+LPSをを用いてかまたは用いずに、1ウェル当り5×10細胞でT細胞に添加した。BCG、32日目の培養物(図3A);BCG+LPS、32日目の培養物(図3B);BCG、39日目の培養物(図3C)。インキュベーションの24時間後、150μlの上清を、各培養ウェルから取り出し、そして存在するIFNγの量をELISAによって測定した。
【図4】図4Aおよび図4Bは、PSMA発現DCを用いてインビトロで刺激した前立腺癌患者由来のT細胞の抗原特異的標的についての溶解性活性の刺激を示す。異なる割合のエフェクター(E)(すなわち、T細胞)対標的(T)(すなわち、自家樹状細胞)(E:T)を、4時間インキュベートした。自家DC(PSMA(黒丸)もしくはOVA(黒四角)、または未処理(黒三角)を用いて浸透圧的に充填した)を、111Inで放射標識した。パーセント溶解を、以下の式を使用して計算した:[(実験的放出−自発的放出)/(最大放出−自発的放出)]×100。患者I.T.、32日目の培養物(図4A)。患者92、39日目の培養物(図4B)。
【図5A】図5Aおよび図5Bは、LNCaP細胞から部分的に生成したPSMA(約80%純粋)を用いてロードしたPSMAを用いて充填した、新鮮または凍結保存したかのいずれかによって活性化した前立腺癌患者105由来のT細胞のPSMA特異的反応性を示す。39日目の培養T細胞を洗浄し、そして2連で1ウェル当り5×10細胞で96ウェルプレートに添加した。自家DC標的を、PSMA、OVAを用いてパルスしたか、または未パルスで、そして1ウェル当り5×10細胞でT細胞に添加した。PSMA特異的反応性を、新鮮(白棒)DC標的および凍結保存(斜線棒)DC標的の両方に対して観察した。エフェクターを浸透圧的に充填されたDCまたはBCGロードされたDCを用いて刺激したに関わらず、PSMA特異的反応性が生じた。IFNγ生成を、図1におけるように測定した。
【図5B】図5Aおよび図5Bは、LNCaP細胞から部分的に生成したPSMA(約80%純粋)を用いてロードしたPSMAを用いて充填した、新鮮または凍結保存したかのいずれかによって活性化した前立腺癌患者105由来のT細胞のPSMA特異的反応性を示す。39日目の培養T細胞を洗浄し、そして2連で1ウェル当り5×10細胞で96ウェルプレートに添加した。自家DC標的を、PSMA、OVAを用いてパルスしたか、または未パルスで、そして1ウェル当り5×10細胞でT細胞に添加した。PSMA特異的反応性を、新鮮(白棒)DC標的および凍結保存(斜線棒)DC標的の両方に対して観察した。エフェクターを浸透圧的に充填されたDCまたはBCGロードされたDCを用いて刺激したに関わらず、PSMA特異的反応性が生じた。IFNγ生成を、図1におけるように測定した。
【図6A】図6は、前立腺癌患者92由来のT細胞が、PSM−P1(白棒)、インフルエンザマトリクスタンパク質M1(斜線棒)、またはなし(交差棒)のいずれかを用いて25μgのペプチドで外因的に充填した、抗原提示細胞株T2によって活性化され得ることを実証する。標準的ELISAを実行してIFNγ分泌を評価する。46日目の培養物(図6A)または53日目の培養物(図6B)。
【図6B】図6は、前立腺癌患者92由来のT細胞が、PSM−P1(白棒)、インフルエンザマトリクスタンパク質M1(斜線棒)、またはなし(交差棒)のいずれかを用いて25μgのペプチドで外因的に充填した、抗原提示細胞株T2によって活性化され得ることを実証する。標準的ELISAを実行してIFNγ分泌を評価する。46日目の培養物(図6A)または53日目の培養物(図6B)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明は、抗原に対する免疫治療応答のためにT細胞を活性化する樹状細胞(DC)の使用についての方法および組成物を提供する。この抗原は、ウイルスもしくは細菌の抗原、組織抗原、腫瘍関連抗原、または他の、例えば、原発性癌もしくは転移癌に関連する抗原を含む、任意の抗原であり得る。ヒトドナーから得たDCを、患者に投与して、インビボにおいて関連するT細胞応答を活性化し、引き続いて、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI処理を促進する因子または薬剤と組み合わせて、ウイルス、細菌、または組織関連抗原、組織特異的な抗原、腫瘍もしくは癌に関連する抗原、または腫瘍特異的な抗原に曝露する。この抗原は、上記の抗原の1つのフラグメントであり得る。さらに、そして必要に応じて、この方法および組成物は、DC成熟を誘導する。抗原単独で提供されたのと比べて、少なくとも25%、そして50%をさらに上回るT細胞が、T細胞のDC活性化を促進するように作用する因子または薬剤は、CD8である。あるいは、DCを、インビトロにおいてMHCクラスI処理およびDCの成熟を促進する因子とともに、組織特異的抗原、癌抗原、またはいずれかの抗原の抗原性フラグメントに曝露し、そして引き続いてプライムされたT細胞またはプライムされていないT細胞とともにインキュベートされて、インビトロにおいて関連のT細胞応答を活性化する。次いで、この活性化T細胞を、それが必要な癌患者に投与する。いずれの場合においても、DCを有利に使用して、原発性または転移性の癌腫瘍に対する応答を阻害する免疫治療的増殖を惹起する。
【0028】
単に説明を簡単にするために、本発明の詳細な説明を、以下の節に分ける:(1)抗原の供給源、(2)樹状細胞(寿命が延びたDCまたは凍結保存DCを含む)を入手するかまたは単離するための方法;および(3)インビトロおよびインビボにおいて、ウイルス、細菌、または癌に対して細胞傷害性T細胞およびヘルパーT細胞を刺激するためのDCの適用または使用方法。
【0029】
抗原反応性T細胞は、癌を含む抵抗性の疾患において重要である抗原特異的エフェクター細胞である。抗原反応性T細胞、CD8は、MHCクラスI分子によって提示された抗原を認識する。MHCクラスI分子は、ほぼ全ての細胞型で発現される。抗原反応性T細胞、CD4は、MHCクラスII分子によって提示される抗原を認識する。MHCクラスII分子は、樹状細胞、内皮細胞、単球、マクロファージ、およびリンパ球を含む種々の細胞型において発現される。抗原反応性T細胞が、標的細胞を殺傷する能力は、抗原性因子および遺伝的因子によって制限される。標的細胞の溶解のために、標的細胞は、もともとT細胞の刺激を誘導したのと同じ抗原、およびこのT細胞と同じクラスのMHC分子を保有しなければならない。
【0030】
本発明は、疾患または障害(例えば、ウイルスもしくは細菌感染、または癌)の予防または処置において用いられ得る抗原に対して反応性のT細胞を生成する方法に関する。本発明は、bacillus Calmette Guerin(BCG)が、MHCクラスI処理した外因性の可溶性抗原を刺激し、引き続いて抗原単独を投与された個体と比べて、CD8T細胞の優先的な活性化を少なくとも25%に、そしてさらに活性化合物T細胞集団の50%より大きく増大するという驚くべき発見によって可能になった。CD8T細胞の割合は、25%、50%、それ以上まで増大し得、そして総T細胞応答の75%より大きくさえなり得る。
【0031】
代替的実施形態として、ウイルス、細菌、組織関連抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連もしくは腫瘍特異的抗原、またはそれらの抗原性フラグメントを有するBCGは、抗原反応性T細胞増殖を再刺激するためにインビトロ培養に複数回、添加され得る。本発明の方法によって生成される抗原反応性T細胞は、感染細胞もしくは癌細胞、または他の標的細胞(場合によっては)、または同じ抗原および類似のMHC分子(これでT細胞が準備される)を保有する任意の細胞を、特異的に、標的化、殺傷、または溶解し得る。本発明の抗原反応性T細胞はまた、1つ以上の測定可能サイトカイン(例えば、IL−2、IFN−γ、TNF−β、IL−4、IL−5、IL−6、IL−9、IL−10、IL−3、および/またはGM−CSF)を分泌し得る。これらのサイトカインの生成を用いて、インビトロにおける特異的なT細胞活性化をモニターし得る。
【0032】
以前には、BCGは、標的免疫原に対する血清学的または抗体免疫応答を増大するためのアジュバントとして作用するための種々のワクチン組成物の成分として用いられてきた。さらに、樹状細胞は、BCGミコバクテリアを含む粒子を内部移行することが示されている(Inabaら、J.Exp.Med.178:479〜488(1993))。ミコバクテリア積載樹状細胞は、プライムされたT細胞、次いでBCGのパルスに曝露される成熟樹状細胞の対応する培養物に抗原を提示するのがさらに強力であることが示されている。(Inabaら、前出、(1993))。
【0033】
BCGによる樹状細胞活性化は、ホモタイプ凝集、表面抗原の上方制御、エンドサイトーシス活性の下方調節、および腫瘍壊死因子αの放出に関与すると特徴付けられている。(Thurnherら、Int.J.Cancer 70:128〜134(1997))。樹状細胞成熟抗原CD83およびT細胞同時刺激因子であるCD86(B7−2)について、増強した発現が証明されている。TNF−αの分泌の誘導は、少なくとも部分的には、BCGの取り込み後の樹状細胞において観察された表現型変化および機能的変化の原因であったことが示された。IL−8 mRNA発現およびIL−8タンパク質分泌の刺激はまた、BCGのT細胞効果と関連していた。(Ramonerら、J.Urology 159:1488〜1492(1998))。
【0034】
今日まで、BCGは、種々の抗原(癌細胞および癌関連抗原を含む)と組み合わせて投与されてきたが、BCGと組み合わせた組織特異的抗原、またはBCGおよびMHCクラスI応答を誘導するLPSで活性化された樹状細胞に曝露された場合、CD8T細胞の優先的な活性化の実証または認識はなかったようである。
【0035】
抗原反応性T細胞は、自系に(すなわち、T細胞(またはこのT細胞の親細胞)が起源したのと同じ個体に)、または同系に(すなわち、癌または感染した細胞が最初に得られた個体の一卵性双生児に);または同種異系に(抗原性細胞およびT細胞がもともと得られた個体と少なくとも1つの共通のMHC対立遺伝子を共有する個体に)インビボで投与され得る。
【0036】
本明細書において用いる場合、用語「抗原性細胞」とは、被験体において免疫応答を惹起し得る、任意の細胞、代表的には感染した細胞、または癌細胞、そして詳細には、前立腺癌細胞をいう。抗原性細胞の供給源、および本発明の方法における使用のための抗原性細胞の調製の方法を、本節において考察している。
【0037】
本明細書において用いる場合、用語「パルスした(pulsed)」とは、インビトロでの免疫のプロセスを含む。インビトロ免疫のプロセスは、以下を含むがこれに限定されない種々の方法で実施され得る:抗原でパルスされた樹状細胞(SteelおよびNutman,J.Immunol.160:351〜360(1998);Taoら,J.Immunol.158:4237〜4244(1997);DozmorovおよびMiller,Cell Immunol.178:187〜196(1997);Inabaら,J Exp Med.166:182〜194(1987);Macatoniaら,J.Exp Med.169:1255〜1264(1989);De Bruijnら、Eur.J.Immunol.22:3013〜3020(1992))、ペプチドでロードされたRMA−S細胞(多数の「空の」細胞表面クラスI MHC分子を発現する変異細胞)(De Bruijinら、Eur.J.Immunol.21:2963〜2970(1991);De Bruijnら,Eur.J.Immunol.22:3013〜3020(1992);Houbiersら、Eur.J.Immunol.26:2072〜2077(1993))、およびマクロファージ食作用ペプチドロードされたビーズ(De Bruijnら、Eur.J.Immunol.25:1274〜1285(1995))、および浸透圧的に抑制された抗原性細胞(PCT公開WO98/15616)。従ってプライミングはまず、抗原性分子に対してナイーブな免疫細胞の曝露を生じる。
【0038】
本明細書において用いる場合、用語「パルスする(pulsing)」とは、プライムされた免疫細胞をインビトロでBCG、あるいはBCGおよびLPS、ならびに、ウイルス抗原、細菌抗原、組織特異的抗原、腫瘍抗原、またはこの抗原の抗原性フラグメントに曝露するプロセスをいう。BCGおよびウイルス抗原、細菌抗原、組織特異的、または腫瘍関連抗原とは、本明細書において用いる場合、BCGおよび抗原性分子の非共有的混合物を含む。
【0039】
用語、「抗原」および「抗原性分子」とは、本明細書において用いる場合、免疫治療のためにT細胞を活性化する、樹状細胞による提示のために有用な、ウイルス、細菌、組織関連もしくは組織特異的および腫瘍関連もしくは腫瘍特異的タンパク質抗原を含む。詳細には、感染するウイルスもしくは細菌、または前立腺細胞もしくは前立腺関連抗原(すなわち、前立腺腫瘍脈管構造におけるPSMA)に対する免疫応答を発達させるために。
【0040】
1つの実施形態に従って、外科標品から回収した前立腺腫瘍細胞溶解産物を、抗原として用い得る。例えば、生検または外科切除で得た、癌患者自身の腫瘍のサンプルを、抗原の細胞溶解産物を提供するために用い得る。あるいは、前立腺癌患者の腫瘍細胞の膜調製物を用い得る。
【0041】
なお別の実施形態に従って、モノクローナル抗体7E11−C.5と特異的に反応する(一般的には、Horoszewiczら、Prog.Clin.Biol.Res.37:115〜132(1983)、米国特許第5,162,504号、米国特許第5,788,963号、Fengら、Proc.Am.Assoc.Cancer Res.32:(Abs.1418)238(1991)を参照のこと)、精製した前立腺特異的膜抗原(PSMA、PSM抗原としても公知)を、抗原として用い得る。PSMA抗原をコードする遺伝子のクローニングは、Israeliら、Cancer Res.54:1807〜1811に記載されている。例えば、酵母細胞における、クローニングされた遺伝子の発現により、本発明による使用のためのPSMA抗原の即座に使用できる供給源が提供され得る。
【0042】
さらになお別の実施形態において、PSMAのアミノ酸残基4〜12に相当する、アミノ酸残基配列Leu Leu His Glu Thr Asp Ser Ala Val(配列番号1)を有する抗原性ペプチド(PSM−P1と命名)を、抗原として用い得る。別の実施形態に従って、PSMAのアミノ酸残基711〜719に相当する、アミノ酸残基配列Ala Leu Phe Asp Ile Glu Ser Lys Val(配列番号2)を有する抗原性ペプチド(PSM−P2と命名)を、抗原として用い得る。
【0043】
別の実施形態に従って、アミノ酸残基配列Xaa Leu(またはMet)Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Val(またはLeu)を有する抗原性ペプチド(PSM−PXと命名)(ここで、Xaaは、任意のアミノ酸残基を示す)を、抗原として用い得る。このペプチドは、HLA−A0201結合モチーフ(すなわち、HLA−A2患者において見出された「アンカー残基」ロイシン(Leu)およびバリン(Val)を有する9〜10アミノ酸残基の結合モチーフ)と似ている(Greyら、Cancer Surveys 22:37〜49(1995))。このペプチドを代表的にHLA−A2患者のための抗原として用いる。(Central Data Analysis Committee「Allele Frequencies」、セクション6.3、Tsuji,Kら(編)、Tokyo University Press、第1066〜1077頁を参照のこと)。
【0044】
なお別の実施形態において、表1A(下記)に列挙されるペプチドから選択した抗原性ペプチドは、抗原として用いられ得る。表1Aに列挙されるペプチドは、PSMのフラグメントに相当するアミノ酸残基配列を有し、そして特定のハプロタイプの結合モチーフに適合していた。1つの実施形態に従って、このペプチドは、樹状細胞によって提示されて、表1Aにおける各ペプチドに示されたハプロタイプに適合した患者のT細胞を活性化するように選択される。
【0045】
(表1A)
(PSMペプチド
【0046】
【表1】

「PSMペプチド」とは、PSMAのフラグメントに対応するアミノ酸配列(a/k/a PSM)を有するペプチドをいう。
**「最初のアミノ酸残基」とは、このペプチドの最初のアミノ酸が対応するPSMのアミノ酸の残基番号をいう。
【0047】
本発明の別の実施形態において、前立腺特異的抗原(PSA)(Pepsideroら、Cancer Res.40:2428〜2432(1980);McCormackら、Urology 45:729〜744(1995))を抗原として用い得る。
【0048】
別の実施形態に従って、表1B(下記)に列挙したペプチドから選択した抗原性ペプチドを、抗原として用い得る。表1Bにおけるペプチドは、PSAのフラグメントに対応するアミノ酸残基配列を有し、そして表1Bに示される特定のハプロタイプの結合モチーフに適合していた。1つの実施形態に従って、このペプチドは、樹状細胞によって提示されて、表1Bにおける各ペプチドについて示されたハプロタイプに適合する患者のT細胞を活性化する。
【0049】
(表1B)
(PSAペプチド
【0050】
【表2】

「PSMペプチド」とは、PSAのフラグメントに対応するアミノ酸配列を有するペプチドをいう。
**「最初のアミノ酸残基」とは、このペプチドの最初のアミノ酸が対応するPSAのアミノ酸の残基番号をいう。
【0051】
なお別の実施形態に従って、モノクローナル抗体PD41によって認識され、Wright(米国特許第5,227,471号および同第5,314,996号;Beckettら、Cancer Res.51:1326〜1222(1991))に記載される、前立腺ムチン抗原を、抗原として用い得る。あるいは、ハイブリドーマ細胞株ATCC HB 11094によって生成された抗体に結合する抗原を含み、そしてPD41ムチン抗原を発現する、前立腺腫瘍細胞の粗溶解産物を、抗原として用い得る。
【0052】
本発明の方法において用いられ得るさらなる前立腺抗原としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:前立腺の6回膜貫通上皮抗原(STEAP;Hubertら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:14523〜14528(1999))、前立腺癌腫瘍抗原(PCTA−1;Suら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7252〜7257(1996));前立腺幹細胞抗原(PSCA;Reiterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:1735〜1740(1998))。各抗原の抗原性フラグメントもまた、本発明の範囲に包含されると考えられる。
【0053】
さらなる抗原としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ウイルス中和抗原、または抗原性ペプチド。さらに、細菌タンパク質、糖タンパク質、糖脂質、または炭水化物、およびそれらの抗原性フラグメントは、本発明の一部であると考えられる。
【0054】
本発明に従って、細胞性免疫療法は、1つ以上の個体、より代表的には同じ被験体から抗原性細胞および免疫細胞を得ることによって、そして本発明の方法によって免疫細胞集団内でT細胞を刺激することによって、進展される。このT細胞のインビトロ刺激、続く、抗原反応性CD4および/またはCD8T細胞の細胞培養におけるクローン増殖、ならびに被験体への抗原反応性T細胞の投与が、有用な治療および予防のストラテジーを構成する。被験体に注入された場合、本発明の抗原反応性T細胞は、抗原性細胞と同じ抗原を保有する標的細胞を、インビボで、特異的に標的するか、そして/または直接的に殺傷し、これによって癌の発達および/または腫瘍細胞増殖を阻害するか、またはレシピエントにおける病原因子の伝播を防止もしくは制限し得る。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、抗原性細胞、活性化されるべきT細胞および抗原反応性T細胞のレシピエントは、同じMHC(HLA)ハプロタイプを有する。別の実施形態では、本発明は、T細胞(またはより代表的には全ての免疫細胞)および抗原を最初に誘導した同じ被験体における、癌の処置、腫瘍細胞増殖の阻害または癌の発達の予防のために自己由来抗原を用いてインビトロで刺激された自己T細胞の使用に関する。1つの特定の局面では、免疫細胞および抗原性細胞は、細胞免疫治療の必要性があるヒト被験体から単離される。
【0056】
本発明の別の実施形態では、T細胞およびレシピエントは、同じハプロタイプを有し、一方、抗原性細胞はT細胞およびレシピエントに対して同種異系であるが、少なくとも1つのMHC対立遺伝子が一致する。すなわち、抗原性細胞は、T細胞を活性化するために用いられ、このT細胞は次いで、T細胞を最初に得て、かつ抗原性細胞およびT細胞が少なくとも1つだが全てではないMHC対立遺伝子を共有するレシピエントに投与される。本発明のそれほど代表的ではない実施形態では、抗原性細胞、T細胞およびレシピエントは全て互いに関して同種異系であるが、全てが、抗原性細胞、T細胞およびレシピエントの間で共有される少なくとも1つの共通のMHC対立遺伝子を有する。
【0057】
本発明に従って、抗原反応性Tリンパ球を作製するための方法は、生の免疫細胞をプライミングし、プライミングした免疫細胞にBCGおよび組織関連抗原、組織特異的抗原、腫瘍関連抗原または腫瘍特異的抗原(LPSを有するかまたは有さない)をパルスし(ここで、免疫細胞は、APC(例えば、樹状細胞であるがこれに限定されない)である)、そしてこのプライミングされたT細胞をパルスされた細胞とともに共存培養することを含む。1つの実施形態では、プライミングされた免疫細胞は、パルスする前にAPCについて富化される。別の実施形態では、プライミングされた免疫細胞は分離されて、富化または精製されたT細胞集団またはAPC集団が作製される。特定の実施形態では、プライミングされた免疫細胞は分離されて、パルスする前に富化または精製されたCD4T細胞集団が作製される。パルスされた細胞のT細胞との共存培養は、特定のT細胞の刺激を導き、このT細胞は、ぞれぞれ、抗原反応性CD4T細胞または抗原反応性CD8T細胞へと成熟する。
【0058】
いずれの特定の化学的モデルまたは機構に対しても本発明を限定しないが、本明細書中に記載された結果は、APCを含むパルスされた免疫細胞(ウイルス性抗原、細菌性抗原、組織関連抗原もしくは組織特異的抗原、腫瘍関連抗原もしくは腫瘍特異的抗原、または上記で示したようなそれらの抗原性フラグメントでパルスされた細胞)を伴うBCGが、ウイルス、細菌細胞、感染細胞または腫瘍細胞に対してインビトロでCD8T細胞の特異的活性化を誘導することを独自に可能にされることを示唆する。本明細書中に記載される結果はさらに、成熟促進因子を添加して免疫応答の持続期間を増強し得ることを示唆する。BCGは、エンドサイトーシスからの抗原の排除に付随して、表面成熟マーカーCD83およびCD86のDC発現を増大させるのに役立つ。さらに、リポ多糖(LPS)もまた、エンドサイトーシス活性をダウンレギュレートし、そしてDCの成熟を促進し、免疫応答の持続期間を潜在的に増大させる。
【0059】
本発明の別の実施形態では、この方法はさらに、抗原反応性T細胞をフィーダー細胞および照射抗原性細胞とともに、必要に応じて1以上のサイトカイン(例えば、精製されたIL−2、コンカナバリンA刺激脾臓細胞上清)を含む組成物の存在下で培養することによる、インビトロでの抗原反応性T細胞の再刺激を含み得る。培養物へのAPCおよび可溶性の外因性抗原(すなわち、ウイルス性抗原、細菌性抗原、腫瘍関連抗原もしくは組織特異的抗原、またはいずれかの抗原の抗原性フラグメント)を伴うBCGの添加によるインビトロでのT細胞の再刺激を用いて、T細胞集団の増殖を促進し得る。
【0060】
別の実施形態では、T細胞は、BCGおよびウイルス性抗原、細菌性抗原、組織特異的抗原もしくは腫瘍抗原またはいずれかの抗原の抗原性フラグメント(LPSを有するかまたは有さない)の存在下で、末梢血から精製された照射された脾臓細胞またはAPCをフィーダー細胞として用いて刺激される。このようにして、時々再刺激することによって、安定な抗原特異的なT細胞培養物またはT細胞株が、長期間にわたってインビトロで維持され得る。このようにして作製されたT細胞培養物またはT細胞株は保存され得、そして(例えば、低温保存剤(cryopreservative)を用いた処方および冷凍によって)貯蔵される場合、これを用いて抗原反応性T細胞を長期の使用のために所望の間隔で再度供給し得る。
【0061】
本発明の特定の実施形態に従って、抗原反応性CD8T細胞が作製され得、そしてこれを予防的に用いて腫瘍の進行(ウイルス、細菌または腫瘍細胞の増殖)もしくは発達を妨げ得るか、または癌の寛解を誘導し得る。抗原反応性CD4T細胞がまた作製され得、そしてこれを予防的に用いて腫瘍の進行もしくは発達(腫瘍細胞の増殖)を妨げ得るか、または癌の寛解を誘導し得る。別の実施形態では、T細胞は治療的に用いられて癌を処置し得る。代表的に、抗原反応性T細胞を作製するために用いられる抗原性細胞は、この抗原性細胞が投与されるべき被験体に対して同系である(例えば、この被験体から入手される)。しかし、被験体に対して同系である抗原性細胞が使用のために利用可能でない場合、本発明の方法は、その細胞の意図されるレシピエントと同じHLAハプロタイプを有するような抗原性細胞が、レシピエントから収集された非癌性細胞(例えば、正常細胞)を用いてインビトロで調製され得ることを提供する。なお別の実施形態では、腫瘍細胞の溶解産物または調製物は、本発明の抗原反応性T細胞の再刺激のために使用され得る。
【0062】
別の実施形態では、例えば、発癌物質(例えば、化学物質)および/もしくは放射線での処理またはトランスフォーミングウイルスの感染によって正常細胞を誘導して、癌性またはトランスフォーム型にし得、次いで直接的にパルスするためにこれを使用し得るか、またはこれを使用して、BCGとの組合せもしくはLPSと組み合わせたBCGとの組合せで樹状細胞をパルスするための溶解産物を調製し得る。
【0063】
別の実施形態では、このような組織関連または組織特異的;癌性またはトランスフォームされた細胞などの溶解産物または調製物を用いて、免疫細胞またはAPCをインビトロでパルスし得る。なお別の実施形態では、このような細胞の溶解産物または調製物は、本発明の抗原反応性T細胞の再刺激のために用いられ得る。
【0064】
さらに、別の実施形態では、目的の抗原のクローニングされた遺伝子が利用可能である場合、被験体由来の正常細胞は、この遺伝子で形質転換またはトランスフェクトされ得、その結果、目的の抗原はこの細胞において組換え的に発現され、次いでこのような細胞は、プライミング反応、パルス反応および/または再刺激反応において用いられ得る。それほど代表的でない局面では、使用するための抗原性細胞は、同系ではないが、意図されるレシピエントと共通の少なくとも1つMHC対立遺伝子を有する細胞から調製され得る。
【0065】
免疫応答では、抗原誘導性T細胞活性化のプロセスは、インビボで、代表的には二次リンパ組織(例えば、リンパ節および脾臓)で生じる。本発明に従うことによって、目的の任意の抗原性細胞を用いて、T細胞をインビトロでプライミングし得、能動免疫における使用が安全ではないと考えられている癌細胞または感染細胞でさえもプライミングし得る。次いで、このようなプライミングされたT細胞は、ウイルス性抗原、細菌性抗原、組織特異的抗原、腫瘍抗原、またはいずれかの抗原の抗原性フラグメントおよびBCGでパルスされたAPCに暴露される。特定の実施形態では、CD8抗原反応性T細胞は、免疫治療のための細胞供給源としてインビトロで増やされる。従って、本発明の1つの利点は、抗原特異的T細胞がインビトロで増やされて、疾患の処置または予防のために使用され得る、免疫治療のための細胞供給源を作製し得ることである。
【0066】
本発明によって提供されるように、免疫治療の多くの利点が存在する。腫瘍塊は、手術後に最小であり、そして免疫治療はこの状況において最も有効である。特定の実施形態では、本発明の方法は、手術前または手術後のいずれかで癌患者の免疫能を増強し、そして癌細胞に対する細胞媒介性腫瘍特異的免疫を増強することに関し、この目的は、癌細胞の増殖の阻害および身体中の残りの癌細胞の全体的根絶である。別の局面では、ヒト癌細胞に対して反応性の抗原反応性T細胞は、単独で、または手術、化学療法、放射線治療もしくは他の抗癌治療と組み合わせて用いられて、転移物または微小転移物を根絶し得るか、または骨髄移植の間に骨髄から癌細胞を除去し得る。例えば、転移物または微小転移物の増殖を根絶または阻害するために、本発明によって提供される抗原反応性T細胞(代表的に、CD3CD8T細胞またはCD3CD4T細胞)は、転移物もしくは微小転移物を有するかまたは転移物もしくは微小転移物を有することが疑われる被験体にインビボで投与される。
【0067】
例示として、骨髄移植の間に骨髄から癌細胞を除去するために、ドナー由来の骨髄を、本発明によって提供される抗原反応性T細胞とインビトロで接触させ、その結果、この抗原反応性T細胞は、骨髄中のあらゆる残りの癌細胞を溶解し、その後、この骨髄は、被験体に、造血再構築の目的で投与される。骨髄移植は代表的に自己性である。1つの実施形態では、抗原反応性T細胞は、CD3CD8T細胞またはCD3CD4+T細胞である。あるいは、抗原反応性T細胞の投与は、CD4T細胞およびCD8T細胞の両方を含む。
【0068】
さらに、癌患者が麻酔をして手術を受け、続いて化学療法を受ける場合、患者が経験する、得られる免疫抑制は、手術前の期間における細胞免疫治療によって低下され得、それによって、感染合併症の発生数を低下させ得る。腫瘍細胞が手術時に循環中に脱落し、従ってこの時点で適用される有効な免疫治療がこれらの細胞をインビボで除去し得る可能性もまた存在する。従って、本発明は、予防または処置の方法を提供し、この方法は、癌患者が受ける手術および/または化学療法の前、その間、および/またはその後に、この患者の癌細胞の抗原に対して反応性の、本発明によって提供される抗原反応性T細胞をこの癌患者に投与する工程を包含する。
【0069】
多数の抗原または抗原性組成物が、本発明に従って、免疫治療のためにT細胞を活性化するDCによる提示のために有用である。1つの実施形態では、手術標本から回収された前立腺癌腫瘍細胞溶解産物は、抗原として用いられる。例えば、生検でまたは手術切除で入手された癌患者自体の腫瘍のサンプルは、抗原についての細胞溶解産物を提供するために用いられ得る。あるいは、癌患者(例えば、前立腺癌患者)の腫瘍細胞または確立された細胞株の膜調製物は、抗原として用いられ得る。本発明の方法において有用なさらなる抗原(ウイルス性抗原および細菌性抗原を含む)は、上記で詳細に考察される。
【0070】
本発明に従って、DCは、DCを所望のウイルス性抗原、細菌性抗原、組織関連抗原もしくは組織特異的抗原、前立腺癌関連抗原、またはこれらの抗原の抗原性フラグメントとともにインビトロ培養培地中でインキュベートすることによって、これらの抗原に暴露され得る。1つの実施形態では、BCG単独と組み合わせたか、またはBCGおよびLPSと組み合わせた、水性の可溶性形態または水性の懸濁形態の抗原は、細胞培養培地に添加される。本明細書中に実証されるように、DCは、MHC−クラスIに関連してT細胞に対する好首尾の提示のために抗原を有利に取り込む。
【0071】
別の実施形態では、抗原は、飲細胞小胞の浸透圧溶解およびpH感受性リポソームの使用などを含むがそれらに限定されない代替方法によってDCの細胞質ゾルへ導入される。一般に、(Okadaら,Cell 29:33(1982);Posteら,Methods Cell Biol.14:33(1976);Reddyら,J.Immunol.Methods 141:157(1991))を参照のこと。
【0072】
(樹状細胞の単離)
ヒト樹状細胞(DC)は、これらが存在する任意の組織(非リンパ組織(例えば、皮膚の表皮(ランゲルハンス細胞))およびリンパ組織(例えば、脾臓、骨髄、リンパ節および胸腺)を含む)から入手される。DCはまた、血液(血液DC)およびリンパ(ベール細胞)を含む循環器系からも単離され得る。ヒト末梢血は、ヒトDCの容易に利用できる即座の供給源であり、そして本発明の特定の実施形態による供給源として用いられる。臍帯血は、ヒトDCの別の供給源であり、前立腺癌についての高い危険性がわかっている家族に子供が生まれた場合、臍帯血は、必要な場合、後の使用のために低温保存され得るDCの供給源として用いられ得る。
【0073】
DCは、DCが存在するいずれの組織(ヒト末梢血を含む)でも少数で生じるので、DCは、使用のために富化または単離されなければならない。反復した密度勾配分離、ポジティブ選択、ネガティブ選択またはそれらの組合せを伴う多数の手順のうちのいずれかを用いて、富化された集団または単離されたDCを入手し得る。ヒト末梢血からDCを単離するためのこのような方法の例としては、以下が挙げられる:(O’Dohertyら,J.Exp.Med.178:1067−1078(1993);YoungおよびSteinman,J.Exp.Med.171:1315−1332(1990);FreudenthalおよびSteinman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:7698−7702(1990);Macatoniaら,Immunol.67:285−289(1989)ならびにMarkowiczおよびEngleman,J.Clin.Invest.85:955−961(1990))。ヒツジ赤血球および/またはウシ胎児血清への細胞の暴露を回避する、ヒト末梢血からDCを単離するための方法は、PCT公開WO94/02156に記載されている。リンパ組織からDCを単離するための方法の一例は、(Macatoniaら,J.Exp.Med.169:1255−1264(1989))に記載されている。
【0074】
一旦、DCが入手されたら、これらは適切な培養培地中で培養されて、細胞集団へと増殖されるか、ならびに/または最適な抗原取り込み、プロセシングおよび提示のための状態にDCが維持される。
【0075】
インビトロ培養においてDCの適切な状態の「成熟度」の維持もまた提供する、1つの実施形態は、DCを、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびインターロイキン4(IL−4)の両方の存在下で培養することである。1つの例では、各々約500単位/mlの濃度でのGM−CSFとIL−4との組合せである。近年の研究は、成熟DCに対する「未成熟」DCによる最適な抗原提示を明らかにする(Kochら,J.Immunol.155:93−100(1995))。未成熟DCは、本発明の特定の実施形態に従って用いられ得る。近年の実験は、成熟したパルスされたDCが、T細胞応答を刺激する能力を、未成熟なパルスされたDCよりも10倍まで長く保持することを示した。
【0076】
以下の実施例に例示されるように、ヒトDCを前立腺癌患者の末梢血から単離し、そして約5日間のインビトロ培養の後、前立腺癌特異的T細胞とコンピテントであり、かつ前立腺癌特異的T細胞を活性化し得るDCを回収した。本発明の1つの実施形態に従って、DCは、処置されるべき癌患者から入手される。このDCは、LPSを伴うかまたは伴わないBCGの存在下で、本明細書中に提供される種々の抗原のうちの1つでパルスされ、次いで、これを使用して、癌免疫治療および/または腫瘍増殖阻害のために、インビトロまたはインビボのいずれかで患者の自己T細胞を活性化する。
【0077】
代替の実施形態に従って、DCは、癌に罹患していないことが既知の健常個体から入手される。個体の末梢血単核細胞(PBMC)上の関連のHLA抗原(MHCクラスIおよびMHCクラスIIの両方、例えば、HLA−A、HLA−B、HLA−CおよびHLA−DR)が同定され、そして癌患者とのHLAの一致を提供するDCが単離され、そして上記の通りに増殖される。例えば、特定の例では、放射線および/または化学療法剤で処置された後期前立腺癌患者はしばしば、充分なDCも効率的なDCも提供することができない。従って、HLAが一致した健常な個体(例えば、兄弟姉妹)由来のDCが上記の方法のうちのいずれかを用いて入手および増殖され得、そしてBCGの存在下で関連の抗原とともにインビトロでインキュベートされて、活性化された天然DCを形成し得、次いでこのDCを用いて、活性化されたT細胞を免疫治療のために惹起し得るか、および/またはHLAが一致した前立腺癌患者における腫瘍増殖を阻害し得る。
【0078】
本発明の別の実施形態に従って、「寿命の延長された樹状細胞」が使用される。ヒト細胞は、通常、アポトーシスを経る前に約50〜70集団倍化に限定された、インビトロでの有限の寿命を有する。本明細書中で使用される場合、用語「寿命の延長された樹状細胞」は、インビトロ細胞培養培地中で長期にわたって(少なくとも約100回のさらなる集団倍化を含むがこれらに限定されない)増殖し得るように遺伝的に改変されたDCを意味することを意図する。寿命が延びたDCは、例えば、前立腺癌患者の末梢血から得られたDCのEBV−トランスフォーメーションによって、または当業者に公知の技術を用いた、特定の細胞周期調節遺伝子(サイクリンA、サイクリンB、サイクリンDもしくはサイクリンEまたは網膜芽細胞腫タンパク質をコードする遺伝子を含むがこれらに限定されない)のDCへの挿入によって、入手される。
【0079】
米国特許第5,788,963号に提示される実施例に例示されるように、寿命が延びたDCは、単離されたDC集団のEBVトランスフォーメーションによって入手されている。このような寿命の延びたDCは、本発明の方法に従って有用である。
【0080】
本発明の別の実施形態に従って、DCは、例えば、関連の抗原に対する暴露の前または暴露後のいずれかでの低温保存によって保存され得る。使用され得る低温保存剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ジメチルスルホキシド(DMSO)(LovelockおよびBishop,Nature 183:1394−1395(1959);Ashwood−Smith,Nature 190:1204−1205(1961))、グリセロール、ポリビニルピロリドン(Rinfret,N.Y.Acad.Sci.85:576(1960))、ポリエチレングリコール(SloviterおよびRavdin,Nature 196:548(1962))、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i−エリトリトール、D−リビトール、D−マンニトール(Roweら,Fed.Proc.21:157(1962))、D−ソルビトール、i−イノシトール、D−ラクトース、塩化コリン(Benderら,J.Appl.Physio.15:520(1960))、アミノ酸(PhanおよびBender,Exp.Cell Res.20:651(1960))、メタノール、アセトアミド、モノ酢酸グリセロール(Lovelock,Biochem.J.56:265(1954))および無機塩(PhanおよびBender,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388(1960);PhanおよびBender,Radiobiology,Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology,Ilbery,P.L.T.編,Butterworth,London,p.59(1961))。
【0081】
制御された低速度の冷却が重要である。異なる凍結防止剤(Rapatzら,Cryobiology 5:18−25(1968))および異なる細胞型は、骨髄−幹細胞の生存およびそれらの移植能力に対する冷却速度の効果について、異なる最適冷却速度を有する(例えば、RoweおよびRinfret,Blood 20:636(1962);Rowe,Cryobiology 3:12−18(1966);Lewisら,Transfusion 7:17−32(1967);ならびにMazur,Science 168:939−949(1970)を参照のこと)。水が氷に変わる融解相の熱が最小であるべきである。冷却手順は、例えば、プログラム可能な凍結デバイスまたはメタノール浴手順の使用によって実行され得る。プログラム可能な凍結装置は、最適冷却速度の決定を可能にし、標準的な再現可能な冷却を容易にする。プログラム可能な制御された速度のフリーザー(例えば、CryomedまたはPlanar)は、所望の冷却速度曲線への凍結管理の調整を可能にする。
【0082】
綿密な凍結の後、細胞は、長期の低温保存容器に迅速に移され得る。特定の実施形態において、サンプルは、液体窒素(−196℃)またはその蒸気(−165℃)中で低温で保存され得る。このような保存は、高性能の液体窒素冷凍装置の利用可能性によって大きく促進される。
【0083】
造血幹細胞(特に、骨髄または末梢血由来の造血幹細胞)の操作、低温保存、および長期保存に関する考慮および手順は、本発明の方法によって調製されたDCに対して広く適用可能である。このような考察は、例えば、以下の参考文献(これらは、本明細書中に参考として援用される)中に見出され得る:Gorin,Clinics in Haematology 15:19−48(1986);Bone−Marrow Conservation,Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,July 22−26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,107−186頁。生存可能な細胞の他の低温保存方法、またはその改変方法が、利用可能であり、そして使用が想定される:例えば、冷却金属−鏡技術;LiveseyおよびLinner,Nature 327:255(1987);Linnerら,J.Histochem.Cytochem.34:1123−1135(1986);Senkenらの米国特許第4,199,022号、Schwartzの米国特許第3,753,357号、Fahyの米国特許第4,559,298号、Liveseyらの米国特許第5,364,756号もまた参照のこと)。
【0084】
凍結細胞は、代表的に急速に解凍され(例えば、37〜41℃に維持された温浴中)、そして解凍の際に直ぐに冷却される。解凍の際の細胞の凝集を回避するために、細胞を処理することが望ましくあり得る。凝集を回避するために、種々の手順が使用され得、これには、凍結前および/または凍結後の、DNaseの添加(Spitzerら,Cancer 45:3075−3085(1980))、低分子量デキストランおよびシトレートの添加、ヒドロキシエチルデンプンの添加(Stiffら,Cryobiology 20:17−24(1983))などが挙げられるが、これらに限定されない。凍結防止剤は、ヒトにおいて毒性である場合、解凍されたDCの個体への投与前に除去されなければならない。凍結防止剤を除去するための1つの方法は、微々たる濃度への希釈による方法である。一旦、凍結DCが解凍され、そして回収されると、これらは、非凍結DCに関して上記されるように、T細胞を活性化するために使用される。
【0085】
(適用または使用方法)
単に説明を容易にするために、以下の考察は、当業者によって明確に理解されるように、本発明の方法の特定の用途の例示である。本明細書中に提供される実施例は、本質的にいずれの抗原(全ての細胞型に対するウイルスおよび細菌を含む)に対しても使用され得る本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0086】
上記に考察したように、本発明の1つの実施形態に従って、本明細書中に開示される方法のいずれかによって可溶性の外因性前立腺特異的抗原およびBCGに曝露された単離ヒトDCは、前立腺癌に対してインビトロでT細胞を活性化するために使用され得る。詳細には、T細胞応答は、25%より多いCD8T細胞を含む活性化T細胞の集団を提供する、MHCクラスI指向型応答である。DCは、抗原への曝露の直後に使用されて、T細胞を刺激し得る。あるいは、DCは、抗原およびT細胞への同時曝露前に、GM−CSFおよびIL−4の組み合わせの存在下で維持され得る。
【0087】
T細胞またはT細胞のサブセットは、応答細胞としての使用のために種々のリンパ性組織から入手され得る。このような組織としては、脾臓、リンパ節ならびに末梢血および臍帯血が挙げられるが、これらに限定されない。細胞は、混合されたT細胞集団としてか、または精製されたT細胞サブセットとして、抗原に曝露されたDCと共培養され得る。例えば、精製CD8 T細胞を抗原に曝露されたDCと共に培養して、前立腺特異的な細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘発することが、望ましくあり得る。さらに、インビトロ細胞培養の間のCD4 T細胞の初期の排除によって、CD8 T細胞およびCD4 T細胞の両方の混合培養におけるCD4細胞の過剰な増殖を回避し得る。T細胞精製は、ポジティブ選択、および/またはネガティブ選択(CD2、CD3、CD4、CD8などに対する抗体の使用が挙げられるが、これらに限定されない)によって達成され得る。
【0088】
1つの実施形態に従って、T細胞は、DCが入手された前立腺癌患者と同じ患者から入手され得る。インビトロにおける刺激または活性化後、自己T細胞が、患者に投与されて、前立腺癌の腫瘍増殖を減速または阻害する既存の免疫応答を刺激および/または増大する。例えば、T細胞は、静脈内注入によって、約10〜10細胞/m(体表面の面積)の用量で投与され得る(Ridellら,Science 257:238−241(1992)を参照のこと)。注入は、所望の間隔(例えば、毎月)で繰り返され得る。レシピエントは、T細胞注入の間および後に、有害な影響のいずれの徴候に関してもモニターされる。
【0089】
別の実施形態に従って、T細胞は、前立腺患者から入手され、そしてT細胞を刺激するために使用されるDCは、HLA適合した健康なドナーから入手される。なお別の実施形態に従って、T細胞およびDCの両方は、HLA適合した健康なドナー(例えば、前立腺癌患者の同胞)から入手される。本実施形態は、例えば、患者が、放射線療法および/または化学療法剤で処置され、かつ十分なDCまたは効果的なDCを提供し得なかった後期の前立腺癌患者である場合、有利であり得る。刺激後のT細胞は、上記のように投与される。
【0090】
本発明の方法の特定の例において、種々の方法論を用いて樹状細胞(DC)に負荷されたPSMAが、抗原特異的様式で自己T細胞および同種異系T細胞を刺激し得る抗原提示細胞を生成した。これらの方法論としては、以下が挙げられる:1)リポ多糖類(LPS)有りまたは無しでの、PSMAタンパク質およびカルメット−ゲラン杆菌(BCG)を用いたDCの約6日間のオーバーナイト処理、ならびに2)高張性培地を用いたDCの約7日間の浸透圧負荷。BCGによって刺激されたDCは、上昇したCD83発現およびCD86発現を示し、一方LPSは、DCの成熟をさらに促進する。浸透性負荷が、高張性培地を用いて達成されて、ファゴサイトーシスおよびマクロピノサイトーシスを増加した。
【0091】
PSMA充填されたDC(BCG±LPSまたは浸透圧充填を用いて調製された)を用いたインビトロでの2週間の刺激、およびPSMAを用いて外因性にパルスしたPBMCを用いた1週間以上の再刺激の後、免疫原に対する特異的な反応性が、実証された(図1〜6)。
【0092】
本発明の別の実施形態に従って、前立腺癌患者から単離されたDCは、インビトロで培養され、次いで、MHCクラスI抗原提示(これは、CD8 CTLの相対数を増加する)を獲得するのに十分な様式で、前立腺組織特異的抗原、前立腺癌抗原、またはいずれかの抗原の抗原性フラグメントに曝露される。拡大または低温保存のいずれかの後、DCは、患者に投与して戻され、インビボにおいて患者の癌細胞に対して免疫応答を刺激する(T細胞活性化を含む)。患者の自己の樹状細胞を用いるこの手段を使用することによって、以下の利点が提供される:(1)外来DNAが利用されない;(2)種々のウイルスベクターを用いたcDNA発現の目的のための細胞感染が、排除される;(3)抗原が、樹状細胞に取り込まれる可溶性タンパク質の形態で樹状細胞に対して提示され、、そして細胞表面のMHC/ペプチド提示のためにプロセスされる;(4)樹状細胞が、その表面上にB7を発現し、このcDNAを樹状細胞にトランスフェクトする必要性を解消する;(5)樹状細胞表面上での内因性B7(B7.1および/またはB7.2のいずれか)の使用が、T細胞をIL−2または他のサイトカインと共に(サイトカイン自体の形態でか、またはそのcDNAの特定の細胞へのトランスフェクションのいずれか)提供する必要性を排除する;(6)全ての手順が、患者自体の細胞を用いて実行される。
【0093】
上記のように得たDCを、インビトロで、前立腺特異的抗原、前立腺癌抗原またはいずれかの抗原の抗原性フラグメント(例えば、約0.1μg〜約1000μgでのPSMA)に、BCG(約2×10〜1×10単位/ml 終濃度)と組合わせてかまたはLPS(40単位/ml)とあわせたBCGと組合わせて曝露し、洗浄し、患者に投与して免疫応答を誘発するか、または既存の免疫応答を増強する。従って、DCは、抗前立腺癌ワクチンおよび/または免疫治療剤を構成する。前立腺特異的抗原を提示するDCは、約10〜10細胞の用量で静脈内注入を介して患者に投与される。患者の免疫応答は、モニターされ得る。注入は、患者の測定された免疫応答に基づいて、所望の間隔で繰り返され得る。
【0094】
以下の実施例は、前立腺患者から入手し、BCGおよびLPSの組合わせまたはBCG単独の存在下で抗原(例えば、自己腫瘍溶解産物またはペプチドの形態)を用いてパルスしたヒト樹状細胞が、ヒト前立腺癌抗原に対する抗原特異的細胞傷害性T細胞および体液性免疫応答を刺激することを、実証する。これらの実施例は、例示目的のためのみに示され、そして本発明の範囲のいかなる様式でも制限することを意図しない。
【0095】
(実施例1)
以下の実施例は、ヒト樹状細胞の単離および培養を記載する。抗原特異的な細胞傷害性T細胞応答の刺激を実証するために、単離した樹状細胞を、BCGと組合わせて腫瘍細胞溶解産物および部分的に精製した腫瘍細胞溶解産物と接触させた。
【0096】
(患者の樹状細胞の培養)
ヒトDCの培養は、本明細書中の前に記載したように、および米国特許第5,788,963号(本明細書中に参考として援用される)中に記載されたように確立した。簡単に言うと、末梢血単核細胞(PBMC)を、Ficoll−Paque(Pharmacia,Uppsala,Sweden)上での標準的な遠心分離によってリンパ球に富む「軟膜」から得た。プラスチックに接着したPBMC(37℃で約1時間)を、2% 自己血清、50U/ml ペニシリン、50μg/ml ストレプトマイシン、2mM L−グルタミン、10mM HEPES、0.1mM 非必須アミノ酸、および1mM ピルビン酸を補充または補充していないAIM−V(「培養培地」と称する;これらは全てBoehringer Ingelheim,Biowhittaker,Verviers,Belgiumから)中、1000U/mlまたは500U/mlの各顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)(LeucomaxTM 1.11×10U/mg(Novartis,Basel,Switzerlandより))および500U/mlのインターロイキン−4(IL−4)(Schering−Plough Research Institute,Kenilworth,NJ)の存在下で、6〜7日間培養した。
【0097】
(患者のDCの表現型決定(phenotyping))
表面抗原(Ag)発現を決定するために、細胞(50μl中10DC)を、完全培地中の一次モノクローナル抗体(mAb)を用いて標識し、その後、ヤギ抗マウスIgのFITC結合体化F(ab’)フラグメント(Dako,Glostrup,Denmark)によって標識した。以下のモノクローナル抗体が使用され得るが、同じ特異性を有する多数の他の抗体が、周知である:G46−2.6(IgG、抗HLA−ABC)、L243(IgG2a、抗HLA−DR)、HB−15a(IgG2b、抗CD83)、BU63(IgG、抗CD86)。洗浄は、0.2% アルブミンを含むHBSS中であった。最後の洗浄後、細胞を、0.2% アルブミンおよび2% ホルムアルデヒドを含むHBSS中で保存した。サンプルを、FACScan(登録商標)(Becton−Dickinson,San Jose,CA)で分析した。データを、Becton Dickinson製のCellQueste(登録商標)ソフトウェアを用いて分析し、そして表示させた。
【0098】
(腫瘍細胞溶解産物の調製)
以下のように、BCGおよびLPSを使用して、DCのMHCクラスI負荷を刺激した:1〜100μgのLNCaP由来のPSMAまたは部分的に精製された組換えPSMA(rPSMA)を、滅菌マクロチップを用いたピペッティングによって6日目のDCの培養培地に添加した。同じときに、BCG(0.2〜1.6×10U/ml 終濃度;Tice−BCG,Organon Teknika,Durham,NC)およびLPS(40U/ml 終濃度)(複製のフラスコ中)を、同じ方法を用いて培養培地に添加した。次いで、COインキュベーターに戻す前に、培養培地を穏やかに混合した。
【0099】
浸透圧負荷を、以下のように実行した:7日目のDCを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を用いた勢いのあるピペッティングによって収集し、次いで、機械的に取り除く前にPBSを用いてインキュベートした。DCを、低速度で遠心分離し、そして全ての上清を、吸引を用いて除去した。細胞ペレットを、最終容積100μlまでの所望の量のPSMAおよびPBS中に再懸濁した。その後、100μlの高張性培地(1M スクロースおよび20% グリセロール)を添加し、そして細胞懸濁液を、ピペットマイクロチップを用いて混合した。次いで、細胞を、15mlの遠心管中、37℃の温浴に10分間置いた。インキュベーション後、DMEMまたはAIM−Vを用いてこの管を充填し、次いで、この管をさらに3分間37℃の温浴に戻すことによって、等張性状態を回復させた。次いで、細胞を遠心分離し、そして所望の濃度で培養培地中に再懸濁した。
【0100】
PSMA負荷されたDCを用いたインビトロでの2週間の刺激、およびPSMAを用いて外因性にパルスしたPBMCを用いた1週間以上の再刺激の後、免疫原に対する特異的な反応性が、実証された(図1〜5)。培養18日目までに、患者92由来のエフェクター細胞は、PSMAを提示する自己DCを特異的に認識したが、無関係のタンパク質オボアルブミン(OVA)または未処理DCは認識しなかった(図1A)。患者92のエフェクター細胞はまた、患者105およびI.T.由来の同種異系DCを特異的に認識した(図1Bおよび図1C)。患者105およびI.T.の両方由来のエフェクター細胞は、PSMAを提示する自己DCおよび同種異系DCの両方を用いた共培養の後に、特異的な様式でサイトカインを分泌した。
【0101】
この観察されたPSMAによって制限される活性は、有意なCD8 T細胞成分を含む(図2A〜図2C)。示されるように、患者105由来のエフェクター細胞がDC(これは、BCGの存在下でPSMAが負荷された)を用いて刺激された場合、サイトカイン分泌は、LPSが刺激の間に含まれたか否かに関わらず、有意にCD8媒介性であった(図2Aおよび図2B)。エフェクター細胞が、浸透圧負荷後のPSMAを発現するDCを用いて刺激された場合、観察された反応性に対して、CD8 T細胞およびCD4 T細胞の相対的な寄与に統計学的に有意な差異は存在しなかった(図2C)。患者92およびI.T.由来の等しく刺激されたエフェクターを用いて類似の知見が得られた(データは示さず)。これらの結果は、LPS有りまたはLPS無しでのBCGの使用が、ここで教示されるように、細胞傷害性T細胞に偏った免疫応答をもたらす(すなわち、T細胞の50%以上がCD8であった)ことを実証する。
【0102】
PSMA負荷されたPBMC(浸透圧負荷を用いた)を用いたさらなる再刺激後、患者105由来の特異的エフェクターを、これらのエフェクターが用量依存的様式でサイトカインを分泌する能力を有したか否かを決定するために、評価した(図3)。0日目および10日目の初回刺激について、DCへのPSMA負荷の間にBCGまたはBCG+LPSが存在した場合、このエフェクターによって分泌されたサイトカインの量は、自己DC標的に浸透圧的に負荷されたPSMAの量に直接関連した(図3Aおよび3B)。最大量のIFNγ分泌は、試験されたPSMAのうちの最も高い濃度がDCに負荷された場合に、最大値に達することなく観察された。インビトロにおける全ての刺激を、10μgのPSMAを負荷したDCまたはPBMCを用いて実行した。このタンパク質量は、強力なT細胞刺激およびT細胞活性化に十分であった。PSMAの最大濃度を30μgに増加して実験を繰り返した場合、プラトーに達した(図3C)。
【0103】
PSMA特異的細胞溶解の中程度のレベルが、検出された(図4Aおよび4B)。培養の32日目に、患者I.T.由来のエフェクター細胞は、OVAを提示する自己DCに対する23%または未処理標的に対する19%と比較して、40:1のエフェクター:標的比で、PSMAを提示する自己DCの37%の溶解を示した(図4A)。培養の39日目に、患者92由来のエフェクター細胞は、OVAを提示する自己DCに対する14%または未処理標的に対する10%と比較して、36:1のエフェクター:標的比で、PSMAを提示する自己DC溶解の23%の溶解を示した(図4B)。
【0104】
インタクトな可溶性タンパク質を用いて浸透圧的に負荷されたDCを用いて、インビトロで刺激されたT細胞によって認識されるPSMA由来のペプチドの特異性をまた、決定した。患者92由来のエフェクター細胞(これは、インビトロでの刺激後にPSMA特異的であった)を用いて、PSMA:PSM−P1由来のHLA−A2ペプチドまたはインフルエンザM1タンパク質のいずれかを用いて外因性にパルスした抗原提示細胞株T2との共培養後に、サイトカイン分泌を測定した(図6Aおよび図6B)。
【0105】
さらなる実験において、インフルエンザM1タンパク質またはペプチド(抗原フラグメントを含む)が浸透圧的にかまたは直接的に負荷され、そしてBCG単独またはインターフェロンγとの組合わせのいずれかの存在下で成熟された樹状細胞が、Vβ17 T細胞サブセットによるインターフェロンγの産生によって測定されるように、T細胞媒介活性を刺激し得ることを実証した。
【0106】
(実施例2)
本実施例は、樹状細胞が、低温保存後にその機能を保持しているか否かを試験する。免疫療法アプローチは複数の処置を含むので、この特性は特に重要であり、そして各患者についての全てのDCを一度の調製の間に調製し、そして抗原を負荷し、次いで、その後の注入のために等分および低温保存することが好ましい。DCの凍結および解凍は、CD8 T細胞アクチベーターとしてのそれらの効果を制限し得ることが可能であった。
【0107】
樹状細胞を、前立腺癌患者のPBMCから単離し、そして上述のように500U/ml GM−CSFおよび500U/ml IL−4の存在下で、7日間培養した。7日目に、単離されたDCを収集し、そして90%ウシ胎仔血清および10%ジメチルスルホキシドを用いて低温保存した。低温保存されたDCを、その後一定期間凍結させて保存し、37℃の水浴で解凍し、そして15mlポリプロピレンチューブに移し、そして1200rpmで5分間遠心分離した。次いで、解凍したDCを、10%熱不活性化ヒト血清を含む培地に再懸濁し、そして計数し、そして以下のように使用した。
【0108】
患者105由来の第7日目DCに、浸透圧によりPSMAまたはOVAを負荷した(または未処理のままにした)。次いで、処理したDCを、上述のような90%ヒト血清および10%DMSOからなる標準的な凍結培地中で凍結させた。同日に、第2のセットのDC培養物を確立した。1週間後、新鮮な第7日目DCを収集し、そして浸透圧によりPSMAまたはOVAを負荷した(または未処理のままにした)。さらに、その週の前に低温保存させたDCを標準的な技術により解凍し、そしてすぐにELISAにおいて使用した。患者105由来のPSMAにより制限されたエフェクター細胞は、新鮮な標的および低温保存した標的の両方に対して強い反応性を示した(図5)。この特定の実施例で教示するように、低温保存は、抗原提示細胞として機能するDCの効果を減少させない。
【0109】
免疫療法を用いて強力な抗腫瘍応答を刺激することは、細胞障害性T細胞応答を刺激する際の困難性に部分的に起因して、効力が制限されていた。本発明は、この制限を克服する方法および組成物を記載する。本発明は、樹状細胞を、カルメット−ゲラン杆菌(BCG)の存在下で可溶性組織特異的抗原に曝露することを必要とし、その結果、BCGは、MHC−クラスIプロセシング経路に抗原を向かわせることを補助して、主に細胞障害性T細胞応答を誘導する。Cellaらによる近年の研究(Cellaら、Nature 388:782−787(1997))はまた、抗原提示についての成熟プロセスの重要性を実証した。炎症性刺激の非存在下で、DCのMHC−クラスII分子上で提示された抗原の半減期は、10時間であった。対照的に、炎症性因子の存在下で抗原を用いてDCをパルスすることは、この抗原の半減期を100時間に増加させた。より長い半減期は、DCが二次的リンパ器官にホーミングし、そして抗原特異的Tリンパ球を活性化することを可能にする。
【0110】
(実施例3)
この実施例では、癌患者から単離された樹状細胞を単離し、そして種々の濃度のBCGで処理した。数日の培養後、DCを、1)飲細胞運動により粒子を取り込む能力について、ならびに2)HLA−DR、CD86、CD40、CD83、CD80、およびHLA−クラスIを含む、特定の樹状細胞成熟マーカーの表面発現について、試験した。
【0111】
樹状細胞を、上述のようにして患者57から単離した。単離した細胞(1〜5×10)を8つのT−75フラスコ中で約6日間培養した。BCG(1×10ユニット/ml)を二連フラスコに添加し、1:250、1:2,500、または1:25,000に希釈した。2つの残りの培養フラスコには、BCGを添加しなかった。BCGを含まないDCを含む第1のセットの培養フラスコ、または1:250、1:2,500、または1:25,000のBCG希釈物と共にDCを含む第1のセットの培養フラスコを、48時間または72時間のインキュベーションの後に収集した。二連のセットの培養フラスコを合計72時間の培養後に収集した。各DC培養物を、1)飲細胞運動によりFITC/デキストランを取り込む能力について、ならびに2)HLA−DR、CD86、CD40、CD83、CD80、およびHLA−クラスIを含む、特定のDC成熟マーカーの表面発現のレベルについて、分析した。
【0112】
標識したデキストラン粒子を飲細胞運動により取り込む能力を、以下の通りに試験した:各DC培養フラスコの内容物を二連チューブに等分し、そして氷上にて30分間、AIM−V培地中でインキュベートした。氷上でのインキュベーション後、FITC/デキストランを各チューブに添加し、約1mg/mlの最終濃度を達成した。1つのセットのチューブを37℃にて1時間、5%CO中でインキュベートし、二連のセットのチューブを氷上(0℃)で約1時間インキュベートした。DCを、フローサイトメトリーによる分析の前に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で3回洗浄した。DCによる飲細胞運動の相対的な量を、0℃でのバックグラウンドの取り込みを減算した後に比較した(表2)。
【0113】
DC成熟マーカーの分析のために、各DC培養物を、以下のモノクローナル抗体対と共にインキュベートした:FITC−抗HLA−DR/PE−抗CD86;FITC−抗CD40/PE−抗CD83;FITC−抗CD80/PE−抗HLA−クラスI;または標準的な方法を用いるFITC−/PE−アイソタイプ抗体コントロール。各DCマーカーの表面発現を、フローサイトメトリーにより分析した(表3)。
【0114】
【表3】

1:250の濃度において、DCは、48時間培養および72時間培養の両方において、CD86、CD40、CD83、およびHLA−クラスIにおける有意な増加を示した。BCGの効果は、72時間でより顕著であった。例えば、HLA−クラスIは、1:250のBCGにおいて48時間後に24%増加したが、1:250のBCGの72時間後に93%増加した。同様に、CD83は、1:250のBCGにおいて48時間で40倍増加し、そして1:250のBCGにおいて72時間後に5.7倍増加した。
【0115】
前述の発明は、理解の明確化の目的のために、説明および実施例によりいくらか詳細に記載されているが、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることは明らかである。従って、本発明の範囲は、上述の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲全体を参照して決定されるべきである。
【0116】
本出願中で列挙される全ての刊行物および特許書類は、各々の個々の刊行物または特許書類が、個々にそのように表示される場合と同程度に、全ての目的のためにそれらの全体において参考として援用される。
【0117】
本発明は、上の発明の詳細な説明、発明の特定の実施形態の例示的な例および添付の図面を参照して、より十分に理解され得る。
【0118】
(配列表)
【数1】

【数2】

【数3】

【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【数9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2011−225628(P2011−225628A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−178147(P2011−178147)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【分割の表示】特願2001−583792(P2001−583792)の分割
【原出願日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願人】(500513619)ノースウエスト バイオセラピューティクス,インコーポレイティド (9)
【Fターム(参考)】