説明

ヒト皮膚を修復するための化粧的方法および化粧用組成物

本発明は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するための方法および組成物であって、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含有する局所用組成物を身体の休息期間の前に皮膚に適用するステップを含む、上記方法および上記組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レスベラトロールまたはレスベラトロール誘導体およびDNA修復酵素を使用して、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するための化粧的方法および化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚は2つの主要な層から構成される。角質層、すなわち表皮は、皮膚の上層または外層である。角質層の主要な機能は、保護被覆を提供すること、および水を含む内部からの蒸発による水の損失を抑制することである。これは一般にバリア機能と称される。角質層は、機械的損傷、外来化学物質の進入および微生物による攻撃を防御する。角質層はまた、紫外線に対する第一の防御を提供し、入射紫外線B照射の80%以上を遮断する。
【0003】
真皮は表皮の下にあり、皮膚の厚みの90パーセントを構成する。真皮はコラーゲンおよびエラスチンの高密度網目構造を含有し、皮膚に強度および弾性をもたらす。線維芽細胞は、真皮に存在する主要な細胞タイプである。線維芽細胞は真皮基質成分の合成および分泌に関与し、該成分には、コラーゲン、エラスチン、およびグリコサミノグリカン(例えばヒアルロン酸)が含まれる。コラーゲンは皮膚に強度をもたらし、エラスチンはその弾性をもたらすのに対して、グリコサミノグリカンは皮膚水分およびふくらみ(plump)を維持するのに役立つ。
【0004】
酸素フリーラジカル、刺激の強い化学物質、日光曝露、日々のストレス、および他の環境要因はヒト皮膚に対して悪影響を有し得る。例えば、UV照射は、同一DNAストランド上の隣接するピリミジンを架橋してピリミジン二量体を形成させることによって、皮膚細胞中のDNA分子を損傷させ得る。細胞は、DNA損傷を修復および除去するためのいくつかの異なる細胞機構を発達させている。しかし、例えば高い強度のUV照射によって非常に高速にDNA損傷を受けると、DNA修復系は過負荷になることがある。結果的に、未修復のDNA損傷が蓄積し始め、一定の閾値に達すると、早期の皮膚の老化または皮膚における癌の発生さえ生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
皮膚に及ぼす多数の悪影響を考慮して、皮膚に対するそのような悪影響を効果的に回復させ、皮膚を若返らせ、かつ皮膚の外観および状態を改善することができる化粧用組成物および化粧的方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するかまたは回復させるための方法であって、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含む組成物を身体の休息期間の前に皮膚に適用するステップを含む、上記方法に関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を受けた皮膚を処置するための方法であって、少なくとも2種の異なる組成物で、任意の順序で、皮膚を逐次処置するステップを含み、第一の組成物はレスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含み、第二の組成物は、両組成物が皮膚に適用された場合に第一の組成物の効力を向上させる少なくとも1種の活性成分を含む、上記方法に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するかまたは回復させるためのスキンケアキットであって、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含む第一の組成物を含有する第一の容器、および少なくとも1種の活性成分を含む第二の組成物を含有する第二の容器を含み、その活性成分は両組成物が皮膚に適用された場合に第一の容器中の第一の組成物の効力を向上させる成分である、上記キットに関する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するかまたは回復させるための局所用組成物であって、製薬的または化粧的に許容されるビヒクル中にレスベラトロールまたはその誘導体および8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼを含む、上記組成物に関する。
【0010】
本発明の他の態様および目的は、発明の詳細な説明、実施例、および特許請求の範囲からさらに明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するための方法および組成物を提供する。用語「ヒト皮膚に対する...の悪影響を修復する」とは、皮膚の障害、欠点、または美的に不快な状態の抑止、逆転、回復、減少、および/または低減を示すために本明細書中で使用され、該皮膚の障害、欠点、または美的に不快な状態には、非限定的に、加齢によるしみ、日焼け、日焼けによるしみ(sun spots)、線(lines)、細い線、しわ、目じりのしわ、スパイダーベイン、ストレッチマーク、くま、色素沈着過剰、低色素沈着、変色、皮膚の色合いのむら(uneven skin tone)、くすみ、そばかす、吹き出物(skin breakout)、傷(blemishes)、皮膚脆弱性、乾燥、まだら(patchiness)、ざらつき(tactile roughness)、ひび、たるみ、菲薄化、毛穴の拡大(enlarged pores)、セルライト形成、ざ瘡形成、酒さ、乾癬、および湿疹が含まれる。用語「皮膚」には、顔または身体の皮膚ならびに唇が含まれる。
【0012】
具体的には、本発明の組成物は、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含み、この組成物を用いて皮膚を処置するための方法である。そのような局所用組成物中のレスベラトロールまたはレスベラトロール誘導体およびDNA修復酵素は、皮膚細胞における天然の修復応答を促進または増強するよう相乗的に作用し、したがってヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響に対する細胞の修復機構の有効性を向上させると考えられる。また、個体が休息中であると、該個体の皮膚は、回復を支援しかつその外観に活力を与える活性成分に対してより受容性であり、皮膚細胞における天然の修復応答は最も効果的に促進または増強されると考えられる。したがって、身体の休息期間の前に、本発明の局所用組成物を皮膚に適用することが望ましく、該期間は夜の睡眠(例えば約3〜約10時間)または仮眠(例えば約15分間〜約4時間)であってよい。
【0013】
以下、本発明の組成物をさらに説明する。
【0014】
I. DNA修復酵素
本発明の組成物は少なくとも1種のDNA修復酵素を含有する。用語「DNA修復酵素」とは、現在公知であるかまたは後に発見もしくは開発される酵素を表し、該酵素には、グリコシラーゼ、脱プリン/脱ピリミジン部位エンドヌクレアーゼまたは、損傷DNAを修復可能な活性を有する他の酵素が含まれる。本発明での使用に好適なDNA修復酵素には、非限定的に、8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ、ウラシル-および-ヒポキサンチン-DNA-グリコシラーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ(例えば3-メチル-アデニン-DNAグリコシラーゼ)、3-メチルアデニン-DNA-グリコシラーゼ、ピリミジン二量体特異的グリコシラーゼ、ピリミジングリコシラーゼ/脱塩基部位リアーゼ(abasic lyase)、N-グリコシラーゼ/脱ピリミジン部位リアーゼ、N-グリコシラーゼ/脱プリン-脱ピリミジン部位リアーゼ、フォトリアーゼ、O6-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ、T4エンドヌクレアーゼV、ピリミジン二量体特異的エンドヌクレアーゼ、脱ピリミジン/脱プリン部位-エンドヌクレアーゼ、UV損傷エンドヌクレアーゼ、コルエンドヌクレアーゼ(correndonuclease)、およびDNAエキソヌクレアーゼが含まれる。塩基除去修復(BER)経路、ヌクレオチド除去修復(NER)経路、または代替の除去修復経路に関与する他のDNA修復酵素または酵素複合体を本発明の実施に使用してもよい。そのようなDNA修復酵素は、好適な供給源、例えば細菌、藻類、原虫、プランクトン、植物等に由来するかまたはそれらから抽出してよい。
【0015】
必須ではないが、好ましくは、DNA修復酵素を、単独でまたはレスベラトロールもしくはレスベラトロール誘導体および/もしくは1種以上の追加のスキンケア活性物質(actives)と組み合わせてリポソームにカプセル化する。リポソームは、膜脂質、例えばリン脂質およびスフィンゴミエリンによって形成された1以上の脂質層に包まれた水性コアからなる微細な小胞である。リポソームは化粧的に活性な物質、例えばDNA修復酵素、レスベラトロールまたはその誘導体、および他のスキンケア活性物質の、皮膚の真皮内への移動を容易にする。リポソーム中のDNA修復酵素のカプセル化に関する詳細に関しては、米国特許第5,296,231号(該文献の内容はすべての目的のためにその全体が参照によりここに組み入れられる)を参照のこと。
【0016】
例えば、ゲノムおよびミトコンドリア両DNA中の酸化的8-オキソグアニン損傷を修復する植物Arabidopsis thaliana由来のDNA修復酵素である8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ(OGG1)は、Freeport, NYのAGI Dermaticsから商品名ROXISOMES(商標)の下にレシチンおよび水を含有するリポソーム製剤として市販されている。別の例として、UVBによって誘発されるシクロブタンピリミジン二量体(CPD)を修復するMicrococcus luteus細胞ライセート由来のDNA修復酵素であるT4エンドヌクレアーゼV(T4N5)もまた、AGI Dermaticsから商品名ULTRASOMES(商標)またはULTRASOMES-V(商標)の下にリポソーム製剤として市販されている。さらに、可視光で活性化されるとピリミジン二量体を修復する海洋プランクトン由来のDNA修復酵素であるフォトリアーゼは、AGI Dermaticsから商品名PHOTOSOMES(商標)の下にリポソーム製剤として市販されている。上記の例示的な、リポソームによってカプセル化されたDNA修復酵素は、本発明の局所用組成物中で、組成物全体の総重量の約0.01%〜20%、好ましくは約0.1%〜約10%、より好ましく望ましくは約0.5%〜約2%の範囲の量で提供することができる。
【0017】
II. レスベラトロールまたはその誘導体
本発明の組成物はレスベラトロールまたはその誘導体をさらに含有する。3,5,4'-トリヒドロキシスチルベンとも称されるレスベラトロールは、赤ブドウ、キイチゴ、ブルーベリー、および特定の他の植物液果または抽出物中に存在するポリヒドロキシ置換スチルベン化合物であり、以下の一般式を有する。
【化1】

【0018】
レスベラトロールは、有効な酸化防止剤であり、かつ強い抗増殖および抗炎症特性を示すことが示されている。レスベラトロールは、種々の生物、例えば酵母、線虫、ショウジョウバエ、短命の魚、およびマウスにおいてカロリー制限(CR)を模倣し、そのような生物の加齢プロセスを遅くし、かつそれらの寿命を有意に伸ばすことが最近報告されている。いかなる特定の理論によっても拘束されることを望まないが、本発明の発明者らは、レスベラトロールが細胞増殖を低減し、アポトーシスプロセスを遅らせ、それにより細胞においてDNA損傷修復のためのより多くの時間をもたらすと考える。レスベラトロールは、DNA修復酵素と組み合わされると、細胞の天然のDNA修復能の促進または増強に関する相乗効果を生じさせると想定される。
【0019】
しかし、レスベラトロールは特定の化粧用製剤中で潜在的に不安定である。特に、レスベラトロールは水ベースの製剤中で加水分解を受けやすく、そのような製剤の変色を引き起こす。水ベースの製剤中のレスベラトロールの不安定性に対処する一方法は、3、5、および4'位のヒドロキシ基を他の官能基で置換して、化粧用製剤(cosmetic formulas)中でより安定なレスベラトロール誘導体を形成させることによってレスベラトロールを改変することである。無機酸、有機カルボン酸、単糖、二糖、もしくは多糖、または他の官能基のレスベラトロール誘導体は水ベースの製剤中で、より安定であることが発見されている。置換基はレスベラトロールのフェノール基を保護および安定化するために機能しかつレスベラトロール誘導体を水ベースの化粧用製剤中での使用により好適にするだけでなく、それらは皮膚に適用されると、好ましくは皮膚表面の酵素および他の成分によって化合物から容易に加水分解されて活性型のレスベラトロールを皮膚内に放出することもできる。本発明のレスベラトロール誘導体は以下の一般式を有する:
【化2】

式中、X、Y、およびZは水素または保護基であり、ただしX、Y、およびZの少なくとも1個は保護基である。以下、本発明の化粧用または局所用組成物での使用に好適なレスベラトロール誘導体の例をさらに詳細に説明する。
【0020】
A. 無機または有機酸のレスベラトロールエステル
X、Y、およびZの1個以上が無機酸官能基、例えばリン酸、硝酸、スルホン酸、および炭酸である無機酸のレスベラトロールエステルを本発明で使用することができる。本発明の実施に特に好適な無機酸エステルの例を以下に列挙する:
3-ホスファート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ホスファート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ホスファート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジホスファート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジホスファート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジホスファート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリホスファートスチルベン
3-ニトラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ニトラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ニトラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジニトラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジニトラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジニトラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリニトラートスチルベン
3-スルホナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-スルホナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-スルホナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジスルホナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジスルホナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジスルホナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリスルホナートスチルベン
3-カルボナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-カルボナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-カルボナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジカルボナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジカルボナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジカルボナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリカルボナートスチルベン。
【0021】
上に列挙されるレスベラトロールエステルの製薬的に許容される塩を本発明の化粧用組成物中で使用することもできる。そのような塩には、Na、K、Mg、Ca、Fe、およびNH4からなる群から選択される1以上の1価または2価カチオンが含まれる。該塩は、レスベラトロールエステルを含有する溶液に、対応する塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を加えることによって形成させることができる。
【0022】
レスベラトロールの無機酸エステルは、フェノールまたはポリフェノールのヒドロキシル基をリン酸、スルホン酸、および炭酸官能基で置換する周知の化学プロセスによって容易に形成させることができる。例えば、米国特許第4003966号では、そのリン酸エステルを形成させる選択的リン酸化フェノールに関する1ステッププロセスが記載される。該文献の内容はすべての目的のためにその全体が参照によりここに組み入れられる。
【0023】
本発明の実施に特に好ましいレスベラトロール誘導体はレスベラトロール三リン酸エステルとも称される3,4',5-トリホスファートスチルベンであり、それは以下の式を有する。
【化3】

【0024】
レスベラトロール三リン酸を含めたレスベラトロールのリン酸エステルは、国際特許出願公開第WO 2006/029484A1号(該文献はその全体が参照によりここに組み入れられる)に開示される。レスベラトロール三リン酸はWO 2006/029484A1の実施例2に記載の方法によって合成することができる。さらに具体的には、100 mlアセトニトリル中のレスベラトロール(3,4,5-トリヒドロキシスチルベン)(25 mmol, 5.7グラム)およびジメチルアミノピリジン(7.5 mmol, 0.93グラム)の溶液を窒素下で-10℃まで冷却する。10分後、四塩化炭素(375 mmol, 36.2 ml)およびDIEA(159 mmol;27.7 ml)および混合物を攪拌下で30分間維持する。リン酸ジベンジル(dibenzylphosphate)(113 mmol, 25.0 ml)を加え、混合物を室温でさらに12時間攪拌する。反応の経過をTLC(シリカF254, 溶離液 酢酸エチル/n-ヘキサン80/20 v/v)によってモニターする。1リットルの0.5 M KH2PO4を加え、次いで混合物を酢酸エチルで抽出する。得られた生成物、トリ(リン酸ジベンジル)レスベラトロールを、シリカゲルでろ過し、まず酢酸エチル/n-ヘキサン(80/20 v/v)の混合物で洗浄してすべての残留未反応レスベラトロールを除去し、次いでメタノールで洗浄することによって精製し、黄色油状物を得る。
【0025】
0℃の200 mLの無水DCM中のトリ(リン酸ジベンジル)レスベラトロール(12.5 mmol)にブロモメチルシラン(79 mmol, 10.4 mL)を加える。2時間後、300 mLのH2Oを加え、反応混合物を1時間攪拌する。水相を酢酸エチルで再び洗浄し、次いで凍結乾燥してオレンジ色油状物を得る。
【0026】
上で得られた生成物を400 mLのエタノールに溶解し、それにCH3ONa(37 mmol;2.03 g)を加え、反応物を室温で12時間攪拌する。エタノールをロータリーエバポレーター(rotavapor)で蒸発させ、残留物をH2Oに溶解する。水相を酢酸エチルで洗浄し、凍結乾燥する。得られた白色固形物の質量スペクトルは、レスベラトロール三リン酸(PM = 468.1)の存在を示し、レスベラトロールに関する全収率は> 90%である。
【0027】
所望であれば、レスベラトロール三リン酸を有機または無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等で中和することができる。レスベラトロール三リン酸を水酸化ナトリウムで中和してレスベラトロール三リン酸三ナトリウムを形成させる場合が特に好ましい。レスベラトロール三リン酸は、中和された形態(CTFAレスベラトロール三リン酸三ナトリウムを有する)でAjinomotoから購入してもよい。
【0028】
B. レスベラトロールのカルボン酸エステル
本発明で使用できる別の群のレスベラトロール誘導体はレスベラトロールと脂肪族または芳香族カルボン酸のエステルであり、該エステルでは、X、Y、およびZの1個以上が-C(O)-R1基であり、R1は、直鎖、分岐鎖、飽和もしくは不飽和、または環式のC1-C40アルキル、置換C1-C40アルキル、C1-C40アルケニル、置換C1-C40アルケニル、C1-C40アルキニル、置換C1-C40アルキニル、アリール、C1-C40アリール、およびC1-C40置換アリールからなる群から選択される。好ましい一実施形態では、R基は直鎖または分岐鎖脂肪族、またはC6-30、飽和または不飽和アルキル基である。置換基は、C1-40直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルキル、ハロゲン(例えばフルオロ)、水素、アルコキシ、ヒドロキシル等から選択することができる。
【0029】
レスベラトロールのエステルを形成させるために使用できるカルボン酸の例には、非限定的に、飽和モノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸(C4)、吉草酸、ヘキサン酸、カプリル酸(C8)、ラウリン酸、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(分岐C18)、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン酸(C14)、アラキン酸(C20)、アリキドン酸(arichidonic acid)、エルカ酸、ベヘン酸(C22)、ラウリン酸(C12)、カプリン酸(C10)、カプロン酸(caproic)(C6)、およびパルミチン酸(C16);不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、およびエイコサペンタエン酸;アミノ酸、例えばアルギニン、グルタミン、およびチロシン;ケト酸、例えばピルビン酸およびアセト酢酸;芳香族カルボン酸、例えばアスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、およびフェルラ酸;ジ-およびトリ-カルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、およびグルタル酸が含まれる。記号「C」およびそれに続く数値はアルキル鎖中の炭素原子の数を示す。
【0030】
本発明の実施に特に好適な、レスベラトロールのカルボン酸エステルの例を以下に列挙する:
3-アセテート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アセテート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アセテート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアセテート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアセテート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアセテート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアセテートスチルベン
3-プロピオナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-プロピオナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-プロピオナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジプロピオナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジプロピオナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジプロピオナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリプロピオナートスチルベン
3-ブチラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ブチラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ブチラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジブチラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジブチラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジブチラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリブチラートスチルベン
3-バレラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-バレラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-バレラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジバレラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジバレラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジバレラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリバレラートスチルベン
3-ヘキサノアート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ヘキサノアート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ヘキサノアート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジヘキサノアート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジヘキサノアート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジヘキサノアート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリヘキサノアートスチルベン
3-カプリラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-カプリラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-カプリラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジカプリラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジカプリラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジカプリラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリカプリラートスチルベン
3-ラウラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ラウラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ラウラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジラウラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジラウラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジラウラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリラウラートスチルベン
3-ステアラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ステアラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ステアラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジステアラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジステアラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジステアラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリステアラートスチルベン
3-パルミタート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-パルミタート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-パルミタート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジパルミタート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジパルミタート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジパルミタート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリパルミタートスチルベン
3-アクリラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アクリラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アクリラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアクリラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアクリラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアクリラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアクリラートスチルベン
3-メタクリラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-メタクリラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-メタクリラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジメタクリラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジメタクリラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジメタクリラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリメタクリラートスチルベン
3-ソルバート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ソルバート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ソルバート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジソルバート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジソルバート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジソルバート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリソルバートスチルベン
3-オレアート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-オレアート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-オレアート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジオレアート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジオレアート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジオレアート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリオレアートスチルベン
3-リノレアート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-リノレアート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-リノレアート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジリノレアート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジリノレアート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジリノレアート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリリノレアートスチルベン
3-リノレナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-リノレナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-リノレナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジリノレナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジリノレナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジリノレナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリリノレナートスチルベン
3-ドコサヘキサエノアート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ドコサヘキサエノアート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ドコサヘキサエノアート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジドコサヘキサエノアート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジドコサヘキサエノアート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジドコサヘキサエノアート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリドコサヘキサエノアートスチルベン
3-エイコサペンタエノイック-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-エイコサペンタエノイック-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-エイコサペンタエノイック-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジエイコサペンタエノイック-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジエイコサペンタエノイック-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジエイコサペンタエノイック-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリエイコサペンタエノイックスチルベン
3-アルギナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アルギナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アルギナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアルギナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアルギナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアルギナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアルギナートスチルベン
3-グルタマート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-グルタマート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-グルタマート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジグルタマート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジグルタマート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジグルタマート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリグルタマートスチルベン
3-チロサート(tyrosate)-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-チロサート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-チロサート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジチロサート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジチロサート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジチロサート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリチロサートスチルベン
3-ピルバート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ピルバート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ピルバート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジピルバート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジピルバート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジピルバート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリピルバートスチルベン
3-アセトアセテート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アセトアセテート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アセトアセテート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアセトアセテート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアセトアセテート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアセトアセテート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアセトアセテートスチルベン
3-アスコルバート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アスコルバート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アスコルバート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアスコルバート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアスコルバート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアスコルバート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアスコルバートスチルベン
3-ベンゾアート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-ベンゾアート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-ベンゾアート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジベンゾアート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジベンゾアート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジベンゾアート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリベンゾアートスチルベン
3-サリチラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-サリチラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-サリチラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジサリチラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジサリチラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジサリチラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリサリチラートスチルベン
3-フェルラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-フェルラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-フェルラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジフェルラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジフェルラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジフェルラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリフェルラートスチルベン
3-オキサラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-オキサラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-オキサラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジオキサラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジオキサラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジオキサラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリオキサラートスチルベン
3-マロナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-マロナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-マロナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジマロナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジマロナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジマロナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリマロナートスチルベン
3-マラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-マラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-マラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジマラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジマラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジマラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリマラートスチルベン
3-スクシナート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-スクシナート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-スクシナート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジスクシナート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジスクシナート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジスクシナート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリスクシナートスチルベン
3-グルタラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-グルタラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-グルタラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジグルタラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジグルタラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジグルタラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリグルタラートスチルベン
3-グルタラート-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-グルタラート-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-グルタラート-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジグルタラート-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジグルタラート-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジグルタラート-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリグルタラートスチルベン。
【0031】
レスベラトロールのカルボン酸エステルの特に好ましい一群はレスベラトロールの飽和または不飽和脂肪酸エステルであり、例えばレスベラトロールブチラート、レスベラトロールバレラート、レスベラトロールヘキサノアート、レスベラトロールソルバート、レスベラトロールラウラート、レスベラトロールステアラート、レスベラトロールパルミタート、レスベラトロールオレアート、レスベラトロールリノレアート、レスベラトロールリノレナート、レスベラトロールエイコサペンタエノアート、およびレスベラトロールドコサヘキサエノアートである。そのようなレスベラトロールの脂肪酸エステルは、米国特許第6,572,882号(該文献の内容はすべての目的のためにその全体が参照によりここに組み入れられる)に記載のように、アルカリ性水性媒体中でSchotten-Baumann反応にしたがって酸誘導体でレスベラトロールをエステル化することによって容易に形成させることができる。
【0032】
レスベラトロールのカルボン酸エステルの別の特に好ましい群はレスベラトロールの芳香族カルボン酸エステルであり、例えばレスベラトロールフェルラートである。レスベラトロールフェルラートは水性媒体中でレスベラトロールをフェルラ酸と反応させることによって形成させることができる。
【0033】
C. レスベラトロールエーテル誘導体
本発明で使用できるさらに別の群のレスベラトロール誘導体はレスベラトロールエーテルであり、該エーテルでは、X、Y、およびZの1個以上が-R2であり、R2は、直鎖、分岐鎖または環式のC1-C40アルキル、置換C1-C40アルキル、C1-C40アルケニル、置換C1-C40アルケニル、C1-C40アルキニル、置換C1-C40アルキニル、C1-C40アリール、置換C1-C40アリール、および単糖、二糖、オリゴ糖、および多糖からなる群から選択される。本発明の実施に特に好適なレスベラトロールエーテルの例を以下に列挙する:
3-メトキシ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-メトキシ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-メトキシ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジメトキシ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジメトキシ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジメトキシ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリメトキシスチルベン
3-エトキシ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-エトキシ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-エトキシ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジエトキシ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジエトキシ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジエトキシ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリエトキシスチルベン
3-プロピルオキシ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-プロピルオキシ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-プロピルオキシ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジプロピルオキシ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジプロピルオキシ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジプロピルオキシ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリプロピルオキシスチルベン
3-フェニルオキシ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-フェニルオキシ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-フェニルオキシ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジフェニルオキシ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジフェニルオキシ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジフェニルオキシ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリフェニルオキシスチルベン
3-グルコシド-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-グルコシド-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-グルコシド-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジグルコシド-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジグルコシド-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジグルコシド-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリグルコシドスチルベン。
【0034】
本発明の特定の一実施形態では、メトキシ置換レスベラトロール誘導体を使用する。例えば、本発明の組成物は3,5-ジメトキシ-4'-ヒドロキシスチルベンを含んでよい。3,5-ジメトキシ-4'-ヒドロキシスチルベンはIndian Kino Tree(Pterocarpus marsupium)から抽出することができ、St. Louis, MOのSigma-Aldrichから商品名PTEROSTILBENEの下に市販されている。
【0035】
本発明の別の特定の実施形態では、レスベラトロール誘導体は1種以上の糖含有保護基、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ショ糖、ラクトース、マルトース、トレハロース等を含有する。例えば、植物または植物材料、例えばpolygonum cuspidatum組織もしくはvitis vinifera細胞のin vitro培養物から抽出することによって取得できるレスベラトロールグルコシドを本発明の化粧用組成物中で使用する。
【0036】
D. レスベラトロールの窒素含有誘導体
本発明の組成物中で使用されるレスベラトロール誘導体は1個以上の窒素含有官能基を含有してもよく、すなわち上記式中のA、B、およびCの1個以上は、アミド、アミン、イミン、アミジン、およびカルボキサミジン(carboxamidines)からなる群から選択される。本発明の実施に特に好適なレスベラトロールエーテルの例を以下に列挙する:
3-アミド-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アミド-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アミド-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアミド-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアミド-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアミド-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアミドスチルベン
3-アミノ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アミノ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アミノ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアミノ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアミノ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアミノ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアミノスチルベン
3-イミノ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-イミノ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-イミノ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジイミノ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジイミノ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジイミノ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリイミノスチルベン
3-アミジノ-5,4'-ジヒドロキシスチルベン
5-アミジノ-3,4'-ジヒドロキシスチルベン
4'-アミジノ-3,5-ジヒドロキシスチルベン
3,5-ジアミジノ-4'-ヒドロキシスチルベン
3,4'-ジアミジノ-5-ヒドロキシスチルベン
4',5-ジアミジノ-3-ヒドロキシスチルベン
3,5,4'-トリアミジノスチルベン。
【0037】
必須ではないが、好ましくは、本発明のレスベラトロール誘導体は、皮膚の真皮内への、より有効なその送達のために、単独でまたはDNA修復酵素および/もしくは1種以上の追加のスキンケア活性物質と組み合わせてリポソーム中にカプセル化される。レスベラトロール誘導体は、組成物全体の総重量の約0.001%〜約95%、好ましくは約0.005%〜約90%、より好ましくは約0.1%〜約20%の範囲の量で本発明の化粧用組成物中に存在させてよい。
【0038】
III. 追加の成分
本発明の組成物は、ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響の修復に関するレスベラトロールまたはレスベラトロール誘導体およびDNA修復酵素の組み合わせの効力をさらに向上させるか、またはレスベラトロールまたはレスベラトロール誘導体およびDNA修復酵素を含有する組成物の美学的性質(aesthetics)および安定性を向上させて該組成物が化粧的に許容されるようにするための、1種以上の追加の成分を含有してよい。そのような追加の成分には、非限定的に、油、界面活性剤、湿潤剤、植物抽出物、ビタミン、酸化防止剤、日焼け防止剤、保存剤等が含まれる。該組成物は、エマルジョン、ゲル、懸濁液、水性溶液の形態または無水形態であってよい。エマルジョンの形態で存在する場合、該組成物は油中水または水中油エマルジョンの形態であってよい。水の推奨範囲は組成物全体の重量の約0.1〜99%、好ましくは約1〜85%、より好ましくは約5〜80%であり、油の推奨範囲は組成物全体の重量の約1〜85%、好ましくは約3〜80%、より好ましくは約5〜75%である。組成物が無水形態で存在する場合、1種以上の油を含有してもよく、その場合の推奨範囲は組成物全体の重量の約1〜95%である。
【0039】
好適な油には、スキンコンディショニング剤としても知られる物質、例えば不揮発性シリコーン、エステル、パラフィン系炭化水素、植物油、および合成油が含まれる。本明細書中で使用される用語「不揮発性」とは、化合物が20℃で約2 mm未満の水銀の蒸気圧を有することを意味する。好ましくは、スキンコンディショニング剤は、25℃で約5〜10センチストークから25℃で約1,000,000センチポアズまでの粘性を特徴とする。不揮発性シリコーンが特に好ましく、それには、非限定的に、アミン官能性シリコーン、例えばアモジメチコーン、フェニル置換シリコーン、例えばビスフェニルヘキサメチコーン、トリメチルシロキシフェニルジメチコーン、フェニルトリメチコーン、ポリフェニルメチルシロキサン、ジメチコーン、フェニルジメチコーン、ジフェニルジメチコーン、およびC2-30アルキル基で置換されたジメチコーン、例えばセチルジメチコーンが含まれる。好適なエステルには、モノエステル、ジエステル、またはトリエステルが含まれる。モノエステルは、一般式: RCO-R'(式中、RおよびR'はそれぞれ独立してC1-45直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルキルである)である。ジエステルは、C1-45脂肪族または芳香族一価または二価アルコールをC1-45脂肪族または芳香族モノまたはジカルボン酸と反応させることによって形成され、必要に応じて該脂肪族基は直鎖もしくは分岐鎖、または飽和もしくは不飽和である。好適なトリエステルには、少なくとも3つのヒドロキシル基を有するC1-45脂肪族または芳香族アルコールとC1-45カルボン酸、またはC1-45脂肪族または芳香族アルコールとC1-45トリカルボン酸の反応産物が含まれ、該脂肪族鎖は直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である。その例には、カプリル酸およびカプリン酸とグリセリンのエステル、例えばカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド;グリセリンまたはポリグリセリンとステアリン酸のエステル、例えばステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル;リンゴ酸とイソステアリルアルコールのエステル、例えばリンゴ酸ジイソステアリル;カプリル酸カプリン酸ヤシ油アルキル(coco caprylate caprate)等が含まれる。
【0040】
本発明の組成物中で使用することができる湿潤剤には、グリコール、糖等が含まれる。好適なグリコールは単量体またはポリマー形態のグリコールであり、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、例えばPEG 4-200(4〜200個の反復エチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコール);ならびにC1-6アルキレングリコール、例えばプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール等が含まれる。好適な糖(そのうちのいくつかは多価アルコールでもある)も好適な湿潤剤である。そのような糖の例には、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水添ハチミツ(hydrogenated honey)、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、ショ糖、キシリトール、キシロース等が含まれる。好ましくは、本発明の組成物中で使用される湿潤剤はC1-6、好ましくはC2-4アルキレングリコール、最も具体的にはブチレングリコールである。そのような湿潤剤が存在する場合、局所用組成物の総重量の約0.001%〜約25%、好ましくは約0.005%〜約20%、最も好ましくは約0.1%〜約15%の範囲である。
【0041】
本発明の組成物中で使用することができる好適な植物抽出物には、植物(草本、根、花、果実、種子)、例えば花、果実、野菜等からの抽出物、例えば、酵母発酵抽出物、padica pavonica抽出物、thermus thermophilis発酵抽出物、camelina sativa種子油、boswellia serrata抽出物、オリーブ抽出物、aribodopsis thaliana抽出物、acacia dealbata抽出物、acer saccharinum(サトウカエデ)、アシドフォラス(acidopholus)、ショウブ属、トチノキ属、ハラタケ属、リュウゼツラン属、キンミズヒキ属(agrimonia)、藻類、アロエ、柑橘類、アブラナ属、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、セイヨウナシ、レモン、ライム、エンドウマメ、海藻、カフェイン、緑茶、カモミール、ウィローバーク(willowbark)、クワの実、ケシ、およびCTFA Cosmetic Ingredient Handbook, Eighth Edition, Volume 2の1646-1660ページに記載されるものが含まれる。追加の具体例には、非限定的に、Glycyrrhiza Glabra、Salix Nigra、Macrocycstis Pyrifera、Pyrus Malus、Saxifraga Sarmentosa、Vilis Vinifera、Morus Nigra、Scutellaria Baicalensis、Anthemis Nobilis、Salvia Sclarea、Rosmarinus Officianalis、Citrus Medica Limonum、Panax Ginseng、およびその混合物が含まれる。植物抽出物が存在する場合、その量は好ましくは局所用組成物の総重量の約0.0001%〜約10%、好ましくは約0.0005%〜約8%、より好ましくは約0.001%〜約5%の範囲である。
【0042】
本発明の組成物中で使用できる日焼け防止剤には、非限定的に、ベンゾフェノンおよびその誘導体(例えば、ベンゾフェノン-3、ジオキシベンゾン、スルイソベンゾン、オクタベンゾン、ヒドロキシ-および/またはメトキシ-置換ベンゾフェノン、およびベンゾフェノンスルホン酸およびその塩);サリチル酸誘導体(例えば、エチレングリコールサリチラート、トリエタノールアミンサリチラート、オクチルサリチラート、ホモメンチルサリチラート、およびフェニルサリチラート);ウロカニン酸およびその誘導体(例えば、エチルウロカナート);p-アミノ安息香酸(PABA)およびその誘導体(例えば、そのエチル/イソブチル/グリセリルエステルおよび2-エチルヘキシルp-ジメチルアミノベンゾアート(オクチルジメチルPABAとも称される));アントラニラートおよびその誘導体(例えば、o-アミノ-ベンゾアートおよびアミノ安息香酸の種々のエステル);ベンザルマロナート誘導体;ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン;ビス-ベンズアゾリル誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体(例えば、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(一般に「アボベンゾン(avobenzone)」と称される)、および4-イソプロピル-ジベンゾイルメタン);ベンゾオキサゾール、ベンゾジアゾール、ベンゾトリアゾール、およびその誘導体(例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよびメチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(一般に「Tinosorb M」と称される));ジフェニルアクリラートおよびその誘導体(例えば、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート(一般に「オクトクリレン」と称される)、およびエチル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート(一般に「エトクリレン(etocrylene)」と称される));ジフェニルメチレンまたは9H-フルオレン置換基を含有するジエステルまたはポリエステル;2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-スルホン酸(PBSA);4,4-ジアリールブタジエン;シンナマートおよびその誘導体(例えば、2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナマート、オクチル-p-メトキシシンナマート、ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト-ウンベリフェロン、エスクレチン、メチルエスクレチン、およびダフネチン);カンファーおよびその誘導体(例えば、3-ベンジリデンカンファー、4-メチルベンジリデンカンファー、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファースルホン酸、およびテレフタリリデンジカンファースルホン酸);トリアジンおよびその誘導体(例えば、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(一般に「Tinosorb S」と称される));ナフタラートおよびその誘導体(例えば、ジエチルヘキシル-2,6-ナフタラート);ナフトールスルホナートおよびその誘導体(例えば、2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン(benzalacetonephenone);ジフェニルブタジエンおよびその誘導体;ジ-ヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホナート;クマリン誘導体(例えば、その7-ヒドロキシ、7-メチル、および3-フェニル誘導体);アゾール/ジアゾール/トリアゾールおよびその誘導体(例えば、2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、および種々のアリールベンゾトリアゾール);キニーネおよびその誘導体(例えば、その重硫酸塩、硫酸塩、クロライド、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリンおよびその誘導体(例えば、2-フェニルキノリンおよび8-ヒドロキシキノリン塩);タンニン酸およびその誘導体(例えば、そのヘキサエチルエーテル誘導体);ヒドロキノンおよびその誘導体;尿酸およびその誘導体;ビロ尿酸(vilouric acid)およびその誘導体、およびその混合物または組み合わせが含まれる。上記リスト由来の特定の酸性日焼け止めの塩および他の中和された形態もまたここに有用である。特に好ましい本発明の日焼け防止剤は、4,4'-t-ブチルメトキシ-ジベンゾイルメタン、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリラート、2-エチルヘキシルサリチラート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルサリチラート、2-エチルヘキシルp-メトキシシンナマート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4-ビス-{4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、ジエチルヘキシル2,6-ナフタラート、ジガロイルトリオレアート、エチル4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾアート、グリセロールp-アミノベンゾアート、メチルアントラニラート、p-ジメチルアミノ安息香酸またはアミノベンゾアート、2-エチルヘキシルp-ジメチルアミノベンゾアート、2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸、2-(p-ジメチルアミノフェニル)-ベンゾオキサゾールスルホン酸(2-(p-dimethylaminophenyl-sulfoniobenzoxazoic acid)、およびその混合物または組み合わせである。上記日焼け防止剤は、単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。さらに、紫外線吸収能を有する他の公知の動物または植物抽出物を単独または組み合わせで適正に使用してよい。日焼け防止剤が存在する場合、その量は好ましくは局所用組成物の総重量の約0.001%〜約50%、好ましくは約0.01%〜約10%、より好ましくは約1%〜約5%の範囲である。
【0043】
本発明の組成物はビタミンおよび/または酸化防止剤をさらに含有してよい。好適なビタミンには、アスコルビン酸およびその誘導体、例えばアスコルビン酸パルミタート;Bビタミン、例えばチアミン、リボフラビン、ピリドキシン等;ビタミンAおよびそのエステルベースの誘導体、例えばパルミタート、アセテート等、ならびにベータカロテンの形態のビタミンA;ビタミンEおよびその誘導体、例えばビタミンEアセテート、ニコチナート、または他のそのエステル;ビタミンDおよびK;補酵素、例えばチアミンピロリン酸、フラビン・アデニン・ジヌクレオチド、葉酸、ピリドキサールリン酸、テトラヒドロ葉酸等が含まれる。好適な酸化防止剤には、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、塩酸システイン、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール等が含まれる。ビタミンおよび/または酸化防止剤が存在する場合、その量は、それぞれ、局所用組成物の総重量の約0.001%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約8%、より好ましくは約0.05%〜約5%の範囲である。
【0044】
該組成物は、特にエマルジョン形態で存在する場合、1種以上の界面活性剤を含有してもよい。好ましくはそのような界面活性剤は非イオン性であり、シリコーンまたは有機非イオン性界面活性剤の形態であってよい。推奨範囲は、組成物全体の重量の約0.1〜40%、好ましくは約0.5〜35%、より好ましくは約1〜30%である。好適なシリコーン界面活性剤には、両親媒性を有する(例えば親水基および親油基を含有する)ポリオルガノシロキサンポリマーが含まれる。これらのシリコーン界面活性剤は室温で液体または固体であってよい。本発明で使用できるシリコーン界面活性剤の例には、非限定的に、ジメチコーンコポリオール、アルキルジメチコーンコポリオール、および乳化シリコーンエラストマーが含まれる。乳化シリコーンエラストマーは、エラストマーに親水性を付与するようにそれに結合している1つ以上の親水基、例えばヒドロキシル、オキシエチレン等を有するエラストマーである。好適な有機非イオン性界面活性剤には、アルキレンオキシドの反復単位を含有するポリアルキレンオキシドとアルコールを反応させることによって形成されるアルコキシル化アルコールまたはエーテルが含まれる。好ましくは、該アルコールは6〜30炭素原子を有する脂肪族アルコールである。本発明で使用できる有機非イオン性界面活性剤の例には、非限定的に、ポリエチレンオキシドと、対応するステアリル/ベヘニル/セチルアルコールによって形成されるステアレス2-100、ベヘネス5-30、セテアレス2-100、セテス1-45等が含まれる(ここで使用される数値はポリエチレンオキシド中のエチレンオキシドの反復単位の数を指定する)。他のアルコキシル化アルコールには、ポリマーアルキレングリコールとグリセリル脂肪酸の反応によって形成されるエステル、例えばPEGグリセリルオレアート、PEGグリセリルステアラート;またはPEGポリヒドロキシアルカノエート(PEG polyhydroxyalkanotes)、例えばPEGジポリヒドロキシステアラート(反復エチレングリコール単位の数は3〜1000の範囲である)が含まれる。また、非イオン性界面活性剤として好適なものは、カルボン酸をアルキレンオキシドまたはポリマーエーテルと反応させることによって形成される。単量体、ホモポリマー、またはブロックコポリマーのエーテル、アルコキシル化ソルビタン、アルコキシル化ソルビタン誘導体を本発明の非イオン性界面活性剤として使用することもできる。
【0045】
本発明の組成物は、他の成分、例えばポリマー性構造化剤の形態の構造化剤(structuring agents)、例えばアクリルポリマー、ポリアミドまたはポリウレタンを含有してもよい。構造化剤は水または油に可溶性または分散性であってよい。そのような構造化剤は構造を提供するか、または組成物の粘性を増加させる。構造化剤が存在する場合、推奨範囲は、組成物全体の重量の約0.1〜50%、好ましくは約0.5〜40%、より好ましくは約1〜35%である。好適な構造化剤には、天然、合成ワックス、またはミネラルワックス、例えばワセリン(petrolatum)、カンデリラ、オゾケライト、合成ワックス、ポリエチレン等が含まれる。好適なポリマー性構造化剤には、アクリルポリマー、例えばカルボポール(carbopol)またはペムレン(pemulen)(多官能性物質、例えばショ糖またはペンタエリスリトールのアリルエーテルによって架橋されたアクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの単純なエステルのポリマー)、エステルまたはアミドで終結するポリアミド、例えばUniclearまたはSylvaclear商標の下にArizona Chemicalによって販売されているもの、またはポリウレタンの水性分散物または溶液が含まれる。
【0046】
本発明の組成物が着色されている場合、組成物全体の重量の約0.1〜80%、より好ましくは約0.5〜75%、より好ましくは約1〜70%の微粒子を存在させてよい。用語「微粒子」とは、無機または有機色素の形態の色素、例えば酸化鉄(黒色、青色、赤色、黄色)、またはD&CおよびFD&C Lakeを表す。微粒子は、色調をやわらげるため(例えば二酸化チタン)または組成物にかさをもたらすために存在する粒状物質である「粉末」と一般に称される成分を含んでもよい。追加の例には、ナイロン、ポリメチルメタクリラート、シリカ、シリル化シリカ等が含まれる。
【0047】
IV. 化粧用または局所用組成物の形態
上記成分は、好ましくは、クリーム、ジェル、ローション、油、軟膏、粉末、スティック、ケーキ、または局所適用することができる他の形態に製剤化することができる化粧用組成物中に提供される。得られた化粧用または局所用組成物は、液体、固体、半固体、分散物、懸濁液、溶液またはエマルジョンの形態であってよく、水性ベースまたは無水であってよい。本発明の組成物は、色付きの化粧用組成物、例えばファンデーションメイクアップ、マスカラ、リップカラー、ほお紅、アイシャドウ等の形態であってもよい。特に、誘導体のタイプに応じてレスベラトロール誘導体をエマルジョンの水相または油相中に製剤化することが好ましい。例えば、特定の親水性誘導体、例えばレスベラトロール三リン酸、レスベラトロール三スルホン酸等は水溶性であり、一般にエマルジョンの水相中に見出される。特定の他の誘導体は本質的に親油性であり、エマルジョンの油相中に見出される可能性が高い。DNA修復酵素は、好ましくは、エマルジョンの水相中に見出されるか、またはリポソーム内の水相中にカプセル化される。
【0048】
典型的なスキンクリームまたはローションは、約5〜98%の水、1〜85%の油、および約0.1〜20%の1種以上の界面活性剤を含む。
【0049】
典型的な色付きの化粧用組成物、例えばファンデーション、ほお紅、アイシャドウ等は無水または水性形態であってよい。水性ベースである場合、そのような組成物は、好ましくは、色素または、色素および粉末の組み合わせである約0.1〜65%の微粒子に加えて、約5-98%の水、1-85%の油、および場合により約0.1〜20%の1種以上の界面活性剤を含有する。無水の場合、組成物は、約0.1〜95%の油、約0.1〜99%の微粒子、および場合により約0.1〜50%の1種以上の構造化剤を含有してよい。
【0050】
典型的なマスカラ組成物は、概して、皮膜を形成する天然または合成ポリマー、例えばアクリルコポリマーの水性分散物、ポリウレタンの水性分散物、またはシリコーン樹脂に加えて、約5-98%の水、1-85%の油、および約0.1〜20%の界面活性剤を含有する。
【0051】
典型的なリップカラー組成物はスティックまたはグロスの形態であり、概して、約0.1〜95%の油、約0.1〜60%の構造化剤、および約0.1〜50%の微粒子を含む。
【0052】
典型的な化粧水(toner)組成物は、約0.1〜99%の水または他の極性非水溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールを含む。化粧水は、典型的に、コットンパッドまたは他のアプリケータを使用して、皮膚全体を拭いて細片またはよごれを除去する洗浄のために適用される。
【0053】
典型的なスプリッツァー(spritzer)組成物には、皮膚にスプレーされるものが含まれる。好ましくはそのような組成物は約0.1〜99%の水または他の極性非水溶媒を含有する。そのような組成物は、概して、リーブオン型組成物(leave on compositions)として適用される。
【0054】
典型的なジェルは水性ベースであり、約0.1〜95%の水、約0.1〜50%の構造化剤を含有してよい。
【0055】
V. 処置方式およびキット
該組成物が単一の製剤中で皮膚に適用される場合、組成物は上記の任意の形態であってよい。さらに、2種以上の組成物の逐次適用を含む処置方式で皮膚を処置してよい。そのような場合、DNA修復酵素およびレスベラトロールまたはその誘導体を含有する組成物は個別の組成物であり、該組成物は上記形態のいずれかである。そのような場合、上記形態のいずれかである第二の組成物が皮膚に適用され、それは第一の適用組成物の効力、安定性または美的性質を増強する成分を概して含有する。
【0056】
例えば、DNA修復酵素およびレスベラトロールまたはその誘導体を含有する組成物を、まず、化粧水、スプリッツァー、またはクレンジング(cleanser)、美顔マスク(facial treatment mask)等の形態で皮膚に適用してよい。その後、上記成分を含有するスキンクリーム、ローション等をリーブオン型組成物として適用してよい。別の例では、スキンクリームまたはローションで皮膚を処置し、次いで、DNA修復酵素およびレスベラトロールまたはその誘導体を含有する組成物で皮膚を処置する。スキンクリームまたはローションをまず適用し、次いでレスベラトロールまたはその誘導体およびDNA修復酵素を含有するファンデーションメイクアップ組成物を適用してよい。さらに別の例では、美顔マスクで皮膚を処置し、次いでレスベラトロールまたはその誘導体およびDNA修復酵素を含有するスキンクリームまたはローションを適用してよい。
【0057】
本発明はまた、レスベラトロールまたはその誘導体およびDNA修復酵素を含む組成物を含有する少なくとも1つの容器および他の適用組成物の有効性を増強する成分を含有するスキンクリームまたはローションを含有する第二の容器を含有する皮膚処置キットを含む。
【0058】
さらに別の実施形態では、レスベラトロールまたはレスベラトロール誘導体は一組成物中に見出され、DNA修復酵素は別の組成物中に見出され、該組成物は上述のいずれか1つまたはそれ以上の形態であり、かつ該組成物は逐次適用される。
【0059】
VI. 適用方法
本発明の適用方法は組成物の最終的な使用目的に依存する。化粧用または局所用組成物は、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響に特に感受性の領域、例えば顔、首、および手に局所適用するか、またはユーザーの全身に適用することができる。本発明の化粧用または局所用組成物は、必要に応じて、またはあらかじめ決められた計画にしたがって皮膚に適用してよい。本発明の局所用または化粧用組成物は、任意の保湿剤、ファンデーション、メイクアップ等の適用前に清潔な皮膚に直接適用してよい。あるいは、そのような組成物を保湿剤の上に、かつ場合によりファンデーションおよび/またはメイクアップの上に適用することができる。各回の適用量、適用領域、適用期間、および適用頻度は、ユーザーの具体的必要性に応じて広く変化しうる。例えば、化粧用または局所用組成物は、数日〜数か月の期間または数年もの期間でかつ週に約1回〜1日に約5回の範囲の頻度で適用することができる。別の例では、約6か月の期間でかつ週に約3回〜1日に約3回、および好ましくは1日に約1回または2回の範囲の頻度で組成物を適用することができる。一実施形態では、永続的なスキンケア計画の一部として睡眠前に毎日、本発明の組成物を適用する。具体的には、洗顔し、就寝直前に皮膚に組成物を適用する。
【0060】
上記のように、個体が休息中であると、該個体の皮膚は、回復を支援しかつその外観に活力を与える活性成分に対してより受容性であり、皮膚細胞における天然の修復応答はそのような休息中に最も効果的に促進または増強されると考えられる。したがって、身体の休息期間の前に本発明の化粧用または局所用組成物を皮膚に適用することが特に望ましい。例えば、化粧用または局所用組成物を、例えば約4〜約10時間継続しうる夜の睡眠の約1〜60分前に適用することができる。あるいは、例えば約15分〜約4時間継続しうる仮眠または瞑想(meditation)の少し前に化粧用または局所用組成物を適用することができる。
【0061】
本発明の特定の一実施形態では、本発明の化粧用または局所用組成物は、睡眠前にすすいで落とすことなく個体の顔に適用できる夜用クリームまたは夜用リペアセラム(night repair serum)として製剤化することができる。本発明の別の特定の実施形態では、オーバーナイトのパック(facial mask)として本発明の化粧用または局所用組成物を製剤化する。該パックは、睡眠前に顔に適用し、一晩付けたままにし、翌朝、すすぎ落とすことができる。本発明の化粧用または局所用組成物は、定期的なパックまたはピール(peel)として製剤化することもできる。該パックまたはピールは、個体の顔に比較的短期間、例えば約3分〜約1時間適用し、その間(例えば、アロマセラピーまたはマッサージと組み合わせたスパセッションの期間)、個体は仮眠または瞑想しておき、次いでそのような期間の終了時にすすぎ落とすか、または除去することができる。
【0062】
以下の実施例とともに本発明をさらに説明する。該実施例は説明のためだけに記載されるものである。
【実施例】
【0063】
実施例1. UVBによって誘発される毒性からの細胞の保護におけるOGG1酵素およびレスベラトロールの相乗効果の実証
この試験では、ヒトケラチノサイト細胞をUVBに曝露し、その後、ROXISOMES(商標)(AGI Dermatics製のリポソームカプセル化OGG1酵素)のみ、レスベラトロールのみ、またはROXISOMES(商標)およびレスベラトロールの組み合わせで処理した。ケラチノサイト生存率を比較して、ケラチノサイト生存性に対する異なる処理の効果を観察した。
【0064】
具体的には、ヒトケラチノサイト成長補助物質(Human Keratinocyte Growth Supplement)を含むEpilife培地で正常なヒトケラチノサイトを培養した。該細胞を96ウェルプレートに継代培養した。第一セットのプレートを、それぞれ、0(コントロールまたは基本測定値として使用した)、1、5、および25μMの試験濃度のレスベラトロールで一晩処理した。第二セットのプレートを、それぞれ、0%(コントロールまたは基本測定値として使用した)、0.04%、0.2%、および1%のROXISOMES(商標)で処理した。第三セットのプレートを、それぞれ、0%/0μM(コントロールまたは基本測定値として使用した)、0.04%/1μM、0.2%/5μM、および1%/25μMのレスベラトロールおよびROXISOMES(商標)の組み合わせで処理した。ケラチノサイトを0、20、40、60、80、または100 mJ/cm2の線量のUVB照射に(PBSバッファー中で)付した。PBSバッファーの吸引後、細胞を同濃度の活性物質で後処理した。MTS試薬(CellTiter96, Promega製)を利用して細胞の生存性をアッセイした。37℃/5%CO2で約2時間インキュベートした後、490nmの吸光度を読み取った。
【0065】
以下の表は、同一線量のUVB照射条件下でいずれの活性物質でも処理されなかったコントロールプレート中の細胞の生存率に対する、中および高濃度の活性物質で処理された細胞の生存率の増加の割合を示す。
【0066】
表1
【表1】

【0067】
表2
【表2】

【0068】
上の表は、UVB照射の強度が十分に高レベル、例えば60 mJ/cm2以上に達すると、レスベラトロールおよびOGG1酵素の組み合わせで処理された細胞が、コントロール細胞に対して、生存率の相乗的増加を達成すること、すなわち、組み合わせについての増加が、レスベラトロールおよびOGG1酵素によって個別に達成される増加の和より大きいことを示す。
【0069】
UVB照射の強度が比較的低い場合、細胞生存率が種々の要因によって影響され、UVB照射によって引き起こされるDNA損傷が他の要因と比べて細胞生存率に対して相対的に小さい影響しか有さないことに留意することが重要である。したがって、改良されたDNA修復プロセスによって提供される保護は細胞生存率に対して小さい影響しか示さない。しかし、UVB照射の強度が十分に高レベルに達すると、UVB照射に起因するDNA損傷は細胞死の主因になり、他の要因と比べて細胞生存率に対して相対的に大きい影響を有し、したがって、改良されたDNA修復プロセスは細胞生存率に対して、高いUVB強度であるほど重大な影響を示す。
【0070】
実施例2. UVBによって誘発される毒性からの細胞の保護におけるT4N5酵素およびレスベラトロールの相乗効果の実証
この試験では、ヒトケラチノサイト細胞をUVBに曝露し、その後、T4エンドヌクレアーゼV(T4N5)酵素のみ、レスベラトロールのみ、またはT4N5酵素およびレスベラトロールの組み合わせで処理した。次に、ケラチノサイト生存率を比較して、ケラチノサイト生存性に対する異なる処理の効果を観察した。
【0071】
具体的には、ヒトケラチノサイト成長補助物質を含むEpilife培地で正常なヒトケラチノサイトを培養した。該細胞を96ウェルプレートに継代培養した。第一セットのプレートを、それぞれ、0(コントロールまたは基本測定値として使用した)、1、5、および25μMの試験濃度のレスベラトロールで処理した。第二セットのプレートを、それぞれ、0%(コントロールまたは基本測定値として使用した)、0.04%、0.2%、および1%のT4N5酵素で処理した。第三セットのプレートを、それぞれ、0%/0μM、0.04%/1μM、0.2%/5μM、および1%/25μMのレスベラトロールおよびT4N5酵素の組み合わせで処理した。ケラチノサイトを0、20、40、60、80、または100 mJ/cm2の線量のUVB照射に(PBSバッファー中で)付した。PBSバッファーの吸引後、細胞を同濃度の活性物質で後処理した。MTS試薬(CellTiter96, Promega製)を利用して細胞の生存性をアッセイした。37℃/5%CO2で約2時間インキュベートした後、SpectraMax分光光度計(Molecular Devices製)で490nmの吸光度を読み取った。
【0072】
以下の表は、いずれの活性物質でも処理されなかったコントロールプレート中の細胞の生存率に対する、中および高濃度の活性物質で処理された細胞の生存率の増加の割合を示す。
【0073】
表3
【表3】

【0074】
表4
【表4】

【0075】
上の表は、高いUVB強度、例えば60、80、または100 mJ/cm2では、レスベラトロールおよびT4N5酵素の組み合わせで処理された細胞が、コントロール細胞に対して、生存率の相乗的増加を達成すること、すなわち、組み合わせについての増加が、レスベラトロールおよびT4N5酵素によって個別に達成される増加の和より大きいことを示す。
【0076】
実施例3. UVBによって誘発される毒性からの細胞の保護におけるT4N5酵素およびレスベラトロール三リン酸の相乗効果の実証
この試験では、ヒトケラチノサイト細胞をUVBに曝露し、その後、T4エンドヌクレアーゼV(T4N5)酵素のみ、レスベラトロール三リン酸のみ、またはT4N5酵素およびレスベラトロール三リン酸の組み合わせで処理した。ケラチノサイト生存率を比較して、ケラチノサイト生存性に対する異なる処理の効果を観察した。
【0077】
具体的には、ヒトケラチノサイト成長補助物質を含むEpilife培地で正常なヒトケラチノサイトを培養した。該細胞を96ウェルプレートに継代培養した。第一セットのプレートを、それぞれ、0(コントロールまたは基本測定値として使用した)、1、5、および25μMの試験濃度のレスベラトロール三リン酸で処理した。第二セットのプレートを、それぞれ、0%(コントロールまたは基本測定値として使用した)、0.04%、0.2%、および1%のT4N5酵素で処理した。第三セットのプレートを、それぞれ、0%/0μM、0.04%/1μM、0.2%/5μM、および1%/25μMのレスベラトロール三リン酸およびT4N5酵素の組み合わせで処理した。ケラチノサイトを0、40、80、120、160、または200 mJ/cm2の線量のUVB照射に(PBSバッファー中で)付した。PBSバッファーの吸引後、細胞を同濃度の活性物質で後処理した。MTS試薬(CellTiter96, Promega製)を利用して細胞の生存性をアッセイした。37℃/5%CO2で約2時間インキュベートした後、SpectraMax分光光度計(Molecular Devices製)で490nmの吸光度を読み取った。
【0078】
以下の表は、いずれの活性物質でも処理されなかったコントロールプレート中の細胞の生存率に対する、中および高濃度の活性物質で処理された細胞の生存率の増加の割合を示す。
【0079】
表5
【表5】

【0080】
表6
【表6】

【0081】
上の表は、高いUVB強度、例えば160および200 mJ/cm2では、レスベラトロール三リン酸およびT4N5酵素の組み合わせで処理された細胞が、コントロール細胞に対して、生存率の相乗的増加を達成すること、すなわち、組み合わせについての増加が、レスベラトロール三リン酸およびT4N5酵素によって個別に達成される増加の和より大きいことを示す。
【0082】
実施例4. 製剤例
製剤1
【表7】

【0083】
製剤2
【表8】


【0084】
製剤3
【表9】

【0085】
以上、本発明のいくつかの説明のための実施形態を記載してきたが、そのような説明のための実施形態はいかなる意味においても本発明の広い範囲を限定すると解釈されるべきではない。上記実施形態およびその成分の種々の改変および等価物は当業者に自明である。いくつかの改変および等価物は当業者に容易に認識され、他の改変および等価物は日常的な実験しか必要としない。したがって、そのような改変および等価物が本発明の精神および範囲に含まれることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するための方法であって、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含む局所用組成物を身体の休息期間の前に皮膚に適用するステップを含む、上記方法。
【請求項2】
身体の休息期間が夜の睡眠である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
夜の睡眠が約4〜約10時間である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
夜の睡眠の約1〜約60分前に局所用組成物を適用する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
局所用組成物が夜用クリーム、夜用リペアセラム、またはオーバーナイトパックである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
身体の休息期間が仮眠または瞑想である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1種のDNA修復酵素が、8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼ、ウラシル-および-ヒポキサンチン-DNA-グリコシラーゼ、損傷塩基グリコシラーゼ、3-メチルアデニン-DNA-グリコシラーゼ、ピリミジン二量体特異的グリコシラーゼ、ピリミジングリコシラーゼ/脱塩基部位リアーゼ、N-グリコシラーゼ/脱ピリミジン部位リアーゼ、N-グリコシラーゼ/脱プリン-脱ピリミジン部位リアーゼ、フォトリアーゼ、O6-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ、T4エンドヌクレアーゼV、ピリミジン二量体特異的エンドヌクレアーゼ、脱ピリミジン/脱プリン部位-エンドヌクレアーゼ、UV損傷エンドヌクレアーゼ、コルエンドヌクレアーゼ、およびDNA-エキソヌクレアーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
レスベラトロール誘導体が無機酸のレスベラトロールエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
レスベラトロールエステルがレスベラトロールリン酸からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
レスベラトロール誘導体がC1-40カルボン酸のレスベラトロールエステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レスベラトロールエステルが、レスベラトロールブチラート、レスベラトロールバレラート、レスベラトロールヘキサノアート、レスベラトロールソルバート、レスベラトロールラウラート、レスベラトロールステアラート、レスベラトロールパルミタート、レスベラトロールオレアート、レスベラトロールリノレアート、レスベラトロールリノレナート、レスベラトロールエイコサペンタエノアート、およびレスベラトロールドコサヘキサエノアートからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
DNA修復酵素またはレスベラトロールもしくはその誘導体、または両者が脂質小胞によってカプセル化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を受けた皮膚を処置するための方法であって、少なくとも2種の異なる組成物で、任意の順序で、皮膚を逐次処置するステップを含み、第一の組成物はレスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含み、第二の組成物は、両組成物が皮膚に適用された場合に第一の組成物の効力を向上させる少なくとも1種の活性成分を含む、上記方法。
【請求項14】
ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するためのスキンケアキットであって、レスベラトロールまたはその誘導体および少なくとも1種のDNA修復酵素を含む第一の組成物を含有する第一の容器、および少なくとも1種の活性成分を含む第二の組成物を含有する第二の容器を含み、その活性成分は両組成物が皮膚に適用された場合に第一の容器中の第一の組成物の効力を向上させる成分である、上記スキンケアキット。
【請求項15】
ヒト皮膚に対する、環境、日々のストレス、日光曝露、または早期老化の悪影響を修復するための局所用組成物であって、製薬的または化粧的に許容されるビヒクル中にレスベラトロールまたはその誘導体および8-オキソグアニンDNAグリコシラーゼを含む、上記局所用組成物。
【請求項16】
レスベラトロール誘導体が無機酸のレスベラトロールエステルである、請求項15に記載の局所用組成物。
【請求項17】
レスベラトロールエステルがレスベラトロールリン酸からなる群から選択される、請求項16に記載の局所用組成物。
【請求項18】
レスベラトロール誘導体がC1-40カルボン酸のレスベラトロールエステルである、請求項15に記載の局所用組成物。
【請求項19】
レスベラトロールエステルが、レスベラトロールブチラート、レスベラトロールバレラート、レスベラトロールヘキサノアート、レスベラトロールソルバート、レスベラトロールラウラート、レスベラトロールステアラート、レスベラトロールパルミタート、レスベラトロールオレアート、レスベラトロールリノレアート、レスベラトロールリノレナート、レスベラトロールエイコサペンタエノアート、およびレスベラトロールドコサヘキサエノアートからなる群から選択される、請求項18に記載の局所用組成物。
【請求項20】
DNA修復酵素またはレスベラトロールもしくはその誘導体、または両者が脂質小胞によってカプセル化されている、請求項15に記載の局所用組成物。

【公表番号】特表2010−536764(P2010−536764A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521072(P2010−521072)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/071061
【国際公開番号】WO2009/023416
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】