説明

ヒト糖タンパク質ホルモンのスーパーアゴニストおよびその使用

本発明は、野生型ホルモンと比べ増大した活性を有する修飾糖タンパク質ホルモンを使用するイメージング、標的療法および検出および診断の改善された方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングする方法、および修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質ホルモン受容体への結合を妨げる被分析物をアッセイする方法を提供する。本発明は、それを必要とする対象における、修飾糖タンパク質ホルモンに結合した薬剤の標的送達の方法をも提供する。
【背景技術】
【0002】
2.背景
甲状腺刺激ホルモン(チロトロピン、TSH)、絨毛性ゴナドトロピン(CG)、黄体形成ホルモン(ルトロピン、LH)、および卵胞刺激ホルモン(フォリトロピン、FSH)は、糖タンパク質ホルモンのファミリーを含む。各ホルモンは、2つの非共有結合サブユニット、すなわちαおよびβのヘテロ二量体である。同じ種内では、α−サブユニットのアミノ酸配列はすべてのホルモンにおいて同一であるが、β−サブユニットの配列はホルモン特異的である。(ピアス(Pierce)とパーソンズ(Parsons)、Ann.Rev.Biochem.1981年、50:465−495頁)。
【0003】
これらのホルモンは最初、下垂体前葉(TSH、LH、およびFSH)および胎盤(CG)から精製され、それぞれ、甲状腺(TSH受容体)および生殖腺(LHおよびFSH受容体)における特異的なGタンパク質結合受容体を活性化することが証明された。(グリープ(Greep)ら、Anat.Rec.1936年、65:261−71頁、シンプソン(Simpson)ら、Anat.Rec.1950年、106:247−48頁、ピアス(Pierce)ら、Recent Prog.Horm.Res.1971年、27:165−212頁、およびシュプニック(Shupnik)ら、Endocr. Rev.1989年、10:459−75頁)。これら3つの下垂体由来糖タンパク質ホルモンは、典型的な下垂体末梢標的フィードバック系の基礎を形成し、甲状腺および生殖腺組織の発達および分化に重要である。(ウィートマン(Weetman)、N.Engl.J.Med.2000年、343:1236−48頁、およびパシュケ(Paschke)とルードゲート(Ludgate)、N.Engl.J.Med.1997年、337:1675−81頁)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の癌、自己免疫疾患、または不妊疾患においては、糖タンパク質受容体が、おそらく遺伝子過剰発現により正常な量よりも多く存在する。例えば、マイヤー(Meier)ら、J.Clin.Endocrinol.Metabol.1994年、78:188−196頁、およびヤマモト(Yamamoto)ら、Hepatology 2003年、37:528−33頁を参照。現在、かかる疾患の検出または診断には、イメージングまたは望まれるほど特異的でなく、もしくは感度が高くないin vitroアッセイがよく用いられる。糖タンパク質ホルモン受容体の産生または発現と関係した疾患をイメージング、検出、診断、およびアッセイするためのより感度が高く特異的な方法が必要とあされている。例えば、カステラーニ(Castellani)ら、Tumori 2003年、89(5):560−2頁、およびメンデツ(Mendez)ら、Cancer 2004年、100(4):710−4頁、およびカーン(Kahn)ら、Chest 2004年、125(2):494−501頁を参照。
【0005】
また、糖タンパク質受容体および糖タンパク質ホルモンと関係した疾患に対する自己抗体産生を含む疾患の治療は、所望の組織を標的とすることがない。むしろ、これらの治療は、しばしば望ましくない副作用を引き起こす。例えばヨード131による甲状腺癌の治療は、造血系機能低下、甲状腺クリーゼ、胸痛、頻脈、発疹、蕁麻疹、嚥下障害、および脱毛症と関係がある。Drug Facts and Comparisons、毎月更新、(2004年3月)、ウォルターズ・クルワー社(Wolters Kluwer Company)、St.Louis(ミズーリ州)を参照。これらの疾患を治療するためのより有効な方法および治療薬の標的送達が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3.発明の概要
本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングし、検出する方法、および修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体への結合を妨げる被分析物をアッセイする方法を提供する。本発明は、それを必要とする対象において、修飾糖タンパク質ホルモンに結合した薬剤を標的に送達する方法をも提供する。
【0007】
本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングする方法を提供し、前記方法は対象に修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質ホルモンを投与する工程と、前記修飾糖タンパク質ホルモンを検出工程とを含む。
【0008】
一部の実施形態においては、この方法は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞のイメージングを提供するが、それらの細胞は癌細胞または自己免疫疾患を示す細胞である。一部の実施形態においては、イメージングの方法は、前記対象における前記修飾糖タンパク質ホルモンの増大したレベルを検出する工程が、癌細胞または自己免疫疾患の存在を示す。本発明の一部の実施形態においては、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングする方法は、修飾糖タンパク質ホルモンが標識されている。一部の実施形態においては、この方法は、対象における標識化修飾糖タンパク質ホルモンの量を検出する工程が癌細胞または自己免疫疾患の存在を示す。
【0009】
本発明は、それを必要とする対象において、糖タンパク質受容体を発現する細胞に薬剤を送達する方法をも提供し、当該方法は、野生型糖タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質ホルモンと結合した薬剤を前記対象に投与する工程を含む。この方法は、薬剤の標的送達の方法とも呼ばれる。
【0010】
本発明は、生体試料において、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体への結合を妨げる被分析物を検出する方法をも提供し、前記方法は(i)前記試料を、修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質と接触させる工程と、(ii)シグナルを検出する工程であって、検出される前記シグナルの存在または量が、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体との結合を妨げる被分析物の存在または非存在を示す工程と、を含む。1つの実施形態において、この方法は、検出されるシグナルが、生体試料における糖タンパク質受容体と結合した修飾糖タンパク質ホルモンの存在または量である。一部の実施形態において、この方法は、例えば、cAMPまたはステロイド(例えば、プロゲステロン)の存在または量など二次シグナルの検出を提供する。
【0011】
一部の実施形態においては、この方法は被分析物の検出を提供し、ここで被分析物は糖タンパク質受容体またはその断片に対する抗体である。一部の実施形態においては、この方法は、とりわけ、糖タンパク質ホルモン受容体細胞外ドメインまたはその断片に対する抗体の検出を提供する。一部の実施形態においては、この方法は、被分析物の検出を提供し、ここで被分析物は野生型糖タンパク質ホルモンである。一部の実施形態においては、この方法は、糖タンパク質受容体がTSH、FSH、LH、CGの受容体、またはそれらの組合せでありうることを提供する。
【0012】
本発明の方法は修飾糖タンパク質ホルモンの使用を含む。一部の実施形態においては、この方法は、修飾糖タンパク質ホルモンが、本明細書に記載されているように、修飾甲状腺刺激ホルモン(TSH)、修飾卵胞刺激ホルモン(FSH)、修飾黄体形成ホルモン(LH)、または修飾絨毛性ゴナドトロピン(CG)でありうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の方法において有用な修飾糖タンパク質ホルモンは、野生型糖タンパク質ホルモンに比較して増大した活性を有する。野生型糖タンパク質ホルモンと比べた修飾糖タンパク質ホルモンの相対活性(例えば、有効性)は、少なくとも約3倍ないし少なくとも約6倍高い。また、修飾糖タンパク質ホルモンは糖タンパク質受容体に対する高親和性を有する。修飾糖タンパク質ホルモンのこれらの特質は、糖タンパク質ホルモン関連性疾患に関与する細胞をイメージングし、検出し、かつアッセイする改善された方法、および糖タンパク質ホルモン関連性疾患に関与する細胞に薬剤を送達する方法を提供する本発明において有効に使用されうる。
【0014】
本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングし、検出する方法、および修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体への結合を妨げる被分析物をアッセイする方法を提供する。本発明は、それを必要とする対象において、修飾糖タンパク質ホルモンに結合した治療薬を標的に送達する方法をも提供する。
【0015】
A.イメージングの方法
1つの実施形態において、本発明は、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングする方法を提供し、該方法は対象に修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質を投与する工程と、前記修飾糖タンパク質ホルモンを検出する工程とを含む。ホルモンをイメージングし、検出する方法は、当業者に周知の方法でありうる。一般に使用されるイメージング方法としては、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、ポジトロン放出断層撮影法(PET)、マンモグラフィー、および超音波が挙げられる。
【0016】
基本的放射線技術を使用する対象をイメージングする方法は記載されており、例えば、「Textbook of Radiology and Imaging」、サットン(Sutton)とリビングストーン(Livingstone)、第7版、(2巻セット)チャーチル・リビングストーン(Churchill Livingstone)(エルセビア・サイエンス(Elsevier Sciences))ロンドン、2002年、「A Concise Textbook of Radiology」、アームストロング(Armstrong)とワスタイ(Wastie)(編)アーノルド・パブリッシング(Arnold Publishing)(ザ・トムソン・コーポレーション(The Thomson Corporation))、Scarborough、オンタリオ州(Ontario)、カナダ、2001年、「Walter & Miller’s Textbook of Radiotherapy」、ボンフォード(Bomford)とクヌックラー(Knuckler)、第6版、チャーチル・リビングストーン(Churchill Livingstone)(エルセビア・サイエンス(Elsevier Sciences))、ロンドン、2001年であり、これらは参照によりその全体が本明細書で援用される。また、参照によりその全体が本明細書で援用される、ボトムリー(Bottomley)、Comput.Radiol.1984年、8(2)55−57頁、ディクソン(Dixon)、Radiology 1984年、153(1):189−94頁、ダレイ(Daley)とコーエン(Cohen)、Cancer Res.1989年、49(4):770−9頁、エリス(Ellis)ら、Clin.Radiol.2001年、56(9):691−9頁、パウシュター(Paushter)ら、Med.Clin.North Am.1984年、68(6):1393−421頁、ブレッチャー(Blecher)、Aust.Fam.Physician 1983年、12(6):449−50頁、452頁、ブラッグ(Bragg)、Cancer 1977年、40(1補遺):500−8頁、モズリー(Moseley)、Br.Med.J.(Clin.Res.編)、1982年、284(6323):1141−4頁、レントル(Lentle)とアルドリッチ(Aldrich)、Lancet、1997年、350(9073):280−5頁、ウェーバー(Weber)ら、Strahlenther Onkol.1999年、75(8):356−73頁、ハンビッジ(Hanbidge)、Can.J.Gastroenterol.2002年、16(2):101−5頁、マイルス(Miles)、Eur.Radiol.2003年、補遺5:M134−8頁、Prigent−Le Jeuneら、Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging、2004年、2月19日[プリントに先立ち電子出版]、デ・シモン(DeSimon)ら、Gynecol.Oncol.2003年、89(3):543−8頁、ゴールデンベルク(Goldenberg)ら、J.Clin.Oncol.1987年、5(11):1827−35頁も参照。
【0017】
イメージングまたは検出の適切な手段が、とりわけ、対象の疾患または疑わしい疾患の性質、イメージングすべき組織、および機能的(生理学的)または構造的(解剖学的)イメージが望ましいかどうかによって使用されうる。一部の実施形態において、とりわけ、イメージングの方法は、対象における標識化修飾糖タンパク質ホルモンの量の検出、または対象における修飾糖タンパク質ホルモンの増大したレベルの検出が、例えば、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍からなる群から選択される癌細胞または自己免疫疾患の存在を示す。
【0018】
イメージング方法は、対象の構造すなわち解剖学的構造に関する情報を提供するもの、または対象の機能すなわち生理機能を提供するものとして大ざっぱに分類される。構造的イメージングは、例えば、一部の要素の異常な形成または破壊がある場合は、測定する骨または組織構成要素の形状を提供する。腫瘍または癌細胞の存在は、構造的変化として出現しうる。新しいタイプの構造的イメージングは、進行中の損傷または異常な生化学的過程(例えば、癌細胞の存在または成長)があるかを判定するために組織の異なる部分の化学的組成を提供する。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、ボニルハ(Bonilha)ら、Med.Sci.Monit.2004年、10(3):RA40−6頁、電子出版、2004年3月1日、ボールマイアー(Ballmaier)ら、Psychiatry Res.2004年、15、130(1):43−55頁、ボールマイアー(Ballmaier)ら、Biol.Psychiatry、2004年、55(4):382−9頁、チャー(Cha)、Magn.Reson.Imaging Clin.N.Am.2003年、11(3):403−13頁、およびコッペルマン(Kopelman)ら、Hippocampus、2003年、13(8):879−91頁を参照。
【0019】
機能的イメージングは、特定の組織または臓器が特定の機能的タスクを実行しているか確認しようとする比較的新しい技法である。この技法は、例えば、血流および血流の変化と関連した活動(すなわち、新生物の存在または成長)を含む多くの生理的過程、および化学療法に対する反応のモニタリングを生かすことができる。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、タケウチ(Takeuchi)ら、J.Med.Invest.2004年、51(1−2):59−62頁、オオツカ(Otsuka)ら、J.Med.Invest.2004年、51(1−2):14−9頁、マルチンシッチ(Martincich)ら、Breast Cancer Res.Treat.2004年、83(1):67−76頁、コーエン(Cohen)とゴーズビー(Goadsby)、Curr.Neurol.Neurosci.Rep.2004年、4(2):105−10頁、およびルイス(Lewis)ら、Eur.J.Neurosci.2004年、19(3):755−60頁を参照。
【0020】
理論によって拘束されることなく、とりわけ対象の特定のサブグループが本発明の方法から恩恵を受けることが期待される。これらの対象は、糖タンパク質ホルモン結合および/または糖タンパク質ホルモン受容体発現を減少させる受容体における変異により糖タンパク質ホルモン受容体結合が減少した対象である。本明細書に記載された修飾糖タンパク質など高親和性糖タンパク質類似体は、少なくとも部分的に、かかる対象のサブグループにおけるイメージングおよび薬剤の標的送達の制限を克服することが期待される。
【0021】
一部の実施形態においては、対象は哺乳類である。好ましい実施形態においては、対象はヒトである。
【0022】
一般に、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)、X線、コンピュータ断層撮影法(CT)、マンモグラフィー、および超音波などの放射線法は、対象に関する構造的すなわち解剖学的情報を提供する。例えば、核医学、放射性核種イメージングおよびポジトロン放出断層撮影法(PET)などの放射線法は、対象に関する機能的すなわち生理学的情報を提供する。構造的および機能的イメージングはいずれも本発明の範囲内である。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、イメージング法は、修飾糖タンパク質ホルモンが標識されている(すなわち、造影剤が使用される)。任意の標識または造影剤が使用されうる。参照によりその全体が本明細書で援用される、ミナト(Minato)ら、J.Comput.Assist.Tomogr.2004年、28(1):46−51頁、アントッホ(Antoch)ら、JAMA 2003年、290(24):3199−206頁、ブリンカー(Brinker)、Rev.Cardiovasc.Med.2003年、4補遺5:S19−27頁、エル・ディアスティ(el−Diasty)ら、J.Urol.2004年、171(1):31−4頁、ウィリアムズ(Williams)ら、Int.J.Oral Maxillofac.Surg.2003年、32(6):651−2頁、フォレン(Follen)ら、Cancer 2003年、98(9補遺):2028−38頁、ベーレンブルッフ(Behrenbruch)ら、Med.Image Anal.2003年、7(3):311−40頁、クノップ(Knopp)ら、Mol.Cancer Ther.2003年、2(4):419−26頁を参照。標識は当業者に周知の標識でありうる。1つの実施形態において、標識は放射線不透過性標識、放射性標識、蛍光標識、または常磁性標識でありうる。放射線不透過性標識は、X線または他の放射線(例えば、MRI)に対して透過性ではないものであり、通常、浸透圧(高低)、構造(単量体または二量体環構造)およびイオン傾向(非イオンまたはイオン)によってグループ化される。
【0024】
X線造影剤は一般にX線を吸収する染料であり、それらを含有する臓器を周囲組織に対比して可視化する。高浸透圧造影剤は、1200〜2400mOsm/kg水の溶液中浸透圧を有し、かつイオン単量体である。低浸透圧造影剤は、イオン二量体(すなわち、イオキサグレート)、非イオン単量体、または非イオン二量体として分類される。低毒性のため、非イオン単量体はより好ましい造影剤になっている。非イオン二量体は依然として主に開発段階にあるが、血漿のそれに近い粘度のため臨床的使用が限られている。低浸透圧造影剤の浸透圧は、約290〜860mOsm/kg水である。造影剤の最も重要な特徴はヨード含量である。ヨードの比較的高い原子量は、周囲組織とのX線対比の十分な放射線濃度に寄与する。参照によりその全体が本明細書で援用される、Drug Facts and Comparisons、毎月更新、(2004年3月)、ウォルターズ・クルワー社(Wolters Kluwer Company)、St.Louis(ミズーリ州)を参照。
【0025】
【表1】

【0026】
1つの実施形態において、放射線不透過性標識はイオンまたは非イオン性剤である。多くのイオンまたは非イオン性剤が入手可能であり、本発明の方法において使用されうる。例えば、イオン性剤は、ジアトリゾエートメグルミン(diaztrizoate meglumine)30%、ジアトリゾエートメグルミン60%、ジアトリゾエートメグルミン66%およびジアトリゾエートナトリウム(diaztrizoate sodium)10%、ジアトリゾエートナトリウム50%、イオタラメートメグルミン30%、イオタラメートメグルミン43%、イオタラメートメグルミン60%、イオキサグレートメグルミン39.3%、イオタラメートナトリウム19.6%、またはそれらの組合せでありうる。1つの実施形態において、非イオン性剤は、例えば、ガドジアミド、ガドテリドール、ガドベルセタミド、イオジキサノール270、イオジキサノール320、イオヘキソール140、イオヘキソール180、イオヘキソール240、イオヘキソール300、イオヘキソール350、イオパミドール41%、イオパミドール51%、イオパミドール61%、イオパミドール76%、イオプロミド150、イオプロミド240、イオプロミド300、イオプロミド370、イオベルソール34%、イオベルソール51%、イオベルソール64%、イオベルソール68%、イオベルソール74%、またはそれらの組合せでありうる。
【0027】
磁気共鳴イメージングの造影剤は、縦すなわちスピン−格子(T)時間または横すなわちスピン−スピン緩和時間(T)に影響を及ぼす常磁性薬剤である。常磁性薬剤は一般に、造影剤を保持する組織中のTまたはT値を減少させることによって作用し、シグナル強度を増強する。参照によりその全体が本明細書で援用される、Drug Facts and Comparisons、毎月更新、(2004年3月)、ウォルターズ・クルワー社(Wolters Kluwer Company)、St.Louis(ミズーリ州)、およびPhysicians’ Desk Reference Medical Economics Data、Montvale、N.J.1993年を参照。T時間またはT時間に影響を及ぼす薬剤が本発明の方法において使用されうる。1つの実施形態において、本発明の方法において使用される常磁性標識は、例えば、フェルモキシド(ferumoxides)(FERIDEX I.V.(登録商標)Berlex)、ガドペンテト酸ジメグルミン(MAGNEVIST、(登録商標)Berlex)、マンガフォジピルトリドシウム(mangafodipir tridosium)(TESLASCAN(登録商標)、Nycomed)、またはそれらの組合せでありうる。
【0028】
核医学は、単独、または、しばしば体内の生理的変化を試験するための一部の既知の生体機能を有する生体分子(放射線医薬品)と結合された放射性同位体の使用を含む。本明細書で使用される放射性同位体、放射線医薬品、および放射性核種は同義的に使用される。放射線医薬品は、通常、静脈注射(例えば静脈内)によって対象に投与される。投与されると、放射線医薬品はさまざな臓器および組織で起こる生理的過程に関与する。次いで、イメージングシステムは放射性排出物(通常、ベータ(β)またはガンマ(γ)放射線)を検出し、イメージを生成する。臨床的に有用な放射性同位体の例は、ヨード131(I131)およびテクネシウム(Technesium)99m(Tc99m)である。
【0029】
放射性核種は一般に安定した錯体、例えば、キレートの形となる。かかる診断薬のin vivoでの生体内分布は、適切な標準の外部(すなわち、非侵襲性)手段によって分析されうる。好ましい実施形態においては、放射性同位体標識はI131またはTc99mである。
【0030】
放射性核種は一般にベータ(β)またはガンマ(γ)放射線を放出する。I131は、約90%β放射線および約10%γ粒子を放出し、約8日の物理的半減期を有する。Tc99mは、γ放射線を放出し、約6時間の半減期を有する。例えば、Tc99m標識抗体の投与後、放射性核種の生体内分布は、周知の方法を使用するガンマカメラで患者をスキャニングすることによって検出されうる。したがって、標的部位でのTc99mの蓄積は容易にイメージングされる。参照によりその全体が本明細書で援用される、トゥーヒー(Toohey)、Radiographics 2000年、20:533−546頁、コスタコグル(Kostakoglu)ら、RadioGraphics 2003年、23:315−340頁、サレミ(Saremi)ら、RadioGraphics 2002年、22:477−490頁、インテンツォ(Intenzo)ら、RadioGraphics 2001年、21:957−964頁、ランガー(Ranger)、RadioGraphics 1999年、19:481−502頁、シンプキン(Simpkin)、RadioGraphics 1999年、19:155−167頁、ヤノキ(Janoki)とケレケス(Kerekes)、Acta Physiol.Hung 1992年、79(2):183−96頁、ヘーフナーゲル(Hoefnagel)、Anticancer Drugs 1991年、2(2):107−32頁、ヘーフナーゲル(Hoefnagel)、Eur.J.Nucl.Med.1991年、18(6):408−31頁、ガトレイ(Gatley)ら、Acta Radiol.Suppl.1990年、374:7−11頁、オット(Ott)、Br.J.Radiol.1989年、62(737):421−32頁、アンデルセン(Andersen)、Cerebrovasc.Brain Metab.Rev.1989年、1(4):288−318、およびミラルディ(Miraldi)、Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.1986年、12(7):1033−9頁を参照。
【0031】
131およびTc99mに加えて、当業者に周知の任意の放射性同位体が本発明の方法において使用されうる。他の放射性核種およびキレートとしては、例えば、Co57、Co58、Cr51、F18FDG、Ga67、In111塩化物、In111ペンテト酸(DTPA)、In111オキシキノリン(オキシン)、In111カプロマブ(Capromab)ペンデチド、In111ペンテト酸イミシロマ(Imciroma)、In111、ペンテトレオチド、In111サツモマブペンデチド、I123、I125イオタラメート、I125ヒト血清アルブミン(RISA)、I131ヨウ化ヒプル酸、I131ヨードメチルノルコレステロール(NP−59)、I131メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)、Kr81mガス、P32リン酸クロム、P32リン酸ナトリウム、Ru82、Sm153レキシドロナム(Sm−153EDTMP)、Sr89、T1201、およびXe133が挙げられる。
【0032】
放射性核種の任意のキレートを本発明の方法において使用することができる。例えば、Tc99m過テクネチウム酸は臨床的に使用されるTc99mの最も一般的な形態の1つではあるが、Tc99mの他の形態、例えば、Tc99mDMSA(ジメルカプトコハク酸)、Tc99mアプシチド、Tc99mアルシツモマブ(Arcitumomab)、Tc99mアルブミンコロイド、Tc99mビシセート(ECD)、Tc99mデプレオチド(Depreotide)、Tc99mジソフェニン(DISIDA)、Tc99mエクサメタジン(HMPAO)、Tc99mグルセプテート(Gluceptate)、Tc99mヒト血清アルブミン(HSA)、Tc99mリドフェニン(Lidofenin)(HIDA)、Tc99m粗大凝集アルブミン(MAA)、Tc99mメブロフェニン(Mebrofenin)、Tc99mメドロネート(Medronate)(MDP)、Tc99mメトリアチド(Mertiatide)、Tc99mノフェツモマブメルペンタン(Nofetumomab Merpentan)、NR−LU−10、Tc99mオキシドロネート(Oxidronate)(HDP)、Tc99mペンテト酸(DTPA)、Tc99mピロリン酸(PYP)、Tc99m赤血球(RBC)、Tc99mセスタミビ(Sestamibi)、Tc99mスシメル(Succimer)(DMSA)、Tc99m硫黄コロイド(SC)、Tc99mテボロキシム、またはTc99mテトロホスミンなどが本発明の範囲内である。
【0033】
好ましくは市販の他の利用可能なイメージング剤、診断薬、または造影剤を本発明の方法において使用することができる。甲状腺およびゴナドトロピン疾患を診断、モニタリング、および評価するために使用される市販の薬剤が好ましい。かかる薬剤としては、例えば、プロチレリン(THYPINONE(登録商標)、アボット(Abbott)およびその他)、チロトロピンアルファ(THYROGEN(登録商標)、ゲンザイム(Genzyme))、またはゴナドレリン(FACTREL(登録商標)、アメリカン・ホーム・プロダクツ(American Home Products))、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0034】
一部の実施形態においては、この方法は、非標識修飾糖タンパク質ホルモンの検出を提供する。非標識修飾糖タンパク質ホルモンの検出は、当業者によって行われうる。CTおよびMRIなどイメージング法のためには、造影剤または標識の使用が任意的である。非造影CTまたはMRIが使用される場合、組織(組織造影)間の差異は組織密度に基づき観察されうる。非造影CTにより、組織造影は検査される組織の密度の変動によって得られる。高密度の組織(例えば、骨、異物、または腫瘍)はCTでは白く、低密度の組織(例えば、空気または水)は黒く見える。非造影MRIでは、さまざまな組織のTおよびT緩和時間は、組織造影(すなわち、イメージの明るさまたは暗さ)を決定する。超音波により、骨または腎結石などの高密度組織はエコーを反射し、したがって、超音波イメージでは白く見える。腸などにおける空気もエコーを反射し、腸の縁は超音波イメージで白く見える。したがって、大きく異なる密度を有する物質(例えば、空気、骨)は超音波イメージでは明るい白に見える。非造影イメージング法を使用する非標識修飾糖タンパク質ホルモンを検出する能力は、特に本明細書で提供される詳細な説明に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0035】
B.薬剤送達法
本発明は、それを必要とする対象に対する、糖タンパク質受容体を発現する細胞に薬剤を送達する方法を提供し、前記方法は、野生型とタンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質ホルモンと結合した薬剤を前記対象に投与する工程を含む。細胞に薬剤を送達する方法(すなわち、標的送達)では、対象の疾患または疑わしい疾患の性質によって任意の適切な薬剤が使用されうる。薬剤は、細胞保護化合物、抗体、薬物、増感剤、生体反応修飾物質、放射性核種、毒素、ウイルス、またはそれらの組合せでありうる。
【0036】
一部の実施形態においては、標的送達の方法は、異常な糖タンパク質受容体の発現と関連した疾患または疑わしい疾患を有する対象の治療用である。一部の実施形態においては、標的送達の方法は、異常な糖タンパク質受容体の発現と関連した疾患の診断または検出用である。一部の実施形態においては、標的送達の方法は、放射線および/または手術(例えば、下垂体の経ちょう形骨手術、乳房縮小術、乳房切除術、子宮切除術など)を含む他の療法、診断法、または臨床的様式とともに使用されうる。
【0037】
一部の実施形態においては、この方法は癌細胞分化の回復を提供する。理論によって拘束されることなく、遺伝物質の送達が、本明細書に記載された修飾糖タンパク質ホルモンと糖タンパク質ホルモン受容体との高親和性相互作用によって促進されうることが仮定される。一部の実施形態においては、遺伝物質は癌細胞に対する標的送達のための修飾糖タンパク質ホルモンと結合されうる。この遺伝物質の取込みは、受容体の数を増大させ、細胞分化を回復させることができる。癌細胞に対する修飾糖タンパク質ホルモンの送達、例えば、甲状腺癌細胞に対する修飾TSHの送達がTSH受容体の数を増大させ、かつ細胞分化を刺激し、または回復させることも仮定される。
【0038】
理論によって拘束されることなく、対象の特定のサブグループが、とりわけ、本発明の標的送達法から恩恵をうけることが期待される。これらの対象は、糖タンパク質ホルモン結合および/または糖タンパク質ホルモン受容体発現を減少させる受容体における変異により糖タンパク質ホルモン受容体結合が減少した対象である。本明細書に記載された修飾糖タンパク質など高親和性糖タンパク質類似体は、少なくとも部分的に、かかる対象のサブグループに対する薬剤の供給の制限を克服することが期待される。
【0039】
一部の実施形態においては、対象は哺乳類である。好ましい実施形態においては、対象はヒトである。
【0040】
1つの実施形態において、この方法は薬剤の標的送達を提供するが、ここで薬剤は細胞保護化合物である。細胞保護化合物は、細胞に対する損傷の発生率または重篤度を保護または減少させるために作用するものである。市販の細胞保護化合物としては、メスナ(MESNEX(登録商標)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ(Bristol−Myers Squibb))、アミフォスチン(ETHYOL(登録商標)、アルザ(Alza))、デクスラゾキサン(ZINECARD(登録商標)、ファルマシア・アップジョン(Pharmacia & Upjohn))、およびロイコボリン(複数のメーカー)が挙げられる。メスナは、高用量のシクロホスファミドが投与された対象における出血性膀胱炎の発生率を減少させるために使用される化合物である。細胞保護化合物アミフォスチンは、シスプラチンの反復投与と関連した累積腎毒性の削減用、および術後放射線治療を受けた対象における中等度〜重度の口内乾燥の発生率の削減用に使用される。アミフォスチンは、パクリタキセルの効果に対するダメージから肺線維芽細胞を保護するためにも使用される。デクスラゾキサンは、対象におけるドキソルビシン投与と関連した心筋症の発生率および重篤度の削減用に使用される。具体的には、例えば、300mg/mの累積ドキソルビシン用量を受けた転移性乳癌の治療のためにドキソルビシンで治療された女性が、デクスラゾキサンの投与に好ましい対象である。ロイコボリン救助は、骨肉種の治療におけるメトトレキサート療法の投与後、および転移性結腸直腸癌を有する患者における5−フルオロウラシル投与後に与えられる。本発明の好ましい実施形態においては、この方法では細胞保護化合物、メスナ、アミフォスチン、デクスラゾキサン、ロイコボリン、またはそれらの組合せが使用されうる。
【0041】
本発明は、とりわけ、糖タンパク質受容体を発現する細胞に対する薬剤の標的送達の方法を提供する。1つの実施形態においては、薬剤は、例えば、天然または合成エストロゲン、エストロゲン受容体モジュレーター、プロゲスチン、アンドロゲン、ゴナドトロピン−放出ホルモン、アンドロゲン阻害物質、ビスフォスフォネート、グルココルチコイド、甲状腺ホルモン、抗甲状腺薬剤、ヨード薬剤、ブロモクリプチン、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗分裂剤、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxins)、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性ホルモン、白金調整複合剤(platinum coordination complex agents)、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、DNAトポイソメラーゼ阻害物質、レチノイド、ポルフィマー、ミトタン、またはそれらの組合せなど、さまざまな形態の癌を治療するために使用される薬物でありうる。
【0042】
1つの実施形態においては、薬剤は、癌を治療するために使用される薬物でありうる。一部の実施形態においては、癌は、甲状腺癌、下垂体腺腫(例えば、腫瘍)、肺癌、奇形腫、男性もしくは女性の生殖系の癌(例えば、子宮内膜癌、子宮癌、子宮頸癌、乳癌、睾丸癌)である。好ましい実施形態においては、薬剤は、クロミフェン、フィナステライド、プロピルチオウラシル、メチマゾール、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、フルオロウラシル、カルボプラチン、エピルビシン、アルトレタミン、ビノレルビン、ミトキサントロン、プレドニゾン、またはそれらの組合せでありうる。
【0043】
一部の抗癌薬および放射線医薬品の細胞毒性効果を増強することが周知の薬物も使用されうる。かかる薬物は一般的に増感剤と呼ばれる。さまざまな治療薬(例えば、抗癌薬)の活性を増強する増感剤の例は、ブチオニンスルホキシミン、およびベラパミルなどカルシウムチャンネル遮断薬、およびジルチアゼムである。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第4,628,047号明細書、およびImportant Advances in Oncology 1986、デ・ビタ(DeVita)ら編、J.B.リピンコット社(Lippincott Co.)、フィラデルフィア、146−157頁(1986年)を参照。当技術分野で周知の他の増感剤は、メトロニダゾール、ミソニダゾール、一部の2−スルファミル−6−ニトロ安息香酸誘導体、3−ニトロピラジンの2,6−二置換誘導体、および一部のイソインドレジオン化合物である。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第4,647,588号明細書、同第4,654,369号明細書、同第4,609,659号明細書、および同第4,494,547号明細書を参照。
【0044】
一部の実施形態においては、薬剤は、生体反応修飾物質でありうる。任意の生体反応修飾物質が本発明の範囲で使用されうる。本発明の方法において有用な生物反応修飾物質の例としては、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子、リンホトキシン、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、p53、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
一部の実施形態においては、薬剤は、細胞シグナル伝達経路修飾物質でありうる。糖タンパク質は、それぞれ、甲状腺(TSH受容体)および生殖腺(LHおよびFSH受容体)における特異的Gタンパク質結合受容体を活性化する。(グリープ(Greep)ら、Anat.Rec.1936年、65:261−71頁、シンプソン(Simpson)ら、Anat.Rec.1950年、106:247−48頁、ピアス(Pierce)ら、Recent Prog.Horm.Res.1971年、27:165−212頁、およびシュプニック(Shupnik)ら、Endocr. Rev.1989年、10:459−75頁)。一部の実施形態においては、細胞シグナル伝達経路は、Gタンパク質経路でありうる。ペネラ(Penela)ら、Cell Siganal 2003年、15(11):973−81頁を参照。細胞シグナル伝達経路は当業者に周知の細胞シグナル伝達経路でありうる。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、クリムスカヤ(Krymskaya)、Cell Signal 2003年、15(8):729−39頁、ファング(Fung)ら、Cell Signal 2003年、15(6):625−36頁、ヤマモト(Yamamoto)ら、Cell Signal 2003年、15(6):575−83頁、マリノ(Marino)ら、Cell Signal 2003年、15(5):511−7頁、ロチェット・イグリー(Rochette−Egly)、Cell Signal 2003年、15(4):355−66頁を参照。一部の実施形態においては、細胞シグナル伝達経路は、cAMP/プロテインキナーゼA(PKA)経路、またはプロテインキナーゼC(PKC)経路でありうる。
【0046】
一部の実施形態においては、薬剤は、ホルスコリンまたはcAMP/プロテインキナーゼA(PKA)経路の他の修飾物質でありうる。例えば、ウー(Woo)ら、Neurosci.Lett.2004年、19:356(3):187−90頁、およびジョンストン(Johnston)ら、J.Neurochem.2004年、88(6):1497−508頁を参照。一部の実施形態においては、細胞シグナル伝達経路は、スタウロスポリン、ホルボールエステル、またはプロテインキナーゼC(PKC)活性の他の修飾物質でありうる。一部の実施形態においては、薬剤は、インドメタシン、またはプロスタグランジン/ロイコトリエン合成の他の修飾物質など、ステロイドまたは非ステロイド性抗炎症薬でありうる。例えば、サッソン(Sasson)ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.2003年、28、311(4):1047−56頁、パイク(Paik)ら、Adv.Exp.Med.Biol.2002年、507:503−8頁、およびポープラーナ(Pouplana)ら、J.Comput.Aided Mol.Des.2002年、16(10):683−709頁を参照。
【0047】
一部の実施形態においては、薬剤は抗体でありうる。抗体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体でありうる。一部の実施形態においては、抗体はヒト化抗体でありうる。
【0048】
一部の実施形態においては、抗体はキメラ構成物でありうる。キメラ抗体の製造および使用は、例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第6,693,176号明細書、同第6,420,113号明細書、同第6,329,508号明細書、同第6,120,767号明細書、同第5,807,548号明細書、同第5,750,078号明細書、および同第5,637,288号明細書に記載されている。本発明の方法において有用なキメラモノクローナル抗体は、組換えDNA法を含む任意の方法によって製造されうる。一般に、参照によりその全体が本明細書で援用される、ロビンソン(Robinson)ら、PCT特許出願第PCT/US86/02269号明細書、アキラ(Akira)ら、欧州特許出願第184,187号明細書、またはタニグチ(Tanigichi),M.、欧州特許出願第171,496号明細書を参照。一部の実施形態においては、抗体は、抗体の機能的断片、例えば、Fab、Fab等でありうる。
【0049】
本発明の方法において使用されうる毒素の例は、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、リボソーム不活性化タンパク質、およびマイコトキシン、例えば、トリコテセンである。トリコテセンは、不完全菌類クラスの土壌菌類によって産生され、またはBaccharus megapotamicaから単離されたマイコトキシンの種である。(参照によりその全体が本明細書で援用される、バンブルグ(Bamburg)、Proc.Molec.Subcell Bio.1983年、8:41−110頁、ヤルビス(Jarvis)とマゾーラ(Mazzola)、Acc.Chem.Res.1982年、15:338−395頁)。遺伝子工学またはタンパク質工学法により製造されるものなど治療上有効な修飾毒素またはそれの断片を使用することができる。
【0050】
本発明の方法において有用な放射性核種は上述されている。
【0051】
一部の実施形態においては、この方法は、とりわけ、修飾糖タンパク質ホルモンと結合したウイルスの標的送達を提供する。レトロウイルスは本発明の方法に適したウイルスでありうる。一部の実施形態においては、ウイルスはアデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、それらの組合せ、または断片でありうる。さまざまなウイルスおよびそれの断片の使用を記載した、米国特許第6,399,385号明細書、同第6428,790号明細書、および同第6,710,037号明細書も参照。一部の実施形態においては、ウイルスは、薬剤、例えば、糖タンパク質ホルモン受容体すなわちp53を発現するレトロウイルスでありうる。一部の実施形態においては、レトロウイルスは、修飾糖タンパク質ホルモンと結合され、かつ図1に示されているように、ナトリウムヨード共輸送体(NIS)毒素、またはp53などの活性剤と結合される。
【0052】
本発明の方法は、とりわけ、修飾糖タンパク質ホルモンと結合している薬剤の標的送達を提供する。薬剤を修飾糖タンパク質ホルモンと結合または連結させる任意の手段を使用することができる。例えば、多くの異なる開裂可能なリンカーが既述されている。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第4,618,492号明細書、同第4,542,225号明細書、同第4,625,014号明細書を参照。これらのリンカー群から薬剤を放出させるための機序としては、感光性接着剤の照射、および酸触媒加水分解によるものが挙げられる。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第5,563,250明細書は、特定の化学構造のリンカーを含む免疫抱合体を開示しているが、ここで連結はin vivoで開裂され、その天然の形態で化合物(放射線医薬品、薬物、毒素等)を放出する。リンカーは、弱酸性pHで開裂の影響を受けやすく、標的細胞の細胞質への輸送中に開裂され、それによって標的細胞内に生体活性化合物を放出すると考えられている。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第4,671,958号明細書は、患者の補体系のタンパク質分解酵素によって標的部位でin vivoで開裂されるリンカーを含む免疫抱合体の説明を含む。
【0053】
結合または連結の他の手段は記載されている。例えば、リンカー分子は、ピアス・ケミカル社(Pierce Chemical Campany)、Rockford、イリノイ州から入手可能なものなど市販されている。参照によりその全体が本明細書で援用される、Pierce 1986−86 General Catalog、313−354頁を参照。抗体と結合させるための手段、(例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第4,671,958号明細書および同第4,659,839号明細書を参照)および放射性核種金属キレート、毒素、および薬物をタンパク質と連結または結合させる手段が周知である。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、欧州特許出願第188,256号明細書、米国特許第4,671,958号明細書、同第4,659,839号明細書、同第4,414,148号明細書、同第4,699,784号明細書、同第4,680,338号明細書、同第4,569,789号明細書、および同第4,590,071号明細書、ボアリングハウス(Borlinghaus)ら、Canc.Res.47:4071−4075頁、1987年8月1日、フォラン(Foran)、Best Pract.Res.Clin.Haematol.2002年、15(3):449−65頁、およびフォティオウ(Fotiou)ら、Eur.J.Gynaecol.Oncol.1988年、9(4)304−7頁を参照。さまざまな放射線診断化合物、放射線医薬品、薬物、毒素、および他の薬剤のタンパク質との結合のために報告されている多数の方法に照らして、当業者は所定の薬剤を修飾糖タンパク質に付着させるための適切な方法を決定することができるであろう。
【0054】
本発明の別の実施形態においては、各々の修飾糖タンパク質ホルモンは、それら付着される同一または異なる薬剤を有しうる。放射性核種、薬物、毒素、ウイルス、細胞保護化合物、抗体、増感剤、および生物反応修飾物質からなる群から選択される任意の適切な組合せの薬剤を使用することができる。
【0055】
C.被分析物を検出する方法
1つの実施形態において、この方法は、生体試料における修飾糖タンパク質ホルモン受容体の結合を妨げる被分析物の検出を提供し、前記方法は、(i)前記試料を、修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質ホルモン工程と接触させる工程と、(ii)シグナルを検出する工程であって、検出される前記シグナルの存在または量が、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体との結合を妨げる被分析物の存在または非存在を示す工程とを含む。
【0056】
1つの実施形態において、被分析物の検出のための方法は競合的結合アッセイである。競合的結合アッセイは、受容体結合剤(例えば、抗体、受容体、輸送タンパク質)との反応における標識リガンドと非標識リガンドとの競合に基づくアッセイである。参照によりその全体が本明細書で援用される、アイユーパック化学用語集(IUPAC Compendium of Chemical Terminology)、1997年、第2版、「競合的タンパク質結合アッセイ(Competitive protein Binding Assays)」オデル(Odell)とドウハデイ(Daughaday)、W.H.リピンコット(Lippincott)、1972年、および「競合的タンパク質結合アッセイの原理(Principles of Competitive Protein−binding Assays)」オデル(Odell)とフランチモン(Franchimont)、P.ジョーン・ワイリーアンドサンズ社(John Wiley&Sons Inc.)、1983年。参照によりその全体が本明細書で援用される、米国特許第6,537,1760号明細書も参照。
【0057】
一部の実施形態においては、シグナルは、試料における糖タンパク質受容体と結合した修飾糖タンパク質ホルモンの存在または量である。一部の実施形態においては、この方法では、例えば、cAMPまたはステロイド(例えば、プロゲステロン)の存在または量の検出など、二次シグナルの検出が使用される。一部の実施形態においては、シグナルはイノシトール三リン酸またはイノシトールリン酸経路の他の構成要素の存在、非存在、または量である。一部の実施形態においては、シグナルは細胞内カルシウムまたはカルシウム依存性キナーゼの活性、またはそれらの組合せの存在または量である。一部の実施形態においては、シグナルはプロテインキナーゼB(PKB)または血清/グルココルチコイド誘導キナーゼ(SgK)の存在、量、または活性である。
【0058】
一部の実施形態においては、この方法では生体試料における全細胞の使用が使用される。一部の実施形態においては、この方法は、細胞の一部、例えば細胞膜のみを使用する。
【0059】
一部の実施形態においては、この方法は被分析物の検出を提供するが、ここで被分析物は、糖タンパク質受容体の細胞外ドメインに対する抗体である。例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体の循環細胞外ドメインは、グレーブス病の病因に関与している。参照によりその全体が本明細書で援用される、ファン(Fan)ら、Autoimmunity1993年、15(4)285−91頁、ゼータラマイア(Seetharamaiah)ら、Tyrroid 1999年、9(9)879−86頁、キクオカ(Kikuoka)ら、Endocrinology1998年、139(4)1891−8頁、チョー(Cho)、J.Korean Med.Sci.2002年、17(3):293−301頁、およびコーネリア(Cornelia)ら、Biochemistry 2001年、40(33):9860−9頁を参照。かかる受容体断片は結果として抗TSHR抗体力価の増強をもたらしうる。理論によって拘束されることなく、本明細書に記載された修飾糖タンパク質ホルモンの高親和性は、高い特異的糖タンパク質受容体抗体とともに糖タンパク質受容体断片との大幅に特異的かつ高い親和性で結合し、かかる受容体断片を検出する改善された方法を提供しうることが考えられる。また、高親和性糖タンパク質類似体および糖タンパク質受容体の細胞外ドメインを使用する比較アッセイは、抗細胞外ドメイン抗体を検出し、測定するための感度の高い手段を提供しうる。かかる細胞外ドメイン受容体断片および受容体特異的抗体の検出は、例えば、グレーブス病の早期検出を提供しうる。一部の実施形態においては、この方法は、グレーブス病のモニタリングを提供し、またはグレーブス病の進行を防ぐ。一部の実施形態においては、かかる修飾糖タンパク質ホルモン−Abの受容体断片との結合の検出により、特発性不妊症の診断、検出、または説明が可能である。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用され、不妊および妊娠との甲状腺抗体の関係を論じる、クボ(Kubo)ら、Endocrin.J.2000年、47(2)197−201ページ、ミムラ(Mimura)ら、Endocr.J.2001年、48(2)255−60頁、およびクング(Kung)ら、J.Clin.Endocrinol. Metab.2001年、86(8)3647−53頁を参照。
【0060】
上述されているように、理論によって拘束されることなく、対象の特定の小さなサブグループが本発明の方法から恩恵を受けることが期待される。これらの対象は、糖タンパク質ホルモン結合および/または糖タンパク質ホルモン受容体発現を減少させる変異により糖タンパク質ホルモン受容体結合が減少した対象である。本明細書に記載された修飾糖タンパク質など高親和性糖タンパク質類似体は、少なくとも部分的に、かかる対象のサブグループにおける薬剤の標的送達の制限を克服することが期待される。
【0061】
一部の実施形態においては、アッセイは溶液中で実行されうる。一部の実施形態においては、アッセイの1つもしくはそれ以上の構成要素を固相に固定してもよい。プラスチック表面、微粒子、磁性粒子、フィルタ、ポリマーゲル材料、および他の固相物質が固相として使用されうる。例えば、参照によりその全体が本明細書で援用される、6,664,114、6,589,798、6,479,296、および6,294,342を参照。本発明において提供されるアッセイの方法を自動化することが可能である。
【0062】
本発明の方法において、インキュベーションのやり方(すなわち、生体試料を修飾糖タンパク質ホルモンと接触させ、その後の検出前の処理の方法)は重要ではない。例えば、アッセイの一部の方法においては、生体試料および結合競合体の接触後、上清の除去が必要である。アッセイの他の方法においては、洗浄工程が生体試料の固相結合競合体との接触後にしばしば必要である。本発明の方法はインキュベーションのいずれか1つに限定されていない。
【0063】
本発明の方法において使用される生体試料は、全血、血清、血漿、尿、唾液、髄液、または糞便を含む動物の体液由来でありうる。
【0064】
D.修飾糖タンパク質ホルモン
上述されている薬剤のイメージング、標的送達、およびアッセイの方法では修飾糖タンパク質ホルモンが使用される。野生型糖タンパク質ホルモン構造における一部のアミノ酸残基は、大きく悪影響を及ぼすことなく他のアミノ酸残基と置換され、かつ多くの場合、糖タンパク質ホルモンの活性を増強さえしうる。かかる修飾糖タンパク質ホルモンは、米国特許第6,361,992号明細書、米国出願第10/057113号明細書(2002年1月25日出願)、同第09/813398号明細書(2001年3月20日出願)、および米国仮出願第明細書(代理人整理番号第56815−5001PR号)(2004年3月19日出願)、およびPCT刊行物第00/17360号明細書、同第97/42322号明細書、および同第96/06483号明細書に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書で援用される。
【0065】
1つの実施形態において、修飾糖タンパク質ホルモンは、α−サブユニットにおいて、別のアミノ酸残基で置換されたアミノ酸残基を少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、もしくは少なくとも5個有する。1つの実施形態において、修飾糖タンパク質ホルモンは、β−サブユニットにおいて、別のアミノ酸残基で置換されたアミノ酸残基を少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、もしくは少なくとも5個有する。一部の実施形態においては、修飾糖タンパク質ホルモンは修飾TSH、修飾FSH、修飾LH、または修飾CGである。
【0066】
一部の好ましい実施形態において、本発明は、α−サブユニットの11、13、14、16、17、20、および22位からなる群から選択される位置に、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、もしくは少なくとも5個の塩基性アミノ酸を含む修飾TSHを使用するイメージング、標的送達、およびアッセイの方法を提供する。一部の好ましい実施形態においては、本発明は、β−サブユニットの1、6、17、58、63、66、69、および81の位置の各々における少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、もしくは少なくとも8個の塩基性アミノ酸を含む修飾TSHを使用するイメージング、標的送達、およびアッセイの方法を提供する。一部の実施形態においては、塩基性アミノ酸はリシンまたはアルギニンである。
【0067】
一部の好ましい実施形態においては、本発明は、α−サブユニットにおける13、14、16、17、20、21、22、66、68、73、74、および81位に少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、もしくは少なくとも12個の塩基性アミノ酸を含む修飾FSHを使用するイメージング、標的送達、およびアッセイの方法を提供する。一部の好ましい実施形態においては、本発明は、β−サブユニットの2、4、14、63、64、67、および69の位置における少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個の塩基性アミノ酸を含む修飾FSHを使用するイメージング、標的送達、およびアッセイの方法を提供する。一部の実施形態においては、塩基性アミノ酸はリシンまたはアルギニンである。
【0068】
E.本発明の方法によって包含される疾患
上述されているように、糖タンパク質ホルモンのファミリーは下垂体前葉由来であり、さまざまな組織、特に甲状腺および生殖系の臓器における糖タンパク質ホルモン受容体に対する効果を発揮する。この下垂体視床下部軸を分担する糖タンパク質ホルモンの変化に関与する疾患の関連性、特に甲状腺疾患と乳癌の関連性は周知である。参照によりその全体が本明細書で援用される、ミトラ(Mittra)、Br.Med.J.1976年、1:257−259頁、イトウ(Ito)とマルチ(Maruchi)、Lancet1975年、2:1119−1121頁、カプジ(Kapdi)とウォルフ(Wolfe)、JAMA1976年、236:1124−1127頁、ラスムッソン(Rasmusson)ら、J.Cancer Clin.Oncol.1987年、23:553−556頁、ミトラ(Mittra)とヘイズワード(Haysward)、Lancet1974年、1:885−888頁、シェリング(Shering)ら、Eur.J.Cancer Prev.1996年、5:504−506頁、マルチ(Maruchi)ら、Mayo Clin.Proc.1976年、51:263−265頁、レマリー(Lemmarie)とバウグネット・マイユー(Baugnet−Mahieu)、Eur.J Cancer Clin.Oncol.1986年、22:301−307頁、モッサ(Moossa)ら、Ann.R.Coll.Surg.1973年、53:178−188頁、クアランド(Kurland)とアネガース(Annergers)Lancet 1976年、1:808頁、アンカー(Anker)ら、Scand.J.Clin.Lab Invest.1998年、58:103−107頁、スミス(Smyth)ら、J.Clin.Endocrinol.Metabol.1996年、81:937−941頁、ゴールドマン(Goldman)、Epidemiology Rev.1990年、12:28−30頁、マクテルナン(McThernan)ら、Cancer Res.1987年、47:292−294頁、ロン(Ron)ら、Br.J.Cancer1984年、49:87−90頁、ゴーガス(Gogas)ら、Eur.J.Surg.Oncol.2001年、27:626−630頁、マイヒル(Myhil)ら、Acta Endocrinol.1966年、51:290−300頁、ジャーニ(Giani)ら、J.Endocr.Metab.1986年、81:990−994頁、スミス(Smyth)ら、Clin.Endocr.Metab.1988年、83:2711−2716頁、スミス(Smyth),J.Endocrinol.Invest.2000年、23:42−43頁、デービス(Davies)、J.Clin.Endocrinol.Metabol.1994年、79:1232−1238頁、デュモン(Dumont)とメンハウト(Maenhaut)、Baillieres Clin.Endocrinol.Metabol.1991年、5:727−753頁、スピッツベーグ(Spitzweg)ら、J.Clin.Endocrinol Metab.1998年、83:1746−1751頁、およびキルバン(Kilbane)ら、J.Endocrinol.1998年、156:323頁を参照。
【0069】
1つの実施形態において、本発明の方法は、とりわけ、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞のイメージングを提供する。1つの実施形態において、糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞は、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍などの疾患において存在する細胞である。この方法は、自己免疫疾患、および下垂体視床下部軸または生殖腺組織に影響を及ぼす癌を含む甲状腺疾患と関連した疾患のイメージングを提供する。
【0070】
本発明は、とりわけ、それを必要とする対象に対する糖タンパク質受容体を発現する細胞に薬剤を送達するための方法も提供する。1つの実施形態において、糖タンパク質受容体を発現する細胞は、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍などの疾患において存在する細胞である。この方法は、自己免疫疾患、および下垂体視床下部軸または生殖腺組織に影響を及ぼす癌を含む甲状腺疾患と関連した疾患に罹患した、または罹患が疑われる対象に対する薬剤の送達を提供する。
【0071】
本発明はさらに、とりわけ、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体との結合を妨げる被分析物を検出するための方法を提供する。1つの実施形態においては、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体との結合を妨げる被分析物の存在または非存在は、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、下垂体部腫瘍、排卵機能不全、黄体期欠損、原因不明の不妊症、男性因子不妊症、時間制限受胎(time−limited conception)、または自然流産などの疾患と関連性でありうる。この方法は、自己免疫疾患を含む甲状腺疾患と関連した疾患に罹患した、または罹患が疑われる対象からの生体試料における被分析物の検出を提供し、下垂体視床下部軸または生殖腺組織に影響を及ぼす癌は本発明の範囲内である。また、この方法は、不妊症すなわち妊娠または妊娠の維持が困難であることと関連した疾患に罹患した、または罹患が疑われる対象からの生体試料における被分析物の検出を提供する。
【0072】
F.投与、組成物、および投与量
修飾糖タンパク質ホルモンまたはそれの組成物は、循環における生体利用効率を確実にする適切な経路によって投与されうる。これは、静脈内(IV)、筋内(IM)、皮内、皮下(SC)、および腹腔内(IP)注射を含む非経口の投与経路によって最良に達成されうる。しかし、他の投与経路を使用することもできる。例えば、胃腸管を通じた吸収は、適切な処方(例えば、腸溶性コーティング)が使用され、例えば、口腔粘膜、胃、および/または小腸の過酷な環境下、有効成分の劣化を回避または最小限に抑えるという条件で経口の投与経路(消化、口腔、および舌下経路を含むが、これらに限定されない)によって達成されうる。場合によっては、胃腸管をイメージングする場合など、吸収は必要ではない。これらの場合、修飾糖タンパク質ホルモンは、胃腸管からは吸収されない。あるいは、膣および直腸の投与方法など粘膜組織を介した投与を利用し、胃腸管における劣化を回避または最小限に抑えることができる。1つの代替法において、修飾糖タンパク質ホルモンまたはそれの組成物は、経皮的(例えば、経皮膚的)または吸入によって投与されうる。好ましい経路は対象の状態、年齢、全体的な健康状態、疑わしい疾患、および実行されるイメージングのタイプにより変動しうることは明らかであろう。
【0073】
投与される修飾糖タンパク質ホルモンまたはそれの組成物の実際の量は、投与の経路、投与の目的(例えば、イメージングまたは薬剤の標的送達)により変動する。投与される量は、対象の年齢、全体的な健康状態、病状を考慮して当業者(放射線科医または癌専門医)によって決定されうる。Remingtons Pharmaceutical Sciences、マック・パブリッシング社(Mack Publishing Co.)(A.R.ジェナロ(Gennaro)編、1985年)を参照。
【0074】
放射性核種の用量は、当業者によって決定されうる。放射性核種の投与量は、放出される放射能で表される。放射性核種は、約0.01〜約1.000mCiの用量で対象に投与されうる。好ましい実施形態においては、放射性核種の用量は約0.1〜約500mCiである。より好ましい実施形態においては、放射性核種の用量は約1〜約100mCiである。より好ましい実施形態においては、放射性核種の用量は約5〜約80mCiである。最も好ましい実施形態においては、放射性核種の用量は約50mCiである。参照により本明細書で援用される、ツットル(Tuttle)ら、Thyroid 1995年、5(4):243−7頁、デグロッシ(Degrossi)ら、Eur.J.Clin.Pharmacol.1995年、48(6):489−94頁、およびジルソー(DiRusso)とカーニイ(Kearn)、Surgery 1994年、116(6):1024−30頁を参照。
【実施例】
【0075】
6.実施例
以下は、治療薬が甲状腺癌細胞にいかにして送達されうるか、具体的には甲状腺癌細胞へのTSH受容体(TSHR)仲介送達の机上の例である。図1は、その表面に甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)を有する甲状腺癌細胞の概略図を示す。高親和性TSHアナログとして同定され、サブユニットを表す2つの連結した灰色の楕円で示された修飾糖タンパク質ホルモンは、ナトリウムヨード共輸送体(NIS)、TSHR、毒素、またはp53と結合し、またはこれらを発現するレトロウイルスと結合されている。このシナリオでは、修飾TSHの高親和性はTSHRとの特異的結合をもたらす。こうして、結合薬剤は甲状腺癌細胞の近くに送達され、その所望の効果を発揮する。
【0076】
1つのシナリオにおいては、癌細胞の分化が、TSH類似体とTSH受容体の大きく劣化したプールとの間の高親和性相互作用を使用して回復されうる。1つのシナリオにおいては、遺伝物質の送達が、本明細書に記載された修飾糖タンパク質ホルモンと糖タンパク質ホルモン受容体との間の高親和性相互作用によって促進されうることが仮定される。かかるシナリオにおいて、遺伝物質は、癌細胞への標的送達のために修飾糖タンパク質ホルモンと結合されうる。この遺伝物質の取込みは、受容体の数を増大させ、細胞分化を回復させるであろう。また、癌細胞への修飾糖タンパク質ホルモンの送達、例えば、甲状腺癌への修飾TSHの送達は、甲状腺癌細胞で発現されるTSH受容体の数を増大させることも仮定される。かかるTSH受容体の発現の増大は細胞分化を刺激し、またはこれを回復させ、または標的(例えば、TSH受容体)の数の増大を提供することによって甲状腺癌細胞の殺傷を促進するであろう。
【0077】
本出願の全体を通じて引用される全刊行物の開示は、参照によりその全体が本明細書で援用される。本発明は、本発明の個々の態様の唯一の例示として意図されている記載された特定の実施形態によってその範囲が限定されることはなく、かつ機能的に同等の方法および構成要素は本発明の範囲内である。現に本発明のさまざまな変形が、本明細書で示され説明されたものに加えて、当業者には上述の説明から明らかになるであろう。かかる変形は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】甲状腺癌細胞に対するさまざまな治療薬のTSH受容体(TSHR)仲介送達を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞をイメージングする方法であって、該方法が、
対象に、修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンと比較してホルモン活性を増大させる変異を少なくとも1つ有する修飾糖タンパク質ホルモンを投与する工程と、
前記修飾糖タンパク質ホルモンを検出する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾甲状腺刺激ホルモン(TSH)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾卵胞刺激ホルモン(FSH)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、黄体形成ホルモン(LH)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、絨毛性ゴナドトロピン(CG)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記修飾TSHは、前記修飾TSHのα−サブユニットが、11、13、14、16、17、20、および22からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含むという点で野生型TSHと異なる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記修飾TSHが、β−サブユニットの1、6、17、58、63、66、69、および81位に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記修飾TSHが、α−サブユニットの11、13、14、16、17、20、または22位に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基性アミノ酸が、リシンまたはアルギニンである、請求項6、7、または8に記載の方法。
【請求項10】
糖タンパク質ホルモン受容体を含む細胞が、癌細胞または自己免疫疾患を示す細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記対象における前記修飾糖タンパク質ホルモンの増大したレベルの検出が、癌細胞または自己免疫疾患の存在を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記癌細胞が、甲状腺癌細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記癌細胞が、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記自己免疫疾患が、グレーブス病または橋本病である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、標識されている、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記標識が、放射線不透過性標識、放射性同位体標識、蛍光標識、または常磁性標識である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線不透過性標識が、イオン性剤または非イオン性剤である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記イオン性剤が、ジアトリゾエートメグルミン30%、ジアトリゾエートメグルミン60%、ジアトリゾエートメグルミン66%、ジアトリゾエートナトリウム10%、ジアトリゾエートナトリウム50%、イオタラメートメグルミン30%、イオタラメートメグルミン43%、イオタラメートメグルミン60%、イオキサグレートメグルミン39.3%、イオタラメートナトリウム19.6%、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン性剤が、ガドジアミド、ガドテリドール、ガドベルセタミド、イオジキサノール270、イオジキサノール320、イオヘキソール140、イオヘキソール180、イオヘキソール240、イオヘキソール300、イオヘキソール350、イオパミドール41%、イオパミドール51%、イオパミドール61%、イオパミドール76%、イオプロミド150、イオプロミド240、イオプロミド300、イオプロミド370、イオベルソール34%、イオベルソール51%、イオベルソール64%、イオベルソール68%、イオベルソール74%、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記放射性同位体標識が、I131またはTc99mである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記常磁性標識が、ガドジアミド、ガドテリドール、ガドベルセタミド、フェルモキシド、ガドペンテト酸ジメグルミン、マンガフォジピルトリドシウム(tridosium)、またはそれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
プロチレリン、チロトロピンアルファ、ゴナドレリン、またはそれらの組合せの投与をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記標識修飾糖タンパク質ホルモンが、磁気共鳴イメージング、コンピュータ断層イメージング、核医学イメージング、X線、マンモグラフィー、放射性核種イメージング、またはそれらの組合せからなる群から選択される方法によって検出される、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記対象における前記標識修飾糖タンパク質ホルモンの量の検出が、癌細胞または自己免疫疾患の存在を示す、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記癌が甲状腺癌である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記癌が卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍からなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記自己免疫疾患がグレーブス病または橋本病である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
それを必要とする対象において、糖タンパク質受容体を発現する細胞に薬剤を送達する方法であって、該方法が、
野生型糖タンパク質ホルモンに対してホルモン活性を増大させる少なくとも1つの変異を有する修飾糖タンパク質ホルモンに結合された薬剤を前記対象に投与する工程を含む方法。
【請求項29】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾TSHである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾FSHである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾LHである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾CGである、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記修飾TSHは、前記修飾TSHのα−サブユニットが、11、13、14、16、17、20、および22からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含むという点で前記野生型TSHと異なる、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記修飾TSHが、β−サブユニットの1、6、17、58、63、66、69、および81位に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記修飾TSHが、α−サブユニットの11、13、14、16、17、20、または22位に少なくとも3つの塩基性アミノ酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記塩基性アミノ酸がリシンまたはアルギニンである、請求項33、34、または35に記載の方法。
【請求項37】
前記薬剤が、細胞保護化合物、抗体、薬物、増感剤、生物反応修飾物質、放射性核種、毒素、ウイルス、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記薬剤が、天然または合成エストロゲン、エストロゲン受容体モジュレーター、プロゲスチン、アンドロゲン、排卵刺激剤、ゴナドトロピン放出ホルモン、アンドロゲン阻害物質、ビスフォスフォネート、グルココルチコイド、甲状腺ホルモン、抗甲状腺剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗分裂剤、エピポドフィロトキシン、抗腫瘍性抗生物質、抗腫瘍性ホルモン、白金調整複合剤、アントラセンジオン、置換尿素、メチルヒドラジン誘導体、DNAトポイソメラーゼ阻害物質、レチノイド、またはそれらの組合せからなる群から選択される薬物である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記薬物が、クロミフェン、フィナステライド、プロピルチオウラシル、メチマゾール、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、マイトマイシン、イホスファミド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、パクリタキセル、フルオロウラシル、カルボプラチン、エピルビシン、アルトレタミン、ビノレルビン、ミトキサントロン、ブロモクリプチンプレドニゾン、ポルフィマー、ミトタン、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記増感剤が、メトロニダゾール、ミソニダゾール、ベラパミル、ジルチアゼム、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記薬剤が、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子、リンホトキシン、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−3、インターロイキン−4、インターロイキン−5、インターロイキン−6、p53、またはそれらの組合せからなる群から選択される生物反応修飾物質である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記薬剤が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、またはそれらの組合せである、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記薬剤が細胞シグナル伝達経路修飾物質である、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記薬剤が、ホルスコリン、スタウロスポリン、ボールエステル、非ステロイド性抗炎症薬、ステロイド、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記薬剤が細胞保護化合物である、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記細胞保護化合物がメスナまたはロイコボリンである、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記放射性核種が、131I、132I、32P、186Re、188Re、203Pb、212Pb、212Bi、109Pd、64Cu、67Cu、211At、97Ru、105Rh、198Au、および199Auからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記毒素が、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、シュードモナス外毒素A、リボソーム不活性化タンパク質、およびマイコトキシンである、請求項37に記載の方法。
【請求項49】
前記ウイルスが、アデノウイルス、レトロウイルス、もしくはそれらの組合せまたは断片からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項50】
前記対象が、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、または下垂体部腫瘍からなる群から選択される疾患を有する、または有する疑いがある、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
生体試料において修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体への結合を妨げる被分析物を検出する方法であって、該方法が、
(i)前記試料を、修飾糖タンパク質ホルモンであって、野生型糖タンパク質ホルモンと比較してホルモン活性を増大させる変異を少なくとも1つ有する修飾糖タンパク質ホルモンと接触させる工程と、
(ii)シグナルを検出する工程であって、検出される前記シグナルの存在または量が、修飾糖タンパク質ホルモンの糖タンパク質受容体への結合を妨げる被分析物の存在または非存在を示す工程と、を含む方法。
【請求項52】
前記シグナルが、前記生体試料における糖タンパク質受容体に結合した修飾糖タンパク質ホルモンの存在または量である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記シグナルが、前記生体試料におけるcAMPの存在または量である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記シグナルが、前記生体試料におけるステロイドの存在または量である、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記シグナルが、前記生体試料におけるプロゲステロンの存在または量である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記シグナルが、イノシトール三リン酸またはイノシトールリン酸経路の他の成分の存在または量である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記シグナルが、細胞内カルシウム、カルシウム依存性キナーゼの活性、またはそれらの組合せの存在または量である、請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記シグナルが、プロテインキナーゼB(PKB)または血清/グルココルチコイド誘発キナーゼ(Sgk)の存在または活性である、請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾TSHである、請求項51に記載の方法。
【請求項60】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾FSHである、請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾LHである、請求項51に記載の方法。
【請求項62】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、修飾CGである、請求項51に記載の方法。
【請求項63】
前記修飾TSHが、α−サブユニットの11、13、14、16、17、20、および22からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記修飾TSHが、β−サブユニットの1、6、17、58、63、66、69、および81からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記修飾FSHが、α−サブユニットの13、14、16、17、20、21、22、66、68、73、74、および81からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記修飾FSHが、β−サブユニットの2、4、14、63、64、67、および69からなる群から選択される位置に少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記塩基性アミノ酸が、リシンまたはアルギニンである、請求項63、64、65、または66に記載の方法。
【請求項68】
前記被分析物が、糖タンパク質受容体に対する抗体である、請求項51に記載の方法。
【請求項69】
前記被分析物が、糖タンパク質ホルモン受容体の細胞外ドメインに対する抗体である、請求項51に記載の方法。
【請求項70】
前記被分析物が、野生型糖タンパク質ホルモンである、請求項51に記載の方法。
【請求項71】
前記糖タンパク質受容体が、TSH、FSH、LH、CGの受容体、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項72】
前記修飾糖タンパク質ホルモンが、標識されている、請求項51に記載の方法。
【請求項73】
前記生体試料が、全細胞を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項74】
前記生体試料が、細胞膜を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項75】
前記シグナルの検出が、生体試料を採取した対象が、甲状腺癌、グレーブス病、橋本病、卵巣癌、子宮癌、子宮内膜癌、肺癌、奇形腫、乳癌、睾丸癌、下垂体部腫瘍、排卵機能不全、黄体期欠損、原因不明の不妊症、男性因子不妊症、時間制限受胎、または自然流産からなる群から選択される疾患に罹患していることを示す、請求項51に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−530974(P2007−530974A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506215(P2007−506215)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008957
【国際公開番号】WO2005/101000
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(506327911)トロフォゲン,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】