説明

ヒト血清アルブミンに対する分子アフィニティの決定方法

本発明は、複数の結合部位に結合するプローブ化合物を用いたヒト血清アルブミンに対する試験化合物の分子アフィニティを決定するための蛍光スペクトロスコピー法を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はヒト血清アルブミンに対する薬物候補物質の分子アフィニティを決定するための新規の蛍光に基づいた分析を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多くの薬物及びいくつかの内因性物質はヒト血清アルブミンに可逆的に及び高いアフィニティで結合する。例えば、Otagiri et. al. Biol. Pharm. Bull. 25, 695(2002)を参照のこと。ヒト血清アルブミン(HSA)は2の主な疎水性結合ポケット、IIAドメイン上の部位I及びIIIAドメイン上の部位IIを有する。アルブミンへの可逆的な結合は血漿中の薬物の寿命を延長するが、それはまた生理学的活性に有効な遊離薬物の濃度を減少させる。このため、薬物発見プロセスにおける段階としてアルブミンに対する薬物候補物質のアフィニティを知ることは重要である。したがって、アルブミンに対するリガンドの結合アフィニティの迅速な定量方法について要求がある。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約
一般的に、本発明はHSAに対するある薬物候補物質の分子アフィニティを決定するための蛍光スペクトロスコピー法を特徴付ける。上記方法はプローブ化合物からの蛍光シグナルをモニターし、ある薬物候補物質の分子アフィニティを決定することを含む。
1の局面において、本発明は:
a)緩衝溶液を提供する;
b)上記溶液に被検体を添加する;
c)上記溶液に複数のヒト血清アルブミン部位に結合するプローブ化合物を添加する;
d)上記溶液にヒト血清アルブミンを添加する;
e)上記被検体、プローブ化合物、及びヒト血清アルブミンを含む上記溶液を照射する;
c)上記照射された溶液の蛍光を計測する;及び
d)上記計測された蛍光に基づいて上記被検体の結合アフィニティを計算する
の段階を含む被検体の結合アフィニティの決定方法を特徴付ける。
【0004】
他の局面において、本発明はハイスループットスクリーニングを行う方法を特徴付ける。上記方法は:
a)複数の緩衝溶液を提供する;
b)複数の被検体を提供する;
c)複数の上記緩衝溶液に上記複数からの1の被検体を添加する;
d)被検体を含む複数の上記溶液にヒト血清アルブミンの部位I及びIIに結合するプローブ化合物を添加する;
e)被検体、及び上記プローブ化合物を含む複数の上記溶液にヒト血清アルブミンを添加する;
f)上記被検体、上記プローブ化合物、及びヒト血清アルブミンを含む複数の上記溶液を照射する;
g)上記照射された溶液の蛍光を計測する;及び
h)上記計測された蛍光に基づいて上記溶液のそれぞれにおける上記被検体の結合アフィニティを計算する
の段階を含む。
【0005】
本発明のそれぞれの局面は1以上の以下のものを含みうる。上記被検体の結合アフィニティを計算することは上記プローブのパーセント置換を決定することを含む。上記プローブのパーセント置換は式:
D=100−[(f0−fa)/(f0−fb)]*100
を介して決定され、ここで、Dは上記被検体によりヒト血清アルブミンから置換されたパーセントTHE PROBEであり、f0は上記緩衝溶液中のTHE PROBEの蛍光であり、fbはHSAに結合したTHE PROBEの蛍光であり、及びfaは上記被検体及び上記プローブ化合物を含む溶液の蛍光である。上記蛍光は480〜580nmの間で計測される。上記方法は上記プローブ化合物及び上記被検体を含む溶液の蛍光を計測することをさらに含む。
【0006】
上記プローブは式Iの化合物:
【化1】

{式中:
Xはハロゲン、−CN、NO2、アリール、−C(O)−Rの群から選ばれる1〜3の置換基であり、ここで、Rは場合により置換されるC1−C4アルキル又は場合により置換されるアリールであり;及びYは置換される又は置換されないヘテロアリールである}
である。Yは1−メチル−インドール−2−イルの如き、場合により置換されるインドリルでありうる。上記プローブは5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸でありうる。
【0007】
都合のよいことに、上記プローブ化合物は高い量子産出及び上記試験化合物の吸収バンドよりも長い励起波長を有する。予想外に、本発明に係るプローブ化合物はHSA内の2の区別できる部位において、例えば、部位Iの近隣で及び部位IIで、高いアフィニティで結合する。本発明に係るプローブ化合物は他の同様の構造のより蛍光を発しない化合物との置換研究に及びハイスループットスクリーニングに使用されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明の詳細な説明
定義
使用される略語:HSA、ヒト血清アルブミン;ダンシル−、5−(ヂメチルアミノ)−1−ナフタレンスルフォニル−;DNSA、ダンシル−1−スルフォンアミド;DS、ダンシルサルコシン;PBZ、フェニルブタゾン;Kd、解離定数;PBS、リン酸緩衝塩水;MTBE、メチル−t−ブチルエーテル;M2OH、メタノール;NaOH、水酸化ナトリウム;EtOH、エタノール;NBS、N−ブロモ−スクシンイミド;AIBN、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;RT、室温;THF、テトラヒドロフラン;DCM、ヂクロロメタン;
【0009】
上記用語「ハロ」はCl、Br、I、及びFから選ばれるハロゲン原子をいう。
上記用語「アルキル」は直鎖の及び有枝鎖の基をいう。別段の定めなき限り、アルキル基は1〜9の炭素原子を含む。
上記用語「アルケニル」は少なくとも1の−C=C−を含む直鎖の及び有枝鎖の基をいう。別段の定めなき限り、アルケニル基は1〜9の炭素原子を含む。
上記用語「アルキニル」は少なくとも1の−C≡C−を含む直鎖の及び有枝鎖の基をいう。別段の定めなき限り、アルキニル基は1〜9の炭素原子を含む。1〜6の炭素原子。
上記用語「アルコキシ」は−O−アルキル基をいう。
【0010】
上記用語「シクロアルキル」は環状アルキル基をいう。別段の定めなき限り、シクロアルキル基は3〜9の炭素原子を含むであろう。
上記用語「シクロアルケニル」は環状アルケニル基をいう。別段の定めなき限り、シクロアルケニル基は環状環内に5〜9の炭素原子及び少なくとも1の−C=C−基を含むであろう。
上記用語「アミノ」は−NH2をいう。
上記用語「スルフォンアミド」は−S(O)2−N(Q102をいう。
【0011】
上記用語「アリール」はフェニル及びナフチルをいう。
上記用語「ヘト」はO、S、及びNから選ばれる少なくとも1のヘテロ原子を含む単又は二環状環系をいう。それぞれの単環状環は芳香族、飽和又は部分的に不飽和でありうる。二環状環系はシクロアルキル又はアリール基と融合した少なくとも1のヘテロ原子を含む単環状環を含みうる。二環状環系はまた他のヘト、単環状環系と融合した少なくとも1のヘテロ原子を含む単環状環をも含みうる。
【0012】
「ヘト」の例は、非限定的に、ピリヂン、チオフェン、フラン、ピラゾリン、ピリミヂン、2−ピリヂル、3−ピリヂル、4−ピリヂル、2−ピリミヂニル、4−ピリミヂニル、5−ピリミヂニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、3−ピラジニル、4−オキソ−2−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、4−オキソ−2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1,2,3−オキサチアゾール、1,2,3−オキサヂアゾール、1,2,4−オキサヂアゾール、1,2,5−オキサヂアゾール、1,3,4−オキサヂアゾール、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾール、4−イソチアゾール、5−イソチアゾール、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピローリル、3−ピローリル、3−イソピローリル、4−イソピローリル、5−イソピローリル、1,2,3−オキサチアゾール−1−オキシド、1,2,4−オキサヂアゾール−3−イル、1,2,4−オキサヂアゾール−5−イル、5−オキソ−1,2,4−オキサヂアゾール−3−イル、1,2,4−チアヂアゾール−3−イル、1,2,4−チアヂアゾール−5−イル、3−オキソ−1,2,4−チアヂアゾール−5−イル、1,3,4−チアヂアゾール−5−イル、2−オキソ−1,3,4−チアヂアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、5−オキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1,3,4−オキサヂアゾール、4−オキソ−2−チアゾリニル、5−メチル−1,3,4−チアヂアゾール−2−イル、チアゾールヂオン、1,2,3,4−チアトリアゾール、1,2,4−ヂチアゾロン、フタリミド、キノリニル、モルフォリニル、ベンゾキサゾイル、ヂアジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、ナフチリヂニル、アゼチヂニル、ピローリヂニル、ヒダントイニル、オキサチオラニル、ヂオキソラニル、イミダゾリヂニル、及びアザバイシクロ[2.2.1]ヘプチルを含む。
【0013】
上記用語「ヘテロアリール」は少なくとも1の環状環が芳香族である単又は二環状ヘトをいう。
【0014】
上記用語「置換されるアルキル」はハロ、ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、−OQ10、−SQ10、S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=N−O−Q10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(S)NQ1010、−N(Q10)C(S)NQ1010、−C(O)NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(O)OQ10、−OC(O)NQ1010、−NQ10C(S)OQ10、−O−C(S)NQ1010、S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、及び−SNQ1010から選ばれる1〜4の置換基を含むアルキル基をいう。ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールのそれぞれはハロ及びQ15から独立に選ばれる1〜4の置換基で場合により置換される。
【0015】
上記用語「置換されるアリール」は−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−NQ10C(O)OQ10、−OC(O)NQ1010、−NQ10C(S)OQ10、−O−C(S)NQ1010、C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、−NQ10C(O)Q10、−N(Q10)C(S)NQ1010、−N(Q10)C(S)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールから選ばれる1〜3の置換基を有するアリール基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0016】
上記用語「置換されるヘト」は、非限定的に、置換されるインドリルを含み、及び−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、NQ10C(O)OQ10、−OC(O)NQ1010、−NQ10C(S)OQ10、−O−C(S)NQ1010、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(S)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールから選ばれる1〜4の置換基を含むヘト基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0017】
上記用語「置換されるアルケニル」は1〜3の置換基−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(S)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールを含むアルケニル基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0018】
上記用語「置換されるアルコキシ」は1〜3の置換基−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−OC(O)−NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(S)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールを含むアルコキシ基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0019】
上記用語「置換されるシクロアルケニル」は1〜3の置換基−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(S)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールを含むシクロアルケニル基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0020】
上記用語「置換されるアミノ」は1又は両方のアミノ水素が−OQ10、−SQ10、−S(O)210、−S(O)Q10、−OS(O)210、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)2−N=S(O)(Q102、−S(O)2−N=S(Q102、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(S)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−NQ10C(S)NQ1010、−S(O)2NQ1010、−NQ10S(O)210、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10、−NO2、−SNQ1010、アルキル、置換されるアルキル、ヘト、ハロ、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールから選ばれる基で置換されるアミノ基をいう。上記ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ15から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0021】
それぞれのQ10は−H、アルキル、シクロアルキル、ヘト、シクロアルケニル、及びアリールから独立に選ばれる。上記ヘト、アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びアリールはハロ及びQ13から選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0022】
それぞれのQ11は−H、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、及びヘトから独立に選ばれる。上記アルキル、アリール、シクロアルキル、及びヘトはハロ、−NO2、−CN、=S、=O、及びQ14から独立に選ばれる1〜3の置換基で場合により置換される。
【0023】
それぞれのQ13はQ11、−OQ11、−SQ11、−S(O)211、−S(O)Q11、−OS(O)211、−C(=NQ11)Q11、−S(O)2−N=S(O)(Q112、−S(O)2−N=S(Q112、−SC(O)Q11、−NQ1111、−C(O)Q11、−C(S)Q11、−C(O)OQ11、−OC(O)Q11、−C(O)NQ1111、−OC(O)−NQ1111、−C(S)NQ1111、−C(O)C(Q162OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ11C(O)Q11、−NQ11C(S)Q11、−NQ11C(O)NQ1111、−NQ11C(S)NQ1111、−S(O)2NQ1111、−NQ11S(O)211、−NQ11S(O)Q11、−NQ11SQ11、−NO2、及び−SNQ1111から独立に選ばれる。
【0024】
それぞれのQ14は−H又は−F、−Cl、−Br、−I、−OQ16、−SQ16、−S(O)216、−S(O)Q16、−OS(O)216、−NQ1616、−C(O)Q16、−C(S)Q16、−C(O)OQ16、−NO2、−C(O)NQ1616、−C(S)NQ1616、−CN、−NQ16C(O)Q16、−NQ16C(S)Q16、−NQ16C(O)NQ1616、−NQ16C(S)NQ1616、−S(O)2NQ1616、及び−NQ16S(O)216から独立に選ばれる1〜4の置換基でそれぞれ場合により置換されるアルキル、シクロアルキル、フェニル若しくはナフチルから選ばれる置換基である。上記アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは=O又は=Sでさらに場合により置換される。
【0025】
それぞれのQ15はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、フェニル又はナフチルであり、それぞれ−F、−Cl、−Br、−I、−OQ16、−SQ16、−S(O)216、−S(O)Q16、−OS(O)216、−C(=NQ16)Q16、−S(O)2−N=S(O)(Q162、−S(O)2−N=S(Q162、−SC(O)Q16、−NQ1616、−C(O)Q16、−C(S)Q16、−C(O)OQ16、−OC(O)Q16、−C(O)NQ1616、−C(S)NQ1616、−C(O)C(Q162OC(O)Q16、−OC(O)−NQ1010、−CN、−NQ16C(O)Q16、−NQ16C(S)Q16、−NQ16C(O)NQ1616、−NQ16C(S)NQ1616、−S(O)2NQ1616、−NQ16S(O)216、−NQ16S(O)Q16、−NQ16SQ16、−NO2、及び−SNQ1616から独立に選ばれる1〜4の置換基で場合により置換される。上記アルキル、シクロアルキル、及びシクロアルケニルは=O又は=Sでさらに場合により置換される。
【0026】
それぞれのQ16は−H、アルキル、及びシクロアルキルから独立に選ばれる。上記アルキル及びシクロアルキルは1〜3のハロを場合により含む。
それぞれのQ17は−H、−OH、及び1〜3のハロ及び−OHを場合により含むアルキルから独立に選ばれる。
【0027】
本発明は本明細書中に示される有用な特性を有する、本発明に係る化合物のいかなるラセミ、光学活性、同質異像、互変異性若しくは立体異性形又はそれらの混合物をも含むことが理解されるべきである。
【0028】
上記用語「場合により置換される」は本明細書中に定義される1以上の基により置換されうる基をいう。例えば、場合により置換されるインドリルは、上記句置換されるヘトについて、上記に示される1以上の基を場合により含むインドリル(ヘト)をいう。
【0029】
詳細な説明
本発明の目的はヒト血清アルブミンに対する化合物のアフィニティを決定するための蛍光に基づいた分析を提供することである。本発明のさらなる目的は高い量子産出を有する蛍光プローブを提供することである。他の目的はほとんどの他の化合物の吸収バンドより長い励起波長を示す蛍光プローブを提供することである。またさらなる目的はほとんどの他の化合物による妨害がほとんどない範囲に蛍光発光波長を有するプローブを提供することである。
【0030】
本発明はヒト血清アルブミン(HSA)に対する試験化合物の分子アフィニティ(平衡解離定数、Kd’s又は結合定数)を決定する方法を示す。上記分子アフィニティは、後にプローブと呼ばれる式Iの蛍光化合物の置換を計測することにより決定される。HSAに対する単一の化合物のアフィニティ又は化合物アフィニティのハイスループット(HT)決定はこの方法及び蛍光リーダーを用いて得られうる。HTスクリーニングは「一度に」のように連続して又は複数のサンプルセルを同時に計測することによるように並行した様式でサンプルセルを計測することにより行われうる。
【0031】
上記プローブは高い量子産出及び480〜580nmの最大蛍光発光波長及び310〜430nmの励起波長の如き有用な蛍光特性を示す。上記プローブの励起波長範囲は多くの通常の薬物分子より長く、及びそれにより不確定な内部フィルター又は化合物吸収効果を減少させる。
【0032】
HSAでの上記プローブの滴定は、上記プローブはHSAに結合し及び上記プローブがHSAに結合するときに観察される530nmでの発光の消滅と共に環境に感受性であることを示した。HSA上の既知の部位に結合するリガンド(イブプロフェン、フェニルブタゾン、ワルファリン及びヂクロフェナク)を用いたプローブ置換実験は、上記プローブは部位I及び部位IIと相互作用する化合物により置換されうることを示した。上記プローブがHSA上の複数の部位に結合するというさらなる確認は、等温線滴定カロリメトリー実験により決定されるように、HSAのそれぞれの分子に結合した2分子のプローブの化学量論により示された。
【0033】
この方法を用いて分子の結合定数を決定するために、緩衝された水中のプローブの溶液をキュベットに若しくはマルチウェルプレート中のウェルに又は蛍光リーダー中に入れられうる他の好適なサンプルセルに添加する。上記プローブ溶液の蛍光を計測し、1モーラー過剰のヒト血清アルブミンを添加し、及び蛍光における変化を記録する。上記試験化合物をその後上記キュベットに添加し、及び室温で30〜60分間平衡化する。上記蛍光を再び読み、及びHSAから競合的に置換されたプローブのパーセントを以下の式により計算する:
置換されたパーセントプローブ=100−[(f0−fa)/(f0−fb)]×100:
ここで、f0は緩衝液中のプローブの蛍光であり、
bはHSA中のプローブの蛍光であり、及び
aは化合物、HSA及びプローブの蛍光である。
上記置換されたパーセントプローブはHSA上の2の通常の薬物結合部位に対する試験化合物のアフィニティの定量的な計測を提供する。
【0034】
全体の平衡解離定数、Kdは式:
d=(f−fb)/(f0−f)*[I0−B0*(f0−f)/(f0−fb)]
によりシングルポイント置換値から計算されることができ、ここで、I0は試験化合物濃度であり、及びB0はHSA濃度である。
上記蛍光は一度に1のサンプルで計測されうる又は複数のサンプルは同時に計測されうる。
【実施例】
【0035】
実施例
さらなる詳細なしに、当業者は前記記述を用いてその最も完全な程度まで本発明を実施しうると考えられる。以下の詳細な実施例はどのように本発明のさまざまなプロセスを行うかを示し、及び単に例示であり及びいかなるようにも前記開示の限定ではないと解釈されるべきである。以下の実施例において「プローブ」と呼ばれる化合物は5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸である。当業者は好適なプローブについて及び分析条件及び技術について上記手順から適切な変形を即座に認識するであろう。
【0036】
プローブ及びそのアナログの合成
【化2】

【0037】
メチル2−メチル−5−ニトロ安息香酸
【化3】

2−メチル−5−ニトロ安息香酸(5.0g、27.6mmol)をMeOH(0.4L)中に溶解し、続いてH2SO4(7mL)を添加した。上記混合物を還流で36時間熱し、その後室温まで冷却し、及び約100mLまで濃縮させた。上記溶液をMTBEで希釈し、6N NaOHで中和し、1N NaOH、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、及び吸引下で濃縮させ、4.72g(87%)のメチル2−メチル−5−ニトロ安息香酸を白色固体として得た。
【0038】
メチル2−メチル−5−ニトロ安息香酸についての分析データ
1H NMR,CDCl3)δ8.80,8.25,7.44,3.97,2.74。
メチル5−アミノ−2−メチル安息香酸
【化4】

【0039】
メチル2−メチル−5−ニトロ安息香酸(5.0g、25.6mmol)をH2の35psi気体下でRaneyニッケルを含むEtOH中に溶解した。上記反応を20時間攪拌し、その後Celiteをとおしてろ過し、MeOHで洗浄し、及び吸引下で濃縮させ、4.2g(100%)のメチル5−アミノ−2−メチル安息香酸を得た。
【0040】
メチル5−アミノ−2−メチル安息香酸についての分析データ
1H NMR,CDCl3)δ7.32,7.06,6.82,3.89,2.49。
メチル5−シアノ−2−メチル安息香酸
【化5】

【0041】
メチル5−アミノ−2−メチル安息香酸(4.2g、25.4mmol)をMeOH/H2O(20mL/46mL)中に溶解し、氷浴で冷却し、続いてHCl(54mL)、NaNO2(2.63g、38.1mmol、H2O 60mL中)を添加した。上記混合物を1/2時間攪拌し、その後固体NaHCO3、大量の気体放出で中和した。その後H2O(40ml)/EtOAc(80mL)中のKCN(2.48g、38mmol)及びCuCN(2.9g、33mmol)の冷混合物を添加した。上記反応を1/2時間攪拌し、その後Celiteをとおしてろ過し、EtOAcで抽出し、その後H2O、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、及び吸引下で濃縮させた。上記残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘプタン/DCM 19/1、9/1、1/1、1/0)により精製し、1.89g(42%)のメチル−5−シアノ−2−メチル安息香酸を白色固体として得た。
【0042】
メチル−5−シアノ−2−メチル安息香酸についての分析データ
1H NMR,CDCl3)δ8.23,7.68,7.38,3.94。
メチル2−(ブロモメチル)−5−シアノ安息香酸
【化6】

【0043】
メチル5−シアノ安息香酸(4.50g、25.6mmol)、NBS(5.03g、28.25mmol)及びAIBN(150mg)をヂクロロエタン(160mL)中に溶解した。上記混合物を光ランプで2時間照射した。上記混合物を室温まで冷却し、及び吸引下で濃縮させた。上記残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/ヘプタン 1/9、1/4、1/1、1/0)により精製し、4.79g(73%)のメチル2−(ブロモメチル)−5−シアノ安息香酸を得た。
【0044】
メチル2−(ブロモメチル)−5−シアノ安息香酸についての分析データ
1H NMR,CDCl3)δ8.29,7.79,7.63,4.97,4.00。
メチル2−{[ブロモ(トリフェニル)フォスフォラニル]メチル}−5−シアノ安息香酸
【化7】

【0045】
メチル2−(ブロモメチル)−5−シアノ安息香酸(2.80g、10.9mol)をトルエン(50mL)中のトリフェニルフォスフィン(2.87g、10.9mmol)の溶液に添加した。生ずる混合物を還流で3時間熱し、室温まで冷却し、上記沈殿物をろ過により単離し、ペンタンで洗浄し、4.64g(82%)のメチル2−{[ブロモ(トリフェニル)フォスフォラニル]メチル}−5−シアノ安息香酸を白色固体として得た。
【0046】
メチル2−{[ブロモ(トリフェニル)フォスフォラニル]メチル}−5−シアノ安息香酸についての分析データ
1H NMR,DMSO−6)δ8.22,8.08,8.79−7.51,5.63,3.48。
(1−メチル−1H−インドール−2−イル)メタノール
【化8】

【0047】
1−メチル−1H−インドール−2−カルボキシレート(1.0g、5.71mmol)をTHF(50mL)中のLiAIH4(217mg、5.71mmol)に添加した。気体放出が観察され、及び上記反応を室温で6時間攪拌し、その後H2O(300μL)、その後6N NaOH(300μL)、続いてH2O(600μL)で停止させた。上記混合物を室温で20分間攪拌させ、その後celiteをとおしてろ過し、及び吸引下で濃縮させ、855mg(93%)の(1−メチル−1H−インドール−2−イル)メタノールを得た。
【0048】
(1−メチル−1H−インドール−2−イル)メタノールについての分析データ
1H NMR,DMSO−6)δ7.49,7.40,7.14−6.96,6.34,5.22,4.63,3.73。
1−メチル−1H−インドール−2−カルブアルデヒド
【化9】

【0049】
(1−メチル−1H−インドール−2−イル)メタノール(850mg、5.2mmol)をDCM(100mL)中に溶解し、続いてクロロクロム酸ピリヂニウム(2.3g、10.5mmol)を添加した。上記混合物を室温で4時間攪拌し、その後シリカプラグをとおして注ぎ、DCMで溶離した。上記溶媒を吸引下で蒸発させ、及び上記残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/ヘプタン/MeOH 1/1/0、1/0/0、19/0/1)により精製し、216mg(25%)の1−メチル−1H−インドール−2−カルブアルデヒドを得た。
【0050】
1−メチル−1H−インドール−2−カルブアルデヒドについての分析データ
1H NMR CDCl3)δ9.90,7.75,7.48−7.41,7.28,7.23−7.17,4.12。
メチル5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸
【化10】

【0051】
メチル2−{[ブロモ(トリフェニル)フォスフォラニル]メチル}−5−シアノ安息香酸(842mg,1.63mmol)をDMSO(20mL)中に溶解し、続いてNaH(66mg、1.63mmol)を添加した。気体放出が観察され、上記反応を60℃で2時間熱し、その後室温まで冷却させ、及び1−メチル−1H−インドール−2−カルブアルデヒド(216mg、1.3mmol)を添加し、及び上記反応を室温で2時間攪拌した。上記混合物をMTBEで希釈し、H2O、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、及び吸引下で濃縮させた。上記残留物をシリカゲルプラグ(DCM)により精製し、Z/E混合物を得た。上記固体をトルエン(50mL)中に溶解し、続いてチオフェノール(100μL)及びAIBN(14mg)を添加した。上記反応を還流で12時間熱し、その後吸引下で濃縮させた。上記残留物をMeOHから再結晶化し、272mg(63%)の5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸をE/Z(12.6/1)混合物として得た。
【0052】
メチル5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸についての分析データ
1H NMR,CDCl3)δ8.27,8.11,7.88(D,=8.3Hz,1H),7.77(dd,=1.7,8.3Hz,1H),7.63,7.35−7.11,3.69,3.88。
5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸
【化11】

【0053】
メチル5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸(272mg、0.86mmol)をTHF(50mL)中に溶解し、及び6N NaOH(5mL)を添加し、生ずる混合物を室温で48時間攪拌し、その後MTBEで希釈し、1N HCl、H2O、塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、ろ過し、及び吸引下で濃縮させた。上記残留物をMeOHから再結晶化し、197mg(75%)を純粋なE−のみの異性体として得た。
【0054】
分析データ
1H NMR(DMSO−6)δ 13.70,8.24−8.21,8.03−8.00,7.99,7.60,7.56,7.47,7.19−7.15,7.04,6.87,3.88。
【0055】
実施例1:一般的な手順
緩衝されたプローブ溶液(200μLのリン酸緩衝塩水中の0.5μMプローブ)を器械上の自動化液体注入装置を用いて96ウェルプレートのそれぞれのウェルに添加した。それぞれのウェルに、最後の行のウェルを除いて、15μLの20μM HSAを添加した。上記プレートの最後の2行を除いて、試験化合物をウェルに添加し、室温で60分間平衡化し、及びその後蛍光を試験化合物ウェル(f)、プローブ、緩衝液及びHSAを含むウェルの行(f0)、及びプローブ及び緩衝液のみを含むウェルの最後の行(fb)について読んだ。蛍光計測における精度は3〜6%以内であると決定され、及び1ヶ月の延長された期間にわたる分析再現性はHSA、プローブ溶液及びストック試験化合物の複合的な調製物を用いて10%以内であった。
【0056】
実施例2:薬品、装置及び分析ストック溶液
酢酸セルロース電気泳動により示される≧95%の純度のヒト血清アルブミン、フラクションVをCalbiochem(カタログ番号12666)から購入した。マグネシウム又はカルシウムを含まないDulbecco’sリン酸緩衝塩水(PBS)をGibcoから購入した。ヂメチルスルフォキシドをEM Scienceから購入した。HSAストック溶液を5mg/mL(77μM)の名目上の濃度でDulbecco’sPBS中に調製した。HSAストック溶液の正確な濃度をPerkin Elmer Lambda 40 UVスペクトロフォトメーター、ε280=35,600M-1cm-1で280nmの500μlストック溶液の吸収を計測することにより決定した。HSAストック溶液を5℃で貯蔵した。THE PROBEのストック溶液、FW 302.3g/MをDMSO中に10mMで調製した、150μL DMSO中0.45mgのTHE PROBE。この溶液を5℃で琥珀色の瓶中に貯蔵した。
【0057】
SPECTRAmax GEMINIデュアルスキャニングマイクロプレートスペクトロフルオロメーター(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を蛍光データを集めるために使用し、及びBMG Polarstar Galaxy(BMG LabTechnologies, Offenburg Germany)からの自動インジェクターシステムを分析プレートに緩衝液及びアルブミンを分配するために使用した。Corningからの分析プレート(カタログ番号3915)は平底の黒色ポリスチレン、96ウェルであった。
【0058】
実施例3:プローブ置換分析手順
被検体溶液をDMSO中に5mMで調製した。等分、0.5μLをウェルA1、B1及びC1で開始して三重で分析ウェルに分配した。これは200μLのPBS+THE PROBE及び15μLの20μMのHSAの添加後、12μMの最終被検体濃度をもたらす。次の被検体をウェルD1、E1及びF1に添加した。この様式で、列当たり2の被検体又は全体で21化合物が1の96ウェルプレート上で分析されうる。上記分析プレートの最後の2列は標準の分析のために残しておき、及び最後の2行はコントロール及びブランクの繰り返し分析のために残しておいた。典型的なプレートレイアウトは表1中に示される。
【0059】
5μl等分のTHE PROBEを0.5μMの最終プローブ濃度になるように100mLのPBS中に希釈した。Polarstarのインジェクター1番をこの溶液で満たし、及び200μlのプローブ溶液を上記分析プレートのそれぞれのウェルに添加した。上記プレートをデータ収集のためにSpectraMax Geminiリーダーに移した。アルブミンが添加されていないこのはじめのリードを蛍光応答に対する被検体の影響を決定するために行った。データ取得を24℃の一定温度でSpectraMax Geminiプレートリーダー上のSOFTmax PRO3.1.1ソフトウェアを用いて制御した。励起波長は370nmであり、及び発光波長は530nmのカットオフフィルターを伴って533nmであった。検出器応答を14リード/ウェルで高い感受性に設定した。それぞれの化合物を三重で分析し、平均及び標準偏差をSOFTmax Proソフトウェアを用いて計算した。
【0060】
ストックHSA溶液を1.7mLのPBSに0.60mLの77μMストックを添加することにより20μMまで希釈した。Polarstarのインジェクター2番を20μM HSAで満たし、及びブランクを除く全てのウェルに添加された15μl等分は1.4μMの最終HSA濃度をもたらした。上記HSA添加が完了した後、上記プレートを同じパラメーターを用いて再び読み、及びさらなるリードを24℃で60分間のインキュベーション後に行った。上記プレートを最後の時間について読んだ後、HSAから競合的に置換されたTHE PROBEのパーセントを式:
【0061】
D=100−[(f0−fa)/(f0−fb)]*100
【0062】
により平均相対蛍光値から計算し、ここで、Dは被検体によりHSAから置換されたパーセントTHE PROBEであり、f0はPBS中のTHE PROBEの蛍光であり、fbはHSAに結合したTHE PROBEの蛍光であり、及びfaは被検体が添加された蛍光である。
【0063】
実施例4:部位I及び部位IIに結合することが知られる化合物によるTHE PROBEの置換
実施例3の分析プロトコルにしたがって、部位I又は部位IIでHSAに結合することが知られる化合物をHSAからTHE PROBEを置換するそれらの能力について試験した。使用された化合物は部位IIに高いアフィニティを有するイブプロフェン、部位Iに高いアフィニティを有するワルファリン及びフェニルブタゾン及び両方の部位にアフィニティを有するヂクロフェナクを含んだ。上記化合物のそれぞれにより置換されたTHE PROBEのパーセントは表2中に示される。
【0064】
実施例5:等温線滴定カロリメトリー
等温線滴定カロリメトリー実験をMicrocal, Inc.(Northampton, MA)からのOMEGA滴定マイクロカロリメーターを用いて行った。データ収集、分析、及びプロット化を器械業者により供給されるWindows(登録商標)に基づいたソフトウェアパッケージ(Origin 5.0)を用いて行った。上記滴定マイクロカロリメーターは断熱囲い中に保たれるサンプル及びリファレンスセルから成った。上記カロリメーターを既知の値に対して適用された熱パルスの計測された領域を比較することにより較正した。既知の及び実験で計測された値は2%以内に一致した。
【0065】
上記プローブを10mMでDMSO中に調製し、及びPBS中に500μMまで希釈した。上記プローブ及びHSA溶液を分析前に脱気した。リファレンスセルをPBSで満たした。PBS中のHSAの20μM溶液を1.37mLサンプルセル中に入れ、及び上記プローブ(0.5mM)を250μLシリンジ中に保った。プローブの30インジェクション(それぞれ6μL)を37℃で保たれたHSAで満たされたサンプルセル中へコンピュータ制御ステッピングモーターにより行った。上記シリンジ攪拌速度は400rpmであった。それぞれの注入で吸収された又は放出された熱をMicrocal nanovolt preamplifierにつなげられたサーモエレクトリック装置により計測した。結合相互作用についての滴定等温線はそれぞれの注入についての異なる熱フロウから成った。透析緩衝液へのリガンドの注入により得られる希釈の熱は小さかったが、上記データをフィッティングする前にさし引かれた。等温線は上記器械に含まれる相互作用非直線最小二乗法アルゴリズムを用いて単一部位モデルによくフィットする(Wiseman, T., et al. Anal. Biochem(1989)179, 131−137)。
【0066】
全てのパラメーターを、最小のX2が実験の及びフィットデータの間で得られるまで相互作用中で変動させた。この方法による等温線のデコンヴォルーションはそれぞれの相互作用についての結合の結合定数、K、エンタルピーにおける変化、ΔH、及び化学量論、Nを提供した。自由エネルギーにおける変化(ΔG)及びエントロピーにおける変化(ΔS)をギブスの自由エネルギーの式を用いて決定した。
【0067】
実施例6:プローブ及びそのHSAとの相互作用の特徴付け
図1は上記プローブの励起及び発光スペクトルを示す。最大励起は370nmであり、及び最大発光は533nmであった。強度対プローブの濃度における直線性の応答は調べられた範囲にわたり検出された。0.5μMの上記プローブのHSA(フラクションV)での滴定は、上記プローブの蛍光発光強度が環境に感受性であることを示した。図2A中に示されるように、533nmでの上記プローブの蛍光強度はHSAの増大する濃度と共に減少し、及び470nmでの強度における対応する増大があった。上記プローブについてのHSA結合部位(単数又は複数)の画分飽和はそれゆえプローブが結合する又はHSAから放出されるにつれて上記プローブの蛍光における変化を追うことにより決定されうる。図2Bは上記プローブのHSAとの相互作用について得られた平均結合等温線を示す。上記データは23℃でPBS中でのHSAでの110nMプローブの三重滴定からの平均等温線を示す。これらのデータは単一部位結合等温線についての式を用いてよくフィットされ、0.39μMの平衡解離定数、Kdをもたらした。上記データは単一部位モデルにフィットするが、上記プローブはHSA上の部位I又は部位IIのいずれかに結合することが知られる化合物により置換されうる(Sudlow, et al, Mol. Pharm. 11, 824(1975))。表2は、12μMイブプロフェン、ワルファリン、ヂクロフェナク及びフェニルブタゾンがそれぞれHSAから上記プローブを置換することができることを示した。イブプロフェンは〜1μMの部位IIでのアフィニティを有する(Peters, All about Albumin, Academic Press, New York, 432(1996))。ワルファリン及びフェニルブタゾンはそれぞれ、3及び1.4μMのKdで部位Iで結合した(Peters, 1996)。ヂクロフェナクの高いアフィニティ結合(Kd=2μM)はベンゾヂアゼピン部位で、及びワルファリンと共有される第二の部位で(Kd=17μM)起こることが示された(Chamouard et al. Biochem. Pharm. 34(10), 1695, (1985))。
【0068】
単一濃度置換実験に加えて、HSAからの上記プローブの置換をHSAに結合したプローブの溶液をイブプロフェン又はフェニルブタゾンで滴定することにより調べた。図3は上記プローブの出発濃度がPBS中19μM HSAを伴って0.5μMであった実験の結果を示す。イブプロフェンはHSAに結合したプローブの約75〜80%を置換することができ、及び結合した残るプローブのほとんどはフェニルブタゾンでの滴定により置換されることができた。
【0069】
図3は等温線滴定カロリメトリー(ITC)により計測される上記プローブのHSAとの相互作用についての結合等温線を示す。上部パネルはHSAへの上記プローブの6μL注入当たりの熱フロウを示す。緩衝液への上記プローブの希釈の熱はごくわずかであった。図3の下部パネルはそれぞれの注入についての統合された熱及び使用された単一部位モデルからの最もよいフィットラインを示す。上記モデル及び上記データの間の一致は優れており、及び約2分子のプローブが1HSA当たり結合したことを示した。上記相互作用についてのエンタルピー変化は−10.4kcal/Mであり、全ての結合相互作用についての平均アフィニティは15μMであった。
【0070】
実施例7:プローブの競合的置換により決定されるHSAアフィニティ
アナログシリーズ中の抗菌活性を有する化合物を実施例3中に示される競合的置換分析を用いて調べた。化合物のそれぞれについてのHSAからのプローブのパーセント置換は表3中に列挙される。表3はまた10%血清を伴う及び伴わないそれぞれの化合物についてのS. aureus 9218に対するMIC値の率をも列挙する。0.67の相関でパーセント置換値及びMIC率の間には直線性の関係があった。このことは、HSAに対する化合物のアフィニティがこのセットの抗菌化合物についてはMICに対する血清効果に直接的に関連することを示した。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1A】図1AはPBS中での2.0μM(ダイアモンド)、1.5μM(三角)、1.0μM(四角)、及び0.5μM(丸)のプローブの励起スペクトルのプロットである。示される追加のスペクトルはPBSのベースラインスキャンである。
【図1B】図1BはPBS中での2.0μM(ダイアモンド)、1.5μM(三角)、1.0μM(四角)、及び0.5μM(丸)のプローブの発光スペクトルのプロットである。示される追加のスペクトルはPBSのベースラインスキャンである。
【図2A】図2Aは23℃でPBS中での、HSA(V)、等分当たり0.17μM HSAで滴定した0.5μMプローブの蛍光発光スペクトルのプロットである。530nmで最も大きな強度を有するスペクトルは緩衝液中のプローブである。530nmでのスペクトル強度は飽和までHSAのそれぞれの注入と共に減少する。
【図2B】図2BはPBS、pH7.0中でのHSA(V)での110nM THE PROBEの三重滴定からの平均結合等温線を示すデータポイントのプロットであり、エラーバーは標準偏差を示す。連続した線は単一部位結合等温線について示される式を用いてデータにフィットする最小二乗法曲線に由来した。
【図3】図3はフェニルブタゾン(丸)又はイブプロフェン(四角)による19μM HSAからのプローブの競合的置換のプロットである。
【図4】図4は2のプロットを示す。下部のプロットは、等温線滴定カロリメトリー結果、PBS中のHSA(V)とのプローブ相互作用についての統合されたエンタルピー及び最小二乗法曲線フィットを示す。上部のプロットは35℃のPBS中のHSA(V)の20μM溶液へのプローブの0.5mM溶液の6μL注入当たりのエンタルピー変化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
a)緩衝溶液を提供する;
b)上記溶液に被検体を添加する;
c)上記溶液に複数のヒト血清アルブミン部位に結合するプローブ化合物を添加する;
d)上記溶液にヒト血清アルブミンを添加する;
e)上記被検体、プローブ化合物、及びヒト血清アルブミンを含む上記溶液を照射する;
c)上記照射された溶液の蛍光を計測する;及び
d)上記計測された蛍光に基づいて上記被検体の結合アフィニティを計算する
を含む、被検体の結合アフィニティの測定方法。
【請求項2】
上記プローブは以下の式I:
【化1】

{式中:
Xはハロゲン、−CN、NO2、アリール、−C(O)−Rの群から選ばれる1〜3の置換基であり、ここで、Rは場合により置換されるC1−C4アルキル又は場合により置換されるアリールであり;そして
Yは置換される又は置換されないヘテロアリールである。}で表される化合物
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Yは場合により置換されるインドリルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Yは1−メチル−インドール−2−イルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記プローブは5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
上記被検体の結合アフィニティの計算は、以下の式:
D=100−[(f0−fa)/(f0−fb)]*100
{ここで、Dは被検体によりヒト血清アルブミンから置換されたパーセントTHE PROBEであり、f0は緩衝溶液中のTHE PROBEの蛍光であり、fbはHSAに結合したTHE PROBEの蛍光であり、そしてfaは被検体及びプローブ化合物を含む溶液の蛍光である。}
を介してプローブのパーセント置換を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
上記蛍光は480〜580nmの間で計測される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
プローブ化合物及び被検体を含む溶液の蛍光を計測することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
以下のステップ:
a)複数の緩衝溶液を提供する;
b)複数の被検体を提供する;
c)複数の上記緩衝溶液に上記複数からの1の被検体を添加する;
d)被検体を含む複数の上記溶液にヒト血清アルブミンの部位I及び部位IIに結合するプローブ化合物を添加する;
e)被検体、及び上記プローブ化合物を含む複数の上記溶液にヒト血清アルブミンを添加する;
f)上記被検体、上記プローブ化合物、及びヒト血清アルブミンを含む複数の上記溶液を照射する;
g)上記照射された溶液の蛍光を計測する;及び
h)上記計測された蛍光に基づいて上記溶液のそれぞれにおける上記被検体の結合アフィニティを計算する
を含む、ハイスループットスクリーニングの実行方法。
【請求項10】
上記プローブは以下の式I:
【化2】

{式中:
Xはハロゲン、−CN、NO2、アリール、−C(O)−Rの群から選ばれる1〜3の置換基であり、ここで、Rは場合により置換されるC1−C4アルキル又は場合により置換されるアリールであり;そして
Yは置換される又は置換されないヘテロアリールである。}により表される化合物
である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
Yは場合により置換されるインドリルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Yは1−メチル−インドール−2−イルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記プローブは5−シアノ−2−[(E)−2−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)エテニル]安息香酸である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
それぞれの被検体の結合アフィニティの計算は、以下の式:
D=100−[(f0−fa)/(f0−fb)]*100
{ここで、Dは被検体によりヒト血清アルブミンから置換されたパーセントTHE PROBEであり、f0は緩衝溶液中のTHE PROBEの蛍光であり、fbはHSAに結合したTHE PROBEの蛍光であり、そしてfaは被検体及びプローブ化合物を含む溶液の蛍光である。}
を介してプローブのパーセント置換を決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
上記蛍光は480〜580nmの間で計測される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
プローブ化合物及び被検体を含む複数の溶液の蛍光を計測することをさらに含む、請求項9に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−513414(P2006−513414A)
【公表日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566200(P2004−566200)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/IB2003/006265
【国際公開番号】WO2004/063749
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】