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ヒト軟骨細胞と新規足場材料を用いた軟骨組織の製法
説明

ヒト軟骨細胞と新規足場材料を用いた軟骨組織の製法

【課題】 新しいヒト軟骨組織の作製方法を実現する新規技術を提供すること。
【解決手段】 ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料とともにヒト軟骨膜細胞を生体外で培養することを含む、軟骨再生方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨組織の製法に関し、より詳細には、軟骨幹細胞と担体材料とを用いて組織工学的手法により調製された再生軟骨組織の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織工学的な手法によりヒト軟骨組織を作製するためには、軟骨細胞・軟骨幹/前駆細胞と支持体としての3次元的な多孔質性の足場材料(担体)が必要である。
【0003】
このような足場材料は多孔質性や生体親和性や生体吸収性などの条件が要求され、従来、コラーゲンなどの天然高分子で調製した3次元的な多孔質性材料 あるいはポリ乳酸(PLA)やポリグリコール酸(PGA)や乳酸とグリコール酸との共重合体(PLGA)のような生体吸収性合成高分子などが用いられている(特許文献1〜5、非特許文献1〜5)。
【0004】
生体外で細胞から三次元軟骨組織構築を行う場合、通常適当な足場材料を用いて3次元培養を行うか、攪拌培養を行っていた(特許文献6、非特許文献6)。しかし、細胞に与えられる機械的刺激や損傷が強く、大きな組織を得ることは困難であった。
【0005】
近年、NASAが開発したガス交換機能を備えた回転式RWV(Rotating−Wall Vessel)バイオリアクターによる培養法が開発された。バイオリアクター内は、回転による応力のため、地上の重力に比較して100分の1程度の微小重力環境となり、細胞は培養液中に均一に懸濁された状態で浮遊しており、増殖・凝集して、大きな組織塊を形成することが可能となった(特許文献7、8、非特許文献7、8、9)。
【0006】
生体由来の天然高分子であるコラーゲンは、親水性で、細胞との相互作用が非常に優れており、細胞の播種の容易なものであるが、機械強度が低く、柔らかくてくずれやすい。一方、生体吸収性合成高分子であるPLAやPGAは、機械強度に優れているものの、疎水性であり、その大きい隙間のために大部分の細胞は隙間を通過してしまい、細胞を播種することが極めて困難である。さらに、生体内で吸収される際の炎症により細胞や組織が傷害されるために、その後の形態を維持できない。このように臨床応用に耐え得るヒト軟骨組織の作製のための多孔質性足場材料はまだ開発されていない。
【0007】
擬微小重力環境下での細胞培養において、どのような足場材料が好適であるかは従来は不明であった。すなわち、三次元培養の足場材料として一般的なコラーゲンスポンジ等は機械的に充分な強度を持たず、それらを用いたヒト軟骨組織は力学的な物性が劣っているという欠点があった。すなわち、従来技術では臨床応用に耐えられるようなヒト軟骨組織を作製することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−146086号公報
【特許文献2】特開2002−143291号公報
【特許文献3】特開2002−143290号公報
【特許文献4】特開2007−301387号公報
【特許文献5】WO2004/052418パンフレット
【特許文献6】WO2005/056072パンフレット
【特許文献7】WO2006/135103パンフレット
【特許文献8】特開2009−159887号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ushida, Cell Transplant 11, 489-494 (2002)、Ma, H.L. J Biomed Mater Res A 64, 273-281 (2003).、IsogaiN, Tissue Eng. 2004 May-Jun;10(5-6):673-87,Bosnakovski, D. Biotechnol Bioeng 93, 1152-1163(2006)、Afizah, H.,. Tissue Eng 13, 659-666 (2007)
【非特許文献2】Ma, H.L. J Biomed Mater Res A 64,273-281 (2003)
【非特許文献3】Isogai N, Tissue Eng. 2004May-Jun;10(5-6):673-87
【非特許文献4】Bosnakovski, D.Biotechnol Bioeng 93, 1152-1163 (2006)
【非特許文献5】Afizah, H.,. Tissue Eng13, 659-666 (2007)
【非特許文献6】Terada, S. Ann Plast Surg 55, 196-201 (2005)
【非特許文献7】Ohyabu Y Biotechnol Bioeng.2006 Dec5;95:1003-8
【非特許文献8】Yoshioka T J Orthop Res. 2007Oct;25(10):1291-8
【非特許文献9】Sakai S J Orthop Res. 2009 Apr;27(4):517-21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新しいヒト軟骨組織の作製方法を実現する新規技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記のような多孔質性担体材料の従来の問題点を解決するために、新規多孔質性担体(ハイドロキシアパタイト/コンドロイチン硫酸-コラーゲン複合体:HAp/ChS-Colあるいはハイドロキシアパタイト-コラーゲン複合体:HAp -Col)とヒト軟骨細胞あるいはヒト軟骨幹/前駆細胞を組み合わせることによって、臨床応用の可能な新しいヒト軟骨組織の作製方法を実現する新規技術である。
【0012】
本発明では、擬微小重力環境下(浮遊状態)での細胞培養の要素である細胞と足場となる担体材料を新規のものとしている。すなわち、細胞に関しては、ヒト軟骨細胞あるいはヒト軟骨幹/前駆細胞を用いる。また、新規多孔質性担体(ハイドロキシアパタイト/コンドロイチン硫酸-コラーゲン複合体:HAp /ChS-Colあるいはハイドロキシアパタイト-コラーゲン複合体:HAp -Col)は、良好な生体親和性を有し、軟骨細胞等の播種効率が良好で、かつ、ヒト軟骨組織の再構築効率が良好である。さらに、この新規多孔質性担体はハイドロキシアパタイトのナノ粒子を含んでいるために、適度な弾性力を有し機械的強度に優れたヒト軟骨組織を作製できることが大きな特徴である。
【0013】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料とともにヒト軟骨膜細胞を生体外で培養することを含む、軟骨再生方法。
(2)多孔質足場材料がさらに多糖を含む(1)記載の方法。
(3)多糖がコンドロイチン硫酸である(2)記載の方法。
(4)ヒト軟骨膜細胞がCD44+CD90+の表現型を有する(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)培養が三次元擬微小重力培養である(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料及びヒト軟骨膜細胞を含む、軟骨再生のための組成物。
【発明の効果】
【0014】
新規多孔質性担体は、構成成分にハイドロキシアパタイトのナノ粒子を含んでいるために、適度な弾性力を有し、機械的強度に優れている。また、良好な生体親和性を有し、軟骨細胞等の播種効率が良く、ヒト軟骨組織の再構築効率が良好である。
【0015】
細胞に関しても終末分化した成熟ヒト軟骨細胞を使用する方法とともに、高い増殖能・自己複製能・組織再構築能を兼ね備えたヒト軟骨幹/前駆細胞を用いることで、より高品質なヒト軟骨組織の作製が可能となる。
【0016】
生体外(例えば細胞培養系)において、臨床応用に耐えられるヒト軟骨組織を作製する技術は未開発である。本発明は、生体外の三次元培養系で弾性力と機械的強度を持ち長期的に形態維持されるヒト軟骨組織を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】High proliferative capacityof human perichondrocytes. (a) ヒト残存耳介軟骨の分離前(左)、並びに軟骨膜部、軟骨-軟骨膜移行部、軟骨実質部の分離後(右)組織のAlcian Blue染色。 Bars, 200μm (b) 培養4週後の軟骨細胞、移行部細胞、軟骨膜細胞のクローン性コロニー形成像。矢印は、培養1日目における単一の細胞を示す。Bars, 500μm (c) 軟骨細胞、移行部細胞、軟骨膜細胞のクローン性コロニー形成数の比較。50細胞以上からなる細胞集団を1コロニーと定義した。データは、mean±s.d.を示す。*, P<0.001, n=9。 (d) 培養1週、2週、12週目における軟骨細胞、移行部細胞、軟骨膜細胞の形態観察。 Bars, 500μm (e) 軟骨細胞、移行部細胞、軟骨膜細胞の196日間に渡る経時的な増殖能の比較。データは、mean±s.d.を示す。*, P<0.01, n=5。
【図2】Enrichment of putative humancartilage stem/progenitor cells by CD44/CD90. (a) フローサイトメトリーによる種々の幹細胞マーカーを用いた軟骨細胞(左)、軟骨膜細胞(右)の表面抗原の発現解析。 黒線はアイソタイプコントロールを示す。 CD44、CD90の発現は軟骨細胞と比して軟骨膜細胞で高い陽性率を示した。(b) 軟骨膜細胞をCD44、CD90抗原の発現を指標に分画化した。3つの検体を用いて行った実験のうち代表データを示す。右上方のパネルに細胞数の割合を百分率で示す。 Invitro colony assayには、ソーティングゲートをCD44-CD90- 、CD44-CD90+、CD44+CD90-、CD44+CD90+ に設定した。 (c) 培養21日目、CD44-CD90- 、CD44-CD90+、CD44+CD90-、CD44+CD90+分画細胞の形成コロニーの肉眼観察。コロニーの染色にはギムザ染色を用いた。 (d)CD44+/CD90+分画細胞のクローン性コロニーの形成像。上段左より順に、1日目、3日目、5日目、下段左より順に7日目、14日目、21日目。Bars, 500μm (e)各分画軟骨膜細胞の巨大なコロニー形成率。横軸は、培養21日目において5mm以上の直径をもつコロニーの数を播種した500細胞で除した値を百分率で示す。各々のデータは、3つの検体を用いて行った実験のmean±s.d.を示す。*, P<0.05; **, P<0.01。
【図3】In vitro chondrogenic potential of humanperichondrocytes. (a) 積層化培養法を用いた軟骨分化誘導のスキーマ。 (b) In vitroにおける1層化、2層化、3層化培養後軟骨細胞(左)、軟骨膜細胞(右)の細胞化学染色。積層化を行うことにより、軟骨膜細胞は軟骨細胞と同様にプロテオグリカン(AlcianBlue)とType II Collagen(Col 2)産生細胞へと分化した。Bars, 200μm (c) Realtime PCRによる、積層化培養後軟骨膜細胞(黒)と軟骨細胞(白)における弾性軟骨分化関連遺伝子の発現解析。データは、3つの検体を用いて行った実験のmean±s.d.を示す。 (d) ELISAによる、単層培養並びに積層化培養を行った軟骨膜細胞(黒)と軟骨細胞(白)のプロテオグリカン、弾性線維、コラーゲン産生能の定量解析。データは、3つの検体を用いて行った実験のmean±s.d.を示す。(e)In vitro multi-differentiation and self-renewal capabilities ofhuman perichondrocytes. (a) 脂肪・骨分化誘導を行った軟骨細胞(左)、軟骨膜細胞(右)の細胞化学染色。コントロール群はメンテナンス培地を用いて培養を行った細胞の各染色を示す。軟骨膜細胞のみが脂肪(Oil Red O)、骨 (Arizarin Red S) 分化能を有していた。Bar, 100μm
【図4】Elastic cartilage reconstructioncapability of human perichondrocytes. (a,i) ヒト軟骨細胞(左)、軟骨膜細胞(右)は両者ともに重症免疫不全マウスの背部皮下移植3ヶ月後に軟骨様組織を再構築した。Bars, 1mm (b-f,j-n) H&E、Alcian Blue、SafraninO、Toluidine blue染色の結果から、いずれも多量のプロテオグリカン産生を行う成熟軟骨細胞から構成される軟骨組織を再構築することが判明した。 (g,o)再構築された軟骨組織の種類は弾性線維(Elastica Van Gieson; EVG)に富む弾性軟骨組織であった。(h,p)免疫組織化学染色の結果から、いずれの細胞から再構築された組織とも軟骨基質であるType II collagen(Col 2)陽性であったが、軟骨膜細胞(右)より再構築された弾性軟骨組織のみがTypeI collagen (Col 1)陽性の膜様組織を有していた。Bars,100μm
【図5】Bigger elastic cartilagereconstruction combined with newly developed scaffold. (a) 新規開発スキャフォールドの肉眼観察(左)と、電子顕微鏡による内腔観察(右)。 (b,e) 5mm X 5mm X 5mm大のCol 、pCol-HAp/ChSの肉眼観察。Bars, 5mm (c) Colにヒト軟骨膜細胞を播種後、重症免疫不全マウスへの移植一ヶ月目に摘出した組織は、光沢を有さない扁平な組織であった。Bar, 5mm (d) プロテオグリカン産生(AlcianBlue)は、部分的に被覆された一部の細胞が行うのみで、スキャフォールド内への細胞浸潤は認めなかった。 Bar, 1mm (f) 同一条件下でpCol-HAp/ChSを用いて移植一ヶ月後に摘出した組織は、光沢を帯びた軟骨様組織であった。Bar, 5mm (g) 再構築された組織は、全域に渡って細胞浸潤とプロテオグリカン産生を認める(Alcian Blue)軟骨組織であった。Bar, 1mm (h) 15mmX 15mm X 5mm大のpCol-HAp/ChSを用いて同様の移植実験を行うと、一ヶ月後には、用手圧迫後も形態保持性を有する弾力を有した12mm X12mm X 5mm大の軟骨様組織を再構築した。Bars, 5mm(i) 再構築組織の組織学的解析から、豊富な細胞浸潤 (H&E)が確認され、プロテオグリカン(Alcian Blue)、弾性線維(EVG)に富むヒト弾性軟骨を再構築することが明らかとなった。Bars, 200μm
【図6】治療のスキーム
【図7】マウス耳介軟骨膜におけるLabel-retainingcells(LRC)の局在(a) 5-bromo-2`-deoxyuridine (BrdU)(50μg/g body WT )を、エーテルで麻酔した妊娠17.5日目の母体マウスに12時間毎、計6回腹腔内投与した。妊娠マウスでは、生まれた仔を各週齢(新生仔〜2週齢、4週齢、24週齢、48週齢)の段階において解析に用いた。軟骨膜のBrdU陽性細胞は、BrdU投与直後の新生仔から2週齢まで減少したが、1年後までわずかながら存在した。軟骨膜と軟骨における一視野の背景細胞数で割ったBrdU陽性細胞数をLabel-retainingcells(LRC)残存比率とした。そして、100倍下の5視野の平均値から算出し、BrdU labeling Index (LI)とした。生後0,3日,1,2,4,24.48週間目のLIは86.6±2.8%、34±7.2%、3.8±1.3%、2.1±1.5%、0.3±0.2%、0.1±0.05%、0.08±0.06%であった。一方、軟骨のLRCは減少し続け、4週間目までに認められなくなった。軟骨の生後0,3日,1,2,4,24.48週間目のLIは86.4±3.3%、29±3.8%、0.93±0.4%、0.67±0.4%、0.0±0.0%、0.0±0.0%、0.0±0.0%であった。● ;LI of Perichondrium, ○ ;LI of Chondrium (b,c) 24週齢(b)と48週齢(c)のマウス耳介軟骨膜にBrdU陽性細胞(黄色矢印)が認められる。軟骨にBrdU陽性細胞は全く認められない。Bars 200μm
【図8】LRCにおけるCD44の発現(a) 表面抗原の免疫染色においてCD44が軟骨膜特異的に発現していた(黄色矢印)。Bars 100μm (b) BrdU投与後48週後に分離されたLRCはCD44を発現していた。Bars 20μm
【図9】ヒト軟骨膜細胞の自己複製能(a)ヒト軟骨膜細胞は第3,7さらには10継代後においても軟骨細胞、脂肪細胞および骨細胞へ分化し、多分化能を維持していた。Alcian Blue; Bars 200μm,OilRed O; Bars 50μm, Alizarin red S(b)Rreverse transcriptase polymerase chain reaction (RT-PCR)による各種分化マーカーの解析では、第10継代においても、軟骨分化マーカーであるCOL2A1,ACANと脂肪分化マーカーであるLPL,FABP4,PPARγおよび骨分化マーカーであるRUNX2,ALPLが発現していた。
【図10】ヒト軟骨膜細胞から再構築された軟骨ヒト軟骨膜細胞をマウス背部皮下に細胞移植し6ヶ月(a-f)および10ヶ月(g-l)後に取り出したところ、ヒト軟骨膜細胞由来の軟骨が再構築されていた。いずれも軟骨膜と軟骨層から構成され、軟骨層には弾性線維が豊富であった。血管侵入や石灰化沈着は全く観察されなかった。(a,g)再構築された軟骨のマクロ像 (b,h)HE染色 (c,i)Alcian Blue染色 (d,j)Ekastuca Van Gieson染色(e,k) TypeI(赤色)とTypeII(緑色)コラーゲン染色 弱拡大 (f,l) TypeI(赤色)とTypeII(緑色)コラーゲン染色 強拡大 Bars 100μm
【図11】ヒト軟骨膜細胞から再構築された大きな軟骨(a) ヒト軟骨膜細胞をマウス背部皮下に細胞移植し2ヶ月後に取り出したところ、ヒト軟骨膜細胞由来の大きな軟骨が再構築されていた。Bars 1mm(b)組織学的には組織全体にわたり均一に成熟した軟骨が再構築された。上からHE, Alcian Blue, Safranin O,Toluidine Blue, Ekastuca VanGieson染色 Bars 左弱拡大1mm、右強拡大20μm
【図12】ヒト耳介弾性軟骨膜細胞の重症免疫不全マウス肋軟骨への移植(a)ヒト軟骨膜細胞を重症免疫不全マウスの軟骨層だけを取り除いた肋軟骨膜下に細胞移植したところ、肉眼的観察下では軟骨が再構築されていた(白矢印)。Bars 4mm(b)再構築された軟骨はヒト由来であり、Elastinにて染色されなかった。Bars 200μm
【図13】三次元擬微小重力培養を用いた生体外での弾性軟骨作製法(a) 三次元擬微小重力培養の治療スキーム(b) 三次元擬微小重力培養装置の全体像(c) 耳介型に形成されたpCol-HAp/ChSの肉眼観察(上段)三次元擬微小重力培養にて再構築された耳介型軟骨Bars 3mm(d)組織学的観察。左からHE,AlcianBlue, Ekastuca Van Gieson染色 Bars 200μm
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
【0019】
本発明は、ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料とともにヒト軟骨膜細胞を生体外で培養することを含む、軟骨再生方法を提供する。
【0020】
多孔質足場材料はさらに多糖を含んでもよく、多糖としては、コンドロイチン硫酸を例示することができる。多孔質足場材料としては、例えば、Adegawa, T.,et al. Preparation and Characterization of Porous Scaffolds Consisted of Hydroxyapatite, Polysaccharides and Collagen for Cartilage Tissue
Engineering Key Eng Mater Vol 396-398, 707-710 (2009)に記載のものを挙げることができる。この文献では、ヒドロキシアパタイト(HAp)及びコラーゲンを含む多孔質足場材料、並びにヒドロキシアパタイト(HAp)、コンドロイチン硫酸(ChS)及びコラーゲンを含む多孔質足場材料が凍結乾燥法により作製されている。これらの多孔質足場材料は、HAp粒子又はHAp /ChS複合体(composite)粒子がコラーゲンマトリックスに含浸されているものである。これらの多孔質足場材料の孔径は直径80-200μmが適当であり、孔は互いに連続している(interconnected)とよい。また、HAp粒子の平均直径は、1〜20μmが適当であり、5〜10μmが好ましく、例えば、9.3μm とする。HAp/ChS粒子の平均直径は、1〜20μmが適当であり、5〜10μmが好ましく、例えば、8.6μmとする。HApとコラーゲンの質量比は、0.1〜2が適当であり、0.5〜1.5が好ましく、例えば、1:1とする。HAp/Chs中のChsの量は、1〜30質量%が適当であり、1〜10質量%が好ましく、例えば、5.2質量%とする。
【0021】
以下に多孔質足場材料の作製方法の一例を記載する。HAp及びHAp/ChS複合体を沈殿法で合成する(T.Ikoma et al.: Key Eng. Mater. Vol. 288-289, (2005),pp.159)。純CaCO3粉末を1050℃で3時間か焼する。得られたCaO粉末を蒸留水で300℃にて水和し、Ca(OH)2を生成する。ChS(生化学工業、ウシ気管由来)の添加有り、あるいは無しで、0.15 mol/l H3PO4溶液の1リットルを0.25 mol/l Ca(OH)2懸濁液1リットルへ室温で添加する。Ca(OH)2懸濁液へ分散するChSの濃度は2.5 mg/mlとし、10 wt%に調整する。懸濁液の最終pHは約8に調整する。得られた沈殿物をろ過し、乾燥し、次いで、乳棒と乳鉢で15分間粉砕する。かくして、HAp又はHAp/ChS複合体(composite)粉末が得られる。
【0022】
得られた粉末の結晶状態はX線回折(XRD)法及びフーリエ変換赤外分光学(FT-IR)で分析できる。粒子サイズの分布はイソプロピルアルコール中でレーザー回折法により測定できる。HAs/ChS中のChSの量は、熱重量測定分析(TG)により評価できる。粒子の形態学は走査型電子顕微鏡(SEM)で観察できる。
【0023】
多孔質足場材料を以下のように加工する。1 wt%のアルカリ可溶性コラーゲン(豚の皮膚由来)をリン酸緩衝液(pH 7.2, 100 mM)に溶解し、その後、HAp/ChS又はHAp粉末をコラーゲン溶液に混合する。添加するHApの量は、各懸濁液について、1 wt%に固定する。1 gの懸濁液を24ウェルプレートに注ぎ、-20℃に凍結させ、その後、多孔質足場材料を得るために凍結乾燥する。多孔質足場材料のコラーゲン分子を真空中で24時間130℃にてdehydrothermal処理により架橋させる。多孔質足場材料はSEMで観察することができる。機械的性質は、4℃で一晩リン酸緩衝食塩水(PBS)に浸漬した後、PBS中で行う圧縮試験により、特性付けすることができる。足場材料は70%歪まで圧縮する。足場材料の圧縮係数は、得られた圧力-歪曲線から計算することができる。
【0024】
コラーゲンとしては、動物等から抽出したものを使用することができ、由来する動物の種、組織部位等は特に限定されない。例えば、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ネズミなど)や鳥類(例えば、ニワトリなど)の皮膚、骨、軟骨、腱、臓器などから得られるコラーゲンを使用できる。また、魚類(例えば、タラ、ヒラメ、カレイ、サケ、マス、マグロ、サバ、タイ、イワシ、サメなど)の皮、骨、軟骨、ひれ、うろこ、臓器などから得られるコラーゲン様タンパク質を使用してもよい。コラーゲンの抽出方法は特に限定されない。コラーゲンは天然のものでも、遺伝子組み換え技術により得られたものでもよい。また、アテロコラーゲンであってもよい。
【0025】
ヒドロキシアパタイトとしては、種々の合成法で調製したものを使用することができ、結晶性や種々のイオンでの置換性は特に限定されない。例えば、カリウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、ストロンチウムイオン、フッ化物イオン、炭酸イオンなどで結晶構造サイトが一部置換されたヒドロキシアパタイトを使用してもよい。
【0026】
本発明の軟骨再生方法において使用するヒト軟骨膜細胞は、ヒト軟骨組織に由来する細胞であって、軟骨細胞に分化しうるものであればよい。ヒト軟骨膜組織に由来する細胞であって、軟骨細胞に分化しうるものは、軟骨幹及び/又は前駆細胞であると考えられる。軟骨膜組織は、耳介や肋軟骨などの軟骨組織を構成する組織の一部であって、軟骨膜を含む部分である。具体的には、最外層と線維芽細胞層(軟骨膜細胞層)を含む組織、最外層と線維芽細胞層(軟骨膜細胞層)と最内層を含む組織である。本発明で使用する細胞が由来するヒト軟骨膜組織は、最外層及び線維芽細胞層からなるとよく、最外層、線維芽細胞層及び最内層からなってもよい。軟骨膜組織は、ヒト、特に軟骨移植を必要とする患者から採取したものであるとよい。
【0027】
軟骨膜組織に由来する細胞は、軟骨膜組織から単離した細胞であっても、その細胞を継代培養して得られた細胞であってもよい。
【0028】
軟骨膜組織に由来する細胞を得るには、軟骨膜組織を採取し、採取した組織から細胞を分離するとよい。軟骨膜組織の採取は、ピンセットとハサミなどの鋭的な器具を用いてもよいし、剥離子などの鈍的な器具を用いてもよい。軟骨膜組織から細胞を分離するには、軟骨膜組織を一定の条件下でコラゲナーゼ処理をし(例えば、0.1-0.3%コラゲナーゼ、37℃、1-3時間)、その後遠心分離する(例えば、1500 rpm/5 minで2回)とよい。これらの処理条件は適宜変更でき、その変更されたものも本発明の範囲内にある。軟骨膜組織から分離した細胞を培養することにより、細胞を増殖させ、さらには軟骨細胞に分化させることができる。
【0029】
軟骨膜組織から分離した細胞を初代培養及び継代培養するには、血清(例えば、10%のFetal Bovine Serum(FBS)、移植の対象となる患者由来の血清)を添加したDulbecco`s Modified Eagles`s Medium/Nutrient Mixture F12(DMEM/F12)もしくはNutrient Mixture
F-12 Ham(F-12 Ham)中にて、約37℃で培養するとよい。培地は2-4日毎に交換するとよい。
【0030】
軟骨細胞は、増殖させるために長期間の培養が困難であるが、軟骨膜細胞は軟骨細胞と比較して長期間の増殖培養が可能である。
【0031】
軟骨膜組織から分離した細胞を軟骨細胞に分化させるには、血清を含む培地、例えば、DEME/F12、血清(例えば、10%のFBS、移植の対象となる患者由来の血清)、抗生物質及び抗ミトティック剤を含有する培地中にて、約37℃で培養するとよい。抗生物質と抗ミトティック剤の両方を含む薬剤としては、antibiotic antimycotic solution SIGMA A5955などを使用することができる。培地には、40〜60 μg/mlのデキサメタゾン(Dexamethasone)及び/又は30〜60 μg/mlのL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)をさらに添加してもよい。また、インスリン様成長因子(例えば、5〜10 ng/mlのInsulinlike growth factor-1(IGF-1)、、5〜10 ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(basic Fibroblast growth factor(bFGF))などをさらに添加してもよい。その他に、5〜10 ng/mlのインスリン(Insulin)などを添加してもよい。培地交換は2-3日毎にするとよい。
【0032】
軟骨膜組織由来の細胞を遠心管培養することにより細胞塊を形成させることができる。例えば、5ng/mlのInsulinlike growth factor-1(IGF-1)、5ng/mlのbasic Fibroblast growth factor(bFGF)、40ng/mlのDexamethasone、L-ascorbic acid、1%Antibiotic antimicotic solution、Insulin・Transferrin・Serine(ITS)を含むDMEM/F12の無血清培地中にて、約37℃で遠心管培養で2-4週間培養すると、細胞塊が形成する。
【0033】
また、軟骨膜組織由来の細胞を平板培養で単層化又は重層化することができる。例えば、DMEM/F12に10% FBSと1%Antibiotic antimicotic solutionを含んだ培地もしくはDMEM/F12に10% FBS、1%Antibiotic antimicotic solution、5ng/mlのIGF-1、5ng/mlのbFGF、40ng/mlのDexamethasoneを含んだ培地を用いて平板培養し、1週間毎に重層化すると、基質(例えば、プロテオグリカン)産生能が高まる。重層化の回数は、用途や必要とされる組織の大きさなどによって異なるが、通常、3〜5回が適当である。
【0034】
上記培地の組成及び成分含量は適宜変更でき、その変更されたものも本発明の範囲内にある。
【0035】
軟骨膜組織由来の細胞は、CD44+CD90+の表現型を有するものであることが好ましい。
【0036】
軟骨膜組織由来の細胞の培養は、三次元擬微小重力培養であることが好ましい。軟骨膜組織由来の細胞を擬微小重力環境下(浮遊状態)で培養することにより、細胞に与えられる機械的刺激や損傷が強く、大きな組織を得ることができる。例えば、NASAが開発したガス交換機能を備えた回転式RWV(Rotating−Wall Vessel)バイオリアクターによる培養法が利用可能である。
【0037】
本発明の軟骨再生方法は、ヒト以外の生物由来の軟骨膜細胞を用いることにより、ヒト以外の生物の軟骨再生にも応用可能である。
【0038】
また、本発明は、ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料及びヒト軟骨膜細胞を含む、軟骨再生のための組成物を提供する。
【0039】
ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料及びヒト軟骨膜細胞は上記の通りである。
【0040】
本発明の組成物は、さらに、ヒト軟骨膜細胞が産生する基質(例えば、aggrecan(ACAN) 、versican(CSPG2)、elastin (ELN)、alpha 1 type II collagen (COL2A1)、fibrillin 1 (FBN1)など)などを含んでもよい。
【0041】
本発明の軟骨再生法及び組成物は以下の応用が可能である。
【0042】
・先天奇形
鞍鼻/短鼻、Binder症候群、口唇口蓋裂に対する隆鼻術あるいはTreacher-Collins症候群、nager症候群に対する眼窩周囲の陥凹修正術は技術的に臨床応用可能である。
【0043】
小耳症に対する耳介再建術は開発段階である。
【0044】
・美容整形
審美的改善のための治療、例えば隆鼻術(鼻を高くする)、オトガイ形成術(アゴを出す)、顔面の小陥凹形成術、顔面左右非対称の修正術、眼瞼周囲の修正術は技術的に臨床応用可能である。
・外傷
顔面の小陥凹形成術、顔面左右非対称の修正術などは技術的に臨床応用可能である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
〔実施例1〕耳介軟骨膜由来の新規軟骨幹/前駆細胞を用いたヒト弾性軟骨再構築法
Abstract
頭蓋・顎・顔面領域の組織変形に対する現在の標準的な治療法では、広範な変形に対する治療は困難であり、長期的な形態保持性の観点からも満足の行く臨床成績が得られていない。そこで、これらの課題を克服しうる新たな治療法の一つとして、組織再生工学を用いたヒト弾性軟骨の臨床的再構築法の開発が待望されている。我々は、低侵襲操作で採取可能なヒト耳介軟骨膜中から高い増殖能、多分化能、自己複製能などの特徴を有する軟骨幹/前駆細胞を分離することに成功した。このヒト軟骨幹/前駆細胞は、in
vitroで耳介軟骨細胞と同等の軟骨基質産生を行うことが確認されただけでなく、重症免疫不全マウスへの皮下移植により長期形態保持性に優れたヒト弾性軟骨組織を再構築した。さらに、足場材料の新規開発を行い、本軟骨幹/前駆細胞と組み合わせることで、軟骨基質産生を行う成熟軟骨細胞が均一(Homogenous)に存在する大型のヒト弾性軟骨組織を再構築させることに成功した。我々が開発したヒト弾性軟骨再構築法は、次世代の弾性軟骨再生治療の実現にとって革新的な方法となる可能性がある。
【0047】
Introduction
頭蓋・顎・顔面領域の先天奇形や外傷に起因する組織変形に対する新しい治療法の開発は、全世界で100万人以上の患者に待ち望まれている極めて重要な臨床的解決課題である1。現在の標準的な治療法は、自家軟骨/骨組織を移植する方法や合成高分子化合物などの医用材料を移植する方法である2-5。しかし、自己組織移植では、採取量の制限と採取部位の侵襲が軟骨/骨組織移植に共通した問題である。また、軟骨組織移植に伴う経年的な組織変形と吸収や、骨組織移植に伴う経月的な組織吸収も極めて大きな問題となっており臨床的に満足のいく長期成績が得られていない6-10。医用材料を移植する方法においても、それらが人体にとり異物であることから、感染や炎症、それらに起因する皮膚穿孔などが生じることが知られており、これらの問題が未解決である。このような問題点を克服することの可能な新しい治療法として、組織再生工学を用いたヒト弾性軟骨の臨床的再構築法の開発が切望されている。
【0048】
ヒト弾性軟骨の再構築法に適応可能な細胞源として、幾つかの可能性が示唆されている11-13。ヒト耳介軟骨細胞は良好な基質産生能などの優位性を有するものの、採取部位への侵襲に加え、自己複製能を有する幹細胞が存在しないために細胞寿命に起因する長期的な組織維持の困難性などの問題点を抱えている。骨髄由来のヒト間葉系幹細胞は、これらの諸問題を解決できる可能性を持つ細胞の一つであるが、骨髄穿刺の侵襲が大きいこと、成熟軟骨細胞への分化能が極めて低いこと、血管侵入や石灰沈着をきたすことなどの様々な問題を抱えているため実用化の可能性は低い14-16。他にも脂肪組織由来のヒト間葉系幹細胞など候補となる細胞は存在するものの、いずれも成熟軟骨細胞への分化能力が低く、弾性軟骨における細胞外マトリックスの産生能は全く確認されていないことから、ヒト弾性軟骨の再構築法に応用可能な優れた細胞源は見いだされていないのが現状である17-19
【0049】
組織再生工学的手法を用いた頭蓋・顎・顔面領域における弾性軟骨の再生治療においては、審美的観点から再構築された軟骨組織の形態を再現するための足場材料(スキャフォールド)の開発が重要である20。足場材料については、これまでにPLA(poly lactic acid)、PGA(poly glycolic acid)などの合成高分子や、コラーゲンスポンジなどの生体由来の高分子材料が開発されているものの、臨床応用は成功していない21-23。高品質の医用足場材料は、一般的に細胞や栄養因子の浸透が可能な連通性(porosity)、高圧縮弾性率(elasticity)、優れた生分解性などの特徴を兼ね備えている必要があるが、これらの諸条件を十分に満たす足場材料は未だに開発されていない。さらに、優れた弾性軟骨組織を再構築するためには、これらの諸条件に加え、幹/前駆細胞の増殖・分化に適した細胞外環境を提供し、Homogenousに成熟軟骨細胞が局在することのできる生分解性足場材料の開発が不可欠である。
【0050】
ヒト弾性軟骨の再生治療を実現するためには、低侵襲操作による採取が可能で、高い増殖活性、成熟軟骨細胞への効率の良い分化能、自己複製能を持つ適切なヒト幹/前駆細胞を同定し、これらの分離法・培養法・分化誘導法などに関する様々な細胞操作技術を開発することが必要である。さらに、耳介軟骨等の複雑な形状をもつ弾性軟骨組織の再構築を実現化するためには、ヒト幹/前駆細胞を最適化された医用足場材料とともに移植するための手法が開発されることが必須である。
【0051】
本研究では、全く解明の進んでいないヒト弾性軟骨における幹/前駆細胞の分離・同定を、低侵襲操作で臨床的に採取が可能な耳介軟骨膜部を対象として試みた。また、分離したヒト軟骨幹/前駆細胞の操作技術を検討し、臨床応用の可能な優れた弾性軟骨再構築法の開発を行った。さらに、我々が新規に開発した革新的な生分解性足場材料がヒト弾性軟骨の再構築に有用か否かを検討した。
【0052】
RESULTS
High proliferative capacity of human perichondrocytes
我々は高い増殖能、多分化能、自己複製能、組織再構築能などの幹細胞としての特徴を有する細胞集団は耳介軟骨膜部に存在するものと仮定した。これらの仮説を実証するため、まず、マウスの耳介軟骨幹/前駆細胞を同定するために、幹細胞を同定するための一つの手法である5-bromo-2`-deoxyuridine (BrdU)によるLabel-retaining cells(LRC)の観察を行った。BrdUは細胞周期の合成期にチミジンの代わりに取り込まれ、2〜3回の分裂までは検出可能であるが、それ以上の分裂を起こした細胞では検出が困難になる。一般的に、幹細胞は通常、分裂休止状態にあり、傷害時における組織修復など必要に応じて細胞分裂を起こすため、その分裂頻度は極めて低いと考えられている。そのため、幹細胞の分裂時にBrdUが取り込まれた場合、幹細胞や自己複製で生じた娘細胞では長期間にわたりBrdUが残存し続けることになる。この様なBrdUにより長期間ラベルされた細胞がLRCとして定義されている。幹細胞は通常の状態ではほとんど分裂しないと考えられるため、我々は胎生期にBrdUを取り込ませ1年間にわたり観察した。5-bromo-2`-deoxyuridine
(BrdU)(50μg/g body WT )を、エーテルで麻酔した妊娠17.5日目の母体マウスに12時間毎、計6回腹腔内投与した。妊娠マウスでは、生まれた仔を各週齢(新生仔〜2週齢、4週齢、24週齢、48週齢)の段階において解析に用いた。軟骨膜のBrdU陽性細胞は、BrdU投与直後の新生仔から2週齢まで減少したが、1年後までわずかながら存在した(図7b)。軟骨膜と軟骨における一視野の背景細胞数で割ったBrdU陽性細胞数をLabel-retaining cells(LRC)残存比率とした。そして、100倍下の5視野の平均値から算出し、BrdU
labeling Index (LI)とした。生後0,3日,1,2,4,24.48週間目のLIは86.6±2.8%、34±7.2%、3.8±1.3%、2.1±1.5%、0.3±0.2%、0.1±0.05%、0.08±0.06%であった。一方、軟骨のLRCは減少し続け、4週間目までに認められなくなった。軟骨の生後0,3日,1,2,4,24.48週間目のLIは86.4±3.3%、29±3.8%、0.93±0.4%、0.67±0.4%、0.0±0.0%、0.0±0.0%、0.0±0.0%であった(図7a)。
【0053】
次に、ヒト小耳症患者から摘出した残存耳介軟骨を対象として、ヒト弾性軟骨組織における幹/前駆細胞の分離・同定を試みた。残存耳介軟骨を提供した患者の性別に偏りはなく、平均年齢は10.6±1.4歳であった(Supplementary Table 1)。残存耳介軟骨を外科的に摘出後、軟骨膜部、軟骨-軟骨膜移行部、軟骨実質部の三層に分離し、各々から単離した細胞をそれぞれ培養した(図1abc)。まず各層由来細胞の増殖能を比較するため、低密度培養(52 cells/cm2)によるクローン性コロニー形成能の解析を行った。培養4週後、各細胞からクローン性コロニーが形成された(図1d)。形成されたクローン性コロニー数は、播種細胞500個あたり軟骨膜細胞で23.9±4.5個、軟骨膜-軟骨移行部細胞で9.9±6.8個、軟骨細胞で2.3±0.4個であり、軟骨膜細胞は他と比べて極めて高いコロニー形成能を有していた(図1e)。
【0054】
軟骨膜細胞の長期的な増殖能を継代培養系で解析した。形態学的には、各層由来細胞は長期培養後(12w〜)には扁平化し、線維芽細胞様の形態を有するようになった(図1f)。196日間にわたって14回の継代培養を行った結果、9.42×103個の軟骨膜細胞は、1.20×1027個まで約1.27×1022倍に増殖した。一方、9.42×103個の軟骨細胞は、1.26×1024個まで約1.30×1019倍に増殖した。すなわち、軟骨膜細胞は軟骨細胞に比べ約949倍の子孫細胞を生み出す能力を有していることが判明し、有意に高い増殖活性をもつことが明らかとなった(図1g)。
【0055】
Flow-cytometric enrichment of putative human cartilage stem/progenitor cells by
CD44/CD90
耳介軟骨幹/前駆細胞を効率良く単離するため、まず、マウスにおいてにフローサイトメトリーを用いた耳介軟骨幹細胞のprospective isolationを目指して、既存の関節軟骨の表面抗原を参考に軟骨幹細胞特異的抗原のスクリーニングを行った。LRCが局在する部位に発現する表面抗原を耳介軟骨幹/前駆細胞特異的抗原の候補とし、LRCとそれら特異的抗原の関連を組織学的に検討した結果、表面抗原の免疫染色においてCD44が軟骨膜特異的に発現していた(図8a)。しかも、BrdU投与後48週後に分離されたLRCはCD44を発現していた(図8b)。
【0056】
次に、ヒト軟骨幹/前駆細胞の特異的マーカーを同定することを目的として、フローサイトメトリーを用いた細胞表面抗原の発現解析を行った。造血幹細胞に発現していることが知られているCD34、c-kit(CD117)、間葉系幹細胞に発現していることが報告されているCD44、CD73、CD90、CD105、CD133、CD140a、CD146、CD271の発現を解析した(図2a) 24-28。これらの表面抗原のうち、CD44およびCD90の陽性率は軟骨細胞と軟骨膜細胞において大きな相違が観察された。すなわち、CD44陽性率は、軟骨細胞で35.4±7.3%であったのに対し、軟骨膜細胞では58.8±8.6%であった。CD90陽性率は、軟骨細胞で46.5±3.9%であったのに対し、軟骨膜細胞では63.0±1.7%であった(図2a)。
【0057】
CD44およびCD90の発現を指標として、ヒト軟骨膜細胞をCD44-CD90-、CD44-CD90+、CD44+CD90-、CD44+CD90+細胞に分画化した(図2b)。セルソーティングにより選択的に分離された各細胞分画のうち高いコロニー形成を行う細胞がいずれの分画中に濃縮されるかを検証するため、低密度培養系(52cells/cm2)でコロニーアッセイを行った。CD44+CD90+細胞は、他の細胞分画と比較してより高いクローン性コロニー形成能を有していた(図2c,d)。さらに、直径5mm以上の巨大なクローン性コロニー形成能を有する細胞の存在比率を算出すると、CD44-CD90-、CD44-CD90+、CD44+CD90-、CD44+CD90+細胞の順に有意に上昇し、極めて高い増殖能を有する細胞はCD44+CD90+分画中に最も高頻度に存在していることが判明した(図2 e)。以上から、CD44、CD90のいずれも幹/前駆細胞の純化に重要なマーカーとなることが推測された。
【0058】
In vitro elastic cartilage differentiation potential of human perichondrocytes
軟骨膜細胞の弾性軟骨への分化能を評価することを目的として、積層化培養法を用いて軟骨細胞への分化誘導を行った(図3a)。軟骨膜細胞は積層化を行うことによって、プロテオグリカン、Type
II collagen(Col 2)を産生する軟骨細胞へ分化することが確認された(図3b)。軟骨膜細胞から分化した軟骨細胞は種々のムコ多糖類を分泌するようになり、培養液は高い粘性を有する基質様性状へと変化した(Supplementary movie 1,2)。
【0059】
軟骨細胞への分化能を定量的に検討するため、リアルタイムPCRを用いた弾性軟骨分化関連遺伝子の発現変化を解析した。軟骨膜細胞を積層化培養することにより、弾性軟骨に特徴的な基質であるversican(CSPG2)、elastin(ELN)、alpha 1 type II collagen (COL2A1)、fibrillin 1 (FBN1)遺伝子の発現レベルは、各々4.2倍、9.6倍、2.1倍、17.2倍に著名に上昇することが確認された(図3c)。一方、軟骨膜部に特徴的なalpha 1 type I collagen(COL1A1)の発現は0.18倍に低下した(図3c)。ELISAを用いて、弾性軟骨組織の細胞外マトリックスであるプロテオグリカン、エラスチン、コラーゲン産生能の解析を行ったところ、積層化した軟骨膜細胞においては各々17.5±4.3、235.6±19.9、61.8±7.5μg/mlの基質産生が確認された。驚くべき事に、この基質産生能は、同様に積層化した軟骨細胞のプロテオグリカン、エラスチン、コラーゲン産生能(各々19.0±1.3、234.0±16.3、55.8±4.9μg/ml)と同等であることが判明した(図3d)。
【0060】
In vitro multi-differentiation and self-renewal capabilities of human
perichondrocytes
軟骨細胞への分化能に加え、軟骨膜細胞の脂肪および骨分化能の有無を検討した。脂肪分化誘導培地による3週間の培養により、軟骨膜細胞は卵円形の形態に変化し、Oil Red Oにて染色される脂肪滴を形成することが確認された。また、骨分化誘導培地による3週間の培養により、軟骨膜細胞はAlizarin Red Sにて染色されるCaを多量に産生することが確認された(図3e)。軟骨細胞を対象として同様の分化誘導を行ったところ、脂肪滴形成もCa沈着も認めなかったことから、軟骨膜細胞のみが軟骨分化能に加え脂肪・骨への多分化能をもつ事が示された(図3c)。
【0061】
長期間にわたって、多分化能を有した幹/前駆細胞が自己複製により維持されていることを証明するため、継代培養を行った軟骨膜細胞を対象として多分化能の解析を行った。第3継代、7継代、10継代培養後の各軟骨膜細胞は、細胞化学染色、RT-PCRの結果より何れも軟骨、脂肪、骨への多分化能を維持していたことから、これらの細胞のうち少なくとも一部は自己複製能を有している事が示唆された(図9)。
【0062】
In vivo tissue reconstruction capability of human perichondrocytes
我々は高い軟骨細胞への分化能や自己複製能などの特徴を有している軟骨膜細胞を用いれば、in vivoにおいて優れた弾性軟骨再構築法を新規開発できるものと考えた。このアプローチの実現可能性を検討するため、ヒト軟骨膜細胞を軟骨分化誘導の後、粘性を帯びた培養上清とともに重症免疫不全マウスの皮下に移植した。尚、比較のためヒト軟骨細胞についても同様の手順で移植を行った。軟骨膜細胞は、移植3ヶ月目に軟骨様組織形成した(図4i)。組織学的解析から、軟骨膜細胞は、軟骨細胞と同様にin vivoで成熟軟骨細胞へと分化し、その産生基質であるプロテオグリカンや弾性線維に富む弾性軟骨組織を再構築することが判明した(図4i-p)。一方、免疫組織化学染色からは軟骨膜細胞より再構築された組織においてのみ、Col 2陽性弾性軟骨組織の周囲をType I collagen (Col 1)陽性の膜様組織が被覆していることが確認された(図4p)。長期間に渡って再構築組織が維持されていることを示すため、軟骨膜細胞を移植後6ヶ月並びに10ヶ月目に摘出した組織においても同様の解析を行った。いずれの時点においても摘出組織はCol 1陽性膜様組織で被覆されており、成熟軟骨細胞とその産生基質から構成される弾性軟骨組織であることが判明した(図10a-l)。一方、腫瘍形成や、骨髄由来間葉系幹細胞で見られる様な線維性組織形成、血管侵入や石灰化沈着は全く観察されなかった。これらの結果から、軟骨膜細胞はin vivoで生体組織と同様に軟骨実質部、軟骨膜部からなる組織構造を持つ弾性軟骨組織を長期的に再構築することが判明した。さらに、医療応用をめざすために同様の手法を用いてより大きな軟骨を再構築したところ、組織学的にも均一な細胞外基質を持っていることが判明した(図11a-b)。
【0063】
さらに、ヒト耳介軟骨から分離した軟骨膜細胞が、硝子軟骨組織の再構築能を有しているのか否かを検討することを目的として、重症免疫不全マウスの肋軟骨への移植実験を行った(Supplementary Methodsを参照)。移植後1ヶ月目の組織学的解析では、移植部に弾性線維を全く含まないヒト軟骨組織が再構築されていることが確認されたことから、ヒト軟骨膜細胞は弾性軟骨組織に加えて、硝子軟骨組織の再構築能を有していることが示唆された(図12)。
【0064】
Elastic cartilage reconstruction using newly developed scaffold
ヒト軟骨膜細胞を用いた弾性軟骨組織の再構築に有益な新規スキャフォールド(pCol-HAp/ChS)の開発を行い、既存のスキャフォールドとの比較検討を行った。pCol-HAp/ChSは、コラーゲンスポンジに、軟骨基質として知られるコンドロイチン硫酸と力学的強度を上げるためにハイドロキシアパタイト粒子を付加(incorporate)することによって得た。力学的特性では高い圧縮弾性率を有しており、電子顕微鏡観察では、その内腔は連通性に富んでいた(図5a)。ヒト軟骨膜細胞を5mmX 5mm X 5mm大のpCol-HAp/ChSに播種した後、重症免疫不全マウスの皮下へ移植した(図6b)。既存のスキャフォールドと比較するために、同一条件下でハイドロキシアパタイトスキャフォールド(HAp)、コラーゲンスキャフォールド(Col)を用いた移植も実施した(図6e)。移植1ヶ月後、HApを用いた移植では、弾性軟骨組織は全く再構築されていなかった(Data not shown)。Colを用いた移植では、スキャフォールドの全体的な収縮がみられ、摘出した組織は摂子による用手圧迫で容易に扁平化した(図5 b-d)。スキャフォールド全域への細胞浸潤は認められず、組織学的にも基質産生は一部に限局していた(図5 b-d)。一方、pCol-HAp/ChSを用いた移植では、表面に光沢を持つ軟骨様組織を再構築した (図6, 5a,e-g,h-i)。再構築組織の硬さは耳介軟骨硬であり、用手圧迫後もその形態を留める弾力性を有していた(Supplementary movie)。Alcian Blue染色からは、軟骨基質産生を行う成熟軟骨細胞が、スキャフォールド全域にHomogenousに存在していることが明らかとなった(図5g)。そこで、より大型の弾性軟骨組織の再構築を目指し、直径15mm高さ20mmの円柱状pCol-HAp/ChSを用いて移植実験を行ったところ、1ヶ月後には12mm X 12mm X 20mm大の弾力を有するヒト軟骨様組織が再構築された (図5h)。組織学的解析により、スキャフォールド全域に成熟軟骨細胞が存在し、プロテオグリカン、弾性線維の産生が認められたことから、軟骨膜細胞はpCol-HAp/ChSと共に移植することでヒト弾性軟骨組織を再構築することが判明した(図5i)。
【0065】
さらに我々は、軟骨膜細胞とpCol-HAp/ChSに三次元擬微小重力培養(図13b)を用いることによって、生体外で軟骨組織を再構築することを試みた(図13a)。軟骨膜細胞をpCol-HAp/ChS内に播種した後、擬微小重力培養装置下で40-50bpmにて培養することにより軟骨を再構築することが判明した(図13c)。
【0066】
DISCUSSION
ヒト耳介軟骨組織における幹/前駆細胞の存在を明らかにすることは、耳介軟骨の発生過程や恒常性維持機構に対する理解を深めるだけでなく、弾性軟骨を対象とした質の高い再生治療を行う上で極めて重要である。我々は、ヒト耳介軟骨膜中に存在する、高い増殖能、軟骨・脂肪・骨分化能、自己複製能、組織再構築能を兼ね備えた幹/前駆細胞を初めて同定し、この細胞と新規開発した生分解性足場材料を用いることにより、ヒト弾性軟骨組織を長期的に再構築できることを明らかにした。我々が開発したヒト弾性軟骨再構築法は、次世代の弾性軟骨再生治療の実現にとって中核的な技術となる可能性がある。
【0067】
ヒト耳介などの弾性軟骨組織の臨床的再構築に使用可能な細胞源として、骨髄や脂肪組織から分離された間葉系幹細胞が重要であると考えられている。しかし、これらの間葉系幹細胞は、弾性軟骨に特徴的な細胞外マトリックスの構成成分であるプロテオグリカン、Col 2、エラスチン産生能を有した弾性軟骨細胞への分化能が極端に低いことが、臨床応用する上で極めて大きな障壁となっている14,15。さらに、骨髄由来間葉系幹細胞に関しては、生体内に移植した後に骨化や血管侵入などの問題が発生するリスクが高いことも臨床応用を阻む理由の一つとなっている17。本研究にて新たに同定されたヒト軟骨膜中に存在する幹/前駆細胞は、軟骨細胞への効率の良い分化能を有しており、従来から報告されている間葉系幹細胞とは明らかに性質が異なった、より軟骨細胞系列にコミットした幹/前細胞であることが推測された。一方、この細胞は、in vitroで骨・脂肪分化能を有していることや、in vivoで弾性線維を含まない硝子軟骨への分化能も兼ね備えていることから、弾性軟骨細胞系列へ完全に運命決定されている前駆細胞と比較すると、より上流に位置する細胞であると考えられる。実際、我々が新たに発見した幹/前駆細胞は、これまでに間葉系幹細胞の特異的マーカーとして報告されているCD44やCD90を共に発現しており、従来の間葉系幹細胞との類似性も認められているが、一方、CD133、CD140a、CD146、CD27127,29,30などの間葉系幹細胞マーカーは発現しておらず、それらとの相違性も存在している。よって、本幹/前駆細胞は、細胞系譜上、間葉系幹細胞に極めて近縁の位置にありながら、より軟骨細胞系列にコミットした軟骨幹/前駆細胞と呼ぶべき新たな細胞であると考えられる。現時点においては、間葉系細胞の分化系譜の詳細は不明であるが、今後の解析によりこれらが明らかになれば、本幹/前駆細胞の分化系譜上の位置づけが明確になるだろう。この様な理解が進むことにより、本幹/前駆細胞が弾性軟骨再生治療にとり最も優れた細胞源であることが明らかとなるだけでなく、硝子軟骨再生治療における細胞源としても有益であることが判明する可能性があり、膨大なニーズのある変形性関節症などに対しても臨床適応が拡大することが期待される。さらには、臨床応用の際に起こりうる有害事象、例えば、骨髄由来間葉系幹細胞で問題になっている骨組織の形成、などのリスク発生率の推測を行うための一助となるであろう。
【0068】
造血幹細胞や角膜上皮幹細胞などの組織幹細胞を利用した再生医療は、幹細胞の持つ自己複製能により成熟細胞が長期間に渡り継続的に供給されることから、臨床的に優れた組織再構築法となることが期待されている31。我々は、本幹/前駆細胞を積層化培養による軟骨分化誘導後に産生基質と共に皮下移植する方法により、in vivoにおいてヒト弾性軟骨組織が再構築される事を見いだした。再構築されたヒト弾性軟骨組織は、生体組織と同様に軟骨膜部、軟骨実質部からなる組織構造をとる事が明らかとなった。したがって、再構築された軟骨膜中に存在する幹/前駆細胞の自己複製による不断の細胞更新と軟骨細胞分化が期待されるため、優れた組織維持性を有していることが大いに期待される。実際、移植6、10ヶ月後の解析においても、再構築された弾性軟骨組織は完全に維持されており、長期形態維持性を有していることが確認されている。また、線維性組織形成、血管侵入や石灰化沈着は10ヶ月の間で全く見られなかったことから、本幹/前駆細胞は弾性軟骨再生治療の実現にとり骨髄由来間葉系幹細胞よりも優れた細胞源であることが推測される。小児先天奇形を対象とした弾性軟骨再生治療では、患児の一生涯に渡り軟骨組織が恒常的に維持されることが必須であるため、Serial transplantation法などを利用して、本幹/前駆細胞の自己複製能の臨界点を明らかにしていく必要があるだろう。
【0069】
ヒト弾性軟骨の再生治療を広く実現化するためには、優れた細胞源に加え形態制御を可能とする足場材料が必要不可欠である。実際、無細胞化された同種軟骨組織を足場材料として、ヒト気管軟骨の再構築を試みる臨床試験が実施され、良好な成果が報告されている32。高品質の足場材料は組織再構築法の臨床応用にとり極めて重要な要素技術のひとつであり、連通性、高圧縮弾性率、良好な生分解性を併せ持つヒト弾性軟骨の再構築に有益な革新的足場材料の開発が急務である。我々は、コラーゲンスポンジにコンドロイチン硫酸とハイドロキシアパタイト粒子を付加することで優れた力学的特性を有する画期的な生分解性足場材料を開発した。驚くべきことに、再構築組織中には、豊富な弾性線維、プロテオグリカン産生を行う成熟軟骨細胞がHomogenousに局在していることが明らかとなった。本スキャフォールド中に軟骨組織における細胞外マトリックスの主要な構成成分であるコラーゲンとコンドロイチン硫酸を含有させていることが、軟骨幹/前駆細胞の吸着・浸潤性や増殖・分化に有利な細胞外環境を提供しているものと考えられた33,34
【0070】
従来、臨床ニーズに十分応えることができる優れた弾性軟骨再構築法は存在しなかった。唯一、臨床応用例のある耳介軟骨細胞を用いた方法でも、成熟軟骨細胞を用いているが故の組織吸収と細胞移植であるための適応限定が解決課題として残されており、小児期の先天奇形などへの臨床適応の拡大を阻んできた35。しかし、我々は低侵襲操作で採取可能なヒト耳介軟骨膜から幹/前駆細胞を分離し、培養系を用いて分化誘導後、細胞を皮下注入する、という極めて簡便な細胞操作技術による弾性軟骨組織の再構築法を開発した。本法を用いれば、従来法における課題を克服できるばかりか、成長に応じた追加注入も容易に可能であるため、単純な形状の小組織欠損に基づく小児先天奇形に対する治療戦略が確立されたといえるだろう。さらに、我々は耳介軟骨のような複雑な構造を有する大型の弾性軟骨組織を再構築するために不可欠となる足場材料の開発を行い、本幹/前駆細胞と組み合わせることによって弾性軟骨組織を再構築させることに成功した。今後、本足場材料の臨床応用の可能性が検討され、耳介軟骨などの大型で複雑な形態に成形するための技術開発がなされれば、形成外科・美容外科領域における多種多様な臨床ニーズに合わせた弾性軟骨組織の再構築を行う上で中核技術となることが大いに期待される。
【0071】
Methods
Isolation and cultivation of human perichondrocytes
横浜市立大学附属病院倫理委員会より承認を得て(approval #03-074)、30人の小耳症患者より、手術の際に余剰となる残存耳介弾性軟骨を供与頂き研究を遂行した。実体顕微鏡下で軟骨膜部、軟骨膜-軟骨移行部、軟骨実質部の3層に分離し、組織を細切後、0.2%コラゲナーゼタイプII(Worthington)に懸濁・振蕩した。各組織の細胞懸濁液は100μm ナイロンメッシュ(BD Biosciences)で濾過し、PBSによる洗浄を3度行った。細胞懸濁液は、37 ℃、CO2 5 %に設定したインキュベータで10 % fetal bovine serum (MOREGATE)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を含有するDulbecco’s modified Eagle medium and Ham’s F-12 medium(日水製薬)を含む増殖培地により培養を行った。尚、長期増殖能の評価では、継代に際し血球計算板を用いて細胞数をカウントした後、1200 cells/cm2の密度で35mmディッシュに播種し、コンフルエントに達した際に同様に継代をする、という操作を繰り返した。
【0072】
In vitro colony assay
各細胞を、35 mm細胞培養ディッシュに52 cells/cm2の密度で播種した。14日間の増殖培地による培養後、コロニー数のカウントを行った。カウントに際してはギムザ染色(武藤化学薬品)による染色を行った後、50個以上の細胞集団を1コロニーとし定量した。
【0073】
FACS analysis and cell sorting
軟骨膜細胞と軟骨細胞は第4継代培養の後、各々1×106細胞毎に1 mgのFluorescein isothiocyanate(FITC)、 Phycoerythrin(PE) 、 Allophycocyanin(APC)抱合モノクローナル抗体で4℃、30分間染色した. 3度の洗浄後、1μg/mlのpropidium iodide(PI) を含むPBSに懸濁し、 FACSによる解析を行った.解析にはMoFlo cell sorter (DakoCytomation)を用い、染色には 抗CD28、 CD34、 CD44、 CD49e、 CD73、 CD90、 CD105、CD117(c-kit)、 CD133、 CD138、 CD140a、 CD146、 CD271抗体を用いた。軟骨膜細胞に対し、抗CD44、CD90抗体を用いてソーティングを行った。ソーティングゲートは、CD44+ CD90+、CD44+ CD90‐、CD44‐ CD90+、CD44‐ CD90‐に対して設定し、各分画の細胞は6穴ディッシュ(BD Biosciences)に52 cells/cm2の密度で播種した。ソーティングに際し、細胞の残骸、死細胞やダブレットは前方散乱光、側方散乱光、PIによって除去された。
【0074】
Multipotent differentiation in vitro
軟骨分化誘導に関しては積層化培養法を用いた。各細胞を2.5×104 cells/cm2の密度で播種し、播種後48時間まで増殖培地で培養を行い、その後はL-ascorobic acid 2-phosphate(SIGMA)、Dexamethasone(SIGMA)、human-recombinant Insulin-like Growth Factor-I(SIGMA)、human-recombinant basic Fibroblast Growth Factor(Wako)を添加した分化誘導培地を用いて培養を行った。5日間の培養の後、さらに2.5×104 cells/cm2の細胞を上に播種し、同様の手順で培養を行うという操作を計2回繰り返した。骨および脂肪分化誘導に関しては、以前の報告に準じた36
【0075】
Gene expression analysis
軟骨・脂肪・骨分化能を調べるため、Reverse-transcription
polymerase chain reaction (RT-PCR) 、並びにquantitative PCR (qPCR)を行った。RT-PCRによる各分化関連遺伝子の発現の確認には以下のプライマーを用いた。type I collagen(COL1A1)、type II collagen(COL2A1)、type X collagen(COL10A1)、aggrecan(ACAN)、elastin(ELN)、lipoprotein lipase(Lpl/LPL)、C/EBPα(Cebpa/CEBPA)、aP2(Fabp4)、Adipsin(CFD) 、PPARγ PPARGC1A)、runt-related transcription factor 2 (Runx2) 、alkaline phosphatase (ALPL)を用いた(Supplementary methods online)。qPCRには、TaqMan(登録商標)Gene Expression Assays(Applied Biosystems)のCOL1A1:Hs00266273_ml、COL2A1:Hs00164099_ml、CSPG2:Hs01007933_m1、ELN:Hs00355783_ml、FBN1:Hs00171191_m1 のprimer/probe setを用いた。
【0076】
ELISA
積層化培養による軟骨分化誘導下で培養1、3週間目に、培養上清を回収した。上清中に分泌されたプロテオグリカン、エラスチン、コラーゲンを、それぞれBLYSCAN、FASTIN、SIRCOL assays(Biocolor)のキットを用いて定量測定を行った37
【0077】
In vivo transplantation
軟骨分化誘導を行った細胞をその産生基質とともにシリンジに回収し、重症免疫不全マウス(NOD/SCID)(三協)の背部皮下に1 mlずつ移植を行った。Scaffoldに細胞を播種した群では、円柱上にくり抜いたpCol-HAp/ChS(Tokyo Institute of Technology)、Collagen sponge(テルモ)、ハイドロキシアパタイトスキャフォールド(オリンパス)に各々3カ所ずつ計1mlの細胞浮遊液を添加し、NOD/SCIDマウスの背部皮下に移植した。移植後、4週目、12週及び40週目に摘出を行い、組織学的に検討した。尚、実験動物の飼育、取り扱いに関しては横浜市立大学医学部動物実験センターの規定に基づき行った。
【0078】
Methods for newly invented scaffolds
pCol-HAp/ChSスキャホールドの製造のための詳細な方法は、以下の論文に記載されている。
Ohyabu Y.,et al. A Collagen Sponge Incorporating a Hydroxyapatite/Chondroitinsulfate Composite as a Scaffold for Cartilage Tissue Engineering. J of Biomaterials Science 20,1861-1874 (2009)
Adegawa T.,et al. Preparation and Characterization of Porous Scaffolds Consisted of Hydroxyapatite, Polysaccharides and Collagen for Cartilage Tissue Engineering.Key Engineering Materials 396-398, 707-710 (2009)
【0079】
Histochemical and immunohistochemical analysis
組織切片、または培養細胞を固定した後、H&E、アルシアンブルー、エラスチカ・ワンギーソン、アリザリンレッドS、オイルレッドO(武藤化学薬品)で組織化学染色を行った。免疫組織化学染色に際しては、rabbit anti-human type I collagen monoclonal antibody(Col1)(MONOSAN)、mouse anti-chicken type II collagen polyclonal antibody(Col2)(CHEMICON)を用いて4 ℃、over nightで反応させた。洗浄後、適切な動物種に対するAlexa488- and/or Cy3-conjugated二次抗体(1:800、Molecular Probes)を添加し、室温で1時間反応させた。その後4’,6-diamidino-2-phenylindole (DAPI) を添加したFA Mounting Fluid(BD Biosciences)にて核染色及び封入を行い、LSM510 Laser Scanning Microscope(ZEISS)を用いて観察、画像を撮影した。
【0080】
Statistical analysis
データは、少なくとも3人以上の独立した検体による実験から得たmean±s.d.を表記した。統計学的解析には、まず3あるいは4群のデータに対しKruskal Wallis-H testを行い、P<0.01と判定された場合に、Mann-Whitney’s U test with Bonferroni correctionによる多重比較検定を行った。有意確率P値がP<0.001またはP<0.01を満たす場合を統計学的有意差ありと判定した。
【0081】
Supplementary Methods
Label-retaining cells
エーテル(昭和エーテル Japan)で麻酔した妊娠17.5日目の母体マウスにBrdU(50μg/g body WT)(Sigma-Aldrich, St Louis, MO, USA)を12時間毎、計6回腹腔内投与した。生まれた仔の耳介を各週齢(新生仔〜2週齢、4週齢、24週齢、48週齢)の段階において4% paraformaldehydeで固定して解析に用いた。
【0082】
Immunohistochemistry
組織切片の作製と免疫組織化学染色は賦活化を省いた以外はBrdUと同様に行った。用いた一次抗体と二次抗体の希釈倍率は、以下の通りである。
α1-integrin(hamstar,1:100,BD Biosciences Sun Jose, CA USA),α2-integrin(hamstar,1:100,BD Biosciences),α5-integrin(rabbit,1:100,Chemicon,Temecula,CA USA),α6-integrin(rat,1:100,Chemicon),αV-integrin(rabbit,1:100,Chemicon),αL-integrin(rat,1:100,eBioscience,San Diego,CA USA),αM-integrin antibody(rat,1:100,eBioscience),αX-integrin (hamster,1:100,eBioscience),β1-integrin(hamster,1:100,BD Biosciences),β2-integrin(rat,1:100,eBiosciences),β3-integrin(hamster,1:100,BD
Biosciences), CD44 (rat,1:100,Chemicon), Syndecan-1 (rat, 1:100,BD
Biosciences),Syndecan-3(rabbit,1:100, Santa Cruz),Syndecan-4 (rat,1:100,BD
Biosciences ), PECAM(rat,1:100,BD Biosciences), VCAM-1(rat, 1:100,Chemicon), Flk-1(rat, 1:100,BD Biosciences) Cy3-conjugated Donkey anti sheep IgG antibody(1:1600, Chemicon), Alexa488-conjugated Donkey anti sheep IgG antibody(1:1200, Molecular Probes,CA, USA),Cy3-conjugated Donkey anti Rabbit IgG antibody(1:1600, Jackson Immuno Research LABORATORIES, INC.West Grove,PA,USA)
【0083】
Long-term cell growth assay
細胞の増殖能を解析するために、各細胞を、35 mmイージーグリップ細胞培養ディッシュに(FALCON)1200 cells/cm2播種した。各細胞は10 %ウシ胎児血清(MOREGAE)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDulbecco’s modified Eagle medium and Ham’s F-12 medium(日水製薬)を用い、気相条件を37 ℃、CO2濃度5 %に設定したインキュベータ内で培養を行った。培地交換は播種24時間後から3日に1回行った。14日間の培養後、0.2 %タイプIIコラゲナーゼ溶液を用いて細胞を剥離し、血球計算板を用いて細胞数を計測した後、再び35 mmイージーグリップ細胞培養ディッシュ(FALCON)に1200 cells/cm2播種した。この操作を繰り返して行い、長期における細胞の増殖能維持能を調べた。
【0084】
In vitro colony assay.
To assess colony formation, we cultured non-sorted or sorted cells in our standard culture medium at a density of 52 cells/cm2 under an atmosphere of 5% CO2 at 37°C. The culture medium was replaced every 7 days. The colonies were stained with Giemsa and counted 14 or 21 days after seeding.
クローン性コロニーの形成能を解析するために、各細胞を35 mmイージーグリップ細胞培養ディッシュ(FALCON)に52 cells/cm2播種した。各細胞は10 %ウシ胎児血清(MOREGAE)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDulbecco’s modified Eagle medium and Ham’s F-12 medium(日水製薬)を用い、気相条件を37 ℃、CO2濃度5 %に設定したインキュベータ内で培養を行った。培地交換は播種24時間後から3日に1回行った。14日間の培養後、ギムザ染色を行い、計測した。
【0085】
RT-PCR
軟骨膜細胞と軟骨細胞からRNeasy
(QIAGEN)によりTotal RNAを抽出した。cDNA は RNA PCR kit (Takara)により得られた。プライマーはPrimer 3により下記のようにデザインした。軟骨分化マーカーとしてtype I collagen(COL1A1) ; forward 5’cgacagaggcataaagggtca3’(配列番号1),reverse 5’ tacacgcaggtctcaccagtctc3’ (配列番号2) ; type II collagen(COL2A1); forward 5 ctggctcccaacactgccaacgtc3’ (配列番号3), reverse 5’ tcctttgggtttgcaacggattgt3’ (配列番号4) ;type X collagen(COL10A1); forward 5’ cccactacccaacaccaagac3’ (配列番号5), reverse 5’ tttctgtccattcataccaggg3’ (配列番号6);aggrecan(ACAN); forward 5’gtatgtgaggagggctggaaca3’ (配列番号7), reverse
5’cgcttctgtagtctgcgtttgta3’ (配列番号8);elastin(ELN); forward 5’ tatggactgccctacaccacag3’ (配列番号9), reverse 5’ agcacctgggacaactggaat3’ (配列番号10)を用いた。脂肪分化マーカーとしてlipoprotein lipase(Lpl/LPL);forward 5’ tggacggtaacaggaatgtatgag3’ (配列番号11), reverse 5’ ccctctggtgaatgtgtgtaaga3’ (配列番号12); aP2(Fabp4); forward 5’ ggtacctggaaacttgtctccag3’ (配列番号13), reverse 5’ catgacgcattccaccaccag3’ (配列番号14) ; PPARγ(PPARGC1A); forward 5’ gtgtgctgctctggttggtgaagac3’, (配列番号15) reverse 5’ gttggctggtgccagtaagagcttc3’ (配列番号16)
を用いた。骨分化マーカーとしてrunt-related transcription factor 2 (Runx2) ; forward 5’ gagtttcaccttgaccataaccgtcttcac3’ (配列番号17), reverse 5’gtggtagagtggatggacgggg3’ (配列番号18);alkaline phosphatase (ALPL) ; forward 5’
tcccggtgcaacaccacccag3’ (配列番号19), reverse 5’ caacgaggtccaggccgtcc3’ (配列番号20)を用いた。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

References
【0088】
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【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、先天奇形の治療、美容整形、外傷の治療などに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料とともにヒト軟骨膜細胞を生体外で培養することを含む、軟骨再生方法。
【請求項2】
多孔質足場材料がさらに多糖を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
多糖がコンドロイチン硫酸である請求項2記載の方法。
【請求項4】
ヒト軟骨膜細胞がCD44+CD90+の表現型を有する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
培養が三次元擬微小重力培養である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ヒドロキシアパタイトとコラーゲンを含む多孔質足場材料及びヒト軟骨膜細胞を含む、軟骨再生のための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−262(P2012−262A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137817(P2010−137817)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(505155528)公立大学法人横浜市立大学 (101)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】