説明

ヒトGタンパク質共役レセプターの内因性バージョンおよび非内因性バージョン

【課題】新規のヒトGタンパク質共役レセプター、および構成的活性の証拠のある変異(非内因性)バージョンを提供する。
【解決手段】内因性リガンドが未知であるヒトGタンパク質共役レセプター、および構成的活性の証拠のある変異(非内因性)バージョンに関し、この特定のアミノ酸配列を有するGタンパク質共役レセプターおよびその構成的活性化バージョン、および、前記ヒトGタンパク質共役レセプターをコードするcDNAおよびベクターを含むプラスミド、ならびに、前記プラスミドを含む宿主細胞。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する引用)
本出願は、米国特許出願番号09/170,496(1998年10月13日に米国特許商標庁に提出)およびその対応PCT出願番号PCT/US99/23938(2000年4月20日にWO 00/22129として公開)の一部継続出願である。本出願は、以下の仮出願からの優先権の利益を請求する(以下の仮出願は、すべて、示された日付に、U.S.Express Mailを介して、米国特許商標庁に提出された):米国仮特許出願番号60/253,404(2000年11月27日提出);米国仮特許出願番号60/255,366(2000年12月12日提出);米国仮特許出願番号60/270,286(2001年2月20日提出);米国仮特許出願番号60/282,356(2001年4月6日提出)(この仮出願は、米国仮特許出願番号60/270,266(2001年2月20日提出)からの優先権を主張する);米国仮特許出願番号60/282,032(2001年4月6日提出);米国仮特許出願番号60/282,358(2001年4月6日提出);米国仮特許出願番号60/282,365(2001年4月6日提出);米国仮特許出願番号60/290,917(2001年5月14日提出);米国仮特許出願番号60/309,208(2001年7月31日提出);これらの開示は、その全体が参考として援用される)。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、膜貫通レセプターに関し、いくつかの実施形態においては、Gタンパク質共役レセプターに関し、いくつかの実施形態においては、そのレセプターの構成的活性を確立または増強するように変化した内因性GPCRに関する。いくつかの実施形態において、この構成的活性化GPCRは、治療剤としての適用性を有するレセプターアゴニストまたは逆のアゴニストとしての候補化合物の直接的同定のために使用される。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
多数のレセプタークラスがヒトにおいて存在するが、断然豊富でありかつ治療上適切であるのは、Gタンパク質共役レセプター(GPCR)クラスにより示される。ヒトゲノム中には、約30,000〜40,000個の遺伝子が存在することが推定され、これらのうち、約2%がGPCRをコードすると推定される。内因性リガンドが同定されているレセプター(GPCRを含む)は、「既知の」レセプターと呼ばれ、一方、内因性リガンドが同定されていないレセプターは、「オーファン」レセプターと呼ばれる。
【0004】
GPCRは、医薬品の開発のための重要な領域を示す:100個の既知のGPCRのうちの約20個から、処方箋薬剤すべてのうちの約60%が、開発されている。例えば、1999年、トップ100の商品名処方箋薬物のうち、以下の薬物が、GPCRと相互作用する(処置される疾患および/または障害が、括弧中に示される):
Claritin(登録商標)(アレルギー) Prozac(登録商標)(抑鬱) Vasotec(登録商標)(高血圧) Paxil(登録商標)(抑鬱) Zoloft(登録商標)(抑鬱) Zyprexa(登録商標)(精神病) Cozaar(登録商標)(高血圧) Imitrex(登録商標)(片頭痛) Zantac(登録商標)(逆流) Propulsid(登録商標)(逆流疾患) Risperdal(登録商標)(精神分裂病) Serevent(登録商標)(喘息) Pepcid(登録商標)(逆流) Gaster(登録商標)(潰瘍) Atrovent(登録商標)(気管支痙攣) Effexor(登録商標)(抑鬱) Depakote(登録商標)(癲癇) Cardura(登録商標)(前立腺肥大) Allegra(登録商標)(アレルギー) Lupron(登録商標)(前立腺癌) Zoladex(登録商標)(前立腺癌) Diprivan(登録商標)(感覚脱失) BuSpar(登録商標)(不安) Ventolin(登録商標)(気管支痙攣) Hytrin(登録商標)(高血圧) Wellbutrin(登録商標)(抑鬱) Zyrtec(登録商標)(鼻炎) Plavix(登録商標)(心筋梗塞/発作) Toprol−XL(登録商標)(高血圧)
Tenormin(登録商標)(アンギナ) Xalatan(登録商標)(緑内障)
Singulair(登録商標)(喘息) Diovan(登録商標)(高血圧) Harnal(登録商標)(前立腺肥大) (非特許文献1)。
【0005】
GPCRは、共通の構造モチーフを共有し、この構造モチーフは、7つのαヘリックスを形成する22〜24個の疎水性アミノ酸からなる7つの配列を有し、このαヘリックスの各々は、膜に広がる(各広がりは、数により同定される。すなわち、膜貫通1(TM−1)、膜貫通2(TM−2)など)。この膜貫通ヘリックスは、膜貫通2と膜貫通3との間、膜貫通4と膜貫通5との間、ならびに膜貫通6と膜貫通7との間で、アミノ酸ストランドによって、細胞膜の外部(すなわち、「細胞外」側)で連結される(これらは、それぞれ「細胞外」領域1(EC−1)、細胞外領域2(EC−2)、および細胞外領域3(EC−3)と呼ばれる)。この膜貫通ヘリックスはまた、膜貫通1と膜貫通2との間、膜貫通3と膜貫通4との間、ならびに膜貫通5と膜貫通6との間で、アミノ酸ストランドによって、細胞膜の内部(すなわち、「細胞内」側)で連結される(これらは、それぞれ「細胞内」領域1(IC−1)、細胞内領域2(IC−2)、および細胞内領域3(IC−3)と呼ばれる)。このレセプターの「カルボキシ」(「C」)末端は、細胞中の細胞内空間に存在し、そしてこのレセプターの「アミノ」(「N」)末端は、細胞外部の細胞外空間に存在する。
【0006】
一般に、内因性リガンドが、このレセプターに結合した(「しばしば、そのレセプターの「活性化」と呼ばれる)場合、細胞内領域と細胞内「Gタンパク質」との間の共役を可能にする、細胞内領域のコンフォメーション変化が存在する。GPCRは、Gタンパク質に関して「無差別」である、すなわち、GPCRは、1つより多くのGタンパク質と相互作用し得ると、報告されている。Kenakin、T.,43 Life Sciences 1095(1988)を参照のこと。他のGタンパク質が存在するけれども、現在、G、G、G、GおよびGが、同定されているGタンパク質である。Gタンパク質と共役するリガンド活性化GPCRは、シグナル伝達カスケードプロセス(「シグナル伝達」と呼ばれる)を開始する。通常の条件下では、シグナル伝達は、最終的には、細胞活性化または細胞阻害を生じる。理論に拘束されることは望まないが、このレセプターのIC−3ループおよびカルボキシ末端が、Gタンパク質と相互作用すると、考えられる。
【0007】
生理学的条件下で、GPCRは、2つの異なるコンフォメーションである、「不活性」状態と「活性状態」との間で平衡して、細胞膜中に存在する。不活性状態にあるレセプターは、細胞内シグナル伝達経路に連結してシグナル伝達を開始して生物学的応答をもたらすことが、できない。活性状態へとレセプターのコンフォメーションが変化すると、(Gタンパク質を介する)この伝達経路への連結が可能になり、生物学的応答を生じる。
レセプターは、リガンドまたは化合物(例えば、薬物)により、活性状態で安定化され得る。最近の発見(このレセプターのアミノ酸配列に対する改変が挙げれられるが、排他的には限定しない)により、活性状態のコンフォメーションにこのレセプターを促して安定化させるための、リガンドとも薬物とも異なる手段が、提供される。これらの手段は、このレセプターへのリガンドの結合の効果を模倣することによって、活性状態にてこのレセプターを効果的に安定化させる。このようなリガンド非依存性手段による安定化は、「構成的レセプター活性」と呼ばれる。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Med Ad News 1999 Data
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本明細書中において、内因性バージョンおよび非内因性バージョンのヒトGPCR、ならびにこれらの使用が、開示される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号2のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、およびそれを含む宿主細胞に関する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号1のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号4のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号3のcDNAを含むプラスミド、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号6のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号5のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号8のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号7のcDNAを含むプラスミド、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号10のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号9のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号12のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その非内因性の構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号11のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号14のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号13のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号16のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号15のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号18のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号17のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態は、配列番号20のアミノ酸配列によってコードされるGタンパク質共役レセプター、その構成的活性化バージョン、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、ベクターおよび配列番号19のcDNAを含むプラスミド、ならびにそれを含む宿主細胞に関する。
本発明は、以下を提供する。
(項目1) 配列番号2のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目2) 項目1に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目3) ベクターおよび配列番号1のcDNAを含む、プラスミド。
(項目4) 項目3に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目5) 配列番号4のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目6) 項目5に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目7) ベクターおよび配列番号3のcDNAを含む、プラスミド。
(項目8) 項目7に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目9) 配列番号6のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目10) 項目9に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目11) ベクターおよび配列番号5のcDNAを含む、プラスミド。
(項目12) 項目11に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目13) 配列番号8のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目14) 項目13に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目15) ベクターおよび配列番号7のcDNAを含む、プラスミド。
(項目16) 項目15に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目17) 配列番号10のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目18) 項目17に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目19) ベクターおよび配列番号9のcDNAを含む、プラスミド。
(項目20) 項目19に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目21) 配列番号12のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目22) 項目21に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目23) ベクターおよび配列番号11のcDNAを含む、プラスミド。
(項目24) 項目23に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目25) 配列番号14のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目26) 項目25に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目27) ベクターおよび配列番号13のcDNAを含む、プラスミド。
(項目28) 項目27に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目29) 配列番号16のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目30) 項目29に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目31) ベクターおよび配列番号15のcDNAを含む、プラスミド。
(項目32) 項目31に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目33) 配列番号18のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目34) 項目33に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目35) ベクターおよび配列番号17のcDNAを含む、プラスミド。
(項目36) 項目35に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
(項目37) 配列番号20のアミノ酸配列によってコードされる、Gタンパク質共役レセプター。
(項目38) 項目37に記載のGタンパク質共役レセプターの、非内因性の構成的活性化バージョン。
(項目39) ベクターおよび配列番号19のcDNAを含む、プラスミド。
(項目40) 項目39に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、セカンドメッセンジャーアッセイにおける、RUP32、G(del)/G,G(del)/Gと同時トランスフェクトしたRUP32、およびCMV(コントロール;発現ベクター)の活性化のグラフ表示であり、このアッセイは、293細胞を使用して、イノシトールリン酸塩(IP)の蓄積を測定する。
【図2】図2は、コントロール(「CMV」)と比較した、内因性バージョンのRUP35およびRUP36からのセカンドメッセンジャーIPの生成の図示を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
レセプターに関して発展した科学文献は、レセプターに対する種々の効果を有するリガンドを指すために、多数の用語を採用している。明確さおよび一貫性のために、以下の定義を、本特許出願全体を通して使用する。これらの定義がこれらの用語に関する他の定義と矛盾する程度までは、以下の定義が支配する:
「アゴニスト」とは、レセプターに結合した場合に細胞内応答を活性するか、または膜へのGTPの結合を増強する、物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味するものとする。いくつかの実施形態において、「アゴニスト」は、レセプターに結合した場合に細胞内応答を活性化すること、または膜へのGTPへの結合を増強することが、以前には既知でなかった物質である。
本明細書中にて使用される「アミノ酸の略語」が、表Aに示される:
表A
【0032】
【表1】

【0033】
「アンタゴニスト」とは、アゴニストと同じ部位でレセプターに競合的に結合するが、そのレセプターの活性形態により開始される細胞内応答を活性化せず、それによりアゴニストによる細胞内応答を阻害し得る、物質(例えば、リガンド、候補化合物など)を意味するものとする。アンタゴニストは、アゴニストの非存在下では、ベースライン細胞内応答を減少させない。いくつかの実施形態において、アンタゴニストは、レセプターに結合した場合に細胞内応答を活性化すること、または膜へのGTPの結合を増強することが、以前は既知でなかった物質である。
【0034】
「候補化合物」とは、スクリーニング技術を受けることができる分子(例えば、化合物であるが、限定ではない)を意味するものとする。好ましくは、句「候補化合物」は、間接的同定プロセスにより以前に決定された、レセプターに対する逆のアゴニスト、レセプターに対するアゴニスト、またはレセプターに対するアンタゴニストかなる群より選択される、公に公知であった化合物(「間接的に同定された化合物」)を含まない;より好ましくは、少なくとも1つの哺乳動物において治療効力を有すると以前に決定された、間接的に同定された化合物を含まない;最も好ましくは、ヒトにおいて治療効力を有すると以前に決定された、間接的に同定された化合物を含まない。
【0035】
「組成物」とは、少なくとも1つの成分を含む物質を意味するものとする;「薬学的組成物」は、組成物の一例である。
【0036】
「化合物効力」とは、化合物が、レセプター機能を阻害または刺激する能力(すなわち、レセプター結合親和性とは対照的に、シグナル伝達経路を活性化/阻害する能力)の尺度を意味するものとする。化合物効力を検出する例示的手段は、本明細書の実施例の節に開示される。
【0037】
「コドン」とは、リン酸基に結合したヌクレオシド(アデノシン(A)、グアノシン(G)、シチジン(C)、ウリジン(U)およびチミジン(T))を一般的には含み、翻訳されるとアミノ酸をコードする、3つのヌクレオチド(またはヌクレオチド等価物)の分類を意味するものとする。
【0038】
「構成的活性化レセプター」とは、構成的レセプター活性化に供されるレセプターを意味するものとする。構成的活性化レセプターは、内因性であってもまたは非内因性であってもよい。
【0039】
「構成的レセプター活性化」とは、レセプターとそのリガンドまたは化学的リガンド等価物との結合以外の手段によって、活性状態でのレセプターの安定化を意味するものとする。
【0040】
「接触」または「接触する」とは、インビトロ系においてであろうとインビボ系においてであろうと、少なくとも2つの部分を一緒に合わせることを意味するものとする。
【0041】
句「候補化合物」に関連する「直接的に同定する」または「直接的に同定された」とは、構成的活性化レセプター(好ましくは、構成的活性化オーファンレセプター、最も好ましくは、構成的活性化Gタンパク質共役細胞表面オーファンレセプター)に対して候補化合物をスクリーニングし、そしてそのような化合物の化合物効力を評価することを意味するものとする。この句は、いかなる状況においても、句「間接的に同定する」または「間接的に同定された」により包含されるともこの句を包含するとも解釈も理解もされるべきではない。
【0042】
「内因性」とは、哺乳動物が天然で産生する物質を意味するものとする。例えば、限定ではないが、用語「レセプター」に関する「内因性」とは、哺乳動物(例えば、限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって、天然に産生されることを意味するものとする。対照的に、この文脈における用語「非内因性」とは、哺乳動物(例えば、限定ではないが、ヒト)またはウイルスによって、天然に産生されないことを意味するものとする。例えば、限定ではないが、その内因性形態では構成的に活性ではないが、構成的に活性であるように操作された、レセプターは、最も好ましくは、本明細書中で、「非内因性の、構成的活性化レセプター」と呼ばれる。両方の用語は、「インビボ」系および「インビトロ」系の両方を記載するために使用され得る。例えば、限定ではないが、スクリーニングアプローチにおいて、内因性レセプターまたは非内因性レセプターは、インビトロスクリーニング系に関してであり得る。さらなる例として、限定ではないが、哺乳動物のゲノムが非内因性の構成的活性化レセプターを含むように操作された場合、インビボ系による候補化合物のスクリーニングが、実行可能である。
【0043】
本明細書中に開示される本発明の文脈における「Gタンパク質共役レセプター融合タンパク質」および「GPCR融合タンパク質」とは、各々、少なくとも1つのGタンパク質(最も好ましくは、そのようなGタンパク質のアルファ(α)サブユニット(これは、GTPに結合するサブユニットである))と融合された、内因性の構成的活性化GPCRまたは非内因性の構成的活性化GPCRを含む、非内因性タンパク質を意味し、このGタンパク質は、好ましくは、内因性オーファンGPCRと天然で共役するGタンパク質と同じ型である。例えば、限定ではないが、内因性状態で、そのGタンパク質「Gα」が、GPCRと共役する優性なGタンパク質である場合、特定のGPCRに基づくGPCR融合タンパク質は、Gαに融合したGPCRを含む、非内因性タンパク質である;いくつかの状況において、以下に示されるように、非優性Gタンパク質は、GPCRに融合され得る。このGタンパク質は、構成的活性化GPCRのC末端に直接的に融合され得るか、またはこの二者の間にスペーサーが存在し得る。
【0044】
「宿主細胞」とは、中に組み込まれたプラスミドおよび/またはベクターを有することができる、細胞を意味するものとする。原核生物宿主細胞の場合、プラスミドは、代表的には、宿主細胞が複製するときに自己由来分子として複製する(一般に、このプラスミドは、真核生物宿主細胞中への導入のためにその後単離される);真核生物宿主細胞の場合、プラスミドは、その真核生物宿主細胞が複製した場合にそのプラスミドが複製するように、その宿主細胞の細胞DNA中に組み込まれる。いくつかの実施形態において、その宿主細胞は、真核生物宿主細胞であり、より好ましくは、哺乳動物宿主細胞であり、最も好ましくは、293細胞、293T細胞、およびCOS−7細胞からなる群より選択される。
【0045】
「間接的に同定する」または「間接的に同定された」とは、薬物発見プロセスへの伝統的アプローチを意味し、このプロセスは、内因性レセプターに特異的な内因性リガンドの同定、そのリガンド−レセプター相互作用を妨害および/または競合する化合物を決定するための、そのレセプターに対する候補化合物のスクリーニング、ならびに活性化レセプターに関連する少なくとも1つのセカンドメッセンジャーに影響することについてその化合物の効力を評価する工程を包含する。
【0046】
「阻害する」または「阻害」とは、用語「応答」に関連して、ある化合物の存在下で、その化合物の非存在下とは対照的に、応答が減少または妨害されることを意味するものとする。
【0047】
「逆のアゴニスト」とは、内因性形態のレセプターまたは構成的活性化形態のレセプターのいずれかに結合し、そのレセプターの活性化形態により開始されるベースライン細胞内応答を、アゴニストの非存在下で観察される正常なベースラインレベル活性より低く阻害するかまたは膜へのGTPの結合を減少させる、物質(例えば、リガンド、候補化合物)を意味するものとする。好ましくは、このベースライン細胞内応答は、その逆のアゴニストの非存在下でのベースライン応答と比較して、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%、その逆のアゴニスト存在下で阻害される。
【0048】
「既知のレセプター」とは、そのレセプターに特異的な内因性リガンドが同定された、内因性レセプターを意味するものとする。
【0049】
「リガンド」とは、天然に存在するレセプターに特異的な分子を意味するものとする。
【0050】
「変異体」または「変異」とは、内因性レセプターの核酸配列および/またはアミノ酸配列に関して、内因性の非構成的活性化レセプターの変異形態がそのレセプターの構成的活性化を示すような、そのような内因性配列に対する特定の変化を意味するものとする。特定の配列に対する等価物に関して、(a)ヒトレセプターの後で変異した形態の構成的活性化のレベルが、そのレセプターの最初の変異により示されるレベルと実質的に同じである場合;および(b)そのレセプターの後で変異した形態と、そのレセプターの最初の変異との間の配列(アミノ酸配列および/または核酸配列)の相同性パーセントが、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%である場合に、そのヒトレセプターの後で変異した形態は、そのヒトレセプターの最初の変異と等価であると見なされる。いくつかの実施形態において、構成的活性化を達成するための本明細書中に開示されるいくつかの好ましいカセットが、そのGPCRの内因性形態と非内因性形態との間で単一アミノ酸変化および/または単一コドン変化を含むという事実が原因で、この配列相同性パーセントは、少なくとも98%であるべきことが、好ましい。
【0051】
「非オーファンレセプター」は、同定されたリガンドに特異的な、内因性の天然に存在する分子であって、ここで、レセプターに対するリガンドの結合は、細胞内シグナル伝達経路を活性化する、分子を意味するものとする。
【0052】
「オーファンレセプター」は、そのレセプターに特異的なリガンドが、同定されていないかまたは未知である内因性レセプターを意味するものとする。
【0053】
「薬学的組成物」は、少なくとも1つの活性成分を含む組成物であって、それによって、この組成物が、哺乳動物(例えば、限定ではなく、ヒト)における、指定された有効な結果についての調査に従う組成物を意味するものとする。当業者は、活性成分が、当業者の必要性に基づいて、所望の効力のある結果を有するか否かを決定するために適切な技術を理解し、そして認識する。
【0054】
「プラスミド」は、ベクターとcDNAとの組み合わせを意味するものとする。一般に、プラスミドは、cDNAの複製および/またはタンパク質としての発現の目的のために宿主細胞へと導入される。
【0055】
「セカンドメッセンジャー」は、レセプター活性化の結果として生成される細胞内応答を意味するものとする。セカンドメッセンジャーは、例えば、イノシトール三リン酸(IP)、ジアシルグリセロール(diacycglycerol)(DAG)、サイクリックAMP(cAMP)およびサイクリックGMP(cGMP)を含み得る。セカンドメッセンジャーの応答は、レセプター活性化の決定のために測定され得る。さらに、セカンドメッセンジャーの応答は、例えば、逆のアゴニスト、アゴニストおよびアンタゴニストを含む、候補化合物の直接同定のために測定され得る。
【0056】
「シグナル対ノイズ比」は、活性化、増幅または刺激に応じて生じたシグナルであって、ここで、このシグナルは、バックグラウンドノイズまたは非活性化、非増幅もしくは非刺激に応じた基底レベルよりも高い、シグナルを意味するものとする。
【0057】
「スペーサー」は、遺伝子(例えば、目的のGPCR)の最後のコドンまたは最後のアミノ酸の後に位置するが、目的のGタンパク質の開始コドンまたは開始領域の前に位置する、翻訳された多数のアミノ酸であって、ここで、翻訳された多数のアミノ酸は、目的のGタンパク質の開始領域とインフレームで配置される、翻訳された多数のアミノ酸を意味するものとする。翻訳されたアミノ酸の数は、当業者の必要性に従って調整され得、そして一般に、約1アミノ酸、好ましくは2アミノ酸、より好ましくは3アミノ酸、より好ましくは4アミノ酸、より好ましくは5アミノ酸、より好ましくは6アミノ酸、より好ましくは7アミノ酸、より好ましくは8アミノ酸、より好ましくは9アミノ酸、より好ましくは10アミノ酸、より好ましくは11アミノ酸、そしてさらにより好ましくは12アミノ酸からである。
【0058】
用語「応答」との関係において、「刺激する」または「刺激している」は、応答が、化合物の非存在下でとは逆に、化合物の存在下で増大することを意味するものとする。
【0059】
「実質的に」は、コントロールの結果の40%以内、好ましくはコントロールの結果の35%以内、より好ましくは30%以内、より好ましくは25%以内、より好ましくは20%以内、より好ましくは15%以内、より好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内、より好ましくは2%以内、そして最も好ましくは1%以内である結果をいうものとする。例えば、レセプター機能性に関しては、本明細書中に教示される方法または当業者に公知の類似の方法を用いて測定した場合に、伝達されるシグナルが、コントロールのシグナルによって生成されるシグナルの40%以内であるならば、試験レセプターは、コントロールレセプターと実質的に類似の結果を示し得る。
【0060】
cDNAに関してベクターは、少なくとも1つのcDNAを組み込み得、かつ宿主細胞へ組み込み得る、環状DNAを意味するものとする。
【0061】
以下の節の順番を、表示効率のために示し、以下の開示についても特許請求の範囲についても、限定であることを意図せず、かつ、そのように解釈すべきではない。
【0062】
(A.序論)
レセプターの伝統的研究は代表的に、発見が進行して、このレセプターに影響を与え得るアンタゴニストおよび他の分子を見出し得る前に最初に、内因性リガンドが同定されなければならないという、(歴史的に基づく)事前の仮定から進行した。アンタゴニストが最初に知られ得た場合でさえ、この探索は直ちに、内因性リガンドを探すことに広げられた。この思考形態は、構成的に活性化されたレセプターが見出された後でさえ、レセプター調査において持続した。これまで認識されてこなかったのは、このレセプターのアゴニストおよび逆のアゴニストを見出すために最も有用なのは、活性状態のレセプターであるということである。過度に活性なレセプターまたは活性が低すぎる(under−active)レセプターからもたらされる疾患に関しては、治療薬物において所望されるのは、内因性リガンドに対するアンタゴニストである薬物では必ずしも無い、それぞれ、レセプターの活性状態を低下させるように作用するかまたはレセプターの活性を増強するように作用する化合物である。これは、活性なレセプター状態の活性を低減または増強する化合物が、内因性リガンドと同じ部位に結合する必要は無いことによる。従って、本発明の方法によって教示されるように、治療化合物についての任意の探索は、リガンド非依存性の活性状態を排除するように化合物をスクリーニングすることによって開始されるべきである。
【0063】
(B.ヒトGPCRの同定)
ヒトゲノムプロジェクトの努力によって、ヒトゲノム内に位置する核酸配列に関する過度の情報が同定された;この努力における事実は、任意の特定のゲノム配列が、ヒトタンパク質を翻訳するオープンリーディングフレーム情報を含むかもしくは含み得るかまたはそうでないかについて理解することも認識することもなく、遺伝子供配列情報が利用可能になったということである。ヒトゲノム内の核酸配列を同定するいくつかの方法は、当業者の範囲内である。例えば、そして限定ではないが、本明細書中に開示された種々のヒトGPCRを、GenBankTMデータベースを検討することによって見出した。以下の表Bは、本発明者らが見出したいくつかの内因性GPCRを、開示されたGPCRに相同である他のGPCRと一緒に列挙する。
【0064】
【表2】

【0065】
レセプター相同性は、ヒトの身体内でのこのレセプターの役割の正しい認識の獲得に関して有用である。特許文献が進むにつれて、これらのレセプターを変異させて、これらのレセプターの非内因性の構成的活性化バージョンを確立するための技術が考察される。
【0066】
本明細書中に開示された技術はまた、当業者に明らかなように、当該分野で公知の他のヒトGPCRに適用可能である。
【0067】
(C.レセプタースクリーニング)
本明細書中に開示されたGPCRの非内因性の構成的活性化バージョンを排除した、候補化合物のスクリーニングは、レセプターの内因性リガンドの使用を必要とすることなく、細胞表面レセプターに作用する候補化合物の直接同定を可能にする。慣用的な、そしてしばしば商業的に利用される技術を用いて、本明細書中に開示されたヒトGPCRの内因性バージョンが発現および/または過剰発現する身体内領域を決定し得る。特定の組織におけるレセプターの発現位置によって、このレセプターの生理学的機能的役割を割り当てる能力が科学者に提供される。これらの技術を用いて、このレセプターの発現および/または過剰発現に関連した、関連の疾患/障害状態を決定することもまた可能である;このようなアプローチは、本特許文献中に開示される。さらに、罹病器官におけるレセプターの発現は、このレセプターの臨床的関連の大きさを決定することを補助し得る。
【0068】
本明細書中に開示されるGPCRの構成的活性化は、GPCRのTM6内に位置すると予測されるプロリン残基からの距離に基づく;このアルゴリズム技術は、同時係属中でかつ同一人に譲渡された特許文書PCT出願第PCT/US99/23938号(WO 00/22129として2000年4月20日に公開)(本明細書中に列挙される他の特許文書とともに、本明細書中に参考として援用される)に開示される。アルゴリズム技術は、伝統的な配列「アラインメント」に基づいては予測されておらず、むしろ、上記のTM6プロリン残基(またはもちろん、このようなプロリン残基についての内因性の構成的置換)からの特定の距離について予測されている。この残基(おそらく、このレセプターのIC3領域に存在する)から16アミノ酸残基の位置に存在するアミノ酸残基を最も好ましくはリジン残基に変異させることによって、このレセプターの構成的活性化が得られ得る。他のアミノ酸残基は、この目的を達成するために、この位置での変異において有用であり得、そして以下で詳細に考察される。
【0069】
(D.疾患/障害の同定および/または選択)
以下でずっと詳細に示すように、非内因性の構成的に活性化されたGPCRに対する逆のアゴニストおよびアゴニストは、本発明の方法論によって同定され得る。このような逆のアゴニストおよびアゴニストは、このレセプターに関連する疾患を処置するための薬物発見プログラムにおけるリード化合物として理想的な候補である。GPCRに対する逆のアゴニストを直接的に同定し、それによって薬学的組成物の開発を可能にする能力があるので、GPCRに関連した疾患および障害についての探索は適切である。特定の組織におけるレセプターの発現位置によって、レセプターに対する生理学的機能を割り当てる能力が科学者に提供される。例えば、罹病組織サンプルおよび正常組織サンプルの両方を、GPCRの存在について走査することは今や、学問的課題または特定のGPCRに対する内因性リガンドを同定する経路に伴って遂行され得るもの以上のものとなる。組織走査は、広範囲の健常組織および罹病組織にわたって実施され得る。このような組織走査は、特定のレセプターを疾患および/または障害と関連付ける際の潜在的第一工程を提供する。さらに、罹病器官におけるレセプターの発現は、このレセプターの臨床的関連性の大きさを決定する際に同定することを補助し得る。
【0070】
GPCRのDNA配列を用いて、プローブ/プライマーを作製し得る。いくつかの好ましい実施形態では、このDNA配列を用いて、以下のためのプローブを作製する:(a)組織mRNAに対するドット−ブロット分析、および/または(b)組織サンプルにおけるこのレセプターの発現のRT−PCR同定。組織供給源もしくは罹病組織におけるレセプターの存在、または罹病した組織における、正常組織と比較して上昇した濃度でのこのレセプターの存在を用いて、位置を機能に対して相関させ得、そしてレセプターの生理学的役割/機能を示し得、そしてその機能/役割に関連した疾患を含むがこれらに限定されない処置レジメンを生成し得る。レセプターはまた、この技術によって、器官の領域に局在され得る。レセプターが局在させられる特定の組織の既知または推定の役割/機能に基づいて、このレセプターの推定の生理学的機能が推測され得る。例えば、そして限定ではないが、視床の領域において位置および/または発現するタンパク質は、感覚運動処理および覚醒に関連する(GoodmanおよびGilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,第9版,465頁(1996)を参照のこと)。海馬またはSchwann細胞において発現されたタンパク質は、それぞれ、学習および記憶、ならびに末梢神経の髄鞘形成に関連する(それぞれ、Kandel,E.ら,Essentials of Neural Science and Behavior、657頁、680頁および28頁(1995))。
【0071】
(E.候補化合物のスクリーニング)
(1.包括的GPCRスクリーニングアッセイ技術)
Gタンパク質レセプターが構成的に活性になる場合、これは、Gタンパク質(例えば、G、G、G、G、Go)に結合し、そしてGタンパク質に対するGTPの結合を刺激する。次いで、このGタンパク質は、GTPaseとして作用し、そしてGTPをGDPへと加水分解し、それによって、このレセプターは、正常条件下で、不活化されることとなる。しかし、構成的に活性化されたレセプターは、GDPをGTPへと交換し続ける。GTPの加水分解可能でないアナログ[35S]GTPγSを用いて、構成的に活性化されたレセプターを発現する膜に対する増強された結合をモニタリングし得る。[35S]GTPγSを用いて、リガンドの非存在下および存在下での膜に対するGタンパク質カップリングをモニタリングし得ることが報告されている。このモニタリングの一例は、当業者に周知および利用可能な他の例の中でも、TraynorおよびNahorskiによって1995年に報告された。このアッセイ系の使用は代表的に、候補化合物の最初のスクリーニングのためである。なぜなら、この系は包括的に、このレセプターの細胞内ドメインと相互作用する特定のGタンパク質にかかわらず、全てのGタンパク質共役レセプターに適用可能である。
【0072】
(2.特異的GPCRスクリーングアッセイ技術)
「包括的」Gタンパク質共役レセプターアッセイ(すなわち、アゴニストまたは逆のアゴニストである化合物を選択するためのアッセイ)を用いて候補化合物が一旦同定されたら、この化合物がレセプター部位で相互作用したことを確認するさらなるスクリーニングが好ましい。例えば、「包括的」アッセイによって同定される化合物は、レセプターに結合しないかもしれないが、その代わり、Gタンパク質を細胞内ドメインから単に「脱共役」し得る。
【0073】
(a.G、GおよびG
は、酵素アデニリルシクラーゼを刺激する。一方、G(ならびにGおよびGo)は、アデニリルシクラーゼを阻害する。アデニリルシクラーゼは、cAMPへのATPの変換を触媒する;従って、Gタンパク質を共役する、構成的に活性化されたGPCRは、上昇した細胞レベルのcAMPに関連する。一方、G(またはG、Go)タンパク質を共役する、構成的に活性化されたGPCRは、低下した細胞レベルのcAMPに関連する。一般的に、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission」,第8章,From Neuron To Brain(第3版)Nichols,J.G.ら編、Sinauer Associates,Inc.(1992)を参照のこと。従って、cAMPを検出するアッセイを利用して、候補化合物が、例えば、そのレセプターに対する逆のアゴニストである(すなわち、このような化合物は、cAMPのレベルを減少させる)か否かを決定し得る。cAMPを測定するための、当該分野で公知の種々のアプローチが利用され得る;最も好ましいアプローチは、ELISAベースの形式における抗cAMP抗体の使用に頼る。利用され得る別の型のアッセイは、細胞全体のセカンドメッセンジャーレポーター系アッセイである。遺伝子上のプロモーターは、特定の遺伝子がコードするタンパク質の発現を駆動する。サイクリックAMPは、cAMP応答性DNA結合タンパク質または転写因子(CREB)の結合を促進することによって遺伝子発現を駆動し、CREBは次いで、特定の部位(cAMP応答性エレメント)でプロモーターに結合し、そして遺伝子の発現を駆動する。プロモーターを有するレポーター系であって、このプロモーターが、レポーター遺伝子(例えば、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ)の前に複数のcAMP応答エレメントを含むレポーター系が構築され得る。従って、構成的に活性化されたG連結レセプターは、cAMP蓄積を引き起こし、このことは次いで、この遺伝子を活性化して、このレポータータンパク質の発現を導く。次いで、レポータータンパク質(例えば、β−ガラクトシダーゼまたはルシフェラーゼ)は、標準的生化学アッセイ(Chenら 1995)を用いて検出され得る。
【0074】
(b.GおよびG
およびGは、酵素ホスホリパーゼCの活性化に関連し、これは次いで、リン脂質PIPを加水分解して、以下の2つの細胞内メッセンジャーを放出する:ジアシルグリセロール(diacycloglycerol)(DAG)およびイノシトール1,4,5−三リン酸(inositol 1,4,5−triphoisphate)(IP)。IPの増大した蓄積は、G関連レセプターおよびG関連レセプターの活性化と関連する。一般的に、「Indirect Mechanisms of Synaptic Transmission」,第8章,From Neuron To Brain(第3版)Nichols,J.G.ら編、Sinauer Associates,Inc.(1992)。IP蓄積を検出するアッセイを利用して、候補化合物が、例えば、G関連レセプターまたはGo関連レセプターに対する逆のアゴニストである(すなわち、このような化合物は、IPのレベルを低下させる)か否かを決定し得る。G関連レセプターをまた、AP1レポーターアッセイを用いて試験し得、ここで、G依存的ホスホリパーゼCは、AP1エレメントを含む遺伝子の活性化を引き起こす;従って、活性化されたG関連レセプターは、このような遺伝子の発現における増大を立証し、それによって、それに対する逆のアゴニストは、このような発現における減少を立証し、そしてアゴニストはこのような発現における増大を立証する。このような検出のための市販のアッセイが利用可能である。
【0075】
(3.GPCR融合タンパク質)
逆のアゴニストの直接同定のための候補化合物のスクリーニングにおいて使用するための、内因性の構成的に活性化されたGPCRまたは非内因性の構成的に活性化されたGPCRの使用において、明らかに、レセプターが、それに結合する内因性リガンドの非存在下でさえ、活性であるという点で、アゴニストは、興味深いスクリーニングチャレンジを提供する。従って、例えば、候補化合物の存在下の非内因性レセプターと、その化合物の非存在下での非内因性レセプターとの識別のような識別によって、このような化合物が逆のアゴニストもしくはアゴニストであり得る、またはこのようなレセプターに対して何の効果も有さないかについての理解を可能にすることを目的として、候補化合物の存在下の非内因性レセプターと、その化合物の非存在下での非内因性レセプターとを識別するために、このような識別を増強し得るアプローチを利用することが好ましい。好ましいアプローチは、GPCR融合タンパク質の使用である。
【0076】
一般に、上記のアッセイ技術(ならびに他の技術)を用いて、非内因性GPCRが構成的に活性化されていることが一旦決定されたら、内因性GPCRと共役する優勢なGタンパク質を決定することが可能である。GPCRに対するGタンパク質の共役は、評価され得るシグナル伝達経路を提供する。いくつかの実施形態では、哺乳動物発現系を用いてスクリーニングを行うことが好ましく、このような系は、その中に内因性Gタンパク質を有すると予測される。従って、明らかに、このような系では、非内因性の構成的に活性化されたGPCRは、連続してシグナルを発する。いくつかの実施形態では、このシグナルが増強され、その結果、例えば、レセプターに対する逆のアゴニストの非存在下では、逆のアゴニストと接触した場合のこのレセプターとの間を(特に、スクリーニングの状況において)より容易に識別し得る可能性がより高いことが好ましい。
【0077】
GPCR融合タンパク質は、非内因性GPCRとのGタンパク質共役の効力を増強することが意図される。GPCR融合タンパク質は、内因性の構成的に活性なGPCRまたは非内因性の構成的に活性化されたGPCRのいずれかを用いたスクリーニングのために好ましい。なぜなら、このようなアプローチは、このようなスクリーニング技術において利用されるシグナルを増大させるからである。これは、顕著な「シグナル対ノイズ」比を容易にする際に重要である;このような顕著な比は、本明細書中に開示されたような候補化合物のスクリーニングのために好ましい。
【0078】
GPCR融合タンパク質の発現のために有用な構築物の構築は、当業者の範囲内にある。市販の発現ベクターおよび系は、調査者の特定の必要性に適合し得る種々のアプローチを提供する。このようなGPCR融合タンパク質構築物の構築についての重要な基準としては、内因性GPCR配列およびGタンパク質配列が両方ともインフレームであること(好ましくは、内因性GPCRについての配列がGタンパク質配列の上流にある)、およびGPCRの発現の際にこのGタンパク質もまた発現され得るように、GPCRの「停止」コドンが欠失または置換されていることが挙げられるがこれらに限定されない。他の実施形態としては、内因性GPCR配列およびGタンパク質配列がインフレームでなく、そして/または「停止」コドンが欠失も置換もされていない構築物が挙げられる。GPCRは、Gタンパク質に対して直接的に連結され得るか、または2つ(好ましくは約12以下だがこの数は当業者によって容易に確認され得る)の間にスペーサー残基が存在し得る。便宜性に基づいて、スペーサーを使用することが好ましい。好ましくは、非内因性GPCRに共役するGタンパク質は、GPCR融合タンパク質構築物の作製の前に同定されている。Gタンパク質はほんのいくつかしか同定されていないので、Gタンパク質の配列を含む構築物(すなわち、ユニバーサルGタンパク質構築物(実施例を参照のこと))が、その中への内因性GPCR配列の挿入のために利用可能であることが好ましい;このことは、異なる配列を有する種々の異なる内因性GPCRの大規模スクリーニングの状況においてさらなる効率を提供する。
【0079】
上記のように、G、GおよびGに共役する、構成的に活性化されたGPCRは、cAMPの形成を阻害すると予測され、このことは、これらの型のGPCRに基づくアッセイを困難なものとする(すなわち、cAMPシグナルは、活性化されると減少し、それゆえ、例えば、逆のアゴニスト(これはさらにこのシグナルを減少させる)の直接同定を困難なものとする)。本明細書中に開示されるように、本発明者らは、これらの型のレセプターについて、実行可能なシクラーゼベースのアッセイを確立する努力において、GPCR内因性Gタンパク質に基づかないGPCR融合タンパク質を作製することが可能であることを確認した。従って、例えば、内因性G共役レセプターは、Gタンパク質へと融合され得る−このような融合構築物は、発現の際に、内因性GPCRを「天然の」Gタンパク質ではなく、例えば、Gと共役するように「駆動」または「強要」し、その結果、シクラーゼベースのアッセイが確立され得る。従って、G共役レセプター、G共役レセプターおよびG共役レセプターは、いくつかの実施形態では、GPCR融合タンパク質が用いられ、そしてアッセイがアデニリルシクラーゼ活性の検出に基づく場合、融合構築物が、G(または酵素アデニリルシクラーゼの形成を刺激する等価なGタンパク質)を用いて確立されることが好ましい。
【0080】
【表3】

【0081】
同等に有効であるのは、Gタンパク質、Gタンパク質、Gタンパク質またはGタンパク質と融合したGタンパク質を利用するGタンパク質融合構築物である。いくつかの実施形態では、好ましい融合構築物は、Gタンパク質を用いて達成され得、ここで、Gタンパク質α−サブユニット(「Gαq」)の最初の6個のアミノ酸は欠失しており、そしてGaqのC末端の最後の5個のアミノ酸は、目的のGタンパク質のGαの対応するアミノ酸で置換されている。例えば、融合構築物は、Gタンパク質と融合したGq(6個のアミノ酸欠失)を有し得、「G/G融合構築物」をもたらす。この融合構築物は、内因性G共役レセプターがその非内因性Gタンパク質Gに対して共役するように強要し、その結果、セカンドメッセンジャー(例えば、イノシトール三リン酸またはジアシルグリセロール)が、cAMP生成の代わりに測定され得る。
【0082】
(4.標的G共役GPCRとシグナルエンハンサーG共役GPCRとの同時トランスフェクション(cAMPベースのアッセイ))
共役レセプターは、アデニリルシクラーゼを阻害することが公知であり、それゆえ、cAMP生成のレベルを低下させ、このことは、cAMPレベルの評価を困難にし得る。活性化されるとGと優先的に共役するレセプターの構成的活性化の指標として、cAMPの生成における減少を測定する際の1つの有効な技術は、シグナルエンハンサー(例えば、活性化されるとGと優先的に共役する非内因性の構成的に活性化されたレセプター)(例えば、以下に開示されるTSHR−A623I)をG連結GPCRと同時トランスフェクトすることによって達成され得る。明らかであるように、G共役レセプターの構成的活性化は、cAMPの生成における増加に基づいて決定され得る。G共役レセプターの構成的活性化は、cAMP生成における減少を導く。従って、同時トランスフェクションアプローチは、これらの「逆の」効果(affect)を有利に利用することが意図される。例えば、非内因性の構成的に活性化されたG共役レセプター(「シグナルエンハンサー」)と内因性G共役レセプター(「標的レセプター」)との同時トランスフェクションは、ベースラインのcAMPシグナルを提供する(すなわち、G共役レセプターはcAMPレベルを低下させるが、この「低下」は、構成的に活性化されたG共役シグナルエンハンサーによって確立される、cAMPレベルにおける実質的上昇と比較してである)。次いで、このシグナルエンハンサーを、構成的活性化バージョンの標的レセプターと同時トランスフェクトすることによって、cAMPは、G標的の上昇した機能的活性(すなわち、これは、cAMPを減少させる)に起因して、(ベースラインと比較して)さらに減少すると予想される。
【0083】
次いで、cAMPベースのアッセイを用いた候補化合物のスクリーニングは、内因性レセプター/Gタンパク質融合物の使用と比較した2つの「変化」を用いて達成され得る:第一に、G共役標的レセプターと比較して、「逆の」効果がもたらされる(すなわち、G共役標的レセプターの逆のアゴニストは、測定されるcAMPシグナルを増加させ、一方、Gi共役標的レセプターのアゴニストは、このシグナルを減少させる;第二に、明らかなように、このアプローチを用いて直接的に同定される候補化合物は、独立して評価されて、これらがシグナル増強レセプターを標的としないことを確実にするべきである(これは、同時トランスフェクトされたレセプターに対するスクリーニングの前または後に行われ得る)。
【0084】
(F.医薬品化学)
一般に、しかし常にではなく、候補化合物の直接同定は、コンビナトリアルケミストリー技術を介して生成される化合物に関連して行われ、それによって、数千の化合物が、このような分析のためにランダムに調製される。一般に、このようなスクリーニングの結果は、独特のコア構造を有する化合物である;その後、これらの化合物は、好ましいコア構造の周囲のさらなる化学修飾に供されて、その医学的特性がさらに増強され得る。このような技術は、当業者に公知であり、そして本特許文書において詳細に取り扱われない。
【0085】
(G.薬学的組成物)
さらなる開発のために選択された候補化合物は、当業者に周知の技術を用いて薬学的組成物中に処方され得る。適切な、薬学的に受容可能なキャリアは、当業者に利用可能である;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,1980,Mack Publishing Co.(Osolら編)を参照のこと。
【0086】
(H.他の有用性)
本明細書中に開示された非内因性バージョンのGPCRの好ましい使用は、(好ましくは薬学的薬剤としての使用のための)逆のアゴニストまたはアゴニストとしての候補化合物の直接同定のためであり得るが、これらのバージョンのGPCRの他の用途が存在する。例えば、GPCRを取り込んだインビトロおよびインビボでの系を利用して、これらのレセプターが、ヒトの(正常および罹病の両方の)状態において果たす役割をさらに解明および理解し得、そしてシグナル伝達カスケードを理解するためにこれを適用する場合、構成的活性化の役割を理解し得る。いくつかの実施形態では、内因性レセプターが「オーファンレセプター」、すなわち、レセプターに対する内因性リガンドが同定されていないことが好ましい。それゆえ、いくつかの実施形態では、それゆえ、内因性リガンドが同定される前に、改変された非内因性GPCRを用いて、ヒトの身体における内因性レセプターの役割を理解し得る。このようなレセプターをまた用いて、既知のレセプターおよびそれらがシグナルを伝達する経路をさらに解明し得る。開示されたレセプターの他の用途は、とりわけ、本特許文書の概説に基づいて当業者に明らかになる。
【0087】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の解明の目的で提示され、限定の目的で提示されるわけではない。特定の核酸配列およびアミノ酸配列が本明細書中に開示されているが、当業者は、以下に報告されるのと同じまたは実質的に類似の結果を達成しながらも、これらの配列に対するマイナーな改変を行う能力があると考えられる。ある配列由来の配列カセットの、別の配列由来の配列カセットへの(例えば、ラットレセプターからヒトレセプターへの、またはヒトレセプターAからヒトレセプターBへの)適用または理解のための伝統的アプローチは一般的に、配列アラインメント技術に対して推定され、それによって、配列は、共通性のある領域を決定するための努力においてアラインメントされる。本明細書中に開示された変異アプローチは、このアプローチに頼らないが、その代わりにアルゴリズムアプローチおよびヒトGPCRのTM6領域内に位置する保存されたプロリン残基からの位置的距離に基づく。一旦このアプローチが確実にされたら、当業者は、それに対するマイナーな改変を行って、本明細書中に開示されたのと実質的に同じ結果(すなわち、構成的活性化)を達成する能力があると考えられる。このような改変版のアプローチは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0088】
(実施例1:内因性ヒトGPCRS)
(1.ヒトGPCRの同定)
開示された内因性ヒトGPCRを、GenBankTMデータベース情報の概要に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、以下のcDNAクローンを、以下(表C)に証明するように同定した。
【0089】
【表4】

【0090】
(2.全長クローニング)
(a.hRUP28(配列番号1および2))
開示されたヒトRUP28を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AC073957のcDNAクローンを、第7染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0091】
全長RUP28を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒト成人肝臓Marathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:
5’−CAGAGCTCTGGTGGCCACCTCTGTCC−3’(配列番号21;センス、開始コドンの5’側)、5’−CTGCGTCCACCAGAGTCACGTCTCC−3’(配列番号22;アンチセンス、停止コドンの3’側)。AdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる、50μl反応における増幅のために用いた:95℃で5分間;94℃で30秒間;58℃で30秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0092】
1.16kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号1を、そして推定アミノ酸配列については配列番号2を参照のこと。
【0093】
(b.hRUP29(配列番号3および4))
開示されたヒトRUP29を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AC0083865のcDNAクローンを、第7染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0094】
全長RUP29を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNAを用いるPCRによってクローニングした:
【0095】
【化1】

【0096】
TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによって、50μl反応における増幅のために用いた:94℃で5分間;94℃で30秒間;54℃で30秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0097】
930bpのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。
【0098】
cDNA末端の迅速増幅(RACE)を、ヒト白血球および卵巣のMarathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いて行って、RUP29 cDNAの正確な5’末端を決定した。RUP29特異的プライマー(1)(配列:5−GGTACCACAATGACAATCACCAGCGTCC−3’(配列番号25)を有する)およびAP1プライマー(Clontech)を、1回目のPCR反応のために用い、そしてRUP29特異的プライマー(2)(以下の配列を有する:5’−GGAACGTGAGGTACATGTGGATGTGCAGC−3’(配列番号26))およびAP2プライマー(Clontech)を、2回目のPCR反応のために用いた。RACE反応の産物を単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そして配列決定した。核酸配列については配列番号3を、そして推定アミノ酸配列については配列番号4を参照のこと。
【0099】
(c.hRUP30(配列番号5および6))
開示されたヒトRUP30を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AC055863のcDNAクローンを、第17染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0100】
全長RUP30を、テンプレートとしてのヒト膵臓Marathon−ReadyTM
cDNA(Clontech)を用いる5’RACE−PCRによってクローニングし、そして以下のオリゴヌクレオチド:5’−GCAGTGTAGCGGTCAACCGTGAGCAGG−3’(配列番号27;センス、開始コドンを含む)、およびAP1プライマー(Clontech)を1回目のRT−PCRのために用い、そしてオリゴヌクレオチド:5’−TGAGCAGGATGGCGATCCAGACTGAGGCGTGG−3’(配列番号28;アンチセンス、停止コドンを含む)およびAP2プライマー(Clontech)を2回目のPCRのために用いた。5’RACE−PCRによって作製されたDNAフラグメントをpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてSP6/T7プライマー(Stratagene)を用いて配列決定した。
【0101】
5’RACE産物の配列に基づいて、全長RUP30を、以下のプライマーならびにテンプレートとしてのヒト膵臓Marathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いてRT−PCRによってクローニングした:
【0102】
【化2】

【0103】
Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる50μlの反応における増幅のために用いた:94℃で40秒間;94℃で20秒間;64℃で20秒間;72℃で2分間;および72℃で5分間。
【0104】
1.2kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしていくつかのクローンを、ABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号5を、そして推定アミノ酸配列については配列番号6を参照のこと。
【0105】
(d.hRUP31(配列番号7および8))
開示されたヒトRUP31を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AL356214のcDNAクローンを、第10染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0106】
全長RUP31を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒト乳腺Marathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いるRT−PCRによってクローニングした:
【0107】
【化3】

【0108】
AdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによって、50μl反応における増幅のために用いた:94℃で40秒間;94℃で20秒間;66℃で20秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で5分間。
【0109】
1.1kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号7を、そして推定アミノ酸配列については配列番号8を参照のこと。
【0110】
(e.hRUP32(配列番号9および10))
開示されたヒトRUP32を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AL513524のcDNAクローンを、第6染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0111】
全長RUP32を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:
【0112】
【化4】

【0113】
TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる増幅のために用いた:94℃で3分間;94℃で20秒間;58℃で20秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0114】
1.06のkb PCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号9を、そして推定アミノ酸配列については配列番号10を参照のこと。
【0115】
(f.hRUP33(配列番号11および12))
開示されたヒトRUP33を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AL513524のcDNAクローンを、第6染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0116】
全長RUP33を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:
【0117】
【化5】

【0118】
TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる増幅のために用いた:94℃で3分間;94℃で20秒間;56℃で20秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0119】
1.1kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号11を、そして推定アミノ酸配列については配列番号12を参照のこと。
【0120】
(g.hRUP34(配列番号13および14))
開示されたヒトRUP34を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AL513524のcDNAクローンを、第6染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0121】
全長RUP34を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:
【0122】
【化6】

【0123】
TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる増幅のために用いた:94℃で3分間;94℃で20秒間;60℃で20秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0124】
1.27kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号13を、そして推定アミノ酸配列については配列番号14を参照のこと。
【0125】
(h.hRUP35(配列番号15および16))
開示されたヒトRUP35を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AC021089のcDNAクローンを、第16染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0126】
RUP35の5’配列を、テンプレートとしてヒト胎児脳Marathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いた5’RACE−PCRによって決定した。オリゴヌクレオチド5’−GGTATGAGACCGTGTGGTACTTGAGC−3’(配列番号39;センス)およびAP1プライマー(Clontech)を1回目のRT−PCRのために用い、そしてオリゴヌクレオチド5’−GTGGCAGACAGCGATATACCTGTCAATGG−3’(配列番号40;アンチセンス)およびAP2プライマー(Clontech)を2回目のPCRのために用いた。5’RACE−PCRによって生成されたDNAフラグメントをpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてSP6/T7プライマー(Stratagene)を用いて配列決定した。
【0127】
5’RACE産物の配列に基づいて、全長RUP35を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒト脳Marathon−ReadyTM cDNA(Clontech)を用いるRT−PCRによってクローニングした:
【0128】
【化7】

【0129】
AdvantageTM cDNAポリメラーゼ(Clontech)を、工程2〜工程4を45回繰り返す以下のサイクルによる100μlの反応における増幅のために用いた:95℃で2分間;95℃で20秒間;60℃で20秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で5分間。
【0130】
1.0kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号15を、そして推定アミノ酸配列については配列番号16を参照のこと。
【0131】
(i.hRUP36(配列番号17および18))
開示されたヒトRUP36を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。このデータベースを検索する間に、登録番号AC090099のcDNAクローンを、第11染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0132】
全長RUP36を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:
5’−CATCTGGTTTGTGTTCCCAGGGGCACCAG−3’(配列番号43;センス、開始コドンの5’側)、
5’−GACAGTGTTGCTCTCAAAGTCCCGTCTGACTG−3’(配列番号44;アンチセンス、停止コドンの3’側)。TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を30回繰り返す以下のサイクルによる50μlの反応における増幅のために用いた:95℃で5分間;95℃で30秒間;70℃で30秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0133】
1.0kbのPCRフラグメントを1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号17を、そして推定アミノ酸配列については配列番号18を参照のこと。
【0134】
(j.hRUP37(配列番号19および20))
開示されたヒトRUP37を、GenBankデータベース情報の使用に基づいて同定した。データベースを検索する間に、登録番号AC090099のcDNAクローンを、第11染色体由来のヒトゲノム配列と同定した。
【0135】
全長RUP37を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのヒトゲノムDNA(Clontech)を用いるPCRによってクローニングした:5’−CTGTTTCCAGGGTCATCAGACTGGG−3’(配列番号45;センス);5’−GCAGCATTGCTCTCAAAGTCCTGTCTG−3’(配列番号46;アンチセンス)。TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる増幅のために用いた:95℃で5分間;95℃で30秒間;62℃で30秒間;72℃で1分30秒間;および72℃で7分間。
【0136】
969塩基対を1%アガロースゲルから単離し、そしてpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminator Kit(P.E.Biosystems)を用いて配列決定した。核酸配列については配列番号19を、そして推定アミノ酸配列については配列番号20を参照のこと。
【0137】
(実施例2:非内因性の構成的に活性化されたGPCRの調製)
当業者は、核酸配列の変異のための技術を選択する能力を有すると考えられる。以下に提示されるのは、上記で開示されたヒトGPCRのいくつかの非内因性バージョンを作製するために利用されるアプローチである。以下に開示される変異は、アルゴリズムアプローチに基づき、それによって、保存されたプロリン(またはそれについての内因性の保存的置換)残基(TM6/IC3界面付近のGPCRのTM6領域に位置する)から16番目のアミノ酸(GPCRのIC3領域に位置する)を、好ましくはアラニン、ヒスチジン(histimine)、アルギニンまたはリジンのアミノ酸残基、最も好ましくはリジンのアミノ酸残基へと変異させる。
【0138】
(1.Transformer Site−DirectedTM変異誘発)
非内因性ヒトGPCRの調製は、とりわけ、Transformer Site−DirectedTM Mutagenesis Kit(Clontech)を製造業者の指示に従って用いて、ヒトGPCRにおいて達成され得る。いくつかの実施形態では、2つの変異誘発プライマー(好ましくは、リジン変異を作製するリジン変異誘発オリゴヌクレオチドおよび選択マーカーオリゴヌクレオチド)が用いられる。便宜のために、ヒトGPCRに組み込まれるべきコドン変異もまた、標準形態で注記される(表D):
【0139】
【表5】

【0140】
(実施例3:レセプター発現)
タンパク質の発現のために当業者に種々の細胞が入手可能であるが、哺乳動物細胞が利用されることが好ましい。この主な理由は、実際的なことに基づいて推定される。すなわち、例えば、GPCRの発現のための酵母細胞の利用は、可能であるが、哺乳動物系について進化したレセプター共役、遺伝的機構および分泌経路を含まないかもしれない(実際、酵母の場合含まない)非哺乳動物細胞をこのプロトコルに導入し、従って、非哺乳動物細胞において得られる結果は、潜在的用途はあるとはいえ、哺乳動物細胞を用いて得られる結果ほど好ましくはない。哺乳動物細胞のうち、COS−7細胞、293細胞および293T細胞は特に好ましいが、利用される特定の哺乳動物細胞は、当業者の特定の必要性に基づいて推定され得る。
【0141】
(a.一過性トランスフェクション)
1日目に、6×10細胞/10cmディッシュの293細胞のウェルをプレーティングした。2日目に、2つの反応チューブを調製した(各チューブについての以下の比率は、1プレートあたりである):チューブAを、0.5ml無血清DMEM(Gibco BRL)中の4μg DNA(例えば、pCMVベクター;レセプターcDNAを有するpCMVベクターなど)を混合することによって調製した;チューブBを、0.5ml無血清DMEM中の24μlのリポフェクトアミン(lipofectamine)(Gibco BRL)を混合することによって調製した。チューブAおよびBを、(数回)反転することによって混合し、続いて室温で30分間〜45分間にわたってインキュベートした。この混合物を、「トランスフェクション混合物」という。プレーティングした293細胞を1×PBSで洗浄し、続いて5ml無血清DMEMを添加した。1mlのトランスフェクション混合物を細胞に添加し、続いて37℃/5% COで4時間にわたってインキュベートした。トランスフェクション混合物を吸引によって除去し、続いて10mlのDMEM/10% Fetal Bovine Serumを添加した。細胞を37℃/5% COでインキュベートした。48時間のインキュベーション後、細胞を収集し、そして分析のために利用した。
【0142】
(b.安定な細胞株)
約12×10個の293細胞を15cm組織培養プレートにプレーティングし、そして10%ウシ胎仔血清および1パーセントのピルビン酸ナトリウム、L−グルタミンおよび抗生物質を含有するDME High Glucose Medium中で増殖させる。293細胞のプレーティングの24時間後(約80%コンフルエンシーまで)、細胞を、12μgのDNAを用いてトランスフェクトする。12μgのDNAを、60μlのリポフェクトアミンおよび2mLの無血清DME High Glucose Mediumと合わせる。培地をこのプレートから吸引し、そして細胞を無血清培地で1回洗浄する。DNA、リポフェクトアミンおよび培地混合物を、10mLの無血清培地とともにこのプレートに添加する。4〜5時間にわたる37℃でのインキュベーション後、培地を吸引し、そして25mlの血清含有培地を添加する。トランスフェクションの24時間後、再度培地を吸引し、そして新鮮な血清含有培地を添加する。トランスフェクションの48時間後、培地を吸引し、そしてジェネティシン(G418薬物)を500μg/mLの最終濃度で含有する血清含有培地を添加する。次いで、トランスフェクトした細胞を、G418耐性遺伝子を含む、ポジティブにトランスフェクトされた細胞について選択する。培地を、選択をしながら、4〜5日毎に交換する。選択の間、細胞を増殖させて、安定なプールを作製するか、または安定なクローン選択のために分ける。
【0143】
(実施例4:非内因性GPCRの構成的活性の決定のためのアッセイ)
種々のアプローチが、非内因性ヒトGPCRの構成的活性の評価のために利用可能である。以下は例示である;当業者は、当業者の要求に優先的に有益である技術を決定する能力を有すると考えられる。
【0144】
(1.膜結合アッセイ:[35S]GTPγSアッセイ)
Gタンパク質共役レセプターが、リガンド結合または構成的活性化の結果のいずれかとして、その活性な状態にある場合、このレセプターは、Gタンパク質に共役し、そしてGDPの放出およびその後の、Gタンパク質へのGTPの結合を刺激する。Gタンパク質−レセプター複合体のαサブユニットはGTPaseとして作用し、そしてGTPをGDPへとゆっくりと加水分解し、この時点で、このレセプターは通常非活化される。構成的に活性化されたレセプターは、GDPをGTPへと交換し続ける。加水分解可能でないGTPアナログである[35S]GTPγSを利用して、構成的に活性化されたレセプターを発現する膜への[35S]GTPγSの結合の増強を実証し得る。構成的活性化を測定するために[35S]GTPγS結合を用いることの利点は、以下を含むがこれらに限定されない:(a)これは、全てのGタンパク質共役レセプターに包括的に適用可能である;(b)これは、膜表面に近位であり、細胞内カスケードに影響を与える分子を拾い上げる可能性を少なくする。
【0145】
このアッセイは、Gタンパク質共役レセプターが、関連するレセプターを発現する膜に対する[35S]GTPγS結合を刺激する能力を利用する。それゆえ、このアッセイを直接同定法において用いて、構成的に活性化されたGタンパク質共役レセプターに対する候補化合物をスクリーニングし得る。このアッセイは包括的であり、そして全てのGタンパク質共役レセプターでの薬物の発見に適用される。
【0146】
35S]GTPγSアッセイを、20mM HEPES、および1mMと約20mMとの間(この量は、結果の最適化のために調整され得るが、20mMが好ましい)のMgCl(pH7.4)、約0.3nMと約1.2nMとの間の[35S]GTPγS(この量は、結果の最適化のために調整され得るが、1.2が好ましい)を含む結合緩衝液、および12.5μg〜75μgの膜タンパク質(例えば、G融合タンパク質を発現する293細胞;この量は、最適化のために調整され得る)、および10μM GDP(この量は最適化のために変更され得る)中で1時間にわたってインキュベートする。次いで、コムギ胚芽凝集素ビーズ(25μl;Amersham)を添加し、そして混合物をさらに30分間にわたって室温でインキュベートする。次いで、チューブを1500×gで5分間にわたって室温で遠心分離し、次いで、シンチレーションカウンター中で計数する。
【0147】
(2.アデニリルシクラーゼ)
細胞ベースのアッセイのために設計されたFlash PlateTM Adenylyl Cyclaseキット(New England Nuclear;Cat.No.SMP004A)を、粗製原形質膜を用いた使用のために改変し得る。Flash Plateウェルは、cAMPを認識する特異抗体をまた含むシンチラント(scintillant)コーティングを含み得る。ウェル中で生成されたcAMPを、cAMP抗体への放射性cAMPトレーサーの結合についての直接的競合によって定量し得る。以下は、このレセプターを発現する細胞全体におけるcAMPレベルの変化の測定のための簡略なプロトコルとして役立つ。
【0148】
トランスフェクトされた細胞を、一過性トランスフェクションの約24時間後に収集する。培地を注意深く吸引して捨てる。10mlのPBSを、細胞の各ディッシュに穏やかに添加し、続いて注意深く吸引する。1mlのSigma細胞解離緩衝液および3mlのPBSを各プレートに添加する。細胞をピペットでプレートから取り出し、そして細胞懸濁液を50mlの円錐形遠心管に収集する。細胞を室温で、1,100rpmで5分間遠心分離する。細胞ペレットを適切な容量のPBS(約3ml/プレート)中に注意深く再懸濁する。次いで、細胞を、血球計算板を用いて計数し、そしてさらなるPBSを添加して、(約50μl/ウェルの最終容量になるように)適切な数の細胞を得る。
【0149】
cAMP標準およびDetection Buffer(11mlのDetection Bufferに対して1μCiのトレーサー[125I cAMP(50μl]を含む)を、製造業者の指示に従って調製し、そして維持する。Assay Bufferを、スクリーニングのために新たに調製し、そしてこれは、50μlのStimulation Buffer、3μlの試験化合物(12μMの最終アッセイ濃度)および50μlの細胞を含む。Assay Bufferを、利用するまで氷上で保存する。このアッセイを、適切なウェルへの50μlのcAMP標準の添加、続いてウェルH−11およびH12への50μlのPBSAの添加によって開始する。50μlのStimulation Bufferを全てのウェルに添加する。DMSO(または選択された候補化合物)を、12μM試験化合物の最終アッセイ濃度および100μl総アッセイ容量で3μlの化合物溶液を分配し得るピンツールを用いて適切なウェルに添加する。次いで、細胞をウェルに添加し、そして室温で60分間にわたってインキュベートする。次いで、トレーサーcAMPを含有する100μlのDetection Mixをウェルに添加する。プレートをさらに2時間にわたってインキュベートし、続いてWallac MicroBetaTMシンチレーションカウンター中で計数する。次いで、cAMP/ウェルの値を、各アッセイプレート内に含まれる標準cAMP曲線から外挿する。
【0150】
(3.G共役標的GPCRについての細胞ベースのcAMP)
TSHRは、活性化されるとcAMPの蓄積を引き起こす、G共役GPCRである。TSHRは、アミノ酸残基623を変異させる(すなわち、アラニン残基をイソロイシン残基に変更する)ことによって構成的に活性化される。G共役レセプターは、アデニリルシクラーゼを阻害すると考えられ、それゆえ、cAMP生成のレベルを低下させ、それによって、cAMPレベルの評価を魅力的にし得る。G共役レセプターの構成的活性化の指標としてcAMPの生成の減少を測定するための有効な技術は、「シグナルエンハンサー」として、(最も好ましくは非内因性の)構成的に活性化されたTSHR(TSHR−A623I)(または内因性の構成的に活性なG共役レセプター)を、G連結標的GPCRで同時トランスフェクトして、cAMPのベースラインレベルを確立することによって達成され得る。非内因性バージョンのG共役レセプターが作製されたら、次いで、この非内因性バージョンの標的GPCRを、このシグナルエンハンサーで同時トランスフェクトし、そしてスクリーニングに用いられ得るのはこの物質である。このアプローチを利用して、cAMPアッセイを用いる場合、シグナルを効果的に生じる;このアプローチは好ましくは、G共役レセプターに対する候補化合物の直接同定において用いられる。G共役GPCRに関して、このアプローチを用いる場合、標的GPCRの逆のアゴニストは、cAMPシグナルを増大させ、そしてアゴニストはcAMPシグナルを減少させることが注記される。
【0151】
1日目に、2×10個の293細胞/ウェルをプレーティングする。2日目に、2つの反応チューブを調製する(各チューブについての以下の比率は、1プレートあたりである):チューブAは、哺乳動物細胞中にトランスフェクトされた各レセプターのDNA 2μg(合計4μg DNA)(例えば、pCMVベクター;変異したTHSR(TSHR−A623I)を有するpCMVベクター;TSHR−A623IおよびGPCRなど)を1.2ml無血清DMEM(Irvine Scientific,Irvine,CA)中に混合することによって調製される;チューブBを、1.2ml無血清DMEM中に120μlのリポフェクトアミン(Gibco BRL)を混合することによって調製する。次いで、チューブAおよびチューブBを、(数回)反転することによって混合し、続いて室温で30分間〜45分間にわたってインキュベートする。この混合物を、「トランスフェクション混合物」という。プレーティングした293細胞を1×PBSで洗浄し、続いて10ml無血清DMEMを添加する。次いで、2.4mlのトランスフェクション混合物を細胞に添加し、続いて37℃/5% COで4時間にわたってインキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を吸引によって除去し、続いて25mlのDMEM/10% Fetal Bovine Serumを添加する。次いで、細胞を37℃/5% COでインキュベートする。24時間のインキュベーション後、細胞を収集し、そして分析のために利用する。
【0152】
Flash PlateTM Adenylyl Cyclaseキット(New England Nuclear;Cat.No.SMP004A)は、細胞ベースのアッセイのために設計されたとはいえ、当業者の必要に依存して、粗製原形質膜についての使用のために改変され得る。Flash Plateウェルは、cAMPを認識する特異抗体をまた含むシンチラントコーティングを含む。ウェル中で生成されたcAMPを、cAMP抗体への放射性cAMPトレーサーの結合についての直接的競合によって定量し得る。以下は、このレセプターを発現する細胞全体におけるcAMPレベルの変化の測定のための簡略なプロトコルとして役立つ。
【0153】
トランスフェクトされた細胞を、一過性トランスフェクションの約24時間後に収集する。培地を注意深く吸引して捨てる。10mlのPBSを、細胞の各ディッシュに穏やかに添加し、続いて注意深く吸引する。1mlのSigma細胞解離緩衝液および3mlのPBSを各プレートに添加する。細胞をピペットでプレートから取り出し、そして細胞懸濁液を50mlの円錐形遠心管に収集する。細胞を室温で、1,100rpmで5分間遠心分離する。細胞ペレットを適切な容量のPBS(約3ml/プレート)中に注意深く再懸濁する。次いで、細胞を、血球計算板を用いて計数し、そしてさらなるPBSを添加して、(約50μl/ウェルの最終容量になるように)適切な数の細胞を得る。
【0154】
cAMP標準およびDetection Buffer(11mlのDetection Bufferに対して1μCiのトレーサー[125I cAMP(50μl]を含む)を、製造業者の指示に従って調製し、そして維持する。Assay Bufferを、スクリーニングのために新たに調製すべきであり、そしてこれは、50μlのStimulation Buffer、3μlの試験化合物(12μMの最終アッセイ濃度)および50μlの細胞を含むべきである。Assay Bufferを、利用するまで氷上で保存し得る。このアッセイを、適切なウェルへの50μlのcAMP標準の添加、続いてウェルH−11およびH12への50μlのPBSAの添加によって開始し得る。50μlのStimulation Bufferを全てのウェルに添加する。選択された化合物(例えば、TSH)を、12μM試験化合物の最終アッセイ濃度および100μl総アッセイ容量で3μlの化合物溶液を分配し得るピンツールを用いて適切なウェルに添加する。次いで、細胞をウェルに添加し、そして室温で60分間にわたってインキュベートする。次いで、トレーサーcAMPを含有する100μlのDetection Mixをウェルに添加する。次いで、プレートをさらに2時間にわたってインキュベートし、続いてWallac MicroBetaシンチレーションカウンター中で計数する。次いで、cAMP/ウェルの値を、各アッセイプレート内に含まれる標準cAMP曲線から外挿する。
【0155】
(4.レポーターベースのアッセイ)
(a.CRE−Lucレポーターアッセイ(G結合レセプター))
293細胞および293T細胞を、96ウェルプレートに1ウェルあたり2×10細胞の密度でプレーティングし、そして翌日、製造業者の指示に従ってLipofectamine Reagent(BRL)を用いてトランスフェクトする。DNA/脂質混合物を、以下のとおりに各6ウェルトランスフェクションのために調製する:100μlのDMEM中の260ngのプラスミドDNAを、100μlのDMEM中の脂質2μlと穏やかに混合する(260ngのプラスミドDNAは、8xCRE−Lucレポータープラスミド200ng、内因性レセプターもしくは非内因性レセプターを含むpCMVまたはpCMV単独(50ng)およびGPRS発現プラスミド(pcDNA3(Invitrogen)中のGPRS)10ngからなっていた)。8XCRE−Lucレポータープラスミドを以下のとおりに調製する:ベクターSRIF−β−galを、ラットソマトスタチンプロモーター(−71/+51)をpβgal−Basic Vector(Clontech)中のBglV−HindIII部位にクローニングすることによって得る。8コピーのcAMP応答エレメントを、アデノウイルステンプレートAdpCF126CCRE8(7 Human Gene Therapy 1883(1996)を参照のこと)からのPCRによって得て、そしてSRIF−β−galベクター中のKpn−BglV部位にクローニングして、8xCRE−β−galレポーターベクターを得る。8xCRE−Lucレポータープラスミドを、8xCRE−β−galレポーターベクター中のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を、HindIII−BamHI部位にて、pGL3−basicベクター(Promega)由来のルシフェラーゼ遺伝子で置換することによって生成する。室温での30分間のインキュベーション後、DNA/脂質混合物を400μlのDMEMで希釈し、そして100μlの希釈した混合物を各ウェルに添加する。10% FCSを含むDMEM100μlを、細胞培養インキュベーター中での4時間のインキュベーション後に各ウェルに添加する。翌日、トランスフェクトした細胞を、10% FCSを含むDMEM(200μl/ウェル)を用いて交換する。8時間後、ウェルを、PBSで1回洗浄した後に、フェノールレッドを含まないDMEM(100μl/ウェル)に交換する。ルシフェラーゼ活性を、LucLiteTMレポーター遺伝子アッセイキット(Packard)を製造業者の指示に従って用いて翌日測定し、そして1450 MicroBetaTMシンチレーションおよび発光カウンター(Wallac)で読み取る。
【0156】
(b.AP1レポーターアッセイ(G結合レセプター))
刺激を検出する方法は、AP1エレメントをプロモーター内に含む遺伝子の活性化を引き起こすという、G依存性ホスホリパーゼCの既知の特性に依存する。PathdetectTM AP−1 cis−Reporting System(Stratagene,Catalogue # 219073)を、リン酸カルシウム沈澱物の成分が410ng pAP1−Luc、80ng pCMV−レセプター発現プラスミドおよび20ng CMV−SEAPであること以外は、CREBレポーターアッセイに関する上記のプロトコールセットに従って利用し得る。
【0157】
(c.SRF−Lucレポーターアッセイ(G結合レセプター))
刺激を検出する1つの方法は、血清応答因子をプロモーター中に含む遺伝子の活性化を引き起こすという、G依存性ホスホリパーゼCの既知の特性に依存する。PathdetectTM SRF−Luc−Reporting System(Stratagene)を利用して、(例えば、COS7細胞における)G共役活性についてアッセイし得る。細胞を、Mammalian TransfectionTM Kit(Stratagene,Catalogue #200285)を製造業者の指示に従って用いて、この系のプラスミド成分、および内因性または非内因性のGPCRをコードする示される発現プラスミドでトランスフェクトする。手短に述べると、410ng SRF−Luc、80ng pCMV−レセプター発現プラスミドおよび20ng CMV−SEAP(分泌されるアルカリホスファターゼ発現プラスミド;アルカリホスファターゼ活性を、トランスフェクトした細胞の培地中で測定して、サンプル毎のトランスフェクション効率の変動を制御する)を、製造業者の指示に従って、リン酸カルシウム沈澱物中で合わせる。沈澱物の半分を、96ウェルプレート中の3つのウェルの間で等しく分布させ、細胞を無血清培地中で24時間維持する。示される場合、最後の5時間において、細胞を1μM Angiotensinとともにインキュベートする。次いで、細胞を溶解し、そしてLucliteTM Kit(Packard,Cat.# 6016911)および「Trilux 1450 Microbeta」液体シンチレーションおよび発光カウンター(Wallac)を製造業者の指示に従って用いて、ルシフェラーゼ活性についてアッセイする。このデータは、GraphPad PrismTM 2.0a(GraphPad Software Inc.)を用いて分析され得る。
【0158】
(d.細胞内IP蓄積アッセイ(G結合レセプター))
1日目に、レセプター(内因性および/または非内因性)を含む細胞を、通常1×10細胞/ウェルで(しかし、この数は最適化され得る)24ウェルプレートにプレーティングする。2日目に、細胞を、50μl無血清DMEM/ウェル中の0.25μg DNAと、50μl無血清DMEM/ウェル中の2μlリポフェクトアミンとを最初に混合することによってトランスフェクトする。この溶液を穏やかに混合し、そして15分間〜30分間にわたって、室温でインキュベートする。次いで、細胞を0.5ml PBSおよび400μlの無血清培地で洗浄し、次いでトランスフェクション培地と混合し、そして細胞に添加する。細胞を3時間〜4時間にわたって37℃/5% COでインキュベートし、次いでトランスフェクション培地を除去し、そして1ml/ウェルの通常の増殖培地と置き換える。3日目に細胞をH−ミオ−イノシトールで標識する。手短に述べると、培地を除去し、そして細胞を0.5ml PBSで洗浄する。次いで、1ウェルあたり0.5mlのイノシトール非含有/無血清培地(GIBCO BRL)を、1ウェルあたり0.25μCiのH−ミオ−イノシトールとともにウェルに添加し、そして細胞を16時間〜18時間にわたって一晩、37℃/5% COでインキュベートする。4日目に、細胞を0.5ml PBSで洗浄し、そしてイノシトール非含有/無血清培地、10μMパルグリン(pargyline)、10mM 塩化リチウムを含む0.45mlのアッセイ培地または0.4mlのアッセイ培地および10μMの最終濃度にするための50μlの10×ケタンセリン(ket)を添加する。次いで、細胞を30分間にわたって37℃でインキュベートする。次いで、細胞を0.5ml PBSで洗浄し、そして200μlの新鮮/氷冷停止溶液(1M KOH;18mM Na−ボレート;3.8mM EDTA)を各ウェルに添加する。この溶液を氷上で5分間〜10分間にわたって(または細胞が溶解するまで)保持し、次いで200μlの新鮮/氷冷中和溶液(7.5% HCL)によって中和する。次いで、溶解産物を1.5mlのEppendorfチューブに移し、そして1チューブあたり1mlのクロロホルム/メタノール(1:2)を添加する。この溶液を15秒間にわたってボルテックスにかけ、そして上層をBiorad AG1−X8TM陰イオン交換樹脂(100メッシュ〜200メッシュ)に適用する。最初に、樹脂を1:1.25W/Vの水で洗浄し、そして0.9mlの上層をこのカラムにローディングする。次いでカラムを10mlの5mMミオ−イノシトールおよび10mlの5mM Na−ボレート/60mM Na−ホルメートで洗浄する。イノシトールtrisホスフェートを、2mlの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムを含むシンチレーションカクテル10mlを含むシンチレーションバイアル中に溶出する。このカラムを、10mlの0.1Mギ酸/3Mギ酸アンモニウムで洗浄することによって再生し、そしてdd
Oで2回リンスし、そして水中で4℃で保存する。
【0159】
図1を参照する。図1では、293細胞を、6つのアミノ酸欠失を含むGタンパク質「G(del)」;Gタンパク質に融合したGタンパク質「G(del)/G」;内因性RUP32;およびG(del)を含むRUP32(「RUP32+G(del)/G」)でトランスフェクトした。このデータは、G(del)/GのRUP32同時トランスフェクションのIP蓄積を測定することに基づいて、RUP32がGタンパク質に内因的に共役しないことを示す。しかし、RUP32をG(del)/G融合タンパク質で同時トランスフェクトした場合、RUP32は、Gタンパク質に強制的に共役させられた。RUP27+G(del)/Gは、内因性RUP32と比較した場合の、IP3蓄積における約9倍の増加を実証する。このデータは、G(del)/G Fusion ConstructがGPCRで同時トランスフェクトされ得、そしてアゴニストまたは逆のアゴニストについてスクリーニングするために用いられ得ることを実証する。
【0160】
図2を参照する。図2では、293細胞を、RUP35およびRUP36レセプターでトランスフェクトし、そしてコントロールのpCMVに対して比較した。このデータは、RUP35およびRUP36レセプターは両方とも内因性で構成的に活性であることを示す。RUP35は、pCMVと比較した場合の細胞内イノシトールホスフェート蓄積における約6倍の増加を実証し、そしてRUP36は、pCMVと比較した場合の約4倍の増加を実証する。
【0161】
(実施例5:融合タンパク質の調製)
(a.GPCR:G融合構築物)
構成的に活性化されたGPCR−Gタンパク質の融合構築物の設計を以下のとおりに達成し得る:ラットGタンパク質Gα(長い形態;Itoh,H.ら,83 PNAS 3776(1986))の5’末端および3’末端の両方を操作して、その中にHindIII(5’−AAGCTT−3’)配列を含ませる。正確な配列(隣接するHindIII配列を含む)の確認後、配列全体を、ベクターのHindIII制限部位にサブクローングすることによって、pcDNA3.1(−)(Invitrogen,cat.no.V795−20)中にシャトルする。Gα配列についての正確な方向を、pcDNA3.1(−)へのサブクローニング後に決定する。次いで、HindIII配列にラットGα遺伝子を含む改変されたpcDNA3.1(−)を確認する;次いで、このベクターは、「ユニバーサル」Gαタンパク質ベクターとして利用可能である。pcDNA3.1(−)ベクターは、HindIII部位の上流に種々の周知の制限部位を含み、従ってGタンパク質の上流に、内因性の構成的に活性なGPCRのコード配列を挿入する能力を有益に提供する。この同じアプローチを利用して、他の「ユニバーサル」Gタンパク質ベクターを作製し得、そしてもちろん、当業者に公知の他の市販または特許のベクターが利用され得る。いくつかの実施形態では、重要な基準は、GPCRについての配列がGタンパク質の配列の上流でかつインフレームに存在することである。
【0162】
Gタンパク質とGPCRとの間の制限部位におけるスペーサーは、任意である。センスプライマーおよびアンチセンスプライマーは、スペーサー(制限部位に起因する)がGタンパク質とGPCRとの間に存在するように、それぞれ、XbaIおよびEcoRVについての制限部位を含んでいた。
【0163】
次いで、PCRを利用して、各々について以下のプロトコルを用いて、融合のためのそれぞれのレセプター配列が、上記で開示されたGαユニバーサルベクター内にあることを確実にする:GPCRについてのcDNA(100ng)を、以下を含む別々のチューブに添加する:2μlの各プライマー(センスおよびアンチセンス)、3μlの10mM
dNTP、10μlの10×TaqPlusTM Precision緩衝液、1μlのTaqPlusTM Precisionポリメラーゼ(Stratagene:#600211)および80μlの水。GPCRについての反応温度およびサイクル回数は、サイクル工程2〜工程4を35回繰り返して、以下のとおりである:94℃で1分間;94℃で30秒間;62℃で20秒間;72℃で1分40秒間;および72℃で5分間。PCR産物を1%アガロースゲルに泳動し、次いで精製する。精製された産物をXbaIおよびEcoRVで消化し、そして所望の挿入物を精製し、そしてそれぞれの制限部位でGユニバーサルベクター中に連結する。ポジティブクローンを、形質転換の後に単離し、そして制限酵素消化によって決定する;293細胞を用いた発現は、以下に示すプロトコルに従って達成される。GPCR−G融合タンパク質についての各ポジティブクローンを配列決定して、正しいことを確認する。
【0164】
(b.G(6アミノ酸欠失)/G融合構築物)
(del)/G融合構築物の設計を、以下のとおりに達成した:TLESIM(配列番号47)という配列を有するN末端の6アミノ酸(アミノ酸2〜7)であるGαqサブユニットを欠失させ、そして配列EYNLV(配列番号48)を有するC末端の5アミノ酸を、配列DCGLF(配列番号49)を有する、Gαiタンパク質の対応するアミノ酸で置換した。この融合構築物を、以下のプライマーおよびテンプレートとしてのプラスミド63313(赤血球凝集素タグを有するマウスGαq−野生型バージョンを含む)を用いたPCRによって入手した:5’−gatcAAGCTTCCATGGCGTGCTGCCTGAGCGAGG−3’(配列番号50)および5’−gatcGGATCCTTAGAACAGGCCGCAGTCCTTCAGGTTCAGCTGCAGGATGGTG−3’(配列番号51)。小文字(lower cap)のヌクレオチドは、スペーサーとして含まれる。
【0165】
TaqPlus(登録商標)Precision DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、工程2〜工程4を35回繰り返す以下のサイクルによる増幅のために利用した:95℃で2分間;95℃で20秒間;56℃で20秒間;72℃で2分間;そして72℃で7分間。PCR産物をpCRII−TOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングし、そしてABI Big Dye Terminatorキット(P.E.Biosystems)を用いて配列決定する。融合構築物の配列を含むTOPOクローン由来の挿入物を、発現ベクターpcDNA3.1(+)に、2工程クローニングプロセスによってHindIII/BamHI部位にシャトルする。
【0166】
(実施例6:開示されたヒトGPCRの組織分布:RT−PCR)
RT−PCRを適用して発現を確認し、そしていくつかの新規ヒトGPCRの組織分布を決定した。利用したオリゴヌクレオチドはGPCR特異的であり、そしてヒト複数組織cDNAパネル(MTC,Clontech)をテンプレートとして使用した。Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)を、40μl反応物において、製造業者の指示にしたがって増幅のために利用した。20μlの反応物を1.5%アガロースゲルにローディングして、RT−PCR産物を分析する。以下の表Eは、レセプター、サイクル条件および利用したプライマーを列挙し、そしてまたこれらのレセプターに関連した例示的な疾患/障害を列挙する。
【0167】
【表6】

【0168】

【0169】
これらの組織または領域に位置するレセプターに関連する疾患および障害としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:心臓の障害および疾患(例えば、血栓症、心筋梗塞;アテローム性動脈硬化症;心筋症);腎臓の疾患/障害(例えば、腎不全;尿細管性アシドーシス;腎性糖尿;腎性尿崩症;シスチン尿;多発性嚢胞腎疾患);好酸球増加症;白血球増加症;白血球減少症;卵巣癌;性機能障害;多嚢胞性卵巣症候群;膵炎および膵臓癌;過敏性腸症候群;結腸癌;クローン病;潰瘍性大腸炎;憩室炎;慢性閉塞性肺疾患(COPD);嚢胞性線維症;肺炎;肺高血圧症;結核および肺癌;パーキンソン病;運動障害および運動失調;学習障害および記憶障害;摂食障害(例えば、食欲不振;過食症など);肥満症;癌;胸腺腫;重症筋無力症;循環器障害;前立腺癌;前立腺炎;腎臓の疾患/障害(例えば、腎不全;尿細管性アシドーシス;腎性糖尿;腎性尿崩症;シスチン尿;多発性嚢胞腎臓疾患);感覚運動処理障害および覚醒障害;強迫性障害;精巣癌;持続勃起;前立腺炎;ヘルニア;内分泌障害;性機能障害;アレルギー;鬱病;精神障害;片頭痛;灌流;精神分裂病;潰瘍;気管支痙攣;癲癇;前立腺肥大;不安;鼻炎;アンギナ;および緑内障。従って、本発明の方法はまた、これらおよび他の疾患および障害の診断および/または処置において有用であり得る。
【0170】
(実施例7:プロトコル:逆のアゴニストおよびアゴニストの直接同定)
(A.[35S]GTPγSアッセイ)
内因性の構成的に活性なGPCRは、完全には理解されていないという理由から、例えば、逆のアゴニストとしての候補化合物の直接同定のために用いられているが、アッセイ内変動が悪化することになり得る。いくつかの実施形態では、上記に開示されたとおりのGPCR融合タンパク質はまた、非内因性の構成的に活性化されたGPCRと一緒に利用される。このようなタンパク質が用いられる場合、アッセイ内変動は、実質的に安定化されるようであり、それによって有効なシグナル対ノイズ比が得られる。これは、候補化合物のより頑健な同定を可能にするという有益な結果を有する。従って、いくつかの実施形態では、直接同定のためにGPCR融合タンパク質を用いることが好ましく、そして利用する場合、以下のアッセイプロトコルを利用することが好ましい。
【0171】
(1.膜の調製)
構成的に活性な、目的のオーファンGPCR融合タンパク質を含み、そして逆のアゴニストまたはアゴニストとしての候補化合物の直接同定において使用するための膜は好ましくは以下のとおりに調製される:
(a.材料)
「Membrane Scrape Buffer」は、20mM HEPESおよび10mM EDTA(pH7.4)から構成される;「Membrane Wash Buffer」は、20mM HEPESおよび0.1mM EDTA(pH7.4)から構成される;「Binding Buffer」は、20mM HEPES、100mM
NaClおよび10mM MgCl(pH7.4)構成される。
【0172】
(b.手順)
全ての材料を、手順をとおして氷上に保持する。最初に、培地を、コンフルエントな単層の細胞から吸引し、続いて10mlの冷PBSでリンスし、続いて吸引する。その後、5mlのMembrane Scrape Bufferを添加して、細胞を掻きとる;これに続いて、細胞抽出物を50ml遠心管に移す(20,000rpmで17分間、4℃で遠心分離する)。その後、上清を吸引し、そしてペレットを30ml Membrane Wash Buffer中に再懸濁し、続いて20,000rpmで17分間、4℃で遠心分離する。次いで、上清を吸引し、そしてペレットをBinding Buffer中に再懸濁する。次いで、再懸濁したペレットを、Brinkman PolytronTMホモジナイザー(材料が懸濁するまで、15〜20秒間のバースト)を用いて均質化する。これを本明細書中では、「膜タンパク質(Membrane Protein)」という。
【0173】
(2.Bradfordタンパク質アッセイ)
均質化後、膜のタンパク質濃度を、例えば、Bradford Protein Assayを用いて決定する(タンパク質を、約1.5mg/mlになるように希釈し、アリコートに分け、そして後の使用まで凍結(−80℃)し得る;凍結した場合、使用のためのプロトコルは、以下のとおりである:アッセイの当日に、凍結した膜タンパク質を室温で解凍し、続いてボルテックスにかけ、次いでPolytronを約12×1,000rpmで約5〜10秒間用いて均質化する;複数の調製に関して、ホモジナイザーを異なる調製物の均質化の間に徹底的に浄化することに留意した)。
【0174】
(a.材料)
Binding Buffer(上記のとおり);Bradford Dye Reagent;Bradford Protein Standardを、製造業者の指示(Biorad,cat.no.5000006)に従って利用する。
【0175】
(b.手順)
二連のチューブを調製し、一方は、膜を含み、そして他方はコントロールの「ブランク」である。各々は、800μlのBinding Bufferを含む。その後、10μlのBradford Protein Standard(1mg/ml)を各チューブに添加し、次いで10μlの膜Proteinを、(ブランクではない)1つのチューブにのみ添加する。その後、200μlのBradford Dye Reagentを各チューブに添加し、続いてボルテックスにかける。5分後、チューブを再度ボルテックスにかけ、そしてその中の材料をキュベットに移す。次いで、キュベットを、CECIL
3041分光光度計を用いて波長595で読み取る。
【0176】
(3.直接同定アッセイ)
(a.材料)
GDP Bufferは、37.5ml Binding Bufferおよび2mg
GDP(Sigma,cat.no.G7127)からなっており、続いて、Binding Buffer中での一連の希釈によって0.2μM GDPを得た(各ウェル中でのGDPの最終濃度は0.1μM GDPであった);候補化合物を含む各ウェルは、GDP Buffer(最終濃度0.1μM GDP)(100μl)、Binding
Buffer中の膜タンパク質(50μl)およびBinding Buffer中の[35S]GTPγS(0.6nM)(50μl)(10ml Binding Bufferあたり2.5μlの[35S]GTPγS)からなる、200μlの最終容量を有する。
【0177】
(b.手順)
候補化合物を好ましくは、96ウェルプレート形式(これらは−80℃で凍結され得る)を用いてスクリーニングする。膜タンパク質(またはコントロールとして、GPCR融合タンパク質を除く発現ベクターを含む膜)を、懸濁するまで短時間均質化する。次いで、タンパク質濃度を、例えば、上記のBradford Protein Assayを用いて決定する。次いで、膜タンパク質(およびコントロール)を、Binding Buffer中に0.25mg/mlになるように希釈する(最終アッセイ濃度、12.5μg/ウェル)。その後、100μlのGDP Bufferを、Wallac ScintistripTM(Wallac)の各ウェルに添加する。次いで、5μlのピンツールを用いて、5μlの候補化合物をこのようなウェル中に移す(すなわち、200μlの総アッセイ容積中の5μlは、40:1の比であり、その結果、候補化合物の最終スクリーニング濃度は、10μMである)。さらに、夾雑を回避するために、各移動工程の後に、ピンツールを、水(1×)、エタノール(1×)および水(2×)を含む3つのレザバ中でリンスする−過剰の液体を、各リンスの後にツールから振り落とし、そしてツールを紙およびキムワイプで乾燥させる。その後、50μlの膜タンパク質を各ウェルに添加し(GPCR融合タンパク質を含まず、膜を含むコントロールウェルもまた利用した)、そして5分間〜10分間、室温でプレインキュベートする。その後、Binding Buffer中の[35S]GTPγS(0.6nM)(50μl)を各ウェルに添加し、続いてシェーカーで60分間にわたって、室温でインキュベートする(さらに、この実施例において、プレートをホイルで覆った)。プレートを4000RPMで15分間にわたって22℃でスピンすることによってアッセイを停止させる。次いで、プレートを8チャネルマニホルドで吸引し、そしてプレートカバーでシールする。次いで、プレートを、(製造業者の指示に従って)Wallac 1450で「Prot.#37」の設定を用いて読み取る。
【0178】
(B.サイクリックAMPアッセイ)
候補化合物を直接的に同定するための別のアッセイアプローチを、シクラーゼベースのアッセイを利用して達成する。直接的同定に加えて、このアッセイアプローチを、上記のとおりの[35S]GTPγSアプローチからの結果の確認を提供する、独立したアプローチとして利用し得る。
【0179】
改変版Flash PlateTM Adenylyl Cyclaseキット(New England Nuclear;Cat.No.SMP004A)を好ましくは、以下のプロトコルに従って、GPCRに対する逆のアゴニストおよびアゴニストとしての候補化合物の直接同定のために用いる。
【0180】
トランスフェクトされた細胞を、トランスフェクションの約3日後に収集する。膜を、20mM HEPES(pH7.4)および10mM MgClを含む緩衝液中での懸濁細胞の均質化によって調製する。均質化を、Brinkman PolytronTMを用いて氷上で約10秒間にわたって行う。得られるホモジネートを、49,000×gで15分間にわたって、4℃で遠心分離する。次いで、得られるペレットを、20mM HEPES(pH7.4)および0.1mM EDTAを含む緩衝液中に再懸濁し、10秒間均質化し、続いて49,000×gで15分間にわたって4℃で遠心分離する。次いで、得られるペレットを、利用するまで−80℃で保存する。直接同定スクリーニングの当日に、膜ペレットを室温でゆっくりと解凍し、20mM HEPES(pH7.4)および10mM MgClを含む緩衝液中に再懸濁して、0.60mg/mlの最終タンパク質濃度を得る(再懸濁した膜を、使用するまで氷上に置く)。
【0181】
cAMP標準およびDetection Buffer(2μCiのトレーサー[125I]cAMP(100μl)を11mlのDetection Bufferに含む)を、製造業者の指示に従って調製し、そして維持する。Assay Bufferをスクリーニングのために新鮮に調製し、そしてこれは、20mM HEPES(pH7.4)、10mM MgCl、20mMホスホクレアチン(Sigma)、0.1単位/mlのクレアチンホスホキナーゼ(Sigma)、50μM GTP(Sigma)および0.2mM ATP(Sigma)を含む;Assay Bufferを、利用するまで氷上で保存する。
【0182】
上記によって同定された候補化合物(凍結した場合、室温で解凍する)を、好ましくは96ウェルプレートウェル(3μl/ウェル;12μM最終アッセイ濃度)に、40μlの膜タンパク質(30μg/ウェル)および50μlのAssay Bufferと一緒に添加する。この混合物を、穏やかに攪拌しながら、30分間にわたって室温でインキュベートする。
【0183】
インキュベーション後、100μlのDetection Bufferを各ウェルに添加し、続いて2〜24時間にわたってインキュベートする。次いで、プレートを、Wallac MicroBetaTMプレートリーダーにおいて、「Prot.#31」(製造業者の指示によって)を用いて計数する。
【0184】
(C.メラニン保有細胞スクリーニングアッセイ)
GPCRについての候補アゴニストまたは逆のアゴニストを同定するための方法を、特定の刺激に応じて色素を分散または凝集し得、そしてGCPRをコードする外因性クローンを発現する、色素細胞株の試験細胞を導入することによって実施し得る。GPCRの活性化が色素の分散を誘導する場合、刺激因子(例えば、光)は、色素が試験細胞内に凝集している、凝集配置の最初の状態を設定する。しかし、GPCRの活性化が色素の凝集を誘導する場合、細胞を刺激因子で刺激して、色素が分散されている、色素配置の最初の状態を設定する。次いで、試験細胞を化合物と接触させ、そして細胞内での色素の配置が、色素の配置の最初の状態から変化したか否かを決定する。色素細胞の分散は、GPCRへの候補化合物のカップリングに起因して、ペトリ皿では暗く見え、一方、色素細胞の凝集は明るく見える。
【0185】
材料および方法は、米国特許第5,462,856号および米国特許第6,051,386号(これらの各々は、参考として援用される)の開示に従う。
【0186】
種々の発現ベクターは当業者に入手可能であるが、内因性ヒトGPCRおよび非内因性ヒトGPCRの両方について利用する目的のためには、いくつかの実施形態では、利用されるベクターがpCMVであることが好ましい。このベクターを、American Type Culture Collection(ATCC)(10801 University Blvd.,Manassas,VA 20110−2209 USA)に1998年10月13日に、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規約の下で寄託した。このDNAは、ATCCによって試験されて、生存していることが決定された。ATCCは、pCMVに以下の受託番号を割り当てた:ATCC #203351。
【0187】
本特許文書を通じて引用される参考文献は、同時係属中の特許出願および関連の特許出願を含め、他に示されない限り、本明細書中に参考として充分に援用される。当業者の範囲内にある、開示された発明の改変および拡大は、上記の開示および上記の特許請求の範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−166925(P2010−166925A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58352(P2010−58352)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2002−545166(P2002−545166)の分割
【原出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】