説明

ヒトIL−1βに対する抗体

【課題】ヒトインターロイキンIβ(IL−1β)に対する抗体およびIL−1仲介疾患および異常の処置のための当該抗体の使用を提供すること。
【解決手段】重鎖および軽鎖のCDRが、IL−1仲介疾患または異常、例えば、骨関節炎、骨粗鬆症その他の炎症性関節炎の処置に使用のための、明細書中の定義するようなアミノ酸配列を有する、IL−1β結合分子、特にヒトIL−1βに対する抗体、特にヒトIL−1βに対するヒト抗体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトインターロイキンIβ(IL−1β)に対する抗体およびIL−1仲介疾患および異常の処置のための当該抗体の使用に関係する。
【0002】
インターロイキンI(IL−1)は、急性相炎症反応(acute phase inflammatory response)のメディエーターとして作用する免疫システムの細胞により生ずる活性を有する。IL−1、特にIL−1βの不適当または過剰の産生は、敗血症、敗血症性または内毒性ショック、アレルギー、喘息、骨喪失(bone loss)、虚血、ストローク、慢性関節リウマチおよび他の炎症性疾患のような種々の疾患および異常の病状に関連する。IL−1βに対する抗体が、IL−1仲介疾患および異常の処置における使用が提唱されている;例えば、WO95/01997およびその概論における考察を参照。
【0003】
我々は、この度、IL−1仲介疾患および異常の処置において使用するためのヒトIL−1βに対する、改善された抗体を調製した。
【0004】
従って、本発明は、配列中に超可変領域、CDR1、CDR2およびCDR3、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有し、ならびにそれらの直接の等価物を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含む抗原結合部位を含むIL−1β結合分子を提供する。
【0005】
最初の観点では、本発明は、上記定義する重鎖可変ドメイン(V)を含む単離免疫グロブリン重鎖を含む単一ドメインIL−1β結合分子を提供する。
【0006】
第二の観点では、本発明はまた、重鎖(V)および軽鎖(V)可変ドメインの両方を含むIL−1β結合分子を提供し、この場合、当該IL−1β結合分子は、
a)配列中に超可変領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有する、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、および
b)アミノ酸配列Gln-Gln-Arg-Ser-Asn-Trp-Met-Phe-Proを有するCDR3'超可変領域を含む免疫グロブリ軽鎖可変ドメイン(V)
およびそれらの直接の等価物
を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0007】
第二の観点の特定の実施態様では、本発明は、重鎖(V)および軽鎖(V)可変ドメインの両方を含むIL−1β結合分子を提供し、この場合、当該IL−1β結合分子は、
a)配列中に超可変部位、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有する、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、および
b)配列中に超可変部位、CDR1'、CDR2'およびCDR3'を含み、この場合、CDR1'はアミノ酸配列Arg-Ala-Ser-Gln-Ser-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Alaを有し、CDR2'はアミノ酸配列Asp-Ala-Ser-Asn-Arg-Ala-Thrを有し、CDR3'はアミノ酸配列Gln-Gln-Arg-Ser-Asn-Trp-Met-Phe-Proを有する、免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)、
ならびにそれらの直接の等価物
を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む。
【0008】
他に示さなければ、ここでは、任意のポリペプチド鎖は、N終末端(N-terminal extremity)で開始しC終末端(C-terminal extremity)で終結するアミノ酸配列を有するものとして述べている。抗原結合部位がVおよびVドメイン両方を含むとき、これらは同一ポリペプチド分子に位置し得るか、好ましくは、各ドメインは別の鎖に位置し得、この場合、Vドメインは免疫グロブリン重鎖またはそのフラグメントの一部であり、またVは免疫グロブリン軽鎖またはそのフラグメントの一部である。
【0009】
「IL−1β結合分子」なる語は、単独または他の分子と関連して、いずれかでIL−1β抗原に結合し得る任意の分子をいう。当該結合反応は、例えば、関連のない特異性を有するが同じイソ型の抗体、例えば抗CD25抗体を用いる陰性対照試験を参照する、IL−1βによるそのレセプターに対する阻害を決定するバイオアッセイまたは任意の種類の結合アッセイを含む標準的方法(定量アッセイ)により示され得る。有利なことに、IL−1βに対する本発明のIL−1β結合分子の結合は競争結合アッセイで示され得る。
【0010】
抗原結合分子の例には、B細胞またはハイブリドーマにより産生されるような抗体およびキメラ性、CDR移植性(grafted)もしくはヒトの抗体またはその任意のフラグメント、例えばF(ab')およびFabフラグメント、ならびに単一鎖または単一ドメイン抗体が含まれる。
【0011】
単一鎖抗体は、10から30アミノ酸、好ましくは15から25アミノ酸からなるペプチドリンカーにより共有結合する抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメインからなる。そのため、その構造は重鎖および軽鎖の定常部分を含まず、小さなペプチドスペーサーは全定常部分よりも抗原性が低いと考えられている。「キメラ性抗体」なる語は、重鎖もしくは軽鎖またはその両方の定常領域がヒト由来である一方、重鎖および軽鎖の両方の可変ドメインは非ヒト由来(例えば、マウス)であるか、またはヒト由来であるが、別のヒト抗体から誘導される抗体を意味する。「CDR移植性抗体」なる語は、超可変部位領域(CDR)が、非ヒト(例えば、マウス)抗体または別のヒト抗体のようなドナー抗体から誘導される一方、免疫グロブリンの他の部分すべてまたは実質的にすべて、例えば定常領域および可変ドメインの高保存部分、すなわち、フレームワーク領域が、アクセプター抗体、例えば、ヒト由来の抗体から誘導される抗体を意味する。しかし、CDR移植性抗体は、フレームワーク領域中、例えば超可変領域に隣接するフレームワーク領域の一部にドナー配列の数アミノ酸を含む。「ヒト抗体」なる語は、重鎖および軽鎖両方の定常および可変領域がすべてヒト由来であるか実質的にヒト由来配列と同一であり、必ずしも同一抗体由来である必要はなく、そしてマウス免疫グロブリン可変部分および定常部分の遺伝子がヒト対応物(counterpart)、例えばEP0546073B1、USP5545806、USP5569825、USP5625126、USP5633425、USP5661016、USP5770429、EP0438474B1およびEP0463151B1に一般の用語で記載されるようなものにより置換えられるマウス産生抗体が含まれる抗体を意味する。
【0012】
本発明の特に好ましいIL−1β結合分子は、ヒト抗体、特に実施例で以下に述べるようなAAL160抗体である。
【0013】
そのため、好ましいキメラ性抗体では、重鎖および軽鎖の可変ドメインはヒト由来であり、例えば、配列番号1および配列番号2に示されるAAL160抗体である。定常領域ドメインはまた、好ましくは、適当なヒト定常領域ドメイン、例えば、"Sequences of Proteins of Immunological Interest", Kabat E.A. et al., US Department of Health and Human Services, Public Health Service, National Institute of Healthに記載されているものが含まれる。
【0014】
超可変領域は、任意の種類のフレームワーク領域に関連し得るが、好ましくはヒト由来のものである。適当なフレームワーク領域は、Kabat E.A. et al. ibidに述べられている。好ましい重鎖フレームワークは、ヒト重鎖フレームワークであり、例えば、配列番号1に示されるAAL160抗体のフレームワークである。それは、FR1、FR2、FR3およびFR4領域の配列からなる。同様の方法で、配列番号2は、FR1'、FR2'、FR3'およびFR4'領域の配列からなる好ましいAAL160軽鎖フレームワークを示す。
【0015】
従って、本発明はまた、1位のアミノ酸から始まり118位のアミノ酸で終わる配列番号1に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第一のドメイン、または上記のような第一のドメインおよび1位のアミノ酸から始まり107位のアミノ酸で終わる配列番号2に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第二のドメイン、のいずれかを含む少なくとも1つの抗原結合部位を含むIL−1β結合分子を提供する。
【0016】
すべてのヒトに天然に見られるタンパク質に対し生ずるモノクローナル抗体は、典型的に、非ヒト系、例えばマウスで生ずる(develop)。この直接の結果として、ヒトに投与されたとき、ハイブリドーマにより産生されるような異種個体抗体は、異種個体免疫グロブリンの定常部分により優勢的に仲介される望ましくない免疫応答を顕在化する。これは、長期間にわたり投与できないような抗体の使用を明らかに制限する。そのため、単一鎖、単一ドメイン、キメラ性、CDR移植性、または特に、ヒトに投与したときに実質的なアレルギー応答を示しそうにないヒトの抗体の使用が特に好ましい。
【0017】
前述の観点では、本発明のより好ましいIL−1β結合分子が、少なくとも
a)(i)配列中に超可変部位、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有する、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)またはそのフラグメントおよび(ii)ヒト重鎖の定常部分またはそのフラグメント、そして
b)(i)CDR3'超可変領域および所望によりまたCDR1'、CDR2'超可変領域を含み、この場合、CDR1'はアミノ酸配列Arg-Ala-Ser-Gln-Ser-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Alaを有し、CDR2'はアミノ酸配列Asp-Ala-Ser-Asn-Arg-Ala-Thrを有し、CDR3'はアミノ酸配列Gln-Gln-Arg-Ser-Asn-Trp-Met-Phe-Proを有する、可変ドメインおよび(ii)ヒト軽鎖の定常部分またはそのフラグメント、
ならびにそれらの直接の等価物
を含むヒト抗IL−1β抗体から選択される。
【0018】
他に、本発明のIL−1β結合分子は、
a)配列中に超可変領域、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、当該超可変領域は、配列番号1に示すようなアミノ酸配列を有する、第一のドメイン、
b)超可変領域CDR3'および所望によりCDR1'、CDR2'を含み、この場合、当該超可変領域は、配列番号2に示すようなアミノ酸配列を有する、第二のドメイン、
c)第一のドメインのN終末端および第二のドメインのC終末端に、または第一のドメインのC終末端および第二のドメインのN終末端に、いずれかに結合するペプチドリンカー
およびそれらの直接の等価物
を含む抗原結合部位を含む単一鎖結合分子から選択され得る。
【0019】
周知のように、欠失、付加または1アミノ酸、数アミノ酸もしくは幾つかのアミノ酸の置換のようなアミノ酸配列のマイナーチェンジは、実質的に同一性を有するオリジナルタンパク質の対立型を生じ得る。
【0020】
そのため、「それらの直接の等価物」は、任意の単一ドメインIL−1β結合分子(分子X)であって、
(i)超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3は、全体として、配列番号1に示す超可変領域に対し、少なくとも80%相同性、好ましくは少なくとも90%相同性、より好ましくは少なくとも95%相同性があり、
(ii)IL−1βによるそのレセプターに対する結合を、分子Xのものと同一のフレームワーク領域を有するが配列番号1に示すものと同一の超可変領域CDR1、CDR2およびCDR3を有する参照分子と同じ程度にまで阻害することができる、
分子Xであるか、または結合部位あたり少なくとも2つのドメインを有する任意のIL−1β結合分子(分子X')であって、
(i)超可変領域CDR1、CDR2、CDR3、CDR3'および所望によりCDR1'およびCDR2'は、全体として、配列番号1および2に示す超可変領域に対し、少なくとも80%相同性、好ましくは少なくとも90%相同性、より好ましくは少なくとも95%相同性があり、
(ii)IL−1βによるそのレセプターに対する結合を、分子X'のものと同一のフレームワーク領域および定常部分を有するが配列番号1および2に示すものと同一の超可変領域CDR1、CDR2、CDR3およびCDR3'ならびに所望によりCDR1'およびCDR2'を有する参照分子と実質的に同じ程度にまで阻害することができる、
分子X'のいずれかを意味する。
【0021】
本明細書では、複数のアミノ酸配列には、当該配列を最適に並べると同様な位置で少なくとも80%同一アミノ酸残基を有する場合、お互いに対し少なくとも80%相同性があり、この場合、アミノ酸配列中のギャップまたは挿入が非同一残基として数えられる。
【0022】
IL−1βによるそのレセプターへの結合の阻害は、通常、当該明細書で以下で記載するアッセイを含む種々のアッセイで試験される。用いられるIL−1βレセプターは、好ましくはIL−1β型1レセプターである。「同程度に」なる語は、参照および等価分子が、統計に基づき、上記参照のアッセイの1つにおいてIL−1β結合阻害曲線と本質的に同一となることを意味する。
【0023】
例えば、使用するアッセイは、可溶性IL−1レセプターおよび本発明のIL−1β結合分子によりIL−1βの結合の競争阻害をアッセイし得る。
【0024】
最も好ましくは、ヒトIL−1β抗体は、少なくとも
a)1位のアミノ酸から始まり118位のアミノ酸で終わる配列番号1に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインおよびヒト重鎖の定常部分を含む1つの重鎖;および
b)1位のアミノ酸から始まり107位のアミノ酸で終わる配列番号2に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインおよびヒト軽鎖の定常部分を含む1つの軽鎖
を含む。
【0025】
ヒト重鎖の定常部分は、γ、γ、γ、γ、μ、α、α、δまたはεタイプ、好ましくはγタイプ、より好ましくはγタイプであり得、一方、ヒト軽鎖の定常部分は、κまたはλタイプ(λ、λおよびλサブタイプを含む)であり得るが、好ましくはκタイプである。すべてこれら定常部分のアミノ酸配列は、Kabat et al ibidにより提供される。
【0026】
本発明のIL−1β結合分子は、組換えDNA技術により作成され得る。この観点では、結合分子をコードする1つ以上のDNA分子は、構成され、適当な制御配列の下に置かれ、そして発現のため適当な宿主生物中へ形質転換されなければならない。
【0027】
通常の手法において、従って、
(i)本発明の単一ドメインIL−1β結合分子、本発明の単一鎖IL−1β結合分子、本発明のIL−1β結合分子の重鎖もしくは軽鎖またはそのフラグメントをコードするDNA分子
(ii)組換え手段による本発明のIL−1β結合分子の産生のための本発明のDNA分子の使用
が提供される。
【0028】
現在の技術水準は、当業者が、当該情報、すなわち、超可変領域のアミノ酸配列およびそれらをコードするDNA分子の情報を提供されれば、本発明のDNA分子を合成することができるような水準にある。可変ドメイン遺伝子を構成する方法は、例えば、EPA239400に記載されており、以下に簡単に要約し得る:MAbの可変ドメインをコードする遺伝子が、その特異性が何であるかに拘わらず、クローンされる。フレームワークおよび超可変領域をコードするDNAセグメントは決定され、超可変領域をコードするDNAセグメントは取除かれ、それにより、フレームワーク領域をコードするDNAセグメントが、接合部で適当な制限酵素部位と共に融合される。当該制限酵素部位が、標準的手順によるDNA分子の突然変異により適当な位置で生じ得る。二本鎖標準合成CDRカセットを、配列番号1または2で与えられる配列に従うDNA合成により調製される。これらのカセットには、突出末端(sticky end)が提供され、それにより、フレームワークの接合部で連結し得る。
【0029】
更に、本発明のIL−1β結合分子をコードするDNA構成物を得るため、産生ハイブリドーマ細胞系由来のmRNAをアクセスする必要がない。そのため、PCT出願WO90/07861は、遺伝子のヌクレオチド配列に関し書かれた情報のみを供する組換えDNA技術による抗体の産生のための完全な指示を提供する。当該方法は、多くのオリゴヌクレオチドの合成、PCR法によるその増幅、およびスプライシングし望ましいDNA配列を得ることを含む。
【0030】
適当なプロモーターまたは重鎖および軽鎖定常部分をコードする遺伝子は、公然として利用可能である。そのため、一旦、本発明のDNA分子を調製すると、それは、通常適当な発現ベクターに移され得る。単一鎖抗体をコードするDNA分子はまた、標準的方法、例えば、WO88/1649に記載されるような方法により調製され得る。
【0031】
前記の記載に鑑み、ハイブリドーマまたは細胞系の寄託は、記載の充分さの基準を満たしているので必要ない。
【0032】
特に実施態様では、本発明は、以下に記載のようなIL−1β結合分子の産生のための第一および第二のDNA構成物を含む。
【0033】
第一のDNA構成物は、重鎖またはそのフラグメントをコードし、
a)フレームワークおよび超可変領域を代わりに含み、この場合、超可変領域は、配列CDR1、CDR2およびCDR3中にあり、そのアミノ酸配列が配列番号1で示される、可変ドメインをコードする第一の部分、;この第一の部分は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そして
b)重鎖の定常部分の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常部分またはそのフラグメントの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる重鎖定常部分またはそのフラグメント、その後に続くストップコドンをコードする第二の部分
を含む。
【0034】
好ましくは、この第一の部分は、1位のアミノ酸から始まり118位のアミノ酸で終わる配列番号1に示されるようなアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインをコードする。より好ましくは、第一の部分は、1位のヌクレオチドから始まり354位のヌクレオチドで終わる配列番号1に示されるようなヌクレオチド配列を有する。また好ましくは、第二の部分は、ヒト重鎖の定常部分、より好ましくはヒトγ1鎖の定常部分をコードする。この第二の部分は、ゲノム由来のDNAフラグメント(イントロンを含む)またはcDNAフラグメント(イントロンを伴わない)であり得る。
【0035】
第二のDNA構成物は、軽鎖またはそのフラグメントをコードし、
a)フレームワークおよび超可変領域を代わりに含み、この場合、超可変領域は、配列CDR3'ならびに所望によりCDR1'およびCDR2'であり、そのアミノ酸配列が配列番号2で示される、可変ドメインをコードする第一の部分、;この第一の部分は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そして
b)軽鎖の定常部分の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常部分またはそのフラグメントの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる軽鎖定常部分またはそのフラグメント、その後に続くストップコドンをコードする第二の部分
を含む。
【0036】
好ましくは、1位のアミノ酸から始まり107位のアミノ酸で終わる配列番号2に示されるようなアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有する可変ドメインをコードする。より好ましくは、第一の部分は、1位のヌクレオチドで始まり321位のヌクレオチドで終わる配列番号2に示されるようなヌクレオチド配列を有する。また好ましくは、第二の部分は、ヒト軽鎖の定常部分、より好ましくは、ヒトκ鎖の定常部分をコードする。
【0037】
本発明はまた、CDR1、CDR2、CDR3、CDR1'、CDR2'またはCDR3'のうちの1つ以上の残基が、例えば、変異、例えば対応するDNA配列の部位特異的変異誘発により、配列番号1および配列番号2に示される残基から変化するIL−1β結合分子を含む。本発明は、その変化したIL−1β結合分子をコードするDNA配列を含む。特に、本発明は、CDR1'またはCDR2'の1つ以上の残基が配列番号2に示される残基から変化するIL−1β結合分子を含む。
【0038】
第一および第二のDNA構成物では、第一および第二の部分は、イントロンで分離され得、エンハンサーは、通常、第一および第二の部分の間のイントロン中に位置し得る。転写されるが翻訳されないエンハンサーの存在は、効果的な転写を補助し得る。特定の実施態様では、第一および第二のDNA構成物は、有利にはヒト起源の重鎖遺伝子のエンハンサーを含む。
【0039】
各DNA構成物は、適当な制御配列の制御下、特に適当なプロモーターの制御下に置かれる。任意の種類のプロモーターが使用され得るが、ただし、それは、DNA構成物が発現のため移される宿主生物に適用されるものである。
【0040】
望ましい抗体が細胞培養中またはトランスジェニック動物で産生され得る。適当なトランスジェニック動物は、適当な制御配列の下に置かれる第一および第二のDNA構成物を卵にマイクロインジェクションし、調製された卵を適当な偽妊娠の雌に移し、そして望ましい抗体を発現する子孫を選択することを含む標準的方法に従い得られ得る。
【0041】
抗体鎖が細胞培養中で産生されるとき、当該DNA構成物は、最初に、単一の発現ベクター中にまたは2つ別々であるが適合性の発現ベクター中に挿入されなければならないが、後者の場合のほうが好ましい。
【0042】
従って、本発明はまた、上記のうちの少なくとも1つのDNA構成物を含む原核細胞系または真核細胞系で複製できる発現ベクターを提供する。
【0043】
次いで、DNA構成物を含む各発現ベクターは、適当な宿主生物に移される。DNA構成物が2つの発現ベクターに別々に挿入されるとき、それらは、別々に、すなわち、細胞あたりの1つの型のベクターで移され得るか、共に移され得(co-transfer)、後者の場合のほうが好ましい。適当な宿主生物は、微生物、酵母、または哺乳類細胞系であり、後者が好ましい。より好ましくは、哺乳類細胞系は、リンパ球由来、例えば、骨髄腫、ハイブリドーマまたは通常の不死化B細胞であり、それらは、通常、任意の内因的抗体重鎖または軽鎖を発現しない。
【0044】
哺乳類細胞における発現のためには、IL−1β結合分子コーディング配列が、高レベル発現のIL−1β結合分子を可能(permit or favour)とする遺伝子座内の宿主細胞DNA中に組込まれることが好ましい。IL−1β結合分子コーディング配列が望ましい遺伝子配座中に組込まれる細胞は、発現されるIL−1β結合分子のレベルに基づき同定され、選択され得る。任意の適当な選択マーカーは、IL−1β結合分子コーディング配列を含む宿主細胞の調製に用いられ得る;例えば、dhfr遺伝子/メトトレキサートまたは等価の選択システムが用いられ得る。本発明のIL−1β結合分子の発現のための好ましいシステムには、GSに基づく増幅/選択システムが含まれ、EP0256055B、EP0323997Bおよび欧州特許出願89303964.4に記載のもののようなものである。好ましくはまた、当該ベクターは、望ましくは発現、プロセッシングおよび発現タンパク質の搬出を促進するような他の配列を含み得、例えば、当該ベクターは、典型的には、当該コーディング配列に付随するリーダー配列を含み得る。
【0045】
本発明の更なる観点では、(i)上記のような発現ベクターで形質転換される生物を培養すること、および(ii)当該培養物からIL−1β結合分子を回収すること、を含むIL−1β結合分子の産生のための方法を提供する。
【0046】
本発明に従い、AAL160抗体が、成熟ヒトIL−1βの残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25(成熟ヒトIL−1βの残基、Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25は、ヒトIL−1β前駆体の残基138、139、140および141にそれぞれ対応する)を含むループを含むヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し結合特異性を有することが発見された。このエピトープは、IL−1レセプターの認識部位の外側にあり、そのため、このエピトープに対する抗体、例えば、AAL160抗体が、IL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害できることは、非常に驚きである。残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、抗体、特にキメラ性、CDR移植性抗体および特にヒトの抗体;およびIL−1仲介疾患および異常の処置のための当該抗体の使用は、新規であり、本発明の範囲内に含まれる。
【0047】
そのため、更なる観点では、本発明は、成熟ヒトIL−1βの成熟ヒトIL−1βの残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含むヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体を含む。
【0048】
また更なる観点では、本発明は、
i)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体の、IL−1仲介疾患または異常の処置のための使用、
ii)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する有効量の抗体を患者に投与することを含む、患者のIL−1仲介疾患または異常の処置方法、
iii)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体を、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組合せて含む医薬組成物、および
iv)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体の、IL−1仲介疾患または異常の処置用の医薬の調製のための使用
を含む。
【0049】
本詳細の説明の目的の場合、抗体は、当該抗体がIL−1βによるそのレセプターへの結合がAAL160抗体と実質的に同じ程度に阻害することができるならば、「IL−1βによる結合を阻害することができる」としており、この場合、「同じ程度に」とは上記定義の通りである。
【0050】
本詳細な説明において、「IL−1仲介疾患」なる語句は、IL−1が、疾患または異常の原因、進展、進行、持続または病理を含む疾患または病状に、直接的かまたは間接的に関与するすべての疾患または病状を意味する。
【0051】
本詳細な説明において、「処置」または「処置する」成る語句は、罹患する危険性があるかまたは罹患の疑いのある患者ならびに病気であるかまたは疾患または病状を患っていると診断された患者の処置が含まれる、予防または防止および治療または疾患修飾治療(disease modifying treatment)の両方を言い、臨床的な再発の抑制が含まれる。
【0052】
残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる抗体を以下本発明の抗体という。好ましくは、本発明の抗体は、ヒトIL−1βが天然条件下、例えば、通常の生理学的条件下であるが、変性条件下ではなく、例えば、SDSのような変性剤の存在下ではないとき、ヒトIL−1βのこのエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。本発明の抗体は、残基22にGly、残基23にPro、残基24にTyrおよび残基25にGluを含む抗原性エピトープを有し、そして相当するヒトエピトープに極めて似ている非ヒトIL−1βと交差反応し得る。例えば、本発明の抗体は、アカゲザルのような霊長類IL−1β、カニクイザルIL−1またはマーモセットIL−1と交差反応し得る。
【0053】
好ましくは、本発明の抗体は、本発明の第一および第二の態様に従うIL−1β結合分子である。有利には、本発明の抗体は、ヒト抗体であり、最も好ましくはAAL160抗体またはその直接の等価物である。
【0054】
本発明の抗体は、標的細胞におけるIL−1βの効果を妨げ、そのため、IL−1仲介疾患および異常の処置での使用を示す。本発明の抗体のこれらおよび他の薬理学活性は、標準的試験方法で説明され得、例えば、以下に記載するようなものである。
【0055】
1.IL−8プロモーターによるヒトIL−1β仲介活性の中和
IL−1β依存細胞性シグナリングを中和する可能性はレポーター遺伝子アッセイで測定される。
ヒト黒色腫細胞系G361は、ヒトIL−8プロモーターに基づくルシフェラーゼレポーター遺伝子構成物で安定してトランスフェクトされる。レポーター遺伝子発現および活性は、この細胞系でIL−1βまたはTNFαに依存する。細胞は、種々の濃度の本発明の抗体または6から18,000pMの範囲のIL−1レセプターアンタゴニスト存在下、条件培地中、300pg/ml 組換えヒトIL−1βまたは100pg/ml 等価物で刺激される。キメラ性抗体Simulect(商標)(basiliximab)を、調和したイソ型対照として使用する。ルシフェラーゼ活性は、化学ルミネセンスアッセイで定量される。本発明の抗体は、このアッセイで試験するとき、典型的には、約1nMのIC50を有する(例えば、約0.2から約5nM)。
【0056】
2.一次ヒト繊維芽細胞によるPGEおよびインターロイキン−6のIL−1β依存産生の中和
一次ヒト皮膚繊維芽細胞におけるPGEおよびIL−6の産生は、IL−1βに依存する。TNF−α単独では、これらの炎症メディエーターを効果的に誘導できないが、IL−1βと共に相乗作用する。一次皮膚繊維芽細胞をIL−1誘導細胞性活性化の代用モデルとして使用する。
【0057】
一次ヒト繊維芽細胞は、種々の濃度の本発明の抗体または6から18,000pMの範囲のIL−1RAの存在下LPS刺激ヒトPBMCから得られる組換えIL−1β、または条件培地で刺激される。当該キメラ性抗CD25抗体Simulect(商標)(basiliximab)を、調和したイソ型対照として使用する。上清を16hの刺激後取り出し、RIAによるELISAまたはPGEによりIL−6をアッセイする。本発明の抗体は、上記のように試験すると、約1nMまたはそれ未満(例えば、約0.1から約1nM)のIL−6産生の阻害、および約1nM(約0.1から約1nM)のPGE産生のIC50阻害を典型的に有する。
【0058】
上記アッセイで示すように、本発明の抗体は、IL−1βの効果を強力に防ぐ。従って、本発明の抗体は、以下のような医薬的有用性を有する。
【0059】
本発明の抗体は、IL−1仲介疾患または病状、例えば、炎症、アレルギーおよびアレルギー性の病状、過敏性反応、自己免疫疾患、重篤な感染、および器官または組織移植拒絶の予防および処置に有用である。
【0060】
例えば、本発明の抗体は、心臓、肺、複合心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚または角膜の移植のレシピエントの処置、および骨髄移植後のような対宿主性移植片病の防止に使用し得る。
【0061】
本発明の抗体は、自己免疫疾患および炎症、特に、関節炎(例えば、リュウマトイド関節炎、慢性進行性関節炎および変形性関節炎)および炎症を含むリュウマチ性疾患および骨喪失(bone loss)を含むリュウマチ性疾患のような自己免疫成分(autoimmune component)を含む病因、炎症性疼痛、感覚過敏(気管感覚過敏および皮膚感覚過敏の両方を含む)およびアレルギーを伴う炎症の処置、予防または緩和に特に有用である。本発明の抗体が用いられ得る特定自己免疫疾患には、自己免疫血液疾患(例えば、溶血性貧血、無形成性貧血、赤芽球癆、および突発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、多発性軟骨炎、硬皮症(sclerodoma)、ヴェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症性筋無力症、乾癬、スティーブン−ジョンソン症候群、突発性スプルー、自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病および過敏性大腸症候群)、内分泌性眼障害、ブレーブス病、類肉腫症、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、若年性糖尿病(真性I型糖尿病)、ブドウ膜炎(前部および後部)、乾性角結膜炎および春季角結膜炎、間質性肺繊維症、乾癬性関節炎および糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を伴うもの、伴わないもの、例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化ネフローゼ症候群を含む)が含まれる。
【0062】
本発明の抗体はまた、喘息、気管支炎、塵肺症、肺気腫、その他気道の閉塞性または炎症性疾患の治療、予防または緩和にも有用である。
【0063】
本発明の抗体は、IL−1により仲介されるかまたはIL−1産生、特にIL−1β産生を含むかまたはIL−1によりTNF放出が促進される望ましくない急性および激症性炎症反応、例えば急性感染、例えば敗血性ショック(例えば、内毒素ショックおよび成人性呼吸困難症候群)、髄膜炎、肺炎;および重症の火傷;の処置に、また、病的なTNF放出、感染結果、癌、または臓器不全、特にエイズ関連悪液質を伴う、例えばHIV感染に伴う、またはHIV感染の結果としての悪液質または消耗症候群の処置に有用である。
【0064】
本発明の抗体は、骨関節炎、骨粗鬆症その他の炎症性関節炎を含む骨代謝の疾患、および一般的に年齢に関係する骨喪失(bone loss)を含む骨喪失、ならびに特に歯周疾患の処置に特に有用である。
【0065】
本発明の抗体は、癌、特にIL−1依存腫瘍の処置に有用であり得る。
【0066】
もちろん、これらの適応症のために適当な用量は、例えば、特に、用いる本発明の抗体、宿主、投与様式、ならびに治療する症状の性質および重篤度に応じて異なる。しかし、予防的使用では、約0.l〜約5mg/体重kgの一日用量で満足な結果が得られることが一般的に示される。本発明の抗体は、通常、非経口的、静脈注射で、例えば前腕前部または他の末梢性静脈に、筋肉内的または皮下注射的に投与する。予防処置は、典型的に、2から4週間、一日に一度から一週間に一度、本発明の分子を投与することを含む。
【0067】
本発明の医薬組成物は、通常の方法で製造され得る。本発明の組成物は、好ましくは、凍結乾燥型で提供される。直接の投与の場合、適当な水性担体、例えば、注射用滅菌水または滅菌緩衝性生理食塩水中に溶解する。ボラス注射、例えば、scボラス注射としてよりもむしろ、点滴、例えばiv点滴による投与のため、より多量の体積の溶液を作成することが望ましいならば、ヒト血清アルブミンまたは患者自身のヘパリン化血液を製剤時に生理食塩中に加えることを有利である。過剰のその生理学的挿入タンパク質の存在により、コンテナーおよび点滴溶液に用いるチュービングの壁への吸着による抗体の喪失を防ぐ。アルブミンを用いるならば、適当な濃度は、生理食塩水溶液の重量の0.5から4.5%である。
【0068】
本発明は、添付図面:
可溶性IL−1 I型およびII型レセプターによるIL−1βへのAAL160結合の競争阻害を示すグラフである図1;
AAL160による、ラットモデルにおけるIL−1β誘発性の発熱の阻害を示すグラフである図2、および
ラットIL−1β誘発性の発熱におけるAAL160の作用の持続を示すグラフである図3
について言及する以下の実施例のみにおける解説の方法により更に述べる。
【実施例】
【0069】
実施例
マウス免疫グロブリンレパートリー(Fishwild et al., 1996, Nat Biotechnol., 14, 845-851)の代わりのヒトIgG/κレパートリーを発現するように工作したトランスジェニックマウスを用い、ヒトIL−1βに対する抗体を作成する。これらのマウスのB細胞は、標準的ハイブリドーマ技術により不死し、マウスハイブリドーマ細胞がヒトIgG1/κ抗体AAL160を分泌するように得られた。
【0070】
実施例1:ハイブリドーマの作成および抗体の精製
一般的に工作したマウス66(Medarex Inc. Annadale, NJ)を、アジュバント中、数カ所部位に皮下的に、組換えヒトIL−1β(50μg)で免疫化する。当該マウスを、更に5回、融合前3日、最後の注入でブーストする。融合の日にマウス66をCO吸入で屠殺し、脾臓細胞(4.1×107)を、PEG4000を用いる通常の方法により、同数のPAI−O細胞、マウス骨髄腫細胞系と融合する。融合細胞を、HAT上清化RPMI1640、10%加熱不活性化ウシ胎児血清5×10−5M β−メルカプトエタノール中のマウス腹膜細胞(Balb Cマウス)のフィーダー層を含む624ウェルにプレートする。上清を回収し、ELISAで試験し、IL−1β反応性モノクローナル抗体でスクリーニングする。IgG/κサブクラスの5つのモノクローナル抗体を同定する。クローニングは、4×96ウェルマイクロタイタープレートを用い、ウェルあたり0.5細胞をプレートし、行う。2週間後、ウェルを倒立顕微鏡で調べる。上清を、増殖陽性のウェルから回収し、IL−1βモノクローナル抗体の産生をELISAにより評価する。オリジナル同一化ハイブリドーマ#476の4つのサブクローンからの条件化上清1−2Lを調製し、抗体をプロテインAカラムのアフィニティークロマトグラフィーにより精製する。
【0071】
重鎖および軽鎖の精製および部分的アミノ酸配列
アミノ酸配列決定
精製抗体AAL160の軽鎖および重鎖をSDS−PAGEで分離し、アミノ末端アミノ酸をエドマン分解で決定した。これらの研究で使用した抗体の純度は、配列決定により90%以上である。重鎖および軽鎖可変ドメインをコードするcDNA配列を、クローニング化ハイブリドーマ細胞由来のmRNAから得られたcDNAのPCR増幅により得られ、完全に配列決定する。重鎖および軽鎖可変ドメインのアミノ末端配列および相当するDNA配列を以下に示す。CDRを太字で示す。
【化1】


【化2】

【0072】
重鎖および軽鎖可変ドメインをコードするDNA配列およびAAL160の相当するアミノ酸配列をまた、添付の配列表において配列番号1から4として提供する。
【0073】
重鎖および軽鎖の発現ベクターの構成
クローニングしたVおよびVコード化配列をPCRにより増幅し、適当な制限酵素部位により免疫グロブリンプロモーター、RFT2抗体(Heinrich et al.,(1989) J. Immunol. 143, 3589-97)由来リーダー配列、Jセグメントの一部およびスプライスドナー部位を供するカセットベクター中に挿入する。V領域全体、プロモーターおよび分泌のためのリーダー配列を含む軽鎖カセットを、ヒトCk遺伝子、免疫グロブリン重鎖エンハンサー、およびメトトレキサート(MTX)による分泌のための修飾マウスdhfr cDNAを含む発現ベクター中に移した。
【0074】
従って、重鎖カセットを、ヒトIgG1遺伝子、免疫グロブリン重鎖エンハンサー、および分泌のためのネオマイシン耐性遺伝子をコードする発現ベクター中に移した。
【0075】
重鎖および軽鎖のいずれも、高レベル発現に重要と考えられる再配置免疫グロブリン遺伝子のゲノム配置に似せた、発現ベクター中の配置とする。
【0076】
抗体産生の場合、上記ベクターを、適当な宿主細胞系、例えば、SP2/0細胞系に共−トランスフェクトし、当該ベクター配列を含む細胞をメトトレキサート選択により選択し、そして選択した細胞系を培養しAAL160抗体を発現させる。他に、EP0256055B、EP0323997Bまたは欧州特許出願番号89303964.4に記載するような増幅/選択システムに基づくGSを用い得、その場合、dhfr選択マーカーはGSコーディング配列と置き換える。
【0077】
実施例2:生化学的および生物学的データ
モノクローナル抗体AAL160は、インビトロでインターロイキン−1βの活性を中和することが発見された。当該モノクローナル抗体は、組換えヒトIL−1β Biacore分析へのその結合について更に特性解析される。中和の形式は、可溶性IL−1レセプターとの競争結合研究により評価される。組換えおよび天然産生IL−1βに対する抗体AAL160の生物学的活性は、IL−1βによる刺激の応答として一次ヒト細胞(primary human cell)(実施例3)において測定される。
【0078】
2.1 解離平衡定数
AAL160に対する組換えヒトIL−1βの結合に関する結合および解離率定数は、BIAcore分析により測定される。AAL160は固定化され、0.5から12nMの範囲の濃度での組換えIL−1βの結合を表面プラスモン共鳴により測定する。当該選択形式は、1:1化学量論により、AAL160に対するIL−1βの結合イベントを処理し得る。データ分析は、BIAevaluationソフトウェアを用い行う。
【表1】

【0079】
AAL160は、高い親和性で組換えヒトIL−1βと結合する。
【0080】
2.2 可溶性IL−1レセプターに対する結合の競争阻害
可溶性IL−1 I型およびII型レセプターを用いる結合競争研究
AAL160と可溶性ヒトIL−1 I型およびII型レセプターとの競争は、Biacoreで測定する。AAL160をチップ表面に固定化し、組換えヒトIL−1β(8nM)を、組換えヒト可溶性レセプターI(0-10nM)またはレセプターII(0-80nM)の増加する濃度の非存在下または存在下、AAL160に結合させるため注入する。得られた結果を図1に示す。IL−1βに対するNVP AAL160 NX−1の結合は、IL−1レセプターI型およびII型の両方を用い競争させる。
【0081】
2.3 ヒトIL−1α、ヒトIL−1RA、ならびに齧歯およびサルの種由来のIL−1βに対する反応性プロファイル
ヒトIL−1α、IL−1RA、ならびにマウス、ラット、ウサギおよびカニクイザルIL−1βに対するAAL160の反応性プロファイルをBiacore分析で決定する。AAL160を固定化し、試験するサイトカインを8nM(またはIL−1βの場合、20nM)で適用する。
【表2】

【0082】
AAL160は、ヒトIL−1α、ヒトIL−1Ra、またはマウス、ラットもしくはウサギIL−1βとは有意に交差反応しない。カニクイザルIL−1βに対する反応は、ヒトサイトカインと事実上同一である。
【0083】
実施例3:一次ヒト繊維芽細胞によるPGEおよびインターロイキン−6のIL−1β依存産生の中和
一次ヒト皮膚繊維芽細胞におけるPGEおよびIL−6の産生は、IL−1βに依存する。TNF−α単独では、これら炎症性メディエーターを有意に誘導できないが、IL−1と共に相乗作用する。一次皮膚繊維芽細胞をIL−1誘導細胞活性化の代用モデルとして使用する。
【0084】
一次ヒト繊維芽細胞は、種々の濃度のAAL160または6から18,000pMの範囲のIL−1RAの存在下LPS刺激ヒトPBMCから得られる組換えIL−1β、または条件培地で刺激される。当該キメラ性抗CD25抗体Simulect(商標)(basiliximab)を、調和したイソ型対照として使用する。上清を刺激後16hで取り出し、RIAによるELISAまたはPGEによるIL−6をアッセイする。
【表3】

【0085】
AAL160は、ヒト皮膚繊維芽細胞においてIL−6およびPGEの産生を、組換え体および天然IL−1βの両方に類似のIC50で効果的に妨げる。
【0086】
実施例4:AAL160作用のインビトロ効果および持続
効果:
抗huIL−1β抗体、AAL160のインビボ効果をラットモデルで試験する。この場合、発熱は、huIL−1β(100ng/rat)の静脈注射により誘発する。当該抗体は、用量範囲1、3および10μg/kg静脈(n=6ラット)における発熱応答の用量関連阻害をを引き起こす(図2参照)。CHI621(Simulect(商標)、basiliximab)を対照抗体として使用する。
【0087】
作用の持続:
AAL160の作用の持続は、以下のようにラットIL−1β誘発性の発熱において調査する:抗体を、ヒトIL−1βの静脈注射による発熱の誘発前24時間または30分のいずれか(標準的プロトコール)において静脈注射し、体温を2時間および4時間後に測定する。発熱応答の同程度の阻害が両方の時点で見られる(図3参照)。予測されるように、対照抗体CHI621(Simulect(商標)、basiliximab)は、両方の時点で効果はない。この発見は、AAL160ヒト抗体は、ラット内では少なくとも24時間、活性型で存在し、この時間の間、組織中で代謝されず、分泌されず、結合しないことを示す。
【0088】
実施例5:AAL160FabおよびIL−1βとのその複合体のX線分析
2.0Å解像度でのAAL160Fabの構造決定
非常に良好な質の2.0Å解像度データ(Rsym=0.051、完全性=99.9%、余剰=8.2)は、液滴吊り下げ法、pH9.5で50%PEG200、0.1M CHES中において吸入剤放散により増大するFab結晶から収集された。当該結晶は、空間群P2中において単位細胞の大きさa=62.17Å b=89.83Å c=123.73Åおよび対称単位あたり1つのFab分子(Matthews係数:3.6Å/Da、算出溶媒含有率:66%)で存在する。当該構造は、分子置換により決定され、最終結晶学的Rファクター0.209(遊離Rファクター=0.261)にまで精製した。最終モデルには、軽鎖の残基1-213、重鎖の1-131および138-218、387水分子および1PEG分子が含まれる。最終電子密度は、軽鎖のTrp94(CDR3)を除くCDR残基全体について十分に定義される。この残基の側鎖の位置は、現在のところまでに調べた2つの結晶型で不適当に定義され、そのため、結合抗原の非存在下で高度に可動性があることを示唆する。
【0089】
IL−1βとのFab複合体の結晶化および当該複合体の予備実験モデル:抗原IL−1βとの複合体におけるAAL160 Fabの結晶の幾つかが、2.0M 硫酸アンモニウム、0.1M Tris pH8.5における1:1複合体の76mg/mlストック溶液から得られた。当該結晶は、数週間かけて非常にゆっくりと増大した。それらは、ホームソース(home source)において約3.2Åに弱く回折する。予備的なデータ群を収集し、分子置換を、開始モデルとして遊離Fabの高解像度構造およびヒトIL−1βの高解像度構造(J.P. Priestle et al., EMBO J. 7, 339 (1988))を用い試みた。当該算出は、FabのFvおよびFc部分を別々のモジュールとして使用するとき、非常に明確なおよび明白な答えを出した(8.0と3.5Åの間のデータを用いるAMORE FITTINGステップの後、対比67.1%、Rファクター0.354)。その後の、Fabの遊離および結合型の比較は、当該2つの構造でエルボー角(elbow angle)が非常に異なることを示す。分子置換算出の結果は、抗原IL−1βとモノクローナル抗体AAL160との間の相互作用の最初の分子モデルを提供する。これら相互作用の予備的分析は、1)IL−1βが重鎖の3つすべてのCDRとの、および軽鎖のCDR3との強固な相互作用を形成することを示す。対照的に、軽鎖のCDR1およびCDR2を幾つか含むならば僅かに相互作用する。2)成熟IL−1βの残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループは、抗原結合部位(antigen-combining site)の中心で結合し、そのため、エピトープの鍵部分(key component)となると思われる。十分に興味がひかれることには、このループは、マウスIL−1βとは最も異なる分子の領域内に位置しない。Pro23、Tyr24およびGlu25は保存されているが、残基22は、ヒトIL−1β中のGlyであり、マウスIL−1βのAspである。ヒト(PDBエントリー2ilb)の結晶構造とマウスIL−1β(PDBエントリー8ilb)の結晶構造の比較は、この点変異がPro23周囲の主鎖の立体配座を相当変えることを示す。この局所構造的相違は、マウスサイトカインに関するAAL160の交差反応の欠損が観察されることと一致する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1は、可溶性IL−1 I型およびII型レセプターによるIL−1βへのAAL160結合の競争阻害を示すグラフである。
【図2】図2は、AAL160による、ラットモデルにおけるIL−1β誘発性の発熱の阻害を示すグラフである。
【図3】図3は、ラットIL−1β誘発性の発熱におけるAAL160の作用の持続を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列中に超可変領域、CDR1、CDR2およびCDR3、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有し、ならびにそれらの直接の等価物を含む少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)を含む抗原結合部位を含むIL−1β結合分子。
【請求項2】
重鎖(V)および軽鎖(V)可変ドメインの両方を含むIL−1β結合分子であって、
a)配列中に超可変領域、CDR1、CDR2およびCDR3含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列Ser-Tyr-Trp-Ile-Glyを有し、CDR2はアミノ酸配列Ile-Ile-Tyr-Pro-Ser-Asp-Ser-Asp-Thr-Arg-Tyr-Ser-Pro-Ser-Phe-Gln-Glyを有し、CDR3はアミノ酸配列Tyr-Thr-Asn-Trp-Asp-Ala-Phe-Asp-Ileを有する、免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(V)、
b)アミノ酸配列Gln-Gln-Arg-Ser-Asn-Trp-Met-Phe-Proを有するCDR3'超可変領域を含む免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)
およびそれらの直接の等価物
を含む少なくとも1つの抗原結合部位を含む当該IL−1β結合分子。
【請求項3】
免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(V)が、配列中に超可変領域、CDR1'、CDR2'およびCDR3'、この場合、CDR1'はアミノ酸配列Arg-Ala-Ser-Gln-Ser-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Alaを有し、CDR2'はアミノ酸配列Asp-Ala-Ser-Asn-Arg-Ala-Thrを有し、CDR3'はアミノ酸配列Gln-Gln-Arg-Ser-Asn-Trp-Met-Phe-Proを有し、ならびにそれらの直接の等価物を含む請求項2のIL−1β結合分子。
【請求項4】
ヒト抗体である請求項1、2または3のIL−1β結合分子。
【請求項5】
1位のアミノ酸から始まり128位のアミノ酸で終わる配列番号1に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第一のドメイン、または上記のような第一のドメインおよび1位のアミノ酸から始まり107位のアミノ酸で終わる配列番号2に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列を有する第二のドメイン、のいずれかを含む少なくとも1つの抗原結合部位を含むIL−1β結合分子。
【請求項6】
IL−1仲介疾患または異常の処置の使用のための、請求項1−5のいずれか1つのIL−1β結合分子。
【請求項7】
a)フレームワークおよび超可変領域を代わりに含み、この場合、当該超可変領域は、配列CDR1、CDR2およびCDR3であり、そのアミノ酸配列は配列番号1で示される、可変ドメインをコードする第一の部分;この第一の部分は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そして
b)重鎖の定常部分の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常部分またはそのフラグメントの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる重鎖定常部分またはそのフラグメント、その後に続くストップコドンをコードする第二の部分、
を含む重鎖またはそのフラグメントをコードする第一のDNA構成物。
【請求項8】
a)フレームワークおよび超可変領域を代わりに含み、この場合、当該超可変領域は、CDR3'ならびに所望によりCDR1'およびCDR2'であり、そのアミノ酸配列は配列番号2で示される、可変ドメインをコードする第一の部分;この第一の部分は、可変ドメインの最初のアミノ酸をコードするコドンから始まり可変ドメインの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わり、そして
b)軽鎖の定常部分の最初のアミノ酸をコードするコドンで始まりその定常部分またはそのフラグメントの最後のアミノ酸をコードするコドンで終わる軽鎖定常部分またはそのフラグメント、その後に続くストップコドンをコードする第二の部分、
を含む軽鎖またはそのフラグメントをコードする第二のDNA構成物。
【請求項9】
請求項7または請求項8の少なくとも1つのDNA構成物を含む原核または真核細胞系において複製可能な発現ベクター。
【請求項10】
(i)請求項9の発現ベクターで形質転換された生物を培養すること、および(ii)当該培養物からIL−1β結合分子を回収すること、を含むIL−1β結合分子の産生のための方法。
【請求項11】
残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含み、IL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有するIL−1βに対する抗体。
【請求項12】
i)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体の、IL−1仲介疾患または異常の処置のための使用、
ii)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する有効量の抗体を患者に投与することを含む、患者のIL−1仲介疾患または異常の処置方法、
iii)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体を、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤または担体と組合せて含む医薬組成物、および
iv)残基Gly22、Pro23、Tyr24およびGlu25を含むループを含む成熟ヒトIL−1βの抗原性エピトープに対し抗原結合特異性を有し、そしてIL−1βによるそのレセプターへの結合を阻害することができる、IL−1βに対する抗体の、IL−1仲介疾患または異常の処置用の医薬の調製のための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−97598(P2007−97598A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148(P2007−148)
【出願日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【分割の表示】特願2001−553825(P2001−553825)の分割
【原出願日】平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】