説明

ヒドラジン誘導体、製造中間体および農園芸用殺菌剤および殺虫剤

本発明は、式(1)


[式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子または、C1−6アルキル基を表す。
はC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基を表わす。
は水素原子、ハロゲン原子等を表わす。
Qは、式(2)で表される基、または式(3)で表される基を表す。


は水素原子、C1−6アルキル基等を表す。Rは水素原子、C1−6アルキル基を表わす。Yは水素原子、C1−6アルキル基、Gで置換されてもよいフェニルC1−6アルキル基等を表わす。
Gはハロゲン原子、C1−6アルキル基等を表す。]
で表されるヒドラジン誘導体またはその塩、および該化合物またはその塩を有効成分としてなる農園芸用殺菌剤または殺虫剤である。

【発明の詳細な説明】
技術分野:
本発明は新規なヒドラジン誘導体、該化合物を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤および殺虫剤に関する。
背景技術:
農園芸作物の栽培に当り、作物の病害に対して多数の防除薬剤が使用されているが、その防除効力が不十分であったり、薬剤耐性の病原菌の出現によりその使用が制限されたり、また植物体に薬害や汚染を生じたり、あるいは人畜魚類に対する毒性や環境への影響の観点から、必ずしも満足すべき防除薬とは言い難いものが少なくない。従って、かかる欠点の少ない安全に使用できる薬剤の出現が強く要請されている。
本発明化合物と類似した以下に示すようなヒドラジン化合物が、J.Am.Chem.Soc.,1999,121(20),4731に記載されているが何ら生物活性は明示されていない。

また、欧州特許出願第388165号明細書に次に示すような化合物が抗炎症作用を有することが開示されている。

発明の開示:
本発明の目的は、工業的に有利に合成でき効果が確実で安全に使用できる農園芸用殺菌剤および殺虫剤となりうるヒドラジン誘導体を提供することにある。
本発明は式(1)

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、Gで置換されてもよいフェニルC1−6アルキル基、またはC1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル基を表わす。またR、Rは、一緒になって環を形成してもよい。
はC1−6アルキル基または、C1−6アルコキシ基を表わす。
はハロゲン原子、C1−6アルキル基または、C1−6アルコキシ基を表わす。
Qは、式(2)で表される基、または式(3)で表される基を表す。mは、0または1〜4の整数を表す。

は水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基または、SiRを表わす。
〜Rはそれぞれ独立して、C1−6アルキル基を表す。Rは水素原子、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C3−8シクロアルキルC1−6アルキル基、C1−6ハロアルキル基または、Gで置換されてもよいフェニル基を表わす。Yは水素原子、C1−12アルキル基、C−6シクロアルキル基、C3−8シクロアルキルC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6ハロアルケニル基、C2−10アルキニル基、Gで置換されてもよいフェニルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいピリジルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいピペリジルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいテトラヒドロピランC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいテトラヒドロフリルC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、C3−8シクロアルキルカルボニル基、C3−8シクロアルキルカルボニルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいベンゾイル基、またはベンゼン部分がGで置換されてもよいフェニルC1−6アルキルカルボニル基を表わす。
Gはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルキル基、C1−6ハロアルコキシ基、水酸基、またはC1−6アルキルC1−6アルコキシ基を表し、これらGは同一または相異なって2個から5個置換してもよい。]
で表されるヒドラジン誘導体。
式(4)

(式中、R、R、R、R、R、およびmは請求項1と同一の意味を表す。ただしRがトリフルオロメチル基の場合には、mは1〜4の整数を表す。)で表される製造中間体。
式(1)

(式中、R、R、R、R、Q及びmは、請求項1と同一の意味を表す。)
で表されるヒドラジン誘導体またはその塩の1種または2種以上を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤および殺虫剤である。
発明の実施の形態:
前記式(1)の定義において、

またはRはそれぞれ独立して水素原子またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基;またはアセチル、プロピオニル、ノルマルブチリル、イソブチリル等のC1−6アルキルカルボニル基;またはベンゼン環部分がGで置換されてもよいベンジル、フェネチル等のフェニルC1−6アルキル基;またはメトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル等のC1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル基を表わす。
、Rは一緒になって、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、−CH=CHCH−、−C(=O)CHCH−、−CHCHC(=O)−、−C(=O)CHCHCH−、−CHCHCHC(=O)−等の環を形成してもよい。
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基;またはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、t−ブチルオキシ等のC1−6アルコキシ基を表わす。
は、水素原子または、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基、メトキシ、エトキシ等のC1−6アルコキシ基を表わす。
mは0、1、2、3,4の整数のいずれかを表す。mが2、3または4のとき、Rは同一でも相異なっていてもよい。
Qは、前記式(2)、または式(3)で表される基を表す。

式中Rは、水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基;エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等のC2−6アルケニル基;R〜Rが、それぞれ独立してメチル、エチル、プロピル等のC1−6アルキル基であるSiRを表わす。
式中Rは、水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等のC1−6アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC−8シクロアルキル基;シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロブチルメチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチル等のC3−8シクロアルキルC1−6アルキル基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ジフルオロクロロメチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1−ハロアルキル基;またはGで置換されてもよいフェニル基を表わす。
Yは、水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルオクチル等のC1−12アルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル基;シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロプロピルエチル等のC3−8シクロアルキル−C1−6アルキル基;エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル等のC2−6アルケニル基;2−クロロ−エテニル、3−クロロ−2−プロペニル、2−クロロ−2−プロペニル等のC2−6ハロアルケニル基;エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、5−ヘキシニル等のC2−10アルキニル基;ベンゼン環部がGで置換されてもよいベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等のフェニルC1−6アルキル基;ピリジン環部がGで置換されてもよいピリジル−2−イルメチル、ピリジル−3−イルメチル、ピリジル−4−イルメチル等のピリジルC1−6アルキル基;ピペリジン環部がGで置換されてもよいピペリジン−2−イルメチル、ピペリジン−3−イルメチル、ピペリジン−4−イルメチル、N−メチルピペリジン−2−イルメチル、N−メチルピペリジン−3−イルメチル、N−メチルピペリジン−4−イルメチル等のピペリジンC1−6アルキル基;テトラヒドロピラン環部がGで置換されてもよいテトラヒドロピラン−2−イルメチル、テトラヒドロピラン−3−イルメチル、テトラヒドロピラン−4−イルメチル等のテトラヒドロピランC1−6アルキル基;テトラヒドロフラン環部がGで置換されてもよいテトラヒドロフラン−2−イルメチル、テトラヒドロフラン−3−イルメチル、テトラヒドロフラン−4−イルメチル等のテトラヒドロフランC−6アルキル基;アセチル、プロピオニル、ブチリル等のC1−6アルキルカルボニル基;シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘプチルカルボニル等のC3−8シクロアルキルカルボニル基;シクロプロピルカルボニルメチル、シクロブチルカルボニルメチル、シクロペンチルカルボニルメチル、シクロヘキシルカルボニルメチル、シクロヘプチルカルボニルメチル、シクロプロピルカルボニルエチル、シクロブチルカルボニルエチル、シクロペンチルカルボニルエチル、シクロヘキシルカルボニルエチル等のC3−8シクロアルキルカルボニルC1−6アルキル基;ベンゼン環部がGで置換されてもよいベンゾイル基;またはベンゼン環部がGで置換されてもよいフェニルアセチル、3−フェニルプロピオニル、4−フェニルブチリル等のフェニルC−6アルキルカルボニル基を表す。
Gは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル等のC1−6アルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ等のC1−6アルコキシ基;クロロメチル、フルオロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロエチル、トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等のC1−6ハロアルキル基;クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ブロモメトキシ、ジクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジブロモメトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリブロモメトキシ、トリクロロエトキシ、トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ等のC1−6ハロアルコキシ基を表し、これらGは同一または相異なって2個から5個置換してもよい。
本発明における式(1)で示されるヒドラジン誘導体の製造法について説明する。式(1)で示されるヒドラジン誘導体は例えば下記の方法で製造できるが、該化合物の製造法は、これらの製造法に限定するものではない。
製造法(1)
下記式(4)

(式中R、R、R、R、Rおよびmは前記と同じ意味を表す。)で表されるヒドラジン化合物に下記式(8)

(式中、Yは前記と同じ意味を表す。)で表されるオキシアミン化合物を、所望により酸存在下に反応させることにより、前記式(1)で示される本発明化合物のうちQが式(3)のヒドラジン誘導体を製造することができる。
反応は溶媒存在下または無溶媒で行うことができる。使用できる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、水および、これらの溶媒を二つ以上混合した混合溶媒系が挙げられる。
オキシアミンの使用量は化合物(4)に対して通常1〜5倍モルの範囲であり、好適には1〜2倍モルである。
酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。酸の使用量はヒドラジン化合物(8)に対し、通常0.01〜100倍モル、好ましくは1〜3倍モルである。
本反応の温度は、−78℃〜200℃の範囲で、好適には−20℃〜100℃の範囲である。反応時間は反応試剤の量及び温度により異なるが、30分〜24時間の範囲である。反応終了後は、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の製法により容易に精製できる。
製造法(2)
下記式(9)

(式中R、R、R、およびRは前記と同じ意味を表す。Lは臭素原子、またはヨウ素原子を表す。)で表されるヒドラジン化合物に、下記式(10)

(式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表されるアセチレン化合物を、Pd錯体と塩基存在下に反応させることにより、前記式(1)で示される本発明化合物のうちQが式(2)のヒドラジン誘導体を製造することができる。
本反応は溶媒存在下または無溶媒で行うことができる。使用できる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、プロピオンニトリル等のニトリル系溶媒、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、水および、これらの溶媒を二つ以上混合した混合溶媒系が挙げられる。
アセチレン化合物の使用量は化合物(9)に対し、通常1〜10倍モルの範囲であり、好適には1〜3倍モルである。
Pd錯体としては、例えばテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム−トリフェニルホスフィン等が挙げられる。Pd錯体の使用量はヒドラジン化合物(9)に対し、通常0.001〜1倍モルの範囲から適宜選択することができる。
塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基類、プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン等の有機アミン類が挙げられる。その使用量はヒドラジン化合物(9)に対し、通常1〜20倍モルの範囲から適宜選択することができ、好適には1〜3倍モルである。
本反応では、触媒を使用してもよく、使用する触媒としてはヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム塩類等が挙げられる。その使用量はヒドラジン化合物(9)に対し、通常0.001〜1倍モルの範囲から適宜選択することができる。
本反応の温度は、−78℃〜200℃の範囲で、好適には−20℃〜100℃の範囲である。反応時間は反応試剤の量及び温度により異なるが、30分〜24時間の範囲である。反応終了後は、生成物の精製が必要であれば、蒸留、再結晶またはカラムクロマトグラフィー等の公知慣用の製法により容易に精製できる。
(農園芸用殺菌剤および殺虫剤)
本発明化合物(式(1)で表される化合物またはその塩)は、広範囲の種類の糸状菌、例えば、藻菌類(Oomycetes)、子のう(嚢)菌類(Ascomycetes),不完全菌類(Deuteromycetes),担子菌類(Basidiomycetes)に属する菌に対しすぐれた殺菌力を有する。本発明化合物を有効成分とする組成物は、花卉、芝、牧草を含む農園芸作物の栽培に際し発生する種々の病害の防除に、種子処理、茎葉散布、土壌施用または水面施用等により使用することができる。
例えば、
テンサイ 褐斑病(Cercospora beticola)
ラッカセイ 褐斑病(Mycosphaerella arachidis)
黒渋病(Mycosphaerella berkeleyi)
キュウリ うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)
つる枯病(Mycosphaerella melonis)
菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒星病(Cladosporium cucumerinum)
トマト 灰色かび病(Botrytis cinerea)
葉かび病(Cladosporium fulvum)
ナス 灰色かび病(Botrytis cinerea)
黒枯病(Corynespora melongenae)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
イチゴ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Sohaerotheca humuli)
タマネギ 灰色腐敗病(Botrytis allii)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
インゲン 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
りんご うどんこ病(Podosphaera leucotricha)
黒星病(Venturia inaequalis)
モニリア病(Monilinia mali)
カキ うどんこ病(Phyllactinia kakicola)
炭そ病(Gloeosporium kaki)
角斑落葉病(Cercospora kaki)
モモ・オウトウ 灰星病(Monilinia fructicola)
ブドウ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
うどんこ病(Uncinula necator)
晩腐病(Glomerella cingulata)
ナシ 黒星病(Venturia nashicola)
赤星病(Gymnosporangium asiaticum)
黒斑病(Alternaria kikuchiana)
チャ 輪斑病(Pestalotia theae)
炭そ病(Colletotrichum theae−sinensis)
カンキツ そうか病(Elsinoe fawcetti)
青かび病(Penicillium italicum)
緑かび病(Penicillium digitatum)
灰色かび病(Botrytis cinerea)
オオムギ うどんこ病(Erysiphegraminis f.sp.hordei)
裸黒穂病(Ustilago nuda)
コムギの赤かび病(Gibberella zeae)
赤さび病(Puccinia recondita)
斑点病(Cochliobolus sativus)
眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)
ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)
うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.tritici)
紅色雪腐病(Micronectriella nivalis)
イネ いもち病(Pyricularia oryzae)
紋枯病(Rhizoctonia solani)
馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、
ごま葉枯病(Cochliobolus niyabeanus)、
タバコ 菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)
うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)
チューリップ 灰色かび病(Botrytis cinerea)
ベントグラス 雪腐大粒菌核病(Sclerotinia borealis)、
オーチャードグラスのうどんこ病(Erysiphe graminis)、
ダイズ 紫斑病(Cercospora kikuchii)、
ジャガイモ・トマトの疫病(Phytophthora infestans)、
キュウリ べと病(Pseudoperonospora cubensis)、
ブドウ べと病(Plasmopara viticola)
等の防除に使用することができる。
また、近年種々の病原菌においてベンズイミダゾール系殺菌剤やジカルボキシイミド系殺菌剤等に対する耐性が発達し、それらの薬剤の効力不足を生じており、耐性菌にも有効な薬剤が望まれている。本発明の化合物は、それら薬剤に対し感受性の病原菌のみならず、耐性菌にも優れた殺菌効果を有する薬剤である。
例えば、チオファネートメチル、ベノミル、カルベンダジム等のベンズイミダゾール系殺菌剤に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)やテンサイ褐斑病菌(Cercospora beticola)、リンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、ナシ黒星病菌(Venturia nashicola)に対しても感受性菌と同様に本発明化合物は有効である。
さらに、ジカルボキシイミド系殺菌剤(例えば、ビンクロゾリン、プロシミドン、イプロジオン)に耐性を示す灰色かび病菌(Botrytis cinerea)に対しても感受性菌と同様に本発明化合物は有効である。
適用がより好ましい病害としては、テンサイの褐斑病、コムギのうどんこ病、イネのいもち病、リンゴ黒星病、キュウリの灰色かび病、ラッカセイの褐斑病等が挙げられる。
(殺虫剤)
本発明化合物(式〔I〕で表される化合物又はその塩)は農業上の有害生物、衛生害虫、貯殻害虫、衣類害虫、家屋害虫等の防除に使用でき、殺成虫、殺若虫、殺幼虫、殺卵作用を有する。
鱗翅目害虫、例えば、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、タマナヤガ、アオムシ、タマナギンウワバ、コナガ、チャノコカクモンハマキ、チャハマキ、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、ミカンハモグリガ、チャノホソガ、キンモンホソガ、マイマイガ、チャドクガ、ニカメイガ、コブノメイガ、ヨーロピアンコーンボーラー、アメリカシロヒトリ、スジマダラメイガ、ヘリオティス属、ヘリコベルパ属、アグロティス属、イガ、コドリンガ、ワタアカミムシ等、
半翅目害虫、例えば、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ムギクビレアブラムシ、ホソヘリカメムシ、アオクサカメムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、オンシツコナジラミ、タバココナジラミ、ナシキジラミ、ナシグンバイムシ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ等、
甲虫目害虫、例えば、キスジノミハムシ、ウリハムシ、コロラドハムシ、イネミズゾウムシ、コクゾウムシ、アズキゾウムシ、マメコガネ、ヒメコガネ、ジアブロティカ属、タバコシバンムシ、ヒラタキクイムシ、マツノマダラカミキリ、ゴマダラカミキリ、アグリオティス属、ニジュウヤホシテントウ、コクヌスト、ワタミゾウムシ等、
双翅目害虫、例えば、イエバエ、オオクロバエ、センチニクバエ、ウリミバエ、ミカンコミバエ、タネバエ、イネハモグリバエ、キイロショウジョウバエ、サシバエ、コガタアカイエカ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ等、
アザミウマ目害虫、例えば、ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等、
膜翅目害虫、例えば、イエヒメアリ、キイロスズメバチ、カブラハバチ等、
直翅目害虫、例えば、トノサマバッタ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ等
シロアリ目害虫、例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等、
隠翅目害虫、例えば、ヒトノミ、ネコノミ等、シラミ目害虫、例えば、ヒトジラミ等、
ダニ類、例えば、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、ミカンサビダニ、リンゴサビダニ、チャノホコリダニ、ブレビパルパス属、エオテトラニカス属、ロビンネダニ、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、オウシマダニ、フタトゲチマダニ等、
植物寄生性線虫類、例えば、サツマイモネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、イネシンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウ等。
適用が好ましい有害生物としては、鱗翅目害虫、半翅目害虫、甲虫目害虫、アザミウマ目害虫、ハダニ類であり、特に好ましくは鱗翅目害虫、半翅目害虫、ハダニ類である。
又、近年コナガ、ウンカ、ヨコバイ、アブラムシ等多くの害虫において有機リン剤、カーバメート剤や殺ダニ剤に対する抵抗性が発達し、それら薬剤の効力不足問題を生じており、抵抗性系統の害虫やダニにも有効な薬剤が望まれている。本発明化合物は感受性系統のみならず、有機リン剤、カーバメート剤、ピレスロイド剤抵抗性系統の害虫や、殺ダニ剤抵抗性系統のダニにも優れた殺虫殺ダニ効果を有する薬剤である。
また本発明化合物は薬害が少なく、魚類や温血動物への毒性が低く、安全性の高い薬剤である。
本発明化合物は、水棲生物が船底、魚網等の水中接触物に付着するのを防止するための防汚剤として使用することもできる
本発明殺菌剤および殺虫剤は本発明化合物の1種または2種以上を有効成分として含有する。
本発明化合物を実際に施用する際には他成分を加えず純粋な形で使用できるし、また農薬として使用する目的で一般の農薬のとり得る形態、即ち、水和剤、粒剤、粉剤、乳剤、水溶剤、懸濁剤、顆粒水和剤等の形態で使用することもできる。
農薬製剤中に添加することのできる添加剤および担体としては、固型剤を目的とする場合は、大豆粉、小麦粉等の植物性粉末、珪藻土、燐灰石、石こう、タルク、ベントナイト、パイロフィライト、クレー等の鉱物性微粉末、安息香酸ソーダ、尿素、芒硝等の有機及び無機化合物が使用される。
また、液体の剤型を目的とする場合は、ケロシン、キシレンおよび石油系の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール、アセトン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトン、鉱物油、植物油、水等を溶剤として使用することができる。
さらに、これらの製剤において均一かつ安定な形態をとるために、必要に応じ界面活性剤を添加することもできる。添加することができる界面活性剤としては特に限定はないが、例えば、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンが付加したアルキルエーテル、ポリオキシエチレンが付加した高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したソルビタン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンが付加したトリスチリルフェニルエーテル等の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンが付加したアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコールの硫酸エステル塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物、イソブチレン−無水マレイン酸の共重合物等が挙げられる。
このようにして得られた水和剤、乳剤、フロアブル剤,水溶剤,顆粒水和剤は水で所定の濃度に希釈して溶解液,懸濁液あるいは乳濁液として、粉剤・粒剤はそのまま植物に散布する方法で使用される。
また有効成分量は、通常、組成物(製剤)全体に対して好ましくは0.01〜90重量%であり、より好ましくは0.05〜85重量%である。
製剤化された本発明の殺菌剤組成物は、そのままで、或いは水等で希釈して、植物体、種子、水面または土壌に施用される。施用量は、気象条件、製剤形態、施用磁気、施用方法、施用場所、防除対象病害、対象作物等により異なるが、通常1ヘクタール当たり有効成分化合物量にして1〜1000g、好ましくは10〜100gである。
水和剤、乳剤、懸濁剤、水溶剤、顆粒水和剤等を水で希釈して施用する場合、その施用濃度は1〜1000ppm、好ましくは10〜250ppmであり、粒剤、粉剤等の場合は、希釈することなくそのまま施用する。
なお、本発明化合物は単独でも十分有効であることは言うまでもないが、各種の殺菌剤や殺虫・殺ダニ剤または共力剤の1種または2種以上と混合して使用することもできる。
本発明化合物と混合して使用できる殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、植物生長調節剤の代表例を以下に示す。
殺菌剤:
キャプタン、フォルペット、チウラム、ジラム、ジネブ、マンネブ、マンコゼブ、プロピネブ、ポリカーバメート、クロロタロニル、キントーゼン、キャプタホル、イプロジオン、プロサイミドン、ビンクロゾリン、フルオロイミド、サイモキサニル、メプロニル、フルトラニル、ペンシクロン、オキシカルボキシン、ホセチルアルミニウム、プロパモカーブ、トリアジメホン、トリアジメノール、プロピコナゾール、ジクロブトラゾール、ビテルタノール、ヘキサコナゾール、マイクロブタニル、フルシラゾール、メトコナゾール、エタコナゾール、フルオトリマゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルトリアフェン、ベンコナゾール、ジニコナゾール、サイプロコナゾーズ、フェナリモール、トリフルミゾール、プロクロラズ、イマザリル、ペフラゾエート、トリデモルフ、フェンプロピモルフ、トリホリン、ブチオベート、ピリフェノックス、アニラジン、ポリオキシン、メタラキシル、オキサジキシル、フララキシル、イソプロチオラン、プロベナゾール、ピロールニトリン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシン、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ベノミル、カルベンダジム、チオファネートメチル、ヒメキサゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、フェンチンアセテート、水酸化トリフェニル錫、ジエトフェンカルブ、メタスルホカルブ、キノメチオナート、ビナパクリル、レシチン、重曹、ジチアノン、ジノカップ、フェナミノスルフ、ジクロメジン、グアザチン、ドジン、IBP、エディフェンホス、メパニピリム、フェルムゾン、トリクラミド、メタスルホカルブ、フルアジナム、エトキノラック、ジメトモルフ、ピロキロン、テクロフタラム、フサライド、フェナジンオキシド、チアベンダゾール、トリシクラゾール、ビンクロゾリン、シモキサニル、シクロブタニル、グアザチン、プロパモカルブ塩酸塩、オキソリニック酸、ヒドロキシイソオキサゾール、イミノクタジン酢酸塩等。
殺虫・殺ダニ剤:
有機燐およびカーバメート系殺虫剤:
フェンチオン、フェニトロチオン、ダイアジノン、クロルピリホス、ESP、バミドチオン、フェントエート、ジメトエート、ホルモチオン、マラソン、トリクロルホン、チオメトン、ホスメット、ジクロルボス、アセフェート、EPBP、メチルパラチオン、オキシジメトンメチル、エチオン、サリチオン、シアノホス、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、ホサロン、メチダチオン、スルプロホス、クロルフェンビンホス、テトラクロルビンホス、ジメチルビンホス、プロパホス、イソフェンホス、エチルチオメトン、プロフェノホス、ピラクロホス、モノクロトホス、アジンホスメチル、アルディカルブ、メソミル、チオジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、プロポキスル、BPMC、MTMC、MIPC、カルバリル、ピリミカーブ、エチオフェンカルブ、フェノキシカルブ、EDDP等。
ピレスロイド系殺虫剤:
ペルメトリン、シペルメトリン、デルタメスリン、フェンバレレート、フェンプロパトリン、ピレトリン、アレスリン、テトラメスリン、レスメトリン、ジメスリン、プロパスリン、フェノトリン、プロトリン、フルバリネート、シフルトリン、シハロトリン、フルシトリネート、エトフェンプロクス、シクロプロトリン、トロラメトリン、シラフルオフェン、ブロフェンプロクス、アクリナスリン等。
ベンゾイルウレア系その他の殺虫剤:
ジフルベンズロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、テトラベンズロン、フルフェノクスロン、フルシクロクスロン、ブプロフェジン、ピリプロキシフェン、メトプレン、ベンゾエピン、ジアフェンチウロン、アセタミプリド、イミダクロプリド、ニテンピラム、フィプロニル、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、硫酸ニコチン、ロテノン、メタアルデヒド、機械油、BTや昆虫病原ウイルスなどの微生物農薬等。
殺線虫剤:
フェナミホス、ホスチアゼート等。
殺ダニ剤:
クロルベンジレート、フェニソブロモレート、ジコホル、アミトラズ、BPPS、ベンゾメート、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、ポリナクチン、キノメチオネート、CPCBS、テトラジホン、アベルメクチン、ミルベメクチン、クロフェンテジン、シヘキサチン、ピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラド、ピリミジフェン、フェノチオカルブ、ジエノクロル等。
植物生長調節剤:
ジベレリン類(例えばジベレリンA3、ジベレリンA4、ジベレリンA7)IAA、NAA。
発明を実施するための最良の形態:
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジン塩酸塩の製造

2−クロロ−5−アセチルアニリン2.0g(11.8mmol)を濃塩酸10mlに溶解させた後、あらかじめ亜硝酸ナトリウム0.85g(12.3mmol)を水1mlに溶解させた溶液を0℃にて滴下した。30分後、反応液に塩化スズ4.5g(23.7mmol)を濃塩酸4mlに溶解させた溶液を同じく0℃にて加えた後、室温にて一晩反応させた。析出物をろ別後、n−ヘキサン、ジエチルエーテルにて洗浄して、粗2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジン塩酸塩2.6gを得た。
【実施例2】
2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジンカルボン酸メチルの製造

参考例1で得られた粗2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジン塩酸塩1.2g(5mmol)をクロロホルム20mlに懸濁させ、0℃にてトリエチルアミン1.1g(10.9mmol)、クロロ蟻酸メチル0.5g(5.3mmol)を加えた後、室温で反応させた。4時間後反応液を氷水中にあけ、酢酸エチルエステルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥、ろ別後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン−酢酸エチルエステル=1:1)にて精製して、目的とする2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジンカルボン酸メチル0.65gを得た。収率49%。
【実施例3】
2−{2−クロロ−5−[1−(2−クロロベンジルオキシイミノ)エチル]フェニル}−1−ヒドラジンカルボン酸メチル(化合物番号1−17)の製造法

2−(2−クロロ−5−アセチルフェニル)−1−ヒドラジンカルボン酸メチル0.2g(0.82mmol)を酢酸10mlに溶解し、2−クロロベンジルオキシアミン0.13g(0.82mmol)を室温にて加えた。3時間後反応液を氷水中にあけ、酢酸エチルエステルにて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥、ろ別後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン−酢酸エチルエステル=3:1)にて精製して、目的とする2−{2−クロロ−5−[1−(2−クロロベンジルオキシイミノ)エチル]フェニル}−1−ヒドラジンカルボン酸メチルの結晶0.20g(収率63%)を得た。m.p.126−128℃。
上記実施例を含め本発明化合物の具体例を第1表〜第2表に記載する。
なお、表中の略号は以下の意味を示す。
Me=メチル、Et=エチル、Pr=ノルマルプロピル、Pr=イソプロピル、Pr=シクロプロピル、Bu=ノルマルブチル、Bu=イソブチル、Bu=ターシャリーブチル、Hex=ノルマルヘキシル、Hex=シクロヘキシル、Pen=ノルマルペンチル、Oct=ノルマルオクチル







次に、本発明の殺菌殺虫剤組成物の実施例を若干示すが、添加物及び添加割合は、これら実施例に限定されるべきものではなく、広範囲に変化させることが可能である。
製剤実施例中の部は重量部を示す。
製剤実施例1 水和剤
本発明化合物 40部
クレー 48部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 4部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分40%の水和剤を得る。
製剤実施例2 乳剤
本発明化合物 10部
ソルベッソ200 53部
シクロヘキサノン 26部
ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩 1部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 10部
以上を混合溶解すれば、有効成分10%の乳剤を得る。
製剤実施例3 粉剤
本発明化合物 10部
クレー 90部
以上を均一に混合して微細に粉砕すれば、有効成分10%の粉剤を得る。
製剤実施例4 粒剤
本発明化合物 5部
クレー 73部
ベントナイト 20部
ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩 1部
リン酸カリウム 1部
以上をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥して有効成分5%の粒剤を得る。
製剤実施例5 懸濁剤
本発明化合物 10部
ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル 4部
ポリカルボン酸ナトリウム塩 2部
グリセリン 10部
キサンタンガム 0.2部
水 73.8部
以上を混合し、粒度が3ミクロン以下になるまで湿式粉砕すれば、有効成分10%の懸濁剤を得る。
製剤実施例6 顆粒水和剤
本発明化合物 40部
クレー 36部
塩化カリウム 10部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩 1部
リグニンスルホン酸ナトリウム塩 8部
アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩の
ホルムアルデヒド縮合物 5部
以上を均一に混合して微細に粉砕後,適量の水を加えてから練り込んで粘土状にする.粘土状物を造粒した後乾燥すれば、有効成分40%の顆粒水和剤を得る。
【産業上の利用可能性】
次に、本発明化合物が各種植物病害防除剤の有効成分として有用であることを試験例で示す。
試験例1 リンゴ黒星病防除試験
素焼きポットで栽培したリンゴ幼苗(品種「国光」、3〜4葉期)に、本発明化合物の乳剤を有効成分100ppmの濃度で散布した。室温で自然乾燥した後、リンゴ黒星病菌(Venturiainaequalis)の分生胞子を接種し、明暗を12時間毎にくりかえす20℃、高湿度の室内に2週間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた結果、1−14、1−15、1−16、1−17、1−20、1−21、1−22、1−23、1−31、1−44、1−46、1−48、1−50、1−51、1−53、1−57、1−60、1−61、1−62、1−63、1−64、1−65、1−68、1−70、1−71、1−75、1−83、1−85、1−86、1−87、1−88、1−89、1−90、1−91、1−92、1−93、1−94、1−95、1−96、1−97、1−98、1−99、1−100、1−101、1−102、1−103、1−104、1−106、1−107、1−108、1−109、1−110、1−111、1−112、1−114、1−115、1−116、1−119、1−121、1−124、1−125、1−126、1−127、1−129の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
試験例2 インゲン灰色かび病防除試験
育苗バットで栽培したインゲン(品種「ながうずら」)の花を切除し、本発明化合物の乳剤を有効成分100ppmに調製した薬液に浸漬した。浸漬後、風乾し、インゲン灰色かび病菌(Botrytiscinerea)を噴霧接種した。接種した花を無処理のインゲン葉に乗せ、恒温室(20℃)に7日間保持した。葉上の病斑直径を無処理と比較調査し、防除価を求めた。その結果、化合物番号1−15、1−16、1−99、1−119の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
試験例3 コムギうどんこ病防除試験
素焼きポットで栽培したコムギ幼苗(品種「農林61号」、1.0〜1.2葉期)に本発明化合物の水和剤200ppmの濃度で散布した。葉を風乾させた後、コムギうどんこ病菌(Erysiphegraminis f.sp.tritici)の分生胞子を振り払い接種し、22〜25℃の温室で7日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。その結果、化合物番号1−14、1−15、1−16、1−17、1−20、1−21、1−22、1−31、1−44、1−50、1−51、1−53、1−60、1−61、1−62、1−63、1−64、1−65、1−67、1−68、1−70、1−71、1−75、1−83、1−85、1−86、1−87、1−88、1−89、1−90、1−91、1−92、1−93、1−94、1−95、1−96、1−97、1−98、1−99、1−100、1−101、1−102、1−103、1−104、1−106、1−107、1−108、1−109、1−110、1−111、1−112、1−115、1−116、1−119の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
試験例4 トマト疫病防除試験
素焼きポットで栽培したトマト幼苗(品種「レジナ」、4〜5葉期)に、本発明化合物の乳剤を有効成分200ppmの濃度で散布した。散布後、室温で自然乾燥し、トマト疫病菌(Phytophthorainfestans)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、明暗を12時間毎に繰り返す高湿度の恒温室(20℃)に4日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。その結果、化合物番号1−15、1−17、1−20、1−21、1−22、1−31、1−83、1−85、1−92、1−93、1−96、1−97、1−101、1−107、1−108、1−109、1−110、1−112、1−114、1−116、1−119、1−125の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
試験例5 ブドウべと病防除試験
素焼きポットで栽培したブドウ幼苗(品種「甲州」、2葉期)に、本発明化合物の乳剤を有効成分200ppmの濃度で散布した。散布後、室温で自然乾燥し、ブドウべと病菌(Plasmoparaviticola)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、明暗を12時間毎に繰り返す高湿度の恒温室(20℃)に10日間保持した。葉上の病斑出現状態を無処理と比較調査し、防除効果を求めた。その結果、化合物番号1−15、1−17、1−20、1−22、1−33、1−62、1−63、1−64、1−83、1−85、1−92、1−93、1−96、1−107、1−109、1−110、1−116、1−119、1−124、1−12、の化合物が75%以上の優れた防除価を示した。
試験例6 アワヨトウに対する防除試験
前記の製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した。その薬液中にトウモロコシ葉を30秒間浸漬し風乾後、ろ紙を敷いたシャーレに入れ、アワヨトウ2齢幼虫5頭を接種した。ガラス蓋をして、温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、6日後に殺虫率を調べた。2反復である。その結果、化合物番号1−17、1−20、1−21、1−22、1−51、1−64、1−68、1−71、1−83、1−85、1−87、1−88、1−90、1−91、1−109、1−111、1−112、の化合物が100%の殺虫率を示した。対照に用いたクロルジメフォルムの125ppmにおける殺虫率は40%であった。
試験例7 ワタアブラムシに対する効力試験
3寸鉢に播種した発芽10日が経過したキュウリにワタアブラムシ成虫を接種した。1日後に成虫を除去し、産下された若虫が寄生するキュウリに、前記製剤実施例2に示された乳剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、6日後に殺虫率を調査した。試験は2反復である。その結果、化合物番号1−14、1−15、1−16、1−17、1−20、1−21、1−22、1−31、1−33、1−50、1−51、1−53、1−60、1−62、1−63、1−64、1−65、1−68、1−71、1−83、1−86、1−87、1−88、1−89、1−90、1−91、1−92、1−93、1−94、1−95、1−96、1−98、1−99、1−100、1−101、1−102、1−106、1−107、1−108、1−109、1−111、1−112、1−115、1−116、1−119の化合物が100%の殺虫率を示した。なお、対照に用いたピリミカーブは125ppmで6%の殺虫率であった。
試験例8 ナミハダニに対する効力試験
3寸鉢に播種したインゲンの発芽後7〜10日を経過した第1本葉上に、有機リン剤抵抗性のナミハダニ雌成虫を15頭接種したのち、前記製剤実施例1に示された水和剤の処方に従い、化合物濃度が125ppmになるように水で希釈した薬液を散布した。温度25℃、湿度65%の恒温室内に置き、3日後に殺成虫率を調査した。試験は2反復である。その結果、化合物番号1−37、1−44、1−81の化合物が100%の殺成虫率を示した。なお、対照に用いたクロルジメフォルムは125ppmで13%の殺成虫率であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

[式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、Gで置換されてもよいフェニルC1−6アルキル基、またはC1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキル基を表わす。またR、Rとは、一緒になって環を形成してもよい。RはC1−6アルキル基または、C1−6アルコキシ基を表わす。
はハロゲン原子、C1−6アルキル基または、C1−6アルコキシ基を表わす。
Qは、式(2)で表される基、または式(3)で表される基を表す。mは、0または1〜4の整数を表す。

は水素原子、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基または、SiRを表わす。R〜Rはそれぞれ独立して、C1−6アルキル基を表す。Rは水素原子、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C3−8シクロアルキルC1−6アルキル基、C1−ハロアルキル基または、Gで置換されてもよいフェニル基を表わす。Yは水素原子、C1−12アルキル基、C3−6シクロアルキル基、C3−8シクロアルキルC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6ハロアルケニル基、C2−10アルキニル基、Gで置換されてもよいフェニルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいピリジルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいピペリジルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいテトラヒドロピランC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいテトラヒドロフリルC1−6アルキル基、C1−6アルキルカルボニル基、C3−8シクロアルキルカルボニル基、C3−8シクロアルキルカルボニルC1−6アルキル基、Gで置換されてもよいベンゾイル基、またはベンゼン部分がGで置換されてもよいフェニルC1−6アルキルカルボニル基を表わす。
Gはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6ハロアルキル基、C1−6ハロアルコキシ基、水酸基、またはC1−6アルキルC1−6アルコキシ基を表し、これらGは同一または相異なって2個から5個置換してもよい。]
で表されるヒドラジン誘導体またはその塩。
【請求項2】
式(1)

(式中、R、R、R、R、Qおよびmは請求項1と同一の意味を表す。)で表されるヒドラジン誘導体およびこれらを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。
【請求項3】
前記式(1)で表されるヒドラジン誘導体およびこれらを有効成分として含有する殺虫剤。
【請求項4】
式(4)

(式中、R、R、R、R、R、およびmは請求項1と同一の意味を表す。ただしRがトリフルオロメチル基の場合には、mは1〜4の整数を表す。)で表される化合物。

【国際公開番号】WO2004/037770
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【発行日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546437(P2004−546437)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013467
【国際出願日】平成15年10月22日(2003.10.22)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】