説明

ヒドロキサム酸系の選択的MMP−12およびMMP−13阻害剤

本発明は、式(I):


の化合物を提供し、該化合物はMMP−12および/またはMMP−13の阻害剤であり、それ故に、MMP−12および/またはMMP−13の異常活性により特徴付けられる障害または疾患の処置に用いることができる。従って、式(I)の化合物を、MMP−12および/またはMMP−13が仲介する障害または疾患の処置に使用できる。最後に、本発明はまた、式(I)の化合物を含む医薬組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスルホニルアミノヒドロキサム酸誘導体およびそれらの製造方法、該化合物を含む医薬組成物、かかる化合物を使用した哺乳動物におけるマトリックス分解メタロプロテイナーゼ、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ12および13(MMP−12およびMMP−13)の阻害方法および医薬としてのこれらの誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリックスメタロプロテイナーゼ類(MMP)は、種々の生理学的および病的条件下での細胞外マトリックス(ECM)破壊およびリモデリングに関与するプロテイナーゼ類である。20種を超えるメンバーを含むマトリックスメタロプロテイナーゼ類(MMP)は、活性部位でZn2+を使用して、ECMの加水分解を触媒する。その基質特異性に基づき、それらはサブファミリー:コラゲナーゼ、ストロメライシン類およびゼラチナーゼに広く分類できる。
【0003】
正常な生理学的条件下で、これらの酵素は、創傷治癒および組織リモデリングを含む多くの重要な機能を発揮する。しかしながら、これらの酵素が過剰発現されたとき、ECMを過剰に分解し、疾患状態を引き起こし得る。例えば、MMP−2およびMMP−9(両方ともゼラチナーゼ)は、多くの臓器の炎症疾患、感染疾患および新生物疾患の病因に含まれると考えられる。コラゲナーゼ−2や好中球コラゲナーゼとしても既知のMMP−8の過剰な活性は、肺気腫および骨関節症のような疾患と関与する。マクロファージエラスターゼやメタロエラスターゼとしても既知のMMP−12の過剰は発現は、腫瘍侵襲、関節炎、アテローム性動脈硬化症、アルポート症候群、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に重要な役割を有する。MMP−1およびMMP−13はコラーゲンのタンパク質分解と関与する。コラーゲンの過剰な分解は、骨関節症を含む種々の疾患の発症と関連する。
【0004】
骨関節症は、II型コラーゲンの過剰な分解と関連する。初期の研究は、コラゲナーゼ−1(MMP−1)がII型コラーゲンを特異的に分解し、特徴的3/4および1/4フラグメントを産生できるため、MMP−1がかかる状態を担い得ることを示唆した。後の研究は、コラゲナーゼ−3(MMP−13)が骨関節症の発症により重要であり得ることを示した。MMP−13もまたII型コラーゲンを分解して特徴的3/4および1/4フラグメントを産生でき、MMP−1より10倍速くそれを行う。加えて、MMP−13は骨関節炎軟骨に発現することが判明している。これらの観察は、MMP−13活性が骨関節症および軟骨コラーゲン分解と関連する他の疾患の進行の重要な寄与因子であり得ることを示唆する。例えば、P.G. Mitchell et al., “Cloning, expression, and type II collagenolytic activity of matrix metalloproteinase-13 from human osteoarthritic cartilage,” J Clin Invest. 1996 February 1; 97(3): 761−768。従って、MMP−13は、過剰なII型コラーゲン分解が関与する疾患の管理における治療的介入のための魅力的な標的である。
【0005】
多くのMMP阻害剤が当分野で既知である。例えば、発行されたKottirsch et al. の米国特許6,500,983は、MMP阻害剤としてのヒドロキサム酸誘導体を開示している。発行されたKukkola et al. の米国特許6,277,987および6,410,580は、MMP阻害剤としてのスルホニルアミノ酸およびスルホニルアミノヒドロキサム酸誘導体を開示する。これらの阻害剤のヒドロキサム酸部分は活性部位Zn2+に結合して、酵素活性を阻害する。これらの特許は本願の譲受人に譲渡されており、その全体を参照により本明細書に包含する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行文献のMMP阻害剤は標的酵素の阻害には一般的に有効であるが、MMP間の高度の相同性のために、選択性を達成するのがむしろ困難である。MMPは正常生理学的条件下で重要な機能を司るため、何らかの疾患の原因となるMMPを阻害するための治療設計は好ましくは選択的である。例えば、骨関節症の予防または処置に使用するための阻害剤は、好ましくはMMP−13に対して他のMMP(例えば、MMP−2またはMMP−9)を超える実質的選択性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、疾患の発症に関与するMMP、例えばMMP−13およびMMP−12に選択的である阻害剤を提供する。
【0008】
一つの面において、阻害剤は式(I):
【化1】

〔式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル−、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりアリール−アルコキシ−、ヒドロキシ、アルコキシ、HS−、アルキル−S−、アルキル−O−(O)C−、シアノ、アルキル−SO−またはアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ−アルキル−、アリール−アルキル−、ヘテロアリール−アルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキルであり、これらの各々は場合によりHS−、ハロ、アルコキシ、アルキルまたはジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
Xは水素、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
YはR−NH−であり、ここでRは水素、アルキル、アルキル−C(O)−またはアリールであるか;または
Yはアルコキシ、アルキル、水素、ヒドロキシル、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルコキシ−であり;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を含み得る。
【0009】
好ましくは、本発明は、Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(4−7員)ヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりヒドロキシ、HS−、(C−C)アルキル−S−、(C−C10)アリールまたは(C−C)アルキル−O−C(O)−から選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−、(5−9員)ヘテロアリール−(C−C)アルキル−または(C−C10)アリールオキシ−(C−C)アルキル−であり;Xが水素、ヒドロキシまたは(C−C)アルコキシであり;Yが水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−であるか;またはRおよびRが、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する式(I)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0010】
より好ましくは、本発明は、Rが(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニルであり;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり;YがH、HN−、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−NH−であり;XがH、HO−または(C−C)アルコキシである式(I)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0011】
他の面において、阻害剤は式(II)
【化2】

〔式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル−、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりアリール−アルコキシ−、ヒドロキシ、アルコキシ、HS−、アルキル−S−、アルキル−O−(O)C−、シアノ、アルキル−SO−またはアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ−アルキル−、アリール−アルキル−、ヘテロアリール−アルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキルであり、これらの各々は場合によりHS−、ハロ、アルコキシ、アルキルまたはジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
Xは水素、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
YはR−NH−であり、ここで、Rは水素、アルキル、アルキル−C(O)−またはアリールであるか;または
Yはアルコキシ、アルキル、水素、ヒドロキシル、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルコキシ−であり;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を含み得る。
【0012】
好ましくは、本発明は、Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(4−7員)ヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりヒドロキシ、HS−、(C−C)アルキル−S−、(C−C10)アリールまたは(C−C)アルキル−O−C(O)−から選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−、(5−9員)ヘテロアリール−(C−C)アルキル−または(C−C10)アリールオキシ−(C−C)アルキル−であり;Xが水素、ヒドロキシまたは(C−C)アルコキシであり;Yが水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−であるか;またはRおよびRが、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する式(I)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0013】
より好ましくは、本発明は、Rが(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニルであり;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり;YがH、HN−、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−NH−であり;XがH、HO−または(C−C)アルコキシである式(I)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0014】
他の面において、阻害剤は、式(IIA)
【化3】

〔式中、
はアルキルであり、Rはアルキルまたはアリール−アルキル−であり、Aはアリール−NH−、HN−、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルキル−O−である。〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を含み得る。
【0015】
好ましくは本発明は、Rが(C−C)アルキルであり、Rが(C−C)アルキル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり、Aが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−または(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−O−である式(IIA)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0016】
他の面において、阻害剤は、式(III)
【化4】

〔式中、
およびZは独立してCまたはNであり;
およびRは独立して水素、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を含み得る。
【0017】
好ましくは、本発明は、ZがNであり、ZがCであり、RおよびRが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルまたは(C−C)アルキニルであるか;またはRおよびRが、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する式(III)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0018】
また好ましくは、本発明は、ZがCであり、ZがNであり、RおよびRが独立して(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルまたは(C−C)アルキニルであるか;またはRおよびRが、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する式(III)の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物を提供する。
【0019】
本発明は、式(I)の化合物、かかる化合物を用いる医薬組成物およびかかる化合物の使用方法を提供する。
【0020】
本明細書を解釈する目的で、次の定義を適用し、適当である限り、単数表現はまた複数表現も含み、その逆も同じである。
【0021】
ここで使用する用語“アルキル”は、分枝または非分枝炭化水素部分を意味する。好ましくはアルキルは1〜20個の炭素原子、より好ましくは1〜16個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜7個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を含む。アルキルの代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどを含み、これらに限定されない。アルキル基が1個以上の不飽和結合を含むとき、それはアルケニル(二重結合)基またはアルキニル(三重結合)基と呼んでよい。さらに、アルキル基がアリール基(以下に定義)と結合しているとき、それは“アリールアルキル”基と読んでよい。
【0022】
用語“アリール”は、環部分に6〜20個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基を意味する。好ましくは、アリールは(C−C10)アリールである。非限定的例は、フェニル、ビフェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルを含み、この各々は場合により1〜4個の置換基、例えば場合により置換されていてよいアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アルキル−C(O)−O−、アリール−O−、ヘテロアリール−O−、場合により置換されていてよいアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキル−O−C(O)−、カルバモイル、アルキルチオノ、スルホニル、スルホンアミド、ヘテロシクロアルキルなどで置換されていてよい。
【0023】
さらに、ここで使用する用語“アリール”は、単芳香環または互いに縮合した、共有結合で結合したまたはメチレンまたはエチレン部分のような共通の基に連結した多芳香環であり得る芳香族置換基を意味する。共通する架橋基はベンゾフェノンにおけるようなカルボニルまたはジフェニルエーテルにおけるような酸素またはジフェニルアミンにおけるような窒素であり得る。
【0024】
ここで使用する用語“カルバモイル”は、HNC(O)−、アルキル−NHC(O)−、(アルキル)NC(O)−、アリール−NHC(O)−、アルキル(アリール)−NC(O)−、ヘテロアリール−NHC(O)−、アルキル(ヘテロアリール)−NC(O)−、アリール−アルキル−NHC(O)−、アルキル(アリール−アルキル)−NC(O)−などを意味する。
【0025】
ここで使用する用語“スルホンアミド”は、アルキル−S(O)−NH−、アリール−S(O)−NH−、アリール−アルキル−S(O)−NH−、ヘテロアリール−S(O)−NH−、ヘテロアリール−アルキル−S(O)−NH−、アルキル−S(O)−N(アルキル)−、アリール−S(O)−N(アルキル)−、アリール−アルキル−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアリール−S(O)−N(アルキル)−、ヘテロアリール−アルキル−S(O)−N(アルキル)−などを意味する。
【0026】
ここで使用する用語“ヘテロシクロアルキル”または“ヘテロシクロ”は、場合により置換されていてよい、完全に飽和されたまたは不飽和の、芳香族または非芳香族環基、例えば、4−7員単環式、7−12員二環式または10−15員三環式環系であり、少なくとも1個の炭素原子含有環に少なくとも1個のヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含むヘテロ環基の各環は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子を有してよく、窒素および硫黄ヘテロ原子はまた場合により酸化されていてよい。ヘテロ環基はヘテロ原子または炭素原子を介して結合し得る。
【0027】
単環式ヘテロ環基の例は、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、1,1,4−トリオキソ−1,2,5−チアジアゾリジン−2−イルなどを含む。
【0028】
二環式ヘテロ環基の例は、インドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドーリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えばフロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,2−b]−ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソインドール−2−イル、ジヒドロキナゾリニル(例えば3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、フタラジニルなどを含む。
【0029】
三環式ヘテロ環基の例は、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニルなどを含む。
【0030】
用語“ヘテロシクロアルキル”は、さらに、次のものから成る群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されているヘテロ環基を意味する:
(a)アルキル;
(b)ヒドロキシ(または保護されたヒドロキシ);
(c)ハロ;
(d)オキソ、すなわち、=O;
(e)アミノ(NH)、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ;
(f)アルコキシ;
(g)シクロアルキル;
(h)カルボキシ;
(i)ヘテロシクロオキシ(ここで、ヘテロシクロオキシは酸素架橋を介して結合するヘテロ環基を意味する);
(j)アルキル−O−C(O)−;
(k)メルカプト;
(l)ニトロ;
(m)シアノ;
(n)スルファモイルまたはスルホンアミド;
(o)アリール;
(p)アルキル−C(O)−O−;
(q)アリール−C(O)−O−;
(r)アリール−S−;
(s)アリールオキシ;
(t)アルキル−S−;
(u)ホルミル、すなわち、HC(O)−;
(v)カルバモイル;
(w)アリール−アルキル−;および
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル−C(O)−NH−、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロゲンで置換されたアリール。
【0031】
ここで使用する用語“スルホニル”は、R−SO−(式中、Rは水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−アルキル、ヘテロアリール−アルキル、アリール−O−、ヘテロアリール−O−、アルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである)を意味する。
【0032】
ここで使用する用語“アルコキシ”はアルキル−O−を意味し、ここで、アルキルは上で定義した通りである。アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロプロピルオキシ−、シクロヘキシルオキシ−などを含み、これらに限定されない。ここで使用する用語“低級アルコキシ”は、1〜7個の炭素および好ましくは1〜4個の炭素を有するアルコキシ基を意味する。
【0033】
ここで使用する用語“アシル”は、基R−C(O)−(式中、Rは直線状、分枝状または環状配置またはこれらの組合せの1〜10個の炭素原子を有する)を意味し、カルボニル官能基を介して親分子に結合している。かかる基は、飽和でも不飽和でも、脂肪族でも芳香族でもよい。好ましくは、アシル基のRは、アルキルまたはアルコキシまたはアリールまたはヘテロアリールである。また好ましくは、親への結合点がカルボニルのままである限り、アシル基の1個以上の炭素が、窒素、酸素または硫黄で置き換わってよい。例はアセチル、ベンゾイル、プロピオニル、イソブチリル、t−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどを含み、これらに限定されない。低級アシルは、1〜4個の炭素を含むアシルを意味する。
【0034】
ここで使用する用語“シクロアルキルは、3〜12個の炭素原子、好ましくは3〜7個の炭素原子の、場合により置換されていてよい飽和または不飽和の単環式、二環式または三環式炭化水素基を意味し、その各々は1個以上の置換基、例えばアルキル、ハロ、オキソ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル−C(O)−、アシルアミノ、カルバモイル、アルキル−NH−、(アルキル)N−、チオール、アルキルチオ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルキル−O−C(O)−、スルホニル、スルホンアミド、スルファモイル、ヘテロシクロアルキルなどで置換されていてよい。単環式炭化水素基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルなどを含み、これらに限定されない。二環式炭化水素基の例は、ボロニル、インジル、ヘキサヒドロインジル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプテニル、6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどを含む。三環式炭化水素基の例は、アダマンチルなどを含む。
【0035】
ここで使用する用語“スルファモイル”は、HNS(O)−、アルキル−NHS(O)−、(アルキル)NS(O)−、アリール−NHS(O)−、アルキル(アリール)−NS(O)−、(アリール)NS(O)−、ヘテロアリール−NHS(O)−、アラルキル−NHS(O)−、ヘテロアラルキル−NHS(O)−などを意味する。
【0036】
ここで使用する用語“アリールオキシ”は、−O−アリールおよび−O−ヘテロアリール基の両方を意味し、ここでアリールおよびヘテロアリールはここで定義する。
【0037】
ここで使用する用語“アシルアミノ”は、基−NRC(O)R’(式中、RおよびR’の各々は独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、RおよびR’基の両方が場合により一緒になってヘテロ環基(例えば、モルホリノ)を形成してよく、ここでアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルはここで定義する通りである)を意味する。
【0038】
ここで使用する用語“ヘテロアリール”は、N、OまたはSから選択される1〜8個のヘテロ原子を有する5〜14員単環式または二環式または縮合多環式環系を意味する。好ましくは、ヘテロアリールは5〜10員環系である。典型的ヘテロアリール基は2−または3−チエニル、2−または3−フリル、2−または3−ピロリル、2−、4−または5−イミダゾリル、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、3−または5−1,2,4−トリアゾリル、4−または5−1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、2−、3−または4−ピリジル、3−または4−ピリダジニル、3−、4−または5−ピラジニル、2−ピラジニル、2−、4−または5−ピリミジニルを含む。
【0039】
用語“ヘテロアリール”はまた、ヘテロ芳香環が1個以上のアリール、シクロ脂肪族またはヘテロシクロアルキル環に縮合しており、結合する基または点がヘテロ芳香環である基も意味する。非限定的例は、1−、2−、3−、5−、6−、7−または8−インドーリジニル、1−、3−、4−、5−、6−または7−イソインドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、2−、4−、5−、6−、7−または8−プリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−または9−キノリジニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル(quinoliyl)、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル(quinoliyl)、1−、4−、5−、6−、7−または8−フタラジニル、2−、3−、4−、5−または6−ナフチリジニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、6−または7−プテリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−4aHカルバゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−カルバゾリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−カルボリニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェナントリジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−アクリジニル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−または9−ペリミジニル、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−または10−フェナントロリニル(phenathrolinyl)、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−または9−フェナジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェノチアジニル、1−、2−、3−、4−、6−、7−、8−、9−または10−フェノキサジニル、2−、3−、4−、5−、6−または1−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−ベンズイソキノリニル、2−、3−、4−またはチエノ[2,3−b]フラニル、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−または11−7H−ピラジノ[2,3−c]カルバゾリル,2−、3−、5−、6−または7−2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、2−、3−、4−、5−、7−または8−5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1−、3−または5−1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、2−、4−または54H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、3−、5−または8−ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、2−、3−、5−または6−イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、1−、3−、6−、7−、8−または9−フロ[3,4−c]シンノリニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、8−、9−、10または11−4H−ピリド[2,3−c]カルバゾリル、2−、3−、6−または7−イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニル、7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、1−、2−、4−、5−、6−、7−、8−または9−ベンズオキサピニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−ベンゾオキサジニル、1−、2−、3−、5−、6−、7−、8−、9−、10−または11−1H−ピロロ[1,2−b][2]ベンズアザピニルを含み、これらに限定されない。典型的縮合ヘテロアリール(ary)基は2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリニル、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾ[b]チエニル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾイミダゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリルを含み、これらに限定されない。
【0040】
ヘテロアリール基は単、二、三または多環式、好ましくは単、二または三環式、より好ましくは単または二環式であり得る。
【0041】
ここで使用する用語“アシルアミノ”は基−NRC(O)R’(式中、RおよびR’の各々は独立して水素、アルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、RおよびR’基の両方が場合により一緒になってヘテロ環基(例えば、モルホリノ)を形成してよく、ここでアルキル、アリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルはここで定義する通りである)を意味する。
【0042】
ここで使用する用語“ハロ”はフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0043】
ここで使用する用語“異性体”は、同じ分子式を有する異なる化合物を意味する。またここで使用する用語“光学異性体”は、ある本発明の化合物について存在し得る種々の立体異性配置の全てを意味し、幾何異性体を含む。置換基はキラル中心の炭素原子に結合し得ることは理解すべきである。それ故、本発明は本化合物の鏡像体、ジアステレオマーまたはラセミ体を包含する。“鏡像体”は、互いに重なり合わない鏡像の立体異性体の対である。鏡像体対の1:1混合物は“ラセミ”混合物である。本用語は、適切である場合ラセミ混合物を意味するために使用する。“ジアステレオ異性体”は、少なくとも2個の不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学はカーン・インゴルド・プレローグR−Sシステムに従い特定する。化合物が純粋な鏡像体であるとき、各キラル炭素での立体化学はRまたはSのいずれかとして特定できる。絶対配置が未知である分割した化合物は、ナトリウムD線波長の平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)によって(+)または(−)と特定し得る。ある種のここに記載する化合物は1個以上の不斉中心を有し、鏡像体、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点から(R)−または(S)として決定し得る他の立体異性を生じ得る。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋なおよび中間的な混合物を含む、全ての可能なかかる異性体を包含することを意味する。光学活性(R)−および(S)−異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して製造してよく、または、慣用法を使用して分割し得る。本化合物が二重結合を含むならば、置換基はEまたはZ配置であり得る。本化合物が二置換シクロアルキルを含むならば、該シクロアルキル置換基はcis−またはtrans−配置を有し得る。全ての互変異性形態も包含させること意図する。
【0044】
ここで使用する用語“薬学的に許容される塩”は、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を意味する。多くの場合、本発明の化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれに類する基(例えば、フェノールまたはヒドロキサム酸)の存在により酸および/または塩基塩を形成できる。薬学的に許容される酸付加塩は無機酸および有機酸と形成できる。塩をもたらし得る無機酸は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などを含む。塩をもたらし得る有機酸は、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩基付加塩は無機および有機塩基から形成できる。塩をもたらし得る無機塩基は、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含み;特に好ましいのはアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩である。塩をもたらし得る有機塩基は一級、二級、および三級アミン類、例えば、天然に存在する置換アミン類、環状アミン類、塩基性イオン交換樹脂などを含む、置換アミン類、特に例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンを含む。本発明の薬学的に許容される塩は、親化合物、塩基性または酸性部分から慣用の化学法により合成できる。一般に、かかる塩は、これらの化合物の酸形態と化学量論量の適当な塩基(例えばNa、Ca、MgまたはK水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩など)を反応させることにより、または遊離塩基形態のこれらの化合物と化学量論量の適当な酸を反応させることにより、製造できる。かかる反応は、典型的に水または有機溶媒中、またはこれら2種の混合物中で行う。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルのような非水性媒体が、実際的であるならば、好ましい。適当な塩のさらなる一覧は、例えば、本明細書に引用により包含させる、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.(1985)に見ることができる。
【0045】
本発明は、(1)1個以上の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量または質量数が通常天然で見られる原子質量または質量数と異なる原子で置換されている、および/または(2)1個以上の原子の同位体比が天然に存在する非と異なる、全ての薬学的に許容される同位体標識された本発明の化合物、すなわち本発明の薬剤を含む。
【0046】
本発明の化合物に包含させるのに適切な同位体の例は、水素の同位体、例えばHおよびH、炭素の同位体、例えば11C、13Cおよび14C、塩素の同位体、例えば36Cl、フッ素の同位体、例えば18F、ヨウ素の同位体、例えば123Iおよび125I、窒素の同位体、例えば13Nおよび15N、酸素の同位体、例えば15O、17Oおよび18O、リンの同位体、例えば32P、および硫黄の同位体、例えば35Sを含む。
【0047】
ある種の同位体標識された本発明の薬剤、例えば、放射性同位体を含むものは、薬物および/または基質組織分布試験に有用である。放射性同位体である重水素、すなわちH、および炭素−14、すなわち14Cが、それらの取り込みの容易さおよび手近な検出の手段により、特に有用である。
【0048】
重水素、すなわちHのようなより重い同位体への置換は、大きな代謝安定性に由来する治療的利点、例えば、インビボ半減期延長または必要投与量減少を提供し得て、それ故にある状況下では好ましいことがある。
【0049】
陽電子放出同位体、例えば11C、18F、15Oおよび13Nへの置換は、基質受容体占拠を試験するための、陽電子放出断層撮影(Positron Emission Topography)(PET)試験に有用であり得る。
【0050】
同位体標識した本発明の薬剤は、一般に当業者に既知の慣用法により、または添付する実施例および製造法により、先に用いた標識されていない試薬に代えて適当な同位体標識された試薬を用いることにより製造できる。
【0051】
ここで使用する用語“薬学的に許容される担体”は、当業者には既知の、任意のおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張性剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬剤、薬剤安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような物質およびこれらの組合せを含む(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. Mack Printing Company, 1990, pp. 1289 - 1329参照)。全ての慣用の担体が、活性成分と不適合である場合を除いて、その治療または医薬組成物への使用が意図される。
【0052】
本発明の化合物の“治療有効量”なる用語は、対象に生物学的または医学的応答を引き起こす、または症状を軽減し、疾患進行を減速または遅延し、または疾患を予防するなどの量の本発明の化合物を意味する。好ましい態様において、“有効量”は、MMP−13または他の選択したMMPの発現または活性を阻害または減少させる量を意味する。
【0053】
ここで使用する用語“対象”は動物を意味する。好ましくは、動物は哺乳動物である。対象はまた例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、鳥なども意味する。好ましい態様において、対象はヒトである。
【0054】
ここで使用する用語“障害”または“疾患”は、機能の何らかの混乱または異常;病的肉体的または精神的状態を意味する。Dorland's Illustrated Medical Dictionary(W.B. Saunders Co. 27th ed. 1988)参照。
【0055】
ここで使用する用語“阻害”または“阻害する”は、ある状態、症状または疾患の減少または抑制、または生物学的活性または過程のベースライン活性の顕著な減少を意味する。好ましくは、該状態はMMP−13と関連するまたはそれが仲介し、例えば骨関節症である。
【0056】
ここで使用する何らかの疾患または障害の“処置”または“処置する”なる用語は、一つの態様において、疾患または障害の軽減を意味する(すなわち、疾患のまたは少なくともその臨床症状の1個の発生の阻止または減少)。他の態様において、“処置”または“処置する”は、患者によって認識されないかもしれない、少なくとも1個の肉体的パラメータの減少を意味する。さらに別の態様において、“処置”または“処置する”は、疾患または障害を、肉体的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、肉体的パラメータの安定化)のいずれかで、またはその両方で調節することを意味する。さらに別の態様において、“処置”または“処置する”は、疾患または障害の発生または発症または進行を予防または遅延することを意味する。
【0057】
ここで使用する単数表現および本発明の文脈(特に特許請求の範囲の文脈)で使用される類似の表現は、ここで特に断らない限り、または文脈から明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈すべきである。ここに記載する値の範囲の引用は、単にその範囲内に入る各個々の値を個々に述べるための省略法として提供することを意図する。ここで特に断らない限り、各個々の値は、個々に記載されているかのように本明細書に包含される。ここに記載する全ての方法は、ここで特に断らない限りまたは文脈から明らかに矛盾しない限り、任意の適当な順番で実施できる。ここに提供する任意のおよび全ての例または例示的用語(例えば“のような”)は単に本発明のよりよい説明を意図し、他に請求しない限り、本発明の範囲を限定する主張ではない。本明細書のいかなる用語も、本発明の実施に必須の何らかの請求していない要素を示すと解釈すべきではない。
【0058】
本発明の化合物のいずれの不斉炭素原子も(R)−、(S)−または(R,S)−配置、好ましくは(R)−または(S)−配置で存在できる。不飽和結合を有する原子での置換基は、可能であれば、cis−(Z)−またはtrans−(E)−形態で存在し得る。それ故、本発明の化合物可能性のある異性体の一つまたはそれらの混合物の形態、例えば、実質的に純粋な幾何(cisまたはtrans)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(アンチポード)、ラセミ体またはそれらの混合物としての形態であり得る。
【0059】
得られる異性体混合物はいずれも構成要素の物理化学的差異に基づき、例えば、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶により、純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ体に分割できる。
【0060】
最終生成物または中間体の得られるラセミ体は、いずれも既知方法により、例えば、光学活性酸または塩基により得たそのジアステレオマー塩の分離と、光学活性酸または塩基性化合物の遊離により、光学アンチポードに分割できる。特に、ヒドロキサミドまたはスルホンアミド部分は、例えば、光学活性共リガンド、例えば、L−またはD−ヒスチジンと形成した金属(例えば、Zn2+)複合体の分別結晶により、このようにして本発明の化合物のその光学アンチポードへの分割に用いることができる。ラセミ生成物もまたキラルクロマトグラフィー、例えば、キラル吸着剤を使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分割できる。
【0061】
最後に、本発明の化合物は遊離形で、その塩としてまたはそのプロドラッグ誘導体として得られる。
【0062】
本発明の化合物に塩基性基が存在するとき(例えば置換基に)、その化合物を、その酸付加塩、好ましくはその薬学的に許容される塩に変換できる。これらは、無機酸または有機酸と形成され得る。適当な無機酸は、塩酸、硫酸、リン酸またはハロゲン化水素酸を含み、これらに限定されない。適当な有機酸はカルボン酸、例えば(C−C)アルカンカルボン酸(これは、例えば、非置換であるか、またはハロゲンで置換されている)、例えば、酢酸、例えば飽和または不飽和ジカルボン酸、例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸またはフマル酸、例えばヒドロキシカルボン酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸またはクエン酸、例えばアミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸、有機スルホン酸、例えば(C−C)アルキルスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸;またはアリールスルホン酸(これは、非置換であるか、または、例えば、ハロゲンで置換されている)を含み、これらに限定されない。好ましいのは塩酸、メタンスルホン酸およびマレイン酸と形成された塩である。
【0063】
酸性基が本発明の化合物に存在するとき、その化合物を薬学的に許容される塩基との塩に変換できる。かかる塩はアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、リチウム塩およびカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩;有機塩基とのアンモニウム塩、例えば、トリメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩およびN−メチル−D−グルカミン塩;アミノ酸、例えばアルギニン、リシンなどとの塩を含む。塩は慣用法を使用して、有利にエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノール存在下に形成させてよい。後者の溶液から、塩をジエチルエーテル類、例えば、ジエチルエーテルで沈殿させ得る。得られた塩を、酸での処理により遊離化合物に変換し得る。これらのまたは他の塩はまた得られた化合物の精製にも使用できる。
【0064】
塩基性基と酸基の両方が同じ分子内に存在するとき、本発明の化合物はまた分子内塩も形成できる。
【0065】
本発明はまたインビボで本発明の化合物に変換し、本発明の化合物のプロドラッグも提供する。プロドラッグは、対象への該プロドラッグの投与後にインビボ反応、例えば加水分解、代謝などを介して本発明の化合物への修飾される、活性または不活性の化合物である。プロドラッグの製造および使用に関する適格性および技術は当業者には既知である。プロドラッグは、概念的にバイオプレカーサープロドラッグと担体プロドラッグという二つの非排他的カテゴリーに分けることができる。The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32 (Ed. Wermuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001)参照。一般に、バイオプレカーサープロドラッグは、対応する活性医薬化合物と比較して不活性であるか低活性であり、1個以上の保護基を含み、そして代謝または加溶媒分解により活性形態に変換される化合物である。活性医薬形態および遊離された代謝産物のいずれも許容される低毒性でなければならない。典型的に、活性医薬化合物の形成は、以下のタイプの一つである代謝工程または反応を含む:
1. 酸化的反応、例えばアルコール、カルボニル、および酸官能基の酸化、脂肪族炭素のヒドロキシル化、脂環式炭素原子のヒドロキシル化、芳香族炭素原子の酸化、炭素−炭素二重結合の酸化、窒素含有官能基の酸化、珪素、リン、ヒ素、および硫黄の酸化、酸化的N−脱アルキル化(delakylation)、酸化的O−およびS−脱アルキル化(delakylation)、酸化的脱アミノ化、ならびに他の酸化的反応。
2. 還元的反応、例えばカルボニル基の還元、アルコール基および炭素−炭素二重結合の還元、窒素含有官能基の還元、および他の還元反応。
3. 酸化状態の変化がない反応、例えばエステル類およびエーテル類の加水分解、炭素−窒素一重結合の加水分解的開裂、非芳香族ヘテロ環の加水分解的開裂、多重結合での水和および脱水和、脱水和反応から得られた新規原子結合、加水分解的脱ハロゲン化、水素ハライド分子の除去、および他のかかる反応。
【0066】
担体プロドラッグは、例えば、作用部位への取り込みおよび/または送達を改善する輸送部分を含む、医薬化合物である。かかる担体プロドラッグに望ましいのは、医薬部分と輸送部分の間の架橋が共有結合であり、プロドラッグが不活性であるかまたは医薬化合物より低い活性であり、そして全ての遊離された輸送部分が許容される非毒性であることである。輸送部分が取り込みを促進することを意図するプロドラッグについては、典型的に該輸送部分の遊離は速くなければならない。他の場合、遅延放出を提供する部分、例えば、ある種の重合体または他の部分、例えばシクロデキストリン類の使用が望まれる。本明細書に引用により包含し、Cheng et al.、US20040077595(出願番号10/656,838)参照。かかる担体プロドラッグは、経口投与医薬のためにしばしば有利である。担体プロドラッグは、例えば、下記特性の1個以上を改善するために使用できる:親油性上昇、薬理作用期間延長、部位特性増加、毒性および有害応答減少、および/または医薬の製剤の改善(例えば、安定性、水溶解性、望まない感覚刺激性または物理化学的特性の抑制)。例えば、親油性は、ヒドロキシル基の親油性カルボン酸での、またはカルボン酸基のアルコール類、例えば、脂肪族アルコール類でのエステル化により上昇させ得る。Wermuth, The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32, Ed. Werriuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001。
【0067】
プロドラッグの例は、例えば、遊離カルボン酸のエステル類およびチオール類、アルコール類またはフェノール類のS−アシルおよびO−アシル誘導体である(ここで、アシルはここで定義した意味を有する)。好ましいのは、生理学的条件下の加溶媒分解により親カルボン酸に変換可能な薬学的に許容されるエステル誘導体、例えば、当分野で慣用的に使用される低級アルキルエステル類、シクロアルキルエステル類、低級アルケニルエステル類、ベンジルエステル類、一または二置換低級アルキルエステル類、例えばω−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル類、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル類、例えばピバロイルオキシメチルエステルなどである。加えて、アミン類は、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスクでき、これはエステラーゼ類によりインビボで開裂され、遊離薬剤とホルムアルデヒドを遊離する(Bundgaard, J. Med. Chem. 2503 (1989))。さらに、酸性NH基、例えばイミダゾール、イミド、インドールなどを含む医薬は、N−アシルオキシメチル基でマスクできる(Bundgaard, Design of Prodrugs, Elsevier (1985))。ヒドロキシ基はエステル類およびエーテル類としてマスクされている。EP039,051(SloanおよびLittle)は、マンニッヒ塩基のヒドロキサム酸プロドラッグ、その製造および使用を開示する。
【0068】
本化合物、その塩およびプロドラッグの形の本化合物の間の密接な関係の点から、本発明の化合物に関する何らかの言及は、適切であり、かつ好都合である限り、対応する本発明の化合物のプロドラッグも言及すると理解すべきである。
【0069】
さらに、本発明の化合物は、その塩も含み、その水和物の形で、または結晶化に使用した他の溶媒を含で得ることができる。
【0070】
本発明の化合物は価値ある薬理学的特性を有し、それらは、マトリックスメタロプロテイナーゼ類、例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ13(MMP−13)またはMMP−12の阻害剤として有用である。マクロファージエラスターゼまたはメタロエラスターゼとしても知られるMMP12は、細胞外マトリックス成分、例えばエラスチンの分解ができ、組織リモデリング過程に含まれる。MMP−12は、腫瘍侵襲(invasineness)、関節炎、アテローム性動脈硬化症、アルポート症候群、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病理発生(pathologenesis)における鍵となるタンパク質であるとして示されている。コラゲナーゼ3としても既知のMMP−13は、(1)特に侵襲性乳癌病変でおよび皮膚発癌における悪性上皮正常で見られる通りの転移と関連する細胞外マトリックス分解および細胞−マトリックス相互作用;および(2)一次骨形成および骨格リモデリング(M. Stahle-Backdahl et al., (1997) Lab. Invest. 76 (5) : 717-728; N. Johansson et al., (1997) Dev. Dyn. 208(3): 387-397)、破壊的関節疾患、例えばリウマチ様および骨関節炎(D. Wernicke et al., (1996) J. Rheumatol. 23: 590-595; P. G. Mitchell et al., (1996) J. Clin. Invest. 97(3): 761-768; O. Lindy et al., (1997) Arthritis Rheum 40(8: 1391-1399);および人工股関節置換の敗血症性の緩み(S. Imai et al., (1998) J. Bone Joint Surg. Br. 80(4): 701- 710)の間に示される。MMP13はまた、慢性的に炎症を起こした粘膜ヒト歯肉組織の上皮に局在化しているため慢性成人歯周炎に(V. J. Uitto et al., (1998) Am. J. Pathol 152(6): 1489-1499)および慢性創傷のコラーゲン性マトリックスのリモデリングに(M. Vaalamo et al., (1997) J. Invest. Dermatol. 109(1): 96-101)関与する。
【0071】
ある態様において、本発明の化合物のいくつかは、MMP−2よりも選択的MMP−13阻害剤である。選択的MMP−13阻害剤は、MMP−13に対する阻害活性が、MMP−2の少なくとも2倍または5倍または10倍または20倍または50倍以上の化合物を言う。ここで使用する選択的MMP−13阻害剤はまた遊離形または薬学的に許容される塩、プロドラッグのような保持体または本化合物の代謝物も包含する。
【0072】
従って、本発明の化合物はまた、MMP−13またはMMP−12が仲介する障害または疾患の処置にも有用である。特に、本発明の化合物は、アルポート症候群、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎(例えばリウマチ性関節炎および骨関節症)、癌侵襲および転移、組織破壊が関与する疾患、股関節置換の緩み、歯周病から選択される少なくとも1個の障害または疾患の処置に有用である。
【0073】
さらに、本発明は以下のものを提供する:
− 医薬として使用するための本発明の化合物;
− MMP−12、および/またはMMP−13が仲介する障害または疾患の進行遅延および/または処置用医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用;
− アルポート症候群、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎(例えばリウマチ性関節炎および骨関節症)、癌侵襲および転移、組織破壊が関与する疾患、股関節置換の緩み、歯周病から選択される障害または疾患の進行遅延および/または処置用医薬組成物の製造のための本発明の化合物の使用。
【0074】
他の面において、本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、特定の投与経路、例えば経口投与、非経腸投与、および直腸投与などのために製剤できる。加えて、本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸薬、顆粒剤、散剤または坐薬または溶液、懸濁液またはエマルジョンを含む液体形態に作り上げられ得る。医薬組成物は慣用の薬務、例えば滅菌に付してよくおよび/または慣用の不活性希釈剤、滑剤または緩衝剤、ならびにアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝剤などを含んでよい。
【0075】
好ましくは、医薬組成物は、
a) 希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b) 滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまた
c) 結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドン;望むならば
d) 崩壊剤、例えば、デンプン類、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/または
e) 吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤
と共に活性成分を含む錠剤およびゼラチンカプセル剤である。
【0076】
錠剤は、当分野で既知の方法に従いフィルムコーティングまたは腸溶性コーティングしてよい。
【0077】
経口投与用の適当な組成物は、錠剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末剤または顆粒剤、エマルジョン、硬または軟カプセル剤またはシロップ剤またはエリキシル剤の形で、有効量の本発明の化合物を含む。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造の分野で既知の任意の方法に従い製造し、かかる組成物は、薬学的に洗練され、かつ味のよい製剤を提供するために甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1個以上の薬剤を含み売る。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適当な非毒性薬学的に許容される賦形剤との混合物で含む。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒および崩壊剤、例えば、コーンデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤はコーティングされていないか、または胃腸管での崩壊および吸収を遅延し、それにより長時間にわたり持続した作用を提供するために既知の方法でコーティングされている。例えば、時間遅延物質、例えばグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを用いることができる。経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセル剤として、または活性成分が水または油媒体、例えば、ピーナツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして提供できる。
【0078】
注射可能組成物は、好ましくは水性等張性溶液または懸濁液であり、そして坐薬は有利に脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造する。該組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を含んでよい。加えて、それらは他の治療的に価値ある物質も含んでよい。該組成物は、通常の混合、造粒またはコーティング法により各々製造し、約0.1−75%、好ましくは約1−50%の活性成分を含む。
【0079】
経皮適用用の適当な組成物は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。有利な担体は、宿主の皮膚の通過を助けるための吸収性の薬理学的に許容される溶媒である。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、場合により該化合物を宿主皮膚に制御されかつ予定された速度で長時間にわたり送達するための速度制御バリア、および該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形である。
【0080】
例えば皮膚および眼への局所適用用の適当な組成物は、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲルまたは、例えば、エアロゾルなどにより送達のためのスプレー可能な製剤を含む。かかる局所送達系は、例えば、皮膚癌の処置のための、例えば日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどでの予防的使用のための、皮膚適用に特に適する。それに故に、それらは特に、化粧を含む局所用の、当分野で周知の製剤での使用に特に適する。それらは可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝剤および防腐剤を含み得る。
【0081】
本発明は、さらに、水が化合物のいくつかの分解を促進し得るため、活性成分として本発明の化合物を含む無水医薬組成物および投与形態を提供する。例えば、水(例えば、5%)の添加は、製剤の貯蔵寿命または経時的安定性のような特徴を決定するための、長期貯蔵を摸倣する手段として医薬分野で広く認められている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, N.Y., 1995, pp. 379-80参照。事実上、水および熱はいくつかの化合物の分解を加速する。それ故に、製剤に対する水の影響は、一般に製剤の製造、取り扱い、包装、貯蔵、輸送、および使用中に水分および/または湿気に遭遇するため、大変重要であることがある。
【0082】
本発明の無水医薬組成物および投与形態は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿気条件を使用して製造できる。ラクトースおよび1級または2級アミンを含む少なくとも1個の活性成分を含む医薬組成物および投与形態は、製造、包装および/または貯蔵中の水分および/または湿気との実質的な接触が予測されるならば、好ましくは無水である。
【0083】
無水医薬組成物は、その無水性質が維持されるように製造および貯蔵しなければならない。従って、無水組成物は、好ましくは適当な処方キットに包含できるように、水への暴露を妨げることが既知の物質を使用して包装する。適当な包装の例は、密閉されたホイル、プラスチック類、単位投与量容器(例えば、バイアル類)、ブリスターパック、およびストリップパックを含み、これらに限定されない。
【0084】
本発明は、さらに、活性成分としての本発明の化合物が分解するであろう速度を減じる1個以上の薬剤を含む医薬組成物および投与形態を提供する。ここでは“安定化剤”と呼ぶかかる薬剤は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、pH緩衝剤または塩緩衝剤などを含み、これらに限定されない。
【0085】
医薬組成物は、治療有効量の上に定義した本発明の化合物を単独で、または他の治療剤と組み合わせて含む。かかる他の治療剤は、例えば、シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する抗炎症剤または他の抗リウマチ剤、例えばメトトレキサートであり、各々当分野で報告されている有効治療投与量である。シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する抗炎症剤の例は、ジクロフェナク、ナプロキセン、イブプロフェンなどである。
【0086】
さらに、上に記載した組合せは、対象に同時の、別々のまたは連続した投与(使用)により投与できる。同時の投与(使用)は、2種以上の活性成分の一つの固定した組合せの形で、または個々に製剤された2種以上の化合物の同時の投与により行うことができる。連続した投与(使用)は、好ましくは組合せが一化合物を独立して投与したときよりも有効性を示すように(特に相乗性を示す)、当該組合せの1種(またはそれ以上の)化合物または活性成分をある時点で投与し、他の化合物または活性成分を別の時点で投与し、すなわち、時間がずれた方法で投与することを、好ましくは意味する。別々の投与(使用)は、好ましくは組合せの複数化合物または活性成分を互いに異なる時点で独立して投与することを意味し、好ましくは2種の化合物を、両化合物の測定可能な血中レベルの重複が、(同時に)重なり合わないような態様で投与することを意味する。
【0087】
また、好ましくは組合せ化合物−薬剤が、組合せ化合物−薬剤を治療効果に対する相互の影響を見ることができないほど長い時間間隔で独立して使用したときに見られる治療効果を超える併用治療効果を示すように、2種以上の組合せの連続した、別々のおよび同時の投与が可能であり、相乗効果が特に好ましい。
【0088】
さらに、本発明は次のものを提供する:
− 医薬として使用するための本発明の医薬組成物または組合せ;
− MMP−12および/またはMMP−13が仲介する障害または疾患の進行遅延および/または処置のための本発明の医薬組成物または組合せの使用;
− コラーゲンの分解増加、骨関節症、皮膚発癌における悪性上皮増殖、腫瘍侵襲(invasineness)、関節炎、アテローム性動脈硬化症、アルポート症候群、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)から選択される障害または疾患の進行遅延および/または処置のための本発明の医薬組成物または組合せの使用。
【0089】
本発明の医薬組成物または組合せは、約50−70kgの対象に対して約1−1000mgの活性成分、好ましくは約5−500mgの活性成分の単位投与量であり得る。化合物、医薬組成物またはこれらの組合せの治療有効投与量は、対象の動物種、体重、年齢および個々の状態、処置する障害または疾患またはその重症度による。通常の技術の医師、臨床医または獣医師は、本障害または疾患を予防し、処置するまたは進行を阻止するのに必要な活性成分の各々の有効量を容易に決定できる。
【0090】
上記投与特性は、有利に哺乳動物、例えばマウス、ラット、イヌ、サルまたはそれらの単離臓器、組織および調製物を使用したインビトロおよびインビボで証明できる。本発明の化合物を、インビトロで溶液、例えば、好ましくは水溶液の形で、そしてインビボで経腸的、非経腸的、有利に静脈内に、例えば、懸濁液または水溶液で適用できる。インビトロでの投与量範囲は約10−3〜10−9モル濃度の範囲であり得る。インビボでの治療有効量は、投与経路により、約0.1〜500mg/kg、好ましくは約1〜100mg/kgの範囲であり得る。
【0091】
本化合物は、例えば、炎症性状態、骨関節症、リウマチ性関節炎および腫瘍の処置に特に有用である。有益な効果は、一般的に当分野で既知であり、そして本明細書に説明する薬理学的試験で評価する。
【0092】
抗炎症性活性は、当分野で既知の標準炎症および関節炎動物モデル、例えばラットのアジュバント関節炎モデルおよびマウスのコラーゲンII誘発関節炎モデルで決定できる(Mediators of Inflam. 1, 273-279 (1992)。
【0093】
ゼラチナーゼ(MMP−2)阻害活性は次の通り決定できる:基質(MCA−Lys−Pro−Leu−Gly−Leu−Dpa−Ala−Arg−NH)の貯蔵溶液を、DMSO中1.4mMの濃度で製造する。阻害剤の貯蔵溶液(0.03μM−3mM)をまたDMSO中に製造する。阻害剤をアッセイ溶液で希釈し、対照は全アッセイでの阻害剤および基質希釈からの最終DMSO濃度が1.0%となるように、当量のDMSOを使用する。アッセイを、基質および阻害剤添加に由来する1.0%DMSOを含むアッセイ緩衝液(100mM 塩化ナトリウム、10μM ZnCl、10mM CaCl、100mM Tris−Cl pH7.5、0.05%Brij−35)で行う。アッセイに使用する基質濃度は5μMである。アッセイを20−25℃で行う。基質開裂の結果としての蛍光変化を、励起波長325nmおよび放射波長405nmを使用してモニターする。反応混合物を、384ウェルアッセイプレートの適切なウェルにデュプリケートで加える。反応混合物を阻害剤と60分間プレインキュベートする。反応をMMP基質添加により開始させ、蛍光強度変化を60分間後測定する。阻害剤存在下での見かけの酵素活性を阻害剤が何も存在しないものと比較し、阻害剤の阻害効果を決定する。これらの方法は当業者の知識の範囲内である。阻害結果を、対照(非阻害)反応と比較して酵素活性の50%阻害(IC50)を起こすのに必要な阻害剤濃度として表す。
本発明の説明として、以下の表の化合物80は55nMのIC50を示す。
【0094】
コラゲナーゼ−3(MMP−13)阻害活性を上記の通り決定する。組み換えプロコラゲナーゼ−3を1mM APMAで活性化し、アッセイ緩衝液中の徹底的な透析後にアッセイ緩衝液に貯蔵する。
本発明の説明として、以下の表の化合物80は約113nMのIC50を示す。
MMP−12阻害活性を上記の通り決定する。
【0095】
本発明の化合物のインビボでの効果をラットで決定できる。典型的に、6匹のラットに化合物を経口投与し、その後4時間までに、両膝に0.05mLの食塩水に溶解した組み換えヒトMMP−13を0.1〜2μg/膝で関節内注射する(N=12)。2時間後、ラットを殺し、滑膜洗浄液を集め、関節に遊離されたコンドロイチン硫酸(CS)フラグメントを定量する。コンドロイチン硫酸を、Thonar(Thonar, E. J. -M. A., Lenz, M. E., Klinsworth, G. K., Caterson, B., Pachman, L. M., Glickman, P., Katz, R., Huff, J., Keuttner, K. E. Quantitation of keratan sulfate in blood as a marker of cartilage catabolism, Arthr. Rheum. 28, 1367-1376 (1985)により記載の方法に準じる方法で、コンドロイチン硫酸特異的抗体(CS-56(Sigma))を使用する阻害ELISAにより測定する。
【0096】
関節炎障害における軟骨分解に対する保護効果を、例えばArthritis and Rheumatism, Vol. 26, 875-886 (1983)に記載する骨関節症の外科的モデルで決定できる。
【0097】
気腫の処置のための本発明の化合物の効果は、American Review of Respiratory Disease 117, 1109 (1978)に記載された動物モデルで決定できる。
【0098】
本発明の化合物の抗腫瘍効果は、例えば、Balb/cヌードマウスに当分野で既知の方法で皮下的にインプラントしたヒト腫瘍の増殖の、プラセボ処置マウスと比較した測定により決定できる。腫瘍の例は、例えば、エストロゲン依存性ヒト乳癌腫BT20およびMCF7、ヒト膀胱癌腫T24、ヒト結腸癌腫Colo 205、ヒト肺腺癌A549、およびヒト卵巣癌腫NIH-OVCAR3である。
【0099】
腫瘍転移阻害は、2種の肺転移モデルで決定できる。B16−F10黒色腫モデルにおいて、当分野で既知の方法に従い、転移を、BDF1処置マウスにB16−F10黒色腫細胞を静脈内注射することにより生じた肺転移した黒色腫小結節を計数することにより決定する。HT1080モデルにおいて、転移を、静脈内注射したGFP発現ヒト線維肉腫HT1080細胞から転移した腫瘍により生じたBalb/cヌードマウスの肺の増強された緑色蛍光タンパク質(EGFP)の蛍光強度を測定することにより定量する。両方法とも化合物処置マウスとプラセボ処置マウスの比較により阻害を得る。HT1080モデルにおいて、EGFP発現HT1080細胞を、EGFP発現ベクター(pEGFP-Cl)(CLONTECH Laboratories Inc., Palo Alto, Calif.)をトランスフェクション後、ジェネテシン存在下での限界希釈法により製造する。細胞懸濁液(10細胞/0.1mLのPBS)をBalb/cヌードマウスに静脈内注射する。試験化合物および媒体を3週間経口投与後、殺した後にマウスの腫瘍転移した肺を摘出し、均質化する。遠心分離後、細胞を3回溶解試薬(150mM 塩化アンモニウム、0.1mM EDTA−4 Na、10mM KHCO、pH7.4)で洗浄して、赤血球細胞を溶解させ、2回PBSで洗浄する。遠心分離後、EGFPを、10%TritonのPBS溶液により細胞から抽出し、96ウェルマルチプレートのウェルに入れる。蛍光強度を、各々485および530nmの励起波長および放出波長で蛍光プレートリーダを使用して決定する。
【0100】
アテローム硬化状態に対する本発明の化合物の効果は、Sukhova et al, Circulation 90, I 404 (1994)に記載された通り、活性化マトリックスメタロプロテイナーゼ類を含む、コレステロール飼養ウサギからのアテローム硬化性プラークを飼養して評価できる。ウサギアテローム硬化性プラークのマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素活性に対する阻害効果は、Galis et al, J. Clin. Invest. 94, 2493 (1994)に記載された通りインサイチュ酵素電気泳動により決定でき、そしてプラーク破綻の指標である。
【0101】
本発明の化合物は、例えば、骨関節症およびリウマチ性関節炎の処置用の抗炎症剤として、腫瘍増殖、腫瘍転移、腫瘍侵襲または進行の処置および予防用の抗腫瘍剤として、そしてアテローム硬化性プラーク破綻の処置および予防用の抗アテローム硬化剤として、哺乳動物に特に有用である。
【0102】
本発明はまた、マトリックス分解メタロプロテイナーゼ類、例えばストロメライシン、ゼラチナーゼ、コラゲナーゼおよびマクロファージメタロエラスターゼの阻害のために、組織マトリックス分解阻害のために、およびここに記載したマトリックス分解メタロプロテイナーゼ依存状態、例えば炎症、リウマチ性関節炎、骨関節症、また腫瘍(腫瘍成長、転移、進行または侵襲)、肺障害などの処置のために、哺乳動物で本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩またはその医薬組成物を使用する方法にも関する。腫瘍(癌腫)は、哺乳動物乳癌、肺癌、膀胱癌、結腸癌、前立腺および卵巣癌、および黒色腫およびカポジ肉腫を含む皮膚癌を含む。
【0103】
以下の実施例は本発明を説明することを意図し、それに限定するものと解釈してはならない。温度は摂氏度で示す。特に断らない限り、全ての蒸発は減圧下、好ましくは約15〜100mmHg(20−133mbar)で行う。最終生成物、中間体および出発物質の構造は、標準分析法、例えば微量分析および/または分光特性(例えばMS、IRまたはNMR)により決定する。使用する略語は、当分野で慣用的なものである。
【実施例】
【0104】
実施例
式(I)の化合物は、以下のセクションに記載した方法により製造できる。典型的な方法では、カルボン酸誘導体を方法A、方法B、方法C、方法D、方法E、方法Fまたは方法Gに従い製造する。一般に、式(I)の化合物は、カルボン(carboxlic)酸誘導体(derivivative)から方法J、方法Kまたは方法Lに従い製造できる。
【0105】
方法A:アミノ酸tert−ブチルエステル類からN−スルホニルアミノ酸誘導体への変換の一般的方法
【化5】

【0106】
上記スキームの個々の工程に関して、工程1は、D−バリンtert−ブチルエステルを適切に置換されたナフタレン−2−スルホニルクロライドでスルホニル化して、置換N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステルを得ることに関する。工程2は、20℃〜90℃で適当なアルキルハライド(例えば、1−ヨード−3−メチルブタンまたはヨウ化イソアミル)を使用するスルホニルアミドのN−アルキル化に関する。工程3は、tert−ブチルエステルの脱保護に関する。これらの誘導体を、必須のN−ヒドロキシアミド類に以下に記載した一般的方法のいずれかを介して変換してよい。
【0107】
N−スルホニル化の典型的方法:
N−(6−アセトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル
D−バリンtert−ブチルエステル(6.24g、35.9mmol)、6−アセトキシナフタレン−2−スルホニルクロライド(10.2g、35.9mmol)およびトリエチルアミン(12.5mL、89.7mmol)を、ジオキサン−水(1:1、243mL)中、環境温度で2時間撹拌する。反応混合物を水性クエン酸溶液(10%w/w、800mL)で酸性化する。沈殿を濾過により回収して、生成物を薄黄色結晶として得る(10.2g、68%収率)。LCMS (m/z): (439.28; M+18, 420.24; M-1)。
【0108】
スルホンアミド類のN−アルキル化の典型的方法:
N−イソアミル−N−(6−アセトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル
N−(6−アセトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル(3.15g、7.48mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に、炭酸カリウム(3.09g、22.36mmol)、続いて1−ブロモ−3−メチルブタン(1.79mL、14.94mmol)を添加し、反応を環境温度で16時間撹拌する。さらに1−ブロモ−3−メチルブタン(0.9mL、7.5mmol)を添加し、反応を16時間、環境温度で撹拌する。反応を水に注ぎ、3回ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、2−7%(ヘキサン−酢酸エチル)の勾配で溶出して、表題化合物を黄色油状物として(2.5g、68%収率)、黄色油状物のN−イソアミル−N−(6−(3−メチルブトキシ)ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステルと共に得る(0.3g、7.7%収率)。LCMS (m/z): (492.26; M+1)。
【0109】
tert−ブチルエステル類からカルボン酸への変換の典型的方法:
N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリン
N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル(0.33g、0.74mmol)を酢酸エチル中4N 塩酸(50mL)に溶解し、反応を環境温度で16時間撹拌する。溶媒を真空で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(15%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を無色油状物として得る(0.26g、90%収率)。LCMS (m/z): (394.24, M+1; 392.27, M-1)。
【0110】
上の方法は6−ヒドロキシナフタン誘導体を説明するが、当業者には、他の置換ナフタン誘導体(異なる位置に置換基を有するまたは異なる置換基を有する)も同様に製造できることは当然である。
【0111】
方法B:アミノ酸tert−ブチルカルバメート類からN−スルホニルアミノ酸誘導体への変換の一般的方法
【化6】

【0112】
方法Bの個々の工程に関して、工程1は、D−イソロイシンメチルエステルの形成とtert−ブトキシカルバメートの同時の除去に関する。あるいは、tert−ブトキシカルバメート基を有しないアミノ酸を、同じ条件下で対応するメチルエステルに直接変換できる所望のメチルエステルが市販されているとき、工程1を省き、方法Bの残りを行ってよい。工程2は、D−ロイシンメチルエステルを適切に置換されたナフタレン−2−スルホニルクロライドでスルホニル化して、置換N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−ロイシンメチルエステルを得ることに関する。工程3は、適当なアルキルハライド(例えば、1−ヨード−3−メチルブタンまたはヨウ化イソアミル)を使用し、スルホニルアミドのN−アルキル化に関する。工程4は、鹸化を介するメチルエステルの脱保護に関する。
【0113】
メチルエステル類形成の典型的方法:
(R)−2−アミノ−4−メチル−ペンタン酸メチルエステル
(R)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチル−ペンタン酸(2g、8.7mmol)のメタノール(20mL)溶液に、塩化チオニル(2.59g、21.7mmol)を添加する。反応混合物を2時間還流する。反応混合物を室温に冷却し、真空で濃縮する。粗生成物をさらに精製することなく次反応へと続ける。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 1.00 (q, 6H, J = 3 Hz), 1.7-1.9 (m, 3H, J = 7.7 Hz), 3.85 (s, 3H), 4.0 (t, 1H)。
【0114】
アミン類のスルホニル化の典型的方法:
(R)−4−メチル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ペンタン酸メチルエステル
メチルエステル(8.7mmol、1当量)のジオキサン/水(25mL/25mL、1:1)懸濁液に、トリエチルアミン(3.1g、30.45mmol)、続いて2−ナフタレンスルホニルクロライド(1.97g、8.7mmol)を添加する。反応を室温で18時間撹拌し、1N 塩酸で酸性化し、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得て、それをさらに精製することなく次反応へと続ける。LCMS (m/z): 336 (M+1)。
【0115】
スルホンアミド類のアルキル化の典型的方法:
(R)−4−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ペンタン酸メチルエステル
スルホニル化メチルエステル(8.7mmol、1.0当量)および炭酸カリウムのN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)中の混合物に、1−ヨード−3−メチルブタンを添加する。混合物を温で18時間撹拌する。反応を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗生成物(3.2g)を得て、それをさらに精製することなく次反応へと続ける。LCMS (m/z): 406 (M+1)。
【0116】
メチルエステル類の鹸化の一般的方法:
(R)−4−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ペンタン酸
メチルエステル(1.6g、3.95mmol)のテトラヒドロフラン/水(21mL/7mL)溶液に、水酸化リチウム(1N、7.9mL)を添加する。反応を室温で18時間撹拌し。反応混合物を1N 塩酸で酸性化し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーでの精製により、810mgの表題化合物を白色泡状物として得る。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.95 (m, 12H), 1.3-1.8 (m, 6H), 3.15-3.4 ( m, 2H), 4.55 (q, 1H, J = 5 Hz), 7.55-7.65 (m, 2H), 7.8 (dd, 1H), 7.91-8.05 (m, 3H), 8.40(s, 1H). LCMS (m/z): 392 (M+1). C21H29NO4Sの分析計算値: C, 64.42; H, 7.47; N, 3.58. 実測値: C, 64.49; H, 7.33; N, 3.56。
【0117】
方法C:アミノ酸ベンジルエステル類のN−スルホニルアミノ酸誘導体への変換の一般的方法
【化7】

【0118】
上記スキームの個々の工程に関して、工程1は、D−バリンtert−ブチルエステルを適切に置換されたナフタレン−2−スルホニルクロライドでスルホニル化し、置換N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステルを得ることに関する。工程2は、適当なアルキルハライド(例えば、1−ヨード−3−メチルブタンまたはヨウ化イソアミル)を使用し、スルホニルアミドのN−アルキル化に関する。工程3水素化分解を介するベンジルエステルの脱保護に関する。
【0119】
スルホニル化およびアルキル化工程は、方法AおよびBに記載した条件に準ずる条件下で行う。ベンジルエステルは、以下に記載する典型的方法に従い、カルボン酸誘導体に変換する。
【0120】
典型的水素化方法:
240mg(0.44mmol)の2−[(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステルの20mlのEtOAc溶液に、50mgのPdC(10%)を添加し、混合物を50psiで18時間水素化する。混合物をセライトを通して濾過し、蒸発させて、所望の生成物を得る。
【0121】
方法D:ナフトール誘導体からアルキル誘導体への変換の典型的方法
【化8】

【0122】
方法Dの個々の工程に関して、工程1は、エステルを加水分解してフェノール性中間体を得ることに関し、工程2は、ナフトール基のトリフルオロメタンスルホニルエステルへの活性化に関する。工程3は、トリフルオロメタンスルホニルエステルの所望の置換基、例えば、上記スキームに示すメチル基への置換に関する。置換が完了したら、生成物を、方法Aに略記した工程に従い、所望のカルボン酸に変換してよい。
【0123】
ナフトールエステル類の加水分解の典型的方法:
N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル
N−イソアミル−N−(6−アセトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル(0.75g、1.53mmol)のエタノール−水(35mL−15mL)溶液に炭酸カリウム(0.422g、3.05mmol)を添加し、反応を16時間加熱還流する。溶媒を真空で除去し、残留物を水に再溶解し、3回ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウムおよび塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を黄色油状物として得る(0.58g、85%収率)。
【0124】
N−イソアミル−N−(6−トリフルオロメタンスルホニルオキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル
N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル(0.18g、0.35mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.099mL、0.71mmol)、トリフル酸無水物(0.089mL、0.53mmol)、および4−ジメチルアミノピリジン(0.004g、0.035mmol)を添加する。反応を0℃で1時間撹拌する。溶媒を真空で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(6%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物(トリフラート)を黄色固体として得る(0.14g、68%収率)。
【0125】
N−イソアミル−N−(6−メチルナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル
N−イソアミル−N−(6−トリフルオロメタンスルホニルオキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンtert−ブチルエステル(1.1g、1.89mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に、リチウムクロライド(0.40g、9.5mmol)、テトラメチルすず(0.525mL、3.79mmol)、およびビストリフェニルホスフィノパラジウムジクロライド(0.066g、0.095mmol)を添加する。反応を80℃で16時間加熱する。反応を環境温度に冷却し、セライトを通して濾過する。濾液を水に注ぎ、3回ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(4%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を白色固体として得る(0.41g、50%収率)。
【0126】
あるいは、異なる式(I)のアルコキシ置換アリール化合物(式中、X=アルコキシ基)を、適切に保護されたフェノール性中間体(説明目的で示すtert−ブチル)を、1工程を含む方法Eに従い製造できる。方法Eに記載する通り、この方法は、方法Dで上に記載したフェノール性中間体の、適当なアルキルアイオダイド(例えばヨウ化メチル)でのアルキル化に関する。所望のO−アルキル化のための反応条件は、方法AおよびBに記載するN−アルキル化のための条件に準じる。こうしてカルボン酸を生じるtert−ブチルエステルの変換は、方法Aに記載する方法と同様にして達成できる。
【0127】
方法E:ナフトール誘導体のアルキル化の典型的方法
【化9】

【0128】
あるいは、式(I)の化合物の環状N−スルホニルアミノ酸類似体を、6工程を含む方法Fに従い、製造できる。
方法F:テトラヒドロピリジンおよびテトラヒドロアゼピン誘導体の形成の典型的方法
【化10】

【0129】
方法Fの個々の工程に関して、工程1は、側鎖にオレフィンを含む適切に保護されたアミノ酸誘導体のスルホニル化に関する。工程2は、スルホンアミド窒素のアルキル化に関する。工程1および2は、方法AおよびBに記載した典型的スルホニル化およびアルキル化条件に準じる。工程3は、環状アミノ酸を製造するための閉環メタセシス反応に関する。得られたエステルを、方法Bに記載の工程により対応するカルボン酸に変換できる。
【0130】
工程3:閉環メタセシスの典型的方法:
(R)−1−(1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル
(R)−2−アリル−1−(10メトキシ−ナフタレン−2スルホニル)−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル(141mg,0.35mmol)のクロロホルム(5mL)溶液を5分間アルゴン(agon)で脱気し、グラブス触媒(5mg、0.006mmol)を添加する。反応を室温で15分間撹拌する。反応を真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーでの精製により、生成物(120mg)を固体として得る。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.92 (t, 3H, J = 7 Hz), 2.65 (br, 2H), 3.8(q, 1H, J = 7 Hz), 3.95 (br, 2H), 4.15 (s, 3H), 5.03 (m, 1H), 5.65-5.75 (m, 2H), 7.65 (dd, 2H, J = 2 Hz, J = 6 Hz), 7.70 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.9 (m, 2H), 8.15 (m, 1H). LCMS (m/z): 376 (M+1)。
【0131】
あるいは、式(I)の化合物の置換環状N−スルホニルアミノ酸類似体を、4工程含む方法Gに従い製造できる。
方法G:ナフトール誘導体のアルキル化の典型的方法
【化11】

方法Gの個々の工程に関して、工程1は、ヒドロキシ基の適当なシリルエーテルとしての保護に関する。工程2は、ケトン部分のオレフィンへの変換に関する。工程3は、シリルエーテルの脱保護に関する。工程4は、メタンスルホン酸エステルの形成に関する。
【0132】
tert−ブチルジメチルシリルエーテル類の形成の典型的方法:
2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−フェニル−エタノン
よく撹拌している2−ヒドロキシアセトフェノン(1.0g、7.34mmol)のジクロロメタン(15mL)溶液に、ジクロロメタン(2mL)に溶解したトリエチルアミン(1.23mL、8.81mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(45mg、0.367mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロライド(1.16g、7.71mmol)を添加する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、ジクロロメタン(50mL)で希釈し、10%クエン酸、飽和炭酸ナトリウム、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(20%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、表題化合物を黄色油状物として得る(1.3g、5.19mmol)。
【0133】
ケトン類からのオレフィン類の形成の典型的方法:
tert−ブチル−ジメチル−(2−フェニル−アリルオキシ)−シラン
よく撹拌しているメチル−トリフェニル−ホスホニウムブロマイド(3.08g、8.61mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)に、0℃でn−ブチルリチウム(4.89mL、7.83mmolの1.6M溶液)を添加する。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌し、0℃に冷却する。2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−1−フェニル−エタノン(980mg、3.91mmol)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液をゆっくり添加する。混合物を室温で30分間撹拌し、塩化アンモニウムの飽和水溶液の添加によりクエンチし、数回酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(20%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、1.3gの表題化合物を酢酸エチル含有透明油状物として得て、次工程に直接使用した。
【0134】
tert−ブチルジメチルシリルエーテル類の脱保護の典型的方法
2−フェニル−プロプ−2−エン−1−オール
よく撹拌しているtert−ブチル−ジメチル−(2−フェニル−アリルオキシ)−シラン(1.3g、5.23mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、テトラヒドロフラン中1N テトラブチルアンモニウムフルオライド(10.5mL、10.5mmol)をゆっくり添加する。反応を20分間撹拌し、塩化アンモニウムの飽和水溶液の添加によりクエンチし、数回酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、700mgの表題化合物を得る。
【0135】
メタンスルホン酸エステル類の形成の典型的方法
メタンスルホン酸2−フェニル−アリルエステル
よく撹拌している2−フェニル−プロプ−2−エン−1−オール(700mg、5.22mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.945mL、6.78mmol)およびメチルスルホニルクロライド(0.424mL、5.48mmol)を添加する。反応を10分間撹拌し、室温に温め、30分間撹拌する。反応を塩化アンモニウムの飽和水溶液の添加によりクエンチし、数回酢酸エチルで抽出する。有機層を合わせ、1N 塩酸、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮する。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(10%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製して、表題化合物を得る(1.07g、4.95mmol)。
【0136】
得られたメタンスルホン酸エステル類を、以下に示す方法Fにより所望のカルボン酸誘導体に変換する。
【化12】

【0137】
あるいは、式(I)の化合物の二環式N−スルホニルアミノ酸類似体を、7工程を含む方法Hに従い製造できる。
【0138】
方法H:テトラヒドロピペリジンおよびテトラヒドロアゼピン類似体の水素化の典型的方法
(R)−1−(キノリン−3−スルホニル)−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド(110mg)のエタノール(5mL)中の混合物に、10%パラジウム炭素(10mg)を添加する。反応混合物を1雰囲気の水素下に18時間維持する。反応混合物をセライトを通して濾過し、真空で濃縮して、生成物(85mg)を明ベージュ色固体として得る。
【0139】
ヒドロキサメート類の形成の一般的方法
方法I:カルボン酸誘導体からヒドロキシアミド化合物へのヒドロキシルアミンを介する変換の一般的方法
【0140】
方法J:カルボン酸誘導体からヒドロキシアミド化合物への酸クロライドを介する変換の一般的方法
【化13】

【0141】
上記スキームの個々の工程に関して、工程1は、カルボン酸の酸クロライドとしての活性化に関する。工程2は、酸クロライドをヒドロキシルアミンで置換し、所望のヒドロキサム酸を得ることに関する。
【化14】

【0142】
酸クロライド類を介するN−ヒドロキシアミド類の形成の典型的方法
【化15】

N−ベンジル−N−(7−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸(NVP−LBQ690)(酸クロライドを介するカルボン酸からヒドロキサム酸への変換)
N−ベンジル−N−(7−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリン(0.335mg、0.76mmol)のジクロロメタン(20ml)溶液に、5滴のDMFおよび2M 塩化オキサリル(1ml、2mmol)を添加する。1時間後反応はTLCによると完了している。混合物を冷却している(0℃)50%水性ヒドロキシルアミン(3ml、2mmol)のTHF(25ml)中の混合物に滴下しながら移す。1時間撹拌後反応を1N 塩酸、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル;1:1)で精製し、ジエチルエーテルから結晶化して、表題化合物を得る。マススペクトル(457.2; M+1, 455.4; M-1)。CHN計算値CHN 63.14, 6.18, 6.14 実測値CHN 63.17, 6.11, 6.01。
【0143】
あるいは、式(I)の化合物を、上に記載したカルボン酸中間体から、2工程を含む方法Jに従い製造できる。
【0144】
方法K:カルボン酸誘導体からヒドロキシアミド化合物へのO−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミンを介する変換の一般的方法
【化16】

【0145】
O−テトラヒドロピラニルN−ヒドロ(hydrdoxy)アミドの製造の典型的方法
O−トリチルヒドロキシルアミン化合物の形成方法に従い、O−テトラヒドロピラニルN−ヒドロ(hydrdoxy)アミド類を、O−テトラヒドロピラニルヒドロキシルアミンをO−トリチルヒドロキシルアミンの代わりに使用する類似の方法により製造できる。
【0146】
O−テトラヒドロピラニルN−ヒドロ(hydrdoxy)アミドの脱保護の一般的方法
テトラヒドロピラニル保護ドロキサム酸溶液に、エタノールおよび3N 塩酸を添加し、反応を環境温度で16時間撹拌する。水および酢酸エチルを添加し、水性層を重炭酸ナトリウムで中和し、層を分離する。水性層を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過する。溶媒を真空で除去し、残留物をジエチルエーテルおよびヘキサンからの結晶化により精製して、所望の生成物を得る。
【0147】
上記スキームの個々の工程に関して、工程1は、カルボン酸とテトラヒドロピラニル(テトラヒドロピラニル)保護ドロキシルアミンのカップリングに関する。工程2は、酸加水分解を介してテトラヒドロピラニル保護基を除去して、所望のヒドロキサム酸を得ることに関する。
【0148】
方法L:カルボン酸誘導体からヒドロキシアミド化合物へのO−トリチルヒドロキシルアミンを介する変換の一般的方法
【化17】

【0149】
O−トリチルヒドロキシアミド化合物の形成の典型的方法:
酸(460mg、1.18mmol)、O−トリチルヒドロキシアミン(485mg、1.76mmol)、N−メチルモルホリン(594mg、5.88mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾ−トリアゾール(160mg、1.18mmol)、および1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(293mg、1.53mmol)のジクロロメタン(20mL)溶液を室温で18時間撹拌する。反応を1N 塩酸で酸性化し、ジクロロメタンで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮して、810mgの生成物を白色固体として得て、それをさらに精製することなく次反応へと続ける。LCMS (m/z): 647 (M-1)。
【0150】
O−トリチルヒドロキシアミド化合物の脱保護の典型的方法:
トリチル保護ドロキシルアミン化合物(400mg、0.62mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(563mg、4.9mmol)、続いてトリエチルシラン(143mg、1.23mmol)を添加する。反応を室温で5分間撹拌し、真空で濃縮して、粗生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィーで精製して、生成物(280mg)を白色固体として得る。
【0151】
あるいは、ヒドロキサメート類を、カルボン酸誘導体およびヒドロキシルアミン(50%水溶液)から、最終脱保護工程を除く以外方法Lに従い直接製造してよい。
【0152】
一般に、式(II)の化合物は、ジアステレオマー塩の形成および再結晶またはキラルクロマトグラフィー(chromotagraphy)またはキラル固定相を使用するHPLC分離によるようなラセミ混合物の分割により、当業者に既知の化合物の鏡像体の製造方法により製造できる。
【0153】
好ましくは、式(II)の化合物は、得られた最終化合物が意図する鏡像体の形であるように、意図する鏡像体の出発化合物で開始し、ここに記載したスキームを使用して製造できる。
【0154】
ここに記載する本発明の化合物に変換される出発化合物および中間体において、存在する官能基、例えばアミノ基、チオール基、カルボキシル基およびヒドロキシ基を、場合により製造有機化学で一般的な保護基で保護する必要がある。保護されたアミノ基、チオール基、カルボキシル基およびヒドロキシル基は、分子フレームワークの破壊または他の望まない副反応が起こることなく、緩和な条件下で遊離アミノチオール基、カルボキシル基およびヒドロキシル基に変換できるものである。
【0155】
保護基を導入する目的は、所望の化学変換を実施するために使用する条件下で、官能基が反応材との望まない反応をすることを保護することである。特定の反応についての保護基の必要性および選択は当業者に既知であり、保護する官能基の性質(ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基など)、置換基が一部である分子の構造および安定性および反応条件による。
【0156】
これらの条件に合う保護基およびその導入および除去は、例えば、McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London, NY (1973); およびGreene and Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, Inc., NY (1999)に記載されている。
【0157】
上記反応は、標準方法に従い、希釈剤、好ましくは、例えば反応剤に対して不活性であり、それらの溶媒である希釈剤、触媒、縮合剤またはかかる他の試薬の各々の存在下または非存在下および/または不活性雰囲気下、低温、室温または高温で、使用する溶媒の沸点でまたはその付近で、大気圧または超大気圧で行う。
【0158】
本発明は、さらに、任意の段階で得られる中間体生成物を出発物質として使用して残りの工程を行うか、または出発物質をインサイチュで反応条件下形成させるか、または反応材をその塩または光学的に純粋なアンチポードで使用する、本方法の全ての変法を含む。
【0159】
本発明の化合物および中間体はまた互いに一般に既知の方法に従い変換もできる。
【0160】
本発明を、ここで、特に有利な態様を説明する以下の実施例を参照して説明する。しかしながら、これらの態様は亜説明的であり、いかなる意味でも本発明を限定すると解釈してはならないことは注意すべきである。
【0161】
他の類似体(例えば、エチル、プロピルなど)もまたこの方法で製造できる。加えて、当業者には、トリフレート中間体を他の求核試薬、例えばアミン類(RNHまたはRR’NH)またはチオール類(RSH)に代え得ることは当然である。
【0162】
その後、上記tert−ブチルエステルを脱保護して(TFAで)遊離カルボン酸を製造できる。スキームIに示す方法に従い、カルボン酸をトリチルヒドロキサム酸に変換し、それを脱保護して所望のヒドロキサム酸を製造できる。
【0163】
実施例1:(R)−N−ヒドロキシ−2−[(1−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化18】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 409 (M+1)。
【0164】
実施例2:N−ヒドロキシ−2−[イソブチル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−アセトアミド
【化19】

方法BおよびLに従い、表題化合物をアミノ−酢酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 393.1 (M+1)。
【0165】
実施例3:(R)−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ペント−4−エノイック酸ヒドロキシアミド
【化20】

典型的スルホニル化方法および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステルおよびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 321 (M+1). C15H16N2O4Sの分析計算値: C, 56.24; H, 5.03; N, 8.74. 実測値: C, 56.87; H, 4.84; N, 8.42。
【0166】
実施例4:(R)−2−[ブト−3−エニル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ペント−4−エノイック酸ヒドロキシアミド
【化21】

典型的スルホニル化およびアルキル化方法、続いて方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび4−ブロモ−ブト−1−エンから製造する。LCMS (m/z): 375 (M+1). C19H22N2O4Sの分析計算値: C, 60.94; H, 5.92; N, 7.48. 実測値: C, 60.73; H,5.87; N, 7.27。
【0167】
実施例5:4−メチル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ペンタン酸ヒドロキシアミド
【化22】

典型的スルホニル化条件および方法Jに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−4−メチル−ペンタン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 337.2 (M+1), 335.33 (M-1)。
【0168】
実施例6:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ブチルアミド
【化23】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステルおよびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 321.10 (M-1)。
【0169】
実施例7:(R)−N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−4−フェニル−ブチルアミド
【化24】

方法BおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−4−フェニル−酪酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.88 (d, 6H, J = 6 Hz), 1.45-1.60 (m, 4H), 1.61-1.72 (m, 1H), 2.05-2.20 (m, 1H), 2.35-2.55 (m, 2H), 3.55-3.70 (m, 1H), 4.25 (m, 1H), 6.92 (d, 2H, J = 8 Hz), 7.10-7.20 (m, 3H), 7.60-7.75 (m, 3H) 7.98-8.07 (m, 3H), 8.38 (s, 1H). LCMS (m/z): 455 (M+1). C25H30N2O4Sの分析計算値: C, 66.05; H, 6.65; N, 6.16. 実測値: C, 65.97; H, 6.49; N, 5.98。
【0170】
実施例8:(R)−2−[アリル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ペント−4−イノイック酸ヒドロキシアミド
【化25】

典型的スルホニル化およびアルキル化方法、続いて方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−イノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。LCMS (m/z): 359 (M+1)。
【0171】
実施例9:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化26】

方法Hに従い、表題化合物を(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミドから製造する。LCMS (m/z): 335 (M+1). C19H22N2O4Sの分析計算値: C, 57.47; H, 5.43; N, 19.14. 実測値: C, 53.11; H,5.09; N, 7.24。
【0172】
実施例10:2−[ベンジル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化27】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび臭化ベンジルから製造する。LCMS (m/z): 411.16 (M-1)。
【0173】
実施例11:N−ヒドロキシ−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アセトアミド
【化28】

方法BおよびLに従い、表題化合物をアミノ−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−酢酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 365.3 (M+1), 363.4 (M-1). CHN: 計算値CHN: 56.03, 5.53, 7.69; 実測値CHN: 56.66, 5.71, 7.23。
【0174】
実施例12:N−ヒドロキシ−2−メチル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−プロピオンアミド
【化29】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を2−アミノ−2−メチル−プロピオン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 307.21 (M-1)。
【0175】
実施例13:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(ナフタレン−2−スルホニル)−フェネチル−アミノ]−ブチルアミド
【化30】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび(2−ブロモ−エチル)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 427 (M+1). C23H26N2O4Sの分析計算値: C, 64.77; H, 6.14; N, 6.57. 実測値: C, 64.57; H, 6.02; N, 6.53。
【0176】
実施例14:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(ナフタレン−2−スルホニル)−(3−フェニル−プロピル)−アミノ]−ブチルアミド
【化31】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 439.15 (M-1)
【0177】
実施例15:(R)−4−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ペンタン酸ヒドロキシアミド
【化32】

方法BおよびLに従い、表題化合物をブタン(R)−2−アミノ−4−メチル−ペンタン酸メチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.80 (q, 6H, J = 3.6 Hz), 0.90 (d, 6H, J = 6 Hz), 1.25 (m, 1H), 1.4-1.6 (m, 2H), 1.62-1.75 (m, 2H), 3.58-3.60 (m, 1H), 4.27-4.42 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.6-7.7 (m, 2H), 7.82 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.98 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 8.07 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 407 (M+1). C21H30N2O4Sの分析計算値: C, 62.04; H, 7.44; N, 6.89. 実測値: C, 62.32; H, 7.34; N, 6.71
【0178】
実施例16:(R)−N−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド
【化33】

(R)−3−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド(230mg、0.42mmol)および200mgの10%Pd/Cの酢酸エチル(20mL)中の混合物を、50PSI下で6時間水素化する。反応混合物をセライトを通して濾過し、真空で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーでの精製により、40mgの生成物を得る。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.90 (d, 6H, J = 5.5 Hz), 1.5-1.7 (m, 4H), 2.4-2.5 ( dd, 1H, J = 5 Hz), 3.05-3.15 (dd, 1H, J = 5 Hz), 3.35-3.45 (m, 1H), 3.6-3.75 (m, 1H), 4.30-4.40 (q, 1H, J = 5 Hz), 6.55 (d, 2H, J = 8 Hz), 6.80 (d, 2H, J = 8 Hz),7.7-7.85 (m, 3H), 7.92-8.10 (m, 3H), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 457 (M+1). C24H28N2O54Sの分析計算値: C, 63.14; H, 6.18; N, 6.14. 実測値: C, 63.03; H, 6.30; N, 5.89。
【0179】
実施例17:N−メチル−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化34】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよびヨウ化メチルから製造する。LCMS (m/z): 337.18 (M+1), 335.29 (M-1)。
【0180】
実施例18:N−ヒドロキシ−4−メタンスルホニル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ブチルアミド
【化35】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を2−アミノ−4−メタンスルホニル−酪酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 387.2 (M+1), 385.3 (M-1)。
【0181】
実施例19:1−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−シクロヘキサンカルボン酸ヒドロキシアミド
【化36】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を1−アミノ−シクロヘキサンカルボン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 349.3 (M+1), 347.3 (M-1)。
【0182】
実施例20:(R)−N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−4−メチルスルファニル−ブチルアミド
【化37】

方法BおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−4−メチルスルファニル−酪酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.88 (d, 6H, J = 6 Hz), 1.41-1.60 (m, 4H), 2.02-2.38 (m, 4H), 3.55-3.70 (m, 1H), 4.45 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.60-7.70 (m, 2H), 7.85 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 7 Hz), 7.97 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.04 (d, 2H, J = 8 Hz), 8.48 (s, 1H). LCMS (m/z): 425 (M+1). C20H28N2O4S2の分析計算値: C, 56.58; H, 6.65; N, 6.60. 実測値: C, 55.93; H, 6.71; N, 6.32。
【0183】
実施例21:(R)−3,N−ジヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド
【化38】

方法BおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−tert−ブトキシ−プロピオン酸メチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.88 (d, 6H, J = 6 Hz), 1.45-1.65 (m, 4H), 3.50-3.59 (m, 1H), 3.6-3.75 (m, 2H), 3.8-3.9 (m,1H), 4.40 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.60-7.70 (m, 2H), 7.85 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 7 Hz), 7.97-8.05 (m, 3H), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 381(M+1). C18H24N2O5Sの分析計算値: C, 56.83; H, 6.36; N, 7.36. 実測値: C, 56.38; H, 6.40; N, 7.07。
【0184】
実施例22:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化39】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 393.1 (M+1)。
【0185】
実施例23:(S)−3−(ナフタレン−2−スルホニル)−チアゾリジン−4−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化40】

スルホニル化の典型的方法および方法Lに従い、表題化合物を(S)−チアゾリジン−4−カルボン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 339 (M+1). C14H13N2O4S2の分析計算値: C, 49.69; H, 4.17; N, 8.28. 実測値: C, 49.84; H, 4.15; N, 8.03。
【0186】
実施例24:(R)−2−[アリル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化41】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 363 (M+1)。
【0187】
実施例25:(R)−3−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド
【化42】

方法BおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−プロピオン酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.90 (d, 6H, J = 6 Hz), 1.50-1.65 (m, 4H), 2.45-2.58 (m, 1H), 3.02-3.13 (m, 1H), 3.35-3.48 (m, 1H), 3.60-3.71 (m, 1H), 4.3-4.48 (m, 1H), 4.95 (s, 2H), 6.65 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 6.89 (d, 2H, J = 8.5 Hz), 7.28-7.40 (m, 5H), 7.60-8.05 (m, 3H), 7.95-8.05 (m, 3H), 8.42 (s, 1H). LCMS (m/z): 547 (M+1)。
【0188】
実施例26:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化43】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。LCMS (m/z): 333 (M+1)。
【0189】
実施例27:2−[ベンジル−(7−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化44】

方法A、EおよびJに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、クロロエタンおよび臭化ベンジルから製造する。LCMS (m/z): 457.2 (M+1), 455.4 (M-1). CHN計算値C 63.14, H 6.18, N 6.14 実測値C 63.17, H 6.11, N 6.01。
【0190】
実施例28:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピリジン−4−イルメチル−アミノ]−ブチルアミド
【化45】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび4−ブロモメチル−ピリジンから製造する。LCMS (m/z): 414 (M+1). C21H23N3O4Sの分析計算値: C, 61; H, 5.61; N, 10.16. 実測値: C, 59.29; H, 5.95; N, 9.92。
【0191】
実施例29:N−イソアミル−N−(6−エチルナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化46】

方法A、DおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、酢酸6−クロロスルホニル−ナフタレン−2−イルエステル、テトラエチル−スタンナンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 419.32 (M-1). CHN計算値C 62.04, H 7.44, N 6.89; 実測値C 61.88, H 7.38, N 6.79。
【0192】
実施例30:N−(2−フェノキシエチル)−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化47】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび(2−ブロモ−エトキシ)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 443.29 (M+1), 441.37 (M-1)。
【0193】
実施例31:N−ヒドロキシ−2−[(6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化48】

N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンO−トリチルヒドロキサム酸(0.21g、0.32mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(0.199mL、2.58mmol)、続いてトリエチルシラン(0.103mL、0.65mmol)を添加する。反応を環境温度で30分間撹拌する。溶媒を真空で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(15%ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、続いてヘキサン−ジクロロメタンから結晶化させて、表題化合物を白色粉末として得る(0.04g、30%収率)。LCMS (m/z): 409.24 (M+1), 407.29 (M-1). CHN: 計算値C: 62.04, H 7.44, N 6.89; 実測値C: 61.88, H 7.38, N 6.79。
【0194】
実施例32:2−[(6−アミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−フェニル−プロピル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化49】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、クロロエタンおよび(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 454.27 (M-1)。
【0195】
実施例33:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−アゼパン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化50】

方法Hに従い、表題化合物を(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−2−カルボン酸ヒドロキシアミドから製造する。LCMS (m/z): 349 (M+1). C17H20N2O4Sの分析計算値: C, 58.6; H, 5.79; N, 8.04. 実測値: C, 60.83; H, 5.99; N, 7.45。
【0196】
実施例34:2−[(6−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−フェニル−プロピル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化51】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、クロロエタンおよび(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 498.1 (M+1), 496.3 (M-1)。
【0197】
実施例35:N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アセトアミド
【化52】

方法BおよびLに従い、表題化合物をアミノ−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−酢酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 435.4 (M+1), 433.5 (M-1)(HPLC-MS)。
【0198】
実施例36:N−イソアミル−N−(6−メトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化53】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 421.36 (M-1)。
【0199】
実施例37:N−イソアミル−N−(6−ヒドロキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化54】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 409.24 (M+1), 407.29 (M-1). CHN計算値C 62.04, H 7.44, N 6.89 実測値C 61.88, H 7.38, N 6.79。
【0200】
実施例38:2−[(7−アミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−フェニル−プロピル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化55】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび(3−ブロモ−プロピル)−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 456.3 (M+1), 454.4 (M-1)。
【0201】
実施例39:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−5−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化56】

方法B、F、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび2−ヒドロキシアセトフェノンから製造する。LCMS (m/z): 409 (M+1). C14H13N2O4S2の分析計算値: C, 66.10; H, 4.93; N, 6.86. 実測値: C, 66.10; H, 4.94; N, 6.59。
【0202】
実施例40:(R)−N−ヒドロキシ−2−[(7−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化57】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 423 (M+1)。
【0203】
実施例41:N−(2−(4−フルオロフェノキシ)エチル)−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化58】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−(2−ブロモ−エトキシ)−4−フルオロ−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 461.25 (M+1), 459.33 (M-1)。
【0204】
実施例42:2−[(6−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化59】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、ヨードエタンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 435.34 (M-1)。
【0205】
実施例43:2−[ベンジル−(6−p−トリルアミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化60】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−p−トリルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび臭化ベンジルから製造する。LCMS (m/z): 518.2 (M+1), 516.4 (M-1)。
【0206】
実施例44:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−4−ビニル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化61】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−イノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。LCMS (m/z): 359 (M+1). C18H18N2O4Sの分析計算値: C, 60.32; H, 5.06; N, 17.86. 実測値: C, 59.99; H, 5.31; N, 7.82。
【0207】
実施例45:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピリジン−3−イルメチル−アミノ]−ブチルアミド
【化62】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−クロロメチル−ピリジンから製造する。LCMS (m/z): 414.2 (M+1), 412.2 (M-1)
【0208】
実施例46:(R)−N−ヒドロキシ−2−[[2−(3−メトキシ−フェノキシ)−エチル]−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化63】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−(2−ブロモ−エトキシ)−3−メトキシ−ベンゼンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 473 (M+1)。
【0209】
実施例47:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[[6−(3−メチル−ブトキシ)−ナフタレン−2−スルホニル]−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−ブチルアミド
【化64】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 477.36 (M-1)。
【0210】
実施例48:2−[(7−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化65】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、ヨードエタンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 435.32 (M-1)。
【0211】
実施例49:N−ヒドロキシ−2−[(6−イソブトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化66】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、1−ヨード−2−メチル−プロパンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 463.43 (M-1)。
【0212】
実施例50:(R)−1−(キノリン−3−スルホニル)−ピペリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化67】

方法Hに従い、表題化合物を(R)−1−(キノリン−3−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミドから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 1.25-1.75 (m, 5H), 1.9 (m, 1H), 3.4 (m, 1H), 3.8 (br, 1H), 4.45 (br, 1H), 7.75 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.95 (t, 1H, J = 7 Hz), 8.10 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.22 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.8 (d, 1H, J = 2 Hz), 9.15 (d, 1H, J = 2 Hz). LCMS (m/z): 336 (M+1)。
【0213】
実施例51:2−[(6−アミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化68】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 408.1 (M+1), 406.2 (M-1)。
【0214】
実施例52:1−(ナフタレン−2−スルホニル)−ピロリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化69】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物をプロリンおよびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 319.18 (M-1)
【0215】
実施例53:2−[(6−ベンジルオキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化70】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、臭化ベンジルおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 497.44 (M-1)。
【0216】
実施例54:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(ナフタレン−2−スルホニル)−ピリジン−2−イルメチル−アミノ]−ブチルアミド
【化71】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび2−クロロメチル−ピリジンから製造する。LCMS (m/z): 414 (M+1). (塩酸塩)C21H24N3O4SClの分析計算値: C, 57.99; H, 5.33; N, 6.44. 実測値: C, 55.97; H, 5.51; N, 6.00。
【0217】
実施例55:2−[(6−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化72】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 450.2 (M+1), 448.3 (M-1)。
【0218】
実施例56:N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−(6−メトキシナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化73】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび(2−クロロ−エチル)−ジメチル−アミンから製造する。LCMS (m/z): 394.31 (M+1), 392.34 (M-1)。
【0219】
実施例57:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−{(3−メチル−ブチル)−[7−(3−メチル−ブチルアミノ)−ナフタレン−2−スルホニル]−アミノ}−ブチルアミド
【化74】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 478.2 (M+1), 476.3 (M-1)。
【0220】
実施例58:(R)−2−[[2−(4−クロロ−フェノキシ)−エチル]−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化75】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−(2−ブロモ−エトキシ)−4−クロロ−ベンゼンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 477 (M+1)。
【0221】
実施例59:(R)−3−tert−ブトキシ−N−ヒドロキシ−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド
【化76】

スルホニル化の典型的方法、アルキル化および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−tert−ブトキシ−プロピオン酸メチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.88 (d, 6H, J = 6 Hz), 0.95 (s, 9H), 1.45-1.65 (m, 4H), 2.02-2.38 (m, 4H), 3.30-3.43 (m, 1H), 3.5-3.75 (m, 2H), 4.42 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.60-7.70 (m, 2H), 7.85 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 7 Hz), 7.97-8.05 (m, 3H), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 437 (M+1). C22H32N2O5Sの分析計算値: C, 60.53; H, 7.39; N, 6.42. 実測値: C, 60.19; H, 7.02; N, 6.28。
【0222】
実施例60:(R)−5−メチル−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化77】

方法B、F、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヒドロキシ−プロパン−2−オンから製造する。LCMS (m/z): 345.2 (M-1). C17H18N2O4S: C, 58.94の分析計算値; H, 5.24; N, 8.09. 実測値: C, 58.51; H, 5.34; N, 7.68。
【0223】
実施例61:2−[(7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化78】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 450.4 (M+1), 448.5 (M-1)。
【0224】
実施例62:N−(2−(3−クロロフェノキシ)エチル)−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化79】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−(2−ブロモ−エトキシ)−3−クロロ−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 477.29 (M+1), 475.35 (M-1)。
【0225】
実施例63:(R)−1−(キノリン−6−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化80】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、キノリン−6−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 2.15-2.45(m, 4H), 3.95-4.25 (m, 4H), 5.79 (d, 2H, J = 7 Hz), 5.65 (br, 2H), 7.67 (q, 1H, J = 4 Hz), 8.15 (m, 2H), 8.55 (br, 2H), 8.98 (m, 1H). LCMS (m/z): 334 (M+1)。
【0226】
実施例64:N−(2−(2−クロロフェノキシ)エチル)−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化81】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−(2−ブロモ−エトキシ)−2−クロロ−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 477.22 (M+1), 475.30 (M-1)。
【0227】
実施例65:N−ヒドロキシ−2−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−プロピオンアミド
【化82】

方法BおよびLに従い、表題化合物を2−アミノ−2−メチル−プロピオン酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 377.29 (M-1)。
【0228】
実施例66:2−[(6−アリルオキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化83】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、3−ブロモ−プロペンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 447.31 (M-1)。
【0229】
実施例67:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(キノリン−6−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化84】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、キノリン−6−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.85 -0.98 (m, 12H), 1.4-1.6 (m, 2H), 1.75-1.85 (m, 1H), 2.1-2.3 (m, 1H), 3.2-3.25 (m, 1H), 3.8-3.9 (m, 2H), 7.82 (q, 1H, J = 4.5 Hz), 8.62 (s, 1H), 8.75 (d, 1H, J = 8 Hz), 9.10 (d, 1H, J = 4.5 Hz). LCMS (m/z): 394 (M+1)。
【0230】
実施例68:2−[(7−エトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−ピリジン−3−イルメチル−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化85】

方法A、EおよびJに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、クロロエタンおよび3−クロロメチル−ピリジンから製造する。LCMS (m/z): 458.3 (M+1), 456.3 (M-1). CHN計算値C 60.38, H 5.95, N 9.18 実測値C 60.48, H 5.97, N 9.08。
【0231】
実施例69:(R)−N−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化86】

方法BおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3,3−ジメチル−酪酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.88 (q, 6H, J = 4 Hz), 1.10 (s, 9H), 1.4-1.6 (m, 4H), 1.9 (m, 1H), 3.15-3.25 (m, 1H), 4.05 (s, 1H), 7.6-7.7 (m, 2H), 7.8-7.85 (m, 1H), 7.92-8.08 (m, 3H), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 405 (M-1). C21H30N2O4Sの分析計算値: C, 62.04; H, 7.44; N, 6.89. 実測値: C, 61.70; H, 7.27; N, 6.67。
【0232】
実施例70:1−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−シクロペンタンカルボン酸ヒドロキシアミド
【化87】

方法BおよびLに従い、表題化合物を1−アミノ−シクロペンタンカルボン酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 405.24 (M+1), 403.30 (M-1). CHN計算値C 62.35, H 6.98, N 6.92; 実測値C 62.27, H 6.85, N 6.55。
【0233】
実施例71:2−[{7−[アセチル−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−ナフタレン−2−スルホニル}−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化88】

方法CおよびKに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 520.2 (M+1), 518.3 (M-1)。
【0234】
実施例72:(R)−1−(キノリン−3−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化89】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、キノリン−3−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 2.20 (br, 2H), 3.85-4.15 (m, 2H), 4.70 (m, 1H), 5.65 (br, 2H), 7.77 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.95 (t, 1H, J = 7 Hz), 8.1 (d, 1H, J = 8 Hz), 8.23 (d, 1H, J = 8 Hz), 8.9 (d, 1H, J = 2 Hz), 9.1 (d, 1H, J = 2 Hz). LCMS (m/z): 334 (M+1)。
【0235】
実施例73:1−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−シクロプロパンカルボン酸ヒドロキシアミド
【化90】

方法BおよびLに従い、表題化合物を1−アミノ−シクロプロパンカルボン酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 377.06 (M+1), 375.05 (M-1). CHN計算値C 60.62, H 6.43, N 7.44 実測値C 60.40, H 6.06, N 7.31。
【0236】
実施例74:4−[ヒドロキシカルバモイル−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化91】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を4−((R)−アミノ−カルボキシ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 464.3 (M+1), 462.5 (M-1), CHN: 計算値C 57.00, H 6.31, N 9.06; 実測値C 57.40, H 6.32, N 8.53。
【0237】
実施例75:N−(2−(2,3,6−トリメチルフェノキシ)エチル)−N−(ナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化92】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび2−(2−ブロモ−エトキシ)−1,3,4−トリメチル−ベンゼンから製造する。LCMS (m/z): 485.35 (M+1), 483.38 (M-1)。
【0238】
実施例76:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(キノリン−3−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化93】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、キノリン−3−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.80-0.90 (m, 12H), 1.3-1.7 (m, 3H), 2.05-2.15 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 3.80 (d, 2H, J = 9 Hz), 3.8-3.9 (m, 2H), 7.80 (t, 1H, J = 7 Hz), 7.98 (t, 1H, J = 7 Hz), 8.10 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.12 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.90 (d, 1H, J = 10 Hz), 9.2 (d, 1H, J = 2 Hz). LCMS (m/z): 394 (M+1). C19H27N3O4Sの分析計算値: C, 57.99; H, 6.92; N, 10.68. 実測値: C, 58.09; H, 6.65; N, 10.51。
【0239】
実施例77:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(2−モルホリン−4−イル−エチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化94】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび4−(2−クロロ−エチル)−モルホリンから製造する。LCMS (m/z): 434.54 (M-1)。
【0240】
実施例78:(R)−1−(1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化95】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 2.20 (br, 2H), 3.95 (m, 1H), 4.05 (m, 1H), 4.60 (d, 1H, J = 6 Hz), 5.60 (br, 2H), 7.65-7.75 (m, 2H), 7.80 (m, 2H), 8.05 (m, 1H), 8.15 (d, 1H, J = 5.5 Hz), 8.8 (s, 1H). LCMS (m/z): 363 (M+1). C17H18N2O5Sの分析計算値: C, 56.34; H, 5.01; N, 7.73. 実測値: C, 55.87; H, 4.99; N, 7.30。
【0241】
実施例79:(R)−N−ヒドロキシ−2−[(1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−3−メチル−ブチルアミド
【化96】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、1−メトキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 423 (M+1)。
【0242】
実施例80:2−[(1−クロロ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化97】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、1−クロロ−ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 427 (M+1), 425 (M-1), CHN: 計算値C 56.26, H 6.37, N 6.56; 実測値C 55.92, H 6.44, N 6.29。
【0243】
実施例81:N−ヒドロキシ−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−アセトアミド
【化98】

典型的スルホニル化方法および方法Lに従い、表題化合物をアミノ−酢酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 281.0 (M+1)。
【0244】
実施例82:4−{ヒドロキシカルバモイル−[(3−メチル−ブチル)−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−メチル}−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化99】

方法AおよびLに従い、表題化合物を4−((R)−アミノ−カルボキシ−メチル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 534.2 (M+1), 532.4 (M-1), CHN: 計算値C 60.77, H 7.37, N 7.87; 実測値C 59.76, H 7.43, N 7.74。
【0245】
実施例83:7−(ナフタレン−2−スルホニル)−7−アザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン−8−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化100】

【0246】
3−((2R,5S)−3,6−ジエトキシ−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロ−ピラジン−2−イル)−シクロヘプタノン
(S)−3,6−ジエトキシ−2−イソプロピル−2,5−ジヒドロ−ピラジン(6.0g、28.3mmol)のテトラヒドロフラン(58mL)溶液を−78℃に冷却する。n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、21.4mL、34.2mmol)をシリンジを介してゆっくり添加し、反応を−78℃で30分間撹拌する。反応混合物をカニューレを介してCuBr−MeS(3.35g、16.3mmol)のテトラヒドロフラン:ジメチルスルフィド(90mL、[2:1])溶液に、−50℃で移す。反応を−30℃に温め、さらに30分間撹拌する。反応を−78℃に冷却し、シクロヘプト−2−エノン(5.23mL、46.9mmol)を10分間にわたり滴下する。反応を、TLCでジヒドロピラジンの消失が確認されるまで−78℃に維持し、塩化アンモニウムの飽和水溶液の−78℃での添加によりクエンチする。反応を環境温度に温め、水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出する。有機抽出物を塩化アンモニウム、希水酸化アンモニウム、水および塩水で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮した。残留物をヘキサンのエーテル(20−25%)溶液の勾配で溶出するカラムクロマトグラフィーで精製して、シクロヘプト−2−エノンが僅かに混入した表題化合物(6.52g、72%収率)を得る。LCMS (m/z): 323.13 (M+1)。
【0247】
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−オキソ−シクロヘプチル(hepty))グリシンエチルエステル
3−((2R,5S)−3,6−ジエトキシ−5−イソプロピル−2,5−ジヒドロ−ピラジン−2−イル)−シクロヘプタノン(2.0g、6.2mmol)を0.25N 塩酸(25mL)で処理し、テトラヒドロフラン(40mL)で希釈し、環境温度で1時間撹拌する。溶媒を真空で除去し、トルエンと3回共沸蒸留した。残留物をジクロロメタン(50mL)に溶解し、0℃に冷却した。この溶液にトリエチルアミン(6.73mL、48.3mmol)、続いてナフタレン−2−スルホニルクロライド(4.39g、19.4mmol)を添加し、反応を環境温度に温め、16時間撹拌する。反応をジクロロメタンで希釈し、1N 塩酸、重炭酸(bicrabonate)ナトリウム溶液、および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を真空で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(50%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を黄色油状物として得る(1.8g、72%収率)。LCMS (m/z): 404.10 (M+1), 402.09 (M-1)。
【0248】
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−ヒドロキシ−シクロヘプチル(hepty))グリシンエチルエステル
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−オキソ−シクロヘプチル(hepty))グリシンエチルエステル(1.05g、2.61mmol)のテトラヒドロフラン−エタノール(20mL、1:1)溶液に、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(0.147g、3.88mmol)を添加し、反応を0℃で1時間撹拌する。反応を0℃でクエン酸(10%水性)でクエンチし、溶媒を真空で除去した。残留物を水で希釈し、3回酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィー(50%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を白色固体として得た(0.90g、85%収率)。LCMS (m/z): 406.14 (M+1), 404.13 (M-1)。
【0249】
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−メタンスルホニルオキシ−シクロヘプチル(hepty))グリシンエチルエステル
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−ヒドロキシ−シクロヘプチル(hepty))グリシンエチルエステル(0.90g、2.22mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液に、0℃でトリエチルアミン(0.463mL、3.3mmol)、メタンスルホニルクロライド(0.269g、2.35mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.015g、0.12mmol)を添加し、反応を環境温度に温め、2時間撹拌する。反応をジクロロメタンで希釈し、水および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を真空で除去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(35%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を無色油状物として得る(0.95g、88%収率)。LCMS (m/z): 484.17 (M+1), 482.16 (M-1)。
【0250】
(R)−7−(ナフタレン−2−スルホニル)−7−アザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン−8−カルボン酸エチルエステル
(R)−N−ナフタレン−2−スルホニル(3−メタンスルホニルオキシ−シクロヘプチル)グリシンエチルエステル(0.60g、1.24mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に、炭酸セシウム(1.21g、3.71mmol)、続いてリチウムアイオダイド(0.249g、1.86mmol)を添加し、反応を80℃で3時間加熱する。反応を環境温度に冷却し、水で希釈し、3回酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(20%ヘキサン−酢酸エチル)で精製して、表題化合物を白色固体として得る(0.37g、77%収率)。LCMS (m/z): 388.10 (M+1)。
【0251】
(R)−7−(ナフタレン−2−スルホニル)−7−アザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン−8−カルボン酸
(R)−7−(ナフタレン−2−スルホニル)−7−アザ−ビシクロ[4.2.1]ノナン−8−カルボン酸エチルエステル(0.55g、1.42mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)を溶液に、水酸化リチウム(1.2g、28.6mmol)の水(15mL)溶液を添加する。反応を80℃で16時間加熱し、溶媒を真空で除去する。残留物を水に溶解し、ジエチルエーテルで洗浄する。水性層を6N 塩酸で4未満のpHに酸性化し、3回酢酸エチルで抽出する。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を黄色固体として得る(0.50g、98%収率)。LCMS (m/z): 360.07 (M+1), 358.12 (M-1)。
【0252】
次いで、この生成物を方法Lに略記した一般的プロトコールに従い、ヒドロキサメートに変換する。LCMS (m/z): 375.04 (M+1), 373.02 (M-1). CHN計算値C 60.94, H 5.92, N 7.48. 実測値C 59.97, H 5.92, N 7.27
【0253】
実施例84:2−[(7−アミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化101】

2−[(7−アセチルアミノ−ナフタレン−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド(100mg、0.22mmol)(実施例61)、3N 塩酸(2mL)およびメタノール(5mL)を合わせ、還流で4時間撹拌する。混合物を室温で60時間撹拌する。溶媒を一部真空で除去し、赤色沈殿を形成させる。この沈殿を濾過により回収し、空気乾燥させる。LCMS (m/z): 408.2 (M+1), 406.3 (M-1)。
【0254】
実施例85:N−イソアミル−N−(6−メチルナフタレン−2−スルホニル)−D−バリンヒドロキサム酸
【化102】

方法A、DおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、酢酸7−クロロスルホニル−ナフタレン−2−イルエステル、テトラメチル−スタンナンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 407.26 (M+1), 405.31 (M-1)。
【0255】
実施例86:(R)−N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[[7−(3−メチル−ブトキシ)−ナフタレン−2−スルホニル]−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−ブチルアミド
【化103】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、酢酸7−クロロスルホニル−ナフタレン−2−イルエステルおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。分析データ:LCMS (m/z): 479 (M+1)。
【0256】
実施例87:N−ヒドロキシ−3−メチル−2−[(3−メチル−ブチル)−(6−プロポキシ−ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−ブチルアミド
【化104】

方法A、EおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−スルホニルクロライド、1−ヨード−ブタンおよび1−ブロモ−3−メチル−ブタンから製造する。LCMS (m/z): 449.36 (M-1)。
【0257】
実施例88:(R)−1−(ナフタレン−2−スルホニル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化105】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび4−ブロモ−ブト−1−エンから製造する。LCMS (m/z): 347 (M+1). C17H18N2O4Sの分析計算値: C, 58.94; H, 5.24; N, 8.09. 実測値: C, 58.60; H, 5.24; N, 7.94。
【0258】
実施例89:(R)−2−[ブチル−(ナフタレン−2−スルホニル)−アミノ]−3,N−ジヒドロキシ−ブチルアミド
【化106】

スルホニル化の典型的方法、アルキル化および方法Lに従い、表題化合物を(2R,3S)−2−アミノ−3−tert−ブトキシ−酪酸、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 0.80 (d, 6H, J = 4 Hz), 1.05 (d, 3H, J = 8 Hz), 1.45 (m, 1H), 1.55 (m, 2H), 3.20 (m, 1H), 3.62 (m, 1H), 3.90 (br, 1H), 4.02 (d,1H, J = 7 Hz), 4.70 (br, 1H), 7.68 (m, 2H), 7.82 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.05 (t, 2H, J = 7 Hz), 8.12 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.45 (s, 1H). LCMS (m/z): 395 (M+1). C19H26N2O5Sの分析計算値: C, 57.85; H, 6.64; N, 7.10. 実測値: C, 57.58; H, 6.74; N, 6.94。
【0259】
実施例90:2,2−ジメチル−4−(ナフタレン−2−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボン酸
【化107】

典型的スルホニル化条件および方法Lに従い、表題化合物を(S)−2,2−ジメチル−チオモルホリン−3−カルボン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 381.2 (M+1), 379.3 (M-1), CHN: 計算値CHN: 53.66, 5.30, 7.36; 実測値CHN: 593.51, 5.20, 7.07。
【0260】
実施例91:(R)−2−(ナフタレン−2−スルホニル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化108】

スルホニル化の典型的方法および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−カルボン酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。LCMS (m/z): 361.30 (M+1), 359.36 (M-1). CHN計算値C 59.98, H 5.59, N 7.77 実測値C 59.68, H 5.49, N 7.60。
【0261】
実施例92:(R)−N−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−(キノリン−6−スルホニルアミノ)−ブチルアミド
【化109】

スルホニル化の典型的方法および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3,3−ジメチル−酪酸およびキノリン−6−スルホニルクロライドから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.99 (s, 9H), 3.45 (s, 1H), 7.68 (q, 1H, J = 4 Hz), 8.15 (s, 2H), 8.5 (m, 2H), 9.0 (d, 1H, J = 2 Hz). LCMS (m/z): 338 (M+1)。
【0262】
実施例93:(R)−N−ヒドロキシ−3,3−ジメチル−2−(ナフタレン−2−スルホニルアミノ)−ブチルアミド
【化110】

スルホニル化の典型的方法および方法Lに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3,3−ジメチル−酪酸およびナフタレン−2−スルホニルクロライドから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 1.25 (s, 9H), 3.73 (s, 1H), 7.94 (m, 2H), 8.13 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.25 (d, 1H, J = 7 Hz), 8.3 (m, 2H), 8.7 (s, 1H). LCMS (m/z): 335 (M-1)。
【0263】
実施例94:(R)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化111】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン−7−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 2.05 (m,1H), 2.75-2.80 (m, 1H), 3.3 (t, 2H, J = 5 Hz), 3.82 (d, 1H, J = 16 Hz), 4.10 (d, 1H, J = 16 Hz), 4.35 (t, 2H, J = 5 Hz), 4.69 (d, 1H, J = 6.5 Hz), 5.5-5.8 (m, 2H), 6.8 (d, 1H, J = 8 Hz), 6.97 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.05 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 8 Hz). LCMS (m/z): 354 (M+1)。
【0264】
実施例95:(R)−1−(2,3,4a,8a−テトラヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化112】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 2.10-2.20 (m,1H), 2.40-2.50 (m, 1H), 3.9-4.1 (m, 2H), 4.30 (d, 4H, J = 4 Hz), 4.60 (d, 2H, J = 6 Hz), 5.65 (br, 2H), 6.95 (d, 1H, J = 9 Hz), 7.34 (m, 2H). LCMS (m/z): 341 (M-1)。
【0265】
実施例96:(R)−1−(6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−スルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化113】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、6−モルホリン−4−イル−ピリジン−3−スルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 2.25-2.45 (br, 4H), 3.63 (t, 4H, J = 5 Hz), 3.77 (t, 4H, J = 5 Hz), 4.0 (dd, 2H), 4.7 (d, 1H, J = 7 Hz), 5.60 (br, 2H), 6.85 (d, 1H, J = 8 Hz), 7.85 (dd, 1H, J = 8 Hz), 8.45 (d, 1H, J = 2 Hz). LCMS (m/z): 369 (M+1)。
【0266】
実施例97:(R)−1−(3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニル)−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−2−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化114】

方法B、GおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−ペント−4−エノイック酸エチルエステル、3,4−ジメトキシ−ベンゼンスルホニルクロライドおよび3−ブロモ−プロペンから製造する。1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 2.10-2.25 (m,1H), 2.30-2.45 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.95-4.15 (m, 2H), 4.60 (d, 1H, J = 6 Hz), 5.65 (br, 2H), 7.05 (d, 1H, J = 8.5 Hz), 7.82 (d, 1H, J = 2 Hz), 7.45 (dd, 1H, J = 2 Hz, J = 8 Hz). LCMS (m/z): 343 (M+1)。
【0267】
実施例98:(R)−2−[(ベンゾチアゾール−2−スルホニル)−(3−メチル−ブチル)−アミノ]−N−ヒドロキシ−3−メチル−ブチルアミド
【化115】

方法AおよびLに従い、表題化合物を(R)−2−アミノ−3−メチル−酪酸tert−ブチルエステル、ナフタレン−2−スルホニルクロライドおよび1−ヨード−3−メチル−ブタンから製造する。1H NMR (400 MHz, MeOD): δ 0.85-0.95 (m, 12H), 1.4-1.75 (m, 4H), 2.2-2.3 (m, 1H), 3.4-3.5 (m, 1H), 3.7-3.8 (m, 1H), 3.9-4.05 (d, 1H, J = 9 Hz), 7.55-7.7 (m, 2H), 8.08 (d, 1H, J = 7 Hz,), 8.22 (d, 1H, J = 7 Hz). LCMS (m/z): 400 (M+1)。
【0268】
ベンゾチアゾール−2−スルホニルクロライド
【化116】

2−メルカプト−ベンゾチアゾール(2g、11.98mmol)の30%酢酸/水懸濁液を0℃で塩素ガスを通気しながら15分間撹拌し、反応混合物を濾過し、フィルターケーキを水で洗浄し、何等精製せずに次工程に使用する。
【0269】
【表1】

【表2】

【0270】
【表3】

【表4】

【0271】
【表5】

【表6】

【0272】
【表7】

【表8】

【0273】
【表9】

【表10】

【0274】
【表11】

【表12】

【0275】
【表13】

【表14】

【0276】
【表15】

【0277】
他の態様
他の態様は、当業者には明白である。前記の詳細な記載は明瞭かのためのみに記載し、単なる例であることは理解すべきである。本発明の精神および範囲は上記実施例に限定されず、添付する特許請求の範囲により包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル−、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりアリール−アルコキシ−、ヒドロキシ、アルコキシ、HS−、アルキル−S−、アルキル−O−(O)C−、シアノ、アルキル−SO−またはアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ−アルキル−、アリール−アルキル−、ヘテロアリール−アルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキルであり、これらの各々は場合によりHS−、ハロ、アルコキシ、アルキルまたはジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
Xは水素、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
YはR−NH−であり、ここで、Rは水素、アルキル、アルキル−C(O)−またはアリールであるか;または
Yはアルコキシ、アルキル、水素、ヒドロキシル、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルコキシ−であり;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項2】
が(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(4−7員)ヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりヒドロキシ、HS−、(C−C)アルキル−S−、(C−C10)アリールまたは(C−C)アルキル−O−C(O)−から選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−、(5−9員)ヘテロアリール−(C−C)アルキル−または(C−C10)アリールオキシ−(C−C)アルキル−であり;Xが水素、ヒドロキシまたは(C−C)アルコキシであり;Yが水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−であるか;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する、請求項1に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項3】
が(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニルであり;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり;YがH、HN−、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−NH−であり;XがH、HO−または(C−C)アルコキシである、請求項2に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項4】
式(II)
【化2】

〔式中、
は水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール−アルキル−、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりアリール−アルコキシ−、ヒドロキシ、アルコキシ、HS−、アルキル−S−、アルキル−O−(O)C−、シアノ、アルキル−SO−またはアリールから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
はH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールオキシ−アルキル−、アリール−アルキル−、ヘテロアリール−アルキル−またはヘテロシクロアルキル−アルキルであり、これらの各々は場合によりHS−、ハロ、アルコキシ、アルキルまたはジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;
Xは水素、ヒドロキシル、アルコキシまたはハロであり;
YはR−NH−であり、ここで、Rは水素、アルキル、アルキル−C(O)−またはアリールであるか;または
Yはアルコキシ、アルキル、水素、ヒドロキシル、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルコキシ−であり;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項5】
が(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(4−7員)ヘテロシクロアルキルであり、これらの各々は場合によりヒドロキシ、HS−、(C−C)アルキル−S−、(C−C10)アリールまたは(C−C)アルキル−O−C(O)−から選択される1〜3個の置換基で置換されていてよく;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−、(5−9員)ヘテロアリール−(C−C)アルキル−または(C−C10)アリールオキシ−(C−C)アルキル−であり;Xが水素、ヒドロキシまたは(C−C)アルコキシであり;Yが水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−であるか;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する、請求項4に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項6】
が(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニルであり;Rが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニルまたは(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり;YがH、HN−、(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−NH−であり;XがH、HO−または(C−C)アルコキシである請求項5に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項7】
式(IIA)
【化3】

〔式中、
はアルキルであり、Rはアルキルまたはアリール−アルキル−であり、Aはアリール−NH−、HN−、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル−C(O)−NH−、アルケニル−O−またはアリール−アルキル−O−である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項8】
が(C−C)アルキルであり、Rが(C−C)アルキル、(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−であり、Aが(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル−O−、HN−または(C−C)アルキル−C(O)−NH−または(C−C10)アリール−(C−C)アルキル−O−である請求項7に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項9】
式(III)
【化4】

〔式中、
およびZは独立してCまたはNであり;
およびRは独立して水素、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;
およびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項10】
がNであり、ZがCであり、RおよびRが独立して(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルまたは(C−C)アルキニルであるか;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する、請求項9に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項11】
がCであり、ZがNであり、RおよびRが独立して(C−C)アルキル、(C−C)アルケニルまたは(C−C)アルキニルであるか;またはRおよびRは、それらが結合している炭素原子および窒素原子と一体となって3−7員環を形成する、請求項10に記載の化合物;またはその薬学的に許容される塩;またはその光学異性体;または光学異性体混合物。
【請求項12】
対象におけるMMP−13および/またはMMP−12の活性を阻害する方法であって、対象に治療有効量の請求項1または4または7または9に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項13】
対象におけるMMP−13および/またはMMP−12が仲介する障害または疾患を処置する方法であって、治療有効量の請求項1または4または7または9に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
障害または疾患がアルポート症候群、喘息、鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節炎、アテローム性動脈硬化症、癌侵襲および転移、組織破壊が関与する疾患、股関節置換の緩み、歯周病、細胞外マトリックスの弱化に関連する疾患、心不全、大動脈瘤から成る群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
治療有効量の請求項1または4または7または9に記載の化合物および1個以上の薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
治療有効量の請求項1または4または7または9に記載の化合物および抗炎症剤および抗リウマチ剤から選択される1個以上の治療活性剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
医薬として使用するための、請求項1または4または7または9に記載の式(I)または(II)または(IIA)または(III)の化合物。
【請求項18】
対象におけるMMP−13および/またはMMP−12が仲介する障害または疾患の処置用医薬組成物の製造のための、請求項1または4または7または9に記載の式(I)または(II)または(IIA)または(III)の化合物の使用。
【請求項19】
医薬として使用するための、請求項15または16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
対象におけるMMP−12および/またはMMP−13が仲介する障害または疾患の処置用医薬の製造のための、請求項15または16に記載の医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2011−528013(P2011−528013A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517889(P2011−517889)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058932
【国際公開番号】WO2010/007027
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】