説明

ヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの製造方法および前記カーボンナノチューブを含有する物質および分散体

本発明は、カルボン酸基を有するカーボンナノチューブを1以上のエポキシドと反応させることによるヒドロキシアルキルエステル基を有するカーボンナノチューブの製造方法およびこのように官能基化されたカーボンナノチューブを含有する分散体および物質に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの製造方法、これらのカーボンナノチューブの一部を、必要に応じてポリイソシアネート分散剤へ共有結合させることができるカーボンナノチューブを含有する分散体、特に好ましくはポリオールおよび/またはポリイソシアネートにおける分散体の製造方法、これらのカーボンナノチューブを含有する物質、特に好ましくはポリウレタンポリマーの製造方法、およびカーボンナノチューブの一部が物質へ共有結合しているカーボンナノチューブを含有する物質、特にポリウレタンポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、その非常に優れた特性について知られている。例えばその強度は、鋼の約100倍であり、熱伝導性は、ダイヤモンドの熱伝導性の約2倍であり、熱安定性は、減圧下で2800℃までであり、および電気伝導性は、銅の電気伝導性の数倍であり得る。しかしながら、これらの構造関連特性は、カーボンナノチューブを均質に分散することができ、該チューブと媒体との間に極めて広い接触面積を確立することができる場合、すなわちカーボンナノチューブが媒体と相溶性であり、従って安定に分散することができる場合にのみ得られる。
【0003】
カーボンナノチューブまたは炭素繊維の化学的官能基化は、とりわけ分散性を向上させることができる。Tsubokawaによる総説(Polymer Journal 2005、第37巻、第637〜655頁)は、このような官能基化についての多くの可能性を記載する。複合化学反応、例えば1,1’−ジカルボキシフェロセンにおける配位子交換反応、スチレンによるリビングラジカル重合およびアジドによる反応等に加えて、当該分野において知られている通り、カーボンナノチューブとHNOとの酸化およびそれに基づく対応する変法が記載されている。Tsubokawaは、カルボキシル基の酸化導入後の引き続きの化学について3つの可能性について報告する。
【0004】
第1の変法は、カーボンナノチューブのカルボキシ基とカップリング試薬、例えばペプチド化学から既知のジシクロヘキシルカルボジイミド等との反応、引き続きの求核剤との反応である。しかしながら、この方法は、高価なカップリング試薬の使用を必要とし、および用いるカップリング試薬に応じて、副生成物として難溶性ウレアを生じさせる。
【0005】
第2の変法は、塩化チオニルとの酸基の活性化、引き続きの求核剤との更なる反応である。ここでは、塩化チオニルの使用により引き起こされるSOおよびHClの放出が欠点である。さらに、HClは、活性酸基と求核剤との引き続きの反応により再び放出される。この副生成物は、このようにして分散体中で官能基化されたカーボンナノチューブの引き続きの使用について破壊作用を有し、化学反応に影響を与える。
【0006】
第3の変形は、気相から得られた炭素繊維(気相成長炭素繊維、VGCF)を参照することによりこの総説に記載される。ここで、エポキシドおよび酸無水物のアニオン性共重合は、交互開環により行われる。これは、同一の著者によりPolymer Journal 2004、第36巻、第316頁〜第322頁において別個に既に記載されている。合成順序は、カルボキシル基とKOHとの脱プロトン化により開始される。これは、重合を、この化学を極めて高価にし、および廃棄物処理での問題をもたらすクラウンエーテルの存在下で行わなければならないことを意味する。特定の実施例では、炭素繊維のカルボキシレート基を、スチレンオキシドおよびフタル酸無水物と反応させる。表は、カルボキシレート基とスチレンオキシド単体との反応は、変換をもたらすことができないことを示す。
【0007】
ポリエステルポリオールにおけるカルボキシル基の官能基化は、DE3613875A1に開示されている。ポリカルボン酸および/またはその無水物および多価アルコールを縮合して、1未満の酸値、約20〜約400のヒドロキシル価および2〜3の官能価を有するポリエステルポリオールが製造される。これは、従来使用されるエステル化触媒を存在させずに150℃〜250℃の温度にて、必要に応じて減圧下にて有利に行われる。重縮合は、20〜5の酸価が得られるまで継続され、次いで、得られた重縮合物は、アルキレンオキシド、例えば1,2−プロピレンオキシドおよび/または好ましくはエチレンオキシドのカルボキシル基1個当たり1〜5モルで、第3級アミノの存在下でアルコキシル化される。第3級アミンは、N−メチルイミダゾール、ジアザビシクロ−[2,2,2]オクタン、ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス−7−エンおよびペンタメチレンジエチレントリアミンを含む群から選択される。触媒は、重縮合物の重量に対して0.001〜1.0重量%の量で好都合に使用される。アルコキシル化は、100℃〜170℃の温度にて1〜10バールの圧力下で有利に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第3613875号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Polymer Journal 2005、第37巻、第637〜655頁
【非特許文献2】Polymer Journal 2004、第36巻、第316頁〜第322頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、表面におけるカルボキシル基に基づいて、エステル基と遊離OH基との間に少なくとも2つの炭素原子の距離が存在するヒドロキシアルキルエステル基が存在する官能基化カーボンナノチューブの改良された製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の工程:
(a)共有結合したカルボキシル基を表面において有するカーボンナノチューブの供給、および
(b)工程(a)からのカーボンナノチューブと1以上のエポキシド:
【化1】

〔式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素、アルキル基またはアリール基である〕
との反応
を含み、エポキシドは、反応の間、気体形態である、ヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
工程(a)において供給されるカーボンナノチューブは、好ましくは固体形態である。
【0013】
本発明では、用語「アルキル」は、n−アルキル、分枝状アルキルおよびシクロアルキルを含む群からの置換基を包含する。本発明では、用語「アリール」は、単環式カルボアリールおよびヘテロアリール、および多環式カルボアリールおよびヘテロアリールを含む群からの置換基を包含する。
【0014】
先行技術を越える本発明による方法の優位性は、費用効率が高い気相による合成経路である。本発明による方法では、酸塩化物として活性化は必要ではなく、先行技術において行われる該工程は省略される。出発物質および最終生成物は、更なる処理を伴わずに任意の媒体中へ一般的に組み込むことができる固体である。本発明による方法では、気体状反応体と固体形態で用いる酸化カーボンナノチューブとの反応は、極めて複雑な処理工程を必要としない。一方、先行技術では、官能基化カーボンナノチューブは、液体反応媒体または溶媒から極めて複雑な手段により反応の完了により単離されなければならない。カーボンナノチューブの広い表面積は、過剰の媒体または溶媒を完全に除去することがより困難となり、すなわち、この吸着物質の痕跡は、カーボンナノチューブに付着したままである。従って、気相による酸化カーボンナノチューブの反応は、この種の不純物は、この場合に避けられ、固体生成物は、任意の媒体中で一般に使用することができるので、特に有利である。本発明による方法は、同様に反応中に気体形態である極めて少量の触媒を必要とする付加反応であるので、酸塩化物による製造と比較して更に有利である。酸塩化物によるエステル化の場合(先行技術)、引き続きの反応を防止するために除去する必要がある塩化水素の化学両論量が放出される。意外にも、本発明による方法は、触媒作用を伴わずに行うこともできる。
【0015】
本発明により官能基化されたカーボンナノチューブは、ヒドロキシ基反応性または非反応性媒体中へ直接分散することができる。意外にも、非官能基化カーボンナノチューブを有する分散体と比較してより優れた長期間安定性を有するより均質の分散体は、本発明による方法により官能基化されたカーボンナノチューブを用いて得られる。本発明による方法により官能基化されたカーボンナノチューブを有する分散体中においてフィラーによって引き起こされる粘度の上昇は、非官能基化カーボンナノチューブを有する分散体における粘度の上昇より遙かに小さいことも見出された。意外にも、本発明により官能基化されたカーボンナノチューブで充填されたポリウレタンは、低いフィラー濃度でさえ、大きく向上した機械的特性を有する。さらに、意外にも、これにより充填されたポリウレタンの抵抗率は、カーボンナノチューブの化学官能基化に拘わらず、明らかに減少する。
【0016】
例えば、出発物質として用いる表面へ共有結合したカルボキシル基を有するカーボンナノチューブは、HNO法のような酸化過程により、非官能基化カーボンナノチューブから得られる。表面におけるカルボキシル基の含有量は、電気伝導度滴定により決定することが可能であり、カーボンナノチューブの1グラム当たりのカルボキシル基のミリモルにより規定される。
【0017】
含有量は、好ましくは≧0.01ミリモル/g〜≦50ミリモル/g、特に好ましくは≧0.1ミリモル/g〜≦10ミリモル/gであってよい。
【0018】
本発明による方法の工程(b)では、気体状エポキシドは、有利には、カーボンナノチューブの表面上におけるカルボキシル基に対して大過剰で用いることができる。反応圧力(絶対)は、好ましくは≧1バールおよび≦10バール、特に好ましくは≧1バールおよび≦6バールの間であってよい。反応温度は、好ましくは≧50℃および≦200℃の間、特に好ましくは≧80℃および≦150℃の間であってよい。反応は、好ましくは保護ガス(例えば窒素、アルゴン、ヘリウム)下で行うことができる。
【0019】
本発明による方法の好ましい実施態様では、工程(b)におけるカーボンナノチューブの反応は、触媒として気体状第3級アミンの存在下で行う。第3級アミンが好ましい。その例は、ジアザビシクロアルカン、例えば1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等、ジアザビシクロアルケン、例えば1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデス−7−エン等、トリアミン、例えばペンタメチルジエチレントリアミン等、ビス(2−ジアルキルアミノアルキル)エーテル、例えばビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等、およびトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミンまたはN,N−ジメチルエチルアミン等である。触媒は、特に好ましくはN,N−ジメチルエチルアミンである。
【0020】
好ましい実施態様では、反応中に気体形態である工程(b)におけるエポキシドにおけるR1およびR2は、互いに独立して水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルまたはフェニルを表すか、または組み合わさって−(CH−を表す。工程(b)におけるエポキシドは、特に好ましくは末端アルキレンオキシドである。このようなアルキレンオキシドの例は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシドである。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドは、特に好ましい。
【0021】
更なる好ましい実施態様では、工程(a)におけるカーボンナノチューブ は、単壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、円筒型、スクロール型、マルチスクロール型のおよび/またはオニオン状構造での多壁カーボンナノチューブを含む群から選択される。外径に対する長さの比が≧5、好ましくは≧100であるカーボンナノチューブは、特に好ましい。
【0022】
組み合わさって積み重なり、および巻き上がった多重黒鉛層からなるカーボンナノチューブ構造も同様に用いることができる。これらは、マルチスクロールカーボンナノチューブと称される。(注:これは前段落に既に記載されている)。これらのカーボンナノチューブは、DE102007044031A1に記載されている。
【0023】
本発明により製造されるヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブは、好ましくは≧3nm〜≦100nm、特に好ましくは≧4nm〜≦80nm、最も特に好ましくは≧5nm〜≦60nmの直径を有する。ここで、直径は、カーボンナノチューブの平均径に関する。カーボンナノチューブの長さへの制限はない。カーボンナノチューブの長さは、好ましくは≧1μm〜≦100μm、特に好ましくは≧10μm〜≦30μmの範囲であってよい。
【0024】
本発明による方法により製造された遊離OH基を含有するカーボンナノチューブは、必要であれば、ヒドロキシ基と更に化学的に反応させることができる。遊離OH基の含有量は、カーボンナノチューブの1グラム当たりのOH基のミリモルにより表されるが、好ましくは≧0.01ミリモル/g〜≦50ミリモル/g、好ましくは≧0.1ミリモル/g〜≦10ミリモル/gである。
【0025】
本発明により製造されるヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの、固体マトリック中での均質な分布および混合のための方法は、一般に既知である。これらは、例えば、個々の条件に適合した極めて高い圧力下での粉砕法であってよい。適当な固体マトリックスは、例えば、無機ポリマー、例えばセラミック等、またはポリマー無機酸化物、例えば酸化アルミニウム等である。炭化ケイ素、窒化ケイ素および窒化ホウ素およびこれらの混合物も同様に適当である。さらに、金属、例えばアルミニウム、マグネシウム、鉛、銅、タングステン、チタン、ニオビウム、ハフニウム、バナジウム、銀およびその混合物等は、本発明のより製造されたカーボンナノチューブの均質な分布のための固体マトリックスとして適当である。
【0026】
本発明はまた、分散体の製造のための種々の液体または融解性媒体中における本発明により製造されたヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの使用を提供する。本発明により官能基化されたカーボンナノチューブは、媒体/マトリックス中で遊離ヒドロキシ基により共有結合することができる。しかしながら、本発明によるカーボンナノチューブを、共有結合することなく、媒体/マトリックス中に存在させることも可能である。組み込みのための通常の分散法は、一般に既知である。組み込みは、例えば回転子−固定子系、ジェット分散機、押出機またはカレンダーを用いる高せん断力の適用により、ボールミルおよび/またはビーズミルを用いる粉砕法により、または超音波によるキャビテーションの適用により行うことができる。用いることができる液体または融解性媒体は、例えば有機ポリマーまたは熱可塑性ポリマーまたは融解性熱可塑性ポリマーのための原料である。例えばポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリフェニレン、ポリスルホン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ゴムまたはこれらの混合物が好ましい。ポリウレタン(PU)原料(媒体として)中の分散体は、特に好ましい。適当なPU原料は、ポリオールおよびポリイソシアネートである。分散体中におけるカーボンナノチューブの濃度は、好ましくは≧0.01重量%〜≦10重量%、特に好ましくは≧0.1重量%〜≦5重量%の範囲である。分散体は、回転子−固定子系を有する撹拌器を、≧2000rpmおよび≦30000rpmのような高速で用いて得られる。該分散体は、付加的に超音波へ暴露することができる。
【0027】
適当なポリオールは、原則として、ポリウレタン化学において従来使用されるポリオール、例えばポリエーテル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリカプロラクトンおよびポリエステルポリオール等である。これらのポリオールは、「Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie」、第4版、第19巻、第304頁〜第305頁、Verlag Chemie、ワインハイムにおいて、またはUlrich Meier−Westhuesによる「Polyurethane −Lacke, Kleb−und Dichtstoffe」、Vincentz Network、ハノーバー、2007年において記載されている。
【0028】
適当なポリイソシアネートは、≧2のNCO官能価を有する芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式ポリイソシアネートである。
【0029】
このような適当なポリイソシアネートの例は、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたはこれらの任意の異性体含量の混合物、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート(TDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,2’−および/または2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3−および/または1,4−ビス(2−イソシアナトプロプ−2−イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)ならびにC〜C−アルキル基を有するアルキル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート(リジンジイソシアネート)である。
【0030】
上記ポリイソシアネートに加えて、ウレットジオンを有する変性ジイソシアネート、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造および1分子当たり2個より多いNCO基を有する非変性ポリイシソアネート、例えば4−イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート等を、ポリイソシアネート成分の一部または全部として用いることができる。
【0031】
上記ポリイソシアネートおよびポリオールからなるNCO末端プレポリマーをポリイソシアネート成分として用いることも可能である。
【0032】
更なる好ましい変法では、本発明により製造されたカーボンナノチューブは、特に好ましくはポリイソシアネート中に分散し、次いで該分散体を、必要に応じて触媒を用いて60℃および150℃の間の温度へ加熱し、カーボンナノチューブの末端遊離ヒドロキシ基の少なくとも一部をポリイソシアネートと反応させ、次いで冷却する。更なる分散体を、必要に応じて反応後に行うことができる。
【0033】
本発明により製造されたヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブは、ポリウレタンポリマーの合成に特に有利に用いることができ、従ってポリマーマトリックス中へ共有結合的に組み込むことができる。
【0034】
従って、本発明はまた、以下の工程:
(a)本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの第1分散体の(i)ポリオール中または(ii)ポリイソシアネート中における供給、
(b)前記第1分散体と、(i)ポリイソシアネートと、または(ii)ポリオールおよび/または本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの(i)ポリイソシアネート中または(ii)ポリオール中の第2分散体との、必要に応じて触媒、鎖延長剤、架橋剤、補助物質、例えば安定剤、難燃剤、抗酸化剤およびポリウレタン化学において通常使用される固体および/または液体添加剤、例えば顔料、カーボンブラック、黒鉛、導電性カーボンブラック、グラフェン、非官能基化カーボンナノチューブ、可塑剤等の存在下での反応
を含む、本発明により官能基化されたカーボンナノチューブを含有するポリウレタンポリマーを製造するための方法を提供する。
【0035】
本発明により官能基化されたカーボンナノチューブは、好ましくは、両方の成分(ポリオールおよびポリイソシアネート)中に存在させることが可能であり、次いでこれら2つの分散体を、互いに、必要に応じて更なるポリイソシアネートおよび/またはポリオールと反応させる。
【0036】
ポリイソシアネート中のNCO基とNCO反応性OH基とのモル比は、好ましくは≧0.90:1〜≦4.50:1、特に好ましくは≧0.95:1〜≦3.50:1、極めて特に好ましくは≧0.95:1〜≦1.5:1である。
【0037】
工程(a)または(b)におけるポリオールは、好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。好ましいポリエーテルポリオールは、≧25mgKOH/g〜≦550mgKOH/g、特に好ましくは≧100mgKOH/g〜≦520mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。好ましいポリエステルポリオールは、≧100mgKOH/g〜≦550mgKOH/g、特に好ましくは≧200mgKOH/g〜≦500mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。記載したポリオールは、好ましくは≧250〜≦5000g/モル、より好ましくは≧400g/モル〜≦3500g/モルの範囲のモル質量、および好ましくは≧1.8および≦6の間、より好ましくは≧1.95および≦3.5の間の範囲の官能価を有する。
【0038】
工程(a)または(b)におけるポリイソシアネートは、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づくポリイソシアネートである。ポリイソシアネートがMDIに基づくことは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づくポリイソシアネートがモノマー多環式MDIおよび/またはポリマーMDIであることを意味する。
【0039】
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づくポリイソシアネートは、例えば≧25重量%〜≦35重量%のNCO含有量を有してよい。NCO含有量は、≧29重量%〜≦31重量%の範囲であってもよい。
【0040】
意外にも、剛化は、カーボンナノチューブを含有しないポリウレタンと比べて、ならびに本発明により官能基化されないカーボンナノチューブを含有するポリウレタンと比べて、本発明によるポリウレタンポリマーにおいて観測される。
【0041】
本発明によるポリウレタンポリマー中のカーボンナノチューブの割合は、好ましくは≧0.01重量%〜≦10重量%、特に好ましくは≧0.1重量%〜≦5重量%である。このようなポリウレタン中の本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの少ない割合でさえ、ポリマーマトリックスの著しい強化をもたらす。
【0042】
本発明によるポリウレタンポリマーは、例えば≧1N/mm〜≦10000N/mmの弾性率を有することができる。弾性率が≧10N/mm〜≦5000N/mm、好ましくは≧100N/mm〜≦1000N/mmであるポリウレタンポリマーは、ポリウレタンエラストマーとして記載することができる。弾性率は、0.025%および0.05%伸びの間で変形を縮小させながらDIN 53 504に従う引張試験からの応力−歪み曲線の操作点における上昇として決定する。
【0043】
本発明を、以下の実施例によって、より詳細に説明する。
【実施例】
【0044】
用いた材料および略称の意味は以下の通りである:
【0045】
〔Desmophen(登録商標) VP.PU 22HS51〕
112mgKOH/gのOH価を有する2官能性ポリエーテルポリオール(Bayer MaterialScience AG)
【0046】
〔Desmodur(登録商標) CD−S〕
29.5%のNCO含有量を有する4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートに基づく変性ポリイソシアネート(Bayer MaterialScience AG)
【0047】
〔DABCO 33−LV〕
アミン触媒、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、プロピレングリコール中の33%溶液(Air Products)
【0048】
〔Niax A1〕
アミン触媒、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコール中の70%溶液(Momentive Performance Materials Inc.)
【0049】
〔ジメチルエチルアミン〕
N,N−ジメチルエチルアミン(Sigma Aldrich)
【0050】
〔DBTL〕
ジブチル錫ジラウレート
【0051】
〔DPG〕
ジプロピレングリコール
【0052】
〔CNT3〕
Baytubes(登録商標) C150P、多壁カーボンナノチューブ(Bayer MaterialScience AG)
【0053】
〔酸化CNT〕:既知の方法により表面に導入されたカルボキシル基を有するBaytubes(登録商標) C150P型(Bayer MaterialScience AG)の酸化カーボンナノチューブ(oxCNT)(酸価=12.9mgKOH/g)
【0054】
実施例において得られたPUエラストマーの機械特性は、以下の標準に従って決定した:
硬度[ショアA]:DIN 53 505
引張強度[MPa]:DIN 53 504
最大伸び[%]:DIN 53 504
弾性率[N/mm]:0.025%および0.05%伸びの間で変形を縮小させながらDIN53504に従う引張試験からの応力−歪み曲線の作用点における上昇として
【0055】
製造した分散体の粘度は、Anton PaarからのPhysica MCR 51粘度計を用いて、対応する電気伝導性は、4極計測セルを有するKnickからの型703伝導度測定器を用いて決定した。規定の抵抗率は、ASTM D 257に従って計算した。
【0056】
実施例について概要を記す:
【0057】
HNO法により酸化したBaytubes(登録商標) C150P(多壁カーボンナノチューブ)は、0.23ミリモル/g(電気伝導度滴定)のカルボキシル基濃度を有した。
【0058】
酸化Baytubes(登録商標)のアルコキシル化は、スチール製圧力反応器中で、アミン触媒作用によりまたは触媒作用によらずに、長期間にわたり気体エポキシドと、および過剰のエポキシドとの反応により行った。
【0059】
こうして得られたアルコキシル化カーボンナノチューブを、ポリオール中へ所望の濃度でイソシアネートとの反応直前に導入し、および回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)でせん断し、および超音波で処理した(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)。
【0060】
こうして得られた分散体を、触媒の添加前および添加後はいずれも、短時間、減圧下で脱気した。イソシアネートを、分散体と共に短時間、撹拌した。この反応混合物を、ヒンジで連結された金型中へ注ぎ、70℃にてアニールした。
【0061】
こうして得られたカーボンナノチューブの割合を含有するポリウレタンエラストマーを、硬度および引張強度について、および電気特性について試験した。
【0062】
実施例1(アルコキシル化、CNT1)→触媒による
75gの酸化CNT(oxCNT、酸価=12.9mgKOH/g)を、1リットルスチール製圧力反応器中に保護ガス(窒素)下に置き、次いで撹拌(1200rpm)しながら125℃へ加熱した。5.0gのアミン触媒(ジメチルエチルアミン)をこの温度にて添加し、該混合物を1時間125℃にて撹拌した。次いで、まず、反応器を、標準圧へ減圧し、次いで5回、窒素で5.0バール(絶対)へ毎回加圧し、反応器を標準圧へ各圧力構成後に再び戻した。次に、まず、圧力を4.0バール(絶対)窒素へ125℃にて撹拌しながら増加させ、次いで2.5gのエチレンオキシドを、反応器圧を4.3バール(絶対)へ上昇させながら添加した。圧力を4.0バール(絶対)へ再び低下させると(5分後)、更なる2.5gのエチレンオキシドを、反応器圧を4.3バール(絶対)へ上昇させながら添加した。圧力を4.1バール(絶対)へ低下させると(7分後)、該混合物を、更なる60分間125℃にて撹拌した。次いで該混合物を室温へ冷却し、反応器を標準圧へ減圧し、次いで5回、窒素で5.0バール(絶対)へ毎回加圧し、標準圧へ再び戻した。生成物を、反応器から除去し、次いで2時間、150℃にて高真空下で処理した。
【0063】
実施例2(アルコキシル化、CNT2)→触媒によらない
75gの酸化CNT(oxCNT、酸価=12.9mgKOH/g)を、1リットルスチール製圧力反応器中に保護ガス(窒素)下に置き、次いで撹拌(1200rpm)しながら125℃へ加熱した。この温度にて、圧力を4.0バール(絶対)窒素へ増加させ、次いで2.5gのエチレンオキシドを、反応器圧を4.3バール(絶対)へ上昇させながら添加した。圧力を4.0バール(絶対)へ再び低下させると(4分後)、更なる2.5gのエチレンオキシドを、3回、反応器圧力を4.3バール(絶対)へ毎回上昇させながら添加し、次いで4.1バール(絶対)へ低下させた。更なる60分間125℃にて撹拌した後、該混合物を室温へ冷却し、反応器を標準圧へ減圧し、次いで5回、窒素で5.0バール(絶対)へ毎回加圧し、標準圧へ再び戻した。生成物を、反応器から除去し、次いで2時間、高真空下で150℃にて処理した。
【0064】
分析値:酸値=4.25mgKOH/g
【0065】
実施例3:(分散体、1重量%CNT1、分散体1A)
99gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、1.0gのCNT1へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、80kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体1Aを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0066】
実施例4:(分散体、3重量%CNT1、分散体1B)
97gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、3.0gのCNT1へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、240kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体1Bを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0067】
実施例5:(分散体、1重量%CNT2、分散体2A)
99gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、1.0gのCNT2へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、80kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体2Aを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0068】
実施例6:(分散体、3重量%CNT2、分散体2B)
97gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、3.0gのCNT2へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、240kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体2Bを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0069】
実施例7:(分散体、1重量%CNT3、分散体3A)
99gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、1.0gのCNT3(Baytubes(登録商標) C150P)へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、80kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体3Aを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0070】
実施例8:(分散体、3重量%CNT3、分散体3B)
97gのDesmophen(登録商標) VP.PU 22HS51を、3.0gのCNT3(Baytubes(登録商標) C150P)へ150mLビーカー中において添加した。該混合物を、回転子−固定子系(T 18 basic ULTRA−TURRAX(登録商標)、IKA Werke GmbH & Co. KG、シュタウフェン、ドイツ)を用いて10分間、24000rpmにて、氷冷水で冷却しながらせん断し、次いで超音波(Probe Sonicator HD 3200、BANDELIN electronic GmbH & Co. KG、ベルリン、ドイツ)で、再び氷冷水で冷却しながら、240kJの合計エネルギー入力まで処理した。こうして得られた分散体3Bを、イソシアネートとの更なる反応についてすぐに用いた。
【0071】
実施例9:PUエラストマーの製造
ポリオールまたはカーボンナノチューブを含有するポリオール分散体(1A、1B、2A、2B、3Aまたは3B)を1リットル表面研磨ポット中へ導入し、触媒の添加前および添加後はいずれも短時間、脱気した。イソシアネートを、短時間、室温で撹拌し、反応混合物を、ヒンジで結合された金属型枠中へ注ぎ、次いでアニール循環へ付した。
【0072】
組成物PU1〜PU8の詳細を以下の表に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
得られたエラストマーPU1〜PU8の機械特性を、以下の2つの表に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
比較を容易にするため、以下の表は、対応する未充填エラストマーPU1およびPU2と比較してカーボンナノチューブで充填されたエラストマーについての特性物質値中の割合変化を示す。
【0078】
【表4】

【0079】
ポリウレタンエラストマーについての本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの強化の影響は明らかに認められ、該影響は、比較的低濃度でさえ明らかである。Baytubes(登録商標) C150P型の完全非官能基化カーボンナノチューブを含有するエラストマーPU7は、未充填エラストマーPU1と比べてショア硬度の上昇を示さず、引張強度におけるわずかな減少および弾性率の減少を示した。本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの強化性作用は、高いフィラー濃度でもより明らかであった。従って、エラストマーPU4は、未充填エラストマーPU2より81.5%高い弾性率を有した。他方、非官能基化Baytubes C150Pでの同じフィラー含有量は、51.3%高い弾性率をもたらす。エラストマーPU5およびPU6中におけるアミン触媒作用によらない本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの強化性作用もまた、それぞれ33.3%高いおよび102.1%高い弾性率を有し、非常に明らかである。
【0080】
製造した分散体の測定粘度および電気伝導性を、以下の表に示す。
【0081】
【表5】

【0082】
上記の導電性の値は、官能基化が、CNT典型的電気伝導性の絶対損失をもたらさないが、単に減少することを明らかに示す。分散体1Aおよび1Bの場合には、伝導性は、対応する非官能基化カーボンナノチューブを有する分散体3Aおよび3Bと比較して減少する。さらに、フィラーにより引き起こされた分散体1Aおよび1Bの粘度における上昇は、3Aおよび3Bの粘度上昇の半分の大きさである。同じことが、分散体2Aおよび2Bと分散体3Aおよび3Bとの比較において当てはまる。しかしながら、分散体2Aおよび2Bの場合には、計測可能な電気伝導性は、1Aおよび1Bの電気伝導性より高い。これらの分散体の間での差異は、本発明によるアルコキシル化を行った方法に起因する。型CNT2カーボンナノチューブは、アミン触媒を存在させずにアルコキシル化した。従って、分散体2Aおよび2Bは、僅かに低い電気伝導性を有する非官能基化カーボンナノチューブ(3Aおよび3B)と比較してより低い粘度上昇を特徴とする。従って、分散体型2Aおよび2Bは、とりわけ、これらから製造したポリウレタンの機械および電気特性のいずれにも正の影響を与えるために理想的な前提条件を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブの製造方法であって、以下の工程:
(a)共有結合したカルボキシル基を表面において有するカーボンナノチューブの供給、および
(b)工程(a)からのカーボンナノチューブと、1以上のエポキシド:
【化1】

〔式中、R1およびR2は、互いに独立して、水素、アルキル基またはアリール基である〕
との反応
を含み、該エポキシドは、反応の間、気体形態である、方法。
【請求項2】
工程(b)におけるカーボンナノチューブの反応を、触媒としての第3級アミンの存在下で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)におけるカーボンナノチューブの反応を、触媒としての反応温度において気体形態である第3級アミンの存在下で行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R1およびR2は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルまたはフェニルを表すか、または組み合わさって−(CH−を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)に用いるエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドまたは2,3−ブチレンオキシドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)におけるカーボンナノチューブは、単壁カーボンナノチューブ、多壁カーボンナノチューブ、円筒型、スクロール型、マルチスクロール型のおよび/またはオニオン状構造での多壁カーボンナノチューブを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)における反応を、≧50℃〜≦200℃の温度において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)における反応を、不活性ガスの存在下で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8に記載の方法により製造されたヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブをポリオール中に含有する分散体。
【請求項10】
請求項1〜8に記載の方法により製造されたヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブをポリイソシアネートおよび/またはNCO末端プレポリマー中に含有する分散体。
【請求項11】
請求項10に記載の分散体の製造方法であって、カーボンナノチューブを、ポリイソシアネート中におよび/またはプレポリマー中に分散し、次いで該分散体を、必要に応じて触媒を用いて60℃および150℃の間の温度へ加熱し、カーボンナノチューブの末端遊離ヒドロキシ基の少なくとも一部をポリイソシアネート/プレポリマーと反応させ、更なる分散を必要に応じて行い、次いで冷却する、方法。
【請求項12】
請求項1〜8に記載の方法により製造されたヒドロキシアルキルエステル基を含有するカーボンナノチューブを物質マトリックス中に含有する物質。
【請求項13】
物質マトリックスは、無機ポリマー、セラミック物質、ポリマー無機酸化物、金属または有機ポリマーである、請求項12に記載の物質。
【請求項14】
カーボンナノチューブは、マトリックスとしてのポリオールおよびポリイソシアネートの反応混合物中に存在する、請求項12に記載の物質。
【請求項15】
請求項14に記載の物質の製造方法であって、以下の工程:
(a)請求項1に記載の官能基化カーボンナノチューブの第1分散体の(i)ポリオール中または(ii)ポリイソシアネート中の供給、
(b)前記第1分散体と、(i)ポリイソシアネートと、または(ii)ポリオールおよび/または本発明により官能基化されたカーボンナノチューブの(i)ポリイソシアネート中または(ii)ポリオール中の第2分散体との、必要に応じて触媒、鎖延長剤、架橋剤、補助物質および/またはポリウレタン化学において通常使用される固体または液体添加剤の存在下での反応
を含む、方法。

【公表番号】特表2013−517198(P2013−517198A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548397(P2012−548397)
【出願日】平成23年1月10日(2011.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050231
【国際公開番号】WO2011/086049
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】