説明

ヒドロキシアルキルデンプンとタンパク質とのコンジュゲート

本発明はヒドロキシアルキルデンプンとタンパク質とのコンジュゲートに関し、これらのコンジュゲートはヒドロキシアルキルデンプンまたはヒドロキシアルキルデンプンの誘導体とタンパク質との間の共有結合によって形成される。本発明はこれらのコンジュゲートを製造する方法およびこれらのコンジュゲートの使用にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質とヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であるポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートを製造する方法であって、ポリマーまたはその誘導体の少なくとも一つの官能基Aを、タンパク質の少なくとも一つの官能基Zと反応させることによって共有結合を形成させることを含み、Zはアミノ基、チオール基、アルデヒド基およびケト基からなる群より選択され、
・Zがアルデヒド基またはケト基である場合、AはZとの前記結合を形成するアミノ基を含み、かつタンパク質はIFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、
・Zがアミノ基である場合、Aは反応性カルボキシ基およびアルデヒド基からなる群より選択され、かつタンパク質はIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、
・・Aがアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基である場合、本方法は、
・・・ポリマーを少なくとも二官能性である化合物(そのうち、一つの官能基はポリマーと反応し、少なくとも一つの他の官能基は、アルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基であるか、さらなる化学修飾を受けてアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基を与える官能基である)と反応させることによって、もしくは
・・・ポリマーを酸化して少なくとも一つ(特に少なくとも二つ)のアルデヒド基を得ることによって、
ポリマーにAを導入してポリマー誘導体を得ることをさらに含み、
・・Aが反応性カルボキシ基である場合、本方法は、
・・・ポリマーをその還元末端で選択的に酸化し、結果として生じるカルボキシ基を活性化することによって、もしくは
・・・ポリマーをその非酸化型還元末端で炭酸ジエステルと反応させることによって、
ポリマーにAを導入してポリマー誘導体を得ることをさらに含み、または
・Zがチオール基である場合、タンパク質は、IFNアルファ、IFNベータ、tPA、A1AT、第VII因子および第IX因子からなる群より選択され、かつAは、Zとの前記結合を形成する
・・マレイミド基、もしくは
・・ハロゲンアセチル基
を含む、前記方法。
【請求項2】
ヒドロキシアルキルデンプンがヒドロキシエチルデンプンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシエチルデンプンが2〜200kD、好ましくは4〜130kD、より好ましくは4〜70kDの分子量を持つ、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Zがアルデヒド基またはケト基であり、タンパク質がIFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
アルデヒド基またはケト基がタンパク質の糖側鎖中および/またはタンパク質のN末端基に位置する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アルデヒド基およびケト基を得るために、タンパク質の糖側鎖を酸化することおよび/またはタンパク質のN末端基を酸化することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酸化反応が酵素的にまたは過ヨウ素酸塩を使って(いずれの場合も必要であれば末端シアル酸を除去した後に)行なわれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
Aを含むポリマー誘導体とZを含むタンパク質との反応に先だって、ポリマーを、その非酸化型還元末端で、ポリマーの非酸化型還元末端と反応する能力を持つ官能基および基Aを含む少なくとも二官能性である連結化合物と反応させることをさらに含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
Aがアミノオキシ基またはヒドラジド基である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも二官能性である連結化合物がホモ二官能性化合物である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
ホモ二官能性化合物が二つのアミノオキシ基を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ホモ二官能性化合物がO-[2-(2-アミノオキシ-エトキシ)-エチル]ヒドロキシルアミンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリマーと少なくとも二官能性である連結化合物との反応が水性媒質中で行なわれる、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ポリマーと少なくとも二官能性である連結化合物との反応がオキシム結合および/またはオキシアミノ結合をもたらす、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
Zがアミノ基であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーをその還元末端で選択的に酸化し、酸化されたポリマーを炭酸N,N'-ジスクシンイミジルとその酸化型還元末端で反応させて、反応性カルボキシ基Aを含むポリマー誘導体を得ることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
還元末端が酸化されていないポリマーの少なくとも一つのヒドロキシ基を炭酸ジエステルと反応させて反応性カルボキシ基Aを得ることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
炭酸ジエステルが対称ジステルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エステルのアルコール成分がN-ヒドロキシスクシンイミド、スルホン化N-ヒドロキシスクシンイミド、N-ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロ置換フェノール類、およびハロゲン置換フェノール類からなる群より選択される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
ハロゲン置換フェノールがニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリクロロフェノール、トリフルオロフェノール、ペンタクロロフェノール、およびペンタフルオロフェノールからなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
還元末端が酸化されていないポリマーの少なくとも一つのヒドロキシ基と炭酸ジエステルとの反応による反応性エステル基Aの生成が無水非プロトン性極性溶媒中で行なわれる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
溶媒がジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドまたはその混合物である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
Aがアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基であり、ポリマーを少なくとも二官能性である化合物の官能基Mと反応させてポリマー誘導体を得ることをさらに含み、少なくとも二官能性である化合物はアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基Aである少なくとも一つの他の官能基Qをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
Mがアミノ基を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Aがアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基であり、ポリマーを少なくとも二官能性である化合物の官能基Mと反応させてポリマー誘導体を得ることをさらに含み、少なくとも二官能性である化合物がアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基ではない少なくとも一つの他の官能基Qをさらに含み、官能基Qを少なくとも一つの適切な化合物と反応させてアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基Aを含むポリマー誘導体を得ることをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
MおよびQがアミノ基を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも一つの適切な化合物がカルボキシ基とアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基とを含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも一つの適切な化合物がホルミル安息香酸または4-(4-ホルミル-3,5-ジメトキシフェノキシ)酪酸である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
Mがアミノ基を含み、Qがベータヒドロキシアミノ基を含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項30】
ポリマーをその酸化型還元末端で少なくとも二官能性である化合物の官能基Mと反応させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ベータヒドロキシアミノ基を酸化してアルデヒド基を得ることをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
酸化反応が過ヨウ素酸塩を使って行なわれる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ポリマーを過ヨウ素酸塩を使った開環酸化反応に付して、少なくとも一つ(特に少なくとも二つ)のアルデヒド基Aを持つポリマー誘導体を得る、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
ポリマーまたはポリマー誘導体とタンパク質との反応が還元的アミノ化である、請求項23〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
還元的アミノ化がNaCNBH3の存在下で行なわれる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
還元的アミノ化が7以下のpHで行なわれる、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
pHが6以下である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
還元的アミノ化が0〜25℃の温度で行なわれる、請求項34〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
還元的アミノ化が水性媒質中で行なわれる、請求項34〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
Zがチオール基であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、tPA、A1AT、APC、第VII因子、および第IX因子からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
Aがハロゲンアセチル基を含み、ポリマーを、その酸化されていてもよい還元末端で、それぞれにアミノ基を含む少なくとも二つの官能基を持つ少なくとも二官能性である化合物と反応させて、アミノ基を含む少なくとも一つの官能基を持つポリマー誘導体を得ることをさらに含み、ポリマーをモノハロゲン置換酢酸および/または反応性モノハロゲン置換酢酸誘導体と反応させることをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ハロゲンがBrまたはIである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも二官能性である化合物が2〜10個の炭素原子を持つジアミノアルカンである、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも二官能性である化合物が1〜5個のアルキレン単位を持つジアミノポリエチレングリコールである、請求項41または42に記載の方法。
【請求項45】
ポリマーをその酸化型還元末端で少なくとも二官能性である化合物と反応させる、請求項41〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
ハロゲンアセチル基を含むポリマー誘導体を、ジメチルホルムアミドと水との混合物を含む溶媒の存在下で、タンパク質と反応させる、請求項41〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
Aがマレイミド基を含み、ポリマーをその酸化されていてもよい還元末端で、酸化されていてもよい還元末端と反応する能力を持つ官能基Uを含む少なくとも二官能性である化合物(この少なくとも二官能性である化合物は化学修飾を受けてマレイミドを与えることができる官能基Wをさらに含む)と反応させることをさらに含み、官能基Wを化学修飾してマレイミド基を得ることをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
Uがアミノ基を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
Wがアミノ基を含む、請求項47または48に記載の方法。
【請求項50】
Wを含むポリマー誘導体を、Wと反応させることができる官能基を含みかつマレイミド基をさらに含む少なくとも二官能性である化合物と反応させる、請求項47〜49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも二官能性である化合物がN-(アルファ-マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステルである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
請求項1〜51のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるコンジュゲート。
【請求項53】
Aが反応性カルボキシ基であり、ポリマーの少なくとも一つのヒドロキシ基を炭酸ジエステルと反応させることによって、還元末端が酸化されていないポリマーにAが導入され、当該コンジュゲートが少なくとも一つのポリマー分子と、アミド結合を介してポリマーに連結された少なくとも一つ(特に1〜10個の)タンパク質分子とを含み、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択される、請求項52に記載のコンジュゲート。
【請求項54】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化1】

および/または
【化2】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
GはOおよびSからなる群より選択され、好ましくはOであり、
Lは適切に置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、好ましくは2〜60個の炭素原子を持つアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル残基である]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項55】
-L-が-(CH2)n-であり、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10、好ましくは2、3、4、5、6、より好ましくは2、3、4、特に好ましくは4である、請求項54に記載のコンジュゲート。
【請求項56】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化3】

および/または
【化4】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
GはOおよびSからなる群より選択され、好ましくはOである]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項57】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化5】

および/または
【化6】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
Lは適切に置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、好ましくは2〜60個の炭素原子を持つアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル残基である]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項58】
-L-が
-[(CRaRb)mG]n[CRcRd]o-
[式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、独立して、水素、アルキル、アリール、好ましくは水素であり、
GはOおよびSからなる群より選択され、好ましくはOであり、
mは1、2、3または4であって、残基RaおよびRbはm個のCRaRb基中で同じであっても異なってもよく、
nは0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは1、2、3、4、5、最も好ましくは1または2であり、
oは0〜20、好ましくは0〜10、より好ましくは1、2、3、4、5、最も好ましくは1または2であり、残基RcおよびRdはo個のCRcRd基中で同じであっても異なってもよく、
nおよびoに関する整数は、上式においてペルオキシ部分が生じないように選択される(例えばnおよびoは同時には0でない)]
である、請求項57に記載のコンジュゲート。
【請求項59】
Ra、Rb、Rc、Rdが水素であり、m=2、n=1、およびo=2である、請求項57または58に記載のコンジュゲート。
【請求項60】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化7】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基である]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項61】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、式
【化8】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
結合-O-(C=O)-は、カルボキシ基または反応性カルボキシ基とHAS分子のヒドロキシ基との反応によって形成されたものであり、HAS''は前記ヒドロキシ基を除くHAS分子を指す]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項62】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化9】

および/または
【化10】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
Lは置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、1〜60個、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個、より好ましくは1〜6個、より好ましくは1〜2個の炭素原子、特に好ましくは1個の炭素原子を持ち、Lは特にCH2である]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項63】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化11】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
L1およびL2は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、アルキル、アリール、アラルキルヘテロアルキル、および/またはヘテロアラルキル部分を含み、前記残基は1〜60個、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個の炭素原子を持ち、
Dは結合、好ましくはL1に連結された適切な官能基F2とL2に連結された適切な官能基F3とによって形成された共有結合である]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項64】
L1が-(CH2)n-であり、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10、好ましくは2、3、4、5、6、より好ましくは2、3、4、特に好ましくは4である、請求項63に記載のコンジュゲート。
【請求項65】
L2が適切に置換されていてもよいアリール部分、好ましくは6個の炭素原子を含有するアリール部分、特に好ましくはC6H4である、請求項63または64に記載のコンジュゲート。
【請求項66】
F2が、
・C-C二重結合またはC-C三重結合または芳香族C-C結合;
・チオ基またはヒドロキシ基;
・アルキルスルホン酸ヒドラジド、アリールスルホン酸ヒドラジド;
・1,2-ジオール;
・1,2-アミノ-チオアルコール;
・アジド;
・1,2-アミノアルコール;
・アミノ基-NH2、または構造単位-NH-を含むアミノ基の誘導体、例えばアミノアルキル基、アミノアリール基、アミノアラルキル基、またはアルカリールアミノ基;
・ヒドロキシルアミノ基-O-NH2、または構造単位-O-NH-を含むヒドロキシルアミノ基の誘導体、例えばヒドロキシルアルキルアミノ基、ヒドロキシルアリールアミノ基、ヒドロキシルアラルキルアミノ基、またはヒドロキシルアルカリールアミノ基;
・それぞれに構造単位-NH-O-を含む、アルコキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アラルキルオキシアミノ基、またはアルカリールオキシアミノ基;
・カルボニル基を持つ残基-Q-C(=G)-M
[式中、GはOまたはSであり、Mは例えば
・・-OHまたは-SH;
・・アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、またはアルカリールオキシ基;
・・アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、またはアルカリールチオ基;
・・アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルカリールカルボニルオキシ基;
・・活性化エステル、例えばイミド構造を持つヒドロキシルアミン(例えばN-ヒドロキシスクシンイミド)のエステル、もしくは構造単位O-Nを持ち、Nがヘテロアリール化合物の一部であるヒドロキシルアミンのエステル、またはG=OでありかつQが存在しない場合に、例えばペンタフルオロフェニル、パラニトロフェニルもしくはトリクロロフェニルなどの置換アリール残基を持つアリールオキシ化合物;
であり、Qは存在しないか、NHまたはSもしくはOなどのヘテロ原子である];
・-NH-NH2、または-NH-NH-;
・-NO2
・ニトリル基;
・カルボニル基、例えばアルデヒド基またはケト基;
・カルボキシ基;
・-N=C=O基または-N=C=S基;
・ハロゲン化ビニル基、例えばヨウ化ビニル基もしくは臭化ビニル基、またはトリフラート;
・-C≡C-H;
・-(C=NH2Cl)-Oアルキル
・基-(C=O)-CH2-Hal[式中、HalはCl、Br、またはIである];
・-CH=CH-SO2-;
・構造-S-S-を含むジスルフィド基;
・基
【化12】

・基
【化13】

からなる群より選択され、F3がF2と化学結合を形成する能力を持つ官能基であって、好ましくは上記の群から選択され、F2は好ましくは部分-NH-、より好ましくはアミノ基を含み、F3は好ましくは部分-(C=G)-、より好ましくは-(C=O)-、より好ましくは部分-(C=G)-G-、さらに好ましくは-(C=O)-G-、特に好ましくは-(C=O)-Oを含み、Dは特に好ましくはアミド結合である、請求項63〜65のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項67】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、APC、tPA、A1AT、AT III、第VII因子、第VIII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化14】

[式中、部分-CH2-NH-の炭素原子は開環酸化反応によってポリマーに導入されたアルデヒド基に由来し、窒素原子はタンパク質のアミノ基に由来し、HAS''は反応に関与する前記アルデヒドの炭素原子を除くHAS分子を指す]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項68】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、tPA、A1AT、第VII因子、および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化15】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
Lは、置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、アルキル、アリール、アラルキルヘテロアルキル、および/またはヘテロアラルキル部分を含み、前記残基は2〜60個、好ましくは2〜40個、より好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個の炭素原子を持ち、
硫黄原子はタンパク質のシステイン残基またはジスルフィド基に由来する]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項69】
-L-が
-[(CRaRb)mG]n[CRcRd]o-
[式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、独立して、水素、アルキル、アリール、好ましくは水素であり、
GはOおよびSからなる群より選択され、好ましくはOであり、
mは1、2、3または4、最も好ましくは2であって、残基RaおよびRbはm個のCRaRb基中で同じであっても異なってもよく、
nは1〜20、好ましくは1〜10、最も好ましくは1、2、3、または4であり、
oは1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1、2、3、4、5、より好ましくは1または2、最も好ましくは1であり、残基RcおよびRdはo個のCRcRd基中で同じであっても異なってもよいか、
あるいは、
nは0であり、
oは2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2、3、4、5、6、7、または8であり、残基RcおよびRdはo個のCRcRd基中で同じであっても異なってもよい]
である、請求項68に記載のコンジュゲート。
【請求項70】
タンパク質とポリマーまたはその誘導体とを含むコンジュゲートであって、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質がIFNアルファ、IFNベータ、tPA、A1AT、APC、第VII因子および第IX因子からなる群より選択され、前記コンジュゲートが式
【化16】

[式中、R1、R2およびR3は、独立して、水素、または2〜10個の炭素原子を持つヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシアラルキル基もしくはヒドロキシアルカリール基、好ましくは水素またはヒドロキシアルキル基、より好ましくは水素またはヒドロキシエチル基であり、
Lは、置換されていてもよい直鎖状、分枝鎖状および/または環状炭化水素残基であって、少なくとも一つのヘテロ原子を含んでもよく、アルキル、アリール、アラルキルヘテロアルキル、および/またはヘテロアラルキル部分を含み、前記残基は2〜60個、好ましくは2〜40個、より好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個の炭素原子を持ち、
硫黄原子はタンパク質のシステイン残基またはジスルフィド基に由来する]
の構造を持つコンジュゲート。
【請求項71】
-L-が
-[(CRaRb)mG]n[CRcRd]o-
[式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、独立して、水素、アルキル、アリール、好ましくは水素であり、
GはOおよびSからなる群より選択され、好ましくはOであり、
mは1、2、3または4、最も好ましくは2であって、残基RaおよびRbはm個のCRaRb基中で同じであっても異なってもよく、
nは1〜20、好ましくは1〜10、最も好ましくは1、2、3、または4であり、
oは1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1、2、3、4、5、より好ましくは1または2、最も好ましくは1であり、残基RcおよびRdはo個のCRcRd基中で同じであっても異なってもよいか、
あるいは、
nは0であり、
oは2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは2、3、4、5、6、7、または8であり、残基RcおよびRdはo個のCRcRd基中で同じであっても異なってもよい]
である、請求項70に記載のコンジュゲート。
【請求項72】
ヒドロキシアルキルデンプンがヒドロキシエチルデンプンである、請求項54〜71のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項73】
ヒドロキシエチルデンプンが2〜200kD、好ましくは4〜130kD、より好ましくは4〜70kDの分子量を持つ、請求項72に記載のコンジュゲート。
【請求項74】
ヒトまたは動物の身体を処置する方法に用いられる、請求項52〜73のいずれか一項に記載のコンジュゲート。
【請求項75】
請求項52〜73のいずれか一項に記載のコンジュゲートを治療有効量で含む薬学的組成物。
【請求項76】
少なくとも一つの薬学的に許容できる希釈剤、佐剤、または担体をさらに含む、請求項75に記載の薬学的組成物。
【請求項77】
白血病、例えばヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、癌、例えばカルチノイド腫瘍、悪性黒色腫ならびに肝炎、例えば慢性B型肝炎および慢性C型肝炎を処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がIFNアルファである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項78】
多発性硬化症(好ましくは再発型多発性硬化症)を処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がIFNベータである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項79】
骨髄移植後、急性骨髄性白血病を持つ高齢者における誘導化学療法後、骨髄移植生着不全または骨髄移植生着遅延、動員、および自家末梢血前駆細胞の移植後の骨髄再構築のための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がGM-CSFである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項80】
重症敗血症、血栓症、血栓塞栓症または閉塞性疾患、特に閉塞性動脈疾患を処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がAPCである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項81】
心筋梗塞(心臓発作)、血栓症、血栓塞栓症または閉塞性疾患、特に閉塞性動脈疾患を処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がtPAである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項82】
肺気腫、嚢胞性線維症、アトピー性皮膚炎、および/または気管支炎を処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質がA1ATである、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項83】
遺伝性欠損症、静脈閉塞性疾患、熱傷および冠動脈バイパス移植(CABG)術におけるヘパリン抵抗性の処置、換気療法に付随する微小血塊形成の予防、外傷もしくは胃腸手術に起因する腸穿孔、播種性血管内血液凝固(DIC)および/または敗血症の処置を行なうための医薬品の製造を目的とする、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項84】
第VIII因子または第IX因子に対する阻害因子を持つ血友病AまたはB患者におけるエピソードを処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質が第VII因子である、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項85】
血友病Aを処置するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質が第VIII因子である、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。
【請求項86】
血友病B(好ましくは先天性第IX因子欠損症またはクリスマス病)を持つ患者における出血エピソードを管理および予防(手術状況下での出血の管理および予防を含む)するための医薬品の製造を目的とする、タンパク質が第IX因子である、請求項52〜73のいずれか一項に記載のHAS-タンパク質コンジュゲート(好ましくはHES-タンパク質コンジュゲート)の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【公表番号】特表2007−527891(P2007−527891A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502303(P2007−502303)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002637
【国際公開番号】WO2005/092390
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(505344029)フレゼニウス・カビ・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS KABI DEUTSCHLAND GmbH
【Fターム(参考)】