説明

ヒドロキシアルキルデンプンとG−CSFの複合体

【課題】ヒドロキシアルキルデンプンと顆粒球コロニー刺激因子タンパク質の複合体の提供。
【解決手段】ヒドロキシアルキルデンプンまたはヒドロキシアルキルデンプンの誘導体と顆粒球コロニー刺激因子タンパク質(G−CSF)との間の共有結合によって形成された複合体。該複合体は該ヒドロキシアルキルデンプンのアルデヒド基等と該タンパク質のアミノ基等とのスペーサーを介しての結合反応により製造され、また造血機能または免疫機能の低下、重篤な慢性の好中球減少症または白血病の疾患の治療に有効。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質およびポリマー誘導体を含む複合体の製造方法であって、
該ポリマー誘導体が、少なくとも1つの官能基Aをポリマーに導入することによって得られ、ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質が、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)であり、
該ポリマー誘導体の少なくとも1つの官能基Aと該タンパク質の少なくとも1つの官能基Zを反応させることによって共有結合を形成することを含み、
Zが、アミノ基であり、Aがアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基から選ばれ、
さらに、官能基MおよびQを含む少なくとも二官能性の化合物とポリマーを反応させることによって、ポリマーにAを導入してポリマー誘導体を得ることを含み、
(ここで、官能基Mは、ポリマーと反応し、
(i)Qは、アルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基Aであるか、または
(ii)Qは、さらに化学的に修飾されてアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基が得られる官能基であり、
官能基Mは、

(ここで、GはOまたはSであり、2回存在する場合、独立して、OまたはSであり、R'はメチルである)
から選ばれ、
ポリマーと反応する少なくとも二官能性の連結化合物の官能基Mと官能基Aは、直鎖、置換直鎖、分枝鎖、置換分枝鎖、環式、置換環式、直鎖および環式、置換直鎖および環式、分枝鎖および環式、または置換分枝鎖および環式の炭化水素残基スペーサーによって分離される)
および
タンパク質とのポリマー誘導体の反応が、還元的アミノ化であることを含む方法。
【請求項2】
ヒドロキシアルキルデンプンが、ヒドロキシエチルデンプンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒドロキシエチルデンプンの平均分子量が、1〜300 kDである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Mがアミノ基:−NH2である請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
Aがアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基であり、方法が、ポリマーを二官能性以上の化合物の官能基Mと反応させてポリマー誘導体を得ることをさらに含み、該二官能性以上の化合物が、アルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基Aでない少なくとも1つの他の官能基Qをさらに含み、方法が、官能基Qを少なくとも1つのさらなる化合物と反応させて、アルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基Aを含むポリマー誘導体を得ることをさらに含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
MおよびQがアミノ基を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
官能基Qが、

(ここで、GはOまたはSであり、2回存在する場合、独立して、OまたはSであり、R'はメチルである)
から選ばれる請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
Mがアミノ基:−NH2である請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
Qがアミノ基:−NH2である請求項5〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
スペーサーが、20個以下の炭素原子および必要に応じて1〜8個のヘテロ原子を有する炭化水素残基である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
スペーサーが、5〜7個の炭素原子および必要に応じて1〜8個のヘテロ原子を有する分枝鎖アルキル鎖またはアリール基またはシクロアルキル基である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Mおよび(ii)のQを含む化合物が、官能基MおよびQとして、アミノ基:−NH2または、ヒドロキシルアミノ基:−O−NH2または

(ここで、GはOである)
を含むホモ二官能性化合物である基である請求項1に記載の方法。
【請求項13】
MおよびQを含む化合物が、

または

または

である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのさらなる化合物が、カルボキシ基およびアルデヒド基、ケト基またはヘミアセタール基を含む請求項5に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つのさらなる化合物が、ホルミル安息香酸または4−(4−ホルミル−3,5−ジメトキシフェノキシ)酪酸である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
NaCNBH3の存在下で還元的アミノ化を行う請求項1〜15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
pH7以下で還元的アミノ化を行う請求項1〜16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
pHが、6以下である請求項17に記載の方法。
【請求項19】
温度0〜25℃にて還元的アミノ化を行う請求項1〜18のいずれか1つに記載の方法。
【請求項20】
水性媒体中で還元的アミノ化を行う請求項1〜19のいずれか1つに記載の方法。
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか1つに記載の方法によって得られる複合体。
【請求項22】
ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質が顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である、式:

[式中、HAS'は、ヒドロキシアルキルデンプン分子の残りの部分であり、
R1、R2およびR3は独立して、水素またはヒドロキシアルキル基であり、およびn=2、3または4である]
で示されるタンパク質およびポリマー誘導体を含む複合体。
【請求項23】
ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質が顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である、式:

[式中、HAS'は、ヒドロキシアルキルデンプン分子の残りの部分であり、
R1、R2およびR3は独立して、水素またはヒドロキシアルキル基である;および
Lは、1〜20個の炭素原子を有する、直鎖、置換直鎖、分枝鎖、置換分枝鎖、環式、置換環式、直鎖および環式、置換直鎖および環式、分枝鎖および環式、または置換分枝鎖および環式の炭化水素残基スペーサーである]
で示されるタンパク質およびポリマー誘導体を含む複合体。
【請求項24】
R1、R2およびR3が、独立して、水素またはヒドロキシエチル基であり、HAS'が、HES'である請求項22または23に記載の複合体。
【請求項25】
Lが、CH2である請求項23または24に記載の複合体。
【請求項26】
ポリマーがヒドロキシアルキルデンプン(HAS)であり、タンパク質が顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)である、式:

[式中、HAS'は、ヒドロキシアルキルデンプン分子の残りの部分であり、
R1、R2およびR3は独立して、水素またはヒドロキシアルキル基である;および
L1およびL2は独立して、1〜20個の炭素原子を有する、直鎖、置換直鎖、分枝鎖、置換分枝鎖、環式、置換環式、直鎖および環式、置換直鎖および環式、分枝鎖および環式、または置換分枝鎖および環式の炭化水素残基スペーサーである;および
Dは、結合であり、L1に結合した適当な官能基F2とL2に結合した適当な官能基F3によって形成された共有結合が好ましい;
ここで、F2は、
C−C−二重結合またはC−C−三重結合または芳香族C−C−結合;
チオール基またはヒドロキシ基;
アルキルスルホン酸ヒドラジド、アリールスルホン酸ヒドラジド;
1,2−ジオール;
1,2−アミノ−チオアルコール;
アジド;
1,2−アミノアルコール;
アミノ基:−NH2またはアミノアルキル基、アミノアリール基、アミノアラルキル基もしくはアルカリールアミノ基;
ヒドロキシルアミノ基:−O−NH2またはヒドロキシルアルキルアミノ基、ヒドロキシルアリールアミノ基、ヒドロキシルアラルキルアミノ基もしくはヒドロキサルアルカリールアミノ基;
それぞれ構造単位:−NH−O−を含むアルコキシアミノ基、アリールオキシアミノ基、アラルキルオキシアミノ基またはアルカリールオキシアミノ基;
カルボニル基:−Q−C(=G)−Mを有する残基(ここで、GはOまたはS、およびMはたとえば、
−OHまたは−SH;
アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基またはアルカリールオキシ基;
アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基またはアルカリールチオ基;
アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキルカルボニルオキシ基、アルカリールカルボニルオキシ基;
N−ヒドロキシスクシンイミドなどのイミド構造を有するか、または構造単位:O−N(ここで、Nはヘテロアリール化合物の一部)を有するヒドロキシルアミンのエステルなどの活性化エステル、またはG=Oであり、Qが不在である場合、ペンタフルオロフェニル、パラニトロフェニルまたはトリクロロフェニルなどの置換アリール残基を含むアリールオキシ化合物;
ここで、Qは不在またはNHまたはSまたはOなどのヘテロ原子;
−NH−NH2または−NH−NH−;
−NO2
ニトリル基;
アルデヒド基またはケト基などのカルボニル基;
カルボキシ基;
−N=C=O基または−N=C=S基;
トリフレートなどのビニルハライド基;
−C≡C−H;
−(C=NH2Cl)−Oアルキル
基:−(C=O)−CH2−Hal(ここで、HalはCl、BrまたはI);
−CH=CH−SO2−;
構造式:−S−S−を含むジスルフィド基;
基:


基:

から選ばれ、
および
ここで、F3は、F2と化学結合を形成することができる基であり、上述の基から選ばれる]
で示されるタンパク質およびポリマー誘導体を含む複合体。
【請求項27】
F2がアミノ基を含み、F3が、−(C=O)−Oであり、Dがアミド結合である請求項26に記載の複合体。
【請求項28】
−L−が−(CH2)n−(ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10)である請求項26または27に記載の複合体。
【請求項29】
L2が、適当に置換されるか、または置換のアリール部分を含む請求項26〜28のいずれか1つに記載の複合体。
【請求項30】
L2が、C6H4である請求項29に記載の複合体。
【請求項31】
R1、R2およびR3が、独立して、水素またはヒドロキシエチル基であり、HAS'が、HES'である請求項26〜30のいずれか1つに記載の複合体。
【請求項32】
ヒドロキシアルキルデンプンが、ヒドロキシエチルデンプンである請求項21〜31のいずれか1つに記載の複合体。
【請求項33】
ヒドロキシエチルデンプンの分子量が、1〜300 kDである請求項32に記載の複合体。
【請求項34】
ヒトまたは動物の身体の治療方法に用いるための請求項22〜33のいずれかに記載の複合体。
【請求項35】
請求項21〜33のいずれか1つに記載の複合体を治療有効量で含む医薬組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの医薬的に許容しうる希釈剤、補助剤または担体をさらに含む請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
造血機能または免疫機能の低下を特徴とする疾患の治療用医薬の製造のための、請求項21〜33のいずれかに記載の複合体の使用。
【請求項38】
疾患が、化学療法、放射線療法、感染性疾患、重篤な慢性の好中球減少症または白血病の結果である請求項37に記載の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−211329(P2012−211329A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130094(P2012−130094)
【出願日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【分割の表示】特願2006−522324(P2006−522324)の分割
【原出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(505344029)フレゼニウス・カビ・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (8)
【氏名又は名称原語表記】FRESENIUS KABI DEUTSCHLAND GmbH
【Fターム(参考)】