説明

ヒドロキシカルボン酸誘導体を含有する皮膚外用剤

【課題】皮膚外用剤の成分として好適な、メラニン産生抑制剤の提供。
【解決手段】下記一般式(1)に表されるヒドロキシカルボン酸誘導体、その異性体及びそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とするメラニン産生抑制剤である。


(1)[式中、Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、美白用の化粧料(医薬部外品を含む)に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
わたしたちの日常生活には、紫外線暴露、加齢、ストレスなどの皮膚症状を悪化される様々な要因が存在している。紫外線暴露などの要因により進行する皮膚症状の悪化を防止・改善することは、女性にとって非常に重要な関心事であり、これまでも化粧品、美容方法などの多岐に渡る方法により、「肌の美観を美しく保つ」ことを達成しようとしてきた。特に、シミ、ソバカスや日焼けによる色素沈着は、局在化又は不均一な様相を呈する色素沈着が惹起され、印象的に美観を損なう肝斑や老人性色素斑を引き起こすために、これらの皮膚症状の悪化に対する治療への関心は非常に高い。この様な色素沈着は、皮膚内に存在する色素細胞(メラノサイト)の活性化によるメラニン生成が著しく亢進することが原因で起こる。この様な皮膚色素トラブルを防止・改善することを目的とし、アスコルビン酸類、過酸化水素、コロイド硫黄、グルタチオン、ハイドロキノン又はカテコ−ル等を配合した皮膚外用剤(特に美白剤)が開発されている(例えば、非特許文献1及び2を参照)。さらには、これら有効成分を複数配合した美白用の皮膚外用剤も数多く開発されている。しかしながら、この様な美白作用が期待される皮膚外用剤においては、一定の美白効果は認められるものの、何れも満足する効果が得るまでには至っておらず、安定性または安全性等の面に課題を有しているものも存した。
【0003】
一方、色素沈着異常に対する治療方法としては、前記美白成分を配合した皮膚外用剤を中心とした化学療法のほかに、レ−ザ−治療、ケミカルピ−リングなどの物理的処置方法が広く利用される様になってきた。しかしながら、重篤な色素沈着異常に対し有効であることが明らかになる一方で、患者に対する負担も大きく、症状を悪化させる例も報告されている。また、物理的処置方法を化学療法と組み合わせた治療方法も実施されているが、治療効果は必ずしも満足のいくものではなく、負担の少なく、有効な治療方法が待ち望まれている。
【0004】
近年の美白有効成分に関する研究開発は、これまでに明らかにされた美白作用機序に強力に作用する化合物に加え、美白効果をもたらす新たな作用機序に作用する化合物、複数の作用機序に同時に働き掛ける化合物などを見出すことにより、従来の美白剤を超える安全で美白効果の高い美白剤の創出が期待されている。しかしながら、この様な望ましい特性を有する化合物を創出することは、最先端の創薬技術を利用しても容易なことではない。実際、理想的な美白作用、安全性及び安定性を併せ持つ化合物が見出され、供給されているとは言い難い状況である。また、美白有効成分の供給源は、合成化合物に限らず、生薬、ハ−ブをはじめとする天然物にも広く求められている。特に、近年における消費者の安全性志向の高まりと共に効能・効果はもちろんのこと、高い安全性が期待される天然植物由来の抽出物を配合した化粧料、医薬部外品への注目は一気にも高まり、これらの抽出物を配合した高い有効性・安全性を有する化粧料、医薬部外品などが切望されている。
【0005】
不飽和脂肪酸は、その化学構造中に不飽和結合を有する脂肪酸であり、界面活性剤、油脂、安定化剤などの多岐に渡る分野において工業製品として使用されている。特に、化粧品分野においては、各種クリ−ム、シャンプ−、液体セッケンなどの商品に配合されている。また、不飽和脂肪酸は、植物や動物の生体中に存在し、細胞膜などの重要な構成成分であると共に、貴重なエネルギ−源となる重要な物質である。特に、オレイン酸、リノ−ル酸、α−リノレン酸などの不飽和脂肪酸には、抗酸化作用(例えば、非特許文献3を参照)、生体内コレステロ−ル低下作用(例えば、特許文献1を参照)、免疫抑制作用(例えば、特許文献2を参照)などの生物活性が知られているほか、湿疹、乾癬などの皮膚疾患治療としても使用されている。また、不飽和脂肪酸には、メラニン産生抑制作用(例えば、特許文献3を参照)を有する物質も知られているが、従来の美白剤と比較した場合には、その作用は非常に緩和なものである。
【0006】
Corchorifatty acid類に分類されるヒドロキシトリエンカルボン酸誘導体の16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)は、シナノキ科のモロヘイヤより単離精製(例えば、非特許文献4を参照)され、一酸化窒素産生抑制効果を有することが知られている。また、別のヒドロキシトリエンカルボン酸誘導体である9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド(例えば、特許文献4を参照)は、Glechma hederacea Lなどの植物の葉に存在し、花芽形成調整作用を有することが知られている。しかしながら、Corchorifatty acid B又は9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッドに代表される一般式(1)で表される化合物がシソ科メリッサ属メリッサの植物体に含有されていること、加えて、これらの化合物がメラニン産生抑制作用を有していることは全く明らかにされていなかった。更に、これらの化合物の骨格は、これまで知られているメラニン産生抑制剤の化学構造とは全くことなるものであった。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−314492号公報
【特許文献2】特開2007−161591号公報
【特許文献3】特表2003−505490号公報
【特許文献4】特開2003−073209号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】武田克之ら監修、「化粧品の有用性、評価技術と将来展望」、薬事日報社刊(2001年)
【非特許文献2】大森敬之、FRAGRANCE JOURNAL 臨時増刊、No.14,1995,118-126.
【非特許文献3】Azevedo-Martins, AK., Curi, R., Cell Biochem Funct.,26(1),87-94 (2008).
【非特許文献4】Yokshikawa Masayki et. al., Chem.Pharm.Bull.,46(6),1008-1014(1998).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この様な状況下において為されたものであり、皮膚外用剤の成分として好適な、メラニン産生抑制剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この様な状況に鑑みて、本発明者等は、生体内におけるメラニン産生を効果的に抑制する技術を求めて、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)に表されるヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩、取り分け、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)と9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド及び/又はこれらの薬理学的に許容される塩から選択される成分に優れたメラニン産生抑制作用が存することを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示す通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、メラニン産生抑制剤。
【0011】
【化1】

(1)
[式中、Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【0012】
<2> 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載のメラニン産生抑制剤。
【0013】
【化2】

(2)
[式中、R3は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R4は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【0014】
<3> 前記一般式(2)で表される化合物が、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)、その異性体及び/又はその薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載のメラニン産生抑制剤。
【0015】
【化3】

16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド
(Corchorifatty acid B) (3)
【0016】
<4> 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>に記載のメラニン産生抑制剤。
【0017】
【化4】

(4)
[式中、R5及びR6は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R7は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【0018】
<5> 前記一般式(4)で表される化合物が、9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、<1>又は<4>に記載のメラニン産生抑制剤。
【0019】
【化5】

9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド (5)
【0020】
<6> <1>〜<5>の何れか一項に記載のメラニン産生抑制剤を含有する皮膚外用剤。
<7> <1>〜<5>の何れか一項に記載のメラニン産生抑制剤をシソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の植物エキスとして含有することを特徴とする、<6>に記載の皮膚外用剤。
<8> シソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の全草又は地上部を採取し、極性溶媒にて抽出した後、抽出物を減圧濃縮し、画分精製を行い、前記一般式(1)に表される化合物の含有量が20〜500(μg/mL)であることを確認し、組成物に配合したものであることを特徴とする、<6>又は<7>に記載の皮膚外用剤。
<9> 前記シソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の植物エキスが、皮膚外用剤全量に対し0.01質量%〜5質量%含有することを特徴とする、<6>〜<8>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<10> 前記皮膚外用剤に、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、<6>〜<9>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<11> 前記皮膚外用剤に、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、<6>〜<10>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<12> 化粧料又は医薬部外品であることを特徴とする、<6>〜<11>の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
<13> メラニン産生抑制用の皮膚外用剤の製造方法であって、シソ科メリッサ属メリッサの全草又は地上部を溶媒で抽出し、所望により、溶媒を除去した後、画分、精製に付し、抽出物の画分精製物乃至はその溶媒除去物中の一般式(1)の化合物及び/又はその薬理学的に許容される塩の含有量が20〜500(μg/mL)であることを確認したしかる後に、皮膚外用剤組成物に含有させることを特徴とする、製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、皮膚外用剤として好適な、メラニン産生抑制剤を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】化合物1及び化合物2のヒト正常細胞を用いたメラニン産生抑制作用を示す図である。
【図2】メリッサ抽出物のヒト正常細胞を用いたメラニン産生抑制作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1> 本発明のメラニン産生抑制剤の有効成分であるヒドロキシカルボン酸誘導体
本発明のメラニン産生抑制剤は、ヒドロキシカルボン酸誘導体を有効成分とするが、かかる誘導体は、一般式(1)で表される化合物及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とすることを特徴とする。ここで一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、一般式(1)において、Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。これらの内、好ましいものとしては、一般式(2)又は一般式(4)で表される化合物が好適に例示出来、特に、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)及び9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッドが好ましい。
【0024】
ここで一般式(1)に表される化合物に付いて述べれば、一般式(1)において、Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15、より好ましくは、5−10の整数、nは、1〜5の整数を表す。前記Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、具体例を挙げれば、ヒドロキシメチン基、メトキシメチン基、エトキシメチン基、プロピルオキシメチン基、ブチルオキシメチン基、ペンチルオキシメチン基、ヘキシルオキシメチン基、カルボニル基などが好適に例示出来、ヒドロキシメチン基、メトキシメチン基、カルボニル基が特に好ましい。前記R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが好適に例示出来、水素原子、メチル基、エチル基が特に好ましい。前記R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、より好ましくは、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、具体例を挙げれば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、エトキシオクチル基、プロピルオキシメチル基、プロピルオキシエチル基、プロピルオキシプロピル基、プロピルオキシブチル基、プロピルオキシペンチル基、プロピルオキシヘキシル基、プロピルオキシヘプチル基、プロピルオキシオクチル基、ブチルオキシメチル基、ブチルオキシエチル基、ブチルオキシプロピル基、ブチルオキシブチル基、ブチルオキシペンチル基、ブチルオキシヘキシル基、ブチルオキシヘプチル基、ブチルオキシオクチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などが好適に例示出来、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基が特に好ましい。前記mは、5〜15の整数を表し、より好ましくは、5〜10の整数が好適に例示出来る。前記nは、1〜5の整数を表し、より好ましくは、2〜4の整数が好適に例示出来る。一般式(1)に表される化合物の内、より好ましいものとしては、一般式(2)又は一般式(4)に表される化合物が好適に例示出来る。
【0025】
ここで一般式(2)に表される化合物に付いて述べれば、一般式(2)において、R3は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R4は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していてもよい、アルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。前記R3は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが好適に例示出来、水素原子、メチル基、エチルが特に好ましい。前記R4は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していてもよい、アルキル基又はアルケニル基を表し、具体例を挙げれば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、エトキシオクチル基、プロピルオキシメチル基、プロピルオキシエチル基、プロピルオキシプロピル基、プロピルオキシブチル基、プロピルオキシペンチル基、プロピルオキシヘキシル基、プロピルオキシヘプチル基、プロピルオキシオクチル基、ブチルオキシメチル基、ブチルオキシエチル基、ブチルオキシプロピル基、ブチルオキシブチル基、ブチルオキシペンチル基、ブチルオキシヘキシル基、ブチルオキシヘプチル基、ブチルオキシオクチル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタジエニル基、1,4−ペンタジエニル基、1−へキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1,3−ヘキサジエニル基、1,4−ヘキサジエニル基、1,5−ヘキサジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニル基などが好適に例示出来、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基が特に好ましい。前記mは、5〜15の整数を表し、より好ましくは、5〜10の整数が好適に例示出来る。前記nは、1〜5の整数を表し、より好ましくは、2〜4の整数が好適に例示出来る。一般式(2)に表される化合物の具体例を挙げれば、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−ウンデカトリエノイックアシッド、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−ドデカトリエノイックアシッド、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−トリデカトリエノイックアシッド、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−テトラデカトリエノイックアシッド、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ペンタデカトリエノイックアシッド、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘキサデカトリエノイックアシッド、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−ヘプタデカトリエノイックアシッド、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−オクタデカトリエノイックアシッド、18−ヒドロキシ−11−オキソ−12,14,16−ノナデカトリエノイックアシッド、19−ヒドロキシ−12−オキソ−13,15,17−イコサントリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−ウンデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、18−ヒドロキシ−11−オキソ−12,14,16−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、19−ヒドロキシ−12−オキソ−13,15,17−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−ウンデカトリエノイックアシッドエチルエステル、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−ドデカトリエノイックアシッドエチルエステル、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−トリデカトリエノイックアシッドエチルエステル、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−テトラデカトリエノイックアシッドエチルエステル、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ペンタデカトリエノイックアシッドエチルエステル、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘキサデカトリエノイックアシッドエチルエステル、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−ヘプタデカトリエノイックアシッドエチルエステル、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−オクタデカトリエノイックアシッドエチルエステル、18−ヒドロキシ−11−オキソ−12,14,16−ノナデカトリエノイックアシッドエチルエステル、19−ヒドロキシ−12−オキソ−13,15,17−イコサントリエノイックアシッドエチルエステル、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−ウンデカトリエノイックアシッド、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−ドデカトリエノイックアシッド、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−トリデカトリエノイックアシッド、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−テトラデカトリエノイックアシッド、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ペンタデカトリエノイックアシッド、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘキサデカトリエノイックアシッド、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−ヘプタデカトリエノイックアシッド、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−オクタデカトリエノイックアシッド、18−メトキシ−11−オキソ−12,14,16−ノナデカトリエノイックアシッド、19−メトキシ−12−オキソ−13,15,17−イコサントリエノイックアシッド、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−ウンデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、18−メトキシ−11−オキソ−12,14,16−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、19−メトキシ−12−オキソ−13,15,17−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−ドデカトリエノイックアシッド、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−トリデカトリエノイックアシッド、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−テトラデカトリエノイックアシッド、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−ペンタデカトリエノイックアシッド、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘキサデカトリエノイックアシッド、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘプタデカトリエノイックアシッド、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−オクタデカトリエノイックアシッド、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−ノナデカトリエノイックアシッド、18−ヒドロキシ−11−オキソ−12,14,16−イコサントリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、18−ヒドロキシ−11−オキソ−12,14,16−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−ドデカトリエノイックアシッド、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−トリデカトリエノイックアシッド、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−テトラデカトリエノイックアシッド、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−ペンタデカトリエノイックアシッド、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘキサデカトリエノイックアシッド、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘプタデカトリエノイックアシッド、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−オクタデカトリエノイックアシッド、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−ノナデカトリエノイックアシッド、18−メトキシ−11−オキソ−12,14,16−イコサントリエノイックアシッド、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、18−メトキシ−11−オキソ−12,14,16−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−トリデカトリエノイックアシッド、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−テトラデカトリエノイックアシッド、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−ペンタデカトリエノイックアシッド、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−ヘキサデカトリエノイックアシッド、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘプタデカトリエノイックアシッド、15−ヒドロキシ−8
−オキソ−9,11,13−オクタデカトリエノイックアシッド、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−ノナデカトリエノイックアシッド、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−イコサントリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−3−オキソ−4,6,8−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−ヒドロキシ−4−オキソ−5,7,9−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−ヒドロキシ−5−オキソ−6,8,10−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−ヒドロキシ−6−オキソ−7,9,11−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−ヒドロキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−ヒドロキシ−8−オキソ−9,11,13−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10,12,14−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−ヒドロキシ−10−オキソ−11,13,15−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−トリデカトリエノイックアシッド、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−テトラデカトリエノイックアシッド、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−ペンタデカトリエノイックアシッド、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−ヘキサデカトリエノイックアシッド、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘプタデカトリエノイックアシッド、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−オクタデカトリエノイックアシッド、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−ノナデカトリエノイックアシッド、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−イコサントリエノイックアシッド、10−メトキシ−3−オキソ−4,6,8−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−メトキシ−4−オキソ−5,7,9−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−メトキシ−5−オキソ−6,8,10−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、13−メトキシ−6−オキソ−7,9,11−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、14−メトキシ−7−オキソ−8,10,12−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、15−メトキシ−8−オキソ−9,11,13−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、16−メトキシ−9−オキソ−10,12,14−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、17−メトキシ−10−オキソ−11,13,15−イコサントリエノイックアシッドメチルエステルなどが好適に例示出来、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14Z−オクタデカトリエノイックアシッド、特に、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14Z−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)が好適に例示出来る。これは、かかる化合物には、メラニン産生抑制作用に対する力価又は皮膚貯留性などに優れ、その結果、優れた美白効果を有する利点が存する。又、化合物又は製剤中における安定性が極めて高いため、化合物又は皮膚外用剤を安定に保存することが出来ることも利点のひとつである。
【0026】
ここで一般式(4)に表される化合物に付いて述べれば、一般式(4)において、R5及びR6は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R7は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。前記R5及びR6は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、具体例を挙げれば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが好適に例示出来、水素原子、メチル基、エチルが特に好ましい。前記R7は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、より好ましくは、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、具体例を挙げれば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、エトキシオクチル基、プロピルオキシメチル基、プロピルオキシエチル基、プロピルオキシプロピル基、プロピルオキシブチル基、プロピルオキシペンチル基、プロピルオキシヘキシル基、プロピルオキシヘプチル基、プロピルオキシオクチル基、ブチルオキシメチル基、ブチルオキシエチル基、ブチルオキシプロピル基、ブチルオキシブチル基、ブチルオキシペンチル基、ブチルオキシヘキシル基、ブチルオキシヘプチル基、ブチルオキシオクチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などが好適に例示出来、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基が特に好ましい。前記mは、5〜15の整数を表し、より好ましくは、5〜10の整数が好適に例示出来る。前記nは、1〜5の整数を表し、より好ましくは、2〜4の整数が好適に例示出来る。一般式(2)に表される化合物の具体例を挙げれば、3−ヒドロキシ−4,6,9−ウンデカトリエノイックアシッド、4−ヒドロキシ−5,7,10−ドデカトリエノイックアシッド、5−ヒドロキシ−6,8,11−トリデカトリエノイックアシッド、6−ヒドロキシ−7,9,12−テトラデカトリエノイックアシッド、7−ヒドロキシ−8,10,13−ペンタデカトリエノイックアシッド、8−ヒドロキシ−9,11,14−ヘキサデカトリエノイックアシッド、9−ヒドロキシ−10,12,15−ヘプタデカトリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−11,13,16−オクタデカトリエノイックアシッド、11−ヒドロキシ−12,14,17−ノナデカトリエノイックアシッド、12−ヒドロキシ−13,15,18−イコサントリエノイックアシッド、3−ヒドロキシ−4,6,9−ウンデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−ヒドロキシ−5,7,10−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−ヒドロキシ−6,8,11−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−ヒドロキシ−7,9,12−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−ヒドロキシ−8,10,13−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−ヒドロキシ−9,11,14−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−ヒドロキシ−10,12,15−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−11,13,16−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−ヒドロキシ−12,14,17−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−ヒドロキシ−13,15,18−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−メトキシ−4,6,9−ウンデカトリエノイックアシッド、4−メトキシ−5,7,10−ドデカトリエノイックアシッド、5−メトキシ−6,8,11−トリデカトリエノイックアシッド、6−メトキシ−7,9,12−テトラデカトリエノイックアシッド、7−メトキシ−8,10,13−ペンタデカトリエノイックアシッド、8−メトキシ−9,11,14−ヘキサデカトリエノイックアシッド、9−メトキシ−10,12,15−ヘプタデカトリエノイックアシッド、10−メトキシ−11,13,16−オクタデカトリエノイックアシッド、11−メトキシ−12,14,17−ノナデカトリエノイックアシッド、12−メトキシ−13,15,18−イコサントリエノイックアシッド、3−メトキシ−4,6,9−ウンデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−メトキシ−5,7,10−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−メトキシ−6,8,11−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−メトキシ−7,9,12−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−メトキシ−8,10,13−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−メトキシ−9,11,14−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−メトキシ−10,12,15−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−メトキシ−11,13,16−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−メトキシ−12,14,17−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、12−メトキシ−13,15,18−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−ヒドロキシ−4,6,9−ドデカトリエノイックアシッド、4−ヒドロキシ−5,7,10−トリデカトリエノイックアシッド、5−ヒドロキシ−6,8,11−テトラデカトリエノイックアシッド、6−ヒドロキシ−7,9,12−ペンタデカトリエノイックアシッド、7−ヒドロキシ−8,10,13−ヘキサデカトリエノイックアシッド、8−ヒドロキシ−9,11,14−ヘプタデカトリエノイックアシッド、9−ヒドロキシ−10,12,15−オクタデカトリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−11,13,16−ノナデカトリエノイックアシッド、11−ヒドロキシ−12,14,17−イコサントリエノイックアシッド、3−ヒドロキシ−4,6,9−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−ヒドロキシ−5,7,10−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−ヒドロキシ−6,8,11−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−ヒドロキシ−7,9,12−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−ヒドロキシ−8,10,13−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−ヒドロキシ−9,11,14−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−ヒドロキシ−10,12,15−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−11,13,16−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−ヒドロキシ−12,14,17−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−メトキシ−4,6,9−ドデカトリエノイックアシッド、4−メトキシ−5,7,10−トリデカトリエノイックアシッド、5−メトキシ−6,8,11−テトラデカトリエノイックアシッド、6−メトキシ−7,9,12−ペンタデカトリエノイックアシッド、7−メトキシ−8,10,13−ヘキサデカトリエノイックアシッド、8−メトキシ−9,11,14−ヘプタデカトリエノイックアシッド、9−メトキシ−10,12,15−オクタデカトリエノイックアシッド、10−メトキシ−11,13,16−ノナデカトリエノイックアシッド、11−メトキシ−12,14,17−イコサントリエノイックアシッド、3−メトキシ−4,6,9−ドデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−メトキシ−5,7,10−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−メトキシ−6,8,11−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−メトキシ−7,9,12−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−メトキシ−8,10,13−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−メトキシ−9,11,14−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−メトキシ−10,12,15−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−メトキシ−11,13,16−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、11−メトキシ−12,14,17−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−ヒドロキシ−4,6,9−トリデカトリエノイックアシッド、4−ヒドロキシ−5,7,10−テトラデカトリエノイックアシッド、5−ヒドロキシ−6,8,11−ペンタデカトリエノイックアシッド、6−ヒドロキシ−7,9,12−ヘキサデカトリエノイックアシッド、7−ヒドロキシ−8,10,13−ヘプタデカトリエノイックアシッド、8−ヒドロキシ−9,11,14−オクタデカトリエノイックアシッド、9−ヒドロキシ−10,12,15−ノナデカトリエノイックアシッド、イコサントリエノイックアシッド、3−ヒドロキシ−4,6,9−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−ヒドロキシ−5,7,10−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−ヒドロキシ−6,8,11−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−ヒドロキシ−7,9,12−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−ヒドロキシ−8,10,13−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−ヒドロキシ−9,11,14−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−ヒドロキシ−10,12,15−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−11,13,16−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−メトキシ−4,6,9−トリデカトリエノイックアシッド、4−メトキシ−5,7,10−テトラデカトリエノイックアシッド、5−メトキシ−6,8,11−ペンタデカトリエノイックアシッド、6−メトキシ−7,9,12−ヘキサデカトリエノイックアシッド、7−メトキシ−8,10,13−ヘプタデカトリエノイックアシッド、8−メトキシ−9,11,14−オクタデカトリエノイックアシッド、9−メトキシ−10,12,15−ノナデカトリエノイックアシッド、10−ヒドロキシ−11,13,16−イコサントリエノイックアシッドメチルエステル、3−メトキシ−4,6,9−トリデカトリエノイックアシッドメチルエステル、4−メトキシ−5,7,10−テトラデカトリエノイックアシッドメチルエステル、5−メトキシ−6,8,11−ペンタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、6−メトキシ−7,9,12−ヘキサデカトリエノイックアシッドメチルエステル、7−メトキシ−8,10,13−ヘプタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、8−メトキシ−9,11,14−オクタデカトリエノイックアシッドメチルエステル、9−メトキシ−10,12,15−ノナデカトリエノイックアシッドメチルエステル、10−ヒドロキシ−11,13,16−イコサントリエノイックアシッドメチルエステルなどが好適に例示出来、9−ヒドロキシ−10,12,15−オクタデカトリエノイックアシッド、特に、9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッドが好ましい。これは、かかる化合物には、メラニン産生抑制作用に対する力価又は皮膚貯留性などに優れ、その結果、優
れた美白効果を有する利点が存する。加えて、細胞毒性も低く、投与量として有効性を越える量を設定することも出来る。又、化合物又は製剤中における安定性が極めて高いため、化合物又は皮膚外用剤を安定に保管することが出来ることも利点のひとつである。
【0027】
斯くして得られた一般式(1)で表されるヒドロキシカルボン酸誘導体をそのまま使用することも出来るし、アルカリと共に処理するなどして、塩の形態として使用することも出来る。ヒドロキシトリエンカルボン酸誘導体の塩としては、生理的に許容される塩であれば特に限定されない。生理的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、アンモニウム塩、モノエタノ−ルアミン塩、ピペリジン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩などが好適に例示出来る。
【0028】
この様な一般式(1)に表されるヒドロキシカルボン酸誘導体は、天然にも存していることから、天然物より抽出し、精製を行い得ることも出来る(例えば、Chem.Pharm.Bull.,46(6),1008-1014(1998))。一般式(1)に表されるヒドロキシカルボン酸誘導体としては、例えば、下記の化合物1及び化合物2に表されるヒドロキカルボン酸誘導体の16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)又は9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッドが例示出来、これら化合物は、シソ科メリッサ属メリッサの植物体の抽出物に含有される。かかるシソ科メリッサ属メリッサの抽出物作製に用いる植物部位としては、全草または地上部が好適に例示出来る。メリッサは、南ヨ−ロッパ原産の植物であり、比較的早い時期に日本に移入され、現在は日本全土においてその成育が認められ、一部には自生しているところも存する。本発明の実施例では、日本で育成されたメリッサを購入し、使用した。抽出に際して、植物体乃至はその乾燥物は予め、粉砕或いは細切して抽出効率を向上させるように加工することが好ましい。抽出物は、植物体乃至はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1〜30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬する。浸漬後は、室温まで冷却し、所望により不溶物を除去した後、溶媒を減圧濃縮するなどにより除去することが出来る。しかる後、シリカゲルやイオン交換樹脂を充填したカラムクロマトグラフィ−などで分画精製し、所望の抽出物を得ることが出来る。
【0029】
【化6】

16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド
(Corchorifatty acid B) (化合物1)
【0030】
【化7】

9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド (化合物2)
【0031】
前記抽出溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、ブタノ−ルなどのアルコ−ル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランなどのエ−テル類から選択される1種乃至は2種以上が好適に例示出来、50〜90%、より好ましくは、60〜80%含有エタノ−ルが特に好適に例示出来る。
【0032】
メラニン産生抑制作用は、前記一般式(1)に表される化合物をマ−カ−とすることが出来、一般式(1)で表される化合物の中でも、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)(化合物1)の含有量をマ−カ−とすることが出来、この成分が、20〜500(μg/mL)程度の濃度、より好ましくは30〜200(μg/mL)、さらに好ましくは、50〜100(μg/mL)になるように調整するのが好ましい。これは、かかる成分自体が前記メラニン産生抑制作用を有すると共に、前記メラニン産生抑制作用を有し、且つ、細胞毒性が低い分画が前記の一般式(1)に表される化合物、取り分け、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)(化合物1)が含有される分画と一致するため、これの含有量を前記作用のマ−カ−とすることが出来るためである。この様に、シソ科メリッサ属メリッサより得られる抽出物は、生体内におけるメラニン産生を抑制することにより、紫外線暴露によるシミ、ソバカス、色黒、老人性色素斑などの色素沈着症を予防又は改善することが期待される。即ち、本発明のシソ科メリッサ属メリッサより得られる抽出物は、メラニン産生抑制作用を通じ、色素沈着が関与する疾患治療に対する有効成分として機能を発現する。尚、本発明においては、抽出物とは、抽出物自体、抽出物を分画、精製した分画、抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。
【0033】
また、シソ科メリッサ属メリッサの植物体より後記の精製方法に従い単離精製した16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)(化合物1)の含有量の定量は、例えば、精製して得られた化合物標品を用いて、マスクロマトグラフィ−(例えば、マスクロマトグラフィ−測定条件としては、以下の測定条件が好適に例示出来る)測定することが出来る。
カラム: ZORBAX Eclipse VDB-C18 4.6×50mm 1.8μm
カラム温度: 室温
移動相: 65%アセトニトリル
流量: 1.0(mL/min)
注入量: 1(μL)
検出: 307[M+H](SIM)
【0034】
本発明の皮膚外用剤には、上記の様にして得られるヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩のうち、1種又は2種以上を組み合わせて用いることが出来、又、ヒドロキシカルボン酸誘導体を含有するシソ科の植物体の抽出物としてこれを用いることも出来る。尚、本発明においては、抽出物とは、抽出物自体、抽出物を分画、精製した分画、抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。
【0035】
<2> 本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は、メラニン産生抑制作用を有しており、メラニン産生抑制又は美白用の皮膚外用剤に適応するのが好ましい。具体的には、本発明の皮膚外用剤は、紫外線暴露によるシミ、ソバカス、色黒、老人性色素斑などの色素沈着症を予防又は改善するための皮膚外用剤として好適である。
【0036】
本発明の皮膚外用剤は、ヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はその薬理学的に許容される塩を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤において、ヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はその薬理学的に許容される塩は、一般式(1)に表されるヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の内、1種又は2種以上を組み合わせて用い、一般式(1)に表される化合物をそのまま皮膚外用剤に配合してもよく、またヒドロキシカルボン酸誘導体を含有するシソ科メリッサ属メリッサの抽出物として配合することも出来る。尚、本発明の抽出物とは、抽出物自体、抽出物を分画、精製した分画、抽出物乃至は分画、抽出物乃至は分画、精製物の溶媒除去物の総称を意味する。この様なヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩の粗製物を本発明の皮膚外用剤に含有させることは、処方の自由度が大きくなるという点でより好ましい。
【0037】
本発明の皮膚外用剤は、シソ科メリッサ属メリッサより得られる植物抽出物中に、ヒドロキシカルボン酸誘導体及び/又はその薬理学的に許容される塩を、20〜500(μg/mL)含有していることが好ましく、30〜200(μg/mL)含有していることが更に好ましく、50〜100(μg/mL)含有していることが特に好ましい。日焼け(紫外線)などによるシミ、シバカス、色黒などの発生を予防することを目的とした化粧料の如き皮膚外用剤に用いる場合には、前記の植物抽出物が、0.01質量%〜5質量%、より好ましくは、0.1〜3質量%、また、色素沈着症の改善を目的とした薬剤として皮膚外用剤に用いる場合には、0.01質量%〜5質量%、より好ましくは、0.1質量%〜3質量%含有することが好ましい。これは、植物抽出物の含有量が、皮膚外用剤全量に対し、0.01質量%より少なくなると、メラニン産生抑制作用がかなり低下し、一方、5質量%を越える量を用いても効果が頭打ちになるので、上記範囲で含有することが望ましい。
【0038】
本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコ−ル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコ−ル、グリセリン、1,3−ブチレングリコ−ル、エリスリト−ル、ソルビト−ル、キシリト−ル、マルチト−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ジグリセリン、イソプレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、2,4−ヘキサンジオ−ル、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオ−ル等の多価アルコ−ル類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤などが好ましく例示できる。
【0039】
これらの必須成分、任意成分を常法に従って処理し、ロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗浄料などに加工することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。皮膚に適応させることの出来る剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、ロ−ション、乳液、クリ−ム、エッセンスなどの剤型がより好ましい。
【0040】
尚、本発明のヒドロキシカルボン酸誘導体を含有する皮膚外用剤としては、一般的に広く使用される、化粧料や医薬部外品に適用するのが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定はなく応用でき、例えば、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨等が好ましく例示できる。これは本発明の一般式(1)に表される化合物の安全性が高いため、連続的に使用することが可能であるためである。
【0041】
本発明の任意成分の内、特に好ましいものとしては、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体が好適に例示出来る。これらは、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから選択される1種又は2種以上を配合することも出来るし、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体から選択される1種又は2種以上を配合すること、さらには、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体の2群よりそれぞれ選択される2種以上を共に配合することも出来る。かかる成分は、優れた水分保持機能を有すると共に、皮膚バリア−機能を向上せしめる作用を有する。かかる作用により、メラニン産生が亢進するほどに光照射を受けて、これにより損傷した皮膚機能を補完することが出来る。この様な機能により、メラニン産生の亢進とともに、低下した皮膚機能を向上せしめることが出来る。
【0042】
前記ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは、フリ−体を含有することも出来るし、薬理学的に許容される塩の形で含有することも出来る。これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定なく使用出来、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、モノエタノ−ルアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示出来る。
【0043】
ここで、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに付いて述べれば、該高分子は、親水基を側鎖に有する高分子であり、親水基を有するモノマ−を構成モノマ−として含有する。この様な高分子は、親水基を有するポリメタクリル酸を基体とし任意の構成モノマ−とを常法に従って重合させることにより製造することも出来るし、市販品としては、日本油脂株式会社から販売されている「リビジュアHM」(ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)、岐阜シェラック株式会社から販売されている「PMリジン」(ポリメタクリロイルリジン)等が存し、これらを使用することも出来る。かかる成分は、脂質二重膜分散系(ベシクル:ニオソ−ム)を形成しやすく、この様な形態で前記必須成分を内包することにより、その皮膚到達性を向上せしめることが出来る。この様な作用を発揮するためには、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから選択される1種又は2種以上を総量で、皮膚外用剤全量に対し、最低量で0.01質量%〜5質量%であり、更に好ましくは、0.02〜1質量%である。これは、少なすぎると安定化効果を発揮しない場合が存し、多すぎると、使用性を大きく損なう場合が存するためである。また、上記重合体は、皮膚外用剤に優れた保湿効果を付与し、皮膚表面の含水量を向上させ、それにより、美白効果と同時に、紫外線による皮膚ダメ−ジからの回復効果を顕著に発揮させる作用を有する。この様なダメ−ジ回復促進効果は、炎症を鎮める作用を介してメラニン産生の亢進を抑制する。また、高分子は、本発明の皮膚外用剤の必須成分であるヒドロキシカルボン酸誘導体と共に配合することにより、紫外線暴露によるシミ、ソバカス、色黒、老人性色素斑などの色素沈着症の予防に対し優れた効果を示す。
【0044】
本発明の皮膚外用剤は、ハイドロキノン誘導体、アスコルビン酸誘導体などの従来のメラニン産生抑制剤と併用することも出来、かかる本発明の皮膚外用剤が含有することが出来るハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体としては、通常の化粧料の分野に於いて知られる美白素材であれば特段の限定なく使用することが出来る。この様な組み合わせに於いて、更にメラニン産生抑制作用を高めることが出来、通常の肌状態への回復時間を短くすることが出来る。例えば、ハイドロキノン誘導体としては、ハイドロキノングルコシド等のハイドロキノン類の配糖体、アスコルビン酸誘導体としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド等のアスコルビン酸誘導体などが好適に例示出来る。かかる化合物は、フリ−体を含有することも出来るし、薬理学的に許容される塩の形で含有することも出来る。これらの塩としては、皮膚外用剤で使用されるものであれば、特段の限定なく使用出来、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノ−ルアミン塩、モノエタノ−ルアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等が好適に例示出来る。かかる美白素材は何れも既知物質であり、その製造方法は既に知られている。また、該化合物の多くは市販されており、これを利用することも出来る。これらの美白素材の好ましい含有量は、化粧料全量に対し、総量で0.01質量%〜6質量%であり、更に好ましくは、0.05質量%〜4質量%である。これは少なすぎると効果を発揮しない場合があり、多すぎても効果が頭打ちになり、いたずらに安定性を阻害する場合があるためである。また、これら美白成分は、本発明の皮膚外用剤の必須成分であるヒドロキシカルボン酸誘導体と共に配合することにより、紫外線暴露によるシミ、ソバカス、色黒、老人性色素斑などの色素沈着症の予防に対し優れた効果を示す。
【0045】
<試験例1: シソ科メリッサ属メリッサからの化合物1及び化合物2の単離精製>
シソ科メリッサ属メリッサの地上部又は全草の乾燥物50(kg)を細断し、1000(L)の70%エタノ−ル水溶液を加え、50℃以下の温度にて4時間浸漬した後、水性エタノ−ルにて調整した。その後、濾過にて不溶物を除去した後、留出溶媒に含水エタノ−ルを用いたシリカゲル又は樹脂処理などにより分画精製し、分画液を濃縮、オリビキ処理し、メリッサ抽出物を得た。
前記方法により得たメリッサ抽出物より、分取液体クロマトグラフィ−(カラム:ODS、移動相:MeCN-0.1(%aq.)TFA(45:55))により、化合物1及び化合物2を単離精製した。
【0046】
<16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(化合物1)の物理恒数>
前記方法に従い単離精製された化合物1に関し、物理恒数を測定した。以下に結果を示す。
1H-NMR(CDCl3)δ:0.89(3H,t,J=8.0Hz),1.24−1.35(6H,m),1.50−1.62(6H,m),2.31(2H,t,J=8.0Hz),2.53(2H,t=8.0Hz),4.12(1H,dt,J=8.0Hz,J=4.0Hz),5.85−5.92(1H,m),6.13(1H,d,J=16.0Hz),6.31(1H,dd,J=12Hz,J=16Hz),6.55(1H,dd,J=8.0Hz,J=12.0Hz),7.18(1H,m).
13C-NMR(CDCl3)δ:9.5(q),24.5(t),25.1(t),28.8(t),28.9(t),29.1(t),30.0(t),33.9(t),40.6(d),73.5(d),129.3(d),129.5(d),130.4(d),140.7(d),140.8(d)142.2(d),179.1(s),200.9(s).
【0047】
<9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド(化合物2)の物理恒数>
前記方法に従い単離精製された化合物2に関し、物理恒数を測定した。以下に結果を示す。
1H-NMR(CDCl3)δ:0.89(3H,t,J=8.0Hz),1.32−1.63(12H,m),2.03(2H,t,J=8.0Hz),2.30(2H,t,J=8.0Hz),2.90(2H,t,J=8.0Hz),4.10−4.20(1H,m),5.27−5.32(1H,m),5.40−5.43(2H,m),5.68(1H,dd,J=12.0Hz,16.0Hz),5.95(1H,t,J=12.0Hz),6.48(1H,dd,J=8.0Hz,12.0Hz).
13C-NMR(CDCl3)δ:14.2(q),20.5(t),25.3(t),25.9(t),28.9(t),29.0(t),29.1(t),29.3(t),34.0(t),37.2(t),72.8(d),125.5(d),126.5(d),127.8(d),130.7(d),132.4(d),136.1(d),180.0(s)
【0048】
両化合物の核磁気共鳴スペクトルは、公知文献(例えば、Chem.Pharm.Bull.,46(6),1008-1014(1998)、特開昭62−164621号公報を参照)に記載された物理恒数と一致した。シソ科メリッサ属メリッサより単離精製された化合物は、それぞれ化合物1及び化合物2の化学構造を有することが判った。
【0049】
以下に、実施例を挙げて本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定を受けないことは、言うまでもない。
【実施例1】
【0050】
<抽出物の製造>
試験例1の方法に従い、メリッサ抽出物を得た。
【0051】
<化合物1及び化合物2のヒト正常細胞を用いたメラニン産生抑制作用>
(1) ヒト正常細胞を用いたメラニン産生抑制試験
メラニン合成過程に特異的に細胞に取り込まれるチオウラシル(試験では14Cラベルしたチオウラシルを使用)を用いて、前記メラニン産生抑制作用を評価した。24ウェルのプレ−トを使用し、4.5×104個/cm2の濃度で正常ヒト表皮メラノサイト(倉敷紡績社製)を播種し、二酸化炭素雰囲気下、37℃で24時間培養を行った。ジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業株式会社)に対象化合物を溶解し培地に加え、翌日該培地を前日の培地と交換した。14Cラベルしたチオウラシルを0.25μCi(マイクロキュリ−)添加し、前記培養条件と同様の条件で3日間培養した。培養終了後、各ウェルから培養液を除去し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄後、トリプシン及びEDTA含有培地を使用して、ウェル底面より細胞を剥離して、細胞懸濁液とし、遠心分離にて細胞を回収した。細胞数は血球計算盤を用いてカウントした。その後、各ウェルから回収した細胞における14C−チオウラシル量(放射線量)を液体シンチレ−ションカウンタ−(LSC-6100:アロカ社製)にて測定した。 コントロ−ルとして、該化合物を含まないジメチルスルホキシド溶液を前記同様に調製し、コントロ−ルのウェルから回収した細胞数に対する、被検物質を含む培地で培養し回収した細胞数の百分率をそれぞれ求め、細胞生存率(%)とした。また、コントロ−ルのウェルから回収した細胞の放射線量に対する、被検物質を含む培地で培養した細胞の放射線量の百分率をそれぞれ求め、メラニン量(%)とした。すなわち、各細胞内に取り込まれた放射線量性が小さい程、メラニン量が小さく、メラニン抑制力価が大きいとすることができる。
【0052】
前記方法に従い単離精製された化合物1及び化合物2のヒト正常細胞を用いたメラニン産生抑制作用を評価した。結果を後記の図1に示す。
【0053】
図1の結果より、化合物1及び化合物2は、濃度依存的に優れたメラニン産生抑制効果を示した。
【実施例2】
【0054】
<本発明のメリッサ抽出物のメラニン産生抑制作用>
前記の本発明のメリッサ抽出物、市販のメリッサ抽出物(丸善製薬製)を用い、実施例1に記載の方法に従いメラニン産生抑制作用を評価した。メリッサ抽出物は、試験培地全量に対し0.30質量%になる様に調整し、播種翌日該培地を前日の培地と交換した。コントロ−ルとして、エタノ−ル溶液を前記同様に調製し、コントロ−ルのウェルから回収した細胞数に対する、被検物質を含む培地で培養し回収した細胞数の百分率をそれぞれ求め、細胞生存率(%)とした。また、コントロ−ルのウェルから回収した細胞の放射線量に対する、被検物質を含む培地で培養した細胞の放射線量の百分率をそれぞれ求め、メラニン量(%)とした。結果を後記図2に示す。
【0055】
図2の結果より、本発明のメリッサ抽出物は、顕著なメラニン産生抑制効果を示した。また、本発明のメリッサ抽出物は、市販メリッサ抽出物に比較し、優れたメラニン産生抑制効果を示した。
【実施例3】
【0056】
下記に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料(可溶化剤系の透明ロ−ション)を作製した。即ち、処方成分を80℃に加熱し、撹拌可溶化し、撹拌冷却し、本発明の化粧料1を得た。また同時に、本発明のメリッサ抽出物を市販のメリッサ抽出物に置換した化粧料2、メリッサ抽出物を水に置換した化粧料3も合わせて作製し、色素沈着に対する改善効果を評価した。
【0057】
【表1】

【実施例4】
【0058】
<本発明の皮膚外用剤の有効性試験>
色黒、シミ、ソバカス等の色素沈着に悩む女性ボランティア50名を対象に、統計的に同等なA、B、C群の3群に分け、A群には、本発明におけるメリッサ抽出物を含有する実施例3の化粧料1を、B群には市販のメリッサ抽出物を含有する化粧料2、C群には本発明におけるメリッサ抽出物を水に置換した化粧料3を、顔面にそれぞれ3ケ月使用してもらった。3ケ月後の色素沈着に対する改善効果を肉眼観察により評価し、群間比較を行った。結果を表2に示す。なお、有効率は、やや有効以上の効果が認められた場合を有効とした。
【0059】
【表2】

【0060】
表2に示した結果より、本発明のメリッサ抽出物を含有する化粧料1には、顕著な色素沈着抑制作用が認められた。
【0061】
下記の表3〜表5に示す処方に従い、化粧料4〜化粧料6を作製し、色素沈着抑制作用を評価した。結果を表6に示す。
【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
【表6】

【0066】
表6の結果より、ポリメタクリロイルリジン及びポリメタクリロイルオキシエトキシホスホリルコリンを含有しない化粧料4には、色素沈着抑制効果は、ほとんど認められなかった。一方、化粧料5及び化粧料6には、顕著な色素沈着抑制効果が認められた。本発明のメリッサ抽出物を含有する皮膚外用剤は、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエトキシホスホリルコリンを配合することにより色素沈着改善効果が増強されることが判った。
【0067】
表7及び表8に示した処方に従い、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体を配合した化粧料7及び化粧料8を作製し、色素沈着に対する改善効果を評価した。結果を表9に示す。
【0068】
【表7】

【0069】
【表8】

【0070】
【表9】

【0071】
表9の結果より、化粧料7及び化粧料8には、優れた色素沈着抑制効果が認められた。このことは、本発明のメリッサ抽出物を含有する皮膚外用剤において、美白作用を有するハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体を共に配合することにより色素沈着改善効果が増強されることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、美白化粧料などの皮膚外用剤に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩を有効成分とする、メラニン産生抑制剤。
【化1】

(1)
[式中、Xは、水酸基、アルキルオキシ基を有するメチン基又はカルボニル基を表し、R1は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R2は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン産生抑制剤。
【化2】

(2)
[式中、R3は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R4は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【請求項3】
前記一般式(2)で表される化合物が、16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド(Corchorifatty acid B)、その異性体及び/又はその薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のメラニン産生抑制剤。
【化3】

16−ヒドロキシ−9−オキソ−10E,12E,14E−オクタデカトリエノイックアシッド
(Corchorifatty acid B) (3)
【請求項4】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1に記載のメラニン産生抑制剤。
【化4】

(4)
[式中、R5及びR6は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、R7は、水酸基又はアルキルオキシ基を有していても良いアルキル基又はアルケニル基を表し、mは、5〜15の整数、nは、1〜5の整数を表す。]
【請求項5】
前記一般式(4)で表される化合物が、9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド、その異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩であることを特徴とする、請求項1又は4に記載のメラニン産生抑制剤。
【化5】

9−ヒドロキシ−10E,12Z,15Z−オクタデカトリエノイックアシッド (5)
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のメラニン産生抑制剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか一項に記載のメラニン産生抑制剤をシソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の植物エキスとして含有することを特徴とする、請求項6に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
シソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の全草又は地上部を採取し、極性溶媒にて抽出した後、抽出物を減圧濃縮し、画分精製を行い、前記一般式(1)に表される化合物の含有量が20〜500(μg/mL)であることを確認し、組成物に配合したものであることを特徴とする、請求項6又は7に記載の皮膚外用剤。
【請求項9】
前記シソ科メリッサ属メリッサ(Mellissa officinalis)の植物エキスが、皮膚外用剤全量に対し0.01質量%〜5質量%含有することを特徴とする、請求項6〜8の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項10】
前記皮膚外用剤に、ポリメタクリロイルリジン又はポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンから選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項6〜9の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項11】
前記皮膚外用剤に、ハイドロキノン誘導体又はアスコルビン酸誘導体から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする、請求項6〜10の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項12】
化粧料又は医薬部外品であることを特徴とする、請求項6〜11の何れか一項に記載の皮膚外用剤。
【請求項13】
メラニン産生抑制用の皮膚外用剤の製造方法であって、シソ科メリッサ属メリッサの全草又は地上部を溶媒で抽出し、所望により、溶媒を除去した後、画分、精製に付し、抽出物の画分精製物乃至はその溶媒除去物中の一般式(1)の化合物及び/又はその薬理学的に許容される塩の含有量が20〜500(μg/mL)であることを確認したしかる後に、皮膚外用剤組成物に含有させることを特徴とする、製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−168337(P2010−168337A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23031(P2009−23031)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】