説明

ヒドロキシフェニルアクリレート系モノマーおよびポリマー

【課題】フェノール系アクリレート系モノマーの新規合成方法ならびにかかるフェノール系アクリレート系モノマーを含むポリマーを提供する。
【解決手段】フェノール系アクリレート系モノマーの新規合成方法ならびにかかるフェノール系アクリレート系モノマーを含むポリマーが提供される。本発明の好ましいポリマーは、化学的増幅型ポジ型レジストの樹脂成分として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つの態様において、本発明は、フェノール系アクリレート系モノマーの新規合成方法に関する。もう一つ別の態様において、本発明は、かかるフェノール系アクリレート系モノマーを含むポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、画像を基体に転写するために使用される感光性フィルムである。フォトレジストのコーティング層が基体の上に形成され、次いで、フォトレジスト層がフォトマスクを通して活性化放射線源に露光される。フォトマスクは、活性化放射線に対して不透明である領域及び活性化放射線に対して透明である他の領域を有する。活性化放射線への露光によって、フォトレジストコーティングの光誘起化学変換がもたらされ、それによって、フォトマスクのパターンがフォトレジストのコーティングされた基体に転写される。露光に続いて、フォトレジストは現像されて、基体の選択的処理を可能にするレリーフ画像を提供する。
【0003】
約248nmの波長(KrFレーザーにより提供される)などの270nm以下の露光放射線を含む短波長放射線によって光画像形成することができるフォトレジストが興味深い。かかる短い露光波長を使用することによって、より小さいフィーチャー(feature)の形成を可能にし得る。従って、248nmの露光で十分に解像された画像をもたらすフォトレジストは、例えば、より高い回路密度及び向上したデバイス性能を提供するための、より小さい寸法の回路パターンへの恒常的な工業的要求に応える、極めて小さい(例えば、0.25μm以下)フィーチャーの形成を可能にし得る。
【0004】
解像度が高いフォトレジストレリーフ画像の生成に様々な因子が関与するが、レジストの樹脂成分が著しい影響を及ぼし得る。新規レジストポリマーおよびモノマーを生成するために多くの試みがなされてきた。SPIE、第1466巻、Advances in Resist Technology and Processing(1991)。
【非特許文献1】SPIE、第1466巻、Advances in Resist Technology and Processing(1991)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、フェノール系モノマーおよびかかるモノマーを含むポリマーの新規合成方法を見出した。
【0006】
さらに詳細には、1つの態様において、フェノール系アクリレート系化合物、例えば、次式I:
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、Rは水素またはC1−6アルキル、例えば、メチルまたはエチルである)の化合物の合成方法が提供される。
【0009】
もう1つ別の態様において、本発明の合成方法は、好適には、ポリヒドロキシフェニル化合物、例えば、ヒドロキノン(C−1−4−(OH))、カテコール(C−1−2−(OH))またはレゾルシノール(C−1−4−(OH)のアクリレート系無水物、例えば、メタクリル酸無水物またはアクリル酸無水物との反応を含みうる。好ましくは、反応は酸の存在下で実施される。特定の系において、アクリレート系酸、例えば、メタクリル酸またはアクリル酸が使用される。好適には、酸はフェノールおよび無水物試薬のための溶媒としての働きをし得る。このような系は、廃棄物流れの減少および未使用の試薬を回収する能力を包含する顕著な利点を提供できる。
【0010】
さらなる態様において、かかる合成方法において使用される無水物および酸の混合物は、酸無水物とアクリル系酸、例えば、メタクリル酸またはアクリル酸との反応により提供される。好ましい系において、低分子量無水物反応生成物(すなわち、酸)の蒸留によるなど除去をしながら、酸無水物、例えば、無水酢酸をモル過剰のアクリル系酸と反応させる。
【0011】
さらに別の態様において、本発明の合成方法は、酸−エステル交換反応を受けて、フェノール系アクリレート系化合物を提供するフェノール系アクリレート系中間体の使用を含む。さらに詳細には、ポリヒドロキシフェニル化合物、例えば、ヒドロキノン、カテコールまたはレゾルシノールを、好ましくはモル過剰で、無水物、例えば、無水酢酸と反応させて、ヒドロキシル基およびエステル基を含むフェニル化合物(例えば、C(OH)(エステル))、例えば、モノアセテートフェノール系中間体(例えば、C(OH)(OOCCH))を得、これを次に好適な酸、例えば、メタクリル酸またはアクリル酸との反応により酸−エステル交換反応に付すことができる。
【0012】
さらに別の態様において、本明細書において前述のモノマーを使用してポリマーを製造する方法が提供される。従って、フェノール系アクリレート系モノマーを本明細書において開示されるように製造し、次に1種以上の他のモノマーと反応させて、ポリマーを得る。
【0013】
本発明のある好ましい態様において、ポリマーを製造する方法が提供され、ここで、ポリマーは、次式II:
【0014】
【化2】

【0015】
の構造を含む繰り返し単位を含み、式II中、Zはブリッジ単位であり;Xは1以上の原子であり、各Rは同じかまたは異なる非水素置換基であり;mは0(R置換基が存在しない場合)から4までの整数である。
【0016】
次式III:
【0017】
【化3】

【0018】
の構造を含む繰り返し単位を含むポリマーを製造する方法がさらに提供され、かかる式IIIにおいて、Rは水素またはアルキル、例えば、C1−6アルキル、特にメチルであり;X、Rおよびmは前記式Iについて定義されたのと同じである。
【0019】
好ましいポリマーは、前記式IおよびIIのものなど、スペースのあるフェノール系単位と異なる追加の繰り返し単位を含むことができ、すなわち、本発明の好ましいポリマーとしては、コポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ペンタポリマーおよび他の高次ポリマーが挙げられる。本発明のポリマーは、フォトレジスト組成物の樹脂成分としての使用に特に好適でありうる。
【0020】
本発明の他の態様は以下で開示される。
【0021】
モノマーおよびその合成
すでに述べたように、本発明の方法により製造される好ましいモノマーは、次式I:
【0022】
【化4】

【0023】
を有するものを含み、式中、Rは水素または任意に置換されていてもよいアルキル、例えば、任意に置換されていてもよいC1−6アルキルであり、Rは好ましくは水素またはメチルである。
【0024】
本発明の方法により製造される特に好ましいモノマーは、次のフェノール系メタクリレート(i)、(ii)および(iii):
【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
を含む。
【0029】
スキーム1
【0030】
【化8】

【0031】
すでに記載し、スキーム1において概要を示すように、1つの態様において、スキーム1において示されるポリヒドロキシフェニル化合物、例えば、ヒドロキノン1を、酸の存在下で、ビニル酸無水物2と反応させて、フェノール系メタクリレート系化合物3を得ることを含む方法が提供される。前記スキーム1において、「R」は前記式(I)において定義されたのと同じである。スキーム1の特に好ましい合成方法は、以下の実施例1において例示される。
【0032】
スキーム2
【0033】
【化9】

【0034】
スキーム2において概要を示すように、もう1つ別の態様において、前記スキーム1において試薬2として用いることができる、ビニル酸無水物を製造する方法が提供される。さらに詳細には、アクリレート系酸4を酸無水物5と、好ましくはさらなる酸の存在下で反応させて、ビニル酸無水物6を得、フェノール系メタクリレート系化合物3を得ることができる。前記スキーム2において、図示された「R」は、前記式(I)において定義されたのと同じである。特に好ましいスキーム2の合成方法を以下の実施例2において例示する。
【0035】
スキーム3
【0036】
【化10】

【0037】
すでに記載したように、またスキーム3において概要を示したように、さらなる態様において、ポリヒドロキシ化合物7を酸無水物8と、好ましくは酸の存在下で反応させて、モノエステルフェノール系中間体9を得る方法が提供される。所望により、過剰の出発物質を回収でき、化合物9を次にアクリレート系酸10と、好ましくはさらなる酸の存在下で反応させて、フェノール系メタクリレート系化合物11を得ることができる。前記スキーム3において、図示された「R」は、前記式(I)において定義されたのと同じである。スキーム3の特に好ましい合成方法は、以下の実施例3において例示される。
【0038】
スキーム3において概要を示される二段階法は、比較的安価な試薬(例えば、AcO)の使用を含むいくつかの顕著な利点を提供し得る。さらに、スキーム3のプロセスは、アクリレート系化合物11(ここで、化合物11のRは水素である)の合成を容易にすることができる。
【0039】
ポリマー合成
本発明のポリマーは、様々な方法により製造することができる。特に、本発明のポリマーは、フリーラジカル重合を含む付加反応により、例えば、選択されたモノマー(そのうちの1つは、フェノール系アクリレート系化合物を含む)の反応により適切に形成することができ、ラジカル開始剤の存在下、不活性雰囲気下(例えば、Nまたはアルゴン)および高温、例えば、70℃以上で望ましい様々な単位を得ることができるが、反応温度は、使用される特定の試薬の反応性および(溶媒が使用されるならば)反応溶媒の沸点に応じて変化し得る。好適な反応溶媒には、例えば、テトラヒドロフランおよび乳酸エチルが挙げられる。任意の特定の系に適した反応温度は、本発明の開示に基づいて当業者により経験的に容易に決定され得る。様々なフリーラジカル開始剤を用いることができる。例えば、アゾ化合物、例えば、アゾ−ビス−2,4−ジメチルペンタンニトリルを用いることができる。過酸化物、ペルエステル(peresters)、過酸および過硫酸塩も用いることができる。試薬および反応条件例については以下の実施例を参照。
【0040】
本発明のコポリマーおよび他の高次ポリマー(例えば、ターポリマー、テトラポリマー)を得るための反応に好適なモノマーとしては、任意に置換されていてもよいビニルフェニル、任意に置換されていてもよいスチレン、任意に置換されていてもよいアルファ−メチルスチレン、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、2−メチルアダマンチルメタクリレート、2−メチルアダマンチルアクリレート、またはアルファ−ブチルラクトンメタクリレートが挙げられる。
【0041】
反応させて、本発明のポリマーを得ることができる他のモノマーは、当業者により特定されうる。例えば、酸レイビル基を得るためには、対応するモノマー、例えば、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブトキシメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、およびエトキシエチルメタクリレートを反応させることができ;ペンダント酸基を得るためには、対応するモノマー酸モノマー、例えば、メタクリル酸およびアクリル酸;および溶解エンハンサー、例えば、無水物(好適なモノマーの反応により提供されうる、例えば、イタコン酸無水物およびマレイン酸無水物など)、を反応させることができる。
【0042】
本発明のポリマーは、好適には広範囲におよぶ分子量および分子量分布を有し得る。例えば、本発明のポリマーは好適には、1000〜100000、さらに好ましくは2000〜30000、なおいっそう好ましくは2000〜15000または20000の重量平均分子量(Mw)を有することができ、分子量分布(Mw/Mn)は3以下、さらに好ましくは分子量分布は2以下であることができる。本発明のポリマーの分子量(MwまたはMnのいずれか)は、好適にはゲル透過クロマトグラフィーにより決定される。
【0043】
すでに述べたように、ポリマーおよびモノマーの部分を包含する本明細書において記載される様々な部分は、任意に置換されていてもよい。「置換された」基は、1以上の利用可能な位置、典型的には1、2、または3位で、1以上の好適な基、例えば、ハロゲン(特に、F、ClまたはBr);シアノ;ニトロ;C1−6アルキルスルホニル、例えば、メシル;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C2−8アルケニル;C2−8アルキニル;ヒドロキシル;アルカノイル、例えば、C1−6アルカノイル、例えば、アシルにより置換されていてもよい。
【0044】
フォトレジスト組成物
本明細書において開示される重合されたモノマーを含むポリマーは、特に、フォトレジスト組成物、例えば、248nm露光放射線で画像化される化学増幅型フォトレジストの成分であり得る。このようなポリマーは、好適にはペンダントアルキルエステルまたはアセタールポリマー基であって、光誘起開裂を受け得るものを含むことができ、レジストコーティング層の露光部分と未露光部分の間に溶解度の差をもたらしうる。
【0045】
フォトレジストはまた一般に、活性化放射線に露光させた際に、レジストのコーティング層内に潜像を発生させるために十分な量で好適に使用される1種以上のフォト酸発生剤(即ち、「PAG」)の幼な光活性成分を含有する。好適なフォト酸発生剤には、イミドスルホネート、例えば下記の式の化合物が含まれる:
【0046】
【化11】

【0047】
式中、Rは、カンファー、アダマンタン、アルキル(例えば、C1−12アルキル)及びペルフルオロアルキル、例えばペルフルオロ(C1−12アルキル)、特に、ペルフルオロオクタンスルホネート、およびペルフルオロノナンスルホネートなどである。特に好ましいPAGは、N−[(ペルフルオロオクタンスルホニル)オキシ]−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドである。
【0048】
他の任意のフォトレジスト添加剤には、添加された塩基、例えば、アンモニウム化合物が挙げられ、これは現像されたレジストレリーフ画像の解像度を向上させることができる。
【0049】
一般的なフォトレジストの使用、例えば、米国特許第7,105,266号において記載されているようなものは公知である。
【0050】
次の非制限的実施例は本発明の例示である。
【実施例】
【0051】
実施例1
メタクリル酸無水物/メタクリル酸混合物の製造
無水酢酸を過剰のメタクリル酸(4:1)に滴下添加し、その間、同時に混合物から無水酢酸を蒸留した。反応を95℃、300mHgで行い、1モル%amberlyst−15(A−15)で触媒し、3000ppmPTZおよび1000MEHQpppm、8%Oで阻害した。反応の最後に、過剰のメタクリル酸を減圧下での蒸留により回収し、触媒を濾過により回収した。
【0052】
実施例2
モノマー合成;ヒドロキシフェニルメタクリレートの製造
120℃、大気圧で、3モルのメタクリル酸中に溶解させた2モルのヒドロキシキノンの機械的に撹拌された溶液に、1モルの無水メタクリル酸を滴下添加し(30分)、混合物を撹拌しながら120℃でさらに4時間維持した(NMR分析)。反応の間中、8%酸素を系に導入させた。反応の最後に、メタクリル酸を減圧下での蒸留(110℃および200mmHg)により回収し、トルエン(1リットル)を反応混合物に添加することにより、未反応の過剰のヒドロキノンを沈殿させた。少量(1〜2%)のモノマー2−メチル−5−メチレンヘキサンジオン酸が形成された。蒸留水での洗浄工程により、このモノマーを混合物から分離した。相分離後、トルエンの減圧下での蒸留により、所望の4−ヒドロキシフェニルメタクリレートを97%の収率で得た。{mp.(未補正)120℃;分析、C1010についての計算値:C、67.41:H、5.66:O、26.94。実測値:C、67.37:H、5.62}。
【0053】
実施例3
モノマー合成;ヒドロキシフェニルメタクリレートのモノエステル中間体を経た製造
大過剰のヒドロキノンを無水酢酸と酢酸の存在下で反応させて、モノアセテートフェノール系化合物1,4−C(OH)(OOCCH)を得た。過剰の出発物質を回収し、中間体化合物1,4−C(OH)(OOCCH)をメタクリル酸と酢酸の存在下で反応させて、ヒドロキシフェニルメタクリレートを得た。
【0054】
実施例4
ポリマー合成
【0055】
【化12】

HPhMA:MMA:TBA構造
【0056】
凝縮器、温度計、磁気撹拌機および外部油加熱浴を備えた500mLの三口丸底フラスコに、次のものを添加した:4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPhMA)(16.56g、0.093モル)、メチルメタクリレート(MMA)(15.54g、0.155モル)、およびtert−ブチルアクリレート(TBA)(7.95g、0.062モル)。メタノール(270mL)を添加し、得られた溶液を還流加熱した(67℃)。還流になったら、開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルペンタンニトリル(1.54g、0.006モル)のメタノール(17.5mL)中溶液。溶液を還流で2時間保持し、その後、別のチャージの開始剤〔(0.77g、0.003モル)、メタノール(9mL)〕中を、フラスコに添加した。溶液を還流で16時間保持した。冷却後、ポリマーのメタノール中溶液をヘプタンで洗浄した(3×300mL)。溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮して、残存するヘプタンを除去し、次にDI水(2リットル)中に沈殿させた。湿潤ケーキを24時間空気乾燥し、次に60℃、真空下で18時間乾燥させた。収率は90%であった。
【0057】
実施例5〜6
さらなるポリマー合成
前記実施例3の手順により、ただし、使用されるモノマーの量を変更して、さらなるHPhMA:MMA:TBAターポリマーを製造した。以下の実施例9の後の表1において、モノマー単位のそれぞれの比(形成されたポリマーの13C NMR分析により決定)、重量平均分子量(Mw)および多分散性(PD)が、実施例5および6において形成されたHPhMA:MMA:TBAについて提供される。
【0058】
実施例6
さらなるポリマー合成
【0059】
【化13】

HPhMA:STY:TBA構造
【0060】
凝縮器、温度計、磁気撹拌機および外部油加熱浴を備えた500mLの三口丸底フラスコに、次のものを添加した:4−ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPhMA)(27.94g、0.157モル)、スチレン(STY)(10.89g、0.105モル)、およびtert−ブチルアクリレート(TBA)(11.17g、0.087モル)。メタノール(340mL)を添加し、得られた溶液を還流加熱した(67℃)。還流になったら、開始剤2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルペンタンニトリル(1.73g、0.007モル)のメタノール(20mL)中溶液。溶液を還流で2時間保持し、その後、別のチャージの開始剤〔(0.87g、0.004モル)、メタノール(10mL)中〕を、フラスコに添加した。溶液を還流で16時間保持した。冷却後、ポリマーのメタノール中溶液をヘプタンで洗浄した(3×300mL)。溶液をロータリーエバポレーター上で濃縮して、残存するヘプタンを除去し、次にDI水(2.5リットル)中に沈殿させた。湿潤ケーキを24時間空気乾燥し、次に60℃、真空下で18時間乾燥させた。収率は90%であった。
【0061】
実施例8〜9
さらなるポリマー合成
前記実施例6の手順により、ただし、使用されるモノマーの量を変化させて、さらなるHPhMA:STY:TBAターポリマーを製造した。以下の表1において、モノマー単位のそれぞれの比(形成されたポリマーの13C NMR分析により決定)、重量平均分子量(Mw)および多分散性(PD)が、実施例7および8において形成されたHPhMA:STY:TBAについて提供される。
【0062】
【表1】

【0063】
実施例10
フォトレジスト製造およびリソグラフィー処理
次の成分を特定された量で混合することにより、本発明のフォトレジストを製造する。
レジスト成分:量
樹脂:11.4重量%の合計固形分液体配合物を得るための量
フォト酸発生剤:樹脂成分3.5重量%
塩基性添加剤:ポリマーの0.1重量%
界面活性剤:合計固形分の0.05重量%
【0064】
このレジストにおいて、ポリマーは、前記実施例4において記載されたようにして製造されたHPhMA:MMA:TBAターポリマーである。レジストのフォト酸発生剤は、ジ−tert−ブチルフェニルヨードニウムカンファースルホネートである。塩基性添加剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムの乳酸塩である。界面活性剤はR08の名称で販売されている、商業的に入手可能な物質である。溶媒は乳酸エチルである。
【0065】
このフォトレジスト組成物を、有機反射防止組成物のコーティングを有する200mmシリコンウエハー上にスピンコートする。施用されたフォトレジスト層を90℃で60秒間ソフトベークし、フォトマスクを通して248nm放射線に露光する。露光されたレジストコーティングを次に100℃で90秒間ベークし、アルカリ性水性現像液を用いて現像する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系アクリレート系化合物を製造する方法であって:
ポリヒドロキシフェニル化合物およびアクリレート系無水物を反応させて、フェノール系アクリレート系化合物を提供することを含む方法。
【請求項2】
フェノール系アクリレート系化合物が、次式(I):
【化1】

(式中、Rは水素またはC1−6アルキルである)を有するものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリヒドロキシ化合物がヒドロキノン、カテコールまたはレゾルシノールである請求項1記載の方法。
【請求項4】
アクリル系酸無水物を製造する方法であって:
酸無水物およびアクリル系酸を反応させて、アクリル系酸無水物を提供することを含む方法。
【請求項5】
メタクリル酸を酢酸無水物と反応させて、メタクリル酸無水物を提供する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
フェノール系アクリレート系化合物を製造する方法であって:
(a)ポリヒドロキシフェニル化合物を無水物と反応させて、ヒドロキシルおよびエステル部分の環置換基を含む中間体フェニル化合物を提供し;
(b)中間体フェニル化合物をアクリレート系エステル化合物と反応させて、フェノール系アクリレート系化合物を提供すること;を含む方法。
【請求項7】
ヒドロキノン、カテコールまたはレゾルシノールを酸無水物と反応させ、中間体フェニル化合物をメタクリル酸またはアクリル酸と反応させる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
中間体フェニル化合物がC(OH)(エステル)である請求項6記載の方法。
【請求項9】
フェノール系アクリレート系化合物を1種以上の他のモノマーと反応させて、ポリマーを提供することをさらに含む請求項1記載の方法。
【請求項10】
フェノール系アクリレート系化合物を1種以上の他のモノマーと反応させて、ポリマーを提供することをさらに含む請求項6記載の方法。

【公開番号】特開2008−273929(P2008−273929A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−42199(P2008−42199)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】