説明

ヒドロキシフェニルトリアジン

【課題】光、酸素及び熱による損傷作用に対して有機材料を安定化するための安定剤の提供と使用。
【解決手段】式I


で表される構造のヒドロキシフェニル−s−トリアジン化合物である新規な紫外線吸収剤とそれを使用して種々の有機材料(プラスチックス、塗料、化粧品調剤、写真材料)を安定化する方法ならびに安定化組成物の提供。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1つはブロックされそして2つのフリーo−ヒドロキシル基を含むヒドロキシフェニル−s−トリアジン型の新規な化合物、光、酸素および/または熱による損傷に対して有機材料、特にプラスチックス、塗料材料、化粧品調剤、日焼け止めローションまたは写真材料を安定化させるためのこれらの化合物の使用および対応する安定化された有機材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料、特に塗料の光に対する安定化を増強することが望ましい場合、光安定剤が添加されることが通常である。光安定剤の非常に頻繁に使用される部類の一つは発色団を介して有害な輻射を吸収することにより材料を保護する紫外線吸収剤である。紫外線防止剤の一つの重要な群は、特に、米国特許第3118887号明細書、米国特許第3242175号明細書、米国特許第3244708号明細書、英国特許出願公開第1321561号明細書、欧州特許出願公開第0434608号明細書、米国特許第4619956号明細書、米国特許第5364749号明細書、米国特許第5461151号明細書、欧州特許出願公開第0704437号明細書及び国際公開第96/28431号パンフレットに記載されたような、トリフェニル−s−トリアジンである。
そのオルト位において幾つかのまたは全てのヒドロキシル基がブロックされているヒドロキシフェニル−s−トリアジン型の個々の化合物もまた公知である(米国特許第3113940号明細書、米国特許第3113941号明細書、米国特許第3113942号明細書、英国特許出願公開第945966号明細書、米国特許第3249608号明細書、米国特許第5597854号明細書、国際公開第94/05645号パンフレット)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3118887号明細書
【特許文献2】米国特許第3242175号明細書
【特許文献3】米国特許第3244708号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第1321561号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0434608号明細書
【特許文献6】米国特許第4619956号明細書
【特許文献7】米国特許第5364749号明細書
【特許文献8】米国特許第5461151号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第0704437号明細書
【特許文献10】国際公開第96/28431号パンフレット
【特許文献11】米国特許第3113940号明細書
【特許文献12】米国特許第3113941号明細書
【特許文献13】米国特許第3113942号明細書
【特許文献14】英国特許出願公開第945966号明細書
【特許文献15】米国特許第3249608号明細書
【特許文献16】米国特許第5597854号明細書
【特許文献17】国際公開第94/05645号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
驚くべき特別に良好な安定剤特性をもつトリスアリール−s−トリアジンの部類からの特定の化合物が今や見いだされた。本発明は従って式I
【化1】

(式中、R1 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、炭素原子数5ないし12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3ないし18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR、−O−CO−R、−O−CO−O−R、−CO−NH、−CO−NHR、−CO−N(R)(R)、CN、NH、NHR、−N(R)(R)、−NH−CO−R、フェノキシ基、炭素原子数1ないし18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルコキシ基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルコキシ基、または炭素原子数6ないし15のトリシクロアルコキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;OH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基または−O−CO−R5 で置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−Rまたは−SO−R10を表すか;あるいは
1 は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3ないし50のアルキル基を表すか;あるいは
1 は−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
【化2】

−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;
基R2 は、互いに独立して、炭素原子数6ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;COOR4 ;CN;−NH−CO−R5 ;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;−O−R3 を表し;
3 はR1 に対して与えられた定義を表し;
4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;
フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表すか;あるいは
4 は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;
5 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基;炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基を表し;
6 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;
7 およびR8 は互いに独立して炭素原子数1ないし12のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4ないし16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7 およびR8 は一緒になって炭素原子数3ないし9のアルキレン基、炭素原子数3ないし9のオキサアルキレン基または炭素原子数3ないし9のアザアルキレン基を表し;
9 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルキル基、炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基;または炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基を表し;
10は炭素原子数1ないし12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7ないし14のアルキルフェニル基を表し;
基R11は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;ハロゲン原子;炭素原子数1ないし18のアルコキシ基を表し;
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、炭素原子数3ないし8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1ないし3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルキルアルキル基;炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルキル基;−CO−R5 を表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;R13およびR’13は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基を表し;
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3 を表し;
16はH;−CH2 −COO−R4 ;炭素原子数1ないし4のアルキル基;またはCNを表し;
17はH;−COOR4 ;炭素原子数1ないし17のアルキル基;またはフェニル基を表し;
Xは−NH−;−NR7 −;−O−;−NH−(CH2 p −NH−;または−O−(CH2 q −NH−を表し;および
指数mは数0−19を表し;nは数1−8を表し;pは数0−4を表し;qは数2−4を
表す;但し
式I中、基R1 、R2 およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。)で表される化合物を提供する。
好ましくは、上記式Iおよび下記式II中、基R1 、R2 およびR11の少なくとも1つが3個以上の炭素原子を含み、特別には4個以上の炭素原子を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の実施の形態
言及された定義の範囲において、アルキル基としての基R1 ないしR10、R12ないしR14、R16およびR17は、枝分かれもしくは枝分かれされたアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基またはオクタデシル基である。
【0006】
炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基としてのR1 、R3 ないしR9 およびR12は例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基である。好ましいのもはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基およびシクロドデシル基である。
【0007】
言及された定義の範囲内におけるアルケニル基としてのR6 、R9 、R11およびR12は特にアリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−ペンタ−2,4−ジエチル基、3−メチル−ブテ−2−エニル基、n−オクテ−2−エニル基、n−ドデセ−2−エニル基、イソ−ドデセニル基、n−ドデセ−2−エニル基およびn−オクタデセ−4−エニル基が含まれる。
【0008】
置換されたアルキル基、シクロアルキル基またはフェニル基は1回以上の置換ができおよび結合している炭素原子において(α−位において)または他の炭素原子において置換基をもつことができ;置換基がヘテロ原子によって(例えばアルコキシ基)結合する場合、それは好ましくはα−位においてでなくおよび置換されたアルキル基は2、特には3個の、またはそれ以上の炭素原子を含む。2以上の置換基は好ましくは異なる炭素原子と結合する。
【0009】
−O−、−NH−、−NR7 −、−S−により中断されたアルキル基はこれらの基の1以上で中断されていてもよく、それぞれの場合一般に一つの結合中に1つの基が挿入されており、およびヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NH等は生じず;中断されたアルキル基がさらに置換されている場合、置換基は一般にヘテロ原子に対してα位にない。1つの基の中で2以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−のタイプの中断する基が生じる場合、それらは一般に同一である。
【0010】
アリール基は、一般に芳香族炭化水素基であり、例えばフェニル基、ビフェニルイル基またはナフチル基であり、好ましくはフェニル基およびビフェニルイル基である。アルアルキルは一般にアリール基、特にフェニル基により置換されたアルキル基であり;従って炭素原子数7ないし20のアルアルキルは、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、
フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基およびフェニルヘキシル基を含み;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基は好ましくはベンジル基、α−メチルベンジル基およびα,α−ジメチルベンジル基である。
【0011】
アルキルフェニル基およびアルキルフェノキシ基はそれぞれアルキル基で置換されたフェニル基またはフェノキシ基である。
【0012】
ハロゲン置換基は−F、−Cl、−Brまたは−Iであり;好ましいものは−−Fまたは−Cl、であり特に−Clである。
【0013】
炭素原子数1ないし20のアルキレン基は例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等である。ここにアルキル鎖はまた枝分かれでき、例えばイソプロピレン基である。
【0014】
炭素原子数4ないし12のシクロアルケニル基は、例えば、2−シクロブテニ−2−イル基、2−シクロペンテニ−1−イル基、2,4−シクロペンタジエニ−1−イル基、2−シクロヘキセ−1−イル基、2−シクロヘプテニ−1−イル基、または2−シクロオクテニ−1−イル基である。
【0015】
炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル基は、例えば、ボルニル基、ノルボルニル基、[2.2.2]ビシクロオクチル基である。ボルニル基およびノルボルニル基、特にボルニル基およびノルボルニ−2−イル基が好ましい。
【0016】
炭素原子数6ないし15のビシクロアルコキシ基は、例えばボルニルオキシ基またはノルボルニ−2−イルオキシ基である。
【0017】
炭素原子数6ないし15のビシクロアルキル−アルキル基または−アルコキシ基は、ビシクロアルキル基で置換されたアルキル基またはアルコキシ基で、炭素原子の総数が6ないし15であるものであり;具体例はノルボルナン−2−メチル基およびノルボルニル−2−メトキシ基である。
【0018】
炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニル基は、例えば、ノルボルネニル基、ノルボルナジエニル基である。好ましいものは、ノルボルネニル基、特にノルボルネ−5−エン基である。
【0019】
炭素原子数6ないし15のビシクロアルケニルアルコキシ基は、ビシクロアルケニル基で置換されたアルコキシ基で、炭素原子の総数が6ないし15であるものであり;ある実例はノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基である。
【0020】
炭素原子数6ないし15のトリシクロアルキル基は、例えば、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基である。好ましいものは1−アダマンチル基で示される。
【0021】
炭素原子数6ないし15のトリシクロアルコキシ基は、例えば、アダマンチルオキシ基である。炭素原子数3ないし12のヘテロアリール基は、好ましくは、ピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニルまたはキノリニル基である。
【0022】
式Iで表される代表的な化合物は、
式中、R1 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルケニル基;フェニル基;フェニル基、OH、
炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、炭素原子数5ないし12のシクロアルコキシ基、炭素原子数3ないし18のアルケニルオキシ基、ハロゲン原子、−COOH、−COOR4 、−O−CO−R5 、−O−CO−O−R6 、−CO−NH2 、−CO−NHR7 、−CO−N(R7 )(R8 )、CN、NH2 、NHR7 、−N(R7 )(R8 )、−NH−CO−R5 、フェノキシ基、炭素原子数1ないし18のアルキル基で置換されたフェノキシ基、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、ボルニルオキシ基、ノルボルニ−2−イルオキシ基、ノルボルニル−2−メトキシ基、ノルボルネ−5−エン−2−メトキシ基、アダマンチルオキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;OH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基および/または−O−CO−R5 で置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;グリシジル基;−CO−R9 または−SO2 −R10を表すか;あるいは
1 は1以上の酸素原子で中断されたおよび/またはOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換された炭素原子数3ないし50のアルキル基を表すか;あるいは
1 は−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
【化3】

−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;
基R2 は炭素原子数6ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし6のアルケニル基;フェニル基;−O−R3 または−NH−CO−R5 を表し;ならびに
基R3 は互いに独立してR1 に対して与えられた定義を表し;
4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表すか;あるいは
4 は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;
5 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;
6 はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;
7 およびR8 は互いに独立して炭素原子数1ないし12のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;炭素原子数4ないし16のジアルキルアミノアルキル基を表すか;または炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;あるいはR7 およびR8 は一緒になって炭素原子数3ないし9のアルキレン基;炭素原子数3ないし9のオキサアルキレン基または炭素原子数3ないし9のアザアルキレン基を表し;
9 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;炭素原子数7ないし11のフ
ェニルアルキル基;ノルボルニ−2−イル基;ノルボルネ−5−エニ−2−イル基;アダマンチル基を表し;
10は炭素原子数1ないし12のアルキル基;フェニル基;ナフチル基;または炭素原子数7ないし14のアルキルフェニル基を表し;
基R11は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基を表し;
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし18のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基、炭素原子数3ないし8のアルケノキシ基、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基で1ないし3回置換されたフェニル基を表すか;または炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;1−アダマンチル基;2−アダマンチル基;ノルボルニル基;ノルボルナン−2−メチル−;−CO−R5 を表し;またはR12は1以上の−O−、−NH−、−NR7 −、−S−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;
13およびR’13は互いに独立してH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基を表し;
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし12のアルコキシアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3 を表し;
16はH;−CH2 −COO−R4 ;炭素原子数1ないし4のアルキル基;またはCNを表し;
17はH;−COOR4 ;炭素原子数1ないし17のアルキル基;またはフェニル基を表し;
Xは−NH−;−NR7 −;−O−;−NH−(CH2 p −NH−;または−O−(CH2 q −NH−を表し;および
指数mは数0−19を表し;nは数1−8を表し;pは数0−4を表し;qは数2−4を表す化合物であり、特別には式II
【化4】

(式中、R1 、R2 およびR11は式Iに対して定義された意味を表す。)で表される、化合物である。
【0023】
式IIで表される化合物のうち、基R2 が同じである化合物、特に基R2 が定義−O−R3 をもつ化合物、とりわけR11がHである化合物が好ましい。
【0024】
式中、重合可能な二重結合を含み、それらのうち、特に
1 および/またはR3 が基:−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
【化5】

−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)または炭素原子数2ないし6のアルケニル基で、OHおよび炭素原子数2ないし6のアルケニル基で、または−O−CO−R5 (式中、R5 は炭素原子数2ないし3のアルケニル基を表す。)で置換された炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表す、式Iおよび式IIで表される化合物は特別に関心のある主題を構成する。
【0025】
特に好ましい化合物は、式中、Xが−O−である化合物である。このような化合物のうち、好ましくは、R12が炭素原子数1ないし18のアルキル基もしくは炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基を表し;R13がHまたは炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;R13’がHを表し;R16がHまたはメチル基を表し;R17がHを表す化合物である。
【0026】
好ましいものは、式中、R1 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、炭素原子数5ないし12のシクロアルコキシ基、−COOH、−COOR4 、−O−CO−R5 、フェニル−炭素原子数1ないし4のアルコキシ基で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;またはR1 はOH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基および/または−O−CO−R5 で置換されたシクロヘキシル基を表すか;あるいは
1 は−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
【化6】

−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;グリシジル基;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;
基R2 は−O−R3 または−NH−CO−R5 を表し;ならびに
基R3 は互いに独立してR1 に対して与えられた定義を表し;
4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;シクロヘキシル基を表すか;あるいは−O−で中断されおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;
5 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;シクロヘキシル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基を表し;
7 は炭素原子数1ないし12のアルキル基またはシクロヘキシル基を表し;
11はHを表し;
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基;炭素原子数1ないし8のアルキル基もしくは炭素原子数1ないし8のアルコキシ基で置換されたフェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;−CO−R5 を表すか;またはR12は−O−で中断されたおよびOH、フェノキシ基もしくは炭素原子数7ないし18のアルキルフェノキシ基で置換されていてもよい、炭素原子数3ないし50のアルキル基を表し;
13はH;炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基を表し;
R’13はHを表し;
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し;
15、R’15およびR”15は互いに独立してHまたはCH3 を表し;
16はH;−CH2 −COO−R4 ;炭素原子数1ないし4のアルキル基;またはCNを表し;
17はH;−COOR4 ;炭素原子数1ないし17のアルキル基;またはフェニル基を表し;
Xは−NH−;−NR7 −;または−O−を表し;および
mは数0−19を表す式IIで表される化合物である。
【0027】
特に好ましい式IIで表される化合物は、式中、R1 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、−COOR4 、−O−CO−R5 で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基;またはR1 はOH、炭素原子数1ないし4のアルキル基、炭素原子数2ないし6のアルケニル基で置換されたシクロヘキシル基を表すか;あるいは
1 は−A;−CH2 −CH(XA)−CH2 −O−R12;−CR13R’13−(CH2 m −X−A;−CH2 −CH(OA)−R14;−CH2 −CH(OH)−CH2 −XA;
【化7】

−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15;−CR13R’13−(CH2 m −CO−X−A;−CR13R’13−(CH2 m −CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15または−CO−O−CR15R’15−C(=CH2 )−R”15(式中、Aは−CO−CR16=CH−R17を表す。)で表される定義の一つを表し;
基R2 は−O−R3 または−NH−CO−R5 を表し;ならびに
基R3 は互いに独立してR1 に対して与えられた定義を表し;
4 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基またはシクロヘキシル基を表し;
5 は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;
11はHを表し;
12は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;−CO−R5 を表し;
13はHまたは炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;
R’13はHを表し;
14は炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し;
15、R’15、R”15、R16およびR17は互いに独立してHまたはCH3 を表し;
Xは−O−を表し;ならびに
mは数0−19を表す化合物である。
【0028】
特別に興味深い化合物は、式II中
基R2 は−OR3 を表し;
1 およびR3 は互いに独立して炭素原子数1ないし18のアルキル基を表すか;またはOH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基および/または−COOR4 で置換された炭素原子数2ないし6のアルキル基;またはCH2 COOR4 ;あるいは未置換であるかまたはOHおよび/または炭素原子数2ないし3のアルケニル基で置換されたシクロヘキシル基を表し;R4 は炭素原子数1ないし6のアルキル基を表し;ならびに
11は水素原子を表す化合物である。
【0029】
特に技術的に興味深い化合物は、式II中、
2 が−OR3 を表し;
1 およびR3 が、互いに独立して、炭素原子数1ないし18のアルキル基、特に、枝分かれした炭素原子数5ないし18のアルキル基を表し;ならびに
11が水素原子を表す化合物である。これらの化合物は、特に化粧品、医薬品および獣医学的調剤における紫外線フィルターとしての使用に適当である。
【0030】
式Iおよび、特に式IIで表される化合物の製造のために、式A、代表的には式A’
【化8】

(式中、基R2 は、互いに独立して炭素原子数6ないし18のアルキル基;炭素原子数2ないし6のアルケニル基;フェニル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;COOH;COOR4 ;CN;NH−CO−R5 ;ハロゲン原子;トリフルオロメチル基;または−OR3 を表し;ならびにR3 、R4 、R5およびR11は式Iに対して与えられ
た定義を表し;R3 はさらにHを示す。)で表される化合物から出発することが適切である。
【0031】
式AおよびA’で表される表される化合物は公知であり、または慣用の方法により、例えばEP−A−434608またはH.BrunettiおよびC.E.Luthi, Helv. Chim.Acta 55, 1566(1972) による刊行物に示される方法に従ってまたはそれと同様に、相当するフェノールへのハロトリアジンのフリーデル−クラフツ付加によって、公知の化合物と同様に得ることができる。この反応は公知の方法、例えば、フリーカルボキシル基をエステル化してR2
COOR4 である、エステルを得るための方法に従い、より先の反応を続けることが可能である。
使用できる出発化合物およびそれらの製造におけるさらなる詳細は最初に引用した文献にならびにEP−A−165608に見いだすことができる。
【0032】
式Aで表される出発物質を製造するための他の方法は、CousinとVolmer,Bull.Soc. Chim. Fr.15, 414-421(1914) 、US−A−3113942 またはEP−A−648753により記載され;それらの方法によりまたは方法と同様に、式B
【化9】

で表される2−ヒドロキシベンゾニトリルの、または
式C
【化10】

で表される2−ヒドロキシベンズアミドの3当量を高温、通常180℃ないし260℃の範囲において三量化して、式Aで表される化合物を得ることができる。この経路は特にR2 がOHまたはOR3 でない式Aで表される化合物に対して特に好ましい。
【0033】
式Aで表される化合物の特別に好ましい出発物質は、トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンであり;下記に示す製造方法によりそれから得られうる新規な化合物は式中、R2 が−OR3 を表しおよびR11が水素原子である式IIに相当する。
【0034】
式Iで、特に式IIで表される化合物のための、式Aで表される化合物の別の反応のための選択肢は以下の反応を含む:
a)ハライドまたはスルフェートによるフリーOH基の段階的反応
これは、それぞれの反応されるOHに関して、試薬R1 −Hal(式中、Halはハロゲン原子、好ましくはClを表し、およびR1 は上記式Iに関して与えられた定義を表す。)の約1当量を塩基の約1当量とともに使用して行う。R1−Halはまた、試薬の混合
物であってもよい。ハライドR1 −Halの代わりにスルフェート(1/2 R1 −O−
SO2 −O−R1 )の1当量を使用することもまた可能である。基−R1 のみならず、他の異なる基(−OR3 の定義におけるR2 )を導入する意図がある場合、最初にR3 −Hal(R3 はR1 に対して与えられた定義をもつ。)および塩基の要求される当量数による反応を行い、次いでR1 −Halの1当量による反応を行うことが適切である。
【0035】
反応は、好ましくは有機溶媒、例えば適当な沸点範囲をもつ芳香族または脂肪族炭化水素、アルコール、エーテル、エステルまたはアミド中で行われ;好ましい溶媒は、トルエン、キシレン、プロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタ
ノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)である。適当な塩基は、有機のまたは、好ましくは水酸化物、酸化物または炭酸塩のような無機の塩基であり;重要な例はKOH,NaOH,K2 CO3 ,Na2 CO3 のようなアルカリ金属水酸化物および炭酸塩である。反応温度は、通常、80−180℃の範囲、好ましくは100−150℃の範囲である。反応はまた、例えばこの場合通常、−および純粋なアルキル化試薬として使用される場合は特に、−有機相中にハライドまたはスルフェートが存在し、水相中にトリアジン前駆体が存在する、テトラアルキルアンモニウム塩のような相転移触媒の存在下で二相反応として行うこともできる。
【0036】
実例として、R2 が−OR3 である式IIで表される化合物は、例えば以下の反応スキームによって得ることができる:
【化11】

【0037】
b)エポキシドによるフリーOH基の段階反応
段階反応a)の下に記載された試薬の代わりに、エポキシドを使用することも可能である。反応されるそれぞれのOH基に対し、それぞれの場合
【化12】

型のエポキシ基の約1当量以上が、触媒とともにバルクまたは溶媒中で使用される。この反応は通常塩基の添加なく行われる。式中、R3 がもしくは、適当ならばR3 およびR1 が式−CH2 −CH(OH)−R’に相当する、式Iまたは式IIで表される第一の反応生
成物は、所望ならば、さらに公知の方法により、例えば脂肪族OH基のエーテル化またはエステル化によって反応され得る。
【0038】
−CH2 −CH(OH)−R’としての基−R3 のみならず他の、異なる基R1 を導入することを意図する場合には、最初に
【化13】

の要求される当量数(ここでは、通常過剰でない量が使用され、ならびに−CH2 −CH(OH)−R’はR1 に対して与えられた定義を包含する。)による反応が行われ、次いで例えばR1 −Halおよび塩基のような所望の他の試薬の1当量による、または
【化14】

のさらに1当量による反応が行われることが適切である。逆に、a)に従って、最初に基−R3 を導入し、次いで反応生成物を
【化15】

と反応させて、式Iまたは式IIで表される化合物を得ることもまた可能である。
【0039】
エポキシドの環開裂は好ましくは有機溶媒中、特に非極性の有機溶媒中で行われ;具体例は、適当な沸点範囲の芳香族または脂肪族炭化水素、好ましくはトルエン、キシレン、メシチレンである。
【0040】
適当な触媒の例は、第四級ホスホニウム塩または第三級アミン、例えばエチルトリフェニルホスホニウムブロミドまたはベンジルジメチルアミンを含む、相間移動触媒である。
【0041】
反応温度は、通常80−200℃の範囲、好ましくは100−180℃の範囲にある。
【0042】
例として、R2 が−OR3 である式IIで表される化合物は、例えば以下の反応スキームによって得ることができる。
【化16】

【0043】
上述した反応の生成物はさらに、本明細書に記載された公知の方法によってさらに式Iに対して与えられた定義の生成物に改変できる。
【0044】
反応は、例えばアルゴンのような不活性ガスによりフラッシュすることによって、酸素の不在下で行われ得るが、おのおのの場合、酸素は影響しないので、反応はまた、この操作なしで行うこともできる。反応の終了後、生成物は慣用の方法によって仕上げることができる。
【0045】
新規な化合物は、光、酸素または熱による損傷に対して有機材料を安定化するために特に適当である。新規な化合物は、光安定剤(紫外線吸収剤)としてとりわけ適当である。
【0046】
安定化される材料は、例えば油、脂肪、ワックス、塗料、化粧品、写真材料または殺生物剤であってよい。特に興味深いそれらの使用は、プラスチックス、ゴム、塗料材料、写真材料または接着剤における存在のような、重合性材料における使用である。化粧品調剤(cosmetic preparation)において使用される場合、保護される材料はしばしば製品それ自体でなく、調剤が適用される皮膚または毛髪である。
【0047】
この様にして安定化され得るポリマーまたはその他の物質の例は以下のものである:
1.モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブト−1−エン、ポリ−4−メチルペント−1−エン、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、ならびにシクロオレフィン例えばシクロペンテンまたはノルボルネンのポリマー、さらに(所望により架橋結合できる)ポリエチレン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度および高分子量ポリエチレン(HDPE−HMW)、高密度および超高分子ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、
低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)および(ULDPE)。
【0048】
ポリオレフィン、すなわち先の段落中で例示したようなモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレンおよびポリプロピレンは種々の方法、特に以下の方法により製造できる:
a)(通常、高圧および高温においての)ラジカル重合
b)通常周期表のIVb、Vb、VIbまたはVIII属の金属の1個以上を含む触媒を使用する触媒重合。これらの金属は通常、π−配位またはσ−配位のどちらか一方が可能な、例えば酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールのような配位子の1つ以上を持つ。これら金属錯体は遊離型であるか例えば活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、酸化アルミニウムまた
は酸化珪素のような支持体に固定化していてよい。これらの触媒は重合媒体中に可溶または不溶であってよい。触媒はそれ自体重合において使用でき、または、例えば金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキル酸化物または金属アルキルオキサン(該金属は周期表のIa、IIa および/またはIIIa属の元素である。)のような別の活性剤が使用できる。活性剤は都合良くは、他のエステル、エーテル、アミンもしくはシリルエーテル基により改良され得る。
これら触媒系は通常フィリップス(Phillips)、スタンダードオイルインディアナ(Standard Oil Indiana)、チグラー(−ナッタ)〔Ziegler-(Natta) 〕、TNZ〔デュポン社(Dupont)〕、メタロセンまたはシングルサイト触媒(SSC)と称されるものである。
【0049】
2. 1.に記載したポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンとの
混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)およびポリエチレンの種々のタイプの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0050】
3.モノオレフィンとジオレフィン相互または他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびその低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト−1−エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト−1−エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマーおよびそれらコポリマーと一酸化炭素のコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩類(アイオノマー)およびエチレンとプロピレンとジエン例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデン/ノルボルネンのようなものとのターポリマー;ならびに前記コポリマー相互の混合物および1.に記載したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン−プロピレン/コポリマー、LDPE/エチレン−ビニルアセテートコポリマー(EVA)、LDPE/エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素−コポリマー;ならびに他のポリマーとこれらの混合物、例えばポリアミド。
【0051】
4.それらの水素化変性物(例えば粘着付与剤)およびポリアルキレンとデンプンの混合物を含む炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9)。
【0052】
5.ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)、ポリ−(α−メチルスチレン)。
【0053】
6.スチレンまたは、α−メチルスチレンとジエンもしくはアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメ
タクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの高衝撃強度の混合物;およびスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン、又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン。
【0054】
7.スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルのコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタアクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸またはマレインイミド;ポリブタジエンにスチレンおよびマレインイミド;ポリブタジエンにスチレンおよびアルキルアクリレートまたはメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアクリレートまたはポリメタクリレートにスチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレンおよびアクリロニトリル、ならびにこれらと6.に列挙したコポリマーとの混合物、例えばABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして知られているコポリマー混合物。
【0055】
8.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン−イソプレンの塩素化および臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化もしくはクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンおよび塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−およびコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物からのポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、およびポリフッ化ビニリデンならびにこれらのコポリマー、例えば塩化ビニル−塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン−酢酸ビニルコポリマー。
【0056】
9.α,β−不飽和酸、およびその誘導体から誘導されたポリマー、例えばポリアクリレートおよびポリメタクリレート;ブチルアクリレートとの耐衝撃性改良ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル。
【0057】
10.上記9に挙げたモノマーの相互または他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレートまたはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマー、又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0058】
11.不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアシル誘導体またはそれらのアセタールから誘導されたポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレートまたはポリアリルメラミン;ならびにそれらと上記1.に記載したオレフィンとのコポリマー。
【0059】
12.環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0060】
13.ポリアセタール、例えばポリオキシメチレンおよびエチレンオキシドをコモノマーと
して含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性させたポリアセタール。
【0061】
14.ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、ならびにポリフェニレンオキシドとポリスチレンまたはポリアミドとの混合物。
【0062】
15.一方の成分としてヒドロキシ末端基を含むポリエーテル、ポリエステルまたはポリブタジエンと他方の成分として脂肪族または芳香族ポリイソシアネートとから誘導されたポリウレタンならびにその前駆物質。
【0063】
16.ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または相当するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミド。例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6および12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンおよびアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸および/またはテレフタル酸および所望により変性剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えはポリ−2,4,4−(トリメチルヘキサメチレン)テレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;さらに、前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマーまたは化学的に結合またはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;またはこれらとポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのコポリマー;ならびにEPDMまたはABSで変性させたポリアミドまたはコポリアミド;加工の間に縮合させたポリアミド(RIM−ポリアミド系)。
【0064】
17.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントインおよびポリベンズイミダゾール。
【0065】
18.ジカルボン酸およびジオールから、および/ またはヒドロキシカルボン酸または相当するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1, 4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレート、およびポリヒドロキシベンゾエートならびにヒドロキシ末端基を含有するポリエーテルから誘導されたブロック−コポリエーテル−エステル;およびまたポリカーボネートまたはMBSにより改良されたポリエステル。
【0066】
19.ポリカーボネートおよびポリエステル−カーボネート。
【0067】
20.ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン。
【0068】
21.一方でアルデヒド、および他方でフェノール、尿素またはメラミンから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0069】
22.乾性もしくは非乾性アルキッド樹脂。
【0070】
23.飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールおよび架橋剤としてビニル化合物とのコポリエステルから誘導された不飽和ポリエステル樹脂および燃焼性の低いそれらのハロゲン含有変性物。
【0071】
24.置換アクリル酸エステル、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステル−アクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0072】
25.メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂で架橋させたアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂。
【0073】
26.所望により促進剤を使用してアルデヒドまたはアミンのような慣用の硬化剤により架橋する、脂肪族、環状脂肪族、複素環式、芳香族グリシジルエーテル、例えばビスフェノールAおよびビスフェノールFのジグリシジルエーテルの生成物から誘導された架橋エポキシ樹脂。
【0074】
27.天然ポリマー、例えば、セルロース、ゴム、ゼラチンおよびそれらの化学変性した同族誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび酪酸セルロース、またはセルロースエーテル、例えばメチルセルロース;ならびにロジンおよびそれらの誘導体。
【0075】
28.前述のポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6およびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABSもしくはPBT/PET/PC。
【0076】
従って本発明はさらにA)酸化的、熱的および/または化学線的崩壊/増成(breakdown/buildup)され易い有機材料およびB)安定剤として式Iで表される化合物の少なくとも1種からなる組成物を提供し、ならびに酸化的、熱的および/または化学線的崩壊/増成に対して有機材料を安定化するための式Iで表される化合物の使用を提供する。本発明は同様に、酸化的、熱的および/または化学線的崩壊/増成に対して有機材料を安定化する方法であって、該材料に、式Iで表される化合物の少なくとも1種を添加することからなる方法を包含する。
【0077】
使用される安定剤の量は安定化される有機材料および安定化材料の意図される用途に依存する。一般に新規な組成物は、成分A)の100重量部につき、安定剤(成分B)0.01ないし15重量部、特別には0.05ないし10重量部および特に0.1ないし5重量部を含む。安定剤(成分B)は式Iの個々の化合物またはそうでなければ混合物であってよい。
【0078】
式Iで表される化合物に加えて新規な組成物は、1以上の慣用の化合物、例えば抗酸化剤、他の光安定剤、金属不動態化剤、ホスフィットまたはホスホナイトを他の成分(C)として含んでいてよい。以下にこれらの例を示す:
【0079】
1.抗酸化剤
1.1 アルキル化モノフェノール、例えば2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノ
ール、2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジ−シクロペンチル−4−メチルフェノ−ル、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノ−ル、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖のまたは側鎖に枝分かれしているノニルフェノール例えば2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチル−ウンデカ−1′−イル)−フェノール、2,4−ジメチル−6
−(1′−メチル−ヘプタデカ−1′−イル)−フェノール、2,4−ジメチル−6−(1′−メチル−トリデカ−1′−イル)−フェノールおよびそれらの混合物。
【0080】
1.2.アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−第三ブチルフェノール、2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0081】
1.3 ヒドロキノンとアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6−ジ−第三ブチル−4−
メトキシフェノール、2,5−ジ−第三ブチル−ヒドロキノン、2,5−ジ−第三−アミル−ヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−ヒドロキノン、2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0082】
1.4 トコフェロール、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフ
ェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物(ビタミンE)
【0083】
1.5 ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2′−チオビス(6−第三
ブチル−4−メチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス(3,6−ジ−第二−アミルフェノール)、4,4′−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−ジスルフィド。
【0084】
1.6 アルキリデンビスフェノール、例えば2,2′−メチレン−ビス(6−第三ブチ
ル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(6−第三ブチル−4−エチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2′−エチリデン−ビス(4,6−ジ−第三ブチルフェノール)、2,2′−エチリデン−ビス(6−第三ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス [6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール] 、2,2′−メチレン−ビス [6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール] 、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス(6−第三ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−第三ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3′−第三ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)ブチレート] 、ビス(3−第三ブチル−4ーヒドロキシ−
5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3′−第三ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルベンジル)−6−第三ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0085】
1.7. O−、N−およびS−ベンジル化合物、例えば3,5,3′,5′−テトラ−
第三ブチル−4,4′−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジル−メルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−アミン、ビス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル−メルカプトアセテート。
【0086】
1.8.ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロネート、ジ−オクタデシル−2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−マロネート、ジ−ドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−マロネート、ジ−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−マロネート。
【0087】
1.9. ヒドロキシベンジル芳香族化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ
−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−フェノール。
【0088】
1.10. トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス−オクチルメルカプト−6−(3
,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−第三ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート。
【0089】
1.11. べンジルホスホネート、例えばジメチル−2,5−ジ−第三ブチル−4−ヒ
ドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエチルエステルのCa塩。
【0090】
1.12. アシルアミノフェノール、例えば4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒド
ロキシステアルアニリド、オクチルN−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート。
【0091】
1.13. β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の
下記の一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、n−
オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0092】
1.14. β−(5−第三ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン
酸の下記の一価または多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0093】
1.15. β−(3,5−ジ−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン
酸の下記の一価または多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0094】
1.16. 3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸の下記の一価または
多価アルコールとのエステル、例えば、メタノール、エタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N′−ビス(ヒドロキシエチル)シュウ酸ジアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0095】
1.17. β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の
アミド、例えばN,N′−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N′−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N′−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、N,N’ビス−[2−(3−[3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]−オキサミド〔登録商標ナウガード(Naugard)XL-1, Uniroyal社〕。
【0096】
1.18.アスコルビン酸(ビタミンC)
【0097】
1.19.アミン系抗酸化剤、例えば、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス−(1,4
−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N′−ジメチル−N,N′−ジ−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−第三オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p′−ジ第三ブチル−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ第三ブチル−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N′,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ジ[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1′,3′−ジメチルブチル)フェニル]アミン、第三オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ−及びジアルキル化第三ブチル/第三オクチルフェノチアジンの混合物、モノ−及びジアルキル化第三オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−ジアミノブテ−2−エン、N,N−ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル−ヘキサメチレンジアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オン及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−オール。
【0098】
2. 紫外線吸収剤および光安定剤
2.1. 2−( 2′−ヒドロキシフェニル) ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2’
−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第二ブチル−5’−第三ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−第三アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2’−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロ
ロベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−第三ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−第三ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R−CH2 CH2 −COO−CH2 CH2 −]2−(式中,R=3’−第三ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−
2H−べンゾトリアゾール−2−イル−フェニルである。);2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール;2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0099】
2.2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、
4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2′,4′−トリヒドロキシ−または2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ誘導体。
【0100】
2.3. 置換されたおよび非置換安息香酸のエステル、例えば4−第三ブチルフェニル
=サリチレート、フェニル=サリチレート、オクチルフェニル=サリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−第三ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−第三ブチルフェニル=3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル=3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル=3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ第三ブチルフェニル=3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
【0101】
2.4. アクリレート、例えばエチルα−シアノ−β,β−ジフェニル−アクリレート
、イソオクチルα−シアノ−β,β−ジフェニル−アクリレート、メチルα−カルボメトキシ−シンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−シンナメート、ブチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−シンナメート、メチルα−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメート、およびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン。
【0102】
2.5. ニッケル化合物,例えば2,2′−チオビス−[4−(1,1,3,3−テト
ラメチルブチル) −フェノール]のニッケル錯体,例えば1:1または1:2錯体であ
って,所望によりn−ブチルアミン、トリエタノールアミンもしくはN−シクロヘキシル−ジ−エタノールアミンのような他の配位子を伴うもの、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチルベンジルホスホン酸モノアルキルエステル例えばメチルもしくはエチルエステルのニッケル塩、ケトキシム例えば、2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体であって,所望により他の配位子を伴うもの。
【0103】
2.6. 立体障害性アミン、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)n−ブチル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとコハク酸との縮合物、N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−第三オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの線状もしくは環状縮合物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1′−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−2−n−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−第三ブチル−ベンジル)マロネート、3−n−オクチル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)スクシネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンと4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの線状もしくは環状縮合物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンの縮合物、2−クロロ−4,6−ジ(4−n−ブチルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−1,3,5−トリアジンと1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンとの縮合物、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン、4−ヘキサデシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの混合物、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4−クロロヘキシルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンとの縮合生成物、1,2−ビス(3−アミノプロピルアミノ)エタンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンならびに4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(CAS登録No.[136504−96−6])の縮合生成物;
N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシミド、N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ドデシルスクシミド、2−ウンデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカン、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソ−スピロ[4,5]デカンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エタン、N,N’−ビスホルミル−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミン;4−メトキシメチレンマロン酸の1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ヒドロキシピペリジンとのジエステル、ポリ[メチルプロピル−3−オキシ−4−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)]シロキサン;無水マレイン酸−α−オレフィンコポリマーおよび2,2,6,6−テトラメチル−4−アミノピペリジンもしくは1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジンとの反応生成物。
【0104】
2.7. シュウ酸ジアミド、例えば4,4′−ジ−オクチルオキシオキサニリド、2,
2′−ジエトキシオキシアニリド、2,2′−ジ−オクチルオキシ−5,5′−ジ−第三ブチルオキサニリド、2,2′−ジ−ドデシルオキシ−5,5′−ジ−第三ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキサニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−第三ブチル−2′−エトキシオキサニリドおよび該化合物と2−エトキシ−2′−エチル−5,4′−ジ−第三ブチル−オキサニリドとの混合物,
o−およびp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物およびo−およびp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物。
【0105】
2.8. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、例えば2,4,
6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル) −4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5
−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル) −4,6−ビ
ス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシ−プロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシ−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシ−プロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0106】
3. 金属不活性化剤,例えばN,N′−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラル
−N′−サリチロイルヒドラジン、N,N′−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N′−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイル−ビス−フェニルヒドラジド、N,N’−ジアセタール−アジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス−サリチロイル−オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス−サリチロイル−チオプロピオニルジヒドラジド。
【0107】
4. ホスフィットおよびホスホナイト、例えばトリフェニルホスフィット、ジフェニル
アルキルホスフィット、フェニルジアルキルホスフィット、トリス(ノニルフェニル)ホスフィット、トリラウリルホスフィット、トリオクタデシルホスフィット、ジステアリルペンタエリトリトールジホスフィット、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフィット、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三
ブチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス−イソデシルオキシ−ペンタエリトリトールジホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスフィットビス(2,4,6−トリ−第三ブチル−ブチルフェニル)−ペンタエリトリトールジホスフィット、トリステアリルソルビトールトリホスフィット、テトラキス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)4,4′−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−第三ブチル−12H−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−第三ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスフィット、ビス(2,4−ジ−第三ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスフィット。2,2’,2”−ニトリロ[トリエチル−トリス−(3,3’,5,5”−テトラ−第三ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット]、2−エチルヘキシル−(3,3’,5,5’−テトラ−第三ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスフィット。
【0108】
以下に示すホスフィットが特に好ましい:トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフィット(登録商標イルガフォス(Irgafos)168,Ciba-Geigy)、トリス(ノニ
ルフェニル)ホスフィット、
【化17】

【化18】

【0109】
5.ヒドロキシルアミン、例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクダデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、ハロゲン化獣脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン。
【0110】
6.ニトロン、例えば、N−ベンジル−アルファ−フェニル−ニトロン、N−エチル−アルファ−メチル−ニトロン、N−オクチル−アルファ−ヘプチル−ニトロン、N−ラウリル−アルファ−ウンデシル−ニトロン、N−テトラデシル−アルファ−トリデシル−ニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ペンタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−ヘキサデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ペンタデシル−ニトロン、N−ヘプタデシル−アルファ−ヘプタデシル−ニトロン、N−オクタデシル−アルファ−ヘキサデシル−ニトロン、ハロゲン化獣脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンより誘導されたニトロン。
【0111】
7.チオ相乗剤、例えば、ジラウリルチオジプロピオネートまたはジステアリルチオジプロピオネート。
【0112】
8. 過酸化物スカベンジャー、例えばβ−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウ
リル、ステアリル、ミリスチルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンズイミダゾール、または2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート。
【0113】
9. ポリアミド安定剤、例えばヨウ化物および/またはリン化合物と組合せた銅塩、お
よび二価マンガンの塩。
【0114】
10. 塩基性補助安定剤、例えばメラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、
トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸Ca塩、ステアリン酸Zn塩、ベヘン酸Mg塩、ステアリン酸Mg塩、リシノール酸Na塩
およびパルミチン酸K塩、カテコールアンチモン塩およびカテコール亜鉛塩。
【0115】
11. 核剤、例えば無機物質例えば、タルク、二酸化チタンまたは酸化マグネシウムのよ
うな金属酸化物、好ましくはアルカリ土類金属のリン酸塩、炭酸塩または硫酸塩;有機化合物例えば、モノ−またはポリカルボン酸およびその塩、例えば4−第三ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウム;イオン共重合体(「イオノマー(ionomers)」)のような重合性化合物。
【0116】
12. 充填剤および強化剤、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラス球、
アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木粉および天然物の粉もしくは繊維、合成繊維。
【0117】
13.その他の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤(rheology additives) 、触媒、流れ調整剤、光沢剤、難燃剤、静電防止剤および発泡剤。
【0118】
14. ベンゾフラノンまたはインドリノン、例えば米国特許第4325863号、米国特許第4338244号、米国特許第5175312号、米国特許第5216052号、米国特許第5252643号、DE−A−4616611号、DE−A−4316622号、DE−A−4316876号、EP−A−0589839号、またはEP−A−0591102号に記載されているもの、または3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン、5,7−ジ−第三ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラノ−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−第三ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラノ−2−オン]、5,7−ジ−第三ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラノ−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン、3−(2,3−ジ−メチルフェニル)−5,7−ジ−第三ブチル−ベンゾフラノ−2−オン。
【0119】
添加される別の安定剤の性質および量は安定化される基材の性質によりおよびその意図される使用により決定される。安定化される材料の重量に基づいて0.1ないし10、例えば0.2ないし5重量%の濃度で使用されるのが普通である。
【0120】
例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのような立体障害性アミンとの組合せで新規な化合物を使用することが特に有利である。従って、本発明は(a)式Iで表される化合物および(b)少なくとも1種の立体障害性アミン、いずれかの所望の酸とのその塩または金属との錯塩からなる相乗性安定剤混合物を包含し、また、A)酸化的、熱的および/または化学線的崩壊/増成を受けやすい有機材料、B)式Iで表される化合物の少なくとも1種およびC)立体障害性アミンのタイプの慣用の添加剤からなる組成物を包含する。好ましい立体障害性アミンは、例えば2.6項のもとに上記の列挙に示されたものまたは新規な塗料組成物への添加剤として以下に示されるものである。
【0121】
特に興味深いことは、合成有機ポリマーにおける安定剤としての式Iで表される化合物ならびに相当する組成物の使用である。
【0122】
保護される有機材料は、好ましくは天然、半合成もしくは合成有機材料である。化粧品調剤を使用する場合、保護される有機物質は通常ヒトまたは動物の皮膚もしくは毛髪である。
【0123】
新規な安定剤混合物は、成分Aとして合成有機ポリマー、特に熱可塑性ポリマー、例えばペイントのような塗料のためのバインダー、または写真材料を含む組成物で特に有利に使用できる。適当な熱可塑性ポリマーの例はポリオレフィンとりわけポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)、ならびに主鎖にヘテロ原子を含むポリマーである。
【0124】
このようなポリマーの例は熱可塑性ポリマーの以下の部類である:1. ポリアセタール、例えばポリオキシメチレンおよびエチレンオキシドのようなコモノマーを含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性させたポリアセタール。
【0125】
2.ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、ならびにポリスチレンまたはポリアミドとのそれらの混合物。
【0126】
3. ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または相当するラクタムから誘導されたポリアミドおよびコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレンジアミンおよびアジピン酸をベースとする芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸および/またはテレフタル酸および所望により変性剤としてのエラストマーから製造されるポリアミド、例えはポリ−2,4,4−(トリメチルヘキサメチレン)テレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;さらに、前記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合またはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;またはこれらとポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのコポリマーである。さらにまた、EPDMまたはABSで変性させたポリアミドまたはコポリアミド;加工の間に縮合させたポリアミド(RIM−ポリアミド系)。
【0127】
4. ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミド−イミドおよびポリベンズイミダゾール。
【0128】
5. ジカルボン酸およびジアルコールから、および/ またはヒドロキシカルボン酸または相当するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1, 4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレート、およびポリヒドロキシベンゾエートならびにまたヒドロキシ末端基を含有するポリエーテルから誘導されたブロック−ポリエーテル−エステル;およびまたポリカーボネートまたはMBSにより変性されたポリエステル。
【0129】
6. ポリカーボネートおよびポリエステル−カーボネート、特に、芳香族ポリカーボネート例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンまたは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに基づくようなもの。
【0130】
7.ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン、特にこの部類からの芳香族ポリマー。
【0131】
8.このようなポリマーどうしの、または他のポリマー、例えばポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリジエンまたは衝撃改良剤としての他のエラストマーとの混合物(ポリブレンド)。
【0132】
これらのうち、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポアセタール、ポリフェニレンオキシドおよびポリフェニレンスルフィドが好ましく、しかし特にポリカーボネ
ートが好ましい。ポリカーボネートは特にその構造反復単位が式[O−A−O−CO]−(式中Aが二価のフェノール基である)ようなポリマー、として意味されるものと理解されるべきである。上記Aの例は、特にUS−A−4960863 およびDE−A−3922496 に示されるものである。
【0133】
成分(A)のポリマーは直鎖または分子鎖であってよい。これらのポリマーの成形は比較的高温で行われ、ポリカーボネートは、例えば220−330℃にて射出成形される。これらの温度において、慣用の光安定剤および抗酸化剤の大半は安定でなく崩壊し始める。しかしながら、上述した混合物は極めて温度安定性があり、それゆえ言及されたポリマーを安定化するのに特に適当である。
【0134】
マルチコート系における使用はまた興味深い。この場合、新規な安定剤の比較的高い含量、例えば5ないし15重量%を有する新規なポリマー組成物は、式Iの安定剤を僅かに含むまたは含まないポリマーから作られた成形品に薄塗り(10−100μm)で適用(塗布)される。適用は、例えば同時押出により、ベース構造物の成形と同時に行うことができる。しかしまた、既に成形された(ready−shaped) ベース構造物に薄膜を用いる積層により、溶液を用いる被覆により適用することができる。外層コートまたは完成品の塗膜は紫外線から製品の内部を保護する紫外線フィルターの機能もつ。外層コートは好ましくは少なくとも1種の式Iで表される化合物5−15重量%、特に5−10重量%を含む。
このように安定化されたポリマーは高い屋外曝露安定性(weathering stability)、特に紫外線への高い耐性に関し注目に値する。結果としてそれらが屋外で使用されるときでもそれらの機械特性および色彩および光沢度が長期間にわたり保持される。
【0135】
同様に特に好ましい有機材料は塗料組成物および写真材料である。
【0136】
従って本発明はまた、新規な化合物が熱可塑性ポリマー、特にアクリル、アルキド、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリアミド樹脂または適当な改質ポリマーをベースとする被膜形成バインダー、写真材料または、毛髪用化粧品調剤を含む化粧品製剤、例えば化粧品または日焼けクリームに混合している、組成物を好ましく提供する。この場合、保護される材料(成分A)は、例えば熱可塑性ポリマー、特にアクリル、アルキド、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリアミド樹脂または適当な改質ポリマーをベースとする被膜形成バインダー、写真材料,またはヒトまたは動物の皮膚もしくは毛髪であってよい。
【0137】
塗料、例えばペイント用の安定剤として式Iで表される化合物の使用は同様に特に興味深い。本発明はそのため、またその成分Aが被膜形成バインダーである組成物にも関する。
【0138】
新規な塗料組成物は好ましくは、固体バインダーA100重量部当たり、新規な安定剤(B)0.01ないし10重量部、特に0.05ないし10重量部、とりわけ0.1ないし5重量部含む。
【0139】
ここではマルチコート系もまた可能であり、最上層中の式Iで表される化合物(成分B)の濃度はより高く、例えば固体バインダーAの100重量部につき、成分Bの1ないし15重量部、特に3ないし15重量部であってよい。
【0140】
塗料における新規な安定剤の使用はそれが離層、即ち基材からの塗料の剥離(fraking off)を防止するさらなる利点を伴う。この利点は金属基材の場合に、金属基材上のマルチコート系の場合も、特に重要である。
【0141】
適当なバインダー(成分A)は原則として技術的に慣用される全てのバインダーであってよく、例えばUllmann's Encyclopedia of Indusutrial Chemistry,5th Edition, Vol.A18,pp368-426,VCH,Weinheim 1991に記載されるようなものである。一般に、バインダーは熱可塑性または熱硬化性樹脂、主には熱硬化性樹脂に基づく被膜形成バインダーである。その例は、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリウレタン樹脂およびそれらの混合物である。
【0142】
成分Aは常温硬化性または熱硬化性バインダーであってよく、硬化触媒の添加はあるいは有利である。バインダーの硬化を促進する適当な触媒は例えばUllmann's Encyclopedia
of Indusutrial Chemistry, Vol.A18,pp469,VCH出版社,Weinheim 1991に記載される。成分Aが官能性アクリレート樹脂および架橋剤からなるバインダーであるものが好ましい。
【0143】
特別なバインダーを伴う塗料組成物の例は以下のものである:1.所望により硬化触媒の添加を伴う、常温−もしくは熱架橋性アルキド、アクリレート、ポリエステル、エポキシまたはメラミン樹脂またはこのような樹脂の混合物に基づくペイント;
2.ヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステルまたはポリエーテル樹脂に基づくおよび脂肪族または芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートに基づく二成分ポリウレタンペイント;
3.焼付中にデブロックされる(deblocked)ブロックトイソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアヌレートに基づく一成分ポリウレタンペイント;
4.脂肪族または芳香族ウレタンまたはポリウレタンに基づく、およびヒドロキシル基含有アクリレート、ポリエステルまたはポリエーテル樹脂に基づく一成分ポリウレタンペイント;
5.所望により硬化触媒の添加を伴う、ウレタン構造中にフリーアミン基をもつ脂肪族または芳香族ウレタンアクリレートまたはポリウレタンアクリレートに基づく、およびメラミン樹脂もしくはポリエーテル樹脂に基づく一成分ポリウレタンペイント;
6.(ポリ)ケチミンに基づくおよび脂肪族または芳香族イソシアネート、イソシアヌレートもしくはポリイソシアネートに基づく二成分ペイント;
7.(ポリ)ケチミンに基づくおよび不飽和アクリレート樹脂またはポリアセトアセテート樹脂に基づくまたはメタクリルアミドグリコレートメチルエステルに基づく二成分ペイント;
8.カルボキシル基またはアミノ基含有ポリアクリレートおよびポリエポキシドに基づく二成分ペイント;
9.無水物基を含むアクリレート樹脂に基づくおよびポリヒドロキシまたはポリアミノ成分に基づく二成分ペイント;
10.アクリレート含有無水物およびポリエポキシドに基づく二成分ペイント;
11(ポリ)オキサゾリンに基づくおよび無水物基を含むアクリレート樹脂もしくは不飽和アクリレート樹脂または脂肪族または芳香族イソシアネート、イソシアヌレートまたはポリイソシアネートに基づく二成分ペイント;
12.不飽和ポリアクリレートおよびポリマロネートに基づく二成分ペイント;
13.エーテル化メラミン樹脂を一緒に使用する熱可塑性アクリレート樹脂または外部的架橋(externally crosslinking) アクリレート樹脂に基づく熱可塑性ポリアクリレートペイント;
14.シロキサン−変性またはフッ素変性アクリレート樹脂に基づくペイント系。
【0144】
新規な塗料組成物は、好ましくは成分AおよびBに加えて、成分Cとして立体障害性アミン、例えば第2.1、2.6および2.8項において上記列挙で述べたような2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンおよび/または2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール型の光安定剤を含む。ここで特に技術的に興味深いのは、
2−モノレゾルシニル−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジンおよび/または2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾールである。
【0145】
最大の光安定性を達成するために、例えば第2.6項において上記列挙で述べたような立体障害性アミンを添加することは特に有利である。従って本発明は成分AおよびBに加えて成分Cとして立体障害性アミン型の光安定剤を含む塗料組成物もまた提供する。
【0146】
この安定剤は、好ましくは少なくとも1種の式
【化19】

(式中、Rは水素原子またはメチル基、特に水素原子を表す。)で表される基を含む2,2,6,6−テトラメチルピペリジン誘導体である。
【0147】
成分Cは好ましくは固体バインダー100重量部当り0.05ないし5重量部で使用される。
成分Cとして使用可能なテトラアルキルピペリジン誘導体の例はEP−A−356677,第3-17頁,a)ないしf)節に示される。このヨーロッパ特許公報のこれらの節は本明細書の一部分とみなされる。以下のテトラアルキルメチルピペリジン誘導体を使用することが特に適切である。
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)セバケート、
ジ(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ブチル(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、
ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、
テトラ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、
テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)ブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシレート、
2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−21−オキソジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン、
8−アセチル−3−ドデシル−1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチルスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、
1,1−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル−オシカルボニル)−2−(4−メトキシフェニル)エテン、あるいは
下記式で表される化合物:
【化20】

【化21】

【化22】

【0148】
成分A、B、存在するならばC、に加えて塗料組成物はまた別の成分、例えば溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒(drying catalyst)および/または均展剤である別の成分を含んでいてもよい。可能な成分の例はUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition, Vol.A18,pp429-471,VCH ,Weinheim 1991に記載されるようなものである。
【0149】
使用できる乾燥触媒または硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン、アミノ基含有樹脂および/またはホスフィンである。有機金属化合物の例は金属カルボキシレート特に金属Pb,Mn,Co,Zn,ZrまたはCuのものまたは金属キレート特に金属Al,TiまたはZrのもの、あるいは例えば有機錫化合物のような有機金属化合物である。
【0150】
金属カルボキシレートの例はPb,MnもしくはZnのステアレート、Co,ZnもしくはCuのオクトエート、MnおよびCoのナフテネートまたは相当するリノーリエート、レジネートまたはタレート(tallates)である。
【0151】
金属キレートの例はアセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノンまたはエチルトリフルオロアセチルアセテートのアルミニウム、チタン、ジルコニウムのキレートおよびこれらの金属のアルコキシドである。
【0152】
有機錫化合物の例はジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレートまたはジブチル錫ジオクトエートである。
【0153】
アミンの例は、特に第三級アミン、例えばトリブチルアミン、トリエタノールアミン、
N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリンまたはジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)およびその塩である。別の例は第四級アンモニウム塩、例えばトリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。
【0154】
アミノ基含有樹脂は同時にバインダーおよび硬化触媒である。その例はアミノ基含有アクリレートコポリマーである。
【0155】
ホスフィン例えばトリフェニルホスフィンもまた硬化触媒として使用できる。
【0156】
新規な塗料組成物はまた輻射線−硬化性塗料組成物であってもよい。この場合、バインダーは本質的にエチレン性不飽和結合を含むモノマーまたはオリゴマー化合物(プレポリマー)からなり、それは塗布後化学線によって硬化され、即ち架橋された高分子量の形態に転化される。この系が紫外線硬化系である場合一般に光開始剤もまた含む。適当な系は、上記刊行物Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition, Vol.A18,pp451-453 に記載される。輻射線−硬化性塗料組成物において新規な安定剤は立体障害性アミンの添加なしにおいても使用できる。
【0157】
新規な塗料組成物はあらゆる所望の基材、例えば金属、木材、プラスチックまたはセラミック材料に適用できる。自動車の仕上の場合にはトップコートとして好ましく使用できる。トップコートが2層からなる場合には、下層コートが着色されおよび上層のコートは着色されず、新規な塗料組成物は上層または下層に、または両方の層に、しかしながら好ましくは上層に対し使用できる。
【0158】
新規な塗料組成物は慣用の方法によって、例えば塗布、噴霧、流し塗り、浸漬または電気泳動によって基材に適用できる;Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition, Vol.A18,pp491-500 をも参照。
【0159】
バインダー系に依存して、塗料は室温でまたは加熱により硬化できる。塗料は50−150℃で、および粉体塗料の場合にはより高温においてでも、好ましく硬化される。
【0160】
本発明により得られた塗料は光、酸化および熱による損傷作用(damaging effect)に著しい耐性をもち;この様に得られた塗料、例えばペイントの良好な光安定性および屋外曝露安定性に特記されるべきである。
【0161】
従って本発明はまた、式Iで表される化合物の少なくとも1種を添加することによって光、酸素および熱による損傷作用に対して安定化された塗料、特にペイントに関する。このペイントは好ましくは自動車のトップコートである。本発明はさらに有機ポリマーに基づく塗料を光、酸素および/または熱による損傷に対して安定化する方法であって、式Iで表される化合物の少なくとも1種を上記塗料組成物と混合することからなる方法に関し、ならびに塗料組成物における、光、酸素および/または熱による損傷に対する安定剤としての式Iで表される化合物の少なくとも1種の使用に関する。
【0162】
塗料組成物はそこにバインダーが可溶の有機溶媒もしくは溶媒混合物を含んでいてよい。しかし、塗料組成物はまた水性溶液または分散剤であってよい。このビヒクルはまた有機溶媒および水の混合物であってよい。前記塗料組成物はハイソリッド系であってもまたは溶媒を含まなくても(例えば、粉体塗料)よい。粉体塗料の例は、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition, Vol.A18,pp438-444 に記載されているようなものである。粉体塗料はまた粉体スラリーの形態、即ち−好ましくは−水への粉体の分散の形態であってもよい。
【0163】
顔料は無機、有機または金属顔料が可能である。新規な塗料組成物は好ましくは顔料を含まずそして透明塗料として使用される。
【0164】
自動車工業における用途についてトップコートとしての、特に塗料系の着色されたまたは着色されないトップコートとしての塗料組成物の使用が同様に好ましい。しかし下塗りコートのためのその使用もまた可能である。
【0165】
式Iで表される新規な化合物はまた、特に紫外線の損傷作用に対してヒトおよび動物の皮膚および毛髪を保護するたの紫外線フィルターとして特に適当である。これらの化合物は、それゆえ化粧品、医薬品および獣医学的調剤の光安定剤として適当である。これらの化合物は溶液または超微粉砕化状態のいずれかで使用できる。
【0166】
本発明はそのため、少なくとも1種の式Iで表される化合物および化粧品として許容可能な賦形剤または助剤からなる化粧品調剤を提供する。
【0167】
化粧品の用途のため、新規な光安定剤は、溶解させない限り、通常0.02ないし2、好ましくは0.05ないし1.5、非常に特別に好ましくは0.1ないし1.0μの範囲の平均粒径をもつ。不溶性の新規紫外線吸収剤は例えばジェットミル、ボールミル、振動ミルまたはハンマーミルを用いて磨砕のような慣用の方法によって所望の粒径にさせることができる。磨砕は、紫外線吸収剤に基づいて0.1ないし30、好ましくは0.5ないし15重量%の磨砕助剤、例えばアルキル化ビニルピロリドンポリマー、ビニルピロリドン−ビニルアセテートコポリマー、アシルグルタメートまたは特にリン脂質の存在下で好ましく行われる。
【0168】
新規な紫外線吸収剤に加えて化粧品組成物はまた、1種以上の他の紫外線保護剤、例えばトリアジン、オキサニリド、トリアゾールまたはビニル基含有アミドまたはシンナムアミドを含んでいてよい。このような保護剤は例えばGB−A−2,286,774 に記載され、または他にCosmetics & Toiletries(107),p 50以降(1992)から公知である。
【0169】
新規な化粧品組成物は組成物の総重量に基づいて、紫外線吸収剤または紫外線吸収剤の混合物および化粧品に相溶性の助剤の0.1ないし25、例えば0.1ないし15、特に0.5ないし10重量%を含む。
【0170】
化粧品組成物は、慣用の方法による、例えば個々の成分を一緒に単に攪拌することによる、紫外線吸収剤または補助剤を伴う吸収剤の物理的混合によって製造できる。
【0171】
新規な化粧品組成物はは油中水滴または水中油滴型エマルジョンとして、アルコール中油滴型(oil−in−alcohol)ローションとして、イオンまたは非イオン系両親水性脂質の気泡分散剤(a vesicular disparsion)として、ゲル、固形スティックまたはエーロゾル製剤として配合できる。油中水滴または水中油滴型エマルジョンとして、化粧品に許容される助剤は、好ましくは、油相5ないし50%、乳化剤5ないし20%および水30ないし90%を含む。この場合の油相は化粧品用製剤に適当ないずれかの油からなり、例えば、炭化水素油、ロウ、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールである。好ましいモノオールまたはポリオールはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロールおよびソルビトールである。
【0172】
毛髪用化粧品組成物は、
−シャンプー;シャンプーする前または後の、染色または脱色の前または後の、パーマネ
ントウェーブの前または後の、あるいは直毛化処置(straightening operation)の前または後の、濯ぎ(rinsing)のためのローション、ジェルまたはエマルジョンの形態で、
−スタイリングまたはトリートメントのためのローション、ムースまたはジェルの形態で、
−ブラッシングまたはウェービングのためのローションまたはジェルの形態で、−ヘアスプレー(hair lacquer)の形態で
−髪にパーマネントウエーブをかけるためまたは髪を直毛にするため、髪を染色するまたは脱色するための組成物の形態で、あり得る。
【0173】
例えば、以下の化粧用毛髪製剤が使用できる。
1 )紫外線吸収剤、PEG−6−炭素原子数10のオキソアルコールおよびソルビタンセスキオレエートからなる自発的に乳化するストック製剤であり、水およびいずれか所望の第四級アンモニウム化合物、例えば4%ミンクアルミドプロピル−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはクオータニウム(quaternium)80がそれに添加される;
2 )紫外線吸収剤、クエン酸トリブチルおよびPEG−20−ソルビタンモノオレエートからなる自発的に乳化するストック製剤であり、水およびいずれか所望の第四級アンモニウム化合物、例えば4%ミンクアルミドプロピル−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはクオータニウム80がそれに添加される;
b)ブチルトリグリコールおよびクエン酸トリブチルに紫外線吸収剤のクアットでドープした(quat−doped)溶液;
c)APG(Plantaren)中、0.05−1.0mmの平均直径および水性製剤中クアット((quat)例えば、ミンクアミドプロピルジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムクロリド)を含む、公知の方法(溶液または混合溶液からの沈澱、粉砕)によって得られる、超微粉砕紫外線吸収剤の分散液;
d)n−アルキルピロリドンとの紫外線吸収剤の混合物または溶液。
【0174】
化粧品用組成物はまた、別の成分をも含むことができ、具体例は皮膚柔軟剤(emollients)、乳剤安定剤、皮膚保湿付与剤(skin moisteners)、日焼け(tanning)促進剤、キサンタンのような増粘剤、グリセロールのような保湿剤(moisture retention agents)、防腐剤、香料または着色剤である。
【0175】
新規な化粧品用製剤は日光による損傷作用に対するヒトの皮膚および毛髪の優れた保護を特徴とする。
【0176】
新規な組成物により安定化される他の材料は記録材料である。このような材料は、例えば写真複写および他の複写技術のためのResearch Disclosure 1990,31429(474-480頁) に記載された材料に示される。
【0177】
新規な記録材料は、例えば感圧複写システム、マイクロカプセル写真複写システム、感熱複写システム、写真材料およびインクジェット印刷のための材料が含まれる。
【0178】
新規な記録材料は特にその光安定性に関して予期できない高品質を特徴とする。
【0179】
新規な記録材料は、それ自体公知のおよびその効用に一致する構造をとる。それらは、ベース例えば紙またはプラスチックフィルムからなり1以上のコーティングがその上に適用される。材料の性質に依存して、これらのコートは必要とされる適当な成分、写真材料の場合ハロゲン化銀エマルジョン、カラーカプラー、染料等、を含む。インクジェット印
刷のための特別に意図された材料は慣用のベースをもち、その上にインクに適した吸着層がある。コートされない紙が同様にインクジェット印刷のために使用できる;この場合には紙はベースとして機能すると同時におよびインクのための吸着性をもつ。インクジェット印刷のための適当な材料は、とりわけ、米国特許第5,073,448 号に記載され、その開示された内容は本明細書の一部として見なされる。
【0180】
記録材料はまた、例えば映写フィルムの場合、透明であってもよい。
【0181】
式Iで表される化合物または化合物類は製造最中さえも材料中に混合でき、例えば製紙中においてはパルプに添加することによって混合できる。使用の別の方法は、式Iで表される化合物(類)の水溶液による材料への噴霧またはそれらの塗料への添加である。
映写のための透明記録材料用の塗料は、顔料または充填剤のような何れかの光散乱性粒子を含むべきではない。
【0182】
カラー−バインディング塗料は別の添加剤、例えば抗酸化剤、光安定剤(新規な紫外線吸収剤の中に含まれない紫外線吸収剤を含む)、粘度改良剤、蛍光増白剤、殺生物剤および/または静電気防止剤を含むことができる。
【0183】
塗料は通常以下に示すように製造される:
水溶性成分、例えばバインダーを水に溶解し、そして混合する。固体成分、例えば充填剤および既に記載した他の添加剤を水性媒体に分散させる。分散液は超音波装置、タービン攪拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、ビーズミル、サンドミル、高速スターラー等のような装置の助けにより有利につくられる。式Iで表される化合物の特別な利点は、塗料への(均質)混合(incorporaion)におけるそれらの容易性である。
【0184】
言及したように、新規な記録材料は広い分野の用途をカバーする。式Iで表される化合物は例えば、感圧複写システムに使用できる。それらは、光に対してマイクロカプセル化した染料前駆体を保護するために紙に添加でき、またはそれに形成される染料を保護するために現像液層のバインダーに添加できる。
【0185】
圧力によって現像される感光性マイクロカプセルをもつ写真複写システムは、特に米国特許第4,416,966号;第4,483,912号;第4,352,200号;第4,535,050号;第4,536,463号;第4,551,407号;第4,562,137号および第4,608,330号およびEP−A−139,479;EP−A−162,664 ;EP−A−164,931 ;EP−A−237,024 ;EP−A−237,025 およびEP−A−260,129 に記載される。これらの全てのシステムにおいて式Iで表される化合物はカラー受容層を添加できる。代わりに式Iで表される化合物は光に対してカラー形成体を保護するためのドナー層を加えることもできる。
【0186】
式Iで表される化合物はまた光重合、光軟化(photosoftening)またはマイクロカプセルの破裂の原理に基づく記録材料に使用でき、または感熱または感光性ジアゾニウム塩、酸化剤とのロイコ染料またはルイス酸とのカラーラクトンが使用される場合に使用できる。
【0187】
感熱記録材料は無色または僅かに着色したベース染料および有機または無機カラー現像剤の間のカラーインパーティング反応(color imparting reaction)を利用して、記録された画像(recorded image)を2つの材料の熱により誘導される接触によって生成させる。この種類の感熱記録材料はファクシミリ、コンピュータ等々用の記録媒体としてのみではなく例えばラベル印刷におけるような多くの
他の分野においても、非常に広く普及している。
【0188】
本発明による感熱記録材料はベース、このベース上の感熱カラー形成記録層および、所望により感熱性のカラー形成記録層上の保護層から構成される。感熱性、カラー形成記録層はその主要成分としてカラーインパーティング化合物およびカラー現像剤化合物を、そしてまた式(I)で表される化合物を含む。前記保護層がある場合、式(I)で表される化合物は保護層の中に混入できる。
【0189】
感熱記録材料は例えば特開平8−267915号に記載される。
【0190】
使用の別の分野はダイディフュージョントランスファー印刷(dye diffusion transfer printing)、サーマルワックストランスファー印刷(thermal wax transfer printing)およびドットマトリックス印刷(dot matrix printing)のための記録材料、ならびに静電、電位差記録、電気泳動、磁力記録およびレーザー電位差記録プリンターで使用するための記録材料である。言及した材料のうち、例えば、EP−A−507,734に記載されるようなダイディフュージョントランスファー印刷のための記録材料が好ましい。
【0191】
式(I)で表される化合物はまた、好ましくはインクジェット印刷用のインク、例えば米国特許第5,098,477 号に記載されるようなインクに使用することもでき、この開示の内容は本明細書の一部分と見なされる。従って、本発明は安定剤として少なくとも1種の式Iで表される化合物を含むインクを提供する。この、特にインクジェット用のインクは、好ましくは水を含む、インクは式Iで表される安定剤を通常0.01ないし20重量%、特に0.5ないし10重量%の濃度で含む。
【0192】
新規な記録材料、例えば写真記録材料は、また、式(I)で表されるUVAが比較的少量要求され、このことはまたUVA−含有層の厚さが低く保持されること、特に画像特性にプラスの効果をもつ因子を意味する、という慣用の紫外線吸収剤からなる材料に優る利点を提案する。新規な安定剤の他の利点は極端な気象条件下、特に高湿および高温でのそれらの増強された固有の安定性である。新規な写真材料は、白黒およびカラー写真材料であってよく;カラー写真材料が好ましい。
【0193】
カラー写真材料は、カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルム、カラーポジフィルム、カラー写真ペーパー、カラーリバーサル写真ペーパー、例えば、ダイディフュージョントランスファー法またはシルバーダイブリーチ法(silver dye bleach proess)のためのカラー感受性材料である。
【0194】
カラー写真材料の製造のために適当なベースは半合成および合成ポリマーのフィルムおよびシート例えば硝酸セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレートおよびポリカーボネートのもの、およびバライト層またはα−オレフィンポリマー層(例えばポリエチレン)でラミネートされたペーパーである。これらのベースは二酸化チタンのような染料または顔料により着色されていてもよい。それらは遮光の目的で黒色に着色されていてもまたよい。ベースの表面は一般に写真乳剤層の付着性を改善するために例えば次に支持体層の適用が続くコロナ放電のような処理が施されている。
【0195】
新規な材料は好ましくは、ベースから出発し、順に青感、緑感および赤感層(blue−sensitive,green−sensitive and red−sensitive layer)であるハロゲン化銀乳剤層を含む。新規なカラー写真材料では、紫外線吸収剤は好ましくは緑感層より上の層に、特に好ましくはハロゲン化銀乳剤層より
上の層に存在する。
【0196】
新規な紫外線吸収剤は好ましくは0.001ないし10g/m2 、例えば0.1ないし8g/m2 、特には0.005ないし6、とりわけ0.01ないし4g/m2 の量で存在する。
【0197】
新規なカラー写真記録材料は好ましくは以下の層の順をもつ材料である。
【化23】

【0198】
他の例は同様の層構造をもつが、a層のない材料である。示された層順序において、式(I)で表される新規な紫外線吸収剤が例えば層a−eの少なくとも1層に、好ましくはa,b,cおよび/またはd層、特にa、bおよび/またはc層にならびにとりわけaおよび/またはb層に適当に存在する。
【0199】
好ましいものは、一般に、ハロゲン化銀乳剤層(複層)の上の層に式(I)で表される化合物を含む写真記録材料に与えられるものである。好ましいものはまた、それぞれ少なくとも1層の赤感および緑感ハロゲン化銀乳剤層、ならびに、それらの間にある中間層からなる写真記録材料であって、少なくとも一種の式(I)で表される化合物が赤感および緑感ハロゲン化銀乳剤層の間の該中間層に存在するものに与えられるものである。非常に特に好ましい写真記録材料は、それぞれ少なくとも一層の赤感、緑感および青感ハロゲン化銀乳剤層ならびに上述した層間の少なくとも2つの中間層ならびに保護層を含み、少なくとも1種の式(I)で表される化合物が上記緑感ハロゲン化銀エマルジョン層より上の少なくとも1層に存在し、さらに上記ハロゲン化銀乳剤層が暗所安定剤および/または光安定剤を含むものである。
【0200】
カラー写真乳剤層の基本的な構成成分はバインダー、ハロゲン化銀粒子およびカラーカプラーである。
【0201】
特に興味深いものは、例えばベース上に少なくと1種のイエローカプラーを含む青感ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1種、少なくと1種のマゼンタカプラーを含む緑感ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1種、少なくと1種のシアンカプラーを含む赤感ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1種、ならびに慣用の最上層(複層)および中間層(複層)、式(I)で表される化合物を含むこれらの層の少なくとも1層を含むカラー写真記録材料である。
【0202】
写真乳剤は、メチン染料または他の染料を使用して分光学的に増感できる。特に適当な
染料は、シアニン染料、錯体メロシアニン染料を含むメロシアニン染料である。
【0203】
分光学的増感材として適当であるポリメチン染料、その適当な組合せ及び高感度の組合せの概説は、Research Disclosure 17643(Dec. 1978),Chapter IV に示される。
【0204】
種々に増感された乳剤層は、同じ層または隣接した層にあってよい拡散していない単量体のまたは重合性のカラーカプラーに配分れる。シアンカプラーが赤感層に、マゼンタカプラーが緑感層に、イエローカプラーが青感層に配分されることが通常である。
【0205】
新規な材料に使用可能なイエローカプラーは好ましくは式A
【化24】

(式中、R1 はアルキル基、シクロアルキル基、アリールアミノ基、アニリノ基、複素環式基またはアリール基を表し;R2 はアリール基を表し;およびQは水素原子または酸化された現像液と反応することにより除去されうる基を表す。)で表される化合物である。
【0206】
マゼンタカプラーは、例えば単に1−アリール−5−ピラゾロン、または5−員複素環と縮合したピラゾール誘導体、例えばイミダゾピラゾール、ピラゾロピラゾール、ピラゾロトリアゾールまたはピラゾロテトラゾールである。
【0207】
シアンカプラーは、例えば、フェノール、1−ナフトール、ピラゾロアゾール、ピロロアゾールの誘導体またはピラゾロキナゾロンの誘導体である。シアンカプラーの一つのグループは式E
【化25】

(式中、R21、R22、R23およびR24は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、カルバモイル基、アミノ基、スルホンアミド基、ホスホルアミド基またはウレイド基である。R21は、好ましくはHまたはCl、R22は好ましくはアルキル基またはアミノ基である。R23は好ましくはアミノ基およびR24は好ましくはハロゲンである。Q”は水素原子(4当量カプラー)または酸化された現像液との反応により除去される脱離基(2当量カプラー)である。シアンカプラーの網羅的な列挙はUS−A−4,456,681 に見いだすことができる。
【0208】
新規な材料の赤感ハロゲン化銀乳剤で使用されるシアンカプラーは好ましくは式
【化26】

および/または式
【化27】

(式中、Z1 はアルキル基、アリール基を表し;Z2 はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環式基またはバラスト基(ballast group)を表し;Z3 は水素原子またはハロゲン原子を表し;Z1 およびZ3 は一緒に環を形成でき、およびZ4 は水素原子または脱離基を表し;およびZ5 はバラスト基を表し;Z6 は水素原子または脱離基を表しおよびZ7 はアルキル基を表す。)で表されるもの、ならびにまた、式E20および/またはE21
【化28】

(式中、R1 は好ましくは置換されたフェニル基を表し;およびR2 およびR3は好まし
くはHを表しおよびXは好ましくはHまたは現像液の酸化された形態による反応によって開裂された基を表す);
【化29】

(式中、Zaは−NH−またはCH(R3 )−を表し;ZbおよびZcは互いに独立して−C(R4 )=または−N=を表し;R1 、R2 およびR3 はそれぞれ少なくとも0.2のハメット置換基定数σをもち、少なくとも0.65のR1およびR2 のσの総計を
もつ電子吸引性の基であり;R4 はHまたは置換基を表し;および2つのR4 が式中に存在するとき、それらは同じかまたは異なっていてよく;ならびにXはHまたはカラー現像液として芳香族第一アミンの酸化生成物とのカップリング反応において除去可能な基を表し;またはR1 、R2 、R3 およびR4 またはXはそれによってシアンカプラーが二量体またはそれより高分子のポリマーを形成でき、またはポリマー鎖との反応によってホモ−
もしくはコポリマーを形成できる二価の基を表す。)で表されるシアンカプラーである。
【0209】
赤感ハロゲン化銀乳剤層が、下式C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7およびC8で表されるうちの一つのシアンカプラーが好ましい:
【化30】

【化31】

(式中、Z1 はアルキル基またはアリール基を表し;
2 はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基またはバラスト基を表し;Z3 はHまたはハロゲン原子を表すか、Z1 およびZ3 は一緒に環を形成し;
4 はHまたは脱離基を表し;
5 はバラスト基を表し;
6 はHまたは脱離基を表し;
7 はアルキル基を表し;
8 およびZ9 は互いに独立して、Hまたは置換基を表し;Z8 およびZ9 の少なくとも1つが0.15もしくはそれより高いハメット定数(−σp )をもつ電子吸引性の基であり、[Z8 およびZ9 は互いに連結して環構造を形成できる];
10は置換基を表し;
11はHまたは脱離基を表す。)。
【0210】
シアンカプラーはまた基Z8 、Z9 、Z10またはZ11によって互いに連結して二量体またはポリマーを形成できる。
【0211】
適当な脱離基は一般に、芳香族第一級アミンに基づくカラー現像液の酸化生成物とのカップリング後に遊離するようなこれらの置換基である。
【0212】
新規な写真材料は、好ましくは式中、
1 がアルキル基またはアリール基を表し;
2 がアルキル基、アリール基またはバラスト基を表し;
3 がHまたはハロゲン原子を表し;
4 がHまたは脱離基を表し;
5 がバラスト基を表し;
6 がHまたは脱離基を表し;
7 がアルキル基を表し;
8 およびZ9 は互いに独立して、CN、CF3 、COOZ12、COZ12、SO2 12、CON(Z13)Z14、SO2 N(Z13)Z14を表し;ならびに
12は未置換のアルキル基またはアリール基を表し;
13およびZ14は互いに独立して未置換のまたは置換されたアルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはヘテロシクリルオキシ基を表し;および
13はまたHを表してよく;
10はZ8 およびZ9 に対して与えられた定義を表すか、それは、アルキル基、アリール基、ヘテロシクリル基、ニトロ基、NH−CO−Z15、N(Z15)N16、NH−CO−N(Z15)Z16、NH−SO2 N(Z15)、S−Z15、NH−CO−OZ15、NH−SO2 N(Z15)Z16、SOZ15を表し;および
15およびZ16はそれぞれ置換基を表し、およびZ16はまたHを表すことができる、式C1ないしC8のシアンカプラーを含む。
【0213】
新規な材料における写真層、特に上記実例によって記載されたカラー写真材料における層b、cおよび/またはdは好ましくは、別の紫外線吸収剤を含んでいてもよい。このような紫外線吸収剤の例は、ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、オキサニリド、シアノアクリレート、サリチル酸エステル、アクリロニトリル誘導体またはチアゾリンおよびまた、慣用の2−ヒドロキシフェニルトリアジンである。
【0214】
このような紫外線吸収剤は、さらに、例えば以下の刊行物:US−A−3,314,794 、3,352,681 、3,705,805 、3,707,375 、4,045,229 、3,700,455 、3,700,455 、3,700,458 、3,533,794 、3,698,907 、3,705,805 、3,738,837 、3,762,272 、4,163,671 、4,195,999 、4,309,500 、4,431,726 、4,443,543 、4,576,908 、4,749,643 、5,500,332 、5,455,152 、GB−A−1,564,089 、GB−A−2,293,608 、EP−A−190,003 、EP−A−747,755 、EP−A−717,313および特開昭46−2784号、特開昭56−111,826 号、特
開昭56−27,146、特開昭63−53,543号、特開昭63−55,542および特開平8−69087 により詳細に記載されている。好ましい紫外線吸収剤はベンゾトリアゾール、特に2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールである。
【0215】
好ましいものは式(I)で表される紫外線吸収剤でない2−ヒドロキシフェニルトリアジンの系列からの追加の紫外線吸収剤を含む写真記録材料に示されるもので、US5,300,414 、US5,489,503 、US5,480,108 、US4,826,978 、EP−A−706083、特開平8−267915およびUS5,364,749 に記載されるような、追加の紫外線吸収剤を含むものである。
【0216】
添加される追加の紫外線吸収剤(類)の量は新規な紫外線吸収剤に対して上記に示したと同様の範囲内で適宜添加される。
【0217】
特に適当な化合物の例は下式で表される2−ヒドロキシフェニルトリアジンである:
【化32】

(式中、jは0,1,2または3を表し;
1 はアルキル基、アルケニル基またはシクロアルキル基を表し;
2 およびG6 は互いに独立して、H、OH、ハロゲン原子、アルキル基、ハロメチル基、例えばCF3 を表し;
3 、G5 およびG7 は互いに独立して、H、OH、OG1 、ハロゲン原子、アルキル基、ハロメチル基、例えばCF3 を表し;
4 はH、OH、OG1 、ハロゲン原子、アルキル基、フェニル基、ハロメチル基、例えばCF3 を表すかアルケニル基を表し;および
12はアルキル基、フェニルアルキル基、シクロアルキル基、OG1 を表し、特に式
【化33】

で表される基を表す)。
【0218】
アルキルまたはアルケニル置換基、または芳香族または脂肪族環系の置換基は通常−記載された定義の範囲内において、1ないし50個の炭素原子を含み、そしてO、S、NR’、SO2 、CO、フェニレン基、シクロヘキシレン基、COO、OCO、−(SiRp q O)、により1回以上中断できおよび/またはOH、OR’、NR’R”、ハロゲン原子、−CN、アルケニル基、フェニル基、−SiRp q r またはCOOH(上記基中、R’およびR”は互いに独立してH、アルキル基、アルケニル基またはアシル基を表し;Rp 、Rq およびRrは互いに独立してH、アルキル基、アルケニル基、フェニル基
、アルコキシ基、アシル基またはアシルオキシ基を表す。)により1回以上置換していてよい。上述の基は同様に別の置換基をもっていてもまたよい。二量体およびポリマーが可能である。
【0219】
この部類の好ましい2−ヒドロキシフェニルトリアジンは、例えば式
【化34】

(式AIII 中、
nは1または2を表し;および
n=1のとき、G1 は中断されていないまたは置換されていないか、または1以上のOによって中断されたおよび/またはOH、グリシジルオキシ基、アルケノキシ基、COOH、COORe 、O−CO−Rf で置換されたアルキル基;またはG1 はアルケニル基、シクロアルキル基、未置換のまたはOH−、Cl−もしくはCH3 −で置換されたフェニルアルキル基;またはCORg ;SO2 −Rh;CH2 CH(OH)−Rj を表し;
上記基中、Re はアルキル基;アルケニル基;ヒドロキシアルキル基;1以上のOで中断されたアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基;シクロアルキル基;ベンジル基;アルキルフェニル基;フェニル基;フェニルアルキル基;フルフリル基;またはCH2 CH(OH)−Rj を表し;
f 、Rg は互いに独立してアルキル基、アルケニル基またはフェニル基を表し;
h はアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基を表し;
j はアルアルキル基またはCH2 ORk を表し;
k はシクロヘキシル基、フェニル基、トリル基またはベンジル基を表し;および;
n=2のとき、G1 はアルキレン基;アルケニレン基;キシリレン基;1以上のOで中断された、アルキレン基またはヒドロキシアルキレン基;ヒドロキシアルキレン基を表し;G2 およびG2 ’は互いに独立して、H、アルキル基またはOHを表し;G4 および
4 ’は互いに独立して、H、アルキル基、OH、アルコキシ基、ハロゲン原子および、n=1のとき、OG1 を表し;
3 およびG3 ’は互いに独立して、H、アルキル基またはハロゲン原子を表し;ならび

式AVにおいて、
101 はH、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基を表し;
102 およびR103 は互いに独立して、H、ハロゲン原子、OH、炭素原子数1ないし8のアルキル基、炭素原子数1ないし8のアルコキシ基を表し;
104 はH、OH、炭素原子数1ないし8のアルキル基;炭素原子数1ないし8のアルコキシ基を表す。)で表される化合物である。
【0220】
言及した定義の範囲内でG1 、G2 、G’2 、G3 、G’3 、G4 およびG’4 が別の置換基、例えばエチレン性不飽和重合性基をもつことができる。二量体およびポリマーもまた可能である。
【0221】
特に好ましいものは、層の少なくとも1つが
式中、nは1を表し;および
1 は置換されていないか、OHまたはCOORe で置換されたアルキル基を表し;またはG1 は1以上のOで中断された炭素原子数2ないし12のアルキル基もしくは炭素原子数3ないし15のヒドロキシアルキル基;またはG1 は炭素原子数3ないし6のアルケニル基;シクロヘキシル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基;CH2 CH(OH)−Rj を表し;
e は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数3ないし7のアルケニル基;1以上のOで中断されたアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を表し;
j は炭素原子数7ないし12のアルアルキル基またはCH2 ORk を表し;
k はシクロヘキシル基、フェニル基、トリル基またはベンジル基を表し;および;
2 およびG2 ’はOHを表し;
4 およびG4 ’はOG1 を表し;
3 およびG3 ’は互いに独立して、Hまたはメチル基を表す、式AIIで表される紫外線吸収剤、特に
nが1を表し;
1 が未置換のまたはCOORe で置換された炭素原子数1ないし12のアルキル基を表すか;またはOにより中断された炭素原子数3ないし15のヒドロキシアルキル基を表すか;アリル基、シクロヘキシル基またはベンジル基であり、基中Re は炭素原子数1ないし12のアルキル基;アリル基;1以上のOで中断された炭素原子数3ないし12のアルキル基を表し;
2 およびG2 ’はOHを表し;
4 およびG4 ’はOG1 を表し;
3 およびG3 ’はHを表す、式AIIで表される紫外線吸収剤を含む本発明によるカラー写真材料に示される。
【0222】
このような化合物の例は
2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン;
2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンを含み、ならびに以下の構造式で表され、式中の基が以下に列挙される基の組合せにより特定される化合物を含む(以下の記載のにおいて、使用される略称は以下の通りである:i=異性体混合物;n=直鎖の基;t=第三級の基;o−、m−およびp−はトリアジン環に関する基の位置を示す):
【0223】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【化35】

【表5】

【0224】
式AIIで表されるベンゾトリアゾール化合物
【化36】

〔式中、T1 およびT2 は互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、COOT5 (T5 はアルキル基または1以上のOによって中断されたアルキル基を表す。)によって置換されたアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシル基、アルアルキル基、アリール基およびアシルオキシ基を表すか、T1 は式
【化37】

(式中、L1 は二価の基、例えば−(CH2 n −を表し、nは1ないし8を表す。)で
表される基を表し;
3 は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基;−CF3 ;フェニル基;−S−T6 ,−SO2 −T6 ;および
4 は水素原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基または式:−OCH2 CH(OT8 )−CH2 −O−T7 または−OCH2 CH2 −O−CO−T7 で表される1つの基を表し;
6 はアルキル基またはアリール基を表し;
7 はアルキル基またはアリール基を表し;
8 は水素原子またはCO−T9 を表し;
9 はアルキル基またはアルケニル基を表す〕、ならびにこれらの化合物を使用して製造されるポリマーである。
好ましいものはおよそ20℃の温度範囲で液体であるか、他の物質との混合物における液相を形成する式AIIで表される化合物、特に式中、T1 およびT2 が水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、COOT5 で置換されたアルキル基(式中、T5 はアルキル基または1以上のOで中断されたアルキル基を表す。)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、アルアルキル基、アリール基またはアシルオキシ基を表す式AIIで表される化合物である。
【0225】
言及された定義の範囲内でT1 、T2 、T3 およびT4 はまた別の置換基、例えばエチレン性不飽和重合性基をもっていてもよい。二量体またはポリマーもまた可能である。
【0226】
式中、
1 がH、炭素原子数1ないし12のアルキル基、1,1−ジメチルべベンジル基を表し;
2 がH、炭素原子数1ないし12のアルキル基、1,1−ジメチルべベンジル基またはCH2 CH2 COOT5 を表し;
3 が塩素原子、CF3 、−S−T6 、−SO2 −T6 を表し;
4 が水素原子または炭素原子数1ないし18のアルコキシ基を表し;
5 が炭素原子数1ないし18のアルキル基、または1以上のOで中断された炭素原子数3ないし18のアルキル基を表し;ならびに
6 がフェニル基を表す、式AIIで表される化合物が特別に好ましい。
【0227】
慣用の紫外線吸収剤のためのアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アルカノールアルキルオキシ基およびアシルオキシ基として示された基は一般に技術的に慣用であるものであり;好ましい基は−鎖長、炭素原子の数およびヘテロ原子等々−に関し一般に式(I)で表される新規な化合物に対して上記で定義されたようなタイプの基である。
【0228】
式AIIで表されるベンゾトリアゾール(HBT)の例は以下の構造式で表されるものである:
【表6】

【0229】
他の適当な紫外線吸収剤は式AIII で表されるものである:
【化38】

【0230】
光および暗所安定剤として使用できる他の物質はUS−A−5,580,710 またはUS−A−5,543,276 に記載される。
【0231】
特に適当な化合物の実例は以下のものである:
【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【0232】
カラー写真材料の構造のより詳細ならびに新規な材料に使用できる成分は特にUS−A−5,538,840 、第27欄、第25行ないし第160欄、第16行中およびそこで引用され
ている刊行物に記載され、US−A−5,538,840 のこれらの一節はここに参照によりそのまま本明細書に編入される。さらに重要な成分、特にカプラーはUS−A−5,578,437 に記載される。
【0233】
本発明はベース上に少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層および所望により少なくとも1つの中間層および/または少なくとも1つの保護層からなる写真記録材料を安定化する方法であって、式(I)で表される紫外線吸収剤を前記層の少なくとも1つに添加することを含む方法をさらに提供する。
【0234】
本発明はまた、ベース上に少なくとも1つのハロゲン化銀乳剤層および所望により少なくとも1つの中間層および/または少なくとも1つの保護層からなる写真記録材料を安定化ための式(I)で表される化合物の使用を提供する。
【0235】
式(I)で表される新規な化合物に関しここより前の箇所で記載した好ましい態様は新規な組成物、新規な方法および新規な使用に同様に適用される。
【0236】
安定化される有機材料への(均質)混合は、例えば式Iで表される化合物および技術的に慣用の方法によるいずれか他の添加剤を混合すること、塗布することにより行われる。材料が、ポリマー、特に合成ポリマーの場合、混合は成形する前または成形中に、あるいは溶解または分散された化合物をポリマーに塗布し、続いて溶媒を蒸発するかまたはしないことにより行うことができる。エラストマーの場合にはこれらはまたラテックスとしても安定化できる。式Iで表される化合物をポリマーへ混合するさらに別な選択枝は相当するモノマーの重合前、重合中または直後に、および/または架橋前にそれらを添加することである。この場合式Iで表される化合物はそのまま、またはそうでなければ封入形態(例えば、ワックス、油またはポリマー中への)で添加できる。重合前または重合中の添加の場合、式Iで表される化合物はまたはポリマーの鎖長の調節剤として作用することもできる(連鎖停止剤)。
式Iで表される化合物はまた、安定化されるポリマーにこれらの化合物を例えば2.5ないし25重量%の濃度で含むマスターバッチの形態で添加することも可能である。
【0237】
新規な混合物は以下の方法によって適切に混合できる:
−エマルジョンまたは分散液として(例えば、ラテックスまたはエマルジョンポリマー)−追加の成分またはポリマー混合物の混合の最中にドライミックスとして
−加工装置への直接添加によって(例えば、押出機、密閉式ミキサー等)
−溶液または溶融物として。
【0238】
この様にして得られたポリマー組成物は、慣用の方法、例えばホットプレス、紡糸、押出または射出成形により、成形品例えば、繊維、フィルム、テープ、シートサンドイッチボード、容器、管およびその他の形材に変換できる。
【0239】
本発明は成形品を製造するための新規なポリマー組成物の使用を提供する。
【0240】
以下の表は式Iで表される化合物の代表例のいくつかを示す:
一般式
【表7】

ここで
化合物No.6および7においては、R3 は4−ビニル−および5−ビニル−2−ヒドロキシシクロヘキシルの混合物である。
【表8】

【実施例】
【0241】
以下の実施例は本発明をさらに説明する。他に言及しない限り実施例および明細書の残りの記載の両方、および特許請求の範囲において全ての部およびパーセントは重量による。実施例および表においては、以下の略称を使用する。
ジグリム:ジエチレングリコールジメチルエーテル
AcOEt:酢酸エチル
CHCl3 :クロロホルム
CDCl3 :ジュウテロクロロホルム
DSC:示差走査熱量=示差熱分析
ε:分子吸光係数
1H−NMR: 核種 1Hの核磁気共鳴
g :ガラス転移温度
mmHg:トール(1トール=133.322Pa)
m.p.:融点
【0242】
A:製造実施例
実施例A1:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]−6−[2−メトキシ−4−(3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物1)
ジグリム(Fluka 99.5%)80ml中の2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン11.9g(15.0mmol)の混合物を窒素下で80℃に加熱する。この溶液に順に微粉状のKOH(Fluka 85%)1.0g(15.1mmol)およびジメチルスルフェート(Fluka 99%)2.5g(19.8mmol)を攪拌しながら添加する。80℃で20時間攪拌後、混合物を冷却し、沈澱物をろ過分離し、溶媒をろ液から除去する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、230−60メッシュ、φ=5cm、h=30cmn;CH2 Cl2 /メタノール95:5)で精製する。
主な画分から溶媒を除去し、そして100℃/0.9mmHgにて3時間乾燥させると標記化合物(化合物1)7.0g(57.8%)が得られる。
分析:1H−NMR(CDCl3 ,300MHz):スペクトルは予想した構造から構
成される。
43593 12 (M=809.96g/mol)
計算値 C 63.77% H 7.34% N 5.19%
測定値 C 63.17% H 7.58% N 5.08%
UV(AcOEt): εmax(297nm)= 35230
εmax(346nm)= 62370
【0243】
実施例A2:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]−6−[2,4−ジ(3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物3)
メシチレン100ml中の2,4,6−トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン20.0g(0.049mol)およびn−ブチルグリシジルエーテル(Fluka 97%)39.1g(0.300mol)およびエチルトリフェニルホスホニウムブロミド(Fluka 97%)1.8g(0.005mol)の混合物を窒素下で150℃で21時間攪拌しながら加熱する。冷却後、不溶性の沈澱物をろ別しおよび溶媒をろ液から除去する(ロータリーエバポレーター)。残渣を次いで酢酸エチル100mlに溶解しおよび溶液をシリカゲルベット(シリカゲル60、230−400メッシュ、φ=6cm、h=4cm)を介してろ過しおよび酢酸エチル300mlにて溶離させる。溶媒を除去しおよび130℃/0.1mmHgで2時間乾燥させると標記生成物(化合物3)38.2g(理論値の84.2%)が得られる。
分析:
49713 14 (M=926.12g/mol)
計算値 C 63.55% H 7.73% N 4.54%
測定値 C 63.55% H 7.77% N 4.51%
g =−6.1℃
UV(AcOEt): εmax(303nm)= 35040
εmax(350nm)= 59850
【0244】
実施例A3:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(1−エトキシカルボニルエトキシ)フェニル]−6−[2,4−ジ(1−エトキシカルボニルエトキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン(化合物5)
2,4,6−トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン15.0g(0.037mol)およびジグリム80ml(Fluka 99.5%)の混合物を、窒素下で順に、微粉状KOH(Fluka 85%)9.2g(0.139mol)、ヨウ化カリウム(Fluka 99.5%)0.3g(0.002mol)およびエチル2−ブロモプロピオネート(Fluka 98%)29.5g(0.163mol)と混合する。
混合物を108℃で19時間攪拌しながら加熱する。無機沈澱物を熱ろ過で分離し、溶媒をロータリーエバポレーターにおいて除去する。粗生成物を酢酸エチル100ml(T=60℃)を吸収させそして混合物をシリカゲルベット(シリカゲル60、230−400メッシュ、φ=6cm、h=4cm)を介してろ過しおよび酢酸エチル300mlにて溶離させる。溶媒を除去しおよび130℃/0.1mmHgで2時間乾燥させると標記生成物24.2g(理論値の81.2%)が得られる:Tg =32.2℃。
分析:
41473 14 (M=805.84g/mol)
計算値 C 61.10% H 5.88% N 5.21%
測定値 C 60.17% H 5.67% N 5.42%
UV(AcOEt): εmax(304nm)=41480
εmax(355nm)= 61890
【0245】
以下の化合物は表に示される実施例に従って操作することおよび示された出発物質を使用することによって得られる。
【表9】

【0246】
実施例4:式
【化44】

で表される化合物11の製造
スターラー、滴下ロート、コンデンサーおよび内部温度計を備えるスルホン化フラスコ250mlに、ジメチルホルムアミド80ml中の2,4,6−トリス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン10.14g(0.025mol)の懸濁液を装入する。懸濁液を80℃に加熱し、乾燥した微細に粉砕した炭酸カリウム14.5g(0.1mol)を加え、温度を125−130℃に昇温させ、そして混合物を1時間攪拌する。次いでジメチルホルムアミド20ml中の3−(クロロメチル)ヘプタン17.84g(0.12mol)の溶液を1時間にわたって滴下でゆっくりと添加する。アルキル化の間、反応は薄層クロマトグラフィーにて容易に監視できる。6時間後反応が終了する。反応混合物をロータリーエバポレーター上で乾固まで濃縮させ、残渣をトルエン100mlに吸収させ、そして混合物をろ過して不溶性物質を除去する。さらに精製するために、ろ液をシリカゲルを用いるクロマトグラフィーにかける(カラム:φ=5cm、l=45cm;溶離液:トルエン/シクロヘキサン=35/65)。標記生成物が強靱な、淡黄色の樹脂として得られる。
紫外スペクトル:εmax(350nm)=64500M−1cm−1(エタノール)
1H−NMRスペクトル:δ[ppm,CDCl3 ]=0.8−0.9(m,24H,
−CH3 )、1.0−1.9(m,36H,−CH2 −および−CH−),3.7−4.0(dd,8H,−O−CH2 −),6.3−8.6(9H,芳香族),13.2−13.7(ss,2H,−OH)
上記で記載した手順において3−(クロロメチル)ヘプタンを化合物1−クロロオクタンに置き換えた場合、式
【化45】

で表される化合物(化合物12)が融点65−66℃の淡黄色の結晶として得られる。
【0247】
実施例A5:
下式で表される中間体の製造
【化46】

化合物中のR1の定義
中間体1 : イソプロピル
中間体2 : n−ブチル
中間体3 : n−ヘキシル
中間体4 : n−ヘプチル
中間体5 : n−オクチル
中間体6 : −CH2 −COO−C2 5
中間体7 : n−プロピル
中間体8 : 2−ブチル
a)2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物中間体1)
反応は機械式攪拌機を備えた1リットルのスチール性オートクレーブ中で行われる。
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム、Merck 、>99%)200ml中の2,4,6−トリス(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン50.0g(0.123mol)、炭酸カリウム54.6g(0.395mol)、ヨウ化カリウム(Merck ,99.0%)1.0g(0.006mol)およびイソプロピルブロミド(Fluka,99.0%)50.1g(0.407mol)の混合物を3.8バールの圧力下140℃で24時間攪拌する。冷却後、100℃まで加熱しおよびろ過する。ろ過ケーキを30℃で塩化メチレン500mlを用いて抽出に処する。再ろ過後、ろ液を蒸発させそして固体残渣を60℃/50mmHgにて24時間乾燥させる。これにより、融点122℃(DSC)の黄色の固体として2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物 中間体1)30.5
gを得る。
化合物 中間体2は同様にして得られる。融点142−245℃
【0248】
b) 2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−
1,3,5−トリアジン(化合物 中間体3)
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム,Merck ,>99%)1.5リットル中の2,4,6−トリス(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン81.1g(0.200mol)、炭酸カリウム(Merck,99.0%)87.1g(0.630mol)および1−ブロモヘキサン(Fluka,98%)111.2g(0.660mol)の混合物を窒素下で120℃で、20時間攪拌する。熱ろ過および冷却後、沈澱物をろ別し、そして酢酸エチル2.5リットルから再結晶させると融点148−150
℃の2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物 中間体3)46.0gが得られる。
以下の化合物が同様にして得られる。
中間体 4(融点75−102℃);中間体5(融点125−127℃);中間体(融点
153−159℃)
【0249】
実施例A6:2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’−メトキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物番号16)
窒素下で、1,2−ジメトキシエタン(Fluka 99%)80ml中2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(中間体1)10.6g(0.020mol)および微粉状のKOH(Fluka 85%)1.3g(0.020mol)の混合物を60℃で攪拌する。ジメチルスルフェート(Fluka 99.0%)3.3g(0.026mol)をこの透明な暗橙色に着色した溶液に添加する。
混合物を76℃で21時間保つ。冷却後、氷/水混合物500g中にそれを注ぎ入れそして30分間攪拌する。沈澱をろ別しそして60℃/50mmHgで14時間乾燥させる。次いでそれを2−メトキシエタノール160mlから再結晶させると融点185−188℃の2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’−メトキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物16)9.6gが得られる。
【0250】
実施例A7:2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’−エトキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物17)
窒素下で、1,2−ジメトキシエタン(Fluka 99%)80ml中の2,4,6−トリス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(中間体1)10.6g(0.020mol)および微粉状のKOH(Fluka 85%)1.3g(0.020mol)の混合物を50℃で攪拌する。ジエチルスルフェート(Fluka 99.0%)4.0g(0.026mol)をこの透明な暗橙色に着色した溶液に添加する。
混合物を還流温度(85℃)で攪拌しながら21時間保つ。冷却後、それを氷/水混合物500g中に注ぎ入れそして1時間攪拌し、そして塩化メチル1リットルで抽出処理する。抽出物を乾燥させる(MgSO4 )。溶媒の除去により淡黄色固体として粗生成物が得られる。次いでそれを2−メトキシエタノール120mlから再結晶させると融点163−167℃の2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’−エトキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物17)9.4gが得られる。
【0251】
実施例A8:2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’,4’−ジイソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物18)
反応は機械式攪拌機を備えたスチール性オートクレーヴ中で行われる。
ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム,Merck ,>99%)200ml中の2,4,6−トリス(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン40.5g(0.100mol)、炭酸カリウム59.4g(0.430mol)、ヨウ化カリウム(Merck 99.0%)1.0g(0.006mol)およびイソプロピルブロミド(Fluka 99.0%)54.1g(0.044mol)の混合物を140℃および4.0ないし5.0バールで24時間攪拌する。冷却後、塩化メチレン800mlを添加しおよび20分間40℃にて攪拌を続ける。
固体をろ別しそしてろ液を蒸発により濃縮させる。
2−メトキシエタノール180mlから再結晶化させることにより、融点159ないし166℃である2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−イソプロピルオキシフェニル)−6−(2’,4’−ジイソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物18)43.4gが得られる。
【0252】
実施例A9:2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−(2’,4’−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−フェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物27)
窒素下で、2−エトキシエタン(Fluka,99.5%)700ml中の2,4,6−トリス(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン60.8g(15mol)および炭酸カリウム87.1g(0.630mol)の混合物を80℃に保たれた1−ブロモヘキサン(Fluka,98%)の134.8g(0.800mol)に15分にわたり滴下で添加する。次いで混合物を120℃で20時間加熱する。冷却後、反応混合物を冷水8リットル中に注ぎ入れる。25℃で24時間後沈澱物をろ別し、水(300ml)で洗浄しそして乾燥させる。粗生成物をクロマトグラフィーにかける[シリカゲル60(230−400メッシュ)2.5kg、φ=13;h=60cm;ヘキサン/酢酸エチル(39:1)]。主な画分から溶媒を除去すると融点85−87℃の2,4−ビス(2’−ヒドロキシ−4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−(2’,4’−ジ−(n−ヘキシルオキシ)−フェニル)−1,3,5−トリアジン(化合物27)69.2gが得られる。
【0253】
以下の化合物は表に示された実施例の手順に従っておよび示された出発物質を使用して得られる。
【表10】

【0254】
B.使用実施例
実施例B1:ポリプロピレン繊維の光安定化
ポリプロピレンパウダー1000g(230℃/2.16kgにて測定されたメルトインデックス12g/10分)の入ったタービン攪拌機にて、実施例A1、A2またはA3からの新規な安定剤2.5gをトリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスフィット1g、カルシウムモノエチル3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート1g、カルシウムステアレート1gおよびTiO2 2.5g(Kronos RN57)と
一緒に混合する。この混合物を200−230℃で押出して粒状物にする。次にこの粒状物はパイロットプラント(Leonard ;Sumirago /VA イタリア) を使用して以下の条件に基づく繊維に加工する。
押出温度 190−230℃
ヘッド温度 255−260℃
延伸比 1:3.5
延伸温度 100℃
繊維 10デニール(den)
このように得られた繊維をASTM D2565−85に従って63℃のブラック標準
温度を用いる登録商標ウエザロメーター(Weather-O-Meter) タイプ65WR(Atras Corp.)において白色バックグラウンドに対して曝露する。種々の曝露時間の後、試料の残留
引張強さを測定する。測定から、曝露時間後の試料の引張強さがそのもともとのレベルの半分に低下する曝露時間T50を計算する。
比較の目的のため新規な安定剤を含まないが他は同じ条件にある繊維が製造されおよび試験される。
本発明により安定化された繊維は顕著に強度の保留を示す。
【0255】
実施例25:2−コートペイント系の安定化
新規な安定剤をキシレン5ないし10gに混合し以下の組成をもつクリアコートにおいて試験する:
【表11】

1):ヘキスト社(Hoechst AG) 供給のアクリレート樹脂;キシレン/ブタノール26:9の65%溶液
2):ヘキスト社(Hoechst AG) 供給のアクリレート樹脂;登録商標ソルベッソ1004)の75%溶液
3):ヘキスト社(Hoechst AG) 供給のメラミン樹脂;イソブタノールの55%溶液
4):製造元:エッソ(Esso)
5):登録商標ソルベッソ1501%;製造元:バイエル社(Bayer AG)
塗料の固体含量に基づいて表B2に記載されている安定剤1%をクリアコートに添加する。使用された比較試験は光安定剤を含まないクリアコートである。
このクリアコートを登録商標ソルベッソ(Solvesso)100で希釈して噴霧する粘度にし、そして調整したアルミニウムパネル(登録商標Uniprime, ライトグリーンメタリックベースコート) に噴霧し、それを130℃で30分間焼付し、40−50μmの乾燥フ
ィルム厚のクリアコートを得る。
試料を70℃にて8時間紫外線照射および50℃にて4時間凝結(condensation)の周期を用いるアトラスコーポレーション(Atlas Corp.)からの登録商標UVCON耐候試験
装置(UVB−313ランプ)中で耐候試験にかける。
試料の表面光沢度(20°光沢度,DIN67530)を一定の間隔で測定する。以下の表に結果をまとめる。

表B2:開始時および登録商標UVCON(UVB−313)における耐候試験後の20°光沢度(DIN 67530)
【表12】

* 亀裂

新規な安定剤を含む試料は高い曝露安定性および亀裂に対する耐性を示す。
【0256】
実施例B3:写真層中への均質混合に対する容易性
以下の組成のゼラチンコート(1m2 当り)をポリエステルベースへ慣用の方法で塗布する。
成分: 量:
ゼラチン 1200mg
トリクレジル ホスフェート 510mg
硬化剤 40mg
湿潤剤 100mg
式Iで表される化合物 400mg
硬化剤は2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンのカリウム塩である。
湿潤剤は4,8−ジイソブチルナフタレン−2−スルホネートである。
このゼラチンコートを20℃で7日間乾燥させる。
新規な化合物2を使用する場合、クリアな透明コートが得られ、それは例えば紫外線フィルターコートとして写真記録材料に適当である。
【0257】
実施例B4:ポリエチレンでコートされたベース材料を臭化銀および式
【化47】

で表されるマゼンタカプラー(M−9)を含むゼラチンコートで被覆する。
このゼラチンコートは以下の成分(ベース材料1m2 当り)を含む。
【表13】

使用される硬化剤は2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシトリアジンのカリウム塩である;使用される湿潤剤はジイソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩である。
1ステップにつき0.3logEの濃度差をもつステップウエッジ(step wedge)を得られた試料の各々の上で露光し、それはネガカラーペーパーに対するAgfaGevaert社のP94現像法の製品取扱説明書に従って現像される。露光および現像の後に、マ
ゼンタステージに対するの緑色領域の反射濃度(reflectance of density)をウエッジ0.9ないし1.1の間の濃度において測定する。
化合物11を含む紫外線吸収剤フィルターを実施例B3に記載されたと同様の透明なベース材料上に調整する。
Atlas曝露装置中で15kJ/cmでウエッジを順に紫外線吸収剤フィルターの後ろから曝露しそして反射濃度を再び測定する。安定剤を含まない試料と比較して、安定剤としての化合物11によってマゼンタ色素の濃度損失(masenta dye density loss)(−ΔD)は著しく減少される。
【0258】
実施例B5:実施例B3に記載された手順を繰り返すが、化合物No.1の2重量部およびHPT7の1重量部の混合物を使用する。写真記録材料のために適当なクリアな透明コートが得られる。
【0259】
実施例B6:以下の層構造を持つ写真材料を作成する:
【表14】

ゼラチン層は以下の成分(ベース材料1m2 当り)からなる:
青感層
α−(3−ベンジル−4−エトキシヒダントイン−1−イル)−α−ピバロイル−2−クロロ−5−[α−(2,4−ジ−第三アミルフェノキシ)ブタナミド]アセトアニリド(400mg)
α−(1−ブチルフェニルウラゾール−4−イル)−α−ピバロイル−5−(3−ドデカンスルホニル−2−メチル−プロパンアミド)−2−メトキシアセトアミド(400mg)
ジブチルフタレート(130mg)
ジノニルフタレート(130mg)
ゼラチン(1200mg)
1,5−ジオキサ−3−エチル−3−[β−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]−8,10−ジフェニル−9−チア[5.5]スピロウンデカン(150mg)
ビス(1−アクリロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)2,2−ビス(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート(150mg)
3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ(2,4−ジ−第三アミルフェニル)ベンゾエート(150mg)
ポリ(N−第三ブチルアクリルアミド)(50mg)
青感銀クロロブロミド乳剤(240mg)
第一ゼラチン中間層
ゼラチン(1000mg)
2,5−ジ−第三オクチルヒドロキノン(100mg)
ヘキシル5−[2,5−ジヒドロキシ−4−(4−ヘキシルオキシカルボニル−1,1−ジメチルブチル)フェニル]−5−メチルヘキサノエート(100mg)
ジブチルフタレート(200mg)
ジイソデシルフタレート(200mg)
【0260】
緑感層:
7−クロロ−2−{2−[2−(2,4−ジ−第三アミルフェノキシ)オクタンアミド]
−1−メチルエチル}−6−メチル−1H−ピラゾロ[1,5−b][1,2,4]トリアゾール(100mg)
6−第三ブチル−7−クロロ−3−(3−ドデカンスルホニルプロピル)−1H−ピラゾロ[5,1−o][1,2,4]トリアゾール(100mg)
ジブチルフタレート(100mg)
ジクレジルホスフェート(100mg)
トリオクチルホスフェート(100mg)
ゼラチン(1400mg)
3,3,3’,3’−テトラメチル−5,5’,6,6’−テトラプロポキシ−1,1’−スピロビインダン(100mg)
4−(i−トリデシルオキシフェニル)チオモルホリン1,1’−ジオキシド(100mg)
4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)(50mg)
2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)(10mg)
3,5−ジクロロ−4−(ヘキサデシルオキシカルボキシルオキシ)エチルベンゾエート(20mg)
3,5−ビス[3−(2,4−ジ−第三アミルフェノキシ)プロピルカルバモイル]ナトリウムベンゼンスルフィネート(20mg)
緑感銀クロロブロミド乳剤(150mg)
第二ゼラチン中間層
ゼラチン(1000mg)
5−クロロ−2−(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾ−1,2,3−トリアゾール(200mg)
2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾ−1,2,3−トリアゾール(200mg)
トリノニルホスフェート(300mg)
2,5−ジ−第三オクチルヒドロキノン(50mg)
ヘキシル5−[2,5−ジヒドロキシ−4−(4−ヘキシルオキシカルボニル−1,1−ジメチルブチル)フェニル]−5−メチル−ヘキサノエート(50mg)
【0261】
赤感層
2−[α−(2,4−ジ−第三アミルフェニル)ブタンアミド]−4,6−ジ−クロロ−5−エチルフェノール(150mg)
2,4−ジクロロ−3−エチル−6−ヘキサデカンアミドフェノール(150mg)
4−クロロ−2−(1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンズアミド)−5−[2−(2,4−ジ−第三アミルフェノキシ)−3−メチルブタンアミド]フェノール(100mg)
ジオクチルフタレート(100mg)
ジシクロヘキシルフタレート(100mg)
ゼラチン(1200mg)
5−クロロ−2−(3,5−ジ−第三ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾ−1,2,3−トリアゾール(100mg)
2−(3−ドデシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾ−1,2,3−トリアゾール(100mg)
3.5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシ(2,4−ジ−第三アミルフェニル)ベンゾエート(50mg)
ポリ(N−第三ブチルアクリルアミド)(300mg)
N,N−ジエチル−2,4−ジ−第三アミルフェノキシアセトアミド(100mg)
2,5−ジ−第三オクチルヒドロキノン(50mg)
赤感銀クロロブロミド乳剤(200mg)
最上層は紫外線吸収剤を含んでまたは含まずに製造される。
紫外線吸収剤を含む場合:
2,5−ジ−第三オクチル−ヒドロキノン(20mg)
ヘキシル5−[2,5−ジヒドロキシ−4−(4−ヒドロキシカルボニル−1,1−ジメチルブチル)−フェニル]−5−メチルヘキサノエート(20mg)
ゼラチン(400mg)
トリノニルホスフェート(120mg)
新規な紫外線吸収剤化合物No.1(385mg)
紫外線吸収剤を含まない場合
ゼラチン(800mg)
【0262】
使用される硬化剤は2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシトリアミンK塩溶液、湿潤剤はジイソブチルナフタレンスルホン酸のナトリウム塩である。
1ステップにつき0.3logEの濃度差をもつ3ステップウエッジを各々の試料の上で(それぞれ青色、緑色および赤色光に)露光する。次いでカラーペーパー用の現像法RA−4(Kodak)を行う。
露光および現像後、シアンステップに対する赤色、マゼンタステップに対する緑色、イエローステップに対する青色の反射濃度をウエッジの0.9ないし1.1の間の濃度で測定する。ウエッジを次にAtlas 曝露装置において総計15kJ/cm2 で曝露し、反射濃度を再度測定する。
マゼンタウエッジの場合も同様に、曝露前および後の反射濃度を黄色化(yellowing)に対する青色について測定する。
紫外線吸収剤の存在はシアン、マゼンタおよびイエロー画像色素(image dye)の色素
濃度損失を減少させる。
【0263】
実施例B7:化粧品における使用
以下の表に記載されるフェーズA、BおよびCを使用して日焼け止めクリームを製造する:
【表15】

示されたパーセントはフェーズA、フェーズBおよびフェーズCからなる混合物の総量に関するものであり;添加剤の示された名前は化学品名ではなくCTFA名称(Cosmetic, Toiletry and Fragnance Association,USA)である。
フェーズAおよびフェーズBを別々に75ないし80℃に加熱する。次にまずフェーズBおよび次にフェーズCを均質混合しながらフェーズAに添加する。その後均質化を行う。
Diffey and Robson, J.Soc. Cosmet. Chem. 40,127-133(1989)の方法に従って得られたエマルジョンのライトプロテクションファクター(light protection factor)およびU
VA/UVB比を測定するためにSPF分析機である登録商標SPF290(製造者:Optometrix)を使用する;このライトプロテクションファクターは6であり、UVA/UVBの比は0.87である。
化合物11の代わりに化合物12を使用して同様の結果が導かれる。
【0264】
実施例B8:
以下の表に記載されるフェーズAおよびBを使用して日焼け止めクリームを製造する:
【表16】

示されたパーセントはフェーズAおよびフェーズBからなる混合物の総量に関するものである;添加剤の示された名前は化学品名ではなくCTFA名称(Cosmetic,Toiletry and Fragnance Association,USA)である。
フェーズAを別にそして非常に注意深く均質化しならびに同様にフェーズBも、別に75−80℃に加熱する。次にフェーズBを激しく攪拌しながらフェーズAに添加する。混合物を攪拌しながら冷却させる。
この日焼け止めクリームのライトプロテクションファクターは18(実施例B7と同様に測定)である。
【0265】
実施例B9:写真層の紫外線吸収剤としての作用
ゼラチン層を実施例B3に記載したと同様にポリエステルベースに塗布する。このように製造された紫外線フィルターの最大吸光度(ODmax)をPerkin-Elmer社のラムダ(Lambda)15分光光度計を使用して測定する:結果を以下の表に示す。
【表17】

新規な化合物は写真層用の有効な紫外線フィルターを製造するのに使用できる。
【0266】
実施例B10:ポリエチレン−コートされたベース材料を以下の成分(1m2 当りの言及された量)を含む発色乳剤(chromogenic emulsion)でコートする。
【表18】

使用されるマゼンタカプラーは式
【化48】

で表されるマゼンタカプラーである。
1ステップ当り0.3logEの濃度差のステップウエッジを得られた試料のそれぞれの上で露光し、次にそれをネガカラーペーパーのためのAgfa社の現像法P−94において現像する。
紫外線フィルターを作るために、以下の組成物をゼラチン層に慣用の方法でポリエステルベースに塗布する。
成分 量(mg/m2
ゼラチン 1200
トリクレジルホスフェート 510
硬化剤 40
湿潤剤 100
UVA総量 300
硬化剤は2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンのカリウム塩である。湿潤剤はナトリウム4,8−ジイソブチルナフタレン−2−スルホネートである。ゼラチン層は20℃で7日間乾燥させる。
発色層を新規紫外線吸収剤(UVAs)および、さらに以下の表に示す慣用のUVAを含む紫外線フィルター層b1ないしb26の後ろからキセノンランプを備えたAtlas Ci35登録商標ウエザロメーター(Weather−o−meter)中で30kJ/m2 で曝露する。曝露前および後において緑色領域における反射濃度を測定する。
【表19】

この実施例は新規な化合物が発色層を保護するための有効な紫外線フィルターを形成することを示す。
【0267】
実施例B11
実施例B9におけると同様にゼラチン層を作成する。今回は使用されるUVAの量をλmaxにおいて吸光度2を与えるように選択する。試料を21日間気象学的に調節されたチャンバーに保管し、その後保管の結果として生じた吸収の損失を測定する。結果は以下の表に示される。
【表20】

結果は新規な化合物が極端な気象条件下においても著しく安定であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式II
【化1】

(式中、R1 は炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数5ないし12のシクロアルキル基;フェニル基、OH、炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、−COOR4 、−O−CO−R5で置換された炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し、
基R2 は、−OR3又は−NH−CO−R5を表し、および
基R3 は、互いに独立して、R1 に対して与えられた定義を表し、
4 は、炭素原子数1ないし18のアルキル基;炭素原子数7ないし11のフェニルアルキル基またはシクロヘキシル基を表し、
5 は、炭素原子数1ないし18のアルキル基を表し、
11は、Hを表す、
但し、式II中、基R1 、R2 およびR11の少なくとも1つが2個以上の炭素原子を含む。)で表される化合物(但し、2−{2,4−ジ(2−エチルヘキシルオキシ)−フェニル}−4,6−ビス{2−ヒドロキシ−4−(2−エチルヘキシルオキシ)−フェニル}−1,3,5−トリアジンを除く)。
【請求項2】
A)光、酸素および/または熱により損傷を受けやすい有機材料とB)安定剤として請求項1記載の式IIで表される化合物の少なくとも1種とからなる組成物。
【請求項3】
成分A)が合成有機ポリマーまたは記録材料である請求項2記載の組成物。
【請求項4】
成分A)及び成分B)の他に、抗酸化剤;金属不活性化剤;ホスフィット;ホスホナイト;2−( 2′−ヒドロキシフェニル) ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、置換された及び非置換の安息香酸のエステル、アクリレート、ニッケル化合物、立体障害性アミン、オキサミド、さらに2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンのような他の光安定剤;ヒドロキシルアミン;ニトロン;チオ相乗剤;過酸化物スカベンジャー;ポリアミド安定剤;塩基性補助安定剤;核剤;充填剤及び強化剤;可塑剤;潤滑剤;乳化剤;顔料;レオロジー添加剤;触媒;流れ調整剤;光沢剤;難燃剤;静電防止剤;発泡剤;ベンゾフラノン;インドリノンから選択された慣用的添加剤をさらに含む請求項2記載の組成物。
【請求項5】
記録材料が、ベース上の少なくとも1つの感光性ハロゲン化銀乳剤層および、所望ならば中間層および/または保護層とからなり、これらの層の少なくとも1つが成分B)を含むカラー写真材料である請求項3記載の組成物。
【請求項6】
式中、R2 は、−OR3を表し、
1およびR3 は、互いに独立して、炭素原子数4ないし18のアルキル基を表し、そし

11は、Hを表す、請求項2、3、4または5記載の組成物。
【請求項7】
下記式
【化2】

に相当する式IIの化合物である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
光、酸素および熱による損傷に対して有機材料を安定化する方法であって、該有機材料に請求項1記載の式IIで表される化合物を添加または塗布することからなる方法。
【請求項9】
光、酸素および/または熱による損傷に対して有機材料を安定化するための、請求項1記載の式IIで表される化合物の使用。
【請求項10】
毛髪および皮膚用化粧品に関し化粧品として許容される賦形剤または助剤と共に請求項1記載の式IIで表される化合物の1以上とを含む化粧品調剤。
【請求項11】
式中、R2 は、−OR3を表し、
1およびR3 は、互いに独立して、炭素原子数4ないし18のアルキル基を表し、そし

11は、Hを表す、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
下記式
【化3】

に相当する、請求項1記載の化合物。

【公開番号】特開2009−221218(P2009−221218A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128183(P2009−128183)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【分割の表示】特願平9−334915の分割
【原出願日】平成9年11月19日(1997.11.19)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】