説明

ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)をベースにした粘性液体を多孔質基材に薬剤投与する装置および方法、例えば連続ウェブをベースにしたプロセス

ゾル、ゾル形成化合物、または高粘性組成物を含めた組成物を、多孔質基材中に薬剤投与するための、システムおよび方法が提供される。いくつかの実施形態では、多孔質基材は経皮送達デバイスの要素である。いくつかの実施形態では、高粘性組成物は、アルキルセルロースエーテルまたはその誘導体、特にヒドロキシプロピルセルロースを含む。そのような組成物は、連続ウェブベースの製造プロセスに役立てることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に、能動的および受動的な送達を含む薬物の経皮送達のためのシステム、デバイス、および方法の分野に関する。この発明は、詳細には、薬物送達、例えば経皮薬物送達に使用されるデバイスを作製するためのプロセス、例えば連続ウェブをベースにした製造プロセスに関し、より詳細には、そのようなデバイスの多孔質基材または薬物リザーバに充填するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2008年9月10日に出願しかつ「Apparatus and Method to Dispense HPC-Based Viscous Liquids into Porous Substrates, e.g., Continuous Web-Based Process」という名称の米国仮特許出願第61/095,912号であって米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張するものである。
【0003】
生物学的界面(例えば、皮膚および粘膜など)への、または生物学的界面を通した、医薬品として活性な薬剤の送達は、薬物を、器官の皮膚または皮下組織の内部にまたは身体全体に導入するための、都合の良い、非侵襲的な、痛みの無い方法にすることができる。活性剤には、例えば、帯電または非帯電物質、イオン化または非イオン化した化合物または薬物、治療薬、および生物活性剤などを含めてもよい。生物学的界面へのまたは生物学的界面を通した、医薬品として活性な薬剤の送達の形態は、その薬剤の帯電、イオン性、またはサイズ特性に依存する可能性がある。医薬品として活性な薬剤は、受動的に(例えば、吸着によって)または能動的に(例えば、イオン泳動、エレクトロポレーション、電気泳動、および/または電気浸透によって)送達してもよい。
【0004】
医薬品として活性な薬剤の受動的送達は、生物学的界面にデバイスを付着させることによって実現してもよい。受動的送達デバイスは、例えば、単純な活性剤含有パッチまたは包帯などの形をとってもよい。そのようなデバイスは、活性剤またはその組成物を含有し、デバイスの内部または多孔質基材から生物学的界面へのおよび/または生物学的界面を通した活性剤の、受動的条件下での移動を可能にするよう設計されている。医薬品の受動的送達のためのデバイスは、例えば、痛みを制御しもしくは治癒を促進させるよう物質を局所的に送達するために、または煙草を吸いたいという欲求を制御するよう薬剤を全身に送達するために使用される。
【0005】
医薬品として活性な薬剤のイオン泳動的送達は、同じように帯電している医薬品として活性な薬剤および/またはそのビヒクルもしくは担体を含有するイオン泳動的チャンバ近傍の電極に電位を印加することによって、活性剤を生物学的界面に移すのに、起電力および/または電流を用いる。
【0006】
イオン泳動デバイスは、典型的には、それぞれが電源の、例えば化学バッテリまたは外部電源の反対の極または端子に結合されている、活性電極アセンブリおよび対電極アセンブリを含む。各電極アセンブリは、典型的には、起電力および/または電流を印加するそれぞれの電極要素を含む。そのような電極は、しばしば、犠牲要素または化合物、例えば銀または塩化銀を含む。活性電極アセンブリは、典型的には、イオン泳動的送達のために活性剤を供給する少なくとも1つの活性剤リザーバを含有する。一方または両方の電極アセンブリは、1つまたは複数の電解質リザーバを含有していてもよい。イオン泳動デバイスでは、活性剤が陽イオン性でも陰イオン性であってもよく、電源は、活性剤の極性に基づいて適切な電圧極性が印加されるよう構成されていてもよい。イオン交換膜は、活性剤を含有するデバイスと生物学的界面との間で極性選択的障壁として働くように、デバイスに位置決めされていてもよい。膜、典型的には、ある特定のタイプのイオン(例えば、帯電活性剤)のみを透過可能な膜は、活性剤の電荷とは反対の電荷を有するイオンの、皮膚または粘膜からの逆流を防止することができる。イオン泳動は、受動的送達デバイスを使用して実現することができる速度に比べ、活性剤の送達速度を高めるのにまたは制御するのに有利に使用することができる。
【0007】
受動的または能動的送達デバイスでは、医薬品として活性な薬剤を含有するデバイスの部分が、キャビティなどのリザーバであってもよい(例えば、特許文献1参照)。あるいは、活性剤は、ゲル母材または多孔質基材、例えば織物材料、またはこれらのいくつかの組合せなどのリザーバに貯蔵されていてもよい。特に、例えば多孔質基材を有するリザーバを使用する場合、リザーバは、製造中にいくつかのタイプの材料で、例えば非イオン性親水性ポリマー母材で、ゾルで、またはヒドロゲルで充填されていてもよい。
【0008】
特にイオン泳動デバイスを含む受動的および能動的送達デバイスの両方を、商業的に受け入れられるか否かは、製造コスト、活性剤送達の効率および/または均一性および/または適時性、保存寿命、貯蔵中の安定性、生物学的能力、および/または処理の問題などの様々な要因に左右される。
【0009】
活性剤および電解質リザーバを含むリザーバの、正確な、一貫した、効率的およびコスト効果のある充填は、これらの要求のいくつかを満足させるのに必要である。ある充填方法では、リザーバ支持母材をリザーバに導入し、次いで乾燥させる。その後の操作では、次いで水性活性剤または電解質溶液を導入し、乾燥した母材を再水和させ、したがって活性剤または電解質溶液を母材に吸収させて、活性剤または電解質含有リザーバを形成する。しばしば、そのような方法では、乾燥母材の再水和は不規則で不完全であり、したがって母材の飽和が防止され、不均一な活性剤または電解質濃度がリザーバ全体にもたらされる。リザーバの、そのような不均一性は、使用中に、一貫しない電流および/または一貫しない活性剤の送達をもたらす可能性がある。あるいは、活性剤および/または電解質および/またはその他のリザーバの成分を、ポリマーおよび/またはその他の成分を含有する溶液または懸濁液に混合することができ、次いで活性剤および/または電解質および/またはその他の成分を含有するゾルまたは高粘性溶液を形成することが可能である。次いで活性剤含有ゾルまたは高粘性ポリマー溶液をリザーバ内に薬剤投与して、多孔質リザーバ構造内に吸収させ、したがって、活性剤または電解質含有リザーバが形成される。活性剤または電解質の濃度は、この手法においてゾルまたはポリマー母材全体を通して均一であってもよいが、母材の高粘性コンシステンシーは、ゾルであろうとポリマー溶液であろうと、リザーバの多孔質基材全体を通した母材の均一な分散に、特定の課題をしばしばもたらす可能性がある。粘性母材の不均一な薬剤投与および/または分散は、デバイスを使用する際に上記と同じ課題のいくつかをもたらす可能性がある。さらに、連続ウェブをベースにしたプロセスなどの自動化充填プロセスは、活性物質を投与するためのデバイスを製造するのにしばしば有利であるが、高粘性材料は、そのようなプロセスで薬剤投与することが難しい。したがって、活性剤および/または電解質および/または添加剤もしくは添加物を含めた任意のその他の所望の成分を含有する粘性ポリマー母材成分を、多孔質基材に効率的にかつ効果的に薬剤投与するためのシステムおよび方法が、特に有利と考えられる。
【0010】
本発明は、上述の欠点の1つまたは複数に対処し、かつ/またはさらに関連ある利点を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,395,310号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、そのような送達デバイスで使用される問題の、活性剤および/または電解質および/またはその他の化合物および/または添加物を含有するリザーバが生成されるよう、多孔質基材またはリザーバ、特に様々な経皮送達デバイスの多孔質リザーバ構造に、高粘性ポリマー組成物、ゾル、またはゾル形成化合物を充填するための方法およびシステムを対象とする。
【0013】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管(コンジット)を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップとを含む。ある特定の、そのような実施形態では、組成物を導管の出口端部から薬剤投与するステップが、約0センチポアズから約500センチポアズの間の粘度を有する組成物を薬剤投与するステップを含んでいてもよい。その他のそのような実施形態では、導管の出口端部から組成物を薬剤投与するステップが、約0センチポアズから約200センチポアズの間の粘度を有する組成物を薬剤投与するステップを含んでいてもよい。別のそのような実施形態では、導管の出口端部から組成物を薬剤投与するステップが、約50センチポアズから約150センチポアズの間の粘度を有する組成物を薬剤投与するステップを含んでいてもよい。さらにその他のそのような実施形態では、導管の出口端部から組成物を薬剤投与するステップが、約80センチポアズから約120センチポアズの間の粘度を有する組成物を薬剤投与するステップを含んでいてもよい。
【0014】
この方法は、約2,500センチポアズから約10,000センチポアズの間の高粘度から低粘度にまで組成物の粘度を変換するのに十分な、少なくとも約35℃の第1の温度に、導管の第1の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。この方法は、導管の第1の部分内のポイントで、高粘度から約0センチポアズから約200センチポアズの低粘度にまで組成物の粘度を変換するのに十分な、少なくとも約35℃の第1の温度に、導管の第1の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。この方法は、導管の第1の部分内のポイントで、高粘度から約50センチポアズから約150センチポアズの低粘度にまで組成物の粘度を変換するのに十分な、少なくとも約35℃の第1の温度に、導管の第1の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。この方法は、導管の第1の部分内のポイントで、高粘度から約80センチポアズから約120センチポアズの低粘度にまで組成物の粘度を変換するのに十分な、少なくとも約35℃の第1の温度に、導管の第1の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。
【0015】
この方法は、導管の第1の部分の温度を、約45℃から約70℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。この方法は、導管の第1の部分の温度を、約40℃から約60℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約40℃から約50℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約50℃から約60℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約45℃から約55℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約40℃から約43℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約43℃から約46℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約46℃から約49℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約49℃から約52℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約52℃から約55℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約55℃から約58℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約49℃から約53℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、第1の部分の温度を約39℃から約43℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。
【0016】
入口と、出口と、入口および出口に間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、約2,500センチポアズから約10,000センチポアズの高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、組成物を、導管の出口端部から多孔質基材中に薬剤投与するステップとを含む。
【0017】
導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分内のポイント、例えば第2の部分の出口で、組成物の粘度が低粘度で維持されるよう十分に、第2の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。第2の温度を調節するステップは、第2の部分内のポイントで、組成物の粘度が約0センチポアズから約200センチポアズの間であるように、第2の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。第2の温度を調節するステップは、第2の部分内のポイントで、組成物の粘度が約50センチポアズから約150センチポアズの間であるように、第2の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。第2の温度を調節するステップは、第2の部分内のポイントで、組成物の粘度が約80センチポアズから約120センチポアズの間であるように、第2の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、組成物の粘度が第2の部分の出口で低粘度で維持されるよう十分に、第2の部分の温度を調節するステップを含んでいてもよい。
【0018】
導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を35℃よりも高い温度に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約35℃から約70℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約40℃から約50℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約50℃から約60℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約45℃から約55℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約40℃から約43℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約43℃から約46℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約46℃から約49℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約49℃から約52℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約52℃から約55℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約55℃から約58℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約49℃から約53℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、第2の部分の温度を約39℃から約43℃の間に調節するステップを含んでいてもよい。
【0019】
導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、導管の第2の部分の温度を導管の第1の部分の温度未満程度になるよう調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、導管の第2の部分の温度を導管の第1の部分の温度とほぼ同じ温度になるよう調節するステップを含んでいてもよい。導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、導管の第2の部分の温度を導管の第1の部分の温度よりも高い温度程度になるよう調節するステップを含んでいてもよい。
【0020】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。一実施形態において、この方法は、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を約52℃から約55℃の第1の温度に調節するステップと、導管の第2の部分の温度を約49℃から約52℃の第2の温度に調節するステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、組成物を、導管の出口端部から多孔質基材中に薬剤投与するステップとを含む。別の実施形態において、この方法は、導管の第1の部分の温度を約49℃から約52℃の第1の温度に調節するステップと、導管の第2の部分の温度を約52℃から約55℃の第2の温度に調節するステップとを含む。別の実施形態では、この方法は、導管の第1の部分の温度および導管の第2の部分の温度を約49℃から約53℃に調節するステップを含む。別の実施形態において、この方法は、導管の第1の部分の温度および導管の第2の部分の温度を約39℃から約43℃に調節するステップを含む。
【0021】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、アルキルセルロースエーテルまたは変性アルキルセルロースエーテルの少なくとも1種の形をとるセルロース誘導体を含む組成物を、導管の入口に供給するステップと、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップとを含む。セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースの少なくとも1種の形をとってもよい。セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースの誘導体、ヒドロキシエチルセルロースの誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの誘導体、またはカルボキシメチルセルロースの誘導体の少なくとも1種の形をとってもよい。セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースの形をとってもよい。ヒドロキシプロピスセルロースは、導管の入口に対して約1%から約2.5%のパーセント濃度(w/w×100)であってもよい。ヒドロキシプロピルセルロースは、導管の入口に対して約1.5%から約2%のパーセント濃度(w/w×100)であってもよい。セルロース誘導体は、第1のセルロース誘導体および第2のセルロース誘導体の形をとってもよい。第2のセルロース誘導体は、第1のセルロース誘導体とは異なっていてもよい。第1のセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースであってもよい。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースとは異なっていてもよい。セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形をとってもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)の比は、約4:1から約2:1である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)の比は、約3.5:1から約2.5:1である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースのパーセント濃度(w/w×100)の比は、約3:1である。
【0022】
セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形をとってもよく、ヒドロキシプロピルセルロースのパーセント濃度は約1.5%であり、ヒドロキシエチルセルロースのパーセント濃度は約0.5%である。
【0023】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む組成物は、少なくとも1種の界面活性剤をさらに含んでよい。少なくとも1種の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、または両性イオン界面活性剤であってもよい。非イオン性界面活性剤は、ポロキサマーまたはプルロニックである。非イオン界面活性剤は、ポロキサマー188、プルロニックL44、またはプルロニックL62から選択してもよい。非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤、例えばTWEENまたはSPANであってもよい。
【0024】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップを含み、この組成物は、電解質組成物の形をとる。
【0025】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップを含み、この組成物は、生物学的に活性な薬剤の組成物の形をとる。生物学的に活性な薬剤は、例えば、〜カイン型の活性剤からなる群から選択してもよい。活性剤は、リドカインであってもよい。活性剤は、エピネフリンをさらに含むリドカイン含有組成物であってもよい。
【0026】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、組成物を、加圧された薬剤投与リザーバから導管の入口に供給するステップと、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップと、導管の第2の部分に少なくとも近接して位置決めされた弁を介して、導管の出口端部からの組成物の流れを規制するステップとを含む。組成物は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を送達するために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与してもよい。組成物は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を経皮送達するために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与してもよい。組成物は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通した活性剤のイオン泳動的送達のために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与してもよく、組成物は、送達した後に周囲温度に戻してもよい。組成物は、デバイスの保持部分の内部の多孔質基材含有母材に薬剤投与されてもよい。
【0027】
入口と、出口と、入口および出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、第1の部分および出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材中に薬剤投与するための方法が提供される。この方法は、組成物を、定量ポンプ、例えば容積式ポンプから導管の入口に供給するステップと、導管の出口端部に多孔質基材を提供するステップと、導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、導管の入口端部から出口端部に移動させるステップと、導管の出口端部から多孔質基材中に組成物を薬剤投与するステップと、入口への、したがって導管を通して出口への、組成物の流れが規制されるよう定量ポンプを調節することによって、導管の出口端部からの組成物の流れを規制するステップとを含む。組成物は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を送達するために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与されてもよい。組成物は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を経皮送達するために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与されてもよい。組成物は、生物学的界面へのまたは生物学的界面を通した活性剤のイオン泳動的送達のために、デバイスの保持部分の内部に薬剤投与されてもよく、組成物は、送達した後に周囲温度に戻してもよい。組成物は、デバイスの保持部分の内部の多孔質基材含有母材に薬剤投与されてもよい。
【0028】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムが提供される。このシステムは、組成物を移送するための導管であって、入口、出口、入口および出口の間に位置決めされた第1の部分、第1の部分および出口の間に位置決めされた第2の部分を含む導管と、導管の第1の部分の少なくとも一部にある組成物を第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器と、組成物を導管から薬剤投与する速度を制御するよう動作可能な弁機構とを含む。システムは、導管の第2の部分の少なくとも一部にある組成物を第2の温度に加熱するよう位置決めされた第2の加熱器を、さらに含んでいてもよい。第1の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の温度は、第1の温度以下であってもよい。第2の温度は、第1の温度以上であってもよい。第2の加熱器の少なくとも一部は、弁機構の少なくとも一部に組み込まれていてもよい。
【0029】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムが提供される。このシステムは、組成物を移送するための導管であって、入口、出口、入口および出口の間に位置決めされた第1の部分、第1の部分および出口の間に位置決めされた第2の部分を含む導管と、導管の第1の部分の少なくとも一部にある組成物を第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器と、第1の部分に少なくとも近接した混合器と、組成物を導管から薬剤投与する速度を制御するよう動作可能な弁機構とを含む。ある実施形態では、混合器が静止混合器であってもよい。その他の実施形態では、混合器が動的混合器であってもよい。
【0030】
リザーバは、薬剤投与される組成物を貯蔵するために設けてもよく、このリザーバは、流体密接続を介して導管の入口に、流体連絡可能に結合されたものである。リザーバは、加圧リザーバであってもよい。リザーバは、ヒドロキシプロピルセルロースの形をとるセルロース誘導体を含む組成物を、貯蔵してもよい。リザーバは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形をとるセルロース誘導体を含む組成物を、貯蔵してもよい。
【0031】
リザーバは、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、貯蔵してもよい。リザーバは、〜カインの種類の活性剤から選択された、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、貯蔵してもよい。
【0032】
本明細書に開示されるある実施形態では、少なくとも1種のセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースである。本発明におけるシステムのその他の実施形態では、少なくとも1種のセルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースの誘導体である。
【0033】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムが、提供される。このシステムは、組成物を移送するための導管であって、入口、出口、入口および出口の間に位置決めされた第1の部分、第1の部分および出口の間に位置決めされた第2の部分を含む導管と、導管の入口に組成物を供給する定量ポンプと、導管の第1の部分の少なくとも一部にある組成物を第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器とを含む。このシステムは、導管の第2の部分の少なくとも一部にある組成物を、第2の温度に加熱するよう位置決めされた、第2の加熱器をさらに含んでいてもよい。第1の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の温度は、第1の温度以下であってもよい。第2の温度は、第1の温度以上であってもよい。
【0034】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムが提供される。このシステムは、組成物を移送するためのキャピラリー配管であって、入口、出口、入口および出口の間に位置決めされた第1の部分、第1の部分および出口の間に位置決めされた第2の部分を含むキャピラリー配管と、キャピラリー配管の第1の部分の少なくとも一部で、組成物を第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器とを含む。このシステムは、キャピラリー配管の第2の部分の少なくとも一部にある組成物を第2の温度に加熱するよう位置決めされた第2の加熱器を、さらに含んでいてもよい。第1の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含んでいてもよい。第2の温度は、第1の温度以下であってもよい。第2の温度は、第1の温度以上であってもよい。ある特定の、そのような実施形態では、組成物は、加圧リザーバを介してキャピラリー配管の入口に供給されてもよい。その他の、そのような実施形態では、組成物は、定量ポンプを介してキャピラリー配管の入口に供給されてもよい。
【0035】
第1のセルロース誘導体、第2のセルロース誘導体、および生物学的に活性な薬剤を含む組成物であって、第1のセルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースであり、第2のセルロース誘導体が第1のセルロース誘導体とは異なっている組成物が、提供される。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースから選択されてもよい。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロースの誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの誘導体、またはカルボキシメチルセルロースの誘導体であってもよい。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロースであってもよい。生物学的に活性な薬剤は、〜カイン型活性薬剤からなる群から選択されてもよい。生物学的に活性な薬剤は、リドカイン、またはリドカインおよびエピネフリンの混合物であってもよい。
【0036】
第1のセルロース誘導体、第2のセルロース誘導体、および生物学的に活性な薬剤を含む組成物であって、第1のセルロース誘導体がヒドロキシプロピルセルロースの誘導体であり、第2のセルロース誘導体が第1のセルロース誘導体とは異なっている組成物が、提供される。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースから選択されてもよい。ある特定の実施形態では、第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロースの誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの誘導体、またはカルボキシメチルセルロースの誘導体であってもよい。第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロースであってもよい。生物学的に活性な薬剤は、〜カイン型活性薬剤からなる群から選択されてもよい。生物学的に活性な薬剤は、リドカイン、またはリドカインおよびエピネフリンの混合物であってもよい。
【0037】
組成物は、本明細書のその他の個所に開示される方法およびシステムのいずれかで使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図面では、同一の符号は同様の要素または動作を示すものと見なす。図面の要素のサイズおよび相対的な位置は、必ずしも縮尺に合わせて示したものではない。例えば、様々な要素の形状および角度は、縮尺に合わせて図示されておらず、これらの要素のいくつかは、図面の見易さを改善するために適宜拡大され位置決めされている。さらに、図示される要素の特定の形状は、特定の要素の実際の形状に関する任意の情報を伝えるものではなく、図面における認識を容易にするために選択されただけである。
【0039】
【図1】ある例示された実施形態による受動的経皮送達デバイスの、活性側の等角図である。
【図2】ある例示された実施形態による図1の受動的経皮送達デバイスの、活性側の平面図(「図2A」)および分解立面図(「図2B」)である。
【図3】ある例示された実施形態による、活性電極アセンブリおよび対電極アセンブリを含むイオン泳動経皮送達デバイスの、平面図である。
【図4】別の例示された実施形態による、活性電極アセンブリおよび対電極アセンブリを含むイオン泳動経皮送達デバイスの、平面図である。
【図5A】ある例示された実施形態による、イオン泳動デバイスの概略図である。
【図5B】別の例示された実施形態による、イオン泳動デバイスの概略図である。
【図6A】ある例示された実施形態による、連続ウェブベースの多孔質基材中に組成物を薬剤投与するためのシステムの、概略図である。
【図6B】ある例示された実施形態による、個別の要素として加熱器および混合器を示す、図6Aの一部を示す等角図である。
【図6C】ある例示された実施形態による、単一要素として組み合わされた加熱器および混合器を示す、図6Aの一部を示す等角図である。
【図6D】ある例示された実施形態による、定量ポンプおよび第2の混合器を示す、図Aのシステムの代替形態の概略図である。
【図6E】ある例示された実施形態による、連続ウェブベースの多孔質基材を供給し充填しかつそこから受動的経皮送達デバイスを調製する装置を示す、図6Aの一部の拡大概略図である。
【図6F】ある例示された実施形態による、連続ウェブベースの多孔質基材を供給し充填しかつそこから能動的経皮送達デバイスを調製する装置を示す、図6Aの一部の拡大概略図である。
【図6G】ある例示された実施形態による、2つの充填されたリザーバを有する能動的経皮送達デバイスを調製するのに適した2つの連続ウェブベースの多孔質基材を供給し充填する装置を示す、図6Fの一部を示す拡大概略図である。
【図7】ある例示された実施形態による、経皮送達デバイスの個々のリザーバの内部に母材を薬剤投与するための充填システムの、等角図である。
【図8】ある例示された実施形態による、導管を通して多孔質基材中にセルロース誘導体含有組成物を薬剤投与するための方法であって、組成物が薬剤投与される前に加熱される方法を示す、フローチャートである。
【図9】ある例示された実施形態による、導管を通して多孔質基材中にセルロース誘導体含有組成物を薬剤投与するための方法であって、組成物が薬剤投与される前に加熱される方法を示す、フローチャートである。
【図10】ある例示された実施形態による、多孔質基材中にセルロース誘導体含有組成物を薬剤投与するための方法であって、組成物が導管の入口に供給される方法を示す、フローチャートである。
【図11】ある例示された実施形態による、多孔質基材中にセルロース誘導体含有組成物を薬剤投与するための方法であって、組成物を薬剤投与する速度が弁を介して規制される方法を示す、フローチャートである。
【図12】ある例示された実施形態による、多孔質基材中にセルロース誘導体含有組成物を薬剤投与するための方法であって、薬剤投与された組成物が周囲温度に戻される方法を示す、フローチャートである。
【図13A】ある例示された実施形態における、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物中に電解質を含むイオン泳動対電極溶液の温度に対して粘度をプロットしたグラフである。
【図13B】ある例示された実施形態における、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物中にリドカイン活性剤を含むイオン泳動活性電極溶液の温度に対して粘度をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の記述において、ある特定の詳細は、様々に開示された実施形態の完全な理解を得るために記述される。しかし当業者であれば、実施形態はこれら特定の詳細の1つもしくは複数を用いることなく、または、その他の方法、構成成分、材料などを用いて実施できることが理解される。その他の場合において、電圧および/または電流調整器、または、輸送中および貯蔵中に送達デバイスを保護する保護被覆材および/またはライナを含むがこれらに限定されない送達デバイスに関連する周知の構造は、実施形態の不必要な曖昧な記述を回避するために示しておらずまたは詳細に記述されていない。
【0041】
文章中に他の明示がない限り、以下に続く明細書および特許請求の範囲の全体を通して、「含む」という用語は、非限定的な包含的な意味を有するものであり、「含むが、それに限定されない」と解釈されることになる。
【0042】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」または「別の実施形態」または「いくつかの実施形態」または「ある実施形態」と記述する場合、実施形態に関連して記述される特定の対象である特徴、構造、または少なくとも1つの実施形態に含まれる特徴を意味する。したがって、本明細書の様々な場所で、「一実施形態において」または「実施形態において」または「別の実施形態において」または「いくつかの実施形態において」または「ある実施形態において」という文言が出現した場合、全てが必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または1つまたは複数の実施形態に含まれる特徴で任意の適切な手法で組み合わせることができる。
【0043】
本明細書および特許請求の範囲において用いられているように、単数形の記載は、文章中に他の明示がない限り、複数の対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、活性剤を送達するためのイオン泳動送達デバイスと言う場合は、単一種の活性剤を含むものであってもよいし、多数種の活性剤を単一のデバイスに含んでいてもよい。活性剤と言う場合は、類似体および/またはその誘導体も含むと理解される。「または」という用語は、一般に、文章中に他の明示がない限り、「および/または」を含むものとして用いられることにも留意すべきである。
【0044】
本明細書において用いられているように、活性剤の「経皮送達」という用語は、皮膚または粘膜などの生物学的界面を通した活性剤の受動的拡散または能動的輸送を意味し、この能動的輸送は、起電力および/または電流の印加から生じるものである。この意味で、「経皮送達デバイス」は、生物学的界面を通した活性剤を送達するデバイスである。「受動的経皮送達デバイス」は、活性剤を受動的に送達し、「能動的経皮送達デバイス」は、活性剤を能動的に送達する。
【0045】
本明細書で使用される「リザーバ」という用語は、要素、化合物、医薬品組成物、および活性剤などを、液体状態、固体状態、気状状態、混合状態、および/または遷移状態で保持する任意の形または機構を意味する。例えば、特に他に明示がない限り、リザーバは、要素または化合物を少なくとも一時的に保持することが可能である場合には、そのような構造によって形成された1つまたは複数のキャビティを含んでいてもよく、1つまたは複数の多孔質膜、基材、または構造;イオン交換膜、基材、または構造;半透膜、基材、または構造;および/またはゾルを含んでいてもよい。多孔質基材または構造は、様々なタイプの織物および/またはその他の繊維材料を含んでいてもよい。典型的には、リザーバは、生物学的界面にまたは生物学的界面の内部にまたは生物学的界面を通して、受動的拡散によってまたは起電力および/または電流によって、そのような薬剤を放出する前に、生物学的に活性な薬剤を保持するよう働く。リザーバは、あるいはまたは追加として、電解質を保持していてもよい。
【0046】
本明細書で使用される「活性剤」という用語は、例えば哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、魚類、およびヒトを含めた任意の宿主、動物、脊椎動物、または無脊椎動物から、生物学的応答を引き出す化合物、分子、または治療薬を指す。活性剤の例には、治療薬、医薬品、医薬(例えば、薬物、治療用化合物、および医薬用塩など)、非医薬(例えば、化粧品用物質など)、ワクチン、免疫学的薬剤、局所または全身麻酔薬または鎮痛薬、抗原またはタンパク質またはペプチド、例えばインスリンなど、化学療法薬、および/または抗腫瘍薬が含まれる。
【0047】
いくつかの実施形態において、「活性剤」という用語はさらに、活性剤だけではなく、医薬品として活性なその塩、医薬品として許容されるその塩、プロドラッグ、代謝産物、類似体、および誘導体も指す。いくつかのその他の実施形態では、活性剤は、少なくとも1種のイオン性、陽イオン性、陰イオン性、イオン化可能なおよび/または中性の治療薬および/または医薬品として許容可能なその塩を含む。さらにその他の実施形態では、活性剤は、水性媒体中で、正に帯電しかつ/または正電荷を形成することが可能な、1種または複数の「陽イオン性活性剤」を含んでいてもよい。例えば、多くの生物学的に活性な薬剤は、水性媒体中で陽イオンに容易に変換可能でありまたは正に帯電したイオンおよび対イオンに解離することができる官能基を有する。例えば、アミノ基を有する活性剤は、典型的には、固体状態のアンモニウム塩の形をとることができ、適切なpHの水性媒体中で遊離アンモニウムイオン(NH4+)に解離することができる。他の実施形態では、活性剤は、水性媒体中で負に帯電しかつ/または負電荷を形成することが可能な、1種または複数の「陰イオン活性剤」を含んでいてもよい。例えば、生物学的に活性な薬剤は、水性媒体中で陰イオンに容易に変換可能でありまたは負に帯電したイオンおよび対イオンに解離することができる、官能基を有していてもよい。その他の実施形態では、活性剤は、極性化しまたは極性化可能であってもよく、即ち、ある部分では別の部分に対して極性を示す。
【0048】
「活性剤」という用語は、受動的経皮送達デバイスからの拡散によって、またはイオン泳動中に例えば溶媒の流れにより、例えば電気浸透により運ばれることによって送達することが可能な、電気的に中性な薬剤、分子、または化合物を指してもよい。したがって、適切な活性剤の選択は、関連技術分野の当業者の知識の範囲内である。
【0049】
いくつかの実施形態では、1種または複数の活性剤は、鎮痛薬、麻酔薬、ワクチン、抗生剤、アジュバント、免疫学的アジュバント、免疫原、寛容原、アレルゲン、トール様受容体作動薬、免疫アジュバント、免疫調節薬、免疫応答剤、免疫賦活剤、特異的免疫賦活剤、非特異的免疫賦活剤、および免疫抑制剤、またはこれらの組合せから選択することができる。
【0050】
そのような活性剤の非限定的な例には、リドカイン、アルチカイン、および〜カイン種類のその他のもの;モルヒネ、ヒドロモルホン、フェンタニル、オキシコドン、ヒドロコドン、ブプレノルフィン、メタドン、および同様のオピオイド作動薬;コハク酸スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタンHCl、安息香酸リザトリプタン、リンゴ酸アルモトリプタン、コハク酸フロバトリプタン、およびその他の5−ヒドロキシトリプタミン1受容体サブタイプ作動薬;レシキモド、イミキモド、および同様のTLR7および8作動薬および拮抗薬;ドンペリドン、塩酸グラニセトロン、オンダンセトロン、およびそのような抗嘔吐薬;酒石酸ゾルピデム、および同様の睡眠導入薬;L−ドーパおよびその他の抗パーキンソン薬;アリピプラゾール、オランザピン、ケチアピン、リスペリドン、クロザピン、およびジプラシドン、ならびにその他のニューロレプチカ;エキセナチドなどの糖尿病薬;ならびに肥満症およびその他の疾患を治療するためのペプチドおよびタンパク質が含まれる。
【0051】
麻酔活性剤または鎮痛薬のその他の非限定的な例には、アムブカイン、アメトカイン、p−アミノ安息香酸イソブチル、アモラノン、アモキセカイン、アミロカイン、アプトカイン、アザカイン、ベンカイン、ベノキシナート、ベンゾカイン、N,N−ジメチルアラニルベンゾカイン、N,N−ジメチルグリシルベンゾカイン、グリシルベンゾカイン、β−アドレナリン受容体拮抗薬ベトキシカイン、ブメカイン、ブピビカイン、レボブピビカイン、ブタカイン、ブタムベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、メタブトキシカイン、カルビゾカイン、カルチカイン、セントブクリジン、セパカイン、セタカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、プソイドコカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジクロニン、エコグニン、エコゴニジン、アミノ安息香酸エチル、エチドカイン、オイプロシン、フェナルコミン、ホモカイン、ヘプタカイン、ヘキサカイン、ヘキソカイン、ヘキシルカイン、ケトカイン、ロイシノカイン、レボキサドロール、リグノカイン、ロツカイン、マルカイン、メピバカイン、メタカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタザイン、パレントキシカイン、ペンタカイン、フェナシン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、ポリカイン、プリロカイン、プラモキシン、プロカイン(Novocaine(登録商標))、ヒドロキシプロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、ピロカイン、カタカイン、リノカイン、リソカイン、ロドカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、ヒドロキシテトラカイン、トリカイン、トラペンカイン、トリカイン、トリメカイントロパコカイン、ゾラミン、医薬品として許容されるこれらの塩、およびこれらの混合物が含まれる。
【0052】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「対象」という用語は、一般に、任意の宿主、動物、脊椎動物、または無脊椎動物を指し、魚類、哺乳類、両生類、爬虫類、鳥類、特にヒトを含む。
【0053】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「生物学的界面」という用語は、皮膚および粘膜(鼻粘膜など)の両方を指す。他に特に指示しない限り、皮膚へのまたは皮膚を通した送達に関連のある全ての記述は、粘膜にも適用される。
【0054】
本明細書で使用される「有効量」または「治療上有効な量」という用語は、所望の結果を実現するための、薬剤投与時に有効な量および必要な期間にわたり有効な量を含む。医薬品を含有する組成物の有効量は、対象の病状、年齢、性別、および体重などの要因に応じて変化してよい。
【0055】
本明細書で使用される「鎮痛薬」という用語は、対象の身体の、ある領域の神経感覚を少なくし、軽くし、低減し、和らげ、または無くす薬剤を指す。いくつかの実施形態では、神経感覚は痛みに関係し、その他の態様では、神経感覚は不快感、痒み、火傷、刺激、刺すような痛み、「むずむず感」、緊張、温度の変動(熱など)、炎症、ずきずきした痛み、またはその他の神経感覚に関係する。
【0056】
本明細書で使用される「麻酔薬」という用語は、対象の身体の、ある領域での感覚の可逆的な損失をもたらす薬剤を指す。いくつかの実施形態では、麻酔薬は、対象の身体の、ある特定の領域でのみ感覚の損失をもたらす場合、「局所麻酔」と見なされる。
【0057】
関連技術分野の当業者なら、いくつかの薬剤は、薬剤投与量、送達方法、病状および治療、個々の対象の遺伝子構造を含むがこれらに限定することのない、状況およびその他の変数に応じて、鎮痛薬としても麻酔薬としても働くことができることが理解されよう。さらに、典型的にはその他の目的で使用される薬剤は、ある特定の状況下でまたは特定の条件下で局所麻酔または膜安定化特性を保有していてもよい。
【0058】
本明細書で使用される「免疫原」という用語は、免疫応答を引き出す任意の薬剤を指す。免疫原の例には、天然または合成(変性も含む。)ペプチド、タンパク質、脂質、オリゴヌクレオチド(RNA、DNAなど)、化学物質、またはその他の薬剤が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0059】
本明細書で使用される「アレルゲン」という用語は、アレルギー応答を引き出す任意の薬剤を指す。アレルゲンのいくつかの例には、化学物質および植物、薬物(抗生剤や血清など)、食物(牛乳や小麦、卵など)、細菌、ウイルス、その他の寄生虫、吸入物(塵埃、花粉、香料、煙)、および/または物理的物質(熱、光、摩擦、放射線)が含まれるが、これらに限定するものではない。本明細書で使用されるアレルゲンは、免疫原であってもよい。
【0060】
本明細書で使用される「アジュバント」という用語およびその任意の派生語は、それ自体が与えられた場合に存在するとしてもごくわずかしか直接的な影響が無い状態で、別の薬剤の作用を変化させる薬剤を指す。例えば、アジュバントは、医薬の効能もしくは効力を増大させることができ、またはアジュバントは、免疫応答を変化させまたは免疫応答に影響を及ぼすことができる。
【0061】
本明細書で使用される「ビヒクル」、「担体」、「医薬品ビヒクル」、「医薬品担体」、「医薬品として許容されるビヒクル」、または「医薬品として許容される担体」という用語は、同義に使用してもよく、これらの用語は、医薬品組成物を作製するために医薬品業界で通常用いられる、医薬品として許容される固体または液体、希釈またはカプセル封入、充填または担持薬剤を指す。ビヒクルの例には、任意の液体、ゾル、ゲル、軟膏、クリーム、溶媒、希釈液、流体軟膏ベース、ベシクル、リポソーム、ニオソーム、エタソーム、トランスフェルソーム、ビロソーム、環式オリゴ糖、非イオン性界面活性剤ベシクル、リン脂質界面活性剤ベシクル、およびミセルなどであって、対象と接触する際に使用するのに適切なものが含まれる。
【0062】
いくつかの実施形態では、医薬品ビヒクルは、医薬品として活性な薬剤を含みかつ/送達するが一般に通常なら薬理学的に不活性な組成物を、指してもよい。いくつかのその他の実施形態では、医薬品ビヒクルは、例えば創傷、さらなる創傷、または要素への曝露などの状態から施用部位を保護することによって、粘膜や皮膚などの部位に施用された場合にいくつかの治療効果を発揮することができる。したがって、いくつかの実施形態では、医薬品ビヒクルは、製剤中に薬理学的薬剤を含まない状態で、保護を行うために使用することができる。
【0063】
本明細書で使用される「正面」または「表側」という用語は、一般に、他に指示しない限り、生体の生物学的界面に最も近い要素の面または生体の生物学的界面に最も近くなるよう設計された要素の面を指す。正面または表側は、近位面もしくは近位側とも呼び、または生物学的界面に最も近いとも言う。本明細書で使用される「背面」または「裏側」という用語は、一般に、他に指示しない限り、生体の生物学的界面から最も離れた要素の面または生体の生物学的界面から最も離れるよう設計された要素の面を指す。背面または裏側は、遠位面もしくは遠位側とも呼び、生物学的界面から遠位にあるとも言う。したがって例えば、多孔質基材の近位および遠位面は、丁寧に言うと、生物学的界面に最も近い面および生物学的界面から最も離れた面である。
【0064】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「界面活性剤」という用語は、界面活性剤または湿潤剤を指す。界面活性剤は、液体、特に水の表面張力を低下させるように働き、したがって、液体をより容易に拡げることが可能である。例えば、界面活性剤含有水性組成物は、多孔質膜、基材、または構造により容易に進入し全体に拡がることができる。界面活性剤分子は、典型的には両親媒性有機分子であり、即ち親水性と疎水性の両方の基を有する分子である。界面活性剤は、空気と水の界面に配置されることによって、水性の溶液または懸濁液の表面張力を低下させる。界面活性剤は、油と水の界面に配置してもよい。
【0065】
界面活性剤は、非イオン性でもイオン性であってもよい。非イオン性界面活性剤は、イオン泳動的な方法およびデバイスの使用に特に適している。非イオン性界面活性剤の非限定的な例には、ポロキサマー、ポロキサミン、またはプルロニックとしても知られるポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー、例えばPLURONIC L 44、PLURONIC L 62、およびPOLOXAMER 188;アルキルポリエチレンオキシド;アルキルフェノールポリエチレンオキシド、例えばTRITON X−100;およびポリソルベート、例えばTWEENおよびSPANが含まれる。
【0066】
イオン性界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、または双性イオン(両性)であってもよい。イオン性界面活性剤の非限定的な例には、ドデシル硫酸ナトリウム、パーフルオロオクタノエート、パーフルオロオクタンスルホネート、ラウリルジメチルアミンオキシド、アルキルベンゼンスルホネート、脂肪酸塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、ドデシルベタイン、およびコカミドプロピルベタインが含まれる。
【0067】
界面活性剤の、別の非限定的な例には、乳化剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アセトン不溶性ホスファチド、リン脂質、両親媒性、生体適合性界面活性剤、エーテル脂質、フルオロ脂質、ポリヒドロキシル脂質、ポリマー化リポソーム、レシチン、水素化レシチン、天然に生ずるレシチン、卵レシチン、水素化卵レシチン、大豆レシチン、水素化大豆レシチン、植物レシチン、ソルビタンレシチン、ソルビタントモノエステル、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ソルビタンモノステアレート−パルミテート、ソルビタンセクシキオレエート、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ジアシルグリセロール、ガングリオシド、グリセロリン脂質、リソリン脂質混合鎖リン脂質、ペグ化リン脂質、ホスファチジン酸、ホソファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスホコリン、ホスホエタノールアミン、ホスホグリセロール、ホスホセリン、フィトスフィンゴシン、およびスフィンゴシンなど、またはこれらの組合せが含まれる。
【0068】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「セルロースポリマー」という用語は、セルロース分子をその主成分として有するポリマーを指す。セルロースポリマーには、例えば、変性セルロース、またはセルロース類似体もしくは誘導体などが含まれる。セルロースポリマーは、セルロースエーテルまたはセルロースエステルを含んでいてもよい。セルロースエーテルには、アルキルセルロースエーテルまたは変性アルキルセルロースエーテル、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシメチルセルロースなどが含まれる。セルロースエーテルには、例えば、酢酸セルロースまたは三酢酸セルロースが含まれる。セルロースポリマーには、カルボキシメチルセルロースなどのイオン性セルロースエーテル、またはニトロセルロースなどのイオン性セルロースエステルを含めてもよい。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「粘度」という用語は、剪断応力と呼ばれ、即ち流体の表面に対して接線方向にまたは平行に加えられた応力である、加えられた力の影響下で、流体が流れに抵抗する程度を指す。言い換えれば、粘度は、流体内の分子の引き合いによって引き起こされた、流体の内部摩擦の尺度である。流体の2つの平行な面が、互いに対して移動する速度を、剪断速度と呼ぶ。粘度の基本単位は、剪断応力、即ち必要とされる力を、得られる剪断速度、即ち生成された速度で割ることによって計算される、ポアズ(100センチポアズ)である。粘度は、粘度計を使用して測定される。高粘性流体は、低粘性流体を移動させるのに必要な値よりも、所与の流れ、または剪断速度を生成するのにより大きな力または剪断応力を必要とする。粘度は流体内の分子の引き合いに関係するので、流体の組成、流れの性質、粘度計の特性および動作パラメータは、測定される粘度に影響を及ぼす可能性がある。例えば、極端な剪断条件下では、測定された粘度は、粘度計の製造業者によって一般に推奨される条件下で測定された場合よりも、著しく変化する可能性がある。
【0070】
本明細書に示される見出しは、単なる便宜上のものであり、実施形態の範囲または意味を限定するものではない。
【0071】
図1、2A、および2Bは、受動的経皮送達デバイス10aの例示的な実施形態を示す。いくつかの実施形態では、送達デバイス10aは、1種または複数の治療用活性剤を、受動的拡散を介して対象の生物学的界面に経皮的に送達するよう構成されている。この例示された実施形態における送達デバイス10aは、対向する面13aおよび15aを有する裏打ち基材12aを含む。任意選択のベース層14aは、裏打ち基材12aの面13a上に配置および/または形成されている。活性剤層16aは、ベース層14aの裏側に配置および/または形成されている。裏打ち層12a、任意選択のベース層14a、および活性剤層16aは、送達デバイス10aが対象の輪郭に順応することができるよう、柔軟な材料から形成されていてもよい。活性剤層16aは、活性剤を含有する多孔質基材を含んでいてもよく、高粘性ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)含有ゾルなどの、高粘性液体またはゾルをさらに含んでいてもよい。
【0072】
図1は、受動的経皮送達デバイス10aの等角図を示す。送達デバイス10aは、対象(図示せず。)の表面に配置され、活性剤層16aが対象に最近接し、裏打ち基材12aが対象から遠位にある。裏打ち基材12aは、送達デバイス10aを対象に付着できるように、またその表面に接着できるように、接着剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、裏打ち材12aが送達デバイス10aを包んでいる。裏打ち基材の非限定的な例には、3M(商標)CoTran(商標)裏打ち材、3M(商標)CoTran(商標)不織裏打ち材、および3M(商標)Scotchpak(商標)裏打ち材が含まれる。
【0073】
任意選択のベース層14aは、例えばポリマーおよび熱可塑性ポリマー樹脂(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート))などを含めた、任意の適切な材料から構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、任意選択のベース層14aおよび活性剤層16aは、裏打ち基材12aのかなりの部分を覆っていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、裏打ち基材12a、任意選択のベース層14a、および活性剤層16aは、ディスク形状であってもよく、裏打ち基材12aは、約15ミリメートル(mm)の直径を有していてもよく、任意選択のベース層14aおよび活性剤層16aは、それぞれの直径が約12mmであってもよい。いくつかの実施形態では、裏打ち基材12a、ベース層14a、および活性剤層16aのサイズは、より大きくてもより小さくてもよく、いくつかの実施形態では、裏打ち基材12a、ベース層14a、および活性剤層16aの間の相対的なサイズの差は、図1、2A、および2Bに示されるものと異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、活性剤層16aのサイズは、とりわけ、送達デバイス10aによって送達される1種もしくは複数の活性剤、および/または1種もしくは複数の活性剤が送達デバイス10aによって送達される速度に応じて、変化してもよい。典型的には、裏打ち基材12aおよびベース層14aは、裏打ち基材12aおよびベース層14aのサイズが少なくとも活性剤層16aのサイズになるように、活性剤層16aに対してサイズ決めされる。
【0074】
受動的送達デバイスは、上記にて例示されたものと同様のデバイスに限定されず、多孔質基材を有しかつ生物学的界面に直接または間接的に付着されるよう設計された、パッドや包帯(接着剤を含むものまたは含まないもの)などの任意のデバイスを含んでいてもよい。任意のそのようなデバイスは、本明細書に記述される方法により、薬物含有組成物などの組成物で充填できることが、有利である。
【0075】
図3および4は、イオン泳動、エレクトロポレーション、電気泳動、および/または電気浸透を介して、対象(図示せず。)に1種または複数の活性剤を送達するための、例示的な能動的経皮送達システム100を示す。便宜上、能動的経皮送達システム100は、一般にイオン泳動システムとして論じるが、実際には、能動的送達の正確な形態は、重要ではなくまたは見分けられるものでもない。例示される実施形態のイオン泳動システム100は、活性および対電極アセンブリ112、114のそれぞれと、携帯用電源システム110とを含んだイオン泳動デバイス102を含む。イオン泳動デバイス102の全体的な形状は、例えば図3および4に示されるものを含めた様々な幾何学的な形をとってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、活性電極アセンブリ112は、正電極アセンブリの形をとり、対電極アセンブリ114は負電極アセンブリの形をとる。あるいは、活性電極アセンブリ112は、負電極アセンブリの形をとってもよく、対電極アセンブリ114は、正電極アセンブリの形をとってもよい。活性および対電極アセンブリ112、114は、活性電極アセンブリ112に含有される活性剤を、イオン泳動を介して生物学的界面に供給するために、携帯用電源システム110に電気的に結合可能である。
【0077】
経皮送達デバイス102は、任意選択で裏打ち材119を含んでいてもよい。いくつかの実施形態で、裏打ち材119は、イオン泳動デバイス102を包む。いくつかのその他の実施形態では、裏打ち材119は、経皮送達デバイス102を対象の生物学的界面に物理的に結合する。いくつかの実施形態では、経皮送達システム102は、対象の生物学的界面に対して、1種または複数の治療用活性剤の経皮送達をもたらすよう構成される。
【0078】
図5Aおよび5Bは、例示的なイオン泳動経皮送達デバイスの概略図を示し、デバイスの例示的な内部要素を示している。特定の例示的な実施形態である図5Aは、イオン泳動デバイス201を示し、このデバイスは、(1)第1の極性の活性電極211、第1の極性を有する活性剤を保持するための活性剤リザーバ214、および第1の極性の電荷を有する任意選択のイオン交換膜215を有する活性電極アセンブリ210と、(2)第1の極性とは反対の第2の極性の対電極221、および対電極221に接触する電解質溶液を保持するための電解質リザーバ222を有する対電極アセンブリ220と、(3)活性電極211および対電極221に接続された端子を有する電源230とを含む。少なくとも1つの実施形態において、デバイス200の動作中、第1の極性および第2の極性を有する電源230の極は、それぞれ活性電極アセンブリ210および対電極アセンブリ220に接続されており、デバイス200は、対象の生物学的界面250に接触するようになり、電源230の起動により、第1の極性の活性剤が活性剤リザーバ214から生物学的界面250にかつ生物学的界面250の内部に移動する。ある特定の、そのような実施形態では、デバイス201は、生物学的界面250に接触する任意選択のイオン交換膜215を含んでいてもよく、生物学的界面250から活性電極アセンブリ210への生物学的対イオンの移動を実質的に阻止するよう働くことができ、それによって、活性剤の送達効率が改善される。
【0079】
図5Bは、デバイス201に示されるものの他の要素も含む、別の例示的な実施形態によるイオン泳動デバイス202を示す。デバイス202はさらに、活性電極アセンブリ210内に、活性電極211に接触する電解質溶液を保持するための電解質リザーバ212と、活性剤リザーバ214とを含む。ある実施形態では、第2の極性を有する任意選択の第2のイオン交換膜213を、電解質リザーバ212の表側と活性剤リザーバ214の裏側との間に位置決めしてもよい。図5Bの特定の例示的な実施形態では、デバイス202はさらに、対電極アセンブリ220の要素として、別の電解質リザーバ224と、2つの任意選択のイオン交換膜223、225を含み、膜223は、電解質リザーバ222および224の間に位置決めされており、膜225は、電解質リザーバ224と生物学的界面250との間に位置決めされている。
【0080】
上述の経皮送達デバイスなどのデバイス内のリザーバは、例えば、活性剤および/または電解質など、ならびにその他の成分または添加物を含有する、高粘性ポリマー溶液を含めたゾル様材料が分散される、多孔質基材または膜を含んでいてもよい。そのようなリザーバは、使用の受動的または能動的条件下での、活性剤および/または電解質の一貫した均一な移動をもたらすのに、特に有用と考えられる。ゾル様材料は、有機高分子の半固体懸濁液または溶液を含んでいてもよい。溶液は、高粘性であってもよい。そのような有機高分子の例には、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロースなど)、ゲル化剤(カルボキシポリアルキレンなど)、親水性ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、およびポリビニルアルコールなど)、ゼラチン、キサンタンガム、およびアルギン酸ナトリウムなど、またはこれらの組合せが含まれる。
【0081】
セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルセルロースは、活性剤および/または電解質、ならびにその他の化合物または添加物を安定に保持するための媒体を提供するための、多孔質基材または膜全体にわたる分散作用に特に有用な材料と考えられる。しかし、本明細書のその他の部分で論じられるように、均一な濃度の活性剤および/または電解質を含有する安定なゾルまたはセルロースポリマー組成物が多孔質基材全体に分散される、多孔質リザーバ構造を設けるのに、課題がある。
【0082】
均一な濃度の活性剤および/または電解質を含有するセルロースポリマー組成物が全体に分散されている、多孔質基材を調製する試みを行うことができる2つの手法は、以下の通りである。
【0083】
本明細書に記述されるデバイスおよび関連するデバイスのリザーバの作製に適した多孔質基材を充填する1つの手法では、活性剤および/または電解質、ならびにその他の(1種または複数の)化合物および/または(1つまたは複数の)手段を、ポリマー溶液の調製中に(1種または複数の)セルロースポリマー成分と共に溶液に混合してもよい。したがって(1種または複数の)ポリマー成分の解離によって高粘性になるセルロースポリマー溶液は、十分分散された均一濃度の活性剤および/または電解質、ならびにその他の化合物および/または手段を含有することができる。しかし、そのような高粘性ポリマー溶液を多孔質基材中に薬剤投与しようとすると、粘性溶液は、辛うじて薬剤投与することができるだけであり、さらに薬剤投与する場合、多孔質基材の内部および全体に容易に流動することができず、したがって、活性剤および/または電解質を含有するセルロースポリマーの不均一分散溶液が入ったデバイスリザーバがもたらされる。したがって、活性剤の経皮送達に使用する場合、このように充填された多孔質基材を含むリザーバを有するデバイスは、リザーバの内部での不規則なイオンの流れを示す傾向があり、したがって、対象への活性剤の送達が不規則になる。リザーバの作製を目的とした、多孔質基材を充填するための高粘性ポリマー溶液を使用する際のそのような課題は、充填母材が、本明細書の他の部分で明示されたものを含むゾル形成化合物、またはヒドロゲルなどのゲルを含む場合にも、遭遇する可能性がある。
【0084】
本明細書に記述されるデバイスおよび関連あるデバイスのリザーバの作製に使用される、多孔質基材を充填するための別の可能性ある手法では、高粘性セルロースポリマー溶液を、活性剤および/または電解質、ならびにその他の化合物および/または添加物を用いずに、調製してもよい。次いで粘性ポリマー溶液を、上述のように、多孔質基材中に薬剤投与し、その後、乾燥してもよい。次いでこの手法では、活性剤および/または電解質、ならびに(1種または複数の)その他の化合物および/または(1種または複数の)添加物の溶液を、多孔質基材中に導入することにより、乾燥したポリマーを再水和する。しかしこの手法は、上述の手法の課題を克服しないだけではなく、実際には乾燥したポリマー母材の再水和の効率および均一性に関するさらなる不確定さを増大させる。
【0085】
重要なことは、これらの手法のいずれも、連続ウェブベースの製造操作を介して適切な生成物を生成するのに有用ではないことである。そのような操作は、典型的には1つまたは複数の供給ロールから薬剤投与されかつ巻取りロールに受容される、材料の1つまたは複数のウェブを用いる。多数の製造操作は、多孔質基材ウェブが供給ロールから巻取りロールに移動するときに行ってもよい。例えば、様々な層をウェブ型多孔質基材に付加し、物質を基材中に導入し、切断を行ってもよい(例えば、打抜き、孔あけなど)。連続ウェブベースの製造は、薬物含有包帯材料などの任意の用途に向けた充填済み多孔質基材と、経皮送達デバイスなどの受動的および能動的デバイスとの、費用効果のある生産を行うための最も将来性ある手法である。連続ウェブ製造の重要な態様は、速度である。製造動作のそれぞれは、典型的には、ウェブが設備またはワークステーションの様々な部分を通過する間に行われる。したがって、リザーバ内に粘性材料を素早く導入することができないと、製造プロセスの処理量に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0086】
上述の手法の代替例、多孔質リザーバ基材に充填するためのさらに予期せぬほど有利な機会は、セルロースポリマーの溶解度の温度および濃度依存と、水性ポリマー溶液または懸濁液の対応する粘度特性とに関係する。
【0087】
上記にて示されるように、セルロースポリマーには、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシメチルセルロースが含まれるが、これらに限定するものではない。これらのそれぞれは、セルロースのヒドロキシル基のいくつかが置換されているセルロースエーテル誘導体である。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)では、セルロースのヒドロキシル基のいくつかがヒドロキシプロピル化されており、したがって、−OCH2CH(OH)CH3基を有するセルロース分子が得られる。ヒドロキシエチルセルロース(HEC)では、セルロースのヒドロキシル基のいくつかがヒドロキシエチル化されており、したがって、−OCH2CH2OHを有するセルロース分子が得られる。上記にて列挙されたその他の代表的なセルロース誘導体は、ヒドロキシプロピル化メチルセルロースおよびヒドロキシメチル化セルロースにそれぞれ該当する。
【0088】
セルロースは水に溶解しないが、HPCは、約30〜40℃の範囲の温度よりも低い温度で容易に溶解するようになり、温度がこの範囲内を上昇し高くなるにつれて、溶解度は低下し、凝集体が形成されるようになる。上記にて論じたように、HPCの水溶液は高粘性であり、したがって、例えばパッド、包帯、リザーバ、および/または経皮送達デバイスを生産することが意図される多孔質基材に薬剤投与し、この多孔質基材全体に分散させることが難しい。しかし、溶解度が低下しかつ凝集体が形成され始めるときにHPC溶液の温度を上昇させると、ある実施形態では、HPC溶液が懸濁液に変換され、粘度が著しく降下する。ある特定の、そのような実施形態では、温度が上昇しそれに対応して粘度が低下すると、HPC懸濁液は、多孔質基材内により容易に薬剤投与されかつ多孔質基材全体に分散することができる。適切に上昇したレベルで温度が維持される、ある実施形態では、HPCを懸濁液中に保持することができ、粘度は、活性剤および/または電解質、ならびに任意のその他の化合物および/または添加物を含有するセルロースポリマー懸濁液の薬剤投与および分散が可能になるよう十分低く保たれる。そのような実施形態では、ポリマー懸濁液の温度が降下するにつれ、ポリマーは再び溶解することができ、したがって材料は多孔質基材全体に分散した状態に保たれ、リザーバ内に様々な成分を保持するために高粘性媒体に再びなることができる。
【0089】
上述のプロセスでは、温度が上昇するにつれ、均一な微細に分散した凝集体の生成、したがって流体の粘度の低下をもたらす生成では、流体の内部および全体への効率的な熱伝達と、流体が加熱されるときの効果的な混合とが必要とされる。
【0090】
ある実施形態では、本明細書に記述されるように、受動的および能動的送達デバイスの両方の様々なリザーバの多孔質基材全体に分散された、高粘性セルロースポリマー組成物の均一性は、生物学的界面へのおよび生物学的界面を通した活性剤の一貫した送達に好ましい。さらに、ある実施形態において、イオン泳動デバイスなどの起電力または電流を印加することによって活性剤が生物学的界面に送達されるデバイスでは、様々な電解質リザーバの多孔質基材全体にわたるポリマー組成物の均一性は、電解質イオンの一貫した流れにも好ましく、したがって、デバイスの効率的な動作および活性剤の送達を助けることができる。上述のようないくつかの実施形態では、高粘性セルロースポリマー溶液の均一性を維持するためには、温度を上昇させる場合、そのように形成された凝集体が、より大きな凝集体または沈殿物ではなく微細に分割された凝集体となるように、凝集を制御することが有利と考えられる。そのような実施形態では、そのような微細に分割された凝集体のより容易な溶解によって、懸濁液の温度が低下したときに、セルロースポリマー、活性剤、および必要に応じて電解質および/またはその他の化合物および/または添加物のより均一な濃度をもたらすことができる。これに関し、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)をヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の溶液に適切な比で組み込むことによって、高粘度液体またはゾルの温度を上昇させることから得られる低粘度懸濁液は、HECが存在しない場合よりも微細に分割された凝集体を含むことが観察されている。そのような実施形態では、そのように形成された懸濁液が多孔質基材中に薬剤投与されかつ多孔質基材全体に分散され、次いで温度を降下させた場合、この微細に分割されたHPC/HEC懸濁液は再溶解し、HECが存在しない場合に得られるよりも、能動的または受動的送達デバイス内により均一な分布の様々な成分を含有する高粘性媒体を形成する。そのような手法は、多孔質基材に導入するのに要する時間を有利に短縮することもできる。ある実施形態では、そのようなセルロースポリマー組成物は、さらにまたは代替として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメチルセルロースを含んでいてもよい。
【0091】
上記考察に鑑み、活性剤および/または電解質、ならびにその他の化合物または添加物を有するセルロースポリマーの溶液または懸濁液を、本明細書で論じられる多孔質基材中に薬剤投与しかつ多孔質基材全体にわたって分散させることができるシステム、方法、およびデバイスを有することが、有利となり得ることを容易に理解することができる。そのようなシステム、方法、およびデバイスは、充填済み多孔質リザーバ構造の製造に、特に連続ウェブベースの製造プロセスに使用されることが、特に有利である。
【0092】
これに関し、対象の生物学的界面におよび/または生物学的界面を通して活性剤を受動的または能動的に送達するための、経皮送達デバイスのリザーバ要素に見出されるような多孔質リザーバ構造に、効果的に充填するシステムおよび方法が、本明細書に開示されている。そのようなデバイスのリザーバ要素の充填に関して例示してきたが、開示されたシステムおよび方法は、任意のタイプの多孔質基材、例えばパッドや包帯などの効果的な充填のために使用できることが、容易に明らかにされよう。さらに、そのようなデバイスに充填するために連続ウェブベースのプロセスを利用する実施形態によって例示してきたが、開示されたシステムおよび方法は、手作業による多孔質構造の充填でまたはその他のタイプの自動化プロセスによって使用できることが、容易に明らかにされよう。
【0093】
ある例示された実施形態において、図6Aは、多孔質基材中に組成物を薬剤投与するのに適した例示的なシステム400を示す。特に、例示的なシステム400は、高粘度HPCベースの液体もしくはゾル組成物、またはその成分を、連続ウェブベースのプロセスによって供給されかつリザーバ材料としての使用に適した多孔質基材中に薬剤投与するのに使用してもよい。システム400は、入口408および薬剤投与出口452を有する導管402を含み、導管402はさらに、第1の部分410および第2の部分431を有しており、第1の部分410は、入口408と第2の部分431との間に位置決めされ、第2の部分431は第1の部分410と薬剤投与出口452との間に位置決めされている。システム400はさらに、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物401を保持する薬剤投与リザーバ406と、第1の加熱器412aと、任意選択の第1の混合器414aと、薬剤投与弁440とを含む。薬剤投与リザーバ406はさらに、入口404および出口407を含む。薬剤投与リザーバ406の入口404は、例えば、薬剤投与リザーバ406に、送達管429を介して供給された高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を充填するのに使用してもよい。入口404はさらに、圧力配管427を介して圧力源に、例えばポンプ、ヘッド(図示せず。)に接続されていてもよく、薬剤投与リザーバ406の内容物を導管402の内部におよび導管402を通して推進させるよう、薬剤投与リザーバ406の内容物に圧力を加えるのに使用してもよい。組成物入口429から組成物を送達するのか、または圧力入口427からリザーバ入口404を介して薬剤投与リザーバ406に圧力を加えるのかは、入口弁430の動作によって選択される。入口弁430の動作は、入口弁制御器426によって制御される。入口弁制御器426の動作は、マスターシステム制御器424の出力側423からのシグナルによって、制御することができる。マスターシステム制御器424から適切なシグナルを受信すると、入口弁430は、圧力を供給するように、または組成物を供給するように、またはどちらも供給しないように(即ち、オフ位置)位置決めされる。入口制御器426は、代わりに、リザーバレベルセンサ428からのシグナルに応答して動作することができる。例えば、薬剤投与リザーバ406の組成物レベルが低いことを示すリザーバレベルセンサ428からのシグナルは、薬剤投与リザーバ406に再充填するために組成物を供給するよう、入口弁430を位置決めすることができる。
【0094】
ある実施形態では、以下にさらに論じるように、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物401を、いくつかのタイプの定量ポンプ(図6D参照)、例えば容積式ポンプを介して導管402に直接供給することができる。そのようなポンプは、高粘性液体または組成物401を、入口408を介して導管402に制御可能に供給することができ、したがって、リザーバ406の代わりをすることができる。そのようなポンプは、手動でまたはマスターシステム制御器424からのシグナルによって、操作することができる。
【0095】
例示的なシステム400では、第1の加熱器412aおよび第1の混合器414aは、導管の第1の部分410に位置決めされる。第1の加熱器412aおよび第1の混合器414aは、任意選択で第1の加熱器/混合器ユニット422内に含めてもよい。第1の加熱器412aおよび第1の混合器414aは、第1の加熱器を総称的に412で表し第1の混合器を総称的に414で表して以下にさらに述べるように(図6Bおよび6C参照)、システム400内にまたは加熱器/混合器ユニット422内に、個別の構成要素としてまたは互いに一体的に関連付けられた状態で存在していてもよい。第1の混合器414は、静止または動的混合器であってもよい。ある実施形態では、以下にさらに論じるように、混合器は、導管402が細い直径のキャピラリー配管である場合には、必ずしもシステム内に無くてもよい。混合器が存在しない場合、混合は、配管の細い直径内で流体を流動させることだけで、そのような配管内で行ってもよい。さらに、配管の細い直径は、流動組成物412全体の効率的な熱交換を可能にすることができる。システム400は、図示されるように、第1の加熱器412の温度を規制する第1の温度の制御器420を含んでいてもよく、任意選択で、作業者が第1の加熱器412および/または導管402の内容物の温度をモニタできるよう、計器(図示せず。)を含んでいてもよい。システム400のいくつかの実施形態は、温度および/または圧力を測定するのに、温度センサ416(例えば、熱電対、抵抗温度デバイス、サーミスタ、赤外線放射器、バイメタルデバイス、液体膨張デバイス、および/または帯電状態デバイスなど)、および/または圧力センサ418(絶対または差圧式変換器)をそれぞれ用いてもよく、適切なシグナルを温度制御器420に直接供給し、またはマスターシステム制御器424(例えば、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレー、または特定用途向け集積回路)に供給し、それによって、シグナル(未処理のまたは処理済みの)を温度制御器420に供給する。マスターシステム制御器424は、シグナルを受信する入力側425と、シグナルを送信する出力側423を有していてもよい。マスターシステム制御器424の入力側425で受信したシグナルは、温度センサ416および/または圧力センサ418を含むシステム内の様々なセンサから生じるものであってもよい。マスターシステム制御器424の出力側423から送信されたシグナルは、入力側425で受信されたシグナルに応答してもよく、かつ/またはシステムソフトウェアもしくはファームウェアによって提供されまたはシステムハードウェアに接続された命令から得てもよく、かつ/または作業者による手作業で提供された命令から得てもよい。混合器414は、動的混合器の場合、マスターシステム制御器424からのシグナルの制御下にあってもよい。
【0096】
例示的なシステム400では、薬剤投与弁440は、導管402の第2の部分431で位置決めされる。導管402の第2の部分431には、第2の加熱器436と、任意選択で第2の混合器438も位置決めされる。図6Aの例示的な実施形態では、第2の加熱器436は、薬剤投与弁440の前に位置決めされ、任意選択の混合器438は、第2の加熱器436と薬剤投与弁440との間に位置決めされる。薬剤投与弁440、第2の加熱器436、および第2の混合器438の少なくとも2つは、任意選択で、弁/加熱器/混合器ユニット442内に、個別の構成要素としてまたは互いに一体的に関連付けられた状態で、一緒に含めてもよい。例えば単一の装置は、その全てが個別に制御可能である薬剤投与弁440、第2の加熱器436、および第2の混合器438(静止または動的)を含有していてもよい。システム400は、導管402の薬剤投与出口452から多孔質基材466への流れを規制する、薬剤投与弁制御器450を含む。多孔質基材466は、概略的に示されるように、連続ウェブベースのプロセスによって多孔質基材466に供給するウェブベースの製造システム460を使用して、システム400の薬剤投与出口452から組成物401を受容するよう位置決めされていてもよい。システム400はさらに、第2の加熱器436の温度を規制するための第2の温度制御器446を含み、任意選択で、作業者が第2の加熱器436および/または導管402の内容物の温度をモニタできるよう、計器(図示せず。)を含んでいてもよい。システム400のいくつかの実施形態は、温度および/または圧力を測定するのに、第2の温度センサ432(例えば、熱電対、抵抗温度デバイス、サーミスタ、赤外線放射器、バイメタルデバイス、液体膨張デバイス、および/または帯電状態デバイスなど)、および/または第2の圧力センサ434(絶対または差圧式変換器)をそれぞれ用いてもよく、適切なシグナルを温度制御器446に直接供給し、またはマスターシステム制御器424(例えば、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレー、または特定用途向け集積回路)に供給し、それによって、シグナル(未処理のまたは処理済みの)を温度制御器446に供給する。薬剤投与弁制御器450は、マスターシステム制御器424から受信したシグナルに応答しで動作する。そのようなシグナルは、様々なシステムセンサ、特に第2の温度センサ432および/または第2の圧力センサ434からマスターシステム制御器424への入力によって得ることができる。ある実施形態では、シグナルは、第2の温度制御器446から薬剤投与弁制御器450によって受信することができ、これは、例えば第2の温度センサ432および/または第2の圧力センサ434から第2の温度制御器446への入力を示していると考えられる。
【0097】
図6Aに例示される薬剤投与システム400の実施形態は、システムの要素、特に位置を示すが、関連技術分野の当業者なら、システムの設計または動作にある特定の利点をもたらすように、ある例示された要素を異ならせて位置決めしてもよいことが容易に理解されよう。図示されるように、例えば第2の温度センサ432および第2の圧力センサ434は、多孔質基材466に薬剤投与する前に、組成物の温度および/または粘度のインジケータとして、薬剤投与弁440と導管402の薬剤投与出口452との間に有利に位置決めすることができる。
【0098】
図6Aの例示的な薬剤投与システム400では、組成物401が、連続ウェブベースのプロセスによって、導管402の薬剤投与出口452から多孔質基材466中に薬剤投与される。この単純化された製造システム460の概略図において、多孔質基材466は、供給ローラ462から供給され、巻取りローラ464によって巻き取られる。製造システム460の動作は、マスターシステム制御器424の制御下にあると考えられる製造システム制御器448の制御下にある。あるいは、製造システム制御器448は、マスターシステム制御器424による制御から独立して、製造システム460を動作させることができる。製造システム460は、そのいくつかが以下に論じられる1つまたは複数のその他の態様を含んでいてもよい。
【0099】
導管402を通した組成物401の流れは、圧力源(図示せず。)に接続された入口弁427を介してリザーバ406が加圧されるように、入口弁430を作動させることによって生じる。圧力源は、加圧ガス、様々なポンプのいずれか、または単にある量のヘッドであってもよい。弁430は、適宜、マスターシステム制御器424の制御下で自動的に、または手動で動作させてもよい。
【0100】
図6Bおよび6Cに示される図6Aのある実施形態は、導管402を通して内容物を移送中に、導管402の加熱された内容物を混合する混合器414を示す。図6Bでは、混合器414bは、加熱器412bとは別であることが示されている。そのような実施形態では、混合器414bは、加熱器412bによって内容物を加熱した後に導管402の内容物を混合し、加熱された内容物を、加熱器412bから出て行く導管の部分を介して移送するように働く。図6Cの実施形態では、混合器414cは、加熱器412cの一体部分としてまたは加熱器412c内に含有されたものとして図示されている。そのような実施形態では、混合器414cは、加熱器412cによる内容物の加熱中に導管402の内容物を混合し、加熱器412c内に含有される導管の部分を介して、加熱された内容物を移送する。図6Bおよび6Cに示されるような実施形態では、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成成分、および組成物401のその他の成分の加熱および移送中に、混合器414b、414cが、十分に混合された成分の均一溶液および/または懸濁液を生成する。
【0101】
様々な実施形態において、混合器414は、組成物401の混合器414通過中に組成物401を混合する内部構造を有するものを含めた、様々な静止混合デバイスのいずれかであってもよい。ある特定のその他の実施形態では、混合器414は、混合器414内を流れる間に組成物401を混合するよう制御可能に移動しまたは振動させることができる内部構造を有するようなものも含めた、様々な動的混合器のいずれかであってもよい。動的混合デバイスによる混合は、手動でまたは自動的に制御することができる。
【0102】
図6Dは、高粘性液体、ゾル、またはゾル生成組成物を導管402に供給する定量ポンプ492と、導管402を通した内容物の移送中に導管402の内容物を混合する2つの混合器414d、414eを示す。定量ポンプ492は、高粘性液体、ゾル、ゾル生成組成物を導管402の入口408に供給するための、図6Aの圧力入口427および薬剤投与リザーバ406の組合せの代替例として、働くことができる。高粘性液体、ゾル、またはゾル生成組成物は、入口490を介して定量ポンプ492に供給され、次いで定量ポンプ492により、入口408を介して導管402に供給される。導管402の内容物は、入口408から導管402を介して混合器414d内を流れる。混合器414dは、導管402の内容物を加熱する前に導管402の内容物が混合されるよう、システム400内に位置決めすることができる。導管402の混合された内容物は、任意選択の弁494内を流れる。弁494は、存在する場合、導管402の混合済み内容物の一部または全てを導管496を介して定量ポンプ492に戻すように設定することができ、例えば、さらに混合するために混合器414dに再び送達されるように設定することができる。弁494が存在せず、または混合器414dから元の定量ポンプ492に導管402の混合済み内容物を送達するよう構成されておらずもしくは設定されていない場合、導管402の混合済み内容物は、混合器414dから混合器414eに送達される。ある実施形態では、混合器414eは、加熱器412dによって加熱することができる。例えば、ある特定のそのような実施形態では、混合器414eは、加熱ブロックなど、加熱器内に位置決めすることができる。その他の実施形態では、加熱器412dは、混合器414eによって導管402の内容物を混合する前または後に導管402の内容物が加熱されるよう、位置決めしてもよい。任意のそのような実施形態では、導管402の、加熱された混合済み内容物が、薬剤投与弁440に流れる。弁440は、加熱されていてもよい。例えば弁440は、加熱ブロックなど、第2の加熱器436aに嵌め込まれていてもよい。加熱器436aは、例えば、図6Aに概略的に示されるような制御システムによって、温度制御されていてもよい。本明細書で加熱器436または第2の加熱器436と言う場合はいずれも、文章中に他の明示がない限り、第2の加熱器436aを含むことが理解されよう。薬剤投与弁440は、薬剤投与出口452を介して、導管402の混合され加熱された内容物を薬剤投与するように設定されていてもよい。図6Dに示される薬剤投与システムの、ある実施形態では、混合器414dは静止混合器であってもよく、混合器414eは動的混合器であってもよい。図6Dの、ある実施形態では、システムの制御および操作は、図6Aで提示された制御プロセスのいくつかによって行うことができる。例えば、圧力モニタおよび/または圧力変換器は、導管402内の様々な部位で組成物401の温度および/または圧力がモニタされるよう、位置決めすることができる。
【0103】
図6Aのその他の実施形態を、図6Eに示す。
【0104】
本明細書に記述されるシステムの、ある実施形態では、上記にて具体化されたように、(1種または複数の)混合器は必ずしも必要ではないと考えられる。上記にて論じたように、混合器の1つまたは複数の混合機能は、代替として、細い直径のキャピラリー管を導管402として使用することにより、提供することができる。そのような管を通した流体流動中、流体の効果的な混合と、壁面から流体へさらに流体内部への効率的な熱交換は、管の細い直径によって行うことができる。
【0105】
混合は、静止もしくは動的混合器を使用するとしてもまたは細い直径の配管内に流体を流すだけであるとしても、コジットの壁面を介して流体全体にわたって加熱器からの効率的な熱交換を行うのに必要である。混合と効率的な熱交換との組合せは、薬剤投与するために微細に分散した凝集体を有する均一な組成物を、有利に提供する。効果的な混合は、望ましくないサイズまたは特性の凝集体の形成をもたらす可能性がある、流体内、特に導管の内壁に対して過剰な熱がある領域での、温度勾配の発生を制限する。
【0106】
414、438として上記にて具体化されたような、または加熱器/混合器ユニット422、442内のような、混合器は、静止状態で、または動的に、または細い直径のキャピラリー管内に流すことによって、混合することができる。混合器または加熱器/混合器ユニットは、異なる混合形態の組合せをもたらすための混合器構成要素を含んでいてもよい。例えば、混合器は、2つの構成要素、即ち一方は静止混合器であり他方は動的混合器であるものを含んでいてもよい。そのようなデバイスでは、流体は、まず静止混合器に進入し、その後、動的混合器に進入してもよい。あるいは、流体は、まず動的混合器に進入し、その後、静止混合器に進入してもよい。さらに、混合は、静止混合器および/または動的混合器と、キャピラリー配管を通る流れを介した流体混合との組合せを含んでいてもよい。
【0107】
図6Aのその他の例示された実施形態において、図6E、6F、および6Gは、多孔質基材に高粘性HPC含有組成物を充填しかつ経皮送達デバイスまたはその構成要素を生成するための、連続ウェブベースのプロセスを実施するのに適切な、ウェブベースの製造システム460の特定の態様をより詳細に示す。
【0108】
図6Eは、受動的経皮送達デバイスまたはその多孔質リザーバ構成要素を生産するのに特に適していると考えられる、連続ウェブベースの製造システム460の実施形態を示す。ウェブ型多孔質基材466は、ウェブ供給ロール462から供給される。単なる充填済み多孔質リザーバ構成要素ではなく、受動的経皮送達デバイスを生産する場合、裏打ち供給ロール470は、ウェブベースの多孔質基材466の遠位面、即ち、使用中は対象の皮膚に接触することが意図される面とは反対側の面に付着させるための、裏打ち材料472を供給することができる。裏打ち材料472は、皮膚などの生物学的界面に接触することが意図されない経皮送達デバイスの面で使用するのに適した、任意の材料でよい。例えば、そのような裏打ち材料は、使用中にデバイスリザーバの遠位面を保護することができる、様々な不活性の、柔軟な、ポリマー材料のいずれかであってもよい。裏打ち材料472の近位面は、裏打ち材料の近位面を多孔質基材466の遠位面に固定することができる、不活性接着剤層(図示せず。)を含んでいてもよい。多孔質基材466および裏打ち材料472は、ローラ(例えば、ピンチローラ)を通して供給されて、2種の材料を接触させる。組成物401は、薬剤投与出口462から多孔質基材466の表面に付着される。多孔質基材466の遠位面が裏打ち材料472に結合される場合、組成物401は、裏打ち材料472を有する面とは反対の多孔質基材466の面に付着される。多孔質基材466が裏打ち材料472を含まない場合、組成物401は、多孔質基材466のどちらかの面に付着させることができ、即ち、どちらの面も近位面として働くことができる。ある実施形態では、多孔質基材466に組成物401を充填した後、その目的で設計されたデバイス(例えば、送風器、ファン、ノズルなど)474から多孔質基材466の面に向けて、空気またはいくつかのその他のガスの流れを供給することが、有利と考えられる。例えば、そのように供給される空気は、多孔質基材466中の組成物401の乾燥を部分的にまたは完全に促進させるため、除湿されていてもよくかつ/または高温であってもよい。あるいは、そのように供給される空気は、多孔質基材466中の組成物401の乾燥を防止するために、加湿されていてもよい。これらの実施形態のどちらにおいても、空気は周囲温度であってよい。図6Eの実施形態は、薬剤投与出口452と、任意選択の裏打ち材料472の付着後に位置決めされたデバイス474とを示すが、関連技術分野の当業者なら、薬剤投与出口452およびデバイス474は、裏打ち材料472の付着前に位置決めできることが、容易に理解されよう。組成物401の付着後に多孔質基材466を乾燥しまたは加湿するための代替手法を用いることができることも、関連技術分野の当業者に容易に明らかにされよう。例えば、乾燥は、多孔質基材466が要する経路を延ばすことによって実現することができ、それによって、多孔質基材が周囲温度に曝される時間が延びる。
【0109】
図6Eのシステム460の実施形態では、剥離ライナ480を、充填済み多孔質基材466の近位面に、即ち対象の皮膚に付着することが意図される面に、付着させてもよい。そのような実施形態では、充填済み多孔質基材466の近位面に感圧性接着剤が薬剤投与されるよう、接着剤薬剤投与器476を位置決めしてもよい。剥離ライナ480は、剥離ライナロール478から供給され、充填済み多孔質基材466と共に、ローラ(例えば、ピンチまたはニップローラ)468間に送られる。剥離ライナおよび感圧接着剤をこのように使用することは、当技術分野で公知であり、本明細書でさらに論じない。使用中、剥離ライナ480が、このように生産された経皮送達デバイスから除去されたとき、即ち皮膚にデバイスを付着させる前、感圧接着剤は剥離ライナに付着したままであり、したがって充填済み多孔質基材466が皮膚に曝される。
【0110】
図6Eに示される供給システム460を製造する実施形態では、そこに結合される裏打ち材料472および剥離ライナ480の一方または両方を有する充填済みのウェブ型多孔質基材466を、さらに連続的に処理することにより、受動的経皮送達デバイスを生産することができる。例えば、そのように生成されたウェブ型構造は、ダイカッタ、スライサ、および/または孔あけ器などの切断器482を通過することができ、その結果、特定の経皮送達デバイスとして使用するのに適した形を有する構造が、生成される。1つまたは複数のピックアンドプレイスデバイス484は、切断デバイス482により生成されるユニットの形に合わせて、適切なハウジングを供給することができる。ハウジング内に充填済み多孔質構造を有する経皮送達デバイスの生産は、例えば、デバイスの要素が安定に結合されるようにローラ468を通過することによって、終了することができる。そのように生産された経皮送達デバイスを、連続生産ラインから取り出し、当技術分野で公知の様々な方法のいずれかによって包装することができ、残りの未使用のウェブ構造は、巻取りロール464によって巻き取ることができる。例えば、得られた経皮送達デバイスは、ホイル供給ロールおよび接着剤またはヒートシール操作を使用して、連続ウェブ製造操作の一部として形成できるホイルパウチで気密封止してもよい。ウェブベースの製造システム460の様々な要素の操作は、マスターシステム制御器424によって制御することができまたはその他の入力とは独立して操作することができる、製造システム制御器448(図6A参照)で制御することができる。製造システム制御器448によって制御できるシステム460の要素は、様々なロール、デバイス474、接着剤薬剤投与器476、切断器482、およびピックアンドプレイスデバイス484を駆動するモータ(図示せず。)を含む。
【0111】
図6Fは、イオン泳動デバイスなどの能動的経皮送達デバイス、またはその多孔質リザーバ構成要素を生産するのに特に適切と考えられる、ウェブベースの充填済み多孔質基材製造システム460を示す。ウェブ型多孔質基材466は、ウェブ供給ロール462から供給される。単なる充填済み多孔質リザーバ構成要素ではなく、能動的経皮送達デバイスを生産する場合、絶縁性基材ロール486は、電気絶縁性基材488を、ウェブ型多孔質基材466の遠位面に任意選択で供給することができる。電気絶縁性基材488は、電気絶縁性基材488の、ある定められた部分で電気シグナルを有利に通過させるように設計されてもよく、それによって、デバイスでは、デバイス内の所定の位置にある絶縁性基材488の両面の間に、電気的導通がもたらされる。電気絶縁性基材488の近位面は、多孔質基材466の遠位面に電気絶縁性基材488の近位面を固定することができる、生物学的に不活性な接着層(図示せず。)を含んでいてもよい。能動的経皮送達デバイスの操作中に、所定の位置で絶縁性基材488の両面の間に導電性が必要とされる場合、接着層は、導電性を妨げるべきではない。多孔質基材466および電気絶縁性基材488は、ローラ468を通して供給されることによって、これら2種の材料が接触するようになる。次いで組成物401は、薬剤投与出口462から多孔質基材466の近位面に供給される。図6Eに関して上記にて論じたように、ある実施形態では、組成物401を多孔質基材466に付着させた後、空気またはいくらかのその他のガスの流れを、デバイス474から多孔質基材466の面に供給して、組成物401を乾燥しまたは加湿することが有利と考えられる。図6Fの実施形態は、電気絶縁性基材488が多孔質層466の遠位面に付着できる位置の後に、薬剤投与出口452および任意選択のデバイス474を示すが、薬剤投与出口452およびデバイス474は、多孔質基材供給ロール462と、電気絶縁性基材488が付着される位置との間に位置決めすることができる。したがって、多孔質基材466は、電気絶縁性基材488が付着される前に、組成物401で充填することができる。
【0112】
図6Fに示されるシステム460の実施形態では、能動的経皮送達デバイスの生産で使用する場合、電極層492を、電極ロール490から任意選択で供給し、電気絶縁性基材488の遠位面に付着させてもよい。電極層492は、その近位面に、即ち電気絶縁性基材488の遠位面に接触する面に、生物学的に不活性な接着剤層(図示せず。)を含んでいてもよい。電極層492と、電気絶縁性基材488が取着されている多孔質基材466は、ローラ468を通って供給されることにより、これら2種が接触するようになる。
【0113】
図6Fの製造システム460は、能動的経皮送達デバイスまたはその活性もしくは対電極アセンブリを生産する目的で、経皮送達デバイスの操作に必要な追加の回路要素を提供する1つまたは複数のピックアンドプレイスデバイス494、および/または、デバイスもしくはアセンブリの使用および/または特定に有用なあるマーキングを行うプリントヘッド496を、さらに有利に含むことができる。ピックアンドプレイスデバイス494は、例えば、あるプリント回路要素および/またはバッテリ要素を提供してもよい。ピックアンドプレイスデバイス494およびプリントヘッド496は、図6Fの特定の位置に示されているが、これらの要素は製造システム460の別の場所に有利に配置できることが、関連ある技術分野の当業者に容易に明らかにされよう。
【0114】
図6Fに示されるシステム460の実施形態では、システム460を、能動的経皮送達デバイスまたはその構成要素もしくはアセンブリの生産に使用する場合、剥離ライナ480を、充填済み多孔質基材466の近位面に、即ち対象の皮膚に付着させることが意図される面に付着させてもよい。そのような実施形態では、接着剤薬剤投与器476は、感圧接着剤を充填済み多孔質基材466の近位面に薬剤投与するように、位置決めされる。剥離ライナ480は、剥離ライナロール478から、充填済み多孔質基材466と、電気絶縁性基材488、電極層492、および追加の回路要素の1種または複数と共に、ローラ468間に供給される。使用中、剥離ライナ480が、本明細書に記述されるシステム460により生産される経皮送達デバイスまたは電極アセンブリから除去されたとき、感圧接着剤は剥離ライナに結合されたままであり、したがって充填済み多孔質リザーバ466が皮膚に曝される。
【0115】
能動的経皮送達デバイスの活性電極アセンブリまたは対電極アセンブリとして使用するのに適切な構造を生成するには、電極材料492の形および程度と電気絶縁性基材488の設計を、デバイスが使用されるときの電気的導通に必要な導電性が得られるようにすることができる。
【0116】
図6Gは、図6Fのおよび上述のウェブベースの多孔質基材製造システム460の、別の部分を示す。能動的経皮送達デバイスの、ある実施形態では、活性電極アセンブリが、少なくとも活性剤リザーバおよび電解質リザーバを含んでいてもよい。同様に、能動的経皮送達デバイスの、ある実施形態では、対電極アセンブリが2つの電解質リザーバを含んでいてもよい。図6Gは、互いに近接した2つのリザーバを有するデバイスまたは電極アセンブリを生成するのに使用することができる、図6Fのウェブベースの製造システム460の一部を示す。2つのウェブ型多孔質基材のそれぞれには、活性剤と電解質との任意の組合せを充填できることが理解されるが、以下の考察は、1つの多孔質基材が活性剤を含みかつ他方が電解質を含んでいるデバイスの生産の簡便性を対象とする。ウェブ供給ロール462から供給されるウェブ型多孔質基材466は、ローラ468間を通過し、薬剤投与出口452から活性剤含有組成物を受容するよう位置決めされ、それによって、活性剤が充填された多孔質基材469が形成される。活性剤が充填された多孔質基材469は、空気流がデバイス474によって任意選択で提供され得る位置に、移動する。膜ロール465から供給された膜467は、ローラ468間を通過し、活性剤が充填された多孔質基材469の遠位面に対して位置決めされる。ウェブ供給ロール463から供給されるウェブ型多孔質基材466は、ローラ468間を通過し、薬剤投与出口453から電解質含有組成物を受容するよう位置決めされ、それによって、電解質が充填された多孔質基材471が形成される。電解質が充填された多孔質基材471は、空気流がデバイス475によって任意選択で供給され得る位置に移動し、次いでローラ468間を移動して、膜467の遠位面に対して位置決めされる。したがって、活性剤が充填され電解質が充填された多孔質基材469、471と、これらの間に位置決めされた膜467とを含む、生成された複合ウェブベースの多孔質基材は、製造システム460内を移動して、上述のように能動的経皮送達デバイスまたはその構成要素を形成する。したがって、複合構造はローラ468をさらに通過し、そこで、基材ロール486から供給された電気絶縁性基材488が、複合体構造の電解質充填型多孔質基材471構成要素などの遠位面に対して位置決めされる。ある実施形態では、膜467は、半透過膜またはイオン交換膜であってもよい。ある特定の、その他の実施形態では、膜467は不透過膜であってもよく、この膜は、電解質が充填された多孔質基材リザーバと活性剤が充填された多孔質基材リザーバとの間で電解質イオンを移動させるデバイスの操作の前に、除去することができる。
【0117】
図6E〜6Gに示される、ウェブベースの多孔質基材製造システム460の実施形態またはその詳細を、受動的経皮送達デバイスまたはその多孔質リザーバ構成要素の生成に特に適したものとして述べてきたが、そのようなシステムは、パッドや包帯などの充填済み多孔質基材の様々なその他のタイプの生成に、有利に使用できることが、関連技術分野の当業者に容易に理解されよう。
【0118】
本明細書に記述されるシステムおよび方法の特定の実施形態では、図7は、高粘性液体またはゾル組成物、またはゾル形成成分の組成物を多孔質基材リザーバ524(例えば、経皮デバイスリザーバ)に薬剤投与するのに、手動で操作されるシステム500を示す。薬剤投与リザーバ506は、組成物501を含有する。組成物501は、リザーバ入口504を介して薬剤投与リザーバ506に供給することができる。組成物501は、薬剤投与リザーバ506から導管502を介して薬剤投与出口522に移動する。導管502を介してシステム500内で組成物501を移動させるため、例えば加圧ガスまたはポンプを使用して、圧力をリザーバ入口504に加えてもよい。導管502は、第1の部分508および第2の部分510を有する。第1の部分508は、第1の端部503と第2の部分510との間に位置決めされる。第2の部分510は、第1の部分508と薬剤投与出口522との間に位置決めされる。導管502の第1の部分508は、包封されたまたは一体型の混合器514を有する熱交換器512を含む。温度制御器517を備えた循環水浴511は、熱交換器512に、加熱された水を供給する。循環水浴511によって提供された水は、温度制御器517を使用して、システム500の作業者により選択された第1の温度に熱交換器512により組成物501の温度を維持するのに適切な温度に設定する。熱交換器512内の温度は、熱交換器512内の温度センサ(図示せず。)を使用して測定してもよく、この値を計器513に表示してもよい。作業者は、計器513に表示された温度に基づいて、温度制御器517を調節することができる。導管502の第2の部分510は、システム500の薬剤投与出口522から多孔質基材リザーバ524内に組成物501を制御可能に薬剤投与するために、薬剤投与弁516を含む。薬剤投与弁522は、薬剤投与弁制御器518によって制御することができる。作業者は、薬剤投与弁制御器518を操作することができ、かつ/またはリザーバ入口504に加えられる圧力を調節して、組成物501が薬剤投与出口522から多孔質基材リザーバ524内に薬剤投与される速度を制御することができる。システム500は、導管502の第2の部分510の内容物を第2の温度に加熱するために、導管502の第2の部分510に近接した加熱器519をさらに含んでいてもよい。加熱器519は、薬剤投与弁516の位置に、位置決めされていてもよい。特定の実施形態では、加熱器519は、薬剤投与弁516を取り囲んでいてもよい。その他の実施形態では、薬剤投与弁516および加熱器519は、単一のユニット、例えば加熱要素を組み込んだ薬剤投与弁ユニットであってもよい。さらにその他の実施形態では、加熱器519は、導管502の第1の部分508と薬剤投与弁516との間、または薬剤投与弁516と薬剤投与弁出口522との間に位置決めされていてもよい。加熱器519は、導管502の第2の部分510の内容物が第2の温度に維持されるよう、第2の温度制御器526によって制御することができる。ある実施形態では、組成物501を薬剤投与するための準備に際し、第2の温度を第1の温度よりも低いレベルに維持することが、特に有利と考えられる。加熱器519内の温度は、加熱器519内の温度センサ(図示せず。)を使用して測定することができ、この値を計器528に表示することができる。作業者は、計器528に表示された温度に基づいて、温度制御器526を調節することができる。ある実施形態では、温度制御器526は、薬剤投与弁516を制御するよう通信可能に連結されていてもよい。図7において、多孔質基材リザーバ524は、組成物501を多孔質基材リザーバ524内に薬剤投与する前に、経皮送達デバイスのハウジング内に位置決めすることができる。
【0119】
図8は、ある例示された実施形態において、例えばウェブベースの製造プロセスにより、セルロース誘導体含有組成物401を多孔質基材466中に薬剤投与するための、図6A〜6Gのシステム400を使用する方法800を示す。方法800は、代替として、図7のシステム500の操作に対応することができる。
【0120】
802で、システム400は、入口408、薬剤投与出口452、第1の部分410、および第2の部分431を有する導管402を含む。導管402は、組成物401が薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492から、入口408、第1の部分410、および第2の部分431を介して薬剤投与出口452に向かうための経路を提供する。あるいは、図7のシステム500の場合、システム500は、入口503、薬剤投与出口522、第1の部分508、および第2の部分510を有する導管502を含み、薬剤投与リザーバ506から薬剤投与出口522に至る経路を提供する。
【0121】
804で、ウェブベースの多孔質基材466は、導管402の薬剤投与出口452で供給される。あるいは、図7において、多孔質基材リザーバ524は、導管の薬剤投与出口522で供給される。
【0122】
806で、導管402の第1の部分410に近接して位置付けられた第1の加熱器412は、第1の温度に調節される。そのように調節された第1の加熱器412は、少なくとも導管のセグメントおよび/または導管の内容物を、第1の温度に加熱する。第1の加熱器412は、第1の温度センサ416および/または第1の圧力センサ418からのシグナル、および/またはマスターシステム制御器424からのシグナルに応答する、第1の温度制御器420によって制御される。あるいは、図7において、第1の加熱器512は、少なくとも導管502の第1の部分508のセグメントおよび/またはその内容物を加熱する。図7の第1の加熱器512は、作業者が手動で制御する。作業者は、循環水浴511の温度を制御する、第1の温度制御器517を介して第1の温度を調節する。作業者は、第1の温度計513を観察することによって、第1の加熱器512の第1の温度をモニタすることができる。
【0123】
808で、組成物は、導管402の入口408から薬剤投与出口452に移動する。入口弁430は、圧力入口427からの圧力で薬剤投与リザーバ406を加圧するように位置決めされ、または定量ポンプ492を作動させ、薬剤投与弁440は、組成物401が導管402内を通って入口408から出口452に流れることができるように、位置決めされる。あるいは、図7のシステム500の場合、組成物502は、入口503から薬剤投与出口522に移動する。圧力は、作業者によって、圧力源へのリザーバ入口504の接続により、加圧された薬剤投与リザーバ506に供給される。
【0124】
810で、組成物401は、薬剤投与出口452から、ウェブベースの多孔質基材であってもよい多孔質基材466に薬剤投与される。あるいは、図7のシステム500の場合、組成物501は、出口522から多孔質基材リザーバ524に薬剤投与される。
【0125】
図9は、図8の方法800の、ある例示された実施形態において、セルロース誘導体含有組成物401を多孔質基材466中に薬剤投与するための、図6A〜6Gのシステム400を使用する方法900を示す。方法800のように、方法900は、代替として図7のシステム500の操作に対応することができる。
【0126】
902で、システム400は、導管402の第2の部分431に近接して位置付けられた、第2の加熱器436を含む。第2の加熱器436は、第2の温度に調節され、少なくとも導管402のセグメントおよび/または導管402の内容物を、第2の温度に加熱する。第2の加熱器436は、第2の温度センサ432および/または第2の圧力センサ434からのシグナル、および/またはマスターシステム制御器424からのシグナルに応答する、第2の温度制御器446によって制御される。あるいは、図7において、第2の加熱器519は、少なくとも導管502の第2の部分510のセグメントおよび/またはその内容物を加熱する。図7に示されるように、第2の加熱器519は、薬剤投与弁516の内部も含め、薬剤投与弁516に近接した導管502の第2の部分510を加熱する。例えば、第2の加熱器519は、薬剤投与弁516の一体化部分であってもよい。図7に示される第2の加熱器519は、作業者により手動で制御される。作業者は、第2の温度制御器526を介して第2の温度を調節する。作業者は、第2の温度計528を観察することによって、第2の加熱器519の第2の温度をモニタすることができる。
【0127】
図10は、図8の方法800の、ある例示された実施形態において、セルロース誘導体含有組成物401を多孔質基材466に薬剤投与するための、図6A〜6Gのシステム400を使用する方法1000を示す。方法800の場合のように、方法1000は、代替として、図7のシステム500の操作に対応することができる。
【0128】
1002で、システム400は、薬剤投与リザーバ406内または定量ポンプ492内に、セルロース誘導体含有組成物401を含む。そのような実施形態では、組成物401は、組成物401を入口408から薬剤投与出口452に移動させるため、システム400が起動する前の任意の時間に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492に配置することができる。ある実施形態では、組成物401は、第1の加熱器412の第1の温度が調節される前に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492に配置される。ある特定のその他の実施形態では、組成物401は、第1の加熱器412の第1の温度が調節された後に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492内に配置される。ある実施形態では、第2の加熱器436も存在する場合、組成物401は、第1の加熱器412の第1の温度および第2の加熱器436の第2の温度の両方が調節される前に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492内に配置される。ある特定のその他の実施形態では、第2の加熱器436も存在する場合、組成物401は、第1の加熱器412の第1の温度が調節された後および第2の加熱器436の第2の温度が調節される前に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492内に配置される。さらにその他の実施形態では、第2の加熱器436も存在する場合、組成物401は、第1の加熱器412の第1の温度および第2の加熱器436の第2の温度の両方が調節された後に、薬剤投与リザーバ406または定量ポンプ492内に配置される。同様に、図7のシステム500では、組成物501は、組成物501を入口503から薬剤投与出口522に移動させるため、作業者がシステム500を起動する前の任意の時間で、薬剤投与リザーバ506に配置することができる。システム400に関して上記にて述べたように、組成物501は、第1の加熱器512の第1の温度、および第2の加熱器519が存在する場合には第2の加熱器519の第2の温度を調節した後または調節する前に、薬剤投与リザーバ506に配置することができる。
【0129】
図11は、図8の方法800の、ある例示された実施形態で、セルロース誘導体含有組成物401を多孔質基材466中に薬剤投与するために図6A〜6Gのシステム400を使用する方法1100を示す。方法800の場合のように、方法1100は、代替として、図7のシステム500の操作に対応してもよい。
【0130】
1102で、システム400は、入口弁430および/または定量ポンプ492および/または薬剤投与弁440を制御することによって、導管402内の組成物401の流れを規制する。入口弁430および薬剤投与弁440のどちらかまたは両方は、ガスであろうと流体であろうと弁を通る流れを規制するよう調節することができる定量型弁であってもよい。入口弁430は、薬剤投与リザーバ406に加えられる圧力を制御するよう調節することができ、それによって、組成物401が薬剤投与リザーバ406から入口408に流入しかつ導管402を通って薬剤投与出口452に至る速度が制御される。入口弁430は、システム内の流れを規制する目的で、マスターシステム制御器424により制御される入口弁制御器426によって制御される。ある実施形態では、定量ポンプ492は、入口弁制御器426によって、またはマスターシステム制御器424によって直接、制御することができる。薬剤投与弁440は、導管402の薬剤投与出口452から組成物401の流れを規制するように調節することができる。薬剤投与弁440は、薬剤投与弁制御器450によって制御され、その動作は、マスターシステム制御器424によっておよび/または存在する場合には第2の加熱器制御器446によって、制御することができる。ある実施形態では、入口408から薬剤投与出口452まで導管402を通る組成物401の流れは、入口弁430によって規制される。ある特定のその他の実施形態では、入口408から薬剤投与出口452まで導管402を通る組成物401の流れは、薬剤投与弁440によって規制される。さらにその他の実施形態では、入口408から薬剤投与出口452まで導管402を通る組成物の流れは、入口弁430および薬剤投与弁440の両方によって規制される。
【0131】
同様に、図7の手動で操作されるシステム500の場合、薬剤投与弁516は、導管502の薬剤投与出口522からの組成物501の流れを規制するように、調節される。薬剤投与弁516は、作業者によって手動で制御される。作業者は、薬剤投与弁制御器516を手動で調節し、それによって、薬剤投与出口522からの流れを規制する。ある実施形態では、作業者は、代替として、圧力源またはヘッドとリザーバ入口504との間の弁(図示せず。)を調節することによって、リザーバ入口504で加えられる圧力を規制し、それによって薬剤投与出口522からの組成物501の流れを規制することができる。
【0132】
1104で、組成物401は、薬剤投与出口452から多孔質基材466(例えば、経皮デバイスリザーバ)中に薬剤投与される。多孔質基材466は、組成物401を保持するのに適切な多孔質基材の様々な形のいずれかであってもよい。例えば、多孔質基材466は、製造プロセスに適した様々なバルク状多孔質基材を含んでいてもよい。そのような多孔質基材は、ウェブベースの多孔質基材、シート、円、長方形、またはストリップを含んでいてもよい。多孔質基材は、代替として、受動的または能動的経皮送達デバイスに組み込むことができるリザーバなど、デバイスでの使用に適した様々なタイプのリザーバに含有される多孔質基材を含んでいてもよい。同様に、図7のシステム500では、組成物501は、活性剤の受動的または能動的経皮送達に適したリザーバに含有されまたはこのリザーバに入れられることが適切な、多孔質基材を含めた様々な多孔質基材のいずれかに薬剤投与することができる。
【0133】
図12は、図8の方法800の、ある例示された実施形態において、セルロース誘導体含有組成物401を多孔質基材466中に薬剤投与するために、図6A〜6Gのシステム400を使用する方法1200示す。方法800の場合のように、方法1200は、代替として図7のシステム500の操作に対応することができる。
【0134】
1202で、組成物401は、薬剤投与出口452から多孔質基材466(例えば、能動的経皮送達デバイスリザーバ、特にイオン泳動的デバイスリザーバ)中に薬剤投与される。上述のように、そのような多孔質基材は、ウェブベースの多孔質基材、シート、円、長方形、またはストリップを含んでいてもよい。同様に、図7のシステム500では、組成物501は、活性剤の能動的経皮送達、特にイオン泳動的送達に適したリザーバに含有されまたはこのリザーバに入れるのに適した多孔質基材を含めた、様々な多孔質基材524のいずれかに薬剤投与することができる。
【0135】
1204で、多孔質基材466に薬剤投与された組成物401は、周囲温度と平衡になる。システム400から薬剤投与されるとき、高温の組成物401は、周囲温度でのその粘度に比べて低い粘度を有する。したがって、組成物401は、低粘度で多孔質基材466中に薬剤投与される。組成物401は、多孔質基材466に充填される。組成物401の温度が低下するにつれ、その粘度は上昇する。周囲温度で、組成物401は、多孔質基材466中で高粘性液体、ゾル、またはゾル様組成物の形をとる。周囲温度は、好ましくは、30〜35℃以下のレベルで維持される。同様に、図7のシステム500では、組成物501は、高温で低粘度の組成物として、多孔質基材524中に薬剤投与される。周囲温度と平衡になると、組成物501は、多孔質基材524内で高粘性液体、ゾル、またはゾル様組成物の形をとる。
【0136】
図6A〜6Gおよび7の図式表示と図8〜11のフローチャートは、本明細書に記述されるシステムの非限定的な例であり、したがって、ある図式化されまたは例示された要素は存在してもしなくてもよく、ある要素が存在する場合には、これらの図式化されまたは例示されたものとは異なる形または構造をとるものであってもよいことが、関連技術分野の当業者に容易に明らかにされよう。例えば、活性剤および/または電解質および/またはその他の化合物および/または手段を含有する高粘性液体、ゾル、またはゾル形成成分の組成物の流れは、加圧されたガスを加えることによってかつ/または様々なポンプのいずれかによって得ることができる。さらに、熱源は、例示される循環水浴から得た水などの循環加熱流体、または様々な電熱要素のいずれかであってもよい。上述のように、導管内を移送中の組成物の混合は、静止または動的混合デバイスによって実施することができる。
【0137】
活性剤の経皮送達用のデバイスの、ある実施形態では、経皮デバイスリザーバは、本明細書に記述されるシステムおよび方法を使用することにより、活性剤および/または電解質および/または別のその他の化合物および/または添加物を含有していてもよい組成物が均一に浸潤することのできる、多孔質基材を有していてもよい。
【0138】
本明細書に記述される高粘性液体、ゾル、またはゾル形成化合物を薬剤投与するためのシステムおよびプロセスは、イオン泳動デバイスを含めた受動的および能動的経皮送達デバイスの活性剤および/または電解質リザーバに充填するのに、特に有利である。そのようなシステムおよびプロセスは、例えば、上記にて具体化された多孔質基材またはデバイスの経皮デバイスリザーバに充填するのに役立てることができるが、これらに限定するものではない。
【実施例1】
【0139】
高温充填システム
本明細書の記述の一実施形態によれば、組成物を薬剤投与するためのシステム(図6D参照)は、組成物を含有する定量ポンプの出口と静止混合器の入口との間の流体接続;静止混合器の出口とフィードバック弁の入口との間の流体接続;フィードバック弁の1つの出口ポートと定量ポンプとの間の流体接続;フィードバック弁の第2の出口ポートと加熱器内に包封された動的混合器との間の流体接続;動的混合器と加熱器内に包封された薬剤投与弁との間の流体接続;薬剤投与弁の出口と、組成物が充填される多孔質基材中に組成物を薬剤投与する出口管との間の流体接続を、提供することによって作製した。動的混合器および薬剤投与弁の温度は、それぞれの加熱器の操作によって維持した。組成物は、組成物が薬剤投与弁内を流れて出口管に至るようソレノイドを起動することによって、多孔質基材中に薬剤投与した。定量ポンプを使用して、組成物が出口配管から多孔質基材中に薬剤投与される速度を制御した。
【実施例2】
【0140】
高温充填システム
本明細書の記述の一実施形態によれば、組成物を薬剤投与するためのシステム(図7参照)は、組成物を含有するガス加圧リザーバ(615DT Series、EFD,Inc.、East Providence、Rl、USA)の出口とジャケット付き静止混合器(Kenics,Chemineer、Dayton、OH、USA)の入口との間の流体接続;ジャケット付き静止混合器の出口と薬剤投与弁(754V−SS、EFD,Inc.、East Providence、Rl)の入口との間の流体接続;組成物を薬剤投与する薬剤投与弁の出口から、組成物が充填されるデバイスへの配管を提供することによって作製した。Chemineer Kemicsのジャケット付き静止混合器は、内径3/8インチおよび長さ約20インチを有する36エレメント混合器であった。混合器の温度は、20リットルの再循環水浴(Model 2095、Forma Scientific、Marietta、OH)を使用して、ジャケット内に、予め確立された温度の水を循環させることによって維持した。ジャケット内の温度を、マルチメータ温度モニタおよびプローブ(Supermeter(登録商標)HHM290、Omega Engineering、Stamford、CT)を使用してモニタした。薬剤投与弁の温度は、加熱要素(Kapton絶縁フレキシブルヒータ、Model No.KH−303/5、Omega Engineering)で弁を覆い、その温度を制御器(CSC32 Series、Omega Engineering)で制御することによって維持した。システムの始まりでリザーバの内容物に圧力を加える操作と組み合わせた薬剤投与弁制御器(ValveMate 8000、EFD,Inc.)の起動を行って、組成物が所望のレセプタクル内に薬剤投与される速度を制御した。
【実施例3】
【0141】
高温充填薬剤投与
この発明の特定の実施形態では、実施例1のシステムを使用して、1.5%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロースおよび0.5%(w/w)のヒドロキシエチルセルロースを水性媒体中に有する対電極組成物を薬剤投与した。様々な温度で混合器ジャケットおよび薬剤投与弁を使用する薬剤投与は、温度が図13Aおよび13Bに示される粘度−温度プロットの下端付近または下端にある場合、この薬剤投与は最も信頼性がありかつ一貫していることを示した。さらに、薬剤投与弁の温度が混合器ジャケットの最低温度にありまたはそれ以下である場合、最良の結果が得られることが観察された。混合器ジャケット52〜53℃および薬剤投与弁50〜51℃の条件下でシステムを平衡にした後、組成物を、6回にわたり、それぞれ5秒間遅らせながら薬剤投与した。結果を表Iに示すが、6回の送達の平均が506.7mg、標準偏差が6.1、変動係数%が1.2%というように、送達の一貫性が示されている。
【0142】
【表1】

【実施例4】
【0143】
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)/ヒドロキシエチルセルロース(HEC)組成物の粘度の温度依存性
活性剤の活性電極組成物および対電極組成物は、1.5%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロースおよび0.5%(w/w)ヒドロキシエチルセルロースを含有するものをそれぞれ調製した。それぞれを20℃から55℃の間の特定の温度に加熱し、粘度をその温度で測定した。それぞれの温度(単位:℃)で測定された粘度(単位:センチポアズ)は、図13Aに対電極組成物に関するものを、また図13Bに活性電極活性剤組成物に関するものを示す。それぞれに関し、粘度は、45℃から50℃の間のその最低ポイントに到達した。
【実施例5】
【0144】
活性電極および対電極配合物の評価
この発明の、ある実施形態では、対電極組成物、プラセボ組成物(エピネフリンのみ)、および活性剤電極組成物(リドカイン−エピネフリン)を下記の通り調製した:
対電極組成物
【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
【表4】

【0148】
示差走査熱量測定(DCS)を、20〜80℃の温度範囲にわたりMicrocal VP−DSC機器を使用して各組成物に関して行って、遷移吸熱を測定した。組成物の遷移温度およびエンタルピー変化を、下記の通り決定した:対電極組成物、Tm=38.10±0.04℃、ΔH=5960±150kcal/モル;プラセボ組成物、Tm=37.15±0.04℃、ΔH=6330±130kcal/モル;活性剤組成物(1回目の走査)、Tm=46.70±0.06℃、ΔH=6970±910kcal/モル;および活性剤組成物(10回目の走査)、Tm=47.84±0.03℃、ΔH=4880±330kcal/モル。DSCは、粘度測定から得られたものに相補的な組成物の情報を提供する。例えば、エンタルピー変化の大きさは、適切な組成物の選択を助けることができる。
【実施例6】
【0149】
ヒドロキシプロピルセルロース配合物の評価
この発明の、ある実施形態では、対電極、プラセボ、および活性剤組成物において下記の通りヒドロキシプロピルセルロースの濃度が異なる配合物を調製した:
【0150】
【表5】

【0151】
示差走査熱量測定(MicroCal Model VP−DSC)を各組成物に関して行って、遷移吸熱を測定した。組成物の遷移温度は、下記の通り決定された:
【0152】
【表6】

【0153】
各組成物ごとに、Brookfield RVT粘度計を使用して、ある温度範囲にわたり粘度(単位:センチポアズ)を決定した。各測定ごとに使用したスピンドルサイズは、温度によって、したがって粘度によって変化した。回転速度は、全体を通して20rpmであった。粘度計で使用したスピンドル数は、最低温度/最高粘度でのスピンドル数5から、最高温度/最低粘度でのスピンドル数1にまで及んだ。測定された粘度は、下記の通りであった:
対電極およびプラセボ組成物
【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
要約に記述される内容を含む、例示された実施形態の上記説明は、完全なものというわけではなく、または開示された精密な形の実施形態に限定されるというものでもない。特定の実施形態および実施例を、例示的な目的で上記に示すが、関連技術分野の当業者によって理解されるように、様々な均等な修正を、開示の精神および範囲から逸脱することなく行うことができる。様々な実施形態の、上述の教示は、上記にて一般に記述された例示的なシステム、方法、およびデバイスだけでなく、高粘性組成物を多孔質基材中に薬剤投与するその他のシステム、方法、および/またはプロセスと、それによって生産されたデバイスに適用することができる。
【0157】
例えば、上記詳細な記述は、ブロック図、概略図、フローチャート、および実施例の使用を介して、システム、プロセス、方法、および/またはデバイスの様々な実施形態について述べてきた。そのようなブロック図、概略図、フローチャート、および実施例が1つまたは複数の機能および/または操作を含有する限り、そのようなブロック図、概略図、フローチャート、または実施例における各機能および/または操作は、広範なシステム構成要素、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または事実上任意のこれらの組合せによって、個々にかつ/またはまとめて実施できることが、当業者に理解されよう。
【0158】
ある実施形態では、使用されるシステムまたは生産されるデバイスは、上述の特定の実施形態よりも少ない構造または構成要素を含んでいてもよい。その他の実施形態では、使用されるシステムまたは生産されるデバイスは、本明細書に記述されるものの他に、構造または構成要素を含んでいてもよい。その他の実施形態では、使用されるシステムまたは生産されるデバイスは、本明細書に記述されるものとは異なるように配置された構造または構成要素を含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、組成物の温度の効果的な制御を行うために、薬剤投与システム内に追加の加熱器および/または混合器があってもよい。さらに、本明細書に記述される手順または方法の実施に際し、より少ない操作、追加の操作があってもよく、または、これらの操作を本明細書に記述されるものとは異なる順序で行ってもよい。例えば、連続ウェブベースの製造システムでは、多孔質基材を含む最終構造の全ての層を、組成物が多孔質基材中に薬剤投与される前に結合させてもよく、即ち、充填を、経皮デバイスが作製される間のプロセスの後半に行ってもよい。システムもしくはデバイス構成要素の除去、付加、もしくは再配置、またはプロセスもしくは方法の操作態様は、この開示に照らし、関連技術分野の当業者の範囲内に十分含まれる。
【0159】
システムおよびプロセスの制御および操作、または経皮送達デバイスの設計に関し、ある実施形態では、本発明の対象は、特定用途向け集積回路(ASIC)を介して実施してもよい。しかし当業者なら、本明細書に開示される実施形態は、全体としてまたは部分的に、1つまたは複数のコンピュータで実行される1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つまたは複数のコンピュータシステムで実行される1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数の制御器(例えば、マイクロコントローラ)で実行される1つまたは複数のプログラムとして、1つまたは複数のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)で実行される1つまたは複数のプログラムとして、ファームウェアとして、または事実上任意のこれらの組合せとして、標準的な集積回路で均等に実施できることを理解するであろう。
【0160】
上述の様々な実施形態は、別の実施形態が提供されるよう組み合わせることができる。本明細書で言及されかつ/または出願データシートに列挙される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許文献の全ては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。実施形態の態様は、さらにその他の実施形態を提供するために、様々な特許、出願および文献の概念を用いることが必要である場合には、修正することができる。
【0161】
これらおよびその他の変更を、上記詳細な記述に照らして実施形態に行うことができる。一般に、特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定すると解釈すべきでなく、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の全範囲と共に、全ての可能性ある実施形態を含むと解釈すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と、出口と、前記入口および前記出口の間に間隔を空けて位置する第1の部分と、前記第1の部分および前記出口の間に間隔を空けて位置する第2の部分とを有する導管を介して、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、多孔質基材に薬剤投与するための方法であって、
前記導管の出口端部に前記多孔質基材を提供するステップと、
前記導管の第1の部分の温度を少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップであって、前記温度は、少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物の粘度を、高粘度から低粘度に変換するのに十分なものであるステップと、
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成材料を含む組成物を、前記導管の入口端部から前記導管の出口端部に移動させるステップと、
前記導管の出口端部から前記多孔質基材中に前記組成物を薬剤投与するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、約2,500センチポアズから約10,000センチポアズの間の高粘度から低粘度にまで前記組成物の粘度を変換するよう十分に、前記導管の第1の部分の温度を調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記第1の部分内のポイントで、高粘度から、約0センチポアズから約500センチポアズの間の低粘度にまで前記組成物の粘度を変換するよう十分に、前記導管の第1の部分の温度を調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記第1の部分内のポイントで、高粘度から、約50センチポアズから約150センチポアズの間の低粘度にまで前記組成物の粘度を変換するよう十分に、前記導管の第1の部分の温度を調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約45℃から約70℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約40℃から約60℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約40℃から約50℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約50℃から約60℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約52℃から約55℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記導管の第1の部分の温度を、少なくとも約35℃の第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を、約40℃から約43℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記導管の第2の部分の温度を、第2の温度に調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の出口端部で前記組成物の粘度を低粘度に維持するよう十分に、前記第2の部分の温度を調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の出口端部での前記組成物の粘度が約50センチポアズから約150センチポアズの間になるよう十分に、前記第2の部分の温度を調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記第2の部分の温度を前記第1の温度以下に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記第2の部分の温度を前記第1の温度以上に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を35℃よりも高く調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約35℃から約70℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約40℃から約50℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約50℃から約60℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約49℃から約52℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を約52℃から約55℃の間に調節するステップを含み、前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約49℃から約52℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度を約49℃から約52℃の間に調節するステップを含み、前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第2の部分の温度を約52℃から約55℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップ、および前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度および前記導管の第2の部分の温度を約49℃から約53℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記導管の第1の部分の温度を第1の温度に調節するステップ、および前記導管の第2の部分の温度を第2の温度に調節するステップは、前記導管の第1の部分の温度および前記導管の第2の部分の温度を約39℃から約43℃の間に調節するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項25】
アルキルセルロースエーテルまたは変性アルキルセルロースエーテルの少なくとも1種の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項26】
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースの少なくとも1種の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項27】
ヒドロキシプロピルセルロースの形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項28】
約1%から約2.5%の間の%濃度(w/w×100)でヒドロキシプロピルセルロースの形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項29】
約1.5%から約2%の間の%濃度(w/w×100)でヒドロキシプロピルセルロースの形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ヒドロキシプロピルセルロースおよび第2のセルロース誘導体の混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項31】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項32】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップであって、ヒドロキシプロピルセルロースの%濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースの%濃度(w/w×100)との比が約4:1から約2:1の間であるステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項33】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップであって、ヒドロキシプロピルセルロースの%濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースの%濃度(w/w×100)との比が約3.5:1から約2.5:1の間であるステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項34】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップであって、ヒドロキシプロピルセルロースの%濃度(w/w×100)とヒドロキシエチルセルロースの%濃度(w/w×100)との比が約3:1であるステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項35】
ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップであって、ヒドロキシプロピルセルロースの%濃度(w/w×100)が約1.5%であり、ヒドロキシエチルセルロースの%濃度(w/w×100)が約0.5%であるステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項36】
電解質組成物の形の組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項37】
生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項38】
〜カイン型活性剤からなる群から選択された生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項39】
リドカインの形の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項40】
リドカインおよびエピネフリンを組み合わせた形の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を、前記導管の入口に供給するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記導管の出口端部から組成物を薬剤投与するステップは、約50センチポアズから約150センチポアズの間の粘度を有する組成物を薬剤投与するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項42】
加圧された薬剤投与リザーバから前記導管の入口に組成物を供給するステップと、
前記導管の第2の部分に少なくとも近接して位置決めされた弁を介して、前記導管の出口端部からの組成物の流れを規制するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記組成物を、定量ポンプから前記導管の入口に供給するステップと、
前記定量ポンプを調節することによって、前記導管の出口端部からの組成物の流れを規制し、それによって、前記導管の入口へのおよび前記導管の内部での前記組成物の流れを規制するステップ
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項44】
生物学的界面に活性剤のイオン泳動的送達を行うためのデバイスの保持部分に、前記組成物を薬剤投与するステップと、
前記組成物を周囲温度に戻すステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項45】
イオン泳動的送達用デバイスの保持部分に前記組成物を薬剤投与するステップは、前記組成物を母材中に薬剤投与するステップを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記多孔質基材は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を送達するためのデバイスのリザーバの構成要素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記多孔質基材は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤を経皮送達するためのデバイスのリザーバの構成要素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記多孔質基材は、生物学的界面にまたは生物学的界面を通して活性剤のイオン泳動的送達を行うためのデバイスのリザーバの構成要素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムであって、
入口、出口、前記入口および前記出口の間に位置決めされた第1の部分、前記第1の部分および前記出口の間に位置決めされた第2の部分を含む、前記組成物を移送するための導管と、
前記導管の第1の部分の少なくとも一部にある組成物を、第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器と、
前記組成物を前記導管から薬剤投与する速度を制御するよう動作可能な弁機構と
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項50】
前記導管の第2の部分の少なくとも一部にある組成物を、第2の温度に加熱するよう位置決めされた第2の加熱器
をさらに含むことを特徴とする請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記第1の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
前記第2の温度は、前記第1の温度以下であることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
前記第2の温度は、前記第1の温度以上であることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項54】
前記第2の加熱器は、熱交換器または加熱器要素の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項55】
前記第2の加熱器の少なくとも一部は、前記弁機構の少なくとも一部に組み込まれていることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項56】
前記第1の部分に少なくとも近接した混合器
をさらに含むことを特徴とする請求項49に記載のシステム。
【請求項57】
前記混合器は、静止混合器であることを特徴とする請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記混合器は、動的混合器であることを特徴とする請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
薬剤投与される前記組成物を貯蔵する薬剤投与リザーバであって、流体密接続を介して前記導管の入口に流体連絡可能に結合されている薬剤投与リザーバ
をさらに含むことを特徴とする請求項49に記載のシステム。
【請求項60】
前記薬剤投与リザーバは、加圧されたリザーバであることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記薬剤投与リザーバは、ヒドロキシプロピルセルロースの形のセルロース誘導体を含む組成物を貯蔵することを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項62】
前記薬剤投与リザーバは、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースの混合物の形のセルロース誘導体を含む組成物を貯蔵することを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項63】
前記薬剤投与リザーバは、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を貯蔵することを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項64】
前記薬剤投与リザーバは、〜カイン型活性剤から選択された少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む組成物を貯蔵することを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項65】
少なくとも1種のセルロース誘導体を含む、高粘性液体、ゾル、またはゾル形成組成物を薬剤投与するためのシステムであって、
入口、出口、前記入口および前記出口の間に位置決めされた第1の部分、前記第1の部分および前記出口の間に位置決めされた第2の部分を含む、前記組成物を移送するための導管と、
前記導管の入口に前記組成物を供給する定量ポンプと、
前記導管の第1の部分の少なくとも一部にある組成物を、第1の温度に加熱するよう位置決めされた第1の加熱器と
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項66】
前記導管の第2の部分の少なくとも一部にある組成物を、第2の温度に加熱するよう位置決めされた第2の加熱器
をさらに含むことを特徴とする請求項65に記載のシステム。
【請求項67】
第1のセルロース誘導体と、
第2のセルロース誘導体と、
生物学的に活性な薬剤と、
を含み、
前記第1のセルロース誘導体はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記第2のセルロース誘導体は前記第1のセルロース誘導体とは異なる、
ことを特徴とする組成物。
【請求項68】
前記第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースから選択されることを特徴とする請求項67に記載の組成物。
【請求項69】
前記第2のセルロース誘導体は、ヒドロキシエチルセルロースであることを特徴とする請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記生物学的に活性な薬剤は、カイン型活性剤からなる群から選択されることを特徴とする請求項67に記載の組成物。
【請求項71】
前記生物学的に活性な薬剤は、リドカインであることを特徴とする請求項67に記載の組成物。
【請求項72】
前記生物学的に活性な薬剤は、リドカインおよびエピネフリンの混合物であることを特徴とする請求項67に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2012−501801(P2012−501801A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526954(P2011−526954)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/056454
【国際公開番号】WO2010/030738
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511062287)トランスキュー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】