説明

ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂

(a)ジビニルアレーンジオキシドと(b)少なくとも1種のジカルボン酸との反応生成物を含む樹脂組成物であって、前記反応生成物がヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂生成物を含むヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物、前記ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の製造方法、及びそれから製造される硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物。上記の硬化性ヒドロキシ官能性ポリエステル樹脂組成物から製造された硬化生成物は熱的に安定であり、既知のエポキシ樹脂から製造された既知の硬化生成物と比べて、より低い粘度及び高い耐熱性などの改善された特性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照の記述
本願は、引用により本明細書に援用する2009年12月8日に出願された米国特許出願第61/267,672号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に関し、より詳しくは、ジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸とから誘導されたエポキシエステル樹脂及び/又はカルボキシエステル樹脂、並びにかかるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂から製造されたコーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂はよく知られており、典型的には食品容器用のコーティングとして使用される。例えば、国際公開第2008/045882号及び国際公開第2008/045884号には、芳香族エポキシ樹脂と低い酸価を有するジカルボン酸から可溶性エポキシエステル樹脂を製造するための組成物及び方法が記載されている。国際公開第2008/045894号及び国際公開第2008/045889号には、芳香族エポキシ樹脂と高い酸価を有するジカルボン酸から可溶性エポキシエステル樹脂を製造するための組成物及び方法が記載されている。上記の公知の方法のいずれもそれら公知の方法のための前駆体としてジビニルアレーンジオキシドの使用を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/045882号
【特許文献2】国際公開第2008/045884号
【特許文献3】国際公開第2008/045894号
【特許文献4】国際公開第2008/045889号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に関係する現在の技術は、ジフェノールがジカルボン酸により置換される場合に耐熱性を犠牲にし、ひいてはコーティングの耐熱性を犠牲にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸とから製造された新規なヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物を提供することに関する。ジビニルアレーンジオキシドから誘導されたエポキシエステル樹脂及び/又はカルボキシエステル樹脂を含む本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)及び同じジカルボン酸から製造された対応するヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂と比べてより高い樹脂ガラス転移温度(T)により決定される改善された耐熱性を有する樹脂を提供する。
【0006】
本発明の一実施態様は、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシドと(b)少なくとも1種のジカルボン酸との反応生成物を含む新規なヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に関する。ジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸の反応生成物を含むヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、それらのBADGE類似体よりも高い耐熱性を有する。
【0007】
本発明の別の実施態様は、(i)上記のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂、及び(ii)少なくとも1種の硬化剤、を含む硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に関する。当該樹脂を硬化することによって、メチルエチルケトン(MEK)往復摩擦(double-rub)試験により決定した場合に良好な耐溶剤性を有するコーティングが提供される。
【0008】
本発明のさらに他の実施態様は、上記のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂及び硬化性樹脂組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
その最も広い範囲において、本発明は、(a)ジビニルアレーンジオキシドと(b)少なくとも1種のジカルボン酸との反応生成物を含むヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を含み、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物を提供する。例えば、一実施態様において、本発明の新規なヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、ジビニルアレーンジオキシド、例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)と、ジカルボン酸、例えばイソフタル酸との反応生成物を含む。得られるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を使用して硬化性樹脂組成物又は配合物を形成することができる。得られた硬化性樹脂組成物又は配合物は、当該技術分野で知られている1又は2種以上の任意の添加剤を含んでもよい。
【0010】
ジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸との反応生成物を含む上記ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、有利なことに、それらのBADGE類似体よりも高い耐熱性を有する新規な樹脂を提供する。これらの新規な樹脂を硬化することによって、それらの高い耐熱性を維持する熱硬化物がもたらされる。本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、高い耐熱性及び/又は耐溶剤性が望まれるコーティングとして使用される熱硬化物の製造に適する。
【0011】
本発明において、ジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOは、ジビニルアレーンと過酸化水素とを反応させて本発明のエポキシ樹脂組成物において有用なジビニルアレーンジオキシドをもたらすことにより製造できる。かかる製造されたジビニルアレーンジオキシドを使用して本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造することができる。
【0012】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、特にジビニルベンゼン、例えばDVBDO類から誘導されたものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い耐熱性及び剛性をその誘導された熱硬化物に付与するジエポキシド類である。ジビニルアレーンジオキシド中のエポキシド基は先行技術のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造するのに使用された従来のグリシジルエーテルの場合と比べて反応性がかなり低い。
【0013】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、任意の環位置に2つのビニル基を有する任意の置換又は非置換アレーン核を含んでよい。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、(置換)環付加(ring-annulated)ベンゼン又は同族的に結合した(置換)ベンゼン、又はそれらの混合物から成ることができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルベンゼン部分は、オルト、メタ又はパラ異性体又はそれらの任意の混合物であることができる。さらなる置換基は、H耐性基、例えば飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、又はRO−(Rは飽和アルキル又はアリールであることができる)などから成ることができる。環付加ベンゼンは、ナフタレン、テトラヒドロナフタレンなどから成ることができる。同族的に結合した(置換)ベンゼンは、ビフェニル、ジフェニルエーテルなどから成ることができる。
【0014】
一実施態様において、本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドは、例えば、2008年12月30日にMarks他により出願された米国特許出願番号第61/141,457号明細書(引用により本明細書に援用する)に記載されている方法によって製造することができる。
【0015】
本発明の組成物を製造するために使用されるジビニルアレーンジオキシドは、下記一般化学構造I〜IVにより一般的に例示することができる:
【0016】
【化1】

【0017】
【化2】

【0018】
本発明のジビニルアレーンジオキシドコモノマーについての上記構造I、II、III及びIVにおいて、各R、R、R及びRは、独立に、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール若しくはアラルキル基、又はH耐性基、例えばハロゲン、ニトロ、イソシアネート若しくはRO基(式中、Rはアルキル、アリール又はアラルキルであることができる)などであることができ、xは0〜4の整数であることができ、yは2以上の整数であることができ、x+yは6以下の整数であることができ、zは0〜6の整数であることができ、z+yは8以下の整数であることができ、Arはアレーンフラグメント、例えば1,3−フェニレン基などである。
【0019】
別の実施態様において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、又はこれらの混合物を含んでよい。
【0020】
本発明の好ましい一実施態様において、エポキシ樹脂配合物中に使用されるジビニルアレーンジオキシドは例えばDVBDOであることができる。最も好ましくは、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド成分としては、例えば、下記の構造Vの化学式により例示されるDVBDOが挙げられる:
【0021】
【化3】

【0022】
上記DVBDO化合物の化学式はC1010であり、DVBDOの分子量は約162.2であり、DVBDOの元素分析は、およそ、C,74.06;H,6.21;及びO,19.73であり、エポキシド当量は約81g/molである。
ジビニルアレーンジオキシド、特に、例えばDVBDOなどのジビニルベンゼンから誘導されたものは、比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛性及び架橋密度を有するジエポキシド類の部類である。
【0023】
下記構造VIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の実施態様を例示する:
【0024】
【化4】

【0025】
下記構造VIIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の別の実施態様を例示する:
【0026】
【化5】

【0027】
DVBDOが当該技術分野で知られている方法により製造される場合、オルト、メタ及びパラの3つの可能な異性体のうちの1つを得ることが可能である。そのため、本発明は、上記構造のうちのいずれか1つにより例示されるDVBDOを個別に含むか又は上記構造のDVBDOを混合物として含む。上記構造VI及びVIIは、それぞれ、DVBDOのメタ(1,3−DVBDO)異性体及びDVBDOのパラ(1,4−DVBDO)異性体を示す。オルト異性体は少なく、通常、DVBDOは、たいてい、メタ(構造VI)異性体とパラ(構造VII)異性体を一般的に約9:1〜約1:9の範囲内の比で生じる。本発明は、好ましくは、一実施態様として、約6:1〜約1:6の範囲内の比で構造VIと構造VIIを含み、別の実施態様において、構造VIと構造VIIの比は約4:1〜約1:4又は約2:1〜約1:2であることができる。
【0028】
本発明の別に実施態様において、ジビニルアレーンジオキシドは、置換アレーンを含んでよい(例えば約20質量%未満)。置換アレーンの量及び構造は、ジビニルアレーンジオキシドへのジビニルアレーン前駆体の製造に使用される方法に依存する。例えば、ジエチルベンゼン(DEB)の脱水素化により製造されたジビニルベンゼン(DVB)は、エチルビニルベンゼン(EVB)及びDEBを含むことがある。過酸化水素との反応によって、EVBは、エチルビニルベンゼンモノオキシド(EVBO)を生成し、一方、DEBは変化せずに残る。これらの化合物の存在は、ジビニルアレーンジオキシドのエポキシド当量を、純粋な化合物のエポキシド当量を超える値に増加させることができる。
【0029】
一実施態様において、本発明において有用なジビニルアレーンジオキシド、例えばDVBDOは、低粘度液体エポキシ樹脂(LER)組成物を構成する。本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法において使用されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般的に、25℃で、約10mPa・s〜約100mPa・s、好ましくは約10mPa・s〜約50mPa・s、より好ましくは約10mPa・s〜約25mPa・sである。
【0030】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドの別の有利な特性は、例えばその剛性である。ジビニルアレーンジオキシドの剛性は、Prediction of Polymer Properties, Dekker, New York, 1993に記載されているBiceranoの方法を使用して、側鎖を除くジオキシドの回転自由度の計算値に求められる。本発明において使用されるジビニルアレーンジオキシドの剛性は、一般的に、約6〜約10、好ましくは約6〜約9、より好ましくは約6〜約8の回転自由度に及ぶことができる。
【0031】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造するために使用されるジビニルアレーンジオキシドの濃度は、一般的に、約99質量%(wt%)〜約1wt%、好ましくは約98wt%〜約2wt%、より好ましくは約95wt%〜約5wt%である。一実施態様において、DVBDOエポキシ樹脂をジカルボン酸と反応させる場合にDVBDOエポキシ樹脂を化学量論的量未満で使用でき、これによりカルボキシエステル樹脂生成物がもたらされる。別の実施態様において、化学量論的に過剰のDVBDOエポキシ樹脂は、エポキシエステル樹脂生成物をもたらす。
【0032】
本発明において有用なジカルボン酸(成分(b))は、当該技術分野で知られているいかなる従来のアクリル酸であってもよい。例えば、本発明の実施において有用なジカルボン酸化合物は、例えばイソフタル酸、アジピン酸などであることができる。2種又は3種以上のジカルボン酸の混合物を本発明の実施に使用してもよい。本発明において有用な他の適切なジカルボン酸化合物は2008年4月17日に公開された国際公開2008/045882号に記載されている。
【0033】
本発明において有用なジカルボン酸化合物の好ましい例としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0034】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造するために使用されるジカルボン酸の濃度は、一般的に、約1wt%〜約99wt%、好ましくは約2wt%〜約98wt%、より好ましくは約5wt%〜約95wt%である。上記のように、本発明の一実施態様としては、DVBDOエポキシ樹脂をジカルボン酸と反応させる場合にDVBDOエポキシ樹脂を化学量論的量未満で使用してカルボキシエステル樹脂生成物がもたらされる態様がある。別の実施態様において、化学量論的に過剰のDVBDOエポキシ樹脂は、エポキシエステル樹脂生成物をもたらす。
【0035】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造する際に、ジカルボン酸を溶解させてジビニルアレーンジオキシドと少なくとも1種のジカルボン酸との間の反応を促進するために、少なくとも1種の不飽和モノマーを必要に応じて使用することができる。
【0036】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造は、反応器にジビニルアレーンジオキシド、ジカルボン酸、必要に応じて触媒、及び必要に応じて溶剤を加え、次にこれらの成分を反応条件下で反応させてヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を生成させることにより達成される。これらの成分は、任意の順序で混合してよい。これらの成分は、所望の反応度が達成されるまで加熱される。得られた生成物は、単離前又は単離中に冷却され、熱硬化性配合物において即座に使用可能である。
【0037】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を形成するための反応条件は、一般的には約100℃〜約250℃の範囲内、好ましくは約125℃〜約225℃の範囲内、より好ましくは約150℃〜約200℃の範囲内の温度で反応を行うことを含む。反応の圧力は、約0.1バール(bar)〜約10バール、好ましくは約0.5バール〜約5バール、より好ましくは約0.9バール〜約1.1バールであることができる。
【0038】
好ましい一実施態様において、1又は2種以上の適切な反応触媒を本発明の実施において使用できる。本発明の組成物を製造するために使用される触媒は、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第3級アミン、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩など、及びこれらの混合物、のうちの1又は2以上から選択できる。好ましくは本発明において使用される触媒は、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート−酢酸複合体若しくは2−フェニルイミダゾール、又はそれらの混合物である。
【0039】
反応触媒は、使用されるジビニルアレーンジオキシド化合物及びジカルボン酸化合物の合計質量を基準として、約0.01〜約10質量%、好ましくは約0.05〜約5質量%、最も好ましくは約0.1〜約4質量%の量で一般的に使用される。
【0040】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造するための反応方法は回分式又は連続式であることができる。当該方法で使用される反応器は当業者に知られている任意の反応器及び付帯設備であることができる。
【0041】
ジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸の新規なヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、先行技術の類似のヒドロキシル官能性ポリエステルと比べて、誘導される熱硬化物の粘度がより低く、耐熱性が高い。
【0042】
本発明の方法により製造されるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の粘度は、一般的に、150℃で、約100mPa・s〜約200,000mPa・s、好ましくは約150mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約200mPa・s〜約50,000mPa・sである。
【0043】
本発明の方法により製造されるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の数平均分子量(M)は、一般的に、約200〜約100,000、好ましくは約300〜約80,000、より好ましくは約500〜約50,000に及ぶ。
【0044】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂は、硬化性又は熱硬化性エポキシ樹脂配合物又は組成物におけるエポキシ成分として有用である。
【0045】
本発明の別の広い実施態様において、(i)上記のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂;(ii)少なくとも1種の溶剤;及び(iii)少なくとも1種の触媒;並びに(iv)必要に応じて少なくとも1種の硬化剤及び/又は界面活性剤、の混合物を含む硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物であって、コーティング組成物に適する硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物を製造することができる。
【0046】
硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の第1の成分(i)は上記のとおりのヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂から構成される。
【0047】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂混合物において使用されるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の濃度は、一般的に、約100質量%(wt%)〜約10wt%、好ましくは約99wt%〜約20wt%、より好ましくは約90wt%〜約30wt%に及ぶことができる。一般的に、使用されるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の量は、得られる硬化生成物の特性の望ましいバランスに基づいて選択される。
【0048】
また、少なくとも1種の硬化剤によるジビニルアレーンジオキシド化合物の硬化を促進するために、本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂を製造する際に、溶剤を使用してもよい。例えば、当該技術分野でよく知られている1又は2種以上の有機溶剤をヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に加えることができる。例えば、芳香族化合物、例えばキシレンなど、ケトン、例えばメチルエチルケトン(MEK)、及びエーテル、例えばジグリム、並びにそれらの混合物を本発明において使用できる。
【0049】
本発明において使用される溶剤の濃度は、一般的に、0質量%〜約90質量%、好ましくは約0.01質量%〜約80質量%、より好ましくは約1質量%〜約70質量%、最も好ましくは約10質量%〜約60質量%に及ぶことができる。粘度が高すぎるか、又は溶剤が消費されると、上記濃度範囲は使用されない。
【0050】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物を製造する際に、ジビニルアレーンジオキシド化合物と少なくとも1種の硬化剤との反応を促進するために少なくとも1種の硬化触媒を使用できる。本発明において有用な硬化触媒としては、例えば、酸、例えばリン酸若しくは有機スルホン酸、又は塩基、例えば第3級アミン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
硬化触媒は、使用されるヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂と硬化剤の合計質量を基準として、約0.01〜約10質量%、好ましくは約0.05〜約5質量%、最も好ましくは約0.1〜約2質量%の量で一般的に使用される。
【0052】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に有用な必要に応じて使用される硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させるための当該技術分野で知られているいかなる従来の硬化剤、例えばエポキシ樹脂、フェノールレゾール、メラミン樹脂など、及びそれらの混合物を含んでもよい。
【0053】
カルボキシエステル樹脂の場合、硬化剤は、好ましくはエポキシ樹脂、例えば、LER又はSERである。例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)から入手可能なD.E.R.(登録商標)331、D.E.R.332、D.E.R.334、D.E.R.580、D.E.R.661、D.E.R.664、D.E.R.667、D.E.R.669、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736又はD.E.R.732エポキシ樹脂を使用できる。D.E.R.はザ・ダウ・ケミカル・カンパニーの登録商標である。
【0054】
エポキシエステル樹脂の場合、硬化剤は好ましくはフェノールレゾール、メラミン樹脂、又はそれらの混合物である。
【0055】
硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に使用される硬化剤の量は、一般的に、得られる硬化生成物の特性の望ましいバランスに基づいて選択される。
【0056】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物に有用な必要に応じて使用される界面活性剤は、当該技術分野で知られているいかなる従来の界面活性剤、例えばシリコーン化合物、フッ素化有機化合物、ポリエーテルなど、及びそれらの混合物などを含んでもよい。
【0057】
硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に使用される界面活性剤の量は、一般的に、約0wt%〜約10wt%、好ましくは約0.01wt%〜約2wt%、より好ましくは約0.1wt%〜約1wt%である。
【0058】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造、貯蔵及び硬化に有用な既知の添加剤の組み合わせ、例えば、反応触媒、樹脂安定剤、硬化触媒、加工助剤、溶剤、他の樹脂、充填剤、可塑剤、触媒失活剤、及びそれらの混合物などを、本発明の樹脂組成物に対して任意の添加剤成分として使用できる。
【0059】
一実施態様において、例えば、硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、
(i)上記のとおりのジビニルアレーンジオキシドとジカルボン酸のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂と、(ii)少なくとも1種の硬化剤と、(iii)少なくとも1種の硬化触媒と、(iv)成分(i)と異なる少なくとも1種の他のヒドロキシル官能性ポリエステル、の反応混合物を含んでよい。
【0060】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物混合物を製造する際に、上記のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に加えて、混合物は、少なくとも1種の他のエポキシ樹脂(成分(v))を含んでもよい。この必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、本発明のエポキシエステル樹脂のためのコモノマーとして使用されてもよく、あるいは、この必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、本発明のカルボキシエステル樹脂のために硬化剤として使用されてもよい。
【0061】
必要に応じて使用されるエポキシ樹脂としては、少なくとも1つのビシナルエポキシ基を含む化合物が挙げられる。この必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、飽和又は不飽和の、脂肪族、脂環式、芳香族又は複素環式であることができ、置換されていてもよい。この必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、モノマーであってもポリマーであってもよい。本発明において有用な必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、当該技術分野で知られている任意のエポキシ樹脂から選択できる。本発明において有用なエポキシ樹脂の広範な列挙が、引用により本明細書に援用するLee, H.及びNeville, K., "Handbook of Epoxy Resins," McGraw-Hill Book Company, New York, 1967, Chapter 2, 第257-307頁に見られる。
【0062】
本発明の成分(v)として本明細書に開示する実施態様において必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、様々なものであることができ、かかる樹脂としては、従来のエポキシ樹脂及び市販のエポキシ樹脂が挙げられ、単独で使用するか、又は2種以上を併用できる。本明細書に開示する組成物に対してエポキシ樹脂を選択する際に、最終生成物の特性だけ考慮されるべきでなく、樹脂組成物の加工に影響を及ぼしうる粘度や他の特性も考慮されるべきである。
【0063】
当業者に知られている特に適する必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、多官能性アルコール類、フェノール類、脂環式カルボン酸、芳香族アミン又はアミノフェノール類とエピクロロヒドリンとの反応生成物に基づく。幾つかの非限定的な実施態様として、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、及びパラ−アミノフェノール類のトリグリシジルエーテルが挙げられる。当業者に知られている他の好適なエポキシ樹脂としては、エピクロロヒドリンとo−クレゾールの反応生成物、及びフェノールノボラック樹脂が挙げられる。2種又は3種以上のエポキシ樹脂の混合物を使用することもできる。
【0064】
硬化性エポキシ樹脂組成物の製造のために本発明において有用な必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、市販の製品から選択できる。例えば、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能なD.E.R.(登録商標)331、D.E.R.332、D.E.R.334、D.E.R.580、D.E.R.661、D.E.R.664、D.E.R.667、D.E.R.669、D.E.N.431、D.E.N.438、D.E.R.736又はD.E.R.732エポキシ樹脂を使用できる。本発明の1つの例示として、エポキシ樹脂成分(a)は、175〜185のエポキシド当量(EEW)、9.5Pa・sの粘度及び1.16g/ccの密度を有する液体エポキシ樹脂、D.E.R.383エポキシ樹脂であることができる。エポキシ樹脂成分として使用できる他の市販のエポキシ樹脂は、D.E.R.330、D.E.R.354又はD.E.R.332エポキシ樹脂であることができる。
【0065】
本発明において有用な他の好適なエポキシ樹脂は、例えば米国特許第3,018,262号、米国特許第7,163,973号、第6,887,574号、第6,632,893号、第6,242,083号、第7,037,958号、第6,572,971号、第6,153,719号及び第5,405,688号明細書;PCT国際公開第2006/052727号;並びに米国特許出願公開第2006/0293172号、第2005/0171237号及び第2007/0221890号明細書に開示されており、それらの開示はそれぞれ引用により本明細書に援用する。
【0066】
好ましい一実施態様において、本発明の組成物において有用な必要に応じて使用されるエポキシ樹脂は、任意の芳香族又は脂肪族のグリシジルエーテル又はグリシジルアミン、あるいは脂環式エポキシ樹脂を含む。
【0067】
一般的に、本発明において使用されるエポキシ樹脂の選択は用途に依存する。しかし、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)及びその誘導体が特に好ましい。他のエポキシ樹脂は、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAエポキシ樹脂、及びそれらの組み合わせからなる群から選択できるが、これらに限定されない。
【0068】
少なくとも1種の必要に応じて使用されるエポキシ樹脂(成分(v))は、エポキシ樹脂混合物組成物中に、一般的には、約1wt%〜約99wt%、好ましくは約10wt%〜約90wt%、より好ましくは約25wt%〜約75wt%の濃度で存在することができる。
【0069】
本発明の硬化性又は熱硬化性組成物は、必要に応じて、1又は2種以上の他の添加剤(それらの意図する用途に有用なもの)を含んでよい。例えば、本発明の組成物において有用な任意選択的な添加剤としては、安定剤、界面活性剤、流れ調整剤、顔料又は染料、艶消し剤、脱ガス剤、難燃剤(例えば、無機難燃剤、ハロゲン系難燃剤、及び非ハロゲン系難燃剤、例えばリン含有材料)、強化剤、硬化開始剤、硬化抑制剤、湿潤剤、着色剤又は顔料、熱可塑性材料、加工助剤、紫外線(UV)遮断化合物、蛍光化合物、紫外線(UV)安定剤、不活性充填剤、繊維強化材、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤、例えば熱可塑性粒子など、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。上記のリストは例示を目的とし、限定を目的とするものでない。当業者は、本発明の配合物に対して好ましい添加剤を最適化することができる。
【0070】
追加の添加剤の濃度は、全組成物の質量を基準にして、一般的に、約0wt%〜約90wt%、好ましくは約0.01wt%〜約80wt%、より好ましくは約1wt%〜約65wt%、最も好ましくは約10wt%〜約50wt%である。添加剤が使用されない場合又は少量の添加剤が使用される場合、その効果はわずかであり、添加剤が90質量%を超える量で使用される場合、その添加剤の量は熱硬化物の特性にとって有害となりうる。
【0071】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の製造は、次の成分:ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂、硬化剤、必要に応じて触媒、必要に応じて別のエポキシ樹脂、及び必要に応じて不活性有機溶剤を容器内で混合し、次にこれらの成分を配合してヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物にすることにより達成される。混合順序に重要度はない。すなわち、本発明の配合物又は組成物を構成する成分は、本発明の熱硬化性組成物をもたらすために、任意の順序で混合されてよい。上記の任意選択的な様々な配合剤、例えば充填剤を、混合中又は混合前に組成物に加えて組成物を形成してもよい。
【0072】
ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の成分は全て、典型的には、所望の用途のための低い粘度を有する有効なエポキシ樹脂組成物の製造を可能にする温度で混合又は分散される。全成分の混合中の温度は、一般的に、約0℃〜約300℃、好ましくは約20℃〜約200℃である。
【0073】
上記のジビニルアレーンジオキシドから製造された本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、それらのBADGE類似体と比べて改善された耐熱性を有する。
【0074】
本発明の方法により製造されたヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の粘度は、一般的に、150℃で、約100mPa・s〜約200,000mPa・s、好ましくは約150mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約200mPa・s〜約50,000mPa・sである。
【0075】
本発明の方法により製造されたヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の数平均分子量(M)は、一般的に、約200〜約100,000、好ましくは約300〜約10,000、より好ましくは約500〜約5,000に及ぶ。
【0076】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に基づく熱硬化物の耐熱性は、示差走査熱量測定法(DSC)を使用してガラス転移温度(T)により求めた場合、一般的に、約50℃〜約300℃、好ましくは約75℃〜約275℃、より好ましくは約100℃〜約250℃である。
【0077】
本発明の硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂配合物又は組成物は、従来の加工条件下で硬化でき、熱硬化物を形成する。得られた熱硬化物は、優れた熱−機械的特性、例えば良好な耐溶剤性を示す。
【0078】
本発明の熱硬化製品を製造する方法は、重力キャスティング、真空キャスティング、自動圧力ゲル化(APG)、真空圧力ゲル化(VPG)、インフュージョン(infusion)、フィラメント巻き(filament winding)、レイアップインジェクション(lay up injection)、トランスファーモールディング、プリプレグ成形、浸漬、コーティング、吹付け、刷毛塗りなどにより実施できる。
【0079】
硬化反応条件としては、例えば、約0℃〜約300℃、好ましくは約20℃〜約250℃、より好ましくは約50℃〜約200℃の範囲内の温度のもとで反応を実施することが挙げられる。
【0080】
硬化反応は、例えば約0.01バール〜約1000バール、好ましくは約0.1バール〜約100バール、より好ましくは約0.5バール〜約10バールの圧力で実施できる。
【0081】
硬化性又は熱硬化性組成物の硬化は、例えば、当該組成物を硬化させるのに十分な所定の時間で実施することができる。例えば、硬化時間は、約1分間〜約24時間、好ましくは約10分間〜約12時間、より好ましくは約100分間〜約8時間の間で選択できる。
【0082】
本発明の硬化方法は、回分法又は連続法であることができる。当該方法で使用される反応器は、当業者によく知られている任意の反応器及び付帯設備であることができる。
【0083】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物を硬化させることにより製造された硬化した又は熱硬化した生成物は、有利なことに、良好な耐溶剤性を示す。この硬化した生成物は、視覚的に透明又は乳白色であることができる。硬化生成物の耐溶剤性は、ASTM D 5402−93方法により求められるMEK耐性によって表される。一般的に、破損に至るまでの往復摩擦回数により表されるMEK耐性は約10から200超、好ましくは約20から200超、より好ましくは約50から200超である。
【0084】
本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、コーティング、フィルム、接着剤、積層体、複合材料、電子機器などの形態のエポキシ硬化物又は硬化製品の製造に有用である。
【0085】
本発明の1つの例として、一般的に、本発明のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物は、幾つかの用途、例えば電気キャスティング、電子部品の封入、キャスティング、モールディング、ポッティング、封入、ツーリング、射出モールディング、樹脂トランスファーモールディングなどに有用である。一実施態様において、本発明は、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に基づく複合材料製品の製造、特に、キャスティング、ポッティング及び封入によって、大きなヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂に基づく製品の製造に使用できる。
【実施例】
【0086】
以下の実施例及び比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1 DVBDO及びイソフタル酸(IPA)からのエポキシエステル樹脂の製造
混合物を凝縮器及び温度調節器を取り付けた100mL丸底フラスコに5.14gのDVBDO(EEW82.5、0.062当量)、5.0gのイソフタル酸(0.06当量)0.37gのテトラフェニルホスホニウムブロミド及び31.6gのジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)を入れた。白濁した重合混合物は140℃で澄んだ溶液になった。この溶液を5分以内で160℃に加熱すると、その間に混合物は濁った。フラスコ内容物を室温に冷却し、次に、氷中の500mLのメタノールを含むブレンダーに注ぎ入れた。溶剤を注ぎ出し、ポリマーを100mLのメタノールにより3回洗浄した。ポリマーを集め、真空オーブン内で75℃で一晩乾燥させ、DSC分析からT=118℃並びにジメチルフラン(DMF)中でのポリスチレン較正ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)からM=47,750及びM=93,100の淡黄色の硬い固形物を得た。
【0087】
比較例A D.E.R.383エポキシ樹脂及びイソフタル酸からのエポキシエステル樹脂の製造
200gのD.E.R.383エポキシ樹脂及び84.9gのイソフタル酸の混合物を国際公開第2008/045894号に記載されているように反応させて、T=77℃、M=6,670及びM=98,240のエポキシエステル樹脂を得た。
【0088】
実施例2 コーティング配合物及び評価
コーティング樹脂、架橋剤(Methylon 75108フェノールレゾール)、触媒(85%リン酸)、界面活性剤(BYK−310)及び溶剤(80/20のDowanol EB/シクロヘキサノン)を、固形分25質量%で混合することによりコーティングを製造した。使用した基材は、錫フリースチール(TFS)パネルであった。#20ドローダウンバーを使用してコーティングを作製した。コーティングされたパネルは、表Iに示す温度でオーブン内で10分間硬化させる前に、無塵箱内に室温(約25℃)で少なくとも30分間貯蔵した。
【0089】
DVBDO−イソフタル酸樹脂のコーティング配合物及び評価結果を、DER 669Eから得られた結果と併せて、下記表Iに示す。
【0090】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジビニルアレーンジオキシドと(b)少なくとも1種のジカルボン酸との反応生成物を含む樹脂組成物であって、前記反応生成物がヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂生成物を含む樹脂組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のジビニルアレーンジオキシドが、エポキシエステル樹脂を形成するのに十分に化学量論的に過剰である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のジカルボン酸が、カルボキシエステル樹脂を形成するのに十分に化学量論的に過剰である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ジビニルアレーンジオキシドが、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ジビニルアレーンジオキシドがジビニルベンゼンジオキシドである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ジビニルアレーンジオキシドの濃度が約1質量%〜約99質量%であり、前記ジカルボン酸の濃度が約1質量%〜約99質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記ジカルボン酸が、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
反応触媒を含み、当該反応触媒は、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート−酢酸複合体、テトラフェニルホスホニウムブロミド、2−フェニルイミダゾール、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
(i)請求項1に記載の少なくとも1種のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂、及び(ii)少なくとも1種の硬化剤、を含む硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項10】
前記ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂濃度が約10質量%〜約100質量%であり、前記硬化剤の濃度が約0.01質量%〜約90質量%である、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記硬化剤が、酸無水物、カルボン酸、アミン化合物、フェノール系化合物、ポリオール類、フェノールレゾール類、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
硬化触媒を含み、当該硬化触媒は、リン酸、有機スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、2−メチルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン、2−フェニルイミダゾール、又はそれらの混合物を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記硬化触媒の濃度が約0.01質量%〜約20質量%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
(a)ジビニルアレーンジオキシドと(b)少なくとも1種のジカルボン酸とを反応させてヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物をもたらすことを含む、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項15】
(i)請求項1に記載のヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂と(ii)少なくとも1種の硬化剤とを混合することを含む、硬化性ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂組成物の製造方法。

【公表番号】特表2013−513011(P2013−513011A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543125(P2012−543125)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/056214
【国際公開番号】WO2011/071650
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】