説明

ヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法

【課題】 多段階の反応が不要であり、発火の危険性が高い還元剤を用いることなく、簡便且つ安全にヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を製造する方法を提供する。
【解決手段】 下記式(1)
【化1】


(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を、酸触媒の存在下で分子内脱水縮合反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法に関する。ヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類は、医農薬中間体、有機合成用触媒、化学吸着剤、抗菌剤などに有用である。
【背景技術】
【0002】
下記式(2)
【0003】
【化1】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法としては、例えば、ピペラジンと2,3−ジブロモプロパン酸エチルとを反応させて1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−2−カルボン酸エチルを調製し、次いで得られたエステルを還元して1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−2−メタノール(ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン)を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この製造方法は、多段階の反応が必要で煩雑な上に、還元剤として発火の危険性が高い水素化リチウムアルミニウムを用いているため、安全性の面から好ましくない。また、水素化リチウムアルミニウムのような強力な還元剤は、反応終了後の後処理も慎重に行う必要があるため、工業的に行うには好ましくない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−504855公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、多段階の反応が不要であり、発火の危険性が高い還元剤を用いることなく、簡便且つ安全にヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に示すとおりのヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法である。
【0009】
[1]下記式(1)
【0010】
【化2】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を、酸触媒の存在下で分子内脱水縮合反応させる、下記式(2)
【0011】
【化3】

(式中、R、nは前記に同じ定義である。)
で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法。
【0012】
[2]酸触媒が少なくとも金属リン酸塩を含む上記[1]に記載の製造方法。
【0013】
[3]酸触媒が少なくとも有機リン化合物を含む上記[1]に記載の製造方法。
【0014】
[4]上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、下記式(3)
【0015】
【化4】

で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンである上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造方法。
【0016】
[5]上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(4)
【0017】
【化5】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示される化合物との付加反応により得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
[6]上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(5)
【0019】
【化6】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示される化合物を、酸触媒の存在下で脱水縮合反応することにより得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類である上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
[7]上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(6)
【0021】
【化7】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。Xはハロゲン原子である。)
で示される化合物との反応により得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類である上記[1]」乃至[3]のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
[8]上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとグリシドールの付加反応により得られるジヒドロキシプロピルピペラジンである上記[4]に記載の製造方法。
【0023】
[9]上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとグリセリンを、酸触媒の存在下で脱水縮合反応することにより得られるジヒドロキシプロピルピペラジンである上記[4]に記載の製造方法。
【0024】
[10]上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとクロロプロパンジオールの反応により得られるジヒドロキシプロピルピペラジンである上記[4]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明の製造方法によれば、一段階で目的物が得られる上に、還元性の化合物を用いないので、従来方法に比べて簡便且つ安全にヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
本発明の製造方法は、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を、酸触媒の存在下で分子内脱水縮合反応させて、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を得ることをその特徴とする。
【0028】
上記式(1)及び(2)中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基を表し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が例示される。これらのうち、水素原子、メチル基、エチル基が好ましい。また、上記式(1)及び(2)中、nは0〜6の整数を表し、0〜2の整数がより好ましい。
【0029】
上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類としては、特に限定するものではないが、例えば、ジヒドロキシプロピルピペラジン類、ジヒドロキシブチルピペラジン類、ジヒドロキシペンチルピペラジン類、ジヒドロキシヘキシルピペラジン類等が挙げられる。
【0030】
本発明の製造方法において、かかるジヒドロキシアルキルピペラジン類としては、特に限定するものではないが、例えば、市販品を用いてもよいし、ピペラジンと上記式(4)で示される化合物との付加反応により得られたものや、ピペラジンと上記式(5)で示される化合物を酸触媒の存在下で脱水縮合反応することにより得られたもの、ピペラジンと上記式(6)で示される化合物との反応により得られたもの等を用いてもよい。
【0031】
具体的には、例えば、上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンは、ピペラジンとグリシドールの付加反応により得られるし、ピペラジンとグリセリンを酸触媒存在下で脱水縮合反応することによっても得られる。また、ピペラジンとクロロプロパンジオールを反応することによっても反応上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンを得ることができる。
【0032】
本発明の製造方法において、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類とは、ヒドロキシトリエチレンジアミン(n=0の場合)又はヒドロキシアルキルトリエチレンジアミン類(n=1〜6の場合)を意味する。かかるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類としては、特に限定するものではないが、例えば、ヒドロキシトリエチレンジアミン、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミン、ヒドロキシエチルトリエチレンジアミン、ヒドロキシプロピルトリエチレンジアミン、ヒドロキシブチルトリエチレンジアミン等が挙げられる。
【0033】
本発明の製造方法において、反応は、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を、酸触媒に接触させることで実施される。酸触媒としては、例えば、金属リン酸塩や有機リン化合物等のリン含有物質、窒素含有物質、硫黄含有物質、ニオブ含有物質、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア、ゼオライト、ヘテロポリ酸、第4B族金属酸化物縮合触媒、第6B族金属含有縮合触媒、ブレンステッド酸、ルイス酸、リンアミド等が挙げられるが、これらのうちリン含有物質が特に好ましい。
【0034】
本発明の製造方法において、金属リン酸塩としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等の金属塩が挙げられる。リン酸と塩を形成する金属としては、特に限定するものではないが、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、パラジウム、銀、スズ、鉛等が挙げられる。
【0035】
また、有機リン化合物としては、従来公知のものでよく、特に制限はないが、例えば、リン酸メチル等のリン酸エステル、リン酸ジメチル等のリン酸ジエステル、リン酸トリフェニル等のリン酸トリエステル、亜リン酸、亜リン酸メチル、亜リン酸フェニル等の亜リン酸エステル、亜リン酸ジフェニル等の亜リン酸ジエステル、亜リントリフェニル等の亜リン酸トリエステル、フェニルホスホン酸等のアリールホスホン酸、メチルホスホン酸等のアルキルホスホン酸、メチル亜ホスホン酸等のアルキル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアリール亜ホスホン酸、ジメチルホスフィン酸等のアルキルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等のアリールホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸等のアルキルアリールホスフィン酸、ジメチル亜ホスフィン酸等のアルキル亜ホスフィン酸、ジフェニル亜ホスフィン酸等のアリール亜ホスフィン酸、フェニルメチル亜ホスフィン酸等のアルキルアリール亜ホスフィン酸、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイト等の酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルの塩類等が挙げられる。
【0036】
本発明においては、これらから選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。
【0037】
本発明の製造方法において、酸触媒の使用量は、特に限定するものではないが、原料である、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類の使用量に対し、通常0.01〜20重量%の範囲、好ましくは0.1〜10重量%の範囲である。0.01重量%よりも少ない場合、反応が著しく遅くなるおそれがあり、20重量%を超えて使用しても経済的に不利となるおそれがある。
【0038】
本発明の製造方法において、反応は気相で行っても液相で行っても良い。また、反応は懸濁床による回分、半回分、連続式でも、また固定床流通式でも実施できるが、工業的には、固定床流通式が操作、装置、経済性の面から有利である。
【0039】
本発明の製造方法においては、希釈剤として、窒素ガス、水素ガス、アンモニアガス、水蒸気、炭化水素等の不活性ガスや、水、不活性な炭化水素等の不活性溶媒を用いて、原料である、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を希釈し、反応を進行させることができる。これらの希釈剤は任意の量で使用でき、特に限定するものではないが、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類/希釈剤のモル比は0.01〜1の範囲とすることが好ましく、0.05〜0.5の範囲とすることがさらに好ましい。モル比0.01以上とすると、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の生産性が向上する。また、モル比1以下とすると、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の選択性が向上する。
【0040】
本発明の製造方法において、希釈剤は、上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類と同時に反応器内に導入してもよいし、予め上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を希釈剤に溶解させた後に、原料溶液として反応器に導入してもよい。
【0041】
本発明の製造方法において、反応が気相で行われる場合、通常は、窒素ガス、アルゴンガス等の反応に不活性なガスの共存下で行われる。かかるガスの使用量は上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類1モルに対して、通常1〜20モル、好ましくは2〜10モルの範囲である。
【0042】
本発明の製造方法において、反応温度は、通常150〜500℃、好ましくは200〜400℃の範囲である。500℃以下とすることで、原料及び生成物の分解が抑制されるため、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の選択率が向上し、150℃以上とすることで十分な反応速度が得られる。
【0043】
本発明の製造方法においては、反応が気相で行われる場合、反応終了後、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を含有する反応混合ガスを、水又は酸性水溶液に通じて溶解させ、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を含有する反応混合液を得る。そして、得られた反応混合液から、抽出、濃縮等の所望の分離精製操作により、上記式(2)で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類を得ることができる。また、ハロゲン化水素酸を用いて、ハロゲン化水素酸塩として得ることもできる。
【実施例】
【0044】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0045】
参考例1(ジヒドロキシプロピルピペラジンの合成).
200mlの三口フラスコに、ピペラジン86.1g(1.0モル)、溶媒としてメタノール100mlを仕込み、窒素雰囲気下でグリシドール22.2g(0.3モル)を4時間かけて滴下した。三口フラスコをオイルバス中に保持することで、反応液の温度は60℃に保たれた。グリシドールの滴下終了後、単蒸留により反応液中の溶媒であるメタノール、未反応のピペラジンを留去した。生成物を真空乾燥することで、白色粘調固体45.2gが得られた。この物質は、下記式(3)
【0046】
【化8】

で示されるジヒドロキシプロピルピペラジン(以下、表現を簡潔にするため、DHPPと略す。)であることが、ガスクロマトグラフィー質量分析及び核磁気共鳴分析によって確認された。
【0047】
参考例2(ジヒドロキシプロピルピペラジンの合成).
ピペラジン86.1g(1.0モル)、グリセリン92.1g(1.0モル)、触媒としてリン酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、化学用)5.0g、溶媒として水600mlを1000mlオートクレーブに充填し、窒素雰囲気下で280℃に加熱した。この時の反応容器圧力は6.0MPaであった。反応時間は2時間であった。反応終了後、蒸留により反応液中の溶媒である水、及び未反応のピペラジン、グリセリン、副生物を留去した後、目的物(白色粘調固体16.4g)が得られた。この物質は、DHPPであることが、ガスクロマトグラフィー質量分析及び核磁気共鳴分析によって確認された。
【0048】
参考例3(ジヒドロキシプロピルピペラジンの合成).
ピペラジン86.1g(1.0モル)、クロロプロパンジオール55.3g(0.5モル)、溶媒としてメタノール200mlを500mlの三口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。この時の反応容器圧力は大気圧であった。反応時間は16時間であった。反応終了後、濃度5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加することで反応液を分層した後、1−ブタノールで有機層に含まれる生成物を抽出した。蒸留により反応液中の溶媒である水、及び未反応のピペラジン、副生物等を留去した後、目的物(白色粘調固体56.1g)が得られた。この物質は、DHPPであることが、ガスクロマトグラフィー質量分析及び核磁気共鳴分析によって確認された。
【0049】
実施例1.
参考例1で得られたDHPP16.0g(0.10モル)、溶媒として水100ml、触媒としてリン酸アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、化学用)5.0gを200mlオートクレーブに充填し、窒素雰囲気下で280℃に加熱した。この時の反応容器圧力は8.0MPaであった。反応時間は2時間であった。
【0050】
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は59%であり、選択率は、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンが85%,ヒドロキシメチル基が脱離して生成したトリエチレンジアミンが13%であった。
【0051】
実施例2.
参考例1のDHPPに代えて、参考例2で得られたDHPPを用いた以外は実施例1と同様にして、反応を実施した。
【0052】
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は60%であり、選択率は、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンが84%,ヒドロキシメチル基が脱離して生成したトリエチレンジアミンが14%であった。
【0053】
実施例3.
参考例1のDHPPに代えて、参考例3で得られたDHPPを用いた以外は実施例1と同様にして、反応を実施した。
【0054】
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は61%であり、選択率は、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンが85%,ヒドロキシメチル基が脱離して生成したトリエチレンジアミンが14%であった。
【0055】
実施例4.
参考例1で得られたDHPP16.0g(0.10モル)、溶媒として水100ml、触媒としてフェニルホスホン酸(和光純薬工業株式会社製、化学用)5.0gを200mlオートクレーブに充填し、窒素雰囲気下で280℃に加熱した。この時の反応容器圧力は8.0MPaであった。反応時間は2時間であった。
【0056】
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は67%であり、選択率は、ヒドロキシメチルトリエチレンジアミンが76%,ヒドロキシメチル基が脱離して生成したトリエチレンジアミンが24%であった。
【0057】
比較例1.
参考例1で得られたDHPPg16.0g(0.10モル)、溶媒として水100ml、触媒を添加せずに、200mlオートクレーブに充填し、窒素パージ後、280℃に加熱した。この時の反応容器圧力は8.0MPaであった。反応時間は2時間であった。
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は0%であった。
【0058】
比較例2.
参考例1で得られたDHPPg16.0g(0.10モル)、溶媒として水100ml、ラネーニッケル触媒10.0g(乾燥重量5.0g)を200mlオートクレーブに充填し、窒素パージ後、水素加圧した状態で150℃に加熱した。この時の反応容器圧力は10.0MPaであった。反応時間は2時間であった。
【0059】
生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、DHPP転化率は0%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類を、酸触媒の存在下で分子内脱水縮合反応させることを特徴とする下記式(2)
【化2】

(式中、R、nは前記に同じ定義である。)
で示されるヒドロキシ(アルキル)トリエチレンジアミン類の製造方法。
【請求項2】
酸触媒が少なくとも金属リン酸塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
酸触媒が少なくとも有機リン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、下記式(3)
【化3】

で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(4)
【化4】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示される化合物との付加反応により得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(5)
【化5】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。)
で示される化合物を、酸触媒の存在下で脱水縮合反応することにより得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
上記式(1)で示されるジヒドロキシアルキルピペラジン類が、ピペラジンと下記式(6)
【化6】

(式中、Rは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状の炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜6の整数を表す。Xはハロゲン原子である。)
で示される化合物との反応により得られるジヒドロキシアルキルピペラジン類であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとグリシドールの付加反応により得られるジヒドロキシプロピルピペラジンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項9】
上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとグリセリンを、酸触媒の存在下で脱水縮合反応することにより得られるジヒドロキシプロピルピペラジンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項10】
上記式(3)で示されるジヒドロキシプロピルピペラジンが、ピペラジンとクロロプロパンジオールの反応により得られるジヒドロキシプロピルピペラジンであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。