説明

ヒマシ油のアセチル化誘導体およびそのエポキシ化脂肪酸エステルとのブレンド

本開示はアセチル化キャスター成分およびそれを含む組成物を対象とする。アセチル化キャスター成分はアセチル化ヒマシ油および/またはアセチル化キャスターワックスであってよい。アセチル化キャスター成分はエポキシ化脂肪酸エステルとブレンドすることができる。本発明のアセチル化キャスター成分およびブレンドには可塑剤として有利な用途が見出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は2009年9月30日出願の米国特許出願第61/247,383号に関する優先権を主張するものである。その全内容を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
可塑剤は、柔軟性および可撓性を付与するために、ポリマー樹脂に添加される化合物または化合物の混合物である。フタル酸ジエステル(「フタレート」としても知られている)は、ポリ塩化ビニル(PVC)および他のビニルポリマーから作製されるポリマー製品などの多くの可撓性ポリマー製品における公知の可塑剤である。一般的なフタレート可塑剤の例には、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジアリルフタレート(DAP)、ジ−2−エチルヘキシル−フタレート(DEHP)、ジオクチルフタレート(DOP)およびジイソデシルフタレート(DIDP)が挙げられる。高温用途に使用される他の一般的な可塑剤はトリメリテートおよびアジピン酸ポリエステルである。最適な特性を得るために可塑剤の混合物がしばしば使用される。
【0003】
フタレート可塑剤は近年、フタレートの環境悪影響およびフタレートに曝露されたヒト(特に子供)における健康への潜在的な悪影響に関心のある公共利益団体による厳しい監視下に置かれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ポリマー樹脂用の非フタル酸エステル可塑剤の必要性が存在する。フタレート可塑剤を含むポリマーと同じかまたは実質的に同じ化学的、機械的および/または物理的特性を有するフタル酸エステル非含有可塑化ポリマーの必要性がさらに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、アセチル化キャスター成分およびそれを含む組成物を対象とする。本発明のアセチル化キャスター成分の非限定的な有益な用途は可塑剤である。
【0006】
一実施形態では、アセチル化ヒマシ油を提供する。アセチル化ヒマシ油は、DIN53402に従って測定して0〜5未満のヒドロキシル価を有する。
【0007】
一実施形態では、アセチル化キャスターワックスを提供する。アセチル化キャスターワックスは、ASTM D445に従って測定して25℃で2000m Pa s未満の粘度を有する。
【0008】
本開示は、組成物を提供する。組成物は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の可塑剤を含むことができる。一実施形態では、その組成物は第1の可塑剤および第2の可塑剤を含む。第1の可塑剤はアセチル化キャスター成分を含む。第2の可塑剤は、これに限定されないがエポキシ化脂肪酸エステルを含む1つまたは複数の他の可塑剤を含む。アセチル化キャスター成分はアセチル化ヒマシ油、アセチル化キャスターワックスおよびその組合せであってよい。
【0009】
一実施形態では、ポリマー組成物を提供する。ポリマー組成物はポリマー樹脂と、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の可塑剤を含む可塑剤組成物とを含む。可塑剤組成物は、アセチル化キャスター成分、およびこれに限定されないがエポキシ化脂肪酸エステルを含む任意選択の1つまたは複数の他の可塑剤を含む。
【0010】
一実施形態では、コーティングされた導電体を提供する。コーティングされた導電体は導電体および金属導電体上のコーティングを含む。そのコーティングは、ポリマー樹脂と、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の可塑剤を含む可塑剤組成物とを含む。可塑剤は、第1の可塑剤および任意選択の第2の可塑剤を含む。第1の可塑剤はアセチル化キャスター成分を含む。第2の可塑剤は、これに限定されないがエポキシ化脂肪酸エステルを含む1つまたは複数の他の可塑剤を含む。
【0011】
本開示の利点は、ポリマー樹脂のための環境的に安全な可塑剤である。
【0012】
本開示の利点は、ヒトへの健康悪影響のリスクが低いまたはリスクがないフタル酸エステル非含有可塑剤である。
【0013】
本開示の利点は、フタレート含有可塑剤を含む同じポリマー樹脂と同じかまたは実質的に同じ特性をポリマー樹脂に付与する、フタル酸エステル非含有可塑剤である。
【0014】
本開示の利点は、フタレートを含まないワイヤーおよびケーブルのためのコーティングである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】比較サンプルおよび本開示の実施例による組成物についてのせん断依存性粘度を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、アセチル化キャスター成分およびそれを含む組成物を対象とする。本明細書で提供する組成物は、ポリマー樹脂、特に塩化ビニル樹脂において使用する可塑剤として適している。
【0017】
元素周期表へのすべての言及は、CRC Press,Inc.、2003年に出版され版権で保護されている元素周期表によるものである。また、族または族群への任意の言及は、族の番号付けのためのIUPACシステムを用いたこの元素周期表において反映されている族または族群によるものとする。その反対の記述、文脈からの暗示のない限り、または当該分野における慣行でない限り、すべての部およびパーセントは重量ベースであり、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。米国特許実務のため、参照した任意の特許、特許出願または公開の内容を、特に合成技術、製品および加工設計、ポリマー、触媒、定義(本開示において具体的に提供される任意の定義と矛盾しない程度に)の開示および当業界における一般知識に関して、その全体を参照により本明細書に組み込む(またその等価な米国バージョンを同様に参照により本明細書に組み込む)。
【0018】
本開示における数値範囲はおおよそのものであり、したがって、別段の表示のない限りその範囲外の値も含むことができる。数値範囲は、1単位の増分で、その値を含む下限値から上限値までのすべての値を含む。ただし、任意の下限値と任意の上限値の間の少なくとも2つの単位の隔たりが存在する。一例として、例えば分子量、メルトインデックス等の組成的、物理的または他の特性が100〜1,000である場合、その意図は、100、101、102等のすべての個々の値および100〜144、155〜170、197〜200等の下位範囲を明らかに含むものとする。1未満の値または1より大きい小数(fractional number)(例えば、1.1、1.5等)を含む範囲について1単位は、必要に応じて、0.0001、0.001、0.01または0.1であるものとする。10より小さい一桁の数(例えば、1〜5)を含む範囲について1単位は通常0.1であるものとする。これらは具体的に意図しようとする例に過ぎず、列挙された下限値と上限値の間の数値の可能なすべての組合せは、本開示において明らかに言及されているものとする。数値範囲は、とりわけ、組成物中の成分の量および/または組成物中のコーティング、添加剤および様々な他の成分の量ならびにそれによってこれらの成分が規定される様々な特徴および特性について本開示において提供される。
【0019】
別段の具体的な表示のない限り、化合物に関して使用されるような単数形はすべての異性体を含みその逆も同様である(例えば、「ヘキサン」は、ヘキサンのすべての異性体を個別にまたは集合的に含む)。「化合物」および「錯体」という用語は、互換的に用いられて有機、無機および有機金属化合物を指す。「原子」という用語は、イオン状態に関係なく、すなわち、それが電荷もしくは部分電荷を担持していてもまた別の原子と結合していても、要素の最も小さい構成要素を指す。「非晶質」という用語は、示差走査熱量測定(DSC)または同等の技術で測定して結晶融点をもたないポリマーを指す。
【0020】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語およびその派生語は、それが具体的に開示されていてもいなくても、追加の任意の成分、ステップまたは手順の存在を除外することを意図するものではない。疑義を避けるため、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求されるすべての組成物は、反対の記述がない限り、ポリマーであってもそれ以外であっても、追加の任意の添加剤、補助剤または化合物を含むことができる。これに対して、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、実現性に対して本質的でないものを除いて、後続する任意の列挙の範囲から、他の任意の成分、ステップまたは手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に表示されていないまたは挙げられていない任意の成分、ステップまたは手順を除外する。「または(or)」という用語は、別段の表示のない限り、挙げられたメンバーを個別的にかつ任意の組合せで指すものとする。
【0021】
「組成物」および類似した用語は、2つ以上の成分の混合物またはブレンドを意味する。
【0022】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」および類似した用語は、2つ以上のポリマーのブレンドならびにポリマーと様々な添加剤のブレンドを意味する。そうしたブレンドは混和性であっても混和性でなくてもよい。そうしたブレンドは相分離していても相分離していなくてもよい。そうしたブレンドは、透過電子分光法、光散乱法、X線散乱法および当該分野で公知の他の任意の方法で判定して1つまたは複数のドメイン配置を含んでも含まなくてもよい。
【0023】
「ポリマー」という用語(および類似した用語)は、同じ種類かまたは異なる種類のモノマーを反応(すなわち、重合)することによって調製される高分子化合物である。「ポリマー」はホモポリマーおよびコポリマーを含む。
【0024】
一実施形態では、本明細書で開示する組成物はフタレートを含まない。本明細書で用いる「フタル酸エステル非含有組成物」という用語は、フタレートを欠いてているか、あるいはフタレートを含まない組成物である。「フタレート」は以下の構造(I):
【化1】

を含む化合物である。
【0025】
式中、RおよびR’は同じであっても異なっていてもよい。RおよびR’のそれぞれは1〜20個の炭素原子を有する置換/非置換ヒドロカルビル基から選択される。本明細書で用いる「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は、分岐状または非分岐状、飽和または不飽和の、環状、多環式、縮合型または非環式の種およびその組合せを含む、水素原子と炭素原子だけしか含まない置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアルキニル基が挙げられる。それぞれの3位、4位、5位および6位には、水素または他の部分が存在していてよい。
【0026】
一実施形態では、アセチル化キャスター成分を提供する。本明細書で用いる「キャスター成分」はヒマシ油、キャスターワックスまたはその混合物である。「ヒマシ油」という用語は、トウゴマ植物(リシナス・コムニス(Ricinus communis))のトウゴマの実/種から得られる淡黄色から無色の粘性液体である。ヒマシ油は、脂肪酸鎖の約85重量%〜約95重量%がリシノール酸であるトリグリセリドである。本明細書で用いる「脂肪酸」は、末端カルボキシル基(COOH)を有する4〜22個の炭素原子を含む脂肪族鎖を含むモノカルボン酸である。脂肪酸は飽和していても不飽和でもよく分岐状でも非分岐状でもよく、1つまたは複数のヒドロキシル基を含んでも含まなくてもよい。
【0027】
ヒマシ油の非限定的な組成代表例を、以下の代表例(II)に示す。
【0028】
ヒマシ油(II)の組成代表例
【化2】

【0029】
「キャスターワックス」という用語は硬化ヒマシ油であり、約40重量%〜約95重量%のグリセリルトリヒドロキシステアレートを有する硬くて脆い高融点ワックスである。これは、通常ニッケル触媒の存在下、ヒマシ油の水素化によって製造される。キャスターワックスは無臭で水に不溶性である。キャスターワックスは、部分的かまたは完全に水素化されたヒマシ油であってよい。
【0030】
キャスター成分はアセチル化される。本明細書で用いる「アセチル化する(acetylating)」または「アセチル化」という用語は、−OH基を有する化合物の分子にアセチル基を導入するプロセスである。言い換えれば、アセチル化は、−OH基のHをCHCO−基で置き換えることである。アセチル化は、ヒドロキシル基(すなわち、グリセリドのリシノール酸部分のC12の−OH基)を有する脂肪酸部分で行うこともできる。適切なアセチル化試薬の非限定的な例には無水酢酸および塩化アセチルが含まれる。したがって、「アセチル化キャスター成分」(すなわち「ACC」)は、アセチル化反応を施されているキャスター成分である。具体的には、アセチル化キャスター成分はアセチル化ヒマシ油(「ACO」)もしくはアセチル化キャスターワックス(「ACW」)またはその混合物であってよい。ACWは完全に水素化されていてもまた部分的に水素化されていてもよい。ACOおよびACWの非限定的な例はそれぞれ、Flexricin(登録商標)P−8(Vertellusの製品)およびParicin(登録商標)8(Vertellusの製品)である。
【0031】
キャスター成分の−OH基の一部、実質的にすべてまたはすべてがアセチル化されていてよい。アセチル化は、0〜15未満、0〜10未満、0〜5未満、0〜2未満または0を含むキャスター成分より低いヒドロキシル価を有するアセチル化キャスター成分をもたらす。
【0032】
一実施形態では、キャスター成分はグリセリルトリヒドロキシステアレートだけを含む。したがって、ACCはアセチル化されたグリセリルトリヒドロキシステアレートであってよい。一実施形態では、アセチル化されたグリセリルトリヒドロキシステアレートは0〜15未満、0〜10未満、0〜5未満、0〜2未満または0のヒドロキシル価を有する。他の実施形態では、アセチル化されたグリセリルトリヒドロキシステアレートは25℃で約100mPa s〜約2000mPa s未満の粘度を有する。
【0033】
キャスター成分についての非限定的特性および本発明のアセチル化キャスター成分の非限定的実施形態を以下の表1に示す。
【表1】

【0034】
驚くべきことに、出願者らは、アセチル化キャスター成分の粘度を低下させることによって、改善された可塑剤組成物がもたらされることを発見した。
【0035】
ACCの完全なまたは実質的に完全なアセチル化は、ポリマー樹脂、特に塩化ビニル樹脂で使用するのに適した粘度を有する液体可塑剤組成物をもたらす。一実施形態では、驚くべきことに、出願者らは、25℃で約100mPa s〜約2000mPa s未満の粘度を有する液体ACWを発見した。他の実施形態では、ACWは0〜15未満のヒドロキシル価を有する。他の実施形態では、ACWは0〜40g I/100g未満のヨード価も有する。
【0036】
出願者らは、25℃で約50mPa s〜1000mPa s未満の粘度をもつ0〜5未満のヒドロキシル価を有する液体ACOも発見した。ACOは、約40g I/100g〜約90g I/100gのヨード価も有することができる。
【0037】
一実施形態では、アセチル化キャスター成分は約0mg KOH/g〜約8mg KOH/gの酸価を有する。
【0038】
一実施形態では、アセチル化キャスター成分は約0〜約3000、約0〜約1000または約0〜約500のAPHA色数を有する。
【0039】
アセチル化に使用するヒマシ油またはキャスターワックスのグレードは、ACCの色ならびに40℃未満の温度で生成する不溶性物質の量に影響を及ぼす。一般に、その温度が低ければ低いほど不溶性物質はより多く生成する。異なるグレードのヒマシ油またはキャスターワックスは、アセチル化の際の条件が同じであっても、かなり異なる色および不溶性物質の量をもたらす可能性がある。
【0040】
これらに限定されないが、商用グレード/工業用グレードのヒマシ油(蒸気加熱処理した(steam cooked)トウゴマの種を圧搾機で押しつぶし、集めたオイルをろ過し、不純物(physical impurities)を除去して製造される);第1特別グレード(First Special Grade)精製ヒマシ油(漂白土と活性炭を用いて商用グレードヒマシ油を漂白して脱色し、遊離脂肪酸含量および水分含量を減少させ、ろ過して製造される);淡色圧縮グレード(Pale Pressed Grade)精製ヒマシ油(見掛けが淡黄色粘性液体であり、懸濁物質を含まない、色が明るく酸性度が低いトウゴマの種の最初の圧縮物(first pressing)から製造された高品質製品);医薬品グレードヒマシ油(薬理上の品質を失うことなく、トウゴマの種の最初の圧縮物で製造される);低温圧縮(Cold Pressed)ヒマシ油(蒸気加熱処理を用いることなく種子を圧縮することによってその天然形態で抽出されたピュアバージン透明ヒマシ油);脱水ヒマシ油;および吹込ヒマシ油(Blown castor oil)(熱的に制御された条件下でヒマシ油を酸化して製造される)を含む、公知の任意のグレードのヒマシ油を用いてACC(またはACCを製造するために使用される硬化ヒマシ油)を製造することができる。上記グレードのヒマシ油は、Keloth Oleochem Pvt., Ltd.、Gujarat、Indiaから市販されている。
【0041】
一実施形態では、アセチル化反応で使用する前に、キャスターワックスを酢酸エチルまたはアセトンなどの溶媒から再結晶化させる。キャスターワックスの再結晶化によって、望ましいことに色がより薄く、やはり望ましいことにより少ない不溶性成分を有するACC生成物が得られる。
【0042】
予想外であり驚くべきことに、出願者らは、ポリマー樹脂(特に塩化ビニル樹脂)に加えたとき優れた相溶性を示す可塑剤をもたらす、(i)低いヒドロキシル価、(ii)低い粘度および場合により(iii)低いヨード価を有するアセチル化キャスター成分を発見した。本発明のACCは、フタレートを含まないが、フタレート系可塑剤がもたらす特性をすべてまたは実質的にすべてを再現する可塑剤を提供する。
【0043】
アセチル化キャスター成分は、2つ以上の本明細書で開示する実施形態を含むことができる。
【0044】
本開示は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の可塑剤を含むことができる組成物を提供する。一実施形態では、第1の可塑剤および第2の可塑剤を含む組成物を提供する。第1の可塑剤はACCを含む。第2の可塑剤は1つまたは複数の他の可塑剤を含む。一実施形態では、組成物は、(i)ACC(第1の可塑剤)と(ii)1つまたは複数のエポキシ化脂肪酸エステル(EFA)(第2の可塑剤)とのブレンドを含む。ACCは、ヒドロキシル価および/または粘度に関して限定なしに、上で開示した任意のACC(すなわち、任意のACO、任意のACW、およびその組合せ)であってよい。本明細書で用いる「エポキシ化脂肪酸エステル」という用語は、少なくとも1つのエポキシド基を含む少なくとも1つの脂肪酸部分を有する化合物である。「エポキシド基」は、酸素原子が、すでに互いに結合している2個の炭素原子のそれぞれと結合している3員環状エーテル(オキシランまたはアルキレンオキシドとも称される)である。適切なエポキシ化脂肪酸エステルの非限定的な例には、エポキシ化された動物および植物油、例えば天然由来のエポキシ化油類、エポキシ化大豆油(ESO)、エポキシ化プロピレングリコールジオレエート、エポキシ化コーンオイル、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化ヤシ油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化キャノーラ油、エポキシ化菜種油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化トールオイル、エポキシ化キリ油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化ステアリン酸メチル、エポキシ化ステアリン酸ブチル、エポキシ化2−エチルヘキシルステアレート、エポキシ化ステアリン酸ステアリル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルエステル、これらのそれぞれのエポキシ化誘導体およびこれらの任意の組合せが挙げられる。天然由来のエポキシ化油の非限定的な例はベルノニア油である。
【0045】
第2の可塑剤には、エポキシ化ポリブタジエン、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロヘキセンジエポキシドおよびその任意の組合せも含むことができる。
【0046】
エポキシ化脂肪酸エステルは様々な仕方で調製することができる。例えば、天然油を出発原料として使用することができる。この場合、天然油をけん化して脂肪酸にし、次いでアルコールでエステル化することができる。続いて、低分子量エステルをエポキシ化する。不飽和エステルは、過酸でエポキシ化することができる。
【0047】
あるいは、脂肪酸のグリシジルエステルは、エピクロルヒドリンまたは関連化学薬品を用いて調製することができる。さらに他の代替法では、トリグリセリドをアルコールでエステル交換し、次いで不飽和脂肪酸エステルを過酸でエポキシ化することができる。
【0048】
一実施形態では、エポキシ化脂肪酸エステルは、メチル、エチル、プロピル、ブチルおよび2−エチルヘキシルエステルを含む任意のエポキシ化脂肪酸C〜C14エステルであってよい。他の実施形態では、エポキシ化脂肪酸エステルは脂肪酸メチルエステルのエポキシドである。
【0049】
脂肪酸メチルエステルのエポキシドの調製のための非限定的な例は、大豆油を用いて開始し、大豆油をメタノールでエステル交換して油中の脂肪酸のメチルエステルを作製する。不溶性のため、グリセロールを反応生成物から取り出す。過酢酸の酢酸エチル溶液を用いて脂肪酸の二重結合をエポキシ化する。過酸は、35%未満の過酸で35℃未満に保持して爆発を防止する。完了したら、酢酸エチルおよび生成物の酢酸を真空ストリッピングにより除去する。
【0050】
一実施形態では、エポキシ化脂肪酸エステルはエポキシ化大豆油である。
【0051】
ACC/EFA混合物を「ACC/EFA可塑剤」と称することができる。ACC/EFA可塑剤は、約1重量%〜約99重量%のACCおよび約99重量%〜約1重量%のEFA、または約30重量%〜約99重量%のACCおよび約70重量%〜約1重量%のEFA(可塑剤組成物の全重量ベースで)を含むことができる。一実施形態では、ACC/EFA可塑剤は70重量%未満のACCを含む。重量パーセントはACC/EFA可塑剤の全重量ベースである。
【0052】
「可塑剤組成物」または「可塑剤」は、添加されるポリマー樹脂(通常熱可塑性ポリマー)の弾性率および引張強度を低下させ、可撓性、伸び、衝撃強度および引裂強度を増大させる物質である。可塑剤は、添加されるポリマー樹脂の融点を低下させ、ガラス転移温度を低下させ、ポリマー樹脂の加工性を向上させることもできる。
【0053】
一実施形態では、可塑剤組成物は、25℃で約100mPa s〜約2000mPa sの粘度を有するACWを含む。ACWは、0〜15未満、0〜10未満、0〜5未満、0〜2未満または0のヒドロキシル価も有することができる。ACWを上記EFAのいずれかとブレンドする。
【0054】
一実施形態では、可塑剤組成物は、0〜15未満、0〜10未満、0〜5未満または0のヒドロキシル価を有するACOを含む。ACOはまた25℃で50mPa s〜1000mPa s未満の粘度を有する。ACOは、上記EFAのいずれかとブレンドされる。
【0055】
可塑剤組成物は、1つまたは複数のACCおよび/または1つまたは複数のEFAを含むことができる。一実施形態では、可塑剤組成物は、0〜15未満、0〜10未満、0〜〜5未満、0〜2未満または0のヒドロキシル価を有するアセチル化キャスター成分およびエポキシ化大豆油(ESO)を含む。他の実施形態では、可塑剤組成物のACCは0のヒドロキシル価を有し、可塑剤組成物はまたESOも含む。
【0056】
一実施形態では、可塑剤組成物はACC、第1のEFAおよび第2のEFAを含む。第2のEFAは第1のEFAとは異なる。他の実施形態では、可塑剤組成物はACC、ESOおよびエポキシ化プロピレングリコールジオレエートを含む。さらに他の実施形態では、可塑剤組成物はACC、ESOおよびエポキシ化脂肪酸メチルエステルを含む。
【0057】
本開示の可塑剤組成物はフタレートを含まなくてよいが、一実施形態では、可塑剤組成物は、これらに限定されないが、フタレート(ジイソノニルフタレート、ジアリルフタレート、ジ−2−エチルヘキシル−フタレート、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレートおよびジイソトリデシルフタレートなど)、トリメリテート(トリオクチルトリメリテート、トリイソノニルトリメリテートおよびトリイソデシルトリメリテートなど)、シトレート、Grindsted(登録商標)Soft−N−Safe硬化ヒマシ油のアセチル化モノグリセリド(Daniscoの製品)、Hexamoll(登録商標)DINCH1,2−シクロヘキサンジカルボン酸のジイソノニルエステル(BASFの製品)、ベンゾエートおよびアジピン酸ポリエステルを含む他の可塑剤も含むことができる。
【0058】
本発明の可塑剤組成物は、本明細書で開示する2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0059】
ACCを単独で、または任意のEFAもしくは他の可塑剤と組み合わせて含む本発明の組成物を様々な組成物または製品において使用することができる。この組成物のための適切な用途の非限定的な例には、化粧品組成物/製品、食品組成物/製品およびポリマー組成物/製品、軟質熱可塑性ポリオレフィン、形材(profile)(ガスケット)、フィルム等が挙げられる。
【0060】
本開示はポリマー組成物を提供する。一実施形態では、ポリマー樹脂と、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の可塑剤を含む本発明の可塑剤組成物とを含むポリマー組成物を提供する。可塑剤組成物は、任意のACC単独であるか、または任意のEFAもしくは本明細書で開示するような他の可塑剤と一緒の任意のACCであってよい。ポリマー組成物は、約1重量%〜約99重量%のポリマー樹脂および約99重量%〜約1重量%の可塑剤組成物を含む。重量パーセントはポリマー組成物の全重量ベースである。
【0061】
適切なポリマー樹脂の非限定的な例には、ポリスルフィド、ポリウレタン、アクリル、エピクロルヒドリン、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、合成ゴム、EPDMゴム、プロピレンベースポリマー、エチレンベースポリマーおよび塩化ビニル樹脂が含まれる。本明細書で用いる「プロピレンベースポリマー」という用語は、大部分の重量パーセントで重合プロピレンモノマー(重合性モノマーの全量ベースで)を含み、任意選択で少なくとも1つの重合コモノマーを含むことができるポリマーである。本明細書で用いる「エチレンベースポリマー」という用語は、大部分の重量パーセントで重合エチレンモノマー(重合性モノマーの全量ベースで)を含み、任意選択で少なくとも1つの重合コモノマーを含むことができるポリマーである。
【0062】
本明細書で用いる「塩化ビニル樹脂」という用語は、ポリ塩化ビニル(PVC)などののような塩化ビニルポリマー、または塩化ビニル/酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル/塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル/エチレンコポリマーもしくはエチレン/酢酸ビニルコポリマーに塩化ビニルをグラフト化して得られるコポリマーなどの塩化ビニルコポリマーである。樹脂組成物は、上記塩化ビニルポリマーまたは塩化ビニルコポリマーと、これらに限定されないが、塩素化ポリエチレン、熱可塑性ポリウレタン、オレフィンポリマー、例えばメタクリルポリマーもしくはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンポリマー(ABS樹脂)を含む他の混和性または相溶性ポリマーとのポリマーブレンドを含むこともできる。
【0063】
一実施形態では、塩化ビニル樹脂はポリ塩化ビニル(PVC)である。
【0064】
一実施形態では、ポリマー組成物は熱可塑性組成物である。本明細書で用いる「熱可塑性組成物」は、(1)その元の長さを超えて引き伸ばされ、開放したときほぼその元の長さに縮む能力を有し、(2)熱をかけたとき軟化し、室温に冷却したときほぼその元の状態に戻るポリマー組成物である。
【0065】
一実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー樹脂と、1つまたは複数のACC、任意選択の1つまたは複数のEFAおよび任意選択の第2のEFAを含む可塑剤とを含む。
【0066】
一実施形態では、ポリマー組成物はPVC、ACCおよび任意選択のEFAを含む。組成物は、約A60〜約A100または約A70〜約A95のショア硬度を有する。一実施形態では、ポリマー組成物は、約D10〜約D70または約D20〜約D60のショア硬度を有する。
【0067】
一実施形態では、可塑剤組成物は、DIN53408に従って測定して約140℃〜約200℃の溶解温度(solution temperature)を有する。驚くべきことに、本出願人らは、ACCおよびEFAを含む可塑剤組成物が、予想外に、低粘度および低揮発性を有する可塑剤を提供することを発見した。この可塑剤は、高温用ワイヤーおよびケーブルの用途に特に適しており、それが混ぜ込まれている熱可塑性ポリマーから外部へと移動することがない。さらに、本発明の可塑剤組成物のための溶解温度(140℃〜200℃の)は、慣用的な高分子量可塑剤の溶解温度(一般に約140℃〜約180℃)と同等である。さらに、本発明の可塑剤組成物の粘度は、アジピン酸ポリエステル可塑剤などの慣用的な高分子量可塑剤の粘度より低い。例えばUltramoll(登録商標)IVおよびUltramoll(登録商標)IIIアジピン酸ポリエステル(Lanxessの製品)として市場で知られるアジピン酸ポリエステル可塑剤は非常に高い粘度(25℃で約6000〜6500mPa s)を有している。可塑剤の粘度が低くなればなるほど、PVC粉末中への取り込みが速くなることは公知である。したがって、本発明の可塑剤組成物は、アジピン酸ポリエステル可塑剤よりも、またより低いかもしくは同等の粘度を有するトリメリテートさえよりも、速い速度でPVC中に吸収される。本発明の可塑剤組成物は、低粘度と高い分子量の予想外の相乗効果を示し、物理的、化学的および機械的特性を有するフタレートを含まない安全な可塑化PVCをもたらす。これらの特性は、慣用的なアジピン酸ポリエステル可塑剤または慣用的なフタレートベースの可塑剤または慣用的なトリメリテートベースの可塑剤で可塑化されたPVC樹脂の特性に相当するかまたはそれを超えるものである。特に注目すべき点は、136℃もの高温で168時間エージングした後でも、本発明の組成物が示す引張特性が保持されることである。
【0068】
本発明のポリマー組成物は、慣用的なアジピン酸ポリエステル、フタレートおよび/またはトリメリテート可塑剤を含むポリマー樹脂と比較して、同じかまたはより良好な可撓性および/または伸びを示す。一実施形態では、本発明のポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤とのブレンドであり、約A60〜約A100もしくは約A70〜約A95、または約D10〜約D70もしくは約D20〜約D60のショア硬度を有する。ショア硬度はASTM D2240に従って測定する。
【0069】
一実施形態では、ポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤とのブレンドであり、約10℃〜約90℃、約20℃〜約80℃または約30℃〜約75℃のガラス転移温度(「Tg」)を有する。
【0070】
一実施形態では、ポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤とのブレンドを含む。ポリマー組成物を成形してプラックにする。プラックは、ASTM D638に従って、30ミル厚さのプラックから切り出したドッグボーンで測定して、113℃で168時間加熱エージングした後、約70%を超える引張強度保持率を有する。
【0071】
一実施形態では、ポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤とのブレンドを含む。ポリマー組成物を成形してプラックにする。プラックは、ASTM D638に従って、30ミル厚さのプラックから切り出したドッグボーンで測定して、136℃で168時間加熱エージングした後、約70%を超える引張強度保持率を有する。
【0072】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤組成物とのブレンドを含む。ポリマー組成物を成形してプラックにする。プラックは、ASTM D638に従って、30ミル厚さのプラックで測定して、113℃で168時間加熱エージングした後、約30%を超える引張伸び保持率を有する。
【0073】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物はPVCとACC/EFA可塑剤組成物とのブレンドを含む。ポリマー組成物を成形してプラックにする。プラックは、ASTM D638に従って、30ミル厚さのプラックで測定して、136℃で168時間加熱エージングした後、約30%を超える引張伸び保持率を有する。
【0074】
引張強度と引張伸びは、ASTM D−638に従って、圧縮成形したプラックから切り出した(i)エージングなし、および(ii)加熱エージングしたドッグボーン試料について測定する。
【0075】
上記ポリマー組成物のいずれも1つまたは複数の以下の添加剤:充てん剤、酸化防止剤、難燃剤(三酸化アンチモン、酸化モリブデン(molybdic oxide)およびアルミナ水和物)、熱安定剤、滴下防止剤、着色剤、滑剤、低分子量ポリエチレン、ヒンダードアミン光安定剤(少なくとも1つの第二級または第三級アミン基を有する)(「HALS」)、紫外線吸収剤(o−ヒドロキシフェニルトリアジンなど)、硬化剤、促進剤(booster)および遅延剤、加工助剤、結合剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、粘度制御剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エキステンダー油、酸捕捉剤、金属不活性化剤ならびにその任意の組合せを含むことができる。
【0076】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は充てん剤を含む。適切な充てん剤の非限定的な例には、炭酸カルシウム、焼成粘土、白亜(whiting)、フラー土、ケイ酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、親水ヒュームドシリカ、疎水性(表面処理済み)ヒュームドシリカおよび上記の任意の組合せが挙げられる。焼成粘土の非限定的な例はSatintone(登録商標)SP−33およびPolyfil(登録商標)70である。
【0077】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は酸化防止剤を含む。適切な酸化防止剤の非限定的な例には、ヒンダードフェノール、例えばテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン;ビス[(β−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)およびチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート;ホスファイトおよびホスホナイト、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト;チオ化合物、例えばジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネート;種々のシロキサン;重合2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミンおよび他のヒンダードアミン分解防止剤または安定剤が挙げられる。適切な酸化防止剤の非限定的な例には、Topanol(登録商標)CA、Vanox(登録商標)1320、Irganox(登録商標)1010、Irganox(登録商標)245およびIrganox(登録商標)1076が挙げられる。1つまたは複数の酸化防止剤を、本開示の可塑剤組成物に加えることができる。酸化防止剤は、ポリマー組成物の重量に対して0.01〜5重量%の量で使用することができる。
【0078】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は熱安定剤を含む。適切な熱安定剤の非限定的な例には、無鉛の混合金属熱安定剤、鉛安定剤、有機熱安定剤、エポキシド、モノカルボン酸の塩、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト、ハイドロタルサイト、ゼオライト、過塩素酸塩および/またはβジケトンが挙げられる。適切なβジケトンの非限定的な例は、ジベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタンおよびその混合物である。適切なジベンゾイルメタンの非限定的な例はRhodiastab(登録商標)83である。パルミトイルベンゾイルメタンとステアロイルベンゾイルメタンの適切な混合物の非限定的な例はRhodiastab(登録商標)50である。適切な無鉛の混合金属熱安定剤の非限定的な例には、Mark(登録商標)6797、Mark(登録商標)6776ACM、Mark(登録商標)6777ACM、Therm−Chek(登録商標)RC215P、Therm−Chek(登録商標)7208、Naftosafe(登録商標)EH−314、Baeropan(登録商標)MC90400KA、Baeropan(登録商標)MC90400KA/1、Baeropan(登録商標)MC8553KA−ST3−US、Baeropan(登録商標)MC9238KA−US、Baeropan(登録商標)MC90249KAおよびBaeropan(登録商標)MC9754KAが挙げられる。1つまたは複数の熱安定剤を、本開示の可塑剤組成物に加えることができる。熱安定剤は、ポリマー組成物の全重量に対して0.1〜10重量%の量で使用することができる。
【0079】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は滑剤を含む。適切な滑剤の非限定的な例には、ステアリン酸、ステアリン酸の金属塩、パラフィンろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。滑剤は単独でも組み合わせても使用することができる。滑剤は熱安定剤と組み合わせることもできる。
【0080】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は加工助剤を含む。適切な加工助剤の非限定的な例には、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムなどのカルボン酸の金属塩;ステアリン酸、オレイン酸またはエルカ酸などの脂肪酸;ステアラミド、オレアラミド、エルカミドまたはN,N’−エチレンビス−ステアラミドなどの脂肪族アミド;ポリエチレンワックス;酸化ポリエチレンワックス;エチレンオキシドのポリマー;エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー;植物ろう;石油ろう;非イオン性界面活性剤およびポリシロキサンが挙げられる。加工助剤は、ポリマー組成物の全重量に対して0.05〜5重量%の量で使用することができる。
【0081】
ポリマー組成物は通常、PVC配合技術分野の技術者に公知の慣用的な乾式ブレンド法または湿式ブレンド法に従って調製される。ブレンディング工程から得られた混合物を、バンバリー式バッチ混合機、ファレル(Farrel)式連続型混合機または1軸もしくは2軸押出機などの混合機を用いてさらに配合することができる。
【0082】
一実施形態では、本発明のポリマー組成物は、本開示の可塑剤をPVC粉末中に吸収(absorption)してドライブレンドを作ることによって作製される。これらに限定されないが、ヘンシェル混合機またはリボン型ブレンダーを含む適切な任意の方法/装置を用いてドライブレンドを作製することができる。ポリマー組成物は、PVCおよび可塑剤に加えて他の添加剤を含むことができる。次いで、ドライブレンドをさらに配合して(例えば溶融押出によって)、任意の所望形状(フィルム、ペレット等)を形成させることができる。
【0083】
最適の安定剤および酸化防止剤パッケージを用いると、本発明のポリマー組成物は、高温での長期間の乾式または湿式絶縁抵抗試験を必要とする用途および温度136℃もの高い温度になる他の厳しい用途に適している。
【0084】
本発明のポリマー組成物は、本明細書で開示する2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0085】
本発明のポリマー組成物によって示される可撓性、低い可塑剤揮発性、低い移動性、低粘度および/または高い溶解温度の驚くべき特性は、本発明のポリマー組成物を、ワイヤーおよびケーブルコーティング用途、特に高温用ワイヤー/ケーブル用途に非常に適したものにしている。したがって、本開示はコーティングされた導電体を提供する。「導電体」は、任意の電圧(DC、ACまたは過渡電流)でエネルギーを輸送するための細長い形状のエレメント(ワイヤー、ケーブル、ファイバー)である。導電体は一般に少なくとも1つの金属ワイヤーまたは少なくとも1つの金属ケーブル(アルミニウムまたは銅など)であるが、光ファイバーも含むことができる。
【0086】
一実施形態では、導電体および導電体上のコーティングを含むコーティングされた導電体を提供する。コーティングは、ポリマー樹脂と、本発明の可塑剤組成物とを含む本発明のポリマー組成物を含む。そのコーティングのポリマー樹脂は、本明細書で開示する任意のポリマー樹脂であってよい。可塑剤組成物は、1つもしくは複数のACCを単独かまたは1つもしくは複数のEFAとのブレンドおよび/または本明細書で開示する1つもしくは複数の他の可塑剤とのブレンドで含む任意の可塑剤組成物であってよい。
【0087】
本明細書で用いる「金属導電体」は、少なくとも1つの金属ワイヤーおよび/または少なくとも1つの金属ケーブルである。コーティングされた金属導電体は可撓性、半剛性または剛性であってよい。コーティング(「ジャケット」、「シース」または「絶縁」とも称される)は、金属導電体上かまたは導電体周りの別のポリマー層上にある。コーティングは本発明の組成物を含む。その組成物は、本明細書で開示する任意の組成物であってよい。本明細書で用いる「上の(on)」は、コーティングと金属導電体の間の直接的接触または間接的接触を含む。「直接的接触」は、それによって、コーティングと金属導電体の間に介在する層および/または介在する材料が存在しないで、コーティングが金属導電体と直に接触する配置である。「間接的接触」は、それによって、金属導電体とコーティングの間に介在する層および/または介在する構造物および/または介在する材料が位置している配置である。コーティングは、金属導電体を、完全にもしくは部分的に覆うかまたはそれ以外に取り囲むもしくは包み込むことができる。コーティングは、金属導電体を取り囲む唯一の成分であってよい。あるいは、コーティングは、金属導電体を包み込む多層状のジャケットまたはシースの1つの層であってよい。
【0088】
一実施形態では、ポリマー樹脂は、上記で論じたようなPVCなどの塩化ビニル樹脂である。PVCを可塑剤組成物とブレンドしてコーティングを生成させる。コーティングは追加の成分を含むことができる。一実施形態では、コーティングは、約1重量%〜約99重量%、約20重量%〜約80重量%または約30重量%〜約70重量%のPVC、および99重量%〜約1重量%、約80重量%〜約20重量%または約70重量%〜約30重量%の可塑剤組成物を含む。他の実施形態では、コーティングは約30重量%〜約90重量%のPVCおよび約70重量%〜約10重量%の可塑剤組成物を含む。
【0089】
可塑剤組成物は、本明細書で開示する任意の可塑剤組成物であってよい。一実施形態では、コーティング中に存在するACCは、0〜15未満、0〜10未満、0〜5未満、0〜5未満または0のヒドロキシル価を有する。
【0090】
コーティングは、本発明の組成物について上記で論じたような特性のいずれかを有することができる。一実施形態では、コーティングされた導電体は、UL−1581に従って測定される加熱試験に合格する。他の実施形態では、コーティング中の可塑剤組成物は約140℃〜約200℃の溶解温度を有する。他の実施形態では、コーティングは、ASTM D2240に従って測定して約A60〜約A100のショア硬度を有する。他の実施形態では、コーティングは、ASTM D2240に従って測定して約D10〜約D70のショア硬度を有する。
【0091】
適切なコーティングされた金属導電体の非限定的な例には、可撓配線、例えば家庭用電化製品用の可撓配線、電源ケーブル、携帯電話および/またはコンピューター用の充電器ワイヤー、コンピューターデータコード、電源コード、電化製品配線材料、建造物用ワイヤー、自動車用ワイヤーおよび家電用付属コードが含まれる。
【0092】
本発明のコーティングされた導電体は、本明細書で開示する2つ以上の実施形態を含むことができる。
【0093】
本明細書で開示する組成物を含むジャケットを有するコーティングワイヤーまたはコーティングケーブルなどのコーティングされた導電体(任意選択で絶縁層を有する)は、様々な種類の押出機、例えば1軸または2軸押出機で作製することができる。慣用的な押出機の説明は、米国特許第4,857,600号に見ることができる。共押出および押出機の例は米国特許第5,575,965号に見ることができる。一般的な押出機は、その上流末端にホッパーを備え、下流末端にダイを備える。ホッパーからスクリューを備えた円筒状シリンダー(barrel)に供給される。スクリューの末端とダイの間にある下流末端に、スクリーンパックおよびブレーカープレートが位置する。押出機のスクリュー部は、上流から下流への順に、3つの部分、供給部、圧縮部および計量部、ならびに2つのゾーン、後部加熱ゾーンおよび前部加熱ゾーンに分けられると考えられる。別の方法では、上流から下流への順に軸に沿って複数の加熱ゾーン(3つ以上)が存在することができる。2つ以上の円筒状シリンダーを有する場合、その円筒状シリンダーは直列に連結される。それぞれの円筒状シリンダーの長さ対直径の比は約15:1〜約30:1の範囲である。
【0094】
本開示のワイヤーおよびケーブル構造物(すなわち、コーティングされた金属導電体)は、本発明の組成物を導電体上または絶縁した導電体の束上に押し出して、絶縁した導電体周りにコーティング(ジャケット)を形成させることによって作製される。ジャケットまたは絶縁部の厚さは、所望の最終用途の要件に依存する。一般的なジャケットまたは絶縁部の厚さは、約0.010インチ〜約0.200インチまたは約0.015インチ〜約0.050インチである。本発明の組成物を、予め作製された組成物からジャケット中に押し出すことができる。通常、本発明の組成物は、押出機に供給し易いようにペレットの形態にする。ワイヤーおよびケーブルのジャケットまたは絶縁部は、本発明の組成物をペレット化する別個のステップを介することなく、配合押出機から直接押し出すことができる。この一段階の配合/押出プロセスによって、組成物に対する1つの熱履歴ステップが排除されることになる。
【0095】
ナイロン層を、例えば慣用的なTHHN、THWNおよびTHWN−2構造で、絶縁部上に押し出すこともできる。
【0096】
本発明の開示の実施形態の非限定的な例を以下に提供する。
【0097】
一実施形態では、E1、DIN53402に従って測定して0〜5未満のヒドロキシル価を有するアセチル化ヒマシ油が提供される。一実施形態では、E2、ASTM D445に従って測定して25℃で2000m Pa s未満の粘度を有するアセチル化キャスターワックスが提供される。
【0098】
実施形態E3では、組成物は、アセチル化キャスター成分およびエポキシ化脂肪酸エステルを含む。E4。アセチル化キャスター成分がアセチル化ヒマシ油、アセチル化キャスターワックスおよびその組合せからなる群から選択されるE3の組成物。E5。アセチル化キャスター成分が0〜15未満のヒドロキシル価を有するE3〜E4のいずれかの組成物。E6。アセチル化キャスター成分がASTM D445に従って判定して25℃で2000mPa s未満の粘度を有するアセチル化キャスターワックスであるE3〜E5のいずれかの組成物。E7。エポキシ化脂肪酸エステルが、エポキシ化大豆油、エポキシ化プロピレングリコールジオレエート、エポキシ化ヤシ油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸メチルエステル、上記のそれぞれのエポキシ化誘導体およびその組合せからなる群から選択されるE3〜E6のいずれかの組成物。E8。約30重量%〜約99重量%のアセチル化キャスター成分および約1重量%〜約70重量%のエポキシ化脂肪酸エステルを含むE3〜E7のいずれかの組成物。E9。0〜5未満のヒドロキシル価を有するアセチル化キャスター成分およびエポキシ化大豆油を含む、請求項E3〜E8のいずれかの組成物。E10。第2のエポキシ化脂肪酸エステルを含む、請求項E3〜E9のいずれかの組成物。
【0099】
実施形態E11では、ポリマー組成物は、ポリマー樹脂と、アセチル化キャスター成分および任意選択のエポキシ化脂肪酸エステルを含む可塑剤組成物とを含む。E12。E1〜E10のいずれかの組成物を含む、E11の組成物。E13。そのポリマー樹脂が塩化ビニル樹脂を含む、E11〜E12のいずれかの組成物。E14。可塑剤組成物が第1のエポキシ化脂肪酸エステルおよび第2のエポキシ化脂肪酸エステルを含む、E11〜E13のいずれかの組成物。E15。113℃で168時間加熱エージングした後に、50%を超える引張伸び保持率を有するプラックであるE11〜E14のいずれかの組成物。E16。組成物が、136℃で168時間の加熱エージング後に50%を超える引張伸び率を有するプラックである、E11〜15のいずれかの組成物。E17。約1.0×1010〜約1.0×1017Ohm cmの体積固有抵抗値(volume resistivity)を有する、E11〜E16のいずれかの組成物。
【0100】
実施形態E18では、コーティングされた導電体は、導電体;およびポリマー樹脂と、アセチル化キャスター成分および任意選択のエポキシ化脂肪酸エステルを含む可塑剤組成物とを含む、導電体上のコーティングを含む。E19。そのコーティングがE1〜E17のいずれかの組成物を含む、E18のコーティングされた導電体。E20。そのコーティングがUL−1581に従って測定される加熱試験に合格する、E18〜E19のいずれかのコーティングされた導電体。
【0101】
試験方法
酸価(acid number)(または「酸の数値(acid value)」)は化合物中に存在する遊離酸の量の尺度である。酸価は、1gの物質中に存在する遊離酸(脂肪酸および/または例えば酢酸などの他の酸)を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価は、ドイツ標準DIN53402に従って測定される(mg KOH/g)。
【0102】
APHA色数は、HunterLabから入手できるColorQuest XE測色計または同等物;20mm透過セル;HunterLab Universalソフトウェア、バージョン4.10または同等物;HunterLabから入手できる白黒カラーリファレンスタイトル(color reference title)または同等物を用いて測定される;脱イオン(DI)水の測定APHA色数はゼロである。
【0103】
25℃での密度はドイツ標準DIN51 757に従って測定される(g/cm)。
【0104】
動的貯蔵弾性率(G’)およびガラス転移温度(Tg)は、動的機械分析(DMA)装備(fixture)を備えたTA Instrument AR1000Nレオメーターを用いて動的機械分析(DMA)により測定される。試料は矩形固体の形態であり、テンションモードで試験される。温度は、5℃/分のランプ速度で−100℃〜+160℃の範囲で変化させ、試験周波数は6.283rad/s(1Hz)で一定に保持される。サンプルの貯蔵および損失弾性率ならびにtanδを温度の関数として測定する。ガラス転移温度(Tg)を、ピークのtanδ測定値から決定する。低温可撓性の尺度として−20℃での動的貯蔵弾性率(G’)を使用する。粘弾性材料の貯蔵および損失弾性率は、貯蔵エネルギー(弾性ポーション(elastic portion)を表す)および熱として逸散したエネルギー(粘性ポーションを表す)の尺度である。
【0105】
ヒドロキシル価(Hydroxyl Number)(またはヒドロキシルの数値(hydroxyl value))はアセチル化度の目安であり、ポリマー中に存在するヒドロキシル基の数の尺度である。ヒドロキシル価は、1gのポリマー中に存在するヒドロキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数である。ヒドロキシル価はドイツ標準DIN53 240に従って測定される(mg KOH/g)。
【0106】
ヨウ素価は水素化度の目安であり、ドイツ統一方法(German Einheitsmethode)DGF C−V11a(53)に従って測定される(g I/100g)。
【0107】
ポリマー組成物における可塑剤相溶性は、規定された期間(例えば、7日間)高温(例えば、113℃または136℃)でエージングされた成形または押出試料の目視検査によって評価される。押出試料はワイヤーの形態(すなわち、導電体上に押し出された絶縁部)であってよい。113℃または136℃で7日間後に表面上の滲出物(スピュー)の量を「なし」、「微量」、「中程度」または「多量」でランク付けする。
【0108】
ショア硬度はASTM D2240に従って測定される。
【0109】
溶解温度は、その温度で可塑剤とPVC樹脂との不均一混合物が単一の相に変化するのが認められる温度である。溶解温度は、ドイツ標準DIN53 408に従って、1gのPVCを20gの可塑剤に浸漬させ、顕微鏡下での観察によりPVCが完全に溶解するのが認められるまで温度を段階的に上昇させることによって測定される(℃)。
【0110】
コーティングされた導電体(押出ワイヤー)の表面平滑度は、日本のMitutoyo社製の表面粗度測定装置を用いてANSI/ASME B46.1に従って測定される。
【0111】
TG/DTA.220を用いて5%質量損失の温度(℃)を測定する。可塑剤試料を、不活性ガスをパージさせながら10K/分で室温から600℃まで加熱し、発生する質量損失および熱的効果をサーモグラムで記録する。5%質量損失のための温度が高ければ高いほど揮発性はより低い。
【0112】
エージングしていない試料、113℃または136℃で168時間エージングした試料について、成形プラックから切り出したドッグボーン、またはコーティングされた導電体(押出ワイヤー)から取り外された管状絶縁物のいずれかについて引張強度(TS)、引張強度保持率(TSR)、引張伸び(TE)および引張伸び保持率(TER)(2インチ/分で)を、ASTM D638およびUL1581/2556に従って測定する。
【0113】
「UL1581」という用語は、電気用ワイヤー、ケーブルおよび可撓コードのためのUnderwriters Laboratories参考標準(Underwriters Laboratories Reference Standard for Electrical Wires, Cables, and Flexible Cords)である。UL1581は、ワイヤーおよびケーブルの標準において必要とされる導電体、絶縁体、ジャケットおよび他の被覆物のため、サンプル調製、試料選択および条件設定の方法のためならびに測定および計算のための具体的な詳細を含む。
【0114】
粘度は、標準ASTM D445に従って、25℃および/または40℃でブルックフィールド−粘度計で測定される。
【0115】
23℃での体積固有抵抗値(Vol Res)(Ohm−cm)は、500ボルト直流でASTM D257に従って測定される。40ミル厚さの成形プラックから3.5インチ径の試料を切り出し、Hewlett Packard 4329A高抵抗計と連結されたHewlett Packard 16008A抵抗セルを用いて試験する。
【0116】
水分含量はドイツ標準DIN51 777に従って測定される(%)。
【0117】
136℃で7日間後の重量保持率(Wt.Ret.)(%)を、30ミル厚さの成形プラックから切り出された1.25インチ径の試料について測定する。
【0118】
湿潤絶縁抵抗を、UL83/2556に従って、14AWG固体銅導電体および0.015インチ絶縁厚さを有するワイヤーサンプルで測定する。サンプル長さは14フィートであり、10フィートはコイル状で水に浸漬されており、その両端の2フィートは電源へのリード線として働く。サンプルを水浴中75℃で600V AC下、最大で36週間エージングする。絶縁抵抗を、Quadtech1868Aメグオームメーターを用いて、60秒間500V DCをかけて測定する。最初の測定は、水浸漬の6時間後に電圧をかけないで実施する。続くすべての測定値を週1回の頻度で取る。
【0119】
限定的なものではなく例示として本発明の開示の実施例を提供する。
【実施例】
【0120】
A.アセチル化キャスター成分。
【0121】
(実施例1)
アセチル化キャスターワックスサンプル(ACW1)調製
キャスターワックス(110g)および無水酢酸(40g)を250mLフラスコに投入する。フラスコを真空回転式蒸発器に固定し、ワックスが溶融するまで100℃で加熱する。反応を常圧下120℃で4時間実施する。115℃の浴温で800〜100ミリバールの真空をかけて酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0122】
(実施例2)
アセチル化キャスターワックス(ACW2)調製
キャスターワックス(1kg)を2Lフラスコに投入する。フラスコを、100℃に予熱した浴中で機械式攪拌機および一般的な蒸留用ガラス装置に固定する。ワックスが溶融した後、無水酢酸(370g)を加える。発熱反応のため温度は上昇する。115℃で4時間保持する。115℃の浴温で800〜180ミリバールの真空をかけて酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0123】
(実施例3)
アセチル化ヒマシ油サンプル(ACO)調製
ヒマシ油(110g)および無水酢酸(40g)を250mLフラスコに投入する。フラスコを120℃に加熱した真空回転式蒸発器に固定し、温度を120℃で3時間保持する。120℃の浴温で800〜150ミリバールの真空をかけて酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0124】
(実施例4)
アセチル化キャスターワックス(ACW3)調製
キャスターワックス(3700g)を5L反応器に投入する。反応器を機械式攪拌機および一般的な蒸留用ガラス装置で固定し、外浴で100℃に加熱する。キャスターワックスを溶融させた後、無水酢酸(1233g)を加える。温度は84℃に低下するが発熱反応により115℃に上昇する。温度を115℃(内温)で8時間保持する。酸価が3mg KOH/gより低くなるまで、800〜150ミリバールの真空をかけて酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0125】
(実施例4A)
アセチル化キャスターワックス(ACW3A)調製
キャスターワックス(3700g)を105℃で終夜かけて溶融させ、5L反応器に投入する。反応器を機械式攪拌機および一般的な蒸留用ガラス装置に固定し、外浴で105℃に加熱する。無水酢酸(1233g)を加える。温度は88℃に低下するが発熱反応により115℃に上昇する。温度を120℃(内温)で8時間保持し、室温で終夜保持する。酸価が1.6mg KOH/gになるまで、115℃の浴温で800〜150ミリバールの真空をかけて残留酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0126】
(実施例5)
アセチル化ヒマシ油サンプル(ACO)調製
ヒマシ油(773g)および無水酢酸(266g)を2Lフラスコに投入する。フラスコを、115℃に予熱した浴中で機械式攪拌機および一般的な蒸留用ガラス装置に固定する。温度を115℃で6時間保持する。115℃の浴温で800〜150ミリバールの真空をかけて酢酸を除去する。液体生成物が得られる。
【0127】
以下の表2に、実施例1〜5の特性を比較サンプル(市販されている、ヒマシ油およびキャスターワックスのアセチル化誘導体)と比較して示す。実施例1、2および4(ACW)の可塑剤は比較サンプル3より相当粘度が低い。実施例3および5(ACO)の可塑剤は比較サンプル1より低いヒドロキシル価を有する。実施例1〜5の可塑剤はすべて、比較サンプル2と比べてより低い揮発性(すなわち、より高い5%質量損失温度)、より小さい比重およびより高い溶液温度を示す。
【表2】

【0128】
表3は他の可塑剤ならびに略語およびそれぞれの供給源を示す。
【0129】
【表3】

【0130】
B.熱可塑性組成物:PVCと可塑剤組成物のブレンド
ポリ塩化ビニル(PVC)と種々の可塑剤組成物および添加剤のブレンドとを含む熱可塑性組成物を以下の表4に示すようにして調製する。
【表4】

【0131】
熱可塑性組成物1、2および5(ブレンド1、2および5)
以下の手順を用いてブレンド1、2および5を調製する:
− 個々の成分を計量し、すべてを、スパチュラを用いて容器中で混合する。
− 慣用的なローターを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウルを用いて、40rpmの設定で各配合物のバッチを作製する。
− 窒素でミキシングボウルをパージはしない。
− PVCの混合物および他の成分を加え175℃で5分間混合する。
【0132】
体積固有抵抗値を除くすべての特性の試験用に、ミキシングボウルからのブレンド組成物を175℃、5分間で圧縮成形して30ミル厚さのプラックにする。体積固有抵抗値は、40ミル厚さの成形プラックから切り出した試料で測定する。
【0133】
熱可塑性組成物3および6(ブレンド3および6)
以下の手順を用いてブレンド3および6を調製する:
− 可塑剤(およびエポキシ化大豆油(該当する場合))を60℃で少なくとも30分間予熱し、使用前に振とうする
− 個々の固体成分を計量し、すべてを、スパチュラを用いて容器中で混合する
− 以下のようにして可塑剤をPVC粉末中に浸み込ませることによって「ドライブレンド」を作製する。
− シグマブレードを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウルを80℃で使用して40rpmの設定で各配合物のバッチを作製する
− 窒素でミキシングボウルをパージはしない
− 2分間ウォーミングアップさせた後、PVC粉末、充てん剤、Mark(登録商標)6797およびIrganox(登録商標)1076の混合物を加え、5分間混合する
− 可塑剤を加え15分間混合する
− 停止して「ドライブレンド」を取り出す
− 次いで「ドライブレンド」を、以下の手順を用いて溶融混合する:
(a)慣用的なローターを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウル中で、40rpmの設定で混合する
(b)窒素でミキシングボウルをパージはしない
(c)「ドライブレンド」を加え、175℃で5分間混合する
【0134】
ブレンド組成物をミキシングボウルから取り出し175℃で5分間圧縮成形する。体積固有抵抗値を除くすべての特性の試験用に、試料を30ミル成形プラックから切り出す。体積固有抵抗値は、40ミル厚さの成形プラックから切り出した試料で測定する。
【0135】
熱可塑性組成物4、7および8(ブレンド4、7および8)
以下の手順を用いてブレンド4、7および8を調製する:
− 可塑剤(およびエポキシ化大豆油(該当する場合))を60℃で少なくとも30分間予熱し、使用前に混合し振とうする
− 個々の固体成分を計量し、すべてを、スパチュラを用いて容器中で混合する。
− ヘンシェル混合機を用いて80℃の設定温度および1800rpmで、まず固体混合物をフラクシングさせ、次いで可塑剤を加えて1kgの「ドライブレンド」を混合し、可塑剤収着(sorption)が完了するまでの時間を記録する。
− 「ドライブレンド」は、円錐型2軸スクリュー押出機(25:1L/D)を用いて45rpmおよびゾーン1=160℃、ゾーン2=165℃、ゾーン3=170℃、ダイ=175℃の設定温度プロファイルで溶融混合する。
− 次いで押し出された標準品を空冷しペレット化する。
【0136】
ペレットを175℃で5分間圧縮成形する。体積固有抵抗値を除くすべての特性の試験用に、試料を30ミル成形プラックから切り出す。体積固有抵抗値は40ミル厚さの成形プラックから切り出した試料で測定する。また、25:1単軸スクリュー押出機を160℃、165℃、170℃、175℃の設定温度で用いて0.064インチ(14AWG)固体銅導電体上にコーティングすることによって、ブレンド4およびブレンド8からのペレットをワイヤー/ケーブルにも加工する。コーティングされた導電体の外径は約0.094インチ(約0.015インチの壁厚)である。ワイヤー押し出しの際のダイ圧力を記録する。
【0137】
熱可塑性組成物9(ブレンド9)
以下の手順を用いてブレンド9を調製する:
− Paricin(登録商標)8およびエポキシ化大豆油を60℃で少なくとも60分間予熱し、振とうさせて25/75重量%Paricin(登録商標)8/ESO混合物(可塑剤組成物)を作製する。
− すべての成分(可塑剤および粘土充てん剤を除く)を、スパチュラを用いて容器中で混合することによって「固体混合物」を作製する。
− 以下のようにして可塑剤をPVC粉末中に浸み込ませることによって「ドライブレンド」を作製する。
− シグマブレードを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウルを90℃で用いて40rpmの設定で各配合物のバッチを作製する。
− 窒素でミキシングボウルをパージはしない。
− 2分間ウォーミングアップさせた後、「固体混合物」を加え、30秒間混合する。
− 可塑剤を加えて6分間混合する。
− 充てん剤(粘土)を加えて60秒間混合する。
− 停止し、「ドライブレンド」を取り出す。
− 次いで「ドライブレンド」を、以下の手順を用いて溶融混合する:
(a)カムローターを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウル中、40rpmの設定で混合する。
(b)窒素でミキシングボウルをパージはしない。
(c)「ドライブレンド」を加え、180℃で2分間混合する。
【0138】
ブレンド組成物をミキシングボウルから取り出し、180℃で5分間圧縮成形する。体積固有抵抗値およびショア硬度を除くすべての特性の試験用に、試料を30ミル厚さの成形プラックから切り出す。体積固有抵抗値は40ミル厚さの成形プラックから切り出した試料で測定する。ショア硬度は250ミル厚さの成形試料で測定する。
【0139】
熱可塑性組成物10(ブレンド10)
以下の手順を用いてブレンド10を調製する:
− ACW、ESO、S−N−S、TOTMおよびDINCHを60℃で少なくとも60分間予熱する。振とうし、50/50重量%ACW/ESO、ACW/S−N−S、ACW/TOTM、ACW/DINCH混合物(可塑剤組成物)を作製する
− スパチュラを用いて容器中ですべての成分(可塑剤および粘土充てん剤を除く)を混合して「固体混合物」を作製する
− 以下のようにして可塑剤をPVC粉末中に浸み込ませることによって「ドライブレンド」を作製する。
− シグマブレードを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウルを80℃で使用して40rpmの設定で各配合物のバッチを作製する
− 窒素でミキシングボウルをパージはしない
− 2分間ウォーミングアップさせた後、「固体混合物」を加え、30秒間混合する
− 可塑剤を加え2分間混合する
− 充てん剤(粘土)を加え60秒間混合する
− 停止して「ドライブレンド」を取り出す
− 次いで「ドライブレンド」を、以下の手順を用いて溶融混合する:
(a)カムローターを備えた「40cm」ブラベンダーミキシングボウル中、40rpmの設定で混合する
(b)窒素でミキシングボウルをパージはしない
(c)「ドライブレンド」を加え、175℃で2分間混合する
【0140】
ブレンド組成物を、ミキシングボウルから取り出し、175℃で5分間圧縮成形する。試料を、体積固有抵抗値を除くすべての特性の試験用に30ミル厚さに成形したプラックから切り出す。体積固有抵抗値は、40ミル厚さに成形したプラックから切り出した試料で測定する。
【0141】
熱可塑性組成物10A(ブレンド10A)
以下の手順を用いてブレンド10Aを調製する:
− 可塑剤を60℃で少なくとも60分間予熱し、使用前に振とうする
− 個々の固体成分を計量する
− 可塑剤をPVC粉末中に浸み込ませることによって「ドライブレンド」をまず作製し、次いで溶融混合物を作製する
− 以下の手順を用いて「ドライブレンド」を調製する:
(a)スパチュラを用いて容器中ですべてを(可塑剤および充てん剤を除く)混合して「固体混合物」を作製する。
(b)90℃の設定温度および1800rpmでヘンシェル型高強度混合機を用いて、最初に固体混合物を60秒間フラクシングさせ、次いで可塑剤を360秒間(6分間)かけて加えて混合し、最後に粘土を加えさらに90秒間混合することによって3kgの「ドライブレンド」を作製する。
(c)停止して「ドライブレンド」を取り出す。
− 次いで、「ドライブレンド」を、円錐型2軸スクリュー押出機(25:1L/D)を用いて45rpmおよびゾーン1=170℃、ゾーン2=175℃、ゾーン3=180℃、ダイ=185℃の設定温度プロファイルで溶融混合する。次いで押し出されたストランドを空冷しペレット化する。
【0142】
ペレットを180℃で5分間圧縮成形する。体積固有抵抗値およびショア硬度を除くすべての特性の試験用に、試料を30ミル成形プラックから切り出す。体積固有抵抗値は、40ミル厚さに成形したプラックから切り出した試料で測定する。ショア硬度は250ミル厚さの成形試料で測定する。ペレットを、25:1単軸押出機を用いて40rpmおよび170℃、175℃;180℃;185℃の設定温度で0.064インチ(14AWG)固体銅導電体上にコーティングすることによってワイヤー/ケーブルを加工するためにも使用する。コーティングされた導電体の外径は約0.094インチ(すなわち、約0.015インチの絶縁厚さ)である。ワイヤー押し出しの際のダイ圧力を記録する。ワイヤーの75℃での湿潤絶縁抵抗を測定する。
【0143】
表5に種々の熱可塑性組成物についての特性を示す。
【表5−1】

【表5−2】

【表6】

【0144】
表6から明らかなように、50重量%/50重量%のEx4/ESOを含む可塑剤組成物は、比較可塑剤(50重量%/50重量%のTOTM/DTDPおよび50重量%/50重量%のTOTM/ESO)より迅速にPVC中に浸み込む。可塑剤組成物中のESOの量を増大させることも、浸み込み時間を短縮させるのに寄与する。
【0145】
図1は、本発明の組成物の実施形態(ブレンド4中の87重量%/13重量%の実施例2/ESO)の200℃でのせん断依存性粘度を、可塑剤87重量%/13重量%のTOTM/ESO(ブレンド4中)と比較して示すプロットである。図1は、本発明の組成物が、TOTM可塑剤を含む比較組成物より大きいせん断薄層化(shear thinning)を示すことを例示している。
【表7】

【0146】
例示の可塑剤中のESOの量を増大させると、比較サンプルと比べて、特に90℃水浴中でエージングした後、より大きい体積固有抵抗値を示す(表7)。
【表8−1】

【表8−2】

【0147】
表8から明らかなように、比較サンプルと比べて、ESOを含む例示可塑剤は、(1)平滑なケーブルコーティング、かつ(2)136℃で加熱エージング後の引張特性の優れた保持率をもたらす。さらに、ESOを含む例示可塑剤は優れた電気特性をもたらす(表8A)。具体的には、ワイヤーの長期湿潤絶縁抵抗は優れていて、0.115メガオーム/1000ftという最少合格要件を優に上回っており、24週間後の絶縁抵抗が1週間当たり2%未満の減少という安定性基準に合格するものである。
【0148】
C.アセチル化キャスター成分に対するキャスターワックスグレードの効果。
(実施例6〜10)
室温でのアセチル化キャスターワックスの色および不溶性物質含量に対するキャスターワックスグレードの効果。
アセチル化を、5つの異なるグレードのキャスターワックス(CW6、CW7、CW8、CW9、CW10)について実施する。キャスターワックス材料は異なる供給業者から得たものであり、アセチル化反応においてそのまま使用する。75gの各キャスターワックスサンプルを、攪拌子、凝縮器、温度計および添加ロートを備えた250mL三つ口フラスコに入れる。混合物を窒素雰囲気下に置く。固体出発原料を85〜95℃で溶融させる。この混合物に、添加ロートを用いて25gの無水酢酸を100℃で徐々に加える。混合物をこの温度で17時間保持する。得られたアセチル化混合物を75℃に冷却する。凝縮器を蒸留ヘッド(ショートパス)で置き換える。過剰の無水酢酸および副生酢酸を真空下で除去する(真空ポンプを用いて約10〜30mmHgで)。反応混合物を100℃へ徐々に加熱する。全蒸留時間は5〜6時間である。蒸留が完了したら、生成物のアセチル化キャスターワックスサンプルACW6、ACW7、ACW8、ACW9、ACW10を室温に冷却し、フラスコから取り出す。結果を表9にまとめて示す。色をHunterLabからのColorQuest XEを用いて測定する。酸価は、0.1N KOH/MeOH、50/50キシレン/イソプロパノールおよび指示薬としてのフェノールフタレインを用いて測定する。表9は、出発キャスターワックス材料が、生成物の色および不溶性物質(ヘイズ)の生成において非常に重要な役割を果たしていることを示している。出発キャスターワックスの供給業者/グレードによって、生成物ACW6−ACW10は、色およびヘイズ生成に関して差異を示している。
【表9】

【0149】
D.アセチル化キャスター成分の色および不溶性物質含量を低減するための再結晶化によるキャスターワックスの精製
(実施例11〜13)
アセチル化キャスターワックス(ACW11、ACW12、ACW13)の色および不溶性物質含量を低減する手段としての酢酸エチルまたはアセトンからの再結晶化によるキャスターワックスの精製
アセチル化反応で使用する前に、出発原料(キャスターワックス)を酢酸エチルまたはアセトンから再結晶化する。キャスターワックスの再結晶化によってアセチル化キャスターワックスの色が改善され、より明るい色がもたらされる。ACW11およびACW12は非再結晶化ACW6より低いAPHA値を有する。同様に、ACW13は非再結晶化ACW7より低いAPHA値を有する。結果を表10に示す。
【表10】

【0150】
特に、本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の範囲内になるよう、実施形態の部分および異なる実施形態の要素の組合せを含むこれらの実施形態の改変形態を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DIN53402に従って測定して0〜5未満のヒドロキシル価を有するアセチル化ヒマシ油。
【請求項2】
ASTM D445に従って測定して25℃で2000m Pa s未満の粘度を有するアセチル化キャスターワックス。
【請求項3】
アセチル化キャスター成分を含む第1の可塑剤および
第2の可塑剤
を含む組成物。
【請求項4】
前記第2の可塑剤がエポキシ化脂肪酸エステルを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
70重量%未満のアセチル化キャスター成分を含む、請求項3〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記アセチル化キャスター成分が、アセチル化ヒマシ油、アセチル化キャスターワックスおよびその組合せからなる群から選択される、請求項3〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
ポリマー樹脂、ならびに
アセチル化キャスター成分および任意選択で第2の可塑剤とを含む可塑剤組成物
を含むポリマー組成物。
【請求項8】
前記第2の可塑剤がエポキシ化脂肪酸エステルを含む、請求項7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
導電体、および
ポリマー樹脂と、アセチル化キャスター成分を含む可塑剤組成物とを含む、導電体上のコーティング
を含むコーティングされた導電体。
【請求項10】
前記可塑剤組成物が、アセチル化キャスター成分を含む第1の可塑剤および第2の可塑剤を含む、請求項9に記載のコーティングされた導電体。

【図1】
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【公表番号】特表2013−506736(P2013−506736A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532263(P2012−532263)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/050676
【国際公開番号】WO2011/041380
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】