説明

ヒューズユニット

【課題】ロックが外れ難く、屈曲状態を確実に保持できるヒューズユニットを提供する。
【解決手段】ヒューズユニット11は、複数の可溶部15を有するヒューズエレメント17と絶縁性の樹脂ボディ19とで構成され、樹脂ボディ19はヒンジ部21を境にして分割され、ヒンジ部21を回動中心に屈曲可能とされ第1ボディ43と第2ボディ45とによって形成される。ヒューズユニット11は、第1ボディ43及び第2ボディ45に形成されてヒンジ部21の回動中心と交差する方向に延びる両側の第1側壁部51及び第2側壁部53と、第1側壁部51にそれぞれ延設された一対の第1ロックアーム55と、第2側壁部53に設けられ、第1ロックアーム55の第1被係止部を係止する第1係止部と、第2側壁部53にそれぞれ延設された一対の第2ロックアーム61と、第1側壁部51に設けられ、第2ロックアーム61の第2被係止部を係止する第2係止部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載されるバッテリに直付けされて、バッテリからの電源を電線に供給する可溶部を備えたヒューズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載されるバッテリと電源供給用の電線とを接続するヒューズユニットは、成型時からL字状に屈曲構成されていたため、型抜き等の工程に手間がかかっていた。そこで、一次元方向に伸ばした状態で、前後の分割ボディに分けて成型され、使用時には分割ボディを、中間からL字状に屈曲した状態で使用するものが開発された(例えば特許文献1及び特許文献2等参照)。
【0003】
図8に示すヒューズユニット501は、一方の分割ボディ503の内面壁505に対峙する規制壁507が他方の分割ボディ509の内面壁511に立設されている。規制壁507には、一方の分割ボディ503の内面壁505から離れる方向に傾斜する傾斜壁面513を設ける。規制壁507の両端部には、倒れ防止用リブ515を設ける。一方の分割ボディ503には、掛部517を有する可撓性腕体519が設けられ、他方の分割ボディ509の規制壁507には、切欠部521が設けられて第一のロック手段が構成される。また、一方の分割ボディ503には、係止突起が設けられ、他方の分割ボディ509には、係止突起に対する係合溝523が設けられて第二のロック手段が構成される。係合溝523は、他方の分割ボディ509の側面壁525,527からの延出壁529にそれぞれ設けられる。このような構成とすることで、ヒューズユニット501は、ヒューズユニット501のロック手段の信頼性を向上するとともに、L字状屈曲形態を維持している。
【0004】
また、図9に示すヒューズユニット531は、各分割ボディ533,535に形成され、ヒューズエレメントのヒンジ部537で対向している対向壁部539,541と、対向壁部539,541の交差方向に延びる両側の側壁部543,545,547,549と、分割ボディ533の両側の側壁部543,545に設けられたロックアーム551,553と、ロックアーム551,553に設けられ、第1傾斜面555(557)が形成されたロック突起559,561と、ロック突起559,561に対応するように分割ボディ535の両側の側壁部547,549に設けられた凸部563,565と、凸部563,565と対応するように分割ボディ535に設けられ、各分割ボディ533,535を屈曲させたときに第1傾斜面555(557)が面合わせされる第2傾斜面567とを備える。このような構成とすることで、内蔵したヒューズエレメントからのスプリングバックの負荷を確実に受けることができ、分割ボディ533,535の屈曲状態を保持して樹脂ボディの破損を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−329457号公報
【特許文献2】特開2011−81912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のヒューズユニット501やヒューズユニット531においては、ロック手段は接近する方向のみで係合するため、輸送、車両組付け工程、或いは、実車搭載等で外力が加わり、分割ボディ503と分割ボディ509、或いは、分割ボディ533と分割ボディ535がロックを離反する方向に相対移動すると、L字状屈曲形態を保持するロックが外れ、L字曲げ状態を保持できなくなる。また、L字状屈曲部が破断する懸念がある。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ロックが外れ難く、屈曲状態を確実に保持できるヒューズユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の可溶部を有し、中間部にヒンジ部が形成された導電性のヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを内蔵する絶縁性の樹脂ボディと、で構成され、前記樹脂ボディは前記ヒンジ部を境にして分割された第1ボディと第2ボディとによって形成されるとともに、前記第1ボディと前記第2ボディが前記ヒンジ部を回動中心に屈曲可能なヒューズユニットであって、前記第1ボディに形成され、前記ヒンジ部の回動中心と交差する方向に延びる両側の第1側壁部と、前記第2ボディに形成され、前記ヒンジ部の回動中心と交差する方向に延びる両側の第2側壁部と、前記第1側壁部にそれぞれ延設された一対の第1ロックアームと、前記第2側壁部に設けられ、前記第1ロックアームの第1被係止部を係止する第1係止部と、前記第2側壁部にそれぞれ延設された一対の第2ロックアームと、前記第1側壁部に設けられ、前記第2ロックアームの第2被係止部を係止する第2係止部と、を備えることを特徴とするヒューズユニット。
【0009】
上記(1)の構成のヒューズユニットによれば、屈曲状態の第1ボディと第2ボディとは、第1ボディの第1側壁部に延設された第1ロックアームの第1被係止部が、第2ボディの第2側壁部に設けられた第1係止部に係止されると共に、第2ボディの第2側壁部に延設された第2ロックアームの第2被係止部が、第1ボディの第1側壁部に設けられた第2係止部に係止される。
そこで、第1ボディと第2ボディに外力が作用し、第1ボディに設けた第1ロックアームの第1被係止部が第2ボディの第1係止部から外れるロック解除方向へ第1ボディと第2ボディとが相対変位すると、第1ボディの第2係止部は第2ボディに設けた第2ロックアームの第2被係止部を係止するロック方向へ変位する。また、第1ボディと第2ボディに外力が作用し、第2ボディに設けた第2ロックアームの第2被係止部が第1ボディの第2係止部から外れるロック解除方向へ第1ボディと第2ボディとが相対変位すると、第2ボディの第1係止部は第1ボディに設けた第1ロックアームの第1被係止部を係止するロック方向へ変位する。
即ち、一方のロックアームにロック解除方向の力が加わると、他方のロックアームにはロック方向の力が加わるため、これら第1及び第2ロックアームによるロックは外れ難くなる。従って、第1ボディと第2ボディとの屈曲状態を安定して保持することができる。
【0010】
(2) 上記(1)の構成のヒューズユニットであって、前記第2ロックアームが、前記第1ボディと前記第2ボディとを屈曲させたときに、前記第1ロックアームの外側に重なるように構成されることを特徴とするヒューズユニット。
【0011】
上記(2)の構成のヒューズユニットによれば、第2被係止部が第1ボディの第2係止部に係止される第2ロックアームは、第1ロックアームの外側に重なるように構成されることで、第2側壁部から延設される長さを短くできる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)の構成のヒューズユニットであって、前記第1ロックアームの第1被係止部及び前記第1側壁部の第2係止部が、前記第1側壁部に垂直な第1被係止面及び第2係止面を有し、前記第2ロックアームの第2被係止部及び前記第2側壁部の第1係止部が、前記第2側壁部に垂直な第2被係止面及び第1係止面を有し、前記第1被係止面及び前記第1係止面と、前記第2被係止面及び前記第2係止面とのそれぞれの面合わせの延長線が前記ヒンジ部の回動中心と一致することを特徴とするヒューズユニット。
【0013】
上記(3)の構成のヒューズユニットによれば、第1被係止面及び第1係止面と、第2被係止面及び第2係止面とのそれぞれの面合わせの延長線がヒンジ部の回動中心と一致するので、第1ボディと第2ボディとの屈曲に基づいたヒューズエレメントのスプリングバックの反力を確実に受けることができ、第1ボディと第2ボディとの屈曲状態を更に安定して保持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るヒューズユニットによれば、ロックを外れ難くして、屈曲状態を確実に保持できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るヒューズユニットの屈曲前の斜視図である。
【図2】(a)は図1に示したヒューズユニットの要部平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(b)を下側から見た底面図である。
【図3】(a)は図1のA部平面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。
【図4】(a)は図2(c)を180°回転して見た斜視図、(b)は(a)における第2ボディが屈曲し始めた状態を示す斜視図、(c)は第1ボディと第2ボディとの屈曲が完了した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示したヒューズユニットのL字曲げ状態の斜視図である。
【図6】図5に示したヒューズユニットの要部側面図である。
【図7】図6のC−C矢視断面図である。
【図8】L字曲げ状態における従来のヒューズユニットの斜視図である。
【図9】展開状態における従来の他のヒューズユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
本実施形態に係るヒューズユニット11は、バッテリ(不図示)と電源供給用の電線(不図示)とを接続するものであり、可溶部であるヒューズ13,15を有する導電金属製の板状のヒューズエレメント17と、ヒューズエレメント17がインサート成型される絶縁性の樹脂ボディ19とで構成されている。ヒューズ13,15は、樹脂ボディ19の空室部41に位置し、錫や鉛等の合金製の金属チップを構成材料として搭載している。
【0018】
図1乃至図3に示すヒューズユニット11は、成形時の一次元方向に伸ばした状態であるが、使用時には中間部から略90度屈曲されてL字曲げ状態とされる(図5参照)。一次元方向に伸ばした状態で成形するのは、型抜き等の工程を容易にするためである。
【0019】
ヒューズエレメント17は、一枚の導電金属板から打ち抜き形成され、中間部のヒンジ部21(図6参照)を回動中心23として屈曲可能となっている。また、ヒンジ部21は樹脂成形金型の樹脂材を注入しない部分(図2(b)に示す樹脂ボディ19の間隙部25)に形成することにより、樹脂ボディ19の外部に露出した状態になっている。
【0020】
図1及び図5に示すように、ヒンジ部21を境に垂直に配置されるヒューズエレメント17の端部には、五つのタブ端子27が並列に配置されている。それぞれのタブ端子27は、樹脂ボディ19から露出するヒューズ15に続いている。タブ端子27は、樹脂ボディ19と一体の雌型コネクタハウジング29のコネクタ嵌合室31に突出している。タブ端子27と雌型コネクタハウジング29とは、雌型コネクタ33を構成する。
【0021】
水平に配置されるヒューズエレメント17には、バッテリ端子のバッテリ接続部35、スタータモータ端子のスタータ接続部37、オルタネータ端子のオルタネータ接続部39が形成されている。バッテリ接続部35とオルタネータ接続部39との間には、ヒューズ13が設けられている。
【0022】
樹脂ボディ19は、中間の間隙部25を境に第1ボディ43と第2ボディ45とを構成する部分に分割されている。間隙部25からは、上述したヒューズエレメント17のヒンジ部21が露出しており、ヒューズエレメント17、すなわち、ヒューズユニット11の全体を屈曲できるようにしている。
【0023】
図1はヒューズユニット11の屈曲前の状態を示す図であり、第1ボディ43及び第2ボディ45が一次元方向に延びている。このように成型することで、樹脂ボディ19のバッテリ接続部35、スタータ接続部37、オルタネータ接続部39、及び空室部41の型抜きが180度方向に行われることとなり、金型の構造が簡素化し、また成形が容易となっている。
【0024】
樹脂ボディ19は、水平方向に位置する第1ボディ43と、垂直方向に位置する第2ボディ45とに分けられ、図5に示す第2ボディ45が略90度に屈曲された状態で、バッテリの側壁面に沿って垂設される。
【0025】
バッテリ接続部35、スタータ接続部37、オルタネータ接続部39は、それぞれが相手端子の形状に対応して形成されており、矩形または矩形と半円形を組み合わせた形状となる。スタータ接続部37、オルタネータ接続部39の略中央には、インサート成形時にスタッドボルト47が挿入されており、その軸部49を垂直に突出させている。
【0026】
第1ボディ43には、ヒンジ部21の回動中心23と交差する方向に延びる両側の第1側壁部51が形成され、第2ボディ45には、ヒンジ部21の回動中心23と交差する方向に延びる両側の第2側壁部53が形成されている。
【0027】
第1ボディ43の第1側壁部51には、展開状態の第1ボディ43及び第2ボディ45と平行に一対の第1ロックアーム55がそれぞれ延設されている。第1ロックアーム55は、第1側壁部51から第2ボディ45に向かって突出し、突出先端側が自由端となる。第1ロックアーム55は、ある程度の薄肉状となっており、これにより厚さ方向(回動中心23に沿う方向)に撓む可撓性が付与されている。
この第1ロックアーム55の突出先端における内側には、第1被係止部57が突設されている(図2(a),(c)参照)。第1ボディ43から延出するこの第1ロックアーム55の第1被係止部57は、第2ボディ45の第2側壁部53に近接している。
【0028】
第2ボディ45の第2側壁部53には、図3(b)に示すように、第1ボディ43と第2ボディ45とがL字曲げ状態となったときに、第1ロックアーム55の第1被係止部57を係止する第1係止部59が形成されている。つまり、第1係止部59は、第2側壁部53に凹設されている。
【0029】
一方、第2ボディ45の第2側壁部53には、展開状態の第1ボディ43及び第2ボディ45と直交する方向に一対の第2ロックアーム61がそれぞれ垂設されている。第2ロックアーム61は、第1ボディ43と第2ボディ45がL字曲げ状態となったときに、第1側壁部51に沿って水平姿勢となる。第2ロックアーム61は、垂下先端側が自由端となる。第2ロックアーム61も、ある程度の薄肉状となっており、これにより厚さ方向(回動中心23に沿う方向)に撓む可撓性が付与されている。
【0030】
本実施形態の第2ロックアーム61は、第1ボディ43と第2ボディ45とを屈曲させたときに、第1ロックアーム55の外側に重なるように構成されている。この第2ロックアーム61の垂下先端における内側には、第2被係止部65が突設されている(図2(a),(c)参照)。第2ボディ45から延出するこの第2ロックアーム61の第2被係止部65は、L字曲げ状態で第1ボディ43の第1側壁部51に近接する。
【0031】
第1ボディ43の第1側壁部51には、図2(b)に示すように、第1ボディ43と第2ボディ45とがL字曲げ状態となったときに、第2ロックアーム61の第2被係止部65を係止する第2係止部67が形成されている。つまり、第2係止部67は、第1側壁部51に凹設されている。
【0032】
このように、ヒューズユニット11では、第1ボディ43と第2ボディ45とがヒンジ部21を介してL字曲げ可能となる。第1ボディ43の両側の第1側壁部51からは、一対の第1ロックアーム55が第2ボディ45を挟むように突設され、第2ボディ45の第2側壁部53には、この第1ロックアーム55の第1被係止部57を係止する第1係止部59が形成されている。
一方、第2ボディ45の両側の第2側壁部53からは、一対の第2ロックアーム61が第1ロックアーム55の外側から第1ボディ43を挟むように突設され、第1ボディ43の第1側壁部51には、この第2ロックアーム61の第2被係止部65を係止する第2係止部67が形成されている。
【0033】
また、第1ロックアーム55の第1被係止部57及び第1側壁部51の第2係止部67は、第1側壁部51に垂直な第1被係止面69(図4(a)参照)及び第2係止面71(図1参照)を有している。また、第2ロックアーム61の第2被係止部65及び第2側壁部53の第1係止部59は、第2側壁部53に垂直な第2被係止面73(図4(a)参照)及び第1係止面75(図3(b)参照)を有している。これら第1被係止面69及び第1係止面75と、第2被係止面73及び第2係止面71とのそれぞれの面合わせの延長線77(図6参照)は、ヒンジ部21の回動中心23と略一致するように形成されている。
【0034】
次に、上記構成を有するヒューズユニット11の作用を説明する。
図4(a)に示すように、ヒューズユニット11は、展開状態においては、内側に第1被係止部57を向けた第1ロックアーム55が第1ボディ43から第2ボディ45に向けて延出している。一方、第2ボディ45からは、内側に第2被係止部65を向けた第2ロックアーム61が、第1ロックアーム55と直交する方向に垂設されている。
【0035】
ヒューズユニット11は、輸送前、或いは、車両組付け前に、図4(a)に示す展開状態から、ヒンジ部21を回動中心23として、図4(b)に示すように、第1ボディ43と第2ボディ45とが相対的にL字曲げ状態となるように回転される。すると、第1ロックアーム55の第1被係止部57が第2ボディ45の第2側壁部53に接近するとともに、第2ロックアーム61の第2被係止部65が第1ボディ43の第1側壁部51に接近する。第1被係止部57の移動方向前方には、第2側壁部53の第1係止部59が位置する。第2被係止部65の移動方向前方には、第1側壁部51の第2係止部67が位置する。
【0036】
図4(c)に示すように、第1ボディ43と第2ボディ45とがL字曲げ状態になると、第1ロックアーム55の第1被係止部57が第2ボディ45の第2側壁部53に設けられた第1係止部59に係止される(図7参照)。同時に、第2ロックアーム61の第2被係止部65が第1ボディ43の第1側壁部51に設けられた第2係止部67に係止される。
【0037】
従って、本実施形態に係るヒューズユニット11は、第1ロックアーム55が第2ボディ45に係止されると共に第2ロックアーム61が第1ボディ43に係止され、相互に係止し合った状態でロックされる。
図7に示すように、第1ボディ43と第2ボディ45に外力が作用し、第1ボディ43に設けた第1ロックアーム55の第1被係止部57が第2ボディ45の第1係止部59から外れるロック解除方向F1へ第1ボディ43と第2ボディ45とが相対変位すると、第1ボディ43の第2係止部67は第2ボディ45に設けた第2ロックアーム61の第2被係止部65を係止するロック方向へ変位する。第1ボディ43と第2ボディ45に外力が作用し、第2ボディ45に設けた第2ロックアーム61の第2被係止部65が第1ボディ43の第2係止部67から外れるロック解除方向F2へ第1ボディ43と第2ボディ45とが相対変位すると、第2ボディ45の第1係止部59は第1ボディ43に設けた第1ロックアーム55の第1被係止部57を係止するロック方向へ変位する。
【0038】
即ち、一方のロックアーム55(61)にロック解除方向の力が加わると、他方のロックアーム61(55)にはロック方向の力が加わるため、これら第1及び第2ロックアーム55,61によるロックは外れ難くなる。従って、第1ボディ43と第2ボディ45との屈曲状態を安定して保持することができる。
【0039】
また、本実施形態のヒューズユニット11によれば、第1被係止面69及び第1係止面75と、第2被係止面73及び第2係止面71とのそれぞれの面合わせの延長線77がヒンジ部21の回動中心23と一致するので、第1ボディ43と第2ボディ45との屈曲に基づいたヒューズエレメント17のスプリングバックの反力を確実に受けることができ、第1ボディ43と第2ボディ45との屈曲状態を更に安定して保持することができる。
【0040】
このように、本実施形態に係るヒューズユニット11によれば、第1及び第2ロックアーム43,45によるロックを外れ難くして、第1ボディ43と第2ボディ45の屈曲状態を確実に保持でき、ヒンジ部21等の破損が防止される。
【0041】
なお、本発明のヒューズユニットは、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、上記実施形態においては、第1ボディ43と第2ボディ45とを屈曲させたときに、第2ロックアーム61が第1ロックアーム55の外側に重なるように形成することで、第2側壁部53から延設される第2ロックアーム61の長さが短くなるように構成したが、第1ロックアーム55と第2ロックアーム61が重ならないように形成することもできる。
【符号の説明】
【0042】
11…ヒューズユニット
13、15…ヒューズ(可溶部)
17…ヒューズエレメント
19…樹脂ボディ
21…ヒンジ部
23…回動中心
43…第1ボディ
45…第2ボディ
51…第1側壁部
53…第2側壁部
55…第1ロックアーム
57…第1被係止部
59…第1係止部
61…第2ロックアーム
65…第2被係止部
67…第2係止部
69…第1被係止面
71…第2係止面
73…第2被係止面
75…第1係止面
77…延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可溶部を有し、中間部にヒンジ部が形成された導電性のヒューズエレメントと、前記ヒューズエレメントを内蔵する絶縁性の樹脂ボディと、で構成され、前記樹脂ボディは前記ヒンジ部を境にして分割された第1ボディと第2ボディとによって形成されるとともに、前記第1ボディと前記第2ボディが前記ヒンジ部を回動中心に屈曲可能なヒューズユニットであって、
前記第1ボディに形成され、前記ヒンジ部の回動中心と交差する方向に延びる両側の第1側壁部と、
前記第2ボディに形成され、前記ヒンジ部の回動中心と交差する方向に延びる両側の第2側壁部と、
前記第1側壁部にそれぞれ延設された一対の第1ロックアームと、
前記第2側壁部に設けられ、前記第1ロックアームの第1被係止部を係止する第1係止部と、
前記第2側壁部にそれぞれ延設された一対の第2ロックアームと、
前記第1側壁部に設けられ、前記第2ロックアームの第2被係止部を係止する第2係止部と、
を備えることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項2】
請求項1記載のヒューズユニットであって、
前記第2ロックアームが、前記第1ボディと前記第2ボディとを屈曲させたときに、前記第1ロックアームの外側に重なるように構成されることを特徴とするヒューズユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のヒューズユニットであって、
前記第1ロックアームの第1被係止部及び前記第1側壁部の第2係止部が、前記第1側壁部に垂直な第1被係止面及び第2係止面を有し、前記第2ロックアームの第2被係止部及び前記第2側壁部の第1係止部が、前記第2側壁部に垂直な第2被係止面及び第1係止面を有し、前記第1被係止面及び前記第1係止面と、前記第2被係止面及び前記第2係止面とのそれぞれの面合わせの延長線が前記ヒンジ部の回動中心と一致することを特徴とするヒューズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109846(P2013−109846A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251721(P2011−251721)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】