説明

ヒュームドシリカ分散液

シラン化された、構造的に改質されたシリカ、及び溶剤を含有するヒュームドシリカの分散液。該分散液を、塗料材料を製造するために使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒュームドシリカの分散液に、及び塗料材料を製造するためのその使用に関する。
【0002】
塗料材料中へのヒュームドシリカの取り込みは、公知である。Schriftenreihe Pigmente No.18(1980年4月)5頁の文献から、疎水性ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)972)と共に、顔料及び充填剤の取り込みが、公知である。クリアコート材料を製造するために、例えば、その調製物は、それぞれのバインダー溶液中で約10%のペーストが推奨され、そのため、典型的な分散装置を使用することが可能である。この方法で製造されるペーストは、塗料材料を製造するための他の工程のための粉砕媒体として使用される。
【0003】
シラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカの塗料材料中に、溶剤と混合させたバインダー、及び高速ミキサーを使用してこの混合物中に混合させたシリカを取り込むことも公知である。得られた混合物は、実質的に、ビーズミルを使用して分散される(WO 2004/020532号)。
【0004】
塗料系中へヒュームドシリカを取り込む公知の方法は、この方法で製造されたクリアコート材料が、望ましくないヘーズ及び/又は望ましくないフロスティングを呈する欠点を有する。
【0005】
従って、存在する課題は、ヒュームドシリカが、フロスティングを回避することができる方法で、塗料系中に取り込まれることができる方法を開発することであった。
【0006】
本発明は、シラン化された、構造的に改質されたシリカ、及び溶剤を含有することを特徴とするヒュームドシリカの分散液を提供する。
【0007】
本発明の一実施態様において、該分散液は、さらに、添加剤を含有してよい。かかる添加剤の可能な例は、硬化剤を含む。
【0008】
前記のシラン化された、構造的に改質されたシリカは、本発明の好ましい一実施態様において、ヒュームドシリカであってよい。該シリカは、分散液に対して、5質量%〜60質量%の量で存在してよい。好ましくは、固体含有率は、20質量%〜40質量%の量であってよい。前記のシラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカは、WO 2004/020532号から公知である。
【0009】
前記のシラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカは、ジメチルシリル及び/又はモノメチルシリル基、有利にはジメチルシリル基を表面上に有してよい。
【0010】
本発明によって有用なシリカは、次の物理化学的パラメータを有してよい:
BET表面積 m2/g: 25〜400
平均一次粒子サイズ nm: 5〜50
pH: 3〜10
炭素含有率 質量%: 0.1〜10
DBP価 %: <200
【0011】
本発明によって有用な、シラン化された、構造的に改質されたシリカは、ジメチルジクロロシラン及び/又はモノメチルシランでヒュームドシリカを表面改質すること、かつ表面改質されたシリカを構造的に改質することによって製造されてよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施態様において使用されてよいシラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカは、ジメチルジクロロシランでシラン化され、かつWO 2004/020532号に従って構造的に改質されている、BET表面積200±25m2/gを有するヒュームドシリカから製造されているシリカである。このヒュームドシリカは、Aerosil(登録商標)R9200の形で知られている。
【0013】
本発明の好ましい一実施態様において、分散液は、ヒュームドされた、シラン化された、構造的に改質されたシリカの粒子の次のサイズ分布を有してよい:
0.01μm〜1.5μmの範囲内の20質量%〜80質量%
1.5μm〜4.0μmの範囲内の2質量%〜80質量%。
【0014】
特に、粒子サイズ分布は、次であってもよい:
0.2μm〜1.5μmの範囲内の60質量%〜95質量%
1.5μm〜3.5μmの範囲内の5質量%〜40質量%。
【0015】
本発明の分散液は、5質量%〜70質量%の量で、有利には20質量%〜40質量%の量でシリカを含有してよい。
【0016】
本発明の分散液は、シラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカを、溶剤で、混合及び分散することによって製造されてよい。
【0017】
本発明の一実施態様において、分散を、ビーズミルによって実施することができる。
【0018】
使用されうる溶剤は、有機溶剤を含む。
【0019】
特に、個々に又は混合物で、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、スチレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メシチルオキシド、イソホロン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテート、エトキシプロピルアセテート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルグリコール、プロピルグリコール、ブチルグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−イソプロポキシ−2−プロパノール、1−イソブトキシ−2−プロパノール、メチルジプロピレングリコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、二硫化炭素、1−ニトロペンタン、2−ニトロペンタン、ニトロベンゼン、もしくはN−メチル−2−ピロリドンの群からの溶剤を使用することができる。
【0020】
本発明は、さらに、本発明のヒュームドシリカの分散液が、少なくとも1つの硬化剤及び/又は少なくとも1つのバインダーと混合され、かつ分散されることを特徴とする、溶剤系塗料材料を製造するための方法を提供する。
【0021】
本発明の一実施態様において、分散を、ビーズミルによって実施することができる。
【0022】
水溶性塗料材料は、本発明によって除かれる。
【0023】
本発明は、比較的低いレベルのフロスティングが、クリアコート材料において見出される利点を有する。
【0024】
さらに、分散液中の比較的高い濃度のシリカのために、製造されたクリアコート材料の体積は、実質的により高くなる。
【0025】
実施例
実施例1〜3において、シラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカのAerosil(登録商標)R9200を、公知の方法によって、クリアコート系中に取り込む。実施例4によって、シラン化された、構造的に改質されたヒュームドシリカを、本発明の分散液によって取り込む。
【0026】
本発明により製造されたクリアコート材料は、より少ないフロスティング、及び非常に良好な塗料材料の均一性も有することが見出される。
【0027】
図1、2、3、4及び5は、塗料材料中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。
【0028】
例えば、実施例1、2及び3によると、該粒子77質量%〜85質量%は、0.4μm〜1.5μmであるが、一方、15質量%〜23質量%は、1.5μm〜4μmである。
【0029】
本発明による実施例4によると、前記塗料材料は、実質的に低い粗大断片を有する。従って、該粒子の90質量%は、0.4〜1.5μmの範囲であり、かつ該粒子15質量%のみは、1.5〜2.9μmである。
【0030】
このことは、ヘーズ及び/又はフロスティングの原因である2.9μmより小さい粒子の断片が、極めて低いことを意味する。
【0031】
【表1−1】

【表1−2】

LA−D 1045:Tego社製の分散剤
Dispers 652:Tego社製の分散剤
Macrynal SM 565:USBのSurface Specialties社製のアクリルコポリマー
Solvesso 100:Imperial Oil社製の芳香族混合物
BM:Getzmann社製のDispermat SL 5
*)粒ゲージ30μmは、使用できない塗料材料を意味する
**)Degussa AGの技術情報第1284号
***)Coulter LS230 Micro Volumeモジュールにおけるレーザー回折によって、試料を測定した。純粋なワニス系又は溶剤を測定媒体として導入し、かつ試料を数滴添加することによって行った。
****)Degussa AGの技術情報第1204号
【0032】
粉砕媒体の分散時間及び体積は、それぞれの実施例1、2、3及び4において同一である。
【0033】
本発明による実施例4において、ヒュームドシリカの量は、より濃縮された形で存在し、そのため、同様の分散力に関して、5.8倍より多いクリアコート材料の体積を、製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1の塗料材料中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。
【図2】図2は、実施例2の塗料材料中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。
【図3】図3は、実施例3の塗料材料中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。
【図4】図4は、実施例4の粉砕媒体中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。
【図5】図5は、実施例4の塗料材料中に存在するシリカ粒子の粒子直径を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン化された、構造的に改質されたシリカ、及び溶剤を含有することを特徴とする、ヒュームドシリカの分散液。
【請求項2】
さらに添加剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載のヒュームドシリカの分散液。
【請求項3】
請求項1に記載の分散液を、少なくとも1つのバインダーと混合することを特徴とする、溶剤系の塗料材料の製造方法。
【請求項4】
少なくとも1つの硬化剤を添加することを特徴とする、請求項3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−535469(P2009−535469A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508286(P2009−508286)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053370
【国際公開番号】WO2007/128636
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】