説明

ヒンジキャップおよび内容物入り容器

【課題】内容物を取り出すときの操作性を向上させることができる。
【解決手段】粒状の内容物Wが収容された容器本体31の口部32に装着されるヒンジキャップ2であって、天壁部11に内容物Wの取り出し孔12が形成された有頂筒状のキャップ本体13と、キャップ本体13にヒンジ部14を介して連結され、取り出し孔12を開閉する蓋体15と、を備え、キャップ本体13の天壁部11における取り出し孔12の周縁部には、蓋体15側と反対の当該キャップ本体13の内側に向けて延びる延体26が、取り出し孔12の中心軸線L回りに間隔をあけて複数配設され、これらの延体26同士の間には、その全長にわたって内容物Wが通過可能な隙間が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジキャップおよび内容物入り容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒンジキャップは一般に、天壁部に内容物の取り出し孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジ部を介して連結され、取り出し孔を開閉する蓋体と、を備えている。
この種のヒンジキャップとして、従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、粒状の内容物が収容された容器本体の口部に装着されて用いられるとともに、キャップ本体の天壁部における取り出し孔の周縁部に、蓋体側と反対の当該キャップ本体の内側に向けて延びる延体が配設され、該延体が取り出し孔を跨ぐU字状に形成された構成が知られている。
このヒンジキャップにおいては、容器本体内の内容物が取り出し孔を通過して取り出されるまでの過程で、この内容物が延体の周りを迂回しつつ取り出し孔に到達するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4388763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のヒンジキャップでは、内容物を取り出すときの操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、内容物を取り出すときの操作性を向上させることができるヒンジキャップおよび内容物入り容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のヒンジキャップは、粒状の内容物が収容された容器本体の口部に装着されるヒンジキャップであって、天壁部に内容物の取り出し孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、該キャップ本体にヒンジ部を介して連結され、前記取り出し孔を開閉する蓋体と、を備え、前記キャップ本体の天壁部における前記取り出し孔の周縁部には、前記蓋体側と反対の当該キャップ本体の内側に向けて延びる延体が、前記取り出し孔の中心軸線回りに間隔をあけて複数配設され、これらの延体同士の間には、その全長にわたって前記内容物が通過可能な隙間が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、キャップ本体の天壁部における取り出し孔の周縁部に、延体が複数配設されているので、容器本体内の内容物が、複数の延体同士の間の隙間、および取り出し孔をこの順に通過して取り出されるまでの過程で、この内容物を延体に当接させた後にあるいは当接させながら取り出し孔に到達させることが可能になる。したがって、容器本体内から取り出し孔に到達するまでの間に内容物の勢いが抑えられ、内容物が取り出し孔から大量に出てしまうのを抑制することが可能になり、正確な量の内容物を取り出し易くすることができる。
さらに、複数の延体同士の間に、その全長にわたって内容物が通過可能な隙間が設けられているので、内容物を、複数の延体の各先端部同士の間の隙間を通過させて取り出し孔に到達させることが可能になる。
したがって、内容物を容器本体内から取り出し孔に到達させるまでの過程で、内容物を、延体の周りを迂回させずに、複数の延体同士の間の隙間を通して取り出し孔に向けて直進させることが可能になり、内容物を取り出す際の操作性を向上させることができる。
【0008】
また、本発明の内容物入り容器は、粒状の内容物が収容された容器本体と、該容器本体の口部に装着されたヒンジキャップと、を備える内容物入り容器であって、前記ヒンジキャップは、本発明のヒンジキャップとされ、複数の前記延体同士の間で最も狭い隙間の大きさは、内容物において最も薄い部分の厚さ若しくは最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくなっていることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、複数の延体同士の間で最も狭い隙間の大きさが、内容物において最も薄い部分の厚さ若しくは最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくなっているので、内容物を、複数の延体同士の間を通過させるときに、延体に当接させ易くすることが可能になり、内容物の容器本体内から取り出し孔に向けた勢いを確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るヒンジキャップおよび内容物入り容器によれば、内容物を取り出すときの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した内容物入り容器の一部縦断面図である。
【図2】図1のヒンジキャップの一部を示す上面図である。
【図3】図1のヒンジキャップの一部を示す下面図である。
【図4】本発明に係る他の実施形態として示した内容物入り容器の一部縦断面図である。
【図5】図4のヒンジキャップの一部を示す下面図である。
【図6】本発明に係るさらに他の実施形態として示した内容物入り容器の一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る内容物入り容器1は、粒状の内容物Wが収容された容器本体31と、容器本体31の口部32に装着されたヒンジキャップ2と、を備えている。
容器本体31は有底筒状に形成され、口部32に雄ねじ部が形成されている。
ヒンジキャップ2は、図1、図2および図3に示すように、天壁部11に内容物Wの取り出し孔12が形成された有頂筒状のキャップ本体13と、キャップ本体13にヒンジ部14を介して連結され、取り出し孔12を開閉する蓋体15と、を備えている。
図示の例では、内容物Wは、表裏面が突曲面状に形成された円板状に形成されている。内容物Wは、外径が厚さより大きい偏平に形成されている。また、内容物Wは、前述のように表裏面が突曲面状に形成されていて、その径方向の外側から中央に向かうに従い漸次、厚さが大きくなっている。
【0013】
ここで、キャップ本体13、および容器本体31の口部32はそれぞれ、共通軸と同軸に位置している。以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。また、キャップ軸O方向に沿って、キャップ本体13の天壁部11を挟んで、蓋体15側を上側、蓋体15と反対側のキャップ本体13の内側を下側という。
【0014】
取り出し孔12は円形状に形成されている。この取り出し孔12の中心軸線Lは、キャップ軸Oと平行で、かつキャップ軸Oから径方向にずれて位置している。この中心軸線Lに沿う方向とキャップ軸Oに沿う方向とは互いに一致している。
キャップ本体13の天壁部11において、取り出し孔12に該孔12の外側から連なる環状の外周部分11aは、取り出し孔12の開口周縁に向かうに従い漸次下方に向けて延在している。
天壁部11の外周縁部には、容器本体31の口部32内に嵌合されるシール筒部16が下方に向けて突設されている。
キャップ本体13の周壁部17には、容器本体31の口部32に螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0015】
蓋体15は有頂筒状に形成されている。この蓋体15の頂壁部19には、取り出し孔12内に着脱自在に気密状態で嵌合される筒状の栓部20と、栓部20を径方向の外側から囲繞する囲繞筒部21と、がそれぞれ下方に向けて突設されている。栓部20は、囲繞筒部21よりも長さが長く下方に向けて大きく突出している。囲繞筒部21の下端と、キャップ本体13の天壁部11と、の間には隙間が設けられている。また、栓部20、および囲繞筒部21は、取り出し孔12の中心軸線Lと同軸に配設されている。
【0016】
蓋体15の周壁部22の下端縁における周方向の一部と、キャップ本体13の周方向の一部と、がヒンジ部14を介して連結されている。この蓋体15の周壁部22において、キャップ軸Oを径方向に挟む、ヒンジ部14との連結部分の反対側に位置する部分に、径方向の外側に向けて突出するつまみ突片23と、径方向の内側に向けて突出し、かつキャップ本体13に形成された第1係合突部24に着脱自在にアンダーカット嵌合する第2係合突部25と、が形成されている。
【0017】
ここで、キャップ本体13の平面視において、キャップ軸Oを基準に、ヒンジ部14との連結部分が位置する側を後側といい、第1係合突部24が位置する側を前側という。
なお、第1係合突部24は、キャップ本体13における天壁部11と周壁部17との連結部分の前側の端部に形成されている。また、取り出し孔12の中心軸線Lは、キャップ軸Oから前側にずれて位置している。
【0018】
そして本実施形態では、キャップ本体13の天壁部11における取り出し孔12の周縁部に、下方に向けて延びる延体26が、取り出し孔12の中心軸線L回りに間隔をあけて複数配設され、これらの延体26同士の間には、その全長にわたって内容物Wが通過可能な隙間が設けられている。
また、複数の延体26は、天壁部11における取り出し孔12の周縁部において、前記中心軸線Lに対して点対称となる位置に各別に配設されている。各延体26は、上端が天壁部11に接続されるとともに、下方に向かうに従い漸次、取り出し孔12の内側に向けて延びる本体部26aと、本体部26aの下端に接続されて取り出し孔12の内側に向けて突出する突出部26bと、を備えている。さらに、複数の延体26同士の間の隙間は、前記中心軸線L方向の全長にわたって、取り出し孔12に前記中心軸線L方向で対向している。なお、延体26の長さは、内容物Wの外径と同等になっている。
【0019】
そして、複数の延体26同士の間で最も狭い隙間の大きさが、内容物Wにおいて最も薄い部分の厚さ若しくは最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくなっている。
図示の例では、複数の延体26同士の間の隙間のなかで、突出部26bの先端同士の間の隙間が最も狭くなっている。また、内容物Wのうち、中央部が最も厚さが厚く、外周縁部が最も厚さが薄くなっている。そして、突出部26bの先端同士の間の隙間が、内容物Wの外周縁部における厚さと比べて同一、または僅かに大きくなっている。
また、延体26は2つ配設されていて、径方向で互いに対向している。さらに、2つの延体26はそれぞれ、天壁部11における取り出し孔12の周縁部の前側および後側の各端部に各別に配設されている。
そして、容器本体31内の内容物Wが、取り出し孔12に向けて突出部26bの先端同士の間を通過するときに、複数の延体26は、相互間の隙間を拡げるように互いに離間する方向に弾性変形する。
【0020】
以上説明したように、本実施形態によるヒンジキャップ2によれば、キャップ本体13の天壁部11における取り出し孔12の周縁部に、延体26が複数配設されているので、容器本体31内の内容物Wが、複数の延体26同士の間の隙間、および取り出し孔12をこの順に通過して取り出されるまでの過程で、この内容物Wを延体26に当接させた後にあるいは当接させながら取り出し孔12に到達させることが可能になる。したがって、容器本体31内から取り出し孔12に到達するまでの間に内容物Wの勢いが抑えられ、内容物Wが取り出し孔12から大量に出てしまうのを抑制することが可能になり、正確な量の内容物Wを取り出し易くすることができる。
【0021】
さらに、複数の延体26同士の間に、その全長にわたって内容物Wが通過可能な隙間が設けられているので、内容物Wを、複数の延体26の各先端部同士の間の隙間を通過させて取り出し孔12に到達させることが可能になる。
したがって、内容物Wを容器本体31内から取り出し孔12に到達させるまでの過程で、内容物Wを、延体26の周りを迂回させずに、複数の延体26同士の間の隙間を通して取り出し孔12に向けて直進させることが可能になり、内容物Wを取り出す際の操作性を向上させることができる。
さらに本実施形態では、複数の延体26同士の間の隙間が、前記中心軸線L方向の全長にわたって、取り出し孔12に前記中心軸線L方向で対向しているので、内容物Wを取り出す際の操作性をより一層確実に向上させることができる。
【0022】
また、本発明の内容物入り容器1によれば、複数の延体26同士の間で最も狭い隙間の大きさが、内容物Wにおいて最も薄い部分の厚さと比べて同一、または僅かに大きくなっているので、内容物Wを、複数の延体26同士の間を通過させるときに、延体26に当接させ易くすることが可能になり、内容物Wの容器本体31内から取り出し孔12に向けた勢いを確実に抑えることができる。
【0023】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0024】
例えば前記実施形態では、突出部26bの先端同士の間の隙間を、内容物Wにおいて最も薄い部分の厚さと比べて同一、または僅かに大きくしたが、この隙間を、内容物Wにおいて最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくしてもよい。
また、前記実施形態では、延体26が2つ配設されていて、径方向で互いに対向しているヒンジキャップ2を示したが、これに代えて例えば、延体26を前記中心軸線L回りに間隔をあけて3つ以上配設してもよい。例えば図4および図5に示されるように、延体26が、前記中心軸線L回りに等間隔をあけて3つ配設されたヒンジキャップ3を採用してもよい。図示の例では、3つの延体26のうちの1つが、天壁部11における取り出し孔12の周縁部の後側の端部に配設されている。
また、延体26として、突出部26bを有する構成を示したが、これに代えて例えば、図4および図5に示されるように、本体部26aのみを有する構成を採用してもよい。この構成において、本体部26aの下端部同士の間の隙間を、内容物Wにおいて最も薄い部分の厚さ若しくは最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくしてもよい。
さらに、前記実施形態では、複数の延体26同士の間の隙間が、前記中心軸線L方向の全長にわたって、取り出し孔12に前記中心軸線L方向で対向した構成を示したが、これに代えて例えば、複数の延体26同士の間の隙間のうち、取り出し孔12と反対側の先端の隙間は、取り出し孔12に対して前記中心軸線L方向で対向させずに径方向にずらして位置させてもよい。
【0025】
また、図6に示されるヒンジキャップ4のように、取り出し孔12の中心軸線Lとキャップ軸Oとを一致させてもよい。さらに、この図6に示されるように、天壁部11の下面に、容器本体31の口部32の上端開口縁との間に挟まれるように、乾燥剤入りのパッキン35を配設してもよい。
【0026】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
内容物を取り出すときの操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 内容物入り容器
2、3、4 ヒンジキャップ
11 天壁部
12 取り出し孔
13 キャップ本体
14 ヒンジ部
15 蓋体
26 延体
31 容器本体
32 口部
L 中心軸線
W 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の内容物が収容された容器本体の口部に装着されるヒンジキャップであって、
天壁部に内容物の取り出し孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、
該キャップ本体にヒンジ部を介して連結され、前記取り出し孔を開閉する蓋体と、を備え、
前記キャップ本体の天壁部における前記取り出し孔の周縁部には、前記蓋体側と反対の当該キャップ本体の内側に向けて延びる延体が、前記取り出し孔の中心軸線回りに間隔をあけて複数配設され、
これらの延体同士の間には、その全長にわたって前記内容物が通過可能な隙間が設けられていることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
粒状の内容物が収容された容器本体と、
該容器本体の口部に装着されたヒンジキャップと、
を備える内容物入り容器であって、
前記ヒンジキャップは、請求項1記載のヒンジキャップとされ、
複数の前記延体同士の間で最も狭い隙間の大きさは、内容物において最も薄い部分の厚さ若しくは最も外径が小さい部分の外径と比べて同一、または僅かに大きくなっていることを特徴とする内容物入り容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−107697(P2013−107697A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256386(P2011−256386)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】